以下、本発明による部品特定システムおよび部品特定方法を、好適な実施の形態に従って図面を用いて説明する。
実施の形態1.
図1は、本発明の実施の形態1における部品特定システムの構成を示す概略図である。図1において、部品特定システムは、ユーザの一例である作業員が携帯する端末装置10と、建物に設置されている設備を遠隔監視する情報センター内に設けられるセンター装置20とを備える。
端末装置10は、例えば、演算処理を実行するマイクロコンピュータと、プログラムデータ、固定値データ等のデータを記憶するROM(Read Only Memory)、格納されているデータを更新して順次書き換えられるRAM(Random Access Memory)等のメモリと、画像を撮影するカメラと、ユーザが各種情報を入力するための入力インタフェースと、各種情報を画面表示するディスプレイと、通信先と通信する通信機などによって実現される。端末装置10の具体例としては、スマートホン、パーソナルコンピュータ、保守専用端末等が挙げられる。
端末装置10は、画像を撮影する撮影部11と、作業に関する作業情報を取得する作業情報取得部12と、部品の種別を特定する部品種別特定部13と、部品の品番を特定する部品品番特定部14と、各種情報を表示する表示部15と、センター装置20と通信する通信部16とを備える。
撮影部11は、部品の種別および品番を特定する対象となる対象部品の画像である部品画像を撮影する。
ここで、部品の種別とは、部品の種類を識別するための、部品の名称などの識別子を意味する。部品の品番とは、同一の種別である部品をそれぞれ区別するために、部品ごとに付ける番号を意味する。
作業情報取得部12は、作業に関する情報である作業情報を取得する。作業情報は、例えば、建物に設置されている設備に対して作業員が作業を行う際の作業場所、作業員が設備に対して行う作業の内容、作業員が行う作業の名称、作業員が作業を行う対象となる設備の部位、作業員が行う作業と関係する部品などの情報である。作業場所として、例えば、作業が行われる現場となる建物の名称などが挙げられる。
設備が例えばエレベーターである場合、エレベーターに対して行う作業として、エレベーターの部位の保守点検作業、エレベーターの部位で使用される部品の交換作業などが挙げられる。また、エレベーターの部位として、例えば、制御盤、巻上機、調速機、ガイドレール、釣合おもり、かご、緩衝器などが挙げられる。また、エレベーターの部位で使用される部品として、例えば、制御盤基板、制御盤扉、制御ケーブル、ドア基板、押釦、リミットスイッチ、エンコーダー、光電センサー、モーター、ハンガーローラー、ガイドローラー、レールクリップなどの種別が挙げられる。また、作業と部位と部品との関係の一例について、作業が制御盤点検の場合、部位は制御盤であり、部品は制御盤基板および制御盤扉である。
作業情報取得部12は、作業員によって端末装置10に作業情報が入力されることで、その作業情報を取得するように構成される。なお、作業情報取得部12は、作業員による端末装置10への作業情報の入力に従って作業情報を取得するのではなく、作業情報を自動的に取得するように構成されていてもよい。
部品種別特定部13は、センター装置20の後述する部品情報DB22から、通信部16を介して、部品の種別を特定するのに必要な情報を取得し、取得した情報を用いて、撮影部11によって撮影される部品画像内の対象部品の種別を特定する。
部品品番特定部14は、センター装置20の後述する部品情報DB22および建物情報DB23のそれぞれから、通信部16を介して、部品の品番を特定するのに必要な情報を取得し、取得した情報を用いて、部品種別特定部13によって種別が特定された対象部品の品番を特定する。
表示部15は、部品種別特定部13および部品品番特定部14によって作業員に各種情報が提示される際に各種情報を表示する。
センター装置20は、例えば、演算処理を実行するマイクロコンピュータと、プログラムデータ、固定値データ等のデータを記憶するROM(Read Only Memory)、格納されているデータを更新して順次書き換えられるRAM(Random Access Memory)等のメモリと、通信先と通信する通信機などによって実現される。
センター装置20は、センター装置20全体の動作を制御する制御部21と、メモリに格納される部品情報DB(データベース)22および建物情報DB(データベース)23と、端末装置10と通信する通信部24とを備える。
部品情報DB22は、作業情報と、作業情報に対応する部品の種別と、部品の種別に対応する部品の品番とが関連付けられたデータベースである。
また、部品情報DB22には、部品の種別を特定するための特徴である種別特徴が種別ごとに格納され、さらに、部品の品番を特定するための特徴である品番特徴が品番ごとに格納されている。
