以下に、本発明の一実施形態について説明する。なお、本発明は本実施形態で示す例に限られない。
図1A、図1B、図2A、図2B及び図3には、本実施形態に係る垂直入射音響特性測定装置(以下、「本装置」という。)の例について、主な構成を断面視で示す。以下、これらの図面を参照しながら、本実施形態について説明する。
まず、本装置1の基本的な構成について説明する。本装置1は、一方の端部10aに音源20が配置され、管内10cに測定対象の試験体30が配置される管本体10と、当該管本体10の管壁11のうち当該音源20と当該試験体30との間の第一の位置X1に配置された第一のプローブ41aを有する第一の音圧センサ41と、当該管本体10の当該管壁11のうち当該音源20と当該試験体30との間であって当該第一の位置X1より当該試験体30に近い第二の位置X2に配置された第二のプローブ42aを有する第二の音圧センサ42と、を含み、当該試験体30の垂直入射音響特性の測定に用いられる。
また、本実施形態に係る垂直入射音響特性測定方法(以下、「本方法」という。)は、一方の端部10aに音源20が配置され、管内10cに測定対象の試験体30が配置された管本体10と、当該管本体10の管壁11のうち当該音源20と当該試験体30との間の第一の位置X1に配置された第一のプローブ41aを有する第一の音圧センサ41と、当該管本体10の当該管壁11のうち当該音源20と当該試験体30との間であって当該第一の位置X1より当該試験体30に近い第二の位置X2に配置された第二のプローブ42aを有する第二の音圧センサ42と、を含む装置(例えば、本装置1)を準備することを含み、当該装置を用いて、当該試験体30の垂直入射音響特性を測定する方法である。
本装置1及び本方法で測定される垂直入射音響特性は、試験体30に対して音波を垂直に入射して測定される音響特性であれば特に限られず、例えば、垂直入射吸音特性、及び/又は、垂直入射遮音特性が挙げられる。
垂直入射吸音特性は、試験体30の吸音性に関する特性であれば特に限られず、例えば、垂直入射吸音率、比音響インピーダンス、複素音圧反射係数、音圧反射率、伝達関数、特性インピーダンス、伝搬定数、実効密度、及び体積弾性率からなる群より選択される1以上が挙げられ、特に、垂直入射吸音率が好ましく測定される。
垂直入射遮音特性は、試験体30の遮音性に関する特性であれば特に限られず、例えば、垂直入射音響透過損失、伝達関数、特性インピーダンス、伝搬定数、実効密度、及び体積弾性率からなる群より選択される1以上が挙げられ、特に、垂直入射音響透過損失が好ましく測定される。
垂直入射音響特性の測定について規格が存在する場合には、当該規格に準拠した方法、又は当該規格に準拠した方法に高温における測定に必要な改変を加えた方法にて、本装置1及び本方法による測定を行うことが好ましい。
上記規格としては、例えば、音響管による吸音率及びインピーダンスの測定に関し、伝達関数法について規定するJIS A1405−2:2007、ISO 10534−2:1998及びASTM E 1050が挙げられ、垂直入射音響透過損失に関しては、ASTM E 2611が挙げられる。
管本体10は、垂直入射音響特性の測定に用いられ得る管状体であれば特に限られず、例えば、上記規格で規定される特性を備えた管状体(例えば、いわゆる音響管)が好ましく用いられる。
管本体10の断面形状は特に限られないが、例えば、円形又は方形であることが好ましい。本実施形態の図面に示す例では、断面形状が円形の管本体10が用いられている。
管本体10の一方端部10aは開口しており、本装置1及び本方法による測定においては、当該開口を塞ぐように音源20が配置される。これに対し、管本体10の他方の端部10bは閉塞される。本実施形態の図面に示す管本体10は、他方端部10bの長手方向を塞ぐ背板部11aを含んでいる。背板部11aは、垂直入射音響特性の測定において剛端として機能するよう形成されることが好ましい。
本装置1及び本方法による測定においては、管本体10の管内10cに試験体30が配置される。試験体30は、本装置1及び本方法により垂直入射音響特性を測定できるものであれば特に限られない。試験体30の形状は、垂直入射音響特性を測定できる範囲であれば特に限られないが、上記規格で規定される形状が好ましい。すなわち、例えば、試験体30の音源20側の表面30aは、平坦であることが好ましい。試験体30は、管本体10の長手方向において管内10cを塞ぐように配置される。本実施形態の図面に示す例において、試験体30は、管本体10の長手方向において管内10cを塞ぐように配置された板状体である。
本実施形態の図面に示す例において、試験体30は、管本体10の管内10cにおいて背板部11aに密着するように配置されているが、これに限られず、例えば、当該試験体30と背板部11aとの間に背後空気層(図示せず)を形成してもよい。
管本体10は、管内10cに試験体30を保持するための試験体保持部(図示せず)を含んでもよい。試験体保持部は、試験体30の保持に適した部材であれば特に限られないが、上記規格で規定されるもの(例えば、JIS A1405−2:2007やJIS A1405−1:2007で規定される試験体ホルダ)が好ましい。試験体保持部は、例えば、管本体10の他方端部10bを構成し、又は管本体10の一方端部10aと他方端部10bとの間の中途部分を構成する管状体である。
音源20は、垂直入射音響特性の測定に適した音波を、管本体10の一方端部10aから管内10cに放射できる機器であれば特に限られず、例えば、上記規格で規定されるスピーカが好ましく用いられる。本実施形態の図面に示す例では、音源20としてコーン形スピーカが用いられている。
音源20は、測定法に応じた音波を放射する。すなわち、例えば、伝達関数法による測定においては、音源20は、管本体10の管内10cに平面波音場を形成するための広帯域雑音を放射する。
第一の音圧センサ41及び第二の音圧センサ42は、管本体10の音源20と試験体30との間の第一の位置X1及び第二の位置X2における音圧をそれぞれ測定するために設けられる。
第一の音圧センサ41は、管本体10の管壁11のうち音源20と試験体30との間の第一の位置X1に配置された第一のプローブ41aを有する。第二の音圧センサ42は、管本体10の管壁11のうち音源20と試験体30との間であって第一の位置X1より当該試験体30に近い第二の位置X2に配置された第二のプローブ42aを有する。
第一のプローブ41aと第二のプローブ42aとは、管本体10の長手方向に所定の距離だけ離れて管壁11に固定される。具体的に、第一のプローブ41a及び第二のプローブ42aは、それぞれ管本体10の管壁11の第一の位置X1及び第二の位置X2に形成された貫通孔に挿通され、当該管壁11に固定される。
第一の音圧センサ41及び第二の音圧センサ42は、それぞれ第一のプローブ41a及び第二のプローブ42aに接続された第一のマイク本体41b及び第二のマイク本体42bをさらに有する。マイク本体41b,42bは、例えば、ダイアフラムを含むマイクロホン部分である。
プローブ41a,42aは、管本体10の管内10cの音波をマイク本体41b,42bに導くための空洞が内部に形成された管状体である。すなわち、プローブ41a,42aの一方端は、管本体10の管壁11の内面11aに開口し、他方端はマイク本体41b,42bに接続される。このため、管本体10の管内10cに発生した音波は、プローブ41a,42aの当該管内10cの一方端から当該プローブ41a,42a内を伝播して、当該プローブ41a,42aの他方端に接続されたマイク本体41b,42bに到達する。こうして音圧センサ41,42は、プローブ41a,42aを介して音圧を測定する。
音圧センサ41,42は、プローブ41a,42aを有し、管内10cの音圧を測定できる機器であれば特に限られず、例えば、いわゆるプローブマイクロホンにより好ましく実現される。本実施形態の図面に示す例においては、第一の音圧センサ41及び第二の音圧センサ42としてプローブマイクロホンが用いられている。
なお、本実施形態の図面においては、説明の便宜のため、プローブ41a,42aは比較的太く示されているが、実際には、当該プローブ41a,42aとして、例えば、外径1.5mm以下、内径1mm程度の管状体が好ましく用いられる。
本装置1及び本方法による測定においては、管本体10を加熱することにより、管内10cの温度(すなわち、管内10cに充填されている気体(例えば、空気)の温度)を比較的高い所望の温度範囲内に維持する。
そして、加熱された管本体10の管内10cに音源20から試験体30に向けて音波を放射しながら、第一のプローブ41a及び第二のプローブ42aを介して第一の音圧センサ41及び第二の音圧センサ42により当該管内10cの音圧を測定する。
このため、本装置1及び本方法による測定においては、管本体10の管壁11のうち第一のプローブ41aが配置された第一の位置X1、及び第二のプローブ42aが配置された第二の位置X2を含む部分を加熱するヒータ12が用いられる。
ヒータ12は、管内10cの温度が所望の温度範囲内に維持されるように管本体10を加熱できる機器であれば特に限られず、例えば、電力の供給を受けて発熱するヒータを含むことが好ましい。具体的に、ヒータ12は、例えば、電熱ヒータ、ランプヒータ、オイルバス、ウォーターバス、サンドバス及びソルトバスからなる群より選択される1以上を含む。本実施形態の図面に示す例においては、ヒータ12として、電熱ヒータが用いられている。なお、管本体10の周囲の環境が高温になることを避けるために、管本体10の管壁11のうちヒータ12が配置された部分を覆う断熱材(図示せず)を設けてもよい。
