JPWO2020066916A1 - 熱可塑性ノルボルネン系樹脂、成形体及びその製造方法 - Google Patents
熱可塑性ノルボルネン系樹脂、成形体及びその製造方法 Download PDFInfo
- Publication number
- JPWO2020066916A1 JPWO2020066916A1 JP2020549141A JP2020549141A JPWO2020066916A1 JP WO2020066916 A1 JPWO2020066916 A1 JP WO2020066916A1 JP 2020549141 A JP2020549141 A JP 2020549141A JP 2020549141 A JP2020549141 A JP 2020549141A JP WO2020066916 A1 JPWO2020066916 A1 JP WO2020066916A1
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- norbornene
- optical film
- hydride
- stretching
- resin
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Granted
Links
Classifications
-
- B—PERFORMING OPERATIONS; TRANSPORTING
- B29—WORKING OF PLASTICS; WORKING OF SUBSTANCES IN A PLASTIC STATE IN GENERAL
- B29C—SHAPING OR JOINING OF PLASTICS; SHAPING OF MATERIAL IN A PLASTIC STATE, NOT OTHERWISE PROVIDED FOR; AFTER-TREATMENT OF THE SHAPED PRODUCTS, e.g. REPAIRING
- B29C55/00—Shaping by stretching, e.g. drawing through a die; Apparatus therefor
- B29C55/02—Shaping by stretching, e.g. drawing through a die; Apparatus therefor of plates or sheets
-
- C—CHEMISTRY; METALLURGY
- C08—ORGANIC MACROMOLECULAR COMPOUNDS; THEIR PREPARATION OR CHEMICAL WORKING-UP; COMPOSITIONS BASED THEREON
- C08G—MACROMOLECULAR COMPOUNDS OBTAINED OTHERWISE THAN BY REACTIONS ONLY INVOLVING UNSATURATED CARBON-TO-CARBON BONDS
- C08G61/00—Macromolecular compounds obtained by reactions forming a carbon-to-carbon link in the main chain of the macromolecule
- C08G61/02—Macromolecular compounds containing only carbon atoms in the main chain of the macromolecule, e.g. polyxylylenes
- C08G61/04—Macromolecular compounds containing only carbon atoms in the main chain of the macromolecule, e.g. polyxylylenes only aliphatic carbon atoms
- C08G61/06—Macromolecular compounds containing only carbon atoms in the main chain of the macromolecule, e.g. polyxylylenes only aliphatic carbon atoms prepared by ring-opening of carbocyclic compounds
- C08G61/08—Macromolecular compounds containing only carbon atoms in the main chain of the macromolecule, e.g. polyxylylenes only aliphatic carbon atoms prepared by ring-opening of carbocyclic compounds of carbocyclic compounds containing one or more carbon-to-carbon double bonds in the ring
-
- C—CHEMISTRY; METALLURGY
- C08—ORGANIC MACROMOLECULAR COMPOUNDS; THEIR PREPARATION OR CHEMICAL WORKING-UP; COMPOSITIONS BASED THEREON