種別特徴は、部品情報DB22に登録されている部品の種別間を区別できるように規定される。種別特徴として、例えば、部品の形状などが挙げられる。また、品番特徴は、部品情報DB22に登録されている同一種別の部品の品番間を区別できるように規定されている。品番特徴として、例えば、部品の形状、寸法、色、材質などが挙げられる。
ここで、部品情報DB22の一例について、図2を参照しながら説明する。図2は、本発明の実施の形態1における部品特定システムの部品情報DB22を示す概略図である。
図2に示す「作業」は、予め登録される作業情報を示す。図2では、部品情報DB22に登録されている作業情報の中から、それぞれ異なる「作業1」、「作業2」および「作業3」を抜粋して例示している。
図2に示す「部品種別」は、作業情報と対応付けて予め登録される部品の種別を示す。「部品種別」に登録される部品の種別は、例えば、保守点検作業の対象となる設備の部位で使用される部品の種別、交換作業の対象となる部品の種別などである。
図2では、「作業1」に対応する部品の種別が「部品A」、「部品B」および「部品C」である場合を例示している。この場合、「作業1」に関係する部品として「部品A」、「部品B」および「部品C」の3種類の種別が存在することとなる。「作業2」および「作業3」についても同様のことがいえる。
図2に示す「部品品番」は、部品種別と対応付けて予め登録される部品の品番を示す。図2では、「部品A」に対応する部品品番が「#A01」〜「#A10」である場合を例示している。この場合、「部品A」の品番として「#A01」〜「#A10」の10種類の品番が存在することとなる。「部品B」〜「部品F」についても同様のことがいえる。
建物情報DB23は、建物に設置される設備の部位と、設備の部位で実際に使用される部品の種別と、設備の部位で実際に使用される部品の品番とが、建物ごとに関連付けられたデータベースである。
ここで、建物情報DB23の一例について、図3を参照しながら説明する。図3は、本発明の実施の形態1における部品特定システムの建物情報DB23を示す概略図である。なお、図3では、建物情報DB23内の、或る建物に対応するデータベース部分を抜粋して例示している。
図3に示す「設備部位」は、予め登録される、建物に設置される設備の部位を示す。図3では、建物情報DB23に登録されている建物に設置される設備の部位の中から、それぞれ異なる「部位I」、「部位II」、「部位III」および「部位IV」を抜粋して例示している。
図3に示す「部品種別」は、設備部位と対応付けて予め登録される、設備の部位で実際に使用される部品の種別を示す。図3では、「部位I」に対応する部品種別が「部品A」、「部品E」および「部品G」である場合を例示している。この場合、「部位I」で実際に使用される部品として、「部品A」、「部品E」および「部品G」の3種類の種別が存在することとなる。「部位II」〜「部位IV」についても同様のことがいえる。
図3に示す「部品品番」は、設備部位および部品種別と対応付けて予め登録される、設備の部位で実際に使用される部品の品番を示す。図3では、「部位I」について、「部品A」に対応する部品品番が「#A05」であり、「部品E」に対応する部品品番が「#E04」であり、「部品G」に対応する部品品番が「#G01」である場合を例示している。この場合、「部位I」で実際に使用される「部品A」、「部品E」および「部品G」の品番がそれぞれ、「#A05」、「#E04」および「#G01」であることとなる。「部位II」〜「部位IV」についても同様のことがいえる。
次に、本実施の形態1における部品特定システムによって行われる一連の種別特定処理について、図4を参照しながら説明する。図4は、本発明の実施の形態1における部品特定システムによって行われる一連の種別特定処理を示すフローチャートである。
ステップS101において、作業員が作業情報を端末装置10に入力する。その後、処理がステップS102へと進む。
ステップS102において、部品種別特定部13は、ステップS101で入力された作業情報に対応する部品種別を、種別候補として部品情報DB22から取得する。その後、処理がステップS103へと進む。
例えば、端末装置10に入力された作業情報が「作業1」である場合、図2に示すように、部品種別特定部13は、「作業1」に対応する部品種別、すなわち「部品A」、「部品B」および「部品C」を、種別候補として部品情報DB22から取得する。
このように、部品種別特定部13は、作業情報取得部12によって取得される作業情報に対応する部品種別を、部品情報DB22から種別候補として取得するように構成される。
