JPWO2020040122A5 - 熱可塑性樹脂含浸シート状強化繊維束の製造方法 - Google Patents

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熱可塑性樹脂を用いたプリプレグの製造方法として、帯状強化繊維束を水平方向(横方向)に搬送し、ダイに通過させ、帯状強化繊維束に熱可塑性樹脂を付与・含浸する横型引き抜き方式(特許文献2、特許文献3など)が知られている。特許文献2には、テープ状強化をクロスヘッド(特許文献2の図2)に通し、クロスヘッド内の直線状のダイ部直前で樹脂がテープ状強化繊維束に付与される。特許文献3には、複数の帯状強化繊維束を別々に溶融熱可塑樹脂が満たされたダイ内へ導入し、固定ガイド(例えばスクイーズバー)により、開繊、含浸、積層し、最終的に1枚のシート状プリプレグとしてダイから引き抜くことが記載されている。
前記の課題を解決するために本発明は主として以下の構成を有する。
[1]連続繊維からなる強化繊維に熱可塑性樹脂を含浸させて熱可塑性樹脂含浸シート状強化繊維束を製造する方法であって、熱可塑性樹脂を貯留する塗布部に、連続繊維からなる強化繊維を一方向に配列したシート状強化繊維束を通過させ、熱可塑性樹脂をシート状強化繊維束に塗布して繊維強化熱可塑性樹脂する塗布工程、塗布した前記熱可塑性樹脂を、前記繊維強化熱可塑性樹脂内部に追含浸させる追含浸工程、および前記繊維強化熱可塑性樹脂賦形し、冷却固化する賦形工程からなり、前記塗布工程において、前記シート状強化繊維束を、鉛直方向下向きに通過させて熱可塑性樹脂を前記シート状強化繊維束に塗布するとともに、前記塗布工程および追含浸工程において、前記熱可塑性樹脂を融点+30℃以上に加熱し、加熱状態における熱可塑性樹脂の粘度が5~200Pa・sである熱可塑性樹脂含浸シート状強化繊維束の製造方法。
[2]前記塗布部は互いに連通された液溜り部と狭窄部とを備え、前記液溜り部はシート状強化繊維束の走行方向に沿って断面積が連続的に減少する部分を有し、前記狭窄部はスリット状の断面を有し、かつ液溜り部上面よりも小さい断面積を有するとともに、前記液溜まり部における熱可塑性樹脂の滞留時間が1~60minである[1]に記載の熱可塑性樹脂含浸シート状強化繊維束の製造方法。
]強化繊維の配列方向における前記液溜り部の下部の幅L(mm)と、狭窄部の直下におけるシート状強化繊維束の幅W(mm)が、L≦W+10(mm)を満たす[2]に記載の熱可塑性樹脂含浸シート状強化繊維束の製造方法。
前記液溜り部内にシート状強化繊維束の幅を規制するための幅規制機構を備え、狭窄部の直下におけるシート状強化繊維束の幅W(mm)と該幅規制機構下端において幅規制機構により規制される幅L2(mm)との関係が、L2≦W+10(mm)を満たす、[2]または[3]に記載の熱可塑性樹脂含浸シート状強化繊維束の製造方法。
]前記幅規制機構を前記液溜り部および狭窄部の全域にわたって具備する[4]に記載の熱可塑性樹脂含浸シート状強化繊維束の製造方法。
前記液溜り部における断面積が連続的に減少する部分の鉛直方向高さが10mm以上である[]~[]のいずれかに記載の熱可塑性樹脂含浸シート状強化繊維束の製造方法。
]前記塗布工程において、狭窄部のスリット状断面において下記(式1)で表されるシート状強化繊維束に作用するせん断力が1~1500Nの範囲である[1]~[6]のいずれかに記載の熱可塑性樹脂含浸シート状強化繊維束の製造方法。
(式1) F=2×(Y+D)×X×η×(U/δ)
F:狭窄部で作用するせん断力(N)、Y:狭窄部の幅、D:狭窄部の隙間
η:樹脂粘度(MPa)、U:引取速度(m/min)、δ:繊維間距離(mm)
X:狭窄部長さ(mm)
]前記塗布工程、追含浸工程、及び賦形工程を連続的に行う[1]~[]のいずれかに記載の熱可塑性樹脂含浸シート状強化繊維束の製造方法。
]前記塗布工程における熱可塑性樹脂の塗布を不活性ガス雰囲気下で行う[1]~[]のいずれかに記載の熱可塑性樹脂含浸シート状強化繊維束の製造方法。
10]前記追含浸工程における追含浸を不活性ガス雰囲気下で行う[1]~[]のいずれかに記載の熱可塑性樹脂含浸シート状強化繊維束の製造方法。
11]前記塗布工程通過後の繊維強化熱可塑性樹脂の繊維体積含有率と賦形工程通過後の熱可塑性樹脂含浸シート状強化繊維束の繊維体積含有率との比が0.9以上である[1]~[10]のいずれかに記載の熱可塑性樹脂含浸シート状強化繊維束の製造方法。
[12]前記塗布工程において、シート状強化繊維束を加熱した後、塗布部に通過させる[1]~[11]のいずれかに記載の熱可塑性樹脂含浸シート状強化繊維束の製造方法。
[13]前記塗布工程において、シート状強化繊維束を平滑化処理した後、塗布部に通過させる[1]~[12]のいずれかに記載の熱可塑性樹脂含浸シート状強化繊維束の製造方法。
[14]前記塗布工程において、シート状強化繊維束を拡幅処理した後、塗布部に通過させる[1]~[13]のいずれかに記載の熱可塑性樹脂含浸シート状強化繊維束の製造方法。
[15]前記追含浸工程において超音波振動を前記繊維強化熱可塑性樹脂に付与する[1]~[14]のいずれかに記載の連熱可塑性樹脂含浸シート状強化繊維束の製造方法。
