JPWO2020054823A1 - 研磨パッド、研磨工具、及び研磨方法 - Google Patents

研磨パッド、研磨工具、及び研磨方法 Download PDF

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Abstract

種々の曲率の曲面に対しても研磨面が追従して、研磨対象物が有する曲面状の被研磨面の研磨を行い、曲面状の被研磨面のうねりを除去することが可能な研磨パッドを提供する。研磨パッド(10)は、研磨面(10a)を有する研磨層(1)と、弾性体からなり且つ研磨層(1)を支持する支持層(2)と、を備える積層体で構成される。研磨層(1)の外縁よりも内側の領域には、研磨層(1)を厚さ方向に貫通する貫通部(1a)が形成されている。さらに、研磨層(1)は、JIS K6253−3:2012に規定されたデュロメータ硬さタイプAが30以上である素材で形成されている。

Description

本発明は研磨パッド、研磨工具、及び研磨方法に関する。
研磨対象物が有する曲面状の被研磨面(例えば、自動車等の車体塗装面)を平滑化する加工方法として、研磨パッドを用いた研磨が知られている。研磨パッドは、研磨面を有する研磨層と、弾性体からなり且つ研磨層を支持する支持層と、を備える積層体で構成されている(例えば特許文献1を参照)。研磨パッドの支持層は軟質であるため、研磨時には研磨面が変形し研磨対象物が有する曲面状の被研磨面に追従するので、曲面状の被研磨面を研磨することができる。
研磨対象物が有する曲面状の被研磨面のうねりを十分に除去するためには、研磨層(研磨面)はある程度硬質である必要があるが、研磨層が硬質であると研磨面が変形しにくく、曲面状の被研磨面に十分に追従することができない場合があった。その結果、研磨対象物が有する曲面状の被研磨面のうねりを十分に除去することができず、曲面状の被研磨面に美しい表面仕上げを施すことができない場合があった。
日本国特許公開公報 2016年第47566号
本発明は、種々の曲率の曲面に対しても研磨面が追従して、研磨対象物が有する曲面状の被研磨面の研磨を行い、曲面状の被研磨面のうねりを除去することが可能な研磨パッド、研磨工具、及び研磨方法を提供することを課題とする。
本発明の一態様に係る研磨パッドは、研磨面を有する研磨層と、弾性体からなり且つ研磨層を支持する支持層と、を備える積層体で構成され、研磨層の外縁よりも内側の領域に、該研磨層を厚さ方向に貫通する貫通部が形成されており、さらに研磨層が、JIS K6253−3:2012に規定されたデュロメータ硬さタイプAが30以上である素材で形成されていることを要旨とする。
本発明の別の態様に係る研磨工具は、上記一態様に係る研磨パッドを備えることを要旨とする。
本発明の別の態様に係る研磨方法は、上記一態様に係る研磨パッドの研磨面と、研磨対象物が有する曲面状の被研磨面とを、研磨用組成物の存在下で摺動させることにより、被研磨面を研磨することを要旨とする。
本発明のさらに別の態様に係る研磨方法は、上記別の態様に係る研磨工具が備える研磨パッドの研磨面と、研磨対象物が有する曲面状の被研磨面とを、研磨用組成物の存在下で摺動させることにより、被研磨面を研磨することを要旨とする。
本発明によれば、種々の曲率の曲面に対しても研磨パッドの研磨面が追従して、研磨対象物が有する曲面状の被研磨面の研磨を行い、曲面状の被研磨面のうねりを除去することが可能である。
本発明に係る研磨パッドの一実施形態を説明する上面図である。 図1の研磨パッドのB−B断面図である。 本発明に係る研磨パッドの他の実施形態を説明する上面図である。 図3の研磨パッドのA−A断面図である。 貫通部の開口部の平面形状が図3の例とは異なる研磨パッドの研磨層の上面図である。 貫通部の断面形状の変形例を示す研磨パッドの断面図である。 研磨層に線状溝を有する研磨パッドの断面図である。 本発明に係る研磨方法の一実施形態を説明する図であり、(a)は自動研磨装置の図であり、(b)及び(c)は、研磨工具のパッド取り付け部と研磨パッドの構成例を示す図である。 比較例3の研磨パッドの研磨層の上面図である。
本発明の一実施形態について詳細に説明する。本実施形態の研磨方法は、曲面状の被研磨面を有する研磨対象物(例えば、自動車等の車体塗装面)の研磨に好適である。すなわち、本実施形態の研磨方法は、研磨パッド10の研磨面10aと、研磨対象物90が有する曲面状の被研磨面90aとを、図示しない研磨用組成物の存在下で摺動させることにより、曲面状の被研磨面90aを研磨するというものである(図8の(a)を参照)。
本実施形態の研磨方法において使用される研磨パッド10は、図1及び図2に示すように、研磨対象物90の被研磨面90aを研磨する研磨面10aを有する研磨層1と、弾性体からなり且つ研磨層1を支持する支持層2と、を備える積層体で構成されている。なお、研磨パッド10を構成する積層体は2層構造に限定されるものではなく、研磨層1と支持層2の間や、支持層2の研磨層1と対向する表面とは反対側の表面側に他の層を配して、3層以上の積層体としてもよい。
研磨層1は貫通部1aを有している。詳述すると、研磨層1(又は研磨面10a)の外縁よりも内側(中心側)の領域に、研磨層1を厚さ方向に貫通する孔である貫通部1aが形成されている。すなわち、貫通部1aの開口部は研磨層1の外縁において開放しておらず、閉鎖した開口部となっている。なお、貫通部1aは、研磨層1の外縁よりも内側の領域に形成されていれば、研磨層1の厚さ方向に平行に延びる孔でもよいし、研磨層1の厚さ方向に対して傾斜する方向に延びる孔でもよい。
また、詳細は後述するが、貫通部1aは、図1及び図2に示すように、研磨面10aの周方向に沿って連続して環状をなしており、貫通部1aによって研磨面10aが貫通部1aの外側の環状の研磨面10cと、貫通部1aの内側の円形状の研磨面10dとに分断されるような形状をなしていてもよい。あるいは、貫通部1aは、図3及び図4や図5に示すように、研磨面10aの周方向に沿って連続しておらず、貫通部1aによって研磨面10aが複数に分断されないような形状(以下「非環状」と記すこともある)をなしていてもよい。
さらに、研磨層1は、JIS K6253−3:2012に規定されたデュロメータ硬さタイプA(以下「A硬度」と記す)が30以上である素材で形成されている。このような素材としては、例えば、ウレタン樹脂、エポキシ樹脂、又はポリイミド樹脂を含有する素材があげられる。また、研磨層1は、不織布、樹脂製シート状物、又はスウェードで構成することができる。なお、上記のJIS K6253は、ISO7619に対応する規格である。
なお、研磨面10aを構成する研磨層1の表面には、砥粒が保持されていなくてもよいし、接着、埋め込み等の手段によって砥粒が保持されていてもよい。砥粒は、その表面の一部が研磨面10aから露出するように保持される。また、砥粒は、研磨面10aに直接的に保持されていてもよいが、接着シート等を介して保持されていてもよい。例えば、砥粒が保持されているシート(例えば紙ヤスリ)を、ウレタン樹脂、不織布等の素材で形成された層状の部材の表面に接着して、接着した紙ヤスリの砥粒を有する面により研磨面10aを構成してもよい。この場合は、ウレタン樹脂、不織布等の素材で形成された層状の部材と紙ヤスリとからなるものによって、研磨層1が構成される。