ヒータ12は、本実施形態の図面に示すように、管本体10の管壁11の外表面11bのうち加熱すべき部分に対向するよう、当該管壁11の径方向外側に配置される。ヒータ12の位置は、管本体10の管内10cの温度が所望の温度範囲内となるよう管壁11を加熱できる範囲であれば特に限られず、当該管壁11の外表面11bから離れて配置されてもよいし、当該外表面11bと接するように配置されてもよい。
本装置1及び本方法による測定においては、上述のとおり、管本体10の管内10cの温度が比較的高い所望の温度範囲内に維持されるよう、当該管本体10の管壁11を加熱する。
具体的に、ヒータ12は、例えば、管本体10の管内10cの温度、及び/又は、当該管本体10の管壁11の温度が、100℃以上になるよう加熱してもよく、200℃以上になるよう加熱してもよく、300℃以上になるよう加熱してもよく、400℃以上になるよう加熱してもよく、500℃以上になるよう加熱してもよく、600℃以上になるよう加熱してもよく、700℃以上になるよう加熱してもよく、800℃以上になるよう加熱してもよい。加熱温度の上限値は、本装置1及び本方法により垂直入射音響特性を測定できる範囲であれば特に限られないが、当該加熱温度は、例えば、1000℃以下であってもよい。
ヒータ12は、管本体10に配置された温度センサ(図示せず)による当該管本体10の測定温度に基づき、当該管本体10を加熱することとしてもよい。すなわち、ヒータ12は、例えば、温度センサによる管本体10の測定温度と、予め定められた目標温度との差分に基づき決定された加熱条件で、当該測定温度が当該目標温度に近づくよう当該管本体10を加熱する。
ヒータ12による加熱条件は、例えば、P制御、PI制御及びPID制御からなる群より選択される1以上を用いて決定される。具体的な加熱条件としては、例えば、加熱強度、加熱頻度、及び加熱周期からなる群より選択される1以上が挙げられる。
具体的に、ヒータ12が電熱ヒータを含む場合の加熱条件としては、例えば、当該電熱ヒータによる発熱強度(より具体的には、当該電熱ヒータに供給する電力)、当該電熱ヒータへの通電のON/OFFを行う頻度、及び当該電熱ヒータにより周期加熱を行う場合の周期、からなる群より選択される1以上が挙げられる。
本装置1は、ヒータ12による加熱を制御する加熱制御部(図示せず)を含むこととしてもよい。加熱制御部は、温度センサによる管本体10の測定温度に基づいて、ヒータ12による当該管本体10の加熱を制御するための演算処理を行うものであれば特に限られず、例えば、プロセッサを含む制御装置により実現される。
具体的に、加熱制御部は、例えば、温度調節器や電力調整器により実現されてもよい。この場合、加熱制御部は、例えば、温度センサから受け入れた測定温度に基づきPID制御のための演算処理を行って、電熱ヒータであるヒータ12に供給すべき電力を決定する温度調節部(図示せず)と、当該温度調節部から指示された電力を当該ヒータ12に供給する電力調整部(図示せず)とを含んで実現される。
本装置1及び本方法による測定においては、管本体10が加熱された状態で第一の音圧センサ41及び第二の音圧センサ42により測定された音圧に基づいて、当該管本体10の管内10cに配置された試験体30の垂直入射音響特性を評価する。
すなわち、例えば、伝達関数法による測定においては、本実施形態の図面に示すような第一の音圧センサ41及び第二の音圧センサ42による測定音圧に基づいて、第一の位置Xと第二の位置X2との間の伝達関数を算出し、当該伝達関数に基づいて、垂直入射音響特性を算出する。
具体的に、例えば、垂直入射吸音率を測定する場合には、まず下記の式(I)により伝達関数H12が得られる。
式(I)において、P1は、第一の位置X1で測定された音圧(単位:Pa)であり、P2は、第二の位置X2で測定された音圧(単位:Pa)であり、H12は、当該P1に対する当該P2の比で表される当該第一の位置X1と当該第二の位置X2との間の伝達関数であり、fは周波数(単位:Hz)である。
次いで、伝達関数H12を用いて、下記の式(II)により、垂直入射音圧反射率r(f)が得られる。
上記の式(II)において、tは、試験体30の音源20側の表面30aと、第一の位置X1との距離(単位:m)であり、sは、第一の位置X1と第二の位置X2との距離(単位:m)であり、kは波数(単位:1/m)であり、jは虚数単位である。
そして、垂直入射音圧反射率rを用いて、下記の式(III)により、垂直入射吸音率α(f)が得られる。
本装置1は、音圧センサ41,42による測定音圧に基づいて、試験体30の垂直入射音響特性を算出する特性算出部(図示せず)を含んでもよい。特性算出部は、例えば、プロセッサを含む演算装置(例えば、CPUを含むコンピュータ)により実現される。すなわち、特性算出部は、例えば、伝達関数法により垂直入射音響特性を評価する場合には、音圧センサ41,42から測定音圧を受け入れて、当該測定音圧に基づく演算処理を実行して伝達関数を算出し、さらに、当該伝達関数に基づく演算処理を実行して、垂直入射音響特性を算出する。
次に、本実施形態の第一の側面に係る本装置1及び本方法について、主に図1A及び図1Bを参照しながら説明する。
本実施形態の第一の側面に係る本装置1は、図1Aに示すように、一方の端部10aに音源20が配置され、管内10cに測定対象の試験体30が配置される管本体10と、当該管本体10の管壁11のうち当該音源20と当該試験体30との間の第一の位置X1に配置された第一のプローブ41aを有する第一の音圧センサ41と、当該管本体10の当該管壁11のうち当該音源20と当該試験体30との間であって当該第一の位置X1より当該試験体30に近い第二の位置X2に配置された第二のプローブ42aを有する第二の音圧センサ42と、当該第一のプローブ41aの温度を測定する第一の温度センサ51と、当該第二のプローブ42aの温度を測定する第二の温度センサ52と、当該第一の温度センサ51による当該第一のプローブ41aの測定温度及び当該第二の温度センサ52による当該第二のプローブ42aの測定温度に基づいて、当該第一のプローブ41aの温度分布と当該第二のプローブ42aの温度分布とが近づくように、当該第一のプローブ41a及び当該第二のプローブ42aの一方又は両方を加熱又は冷却する温度調整部60と、を含む。
また、本実施形態の第一の側面に係る本方法は、一方の端部10aに音源20が配置され、管内10cに測定対象の試験体30が配置される管本体10と、当該管本体10の管壁11のうち当該音源20と当該試験体30との間の第一の位置X1に配置された第一のプローブ41aを有する第一の音圧センサ41と、当該管本体10の管壁11のうち当該音源20と当該試験体30との間であって当該第一の位置X1より当該試験体30に近い第二の位置X2に配置された第二のプローブ42aを有する第二の音圧センサ42と、を含む装置(例えば、本装置1)を準備すること、加熱された当該管本体10の管内10cに当該音源20から当該試験体30に向けて音波を放射しながら、当該第一のプローブ41a及び当該第二のプローブ42aを介して当該第一の音圧センサ41及び当該第二の音圧センサ42により当該管内10cの音圧を測定すること、当該第一の音圧センサ41及び当該第二の音圧センサ42による当該音圧の測定中に、当該第一のプローブ41a及び当該第二のプローブ42aの温度を測定するとともに、当該第一のプローブ41a及び当該第二のプローブ42aの測定温度に基づいて、当該第一のプローブ41aの温度分布と当該第二のプローブ42aの温度分布とが近づくように、当該第一のプローブ41a及び当該第二のプローブ42aの一方又は両方を加熱又は冷却すること、及び、その一方又は両方が加熱又は冷却された当該第一のプローブ41a及び当該第二のプローブ42aを介した当該第一の音圧センサ41及び当該第二の音圧センサ42による測定音圧に基づいて、当該試験体30の垂直入射音響特性を評価すること、を含む。
本発明の発明者らは、加熱された管本体10の管内10c内に配置された試験体30の垂直入射音響特性を、当該管本体10の管壁11に固定された一対のプローブ41a,42aを有する音圧センサ41,42による測定音圧に基づいて算出する場合の精度を高める技術的手段について鋭意検討を重ねた結果、当該一対のプローブ41a,42a間の温度分布の相違が、最終的に算出される垂直入射音響特性の精度を低下させることを独自に見出した。
そこで、本装置1及び本方法においては、加熱された管本体10の管内10cに音源20から音波を放射しながら、第一の温度センサ51及び第二の温度センサ52によって第一のプローブ41a及び第二のプローブ42aの温度を測定するとともに、当該プローブ41a,42aの測定温度に基づいて、当該第一のプローブ41aの温度分布と当該第二のプローブ42aの温度分布とが近づくように、当該第一のプローブ41a及び当該第二のプローブ42aの一方又は両方を加熱又は冷却する。
温度センサ51,52は、プローブ41a,42aの温度を測定できるものであれば特に限られないが、例えば、感温素子を含む温度センサが好ましく用いられる。感温素子としては、例えば、熱電対、測温抵抗体、サーミスタ及びサーモパイル(放射温度計)からなる群より選択される1以上が挙げられる。
本装置1において、第一の温度センサ51及び第二の温度センサ52の一方又は両方は、第一のプローブ41a及び第二のプローブ42aの一方又は両方の長手方向における複数の箇所の温度を測定することとしてもよい。
すなわち、第一の温度センサ51及び第二の温度センサ52の一方のみが、当該一方の測定対象である第一のプローブ41a及び第二のプローブ42aの一方の長手方向における複数の箇所の温度を測定してもよいし、第一の温度センサ51及び第二の温度センサ52の両方が、それぞれ第一のプローブ41a及び第二のプローブ42aの長手方向における複数の箇所の温度を測定してもよい。
