JPWO2019240223A1 - 数平均分子量が3kDa〜10kDaであるPEGブロックとカチオン性ポリマーとのブロックコポリマーと、アンチセンスオリゴヌクレオチドとを含む、ポリイオンコンプレックスミセル - Google Patents

数平均分子量が3kDa〜10kDaであるPEGブロックとカチオン性ポリマーとのブロックコポリマーと、アンチセンスオリゴヌクレオチドとを含む、ポリイオンコンプレックスミセル Download PDF

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Abstract

本発明は、数平均分子量が3kDa〜10kDaであるPEGブロックとカチオン性ポリマーとのブロックコポリマーと、アンチセンスオリゴとを含む、ポリイオンコンプレックスミセルを提供する。

Description

本発明は、数平均分子量が3kDa〜10kDaであるPEGブロックとカチオン性ポリマーとのブロックコポリマーと、アンチセンスオリゴヌクレオチドとを含む、ポリイオンコンプレックスミセルに関する。
薬剤送達システムの開発は、内包される薬物を効率的にかつ選択的に標的組織または臓器へと送達するものである。薬剤送達システムは、内包される薬物の血中滞留性を高める役割を果たし得る。
脳に対する薬剤送達システムとしては、特許文献1では、表面をグルコースで修飾したミセルが開示されている。特許文献1では、血糖操作を行いつつ、表面をグルコースで修飾したミセルを投与すると、ミセルの脳への集積が顕著に高まることを明らかにしている。
WO2015/075942
本発明は、数平均分子量が3kDa〜10kDaであるPEGブロックとカチオン性ポリマーとのブロックコポリマーと、アンチセンスオリゴヌクレオチド(またはオリゴヌクレオチド)とを含む、ポリイオンコンプレックスミセルを提供する。
本発明者らは、数平均分子量が2kDaであるPEGブロックとカチオン性ポリマーとのブロックコポリマーと、アンチセンスオリゴヌクレオチドとを混合すると、ポリイオンコンプレックスミセルの形成効率が低いことを見出した。本発明者らはまた、数平均分子量が12kDaであるPEGブロックとカチオン性ポリマーとのブロックコポリマーと、アンチセンスオリゴヌクレオチドとを混合すると、ポリイオンコンプレックスミセルは、PEGブロック側を修飾する薬剤送達のための標的化分子がPEGの内部に潜り込み、ミセルの表面に提示される効率が低くなることを見出した。本発明者らはさらに、数平均分子量が3kDa〜10kDaであるPEGブロックとカチオン性ポリマーとのブロックコポリマーと、核酸とを含む、ポリイオンコンプレックスミセルは、核酸がDNAまたはmRNAである場合には形成効率が低いのに対して、核酸がアンチセンスオリゴヌクレオチドの場合には効率良く形成され得ること、および、ミセルが形成された場合にPEGブロック側を修飾する薬剤送達のための標的化分子がミセル表面に露出しやすくなることを見出した。
本発明によれば、以下の発明が提供され得る。
(1)数平均分子量が3kDa〜10kDaであるPEGブロックとカチオン性ポリマーとのブロックコポリマーと、アンチセンスオリゴヌクレオチドとを含む、ポリイオンコンプレックスミセル。
(2)数平均分子量が3kDa〜10kDaであるPEGブロックとカチオン性ポリマーとのブロックコポリマーのPEG側の末端が細胞表面または細胞外基質に結合する分子により修飾されている、上記(1)に記載のポリイオンコンプレックスミセル。
(3)細胞表面への結合分子が、GLUT1リガンドである、上記(2)に記載のポリイオンコンプレックスミセル。
(4)GLUT1リガンドが、グルコースである、上記(3)に記載のポリイオンコンプレックスミセル。
(5)数平均分子量が3kDa〜10kDaであるPEGブロックとカチオン性ポリマーとのブロックコポリマーのPEG側末端の10〜40モル%がグルコースにより修飾されている、上記(4)に記載のポリイオンコンプレックスミセル。
(6)PEGブロックの数平均分子量が4kDa〜7kDaである、上記(1)〜(5)のいずれかに記載のポリイオンコンプレックスミセル。
(7)上記(1)〜(6)のいずれかに記載のポリイオンコンプレックスミセルを含む医薬組成物。
(8)上記(1)〜(6)のいずれかに記載のポリイオンコンプレックスミセルを含んでなる、投与計画に従って対象に投与するための医薬組成物であって、
該投与計画は、絶食させるか、または低血糖を誘発させた対象に該医薬組成物を投与することおよび該対象において血糖値の上昇を誘発させることを含み、
該ポリイオンコンプレックスミセルは、その外表面がGLUT1リガンドにより修飾されている、医薬組成物。
図1Aは、カチオン性ポリマーとアンチセンスオリゴの混合比(N/P比)と散乱光強度(SLI)および多分散度(PDI)との関係を示す。 図1Bは、ミセルを構成するカチオン性ポリマーの総数に対するグルコース修飾を受けたカチオン性ポリマーの割合(glucose contains in micelle (%))と、粒径およびPDIと関係を示す。 図1Cは、ウシ胎児血清(FBS)存在下におけるASOミセルの拡散時間とミセル形成に用いたASO濃度との関係を示す。 図2は、マウスに投与されたASOミセルを耳の血管において観察した蛍光電子顕微鏡像である。 図3は、マウスに投与されたASOミセルの血中滞留性(Relative Invensity)を示す。 図4Aは、蛍光標識したASOミセルを投与したマウスの脳組織に蓄積したASOミセルの量とASO表面のグルコース修飾の割合との関係を示す。縦軸は、投与量に対する脳組織に蓄積したミセルの割合を脳組織1gあたりで換算して求めた値を示す。 図4Bは、蛍光標識したASOミセルを投与したアルツハイマー病のマウスの脳組織に蓄積したASOミセルの量とASO表面のグルコース修飾の割合との関係を示す。縦軸は、投与量に対する脳組織に蓄積したミセルの割合を脳組織1gあたりで換算して求めた値を示す。 図5は、カチオン性ポリマーの25%がグルコースで修飾されたGlc−PIC(ASO)の各臓器への蓄積量と裸のASOの脳への各臓器への蓄積の比を示す。 図6Aは、PEGブロックにおけるPEGの平均分子量が2kDaであるASOミセルの散乱光強度(SLI)を示す。 図6Bは、PEGブロックにおけるPEGの平均分子量が12kDaであるASOミセルの散乱光強度(SLI)を示す。 図6Cは、PEGブロックにおけるPEGの平均分子量が2kDaであるモデルミセルと、PEGブロックにおけるPEGの平均分子量が12kDaであるASOミセルのマウス脳への集積の程度を示す図である。 図6Dは、PEGブロックにおけるPEGの平均分子量が5kDaであり、アニオン性ポリマーがプラスミドDNA(pDNA)またはメッセンジャーRNA(mRNA)であるミセルの形成効率を示す。縦軸は、散乱光強度(SLI)を示す。
発明の詳細な説明
本明細書では、「ミセル」とは、1層の分子膜(または分子層)により形成される小胞を意味する。ミセルとしては、界面活性剤などの両親媒性分子により形成されるミセル、および、ポリイオンコンプレックスにより形成されるミセル(PICミセル)が挙げられる。ミセルは、血中滞留時間の観点では、その外表面をポリエチレングリコールで修飾することが好ましいと知られている。