[16]前記塗布工程において、塗布部に貯留された熱可塑性樹脂に超音波振動を付与する[1]~[15]のいずれかに記載の熱可塑性樹脂含浸シート状強化繊維束の製造方法。
[17][1]~[16]のいずれかに記載の製造方法により製造された熱可塑性樹脂含浸シート状強化繊維束。
[18][17]に記載の熱可塑性樹脂含浸シート状強化繊維束を成形してなる強化繊維複合材料。
本発明の一実施形態に係る熱可塑性樹脂含浸シート状強化繊維束の製造方法および塗工装置を示す概略横断面図である。 図1における塗布部20の部分を拡大した詳細横断面図である。 図2における塗布部20を、図2のAの方向から見た下面図である。 図2における塗布部20を、図2のBの方向から見た場合の塗布部内部の構造を説明する断面図である。 図4aにおける隙間26での熱可塑性樹脂2の流れを表す断面図である。 幅規制機構の設置例を示す図であり、(A)はA方向から見た図、(B)はB方向から見た図、(C)はZ方向から見た図、(D)は図2と同方向から見た図である。 図2とは別の実施形態の塗布部20bの詳細横断面図である。 図6とは別の実施形態の塗布部20cの詳細横断面図である。 図6とは別の実施形態の塗布部20dの詳細横断面図である。 図6とは別の実施形態の塗布部20eの詳細横断面図である。 本発明とは異なる実施形態の塗布部30の詳細横断面図である。 図1における追含浸部40の部分を拡大した詳細横断面図である。 図11とは別の実施形態の追含浸部40bの詳細横断面図である。 11とは別の実施形態の追含浸部40cの詳細横断面図である。 11とは別の実施形態の追含浸部40dの詳細横断面図である。 本発明の一実施形態に係る複数の熱可塑性樹脂含浸シート状強化繊維束を積層する態様の例を示す概略横断面図である。 本発明を用いプリプレグ製造工程・装置の例の概略横断面図である。 本発明を用いた別のプリプレグ製造工程・装置の例の概略横断面図である。 本発明を用いた別のプリプレグ製造工程・装置の概略横断面図である。 本発明の一実施形態に係る複数の塗布部を具備する態様のプリプレグ製造 工程・装置の例を示す概略外観図である。 本発明の一実施形態に係る複数の塗布部を具備する別の態様のプリプレグ 製造工程・装置の例を示す概略横断面図である。
無機繊維としては、例えば、ガラス、バサルト、シリコンカーバイ、シリコンナイトライドなどの無機材料からなる繊維が挙げられる。ガラス繊維としては、例えば、Eガラス繊維(電気用)、Cガラス繊維(耐食用)、Sガラス繊維、Tガラス繊維(高強度、高弾性率)などが挙げられる。バサルト繊維は、鉱物である玄武岩を繊維化した物で、耐熱性の非常に高い繊維である。玄武岩は、一般的に、鉄の化合物であるFeOまたはFeOを9~25重量%、チタンの化合物であるTiOまたはTiOを1~6重量%含有するが、溶融状態でこれらの成分を増量して繊維化することも可能である。
シート状強化繊維束は、通常、多数本の単繊維を束ねた強化繊維束を1本または複数本並べたものである。1本または複数本の強化繊維束を並べたときの強化繊維束1本あたりの総フィラメント数(単繊維の本数)は、1,000~2,000,000本が好ましい。生産性の観点からは、強化繊維の総フィラメント数は、1,000~1,000,000本がより好ましく、1,000~600,000本がさらに好ましく、1,000~300,000本が特に好ましい。強化繊維束1本あたりの総フィラメント数の上限は、分散性や取り扱い性とのバランスも考慮して、生産性と分散性、取り扱い性を良好に保てるように決められればよい。
1本の強化繊維束は、好ましくは平均直径5~10μmである強化繊維の単繊維を1,000~50,000本束ねて構成され
また、シート状強化繊維束を形成する方法は公知の方法を用いることができ、特に制限は無いが、単繊維をあらかじめ配列させた強化繊維束を形成し、この強化繊維束を更に配列させてシート状強化繊維束を形成させることが、工程効率化、配列均一化の観点から好ましい。例えば炭素繊維では、前記したようにテープ状の強化繊維束である「トウ」がボビンに巻かれているが、ここから引き出されたテープ状の強化繊維束を配列させてシート状強化繊維束を得ることができる。また、クリールにかけられたボビンから引き出された強化繊維束を整然と並べ、シート状強化繊維束中で強化繊維束の望ましくない重なりや折りたたみ、強化繊維束間の隙間を無くするための強化繊維配列機構を有することが好ましい。強化繊維配列機構としては公知のローラーやくし型配列装置などを用いることができる。また、予め配列したシート状強化繊維束を複数枚重ねることも強化繊維間の隙間を減じる観点から有用である。なお、クリールには強化繊維を引き出す際に発生する張力を制御する張力制御機構が付与されていることが好ましい。張力制御機構としては、公知のものを使用可能であるが、ブレーキ機構などが挙げられる。また、糸道ガイドの調整などによっても張力を制御することができる。