図1Aに示す例において、第一の温度センサ51は、第一のプローブ41aの長手方向における複数の箇所の温度を測定し、第二の温度センサ52は、第二のプローブ42aの長手方向における複数の箇所の温度を測定している。
具体的に、第一の温度センサ51は、第一のプローブ41aの長手方向における第一のマイク本体41b側の端部から管本体10の管内10c側の端部に向けて互いに離れた複数の箇所、すなわち、上段、中段及び下段の3箇所のそれぞれの温度を測定する、第一の上段温度センサ51U、第一の中段温度センサ51M、及び第一の下段温度センサ51Lを含む。
同様に、第二の温度センサ52は、第二のプローブ42aの長手方向における、上述した第一のプローブ41aの複数の箇所に対応する複数の箇所、すなわち、上段、中段及び下段の3箇所のそれぞれの温度を測定する、第二の上段温度センサ52U、第二の中段温度センサ52M、及び第二の下段温度センサ52Lを含む。
第一のプローブ41aにおける各温度測定箇所の位置と、第二のプローブ42aにおける各温度測定箇所の位置と、は対応している。すなわち、例えば、第一のプローブ41aの上段の温度測定位置と、管本体10の管壁11の外表面11bとの距離は、第二のプローブ42aの上段の温度測定位置と、管本体10の管壁11の外表面11bとの距離と実質的に等しい。
そして、本装置1の温度調整部60は、第一の温度センサ51による第一のプローブ41aの測定温度及び第二の温度センサ52による第二のプローブ42aの測定温度に基づいて、当該第一のプローブ41aの温度分布と当該第二のプローブ42aの温度分布とが近づくように、当該第一のプローブ41a及び当該第二のプローブ42aの一方又は両方を加熱又は冷却する。
すなわち、温度調整部60は、第一のプローブ41aの温度分布と第二のプローブ42aの温度分布とを近づけるためであれば、当該第一のプローブ41a及び当該第二のプローブ42aの一方のみを加熱又は冷却してもよいし、当該第一のプローブ41a及び当該第二のプローブ42aの両方を加熱又は冷却してもよい。
また、温度調整部60は、第一のプローブ41a及び第二のプローブ42aの一方又は両方を少なくとも加熱することとしてもよい。また、温度調整部60は、第一のプローブ41a及び第二のプローブ42aの一方又は両方を少なくとも冷却することとしてもよい。
また、第一の温度センサ51及び第二の温度センサ52の一方又は両方が、第一のプローブ41a及び第二のプローブ42aの一方又は両方の長手方向における複数の箇所の温度を測定する場合、温度調整部60は、当該第一のプローブ41a及び第二のプローブ42aの一方又は両方の当該複数の箇所の一部又は全部を、加熱又は冷却することとしてもよい。
図1Aに示す例において、温度調整部60は、第一のプローブ41aを加熱又は冷却する第一の温度調整部61と、第二のプローブ42aを加熱又は冷却する第二の温度調整部62と、を含んでいる。
さらに、第一の温度調整部61は、第一のプローブ41aの長手方向における第一のマイク本体41b側の端部から管本体10の管内10c側の端部に向けて互いに離れた複数の箇所、すなわち、上段、中段及び下段の3箇所のそれぞれを加熱又は冷却する、第一の上段温度調整部61U、第一の中段温度調整部61M、及び第一の下段温度調整部61Lを含む。
同様に、第二の温度調整部62は、第二のプローブ42aの長手方向における、上述した第一のプローブ41aの複数の箇所に対応する複数の箇所、すなわち、上段、中段及び下段の3箇所のそれぞれの温度を測定する、第二の上段温度調整部62U、第二の中段温度調整部62M、及び第二の下段温度調整部62Lを含む。
なお、第一のプローブ41aにおける各加熱又は冷却箇所の位置と、第二のプローブ42aにおける各加熱又は冷却箇所の位置と、は対応している。すなわち、例えば、第一のプローブ41aの上段の加熱又は冷却位置から管本体10の管壁11の外表面11bまでの距離は、第二のプローブ42aの上段の加熱又は冷却位置から当該管本体10の管壁11の外表面11bまでの距離と実質的に等しい。
温度調整部60は、プローブ41a,42aを加熱又は冷却できる機器であれば特に限られない。プローブ41a,42aを加熱する温度調整部60としては、例えば、電力の供給を受けて発熱するヒータが好ましく用いられる。具体的に、例えば、電熱ヒータが好ましく用いられ、セラミックヒータが特に好ましく用いられる。図1A及び図1Bに示す例においては、中段温度調整部61M,62M及び下段温度調整部61L,62Lとして、マイクロセラミックヒータが用いられている。
プローブ41a,42aを冷却する温度調整部60としては、例えば、熱電素子が好ましく用いられ、ペルチェ素子が特に好ましく用いられる。図1A及び図1Bに示す例においては、上段温度調整部61U,62Uとして、ペルチェ素子が用いられている。なお、加熱及び冷却のいずれも可能な熱電素子(例えば、ペルチェ素子)を用いることにより、温度調整部60は、必要に応じて、プローブ41a,42aを加熱することもできるし、冷却することもできる。
温度調整部60は、温度センサ51,52によるプローブ41a,42aの測定温度と、予め定められた目標温度との差分に基づき決定された温調条件で、当該測定温度が当該目標温度に近づくよう、当該プローブ41a,42aを加熱又は冷却することとしてもよい。
具体的に、図1Aに示す例において、第一の上段温度センサ51U、第一の中段温度センサ51M、及び第一の下段温度センサ51Lによって、それぞれ第一のプローブ41aの上段、中段及び下段の位置の温度を測定し、第二の上段温度センサ52U、第二の中段温度センサ52M、及び第二の下段温度センサ52Lによって、それぞれ第二のプローブ42aの上段、中段及び下段の位置の温度を測定した結果、当該第一の中段温度センサ51Mによる測定温度が、目標温度より低い一方で、他の位置の測定温度は目標温度に一致した場合、例えば、第一の中段温度調整部61Mにより当該第一のプローブ41aの中段の位置を加熱することにより、当該第一のプローブ41aの中段の位置の測定温度を、目標温度に近づけることができる。
また、温度調整部60は、第一の温度センサ51による第一のプローブ41aの測定温度と、第二の温度センサ52による第二のプローブ42aの測定温度との差分に基づき決定された温調条件で、当該第一のプローブ41aの測定温度と、当該第二のプローブ42aの測定温度とが近づくよう、第一の温度調整部61によって当該第一のプローブ41aを加熱又は冷却し、及び/又は,第二の温度調整部62によって当該第二のプローブ42aを加熱又は冷却することとしてもよい。
具体的に、図1Aに示す例において、第一の上段温度センサ51U、第一の中段温度センサ51M、及び第一の下段温度センサ51Lによって、それぞれ第一のプローブ41aの上段、中段及び下段の位置の温度を測定し、第二の上段温度センサ52U、第二の中段温度センサ52M、及び第二の下段温度センサ52Lによって、それぞれ第二のプローブ42aの上段、中段及び下段の位置の温度を測定した結果、当該第一の中段温度センサ51Mによる測定温度が、当該第二の中段温度センサ52Mによる測定温度より低い一方で、上段の測定温度同士は一致し、下段の測定温度同士も一致した場合、例えば、第一の中段温度調整部61Mにより当該第一のプローブ41aの中段の位置を加熱することにより、当該第一のプローブ41aの中段の位置の測定温度を、当該第二のプローブ42aの中段の位置の測定温度に近づけることができる。
また、図1Aに示す例において、第一の中段温度センサ51Mによる測定温度と、第二の中段温度センサ52Mによる測定温度との差、及び第一の下段温度センサ51Lによる測定温度と、第二の下段温度センサ52Lによる測定温度との差は、いずれも所定値以下であるのに対し、第一の上段温度センサ51Uによる測定温度と、第二の上段温度センサ52Uによる測定温度との差が当該所定値より大きく、且つ当該第一の上段温度センサ51Uによる測定温度が、第二の上段温度センサ52Uによる測定温度より低い場合には、第一の上段温度調整部61Uによって第一のプローブ41aの上段の位置を加熱し、及び/又は、第二の上段温度調整部62Uによって第二のプローブ42aの上段の位置を冷却することで、当該第一の上段温度センサ51Uによる測定温度と、当該第二の上段温度センサ52Uによる測定温度との差を当該所定値以下に低減することができる。
なお、この測定温度に基づく温度調整部60による加熱又は冷却は、それまでプローブ41a,42aを加熱又は冷却していなかった当該温度調整部60が、新たに当該プローブ41a,42aを加熱/冷却することにより行ってもよいし、それまでも当該プローブ41a,42aを加熱又は冷却していた当該温度調整部60が、その出力を上げて、より強く当該プローブ41a,42aを加熱又は冷却することにより行ってもよい。
温度調整部60による温調条件は、例えば、P制御、PI制御及びPID制御からなる群より選択される1以上を用いて決定される。具体的な温調条件としては、例えば、加熱又は冷却の強度、頻度、及び周期からなる群より選択される1以上が挙げられる。
すなわち、温度調整部60が電熱ヒータである場合の温調条件として、例えば、当該電熱ヒータによる発熱強度(より具体的には、当該電熱ヒータに供給する電力)、当該電熱ヒータへの通電のON/OFFを行う頻度、及び当該電熱ヒータにより周期加熱を行う場合の周期からなる群より選択される1以上が挙げられる。
本装置1は、図1Bに示すように、第一の温度センサ51及び第二の温度センサ52による測定温度に基づいて、温度調整部60による加熱又は冷却を制御する温調制御部70を含むこととしてもよい。
