JPWO2020067027A1 - Vlp発現cho細胞株の構築 - Google Patents

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Abstract

【課題】高次構造を有するウイルス構造タンパク質を作出するためのCHO細胞株を提供する。
【解決手段】
本発明は、高次構造を有するウイルス構造タンパク質を作出するためのCHO細胞株であって、該構造タンパク質をコードする遺伝子ならびに該遺伝子と操作可能に連結したプロモーターを含む発現ベクターを導入した、CHO細胞株を提供する。

【選択図】図1

Description

本発明は、ウイルスの構造タンパク質、とりわけウイルス様粒子を発現することができるCHO細胞株に関するものである。
ウイルス性疾患に対する予防法としてのワクチンの有効性は、ポリオウイルスやインフルエンザウイルスに対するワクチンなどの前例から、広く認められている。ワクチンの候補としては、一般的には、弱毒化株、全粒子を初めとする不活化ウイルス、ウイルス様粒子(Virus Like Particle、以下「VLP」)、組換えタンパク質、組換えベクター及びペプチドなどが知られている。一方で、宿主の細胞や発育鶏卵において低い増殖性を示すウイルスのワクチンを製造する場合、ワクチンを安定供給するためにはVLPがワクチン抗原の候補として望まれている。VLPは、ウイルスの一部、とりわけウイルスカプシドに由来する。カプシドは、カプソメアと呼ばれるタンパク質のサブユニットが集合して構成される構造タンパク質であり、ウイルスゲノムを取り囲んでウイルスの外殻を構成する。とりわけノンエンベロープウイルスにおいては、カプシドは、ウイルスの最外殻に存在するため、エピトープを含むことが多い。
日本の抗体医薬などのバイオ医薬品の製造において、チャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞、大腸菌、酵母、マウスミエローマ(NSO)細胞、Vero細胞、MDCK細胞、ベビーハムスター腎臓(BHK)細胞などが利用されている。とりわけCHO細胞は、2016年にはバイオ医薬品の約40%で利用された発現系であり、多くの技術的な蓄積がなされている。
例えば特許文献2は、CHO細胞をNHEJタンパク質またはその機能的断片、またはそれらをコードするポリヌクレオチドでトランスフェクトすることによって、抗体などの発現効率が向上することを開示している。また、特許文献3は、ヒト凝固第X因子を発現するCHO細胞に、フューリンを発現させることで、活性なヒト凝固第X因子が得られることを開示している。さらに、特許文献4は、サイトメガロウイルス五量体の発現にはHEK293細胞よりもCHO細胞が好ましく、さらに宿主細胞に一箇所以上の追加の変異を加え、C12orf35タンパク質の発現レベルが低い場合にサイトメガロウイルス五量体の発現効率が改善することを開示している。
細胞発現系によってウイルスの構造タンパク質を作出する試みは既になされてきたが、VLPのような複雑な高次構造を有するウイルス構造タンパク質の発現系が確立されているとは言い難い。特許文献1や特許文献5は、バキュロウイルスや昆虫細胞を用いた複合カプシドの発現系を開示しているが、当該発現系は安全性の問題から多くの課題を抱えている。また、非特許文献1は、VLPの有用性に理解を示しつつも、その作出、とりわけアセンブルが困難であることを開示している。
特開2015−171363号公報 特表2015−530103号公報 特表2017−524366号公報 特表2017−534283号公報 特表2014−539428号公報
Karl D. Brune, et al, Frontiers in Immunology, June 2018, Volume 9, Article 1432
本発明は、ウイルスの構造タンパク質を発現することができるCHO細胞株に関するものである。具体的には、本発明は、高次構造を有するウイルス構造タンパク質を作出するためのCHO細胞株であって、該構造タンパク質をコードする遺伝子ならびに該遺伝子と操作可能に連結したプロモーターを含む発現ベクターを導入した、CHO細胞株を提供するものである。
VLPなどのウイルス構造タンパク質は新たなワクチン抗原として期待されているが、構造の複雑さや安全性の要求の高さにより、VLP作出技術は確立されているとは言い難い。本発明は、ワクチンとして利用可能なVLPの作出技術の確立を課題とする。
本発明者らは上記課題を解決するために鋭意検討を重ねた結果、VLPを作出可能な宿主細胞としてCHO細胞が適していることを見出した。CHO細胞はバイオ医薬品の製造において最も利用される細胞系であるが、VLPのような高次構造を有するウイルス構造タンパク質の発現において使用された具体例ない。そこで、本発明者らは、ウイルス構造タンパク質をCHO細胞で発現させることができるのか、そして、CHO細胞で発現させたウイルス構造タンパク質がワクチンとして利用可能であるかを検討した。
本発明者らは、哺乳類に感染するウイルス、たとえばノンエンベロープウイルスであるピコルナウイルスやパルボウイルスのVLPを発現するCHO細胞株を構築した。さらに、本発明者らは、ピコルナウイルスであるエンテロウイルス71のVLPを発現するCHO細胞株も構築した。これらの知見から、本発明者らは、CHO細胞株が高次構造を有するウイルス構造タンパク質を発現することができると確信して、本発明をなした。
以下に本発明の詳細な説明をするが、本明細書において用いられる用語は、微生物学、生化学、分子生物学、医学及び薬学分野における一般的な定義に従って理解される。ただし、本明細書において特に説明又は定義されている用語については、本明細書における説明又は定義が優先する。また、本明細書中に引用されている文献については、参照により本明細書の一部とする。
第一の態様において、本発明は、高次構造を有するウイルス構造タンパク質を作出するためのCHO細胞株であって、該構造タンパク質をコードする遺伝子ならびに該遺伝子と操作可能に連結したプロモーターを含む発現ベクターを導入した、CHO細胞株(以下、本発明のCHO細胞株)を提供する。
ウイルスのカプシドはウイルスごとに定まった数のカプソマーが複合して形成され、カプソマーは構造タンパク質(例えばVP0〜VP4のいずれか又は組み合わせ)がアセンブルしたプロトマーの集合体である。したがって、本発明において、用語「ウイルス構造タンパク質」は、ウイルスのカプシドの全部または一部に由来するタンパク質、たとえばVLP、カプソマー、プロトマー、またはプロトマーを形成するタンパク質(例えばVP0〜VP4のいずれか1つ又は2つ以上の組み合わせ)、またはプロトマーを形成する個々のタンパク質の前駆体であるポリプロテインのすべてを意味する。本発明のウイルス構造タンパク質は、さらに糖鎖などの修飾を受けていてもよい。