- C08J—WORKING-UP; GENERAL PROCESSES OF COMPOUNDING; AFTER-TREATMENT NOT COVERED BY SUBCLASSES C08B, C08C, C08F, C08G or C08H
- C08J5/00—Manufacture of articles or shaped materials containing macromolecular substances
- C08J5/18—Manufacture of films or sheets
-
- G—PHYSICS
- G02—OPTICS
- G02B—OPTICAL ELEMENTS, SYSTEMS OR APPARATUS
- G02B5/00—Optical elements other than lenses
- G02B5/30—Polarising elements
Abstract
前記熱可塑性ノルボルネン系樹脂のガラス転移温度Tgが、下記式(1)を満たし、
前記水素化物の重量平均分子量Mwが、下記式(2)を満たし、
前記熱可塑性ノルボルネン系樹脂に含まれる前記水素化物の量100%に対する、分子量10000以下の前記水素化物の割合Lが、下記式(3)を満たす、熱可塑性ノルボルネン系樹脂。
(1)105℃≦Tg≦120℃
(2)36000≦Mw
(3)L≦10.5%
Description
すなわち、本発明は、下記のものを含む。
前記熱可塑性ノルボルネン系樹脂のガラス転移温度Tgが、下記式(1)を満たし、
前記水素化物の重量平均分子量Mwが、下記式(2)を満たし、
前記熱可塑性ノルボルネン系樹脂に含まれる前記水素化物の量100%に対する、分子量10000以下の前記水素化物の割合Lが、下記式(3)を満たす、熱可塑性ノルボルネン系樹脂。
(1)105℃≦Tg≦120℃
(2)36000≦Mw
(3)L≦10.5%
〔2〕 前記熱可塑性ノルボルネン系樹脂に、Tg+15℃、1分間で1.5倍に自由端一軸延伸を施した場合に発現する複屈折ΔnRが、下記式(4)を満たす、〔1〕に記載の熱可塑性ノルボルネン系樹脂。
(4)0.0025≦ΔnR
〔3〕 〔1〕又は〔2〕に記載の熱可塑性ノルボルネン系樹脂で形成された、成形体。
〔4〕 光学フィルムである、〔3〕に記載の成形体。
〔5〕 前記光学フィルムの光弾性係数Cが、下記式(5)を満たす、〔4〕に記載の成形体。
(5)C≦10Brewster
〔6〕 前記光学フィルムの厚み方向のレターデーションRth、及び、前記光学フィルムの厚みdが、下記式(6)を満たす、〔4〕又は〔5〕に記載の成形体。
(6)Rth/d≧3.5×10−3
〔7〕 〔4〕〜〔6〕のいずれか一項に記載の成形体の製造方法であって、
〔1〕又は〔2〕に記載の熱可塑性ノルボルネン系樹脂で形成された延伸前フィルムを用意する工程と、
前記延伸前フィルムを、前記熱可塑性ノルボルネン系樹脂のガラス転移温度Tg+9℃以上で、延伸倍率1.8倍以上に延伸する工程と、を含む、成形体の製造方法。
本発明の一実施形態に係る熱可塑性ノルボルネン系樹脂は、ノルボルネン系重合体の水素化物を含む熱可塑性樹脂である。以下の説明において、熱可塑性ノルボルネン系樹脂に含まれるノルボルネン系重合体の水素化物を、適宜「ノルボルネン系水素化物」ということがある。熱可塑性ノルボルネン系樹脂は、下記の第一〜第三の要件を満たす。
(1)105℃≦Tg≦120℃
(2)36000≦Mw
(3)L≦10.5%
本実施形態に係る熱可塑性ノルボルネン系樹脂が含むノルボルネン系水素化物は、ノルボルネン系単量体を重合させて得られるノルボルネン系重合体に水素添加を行って得られる構造を含む重合体である。よって、ノルボルネン系水素化物は、通常、ノルボルネン系単量体を重合させて得られる繰り返し構造を水素化して得られる構造を含む。このようなノルボルネン系水素化物には、例えば、ノルボルネン系単量体の開環重合体、並びに、ノルボルネン系単量体と任意の単量体との開環共重合体、からなる群より選ばれる1以上の開環重合体の水素化物;ノルボルネン系単量体の付加重合体、並びに、ノルボルネン系単量体と任意の単量体との付加共重合体、からなる群より選ばれる1以上の付加重合体の水素化物;が包含される。また、熱可塑性ノルボルネン系樹脂が含むノルボルネン系水素化物は、1種類でもよく、2種類以上でもよい。
ノルボルネン系水素化物を成形して、シートを得る。このシートに、自由端一軸延伸を施す。自由端一軸延伸とは、一方向への延伸であって、その延伸方向以外にシートに拘束力を加えない延伸を表す。前記の自由端一軸延伸の延伸温度は、ノルボルネン系水素化物のガラス転移温度より15℃高い温度である。また、延伸時間は1分間であり、自由端一軸延伸の延伸倍率は、1.5倍である。延伸後、シート中央部の面内レターデーションを測定波長550nmで測定し、この面内レターデーションをシート中央部の厚みで割算することで、評価複屈折が得られる。