なお、図1Bにおいては、説明の便宜のため、図1Aでは示していた、音圧センサ41,42の一部の符号と、温度センサ51,52及び温度調整部60,61,62の符号とを省略しているが、図1Bに示す本装置1も、図1Aに示す例と同様の当該音圧センサ41,42、温度センサ51,52及び温度調整部60,61,62を含んでいる。
温調制御部70は、温度センサ51,52による測定温度に基づいて温度調整部60による加熱又は冷却を制御するための演算処理を行うものであれば特に限られず、例えば、プロセッサを含む制御装置により実現される。
すなわち、温調制御部70は、例えば、温度調節器や電力調整器により実現されてもよい。この場合、温調制御部70は、例えば、温度センサ51,52からの測定温度に基づきPID制御のための演算処理を行って、マイクロヒータである温度調整部60に供給すべき電力を決定する温度調節部(図示せず)と、当該温度調節部から指示された電力を当該温度調整部60に供給する電力調整部(図示せず)とを含んで実現される。
このように本実施形態の第一の側面に係る本装置1及び本方法によれば、第一の温度センサ51及び第二の温度センサ52による測定温度に基づいて、第一のプローブ41a及び第二のプローブ42aの一方又は両方を加熱又は冷却し、当該第一のプローブ41aの温度分布と当該第二のプローブ42aの温度分布とを近づけることにより、当該第一のプローブ41a及び当該第二のプローブ42aを介した測定温度に基づく試験体30の垂直入射音響特性の算出結果の精度を効果的に高めることができる。
なお、上述の例においては、第一の温度センサ51及び第二の温度センサ52が、それぞれ第一のプローブ41a及び第二のプローブ42aの長手方向における複数の箇所の温度を測定する場合について説明したが、これに限られず、例えば、第一の温度センサ51及び第二の温度センサ52が、第一のプローブ41a及び第二のプローブ42aの対応する1箇所の温度を測定するよう設けられていれば、当該第一の温度センサ51及び第二の温度センサ52の一方のみが、その温度測定対象である第一のプローブ41a及び第二のプローブ42aの一方のみの長手方向における他の1以上の箇所の温度を測定することとしてもよい。
また、上述の例においては、温度調整部60が、第一のプローブ41a及び第二のプローブ42aの両方を加熱又は冷却する場合について説明したが、これに限られず、例えば、温度調整部60は、第一のプローブ41a及び第二のプローブ42aの一方のみを加熱又は冷却することとしてもよい。
すなわち、例えば、第一のプローブ41a及び第二のプローブ42aの周囲の環境等の条件によって、第一のプローブ41aの温度が、第二のプローブ42aの温度より低くなることが確実であるような場合には、温度調整部60は、第一の温度センサ51及び第二の温度センサ52による測定温度に基づいて、当該第一のプローブ41aのみを加熱することによって、当該第一のプローブ41aの温度分布と当該第二のプローブ42aの温度分布とを近づけることができる。
次に、本実施形態の第二の側面に係る本装置1及び本方法について、主に図2A及び図2Bを参照しながら説明する。
本実施形態の第二の側面に係る本装置1は、図2A及び図2Bに示すように、一方の端部10aに音源20が配置され、管内10cに測定対象の試験体30が配置される管本体10と、当該管本体10の管壁11のうち当該音源20と当該試験体30との間の第一の位置X1に配置された第一のプローブ41aを有する第一の音圧センサ41と、当該管本体10の当該管壁11のうち当該音源20と当該試験体30との間であって当該第一の位置X1より当該試験体30に近い第二の位置X2に配置された第二のプローブ42aを有する第二の音圧センサ42と、当該第一のプローブ41a及び当該第二のプローブ42aの周囲に熱交換可能な流体を流通させることにより、及び/又は、当該第一のプローブ41aと当該第二のプローブ42aとを熱伝導性部材120a,120b,120cで連結することにより、当該第一のプローブ41aの温度分布と当該第二のプローブの温度分布とを近づける均熱化部100と、を含む。
また、本実施形態の第二の側面に係る本方法は、一方の端部10aに音源20が配置され、管内10cに測定対象の試験体30が配置される管本体10と、当該管本体10の管壁11のうち当該音源20と当該試験体30との間の第一の位置X1に配置された第一のプローブ41aを有する第一の音圧センサ41と、当該管本体10の当該管壁11のうち当該音源20と当該試験体30との間であって当該第一の位置X1より当該試験体30に近い第二の位置X2に配置された第二のプローブ42aを有する第二の音圧センサ42と、を含む装置(例えば、本装置1)を準備すること、加熱された当該管本体10の管内10cに当該音源20から当該試験体30に向けて音波を放射しながら、当該第一のプローブ41a及び当該第二のプローブ42aを介して当該第一の音圧センサ41及び当該第二の音圧センサ42により当該管内10cの音圧を測定すること、当該第一の音圧センサ41及び当該第二の音圧センサ42による当該音圧の測定中に、当該第一のプローブ41a及び当該第二のプローブ42aの周囲に熱交換可能な流体を流通させることにより、及び/又は、当該第一のプローブ41aと当該第二のプローブ42aとを熱伝導性部材120で連結することにより、当該第一のプローブ41aの温度分布と当該第二のプローブ42aの温度分布とを近づけること、及び、その周囲に当該流体を流通させ、及び/又は、当該熱伝導性部材120a,120b,120cで連結された当該第一のプローブ41a及び当該第二のプローブ42aを介した当該第一の音圧センサ41及び当該第二の音圧センサ42による測定音圧に基づいて、当該試験体30の垂直入射音響特性を評価すること、を含む。
すなわち、本装置1は、例えば、図2Aに示すように、均熱化部100として、第一のプローブ41a及び第二のプローブ42aの周囲に、熱交換可能な流体を流通させることにより、当該第一のプローブ41aの温度分布と当該第二のプローブ42aの温度分布とを近づける流体均熱化部110を含む。
この場合、第一のプローブ41a及び第二のプローブ42aの周囲に、共通の流体を流通させて、当該第一のプローブ41a及び第二のプローブ42aと当該共通の流体との間で熱交換を行うことにより、当該第一のプローブ41aの温度分布と当該第二のプローブ42aの温度分布とを効果的に近づけることができる。
流体は、第一のプローブ41a及び第二のプローブ42aの周囲に流通させることができ、且つ当該第一のプローブ41a及び第二のプローブ42aとの間で熱交換が可能な流体であれば特に限られず、液体又は気体のいずれを用いることもできる。
また、第一のプローブ41a及び第二のプローブ42aを加熱する場合には、当該第一のプローブ41aの温度、及び/又は第二のプローブ42aの温度より高い温度の流体を流通させ、当該第一のプローブ41a及び第二のプローブ42aを冷却する場合には、当該第一のプローブ41aの温度、及び/又は第二のプローブ42aの温度より低い温度の流体を流通させる。
具体的に、流体均熱化部110は、例えば、流体として第一のプローブ41aの温度及び第二のプローブ42aの温度より低い温度の水を用いる場合には、水冷式の冷却装置として実現され、流体として第一のプローブ41aの温度及び第二のプローブ42aの温度より低い温度の空気を用いる場合には、空冷式の冷却装置として実現される。また、流体として第一のプローブ41aの温度及び第二のプローブ42aの温度より高い温度の水又は空気を流通させる流体均熱化部110は、加熱装置として実現される。
図2Aに示す例において、本装置1は、第一のプローブ41a及び第二のプローブ42aを囲むように配置され、内部に当該第一のプローブ41a及び第二のプローブ42aの温度より高い又は低い温度の流体が流通する流路111が形成された流体均熱化部110を含んでいる。
この流体均熱化部110は、その流路111内を流通する流体と、第一のプローブ41a及び第二のプローブ42aとの間で熱交換を行うことにより、当該第一のプローブ41a及び第二のプローブ42aを加熱又は冷却する。
また、流体均熱化部110は、図2Aに示す例に限られず、例えば、第一のプローブ41a及び第二のプローブ42aに共通の気体を吹き付けるものであってもよい。この場合、流体均熱化部110は、例えば、回転することで風を起こすファンを含み、第一のプローブ41a及び第二のプローブ42aを空冷方式で冷却する送風装置として実現される。
また、本装置1は、例えば、図2Bに示すように、均熱化部100として、第一のプローブ41aと第二のプローブ42aとを熱伝導性部材120a,120b,120cで連結することにより、当該第一のプローブ41aの温度分布と当該第二のプローブの温度分布とを近づける連結均熱化部120を含む。
この場合、熱伝導性部材120a,120b,120cは、その一部が第一のプローブ41aに熱伝導可能に接続され、他の一部が第二のプローブ42aに熱伝導可能に接続されることで、当該第一のプローブ41aと当該第二のプローブ42aとを熱伝導可能に連結する。
そして、第一のプローブ41aと第二のプローブ42aとの間で、熱伝導性部材120a,120b,120cを介した熱伝導を行うことにより、当該第一のプローブ41aの温度分布と当該第二のプローブの温度分布とを効果的に近づけることができる。