例えば、エンテロウイルスA群は、直径20〜30nmのノンエンベロープウイルスカプシドの内部に約7.4kbの一本鎖RNAが封入された構造を有しており、該カプシドは異なる構造タンパク質(VP1〜4)のコピー60個からなる場合や、プロカプシドと呼ばれるVP0、VP1およびVP3の構造タンパク質のコピー60個からなる場合がある。ポリプロテインであるP1が切断されたVP1〜4の4つまたはVP0、VP1およびVP3の3つの構造タンパク質がアセンブルしてプロトマーを形成し、5つのプロトマーがアセンブルしてペンタマーを形成し、12個のペンタマーがカプシドを構成する。本発明において、エンテロウイルスA群のウイルス構造タンパク質には、ポリプロテインであるP1、P1が切断されたVP0、VP1、VP2、VP3およびVP4から選択されるいずれか1個のタンパク質、あるいはVP0〜4のいずれかの組み合わせ、例えばVP1〜4の組み合わせまたはVP0、VP1およびVP3の組み合わせによって構成されるプロトマー、5つのプロトマーがアセンブルして形成されるペンタマーおよびペンタマー12個が集合したカプシドまたはVLPが含まれると理解される。
例えば、ヒトに感染するヒトパルボウイルスであるパルボウイルスB19は、直径20〜25nmのノンエンベロープウイルスカプシドの内部に約5.6kbの一本鎖DNAが封入された構造を有している。小型DNAウイルスであるパルボウイルス科ファミリーのエリスロウイルス属に属する。パルボウイルスB19カプシドは、約83kDaの構造タンパク質であるVP1と、約58kDaの構造タンパク質であるVP2からなる。
例えば、ノロウイルスは、カリシウイルスに分類され、非分節型RNAゲノムを含む直径27〜40nmのノンエンベロープウイルスである。正二十面体で、90個のカプソマーよりなり、各カプソマーは1種のポリペプチドの2量体である。ノロウイルスのカプシドはshell domain(S)とprotruding domain(P)に分けられ、PはP1とP2のsubdomainに分けられる。P2はウイルスの最表層に位置している。
ウイルス構造タンパク質のアミノ酸配列及びそれらをコードする塩基配列は既知であり、DNA Data Bank of Japan(DDBJ)、EMBL−Bank/EBI、GenBank/National Center for Biotechnology Information(以下、NCBI)などのデータベースから容易に入手可能である。また、ウイルスのカプシドの構造については、ウイルスに関する概説書の他、各ウイルスの論文等から容易に入手可能である。
本発明において、用語「由来の」とは、対象物が元のウイルスと免疫学的な相同性を有すること、又は元のウイルスの構造タンパク質のアミノ酸配列と一定の相同性を示すことを意味し、製造方法に縛られるものではないと理解すべきである。免疫学的な相同性とは、元のウイルスに対する免疫反応が対象物に対しても同様に惹起されることを示す。免疫学的な相同性を確認する方法は、当業者に利用可能なあらゆる手段であってよく、特に限定されない。一般的には、対象物が発現を誘導する抗体が元のウイルスを中和しうるかどうか、すなわち対象物が誘導する中和抗体価を測定することで確認することができる。例えばエンテロウイルスのカプシド「由来の」との記載は、エンテロウイルスに対する免疫反応が対象物に対しても同様に惹起されること、又はエンテロウイルスのカプシドのアミノ酸配列と一定の相同性、例えばエンテロウイルスとして微生物学上理解される程度の相同性を有することを意味する。アミノ酸配列と一定の相同性とは、典型的には80%以上、好ましくは90%以上、95%以上、96%以上、より好ましくは97%以上、さらに好ましくは98%以上、最適には99%以上の相同性を有することを意味する。相同性の検定には当業者が通常利用可能なあらゆる検定方法を利用可能であるが、例えばBLASTを初期設定のパラメーターで用いることができる。
一例をあげると、エンテロウイルス由来のVP1であるといえるためには、まず、対象となっているポリペプチドのアミノ酸配列が、NCBIから取得したいずれかのエンテロウイルスのVP1のアミノ酸配列と初期設定パラメーターを用いたBLASTで一定の相同性、例えばエンテロウイルスとして微生物学上理解される程度の相同性を有することを意味し、典型的には80%以上、好ましくは90%以上、95%以上、96%以上、より好ましくは97%以上、さらに好ましくは98%以上、最適には99%以上の相同性を有することを意味する。
あるアミノ酸を、同様の疎水性指数を有する他のアミノ酸により置換して、そして依然として同様の生物学的機能を有するタンパク質(例えば、酵素活性において等価なタンパク質。以下、「生物学的等価体」)を生じさせ得ることは当該分野で周知である。このようなアミノ酸置換において、疎水性指数が±2以内であることが好ましく、±1以内であることがより好ましく、±0.5以内であることがさらにより好ましい。疎水性に基づくこのようなアミノ酸の置換は効率的であることが当該分野において理解される。親水性指標もまた、生物学的等価体の作製において考慮される。米国特許第4、554、101号に記載されるように、以下の親水性指数がアミノ酸残基に割り当てられている:アルギニン(+3.0);リジン(+3.0);アスパラギン酸(+3.0±1);グルタミン酸(+3.0±1);セリン(+0.3);アスパラギン(+0.2);グルタミン(+0.2);グリシン(0);スレオニン(−0.4);プロリン(−0.5±1);アラニン(−0.5);ヒスチジン(−0.5);システイン(−1.0);メチオニン(−1.3);バリン(−1.5);ロイシン(−1.8);イソロイシン(−1.8);チロシン(−2.3);フェニルアラニン(−2.5);トリプトファン(−3.4)。このようなアミノ酸置換において、親水性指数が±2以内であることが好ましく、±1以内であることがより好ましく、±0.5以内であることがさらに好ましい。
したがって、本発明において、ポリペプチドは変異導入や保存的置換をされていてもよい。かかる変異は、置換、挿入、欠失、又は付加のいずれの変異であってもよい。かかる変異導入の方法は、当該技術分野において周知であり、特定の方法に縛られない。保存的置換とは、元のアミノ酸と置換されるアミノ酸との親水性指数及び/又は疎水性指数が上記のように類似している置換をいう。保存的置換の例は、当業者に周知であり、例えば、次の各グループ内での置換:アルギニンとリジン;グルタミン酸とアスパラギン酸;セリンとスレオニン;グルタミンとアスパラギン;バリン、ロイシン、及びイソロイシン、などが挙げられるが、これらに限定されない。かかる変異導入や保存的置換もまた、本発明において、「由来の」なる用語の範囲に含まれる。