ノルボルネン系水素化物をシート状に成形して、シートを得る。このシートの両端をクリップで固定した後に、片方のクリップに所定の重さ(例えば55g)の重りを固定する。次いで、所定温度(例えば、ノルボルネン系水素化物のガラス転移温度より15℃高い温度)に設定したオーブン内に、重りを固定していない方のクリップを起点にして、所定時間(例えば1時間)シートを吊るして延伸処理を行う。延伸処理を行ったシートを、ゆっくりと冷やして室温まで戻す。このシートについて、シート中心部の面内レターデーションを測定波長650nmで測定し、この面内レターデーションをシート中心部の厚みで割算することで、δn値を算出する。そして、このδn値を、シートに加えた応力(上記の場合は、所定の重りを固定した際に加わった応力)で割算して、応力複屈折を求めることができる。
熱可塑性ノルボルネン系樹脂は、ノルボルネン系水素化物に組み合わせて、当該ノルボルネン系水素化物以外の任意の成分を含んでいてもよい。任意の成分としては、例えば、紫外線吸収剤、酸化防止剤、熱安定剤、光安定剤、帯電防止剤、分散剤、塩素捕捉剤、難燃剤、結晶化核剤、強化剤、ブロッキング防止剤、防曇剤、離型剤、顔料、有機又は無機の充填剤、中和剤、滑剤、分解剤、金属不活性化剤、汚染防止剤、抗菌剤などが挙げられる。任意の成分は、1種類を単独で用いてもよく、2種類以上を任意の比率で組み合わせて用いてもよい。
熱可塑性ノルボルネン系樹脂は、前記式(1)を満たすガラス転移温度Tgを有する。詳細には、熱可塑性ノルボルネン系樹脂のガラス転移温度Tgは、通常105℃以上、好ましくは106℃以上、特に好ましくは107℃以上であり、通常120℃以下、好ましくは118℃以下、特に好ましくは117℃以下である。前記範囲のガラス転移温度Tgを有する熱可塑性ノルボルネン系樹脂は、延伸による複屈折の発現性を大きくできる。よって、この熱可塑性ノルボルネン系樹脂を用いることにより、厚み方向のレターデーションRthの大きい光学フィルムを得ることが可能である。また、通常は、このように高いガラス転移温度Tgを有する熱可塑性ノルボルネン系樹脂を用いることにより、高温環境におけるノルボルネン系水素化物の配向の緩和を抑制できる。よって、優れた耐熱性を達成できるので、高温環境における光学フィルムの厚み方向のレターデーションRthの変化を抑制できる。
(4)0.0025≦ΔnR
熱可塑性ノルボルネン系樹脂を成形して、シートを得る。このシートに、自由端一軸延伸を施す。前記の自由端一軸延伸の延伸温度は、熱可塑性ノルボルネン系樹脂のガラス転移温度Tgより15℃高い温度(即ち、Tg+15℃)である。また、延伸時間は1分間であり、自由端一軸延伸の延伸倍率は、1.5倍である。延伸後、シート中央部の面内レターデーションRe(a)を測定波長550nmで測定し、この面内レターデーションRe(a)をシート中央部の厚みT(a)で割算することで、評価複屈折ΔnRが得られる。
熱可塑性ノルボルネン系樹脂をシート状に成形して、シートを得る。このシートの両端をクリップで固定した後に、片方のクリップに所定の重さ(例えば55g)の重りを固定する。次いで、所定温度(例えば、熱可塑性ノルボルネン系樹脂のガラス転移温度Tgより15℃高い温度)に設定したオーブン内に、重りを固定していない方のクリップを起点にして、所定時間(例えば1時間)シートを吊るして延伸処理を行う。延伸処理を行ったシートを、ゆっくりと冷やして室温まで戻す。このシートについて、シート中心部の面内レターデーションRe(b)を測定波長650nmで測定し、この面内レターデーションRe(b)をシート中心部の厚みT(b)[mm]で割算することで、δn値を算出する。そして、このδn値を、シートに加えた応力(上記の場合は、所定の重りを固定した際に加わった応力)で割算して、応力複屈折CRを求めることができる。
本発明の一実施形態に係る成形体は、上述した熱可塑性ノルボルネン系樹脂によって形成されている。成形体の形状は任意であり、フィルム状、シリンジ状、袋状、カップ状、チューブ状等でありうる。中でも、延伸時の複屈折の発現性に優れ、且つ、延伸後に高い接着強度を得ることができるという熱可塑性ノルボルネン系樹脂の利点を活用する観点では、成形体は、延伸加工を含む製造方法で製造される成形体であることが好ましく、延伸フィルムであることがより好ましく、光学フィルムであることが特に好ましい。
本発明の一実施形態に係る光学フィルムは、上述した熱可塑性ノルボルネン系樹脂で形成されたフィルムである。熱可塑性ノルボルネン系樹脂の優れた複屈折の発現性を活用して、この光学フィルムは、レターデーションを有する位相差フィルムであることが好ましい。更には、光学フィルムは、大きな厚み方向のレターデーションRthを有することが特に好ましい。
(6)Rth/d≧3.5×10−3
(5)C≦10Brewster
例えば、前記の製造方法は、光学フィルムをトリミングする工程、光学フィルムに表面処理を施す工程、などを含んでいてもよい。
上述した光学フィルムを用いて、光学積層体を得ることができる。この光学積層体は、上述した光学フィルムと、偏光板とを備える。光学フィルムが、厚み方向のレターデーションRthが大きくても厚みを薄くできるので、光学積層体を薄くしたり、光学積層体の反りを抑制したりできる。また、光学フィルムが高い接着強度を有するので、光学フィルムと偏光板との剥離を抑制できる。さらに、光学フィルムが高い耐熱性を有するので、光学積層体も、高い耐熱性を有することができる。このような光学積層体は、液晶表示装置等の画像表示装置に好適に適用できる。