本明細書では、「ポリイオンコンプレックス」(以下、「PIC」ともいう)とは、PEGとアニオン性ブロックとの共重合体と、PEGとカチオン性ブロックとの共重合体とを水溶液中で荷電を中和するように混合すると両ブロック共重合体のカチオン性ブロックとアニオン性ブロックとの間で形成されるイオン層である。PEGと上記の荷電性連鎖とを結合させる意義は、ポリイオンコンプレックスが凝集して沈殿することを抑制すること、および、それにより、ポリイオンコンプレックスが粒径数十nmの単分散なコア−シェル構造を有するナノ微粒子を形成することである。この際、PEGはナノ微粒子の外殻(シェル)を覆うため、生体適合性が高く、血中滞留時間を向上させる点で都合がよいことでも知られている。また、ポリイオンコンプレックス形成において、一方の荷電性ブロックコポリマーは、PEG部分を必要とせず、ホモポリマー、界面活性剤、核酸および/または酵素に置き換えてもよいことが明らかとなっている。そして、ポリイオンコンプレックス形成においては、アニオン性ポリマーおよびカチオン性ポリマーの少なくとも1つがPEGとの共重合体を形成しており、その両方がPEGとの共重合体を形成していてもよい。また、PEG含有量を増加させるとPICミセルが形成されやすく、PEG含有量を低減させるとPICsomeが形成されやすいことがよく知られている。ポリイオンコンプレックスの作製によく用いられるアニオン性ポリマーまたはブロックとしては、例えば、ポリグルタミン酸、ポリアスパラギン酸および核酸(例えば、DNA、mRNAおよびsiRNA)が挙げられ、カチオン性ポリマーまたはブロックとしては、例えば、ポリリジンおよびポリ(5−アミノペンチルアスパラギン酸)が挙げられる。ここで、mRNAとは、翻訳によりタンパク質合成に用いられるメッセンジャーRNAを意味し、siRNAとは、RNA干渉(RNAi)を誘導することができる二本鎖RNA(核酸)を意味する。siRNAは、特に限定されないが、20〜30bp、好ましくは、21〜23bp、25bp、27bpからなる二本鎖RNAであって、標的遺伝子の配列と相同な配列を有する二本鎖RNAである。本発明では、PICにおいてアニオン性ポリマーとしてアンチセンスオリゴを用いることができる。
本明細書では、「低血糖を誘発させる」とは、対象において、その処置がされなければ示したはずの血糖よりも血糖値を低下させることをいう。低血糖を誘発させる方法としては、糖尿病薬の投与などが挙げられる。例えば、低血糖を誘発させる際に、低血糖を誘発させるという目的を達する限りにおいて、例えば、他の薬剤を摂取し、または水などの飲料を飲むことは許容される。低血糖を誘発させることは、血糖に実質的に影響しない他の処置を伴ってもよい。
本明細書では、「絶食させる」とは、対象に絶食、例えば、3時間以上、4時間以上、5時間以上、6時間以上、7時間以上、8時間以上、9時間以上、10時間以上、11時間以上、12時間以上、13時間以上、14時間以上、15時間以上、16時間以上、17時間以上、18時間以上、19時間以上、20時間以上、21時間以上、22時間以上、23時間以上、24時間以上、25時間以上、26時間以上、27時間以上、28時間以上、29時間以上、30時間以上、31時間以上、32時間以上、33時間以上、34時間以上、35時間以上、36時間以上、37時間以上、38時間以上、39時間以上、40時間以上、41時間以上、42時間以上、43時間以上、44時間以上、45時間以上、46時間以上、47時間以上または48時間以上の絶食をさせることを意味する。絶食により対象は低血糖を引き起こす。絶食期間は、対象の健康状態に鑑みて医師等により決定され、例えば、対象が空腹時血糖に達する時間以上の期間とすることが好ましい。絶食期間は、例えば、脳血管内皮細胞の血管内表面でのGLUT1の発現が増大する、またはプラトーに達する以上の時間としてもよい。絶食期間は、例えば、12時間以上、24時間以上または36時間以上である上記期間とすることができる。また、絶食は、血糖値やGLUT1の血管内表面での発現に実質的に影響しない他の処置を伴ってもよい。
本明細書では、「血糖値の上昇を誘発させる」とは、低血糖を誘発させた対象、または、低血糖状態を維持させた対象において血糖値を上昇させることをいう。血糖値は、当業者に周知の様々な方法により上昇させることができるが、例えば、血糖値の上昇を誘発するものの投与、例えば、グルコース、フルクトース(果糖)、ガラクトースなどの血糖値の上昇を誘発する単糖の投与、マルトースなどの血糖値の上昇を誘発する多糖の投与、若しくは、デンプンなどの血糖値の上昇を誘発する炭水化物の摂取、または、食事により上昇させることができる。
本明細書では、「血糖操作」とは、対象に対して、低血糖を誘発させ、その後、血糖値を上昇させることをいう。対象に対して低血糖を誘発させた後は、対象の血糖値を低血糖に維持することができる。対象の血糖値を低血糖に維持する時間は、例えば、0時間以上、1時間以上、2時間以上、3時間以上、4時間以上、5時間以上、6時間以上、7時間以上、8時間以上、9時間以上、10時間以上、11時間以上、12時間以上、13時間以上、14時間以上、15時間以上、16時間以上、17時間以上、18時間以上、19時間以上、20時間以上、21時間以上、22時間以上、23時間以上、24時間以上、25時間以上、26時間以上、27時間以上、28時間以上、29時間以上、30時間以上、31時間以上、32時間以上、33時間以上、34時間以上、35時間以上、36時間以上、37時間以上、38時間以上、39時間以上、40時間以上、41時間以上、42時間以上、43時間以上、44時間以上、45時間以上、46時間以上、47時間以上、48時間以上とすることができる。その後、血糖値を上昇させることができる。本明細書では、「血糖を維持する」とは、対象において低血糖を維持するという目的を達する限りにおいて、例えば、他の薬剤を摂取し、または水などの飲料を飲むことは許される。低血糖を誘発させることは、血糖に実質的に影響しない他の処置を伴ってもよい。
本明細書では、「対象」とは、ヒトを含む哺乳動物である。対象は、健常の対象であってもよいし、何らかの疾患に罹患した対象であってもよい。ここで疾患としては、脳神経疾患、例えば、精神病性障害、うつ病、気分障害、不安、睡眠障害、認知症および物質関連障害が挙げられる。また、認知症としては、特に限定されないがアルツハイマー病およびクロイツフェルト・ヤコブ病が挙げられる。
本明細書では、「血液脳関門」とは、血行と脳の間に存在して物質の透過に対して選択性を持つ機能的障壁をいう。血液脳関門の実態は、脳血管内皮細胞などであると考えられている。血液脳関門の物質透過性については、不明な点が多いが、グルコース、アルコールおよび酸素は血液脳関門を通過し易いことが知られ、脂溶性物質や小分子(例えば、分子量500未満)は、水溶性分子や高分子(例えば、分子量500以上)に比べて通過し易い傾向があると考えられている。多くの脳疾患治療薬や脳診断薬が血液脳関門を通過せず、このことが脳疾患の治療や脳の分析等の大きな障害となっている。本明細書では、「血液神経関門」とは、血行と末梢神経の間に存在して物質の透過に対して選択性を持つ機能的障壁をいう。本明細書では、「血液髄液関門」とは、血行と脳脊髄液との間に存在して物質の透過に対して選択性を持つ機能的障壁をいう。本明細書では、「血液網膜関門」とは、血行と網膜組織の間に存在して物質の透過に対して選択性を持つ機能的障壁をいう。血液神経関門、血液髄液関門および血液網膜関門の実体は、それぞれの関門に存在する血管内皮細胞などであると考えられており、その機能は血液脳関門と同様であると考えられている。
