JPWO2019221268A1 - 防曇性積層体およびその製造方法 - Google Patents

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Abstract

本発明は、高い防曇性の維持を図りつつ、併せて、高い耐擦傷性を確保できる積層体を提供することを目的とする。本発明の積層体は、基材と、特定の厚さを有する貯蔵層(A)と、緩衝層(B)とをこの順で含み、当該貯蔵層(A)の厚さと当該緩衝層(B)の厚さとの比が特定の範囲内にあり、前記貯蔵層(A)が、2以上の(メタ)アクリロイル基を有する多官能モノマー(a1)、無機粒子(a2)、および界面活性剤(a3)を含む特定の組成物(A−1)の硬化物からなり、前記緩衝層(B)が、2以上の(メタ)アクリロイル基を有する多官能モノマー(b1)、および無機粒子(b2)を含む特定の組成物(B−1)の硬化物からなる。

Description

本発明は、防曇性を有する積層体およびその製造方法、特に、防曇性を有し且つ耐擦傷性に優れる積層体およびその製造方法に関する。
近年、プラスチックなどの有機材料、及びガラスなどの無機材料から形成される基材の曇りに対する改善要求が高まってきている。
プラスチックやガラスなどに発生する曇りは、基材表面へ微小な水滴が付着または結露し、その水滴が光を散乱するために生じることが知られている。したがって、曇りを防止するには、水滴の発生を防止すれば良い。
防曇性を発現させる方法として、
(a)基材と水との接触角を小さくさせる方法、
(b)基材表面を吸水性にして水滴を形成させない方法、
(c)基材と水との接触角を大きくして、基材上で水滴を留まらせることなく転げ落としてしまう方法、および、
(d)基材を常に露点以上の温度に保ち、水滴を付着させない方法
が提案されている(例えば、非特許文献1参照。)。
曇りの問題を解決する方法として、種々の試みがなされてきており、これらの方法のうち、防曇効果の高さ、応用範囲の広さ、および簡便性の点から、上記(a)および(b)の方法による試みが主としてなされている。例えば、非特許文献1では、反応性界面活性剤、アクリル系オリゴマーを含む防曇塗料により、親水性、吸水性を向上する方法が提案されている。
これらの方法のうち、上記(b)の方法は、基材表面に、親水性材料を含む吸水層を形成させることにより行うことができる。ここで、防曇材料として一般的な吸水型の防曇層を表面(外気に触れる面)に用いる場合、水分を吸収している間は曇らず良好であるが、浴室使用のように大量の水分がその表面に継続的に供給される状況ではすぐ飽和して吸水できなくなり比較的短時間で防曇性を失うことはよく知られている。また、防曇材料として一般的な吸水型の防曇層を光学製品に適用する場合、多量の水滴が付着すると像が歪み、視認性が悪くなる傾向もある。また、親水表面は吹き上げ抵抗が増加し、耐擦傷性が悪くなる傾向もある。
一方、本発明者らが以前に提案した親水性材料を表面に用いた場合、結露等によって水分が付着しても濡れ広がるため光の散乱を抑えることにより防曇性を付与することができる。このような親水性材料は、様々な用途(眼鏡、ゴーグル、窓ガラス、鏡、ディスプレイ、ヘッドランプ等)で長時間使用できるが、水分が付着し始めるごく初期における防曇性(以下、「初期防曇性」)が充分でない場合があった。この初期防曇性の問題についても本発明者らの提案(特許文献1)により改善されている。
しかし、この初期防曇性を半永久的に維持することが難しい場合があった。さらに、透明材料に施されるハードコート並みに高い耐擦傷性も要求される場面もあり、強い表面(ハードコート並みの耐擦傷性)と高い防曇性(初期および長時間)の両方を要求される用途への適用に依然として改良すべき点が残っている。
一方、上記(a)の方法は、基材表面に界面活性剤を存在させることにより行うことができる。その具体的な方法の1つとして、基材表面への界面活性剤の塗布または付着が挙げられる。しかし、この方法では、表面に凝集する水分により界面活性剤が容易に流出するため、防曇性の持続が困難であることが知られている。
また、もう一つの具体的方法として、界面活性剤を含ませた樹脂で基材を表面処理し、この樹脂内部の界面活性剤を表面にブリードアウトさせる方法も挙げられる。しかし、従来技術では、ブリード性のコントロールが一般に困難である傾向にある。また、界面活性剤を含ませた樹脂には、界面活性剤の表面へのブリードアウトを容易にするため多くの場合柔軟性を付与することになるが、この場合、耐擦傷性が犠牲になる傾向にある。
国際公開第2013/187311号公報
東亜合成研究年報、TREND1999年2月号、39〜44頁
上述したように、基材と水との接触角を小さくさせることによって防曇性を確保しようとする場合、従来技術では、高い防曇性の維持を図ることが依然として困難な傾向にあり、高い防曇性を維持するためにはメンテナンスを要する傾向にある。一方、高い防曇性の維持を図ろうとすると、今度は耐擦傷性が十分に得られない傾向にあり、高い耐擦傷性を確保することも望まれている。この点、従来、メンテナンス不要のハードコート膜付きメガネレンズは上市されているものの、膜の硬度が低く、すぐに傷が入るという欠点があった。
そこで、本発明は、上記のような従来技術の問題点に鑑み、高い防曇性の維持を図りつつ、併せて、高い耐擦傷性を確保できる積層体を提供することを目的とする。
本発明者らは、界面活性剤を含ませた材料により基材を表面処理するにあたり、基材表面に特定の構成の層を組み合わせて形成させることにより、界面活性剤の表面へのブリードアウトを適切にコントロールしつつ十分に高い耐擦傷性を確保できることを見出し、本発明を完成させた。
すなわち、本発明は以下の[1]〜[15]に関する。
[1]
基材と、貯蔵層(A)と、緩衝層(B)とをこの順で含み;
当該貯蔵層(A)と、当該緩衝層(B)とが互いに直に接しており;
当該緩衝層(B)の厚さに対する当該貯蔵層(A)の厚さの比が、1.3〜15の範囲にあり、
前記貯蔵層(A)が、
2以上の(メタ)アクリロイル基を有する多官能モノマー(a1)、
無機粒子(a2)、および
界面活性剤(a3)
を含む組成物(A−1)の硬化物からなり;
前記緩衝層(B)が、
2以上の(メタ)アクリロイル基を有する多官能モノマー(b1)、および
無機粒子(b2)
を含む組成物(B−1)の硬化物からなり;
前記組成物(B−1)は、界面活性剤(b3)をさらに含むか、あるいは、含まず;
前記組成物(B−1)が前記界面活性剤(b3)をさらに含む場合、前記組成物(B−1)の総乾燥重量に対する当該界面活性剤(b3)の含有重量は、前記組成物(A−1)の総乾燥重量に対する前記界面活性剤(a3)の含有重量よりも少なく;且つ、
前記無機粒子(a2)が、(メタ)アクリロイル基を含む官能基で修飾された無機粒子(a2−1)を含むか、あるいは、
前記無機粒子(a2)が(メタ)アクリロイル基を含む官能基で修飾されていない無機粒子(a2−0)であり且つ前記無機粒子(b2)が(メタ)アクリロイル基を含む官能基で修飾されていない無機粒子(b2−0)である、
積層体。
[2]
前記無機粒子(a2)が、(メタ)アクリロイル基を含む官能基で修飾された無機粒子(a2−1)を含み、
前記無機粒子(b2)が、(メタ)アクリロイル基を含む官能基で修飾された無機粒子(b2−1)を含む、前記[1]に記載の積層体。
[3]
前記無機粒子(a2−1)および前記無機粒子(b2−1)が、それぞれ独立に、(メタ)アクリロイル基を含む官能基で修飾されたシリカ粒子と(メタ)アクリロイル基を含む官能基で修飾されたジルコニア粒子とからなる群より選ばれる1以上である前記[2]に記載の積層体。
[4]
前記無機粒子(b2)が、(メタ)アクリロイル基を含む官能基で修飾されていない無機粒子(b2−0)を含み、且つ、
前記組成物(B−1)中の、前記(メタ)アクリロイル基を含む官能基で修飾された無機粒子(b2−1)の含有重量が、当該(メタ)アクリロイル基を含む官能基で修飾されていない無機粒子(b2−0)の含有重量よりも多い、前記[2]または[3]に記載の積層体。
[5]
前記組成物(B−1)の総乾燥重量に対する前記多官能モノマー(b1)の含有重量が、前記組成物(A−1)の総乾燥重量に対する前記多官能モノマー(a1)の含有重量よりも少ない前記[1]〜[4]のいずれかに記載の積層体。
[6]
前記多官能モノマー(a1)および前記多官能モノマー(b1)として、下記式(1)で表される多官能モノマーを含む前記[1]〜[5]のいずれかに記載の積層体。
Figure 2019221268
(上記式(1)中、nは1から30の整数を示す。)
[7]
前記界面活性剤(a3)および前記界面活性剤(b3)が、ポリオキシアルキレン構造を有する前記[1]〜[6]のいずれかに記載の積層体。
[8]
前記界面活性剤(a3)および前記界面活性剤(b3)として、ポリオキシエチレンラウリルエーテル硫酸塩、ポリオキシエチレンオレイルセチルエーテル硫酸塩、およびポリオキシアルキレンラウリルエーテルからなる群より選ばれるいずれか1以上を含む前記[1]〜[7]のいずれかに記載の積層体。
[9]
前記組成物(B−1)の総乾燥重量に対する前記無機粒子(b2)の含有量が40〜70重量%である前記[1]〜[8]のいずれかに記載の積層体。
[10]
前記組成物(A−1)の総乾燥重量に対する前記界面活性剤(a3)の含有量が1.0〜5.0重量%である前記[1]〜[9]のいずれかに記載の積層体。
[11]
前記組成物(B−1)が、(メタ)アクリロイル基とアニオン性親水基とを有する化合物をさらに含む前記[1]〜[10]のいずれかに記載の積層体。
[12]
前記緩衝層(B)が、光安定剤を、前記組成物(B−1)の総乾燥重量に対して3重量%以上含む前記[1]〜[11]のいずれかに記載の積層体。
[13]
前記貯蔵層(A)の厚さが4.0μm以上である前記[1]〜[12]のいずれかに記載の積層体。