上述した光学積層体は、液晶表示装置に設けることができる。上述したように、光学積層体が備える光学フィルムは薄くできるので、光学積層体は反りを生じ難い。よって、反った部分での光学フィルムの光学特性の変化による光漏れの発生を抑制することができる。前記の反りは、一般に液晶表示装置の画面のコーナーにおいて生じ易いが、前記の光学積層体を備える液晶表示装置では、このようなコーナーでの光漏れを抑制することが可能である。また、光学フィルムが高い耐熱性を有するので、液晶表示装置は、高温環境における表示特性の変化を抑制することができる。
以下の説明において、量を表す「%」及び「部」は、別に断らない限り重量基準である。以下の操作は、別に断らない限り、常温常圧大気中にて行った。
(重合体の重量平均分子量Mwの測定方法)
重合体の重量平均分子量Mwは、シクロヘキサンを溶離液とするゲル・パーミエーション・クロマトグラフィー(GPC)により測定し、標準ポリイソプレン換算値として求めた。
標準ポリイソプレンとしては、東ソー社製標準ポリイソプレン(Mw=602、1390、3920、8050、13800、22700、58800、71300、109000、280000)を用いた。
測定は、東ソー社製カラム(TSKgelG5000HXL、TSKgelG4000HXL及びTSKgelG2000HXL)を3本直列に繋いで用い、流速1.0mL/分、サンプル注入量100μL、カラム温度40℃の条件で行った。
重合体の低分子割合Lは、前記(重合体の重量平均分子量Mwの測定方法)におけるGPCによって測定した分子量の測定値から、分子量10000以下の成分の量を積分して算出した。
ガラス転移温度Tgは、示差走査熱量分析計(ナノテクノロジー社製「DSC6220SII」)を用いて、JIS K 6911に基づき、昇温速度10℃/分の条件で測定した。
樹脂を、縦50mm×横100mm×厚み100μmのシート状に成形して、サンプルシートを得た。このサンプルシートに、恒温槽付引張試験機(インストロン ジャパン カンパニー リミテッド社製「5564型」)を用いて、自由端一軸延伸を施した。この延伸の条件は、下記の通りである。
延伸温度:Tg+15℃
チャック間距離:65mm
延伸倍率:1.5倍(延伸距離32.5mm)
延伸時間:1分
延伸速度:32.5mm/分
ΔnR=Re(a)×(1/T(a))×10−6 (X1)
樹脂を、縦35mm×横10mm×厚み1mmのシート状に成形して、サンプルシートを得た。このサンプルシートの両端をクリップで固定した後に、片方のクリップに55gの重りを固定した。次いで、樹脂のガラス転移温度Tg+15℃に温度を設定したオーブン内に、重りを固定していない方のクリップを起点にして、1時間サンプルシートを吊るして延伸処理を行った。その後、サンプルシートをゆっくりと冷やして室温まで戻し、測定試料を得た。
δn=Re(b)×(1/T(b))×10−6 (X2)
当該δn値及びサンプルに加えた応力Fを用い、下記式(X3)により、応力複屈折CRを計算した。
CR=δn/F (X3)
(光学フィルムのレターデーションRth,Reの測定方法)
光学フィルムの、厚み方向のレターデーションRth及び面内レターデーションReは、位相差計(AXOMETRICS社製「AXOSCAN」)を用いて、測定波長550nmで測定した。
フィルムの厚みは、スナップゲージ(ミツトヨ社製「ID−C112BS」)により測定した。
光学フィルムの光弾性係数は、エリプソメーターによって測定した。
後述の耐久試験の前に、光学フィルムの厚み方向のレターデーションRth0を測定した。その後、光学フィルムに、85℃の環境で500時間保管する耐久試験を行った。耐久試験の後、光学フィルムの厚み方向のレターデーションRth1を測定した。これらの測定値Rth0及びRth1から、下記の式(X4)により、耐久試験による光学フィルムの厚み方向のレターデーションの変化率(Rth変化率)を計算した。Rth変化率がゼロに近いほど、光学フィルムの耐熱性が優れることを表す。
Rth変化率(%)={(Rth1−Rth0)/Rth0}×100 (X4)
被着体として、ノルボルネン系重合体を含む樹脂で形成された未延伸フィルム(日本ゼオン社製「ゼオノアフィルム」、厚み100μm、樹脂のガラス転移温度160℃、延伸処理は施されていないもの)を用意した。測定対象フィルムとしての光学フィルムの片面、及び、前記の未延伸フィルムの片面に、コロナ処理を施した。光学フィルムのコロナ処理を施した面、及び、未延伸フィルムのコロナ処理を施した面の両方に、接着剤(トーヨーケム社製のUV接着剤CRBシリーズ)を付着させた。接着剤を付着させた面同士を貼り合わせた。その後、無電極UV照射装置(ヘレウス社製)を用い、接着剤に紫外線照射を行って、接着剤を硬化させた。前記の紫外線照射は、ランプとしてDバルブを使用し、ピーク照度100mW/cm2、積算光量3000mJ/cm2の条件で行った。これにより、未延伸フィルム/接着剤の層/光学フィルムの層構成を有するサンプルフィルムを得た。