本明細書では、「GLUT1リガンド」とは、GLUT1と特異的に結合する物質を意味する。GLUT1リガンドとしては、様々なリガンドが知られ、特に限定されないが例えば、グルコースおよびヘキソースなどの分子が挙げられ、GLUT1リガンドは、いずれも本発明でグルコースの代わりにキャリアまたはコンジュゲートの調製に使用することができる。GLUT1リガンドは、好ましくはGLUT1に対してグルコースと同等またはそれ以上の親和性を有する。2−N−4−(1−アジ−2,2,2−トリフルオロエチル)ベンゾイル−1,3−ビス(D−マンノース−4−イルオキシ)−2−プロピルアミン(ATB−BMPA)、6−(N−(7−ニトロベンズ−2−オキサ−1,3−ジアゾール−4−イル)アミノ)−2−デオキシグルコース(6−NBDG)、4,6−O−エチリデン−α−D−グルコース、2−デオキシ−D−グルコースおよび3−O−メチルグルコースもGLUT1と結合することが知られ、これらの分子もGLUT1リガンドとして本発明に用いることができる。
本明細書では、「アンチセンスオリゴヌクレオチド」、「アンチセンスオリゴ」、「ASO」または「アンチセンス化合物」は、相互互換的に用いられ、生理的条件(例えば、細胞内)で細胞から産生される標的となる核酸とハイブリダイズすることのできる分子である。「アンチセンスオリゴ」または「アンチセンス化合物」は、単量体単位のポリマーであって、各単量体単位は塩基とバックボーンを有し、バックボーンは単量体間の連結を有し、これにより、アンチセンスオリゴと標的となる核酸(例えば、RNA)との間にワトソン−クリック型のベースペアリングを可能とした分子である。アンチセンスオリゴとしては、例えば、核酸、特にRNAおよびDNA並びにこれらの安定性を高めたアナログ(例えば、ロックド核酸(LNA)、架橋核酸(BNA)、モルフォリノオリゴ、ペプチド核酸)等の様々な核酸が開発されている。いずれのアンチセンスオリゴも、標的となる核酸とワトソン−クリック型のベースペアリングを形成するために塩基を有し、アニオン性のポリマーとなっている。アンチセンスオリゴ(またはオリゴヌクレオチド)は、ある態様では、15塩基長以上、16塩基長以上、17塩基長以上、18塩基長以上、19塩基長以上、20塩基長以上、21塩基長以上、22塩基長以上、23塩基長以上、24塩基長以上、25塩基長以上、または26塩基長以上であり得、および/または、100塩基長以下、90塩基長以下、80塩基長以下、70塩基長以下、60塩基長以下、50塩基長以下、40塩基長以下、または30塩基長以下であり得る。アンチセンスオリゴ(またはオリゴヌクレオチド)は、ある態様では、15〜50塩基長、15〜40塩基長、15〜30塩基長、20〜50塩基長、20〜40塩基長、20〜30塩基長、18〜40塩基長、18〜30塩基長、18〜25塩基長、または21〜26塩基長であり得る。ある態様では、アンチセンスオリゴは、両末端に安定性を高めた核酸アナログを有するRNAおよびDNAなどの核酸であり得る。
本明細書では、「単分散」とは、粒子群が、各粒子の粒径の標準偏差が10%以内である、粒子群であることを意味する。ここで粒径は、例えば、動的散乱光法に基づいて決定することができる。観察された散乱光の時間的な揺らぎから光子相関法により自己相関関数を求め、キュムラント法およびヒストグラム法解析等により、拡散係数や粒子径、粒子径分布を求めることができる。
本発明者らは、PEGブロックとカチオン性ポリマーブロックとのブロックコポリマーと、アンチセンスオリゴとのPICミセルにおいて、PEGブロックを構成するPEGの数平均分子量が小さいとミセル形成効率が低下することを示した。本発明者らはまた、PEGブロックとカチオン性ポリマーブロックとのブロックコポリマーと、アンチセンスオリゴとのPICミセルにおいて、PEGブロックを構成するPEGの数平均分子量が大きいと、PEGブロック側を薬剤送達のための標的化分子で修飾しても、当該標的化分子がミセル表面に表出しにくいことを示した。本発明者らはさらに、アンチセンスオリゴとのPICミセルにおいて、PEGブロックを構成するPEGの数平均分子量が中程度である場合には、ミセル形成効率に優れ、標的化分子がミセル表面に露出しやすくなることを見出し、本発明を完成させた。すなわち、本発明によれば、PEGブロックとカチオン性ポリマーブロックとのブロックコポリマーと、アンチセンスオリゴとのPICミセルであって、PEGブロックの数平均分子量が例えば3kDa〜10kDaである、PICミセルが提供される。
本発明では、PEGブロックとカチオン性ポリマーブロックとのブロックコポリマーにおけるPEGブロックの数平均分子量は、特に限定されないが例えば、その下限値を3kDa以上、3.5kDa以上、4kDa以上、または4.5kDa以上とすることができる。本発明では、PEGブロックとカチオン性ポリマーブロックとのブロックコポリマーにおけるPEGブロックの数平均分子量は、その上限値を11kDa以下、10kDa以下、9kDa以下、8kDa以下、7kDa以下、6kDa以下、または5.5kDa以下とすることができる。本発明では、PEGブロックとカチオン性ポリマーブロックとのブロックコポリマーにおけるPEGブロックの数平均分子量は、例えば、上記の下限値から選択される1つの下限値と、上記の上限値から選択される1つの上限値との範囲の数値であり得る。本発明では、PEGブロックとカチオン性ポリマーブロックとのブロックコポリマーにおけるPEGブロックの数平均分子量は、例えば、3kDa〜10kDa、3.5kDa〜9kDa、4kDa〜7kDa、4kDa〜6kDa、例えば、約5kDa(例えば、5kDa±30%、±25%、±20%、±15%、または±10%)であり得る。
本発明によれば、アニオン性であるアンチセンスオリゴは、PEGブロックとカチオン性ポリマーブロックとのブロックコポリマーとの間でイオン相互作用により、ポリイオンコンプレックスミセルを形成できる。アニオン性であるアンチセンスオリゴと前記ブロックコポリマーとのポリイオンコンプレックスミセルでは、アンチセンスオリゴは、PEGによる修飾を有していても有していなくてもよい。ある態様では、アンチセンスオリゴは、前記ブロックコポリマーが有するPEG鎖の数平均分子量の、5%以下、10%以下、15%以下、20%以下、30%以下、40%以下、50%以下、60%以下、70%以下、80%以下、90%以下または95%以下の数平均分子量のPEGブロックを有していてもよい。ある態様では、アンチセンスオリゴは、PEGによる修飾を有しない。
PEGブロックとカチオン性ポリマーブロックとのブロックコポリマーと、アンチセンスオリゴとの混合比は、例えば、N/P比(ポリマー側鎖の窒素原子数とDNAのリン酸基数の比)で、1.0〜2.0、1.1〜1.9、1.2〜1.8、1.3〜1.7、1.4〜1.6または約1.5とすることができる。