ステップS103において、部品種別特定部13は、ステップS102で取得された種別候補ごとの種別特徴を、部品情報DB22から取得する。その後、処理がステップS104へと進む。
例えば、種別候補が「部品A」、「部品B」および「部品C」である場合、部品種別特定部13は、「部品A」の種別特徴と、「部品B」の種別特徴と、「部品C」の種別特徴を、部品情報DB22から取得する。
ステップS104において、作業員が端末装置10を操作することによって、撮影部11によって、対象部品の画像である部品画像を撮影する。その後、処理がステップS105へと進む。
ステップS105において、部品種別特定部13は、ステップS103で取得された種別候補ごとの種別特徴を用いて、ステップS104で撮影された部品画像を画像解析することで、種別候補ごとに種別信頼度を算出する。その後、処理がステップS106へと進む。
ここで、種別信頼度は、部品画像内の対象部品の種別が種別候補である確からしさを示す指標である。種別信頼度の値が大きくなるほど、対象部品の種別が種別候補である可能性が高くなり、種別信頼度の値が小さくなるほど、対象部品の種別が種別候補である可能性が低くなる。
例えば、種別候補が「部品A」、「部品B」および「部品C」である場合、部品種別特定部13は、「部品A」、「部品B」および「部品C」ごとの種別特徴を用いて、「部品A」、「部品B」および「部品C」ごとに種別信頼度を算出する。
すなわち、部品種別特定部13は、「部品A」の種別特徴を用いて、対象部品の種別が「部品A」である確からしさを示す「部品A」の種別信頼度を算出する。同様に、部品種別特定部13は、「部品B」の種別特徴を用いて、対象部品の種別が「部品B」である確からしさを示す「部品B」の種別信頼度を算出する。同様に、部品種別特定部13は、「部品C」の種別特徴を用いて、対象部品の種別が「部品C」である確からしさを示す「部品C」の種別信頼度を算出する。
続いて、上記の種別信頼度を算出する具体的な方法の一例について説明する。部品種別特定部13は、以下の式(1)に従って、種別候補ごとに種別信頼度を算出する。
ただし、式(1)において、Piは、対象部品の種別が、部品情報DB22に登録される部品種別Ai(i={1,2,・・・,N})である信頼度を示す。Fは、対象部品の画像特徴量を示す。この画像特徴量は、図4に示すステップS105で部品画像を画像解析することで得られる。Fi,Fkは、部品種別Ai,Akの画像特徴量を示す。この画像特徴量は、図4に示すステップS103で部品情報DB22から取得する種別特徴に相当する。
なお、上記の画像特徴量は、濃度勾配を用いるなど明示的に設計された特徴量抽出器によって抽出された特徴量でも構わないし、ニューラルネットワークを学習させることにより獲得された特徴量でも構わない。
このように、部品種別特定部13は、部品情報DB22から取得した種別候補ごとの種別特徴を用いて、部品画像を画像解析することで、種別候補ごとに種別信頼度を算出するように構成される。
ステップS106において、部品種別特定部13は、ステップS105で種別候補ごとに算出された種別信頼度と、予め規定される閾値とを比較し、種別候補の中から、種別信頼度が閾値未満であるものを除外することで種別候補の数を絞り込む種別候補絞込み処理を行う。部品種別特定部13は、種別候補絞込み処理後の種別候補の数、すなわち種別信頼度が閾値以上である種別候補の数が1つであるか否かを判定する。
なお、種別信頼度が上記の方法で算出される場合、上記の閾値は、例えば、「0.3」に設定される。この閾値は、運用に合わせて変更可能な値である。
ステップS106において、種別候補絞込み処理後の種別候補の数が1つである(すなわち、YES)と判定された場合には、処理がステップS107へと進み、そうでない(すなわち、NO)と判定された場合には、処理がステップS111へと進む。
例えば、種別信頼度が閾値未満である種別候補が「部品A」および「部品B」であり、種別信頼度が閾値以上である種別候補が「部品C」である場合、種別候補絞込み処理後の種別候補は、「部品C」となる。
このように、部品種別特定部13は、種別候補ごとに算出された種別信頼度に基づいて、種別候補の数を絞り込む種別候補絞込み処理を行うように構成される。
ステップS107において、部品種別特定部13は、種別候補絞込み処理後の種別候補の種別特徴を作業員に提示する。その後、処理がステップS108へと進む。種別候補の種別特徴が作業員に提示される際、種別候補の名称、種別候補の使用方法などの種別候補に関する情報を含む種別特徴が提示される。部品種別特定部13によって作業員に提示される内容は、表示部15に表示される。
例えば、種別候補絞込み処理後の種別候補が「部品C」である場合、部品種別特定部13は、「部品C」の種別特徴を提示する。