[14]
(S1):前記基材を含む層の少なくとも一方の面に対して、
前記多官能モノマー(a1)、
前記無機粒子(a2)、
前記界面活性剤(a3)、および
溶媒(a4)
を含む組成物(A−1a)の塗布物層(A2)を設ける工程、
(S2):前記工程(S1)で得られた塗布物層(A2)から前記溶媒(a4)を除去する工程、
(S3):前記工程(S2)の後に、塗布物層(A2)の硬化を行い、当該塗布物層(A2)を硬化物層(A2')に変換する工程、
(S4):前記工程(S3)の後に、前記硬化物層(A2')上に、
前記多官能モノマー(b1)、
前記無機粒子(b2)、および
溶媒(b4)
を含む組成物(B−1a)の塗布物層(B2)を設ける工程、
(S5):前記工程(S4)で得られた塗布物層(B2)から前記溶媒(b4)を除去する工程、および
(S6):前記工程(S5)の後に、塗布物層(B2)の硬化を行い、当該塗布物層(B2)を硬化物層(B2')に変換する工程、
を含み;
前記組成物(A−1a)100重量部あたりの前記組成物(A−1a)の総乾燥重量は、46重量部以上100重量部未満であり;
前記組成物(B−1a)は、前記界面活性剤(b3)をさらに含むか、あるいは、含まず;
前記組成物(B−1)が前記界面活性剤(b3)をさらに含む場合、前記組成物(B−1)の総乾燥重量に対する当該界面活性剤(b3)の含有重量は、前記組成物(A−1)の総乾燥重量に対する前記界面活性剤(a3)の含有重量よりも少なく;且つ、
前記無機粒子(a2)が、(メタ)アクリロイル基を含む官能基で修飾された無機粒子(a2−1)を含むか、あるいは、
前記無機粒子(a2)が(メタ)アクリロイル基を含む官能基で修飾されていない無機粒子(a2−0)であり且つ前記無機粒子(b2)が(メタ)アクリロイル基を含む官能基で修飾されていない無機粒子(b2−0)である、
前記[1]に記載の積層体の製造方法。
[15]
前記工程(S5)が、50〜90℃での加熱下で行われる前記[14]に記載の製造方法。
本発明によれば、高い防曇性を維持することができ、併せて耐擦傷性にも優れる積層体を提供することができる。
〔積層体〕
本発明に係る積層体は、基材と、貯蔵層(A)と、緩衝層(B)とをこの順で含んでいる。ここで、本発明に係る積層体において、この貯蔵層(A)とこの緩衝層(B)とは、互いに直に接している。
ここで、本明細書において、「(メタ)アクリロイル基」なる用語は、アクリロイル基とメタクリロイル基とをまとめて包括的に表すために用いられ、「(メタ)アクリル酸」なる用語は、アクリル酸とメタクリル酸とをまとめて包括的に表すために用いられ、「(メタ)アクリレート」なる用語は、アクリレートとメタクリレートとをまとめて包括的に表すために用いられ、「(メタ)アクリルアミド」なる用語は、アクリルアミドとメタクリルアミドとをまとめて包括的に表すために用いられ、「(メタ)アクリル系」なる用語は、アクリル系とメタクリル系とをまとめて包括的に表すために用いられる。
また、組成物について「総乾燥重量」とは、別途の記載がない限り、当該組成物を構成する成分のうち溶媒成分を除く成分の重量の合計をいう。
以下、本発明の積層体を構成する各層について説明する。
<貯蔵層(A)>
本発明の積層体において、貯蔵層(A)は、
2以上の(メタ)アクリロイル基を有する多官能モノマー(a1)、
無機粒子(a2)、および
界面活性剤(a3)
を含む組成物(A−1)の硬化物からなる。
この貯蔵層(A)は、界面活性剤(a3)を内部に貯蔵しており、後述する緩衝層(B)を通じて本発明の積層体の表面にこの界面活性剤(a3)を絶えず供給する役割を果たす。これにより、本発明の積層体は、高い防曇性を発揮するのである。
本発明で用いられる「界面活性剤(a3)」が有する具体的な構造については、後記「界面活性剤(a3)」の項で詳述する。
なお、本明細書において、上記「2以上の(メタ)アクリロイル基を有する多官能モノマー(a1)」は、単に「多官能モノマー(a1)」と呼ばれる場合がある。
多官能モノマー(a1)
本発明において、2以上の(メタ)アクリロイル基を有する多官能モノマー(a1)は、組成物(A−1)の硬化を通じて互いに結合し合うことにより形成されるネットワーク構造を通じて、貯蔵層(A)の基本骨格を与えるとともに、貯蔵層(A)に界面活性剤(a3)を貯蔵する空間を与える役割を果たす。つまり、多官能モノマー(a1)は、組成物(A−1)の硬化を通じて対応する重合体に変換され、貯蔵層(A)における重合体成分を構成することになる。
本発明で用いられる多官能モノマー(a1)は、2以上の(メタ)アクリロイル基と、これらの(メタ)アクリロイル基を一分子内に固定するリンカー部分とからなる。ただし、本発明で用いられる多官能モノマー(a1)は、アニオン性基やカチオン性基は含まない。この点で、後記「緩衝層(B)」の項の中で後述する「アニオン性親水基含有モノマー」とは異なる。
本発明の1つの態様において、多官能モノマー(a1)は、(メタ)アクリル酸と2以上の水酸基を有する多価アルコールとのエステルである。ここで、「2以上の水酸基を有する多価アルコール」は、アルカンジオールやアルカントリオールなどのアルカンポリオールであっても良く、あるいは、ポリエチレングリコールなどのポリオキシアルキレングリコール、および、アルカンポリオールにポリオキシアルキレンを付加してなる化合物等、ポリオキシアルキレン構造を有するものであっても良い。また、「2以上の水酸基を有する多価アルコール」は、芳香族環をさらに含んでいても良く、あるいは、脂環式化合物に該当するものであっても良い。本発明においては、上記「2以上の水酸基を有する多価アルコール」は、ポリオキシアルキレン構造を含んでいることが好ましく、例えば、ポリオキシエチレン構造を含むジオールであることが好ましい。また、芳香族環を含む「2以上の水酸基を有する多価アルコール」の例としては、ビスフェノールのエチレンオキサイド付加物等が挙げられる。
本発明において好適に用いられる多官能モノマー(a1)の具体例として、下記式(1)、(2)に示される構造を有する化合物が挙げられ、これらのうちでは、下記式(1)に示される構造を有する化合物が好ましく挙げられる。
Figure 2019221268
(式(1)中、nは1から30の整数を示す)
Figure 2019221268
(式(2)中、lおよびmは、l+mが2〜40の整数を示す。)
すなわち、本発明において好適に用いられる多官能モノマー(a1)の具体例として、ポリエチレングリコールジアクリレート、および、2,2-ビス-[4−(アクリロキシ-ポリエトキシ)フェニル]-プロパンが挙げられる。ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレートとしては例えば、テトラデカエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリコサエチレングリコールジ(メタ)アクリレートが挙げられる。
本発明で用いられる多官能モノマー(a1)は、1種単独でも2種以上の組み合わせでもよい。
貯蔵層(A)を構成することになる多官能モノマー(a1)の具体的な量は、組成物(A−1)の総乾燥重量に対して通常は30〜70重量%、好ましくは45〜60重量%である。
本発明で用いられる貯蔵層(A)に関連して、後記「緩衝層(B)」の項で後述するように、硬化により緩衝層(B)を与える組成物(B−1)では、多官能モノマー(b1)のほかに、アニオン性親水基含有モノマーをさらに含むことができる。本発明の目的が達成できる限りにおいて、上記組成物(A−1)においても、後記組成物(B−1)に含まれうるアニオン性親水基含有モノマーと同様のアニオン性親水基含有モノマーが含まれる可能性を必ずしも排除するものではない。ただ、本発明の典型的な態様において、上記組成物(A−1)は、通常、このようなアニオン性親水基含有モノマーは含まない。
無機粒子(a2)
無機粒子(a2)は、無機物質の粒子である。本発明において、この無機粒子(a2)は、上記2以上の(メタ)アクリロイル基を有する多官能モノマー(a1)同士の結合によって形成されるネットワーク構造に組み込まれる形で貯蔵層(A)内部に内包されており、貯蔵層(A)に適度な硬度および強度を与える役割を果たす。
本発明で用いられる無機粒子(a2)は、(メタ)アクリロイル基を含む官能基で修飾されていない無機粒子(a2−0)(以下、単に「無機粒子(a2−0)」と呼ばれる場合がある。)であってもよく、あるいは、(メタ)アクリロイル基を含む官能基で修飾された無機粒子(a2−1)(以下、単に「無機粒子(a2−1)」と呼ばれる場合がある。)であっても良い。
ここで、本発明の典型的な態様において、無機粒子(a2−0)は、無修飾の無機粒子であり、すなわち、実質的に無機物質のみからなる粒子である。ただ、このことは、無機粒子(a2−0)中における有機物質の含有量を厳密に0とすべきことを意味するものでなく、無機粒子(a2−0)中に、他の成分との反応性を示さない有機物質が、当該無機粒子(a2−0)を構成する無機物質が本来有している物性に影響を与えない程度の微量含まれていてもよい。例えば、無機粒子(a2−0)は、製造工程に起因して不可避的に混入しうる微量の有機物質、並びに、大気中に静置することにより表面に不可避的に非特異吸着しうる大気由来の微量の有機物質は、含んでいても良い。無機粒子(a2−0)を構成する無機物質として、シリカ、ジルコニア、アルミナ、酸化スズ、酸化アンチモン、チタニアなどの金属酸化物、並びに、ナノダイヤモンド粒子等が挙げられる。これらの中でも、樹脂への分散性及び硬度、耐光性の観点からシリカおよびジルコニアが特に好ましい。