支持層2を構成する素材の種類は特に限定されるものではないが、研磨層1の変形を妨げることなく研磨層1を支持するために、弾性変形可能な樹脂製の弾性体とすることができる。例えば、発泡ポリウレタン、発泡ポリエチレン、発泡ポリプロピレン、発泡ポリスチレン、発泡ポリエチレンテレフタレート等の樹脂発泡体製の弾性体があげられる。そして、研磨層1よりも支持層2の方が硬さが低いことが好ましい。
このような構成の研磨パッド10を用いて、研磨対象物90が有する曲面状の被研磨面90aの研磨を行えば、研磨パッド10の研磨面10aが三次元的に変形し、曲面状の被研磨面90aに追従するので、曲面状の被研磨面90aのうねりを十分に除去することが可能である。よって、本実施形態の研磨パッド10を用いて研磨を行えば、曲面状の被研磨面90aに対して美しい表面仕上げを施すことができる。
詳述すると、軟質な支持層2が弾性変形可能であるとともに、硬質な研磨層1が貫通部1aによって柔軟性を有しているため、研磨の際には、研磨パッド10の研磨面10aが被研磨面90aの曲面形状に応じて容易に変形可能である。そのため、本実施形態の研磨パッド10を用いて曲面状の被研磨面90aの研磨を行うと、曲率の大小を問わず種々の曲率の曲面に対しても研磨パッド10の研磨面10aが三次元的に変形して曲面状の被研磨面90aに追従しつつ被研磨面90aの研磨が行われるため、曲面状の被研磨面90aのうねりを十分に除去することが可能である。また、本実施形態の研磨方法は、曲率が異なる複数の曲面部分を有する被研磨面や、凹面部分及び凸面部分を有する被研磨面に対しても好適に適用可能である。
また、貫通部1aは研磨層1の外縁よりも内側の領域に形成されており、貫通部1aの開口部は研磨層1の外縁において開放しておらず閉鎖した開口部となっている。よって、研磨層1の外縁には角部や切り欠かれた部分が存在せず、研磨層1の外縁は滑らかな線状をなしている。そのため、研磨時に研磨層1の外縁が研磨対象物90と接触しても研磨パッド10に欠け等の破損が生じにくい。よって、本実施形態の研磨パッド10を用いれば、研磨対象物90の角部や縁部を研磨した場合でも研磨パッド10に欠け等の破損が生じにくく、また、研磨対象物90の角部や縁部に過研磨が生じにくい。さらに、本実施形態の研磨パッド10は、研磨時に破損が生じにくいため長寿命である。
本実施形態の研磨パッド10においては、研磨層1のA硬度は、30以上である必要があり、40以上であることがより好ましく、60以上であることがさらに好ましく、80以上であることがより一層好ましい。A硬度が30以上の研磨層は硬質で変形しにくい場合があるが、研磨層1に貫通部1aが形成されているため、研磨層1が変形しやすくなっている。また、研磨層1のA硬度が30以上であれば、研磨層1の硬さが良好であるため、被研磨面90aのうねりが除去されやすい。
貫通部1aの開口部の平面形状、すなわち、研磨面10aに対して垂直をなす位置の視点から貫通部1aの開口部を見た場合の垂直投影図における貫通部1aの開口部の形状は、特に限定されない。貫通部1aの開口部の平面形状としては、例えば、環状(図1を参照)、非環状が挙げられる。非環状としては、円形(図3を参照)、繭形(図5を参照)、楕円形、多角形(三角形、四角形、五角形、六角形、八角形等)、直線形(帯形)、曲線形(円弧形、C字形、U字形、S字形等)、不定形等が挙げられる。ただし、貫通部1aの開口部が角部を有すると、その部分に欠け等の破損が生じやすくなるので、環状、円形等の角部を有しない形状が好ましい。複数の貫通部1aの開口部の形状は、全て同一でもよいし、その一部又は全部が異なっていてもよい。
貫通部1aの開口部の大きさ及び貫通部1aの個数は、研磨面10aの面積(貫通部1aの開口部も含めた、研磨面10aの外縁よりも内側の領域の全面積)に対する貫通部1aの開口部の総面積の割合が3%以上35%以下となるように設定することが好ましい。すなわち、研磨面10aに対して垂直をなす位置の視点から研磨面10aを見た場合の垂直投影図において、研磨面10aの面積と貫通部1aの開口部の面積を測定する。そして、全ての貫通部1aの開口部の面積を合計し、この合計した貫通部1aの開口部の総面積を研磨面10aの面積で除して、研磨面10aの面積に対する貫通部1aの開口部の総面積の割合を算出する。
研磨面10aの面積に対する貫通部1aの開口部の総面積の割合が3%以上であれば、研磨層1の柔軟性が良好となるため、曲面状の被研磨面90aに追従しやすくなる。一方、研磨面10aの面積に対する貫通部1aの開口部の総面積の割合が35%以下であれば、研磨層1の研磨性能が良好となり、曲面状の被研磨面90aのうねりが除去されやすい。なお、研磨面10aの面積に対する貫通部1aの開口部の総面積の割合は、6%以上20%以下となるように設定することがより好ましい。
貫通部1aの開口部の大きさ及び貫通部1aの個数は、貫通部1aの開口部の総面積が20mm2以上25000mm2以下となるように設定することが好ましい。貫通部1aの開口部の総面積が20mm2以上であれば、研磨層1の柔軟性が良好となるため、曲面状の被研磨面90aに追従しやすくなる。一方、貫通部1aの開口部の総面積が25000mm2以下であれば、研磨層1の研磨性能が良好となり、曲面状の被研磨面90aのうねりが除去されやすい。貫通部1aの開口部の総面積は、350mm2以上9500mm2以下となるように設定することがより好ましく、700mm2以上4000mm2以下となるように設定することがさらに好ましい。なお、貫通部1aの開口部の総面積は、研磨面10aに対して垂直をなす位置の視点から研磨面10aを見た場合の垂直投影図において、貫通部1aの開口部の面積を測定することにより得られる。
研磨面10aにおける貫通部1aの開口部の配置の態様は、特に限定されるものではないが、研磨層1の柔軟性及び研磨性能が好適となるように、研磨面10aの外縁からの距離、研磨面10aの中心からの距離、貫通部1aの開口部同士の間の間隔等を適宜設定することが好ましい。
例えば、貫通部1aは、研磨面10aの中心を中心とする半径15mm(より好ましくは30mm、さらに好ましくは35mm)の円形の領域よりも外側の領域のみに形成してもよい。そうすれば、曲面状の被研磨面90aのうねりが除去されやすい。
貫通部1aの開口部の平面形状が環状である場合は、研磨面10aは、貫通部1aの外側の環状の研磨面10cと貫通部1aの内側の円形状の研磨面10dとに分かれる。このときの貫通部1aの形状は特に限定されるものではなく、正円形状でもよいし、楕円形状でもよい。
環状の貫通部1a、貫通部1aの外側の環状の研磨面10c、貫通部1aの内側の円形状の研磨面10dの大きさは特に限定されるものではないが、貫通部1aの内側の円形状の研磨面10dの直径は30mm以上120mm以下であることが好ましく、60mm以上120mm以下であることがより好ましく、72mm以上115mm以下であることがさらに好ましい。貫通部1aの内側の円形状の研磨面10dの直径が30mm以上であれば、曲面状の被研磨面90aのうねりが除去されやすい。一方、貫通部1aの内側の円形状の研磨面10dの直径が120mm以下であれば、研磨面10aが曲面状の被研磨面90aに追従しやすくなる。
貫通部1aの外側の環状の研磨面10cの直径は、貫通部1aの内側の円形状の研磨面10dの直径よりも大きく且つ300mm以下であることがより好ましく、貫通部1aの内側の円形状の研磨面10dの直径よりも大きく且つ200mm以下であることがさらに好ましい。貫通部1aの外側の環状の研磨面10cの直径が300mm以下であれば、研磨面10aが曲面状の被研磨面90aに追従しやすくなる。