本発明において、用語「高次構造」とは、2次構造、3次構造または4次構造を意味する。例えば、タンパク質が分子内のイオン結合、水素結合、ジスルフィド結合等によってアルファヘリックスやベータシートの2次構造を構成したり、分子内で折りたたまれて3次構造のプロトマーを構成したりする。さらに、プロトマーが集合して4次構造のカプソマーを構成し、さらにカプソマーが集合して4次構造のVLPを構成する。かかる高次構造は、一般的に、天然のカプシドに構造上類似しているほど、高い免疫原性を示す。VLPはウイルスカプシドの模倣体であって、ウイルスカプシドと同じか類似した免疫学的性質、例えば宿主細胞への侵入や抗体との相互作用を示すと期待できることから、本発明において、好ましい高次構造は4次構造である。タンパク質の高次構造はウイルスによってその形成過程が異なり、分子内および分子間の相互作用、例えば折りたたみやアセンブルによって自然発生的に形成される場合や、酵素作用などの影響を受けて形成される場合がある。なお、ウイルスの高次構造の形成過程は、当該ウイルスがコードするアミノ酸配列等から推測することができる。たとえば、ポリオウイルスやエンテロウイルスに代表されるピコルナウイルスは、ウイルスの高次構造の形成過程において酵素作用を必要とするのに対し、パルボウイルスは、酵素作用を必要とせず自然発生的にウイルスの高次構造を形成する。用語「自然発生」とは、全く外的要因を与えないという意味に理解されるべきではなく、通常の培養条件、例えば各種培地、添加物または目的の構造タンパク質以外に生成される宿主細胞由来の酵素等の存在や、タンパク質の単離・精製・保存等に通常使用される条件は許容され、高次構造を変化させるための強制的な手段、例えば強力な加熱や極端なpHの変化を用いないという程度に理解すべきである。
本発明において、用語「ウイルス様粒子」、「Virus Like Particle」および「VLP」は、ウイルス粒子の外部構造であるカプシドに類似する構造を有するタンパク質を意味する。カプシドの構造はウイルスごとに様々であり、例えば正二十面体、らせん型などがあり、様々な文献から知り得る他、電子顕微鏡などで観察することもできる。ある対象がVLPを形成しているか否かは、透過型電子顕微鏡(TEM)などでカプシドと対象を直接観察し、典型的な外見の類比を比較するほか、密度勾配遠心分離での特徴的な密度のバンドの存在を確認することや、動的光散乱法(DLS)でカプシドの粒子サイズとの近似、典型的には例えばプラスマイナス20nm、好ましくはプラスマイナス15nm、より好ましくはプラスマイナス10nm、あるいは例えば典型的にはプラスマイナス100%、好ましくはプラスマイナス75%、より好ましくはプラスマイナス50%、さらに好ましくはプラスマイナス30%の粒子サイズピークが得られるかなど、当業者に既知の様々な手段で確認することができる。カプシドやVLPなどの対象の粒子サイズをDLSで確認する際の測定方法や測定条件は、当業者に公知であり、測定によるばらつきを軽減させるために様々な方法を試み最適化しうる。カプシドやVLPの粒子サイズはばらつきが大きいため、ある対象について複数の手段でVLPか否かを確認して、少なくともいずれか1つの確認結果が上述の類似または近似であれば、その対象をVLPであると判断することができる。
本発明において、ウイルスはどのようなウイルスであってもよいが、本発明のウイルス構造タンパク質をワクチンとして用いることに鑑みて、典型的には、哺乳類に感染するウイルスである。哺乳類に感染するウイルスには、たとえば、パルボウイルス科、アデノウイルス科、パピローマウイルス科、ヘルペスウイルス科、ポックスウイルス科、ヘパドナウイルス科、ラブドウイルス科、パラミクソウイルス科、オルソミクソウイルス科、フィロウイルス科、ブニヤウイルス科、アレナウイルス科、フラビウイルス科、コロナウイルス科、トガウイルス科、レトロウイルス科、カリシウイルス科、ピコルナウイルス科およびレオウイルス科に属するウイルスが挙げられる。好ましくは、本発明のウイルスは、カプシドが最外殻であるウイルス、すなわちノンエンベロープウイルスである。
ピコルナウイルスの中でもとりわけエンテロウイルスは、様々な疾患を引き起こすことがよく知られており、かかる疾患の代表的なものとしては手足口病、ヘルパンギーナ、無菌性髄膜炎などが挙げられる。人に感染するエンテロウイルスとしてエンテロウイルスA〜Dの群が挙げられる。エンテロウイルスA群にはコクサッキーウイルスA2〜8、10、12、14、16及びエンテロウイルス71(以下、EV71)が含まれる。エンテロウイルスB群にはコクサッキーウイルスA9、コクサッキーウイルスB1〜6、エコーウイルス1〜33及びエンテロウイルス69が含まれる。エンテロウイルスC群にはポリオウイルス、コクサッキーウイルスA1、11、13、15、17〜22及び24が含まれる。エンテロウイルスD群にはエンテロウイルス68及び70が含まれる。エンテロウイルスの中でもEV71及びコクサッキーウイルスA群、とりわけコクサッキーウイルスA6、10及び16並びにEV71は、手足口病の主要な原因ウイルスとして知られている。また、エンテロウイルスの中でもコクサッキーウイルスA群、EV71、コクサッキーウイルスB群及びエコーウイルスは、ヘルパンギーナの主要な原因ウイルスとして知られている。無菌性髄膜炎は、エコーウイルス、コクサッキーウイルスA群、B群及びEV71などのエンテロウイルスのほか、寄生虫など幅広い病原体によって引き起こされる。
例えばパルボウイルスB19は、伝染性紅斑の原因ウイルスである。パルボウイルスB19感染の症状としては、発熱、倦怠感、頭痛、筋痛、悪心などが挙げられる。妊娠初期に妊婦が感染すると母子感染により流産や胎児水腫を引き起こすことが公衆衛生上の問題となっている。例えばノロウイルス感染の症状は、悪心、嘔吐、下痢および胃痙攣が挙げられる。更に、低度の発熱、頭痛、悪寒、筋肉痛及び疲労感を有することもある。
本発明において、CHO細胞株は、CHO細胞株の系統に属するいずれのCHO細胞であってもよく、例えば、CHOpro−(Puck,1957)、CHO−S(Thompson,1971)、FreedomCHO−S(Thermo Fisher Scientific、以下Thermo社)、CHO−GAT(McBurney,1974)、CHO−SC1(Thompson,1977)、CHO−WTT(Siminovitch,1975)、CHO−pro−3 Mtx RIII(Flintoff,1976)、UA21 DG21,22(Chasin,1980)、UA41 DG41,42,43,44(DHFR−)(Chasin,1980)、CHO−DG44(invitrogen)、CHO−K1(Kao,1967)、DUX−B11(DHFR−)(Chasin,1980)、CHOK1SV(Lonza)などが含まれるが、これらに限定されない。好ましいCHO細胞株は、CHO−S、CHO−DG44、CHO−K1、またはCHOK1SVである。