サンプルフィルムを15mmの幅に裁断して、フィルム片を得た。このフィルム片の光学フィルム側の面を、スライドガラスの表面に、粘着剤を用いて貼り合わせた。この際、粘着剤としては、両面粘着テープ(日東電工社製、品番「CS9621」)を用いた。高性能型デジタルフォースゲージ(イマダ社製「ZP−5N」)の先端に、フィルム片に含まれる未延伸フィルムを挟み、スライドガラスの表面の法線方向に300mm/分の速度でその未延伸フィルムを牽引して、牽引の力の大きさを接着強度として測定した。
(1−1)ノルボルネン系開環重合体の製造:
内部を窒素置換したガラス製反応容器に、後述する単量体の合計100重量部に対して200部の脱水したシクロヘキサン、1−ヘキセン0.7mol%、ジイソプロピルエーテル0.15mol%、及びトリイソブチルアルミニウム0.44mol%を、室温で反応器に入れ、混合した。その後、45℃に保ちながら、反応器に、単量体としてのジシクロペンタジエン(DCPD)70重量%及びテトラシクロドデセン(TCD)30重量%と、六塩化タングステン(0.65重量%トルエン溶液)0.02mol%とを、並行して2時間かけて連続的に添加し、重合した。次いで、重合溶液に、イソプロピルアルコール0.2mol%を加えて重合触媒を不活性化し、重合反応を停止させた。前記の説明において、単位「mol%」で示される量は、いずれも、単量体の合計量を100mol%とした値である。得られたノルボルネン系開環重合体の重量平均分子量Mwは3.1×104であった。また、単量体の重合体への転化率は、100%であった。
次いで、前記の工程(1−1)で得られたノルボルネン系開環重合体を含有する反応溶液183gに対して、シクロヘキサン67gを加え、さらに水素化触媒としてケイソウ土担持ニッケル触媒(日揮化学社製「T8400RL」、ニッケル担持率57%)1.8重量%を加えた。水素化触媒の量は、反応溶液に含まれるノルボルネン系開環重合体100重量%に対する値を表す。その後、反応溶液を水素により4.5MPaに加圧して撹拌しながら温度190℃まで加温し、8時間、水素化反応を行った。これにより、ノルボルネン系開環重合体の水素化物としてのノルボルネン系水素化物を含む反応溶液を得た。
前記の工程で得られた熱可塑性ノルボルネン系樹脂を二軸押出機に投入し、熱溶融押出成形によりストランド状の成形体に成形した。この成形体をストランドカッターを用いて細断して、熱可塑性ノルボルネン系樹脂のペレットを得た。
ロール間でのフロート方式を用いた縦延伸機を用意した。この縦延伸機を用いて、前記の延伸前フィルムを、縦方向に1.35倍に延伸して、中間フィルムを得た。縦延伸機を用いた前記の延伸の延伸温度は、125.5℃であり、これは、熱可塑性ノルボルネン系樹脂のガラス転移温度Tgよりも10℃高い温度(Tg+10℃)であった。
得られた光学フィルムについて、上述した方法によって、評価を行った。
前記の工程(1−1)において用いる単量体の組み合わせを、テトラシクロドデセン(TCD)29重量%、ジシクロペンタジエン(DCPD)68重量%、及びエチリデンテトラシクロドデセン(ETD)3重量%に変更した。
前記の工程(1−4)において、縦方向への延伸温度を、123.7℃に変更した。この延伸温度は、熱可塑性ノルボルネン系樹脂のガラス転移温度Tgよりも10℃高い温度(Tg+10℃)であった。また、前記の工程(1−4)において、横方向への延伸温度を、129.7℃に変更した。この延伸温度は、熱可塑性ノルボルネン系樹脂のガラス転移温度Tgよりも16℃高い温度(Tg+16℃)であった。
以上の事項以外は、実施例1と同じ操作により、熱可塑性ノルボルネン系樹脂及び光学フィルムの製造及び評価を行った。
前記の工程(1−1)において用いる単量体の組み合わせを、テトラシクロドデセン(TCD)29重量%、ジシクロペンタジエン(DCPD)70重量%、及びノルボルネン(NB)1重量%に変更した。
前記の工程(1−4)において、縦方向への延伸温度を、120.5℃に変更した。この延伸温度は、熱可塑性ノルボルネン系樹脂のガラス転移温度Tgよりも10℃高い温度(Tg+10℃)であった。また、前記の工程(1−4)において、横方向への延伸温度を、126.5℃に変更した。この延伸温度は、熱可塑性ノルボルネン系樹脂のガラス転移温度Tgよりも16℃高い温度(Tg+16℃)であった。
以上の事項以外は、実施例1と同じ操作により、熱可塑性ノルボルネン系樹脂及び光学フィルムの製造及び評価を行った。
前記の工程(1−1)において用いる単量体の組み合わせを、テトラシクロドデセン(TCD)28重量%、ジシクロペンタジエン(DCPD)70重量%、及びノルボルネン(NB)2重量%に変更した。
前記の工程(1−4)において、縦方向への延伸温度を、117.6℃に変更した。この延伸温度は、熱可塑性ノルボルネン系樹脂のガラス転移温度Tgよりも10℃高い温度(Tg+10℃)であった。また、前記の工程(1−4)において、横方向への延伸温度を、123.6℃に変更した。この延伸温度は、熱可塑性ノルボルネン系樹脂のガラス転移温度Tgよりも16℃高い温度(Tg+16℃)であった。
以上の事項以外は、実施例1と同じ操作により、熱可塑性ノルボルネン系樹脂及び光学フィルムの製造及び評価を行った。
前記の工程(1−1)において用いる単量体の組み合わせを、メタノテトラヒドロフルオレン(MTF)10重量%、テトラシクロドデセン(TCD)40重量%、及びジシクロペンタジエン(DCPD)50重量%に変更した。更に、前記の工程(1−1)における重合温度を、55℃へ変更した。