本明細書では、PEGは、直鎖状のPEGでありうる。本発明では、PEGに置き換えて他の親水性ポリマーブロックを用いてもよい。
本明細書では、カチオン性ポリマーとしては、カチオン性単量体単位のポリマーを用いることができる。カチオン性単量体単位としては、特に限定されないが例えば、非天然のカチオン性アミノ酸(例えば、修飾された天然のカチオン性アミノ酸)、または天然のカチオン性アミノ酸を用いることができる。天然のカチオン性アミノ酸としては、リジンおよびオルニチンから選択される1以上の天然のカチオン性アミノ酸が挙げられる。非天然のカチオン性アミノ酸としては、カチオン性側鎖で修飾されたグルタミン酸およびアスパラギン酸から選択される修飾された1以上の天然アミノ酸が挙げられる。カチオン性側鎖としては、例えば、5−アミノペンチル基、4−アミノブチル基、3−アミノプロピル基、2−アミノエチル基を有する基が挙げられ、これらの基においては、CがNにより置き換えられていてもよい。カチオン性側鎖としてはまた、−NH−CHCH−NH、−NH−CHCH−NH−CHCH−NH(ジエチルトリアミン(DET)ということがある)、−NH−CHCH−NH−CHCH−NH−CHCH−NH(トリエチルテトラアミン(TET)ということがある)、および−NH−CHCH−NH−CHCH−NH−CHCH−NH−CHCH−NH(テトラエチルペンタアミン(TEP)ということがある)が挙げられる。カチオン性アミノ酸は、例えば、架橋の利便性を高めるために、その側鎖が2−イミノチオランまたはジメチル3,3’−ジチオビス(プロピオンイミダート)(DTBP)により修飾されていてもよい{但し、少なくとも一部または全部のアミノ酸はカチオン性を維持する}。
本発明では、PEGブロックとカチオン性ポリマーブロックとのブロックコポリマーは、PEG側の末端が薬剤送達のための標的化分子で修飾されていてもよい。ここで、薬剤送達のための標的化分子とは、上記ブロックコポリマーを用いてミセルを形成させたときにミセルの表面に露出し、標的化したい体内の部位の表面に選択的に発現する分子(例えば、膜タンパク質、糖タンパク質、受容体、およびその他)に選択的に結合する分子(例えば、抗体若しくは抗体の抗原結合断片、受容体のリガンド、レクチン、または親和性を有するペプチド、例えば、RGDペプチド若しくはcRGDペプチド)を言う。本明細書では、「選択的」とは、他の分子に対するよりも強い親和性で特定の分子に結合しうることを言う。薬剤送達においては、標的化したい体内の部位の表面に選択的に発現する分子に対して選択的に結合する標的化分子をミセル表面に露出させることにより、ミセルを当該標的化したい体内の部位に集積させ得る。
本明細書では、薬剤送達のための標的化分子としては、細胞表面に結合する分子、または細胞外基質に結合する分子が上げられる。細胞表面に結合する分子は、例えば、細胞表面に露出する受容体、チャンネルなどの膜タンパク質、糖タンパク質に結合する分子であり得る。例えば、GLUT1は、体内の特定箇所の血管内皮細胞の血管側表面に表出する。従って、薬剤送達のための標的化分子としては例えば、GLUT1に結合する分子(以下、「GLUT1リガンド」という)が挙げられる。GLUT1リガンドとしては、様々なリガンドが知られており、特に限定されないが例えば、グルコースおよびヘキソースなどの分子が挙げられる。GLUT1リガンドとしてはまた、GLUT1と結合することが知られる、2−N−4−(1−アジ−2,2,2−トリフルオロエチル)ベンゾイル−1,3−ビス(D−マンノース−4−イルオキシ)−2−プロピルアミン(ATB−BMPA)、6−(N−(7−ニトロベンズ−2−オキサ−1,3−ジアゾール−4−イル)アミノ)−2−デオキシグルコース(6−NBDG)、4,6−O−エチリデン−α−D−グルコース、2−デオキシ−D−グルコースおよび3−O−メチルグルコースが挙げられる。
本発明で用いられ得るアンチセンスオリゴとしては、特に限定されないが例えば、BACE1遺伝子、RAGE遺伝子、Marat1遺伝子、第VII因子、Eg5、PCSK9、TPX2、apoB、SAA、TTR、RSV、PDGFベータ遺伝子、Erb−B遺伝子、Src遺伝子、CRK遺伝子、GRB2遺伝子、RAS遺伝子、MEKK遺伝子、JNK遺伝子、RAF遺伝子、Erk1/2遺伝子、PCNA(p21)遺伝子、MYB遺伝子、JUN遺伝子、FOS遺伝子、BCL−2遺伝子、サイクリンD遺伝子、VEGF遺伝子、EGFR遺伝子、サイクリンA遺伝子、サイクリンE遺伝子、WNT−1遺伝子、ベータカテニン遺伝子、c−MET遺伝子、PKC遺伝子、NFKB遺伝子、STAT3遺伝子、サバイビン遺伝子、Her2/Neu遺伝子、SORT1遺伝子、XBP1遺伝子、トポイソメラーゼI遺伝子、トポイソメラーゼIIアルファ遺伝子、p73遺伝子、p21(WAF1/CIP1)遺伝子、p27(KIP1)遺伝子、PPM1D遺伝子、RAS遺伝子、カベオリンI遺伝子、MIB I遺伝子、MTAI遺伝子、M68遺伝子、癌抑制遺伝子、およびp53癌抑制遺伝子からなる群から選択される遺伝子を標的とするアンチセンスオリゴが挙げられる。また例えば、アンチセンスオリゴは、発生関連タンパク質(例えば、接着分子、サイクリンキナーゼインヒビター、Wntファミリーのメンバー、Paxファミリーのメンバー、Winged ヘリックスファミリーのメンバー、Hoxファミリーのメンバー、サイトカイン/リンホカインおよびその受容体、増殖/分化因子およびその受容体、神経伝達物質およびその受容体など);腫瘍遺伝子をコードするタンパク質(例えば、ABLI、BCLI、BCL2、BCL6、CBFA2、CBL、CSFIR、ERBA、ERBB、EBRB2、ERBB2、ERBB3、ETSI、ETSI、ETV6、FGR、FOS、FYN、HCR、HRAS、JUN、KRAS、LCK、LYN、MDM2、MLL、MYB、MYC、MYCLI、MYCN、NRAS、PIM 1、PML、RET、SRC、TALI、TCL3およびYESなど);腫瘍抑制タンパク質(たとえば、APC、BRCA1、BRCA2、MADH4、MCC、NF 1、NF2、RB 1、TP53またはWTIなど);および酵素(たとえば、ACCシンターゼおよびオキシダーゼ、ACPデサチュラーゼおよびヒドロキシラーゼ、ADPグルコースピロホスホリラーゼ、アセチラーゼおよびデアセチラーゼ、ATPアーゼ、アルコールデヒドロゲナーゼ、アミラーゼ、アミログルコシダーゼ、カタラーゼ、セルラーゼ、カルコンシンターゼ、キチナーゼ、シクロオキシゲナーゼ、デカルボキシラーゼ、デキストリナーゼ、DNAおよびRNAポリメラーゼ、ガラクトシダーゼ、グルカナーゼ、グルコースオキシダーゼ、顆粒結合デンプン合成酵素、GTPアーゼ、ヘリカーゼ、ヘミセルラーゼ、インテグラーゼ、イヌリナーゼ、インベルターゼ、イソメラーゼ、キナーゼ、ラクターゼ、リパーゼ、リポキシゲナーゼ、リゾチーム、ノパリン合成酵素、オクトピン合成酵素、ペクチンエステラーゼ、ペルオキシダーゼ、ホスファターゼ、ホスホリパーゼ、ホスホリラーゼ、フィターゼ、植物成長調節因子合成酵素、ポリガラクツロナーゼ、プロテイナーゼおよびペプチダーゼ、プルラナーゼ、レコンビナーゼ、逆転写酵素、RUBISCO、トポイソメラーゼまたはキシラナーゼなど)をコードする遺伝子を標的とすることができる。