本発明において、プロモーターおよび発現ベクターは、CHO細胞株に適合するあらゆるプロモーターおよび発現ベクターであってよい。プロモーターは、特に限定されず、典型的には市販のものを適宜使用可能であり、例えばCMVプロモーター、EF1αプロモーター、SV40プロモーター、CAG プロモーター等が挙げられる。発現ベクターに構造タンパク質をコードする遺伝子を組み込む方法および作製したベクターをCHO細胞にトランスフェクションする方法は、当業者に既知のあらゆる方法であってよく、例えば、トランスフェクションには非脂質性ポリカチオンやカチオン性脂質による化学的手法またはエレクトロポレーションのような物理的手法があり得るが、これらに限定されない。典型的には、市販の発現ベクターおよびCHO細胞系のキットを、製品に添付の説明書に従って、使用することができる。
好ましい態様において、本発明は、前記高次構造を有するウイルス構造タンパク質が4次構造を有するウイルス構造タンパク質であることを特徴とする、CHO細胞株を提供する。より好ましい態様において、本発明は、前記高次構造を有するウイルス構造タンパク質がウイルス様粒子であることを特徴とする、CHO細胞株を提供する。
別の好ましい態様において、本発明は、前記ウイルスが哺乳類に感染するウイルスであることを特徴とする、CHO細胞株を提供する。好ましくは、本発明は、前記哺乳類に感染するウイルスがノンエンベロープウイルスであることを特徴とする、CHO細胞株を提供する。より好ましくは、本発明は、前記ノンエンベロープウイルスがピコルナウイルスまたはパルボウイルスであることを特徴とする、CHO細胞株を提供する。ピコルナウイルスとして好ましくは、エンテロウイルス、より好ましくはエンテロウイルスA〜D群であることを特徴とする、CHO細胞株を提供する。例えば、本発明は、前記エンテロウイルスA〜D群がエンテロウイルスA群であることを特徴とする、CHO細胞株を提供する。最も好ましくは、本発明は、前記エンテロウイルスA群がエンテロウイルス71、コクサッキーウイルスA6、コクサッキーウイルスA10またはコクサッキーウイルスA16であることを特徴とする、CHO細胞株を提供する。
前述のとおり、本発明のウイルス構造タンパク質は、対象とするウイルスによって、折りたたみまたはアセンブルによって自然発生的に秩序だった高次構造をとる場合があるが、本発明者らは、一部のウイルスにおいては、単に構造タンパク質をコードする遺伝子を導入した細胞を培養しただけでは、高次構造が秩序だっていない場合や、単なるタンパク質の集合体に近いものが作製されるというさらなる課題を見出した。かかるさらなる課題を解決すべく、本発明者らは、ウイルスの遺伝子および構造タンパク質の構造を鋭意検討した結果、この一部のウイルスは、構造タンパク質が高次構造をとるために、複雑なプロセシング過程、例えばプロテアーゼのような非構造タンパク質による酵素作用を必要とすると考えた。本発明者らはかかる知見から、本発明のCHO細胞株に、ウイルスカプシドを構成する構造タンパク質のみならず、非構造タンパク質をも発現させることで、天然のカプシドに構造上類似した高次構造を有する構造タンパク質を作出できることを見出した。
したがって、本発明は、第二の態様において、非構造タンパク質をコードする遺伝子をさらに含むことを特徴とする、CHO細胞株を提供する。好ましくは、非構造タンパク質は、プロテアーゼである。かかる態様において好ましいウイルス構造タンパク質は、複雑なプロセシング過程が望まれるウイルス種、例えばプロテアーゼ遺伝子をゲノムに含むウイルス種、具体的にはエンテロウイルスなどのピコルナウイルス科、レオウイルス科、カリシウイルス科などに由来する。ここで、用語「複雑なプロセシング過程が望まれるウイルス種」は、当該ウイルス種の構造タンパク質がプロセシング過程を経ずに高次構造をとることが不可能である場合のみならず、プロセシング過程を経なければ不完全な高次構造、例えばVLPとなる場合、例えば天然のウイルスカプシドと比較して高次構造が規則だっていない場合、例えばカプソマーの繰り返し単位が少ない、高次構造の対称性が崩れている、電子顕微鏡で観察したとき外見上のヘコみが見られる、VLPのサイズのばらつきが大きい場合などが含まれる。あるウイルスのゲノムがプロテアーゼ遺伝子を含むか否かは、当該ウイルスのゲノムについてデータバンクから情報を得るか、概説書等から容易に知ることができる。
第二の態様において、非構造タンパク質をコードする遺伝子は、構造タンパク質をコードする遺伝子と同一の発現ベクター中に含まれていても、別の発現ベクターに組み込んで同一のCHO細胞株に導入してもよい。また、非構造タンパク質をコードする遺伝子は、適切なプロモーターと操作可能に連結している。プロモーターは、特に限定されず、典型的には市販のものを適宜使用でき、例えばCMVプロモーター、EF1αプロモーター、SV40プロモーター、CAGプロモーター等が挙げられる。非構造タンパク質をコードする遺伝子は、構造タンパク質をコードする遺伝子と、同一のプロモーターの制御下にあってもよいし、同種または別種の異なるプロモーターの制御下にあってもよい。すなわち、非構造タンパク質をコードする遺伝子と連結しているプロモーターは、構造タンパク質をコードする遺伝子と連結しているプロモーターと別に存在してもよいし、1つのプロモーターが構造タンパク質及び非構造タンパク質と操作可能に連結していてもよい。また、非構造タンパク質をコードする遺伝子と連結しているプロモーターと構造タンパク質をコードする遺伝子と連結しているプロモーターとが別に存在している場合には、それぞれのプロモーターは、同種のプロモーターであっても、別種のプロモーターであってもよい。好ましい態様において、本発明の非構造タンパク質をコードする遺伝子と連結しているプロモーターは、構造タンパク質をコードする遺伝子と連結しているプロモーターと別に存在している。非構造タンパク質をコードする遺伝子と連結しているプロモーターが、構造タンパク質をコードする遺伝子と連結しているプロモーターと別に存在することにより、それぞれのタンパク質の発現量の向上が期待できる。