無機粒子(a2−0)の粒径は、5〜50nmが好ましく、10〜30nmがより好ましい。無機粒子(a2−0)の粒径が前記下限値以上であると、硬度が得られ易く、また組成物(A−1)における粒子の分散性が良好となるため好ましい。一方、無機粒子(a2−0)の粒径が前記上限値以下であると、組成物(A−1)を硬化膜などの硬化物としたときの透明性が良好となるため好ましい。ここで無機粒子(a2−0)の粒径は、レーザー光による動的散乱法によって求めることができる。
以上のような無機粒子(a2−0)は、1種単独であっても良く、あるいは、2種以上の組み合わせでも良い。
一方、本発明の好適な態様において、無機粒子(a2)は、(メタ)アクリロイル基を含む官能基で修飾された無機粒子(a2−1)である。この無機粒子(a2−1)は、上記無機粒子(a2−0)を基礎粒子とし、当該基礎粒子の表面に(メタ)アクリロイル基を含む官能基を有するものである。この態様では、組成物(A−1)の硬化の際に、無機粒子(a2−1)を構成する(メタ)アクリロイル基が、上記多官能モノマー(a1)を構成する(メタ)アクリロイル基との間に共有結合を形成することになる。したがって、得られる貯蔵層(A)において、無機粒子(a2−1)は、多官能モノマー(a1)同士の結合によって形成されるネットワーク構造と、共有結合を介して一体化されることになる。このような無機粒子(a2−1)の好適な例として、(メタ)アクリロイル基を含む官能基で修飾されたシリカ粒子、(メタ)アクリロイル基を含む官能基で修飾されたジルコニア粒子が挙げられる。
無機粒子(a2−1)を構成する「(メタ)アクリロイル基を含む官能基」は、末端に(メタ)アクリロイル基を有し、さらに、(メタ)アクリロイル基と基礎粒子とを連結するための連結基とを有する。
このような無機粒子(a2−1)は、市販品として入手可能であり、そのような市販品の例として、日産化学工業製オルガノシリカゾルPGM−AC−2140Y等が挙げられる。
無機粒子(a2−1)は、1種単独であっても良く、あるいは、2種以上の組み合わせでも良い。
貯蔵層(A)における無機粒子(a2)の具体的な量は、組成物(A−1)の総乾燥重量に対して通常は30〜60重量%、好ましくは35〜50重量%である。ここで、無機粒子(a2)が無機粒子(a2−0)および無機粒子(a2−1)の両方を含む場合、無機粒子(a2−0)と無機粒子(a2−1)との割合は、無機粒子(a2−0)および無機粒子(a2−1)の乾燥重量の合計を100重量%としたときに、無機粒子(a2−0)の量は通常0重量%を越え30重量%以下であり、無機粒子(a2−1)の量は通常100重量%未満且つ70重量%以上である。
本発明において、貯蔵層(A)を構成することになる上記多官能モノマー(a1)に対する無機粒子(a2)の割合は、組成物(A−1)中の無機粒子(a2)の含有重量と上記多官能モノマー(a1)の含有重量との比として、通常0.6/1〜1/1の範囲にある。
界面活性剤(a3)
本発明において、界面活性剤(a3)は、貯蔵層(A)内部に貯蔵されており、後述する緩衝層(B)を通じて本発明の積層体の表面に滲出することにより、本発明の積層体に防曇性を付与する役割を果たす。界面活性剤(a3)は、このような役割を果たしうる限りにおいて、有すべき構造に特に限定はない。本発明の好適な態様において、界面活性剤(a3)は、ポリオキシアルキレン構造を有している。
ここで、界面活性剤(a3)がポリオキシアルキレン構造を有する場合、本発明の典型的な態様において、界面活性剤(a3)は、アクリルポリマー構造やメタクリルポリマー構造を有さないことが好ましい。すなわち、界面活性剤(a3)は、下記式(AC1)〜(AC2)で表される構造のいずれも有さないことが好ましい:
Figure 2019221268
(上記式(AC1)および(AC2)中、Rは水素原子またはメチル基を表し、nは2以上の整数を表す。)。
この場合、本発明で用いられる界面活性剤(a3)は、
(i)ポリオキシアルキレン構造を有する、(ii) 上記式(AC1)〜(AC2)で表される構造のいずれも有さない、という条件を満たす限り特に限定されず、従来公知の界面活性剤とすることができる。ただ、本発明では、界面活性剤(a3)として、通常、重合性を有さないもの、特に、分子中に不飽和結合を含まないものが用いられる。
本発明の典型的な態様では、界面活性剤(a3)は、炭化水素基とポリオキシアルキレン構造とを含んでおり、炭化水素基として、アルキル基、アルケニル基が挙げられる。また、ポリオキシアルキレン構造を構成する繰り返し単位の例として、−O−CH2CH2−、−O−CH2CH2CH2−、−O−CH2CH2CH2CH2−等が挙げられ、これらの中でも、−O−CH2CH2−が好ましい。ポリオキシアルキレン構造を構成する繰り返し単位の数は、好ましくは1〜30である。
ここで、本発明の好適な態様において、界面活性剤(a3)は、アニオン性親水基をさらに有している。アニオン性親水基の例として、スルホ基、カルボキシル基、リン酸基、O−硫酸基(−O−SO3 -)、およびN−硫酸基(−NH−SO3 -)などが挙げられる。これらアニオン性親水基の中でも、リン酸基、O−硫酸基(−O−SO3 -)が好ましい。これらアニオン性親水基は、遊離酸の形態でも、適当なカチオンとの塩の形態でもよいが、多くの場合、対応するナトリウム塩、カリウム塩、または、アンモニウム塩の形態を有している。
本発明で好適に用いられる界面活性剤(a3)の1つとして、例えば、下記式(SS1)で表される構造を有するものが挙げられる:
R−[−O−R'−]n−X ・・・(SS1)
上記式中、Rは、炭素数10〜20のアルキル基または炭素数10〜20のアルケニル基を表し、R'は、炭素数2〜4のアルキレン基を表し、nは、1〜30の整数を表し、Xは、水酸基、または、スルホ基、ホスホノ基、カルボキシル基、リン酸基、O−硫酸基およびN−硫酸基からなる群より選ばれるいずれかのアニオン性親水基を表す。ここで、前記R'の例として、−O−CH2CH2−、−O−CH2CH2CH2−、−O−CH2CH2CH2CH2−等が挙げられ、これらの中でも、−O−CH2CH2−が好ましい。また、前記Xとなりうるアニオン性親水基の中で、リン酸基、O−硫酸基、が好ましい。前記Xとして挙げられる前記アニオン性親水基は、遊離酸の形態でも、適当なカチオンとの塩の形態でもよいが、多くの場合、対応するナトリウム塩、カリウム塩、または、アンモニウム塩の形態を有している。このような塩のうち最も一般的なものとしてナトリウム塩が挙げられるが、アンモニウム塩などほかのカチオンとの塩の形態を有することを妨げるものではない。
界面活性剤(a3)のうちアニオン性親水基を有するものの例として、ポリオキシアルキレンアルキルエーテル硫酸塩、ポリオキシアルキレンアルケニルエーテル硫酸塩、および、これらの混合物などが挙げられ、その具体例として、ポリオキシエチレンオレイルセチルエーテル硫酸ナトリウムなどのポリオキシエチレンオレイルセチルエーテル硫酸塩、ポリオキシエチレンラウリルエーテル硫酸ナトリウムなどのポリオキシエチレンラウリルエーテル硫酸塩が挙げられる。
ただ、本発明で用いられる界面活性剤(a3)は、ポリオキシアルキレン構造を有するノニオン系界面活性剤であってもよい。そのような界面活性剤(a3)の例として、ポリオキシアルキレンモノアルキルエーテルなどのポリオキシアルキレンアルキルエーテル、ポリオキシアルキレンモノアルケニルエーテルなどのポリオキシアルキレンアルケニルエーテル、および、これらの混合物などが挙げられる。ここで、ポリオキシアルキレンアルキルエーテルとして、ポリオキシアルキレン分岐デシルエーテル、ポリオキシアルキレンドデシルエーテル(ポリオキシアルキレンラウリルエーテル)、ポリオキシアルキレントリデシルエーテル、ポリオキシアルキレンオレイルセチルエーテルが挙げられる。ここで、本発明の例示的な態様において、ポリオキシアルキレンアルキルエーテルは、ポリオキシエチレンアルキルエーテルであり、その例として、ポリオキシエチレンイソデシルエーテルおよびポリオキシエチレンラウリルエーテルが挙げられる。
本発明で用いられる界面活性剤(a3)は、1種単独であっても良く、あるいは、2種以上の組み合わせであっても良い。
貯蔵層(A)における界面活性剤(a3)の具体的な量は、組成物(A−1)の総乾燥重量に対して通常は1.0〜5.0重量%、好ましくは1.5〜3.0重量%である。
その他の界面活性剤
本発明において、組成物(A−1)は、本発明の積層体の構成や用途によっては、上記界面活性剤(a3)に加えて、界面活性剤(a3)に該当しないその他の界面活性剤(以下、「その他の界面活性剤」)をさらに含んでいても良い。
この「その他の界面活性剤」は、上記界面活性剤(a3)に該当しない限り特に限定はなく、従来公知の界面活性剤であっても良い。
本発明で用いうる「その他の界面活性剤」として、
(i)アクリルポリマー構造またはメタクリルポリマー構造を有する界面活性剤(以下、「界面活性剤(a3')」);
(ii)ポリオキシアルキレン構造、アクリルポリマー構造、および、メタクリルポリマー構造のいずれも有さない界面活性剤(以下、「界面活性剤(a3'')」)
が挙げられる。
ここで、「界面活性剤(a3')」の1つとして、アクリルポリマー構造またはメタクリルポリマー構造と、ポリオキシアルキレン構造とを有する界面活性剤(以下、「界面活性剤(a3'−1)」)が挙げられる。この「界面活性剤(a3'−1)」は、典型的には、アクリルポリマー構造またはメタクリルポリマー構造を主鎖として有しており、ポリオキシアルキレン構造をペンダント基として有している。このような「界面活性剤(a3'−1)」の1つとして、特許3308581号などに開示されているような、末端に水酸基を有する(ポリ)オキシアルキレン基を有する(メタ)アクリル酸エステルに対応する構成単位と、(メタ)アクリル酸のアルキルエステルに対応する構成単位とを有する界面活性剤が挙げられる。ここで、この界面活性剤は、(メタ)アクリル酸塩に対応する構成単位などほかの構成単位をさらに有していてもよい。