熱伝導性部材120a,120b,120cは、第一のプローブ41aと第二のプローブ42aとを均熱化するために必要な熱伝導性を有する部材であれば特に限られないが、例えば、当該熱伝導性部材120a,120b,120cの0℃以上、100℃未満における熱伝導率は、0.1W/(m・K)以上であることとしてもよく、1W/(m・K)以上であることが好ましく、10W/(m・K)以上であることが特に好ましい。また、熱伝導性部材120a,120b,120cの100℃以上、300℃未満における熱伝導率は、0.2W/(m・K)以上であることとしてもよく、1W/(m・K)以上であることが好ましく、10W/(m・K)以上であることが特に好ましい。また、熱伝導性部材120a,120b,120cの300℃以上、600℃未満における熱伝導率は、0.5W/(m・K)以上であることとしてもよく、1W/(m・K)以上であることが好ましく、10W/(m・K)以上であることが特に好ましい。また、熱伝導性部材120a,120b,120cの600℃以上、1000℃以下における熱伝導率は、1W/(m・K)以上であることとしてもよく、10W/(m・K)以上であることが特に好ましい。図2Bに示す例においては、300℃における熱伝導率が10W/(m・K)以上である熱伝導性部材120a,120b,120cが用いられている。
熱伝導性部材120a,120b,120cを構成する材料は、第一のプローブ41aと第二のプローブ42aとを均熱化するために必要な熱伝導性を有する材料であれば特に限られないが、例えば、金属(例えば、銅、アルミニウム、鉄、チタン、鉛及びモリブデンからなる群より選択される1以上の金属、及び/又は、当該群より選択される1以上の金属を含む合金)、セラミックス(例えば、アルミナ、ジルコニア及び炭化ケイ素からなる群より選択される1以上)及びカーボンからなる群より選択される1以上であることとしてもよい。図2Bに示す例においては、金属製の熱伝導性部材120a,120b,120cが用いられている。
熱伝導性部材120a,120b,120cの形状は、特に限られず、例えば、棒状、平板状、帯状、紐状、板状、網状又は管状であることとしてもよい。図2Bに示す例においては、平板状の熱伝導性部材120a,120b,120cが用いられている。
なお、図2Bに示す例においては、3つの熱伝導性部材120a,120b,120cが用いられているが、その個数はこれに限られず、1つでもよいし、2つでもよいし、4つ以上であってもよい。
また、第一のプローブ41a及び第二のプローブ42aの一方又は両方は、その外表面の少なくとも一部が黒体化されていることとしてもよい。この場合、第一のプローブ41a及び第二のプローブ42aの外表面が黒体化されていることにより、当該第一のプローブ41a及び第二のプローブ42aは熱輻射で急冷され,例えば、当該第一のプローブ41a及び第二のプローブ42aを室温近傍の温度に均熱化することができる。
黒体化する材料は、放射率が大きい材料であれば特に限られず、例えば、二硫化モリブデン、酸化鉄及びジルコンからなる群より選択される1以上が好ましく用いられる。黒体化する材料は、例えば、その100℃〜300℃における放射率が0.5以上であることとしてもよく、100℃〜400℃における放射率が0.6以上であることが好ましく、100℃〜600℃における放射率が0.7以上であることがより好ましく、100℃〜800℃における放射率が0.8以上であることがより一層好ましく、100℃〜1000℃における放射率が0.9以上であることが特に好ましい。
第一のプローブ41a及び第二のプローブ42aの外表面を黒体化する方法は、当該外表面からの熱輻射を促進する方法であれば特に限られないが、例えば、上述したような放射率の大きい材料を当該外表面に塗布する方法、当該外表面に微細な凹凸構造を形成する方法、及び、当該外表面を酸化処理(具体的には、当該外表面を構成する金属材料の酸化処理等)する方法からなる群より選択される1以上の方法が好ましく用いられる。プローブ41a,42aの外表面は、その全面積の60%以上の範囲が黒体化されていることが好ましく、80%以上の範囲が黒体化されていることが特に好ましい。
次に、本実施形態の第三の側面に係る本装置1及び本方法について、主に図3及び図4を参照しながら説明する。
本実施形態の第三の側面に係る本装置1は、図3に示すように、一方の端部10aに音源20が配置され、管内10cに測定対象の試験体30が配置される管本体10と、当該管本体10の管壁11のうち当該音源20と当該試験体30との間の第一の位置X1に配置された第一のプローブ41aを有する第一の音圧センサ41と、当該管本体10の当該管壁11のうち当該音源20と当該試験体30との間であって当該第一の位置X1より当該試験体30に近い第二の位置X2に配置された第二のプローブ42aを有する第二の音圧センサ42と、当該第一のプローブ41aの温度を測定する第一の温度センサ51と、当該第二のプローブ42aの温度を測定する第二の温度センサ52と、当該第一のプローブ41aを介した当該第一の音圧センサ41による第一の測定音圧、当該第二のプローブ42aを介した当該第二の音圧センサ42による第二の測定音圧、当該第一の温度センサ51による当該第一のプローブ41aの測定温度、及び、当該第二の温度センサ52による当該第二のプローブ42aの測定温度、に基づき補正伝達関数を算出する補正伝達関数算出部200と、を含む。
また、本実施形態の第三の側面に係る本方法は、一方の端部10aに音源20が配置され、管内10cに測定対象の試験体30が配置される管本体10と、当該管本体10の管壁のうち当該音源20と当該試験体30との間の第一の位置X1に配置された第一のプローブ41aを有する第一の音圧センサ41と、当該管本体10の当該管壁11のうち当該音源20と当該試験体30との間であって当該第一の位置X1より当該試験体30に近い第二の位置X2に配置された第二のプローブ42aを有する第二の音圧センサ42と、を含む装置(例えば、本装置1)を準備すること、加熱された当該管本体10の管内10cに当該音源20から当該試験体30に向けて音波を放射しながら、当該第一のプローブ41a及び当該第二のプローブ42aを介して当該第一の音圧センサ41及び当該第二の音圧センサ42により当該管内10cの音圧を測定すること、当該第一のプローブ41aを介した当該第一の音圧センサ41による第一の測定音圧、当該第二のプローブ42aを介した当該第二の音圧センサ42による第二の測定音圧、当該第一のプローブ41aの測定温度、及び、当該第二のプローブ42aの測定温度、に基づき補正伝達関数を算出すること、及び、当該補正伝達関数に基づいて、当該試験体30の垂直入射音響特性を評価すること、を含む。
また、本実施形態の第三の側面に係るプログラム(以下、「本プログラム」という。)は、一方の端部10aに音源20が配置され、管内10cに測定対象の試験体30が配置される管本体10と、当該管本体10の管壁11のうち当該音源20と当該試験体30との間の第一の位置X1に配置された第一のプローブ41aを有する第一の音圧センサ41と、当該管本体10の当該管壁11のうち当該音源20と当該試験体30との間であって当該第一の位置X1よりより当該試験体30に近い第二の位置X2に配置された第二のプローブ42aを有する第二の音圧センサ42と、を含む装置(例えば、本装置1)を用いた垂直入射音響特性の測定に用いられるプログラムであって、当該第一のプローブ41aを介した当該第一の音圧センサ41による第一の測定音圧、当該第二のプローブ42aを介した当該第二の音圧センサ42による第二の測定音圧、当該第一のプローブ41aの測定温度、及び、当該第二のプローブ42aの測定温度、に基づき補正伝達関数を算出する補正伝達関数算出手段としてコンピュータを機能させるためのプログラムである。
伝達関数法による垂直入射音響特性の評価においては、下記の式(I)のとおり、第一の位置X1における音圧P1に対する、第二の位置X2における音圧P2の比として、当該第一の位置X1と当該第二の位置X2との間の伝達関数H12を算出し、当該伝達関数H12を用いて、当該垂直入射音響特性を評価する。
ここで、管本体10の管内10cに配置された試験体30の垂直入射音響特性を評価するための伝達関数H12(以下、「本来伝達関数H12」という。)は、当該管内10cの第一の位置X1及び第二の位置X2における音圧P1及びP2を用いて算出される。
具体的に、図3に示す例において、本来伝達関数H12は、第一のプローブ41aの管内10c側の端部Z1で測定される音圧P1と、第二のプローブ42aの当該管内10c側の端部Z2で測定される音圧P2とを用いて算出される。
しかしながら、プローブ41a,42aを有する音圧センサ41,42を用いる場合、実際に当該音圧センサ41,42により測定される音圧は、当該プローブ41a,42aのマイク本体41b,42b側の端部Z1´,Z2´で測定される音圧P1´,P2´である。
すなわち、プローブ41a,42aを有する音圧センサ41,42によって実際に測定される音圧は、当該プローブ41a,42aの管内10c側の端部Z1,Z2における音圧P1,P2ではなく、当該プローブ41a,42aを通過した後の、マイク本体41b,42bに到達した音圧P1´,P2´である。
そして、実際に第一の音圧センサ41により測定される音圧P1´(以下、「第一の測定音圧P1´」という。)と、実際に第二の音圧センサ42により測定される音圧P2´(以下、「第二の測定音圧P2´」という。)と、を用いて算出される伝達関数H12´(以下、「実測伝達関数H12´」という。)は、下記の式(I´)で表される。
ここで、プローブ41a,42aのマイク本体41b,42b側の端部Z1´,Z2´で測定される測定音圧P1´,P2´においては、当該プローブ41a,42a内を通過したことにより、当該プローブ41a,42aの管内10c側の端部Z1,Z2における音圧P1,P2に比べて、音圧の振幅の減衰、及び/又は音圧の位相の変化が生じる。