また、本発明において、シート状強化繊維束を加熱した後、液溜り部に導くと、熱可塑性樹脂の温度低下を抑制し、熱可塑性樹脂の粘度均一性を向上させられるため好ましい。シート状強化繊維束は熱可塑性樹脂温度近傍まで加熱されることが好ましいが、このための加熱手段としては、空気加熱、赤外線加熱、遠赤外線加熱、レーザー加熱、接触加熱、熱媒加熱(スチームなど)など多様な手段を用いることができる。中でも赤外線加熱は装置が簡便であり、またシート状強化繊維束直接加熱できるため、走行速度が速くても所望の温度まで効率よく加熱が可能であり、好ましい。
本発明に使用される熱可塑性樹脂としては例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)樹脂、ポリブチレンテレフタレート(PBT)樹脂、ポリトリメチレンテレフタレート(PTT)樹脂、ポリエチレンナフタレート(PEN)樹脂、液晶ポリエステル樹脂等のポリエステルや、ポリエチレン(PE)樹脂、ポリプロピレン(PP)樹脂、ポリブチレン樹脂等のポリオレフィンや、スチレン系樹脂の他ポリオキシメチレン(POM)樹脂、ポリアミド(PA)樹脂、ポリカーボネート(PC)樹脂、ポリメチメタクリレート(PMMA)樹脂、ポリ塩化ビニル(PVC)樹脂、ポリフェニレンスルフィド(PPS)樹脂、ポリフェニレンエーテル(PPE)樹脂、変性PPE樹脂、ポリイミド(PI)樹脂、ポリアミドイミド(PAI)樹脂、ポリエーテルイミド(PEI)樹脂、ポリスルホン(PSU)樹脂、変性PSU樹脂、ポリエーテルスルホン樹脂、ポリケトン(PK)樹脂、ポリアリーレンエーテルケトン(PAEK)樹脂、ポリアリレート(PAR)樹脂、ポリエーテルニトリル(PEN)樹脂、フェノール系樹脂、フェノキシ樹脂、ポリテトラフルオロエチレン樹脂などのフッ素系樹脂、更にポリスチレン系樹脂、ポリオレフィン系樹脂、ポリウレタン系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリブタジエン系樹脂、ポリイソプレン系樹脂、フッ素系樹脂等の熱可塑エラストマー等や、これらの共重合体、変性体、および2種類以上ブレンドした樹脂などであってもよい。前記ポリアリーレンエーテルケトン樹脂(PAEK)としては、例えば、ポリエーテルケトン(PEK)、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、ポリエーテルエーテルケトンケトン(PEEKK)、ポリエーテルケトンケトン(PEKK)、ポリエーテルケトンエーテルケトンケトン(PEKEKK)、ポリエーテエーテケトンエーテルケトン(PEEKEK)、ポリエーテルエーテルエーテルケトン(PEEEK)、及びポリエーテルジフェニルエーテルケトン(PEDEK)等やこれらの共重合体、変性体、および2種以上ブレンドした樹脂などであってもよい。とりわけ、耐熱性、耐薬品性の観点からはPPS樹脂やPEEK樹脂およびPEKK樹脂が、成形品外観、寸法安定性の観点からはポリカーボネート樹脂やスチレン系樹脂が、成形品の強度、耐衝撃性の観点からはポリアミド樹脂がより好ましく用いられる。また、これらの熱可塑性樹脂を流動性、成形加工性などの必要特性に応じて混合することも実用上好適である。
エチレン系共重合体としては、例えば、エチレンと、炭素数3以上のα-オレフィン、非共役ジエン、酢酸ビニル、ビニルアルコール、α,β-不飽和カルボン酸およびその誘導体などとの共重合体が挙げられる。炭素数3以上のα-オレフィンとしては、例えば、プロピレン、ブテン-1などが挙げられる。非共役エンとしては、例えば、5-メチリデン-2-ノルボルネン、5-エチリデン-2-ノルボルネン、ジシクロペンタジエン、1,4-ヘキサジエンなどが挙げられる。α,β-不飽和カルボン酸としては、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、エタクリル酸、クロトン酸、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、シトラコン酸、ブテンジカルボン酸などが挙げられる。α,β-不飽和カルボン酸の誘導体としては、例えば、前記α,β-不飽和カルボン酸のアルキルエステル、アリールエステル、グリシジルエステル、酸無水物、イミドなどが挙げられる。
次に図2~4により、シート状強化繊維束1aへの熱可塑性樹脂2の塗布工程について詳述する。図2は、図1における塗布部20を拡大した詳細横断面図である。塗布部20は、所定の隙間Dを開けて対向する壁面部材21a、21bを備え、壁面部材21a、21bの間には、鉛直方向下向きすなわちシート状強化繊維束の走行方向)に断面積が連続的に減少する液溜り部22と、液溜り部22の下方(シート状強化繊維束1aの搬出側)に位置し、液溜り部22の上面(シート状強化繊維束1aの導入側)の断面積よりも小さい断面積を有するスリット状の狭窄部23が形成されている。図2において、シート状強化繊維束1aは、紙面の奥行き方向に配列されている。