前記の工程(1−4)において、縦方向への延伸温度を、137.5℃に変更した。この延伸温度は、熱可塑性ノルボルネン系樹脂のガラス転移温度Tgよりも10℃高い温度(Tg+10℃)であった。また、前記の工程(1−4)において、横方向への延伸温度を、143.5℃に変更した。この延伸温度は、熱可塑性ノルボルネン系樹脂のガラス転移温度Tgよりも16℃高い温度(Tg+16℃)であった。
以上の事項以外は、実施例1と同じ操作により、熱可塑性ノルボルネン系樹脂及び光学フィルムの製造及び評価を行った。
前記の工程(1−1)において用いる単量体の組み合わせを、テトラシクロドデセン(TCD)5重量%、ジシクロペンタジエン(DCPD)80重量%、及びエチリデンテトラシクロドデセン(ETD)15重量%に変更した。さらに、前記の工程(1−1)における重合温度を、55℃へ変更した。
前記の工程(1−4)において、縦方向への延伸温度を、114.2℃に変更した。この延伸温度は、熱可塑性ノルボルネン系樹脂のガラス転移温度Tgよりも10℃高い温度(Tg+10℃)であった。また、前記の工程(1−4)において、横方向への延伸温度を、120.2℃に変更した。この延伸温度は、熱可塑性ノルボルネン系樹脂のガラス転移温度Tgよりも16℃高い温度(Tg+16℃)であった。
以上の事項以外は、実施例1と同じ操作により、熱可塑性ノルボルネン系樹脂及び光学フィルムの製造及び評価を行った。
前記の工程(1−1)において用いる単量体の組み合わせを、テトラシクロドデセン(TCD)29重量%、ジシクロペンタジエン(DCPD)68重量%、及びエチリデンテトラシクロドデセン(ETD)3重量%に変更した。
前記の工程(1−4)において、縦方向への延伸温度を、123℃に変更した。この延伸温度は、熱可塑性ノルボルネン系樹脂のガラス転移温度Tgよりも10℃高い温度(Tg+10℃)であった。また、前記の工程(1−4)において、横方向への延伸温度を、129.0℃に変更した。この延伸温度は、熱可塑性ノルボルネン系樹脂のガラス転移温度Tgよりも16℃高い温度(Tg+16℃)であった。
以上の事項以外は、実施例1と同じ操作により、熱可塑性ノルボルネン系樹脂及び光学フィルムの製造及び評価を行った。
前記の工程(1−1)において用いる単量体の組み合わせを、テトラシクロドデセン(TCD)29重量%、ジシクロペンタジエン(DCPD)68重量%、及びエチリデンテトラシクロドデセン(ETD)3重量%に変更した。さらに、1−ヘキセンの量を、0.68mol%に変更した。
前記の工程(1−4)において、縦方向への延伸温度を、123℃に変更した。この延伸温度は、熱可塑性ノルボルネン系樹脂のガラス転移温度Tgよりも10℃高い温度(Tg+10℃)であった。また、前記の工程(1−4)において、横方向への延伸温度を、129.0℃に変更した。この延伸温度は、熱可塑性ノルボルネン系樹脂のガラス転移温度Tgよりも16℃高い温度(Tg+16℃)であった。
以上の事項以外は、実施例1と同じ操作により、熱可塑性ノルボルネン系樹脂及び光学フィルムの製造及び評価を行った。
前記の実施例及び比較例の結果を、下記の表1及び表2に示す。
Claims (7)
- ノルボルネン系重合体の水素化物を含む熱可塑性ノルボルネン系樹脂であって、
前記熱可塑性ノルボルネン系樹脂のガラス転移温度Tgが、下記式(1)を満たし、
前記水素化物の重量平均分子量Mwが、下記式(2)を満たし、
前記熱可塑性ノルボルネン系樹脂に含まれる前記水素化物の量100%に対する、分子量10000以下の前記水素化物の割合Lが、下記式(3)を満たす、熱可塑性ノルボルネン系樹脂。
(1)105℃≦Tg≦120℃
(2)36000≦Mw
(3)L≦10.5% - 前記熱可塑性ノルボルネン系樹脂に、Tg+15℃、1分間で1.5倍に自由端一軸延伸を施した場合に発現する複屈折ΔnRが、下記式(4)を満たす、請求項1に記載の熱可塑性ノルボルネン系樹脂。
(4)0.0025≦ΔnR - 請求項1又は2に記載の熱可塑性ノルボルネン系樹脂で形成された、成形体。
- 光学フィルムである、請求項3に記載の成形体。
- 前記光学フィルムの光弾性係数Cが、下記式(5)を満たす、請求項4に記載の成形体。
(5)C≦10Brewster - 前記光学フィルムの厚み方向のレターデーションRth、及び、前記光学フィルムの厚みdが、下記式(6)を満たす、請求項4又は5に記載の成形体。
(6)Rth/d≧3.5×10−3 - 請求項4〜6のいずれか一項に記載の成形体の製造方法であって、
請求項1又は2に記載の熱可塑性ノルボルネン系樹脂で形成された延伸前フィルムを用意する工程と、
前記延伸前フィルムを、前記熱可塑性ノルボルネン系樹脂のガラス転移温度Tg+9℃以上で、延伸倍率1.8倍以上に延伸する工程と、を含む、成形体の製造方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2023081986A JP2023107789A (ja) | 2018-09-28 | 2023-05-18 | 熱可塑性ノルボルネン系樹脂、成形体及びその製造方法 |
Applications Claiming Priority (3)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2018184503 | 2018-09-28 | ||