このような「界面活性剤(a3'−1)」は、市販品であっても良く、その例として、共栄社化学社製のポリフローWS−314などが挙げられる。
一方、「界面活性剤(a3')」は、必ずしもポリオキシアルキレン構造を有していなくてもよい。すなわち、「界面活性剤(a3')」は、アクリルポリマー構造またはメタクリルポリマー構造は有するが、ポリオキシアルキレン構造は有さない界面活性剤(以下、「界面活性剤(a3'−2)」)であっても良い。この「界面活性剤(a3'−2)」は、親水基として、ポリオキシアルキレン構造以外の親水基を有する。ポリオキシアルキレン構造以外の親水基の例として、スルホ基、ホスホノ基、カルボキシル基、リン酸基、O−硫酸基およびN−硫酸基などのアニオン性親水基、並びに、アミノ基、4級アンモニウム構造などのカチオン性親水基が挙げられる。このような「界面活性剤(a3'−2)」の1つとして、特開2012−177040号公報などに開示されているような、N−アルキル(メタ)アクリルアミドポリマーのセグメントと親水基含有ポリマーのセグメントとを有する(メタ)アクリル系ブロックコポリマーが挙げられる。
また、「界面活性剤(a3')」は、感温性を持ったアクリルポリマー系界面活性剤、すなわち、一定温度以下では界面活性を示し、一定温度以上では界面活性を示さないアクリルポリマー系界面活性剤、であっても良く、その市販品の例として、共栄社化学社製のKL−850などが挙げられる。
一方、前記「界面活性剤(a3'')」の例として、ジアルキルスルホコハク酸塩などが挙げられる。
ここで、本発明の積層体は、貯蔵層(A)を2層以上有していてもよいところ、これらの貯蔵層(A)のうち、基材に最も近い貯蔵層(以下、「貯蔵層(A0)」)と、当該「貯蔵層(A0)」以外の貯蔵層(以下、「貯蔵層(A1)」)とで異なる役割を持たせることがある。特に、後記「積層体の構成」の項で後述するように、後記基材を、ポリジエチレングリコールジアリルカーボネート、ポリジアリルカーボネートなどとし、且つ、基材と貯蔵層(A)との間にプライマー層を存在させる場合、貯蔵層(A)に含まれる界面活性剤(a3)がプライマー層に侵入することを抑制するために、上記「貯蔵層(A0)」を保護層(P)として機能させることがある。このような場合、「貯蔵層(A0)」と「貯蔵層(A1)」との作り分けを「その他の界面活性剤」によって行うことがある。
この場合、貯蔵層(A0)に含まれうる「その他の界面活性剤」として、共栄社化学社製のポリフローWS−314など前記「界面活性剤(a3'−1)」に該当する界面活性剤が挙げられる。そのような「その他の界面活性剤」の具体的な量は、貯蔵層(A0)用の組成物(A−1)の総乾燥重量に対して通常0重量%を越え0.2重量%であり、好ましくは、0.03〜0.1重量%である。
一方、貯蔵層(A1)に含まれうる「その他の界面活性剤」として、共栄社化学社製のポリフローKL−850などが挙げられる。そのような「その他の界面活性剤」の具体的な量は、貯蔵層(A1)用の組成物(A−1)の総乾燥重量に対して通常0重量%を越え0.05重量%であり、好ましくは、0.25〜0.35重量%である。
組成物(A−1)に含まれうる「その他の界面活性剤」は、1種単独であっても良く、あるいは、2種以上の組み合わせであっても良い。
貯蔵層(A)の構成
本発明において、貯蔵層(A)は、上記多官能モノマー(a1)、上記無機粒子(a2)および上記界面活性剤(a3)を含む組成物(A−1)を硬化させることにより得ることができる。すなわち、貯蔵層(A)は、組成物(A−1)の硬化物である。
本発明における貯蔵層(A)の形状は、板状でも膜状でもよい。ただ、本発明において、貯蔵層(A)の厚さが薄すぎると、積層体を水洗した後に十分な防曇性が発揮できない場合がある。したがって、積層体が水洗後も十分な防曇性が発揮できるよう、貯蔵層(A)の厚さは4.0μm以上であることが好ましく、5.3μm以上であることがより好ましい。このように、貯蔵層(A)の厚さが厚いほど当該貯蔵層(A)に含まれる界面活性剤量が増えるため、高い防曇性能及び防曇耐久性が良好になる傾向にあり、貯蔵層(A)の厚さの上限については、本発明の積層体の機能を損ねない限り特に限定はない。ただ、貯蔵層(A)の厚さは、通常30μm以下であり、20μm以下であることが塗工上好ましい。また、このように一定以下の厚さとすることは、好適な塗膜外観を得る上でも好ましい。
なお、貯蔵層(A)を形成する際の具体的な条件等は、後記「積層体の製造方法」の項で後述する。
<緩衝層(B)>
本発明の積層体において、緩衝層(B)は、
2以上の(メタ)アクリロイル基を有する多官能モノマー(b1)、および
無機粒子(b2)
を含む組成物(B−1)の硬化物からなる。
ここで、組成物(B−1)は、上記組成物(A−1)とは異なり必ずしも界面活性剤を含有している必要はない。ただ、本発明の好適な態様において、組成物(B−1)は、界面活性剤(b3)をさらに含んでいる。
この緩衝層(B)は、上記貯蔵層(A)よりも高い硬度を有しており、本発明の積層体に十分な耐擦傷性を付与する役割を果たす。また、本発明の積層体は、上記貯蔵層(A)に貯蔵されている上記界面活性剤(a3)が外部に滲出することによって高い防曇性を発揮するところ、この緩衝層(B)は、上記界面活性剤(a3)の滲出速度を制御する役割をも果たす。これにより、本発明の積層体は、単に高い防曇性を有するのみならず、水洗を繰り返した後にも高い防曇性を維持することができるのである。滲出速度の制御は、
緩衝層(B)における無機粒子と重合体成分(特に多官能モノマーに対応する重合体成分)との重量比(フィラー/マトリックス比)を、貯蔵層(A)より十分大きくするか、或いは
緩衝層(B)を与えることになる組成物(B−1)の塗布後に含まれる溶媒を、加熱等で除去した後に紫外線等で硬化する
ことで、緩衝層(B)を構成する重合体成分の架橋度を上げることにより成し得る。
本発明で用いられる「界面活性剤(b3)」が有する具体的な構造については、後記「界面活性剤(b3)」の項で詳述する。
なお、本明細書において、上記「2以上の(メタ)アクリロイル基を有する多官能モノマー(b1)」は、単に「多官能モノマー(b1)」と呼ばれる場合がある。
多官能モノマー(b1)
本発明において、2以上の(メタ)アクリロイル基を有する多官能モノマー(b1)は、組成物(B−1)の硬化を通じて互いに結合し合うことにより形成されるネットワーク構造を通じて、緩衝層(B)の基本骨格を与えるとともに、前記貯蔵層(A)に含まれる上記界面活性剤(a3)が外部に向かって適切に滲出するために必要な空間を与える役割を果たす。つまり、多官能モノマー(b1)は、組成物(B−1)の硬化を通じて対応する重合体に変換され、緩衝層(B)における重合体成分を構成することになる。
本発明で用いられる多官能モノマー(b1)は、2以上の(メタ)アクリロイル基と、これらの(メタ)アクリロイル基を一分子内に固定するリンカー部分とからなる。ただし、本発明で用いられる多官能モノマー(b1)は、アニオン性基やカチオン性基は含まない。この点で、後述する「アニオン性親水基含有モノマー」とは異なる。
ここで、本発明で用いられる多官能モノマー(b1)の具体的な構成は、上記多官能モノマー(a1)の項で上述したものと同様とすることができ、例えば、上記式(1)、(2)に示される構造を有する化合物が挙げられ、これらのうちでは、上記式(1)に示される構造を有する化合物が好ましく挙げられる。
本発明で用いられる多官能モノマー(b1)は、1種単独でも2種以上の組み合わせでもよい。また、多官能モノマー(b1)は、上記多官能モノマー(a1)と同一であってもよく、あるいは、互いに異なっていても良い。
本発明において、組成物(B−1)の総乾燥重量に対する多官能モノマー(b1)の含有重量は、上記組成物(A−1)の総乾燥重量に対する上記多官能モノマー(a1)の含有重量よりも少ない。緩衝層(B)を構成することになる多官能モノマー(b1)の具体的な量は、組成物(B−1)の総乾燥重量に対して通常は20〜50重量%、好ましくは25〜47.5重量%である。
無機粒子(b2)
無機粒子(b2)は、上記無機粒子(a2)と同様、無機物質の粒子である。本発明において、この無機粒子(b2)は、上記2以上の(メタ)アクリロイル基を有する多官能モノマー(b1)同士の結合によって形成されるネットワーク構造に組み込まれる形で緩衝層(B)内部に内包されており、緩衝層(B)に高い硬度および十分な耐擦傷性を付与する役割を果たす。
本発明で用いられる無機粒子(b2)は、(メタ)アクリロイル基を含む官能基で修飾されていない無機粒子(b2−0)(以下、単に「無機粒子(b2−0)」と呼ばれる場合がある。)であっても良く、(メタ)アクリロイル基を含む官能基で修飾された無機粒子(b2−1)(以下、単に「無機粒子(b2−1)」と呼ばれる場合がある。)であっても良く、あるいは、これらの組み合わせであっても良い。
ここで、無機粒子(b2−0)を構成する無機物質の材質および粒径は、上記無機粒子(a2−0)を構成する無機物質と同様とすることができる。無機粒子(b2−0)の粒径は、レーザー光による動的散乱法によって求めることができる。無機粒子(b2−0)の好適な例として、例えば、シリカおよびジルコニアが挙げられる。無機粒子(b2−0)は、1種単独であっても良く、あるいは、2種以上の組み合わせでも良い。また、無機粒子(b2−0)は、上記無機粒子(a2−0)と同一であってもよく、あるいは、互いに異なっていても良い。