ステップS108において、作業員が、ステップS107で提示された種別候補の種別特徴を参照して、種別候補の種別特徴と対象部品の実際の特徴とが一致しているかを目視で判断する。その後、処理がステップS109へと進む。作業員は、このような判断の結果を、端末装置10に入力する。
例えば、作業員は、「部品C」の種別特徴が提示された場合、「部品C」の種別特徴と、対象部品の実際の特徴とが一致しているかを判断する。
ステップS109において、部品種別特定部13は、ステップS108で作業員によって種別候補の種別特徴と、対象部品の実際の特徴とが一致していると判断されたか否かを判定する。
ステップS109において、作業員によって種別候補の種別特徴と対象部品の実際の特徴とが一致していると判断された(すなわち、YES)と判定された場合には、処理がステップS110へと進み、そうでない(すなわち、NO)と判定された場合には、処理がステップS102へと戻る。
ステップS110において、部品種別特定部13は、ステップS108で作業員によって対象部品の実際の特徴と種別特徴が一致していると判断された種別候補を、対象部品の種別として特定する。その後、処理が終了となる。
例えば、「部品C」の種別特徴が作業員に提示され、作業員によって対象部品の実際の特徴と「部品C」の種別特徴とが一致していると判断された場合、部品種別特定部13は、「部品C」を、対象部品の種別として特定する。
このように、部品種別特定部13は、種別候補絞込み処理後の種別候補の種別特徴をユーザに提示し、ユーザによって対象部品の実際の特徴と種別特徴が一致していると判断された種別候補を、対象部品の種別として特定するように構成される。
ステップS111において、部品種別特定部13は、種別候補絞込み処理後の種別候補の数が複数であるか否かを判定する。
ステップS111において、種別候補絞込み処理後の種別候補の数が複数である(すなわち、YES)と判定された場合には、処理がステップS112へと進み、そうでない(すなわち、NO)と判定された場合には、処理がステップS102へと戻る。
ステップS112において、部品種別特定部13は、種別候補絞込み処理後の種別候補の数をこれ以上絞り込むことが困難であるか否かを判定する。
ステップS112において、種別候補の数を絞り込むことが困難である(すなわち、YES)と判定された場合には、処理がステップS107へと進み、そうでない(すなわち、NO)と判定された場合には、処理がステップS102へと戻る。
なお、ステップS112では、例えば、種別特定処理を開始してからのステップS112の実行回数が規定回数に達したことを条件として、種別候補の数を絞り込むことが困難であると判定される。
処理がステップS112からステップS107へ進んだ場合、種別候補絞込み処理後の種別候補が複数存在することとなる。この場合、ステップS107では、種別候補絞込み処理後の種別候補のそれぞれの種別特徴が作業員に提示される。ステップS108では、作業員は、種別候補のそれぞれの種別特徴と対象部品の実際の特徴とが一致しているかを目視で判断し、その判断の結果を、端末装置10に入力する。ステップS109およびステップS110では、部品種別特定部13は、複数存在する種別候補のうちの、対象部品の実際の特徴と種別特徴が一致していると判断された種別候補を、対象部品の種別として特定する。
このように、部品種別特定部13は、種別候補絞込み処理後の種別候補の種別特徴をユーザに提示し、ユーザによって対象部品の実際の特徴と種別特徴が一致していると判断された種別候補を、対象部品の種別として特定するように構成される。なお、部品種別特定部13は、ステップS106で種別候補絞込み処理後の種別候補の数が1つであると判定した場合、ステップS105でこの種別候補について算出された種別信頼度が予め設定される閾値を超えていれば、ステップS107〜ステップS109の処理を省略して、ステップS110の処理を実行するようにさらに構成されていてもよい。
次に、本実施の形態1における部品特定システムによって行われる一連の品番特定処理について、図5を参照しながら説明する。図5は、本発明の実施の形態1における部品特定システムによって行われる一連の品番特定処理を示すフローチャートである。
ステップS201において、部品品番特定部14は、種別特定処理で端末装置10に入力された作業情報に含まれる、作業が行われる現場となる建物と、種別特定処理で特定された対象部品の種別とに対応する品番を、実品番として建物情報DB23から取得する。部品品番特定部14は、建物情報DB23から取得した実品番と、その実品番と類似する品番とを、品番候補として部品情報DB22から取得する。部品品番特定部14は、品番候補ごとの品番特徴も併せて部品情報DB22から取得する。その後、処理がステップS202へと進む。