塗布部20において、液溜り部22に導入されたシート状強化繊維束1aは、その周囲の熱可塑性樹脂2を随伴しながら、鉛直方向下向き走行する。その際、液溜り部22の断面積は鉛直方向下向きシート状強化繊維束1aの走行方向)に向かって減少するため、随伴する熱可塑性樹脂2は徐々に圧縮され、液溜り部22の下部に向かうにつれて熱可塑性樹脂2の圧力が増大する。液溜り部22の下部の圧力が高くなると、前記随伴液流がそれ以上は下部に流動し難くなり、壁面部材21a、21b方向に流れ、その後、壁面部材21a、21bに阻まれ、上方へ流れるようになる。結果、液溜り部22内ではシート状強化繊維束1aの平面と、壁面部材21a、21b壁面に沿った循環流Tを形成する。これにより、仮にシート状強化繊維1aが毛羽を液溜り部22に持ち込んだとしても毛羽は循環流Tに沿って運動し、液圧の大きな液溜り部22下部や狭窄部23に近づくことができない。さらに下で述べるとおり、気泡が毛羽に付着することにより毛羽が循環流Tから上方に移動し、液溜り部22の上部液面付近を通過する。そのため、毛羽が液溜り部22の下部および狭窄部23に詰まることが防止されるだけでなく、滞留する毛羽は液溜り部22の上部液面から容易に回収することも可能となる。さらに、シート状強化繊維束1aを高速で走行させた場合、前記の液圧はさらに増大するため、毛羽の排除効果がより高くなる。その結果、シート状強化繊維束1aにより高速で熱可塑性樹脂2を付与することが可能となり、生産性が大きく向上する。
ここで、図2の塗布部20では、シート状強化繊維束1aが完全に鉛直方向下向き水平面から90度のZ方向)に走行しているが、これに限定されず、前記の毛羽回収、気泡の排出効果が得られ、シート状強化繊維束1aが安定して連続走行可能な範囲で、実質的に鉛直方向下向きであればよい。ここで実質的に鉛直下向きとは、鉛直方向に対して±5°の範囲を含むものである。
<幅規制機構>
前記では幅規制を側壁部材24a、24bが担う場合を示したが、図5に示すように、側壁部材24a、24b間に幅規制機構27a、27bを設け、かかる機構で幅規制を行うこともできる。これにより、幅規制機構によって規制される幅を自在に変更可能とすることで一つの塗布部により、種々の幅の熱可塑性樹脂含浸シート状強化繊維束を製造できる観点から好ましい。ここで、狭窄部の直下におけるシート状強化繊維束の幅W(mm)と該幅規制機構下端において幅規制機構により規制される幅L2(mm)との関係はL2≦W+10(mm)とすることが好ましく、より好ましくは、L2≦W+2(mm)である。また、L2(mm)の下限は、W-5(mm)以上となるよう調整することが、熱可塑性樹脂含浸シート状強化繊維束1bの幅方向寸法の均一性を向上させる観点から好ましい。幅規制機構の形状および材質に特に制限は無いが、板形状のブッシュであると簡便であり、好ましい。また、上部、すなわち液面に近い場所では壁面部材21a、21bとの間隔よりも小さい幅(図5(C)の「Z方向からみた図」中、幅規制機構の上下方向の長さを指す)を有することで、熱可塑性樹脂の水平方向の流れを妨げないようにでき、好ましい。一方、幅規制機構の中間部から下部にかけては塗布部の内部形状に沿った形状とすることが液溜り部での熱可塑性樹脂の滞留を抑制でき、熱可塑性樹脂の劣化を抑制できることから好ましい。この意味から、幅規制機構は狭窄部23まで挿入されることが好ましい。
図6は、図2とは別の実施形態の塗布部20bの詳細横断面図である。液溜り部22を構成する壁面部材21c、21dの形状が異なる以外は、図2の塗布部20と同じである。図6の塗布部20bのように、液溜り部22が、鉛直方向下向き方向)に断面積が連続的に減少する領域22aと、断面積が減少しない領域22bに分かれていてもよい。このとき、断面積が連続的に減少する鉛直方向高さHは10mm以上であることが好ましい。さらに好ましい断面積が連続的に減少する鉛直方向高さHは50mm以上である。これにより、シート状強化繊維束1aによって随伴された熱可塑性樹脂2が、液溜まり部22の断面積が連続的に減少する領域22aで圧縮される距離が確保され、液溜り部22の下部で発生する液圧を十分に増大させることができる。その結果、液圧により毛羽が狭窄部23に詰まるのを防止し、また液圧により熱可塑性樹脂2がシート状強化繊維束1aに含浸する効果を得ることができる。
図9は、図6とは別の実施形態の塗布部20eの詳細横断面図である。液溜り部22を構成する壁面部材21i、21jの形状がラッパ状(曲線状)となっている以外は、図6の塗布部20bと同じである。図6の塗布部20bでは、液溜り部22の断面積が連続的に減少する領域22aはテーパー状(直線状)だが、これに限定されず、例えば図のようにラッパ状(曲線状)でもよい。ただし、液溜り部22の下部と、狭窄部23の上部は滑らかに接続することが好ましい。これは、液溜り部22の下部と、狭窄部23の上部の境界に段差があると、シート状強化繊維束1aが段差に引っ掛かり、この部分で毛羽が発生する懸念があるためである。また、このように液溜り部22の断面積が連続的に減少する領域をラッパ状とする場合は、液溜り部22の断面積が連続的に減少する領域22aの最下部における仮想接線の開き角度θを鋭角にするのが好ましい。
