JPWO2020040276A1

JPWO2020040276A1 - 表示装置

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Publication number: JPWO2020040276A1
Application number: JP2020538477A
Authority: JP
Inventors: 成美的場; 匠佐藤
Original assignee: Nippon Seiki Co Ltd
Current assignee: Nippon Seiki Co Ltd
Priority date: 2018-08-23
Filing date: 2019-08-23
Publication date: 2021-08-12
Also published as: WO2020040276A1

Abstract

ＡＲ画像と非ＡＲ画像とを同じ期間で表示する際に双方を見やすく表示することができる表示装置を提供する。表示装置は、車両の前方風景と重なる虚像Ｖとして視認者に視認される重畳画像を表示する。表示装置は、虚像Ｖの表示領域内において車両の前方路面に沿って視認されるＡＲ画像としての第１画像Ｃ１と、第１画像Ｃ１よりも視認者側に立ち上がって視認される非ＡＲ画像としての第２画像Ｃ２とを表示可能である。表示装置は、第１画像Ｃ１と第２画像Ｃ２とを同じ期間で表示する場合に、第１領域Ａに第１画像Ｃ１を表示するとともに第１領域Ａと隣り合う第２領域Ｂに第２画像Ｃ２を表示し、第１領域Ａと第２領域Ｂの境界部Ｇをグラデーション状に表示し、境界部Ｇに沿って線状に視認される線状画像Ｅを表示する。

Description

本発明は、表示装置に関する。

従来の表示装置として、特許文献１には、車両の前方風景と重なる虚像として視認者（主に車両の運転者）に視認される画像を表示するものが開示されている。

特開２０１５−６４４７２号公報

上記のような表示装置では、虚像として、例えば、車両の前方路面に沿って視認される態様の画像（以下、ＡＲ（Augmented Reality）画像と言う。）や、ＡＲ画像よりも視認者側に立ち上がって視認される態様（例えば、視認者に正対して視認される態様）の画像（以下、非ＡＲ画像と言う。）の表示が可能である。しかしながら、所定の表示領域内において、ＡＲ画像と非ＡＲ画像とを同じ期間で表示する場合、単に双方を表示しただけでは、情報の混在により視認者に煩わしさを与えてしまう虞がある。

本発明は、上記実情に鑑みてなされたものであり、ＡＲ画像と非ＡＲ画像とを同じ期間で表示する際に双方を見やすく表示することができる表示装置を提供することを目的とする。

上記目的を達成するため、本発明に係る表示装置は、
車両の前方風景と重なる虚像として視認者に視認される重畳画像を表示する表示装置であって、
前記重畳画像の表示制御を行い、前記重畳画像の表示領域内において前記車両の前方路面に沿って視認される第１画像と前記第１画像よりも前記視認者側に立ち上がって視認される第２画像とを表示可能な表示制御手段を備え、
前記表示制御手段は、前記第１画像と前記第２画像とを同じ期間で表示する場合に、前記表示領域内における第１領域に前記第１画像を表示するとともに前記第１領域と隣り合う第２領域に前記第２画像を表示し、
前記第１領域と前記第２領域の境界部をグラデーション状に表示し、
前記境界部に沿って線状に視認される線状画像を表示する。

本発明によれば、ＡＲ画像と非ＡＲ画像とを同じ期間で表示する際に双方を見やすく表示することができる。

本発明の一実施形態に係るヘッドアップディスプレイ（ＨＵＤ）装置の車両への搭載態様を説明するための図である。車両用表示システムのブロック図である。（ａ）〜（ｃ）は、同時表示モードにおける虚像の構成例を説明するための図である。線状画像パターンの例を示す表の図である。（ａ）〜（ｃ）は、線状画像パターンに対応する虚像表示例を示す図である。（ａ）〜（ｃ）は、線状画像パターンに対応する虚像表示例を示す図である。（ａ）〜（ｃ）は、線状画像パターンに対応する虚像表示例を示す図である。（ａ）及び（ｂ）は、影状画像を説明するための図である。（ａ）及び（ｂ）は、変形例に係る虚像の構成例を説明するための図である。

本発明の一実施形態に係る表示装置について図面を参照して説明する。

本実施形態に係る表示装置は、図２に示す車両用表示システム１００に含まれるＨＵＤ（Head-Up Display）装置１０である。ＨＵＤ装置１０は、図１に示すように、車両１のダッシュボード２の内部に設けられ、車両１に関する情報（以下、車両情報と言う。）だけでなく、車両情報以外の情報も統合的に運転者５に報知する。なお、車両情報は、車両１自体の情報だけでなく、車両１の運行に関連した車両１の外部の情報も含む。

車両用表示システム１００は、車両１内において構成されるシステムであり、ＨＵＤ装置１０と、周辺情報取得部４０と、前方情報取得部５０と、カーナビゲーション（カーナビ）装置６０と、ＥＣＵ（Electronic Control Unit）７０と、操作部８０と、を備える。