JP2018184503 | 2018-09-28 | ||
PCT/JP2019/037035 WO2020066916A1 (ja) | 2018-09-28 | 2019-09-20 | 熱可塑性ノルボルネン系樹脂、成形体及びその製造方法 |
Related Child Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2023081986A Division JP2023107789A (ja) | 2018-09-28 | 2023-05-18 | 熱可塑性ノルボルネン系樹脂、成形体及びその製造方法 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPWO2020066916A1 true JPWO2020066916A1 (ja) | 2021-08-30 |
JP7322889B2 JP7322889B2 (ja) | 2023-08-08 |
Family
ID=69952130
Family Applications (2)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2020549141A Active JP7322889B2 (ja) | 2018-09-28 | 2019-09-20 | 成形体及びその製造方法 |
JP2023081986A Pending JP2023107789A (ja) | 2018-09-28 | 2023-05-18 | 熱可塑性ノルボルネン系樹脂、成形体及びその製造方法 |
Family Applications After (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2023081986A Pending JP2023107789A (ja) | 2018-09-28 | 2023-05-18 | 熱可塑性ノルボルネン系樹脂、成形体及びその製造方法 |
Country Status (3)
Country | Link |
---|---|
JP (2) | JP7322889B2 (ja) |
TW (1) | TW202026322A (ja) |
WO (1) | WO2020066916A1 (ja) |
Citations (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JPH10139865A (ja) * | 1996-11-11 | 1998-05-26 | Nippon Zeon Co Ltd | ノルボルネン系重合体及びその製造方法 |
JP2006241204A (ja) * | 2005-02-28 | 2006-09-14 | Nippon Zeon Co Ltd | 皮脂付着時の強度に優れた3元系ノルボルネン系重合体及びその製造方法 |
JP2015100984A (ja) * | 2013-11-25 | 2015-06-04 | 日本ゼオン株式会社 | 積層体及び偏光板 |
Family Cites Families (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP3520877B2 (ja) * | 1994-07-29 | 2004-04-19 | 日本ゼオン株式会社 | 透湿度の低いシートまたはフィルム |
JP2006016472A (ja) * | 2004-06-30 | 2006-01-19 | Nippon Zeon Co Ltd | 熱収縮性フィルム |
-
2019
- 2019-09-20 WO PCT/JP2019/037035 patent/WO2020066916A1/ja active Application Filing
- 2019-09-20 JP JP2020549141A patent/JP7322889B2/ja active Active
- 2019-09-25 TW TW108134641A patent/TW202026322A/zh unknown
-
2023
- 2023-05-18 JP JP2023081986A patent/JP2023107789A/ja active Pending
Patent Citations (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JPH10139865A (ja) * | 1996-11-11 | 1998-05-26 | Nippon Zeon Co Ltd | ノルボルネン系重合体及びその製造方法 |
JP2006241204A (ja) * | 2005-02-28 | 2006-09-14 | Nippon Zeon Co Ltd | 皮脂付着時の強度に優れた3元系ノルボルネン系重合体及びその製造方法 |
JP2015100984A (ja) * | 2013-11-25 | 2015-06-04 | 日本ゼオン株式会社 | 積層体及び偏光板 |
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