図10は本発明とは別の実施形態の塗布部30の詳細横断面図である。本発明の実施形態とは異なり、図10の液溜り部32は鉛直方向下向き方向)に断面積が連続的に減少する領域33を含まず、狭窄部23との境界で断面積が不連続で急激に減少する構成である。このため、シート状強化繊維束1aが詰まり易い。
<熱可塑性樹脂含浸シート状強化繊維束>
塗布工程で得られる熱可塑性樹脂含浸シート状強化繊維束1bにおいて、熱可塑性樹脂の含浸度は10%以上であることが望ましい。熱可塑性樹脂含浸シート状強化繊維束の含浸度は、熱可塑性樹脂含浸シート状強化繊維束の厚み方向断面を以下のように観察して求めた。熱可塑性樹脂含浸シート状強化繊維束をエポキシ樹脂で包埋したサンプルを用意し、熱可塑性樹脂含浸シート状強化繊維束の厚み方向断面が良好に観察できるようになるまで、前記サンプルを研磨した。研磨したサンプルを、超深度カラー3D形状測定顕微鏡VHX-950(コントローラー部)/VH-Z100R(測定部)((株)キーエンス製)を使用して、拡大倍率400倍で撮影した。撮影範囲は、熱可塑性樹脂含浸シート状強化繊維束の厚み×幅500μmの範囲とした。撮影画像において、熱可塑性樹脂含浸シート状強化繊維束の断面積および樹脂が含浸している部位の面積を求め、(式4)により含浸度を算出した。
(式4) 含浸度(%)=(含浸部位が占める部位の総面積)/(熱可塑性樹脂含浸シート状強化繊維束の総面積)×100
図13は、図12とは別の実施形態の追含浸部40cの詳細横断面図である。熱可塑性樹脂含浸シート状強化繊維束1bを上下に対向したベルト43間で加熱・加圧することで追含浸させることができる。ベルト43の長さ、加圧力、加熱温度、加熱距離を調整することで所望の含浸度となるように適宜調整することができる。また、ベルト43の温度に勾配をつけることで賦形および冷却工程を連続して行うこともできる。つまり、図13においてベルトを駆動するロール44aおよび44bを熱可塑性樹脂の融点もしくはガラス転移温度以上に加熱し、ロール44cを結晶化温度以下として所望の含浸度を達成しながら熱可塑性樹脂含浸シート状強化繊維束1bの賦形が可能である。
図14は、図12とは別の実施形態の追含浸部40dの詳細横断面図である。熱可塑性樹脂含浸シート状強化繊維束1bをプレス45a、45bで連続的に加熱・加圧することで熱可塑性樹脂2を追含浸させることができる。プレス機の数、加熱温度、加圧力を調整することで所望の含浸度となるように適宜調整することができる。また、連続したプレス機の温度を変化させることで、賦形および冷却工程を連続して行うこともできる。つまり、図14においてプレス45aを熱可塑性樹脂の融点もしくはガラス転移温度以上に加熱し、プレス45bを結晶化温度以下とし所望の含浸度を達成しながら熱可塑性樹脂含浸シート状強化繊維束1bの賦形が可能である。
追含浸工程は熱可塑性樹脂の塗布工程の直後の時間がたっていない段階に実施しても良いし、一度冷却固化した後に熱可塑性樹脂を追含浸工程に投入しても良い。生産性の観点から塗布工程の直後に連続して追含浸工程があることが好ましい。また、追含浸工程は塗布工程の直後の熱可塑性樹脂含浸シート状強化繊維束をそのまま追含浸工程に投入しても良いし、熱可塑性樹脂含浸シート状強化繊維束を離形シートで挟み込んでから追含浸工程に投入しても良い。生産性および含浸性の観点から熱可塑性樹脂含浸シート状強化繊維束を直接、追含浸工程に投入することが好ましい。
本発明における追含浸工程は塗布工程において鉛直下向きに通過したシート状強化繊維束1aの方向を維持した状態でシート状強化繊維束1aを通過させても良いし、ロールやバーを用いて方向を転換させても良い。追含浸とシート状強化繊維束1aの方向転換を同時に行ってもよい。
賦形と冷却は同時に行っても良いし、分けて実施しても良い。また、賦形工程と冷却工程は異なる装置を用いてもよい。例えば、賦形工程は樹脂を所望する断面形状のダイノズルを通過させた後に、冷却水が通過したカレンダーロール間を通過させてもよい。
賦形工程は追含浸工程の直後の時間がたっていない段階に実施しても良いし、熱可塑性樹脂を一度冷却固化した後に、再加熱して追含浸工程に投入しても良い。生産性の観点から追含浸工程の直後に賦形、冷却固化工程があることが好ましい。
賦形装置と冷却装置との距離については特に制限はなく、所望の寸法、表面外観が得られるように適宜調整される。冷却装置投入時の熱可塑性樹脂含浸シート状強化繊維束の温度が、結晶性の熱可塑性樹脂であれば結晶化温度(Tc)以上、非晶性の熱可塑性樹脂であればガラス転移温度(Tg)以上であることが好ましい。
前記塗布工程通過後の熱可塑性樹脂含浸シート状強化繊維束の繊維体積含有率と賦形工程通過後の熱可塑性樹脂含浸シート状強化繊維束の繊維体積含有率との比が0.9~1.0であることが好ましい。繊維体積含有率の比が上記範囲であることにより、熱可塑性樹脂の損失を抑えることができ、生産性の向上が可能である。