一方、本発明の好適な態様において、無機粒子(b2)は、(メタ)アクリロイル基を含む官能基で修飾された無機粒子(b2−1)である。この無機粒子(b2−1)は、上記無機粒子(b2−0)を基礎粒子とし、当該基礎粒子の表面に(メタ)アクリロイル基を含む官能基を有するものである。この態様では、組成物(B−1)の硬化の際に、無機粒子(b2−1)を構成する(メタ)アクリロイル基が、上記多官能モノマー(b1)を構成する(メタ)アクリロイル基との間に共有結合を形成することになる。したがって、得られる緩衝層(B)において、無機粒子(b2−1)は、多官能モノマー(b1)同士の結合によって形成されるネットワーク構造と、共有結合を介して一体化されることになる。
無機粒子(b2−1)を構成する「(メタ)アクリロイル基を含む官能基」は、末端に(メタ)アクリロイル基を有し、さらに、(メタ)アクリロイル基と基礎粒子とを連結するための連結基とを有する。その具体的な構成は、上記無機粒子(a2−1)を構成する「(メタ)アクリロイル基を含む官能基」と同様とすることができる。また、(メタ)アクリロイル基を含む官能基を有する無機粒子(b2−1)は、上記(メタ)アクリロイル基を含む官能基を有する無機粒子(a2−1)と同様の表面処理によって得ることができる。
以上のような無機粒子(b2−1)は、1種単独であっても良く、あるいは、2種以上の組み合わせでも良い。また、無機粒子(b2−1)は、上記無機粒子(a2−1)と同一であってもよく、あるいは、互いに異なっていても良い。本発明の好適且つ例示的な態様において、無機粒子(a2−1)および無機粒子(b2−1)は、それぞれ独立に、(メタ)アクリロイル基を含む官能基で修飾されたシリカ粒子と(メタ)アクリロイル基を含む官能基で修飾されたジルコニア粒子とからなる群より選ばれる1以上である。
上述したように、本発明で用いられる無機粒子(b2)は、上記無機粒子(b2−0)であっても良く、上記無機粒子(b2−1)であっても良く、あるいは、これらの組み合わせであっても良い。
ここで、上記組成物(A−1)を構成する無機粒子(a2)が上記無機粒子(a2−0)である場合、無機粒子(b2)として上記無機粒子(b2−1)を採用すると、原因は不明であるものの、積層体における貯蔵層(A)と緩衝層(B)との密着性が十分に得られない傾向にあり、得られる積層体が必ずしも十分に高い防曇性を示さない場合がある。
したがって、上記無機粒子(a2)が上記無機粒子(a2−0)である場合には、無機粒子(b2)もまた、(メタ)アクリロイル基を含む官能基で修飾されていない無機粒子(b2−0)である必要がある。
一方、上記組成物(A−1)を構成する無機粒子(a2)が上記無機粒子(a2−1)を含む場合、特に、無機粒子(a2)が無機粒子(a2−1)である場合には、無機粒子(b2)は、上記無機粒子(b2−0)であっても良く、上記無機粒子(b2−1)であっても良く、あるいは、これらの組み合わせであっても良い。ただ、無機粒子(b2)が無機粒子(b2−0)および無機粒子(b2−1)の両方を含む場合、組成物(B−1)中の無機粒子(b2−1)の含有重量は、無機粒子(b2−0)の含有重量より多いことが好ましい。
緩衝層(B)における無機粒子(b2)の具体的な量は、組成物(B−1)の総乾燥重量に対して通常は40〜70重量%、好ましくは41.5〜65重量%である。ここで、無機粒子(b2)が無機粒子(b2−0)および無機粒子(b2−1)の両方を含む場合、無機粒子(b2−0)と無機粒子(b2−1)との割合は、無機粒子(b2−0)および無機粒子(b2−1)の乾燥重量の合計を100重量%としたときに、無機粒子(b2−0)の量は通常0重量%を越え30重量%以下であり、無機粒子(b2−1)の量は通常100重量%未満且つ70重量%以上である。
本発明において、緩衝層(B)を構成することになる上記多官能モノマー(b1)に対する無機粒子(b2)の割合は、組成物(B−1)中の無機粒子(b2)の含有重量と上記多官能モノマー(b1)の含有重量との比として、通常0.9/1〜2.2/1、好ましくは1.3/1〜2.2/1の範囲にある。
ここで、得られる積層体につき高い耐擦傷性が得られることから、組成物(B−1)中の無機粒子(b2)の含有重量と上記多官能モノマー(b1)の含有重量との比は、ある程度大きいことが好ましい。また、上記組成物(A−1)との関係でも、組成物(B−1)中の無機粒子(b2)の含有重量と上記多官能モノマー(b1)の含有重量との比は、上記組成物(A−1)中の上記無機粒子(a2)の含有重量と上記多官能モノマー(a1)の含有重量との比よりも大きいことが好ましい。
ここで、
組成物(B−1)中の無機粒子(b2)の含有重量と上記多官能モノマー(b1)の含有重量との比と、
上記組成物(A−1)中の上記無機粒子(a2)の含有重量と上記多官能モノマー(a1)の含有重量との比と
の比として好ましい範囲は、本発明の積層体の形成方法によっても異なる。
例えば、後記「積層体の製造方法」の項の工程(S5)で後述するように、組成物(B−1)の硬化に先立ち加熱を行う場合には、上記多官能モノマー(b1)に対する上記無機粒子(b2)の量が、当該加熱を行わない場合と比べて少なくても十分に高い硬度を有する積層体を得ることができる傾向にある。この場合、組成物(B−1)中の無機粒子(b2)の含有重量と上記多官能モノマー(b1)の含有重量との比が、上記組成物(A−1)中の上記無機粒子(a2)の含有重量と上記多官能モノマー(a1)の含有重量との比の0.9倍程度より大きければ十分に高い硬度を有する積層体が得られる可能性もある。
一方で組成物(B−1)の硬化に先立ち加熱を行わない場合は、組成物(B−1)中の無機粒子(b2)の含有重量と上記多官能モノマー(b1)の含有重量との比が、上記組成物(A−1)中の上記無機粒子(a2)の含有重量と上記多官能モノマー(a1)の含有重量との比の2.2倍程度より大きいことが望ましい。
ただ、水洗を繰り返した後の防曇性維持の点からは、当該加熱の有無にかかわらず、組成物(B−1)中の無機粒子(b2)の含有重量と上記多官能モノマー(b1)の含有重量との比が、上記組成物(A−1)中の上記無機粒子(a2)の含有重量と上記多官能モノマー(a1)の含有重量との比より大きいことが好ましい傾向にある。
界面活性剤(b3)
本発明で用いられる組成物(B−1)は、界面活性剤(b3)をさらに含むことができる。本発明の好適な態様において、界面活性剤(b3)は、ポリオキシアルキレン構造を有している。
ここで、界面活性剤(b3)がポリオキシアルキレン構造を有する場合、本発明の典型的な態様において、界面活性剤(b3)は、アクリルポリマー構造やメタクリルポリマー構造を有さないことが好ましい。すなわち、界面活性剤(b3)は、下記式(AC1)〜(AC2)で表される構造のいずれも有さないことが好ましい:
Figure 2019221268
(上記式(AC1)および(AC2)中、Rは水素原子またはメチル基を表し、nは2以上の整数を表す。)。
この場合、本発明で用いられる界面活性剤(b3)は、
(i)ポリオキシアルキレン構造を有する、(ii)上記式(AC1)〜(AC2)で表される構造のいずれも有さない、という条件を満たす限り特に限定されず、従来公知の界面活性剤とすることができる。ただ、本発明では、界面活性剤(b3)として、通常、重合性を有さないもの、特に、分子中に不飽和結合を含まないものが用いられる。
界面活性剤(b3)の具体的な構成は、上記「界面活性剤(a3)」の項で上述したものと同様とすることができる。本発明で好適に用いられる界面活性剤(b3)の1つとして、例えば、上記式(SS1)で表される構造を有するものが挙げられる。
好適な界面活性剤(b3)の例として、ポリオキシアルキレンアルキルエーテル硫酸塩、ポリオキシアルキレンアルケニルエーテル硫酸塩、および、これらの混合物などアニオン性親水基をさらに有する界面活性剤などが挙げられる。その具体例として、ポリオキシエチレンオレイルセチルエーテル硫酸ナトリウムなどのポリオキシエチレンオレイルセチルエーテル硫酸塩、ポリオキシエチレンラウリルエーテル硫酸ナトリウムなどのポリオキシエチレンラウリルエーテル硫酸塩が挙げられる。
また、本発明で用いられる界面活性剤(b3)は、ポリオキシアルキレン構造を有するノニオン系界面活性剤であってもよく、その具体例として、ポリオキシアルキレンモノアルキルエーテルなどのポリオキシアルキレンアルキルエーテル、ポリオキシアルキレンモノアルケニルエーテルなどのポリオキシアルキレンアルケニルエーテル、および、これらの混合物などが挙げられる。ここで、ポリオキシアルキレンアルキルエーテルとして、ポリオキシアルキレン分岐デシルエーテル、ポリオキシアルキレンドデシルエーテル(ポリオキシアルキレンラウリルエーテル)、ポリオキシアルキレントリデシルエーテル、ポリオキシアルキレンオレイルセチルエーテルが挙げられる。ここで、本発明の例示的な態様において、ポリオキシアルキレンアルキルエーテルは、ポリオキシエチレンアルキルエーテルであり、その例として、ポリオキシエチレンイソデシルエーテルおよびポリオキシエチレンラウリルエーテルが挙げられる。
ここで、界面活性剤(b3)がアニオン性親水基を有する場合、当該アニオン性親水基は、界面活性剤(a3)を構成しうるアニオン性親水基と同様、遊離酸の形態でも、適当なカチオンとの塩の形態でもよいが、多くの場合、対応するナトリウム塩、カリウム塩、または、アンモニウム塩の形態を有している。このような塩のうち最も一般的なものとしてナトリウム塩が挙げられるが、アンモニウム塩などほかのカチオンとの塩の形態を界面活性剤(b3)が有することを妨げるものではない。
本発明で用いうる界面活性剤(b3)は、1種単独であっても良く、あるいは、2種以上の組み合わせであっても良い。また、界面活性剤(b3)は、上記界面活性剤(a3)と同一であっても良く、あるいは、互いに異なっていても良い。
本発明において、組成物(B−1)は、界面活性剤(b3)を含まなくても良い。ただ、組成物(B−1)が界面活性剤(b3)をさらに含む場合、組成物(B−1)の総乾燥重量に対する界面活性剤(b3)の含有重量は、前記組成物(A−1)の総乾燥重量に対する前記界面活性剤(a3)の含有重量よりも少ない。