ＨＵＤ装置１０は、図１に示すように、コンバイナ処理されたフロントガラス３に向けて表示光Ｌを射出する。フロントガラス３で反射した表示光Ｌは、運転者５側へと向かう。運転者５は、視点をアイボックス４内におくことで、フロントガラス３の前方に、表示光Ｌが表す画像を虚像Ｖとして視認することができる。つまり、ＨＵＤ装置１０は、フロントガラス３の前方位置に虚像Ｖを表示する。これにより、運転者５は、虚像Ｖを前方風景と重畳させて観察することができる。

ＨＵＤ装置１０は、図２に示す表示部２０及び制御装置３０と、図示しない反射部とを備える。

表示部２０は、制御装置３０の制御により、虚像Ｖとして運転者５に視認される重畳画像を表示する。表示部２０は、例えば、ＴＦＴ（Thin Film Transistor）型のＬＣＤ（Liquid Crystal Display）や、ＬＣＤを背後から照明するバックライト等を有する。バックライトは、例えばＬＥＤ（Light Emitting Diode）から構成されている。表示部２０は、制御装置３０の制御の下で、バックライトに照明されたＬＣＤが画像を表示することにより表示光Ｌを生成する。生成した表示光Ｌは、反射部で反射した後に、フロントガラス３に向けて射出される。反射部は、例えば、折り返しミラーと凹面鏡の二枚の鏡から構成される。折り返しミラーは、表示部２０から射出された表示光Ｌを折り返して凹面鏡へと向かわせる。凹面鏡は、折り返しミラーからの表示光Ｌを拡大しつつ、フロントガラス３に向けて反射させる。これにより、運転者５に視認される虚像Ｖは、表示部２０に表示されている画像が拡大されたものとなる。なお、反射部を構成する鏡の枚数は設計に応じて任意に変更可能である。

なお、以下では、虚像Ｖとして運転者５に視認される画像を表示部２０が表示することを「重畳画像を表示する」とも言う。また、制御装置３０が表示部２０の表示制御を行うことを「重畳画像の表示制御を行う」とも言う。また、表示部２０は、重畳画像を表示することができれば、ＬＣＤを用いたものに限られず、ＯＬＥＤ（Organic Light Emitting Diodes）、ＤＭＤ（Digital Micro mirror Device）、ＬＣＯＳ（Liquid Crystal On Silicon）などの表示デバイスを用いたものであってもよい。

制御装置３０は、ＨＵＤ装置１０の全体動作を制御するマイクロコンピュータからなり、制御部３１と、ＲＯＭ（Read Only Memory）３２と、ＲＡＭ（Random Access Memory）３３とを備える。また、制御装置３０は、図示しない構成として、駆動回路や、車両１内の各種システムと通信を行うための入出力回路を備える。

ＲＯＭ３２は、動作プログラムや各種の画像データを予め記憶する。ＲＡＭ３３は、各種の演算結果などを一時的に記憶する。制御部３１は、ＲＯＭ３２に記憶された動作プログラムを実行するＣＰＵ（Central Processing Unit）３１ａと、ＣＰＵと協働して画像処理を実行するＧＤＣ（Graphics Display Controller）３１ｂとを備える。ＧＤＣ３１ｂは、例えば、ＧＰＵ（Graphics Processing Unit）、ＦＰＧＡ（Field-Programmable Gate Array）、ＡＳＩＣ（Application Specific Integrated Circuit）等から構成されている。特に、ＲＯＭ３２には、後述の表示制御を行うための動作プログラムが格納されている。なお、制御装置３０や制御部３１の構成は、以下に説明する機能を充足する限りにおいては任意である。

制御部３１は、表示部２０を駆動制御する。例えば、制御部３１は、ＣＰＵ３１ａで表示部２０のバックライトを駆動制御し、ＣＰＵ３１ａと協働して動作するＧＤＣ３１ｂで表示部２０のＬＣＤを駆動制御する。

制御部３１のＣＰＵ３１ａは、ＧＤＣ３１ｂと協働して、ＲＯＭ３２に記憶された各種の画像データに基づき、重畳画像の制御を行う。ＧＤＣ３１ｂは、ＣＰＵ３１ａからの表示制御指令に基づき、表示部２０の表示動作の制御内容を決定する。ＧＤＣ３１ｂは、表示部２０に表示する１画面を構成するために必要な画像パーツデータをＲＯＭ３２から読み込み、ＲＡＭ３３へ転送する。また、ＧＤＣ３１ｂは、ＲＡＭ３３を使って、画像パーツデータやＨＵＤ装置１０の外部から通信により受け取った各種の画像データを元に、１画面分の絵データを作成する。そして、ＧＤＣ３１ｂは、ＲＡＭ３３で１画面分の絵データを完成させたところで、画像の更新タイミングに合わせて、表示部２０に転送する。これにより、表示部２０に虚像Ｖとして運転者５に視認される重畳画像が表示される。また、虚像Ｖとして視認される画像を構成する各画像には予めレイヤが割り当てられており、制御部３１は、各画像の個別の表示制御が可能となっている。