プリプレグの幅には、特に制限は無く、幅が数十cm~2m程度の広幅でも良いし、幅数mm~数十mmのテープ状でも良く、用途に応じ幅を選択することができる。近年では、プリプレグの積層工程を効率化するため、細幅プリプレグやプリプレグテープを自動積層していくATL(Automated Tape Laying)やAFP(Automated Fiber Placement)と呼ばれる装置が広く用いられるようになってきており、これに適合した幅とすることも好ましい。ATLでは幅が約7.5cm、約15cm、約30cm程度の細幅プリプレグが用いられることが多く、AFPでは幅が約3mm~約25mm程度のプリプレグテープが用いられることが多い。
所望の幅のプリプレグを得る方法には特に制限は無く、幅1m~2m程度の広幅プリプレグを細幅にスリットする方法を用いることができる。また、スリット工程を簡略化あるいは省略するため、最初から所望の幅となるよう本発明で用いる塗布部の幅を調整することもできる。例えば、ATL用に30cm幅の細幅プリプレグを製造する場合には、塗布部出口の幅をそれに応じて調整すればよい。また、これを効率的に製造するためには、製品幅を30cmとして製造することが好ましく、かかる製造装置を複数個並列させると、同一の走行装置・搬送装置、各種ロール、ワインダーを用いて複数ラインのプリプレグを製造することができる。図19にはプリプレグ製造装置の一例として、塗布部を5つ並列方向に連結した例を示している。この時、5枚のシート状強化繊維束416は、それぞれ独立した5つの強化繊維予熱装置420、塗布部430を通過し、5枚のプリプレグ471が得られるようにしても良いし、強化繊維予熱装置420、塗布部430は並列方向に一体化されていてもよい。この場合には、塗布部430中で幅規制機構、塗布部独立に5つ備えればよい。
また、プリプレグテープの場合には、テープ状の強化繊維束が1糸条~3糸程度でシート状強化繊維束を形成させ、これを所望のテープ幅が得られるように幅を調整した塗布部に通すことで得ることもできる。プリプレグテープの場合はテープ同士の横方向の重なりを制御する観点から、特にテープ幅の精度が求められる場合が多い。このため、塗布部出口幅をより厳密に管理することが好ましく、この場合には、前記のL、L2およびWが、L≦W+1mmおよび/またはL2≦W+1mm、の関係を満たすようすることが好ましい。
<スリット>
プリプレグのスリット方法にも特に制限は無く、公知のスリット装置を用いることができる。プリプレグを一旦巻き取った後、改めてスリット装置に設置し、スリットを行っても良いし、効率化のため、プリプレグ一旦巻き取ることなくプリプレグ作製工程から連続してスリット工程を配置しても良い。また、スリット工程は1m以上の広幅プリプレグを直接、所望の幅にスリットしても良いし、一旦、30cm程度の細幅プリプレグにカット・小分けした後、これを改めて所望の幅にスリットしても良い。
なお、上記の細幅プリプレグ、テーププリプレグを供給する複数の塗布部を並列させた場合には、それぞれ独立に離型シートを供給しても良いし、1枚の広幅離型シートを供給し、これに複数枚のプリプレグを積層させても良い。このようにして得られるプリプレグの幅方向の端部を切り落とし、ATLやAFPの装置に供給することができる。この場合には切り落とす端部の大部分が離型シートとなるため、スリットカッター刃に付着する熱可塑性樹脂を減じることができ、スリットカッター刃の清掃周期を延長できるというメリットもある。
<本発明の変形態様(バリエーション)および応用態様>
本発明においては、塗布部を複数個用いて、更なる製造工程の効率化高機能化を図ることができる。
例えば、複数枚の熱可塑性樹脂含浸シート状強化繊維束を積層させるように複数の塗布部を配置することができる。図15には一例として、2つの塗布部を用いての熱可塑性樹脂含浸シート状強化繊維束の積層を行う態様の例を示している。第1の塗布部431と第2の塗布部432から引き出された2枚の熱可塑性樹脂含浸シート状強化繊維束471は第1の追含浸部433および第2の追含浸部434を通過し第1の賦形部435及び第2の賦形部436を通過し、第1の冷却固化部437および第2の冷却固化部438を通過し方向転換ロール445を経て、その下方の積層ロール447で積層される。なお、方向転換ロールは、離型処理の施された方向転換ガイド等で代用することも可能である。図15では冷却工程通過後に熱可塑性樹脂含浸シート状強化繊維束を積層しているが、追含浸工程前後で積層することも可能である。このような積層型の熱可塑性樹脂含浸シート状強化繊維束とすることで、プリプレグ積層の効率化を図ることができ、例えば厚ものFRPを作製する場合に有効である。また、薄ものプリプレグを多層積層することで、FRPの靱性や耐衝撃性が向上することが期待でき、本製造方法を適用することで、薄もの多層積層プリプレグを効率的に得ることができる。さらに、異なる種類のプリプレグ積層することで、機能性を付加したヘテロ結合プリプレグを容易に得ることができる。この場合、強化繊維の種類や繊度、フィラメント数、力学物性、繊維表面特性などを変更することが可能である。また、熱可塑性樹脂も異なるものを用いることが可能である。例えば、厚みの異なるプリプレグや力学物性が異なるものを積層したヘテロ結合プリプレグとすることができる。また、第1の塗布部で含浸性に優れる熱可塑性樹脂を付与し、第2の塗布部で靭性に優れる樹脂を付与し、これらを積層することで力学物性と靭性を両立できるプリプレグを容易に得ることができる。