また例えば、アンチセンスオリゴは、腫瘍増殖(血管新生を含む)または転移活性に関与するタンパク質をコードする遺伝子を標的とすることもできる。また例えば、アンチセンスオリゴは、1つ以上の分泌タンパク質、細胞周期制御タンパク質、遺伝子調節タンパク質、アポトーシス調節タンパク質または免疫応答、炎症、補体カスケードもしくは血液凝固系に関与するタンパク質をコードする遺伝子を標的とすることもできる。また例えば、アンチセンスオリゴは、c-myc、c-myb、mdm2、PKA-I(I型プロテインキナーゼA)、Ras、c-Rafキナーゼ、CDC25ホスファターゼ、サイクリン、サイクリン依存性キナーゼ(cdks)、テロメラーゼ、PDGF/sisおよびmosをコードする遺伝子を標的とすることができる。また例えば、アンチセンスオリゴは、Bcr/Abl融合腫瘍遺伝子などの染色体転座によって生じる融合遺伝子によってコードされるmRNAを標的化するのに用いることもできる。また例えば、アンチセンスオリゴは、サイクリン依存性キナーゼ、増殖性細胞核抗原(PCNA)、形質転換成長因子β(TGF-β)、核因子κB(NF-κB)、E2F、HER-2/neu、PKA、TGF-α、EGFR、TGF-β、IGFIR、P12、MDM2、VEGF、MDR、トランスフェリン、フェリチン、フェリチン受容体、トランスフェリン受容体、IRE、C-fos、HSP27、メタロチオネインなどのタンパク質をコードする遺伝子を標的とすることもできる。
本発明によれば、PICミセルは、数平均分子量が3kDa〜10kDaであるPEGブロックとカチオン性ポリマーブロックとのブロックコポリマーとアンチセンスオリゴとを混合して作成することができる。この際、数平均分子量が3kDa〜10kDaであるPEGブロックとカチオン性ポリマーブロックとのブロックコポリマーとアンチセンスオリゴとは、電気的に中和する量比で混合してもよい。また、PICミセルを形成させ、その後、ミセルを形成するポリマー間を架橋してもよい。架橋は、例えば、架橋剤を用いて行うことができる。架橋はまた、例えば、本実施例で開示するようにカチオン性ポリマーの側鎖に導入した2−イミノチオランやジメチル3,3’−ジチオビス(プロピオンイミダート)(DTBP)間のS−S結合により形成させてもよい。本発明では、架橋をしないPICミセルであっても、PEGの数平均分子量を調節することによる、薬剤送達のための標的化分子のミセル表面への表出は理論的に起こると考えられる。
本発明では、数平均分子量が3kDa〜10kDaであるPEGブロックとカチオン性ポリマーブロックとのブロックコポリマーと、アンチセンスオリゴとは、前記ブロックコポリマーとアンチセンスオリゴとの間でイオン層を形成し、これによりポリイオンコンプレックスミセルの形態となり得る。本発明のある態様では、数平均分子量が3kDa〜10kDaであるPEGブロックとカチオン性ポリマーブロックとのブロックコポリマーのPEG側の末端は、例えば、GLUT1リガンド、例えばグルコースにより修飾されていてよい。本発明のある態様では、グルコースはその6位の炭素に連結した酸素原子を介してPEGブロックを修飾していてよい。本発明のある態様では、GLUT1リガンドは、カチオン性ポリマーのPEG末端に連結される。
本発明では、GLUT1リガンドにより修飾された数平均分子量が3kDa〜10kDaであるPEGブロックとカチオン性ポリマーブロックとのブロックコポリマーとアンチセンスオリゴとを含む、PICミセルは、投与計画に従って投与され得るものであり、投与計画は、絶食させるか、または低血糖を誘発させた対象に該ミセルを投与することおよび該対象において血糖値の上昇を誘発させることを含むものである。WO2015075942Aに開示されるように、GLUT1リガンドにより表面が修飾された小胞は、投与されると脳への送達効率がGLUT1リガンドで修飾されていない小胞よりも高まる。また、WO2015075942Aに開示されるように、GLUT1リガンドにより表面が修飾された小胞は、上記投与計画に従って投与されると、脳への送達効率がこのような操作をせずに単に投与されたGLUT1リガンドにより表面が修飾された小胞よりもさらに高まる。また、上記のGLUT1リガンドにより修飾された数平均分子量が3kDa〜10kDaであるPEGブロックとカチオン性ポリマーブロックとのブロックコポリマーとアンチセンスオリゴとを含む、PICミセルは、血液神経関門、血液網膜関門または血液髄液関門を通過させることができる。
本発明では、GLUT1リガンドにより修飾された数平均分子量が3kDa〜10kDaであるPEGブロックとカチオン性ポリマーブロックとのブロックコポリマーとアンチセンスオリゴとを含む、PICミセルは、GLUT1リガンドを有しない数平均分子量が3kDa〜10kDaであるPEGブロックとカチオン性ポリマーブロックとのブロックコポリマーをさらに含んでいてもよい。本発明のある態様では、GLUT1リガンドにより修飾された数平均分子量が3kDa〜10kDaであるPEGブロックとカチオン性ポリマーブロックとのブロックコポリマーとGLUT1リガンドを有しない数平均分子量が3kDa〜10kDaであるPEGブロックとカチオン性ポリマーブロックとのブロックコポリマーとは、10:90〜40:60(例えば、20:80〜30:70、例えば、25:75)のモル比で上記PICミセルに含まれていてもよい。あるいは、数平均分子量が3kDa〜10kDaであるPEGブロックとカチオン性ポリマーとのブロックコポリマーのPEG側末端の10〜40モル%(例えば、20〜20モル%、例えば、25モル%)をグルコースにより修飾させることができる。GLUT1リガンドにより修飾されたブロックコポリマーの比率を10:90〜40:60(または10〜40モル%)とすることにより、PICミセルは、血管内皮細胞を通り抜け易くなり、組織の実質により多く集積しやすくなる。本発明のある態様では、GLUT1リガンドにより修飾された数平均分子量が3kDa〜10kDaであるPEGブロックとカチオン性ポリマーブロックとのブロックコポリマーとGLUT1リガンドを有しない数平均分子量が3kDa〜10kDaであるPEGブロックとカチオン性ポリマーブロックとのブロックコポリマーとは、50:50〜100:0(例えば、60:40〜90:10、70:30〜80:20)のモル比で上記PICミセルに含まれていてもよい。あるいは、数平均分子量が3kDa〜10kDaであるPEGブロックとカチオン性ポリマーとのブロックコポリマーのPEG側末端の50〜100モル%がグルコースにより修飾させることができる。GLUT1リガンドにより修飾されたブロックコポリマーの比率を50:50〜100:0(または50モル%〜100モル%)とすることにより、上記PICミセルは、血管内皮細胞に取り込まれるが、血管内皮細胞から組織実質に放出されにくくなり、結果として血管内皮細胞に集積しやすくなると考えられる。従って、GLUT1を発現する血管内皮細胞を通過させたいか、GLUT1を発現する血管内皮細胞に蓄積させたいかによって、PICにおけるGLUT1リガンドにより修飾されたブロックコポリマーの比率を調節することができる。