なお、部品情報DB22では、部品情報DB22に登録されている同一種別の部品の品番間での類似関係、すなわち、同一種別の部品の品番の中で、類似している品番と類似していない品番との関係が規定されている。
例えば、種別特定処理で端末装置10に入力された作業情報に含まれる建物が或る建物であり、種別特定処理で特定された対象部品の種別が「部品C」である場合、図3に示すように、部品品番特定部14は、或る建物および「部品C」に対応する「#C06」を、実品番として建物情報DB23から取得する。
この場合、部品品番特定部14は、建物情報DB23から取得した「#C06」と類似する品番を、品番候補として部品情報DB22から取得する。例えば、部品情報DB22に登録される「部品C」の「#C01」〜「#C08」のうち、「#C06」と類似する品番が「#C01」、「#C05」と規定される場合、部品品番特定部14は、「#C01」、「#C05」および「#C06」を、品番候補として部品情報DB22から取得する。
このように、部品品番特定部14は、作業情報取得部12によって取得される作業情報に含まれる建物と、部品種別特定部13によって特定された対象部品の種別とに対応する品番を、実品番として建物情報DB23から取得するように構成される。また、部品品番特定部14は、建物情報DB23から取得した実品番と、実品番と類似する品番とを、品番候補として部品情報DB22から取得するように構成される。
ステップS202において、部品品番特定部14は、ステップS201で取得された品番候補ごとの品番特徴を用いて、種別特定処理で撮影された部品画像を画像解析することで、品番候補ごとに品番信頼度を算出する。その後、処理がステップS203へと進む。
ここで、品番信頼度は、部品画像内の対象部品の品番が品番候補である確からしさを示す指標である。品番信頼度の値が大きくなるほど、対象部品の品番が品番候補である可能性が高くなり、品番信頼度の値が小さくなるほど、対象部品の品番が品番候補である可能性が低くなる。
例えば、品番候補が「#C01」、「#C05」および「#C06」である場合、部品品番特定部14は、「#C01」、「#C05」および「#C06」ごとの品番特徴を用いて、「#C01」、「#C05」および「#C06」ごとに品番信頼度を算出する。
すなわち、部品品番特定部14は、「#C01」の品番特徴を用いて、対象部品の品番が「#C01」である確からしさを示す「#C01」の品番信頼度を算出する。同様に、部品品番特定部14は、「#C05」の品番特徴を用いて、対象部品の品番が「#C05」である確からしさを示す「#C05」の品番信頼度を算出する。同様に、部品品番特定部14は、「#C06」の品番特徴を用いて、対象部品の品番が「#C06」である確からしさを示す「#C06」の品番信頼度を算出する。
なお、上記の品番信頼度を算出する具体的な方法は、上記で説明した種別信頼度を算出する方法と同様である。
このように、部品品番特定部14は、品番候補ごとの品番特徴を用いて、部品画像を画像解析することで、品番候補ごとに品番信頼度を算出するように構成される。
ステップS203において、部品品番特定部14は、ステップS202で品番候補ごとに算出された品番信頼度と、予め規定される閾値とを比較し、品番候補の中から、品番信頼度が閾値未満であるものを除外することで品番候補の数を絞り込む第1品番候補絞込み処理を行う。部品品番特定部14は、第1品番候補絞込み処理後の品番候補の数、すなわち品番信頼度が閾値以上である品番候補の数が1つであるか否かを判定する。
ステップS203において、第1品番候補絞込み処理後の品番候補の数が1つである(すなわち、YES)と判定された場合には、処理がステップS204へと進み、そうでない(すなわち、NO)と判定された場合には、処理がステップS208へと進む。
例えば、品番信頼度が閾値未満である品番候補が「#C05」および「#C06」であり、品番信頼度が閾値以上である品番候補が「#C01」である場合、第1品番候補絞込み処理後の品番候補は、「#C01」となる。
このように、部品品番特定部14は、品番候補ごとに算出された品番信頼度に基づいて、品番候補の数を絞り込む第1品番候補絞込み処理を品番絞込み処理として行うように構成される。
ステップS204において、部品品番特定部14は、品番候補絞込み処理後の品番候補の品番特徴を作業員に提示する。その後、処理がステップS205へと進む。品番候補の品番特徴が作業員に提示される際、品番候補に関する情報を含む品番特徴が提示される。部品品番特定部14によって作業員に提示される内容は、表示部15に表示される。
例えば、品番候補絞込み処理後の品番候補が「#C01」である場合、部品品番特定部14は、「#C01」の品番特徴を提示する。