緩衝層(B)における界面活性剤(b3)の具体的な量は、組成物(B−1)の総乾燥重量に対して通常は0重量%を越え1重量%以下、好ましくは0.3〜0.6重量%である。
その他の界面活性剤
本発明で用いられる組成物(B−1)は、上記界面活性剤(b3)の有無にかかわらず、塗布膜のレベリング性付与、或いは表面親水性向上のため、上記界面活性剤(b3)に該当しないその他の界面活性剤(以下、「その他の界面活性剤」)をさらに含むことができる。ここで、組成物(B−1)が次述するアニオン性親水基含有モノマーをさらに含む場合、この「その他の界面活性剤」は、組成物(B−1)の硬化物を形成する際における当該アニオン性親水基含有モノマーの配向を制御するためにも用いられることがある。
この「その他の界面活性剤」は、上記界面活性剤(b3)に該当しない限り特に限定はなく、従来公知の界面活性剤であっても良い。「その他の界面活性剤」の例として、ジアルキルスルホコハク酸塩などポリオキシアルキレン構造、アクリルポリマー構造、および、メタクリルポリマー構造のいずれも有さない各種界面活性剤が挙げられる。
緩衝層(B)における「その他の界面活性剤」の具体的な量は、組成物(B−1)の総乾燥重量に対して通常は0重量%を超え2重量%以下であり、好ましくは0.8〜1.2重量%である。
アニオン性親水基含有モノマー
本発明で用いられる組成物(B−1)は、上記多官能モノマー(b1)とは別に、アニオン性親水基含有モノマーをさらに含むことができる。本発明で用いられる組成物(B−1)がアニオン性親水基含有モノマーをさらに含むと、緩衝層(B)が、当該アニオン性親水基含有モノマーに由来するアニオン性親水基を有することになる。これにより緩衝層(B)内に外部から水分子が進入しやすくなることから、上記貯蔵層(A)からの界面活性剤(a3)が緩衝層(B)内部に補充されやすくなり、本発明の積層体を水洗した後における当該積層体の防曇性が回復しやすくなる。そのため、本発明では、組成物(B−1)は、アニオン性親水基含有モノマーをさらに含むことが好ましい。なお、組成物(B−1)にアニオン性親水基含有モノマーが含まれる場合、このアニオン性親水基含有モノマーは、組成物(B−1)の硬化を通じて、上記多官能モノマー(b1)から変換されてなる重合体に組み込まれ、緩衝層(B)における重合体成分の一部となる。
ここで、本発明で用いることのできるアニオン性親水基含有モノマーは、アニオン性親水基と(メタ)アクリロイル基など重合性炭素−炭素二重結合を有する官能基とを有する化合物である。このような化合物の例として、国際公開第2007/064003号公報に化合物(I)として例示された化合物などが挙げられ、その好適な例として、3−スルホプロピルアクリレートカリウム等が挙げられる。
緩衝層(B)におけるアニオン性親水基含有モノマーの具体的な量は、組成物(B−1)の総乾燥重量に対して通常は1〜5重量%、好ましくは3〜4重量%である。
光安定剤
本発明で用いられる組成物(B−1)は、光安定剤をさらに含むことが好ましい。本発明で用いることのできる光安定剤として、紫外線吸収剤およびヒンダードアミン光安定剤が挙げられる。
上記紫外線吸収剤は特に限定はされず、例えば、ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤、トリアジン系紫外線吸収剤、ベンゾフェノン系紫外線吸収剤、ベンゾエート系紫外線吸収剤、プロパンジオック酸エステル系紫外線吸収剤、オキサニリド系紫外線吸収剤等の種々の紫外線吸収剤を用いることができる。
一方、上記ヒンダードアミン光安定剤(Hindered Amine Light Stabilizers:略称HALS)は、通常、2,2,6,6−テトラメチルピペリジン骨格を有する化合物の総称であり、分子量により、低分子量HALS、中分子量HALS、高分子量HALS及び反応型HALSに大別される。ヒンダードアミン光安定剤としては、例えば、アデカスタブLA−72、チヌビン123等が挙げられる。
緩衝層(B)における光安定剤の具体的な含有量は、耐光性が充分に確保できるよう、組成物(B−1)の総乾燥重量に対して3重量%以上であることが好ましい。すなわち、緩衝層(B)は、光安定剤を、組成物(B−1)の総乾燥重量に対して3重量%以上含むことが好ましい。一方、光安定剤の含有量の上限については、光安定剤が組成物(B−1)中に適切に分散し且つ防曇性を損ねない限り特に限定はないものの、組成物(B−1)の総乾燥重量に対して4重量%以下であることが好ましい。
緩衝層(B)の構成
本発明において、緩衝層(B)は、上記多官能モノマー(b1)、上記無機粒子(b2)およびオプショナルの上記界面活性剤(b3)を含む組成物(B−1)を硬化させることにより得ることができる。すなわち、緩衝層(B)は、組成物(B−1)の硬化物である。
本発明における緩衝層(B)の形状は、板状でも膜状でもよい。ただ、本発明において、緩衝層(B)が十分に高い硬度および十分な耐擦傷性を発揮できるよう、緩衝層(B)の厚さは1μm以上であることが好ましく、1.8μm以上であることがより好ましい。
一方、緩衝層(B)の厚さの上限は、本発明の積層体の機能を損ねない限り特に限定はないものの、通常10μm以下であり、4μm以下であることが好ましい。
なお、緩衝層(B)を形成する際の具体的な条件等は、後記「積層体の製造方法」の項で後述する。
<基材>
本発明の積層体において用いられる基材としては、例えば、ガラス、シリカ、金属、金属酸化物等の無機材料からなる基材、ポリメチルメタクリレート(PMMA)、ポリカーボネート、ポリアリルカーボネート、ポリエチレンテレフタレート、ポリアセチルセルロース(TAC)、アクリロニトリル・ブタジエン・スチレン共重合体(ABS)、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリウレタン樹脂、エポキシ樹脂、ポリ(メタ)アクリレート樹脂、塩化ビニル樹脂、シリコーン樹脂、紙、パルプ等の有機材料からなる基材、不飽和ポリエステル樹脂と炭酸カルシウムなどの充填材とガラス繊維などを複合したSMCおよびBMCなどの有機無機基材、並びにこれらの無機材料、有機材料、さらには有機無機複合材料からなる基材の表面に塗装が施された、塗料硬化物層を有する基材等が挙げられる。
また、これら基材表面は必要に応じて、基材表面を活性化することを目的に、コロナ処理、オゾン処理、酸素ガスもしくは窒素ガス等を用いた低温プラズマ処理、グロー放電処理、化学薬品等による酸化処理、火炎処理等の物理的または化学的処理を施すこともできる。またこれら処理に替えてあるいはこれら処理に加えてプライマー処理、アンダーコート処理、アンカーコート処理を施してもよい。
上記プライマー処理、アンダーコート処理、アンカーコート処理に用いるコート剤としては、例えば、ポリエステル系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリウレタン系樹脂、エポキシ樹脂、フェノール系樹脂、(メタ)アクリル系樹脂、ポリ酢酸ビニル系樹脂、ポリエチレンおよびポリプロピレン等のポリオレフィン系樹脂またはその共重合体ないし変性樹脂、セルロース系樹脂等の樹脂をビヒクルの主成分とするコート剤を用いることができる。ここで用いられるコート剤は、本発明が属する分野において通常用いられる従来公知のものであっても良く、コート剤の塗布も、公知の塗装方法により行うことができる。基材へのコート剤の塗布量は、乾燥状態で、通常0.5μm〜10μmである。
<積層体の構成>
上述した通り、本発明に係る積層体は、上記基材と、上記貯蔵層(A)と、上記緩衝層(B)とをこの順で含んでいる。ここで、本発明に係る積層体に含まれる上記貯蔵層(A)および上記緩衝層(B)は、それぞれ、1層のみであってもよく、あるいは、2層以上であってもよいが、当該貯蔵層(A)と、当該緩衝層(B)とは互いに直に接している必要がある。
本発明の積層体において、上記緩衝層(B)の厚さに対する上記貯蔵層(A)の厚さの比(膜厚比)は、水洗後における防曇性および親水性を十分に高く確保する観点からは、一定以上であることが好ましく、具体的には、通常1.3以上、好ましくは1.5以上、さらに好ましくは1.7以上である。一方、前記膜厚比の上限については、本発明を実用上適切に実施できる限り特に限定はないものの、通常15以下、好ましくは5以下、さらに好ましくは3.5以下である。本発明の典型的な態様において、前記膜厚比は、通常1.3〜15、好ましくは1.5〜5、さらに好ましくは1.7〜3.5の範囲にある。前記膜厚比がこのような範囲内にあると、本発明の積層体は水洗後においても高い防曇性および高い親水性を有利に維持できる傾向にあり、好ましい。
ここで、本発明における好ましい態様の1つでは、この積層体は、上記基材と、上記貯蔵層(A)と、上記緩衝層(B)とのみからなる。しかし、本発明の積層体は、これらの態様のものに限られるものではなく、上記基材、上記貯蔵層(A)および上記緩衝層(B)に加えて、上記基材、上記貯蔵層(A)および上記緩衝層(B)のいずれでもないその他の層を更に有していてもよい。
その他の層
本発明の積層体は、上記基材、上記貯蔵層(A)および上記緩衝層(B)に加えて、上記基材、上記貯蔵層(A)および上記緩衝層(B)のいずれでもないその他の層(以下、「その他の層」)を更に有していてもよい。
このような「その他の層」として、プライマー層、ハードコート層、粘着層、などが挙げられる。
ここで、プライマー層は、接着剤(プライマー)からなる層であり、この層を挟むように位置する2つの層の間の接着性を向上させるために採用されることがある。例えば、基材が、ポリジエチレングリコールジアリルカーボネート、ポリジアリルカーボネートなどの場合には、上記基材と、上記貯槽層(A)との間にプライマー層を存在させることもある。さらにプライマー層を存在させた際は、上記貯蔵層(A)に含まれる界面活性剤(a3)が上記プライマーに侵入することを防ぐ目的で、上記貯蔵層(A)を2層にすることもある。この場合、上記貯蔵層(A)を、上記「貯蔵層(A0)」と上記「貯蔵層(A1)」との2層構成とし、そのうちの「貯蔵層(A0)」を保護層(P)とすることになる。