本発明において、プロテアーゼは、アミノ酸間のペプチド結合を分解するあらゆる酵素を意味し、その対象がタンパク質、高分子ペプチド又は低分子ペプチドのいずれであるかを問わない。本発明において好ましいプロテアーゼとしては一般的なプロテアーゼ、例えばウイルス由来のプロテアーゼ、例えば市販のウイルス由来のプロテアーゼ、例えばウイルス由来のペプチターゼ、とりわけ構造タンパク質の分子内で作用するエンドペプチターゼである。プロテアーゼで構造タンパク質を開裂させることによって、ウイルス構造タンパク質は、4次構造のような高次構造、好ましくは天然ウイルスのカプシドと類似した立体構造をとることができる。かかるプロテアーゼの例としては、3Cプロテアーゼ、3CDプロテアーゼおよびそれらの1種以上の組み合わせなど、例えば3Cプロテアーゼと3CDプロテアーゼの組み合わせが挙げられる。
プロテアーゼは、特異的にペプチド結合を切断する。したがって、1種のプロテアーゼを選択すれば、そのプロテアーゼが認識可能なアミノ酸配列は一意に決定できる。あるプロテアーゼがどのようなアミノ酸配列を認識するかは、各種文献、例えばプロテアーゼを販売する事業者の説明書などに記載されている。3Cプロテアーゼ又は3CDプロテアーゼの場合、認識するアミノ酸配列はX−X−Gln−Gly−Xであり、Gln−Gly間で切断が生じる。例えばHRV3Cプロテアーゼの場合、フナコシ社の提供する説明書から、認識するアミノ酸配列がLeu−Glu−Val−Leu−Phe−Gln−Gly−Proであり、Gln−Gly間で切断が生じることが理解可能である。なお、Xは任意のアミノ酸を示す。プロテアーゼによる構造タンパク質の「開裂」とは、当該プロテアーゼが構造タンパク質のペプチド結合を特異的に切断することにより、2つ以上の構造タンパク質に分裂することをいう。構造タンパク質がプロテアーゼによって切断される回数は、1回以上であればよく、構造タンパク質とプロテアーゼの組み合わせに拠る。たとえばEV71において、構造タンパク質P1は3C及び3CDプロテアーゼによって開裂し、VP1〜4の構造タンパク質やVP0、1及び3の構造タンパク質に分裂する。
したがって、本発明において、構造タンパク質を所望の位置で切断するために、構造タンパク質にプロテアーゼが認識するアミノ酸配列を変異導入してもよい。かかる変異は、置換、挿入、欠失、又は付加のいずれの変異であってもよい。かかる変異導入の方法は、当該技術分野において周知であり、特定の方法に縛られない。
本発明のCHO細胞株は、CHO細胞の培養に通常使用される条件下で培養することができる。本発明のCHO細胞株を培養することで、高次構造を有するウイルス構造タンパク質が一過的または安定的に作出できる。ここでいう「一過的」とは、トランスフェクトした遺伝子が宿主のゲノムに組み込まれることなく細胞内で発現されることを意味し、主として短期間に発現産物を得る目的で用いられる。一方で、「安定的」とは、トランスフェクトした遺伝子が宿主のゲノムに組み込まれて複数世代にわたって発現されることを意味し、主として長期間にわたって発現産物を得る目的で用いられる。安定的に発現する細胞系の獲得のためには目的の遺伝子が宿主のゲノムに導入されたか否かを確認するセレクションが一般的には必要である。長期間にわたって大量にタンパク質を得るならば安定的に発現させることが望ましい。一過的あるいは安定的トランスフェクションに用いる方法は当業者に既知であり、例えばThermo社などの業者から提供されるキットを用いてトランスフェクトすることができる。したがって、本発明のCHO細胞株は、安定的に高次構造を有するウイルス構造タンパク質を発現する細胞株を選択するために、セレクションを行ってもよい。かかるセレクションは、当業者に既知のいずれかの手法を用いてよく、例えばBIOTECHNOLOGY PROGRESS Volume16,Issue5,2000 Pages710−715に記載の薬剤セレクションを行うことができる。
一般的に、遺伝子の発現やタンパク質の作出のしやすさは、トランスフェクトした遺伝子の長さや発現後に形成されるタンパク質の構造の複雑さに左右される。遺伝子が長くなるほど、また構造が複雑化するほど、発現や作出が困難になる。特に構造タンパク質は、非構造タンパク質と比較して、その遺伝子の長さが極めて長く、また構造も複雑であるから、細胞系を用いた発現や作出が困難な部類に属する。さらには、タンパク質を安定的に発現させるためには、目的タンパク質の遺伝子が宿主細胞のゲノムに組み込まれる必要があるため、発現系の構築がより困難になる。
本発明者らは、鋭意検討した結果、非構造タンパク質をコードする遺伝子と構造タンパク質をコードする遺伝子をCHO細胞に導入することで、複雑な高次構造を有するウイルス構造タンパク質、すなわちVLPを作出可能であることを見出した。かくして得られた高次構造を有するウイルス構造タンパク質は、培養上清から培養物を破砕することなく回収することができる。すなわち標準的な単離・精製技術を用いて単離および精製することができるため、製造工程の簡略化や収率の向上が見込める。かかる単離・精製技術には、例えば、密度勾配遠心分離、ショ糖勾配遠心分離、PEG沈殿またはペレット化、イオン交換クロマトグラフィーまたはゲル濾過クロマトグラフィーなどが含まれるが、これらに限定されない。
一例として、本発明のCHO細胞株を、次の工程に従って製造できる:
・ウイルスから構造タンパク質、および/または非構造タンパク質をコードするRNAを抽出するか、又は人工合成により当該RNAをデザインする工程
・RT−PCR法にてRNAよりDNA断片を合成及び増幅し、当該DNA断片を発現ベクターに組み込む工程
・得られた発現ベクターを細胞にトランスフェクションする工程
・任意で、安定発現のために細胞を選択する工程。
上記製造方法のいずれの工程においても、当業者であれば、試薬、条件、装置等について、容易に選択可能である。また、各工程において、意図した結果が得られているかを確認するための工程を適宜挿入することができる。かかる確認工程としては、例えば、抽出したRNAの配列を適当なシークエンス法、例えばサイクルシークエンス法やパイロシークエンス法等で確認することや、得られた細胞の培養物中に目的のタンパク質が含まれていることをウェスタンブロット法(WB)等によって確認することが含まれる。
このようにして製造された本発明のCHO細胞株を培養して得られた高次構造を有するウイルス構造タンパク質は、リン酸化やグリコシル化等の修飾を受けうる。かかる修飾を受けたポリペプチドも、本発明のポリペプチドに含まれる。修飾には、例えば、CHO細胞の翻訳後修飾が含まれる。本発明のCHO細胞株から得られたウイルス構造タンパク質は、天然のウイルスカプシドと同一または類似の構造を有するため、ワクチンの有効成分とすることができる。