TW202026322A (zh) | 2020-07-16 |
WO2020066916A1 (ja) | 2020-04-02 |
JP2023107789A (ja) | 2023-08-03 |
JP7322889B2 (ja) | 2023-08-08 |
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
US8801978B2 (en) | Biaxial-optical polynorbornene-based film and method of manufacturing the same, integrated optical compensation polarizer having the film and method of manufacturing the polarizer, and liquid crystal display panel containing the film and/or polarizer | |
TWI719042B (zh) | 液晶顯示裝置 | |
WO2017170346A1 (ja) | 円偏光板及び画像表示装置 | |
JP7463965B2 (ja) | 光学フィルム及びその製造方法、光学積層体並びに液晶表示装置 | |
JP6451645B2 (ja) | 延伸フィルムの製造方法 | |
JP6075033B2 (ja) | 位相差フィルム積層体及びその製造方法、偏光板並びに液晶表示装置 | |
JP7322889B2 (ja) | 成形体及びその製造方法 | |
JP2005004096A (ja) | 位相差補償フィルム、複合偏光板、偏光板、液晶表示装置及び位相差補償フィルムの製造方法 | |
JP7380559B2 (ja) | 光学フィルム、光学積層体、及び、液晶表示装置 | |
JP2022000674A (ja) | 長尺の円偏光板、長尺の広帯域λ/4板、有機エレクトロルミネッセンス表示装置、及び、液晶表示装置 | |
KR102230201B1 (ko) | 위상차 필름 적층체 및 그의 제조 방법, 편광판, 및 액정 표시 장치 | |
JP2006301522A (ja) | 位相差フィルムの製造方法及び位相差フィルム |
Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
A621 | Written request for application examination |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621 Effective date: 20220411 |
|
A131 | Notification of reasons for refusal |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131 Effective date: 20221213 |
|
A521 | Request for written amendment filed |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523 Effective date: 20230120 |
|
A02 | Decision of refusal |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02 Effective date: 20230221 |
|
A521 | Request for written amendment filed |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523 Effective date: 20230518 |
|
A911 | Transfer to examiner for re-examination before appeal (zenchi) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A911 Effective date: 20230525 |
|
TRDD | Decision of grant or rejection written | ||
A01 | Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01 Effective date: 20230627 |
|
A61 | First payment of annual fees (during grant procedure) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61 Effective date: 20230710 |
|
R150 | Certificate of patent or registration of utility model |
Ref document number: 7322889 Country of ref document: JP Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150 |