貫通部1aの外側の環状の研磨面10cの幅は10mm以上であることが好ましく、15mm以上であることがより好ましい。貫通部1aの外側の環状の研磨面10cの幅が10mm以上であれば、曲面状の被研磨面90aのうねりが除去されやすい。
環状の貫通部1aの幅は、11mm以上17mm以下であることが好ましく、13mm以上17mm以下であることがより好ましい。この範囲内であれば、研磨面10aが曲面状の被研磨面90aに追従しやすい上に、曲面状の被研磨面90aのうねりが除去されやすい。
また、研磨面10aの直径に対する環状の貫通部1aの幅の割合が2.5%以上15%以下となるように設定することが好ましく、8%以上13%以下であることがより好ましい。この範囲内であれば、研磨面10aが曲面状の被研磨面90aに追従しやすい上に、曲面状の被研磨面90aのうねりが除去されやすい。
研磨面10aにおける環状の貫通部1aの位置は、研磨面10aの外縁よりも内側(中心側)の領域であれば特に限定されるものではないが、貫通部1aの外側の環状の研磨面10cの中心と貫通部1aの内側の円形状の研磨面10dの中心とが共通となる位置に、環状の貫通部1aを配置することが好ましい。
貫通部1aの外側の環状の研磨面10cを有する研磨層1と、貫通部1aの内側の円形状の研磨面10dを有する研磨層1は、同一の素材で形成されていてもよいし、異なる素材で形成されていてもよい。
貫通部1aの外側の環状の研磨面10cを有する研磨層1のA硬度に比べて、貫通部1aの内側の円形状の研磨面10dを有する研磨層1のA硬度が大きいと、より効率的に曲面状の被研磨面90aのうねりを除去できるので好ましい。
貫通部1aの開口部の平面形状が非環状である場合は、貫通部1aの開口部の大きさや貫通部1aの個数は特に限定されるものではないが、貫通部1aの個数は3個以上16個以下であることが好ましく、5個以上10個以下であることがより好ましい。貫通部1aの個数が3個以上であれば研磨層1の柔軟性が良好となるため、曲面状の被研磨面90aに追従しやすくなる。一方、貫通部1aの個数が16個以下であれば、研磨層1の研磨性能が良好となり、曲面状の被研磨面90aのうねりが除去されやすい。複数の貫通部1aの開口部の大きさは、全て同一でもよいし、その一部又は全部が異なっていてもよい。
非環状の貫通部1aの開口部の大きさは特に限定されるものではないが、開口部の平面形状が円形である場合は直径、繭形や楕円形等である場合は短い方の径(短径)が11mm以上17mm以下であることが好ましく、13mm以上17mm以下であることがより好ましい。この範囲内であれば、研磨面10aが曲面状の被研磨面90aに追従しやすい上に、曲面状の被研磨面90aのうねりが除去されやすい。
非環状の貫通部1aの配置の態様は特に限定されるものではなく、例えば、複数の非環状の貫通部1aの開口部を、研磨面10aに直線状に並べてもよいし、曲線状に並べてもよいし、環状に並べてもよい。複数の非環状の貫通部1aが環状に並んでいる場合は、研磨面10aが、環状の貫通部1aによって分断された貫通部1aの外側の環状の研磨面10cと、貫通部1aの内側の円形状の研磨面10dとを、複数箇所で連結して繋いだ形状をなしているともみなすことができ、研磨面10aが曲面状の被研磨面90aに追従しやすい上に、曲面状の被研磨面90aのうねりが除去されやすい。
また、複数の非環状の貫通部1aの開口部が直線状、曲線状、又は環状に並んでなる開口部群を、研磨面10aに規則的に又は不規則的に複数群設けてもよい。例えば、複数の非環状の貫通部1aの開口部が直線状又は曲線状に並んでなる開口部群を、研磨面10aに平行に複数並べてもよい。また、複数の非環状の貫通部1aの開口部が環状に並んでなる開口部群を、研磨面10aに同心円状又は列状に複数並べてもよい。
隣り合う二つの非環状の貫通部1aの開口部の互いに対向する端部から研磨面10aの中心へそれぞれ仮想直線(図3における点線)を引いた場合に、これら2つの仮想直線のなす角度θは、20度以上85度以下であることが好ましく、20度以上40度以下であることがより好ましい。この範囲内であれば、研磨面10aが曲面状の被研磨面90aに追従しやすい上に、曲面状の被研磨面90aのうねりが除去されやすい。
これら複数の非環状の貫通部1aの開口部は、全体として、線対称、点対称等の対称性を有するように研磨面10aに配置されていることが好ましい。例えば、隣接する非環状の貫通部1aの開口部の中心を順次結んだ仮想直線が、正方形、正六角形、正八角形等の正多角形をなすように、非環状の貫通部1aの開口部が配置されていることが好ましい。換言すれば、研磨面10aに仮想的に配置した正多角形の頂点に相当する位置に、複数の非環状の貫通部1aの開口部の中心がそれぞれ配置されていることが好ましい。この場合、研磨面10aの中心と上記正多角形の中心とが一致することが好ましい。
図3に示す研磨パッド10が、8個の非環状の貫通部1aの開口部が正八角形の頂点に相当する位置にそれぞれ配置されている例であり、図5に示す研磨パッド10が、6個の非環状の貫通部1aの開口部が正六角形の頂点に相当する位置にそれぞれ配置されている例である。
また、研磨層1の柔軟性をさらに向上させるために、支持層2に凹部2aを設けてもよい。支持層2の凹部2aは、図4に示すように、支持層2を厚さ方向に貫通する貫通部であってもよいし、図6に示すように、支持層2の研磨層1に接する側の表面に形成された有底穴であってもよい。
支持層2の凹部2aが有底穴である場合は、その断面形状(研磨面10aに直交する平面で切断した場合の断面形状)は特に限定されるものではなく、図6に示すV字状でもよいが、矩形等の多角形状や円弧形状でもよい。
支持層2の凹部2aは、図4、6に示すように、研磨層1の環状又は非環状の貫通部1aと連続して形成されていてもよいし(すなわち、研磨面10a上の同位置に配置されていてもよい)、不連続に形成されていてもよい(図示せず)。
研磨層1や研磨面10aの平面形状は特に限定されるものではないが、研磨層1を円板状、角板状等の板状とし、研磨面10aをなす研磨層1の外側表面(支持層2と対向する表面とは反対側の表面であり、外部に露出する表面)を円形、多角形としてもよい。なお、研磨層1を円錐台状、角錐台状等の錐台状とすることもできる。
また、支持層2の形状は特に限定されるものではないが、円柱状、角柱状等の柱状や、円錐台状、角錐台状等の錐台状とすることができる。支持層2の形状が錐台状である場合は、錐台の2つの底面、すなわち、研磨層1に対向する側の面とその反対側の面(すなわち、後述する研磨工具104のパッド取り付け部に対向する面)との面積比を、0.5以上4以下とすることができ、0.5以上2以下とすることが好ましい。この面積比によって研磨層1の柔軟性を制御することができる。
支持層2の形状が錐台状である場合は、研磨層1に対向する側の面を、その反対側の面よりも大きい面とすることがより好ましい。その場合には、両面の面積比を1.08以上4以下とすることが好ましく、1.08以上2.6以下とすることがより好ましく、1.2以上1.7以下とすることがさらに好ましい。また、両面の径の比を1.04以上2以下とすることが好ましく、1.04以上1.6以下とすることがより好ましく、1.1以上1.3以下とすることがさらに好ましい。研磨層1に対向する側の面とその反対側の面との面積比や径の比が上記の範囲内であれば、曲面状の被研磨面90aを研磨する際の圧力分布がより均一となりやすく、また、研磨時の取り扱いの容易性が向上する。