本発明のミセルは、経口投与および非経口投与(例えば、静脈内投与または腹腔内投与)により投与することができる。
本発明によれば、本発明のミセルを含む医薬組成物が提供される。本発明の医薬組成物は、本発明のミセルおよび薬学的に許容可能な賦形剤を含んでいてもよい。
実施例1:PIC(ASO)ミセルの構築
本実施例では、アンチセンスオリゴ(ASO)とポリエチレングリコール(PEG)ブロックを有するカチオン性ポリマーとを用いてポリイオンコンプレックス(PIC)ミセル(以下、「PIC(ASO)ミセル」ということがある)を構築した。脳への集積効率を確認するため、上記と同様にGlc(6)をPEG鎖に連結させた。また、架橋剤を用いずに分子間架橋を導入するため、リジン側鎖に2−イミノチオラン(2−IT)またはジメチル3,3’−ジチオビス(プロピオンイミダート)(DTBP)を導入した。PEGの長さは、数平均分子量5kDaに設定した。
(1)DIG(6)の合成
1,2-o-イソプロピリデン-α-D-グルコフラノース(東京化成工業(株)社製)を11.7gナスフラスコに量り取り、ピリジン(和光純薬工業(株)社製)60mLを加えてドライヤーで加熱して溶解させ、その後ジクロロメタン(和光純薬工業(株)社製)を60mL加えた。塩化ピバロイル(和光純薬工業(株)社製)を7.2mL滴下し、室温で5時間撹拌混合した。反応後、溶媒を減圧下にて除去し、純水を100mL軽く撹拌しながら加えた。析出してきた白色の固形物を吸引ろ過(桐山ろ紙5C)にて回収し、純水で洗浄した。得られた白色固形物を減圧下にて乾燥した。乾燥させた白色固形物全量を65度に温めた少量のメタノールに溶解させ、その後冷却することで再結晶にて精製を行い、針状の結晶を得た。
ジメトキシプロパン(和光純薬工業(株)社製)290mLとp−トルエンスルホン酸(和光純薬工業(株)社製)367mgを加え、75℃に加熱して溶解させ、針状結晶へと加え、75℃で30分撹拌混合し、室温へと戻した。反応後トリエチルアミン(和光純薬工業(株)社製)を1mL少しずつ滴下し、トルエン(和光純薬工業(株)社製)を50mL加えた。混合液を減圧下にて50mL程度まで濃縮し、再度トルエンを50mL加えて再度20mL程度まで濃縮した。得られた濃縮液をジクロロメタン100mLと純水100mLで3回抽出し、ジクロロメタン層をビーカーに回収し、無水硫酸ナトリウム(和光純薬工業(株)社製)を適量加えて30分撹拌混合した。吸引ろ過(桐山ろ紙5C)にて固形物を除去し、ろ液を減圧下で濃縮した。濃縮されたオイル状の溶液をシリカゲル(メルク社製)にて分離精製を行った。展開溶媒としてはヘキサン(和光純薬工業(株)社製):酢酸エチル(和光純薬工業(株)社製)=7:3を用いた。
精製物にメタノール(和光純薬工業(株)社製)30mLを加えて70℃に加熱して溶解した。5規定の水酸化ナトリウム水溶液を60mL加え、70℃で1時間激しく撹拌した。ジクロロメタン300mLを反応液に加えて抽出し、ジクロロメタン層を回収し、その後同様の条件で抽出を2回繰り返した。抽出液に適量の無水硫酸ナトリウムを加えて30分間撹拌し、吸引濾過(桐山ろ紙5C)にて固形物を除去し、ジクロロメタンを減圧下にて濃縮し、白色固形物を得た。白色固形物を75℃に温めた少量のエタノールで溶かし、冷却して析出してきた粒上の結晶を吸引ろ過(桐山ろ紙5C)で回収し、減圧下で乾燥させることでDIG(6)を得た。
(2)DIG(6)−PEG−NH 2 の合成
DIG(6)を520mg量り取り、少量のジクロロメタンおよびベンゼンで溶解し、凍結乾燥を行った。乾燥したDIG(6)にアルゴン雰囲気下で蒸留にて精製したテトラヒドロフランを75mL添加し、0.3mol/Lのカリウムナフタレン溶液を6.7mL加え、5分撹拌した。これに蒸留にて精製したエチレンオキサイド13.5mL加え、25度で3日間撹拌した。3日後、反応溶液を1.5Lのジエチルエーテル(昭和エーテル社製)に滴下し、沈殿物を吸引ろ過(JCWP 10μm)にて回収し、DIG(6)−PEG−OHを得た。
DIG(6)−PEG−OHを6gフラスコに量り取りベンゼンに溶解した後、凍結乾燥した。その後アルゴン雰囲気下で蒸留にて精製したテトラヒドロフランを40mL加え、蒸留にて精製したトリエチルアミンを0.32mL加えた。別のフラスコに蒸留煮て精製したテトラヒドロフランを20mL取り、蒸留にて精製したメタンスルホン酸クロライドを0.19mL加えた。メタンスルホン酸クロライドの溶液を水浴で冷やしながら、PEG溶液をゆっくり滴下し、2時間撹拌混合した。反応中に析出した沈殿物を吸引ろ過(JCWP 10μm)にて除去し、ろ液を1Lのジエチルエーテルに滴下して、沈殿物を吸引ろ過(桐山ろ紙5C)にて回収した。その後、沈殿物をナスフラスコにいれ、アンモニア水500mL(和光純薬(株)社製)で溶かし、室温で4日間撹拌した。その後、反応液を減圧下で濃縮し、陽イオン交換カラムで精製してDIG(6)−PEG−NH2(分子量5,300)を得た。
(3)Glc(6)−PEG−PLysの合成
DIG(6)−PEG−NH2530mgをフラスコに量り取り、ベンゼンを加えて溶解し、凍結乾燥を行った。その後、チオ尿素(和光純薬工業(株)社製)を1mol/Lの濃度で溶解した蒸留にて精製したN,N−ジメチルホルムアミドを12mL加えて溶解した。別のフラスコにNCA−Lys(TFA)をアルゴン雰囲気下で1,330mg量り取り、チオ尿素を1mol/Lの濃度で溶解した蒸留にて精製したN,N−ジメチルホルムアミドを26mL加えて溶解した。NCA−Lys(TFA)をPEG溶液に添加し、3日間25℃で撹拌混合した。反応液は透析膜(MWCO:3,500)に入れて外液を水で透析し、凍結乾燥にてDIG(6)−PEG−PLys(TFA)を回収した。
乾燥後、500mgをフラスコに取り50mLのメタノールと5mLの1規定の水酸化ナトリウムを加えて溶解し、35℃で24時間撹拌した。その後、反応液を透析膜(MWCO:3,500)に入れて外液を水で透析し、凍結乾燥にてDIG(6)−PEG−PLysを回収した。
得られたDIG(6)−PEG−PLysを80%トリフルオロ酢酸(東京化成工業(株)社製)に溶解し、室温で30分反応させ、反応液は水酸化ナトリウムにて中和後、透析膜(MWCO:3,500)に入れて透析した。外液は0.01規定の塩酸で3回、純水で3回透析を行い、凍結乾燥にてGlc(6)−PEG−PLysを回収した。リジンの数平均重合度は42であった。
その後、以下スキームに従ってリジンの側鎖に2−ITまたはDTBPを導入した。
Figure 2019240223