また、制御部３１は、虚像Ｖの表示領域内におけるコンテンツ画像（図３（ａ）、（ｂ）に示す後述の第１画像Ｃ１や第２画像Ｃ２など）の表示位置と、コンテンツ画像の表示距離とを制御する。なお、図３（ａ）〜（ｃ）等で虚像Ｖが示している実線の枠は、虚像Ｖの表示領域を示し、コンテンツ画像は、当該表示領域内に虚像として視認される画像である。これは、虚像Ｖとして運転者５に視認される重畳画像を表示する表示部２０において、当該重畳画像の表示領域内にコンテンツ画像が表示されることと同義である。

表示位置の制御とは、運転者５から見て、虚像Ｖの表示領域内における任意の位置に画像が表示されるように制御部３１が表示部２０を制御することである。また、表示距離の制御とは、運転者５から見て、コンテンツ画像が車両１からどのくらい前方に表示されるかの制御である。つまり、表示距離の制御とは、車両１の前方に所定距離向かった位置にコンテンツ画像が視認されるように制御部３１が表示部２０を制御することである。表示距離の制御については、制御部３１が虚像Ｖの表示領域内におけるコンテンツ画像を、奥行きを持たせた態様で表示制御可能であることにより実現される。例えば、当該奥行きを持たせた態様でコンテンツ画像を表示するには、ＲＯＭ３２に予め３Ｄ画像データを格納しておき、後述の物体情報等から算出可能な、画像の重畳対象となる物体の位置や車両１から当該物体までの距離に基づいて、遠近法（例えば、一点透視図法）を用いてコンテンツ画像を描画制御する。また、表示部２０の表示面（ＬＣＤの表示面や、ＤＭＤやＬＣＯＳを用いた場合にはスクリーン）を傾けて配置することにより、虚像Ｖが表示される仮想面（表示部２０の表示面に対応する面）を車両１の上下方向に対して前方に傾けて設定することでコンテンツ画像に奥行きを持たせてもよい。この場合、運転者５の視点から視認させたい像の前記仮想面への射影を考慮して、制御部３１は、コンテンツ画像を奥行きを持たせた態様で描画制御すればよい。運転者５の視点位置として、制御部３１は、ＲＯＭ３２内に予め格納した想定される視点位置を用いてもよいし、運転者５の視点位置を検出する視点検出部（図示せず）からの視線情報を用いてもよい。

この実施形態では、上記のようにコンテンツ画像の表示位置と表示距離とを制御可能であることにより、制御部３１は、虚像Ｖの表示領域内に、次に述べる第１画像Ｃ１と第２画像Ｃ２とを表示可能となっている。例えば、虚像Ｖの表示モードとして、虚像Ｖの表示領域内に第１画像Ｃ１と第２画像Ｃ２のうち一方を表示するが他方を表示しない「単独表示モード」と、虚像Ｖの表示領域内に第１画像Ｃ１及び第２画像Ｃ２の双方を同時に（同じ期間で）表示する「同時表示モード」とが設けられている。そして、制御部３１は、操作部８０が運転者５による表示モード切替操作を受け付けたことに応じて、現状の表示モードから他の表示モードへと切り替える。まずは、第１画像Ｃ１及び第２画像Ｃ２について説明する。

第１画像Ｃ１は、虚像Ｖの表示領域内において車両１の前方路面に沿って視認されるＡＲ（Augmented Reality）画像である。
第１画像Ｃ１は、後述する前方物体に対応する位置に表示される画像であり、前方物体の存在を報知するための画像である。前方物体は、例えば、車両１（以下、自車１とも言う。）の先行車両であり、図３（ａ）及び（ｂ）は、第１画像Ｃ１が先行車両（図示せず）に対応する位置に表示されている例を示している。図３（ａ）及び（ｂ）の例では、第１画像Ｃ１が略三角形の枠内にエクスクラメーションマークが表されて構成されている。なお、第１画像Ｃ１は、対応する前方物体の存在を注意喚起することができれば、その態様は任意であり、例えば、文字、記号、図形、アイコンやこれらの組み合わせであればよい。また、第１画像Ｃ１の表示位置としての「前方物体に対応する位置」とは、前方物体に重畳して視認される位置に限られず、前方物体の近傍の位置であってもよい。

第２画像Ｃ２は、虚像Ｖの表示領域内において第１画像Ｃ１よりも視認者側に立ち上がって視認される態様（例えば、視認者に正対して視認される態様）の非ＡＲ画像である。
第２画像Ｃ２は、図３（ａ）に示すように、ユーザにより設定された案内経路や、車両１の現在地近傍の地図情報（当該地図情報については図示省略）を示すものである。第２画像Ｃ２は、例えば、俯瞰態様で表した地図情報画像と、当該画像に重ねて表示される案内経路画像（例えば、矢印を示す画像など）とを含んで構成される。制御部３１は、後述のカーナビ装置６０からの経路案内情報に基づき、第２画像Ｃ２の表示制御を行う。