また、ハードコート層は、従来技術においてハードコート層として供される層と同様の層であり、硬度向上を目的として形成されうる。本発明の積層体は、ハードコート層を、上記基材の直上に有していてもよい。
また、本発明の積層体は、ほかの物体への貼り付けが可能となるよう、上記基材の、上記貯蔵層(A)および上記緩衝層(B)を有する側とは反対側に粘着層を有していてもよい。
これらの層についての、形成方法を含めた詳細な説明は、下記「積層体の製造方法」で後述する。
本発明の積層体が「その他の層」を含む場合の具体的な例示態様について触れると、例えば、本発明の好適な態様の1つでは、本発明の積層体は、上記基材と、プライマー層と、上記貯蔵層(A)と、上記緩衝層(B)とをこの順で含んでいる。
<積層体の製造方法>
本発明の積層体の典型的な製造方法を以下に記載する。
本発明の積層体の製造方法は、
(S1):前記基材を含む層の少なくとも一方の面に対して、
前記多官能モノマー(a1)、
前記無機粒子(a2)、
前記界面活性剤(a3)、および
溶媒(a4)
を含む組成物(A−1a)の塗布物層(A2)を設ける工程、
(S2):前記工程(S1)で得られた塗布物層(A2)から前記溶媒(a4)を除去する工程、
(S3):前記工程(S2)の後に、塗布物層(A2)の硬化を行い、当該塗布物層(A2)を硬化物層(A2')に変換する工程、
(S4):前記工程(S3)の後に、前記硬化物層(A2')上に、
前記多官能モノマー(b1)、
前記無機粒子(b2)、および
溶媒(b4)
を含む組成物(B−1a)の塗布物層(B2)を設ける工程、
(S5):前記工程(S4)で得られた塗布物層(B2)から前記溶媒(b4)を除去する工程、および
(S6):前記工程(S5)の後に、塗布物層(B2)の硬化を行い、当該塗布物層(B2)を硬化物層(B2')に変換する工程、
を含む。
工程(S1)
本発明の製造方法において、工程(S1)は、前記基材を含む層の少なくとも一方の面に対して、
前記多官能モノマー(a1)、
前記無機粒子(a2)、
前記界面活性剤(a3)、および
溶媒(a4)
を含む組成物(A−1a)の塗布物層(A2)を設ける工程である。
ここで、「多官能モノマー(a1)」、「無機粒子(a2)」および「界面活性剤(a3)」として、それぞれ、上記「貯蔵層(A)」の項で上述した「多官能モノマー(a1)」、「無機粒子(a2)」、および、「界面活性剤(a3)」がそれぞれ用いられ、それぞれの配合量も、上記「貯蔵層(A)」の項で上述した量とすることができる。また、「基材」として、上記「基材」の項で上述した基材が用いられる。
一方、「溶媒(a4)」は、それ自体では上記貯蔵層(A)の必須成分でなく、したがって、組成物(A−1)の必須成分でもない。しかし、本発明の典型的な態様において、上記貯蔵層(A)を製造する際に、上記組成物(A−1)を塗布する工程が行われる。したがって、上記組成物(A−1)が塗布に適した形態となるよう、溶媒(a4)が用いられるのである。ここで、本明細書において、上記組成物(A−1)のうち溶媒(a4)を含むものを「組成物(A−1a)」と呼ぶことにする。
溶媒(a4)は、種類は限定されないが、硬化して貯蔵層(A)を形成する組成物(A−1a)の各成分が分離しない溶媒が好ましい。例えば、メタノール、エタノール、n−プロパノール、イソプロパノール、n−ブタノール、イソブタノール、t−ブタノール、n−ペンタノール、イソペンタノール、n−ヘキサノール、n−オクタノール、2−エチル−ヘキサノール、2−メトキシエタノール、2−エトキシエタノール、2−n−プロポキシエタノール、2−イソプロポキシエタノール、2−ブトキシエタノール、1−メトキシ−2−プロパノール、1−エトキシ−2−プロパノール、1−n−プロポキシ−2−プロパノール、1−イソプロポキシ−2−プロパノール、シクロヘキサノール等のアルコール類、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサン等のエーテル類、アセトニトリル等のニトリル類、酢酸エチル、酢酸−n−プロピル、酢酸−n−ブチル等のエステル類、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等のケトン類、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド等のアミド類、および水が挙げられる。組成物(A−1a)を構成する溶媒(a4)としては、これら中では、アルコール類、ケトン類、およびアルコール類とケトン類の混合溶媒が好ましい。これらの溶媒は1種単独であっても良く、2種以上を組み合わせて用いても良い。
ここで、組成物(A−1a)は、上記多官能モノマー(a1)、上記無機粒子(a2)、上記界面活性剤(a3)、および上記溶媒(a4)等を混合することにより得ることができる。このとき、上記溶媒(a4)は、上記多官能モノマー(a1)、上記無機粒子(a2)、および上記界面活性剤(a3)等とは別個に加えられても良く、あるいは、上記多官能モノマー(a1)、上記無機粒子(a2)、および上記界面活性剤(a3)等のうちの1以上とともに加えられても良い。例えば、上記無機粒子(a2)がゾルまたはスラリーの形態で用いられる場合において、当該ゾルまたはスラリーを構成する溶媒が、上記溶媒(a4)を構成することになっても良い。また、上記界面活性剤(a3)等が溶液の形で用いられる場合において、当該溶液を構成する溶媒が、上記溶媒(a4)を構成することになっても良い。
また、組成物(A−1a)には、後述する工程(S3)に備えて、上記多官能モノマー(a1)、上記無機粒子(a2)、上記界面活性剤(a3)、および上記溶媒(a4)に加えて、従来公知の光重合開始剤または熱重合開始剤が適宜添加されていても良い。
ここで、上記組成物(A−1a)に添加することのできる光重合開始剤としては、光ラジカル重合開始剤、光カチオン重合開始剤、および光アニオン重合開始剤等が挙げられるが、これら光重合開始剤の中でも、光ラジカル重合開始剤が好ましい。
上記光ラジカル重合開始剤としては、公知の光ラジカル重合開始剤が使用可能であり、例えば、イルガキュアー127(チバ・スペシャリティー・ケミカルズ社製)、イルガキュアー184(チバ・スペシャリティー・ケミカルズ社製)、ダロキュアー1173(チバ・スペシャリティー・ケミカルズ社製)、イルガキュアー500(チバ・スペシャリティー・ケミカルズ社製)、イルガキュアー819(チバ・スペシャリティー・ケミカルズ社製)、ダロキュアーTPO(チバ・スペシャリティー・ケミカルズ社製)、エサキュアーONE(ランベルティー社製)、エサキュアーKIP100F(ランベルティー社製)、エサキュアーKT37(ランベルティー社製)およびエサキュアーKTO46(ランベルティー社製)等が挙げられる。
一方、光カチオン重合開始剤、および光アニオン重合開始剤についても、同様に、公知の光カチオン重合開始剤および公知の光アニオン重合開始剤を用いることができる。
また上記光重合開始剤を使用する場合には、光重合促進剤を併用してもよい。光重合促進剤としては、例えば、2,2−ビス(2−クロロフェニル)−4,5'−テトラフェニル−2'H−<1,2'>ビイミダゾルイル、トリス(4−ジメチルアミノフェニル)メタン、4,4'−ビス(ジメチルアミノ)ベンゾフェノン、2−エチルアントラキノン、カンファーキノン等が挙げられる。
一方、組成物(A−1a)に添加することのできる熱重合開始剤としては、公知の熱重合開始剤が使用可能である。熱重合開始剤の例として、ケトンパーオキサイド類、ジアシルパーオキサイド類、ジアルキルパーオキサイド類、パーオキシケタール類、アルキルパーエステル類、パーカボネート類等が挙げられる。
上記光重合開始剤、光重合促進剤、および熱重合開始剤の使用量は、組成物(A−1a)の総乾燥重量に対して通常は1〜5重量%、好ましくは2〜3重量%である。
貯蔵層(A)を塗布により形成する際、貯蔵層(A)の厚さは、組成物(A−1a)に含有される溶媒(a4)の量を加減することにより調整することができる。ここで、上記「貯蔵層(A)の構成」で上述したように、貯蔵層(A)の厚さが薄すぎると、積層体を水洗した後に十分な防曇性が発揮できない場合がある。したがって、組成物(A−1a)100重量部あたりに占める当該組成物(A−1a)の総乾燥重量は、得られる貯蔵層(A)が十分な厚さを有することができるよう、通常46重量部以上であり、55重量部以上であることが好ましい。一方、組成物(A−1a)100重量部あたりに占める当該組成物(A−1a)の総乾燥重量は、100重量部未満であるところ、塗布に必要な流動性が得られるよう、65重量部以下であることが好ましい。
なお、組成物(A−1a)の総乾燥重量とは、例えば、組成物(A−1a)が、上記多官能モノマー(a1)、上記無機粒子(a2)と第1の溶媒とからなる無機粒子ゾル、上記界面活性剤(a3)、上記光重合開始剤、および、第2の溶媒からなる場合、当該多官能モノマー(a1)と当該無機粒子(a2)と当該界面活性剤(a3)と当該光重合開始剤との合計の重量を指す。
上記基材への組成物(A−1a)の塗布は、従来公知の方法により適宜行うことができる。そのような塗布方法の例として、スピンコート法、ディップコート法、スプレーコート法、流し塗り法、刷毛塗り法、グラビアコート法、リバースロールコート法、ナイフコート法、キスコート法などが挙げられる。この塗布により、組成物(A−1a)の塗布物層(A2)が得られる。