支持層2の側面は、支持層2が円柱状又は円錐台状である場合は円柱面又は円錐面となり、角柱状又は角錐台状である場合は平面となるが、これら側面は平坦な面に限定されず、支持層2の外部側に向かって突出した凸面又は支持層2の内部側に向かって窪んだ凹面としてもよい。支持層2の形状が錐台状である場合は、錐台の中心軸線に対する支持層2の側面の傾斜角度は特に限定されるものではないが、この傾斜角度によって研磨層1の柔軟性を調整することができる。
研磨層1の厚さについては特に限定されるものではないが、0.5mm以上であることが好ましく、0.8mm以上であることがより好ましい。研磨層1の厚さが上記の範囲内であれば、研磨層1の硬さが良好となり、被研磨面90aのうねりが除去されやすい。また、研磨層1の厚さは5mm以下であることが好ましく、3.0mm以下であることがより好ましい。研磨層1の厚さが上記の範囲内であれば、研磨層1の柔軟性が良好で研磨面10aが被研磨面90aに追従しやすい。そのため、被研磨面90aのうねりが除去されやすく、且つ、研磨面10aと曲面との接触面積が増えて研磨効率が向上する傾向がある。
支持層2の厚さについても特に限定されるものではないが、研磨層1よりも支持層2の方を厚くしてもよい。研磨層1よりも支持層2の方が厚いと、支持層2の柔軟性によって研磨面10aが被研磨面90aに追従しやすい。
支持層2の硬さは、研磨面10aに変形しやすさを付与する柔軟性を支持層2が有するならば、特に限定されるものではないが、支持層2のA硬度の方が研磨層1のA硬度よりも低い方が好ましい。
研磨層1の研磨面10aには、図7に示すように、線状溝1cを形成してもよい。研磨層1が線状溝1cを有していると、研磨面10aが曲面状の被研磨面90aにより追従しやすく、研磨対象物90の被研磨面90aのうねりを取り除くことが容易となる。
また、研磨時に、研磨用組成物が線状溝1cに沿って研磨面10aの中央部まで行き渡り易くなるとともに、研磨面10aと被研磨面90aとの間に異物が入った場合に線状溝1cに沿って異物が排出され易いため、被研磨面90aが塗膜等の比較的軟質な面であっても研磨傷の発生が抑制される。
研磨面10aに形成する線状溝1cの数は特に限定されるものではなく、1つでもよいし複数でもよい。また、線状溝1cは直線状であってもよいし曲線状であってもよい。そして、直線状又は曲線状の線状溝1cを互いに平行に並べて縞状に形成してもよいし、格子状に交差させて形成してもよい。あるいは、円形、楕円形の線状溝1cを同心円状に形成してもよい。
線状溝1cの幅は特に限定されるものではないが、例えば0.5mm以上5mm以下としてもよい。また、線状溝1cは、研磨層1の研磨面10a(外側表面)から支持層2に接する側の表面まで貫通する深さの溝であってもよいし、図7に示すように有底の溝であってもよい。ただし、線状溝1cが有底の溝である方が、研磨層1の破損が生じにくい。また、線状溝1cの断面形状(研磨面10aに直交する平面で切断した場合の断面形状)は特に限定されるものではなく、図7に示すように矩形状であってもよいし、三角形状、円弧形状等であってもよい。
前述のように支持層2に凹部2aが形成されている場合には、スラリー状、エマルション状の研磨用組成物が支持層2内に浸透することを抑制する止水層(図示せず)を、支持層2の凹部2aの内面に形成してもよい。吸水率が低い止水素材(例えば発泡ゴム)からなる止水層で支持層2の凹部2aの内面を覆うことにより、研磨中に研磨用組成物が支持層2内に浸透しにくくなる。そのため、研磨に使用されない研磨用組成物が少なくなり、研磨用組成物の利用効率が高くなるので、研磨コストを抑えることができる。
研磨用組成物が支持層2内に浸透することを抑制できるならば、止水素材の種類は特に限定されるものではないが、例えば、クロロプレンゴムフォーム、エチレン・プロピレンゴムフォーム、シリコーンゴムフォーム、フッ素ゴムフォーム、ポリウレタンフォーム、ポリエチレンフォーム等の発泡ゴムが挙げられる。なお、凹部2aの内面の他に、支持層2の表面のうち研磨用組成物と接触しやすい箇所に止水層を設けてもよい。
本実施形態の研磨方法を適用可能な研磨対象物の素材は、特に限定されるものではなく、例えば、樹脂や、ケイ素、アルミニウム、ジルコニウム、カルシウム、バリウムなどの酸化物、炭化物、窒化物、ホウ化物などの単結晶又は多結晶(セラミック)や、マグネシウム、アルミニウム、チタン、鉄、ニッケル、コバルト、銅、亜鉛、マンガンなどの金属又はそれを主成分とする合金であってもよく、さらにこれらの素材の複合材料であってもよいが、これらの中でも樹脂が好ましい。
樹脂の場合は、研磨対象物は、樹脂で形成された部材(樹脂製部材)でもよいし、基材の表面に被覆された樹脂塗膜でもよい。また、樹脂の種類は特に限定されるものではなく、例えば、ウレタン樹脂、アクリル樹脂、ポリカーボネート樹脂があげられる。よって、樹脂塗膜を構成する樹脂の種類も特に限定されず、ウレタン樹脂、アクリル樹脂等があげられ、樹脂塗膜は透明なクリア塗膜であってもよい。さらに、樹脂塗膜の厚さは特に限定されるものではなく、100μm以下としてもよく、10μm以上40μm以下としてもよい。
本実施形態の研磨方法は、基材の表面に樹脂塗膜が被覆されてなる塗装部材の製造に使用することができる。本実施形態の研磨方法を用いて塗装部材の樹脂塗膜の外表面を研磨すれば、高い研磨速度で樹脂塗膜の研磨を行うことができ、且つ、被研磨面である樹脂塗膜の外表面(以下「樹脂塗装面」と記すこともある)に研磨傷が生じにくいので、うねりや研磨傷が少なく美しい光沢を有する樹脂塗膜を備える塗装部材を高い生産性で製造することができる。
塗装部材の種類(すなわち樹脂塗膜の用途)は特に限定されるものではないが、例えば、自動車の車体、鉄道車両、航空機、樹脂製部材があげられる。自動車の車体の表面に被覆された樹脂塗膜は、面積が大きく且つ曲面を有するが、本実施形態の研磨方法は、このような樹脂塗膜の外表面の研磨に対して好適である。
基材の材質の具体例としては、ステンレス鋼等の鉄合金、アルミ合金、樹脂、セラミックがあげられる。鉄合金は、自動車を含む一般的な車両に、例えば鋼板として用いられる。例えばステンレス鋼は、鉄道車両に用いられる。鋼板には、表面被覆が施されていてもよい。また、アルミ合金は、自動車や航空機等の部品に用いられる。さらに、樹脂は、バンパー等の樹脂製部材に用いられる。
本実施形態の研磨方法で研磨対象物の研磨を行う際には、研磨パッドの研磨面と研磨対象物の被研磨面との間に研磨用組成物を介在させて研磨を行うが、研磨用組成物としては、砥粒、添加剤、液状媒体等を含有するスラリーを用いることができる。
砥粒の種類は特に限定されるものではなく、シリカ、アルミナ、セリア、チタニア、ジルコニア、酸化鉄、及び酸化マンガン等の金属酸化物からなる粒子や、樹脂からなる有機粒子や、有機無機複合粒子などがあげられる。
添加剤の種類は特に限定されるものではなく、例えば、pH調整剤、エッチング剤、酸化剤、水溶性高分子、防食剤、キレート剤、分散助剤、防腐剤、防黴剤等の添加剤を、所望により研磨用組成物に添加してもよい。