ＡＲ画像としての第１画像Ｃ１は、実景としての前方路面に沿って運転者５に視認される。第１画像Ｃ１は、例えば、後述の交通情報や前方画像データに基づいて特定される前方路面に沿うように、制御部３１によって遠近法（例えば、一点透視図法）を用いて描画される。ここで、遠近法を用いて描画されて前方路面に沿って視認される画像をパース度「１００％」とする。一方、前方路面よりも運転者５側に起き上がって視認されるとともに、運転者５と正対して視認される画像をパース度「０％」とする。パース度１００％〜０％の間の度合は、視認される画像の前方路面から運転者５に向かっての起き上がり度合に対応する。こうした場合、例えば、ＡＲ画像としての第１画像Ｃ１はパース度１００％で表示され、非ＡＲ画像としての第２画像Ｃ２はパース度０％で表示される。なお、第１画像Ｃ１は、運転者５が前方路面に沿って表示されていると認識可能な範囲であれば、パース度１００％よりも小さい度合のパース度で表示されてもよい。また、第２画像Ｃ２は、第１画像Ｃ１よりも運転者５側に立ち上がって視認されるものであれば、パース度０％よりも大きい度合のパース度で表示されてもよい。

続いて、虚像Ｖの表示領域内に第１画像Ｃ１及び第２画像Ｃ２の双方を同じ期間で表示する「同時表示モード」の構成を図３（ａ）〜（ｃ）を参照して説明する。

同時表示モードにおける虚像Ｖの表示領域は、第１領域Ａと、第２領域Ｂとを有する。第１領域Ａと第２領域Ｂとは、図３（ｂ）、（ｃ）に点線で示した境界線Ｄを挟んで隣り合っている。なお、図において点線で示した境界線Ｄは、第１領域Ａと第２領域Ｂの形状を説明するためのものに過ぎず、実際に視認されるものでなくともよい。図３（ｂ）に示すように、第１領域Ａは、運転者５から見て第２領域Ｂよりも上方に位置する。第１領域Ａ内に第１画像Ｃ１が表示され、第２領域Ｂ内に第２画像Ｃ２が表示される。

また、同時表示モードにおける虚像Ｖでは、境界線Ｄを含む境界部Ｇ（図３（ｃ）において破線で示した部分）がグラデーション状に表示される。具体的には、第１領域Ａのうち境界部Ｇを除く部分の背景画像の色を「第１の色」とし、第２領域Ｂのうち境界部Ｇを除く部分の背景画像の色を「第２の色」とすると、境界部Ｇにおいては、第１の色と第２の色の一方から他方へ連続的に変化するグラデーション処理が施される。なお、第１の色と第２の色とは互いに異なる色であれば任意である。

また、同時表示モードにおける虚像Ｖでは、境界部Ｇに沿って線状に視認される線状画像Ｅ（図３（ａ）、（ｂ）など参照）が表示される。線状画像Ｅは、例えば、図３（ａ）に示すように、等脚台形を構成する四辺のうち下底に対応する辺を除いた形状をなすとともに、脚が虚像Ｖの矩形状の表示領域の角（下側の角）に向かう形状をなしている。これにより、線状画像Ｅは、虚像Ｖの中央部から端部に向かって延びており、且つ、当該端部は、運転者５から見て当該中央部よりも下方に位置している。また、当該中央部における線状画像Ｅは、運転者５から見て左右方向に沿っている。

なお、この実施形態では、図３（ｂ）に示すように、線状画像Ｅが第１領域Ａ内に表示され、線状画像Ｅと境界線Ｄが一致していない例を示しているが、線状画像Ｅを境界線Ｄと一致させ、線状画像Ｅを第１領域Ａと第２領域Ｂとの区分線として機能させてもよい。この実施形態では、線状画像Ｅの態様として、図４に示すように、互いに異なる態様の線状画像パターンＰ１〜Ｐ９が用意されている。これらパターンについては、後述する。

図２に戻って、制御部３１のＣＰＵ３１ａは、周辺情報取得部４０、前方情報取得部５０、カーナビ装置６０、ＥＣＵ７０、操作部８０の各々と通信を行う。当該通信としては、例えば、ＣＡＮ（Controller Area Network）、Ｅｔｈｅｒｎｅｔ、ＭＯＳＴ（Media Oriented Systems Transport）、ＬＶＤＳ（Low Voltage Differential Signaling）などの通信方式が適用可能である。

周辺情報取得部４０は、車両１の周辺（外部）の情報を取得するものであり、車両１とワイヤレスネットワークとの通信（Ｖ２Ｎ：Vehicle To cellular Network）、車両１と他車両との通信（Ｖ２Ｖ：Vehicle To Vehicle）、車両１と歩行者との通信（Ｖ２Ｐ：Vehicle To Pedestrian）、車両１と路側のインフラとの通信（Ｖ２Ｉ：Vehicle To roadside Infrastructure）を可能とする各種モジュールから構成される。つまり、周辺情報取得部４０は、車両１と車両１の外部との間でＶ２Ｘ(Vehicle To Everything）による通信を可能とする。