ただし、第一のプローブ41a内の環境と、第二のプローブ42a内の環境とが同じであれば、当該第一のプローブ41aの管内10c側の端部Z1における音圧P1に対する第一の測定音圧P1´の振幅の減衰及び/又は位相の変化と、当該第二のプローブ42aの管内10c側の端部Z2における音圧P2に対する第二の測定音圧P2´の振幅の減衰及び/又は位相の変化とが同じになるため、これらの比として上記式(I´)で算出される実測伝達関数H12´は、上記式(I)で算出される本来伝達関数H12と一致し、当該実測伝達関数H12´を用いて垂直入射音響特性を算出することに問題は生じない。
すなわち、例えば、第一のプローブ41a内の管内10c側の端部Z1とマイク本体41b側の端部Z1´との間の伝達関数H1を、下記の式(IV)のとおり、当該端部Z1における音圧P1に対する第一の測定音圧P1´の比として定義し、第二のプローブ42a内の管内10c側の端部Z2とマイク本体42b側の端部Z2´との間の伝達関数H2を、下記の式(V)のとおり、当該端部Z2における音圧P2に対する第二の測定音圧P2´の比として定義すると、実測伝達関数H12´は、下記の式(VI)のように表すことができる。
そして、第一のプローブ41a内における音圧の振幅の減衰及び/又は位相の変化と、第二のプローブ42a内における音圧の振幅の減衰及び/又は位相の変化とが一致する場合、当該第一のプローブ41a内の伝達関数H1と、当該第二のプローブ42a内の伝達関数H2とが一致し、実測伝達関数H12´は、本来伝達関数H12と一致することとなる。
しかしながら、例えば、管本体10を加熱して音圧を測定する場合には、第一のプローブ41a内の環境と、第二のプローブ42a内の環境とを一致させることは容易ではない。
そして、第一のプローブ41a内の環境と、第二のプローブ42a内の環境とが異なる場合、例えば、当該第一のプローブ41a内の温度と、第二のプローブ42a内の温度とが異なる場合には、音速は温度によって変化することから、当該第一のプローブ41a内の音速と、当該第二のプローブ42a内の音速とが異なることとなり、その結果、例えば、第一のプローブ41a内における音圧の振幅の減衰及び/又は音圧の位相の変化と、第二のプローブ42a内における音圧の振幅の減衰及び/又は音圧の位相の変化とが異なることとなる。
このように、第一のプローブ41a内における音圧の振幅の減衰及び/又は音圧の位相の変化と、第二のプローブ42a内における音圧の振幅の減衰及び/又は音圧の位相の変化とが異なる場合、当該第一のプローブ41aを通過した後に測定される第一の測定音圧P1´と、当該第二のプローブ42aを通過した後に測定される第二の測定音圧P2´とに基づき算出される実測伝達関数H12´は、本来伝達関数H12と一致しないこととなる。
したがって、この場合には、実測伝達関数H12´を用いて算出される垂直入射音響特性は、本来伝達関数H12を用いて算出される垂直入射音響特性と一致せず、算出結果の精度に問題が生じる。この精度の低下は、実測伝達関数H12´と本来伝達関数H12とのずれが大きくなるほど顕著になる。
そこで、本装置1及び本方法においては、管本体10の加熱下での第一のプローブ41a及び第二のプローブ42aを介した第一の音圧センサ41及び第二の音圧センサ42による音圧の測定中に、当該第一のプローブ41a及び第二のプローブ42aの温度を測定し、当該第一の音圧センサ41及び当該第二の音圧センサによる測定音圧と、第一のプローブ41aの測定温度及び当該第二のプローブ42aの測定温度と、に基づき、従来にない伝達関数(以下、「補正伝達関数H12(am)」という。)を算出する。
この補正伝達関数H12(am)は、上述の実測伝達関数H12´に、第一のプローブ41aの測定温度及び当該第二のプローブ42aの測定温度に基づく補正を加えた伝達関数に相当する。
このように、第一の音圧センサ41及び第二の音圧センサによる測定音圧のみならず、第一のプローブ41aの測定温度及び第二のプローブ42aの測定温度も用いて伝達関数を算出することは、従来行われていなかった。
この補正伝達関数H12(am)を用いて垂直入射音響特性を算出することにより、実測伝達関数H12´を用いる場合に比べて、高い精度で垂直入射音響特性を算出することができる。
ここで、本装置1は、図3に示すとおり、第一のプローブ41aを介した第一の音圧センサ41による第一の測定音圧P1´、第二のプローブ42aを介した第二の音圧センサ42による第二の測定音圧P2´、第一の温度センサ51による当該第一のプローブ41aの測定温度、及び、第二の温度センサ52による当該第二のプローブ42aの測定温度、に基づき補正伝達関数H12(am)を算出する補正伝達関数算出部200を含む。
補正伝達関数算出部200は、第一の測定音圧P1´、第二の測定音圧P2´、第一のプローブ41aの測定温度、及び、第二のプローブ42aの測定温度、に基づき補正伝達関数H12(am)を算出するための演算処理を行うものであれば特に限られず、例えば、プロセッサを含む演算装置(例えば、CPUを含むコンピュータ)により実現される。
ここで、本プログラムは、コンピュータにインストールされることにより、第一のプローブ41aを介した第一の音圧センサ41による第一の測定音圧P1´、第二のプローブ42aを介した第二の音圧センサ42による第二の測定音圧P2´、第一の温度センサ51による当該第一のプローブ41aの測定温度、及び、第二の温度センサ52による当該第二のプローブ42aの測定温度、に基づき補正伝達関数H12(am)を算出する補正伝達関数算出手段として当該コンピュータを機能させる。したがって、本装置1の補正伝達関数算出部200は、本プログラムがインストールされたコンピュータによって実現されてもよい。
また、本プログラムは、上述した本装置1及び本方法における処理の一部又は全部を実行する手段としてコンピュータを機能させるプログラムであることとしてもよい。すなわち、本装置1及び本方法における処理は、コンピュータに含まれる制御装置が、コンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録された本プログラムに従って動作することによって実行されてもよい。
具体的に、本プログラムは、第一の温度センサ51による第一のプローブ41aの測定温度と第二の温度センサ52による第二のプローブ42aの測定温度とを受け入れる測定温度受入手段、及び上記補正伝達関数算出手段としてコンピュータを機能させるものであることとしてもよい。
また、本プログラムは、第一のプローブ41aを介した第一の音圧センサ41による第一の測定音圧と第二のプローブ42aを介した第二の音圧センサ42による第二の測定音圧とを受け入れる測定音圧受入手段、及び上記補正伝達関数算出手段としてコンピュータを機能させるものであることとしてもよい。
また、本プログラムは、上述の測定温度受入手段、測定音圧受入手段、及び上記補正伝達関数算出手段としてコンピュータを機能させるものであることとしてもよい。
図4は、本プログラムがインストールされたコンピュータにより実現される、本装置1が実行する処理の一例を示すフロー図である。図4に示す例において、本装置1は、処理S1において、加熱された管本体10の管内10cに音源20から試験体30に向けて音波を放射しながら、第一のプローブ41a及び第二のプローブ42aを介して第一の音圧センサ41及び第二の音圧センサ42により測定された第一の測定音圧P1´及び第二の測定音圧P2´を取得する。
また、本装置1は、処理S2において、音圧の測定中に第一の温度センサ51及び第二の温度センサ52により測定された第一のプローブ41aの温度及び第二のプローブ42aの温度を取得する。
さらに、本装置1は、処理S3において、第一の測定音圧P1´、第二の測定音圧P2´、第一のプローブ41aの測定温度、及び、第二のプローブ42aの測定温度、に基づき補正伝達関数H12(am)を算出する。
そして、本装置1は、処理S4において、補正伝達関数H12(am)に基づいて、試験体30の垂直入射音響特性を算出する。
なお、本プログラムは、上述のとおり、コンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録されていてもよい。コンピュータ読み取り可能な記録媒体は、プログラムを記録可能であって、コンピュータによって当該プログラムを読み取ることが可能な媒体であれば特に限られないが、例えば、磁気ディスク(例えば、ハードディスク)、半導体メモリ(例えば、フラッシュメモリ等の不揮発性半導体メモリ)、及び光ディスク(例えば、DVDやCD)からなる群より選択される1以上が好ましく用いられる。
補正伝達関数H12(am)を算出する具体的な方法は、第一の測定音圧P1´及び第二の測定音圧P2´に加えて、第一のプローブ41aの測定温度及び第二のプローブ42aの測定温度を用いる方法であれば特に限られないが、例えば、当該第一の測定音圧P1´及び第二の測定音圧P2´と、当該第一のプローブ41aの測定温度及び当該第二のプローブ42aの測定温度から得られる、当該第一のプローブ41a内における音圧の振幅の減衰と当該第二のプローブ42a内における音圧の振幅の減衰との差異、及び/又は当該第一のプローブ41a内における音圧の位相の変化と当該第二のプローブ42a内における音圧の位相の変化との差異に関する特性値と、に基づき算出することとしてもよい。
この差異に関する特性値としては、例えば、第一のプローブ41a内及び第二のプローブ42a内における、(i)音速、(ii)伝搬定数、(iii)インピーダンス、(iv)アドミッタンス、及び(v)実効体積弾性率及び実効密度、からなる群より選択される1以上が挙げられる。
すなわち、上記(i)に関し、本装置1において、補正伝達関数算出部200は、例えば、第一の測定音圧P1´及び第二の測定音圧P2´と、第一のプローブ41aの測定温度及び第二のプローブ42aの測定温度から得られる当該第一のプローブ41a内の音速及び当該第二のプローブ42a内の音速と、に基づき補正伝達関数H12(am)を算出することとしてもよい。