上記で得られたGlc(6)−PEG−PLys 50mgを0.1Mのホウ砂緩衝液(pH 9.0)に5mL溶解した。別の容器に、ジ-tert-ブチルペルオキシド(DTBP、ThermoFisherScientific社製) 5.5mg(Glc(6)−PEG−PLysのPLysに対して0.1当量)を冷水に溶解した。DTBP溶液をGlc(6)−PEG−PLys溶液へと滴下し、25℃で45分間撹拌した。その後、2−イミノチオラン(2−IM)(ThermoFisherScientific社製) 58mg(Glc(6)−PEG−PLysのPLysに対して2.4当量)を粉末のまま添加し、25℃で30分撹拌した。反応液を35℃に加温し、一晩撹拌した。反応溶液を透析膜(MWCO:3,500)に移し、10mMリン酸緩衝液(pH7.4)溶液で透析(30分で外液を交換し、2回透析)した。次いで、DTT(和光純薬工業(株)社製) 54mg(Glc(6)−PEG−PLysのPLysに対して2.0当量)を透析膜の内液に加え、30分間静置した。その後、150mM NaCl溶液で30分で3回、純水で30分を3回透析した。透析後、フィルター(日本ミリポア社製、SterivexTM GP 0.22μm)で処理した後、凍結乾燥し、Glc(6)−PEG−PLys(DTBP/IM)の白色粉末を得た(収量:60.4mg)。PEG−PLys(DTBP/IM)に結合したDTBPおよびIMの量は、1H−NMRにより測定したDTBPのCH2ピーク、IMのCH2及びPEGのCH2主鎖ピークとの積分比から算出した。得られたGlc(6)−PEG−PLys(DTBP/IM)のDTBP、IMの導入率はそれぞれ18%、82%であった(すなわち、上記化学式においてaが0.2であり、bが6.2であり、cが35.5であり、a+b+cが41.9である、分子が得られた)。
(3)Glc−PIC(ASO)ミセルの調整
Glc(6)−PEG−PLys(DTBP/IM)を100mMのジチオスレイトールを含む10mM HEPES溶液で5mg/mLとなるように溶解した。ASOを10mM HEPES溶液で30μMの濃度で溶解した。電荷が釣り合うように双方の溶液を混合し、15秒間撹拌混合した。その後、透析カセット(ThermoFisherScientific社製、MWCO:3,500)に入れ、0.5%ジメチルスルホキシド(和光純薬工業(株)社製)及び5mM HEPES溶液を外液として2日間透析を行った。その後外液を5mM HEPES溶液に変えて再度2日間透析を行い、Glc−PIC(ASO)ミセル(以下「ASOミセル」ともいう)を得た(図1参照)。なお、ASOの配列は、5’−GGGTCagctgccaatGCTAG−3’であった{ここで、大文字はLNAであり、小文字はDNAである}。蛍光標識を付与した場合は、ASOの3’末端が標識された。
なお、電荷が釣り合うN/P比は、以下の通り決定した。具体的には、PIC(ASO)は、N/P比(アミジン数/リン酸数)を0.2〜1.9までの様々な値でPEG−PLysとASOとを混合して、上記と同様の方法でミセルを作製した。その後、ゼータサイザーを用いて粒径、散乱光強度(SLI)および多分散度(PDI)を測定した。結果は、図1Aに示される通りであった。図1Aに示されるように、N/P比が0.5以下である場合にはPDIの値が高くミセルが良好に形成しなかったことを示唆した。一方で、N/P比1.5以上である場合には、SLIがプラトーに達した。このことは、N/P比が1.5であるときにカチオン性ポリマーとASOが電気的に中和したことを示唆する。従って、以降の実験では、カチオン性ポリマーとASOとは、N/P比が1.5となるように混合してミセルを形成させた。
実施例2:グルコース修飾率
次に、グルコース修飾率と粒子形成との関係、血中滞留性との関係、および脳への蓄積との関係を調べた。
(1)グルコース修飾率と粒子形成および粒子の安定性との関係
Glc(6)−PEG−PLys(DTBP/IM)とメトキシ−PEG−PLys(DTBP/IM)とを100:0、75:25、50:50、25:75、または0:100のモル比で混合し、グルコース修飾率(グルコース含有量ともいう)を100%、75%、50%、25%、または0%にそれぞれ調整した。ゼータサイザーを用いて、得られた様々なグルコース含量を有するミセルの粒径(Z−average)、および多分散度(PDI)を測定した。すると、図1Bに示されるように、全てのグルコース含量のミセルが0.2未満のPDIを示し、良好にミセルを形成した。また、粒径は、50〜70nm程度であり、グルコース含量の増加に伴って粒径が増大した。
さらに、ASOミセルのインビボでの安定性を評価した。安定性は、蛍光相関スペクトロスコピー(FCS)により測定した。グルコース含量100%および0%のミセルをAlexa647標識ASOを用いて調製した。それぞれのミセルを10%FBSを含むリン酸緩衝生理食塩水で希釈し、5nM〜5μMのASO濃度の溶液を作製し、37℃で1時間インキュベートした。それぞれのサンプル100μLずつを8穴Lab-Tek Chamber(Nalge Nunc Int. Corp., Rochester, NY)に移し、ConfoCor3 systemと組み合わせたZeiss LSM 510(Carl Zeiss, Germany)を用いて観察した。Alexa647は、バンドパス励起光フィルターを備えたHe−Neレーザー(633nm)を用いて励起した。対応する拡散時間(Diffusion time)はZeiss Confocor3ソフトウェアを用いて解析した。結果は図1Cに示される通りであった。図1Cに示されるように、どちらのミセルも50nM以上の濃度において拡散時間に大きな変化は認められなかった。この結果は、血中の厳しい環境下でもミセルが解離せず安定的に存在しうることを示すものである。
(2)グルコース修飾率とインビボにおける血中滞留性との関係
全ての動物実験は、東京大学動物倫理委員会の関連規定を遵守して行われた。Alexa647標識ASO(22.5μM)を含むミセルを調製し、マウス(BALB/c、雌、6週齢)に静脈投与した。その後、蛍光強度の経時変化をIVRT-CLSM (Nikon Corp., Tokyo, Japan)を用いて観察した。結果は、図2および3に示される通りであった。
図3に示されるように、グルコース含量が0%または25%である場合に最も高い血中滞留性を示した。また、グルコース含量が高まるほど血中滞留性が低下することが明らかになった。
図2には、15μM ASOを含むグルコース含量25%のミセルの耳の血管の蛍光電子顕微鏡像を代表的な例として示す。図2に示されるように、2時間でミセルに含まれるASOに標識されたAlexa647由来の蛍光が低下するようすが示されている。
実施例3:脳へのミセルの送達
本実施例では、上記のように作製したASOミセルの脳実質への送達効率を評価した。
0%、25%または50%のグルコース含有量を有するGlc−PIC(ASO)は、上述のようにAlexa647標識ASOを用いて調製した。正常なマウス(BALB/c、雌、6週齢、n=3)またはアルツハイマー病マウス(BALB/c、雌、6週齢、n=3)を24時間絶食させ、血糖値を低下させ、その後、200μLの20(w/v)%グルコースを含むPBSを腹腔内投与した。投与30分後に、マウスに20μgのASOを含む、0%、25%若しくは50%のグルコース含有量を有するGlc−PIC(ASO)またはミセルに内包していない裸のASOを尾静脈投与した。