例えば、（ｉ）周辺情報取得部４０は、ＷＡＮ（Wide Area Network）に直接アクセスできる通信モジュール、ＷＡＮにアクセス可能な外部装置（モバイルルータなど）や公衆無線ＬＡＮ（Local Area Network）のアクセスポイント等と通信するための通信モジュールなどを備え、インターネット通信を行う。また、周辺情報取得部４０は、人工衛星などから受信したＧＰＳ（Global Positioning System）信号に基づいて車両１の位置を算出するＧＰＳコントローラを備える。これらの構成により、Ｖ２Ｎによる通信を可能とする。（ｉｉ）また、周辺情報取得部４０は、所定の無線通信規格に準拠した無線通信モジュールを備え、Ｖ２ＶやＶ２Ｐによる通信を行う。（ｉｉｉ）また、周辺情報取得部４０は、路側のインフラと無線通信する通信装置を有し、例えば、安全運転支援システム（ＤＳＳＳ：Driving Safety Support Systems）の基地局から、インフラストラクチャーとして設置された路側無線装置を介して、物体情報や交通情報を取得する。これによりＶ２Ｉによる通信が可能となる。

この実施形態では、周辺情報取得部４０は、自車１の外部に存在する車両、信号機、歩行者などの各種物体の位置、大きさ、属性などを示す物体情報をＶ２Ｉにより取得し、制御部３１に供給する。なお、物体情報は、Ｖ２Ｉに限られず、Ｖ２Ｘのうち任意の通信により取得されてもよい。また、周辺情報取得部４０は、Ｖ２Ｉにより車両１の周辺道路の位置や形状を含む交通情報を取得し、制御部３１に供給する。また、周辺情報取得部４０のＧＰＳコントローラからの情報に基づき、制御部３１は、自車１の位置を算出する。

前方情報取得部５０は、例えば、車両１の前方風景を撮像するステレオカメラや、自車１から自車１の前方に位置する物体までの距離を測定するＬＩＤＡＲ（Laser Imaging Detection And Ranging)などの測距センサや、車両１の前方に位置する物体を検出するソナー、超音波センサ、ミリ波レーダ等から構成される。

この実施形態では、前方情報取得部５０は、ステレオカメラにより撮像した前方風景画像を示す前方画像データや、測距センサが測定した物体までの距離を示すデータや、その他の検出データをＣＰＵ３１ａに送信する。

カーナビ装置６０は、人工衛星などから受信したＧＰＳ（Global Positioning System）信号に基づいて車両１の位置を算出するＧＰＳコントローラを含む。カーナビ装置６０は、地図データを記憶する記憶部を有し、ＧＰＳコントローラからの位置情報に基づいて、現在位置近傍の地図データを記憶部から読み出し、ユーザにより設定された目的地までの案内経路を決定する。そして、カーナビ装置６０は、現在の車両１の位置や決定した案内経路に関する情報を制御部３１に出力する。また、カーナビ装置６０は、地図データを参照することにより、車両１の前方の施設の名称・種類や、施設と車両１との距離などを示す情報を制御部３１に出力する。地図データでは、道路形状情報（車線、道路の幅員、車線数、交差点、カーブ、分岐路等）、制限速度などの道路標識に関する規制情報、車線が複数存在する場合の各車線についての情報などの各種情報が位置データと対応付けられている。カーナビ装置６０は、これらの各種情報を経路案内情報として、制御部３１に出力する。なお、カーナビ装置６０は、車両１に搭載されたものに限られず、制御部３１との間で有線又は無線により通信を行い、カーナビゲーション機能を有する携帯端末（スマートフォン、タブレットＰＣ（Personal Computer）など）により実現されてもよい。

ＥＣＵ７０は、車両１の各部を制御するものであり、例えば、車両１の現在の車速を示す車速情報をＣＰＵ３１ａへ送信する。なお、ＣＰＵ３１ａは、車速センサから車速情報を取得してもよい。また、ＥＣＵ７０は、エンジン回転数などの計測量や、車両１自体の警告情報（燃料低下や、エンジン油圧異常など）や、その他の車両情報をＣＰＵ３１ａへ送信する。ＥＣＵ７０から取得した情報に基づいて、ＣＰＵ３１ａは、ＧＤＣ３１ｂを介して、表示部２０に車速、エンジン回転数、各種警告などを示す画像を表示させることが可能となっている。つまり、第１画像Ｃ１や第２画像Ｃ２の他に、虚像Ｖの表示領域内に車両情報を示す車両情報画像も表示可能となっている。なお、車両情報画像は、例えば、運転者５と正対して視認されるようにパース度０％で表示される。

操作部８０は、運転者５による各種操作を受け付けるものであり、受け付けた操作内容を示す信号を制御部３１に供給する。例えば、操作部８０は、運転者５による、虚像Ｖの表示モードの切替操作などを受け付ける。