ステップS205において、作業員が、ステップS204で提示された品番候補の品番特徴を参照して、品番候補の品番特徴と対象部品の実際の特徴とが一致しているかを目視で判断する。その後、処理がステップS206へと進む。
例えば、作業員は、「#C01」の品番特徴が提示された場合、「#C01」の品番特徴と、対象部品の実際の特徴とが一致しているかを判断する。
ステップS206において、部品品番特定部14は、ステップS205で作業員によって品番候補の品番特徴と、対象部品の実際の特徴とが一致していると判断されたか否かを判定する。
ステップS206において、作業員によって品番候補の品番特徴と対象部品の実際の特徴とが一致していると判断された(すなわち、YES)と判定された場合には、処理がステップS207へと進み、そうでない(すなわち、NO)と判定された場合には、処理がステップS217へと進む。
ステップS207において、部品品番特定部14は、ステップS205で作業員によって対象部品の実際の特徴と品番特徴が一致していると判断された品番候補を、対象部品の品番として特定する。その後、処理が終了となる。
例えば、「#C01」の品番特徴が作業員に提示され、作業員によって対象部品の実際の特徴と「#C01」の品番特徴とが一致していると判断された場合、部品品番特定部14は、「#C01」を、対象部品の品番として特定する。
このように、部品品番特定部14は、品番候補絞込み処理後の品番候補の品番特徴をユーザに提示し、ユーザによって対象部品の実際の特徴と品番特徴が一致していると判断された品番候補を、対象部品の品番として特定するように構成される。
ステップS208において、部品品番特定部14は、第1品番候補絞込み処理後の品番候補の数が複数であるか否かを判定する。
ステップS208において、第1品番候補絞込み処理後の品番候補の数が複数である(すなわち、YES)と判定された場合には、処理がステップS209へと進み、そうでない(すなわち、NO)と判定された場合には、処理がステップS216へと進む。
ステップS209において、部品品番特定部14は、部品情報DB22を参照して、複数存在する品番候補間で差異となる差異要素を特定する。その後、処理がステップS210へと進む。
なお、部品情報DB22では、上述したとおり、部品情報DB22に登録されている同一種別の部品の品番間での品番特徴の類似関係が規定され、さらに、類似関係にある品番間で差異となる差異要素が規定されている。このような差異要素として、例えば、寸法、色、材質などが挙げられる。
例えば、第1品番候補絞込み処理後の品番候補が「#C01」および「#C05」であり、「#C01」と「#C05」との間で寸法が異なる場合、部品品番特定部14は、「#C01」と「#C05」との間の差異要素が「寸法」であると特定する。
このように、部品品番特定部14は、第1品番候補絞込み処理後の品番候補の数が複数である場合、複数存在する品番候補間の差異要素を特定するように構成される。
ステップS210において、部品品番特定部14は、ステップS209で特定された差異要素に基づいて、取得すべき対象部品の特性情報を特定する。その後、処理がステップS211へと進む。
例えば、第1品番候補絞込み処理後の品番候補が「#C01」および「#C05」であり、「#C01」と「#C05」との間の差異要素が「寸法」である場合、部品品番特定部14は、対象部品の特性情報が「寸法」であると特定する。
ステップS211において、部品品番特定部14は、ステップS210で特定した対象部品の特性情報を取得するのに作業員が行う必要がある作業を作業員に提示する。その後、処理がステップS212へと進む。部品品番特定部14によって作業員に提示される内容は、表示部15に表示される。
例えば、対象部品の特性情報が「寸法」である場合、部品品番特定部14は、対象部品の特性情報として対象部品の寸法を取得するのに作業員が行う必要がある作業を作業員に提示する。部品品番特定部14は、一例として、撮影部11のアングルを変えて再度撮影された部品画像を画像解析することで対象部品の寸法を取得する。この場合、作業員が行うべき作業として、撮影部11のアングルを変えて画像を撮影する作業が提示される。部品品番特定部14は、別例として、ノギスによって測定された対象部品の寸法の測定値を、対象部品の寸法として取得する。この場合、作業員が行うべき作業として、作業者がノギスで対象部品の寸法を測定してその測定結果を端末装置10に入力する作業が提示される。
このように、部品品番特定部14は、特定した差異要素に基づいて、取得すべき対象部品の特性情報を特定し、特定した対象部品の特性情報を取得するのにユーザが行う必要がある作業をユーザに提示するように構成される。