具体的に、例えば、第一のプローブ41a内の長手方向における所定長さLの区間の温度がT1であり、第二のプローブ42a内の長手方向における、当該第一のプローブ41aの区間に対応する位置の当該所定長さLの区間の温度がT2である場合、当該第一のプローブ41a内の伝達関数H1に対する、当該第二のプローブ42a内の伝達関数H2の比であるH2/H1は、下記の式(VII)で表される。なお、上記長さLの区間を除いては、第一のプローブ41a内と第二のプローブ42a内とで温度差がないものと仮定する。
式(VII)において、c1は、温度がT1の第一のプローブ41a中における音速(単位:m/s)であり、c2は、温度がT2の第二のプローブ42a中における音速(単位:m/s)であり、fは周波数(単位:Hz)であり、Lは上記区間の長さ(単位:m)であり、jは虚数単位である。
そこで、管中における温度と音速との関係は既知であるから、第一の温度センサ51により測定された第一のプローブ41aの上記区間の温度T1から当該区間内の音速c1を求め、第二の温度センサ52により測定された第二のプローブ42aの上記区間の温度T2から当該区間内の音速c2を求めれば、上記式(VII)により、伝達関数比H2/H1が算出される。
さらに、この伝達関数比H2/H1と、第一の測定音圧P1´及び第二の測定音圧P2´に基づき上記式(I´)により算出される実測伝達関数H12´と、を用いれば、上記式(VI)で表される本来伝達関数H12に相当する伝達関数として、補正伝達関数H12(am)が算出される。
そして、こうして得られた補正伝達関数H12(am)を用いて垂直入射音響特性を算出することにより(例えば、上記の式(II)及び式(III)により、本来伝達関数H12に代えて補正伝達関数H12(am)を用いることにより垂直入射吸音率を算出することができる。)、実測伝達関数H12´をそのまま用いる場合に比べて、精度の高い垂直入射音響特性を算出することができる。
なお、上述の例に係る演算で用いられる特定の温度T1,T2における音速は、例えば、温度と音速との相関関係を示す計算式に当該特定の温度T1,T2を代入して算出して用いてもよい。
すなわち、例えば、温度Tで内径Dの円管内における音速cは下記の式(VIII)で表すことができる(出典:J. F. Allard and N. Atalla, Propagation of Sound in Porous Media, John Wiley & Sons, Inc.(2009))。
式(VIII)において、ρは空気の実効密度(単位:kg/m3)であり、Kは空気の実効体積弾性率(単位:Pa)である。ここで、ρは下記の式(IX)で表され、Kは下記の式(X)で表される。
式(IX)及び式(X)において、P0は円管内部の空気の圧力(単位:Pa)であり、ρ0(T)は温度Tの空気の密度(単位:kg/m3)であり、γ(T)は温度Tの空気の比熱比(単位:無次元)であり、η(T)は温度Tの空気の粘度(単位:Pa・s)であり、Pr(T)は温度Tの空気のプラントル数(単位:無次元)であり、ρは空気の実効密度(単位:kg/m3)であり、Kは空気の実効体積弾性率(単位:Pa)である。なお、ρ0(T)、γ(T)、η(T)及びPr(T)の値は、公知の文献から取得することもできる。
また、上述の例に係る演算で用いられる特定の温度T1,T2における音速は、例えば、複数の温度と、その各温度における音速とが対応付けて記録されたテーブルから、当該特定の温度T1,T2に対応する音速を読み出して用いてもよい。このような温度と音速との関係に関する計算式やテーブルは、図示しない記憶装置(ハードディスクや半導体メモリ等)に予め記憶させておき、補正伝達関数算出部200が当該記憶装置から読み出して演算に用いることとしてもよい。
また、上記(ii)に関し、本装置1において、例えば、第一の測定音圧P1´及び第二の測定音圧P2´と、第一のプローブ41aの測定温度及び第二のプローブ42aの測定温度から得られる当該第一のプローブ41a内の伝搬定数及び当該第二のプローブ42a内の伝搬係数と、に基づき補正伝達関数H12(am)を算出することとしてもよい。
具体的に、例えば、第一のプローブ41a内の長手方向における所定長さLの区間の温度がT1であり、第二のプローブ42a内の長手方向における、当該第一のプローブ41aの区間に対応する位置の当該所定長さLの区間の温度がT2である場合、当該第一のプローブ41a内の伝達関数H1に対する、当該第二のプローブ42a内の伝達関数H2の比であるH2/H1は、下記の式(XI)で表される。なお、上記長さLの区間を除いては、第一のプローブ41a内と第二のプローブ42a内とで温度差がないものと仮定する。
式(XI)において、Γ1は、温度がT1の第一のプローブ41a中における伝搬定数(単位:1/m)であり、Γ2は、温度がT2の第二のプローブ42a中における伝搬定数(単位:1/m)であり、Lは上記区間の長さ(単位:m)であり、jは虚数単位である。
そこで、管中における温度と伝搬定数との関係は既知であるから、第一の温度センサ51により測定された第一のプローブ41aの上記区間の温度T1から当該区間内の伝搬定数Γ1を求め、第二の温度センサ52により測定された第二のプローブ42aの上記区間の温度T2から当該区間内の伝搬定数Γ2を求めれば、上記式(XI)により、伝達関数比H2/H1が算出される。
さらに、この伝達関数比H2/H1と、第一の測定音圧P1´及び第二の測定音圧P2´に基づき上記式(I´)により算出される実測伝達関数H12´と、を用いれば、上記式(VI)で表される本来伝達関数H12に相当する伝達関数として、補正伝達関数H12(am)が算出される。
そして、こうして得られた補正伝達関数H12(am)を用いて垂直入射音響特性を算出することにより(例えば、上記の式(II)及び式(III)により、本来伝達関数H12に代えて補正伝達関数H12(am)を用いることにより垂直入射吸音率を算出することができる。)、実測伝達関数H12´をそのまま用いる場合に比べて、精度の高い垂直入射音響特性を算出することができる。
なお、上述の例に係る演算で用いられる特定の温度T1,T2における伝搬定数は、例えば、温度と伝搬定数との相関関係を示す計算式に当該特定の温度T1,T2を代入して算出して用いてもよい。
すなわち、例えば、温度Tで内径Dの円管内における伝搬定数Γは下記の式(XII)で表すことができる(出典:J. F. Allard and N. Atalla, Propagation of Sound in Porous Media, John Wiley & Sons, Inc.(2009))。
式(XII)において、ρは空気の実効密度(単位:kg/m3)であり、Kは空気の実効体積弾性率(単位:Pa)であり、fは周波数(単位:Hz)であり、jは虚数単位である。ここで、ρは下記の式(XIII)で表され、Kは下記の式(XIV)で表される。
式(XIII)及び式(XIV)において、P0は円管内部の空気の圧力(単位:Pa)であり、ρ0(T)は温度Tの空気の密度(単位:kg/m3)であり、γ(T)は温度Tの空気の比熱比(単位:無次元)であり、η(T)は温度Tの空気の粘度(単位:Pa・s)であり、Pr(T)は温度Tの空気のプラントル数(単位:無次元)であり、ρは空気の実効密度(単位:kg/m3)であり、Kは空気の実効体積弾性率(単位:Pa)である。なお、ρ0(T)、γ(T)、η(T)及びPr(T)の値は、公知の文献から取得することもできる。
また、上記(iii)に関し、本装置1においては、例えば、第一の測定音圧P1´及び第二の測定音圧P2´と、第一のプローブ41aの測定温度及び第二のプローブ42aの測定温度から得られる当該第一のプローブ41a内のインピーダンス及び当該第二のプローブ42a内のインピーダンスと、に基づき補正伝達関数H12(am)を算出することとしてもよい。
また、上記(iv)に関し、本装置1においては、例えば、第一の測定音圧P1´及び第二の測定音圧P2´と、第一のプローブ41aの測定温度及び第二のプローブ42aの測定温度から得られる当該第一のプローブ41a内のアドミッタンス及び当該第二のプローブ42a内のアドミッタンスと、に基づき補正伝達関数H12(am)を算出することとしてもよい。
また、上記(v)に関し、本装置1においては、例えば、第一の測定音圧P1´及び第二の測定音圧P2´と、第一のプローブ41aの測定温度及び第二のプローブ42aの測定温度から得られる当該第一のプローブ41a内の実効体積弾性率及び実効密度、及び当該第二のプローブ42a内の実効体積弾性率及び実効密度と、に基づき補正伝達関数H12(am)を算出することとしてもよい。
なお、本装置1及び本方法における、第一の測定音圧P1´、第二の測定音圧P2´、第一のプローブ41aの測定温度、及び、第二のプローブ42aの測定温度、に基づく補正伝達関数H12(am)の算出は、その算出過程に、当該測定温度や当該補正伝達関数H12(am)の算出に相当する演算が含まれていれば、上述の例で説明したような式を用いる態様に限られない。
また、第一の測定音圧P1´と、第二の測定音圧P2´と、第一のプローブ41a内及び第二のプローブ42a内の、(i)音速、(ii)伝搬定数、(iii)インピーダンス、(iv)アドミッタンス、及び(v)実効体積弾性率及び実効密度、からなる群より選択される1以上と、に基づく補正伝達関数H12(am)の算出も、その算出過程に、当該(i)音速、(ii)伝搬定数、(iii)インピーダンス、(iv)アドミッタンス、及び(v)実効体積弾性率及び実効密度、からなる群より選択される1以上や当該補正伝達関数H12(am)の算出に相当する演算が含まれていれば、上述の例で説明したような式を用いる態様に限られない。