制御部３１は、例えば、操作部８０が表示モード切替操作として同時表示モードへの切替操作を受け付けたことを契機に、図３（ａ）に示すように、虚像Ｖを同時表示モードで表示する。なお、同時表示モードでの虚像Ｖの表示は、車両１の自動運転レベルに応じて制限されてもよい。例えば、自動運転レベルがレベル２や、レベル３以上の場合にのみ、虚像Ｖの同時表示モードでの表示が可能であってもよい。制御部３１は、例えば、ＥＣＵ７０から現在の自動運転レベルを示す運転モード情報を取得することで、現在の自動運転レベルを特定可能である。

第２画像Ｃ２は、ユーザがカーナビ装置６０で設定した目的地までの案内経路に応じて第２領域Ｂ内に表示される。一方、第１画像Ｃ１については、重畳対象となる前方物体を制御部３１が特定したことに応じて第１領域Ａ内に表示される。例えば、制御部３１は、路側のインフラから周辺情報取得部４０を介してＶ２ＩやＶ２Ｖで取得した物体情報が示す物体の位置に基づき、当該物体が運転者５から見て虚像Ｖの表示領域内に位置すると特定した場合に、前方物体があると判別する。なお、前方物体の存在の特定手法は、これに限られない。例えば、周辺情報取得部４０からの物体情報は、Ｖ２ＩやＶ２Ｖに限られず、Ｖ２Ｘのうち任意の通信（Ｖ２Ｎ、Ｖ２Ｖ、Ｖ２Ｐのうち少なくともいずれか）により取得してもよい。また、制御部３１は、前方情報取得部５０から取得した情報に基づき、前方物体を特定してもよい。具体的には、前方画像データに基づき、例えばパタンマッチング法などの公知の画像解析法により前方物体を特定してもよいし、測距センサ、ソナー、超音波センサ、ミリ波レーダからの検出信号に基づき前方物体を特定してもよい。以上のような手法で前方物体を特定すると、制御部３１は、特定した前方物体に対応した位置に第１画像Ｃ１をＡＲ態様で表示する。

（線状画像パターンについて）
続いて、線状画像パターン（以下、単に「パターン」とも言う。）について、図４〜図７を参照して説明する。なお、図５〜図７においては、第１領域Ａ内に表示可能な第１画像Ｃ１については、図示省略している。また、以下に説明する種々のパターンのうち、同時表示モードの際に実現されるパターンは、予め定められた任意のパターンであってもよいし、操作部８０からの設定操作によりユーザの好みに応じて選択されたものであってもよい。ＲＯＭ３２には、図４等に示すパターンのうち１つ以上のパターンを実現するために必要となる各種の画像パーツデータが予め記憶されている。

パターンＰ１〜Ｐ３は、線状画像Ｅの中央部における幅が、端部（虚像Ｖの矩形の表示領域の角に向かう部分）における幅よりも広い態様である。
パターンＰ１は、図５（ａ）に示すように、線状画像Ｅがその端部から中央部に向かって虚像Ｖの背景色に同化するグラデーション状に表示される態様である。パターンＰ２は、図５（ｂ）に示すように、線状画像Ｅがその中央部から端部に向かって虚像Ｖの背景色に同化するグラデーション状に表示される態様である。パターンＰ３は、図５（ｃ）に示すように、線状画像Ｅにグラデーション処理を施さない態様である。

パターンＰ４〜Ｐ６は、線状画像Ｅの端部（虚像Ｖの矩形の表示領域の角に向かう部分）における幅が、中央部における幅よりも広い態様である。
パターンＰ４は、図６（ａ）に示すように、線状画像Ｅがその端部から中央部に向かって虚像Ｖの背景色に同化するグラデーション状に表示される態様である。パターンＰ５は、図６（ｂ）に示すように、線状画像Ｅがその中央部から端部に向かって虚像Ｖの背景色に同化するグラデーション状に表示される態様である。パターンＰ６は、図６（ｃ）に示すように、線状画像Ｅにグラデーション処理を施さない態様である。

パターンＰ７〜Ｐ９は、線状画像Ｅの幅が一定（端部における幅と中央部における幅とが等しい）態様である。
パターンＰ７は、図７（ａ）に示すように、線状画像Ｅがその端部から中央部に向かって虚像Ｖの背景色に同化するグラデーション状に表示される態様である。パターンＰ８は、図７（ｂ）に示すように、線状画像Ｅがその中央部から端部に向かって虚像Ｖの背景色に同化するグラデーション状に表示される態様である。パターンＰ９は、図７（ｃ）に示すように、線状画像Ｅにグラデーション処理を施さない態様である。

なお、これらのパターンのうち、Ｐ３、Ｐ６、及びＰ９以外のグラデーション処理を施したパターンについて、「虚像Ｖの背景色に同化するグラデーション状」とは、線状画像Ｅが表示される領域の背景色に徐々に同化していく態様である。例えば、線状画像Ｅを第１領域Ａに表示する場合は、線状画像Ｅの所定部分が第１領域Ａの背景色に同化していくようにグラデーション処理を施せばよい。また、線状画像Ｅを第２領域Ｂに表示する場合は、線状画像Ｅの所定部分が第２領域Ｂの背景色に同化していくようにグラデーション処理を施せばよい。また、線状画像Ｅを前述の境界線Ｄと一致させた場合には、線状画像Ｅの所定部分が第１領域Ａ又は第２領域Ｂのいずれかの背景色に同化していくようにグラデーション処理を施せばよい。