ステップS212において、作業員は、ステップS211で提示された作業を行う。その後、処理がステップS213へと進む。
ステップS213において、部品品番特定部14は、ステップS202で取得した品番候補ごとの品番特徴と、ステップS212で作業が行われたことによって取得した対象部品の特性情報とを用いて、部品画像を画像解析することで、第1品番候補絞込み処理後の品番候補ごとに品番信頼度を再度算出する。
このように、部品品番特定部14は、提示した作業がユーザによって行われることで取得した対象部品の特性情報と、第1品番候補絞込み処理後の品番候補ごとの品番特徴を用いて、部品画像を解析することで、第1品番候補絞込み処理後の品番候補ごとに品番信頼度を再度算出するように構成される。
ステップS214において、部品品番特定部14は、ステップS213で品番候補ごとに算出された品番信頼度と、予め規定される閾値とを比較し、第1品番絞込み処理後の品番候補の中から、品番信頼度が閾値未満であるものを除外することで品番候補の数をさらに絞り込む第2品番候補絞込み処理を行う。部品品番特定部14は、第2品番候補絞込み処理後の品番候補の数が1つであるか否かを判定する。
ステップS214において、第2品番候補絞込み処理後の品番候補の数が1つである(すなわち、YES)と判定された場合には、処理がステップS204へと進み、そうでない(すなわち、NO)と判定された場合には、処理がステップS215へと進む。
このように、部品品番特定部14は、第1品番候補絞込み処理後の品番候補ごとに再度算出された品番信頼度に基づいて、第1品番候補絞込み処理後の品番候補の数をさらに絞り込む第2品番候補絞込み処理を品番絞込み処理として行うように構成される。
ステップS215において、部品品番特定部14は、第2品番候補絞込み処理後の品番候補の数をこれ以上絞り込むことが困難であるか否かを判定する。
ステップS215において、品番候補の数を絞り込むことが困難である(すなわち、YES)と判定された場合には、処理がステップS204へと進み、そうでない(すなわち、NO)と判定された場合には、処理がステップS209へと戻る。
なお、ステップS215では、例えば、品番特定処理を開始してからのステップS215の実行回数が規定回数に達したことを条件として、品番候補の数を絞り込むことが困難であると判定される。
処理がステップS215からステップS204へ進んだ場合、品番候補絞込み処理後の品番候補が複数存在することとなる。この場合、ステップS204では、品番候補絞込み処理後の品番候補のそれぞれの品番特徴が作業員に提示される。ステップS205では、作業員は、品番候補のそれぞれの品番特徴と対象部品の実際の特徴とが一致しているかを目視で判断し、その判断の結果を、端末装置10に入力する。ステップS206およびステップS207では、部品品番特定部14は、複数存在する品番候補のうちの、対象部品の実際の特徴と品番特徴が一致していると判断された品番候補を、対象部品の品番として特定する。
このように、部品品番特定部14は、品番候補絞込み処理後の品番候補の品番特徴をユーザに提示し、ユーザによって対象部品の実際の特徴と品番特徴が一致していると判断された品番候補を、対象部品の品番として特定するように構成される。
ステップS216において、部品品番特定部14は、部品情報DB22を参照して、ステップS201で取得された品番候補を別の品番候補に変更する。その後、処理がステップS202へと戻る。
なお、品番候補を変更する手法は、予め規定されるものであり、どのように規定されていてもよい。例えば、はじめに部品情報DB22から取得された際の品番候補が「#C01」、「#C05」および「#C06」である場合、部品品番特定部14は、部品情報DB22に登録されているすべての品番「#C01」〜「#C08」のうちの、残りの「#C02」〜「#C04」、「#C07」および「#C08」を新たな品番候補とする。
ステップS217において、部品品番特定部14は、部品情報DB22を参照して、ステップS201で取得された品番候補を別の品番候補に変更する。その後、処理がステップS202へと戻る。
なお、本実施の形態1では、部品特定システムの構成の具体例として、部品種別特定部13および部品品番特定部14が端末装置10に具備されるように構成し、部品情報DB22および建物情報DB23がセンター装置20に具備されるように構成する場合を例示したが、これに限定されない。すなわち、端末装置10とセンター装置20とが互いに通信可能であるので、部品種別特定部13、部品品番特定部14、部品情報DB22および建物情報DB23のそれぞれは、端末装置10およびセンター装置20のいずれかに具備されるように構成すれば、部品特定システムをどのように構成してもよい。