液状媒体は、砥粒、添加剤等の各成分を分散又は溶解するための分散媒又は溶媒として使用される。液状媒体の種類は特に限定されるものではなく、水、有機溶剤等があげられる。液状媒体は、1種を単独で用いてもよいし、2種以上を混合して用いてもよいが、水を含有することが好ましい。他の成分の作用を阻害することを抑制するという観点から、不純物をできる限り含有しない水が好ましく、具体的には、イオン交換樹脂にて不純物イオンを除去した後、フィルタを通して異物を除去した純水や超純水、又は蒸留水が好ましい。
本実施形態の研磨方法で研磨対象物の研磨を行う際には、砥粒を含有する水性のスラリーや、砥粒と、油剤、乳化安定剤、及び増粘剤から選ばれる少なくとも一種の添加剤と、を含有するエマルションを、研磨用組成物として用いることができる。
以下に、上記研磨用組成物の詳細について説明する。砥粒の種類は特に限定されるものではないが、例えば、炭化ケイ素等のケイ素の炭化物からなる粒子、二酸化ケイ素(シリカ)からなる粒子、金属の酸化物からなる粒子、熱可塑性樹脂からなる有機粒子、有機無機複合粒子が挙げられる。金属の酸化物としては、酸化アルミニウム(アルミナ)、セリア、チタニア、ジルコニア、酸化鉄、及び酸化マンガン等が挙げられる。これらの中では、酸化アルミニウム、セリア、ジルコニア、炭化ケイ素、及び二酸化ケイ素の少なくとも一種で構成される砥粒が特に好ましい。
例えば研磨用組成物には、高研磨速度を可能にし且つ容易に入手が可能であるアルミナスラリーを用いることがさらに好ましい。
アルミナには、例えば、α−アルミナ、β−アルミナ、γ−アルミナ、θ−アルミナ等の結晶形態が異なるものがあり、また水和アルミナと呼ばれるアルミニウム化合物も存在する。研磨速度の観点からは、α−アルミナを主成分とするものが砥粒としてより好ましい。
砥粒の平均二次粒子径は、特に限定されるものではないが、15.0μm以下であることが好ましく、より好ましくは5.0μm以下である。平均二次粒子径が小さくなるにつれて、エマルションの分散安定性は向上し、被研磨面のスクラッチ発生が抑制される。砥粒の平均二次粒子径は、例えばレーザー回折・散乱法(測定機:株式会社堀場製作所製のLA−950V2)により測定することができる。
研磨用組成物中の砥粒の含有量は、特に限定されるものではないが、好ましくは0.1質量%以上であり、より好ましくは5.0質量%以上であり、さらに好ましくは10質量%以上である。砥粒の含有量が多くなるにつれて、研磨速度は向上する傾向がある。砥粒の含有量が上記の範囲内にある場合は、研磨速度を実用上特に好適なレベルにまで向上させることが容易となる。
また、砥粒の含有量は、特に限定されるものではないが、50質量%以下であることが好ましく、より好ましくは35質量%以下であり、さらに好ましくは30質量%以下である。砥粒の含有量が上記の範囲内にある場合は、研磨用組成物のコストを抑えることができる。なお、研磨対象物は、樹脂材料、合金材料、及び金属酸化物材料からなる群より選択される少なくとも1種を含むものであればよい。
研磨用組成物は、油剤、乳化安定剤、増粘剤などの添加剤を含有するエマルションとすることが好ましい。該添加剤は、単独で用いてもよいし、2種以上を混合して用いてもよい。添加剤を添加することで、エマルションの安定性が向上する傾向がある。なお、添加剤として、高分子材料、アルカリ等をさらに用いてもよい。
油剤の例としては、流動パラフィン、ポリブテン、α−オレフィンオリゴマー、アルキルベンゼン、ポリオールエステル、リン酸エステル、シリコーン油などの合成油や、スピンドル油、ニュートラル油、ブライトストックなどの鉱物油や、ヒマシ油、大豆油、ヤシ油、亜麻仁油、綿実油、ナタネ油、キリ油、オリーブ油などの植物性油脂や、牛脂、スクワラン、ラノリンなどの動物性油脂等が挙げられる。
乳化安定剤の例としては、グリセリン、エチレングリコール、プロピレングリコール等の多価アルコールや、セチルアルコール、ステアリルアルコール等の脂肪族アルコール等が挙げられる。
増粘剤の例としては、ポリアクリル酸、ポリアクリル酸ナトリウム(例えば、完全中和物、部分中和物、会合型のアルカリ可溶性のポリアクリル酸(アクリルポリマー)など)等の合成系増粘剤や、カルボキシメチルセルロース、カルボキシエチルセルロース等のセルロース系増粘剤(半合成系増粘剤)や、寒天、カラギーナン、層状ケイ酸塩化合物、キサンタンガム、アラビアゴム等の天然系増粘剤等が挙げられる。
会合型のアルカリ可溶性のポリアクリル酸を用いる場合には、ポリアクリル酸とアルカリとが併用される。アルカリとしては、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、アンモニア等の無機アルカリや、トリエタノールアミン等の有機アルカリなどが挙げられる。アルカリを添加することにより、ポリアクリル酸が増粘作用を発揮する。また、増粘剤は、ニュートン流体であってもよいし、非ニュートン流体であってもよい。
研磨用組成物は、上記砥粒の他、必要に応じて潤滑油、有機溶剤、界面活性剤などの他の成分を適宜含有してもよい。潤滑油は、例えば、合成油、鉱物油、植物性油脂又はそれらの組み合わせであってよい。有機溶剤は、例えば、炭化水素系溶剤の他、アルコール、エーテル、グリコール類やグリセリン等であってよい。界面活性剤は、例えば、いわゆるアニオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤、ノニオン性界面活性剤、両性界面活性剤であってよい。
以上のような本実施形態の研磨方法は、曲面状の被研磨面を有する研磨対象物(例えば、自動車等の車体塗装面)の研磨に好適である。以下に、本実施形態の研磨方法の一例として、樹脂塗装面の研磨方法について説明する。研磨を行う研磨装置の構成は特に限定されるものではなく、片面研磨機、両面研磨機、レンズ研磨機等の一般的な研磨装置を使用することができるが、例えば図8の(a)の自動研磨装置を用いることができる。
図8の(a)の自動研磨装置は、ロボットアーム102と、研磨パッド10と、研磨工具104と、押圧力検出部105と、コントローラ107と、を備える。ロボットアーム102は、複数の関節120、121、122を有しているため、研磨パッド10、研磨工具104、及び押圧力検出部105が取り付けられた先端部123を複数方向に移動させることができる。研磨対象物90である塗装部材は、基材の表面に樹脂塗膜が被覆されてなるものであって、この塗装部材の被研磨面90aである樹脂塗装面は、面積が大きく且つ曲面を有する。
研磨工具104は、押圧力検出部105を介して先端部123に取り付けられており、内蔵する駆動手段により、研磨パッド10の研磨面10aに垂直な方向を回転軸として研磨パッド10を回転させる。研磨工具104の駆動手段は特に限定されないが、一般的にシングルアクション、ダブルアクション、ギアアクション等が用いられ、塗装部材の研磨ではダブルアクションが好まれる。
また、図8の(b)及び(c)に示すように、研磨工具104の先端には、研磨パッド10が取り付けられる部位であるパッド取り付け部111が備えられている。図8の(b)は、パッド取り付け部111の直径と研磨パッド10の研磨層1の直径が同径である場合の例であり、図8の(c)は、パッド取り付け部111の直径よりも研磨パッド10の研磨層1の直径の方が大きい場合の例である。
さらに、コントローラ107は、ロボットアーム102の挙動と、研磨工具104による研磨パッド10の回転とを制御する。図示しない研磨用組成物供給機構からは、研磨パッド10の研磨面10aと塗装部材の樹脂塗装面との間に研磨用組成物が供給されるようになっている。