本発明において、用語「ワクチン」は、特定の病原体、例えばウイルス、細菌等に対する免疫力を高めることができる抗原を含む医薬製剤を意味する。予防ワクチンと治療ワクチンのいずれであるかを問わないが、本発明においては、とりわけ予防ワクチンが意図される。予防ワクチンは、いまだ罹患していない対象にワクチンを投与して、特定の病原体に対する免疫応答を体内で誘発させて、病原体に対する免疫力を高めることによって、その病原体への感染や重症化を予防するための医薬製剤である。ワクチンの投与経路は、これらに限定されないが、例えば、皮下、皮内、筋肉内、経鼻、経皮、経口などがありうる。
本発明において、疾患は、ウイルス関連疾患、例えばエンテロウイルス関連疾患またはパルボウイルス関連疾患、例えばエンテロウイルスA〜D群関連疾患またはパルボウイルスB19もしくはノロウイルス関連疾患、典型的にはA群エンテロウイルス関連疾患を指し、具体的には、例えば手足口病、ヘルパンギーナ、無菌性髄膜炎または伝染性紅斑などである。
ワクチンには、有効成分である抗原の他に、ワクチンで通常使用される添加物を含んでいてもよい。かかる添加物には、担体、防腐剤、アジュバント等が含まれる。例えば、担体には、水又は生理食塩水が含まれる。例えば、防腐剤には、フェノール、塩化ベンゼトニウム、2−フェノキシエタノール、チメロサール等が含まれる。例えば、アジュバントには、アルミニウム塩、リン酸アルミニウム、塩化アルミニウム、水酸化アルミニウム、硫酸アルミニウム、リン酸カルシウム、Toll様レセプター(TLR)リガンド分子、dsRNA、IL−12等が含まれる。これらの添加物は、当業者であれば、投与経路等の様々な要因を考慮して、適宜選択可能である。
ワクチンの対象は、ウイルスに感染しうる動物、例えば、哺乳類であるヒト、サル、ウシ、ウマ、ブタ、ヒツジ等が含まれる。典型的な対象は、ヒトであるが、これに限定されない。
したがって、本発明は、以下の態様を提供する:
(態様1)
高次構造を有するウイルス構造タンパク質を作出するためのCHO細胞株であって、該構造タンパク質をコードする遺伝子ならびに該遺伝子と操作可能に連結したプロモーターを含む発現ベクターを導入した、CHO細胞株;
(態様2)
前記高次構造を有するウイルス構造タンパク質がウイルス様粒子であることを特徴とする、態様1に記載のCHO細胞株;
(態様3)
前記構造タンパク質をコードする遺伝子が、哺乳類に感染するウイルスに由来する遺伝子であることを特徴とする、態様1または2に記載のCHO細胞株;
(態様4)
前記哺乳類に感染するウイルスがノンエンベロープウイルスであることを特徴とする、態様3に記載のCHO細胞株;
(態様5)
前記ノンエンベロープウイルスがパルボウイルスまたはピコルナウイルスであることを特徴とする、態様4に記載のCHO細胞株;
(態様6)
前記ピコルナウイルスがエンテロウイルスA〜D群であることを特徴とする、態様5に記載のCHO細胞株;
(態様7)
前記エンテロウイルスA〜D群がエンテロウイルスA群であることを特徴とする、態様6に記載のCHO細胞株;
(態様8)
前記エンテロウイルスA群が、エンテロウイルス71、コクサッキーウイルスA6、コクサッキーウイルスA10またはコクサッキーウイルスA16であることを特徴とする、態様7に記載のCHO細胞株;
(態様9)
さらに非構造タンパク質をコードする遺伝子を含むことを特徴とする、態様1に記載のCHO細胞株;
(態様10)
ウイルスが複雑なプロセシング過程が望まれるウイルス種であることを特徴とする、態様9に記載のCHO細胞株;
(態様11)
前記非構造タンパク質をコードする遺伝子が、ウイルス由来のプロテアーゼであることを特徴とする、態様9または10に記載のCHO細胞株;
(態様12)
前記プロテアーゼが、構造タンパク質を開裂して高次構造をもたらすものであることを特徴とする、態様11に記載のCHO細胞株;
(態様13)
前記プロテアーゼがエンドプロテアーゼであることを特徴とする、態様12に記載のCHO細胞株;
(態様14)
前記プロテアーゼが3CDプロテアーゼ及び/又は3Cプロテアーゼであることを特徴とする、態様13に記載のCHO細胞株;
(態様15)
前記非構造タンパク質をコードする遺伝子が、前記構造タンパク質をコードする遺伝子を含む発現ベクターと同一の発現ベクター内にあって、かつ、前記非構造タンパク質をコードする遺伝子と操作可能に連結したプロモーターが、前記構造タンパク質をコードする遺伝子と操作可能に連結したプロモーターとは別に存在することを特徴とする、態様9〜14のいずれかに記載のCHO細胞株;
(態様16)
前記高次構造を有する構造タンパク質を一過的に発現することを特徴とする、態様1〜15のいずれかに記載のCHO細胞株;
(態様17)
前記高次構造を有する構造タンパク質を安定的に発現することを特徴とする、態様1〜15のいずれかに記載のCHO細胞株;
(態様18)
CHO細胞がCHO−K1細胞、CHO−K1SV細胞、CHO−DG44細胞またはCHO−S細胞であることを特徴とする、態様1〜17のいずれかに記載のCHO細胞株;
(態様19)
高次構造を有するウイルス構造タンパク質を作出する方法であって、態様1〜18のいずれかに記載のCHO細胞株を培養し、次いで培養物から構造タンパク質を単離および精製することを含む、構造タンパク質の作出方法;
(態様20)
前記高次構造を有するウイルス構造タンパク質が、自然発生的に形成されたウイルス様粒子であることを特徴とする、態様19に記載の構造タンパク質の作出方法;
(態様21)
前記高次構造を有するウイルス構造タンパク質が、プロテアーゼによる開裂によって形成されたウイルス様粒子であることを特徴とする、態様19に記載の構造タンパク質の作出方法。
本発明のCHO細胞株は、ウイルスに対する高い免疫原性を有するポリペプチド、すなわち高次構造を有するウイルス構造タンパク質を作出できる。CHO細胞を用いることによって、他の細胞を用いる場合と比較して、糖鎖修飾などによる抗原性付加、大量培養法による大量生産、ウイルス安全性に関する知見(例えば、HSV−1/HBVのレセプター欠損、造腫瘍性なし)、高発現株開発技術の利用(例えば、MTXによる遺伝子増幅現象)などの利点がある。これらのCHO細胞の利点を、ウイルスカプシドと同程度の巨大な高次構造タンパク質の発現においても享受しうることは、ワクチン分野において重要である。