次に、本実施形態に係る具体的な実施例について説明する。
図1A及び図1Bに示す本装置1を用いて、伝達関数法により、試験体30の垂直入射吸音率を評価した。管本体10としては、長手方向の一方端部10aが開口し、他方端部10bが閉塞されたステンレス鋼製の円筒体(内径40mm、外径50mm、長さ800mm)を使用した。
管本体10の一方端部10aには音源20としてコーン型スピーカを配置し、他方端部10bには試験体30として無機繊維製の円盤状マットを配置した。管本体10の他方端部10bから長手方向約450mmの範囲には、当該管本体10を加熱するヒータ12として、無機繊維製の円筒状成形体の内周面に固定された電熱線を、当該管本体10の管壁11の外周面11bを覆うように配置した。
また、管本体10の管壁11のうち、ヒータ12が配置されている範囲の長手方向複数の箇所に、当該管壁11の温度を測定する温度センサとして市販のKタイプ熱電対を配置するとともに、当該複数の温度センサからの測定温度に基づくPID制御によって当該ヒータ12による当該管本体10の加熱を行うための制御装置も準備した。
音圧センサ41,42としては、ステンレス鋼製の円筒体であるプローブ41a,42a(内径1mm、外径1.25mm、長さ160mm)を有する市販のプローブマイクロホンを使用した。
第一のプローブ41a及び第二のプローブ42aは、管本体10の管壁11の第一の位置X1及び第二の位置X2にそれぞれ形成された貫通孔に挿通し、当該管壁11に固定した。第一の位置X1と第二の位置X2との距離は30mmとした。
各プローブ41a,42aの管内10c側の端面から約30mmの位置に、熱伝導性に優れたアルミニウム製の板状片である治具(10mm×25mm、厚さ6mm)を固定し、当該治具の一部に、下段温度センサ51L,52Lとしての市販のKタイプ熱電対を固定するとともに、当該治具の他の一部に、下段温度調整部61L,62Lとしての市販のマイクロセラミックヒータを固定した。
同様に、各プローブ41a,42aの管内10c側の端面から約50mmの位置に、治具を固定し、当該治具の一部に、中段温度センサ51M,52Mとしての市販のKタイプ熱電対を固定するとともに、当該治具の他の一部に、中段温度調整部61M,62Mとしての市販のマイクロセラミックヒータを固定した。
同様に、各プローブ41a,42aの管内10c側の端面から約90mm(マイク本体41b,42b側の端面から約60mm)の位置に、治具を固定し、当該治具の一部に、上段温度センサ51U,52Uとしての市販のKタイプ熱電対を固定するとともに、当該治具の他の一部に、上段温度調整部61U,62Uとしての市販のペルチェ素子を配置した。
垂直入射音響特性の測定においては、まず、管本体10の管壁11に配置された温度センサによる測定温度が300℃となるように、当該測定温度に基づきPID制御されたヒータ12によって当該管本体10の管壁11を加熱した。
次いで、加熱された管本体10の管内10cに音源20から試験体30に向けて音波を放射しながら、第一のプローブ41a及び第二のプローブ42aを介して第一の音圧センサ41及び第二の音圧センサ42により当該管内10cの音圧を測定した。
そして、第一の音圧センサ41及び第二の音圧センサ42による音圧の測定中に、第一の温度センサ51及び第二の温度センサ52によって、第一のプローブ41a及び第二のプローブ42aの温度をそれぞれ測定するとともに、当該第一のプローブ41a及び当該第二のプローブ42aの測定温度に基づいて、当該測定温度が目標温度となるように、当該第一のプローブ41a及び当該第二のプローブ42aを加熱又は冷却した。
すなわち、プローブ41a,42aの上段、中段及び下段の各位置において、温度センサ51,52による測定温度に基づくPID制御によって、当該各位置の測定温度が図5に示す予め定められた目標温度となるよう、当該プローブ41a,42aを温度調整部61,62により加熱又は冷却した。
具体的には、図5に示すとおり、態様Aにおいては、第一のプローブ41a及び第二のプローブ42aともに、下段温度センサ51L,52Lによる測定温度が300℃となるように下段温度調整部61L,62Lによる加熱を行い、中段温度センサ51M,52Mによる測定温度が260℃となるように中段温度調整部61M,62Mによる加熱を行い、上段温度センサ51U,52Uによる測定温度が28℃となるように上段温度調整部61U,62Uによる冷却を行った。こうして、態様Aにおいては、第一のプローブ41aの長手方向の温度分布と、第二のプローブ42aの長手方向の温度分布とを一致させた。
一方、図5に示すとおり、他の態様B〜Eとして、第一のプローブ41aの長手方向の温度分布と、第二のプローブ42aの長手方向の温度分布とが異なる状態を作出した。
すなわち、態様Bにおいては、第一のプローブ41aの中段温度センサ51Mによる測定温度が250℃となるように第一の中段温度調整部61Mによる加熱を行い、その他は態様Aと同様とした。
態様Cにおいては、第一のプローブ41aの中段温度センサ51Mによる測定温度が240℃となるように第一の中段温度調整部61Mによる加熱を行い、その他は態様Aと同様とした。
態様Dにおいては、第一のプローブ41aの中段温度センサ51Mによる測定温度が210℃となるように第一の中段温度調整部61Mによる加熱を行い、その他は態様Aと同様とした。
態様Eにおいては、第二のプローブ42aの中段温度センサ52Mによる測定温度が250℃となるように第二の中段温度調整部62Mによる加熱を行い、その他は態様Aと同様とした。
そして、これら態様A〜Eのそれぞれにおいて、第一のプローブ41aを介して第一の音圧センサ41により測定された第一の測定音圧P1´と、第二のプローブ42aを介して第二の音圧センサ42により測定された第二の測定音圧P2´とに基づいて、実測伝達関数H12´を算出し(上記の式(I´))、当該実測伝達関数H12´を用いて、試験体30の垂直入射吸音率を算出した(上記の式(II)、(III))。
図6には、態様A〜Eのそれぞれにおいて算出された垂直入射吸音率(無次元)と、周波数(Hz)との関係を示す。
図6に示すように、第一のプローブ41aの温度分布と第二のプローブ42aの温度分布とが異なる態様B〜Eにおいて算出された垂直入射吸音率は、当該第一のプローブ41aの温度分布と当該第二のプローブ42aの温度分布とを一致させた態様Aにおいて算出された垂直入射吸音率と異なることが確認された。
さらに、第一のプローブ41aの温度分布と第二のプローブ42aの温度分布とのずれが大きくなるにつれて、すなわち、第一のプローブ41aの中段の位置の測定温度と、第二のプローブ42aの中段の位置の測定温度との差が大きくなるにつれて、算出される垂直入射吸音率と態様Aにおけるそれとの差も大きくなることが確認された。
すなわち、例えば、プローブ41a,42aの温度調整を何ら行わないことにより、当該プローブ41a,42a間の温度分布が態様B〜Eのように異なってしまう場合には、態様Aのように当該プローブ41a,42aの温度調整を行うことで、当該プローブ41a,42a間の温度分布を一致させて、より精度の高い垂直入射音響特性を得ることができることが確認された。
次に、態様B〜Eで得られた実測伝達関数H12´に、図5に示される中段位置の温度差に基づく補正を加えた補正伝達関数H12(am)を算出し、当該補正伝達関数H12(am)を用いて、試験体30の垂直入射吸音率を算出した。
すなわち、例えば、態様Bについては、第一のプローブ41aの中段位置の温度は250℃であり、第二のプローブ42aの中段位置の温度260℃より10℃低かったため、当該第一のプローブ41aの当該中段位置を中心とする長さ50mmの区間で、当該第一のプローブ41aの温度が当該第二のプローブ42aの温度より均一に5℃低い255℃であったと仮定して、当該第一のプローブ41aの当該区間の温度255℃における音速c1と、当該第二のプローブ42aの対応する区間の温度260℃における音速c2とに基づき、当該第一のプローブ41a内の伝達関数H1に対する、当該第二のプローブ42a内の伝達関数H2の比であるH2/H1を算出し(上記の式(VII))、当該伝達関数比H2/H1と、実際の測定で得られた第一の測定音圧P1´及び第二の測定音圧P2´から算出された実測伝達関数H12´(上記の式(I´))とを用いて、補正伝達関数H12(am)を算出した(上記の式(VI))。そして、この補正伝達関数H12(am)を用いて、試験体30の垂直入射吸音率を算出した(上記の式(II)、(III))。
また、態様C〜Eのそれぞれについても、同様にして、実際の測定で得られた第一の測定音圧P1´及び第二の測定音圧P2´と、プローブ41a,42aの中段位置の温度差と、に基づき補正伝達関数H12(am)を算出し、当該補正伝達関数H12(am)を用いて、試験体30の垂直入射吸音率を算出した。
図7には、態様B〜Eのそれぞれについて、補正伝達関数H12(am)を用いて算出された垂直入射吸音率(無次元)と、周波数(Hz)との関係を示す。なお、図7には、比較のため、図6で示したものと同じ、態様Aで実測伝達関数H12´を用いて算出された垂直入射吸音率も併せて示した。
図7に示すように、実測伝達関数H12´に代えて補正伝達関数H12(am)を用いて算出された態様B〜Eの垂直入射吸音率は、温度調整によってプローブ41a,42a間の温度分布を一致させた態様Aの垂直入射吸音率に近いものとなった。
すなわち、プローブ41a,42a間の温度差も考慮して算出された補正伝達関数H12(am)を用いることによって、温度調整によって当該プローブ41a,42a間の温度分布を一致させた場合と同様に、精度の高い垂直入射吸音率が得られることが確認された。