マウスを犠牲にし、脳を摘出した。摘出した脳をPBSで洗浄して残存する血液を取り除いた。脳重量を計測した後にそれぞれの脳組織を細断した。対照として、PBSまたは投与量と同量のミセル溶液を脳組織と混合した試料を用いた。溶解緩衝液中でマルチビーズショッカーを用いて組織をホモジェナイズし、2,500rpmで10分間遠心分離した。100μLの上清を96穴黒色プレートに移し、TECANマイクロプレートリーダーを用いてそれぞれの蛍光強度を測定した。脳組織の蛍光強度は、対照に対する相対蛍光強度により示した。結果は、図4Aに示される通りであった。
図4Aに示されるように、裸のASOまたはグルコース含量が0%であるGlc−PIC(ASO)では、脳組織におけるAlexa647に由来する蛍光はほとんど観察されなかったのに対して、25%のグルコース含量のミセル、または50%のグルコース含量のミセルではそれぞれ、6.2%または3.6%の蛍光が観察された。
また、アルツハイマー病のマウスの脳へのミセルの集積についても確認したところ、図4Bに示されるように、25%のグルコース含量のミセルは、0%のグルコース含量のミセルと比較して11倍高い脳への蓄積を示した。この結果は、Glc−PIC(ASO)がアルツハイマー病治療のための薬剤送達システムとして利用できる可能性を示唆するものである。
図5には、25%のグルコース含量のGlc−PIC(ASO)の各臓器への蓄積量と裸のASOの脳への各臓器への蓄積の比を示した。すると、25%のグルコース含量のGlc−PIC(ASO)は肝臓その他のあらゆる組織に対して裸のASOよりも蓄積が少なく、脳に特異的に高い蓄積を示すことが明らかとなった。図中、「0%」は、グルコース修飾率が0%であることを示し、「25%」は、グルコース修飾率が25%であることを示し、「50%」は、グルコース修飾率が50%であることを示す。
参考例
本参考例では、PEGの数平均分子量を変えた以外は上記実施例に記載の手法と同様の手法によりGlc−PIC(ASO)ミセルを形成させた。より具体的には、PEGブロックの数平均分子量が2kDaのGlc−PIC(ASO)ミセルとPEGブロックの数平均分子量が12kDaのGlc−PIC(ASO)ミセルのミセル形成効率および脳への送達効率を示す。結果は、図6A〜6Cに示される通りであった。
図6Aに示されるように、PEGブロックにおけるPEGの平均分子量が2kDaの場合、ミセルは形成されるものの、二峰性の粒径分布を示しミセルの形成効率は高くなかったのに対して、図6Bに示されるように、12kDaのPEGブロックを有するミセルは、高いミセル形成効率を示した。また、12kDaのPEGブロックを有するミセルは、単分散性の粒径分布を示した。この結果は、DNA、RNA、および抗体の種別によらず同様であった。
図6Cに示されるように、脳へのミセルの集積量は、2kDaの平均分子量のPEGブロックを有するASOミセル(Gluc/m(2k))では、脳への集積が6.2%であったのに対して、12kDaの平均分子量のPEGブロックを有するASOミセル(Gluc/m(12k))では、脳への集積が0.2%であった。この結果から、脳へのミセルの送達効率の面では、2kDaの平均分子量のPEGブロックを有するミセルが有利であることが明らかとなった。なお、本実験では、数平均分子量2kDのモデルミセルは、ASOを用いず、Gluc-PEG-PAsp(2k-80), PEG-PAsp(2k-75), PEG-DAP(2k-76)を用いて調製した{ここでDAPは、側鎖をジアミノペンタンで修飾したPEG-Paspを示し;2kはPEGの数平均分子量を表し、その後の数字はアミノ酸の数平均重合度を表す}。
上記から、PEGブロックの数平均分子量が12kDaである場合、ミセル形成効率は高いが、脳への集積効率が低く、他方で、数平均分子量が2kDaである場合、脳への集積効率が高いが、ミセル形成効率は低い。
本参考例ではまた、PEGブロックにおけるPEGの平均分子量が5kDaの上記カチオン性ポリマーと、プラスミドDNA(pDNA)またはmRNAとを用いて、上記実施例に記載のASOミセルの作製手法と同様の手法によりミセルを形成させた。ここで、pDNAとしては、配列番号2の塩基配列(4931塩基長)を有するプラスミドDNAを用い、mRNAとしてはEGFPをコードする配列番号3の塩基配列(720塩基長)を有するmRNAを用いた。ミセルの形成効率を確認すると、図6Dに示されるように、アニオン性ポリマーとしてpDNAを用いた場合も、mRNAを用いた場合も、ASOを用いた場合とは異なり、得られたミセルが単分散性を有さず、ミセル形成効率はASOミセルよりも低いことが明らかとなった。
このことから、本実施例において、5kDaの数平均分子量を有するPEGブロックを含むGlc−PIC(ASO)の形成効率が高く、Glc−PIC(ASO)の脳への集積効率が高いという上記結果は、PEGの数平均分子量とアニオン性ポリマーの種類に依存する結果であると理解される。すなわち、PEGの数平均分子量が2kDaの場合には、Glc−PIC(ASO)の形成効率が低いために、製造コスト、製造効率において不利であり、PEGの数平均分子量が12kDaの場合には、脳への送達効率が低いために不利であり、本実施例のこれらの中間的な数平均分子量を有するPEGを有する場合には、アニオン性ポリマーとしてASOを用いた場合には、pDNAやmRNAよりもミセル形成効率が格段に高く、これにより、Glc−PIC(ASO)は、ミセル形成効率および脳への送達効率の両方に優れるものとなった。

Claims (8)

  1. 数平均分子量が3kDa〜10kDaであるPEGブロックとカチオン性ポリマーとのブロックコポリマーと、アンチセンスオリゴとを含む、ポリイオンコンプレックスミセル。
  2. 数平均分子量が3kDa〜10kDaであるPEGブロックとカチオン性ポリマーとのブロックコポリマーのPEG側の末端が細胞表面または細胞外基質に結合する分子により修飾されている、請求項1に記載のポリイオンコンプレックスミセル。
  3. 細胞表面への結合分子が、GLUT1リガンドである、請求項2に記載のポリイオンコンプレックスミセル。
  4. GLUT1リガンドが、グルコースである、請求項3に記載のポリイオンコンプレックスミセル。
  5. 数平均分子量が3kDa〜10kDaであるPEGブロックとカチオン性ポリマーとのブロックコポリマーのPEG側末端の10〜40モル%がグルコースにより修飾されている、請求項4に記載のポリイオンコンプレックスミセル。
  6. PEGブロックの数平均分子量が4kDa〜7kDaである、請求項1〜5のいずれか一項に記載のポリイオンコンプレックスミセル。
  7. 請求項1〜6のいずれか一項に記載のポリイオンコンプレックスミセルを含む医薬組成物。
  8. 請求項1〜6のいずれか一項に記載のポリイオンコンプレックスミセルを含んでなる、投与計画に従って対象に投与するための医薬組成物であって、
    該投与計画は、絶食させるか、または低血糖を誘発させた対象に該医薬組成物を投与することおよび該対象において血糖値の上昇を誘発させることを含み、
    該ポリイオンコンプレックスミセルは、その外表面がGLUT1リガンドにより修飾されている、医薬組成物。
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