以上、本実施の形態1によれば、部品特定システムは、取得した作業情報に対応する部品種別を、作業情報と、作業情報に対応する部品の種別とが関連付けられた部品情報データベースから種別候補として取得し、種別候補ごとの種別特徴を用いて、部品画像を画像解析することで、種別候補ごとに種別信頼度を算出するように構成される。また、部品特定システムは、種別候補ごとに算出された種別信頼度に基づいて、種別候補の数を絞り込む種別候補絞込み処理を行うように構成される。さらに、部品特定システムは、種別候補絞込み処理後の種別候補の種別特徴をユーザに提示し、ユーザによって対象部品の実際の特徴と種別特徴が一致していると判断された種別候補を、対象部品の種別として特定するように構成される。これにより、ユーザが部品の種別を把握することをサポートすることができる。なお、部品特定システムは、ユーザが部品の種別を直接入力可能であって、ユーザによって部品の種別が入力されれば、ユーザによって入力された種別を、対象部品の種別として特定するようにさらに構成されていてもよい。例えば、ユーザにとって種別の判断が容易な部品(例えば、制御盤の制御基板など)の品番をユーザが把握したい場合、ユーザは、部品の種別を部品特定システムに直接入力する。
また、部品特定システムは、上記の構成に対して、取得した作業情報に含まれる建物と、特定した対象部品の種別とに対応する品番を、実品番として、建物情報データベースから取得するように構成される。また、部品特定システムは、建物情報データベースから取得した実品番と、実品番と類似する品番とを、品番候補として部品情報データベースから取得し、品番候補ごとの品番特徴を用いて、部品画像を画像解析することで、品番候補ごとに品番信頼度を算出するように構成される。さらに、部品特定システムは、品番候補ごとに算出された品番信頼度に基づいて、品番候補の数を絞り込む第1品番候補絞込み処理を品番絞込み処理として行うように構成される。さらに、部品特定システムは、品番候補絞込み処理後の品番候補の品番特徴をユーザに提示し、ユーザによって対象部品の実際の特徴と品番特徴が一致していると判断された品番候補を、対象部品の品番として特定するように構成される。これにより、ユーザが部品の種別とともに部品の品番も把握することをサポートすることができる。
なお、上記の構成によって、部品の特定、すなわち部品の種別および品番の特定の精度の向上の実現およびこのような部品の特定にかかる時間の短縮の実現が期待できる。また、上記の構成を、作業報告などで使用する画像データを取得するシステムに適用することで、このような画像データを取得する間違いの防止の実現が期待できる。また、上記の構成によって、部品を特定するための手順を導くことによる部品の特定の効率化の実現が期待できる。
また、上記の構成によって、部品の修理のためのマニュアル参照のためのシステムでのマニュアルの該当頁の検索の効率化の実現と、部品交換に伴う部品発注のためのシステムでの部品発注操作の効率化の実現とが期待できる。また、上記の構成によって、部品の名称が分からないために、マニュアルを参照できなかったり、部品を発注できなかったりするような状況が発生した場合であっても、撮影画像などの現物から取得した客観情報を基にした部品の特定の実現が期待できる。
また、上記の構成によって、複数の部品から構成される複合部品の内側の見えない部分に配置される部品を特定することが必要な状況が発生した場合であっても、複合部品を分解することのない部品の特定の実現が期待できるとともに、部品の品番を特定するための複合部品の最小限の分解手順の指示の実現が期待できる。
本発明における部品特定システムは、対象部品の画像である部品画像を撮影する撮影部と、作業に関する情報である作業情報を取得する作業情報取得部と、作業情報と、作業情報に対応する部品の種別と、部品の種別を特定するための特徴である種別特徴とが関連付けられた部品情報データベースと、撮影部によって撮影される部品画像内の対象部品の種別を特定する部品種別特定部と、を備え、部品種別特定部は、作業情報取得部によって取得される作業情報に対応する部品の種別を、部品情報データベースから種別候補として取得し、種別候補ごとに関連付けられた種別特徴を用いて、部品画像を画像解析することで、画像特徴量を生成し、種別特徴と画像特徴量との比較に基づいて、部品画像内の対象部品の種別が種別候補である確からしさを示す指標である種別信頼度を種別候補ごとに算出し、種別候補ごとに算出された種別信頼度に基づいて、種別候補の数を絞り込む種別候補絞込み処理を行い、種別候補絞込み処理後の種別候補の種別特徴をユーザに提示し、ユーザによって対象部品の実際の特徴と種別特徴が一致していると判断された種別候補を、対象部品の種別として特定するものである。