以上に説明したＨＵＤ装置１０は、車両１の前方風景と重なる虚像Ｖとして視認者（例えば運転者５）に視認される重畳画像を表示する表示装置の一例である。ＨＵＤ装置１０は、重畳画像の表示制御を行い、重畳画像の表示領域（虚像Ｖの表示領域に対応）内において車両１の前方路面に沿って視認される第１画像Ｃ１（ＡＲ画像）と第１画像Ｃ１よりも視認者側に立ち上がって視認される第２画像Ｃ２（非ＡＲ画像）とを表示可能な表示制御手段（例えば、制御部３１や表示部２０）を備える。

（１）特に、表示制御手段は、第１画像Ｃ１と第２画像Ｃ２とを同じ期間で表示する場合（同時表示モードの場合）に、前記表示領域内における第１領域Ａに第１画像Ｃ１を表示するとともに第１領域Ａと隣り合う第２領域Ｂに第２画像Ｃ２を表示し、第１領域Ａと第２領域Ｂの境界部Ｇをグラデーション状に表示し、境界部Ｇに沿って線状に視認される線状画像Ｅを表示する。
この構成によれば、線状画像Ｅを跨いでＡＲ画像と非ＡＲ画像とを区分して表示可能でありつつも、第１領域Ａと第２領域Ｂの境界部Ｇをグラデーション状に表示することで当該境界部Ｇに表示される情報が視認者に与える煩雑さを低減することができる。つまり、ＡＲ画像と非ＡＲ画像とを同じ期間で表示する際に双方を見やすく表示することができる。

（２）また、線状画像Ｅは、重畳画像の中央部から端部に向かって延びており、端部における幅が中央部における幅よりも細い（例えば、線状画像パターンＰ１〜Ｐ３）、ようにしてもよい。
こうすれば、中央部近傍において第１画像Ｃ１と第２画像Ｃ２とを明瞭に区分しつつも、両画像を違和感無く表示することができる。

（３）また、線状画像Ｅは、重畳画像の中央部から端部に向かって延びており、端部における幅が中央部における幅よりも太い（例えば、線状画像パターンＰ４〜Ｐ６）、ようにしてもよい。
こうすれば、第１領域Ａで第１画像Ｃ１を表示している際に、当該第１画像Ｃ１と線状画像Ｅが干渉して視認者に煩わしさを与えることを抑制することができる。

（４）また、線状画像Ｅは、重畳画像の中央部から端部に向かって延びており、中央部から端部に向かって重畳画像の背景色に同化するグラデーション状に表示される（例えば、線状画像パターンＰ２、Ｐ５、Ｐ８）、ようにしてもよい。
こうすれば、中央部近傍において第１画像Ｃ１と第２画像Ｃ２とを明瞭に区分しつつも、両画像を違和感無く表示することができる。

（５）また、線状画像Ｅは、重畳画像の中央部から端部に向かって延びており、端部から中央部に向かって重畳画像の背景色に同化するグラデーション状に表示される（例えば、線状画像パターンＰ１、Ｐ４、Ｐ７）、ようにしてもよい。
こうすれば、第１領域Ａで第１画像Ｃ１を表示している際に、当該第１画像Ｃ１と線状画像Ｅが干渉して視認者に煩わしさを与えることを抑制することができる。

（６）また、線状画像Ｅの第１領域Ａ側又は第２領域Ｂ側に、線状画像Ｅに隣接する影状画像Ｓを表示する、ようにしてもよい。図８（ａ）に示すように、線状画像Ｅの第２領域Ｂ側に影状画像Ｓを表示した場合は、第２領域Ｂよりも第１領域Ａを強調して表示することができる。一方、図８（ｂ）に示すように、線状画像Ｅの第１領域Ａ側に影状画像Ｓを表示した場合は、第１領域Ａよりも第２領域Ｂを強調して表示することができる。影状画像Ｓは、例えば、制御部３１の制御により描画されるドロップシャドウが好ましいが、図８（ａ）又は（ｂ）に示すように影状に視認させることができれば、光彩などの他のエフェクトを用いて実現されるものであってもよい。

（７）また、第１領域Ａは、視認者から見て第２領域Ｂよりも上方に位置し、重畳画像の中央部における線状画像Ｅは、視認者から見て左右方向に沿っていてもよい。（８）また、線状画像Ｅは、重畳画像の中央部から端部に向かって延びており、当該端部は、視認者から見て当該中央部よりも下方に位置するようにしてもよい。
なお、図９（ａ）に示すように、同時表示モード時の虚像Ｖを、その表示領域の矩形のうち上辺と下辺とを結ぶように境界線Ｄを設定し、第１領域Ａと第２領域Ｂとが左右方向において隣り合う構成としてもよい。また、図９（ｂ）に示すように、同時表示モード時の虚像Ｖを、境界線Ｄが曲線であり、且つ、その端が、虚像Ｖの表示領域の矩形のうち下辺や角ではなく左側や右側の辺に向かって延びる構成としてもよい。これらの場合も同様に、第１領域Ａと第２領域Ｂの境界部Ｇをグラデーション状に表示し、境界部Ｇに沿って線状に視認される線状画像Ｅを表示することができる。このように、虚像Ｖの表示領域内において、互いに隣り合う第１領域Ａと第２領域Ｂとを区分することができれば、第１領域Ａ及び第２領域Ｂの各々の形状は目的に応じて任意である。