コントローラ107は、ロボットアーム102によって研磨パッド10の研磨面10aを塗装部材の樹脂塗装面に押し付け研磨パッド10を回転させることによって、塗装部材の樹脂塗装面を研磨する。押圧力検出部105は、塗装部材の樹脂塗装面に対する研磨パッド10の研磨面10aの押圧力を検出する。コントローラ107は、押圧力検出部105による押圧力の検出結果に基づいて、研磨面10aを塗装部材の樹脂塗装面に押し付ける力の調整を行ってもよい。また、コントローラ107は、押圧力検出部105による押圧力の検出結果に基づいて、塗装部材の樹脂塗装面に対する研磨面10aの押圧力を一定にしたまま塗装部材の樹脂塗装面上を研磨パッド10が移動するように、ロボットアーム102を制御してもよい。
研磨パッド10を研磨工具104のパッド取り付け部に固定する方法は特に限定されるものではないが、例えば、両面接着テープ、接着剤、面ファスナー等を用いる固定方法が挙げられる。
研磨パッド10のうち、研磨工具104のパッド取り付け部と接触する箇所の断面形状は、特に限定されるものではないが、例えば、直線状、曲線状、又はこれらを組み合わせた形状などが挙げられる。
研磨パッド10のうち、研磨工具104のパッド取り付け部と接触する箇所の外周形状は、特に限定されるものではないが、例えば、円形状、多角形状などが挙げられる。
研磨パッド10のうち、研磨工具104のパッド取り付け部と接触する箇所の表面には、溝加工、孔加工、エンボス加工等の加工を施してもよいが、これら以外の加工を施してもよい。
研磨工具104のパッド取り付け部の材質は、研磨パッドに対して押付圧を十分に伝えるために研磨パッドの材質よりも硬い材質であれば特に限定されるものではないが、例えば、樹脂、金属、セラミック、繊維強化樹脂、複合材等を使用することができる。繊維強化樹脂としては、例えば、炭素繊維強化樹脂、ガラス繊維強化樹脂があげられる。繊維強化樹脂に使用される樹脂の種類は特に限定されるものではないが、例えばエポキシ樹脂があげられる。また、複合材としては、例えば、意図的に無機粒子を含有した金属等の2種類以上の材質を組み合わせた複合材などがあげられる。
ただし、本実施形態の研磨方法は、上記の自動研磨装置に限定して適用されるものではない。例えば、本実施形態の研磨方法は、研磨パッドをハンドポリッシャの先端に取り付け、研磨作業者が手作業でハンドポリッシャを動かして樹脂塗装面を研磨する場合に適用してもよい。ハンドポリッシャの駆動手段は特に限定されないが、一般的にシングルアクション、ダブルアクション、ギアアクション等が用いられ、塗装部材の研磨ではダブルアクションが好まれる。
なお、以上の本実施形態は本発明の一例を示したものであって、本発明は本実施形態に限定されるものではない。また、以上の本実施形態には種々の変更又は改良を加えることが可能であり、その様な変更又は改良を加えた形態も本発明に含まれ得る。例えば、本実施形態の研磨方法は、曲面状の被研磨面の研磨に好適であるが、平面状の被研磨面の研磨にも適用可能である。
〔実施例〕
以下に実施例及び比較例を示し、表1を参照しながら本発明をさらに具体的に説明する。種々の研磨パッドを用いて、平面状の被研磨面を有する研磨対象物の研磨試験、及び、曲面状の被研磨面を有する研磨対象物に対する追従性評価試験を行った。まず、使用した研磨パッドについて説明する。
(実施例1)
実施例1の研磨パッドは、直径125mm、厚さ1.6mmの円板状の不織布からなる研磨層と、直径125mm、厚さ20mmの円板状の発泡ポリウレタンからなる支持層と、からなる。研磨層の一方の円板面が研磨面をなしており、他方の円板面に支持層が接合されている。タイプAデュロメータ(デュロメータ硬さ試験機)にて測定した研磨層の硬さ(A硬度)は、84である。
そして、実施例1の研磨パッドは、図1に示す研磨パッドと同様のものであり、研磨層には環状の貫通部が形成されている。環状の貫通部の開口部は、研磨面と同心に配されており、その内周の半径は36mm、外周の半径は50mmである。すなわち、環状の貫通部の開口部は、14mmの幅を有している。
研磨面は直径125mmの円形であるので、研磨面の面積は12266mm2である。また、環状の貫通部の開口部は内径72mm、外径100mmの円環状であるので、環状の貫通部の開口部の総面積は3781mm2である。よって、研磨面の面積に対する貫通部の開口部の総面積の割合(表1においては「開口部の面積比」と記してある)は31%である。
支持層にも研磨層と同じ位置に環状の凹部が形成されている。この凹部は、支持層を厚さ方向に貫通する貫通孔である。支持層の凹部は、研磨層の環状の貫通部と連続して形成されていて、支持層の凹部と研磨層の環状の貫通部とが一体となって、研磨パッドを厚さ方向に貫通する一つの環状の貫通孔を形成している。
(実施例2)
実施例2の研磨パッドは、直径125mm、厚さ1.4mmの円板状のスウェードからなる研磨層と、直径125mm、厚さ20mmの円板状の発泡ポリウレタンからなる支持層と、からなる。研磨層の一方の円板面が研磨面をなしており、他方の円板面に支持層が接合されている。タイプAデュロメータ(デュロメータ硬さ試験機)にて測定した研磨層の硬さ(A硬度)は、43である。
そして、実施例2の研磨パッドは、図3に示す研磨パッドと同様のものであり、研磨層には8個の非環状の貫通部が形成されている。これら8個の非環状の貫通部の開口部の平面形状は、直径16mmの円形である。8個の非環状の貫通部の開口部は、研磨面に仮想的に配置した正八角形の頂点に相当する位置にそれぞれ設けられている。研磨面の中心から非環状の貫通部の開口部の中心までの距離は43mm、研磨面の中心から非環状の貫通部の径方向内側の端部までの距離は35mmである。また、隣り合う二つの非環状の貫通部の互いに対向する端部から研磨面の中心へそれぞれ仮想直線を引いた場合に、これら2つの仮想直線のなす角度は24度である。
1個の貫通部の開口部の面積は201mm2であるので、貫通部の開口部の総面積は1608mm2であり、研磨面の面積に対する8個の非環状の貫通部の開口部の総面積の割合は13%である。
支持層には8個の凹部が形成されており、これら凹部は、支持層を厚さ方向に貫通する貫通孔である。また、支持層の凹部はそれぞれ、研磨層の貫通部と連続して形成されていて、支持層の凹部と研磨層の貫通部とが一体となって、研磨パッドを厚さ方向に貫通する一つの非環状の貫通孔を形成している。
(実施例3)
実施例3の研磨パッドは、非環状の貫通部の個数と非環状の貫通部の開口部の平面形状が異なる点を除いては、実施例2の研磨パッドと同様である。すなわち、実施例3の研磨パッドは、図5に示す研磨パッドと同様のものであり、研磨層には6個の非環状の貫通部が形成されている。これら6個の貫通部の開口部の平面形状は、短径14mmの繭形である。6個の貫通部の開口部は、研磨面に仮想的に配置した正六角形の頂点に相当する位置にそれぞれ設けられている。
研磨面の中心から貫通部の開口部の中心までの距離は43mm、研磨面の中心から貫通部の径方向内側の端部までの距離は36mmである。また、隣り合う二つの貫通部の互いに対向する端部から研磨面の中心へそれぞれ仮想直線を引いた場合に、これら2つの仮想直線のなす角度は24度である。1個の貫通部の開口部の面積は346mm2であるので、貫通部の開口部の総面積は2076mm2であり、研磨面の面積に対する6個の貫通部の開口部の総面積の割合は17%である。
(実施例4)
実施例4の研磨パッドは、研磨層が直径125mm、厚さ1.6mm、A硬度84の円板状の不織布からなる点を除いては、実施例3の研磨パッドと同様である。