構造タンパク質をコードする遺伝子(P1)およびプロテアーゼをコードする遺伝子(3CD)を組み込んだ発現ベクターを示す。 CHO−S細胞での一過性VLP発現をWBで確認した結果を示す。 CHO−S細胞で発現させた、精製済みEV71のVLP粒子の電子顕微鏡写真を示す。 CHO−S細胞で発現させた、精製済みEV71のVLP粒子の動的光散乱法分析の結果を示す。 CHO−K1細胞でのEGFPを用いた遺伝子導入の結果を示す。 VLPを安定発現するCHO−S細胞株の発現量をWBで確認した結果を示す。 CHO−S細胞株で安定発現させたVLP粒子のTEM写真を示す。 CHO−S細胞株で安定発現させたVLP粒子の動的光散乱法分析の結果(図8A)および不活化EV71の動的光散乱法分析の結果(図8B)を示す。 CHO−S細胞で安定発現させたVLPをSDS−PAGEで確認した結果を示す。
以下に本発明の詳細な実施例を説明するが、これらの記載は例示であり本発明の内容を限定するものと理解してはならない。
(実施例1)EV71VLPを発現するCHO−S細胞の作製及び評価
1.EV71VLPを発現するCHO−S細胞の作製
Roche社のHigh Pure Viral RNA Kitを添付の説明書に従って、EV71からRNAを抽出した。得られたRNAのP1領域及び3CDプロテアーゼ領域を、TaKaRa社のPrimeScript II High Fidelity RT−PCR Kitを添付の説明書に従って、RT−PCR法によって増幅した。得られた増幅DNA断片を発現用ベクターpCHO 1.0(Thermo社)にライゲーションした。 Invitrogen社のOne Shot(登録商標)TOP10 Chemically Competent E. coli細胞に、添付の説明書に従って、作製したプラスミドをトランスフォーメーションした後、大腸菌を培地に播種して増殖させた。得られた大腸菌から、Invitrogen社のPlasmid DNA Midiprep kitを添付の説明書に従って、VLP発現用プラスミドを抽出した。得られたプラスミド中のEV71のVLP発現カセットを図1に示す。VLP発現カセットには、EV71のP1及び3CDプロテアーゼ、CMV/EF1 Hybrid及びEF2/CMV Hybridプロモーターが含まれる。3CDプロテアーゼにはCMV/EF1 Hybridプロモーターが、P1にはEF2/CMV Hybridプロモーターがそれぞれ連結している。Thermo社のExpiCHO Expression Systemを使用して、VLPを作出した。具体的には、ExpiCHO−S細胞をExpiCHO Expression Mediumで所定の細胞密度に達するまで培養した。培養したExpiCHO−S細胞にOptiPRO SFM Complexation Mediumで希釈したExpiFectamine CHO Reagent及びVLP発現用プラスミドを加えて、トランスフェクションした。
2.EV71VLPの単離・精製
トランスフェクションした細胞をExpiCHO Expression Mediumで培養し、ExpiCHO Feed及びExpiFectamine CHO Enhancerを添加し、さらに培養を続けた。トランスフェクションから8日後に、培養を停止し、回収した。得られた培養液を遠心分離して細胞と上清を分離し、上清を回収して、フィルター濾過した(0.22μm)。得られたろ液を、GE Healthcare社のAKTA fluxsの分子量カットオフ値500kDaを用いて、限外濾過濃縮した。Hitachi社の超遠心分離機CP80wxを用いてペレットを作製した。ペレットをPBSに一晩懸濁して再浮遊させた。懸濁液を超遠心分離機CP80wxによるショ糖密度勾配遠心(10〜40%)にかけて分画を行い、各画分をWBに供して、VLP画分を確認した。結果を図2に示す。VP0のバンドにより、P1がプロテアーゼによって開裂されていることがわかった。さらに、VLPをTEMで観察した結果を図3、DLS分析結果を図4に示す。DLS測定には粒径・分子量測定システム ELSZ−2000S(大塚電子株式会社)を使用した。これらにより、培養液中の上清にEV71のVLPが存在し、当該EV71のVLPは天然のウイルスに構造上類似していることが分かった。VLPは培養物を破砕することなく単離および精製することができた。
(比較例1)EV71VLPを発現する293T細胞の作製及び評価
実施例1と同様に作製したDNA断片を、発現用ベクターpcDNA3.1(Thermo社)にライゲーションし、実施例1と同様な方法でプラスミドを作製した。VLP発現カセットには、EV71のP1、3CDプロテアーゼ、CMVプロモーターが含まれる。所定の密度まで培養させた293T細胞に、Opti−MEM培地(Thermo社)で希釈したLipofectamine Reagent(Thermo社)及びVLP発現用プラスミドを加えてトランスフェクションした。所定時間の培養後、遠心分離して細胞と上清を回収した。回収した培養物をそれぞれSDS−PAGE及びWBに供した。目的タンパクに特異的なバンドは図2と比べて発現が著しく少なかった。
(実施例2)CHO−K1細胞でのトランスフェクション確認
CHO−K1細胞を用い、培養にHyCell TransFx−C w/o L−Gln培地(GE Healthcare社)を用いる点以外は実施例1の1.と同様にして、高感度緑色蛍光タンパク質(EGFP)発現用プラスミドをトランスフェクションしたCHO−K1細胞を作製した。遺伝子導入の結果を図5に示す。これより、CHO−K1細胞でのEGFPプラスミドのトランスフェクションを確認した。EV71VLP発現用プラスミドのトランスフェクションがCHO−K1細胞で可能であることが示唆された。
(実施例3)EV71VLPを安定発現するCHO−S細胞株の確立
CHO−S細胞をCD Forti CHO Medium(Thermo社)+終濃度8mM グルタミン(Thermo社)を培養培地として培養し、15mL、10viable cells/mLに調整した後、37℃、8%CO、130〜150rpmでトランスフェクションに使用するまで培養した。発現ベクター18μgをOptiPROSFM 750μLに加えてDNA溶液とした。OptiPROSFM726μLにFreeStyleMax(Thermo社)24μLを加えてTF溶液とした。TF溶液をDNA溶液にゆっくりと添加し、転倒混和した後、室温で10分間反応させた。得られたDNA−TF溶液を培養したCHO−S細胞に加え、37℃、8%CO、130〜150rpmで24〜48時間培養した。