別の態様としては、図19で例示し前記したように、塗布部をシート状強化繊維束の走行方向に対し、複数個並列させる、すなわち複数個の塗布部をシート状強化繊維束の幅方向に並列させることができる。これにより、細幅やテープ状の熱可塑性樹脂含浸シート状強化繊維束の製造を効率化することができる。また、塗布部毎に、強化繊維や熱可塑性樹脂を変更すると幅方向に性質の異なる熱可塑性樹脂含浸シート状強化繊維束を得ることもできる。
また、別の態様としては、シート状強化繊維束の走行方向に対して塗布部を直列に複数個配置させることができる。図20には一例として、2つの塗布部を直列に配置させた例を示している。
このような直列型の配置とすることで、熱可塑性樹脂含浸シート状強化繊維束の厚み方向に熱可塑性樹脂種類を変えることができる。また、同じ種類の熱可塑性樹脂であっても、塗布部によって塗布条件を変えることで、走行安定性や高速走行性などを向上することもできる。例えば、第1の塗布部で低粘度の熱可塑性樹脂を付与し、第2の塗布部で靭性に優れる樹脂を付与し、これらを積層することで力学物性と含浸性を両立できるプリプレグを容易に得ることができる。また、第1の塗布部で耐熱性の高い樹脂を付与し、第2の塗布部で第1の塗布部で塗布した熱可塑性樹脂よりも低い融点を有する熱可塑性樹脂を付与することで、表面に他種材料との接着層を有するプリプレグを容易に得ることもできる。
以上のように、複数の塗布部を配置させる態様をいくつか示したが、塗布部の数に特に制限は無く、目的に応じ種々、適用することができる。また、これらの配置を複合させることももちろん可能である。更に、塗布部の各種サイズ・形状や塗布条件(温度など)も混合して用いることもできる。
<熱可塑性樹脂供給機構>
本発明において塗布部20内に熱可塑性樹脂は貯留されているが、熱可塑性樹脂を塗布部に供給する機構には特に制限は無く、公知の装置を使用することができる。熱可塑性樹脂は連続的に塗布部20に供給することが、塗布部20の上部液面を乱さず、シート状強化繊維束1aの走行を安定化でき、好ましい。例えば、熱可塑性樹脂を貯留する槽から自重を駆動力として供給したり、ポンプなどを用いて連続的に供給したりすることができる。ポンプとしては、ギヤポンプやチューブポンプ、圧力ポンプなど熱可塑性樹脂の性質に応じ適宜使用することができる。また、連続押し出し機などを用いることもできる。また熱可塑性樹脂の塗布部上部の液面がなるべく一定となるよう、塗布量に応じ連続供給できる機構を備えることが好ましい。このためには、例えば液面高さや塗布部重量などをモニタリングし、それを供給装置にフィードバックするような機構が考えられる。
図16は本発明を用いたプリプレグの製造工程・装置の例の概略横断面図である。複数個の強化繊維ボビン412はクリール411に掛けられ、方向転換ガイド413を経て、上方に引き出される。この時、クリールに付与されたブレーキ機構により一定張力で強化繊維束414を引き出すことができる。引き出された複数本の強化繊維束414は強化繊維配列装置415により整然と配列され、シート状強化繊維束416が形成される。なお、図16では強化繊維束は3糸条しか描画されていないが、実際には、2糸条~数百糸条とすることができ、所望のプリプレグ幅、繊維目付けとするよう調整可能である。シート状強化繊維束416はその後、拡幅装置417、平滑化装置418を経て、方向転換ロール419を経て、鉛直下向きに搬送される。図16では、強化繊維配列装置415~方向転換ロール419までシート状強化繊維束416は装置間を直線状に搬送される。なお、拡幅装置417、平滑化装置418は、目的に応じ、適宜スキップすることもできるし、装置を配置しないこともできる。また、強化繊維配列装置415、拡幅装置417、平滑化装置418の配列順序は目的に応じ適宜変更することもできる。シート状強化繊維束416は方向転換ロール419から鉛直下向きに走行し、強化繊維予熱装置420、塗布部430、追含浸部433、賦形部435および冷却部437を経て方向転換ロール441に到達する。塗布部430は本発明の目的を達成する範囲で任意の塗布部形状を採用することができる。例えば、図2、図6~図9のような形状が挙げられる。また、必要に応じ図5のようにブッシュを備えることもできる。これを引取装置444で引き取り、巻取装置464で巻き取ることで熱可塑性樹脂含浸シート状強化繊維束を得ることができる。なお、図12では、熱可塑性樹脂供給装置、オンラインモニタリング装置の描画は省略してある。
図17は本発明を用いたプリプレグの製造工程・装置の別の例の概略横断面図である。図17では、クリール411から強化繊維束414を引き出し、そのまま強化繊維配列装置415でシート状強化繊維束416を形成し、その後、拡幅装置417、平滑化装置418まで直線状に搬送され、その後、シート状強化繊維束416を上方に導く点が図16とは異なる。このような構成とすることで、上方に装置を設置することが不要となり、足場などの設置を大幅に簡略化することができる。