また、線状画像Ｅの表示色は、第１領域Ａ又は第２領域Ｂのいずれかの背景色に含まれる色であってもよいし、当該背景色に含まれない色（例えば、背景色よりも濃い黒色など）であってもよい。

なお、本発明は以上の実施形態、変形例、及び図面によって限定されるものではない。本発明の要旨を変更しない範囲で、適宜、変更（構成要素の削除も含む）を加えることが可能である。

第１画像Ｃ１（ＡＲ画像）が「前方路面に沿って視認される」とは、パース度１００％に限られず、運転者５が前方路面に沿って画像が表示されていると認識できる状態であれば、パース度１００％よりも小さい所定度合であってもよい。また、第１画像Ｃ１によりその存在が報知される前方物体は、車両に限られず、歩行者や自転車や他の移動物体であってもよい。

表示光Ｌの投射対象は、フロントガラス３に限定されず、板状のハーフミラー、ホログラム素子等により構成されるコンバイナであってもよい。また、以上に説明した虚像Ｖを表示する表示装置としては、ＨＵＤ装置１０に限られない。表示装置は、車両１の運転者５の頭部に装着されるヘッドマウントディスプレイ（ＨＭＤ：Head Mounted Display）として構成されてもよい。つまり、表示装置は、車両１に搭載されているものに限られず、車両１で使用されるものであればよい。

以上の説明では、本発明の理解を容易にするために、公知の技術的事項の説明を適宜省略した。

１００…車両用表示システム
１０…ＨＵＤ装置
２０…表示部
３０…制御装置
３１…制御部（３１ａ…ＣＰＵ、３１ｂ…ＧＤＣ）
３２…ＲＯＭ、３３…ＲＡＭ
４０…周辺情報取得部
５０…前方情報取得部
６０…カーナビゲーション装置
７０…ＥＣＵ
８０…操作部
１…車両、２…ダッシュボード、３…フロントガラス
５…運転者、４…アイボックス、Ｌ…表示光
Ｖ…虚像
Ａ…第１領域、Ｃ１…第１画像
Ｂ…第２領域、Ｃ２…第２画像
Ｄ…境界線、Ｇ…境界部
Ｅ…線状画像
Ｓ…影状画像

Claims

車両の前方風景と重なる虚像として視認者に視認される重畳画像を表示する表示装置であって、
前記重畳画像の表示制御を行い、前記重畳画像の表示領域内において前記車両の前方路面に沿って視認される第１画像と前記第１画像よりも前記視認者側に立ち上がって視認される第２画像とを表示可能な表示制御手段を備え、
前記表示制御手段は、前記第１画像と前記第２画像とを同じ期間で表示する場合に、前記表示領域内における第１領域に前記第１画像を表示するとともに前記第１領域と隣り合う第２領域に前記第２画像を表示し、
前記第１領域と前記第２領域の境界部をグラデーション状に表示し、
前記境界部に沿って線状に視認される線状画像を表示する、
表示装置。
前記線状画像は、前記重畳画像の中央部から端部に向かって延びており、前記端部における幅が前記中央部における幅よりも細い、
請求項１に記載の表示装置。
前記線状画像は、前記重畳画像の中央部から端部に向かって延びており、前記端部における幅が前記中央部における幅よりも太い、
請求項１に記載の表示装置。
前記線状画像は、前記重畳画像の中央部から端部に向かって延びており、前記中央部から前記端部に向かって前記重畳画像の背景色に同化するグラデーション状に表示される、
請求項１乃至３のいずれか１項に記載の表示装置。
前記線状画像は、前記重畳画像の中央部から端部に向かって延びており、前記端部から前記中央部に向かって前記重畳画像の背景色に同化するグラデーション状に表示される、
請求項１乃至３のいずれか１項に記載の表示装置。
前記線状画像の前記第１領域側又は前記第２領域側に、前記線状画像に隣接する影状の画像を表示する、
請求項１乃至５のいずれか１項に記載の表示装置。
前記第１領域は、前記視認者から見て前記第２領域よりも上方に位置し、
前記重畳画像の中央部における前記線状画像は、前記視認者から見て左右方向に沿っている、
請求項１乃至６のいずれか１項に記載の表示装置。
前記線状画像は、前記重畳画像の中央部から端部に向かって延びており、
前記端部は、前記視認者から見て前記中央部よりも下方に位置する、
請求項１乃至７のいずれか１項に記載の表示装置。