(実施例5)
実施例5の研磨パッドは、直径150mm、厚さ1.4mmの円板状のスウェードからなる研磨層と、直径150mm、厚さ20mmの円板状の発泡ポリウレタンからなる支持層と、からなる。研磨層の一方の円板面が研磨面をなしており、他方の円板面に支持層が接合されている。タイプAデュロメータ(デュロメータ硬さ試験機)にて測定した研磨層の硬さ(A硬度)は、43である。
そして、実施例5の研磨パッドは、実施例3と同様の非環状の貫通部が形成されている。これら6個の貫通部の開口部の平面形状は、短径14mmの繭形である。6個の貫通部の開口部は、研磨面に仮想的に配置した正六角形の頂点に相当する位置にそれぞれ設けられている。
研磨面の中心から非環状の貫通部の開口部の中心までの距離は43mm、研磨面の中心から非環状の貫通部の径方向内側の端部までの距離は36mmである。また、隣り合う二つの非環状の貫通部の互いに対向する端部から研磨面の中心へそれぞれ仮想直線を引いた場合に、これら2つの仮想直線のなす角度は24度である。1個の貫通部の開口部の面積は346mm2であるので、貫通部の開口部の総面積は2076mm2であり、研磨面の面積に対する6個の非環状の貫通部の開口部の総面積の割合は12%である。
(実施例6)
実施例6の研磨パッドは、研磨層が直径150mm、厚さ1.6mm、A硬度84の円板状の不織布からなる点を除いては、実施例5の研磨パッドと同様である。
(実施例7)
実施例7の研磨パッドは、実施例4の研磨パッドと同様の研磨パッドである。ただし、実施例7は、後に詳述するように、研磨層の直径よりも小さい直径を有するパッド取り付け部を備えるハンドポリッシャに研磨パッドを取り付けて、評価を行った例である。
(実施例8)
実施例8の研磨パッドは、実施例6の研磨パッドと同様の研磨パッドである。ただし、実施例8は、後に詳述するように、研磨層の直径よりも小さい直径を有するパッド取り付け部を備えるハンドポリッシャに研磨パッドを取り付けて、評価を行った例である。
(実施例9)
実施例9の研磨パッドは、実施例5の研磨パッドと同様の研磨パッドである。ただし、実施例9は、後に詳述するように、研磨層の直径よりも小さい直径を有するパッド取り付け部を備えるハンドポリッシャに研磨パッドを取り付けて、評価を行った例である。
(比較例1)
研磨層に貫通部が形成されておらず、支持層に凹部が形成されていない点を除いては、実施例2の研磨パッドと同様である。
(比較例2)
研磨層に貫通部が形成されておらず、支持層に凹部が形成されていない点を除いては、実施例4の研磨パッドと同様である。
(比較例3)
比較例3の研磨パッドは、直径125mm、厚さ1.6mmの円板状の不織布からなる研磨層と、直径125mm、厚さ20mmの円板状の発泡ポリウレタンからなる支持層と、からなる。研磨層の一方の円板面が研磨面をなしており、他方の円板面に支持層が接合されている。タイプAデュロメータ(デュロメータ硬さ試験機)にて測定した研磨層の硬さ(A硬度)は、84である。
そして、比較例3の研磨パッドには、図9に示すように、研磨パッドの外縁から中心に向かって延びる6個の切り欠きが放射状に形成されている。これら切り欠きは、研磨層と支持層にわたって厚さ方向に連続して形成されているので、研磨パッドの外周縁側部分は切り欠きによって6個の花弁状領域に分割されている。
Figure 2020054823
実施例1〜9及び比較例1〜3の各研磨パッドを用いて、研磨対象物が有する平面状の被研磨面の研磨を行い、平面状の被研磨面のうねり除去性について評価した。また、実施例1〜9及び比較例1〜3の各研磨パッドを用いて、曲面状の被研磨面の研磨を行い、曲面状の被研磨面に対する研磨パッドの追従性と、ボンネット端部の研磨の可否について評価した。これら3つの評価項目の詳細な評価方法について、以下に説明する。
〔曲面状の被研磨面に対する研磨パッドの追従性〕
ニッタ株式会社製の圧力分布測定システム「C−SCAN12S」を用いて、研磨対象物が有する平面及び2種の曲面に対して、研磨パッドを4kgの荷重圧力で押し付けて、各圧力分布値を測定した。2種の曲面は、曲率R250の凸面と、曲率R250の凹面である。
凸面については、研磨パッドの研磨面を水平にして凸面の頂点部分に押し付ける試験(この試験を、以下「凸面」と記す)を行った。凹面については、研磨パッドの研磨面を水平にして凹面の底部に押し付ける試験(この試験を、以下「凹面1」と記す)と、研磨パッドの研磨面を凹面の湾曲に沿う方向に水平から5°傾斜させた上で、凹面の底部から湾曲方向に20mm移動した位置に押し付ける試験(この試験を、以下「凹面2」と記す)を行った。
得られた測定値から、研磨パッドの研磨面のうち研磨対象物に接触した部分の面積を算出した。そして、平面の場合の接触した部分の面積を100%とした相対値で、曲面の場合の接触した部分の面積を表した。凸面の場合は、接触した部分の面積の割合が65%以上であればA、60〜64%であればB、60%未満であればCとし、凹面1及び凹面2の場合は、接触した部分の面積の割合が53%以上であればA、50〜52%であればB、50%未満であればCとして、表1に記した。
〔平面状の被研磨面のうねり除去性〕
研磨対象物の平面状の被研磨面を、実施例1〜9及び比較例1〜3の各研磨パッドを用いてそれぞれ研磨した。研磨対象物は、平板状の金属板であり、その表面は合成樹脂塗料で塗装されている。つまり、被研磨面は、合成樹脂からなる塗膜面である。塗膜の厚さは40μmである。研磨においては、研磨対象物の被研磨面と研磨パッドの研磨面との間に、後述する研磨用組成物を介在させた。
評価方法についてさらに詳述すると、実施例1〜6及び比較例1〜3については、研磨パッドをハンドポリッシャの直径125mmのパッド取り付け部に装着し、回転速度4200min-1で回転させて、平面状の塗膜面を5分間研磨した。実施例7〜9については、研磨パッドをハンドポリッシャの直径75mmのパッド取り付け部に装着し、回転速度4200min-1で回転させて、平面状の塗膜面を5分間研磨した。研磨用組成物の使用量は、2mL/minとした。そして、研磨が終了したら、各研磨対象物の被研磨面のうねり除去性について評価した。結果を表1に示す。表1には、パッド取り付け部の直径に対する研磨パッドの研磨層の直径の比([研磨パッドの研磨層の直径]/[パッド取り付け部の直径])も示す。
なお、うねり除去性の評価には、BYK−Gardner社製の塗装表面性状測定器「Wavescan dual」で測定したWeの値を使用した。研磨前のWeの値は7.5であった。
研磨後の被研磨面のWeが2以下であると、うねりが特に小さい良好な面であると判断されるので、表1においてはAで示した。Weが2を超え4以下であると、うねりが小さく問題ない範囲であると判断されるので、表1においてはBで示した。Weが4を超え6以下であると、うねりが使用可能な範囲であると判断されるので、表1においてはCで示した。Weが6超過であると、うねりが大きくて美しい表面仕上げを施すことができず問題があると判断されるので、表1においてはDで示した。
〔ボンネット端部の研磨の可否〕
研磨対象物の曲面状の被研磨面を、実施例1〜9及び比較例1〜3の各研磨パッドを用いてそれぞれ研磨した。研磨対象物は、合成樹脂塗料で塗装された自動車のボンネットであり、塗膜の厚さは40μmである。研磨においては、研磨対象物の被研磨面と研磨パッドの研磨面との間に、後述する研磨用組成物を介在させた。