遠心分離して細胞を回収し、培養培地+終濃度7.5μg/mL Puromycin(Thermo社)+終濃度50〜200nMメトトレキサート(sigma社)にて5×10viable cells/mLに調製し、静置フラスコに播種した。37℃、8%COで7日間培養した後、細胞数をカウントした。生存率20%以上の場合、遠心分離で細胞を回収し、培養培地にて3×10viable cells/mLに調製し、125mL三角フラスコに播種して、37℃、8%CO、130〜150rpmで3日間培養した。生存率が20%未満の場合には、生細胞を回収して培養した後、セレクションを繰り返した。生存細胞を、生存率が80%以上になるまで3日毎に培地を交換しながら培養し、初期密度3×10viable cells/mLになるまで培養を継続した。メトトレキサート濃度を201〜500nM、501〜800nM、801〜1000nMと段階的に上昇させながら、それぞれ生存率80%以上になるようにセレクションを行った。メトトレキサート終濃度1000nMに到達した後、2継代培養してメトトレキサート含有培地に馴化した。
馴化が完了した細胞の培養を継続し、1週間後、培養上清を回収してWBに供し、VLP発現量を確認した。確認した結果を図6に示す。Lane2の細胞株にて、VLPの発現を確認することができた。VLP発現が確認できた細胞株プールを対象にして、限界希釈法を用いて96ウェルプレートにシングルセルクローニングを実施し、CD Forti CHO Medium (Thermo 社)+終濃度6mM グルタミン(Thermo社)を培養培地として37℃、8%COで培養した。顕微鏡でシングルセルを確認し、コンフルエントに達するごとに順次スケールアップした。コンフルエントに達した時点で、WBでVLP発現量を確認し、発現を確認できたクローン株をVLP安定発現株として取得した。
得られたVLP安定発現株を10日間培養し、培養液を回収、遠心分離(2,630×g、4℃、30分)にて細胞と上清を分離、上清を回収してフィルター濾過した(0.45μmおよび0.22μm)。得られたろ液を、GE Healthcare社のAKTA flux sの分子量カットオフ値500kDaにて50倍濃縮した後、超遠心分離(100,000×g、4℃、4時間)し、得られたペレットをPBSに一晩懸濁して再浮遊させた。懸濁液を遠心分離(13,000×g、4℃、10分)し、上清をフィルター濾過した(0.22μm)。続いて上清をショ糖密度勾配遠心(100,000×g、4℃、4時間)にかけて分画(10〜40%)を行った。各画分をTEMで観察した結果を図7、DLS分析結果を図8Aに示す。また参考として不活化EV71のDLS分析結果を図8Bに示す。DLS測定には粒径・分子量測定システム ELSZ−2000S(大塚電子株式会社)を使用した。ピーク2は夾雑物と考えられる。各画分をSDS−PAGEに供した結果を図9に示す。これらにより、培養液中の上清にEV71のVLPが存在し、当該EV71のVLPは天然のウイルスに構造上類似していることが分かった。また作出されたVLPをマウスに接種したところ、不活化ウイルスをマウスに接種したときと同程度の中和抗体価の上昇が認められた。


Claims (21)

  1. 高次構造を有するウイルス構造タンパク質を作出するためのCHO細胞株であって、該構造タンパク質をコードする遺伝子ならびに該遺伝子と操作可能に連結したプロモーターを含む発現ベクターを導入した、CHO細胞株。
  2. 前記高次構造を有するウイルス構造タンパク質がウイルス様粒子であることを特徴とする、請求項1に記載のCHO細胞株。
  3. 前記構造タンパク質をコードする遺伝子が、哺乳類に感染するウイルスに由来する遺伝子であることを特徴とする、請求項1または2に記載のCHO細胞株。
  4. 前記哺乳類に感染するウイルスがノンエンベロープウイルスであることを特徴とする、請求項3に記載のCHO細胞株。
  5. 前記ノンエンベロープウイルスがパルボウイルスまたはピコルナウイルスであることを特徴とする、請求項4に記載のCHO細胞株。
  6. 前記ピコルナウイルスがエンテロウイルスA〜D群であることを特徴とする、請求項5に記載のCHO細胞株。
  7. 前記エンテロウイルスA〜D群がエンテロウイルスA群であることを特徴とする、請求項6に記載のCHO細胞株。
  8. 前記エンテロウイルスA群が、エンテロウイルス71、コクサッキーウイルスA6、コクサッキーウイルスA10またはコクサッキーウイルスA16であることを特徴とする、請求項7に記載のCHO細胞株。
  9. さらに非構造タンパク質をコードする遺伝子を含むことを特徴とする、請求項1に記載のCHO細胞株。
  10. ウイルスが複雑なプロセシング過程が望まれるウイルス種であることを特徴とする、請求項9に記載のCHO細胞株。
  11. 前記非構造タンパク質をコードする遺伝子が、ウイルス由来のプロテアーゼであることを特徴とする、請求項9または10に記載のCHO細胞株。
  12. 前記プロテアーゼが、構造タンパク質を開裂して高次構造をもたらすものであることを特徴とする、請求項11に記載のCHO細胞株。
  13. 前記プロテアーゼがエンドプロテアーゼであることを特徴とする、請求項12に記載のCHO細胞株。
  14. 前記プロテアーゼが3CDプロテアーゼ及び/又は3Cプロテアーゼであることを特徴とする、請求項13に記載のCHO細胞株。
  15. 前記非構造タンパク質をコードする遺伝子が、前記構造タンパク質をコードする遺伝子を含む発現ベクターと同一の発現ベクター内にあって、かつ、前記非構造タンパク質をコードする遺伝子と操作可能に連結したプロモーターが、前記構造タンパク質をコードする遺伝子と操作可能に連結したプロモーターとは別に存在することを特徴とする、請求項9〜14のいずれかに記載のCHO細胞株。
  16. 前記高次構造を有する構造タンパク質を一過的に発現することを特徴とする、請求項1〜15のいずれかに記載のCHO細胞株。
  17. 前記高次構造を有する構造タンパク質を安定的に発現することを特徴とする、請求項1〜15のいずれかに記載のCHO細胞株。
  18. CHO細胞がCHO−K1細胞、CHO−K1SV細胞、CHO−DG44細胞またはCHO−S細胞であることを特徴とする、請求項1〜17のいずれかに記載のCHO細胞株。
  19. 高次構造を有するウイルス構造タンパク質を作出する方法であって、請求項1〜18のいずれかに記載のCHO細胞株を培養し、次いで培養物から構造タンパク質を単離および精製することを含む、構造タンパク質の作出方法。
  20. 前記高次構造を有するウイルス構造タンパク質が、自然発生的に形成されたウイルス様粒子であることを特徴とする、請求項19に記載の構造タンパク質の作出方法。
  21. 前記高次構造を有するウイルス構造タンパク質が、プロテアーゼによる開裂によって形成されたウイルス様粒子であることを特徴とする、請求項19に記載の構造タンパク質の作出方法。
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