図18は本発明を用いたプリプレグの製造工程・装置の別の例の概略横断面図である。図18では、階上にクリール411を設置し、シート状強化繊維束416の走行経路を更に直線化している。

Claims (18)

  1. 連続繊維からなる強化繊維に熱可塑性樹脂を含浸させて熱可塑性樹脂含浸シート状強化繊維束を製造する方法であって、
    熱可塑性樹脂を貯留する塗布部に、連続繊維からなる強化繊維を一方向に配列したシート状強化繊維束を通過させ、熱可塑性樹脂をシート状強化繊維束に塗布して繊維強化熱可塑性樹脂する塗布工程、
    塗布した前記熱可塑性樹脂を、前記繊維強化熱可塑性樹脂内部に追含浸させる追含浸工程、および
    前記繊維強化熱可塑性樹脂賦形し、冷却固化する賦形工程からなり、
    前記塗布工程において、前記シート状強化繊維束を、鉛直方向下向きに通過させて熱可塑性樹脂を前記シート状強化繊維束に塗布するとともに、前記塗布工程および追含浸工程において、前記熱可塑性樹脂を融点+30℃以上に加熱し、加熱状態における熱可塑性樹脂の粘度が5~200Pa・sである熱可塑性樹脂含浸シート状強化繊維束の製造方法。
  2. 前記塗布部は互いに連通された液溜り部と狭窄部とを備え、前記液溜り部はシート状強化繊維束の走行方向に沿って断面積が連続的に減少する部分を有し、前記狭窄部はスリット状の断面を有し、かつ液溜り部上面よりも小さい断面積を有するとともに、前記液溜まり部における熱可塑性樹脂の滞留時間が1~60minである請求項1に記載の熱可塑性樹脂含浸シート状強化繊維束の製造方法。
  3. 強化繊維の配列方向における前記液溜り部の下部の幅L(mm)と、狭窄部の直下におけるシート状強化繊維束の幅W(mm)が、L≦W+10(mm)を満たす請求項に記載の熱可塑性樹脂含浸シート状強化繊維束の製造方法。
  4. 前記液溜り部内にシート状強化繊維束の幅を規制するための幅規制機構を備え、狭窄部の直下におけるシート状強化繊維束の幅W(mm)と該幅規制機構下端において幅規制機構により規制される幅L2(mm)との関係が、L2≦W+10(mm)を満たす、請求項2または3に記載の熱可塑性樹脂含浸シート状強化繊維束の製造方法。
  5. 前記幅規制機構を前記液溜り部および狭窄部の全域にわたって具備する請求項に記載の熱可塑性樹脂含浸シート状強化繊維束の製造方法。
  6. 前記液溜り部における断面積が連続的に減少する部分の鉛直方向高さが10mm以上である請求項2~5のいずれかに記載の熱可塑性樹脂含浸シート状強化繊維束の製造方法。
  7. 前記塗布工程において、狭窄部のスリット状断面において下記(式1)で表されるシート状強化繊維束に作用するせん断力が1~1500Nの範囲である請求項1~6のいずれかに記載の熱可塑性樹脂含浸シート状強化繊維束の製造方法。
    (式1) F=2×(Y+D)×X×η×(U/δ)
    F:狭窄部で作用するせん断力(N)、Y:狭窄部の幅、D:狭窄部の隙間
    η:樹脂粘度(MPa)、U:引取速度(m/min)、δ:繊維間距離(mm)
    X:狭窄部長さ(mm)
  8. 前記塗布工程、追含浸工程、及び賦形工程を連続的に行う請求項1~のいずれかに記載の熱可塑性樹脂含浸シート状強化繊維束の製造方法。
  9. 前記塗布工程における熱可塑性樹脂の塗布を不活性ガス雰囲気下で行う請求項1~のいずれかに記載の熱可塑性樹脂含浸シート状強化繊維束の製造方法。
  10. 前記追含浸工程における追含浸を不活性ガス雰囲気下で行う請求項1~のいずれかに記載の熱可塑性樹脂含浸シート状強化繊維束の製造方法。
  11. 前記塗布工程通過後の前記繊維強化熱可塑性樹脂の繊維体積含有率と賦形工程通過後の熱可塑性樹脂含浸シート状強化繊維束の繊維体積含有率との比が0.9以上である請求項1~10のいずれかに記載の熱可塑性樹脂含浸シート状強化繊維束の製造方法。
  12. 前記塗布工程において、シート状強化繊維束を加熱した後、塗布部に通過させる請求項1~11のいずれかに記載の熱可塑性樹脂含浸シート状強化繊維束の製造方法。
  13. 前記塗布工程において、シート状強化繊維束を平滑化処理した後、塗布部に通過させる請求項1~12のいずれかに記載の熱可塑性樹脂含浸シート状強化繊維束の製造方法。
  14. 前記塗布工程において、シート状強化繊維束を拡幅処理した後、塗布部に通過させる請求項1~13のいずれかに記載の熱可塑性樹脂含浸シート状強化繊維束の製造方法。
  15. 前記追含浸工程において超音波振動を前記繊維強化熱可塑性樹脂に付与する請求項1~14のいずれかに記載の連熱可塑性樹脂含浸シート状強化繊維束の製造方法。
  16. 前記塗布工程において、塗布部に貯留された熱可塑性樹脂に超音波振動を付与する請求項1~15のいずれかに記載の熱可塑性樹脂含浸シート状強化繊維束の製造方法。
  17. 請求項1~16のいずれかに記載の製造方法により製造された熱可塑性樹脂含浸シート状強化繊維束。
  18. 請求項17に記載の熱可塑性樹脂含浸シート状強化繊維束を成形してなる強化繊維複合材料。
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