評価方法についてさらに詳述すると、実施例1〜6及び比較例1〜3については、研磨パッドをハンドポリッシャの直径125mmのパッド取り付け部に装着し、回転速度4200min-1で回転させて、自動車のボンネットの縁部のみを2分間研磨した。実施例7〜9については、研磨パッドをハンドポリッシャの直径75mmのパッド取り付け部に装着し、回転速度4200min-1で回転させて、自動車のボンネットの縁部のみを2分間研磨した。研磨用組成物の使用量は、2mL/minとした。
そして、研磨後の研磨パッドに破損があるか否かを確認した。表1においては、研磨後の研磨パッドに破損が無かった場合は「B」を示し、破損が無かった上にパッド取り付け部が被研磨面に当たりにくいことによって局所的な圧力の発生が抑えられていた場合は「A」を示し、破損があった場合は「C」を示してある。
上記の評価において使用した研磨用組成物の内容は、以下の通りである。
〔研磨用組成物〕
・イソパラフィン系炭化水素:16質量%
・ポリオキシアルキレンアルキルエーテル(HLB=13.3):0.8質量%
・グリセリン:2質量%
・アクリル酸系高分子:2.0質量%
・水酸化ナトリウム:0.06質量%
・アルミナ:15質量%
・ナトリウムスティブンサイト:0.1質量%
・残部:水
・粘度:1〜30000mPa・s(回転粘度計TVB−10Hを用いて、回転速度20min-1で測定した)
アルミナの平均二次粒子径(D50)は0.5μmであり、α化率は60〜100%である。平均二次粒子径は、株式会社堀場製作所製のレーザー回折/散乱式粒子径分布測定装置LA−950V2を用いて測定した。α化率は、株式会社リガク製のX線解析装置Ultima−IVを用いたX線回折測定による(113)面回折線の積分強度比から求めた。なお、D50とは、体積基準の積算粒子径分布において小粒径側からの積算頻度が50%となる粒子径である。
ナトリウムスティブンサイトの平均一次粒子径は0.08μmであり、アスペクト比は80である。平均一次粒子径及びアスペクト比は、走査型電子顕微鏡観察によって測定した。また、ナトリウムスティブンサイトの水分散液の粘度は1000mPa・sであり、ナトリウムスティブンサイトの膨潤力は12mL/2gである。水分散液の粘度は、BM型粘度計を用いて測定した。水分散液中のナトリウムスティブンサイトの濃度は、4質量%である。測定条件は、回転速度60min-1、温度25℃である。
表1に示す評価結果から分かるように、実施例1〜9の研磨パッドは、研磨層に貫通部が形成されているため、追従性及びうねり除去性が優れていた。また、研磨層の外縁に角部や切り欠かれた部分が存在せず、研磨層の外縁は滑らかな線状をなしているため、研磨時にボンネットの縁部と接触しても研磨パッドに欠け等の破損は生じなかった。さらに実施例5〜9の研磨パッドは、パッド取り付け部が被研磨面に当たりにくいことによって局所的な圧力の発生が抑えられていた。
一方、比較例1、2の研磨パッドは、研磨層に貫通部が形成されていないので、追従性が不十分であった。
また、比較例3の研磨パッドは、研磨層に切り欠きが形成されているため、追従性は優れているものの、研磨層の外縁に切り欠かれた部分が存在し、研磨層の外縁は滑らかな線状をなしていないので、研磨時にボンネットの縁部と接触した際に研磨パッドに欠け等の破損が生じた。
1 研磨層
1a 貫通部
1c 線状溝
2 支持層
2a 凹部
10 研磨パッド
10a 研磨面
90 研磨対象物
90a 被研磨面

Claims (22)

  1. 研磨面を有する研磨層と、弾性体からなり且つ前記研磨層を支持する支持層と、を備える積層体で構成され、
    前記研磨層の外縁よりも内側の領域に、該研磨層を厚さ方向に貫通する貫通部が形成されており、
    さらに前記研磨層が、JIS K6253−3:2012に規定されたデュロメータ硬さタイプAが30以上である素材で形成されている研磨パッド。
  2. 前記研磨層の厚さが0.5mm以上5mm以下である請求項1に記載の研磨パッド。
  3. 前記研磨面の面積に対する前記貫通部の開口部の総面積の割合が3%以上35%以下である請求項1又は請求項2に記載の研磨パッド。
  4. 前記貫通部は、前記研磨面の中心を中心とする半径15mmの円形の領域よりも外側の領域のみに形成されている請求項1〜3のいずれか一項に記載の研磨パッド。
  5. 前記貫通部の開口部の平面形状が環状であり、前記研磨面が、前記貫通部の外側の環状の研磨面と、前記貫通部の内側の円形状の研磨面とに分かれている請求項1〜4のいずれか一項に記載の研磨パッド。
  6. 前記貫通部の内側の円形状の研磨面の直径が30mm以上120mm以下である請求項5に記載の研磨パッド。
  7. 前記貫通部の外側の環状の研磨面の直径が、前記貫通部の内側の円形状の研磨面の直径よりも大きく且つ300mm以下である請求項5又は請求項6に記載の研磨パッド。
  8. 前記貫通部の外側の環状の研磨面の中心と、前記貫通部の内側の円形状の研磨面の中心が共通である請求項5〜7のいずれか一項に記載の研磨パッド。
  9. 前記貫通部の外側の環状の研磨面の幅が10mm以上である請求項5〜8のいずれか一項に記載の研磨パッド。
  10. 前記環状の貫通部の幅が11mm以上17mm以下である請求項5〜9に記載の研磨パッド。
  11. 前記貫通部の開口部の平面形状が非環状である請求項1〜4のいずれか一項に記載の研磨パッド。
  12. 前記非環状の貫通部の短径が11mm以上17mm以下である請求項11に記載の研磨パッド。
  13. 前記非環状の貫通部が3個以上16個以下形成されている請求項11又は請求項12に記載の研磨パッド。
  14. 隣り合う二つの前記非環状の貫通部の開口部の互いに対向する端部から前記研磨面の中心へそれぞれ仮想直線を引いた場合に、これら2つの仮想直線のなす角度が20度以上85度以下である請求項13に記載の研磨パッド。
  15. 前記支持層が樹脂製の弾性体で形成されている請求項1〜14のいずれか一項に記載の研磨パッド。
  16. 前記研磨層よりも前記支持層の方が硬さが低い請求項1〜15のいずれか一項に記載の研磨パッド。
  17. 研磨工具に取り付けられて研磨に使用されるものであり、前記研磨工具のうち研磨パッドが取り付けられる部位であるパッド取り付け部の直径よりも、前記研磨層の直径の方が大きい請求項1〜16のいずれか一項に記載の研磨パッド。
  18. 前記研磨面に線状溝が形成されている請求項1〜17のいずれか一項に記載の研磨パッド。
  19. 請求項1〜18のいずれか一項に記載の研磨パッドを備える研磨工具。
  20. 請求項1〜18のいずれか一項に記載の研磨パッドの研磨面と、研磨対象物が有する曲面状の被研磨面とを、研磨用組成物の存在下で摺動させることにより、前記被研磨面を研磨する研磨方法。
  21. 請求項19に記載の研磨工具が備える研磨パッドの研磨面と、研磨対象物が有する曲面状の被研磨面とを、研磨用組成物の存在下で摺動させることにより、前記被研磨面を研磨する研磨方法。
  22. 前記研磨用組成物は、砥粒及び添加剤を含有するエマルションからなり、前記添加剤は、油剤、乳化安定剤、及び増粘剤から選ばれる少なくとも一種である請求項20又は請求項21に記載の研磨方法。
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