ここで、工程(S1)に先立ち、密着性を向上させるために基材と上記貯蔵層(A)との間に接着剤(プライマー)を塗布して積層してもよいし、基材の表面をプラズマ処理、コロナ処理、およびポリシング等の表面処理を施しても良い。また、硬度向上を目的として、ハードコートされた材料を基材として用いても良いし、基材に公知の方法によりハードコート層を積層して、その上に上記貯蔵層(A)および上記緩衝層(B)を形成しても良い。さらにその他の機能を付与する目的で、基材と貯蔵層(A)との間に上記以外の物質を積層してもよい。さらに、例えば、最外層の表面エネルギーを制御する目的で最外層の緩衝層(B)に表面処理を行ったり、最外層の緩衝層(B)と反応性を有する化合物等でグラフト処理を施してもよい。
ハードコート付のプラスチック製基材の場合、最初にその表面を研磨剤で磨き、洗浄乾燥後にコロナ処理等の表面処理を施して濡れ性を向上する。次いでハードコート層と貯蔵層(A)との接着性を向上させるために公知のプライマーを公知の塗布方法(スピンコート、ディップコート、スプレーコート、流し塗り、刷毛塗り等)で塗装し、乾燥後、上記組成物(A−1a)を上記と同様に塗布することにより塗布物層(A2)を形成することができる。
いずれにしても、この工程(S1)により、基材と上記塗布物層(A2)とを有する前駆積層体(PL1)が得られる。この前駆積層体(PL1)は、次述する工程(S2)に供される。
工程(S2)
工程(S2)は、前記工程(S1)で得られた塗布物層(A2)から前記溶媒(a4)を除去する工程である。
基材への組成物(A−1a)の塗布後、重合硬化直前に残存する溶媒については、残存量が多いと基材との密着性が低下する傾向にある。このため組成物(A−1a)中の残存溶媒は少ない方が好ましい傾向にある。したがって、重合硬化に先立ち、塗布物層(A2)から前記溶媒(a4)を除去するのである。
この工程(S2)は、前記工程(S1)によって得られた前駆積層体(PL1)を自然乾燥させることによって行ってもよく、あるいは、前記工程(S1)によって得られた前駆積層体(PL1)を加熱することによって行ってもよい。
工程(S3)
工程(S3)は、前記工程(S2)の後に、塗布物層(A2)の硬化を行う工程である。
塗布物層(A2)の硬化は、典型的には、放射線照射または加熱によって行うことができる。
ここで、放射線照射、例えば、紫外線(UV)照射により、組成物(A−1a)を重合硬化させる場合には、塗布物層(A2)として、通常、光重合開始剤を含むものを用いる。この場合、上記工程(S1)で製造する組成物(A−1a)には、前述した光重合開始剤を添加しておくことになる。
放射線を用いて上記組成物(A−1a)を重合する場合、放射線としては波長領域が0.0001〜800nm範囲のエネルギー線を用いることができる。上記放射線は、α線、β線、γ線、X線、電子線、紫外線、可視光等に分類されており、上記組成物(A−1a)の組成に応じて適宜選択して使用できる。これら放射線の中でも紫外線が好ましく、紫外線の出力ピークは、好ましくは200〜450nmの範囲、より好ましくは230〜445nmの範囲、さらに好ましくは240〜430nm範囲、特に好ましくは250〜400nmの範囲である。上記出力ピークの範囲の紫外線を用いた場合には、重合時の黄変及び熱変形等の不具合が少なく、且つ紫外線吸収剤を添加した場合も比較的に短時間で重合を完結できる。放射線の照射時間は、適宜設定することができる。
熱によって重合する場合、塗布物層(A2)として、通常、有機過酸化物等の熱重合開始剤を含むものを用いる。この場合、上記工程(S1)で製造する組成物(A−1a)には、前述した熱重合開始剤を添加しておくことになる。
熱によって上記組成物(A−1a)を重合する場合、室温から150℃以下の範囲で加熱する。この場合の加熱時間は、適宜設定することができる。
上記重合は大気下で行うこともできるが、窒素等の不活性ガス雰囲気下で行った場合は重合時間を短縮できる点で好ましい。
以上のような放射線照射または加熱により、塗布物層(A2)に含まれる多官能モノマー(a1)等の重合反応が進行し、対応する重合体に変換される。その結果、塗布物層(A2)は、このような重合体を含む硬化物層(A2')に変換されることになる。言い換えると、この工程(S3)により、基材と硬化物層(A2')とを有する前駆積層体(PL3)が得られる。この前駆積層体(PL3)は、次述する工程(S4)に供される。
工程(S4)
工程(S4)は、前記工程(S3)の後に、前記硬化物層(A2')上に、
前記多官能モノマー(b1)、
前記無機粒子(b2)、および
溶媒(b4)
を含む組成物(B−1a)の塗布物層(B2)を設ける工程である。
ここで、「多官能モノマー(b1)」および「無機粒子(b2)」として、それぞれ、上記「緩衝層(B)」の項で上述した「多官能モノマー(b1)」および「無機粒子(b2)」がそれぞれ用いられる。
組成物(B−1a)には、上記「緩衝層(B)」の項で上述した「界面活性剤(b3)」を含んでいても含まなくても良い。ただ、組成物(B−1a)が界面活性剤(b3)を含む場合、組成物(B−1)の総乾燥重量に対する界面活性剤(b3)の含有重量は、前記組成物(A−1)の総乾燥重量に対する前記界面活性剤(a3)の含有重量よりも少なくする。また、組成物(B−1a)には、上記「緩衝層(B)」の項で上述した「その他の界面活性剤」、「アニオン性親水基含有モノマー」、「光安定剤」のうちの1以上をさらに含んでいても良い。
「多官能モノマー(b1)」、「無機粒子(b2)」、およびオプショナルの「界面活性剤(b3)」のそれぞれの配合量も、上記「緩衝層(B)」の項で上述した量とすることができる。
一方、「溶媒(b4)」は、それ自体では上記緩衝層(B)の必須成分でなく、したがって、組成物(B−1)の必須成分でもない。しかし、本発明の典型的な態様において、上記緩衝層(B)を製造する際に、上記組成物(B−1)を塗布する工程が行われる。したがって、上記組成物(B−1)が塗布に適した形態となるよう、溶媒(b4)が用いられるのである。ここで、本明細書において、上記組成物(B−1)のうち溶媒(b4)を含むものを「組成物(B−1a)」と呼ぶことにする。
溶媒(b4)は、種類は限定されないが、硬化して緩衝層(B)を形成する組成物(B−1a)の各成分が分離しない溶媒が好ましい。そのような溶媒(b4)の具体例として、上記溶媒(a1)について上記に列挙したものと同様の溶媒を挙げることができる。溶媒(b4)は、上記溶媒(a4)と同一であっても良く、あるいは、互いに異なっていても良い。
ここで、組成物(B−1a)は、上記多官能モノマー(b1)、上記無機粒子(b2)、および上記溶媒(b4)等を混合することにより得ることができる。このとき、上記溶媒(b4)は、上記多官能モノマー(b1)および上記無機粒子(b2)等とは別個に加えられても良く、あるいは、上記多官能モノマー(b1)および上記無機粒子(b2)等のうちの1以上とともに加えられても良い。例えば、上記無機粒子(b2)がゾルまたはスラリーの形態で用いられる場合において、当該ゾルまたはスラリーを構成する溶媒が、上記溶媒(b4)を構成することになっても良い。また、組成物(B−1a)に上記界面活性剤(b3)等が溶液の形で用いられる場合において、当該溶液を構成する溶媒が、上記溶媒(b4)を構成することになっても良い。
また、組成物(B−1a)には、後述する工程(S6)に備えて、上記多官能モノマー(b1)、上記無機粒子(b2)、上記溶媒(b4)等に加えて、従来公知の光重合開始剤または熱重合開始剤が適宜添加されていても良い。上記組成物(B−1a)に添加することのできる光重合開始剤および熱重合開始剤としては、上記組成物(A−1a)に添加することのできる光重合開始剤および熱重合開始剤とそれぞれ同様とすることができる。
上記光重合開始剤、光重合促進剤、および熱重合開始剤の使用量は、組成物(B−1a)の総乾燥重量に対して通常は1〜10重量%、好ましくは3〜6重量%である。
緩衝層(B)を塗布により形成する際、緩衝層(B)の厚さは、組成物(B−1a)に含有される溶媒(b4)の量を加減することにより調整することができる。組成物(B−1a)100重量部あたりに占める当該組成物(B−1a)の総乾燥重量は、得られる緩衝層(B)が十分な強度等を有するに必要な厚さを有することができるよう、35重量部以上であることが好ましく、37.5重量部以上であることがより好ましい。一方、組成物(B−1a)100重量部あたりに占める当該組成物(B−1a)の総乾燥重量は、100重量部未満であるところ、塗布に必要な流動性が得られるよう、50重量部以下であることが好ましい。
なお、組成物(B−1a)の総乾燥重量とは、例えば、組成物(B−1a)が、上記多官能モノマー(b1)、上記無機粒子(b2)と第1の溶媒とからなる無機粒子ゾル、上記界面活性剤(b3)と第2の溶媒とからなる分散液、上記その他の界面活性剤と第3の溶媒とからなる分散液、上記アニオン性親水基含有モノマーと第4の溶媒とからなる分散液、上記光安定剤、上記光重合開始剤、および、第5の溶媒からなる場合、当該多官能モノマー(b1)と当該無機粒子(b2)と当該界面活性剤(b3)と当該その他の界面活性剤と当該アニオン性親水基含有モノマーと当該光安定剤と当該光重合開始剤との合計の重量を指す。
前記硬化物層(A2')への組成物(B−1a)の塗布は、上記工程(S1)で上述した組成物(A−1a)の塗布と同様に行うことができる。
この工程(S4)により、基材と硬化物層(A2')と塗布物層(B2)とをこの順で有する前駆積層体(PL4)が得られる。この前駆積層体(PL4)は、次述する工程(S5)に供される。
工程(S5)
工程(S5)は、前記工程(S4)で得られた塗布物層(B2)から前記溶媒(b4)を除去する工程である。
この工程(S5)は、上記工程(S2)と同様、前記工程(S4)によって得られた前駆積層体(PL4)を自然乾燥させることによって行ってもよく、あるいは、前記工程(S4)によって得られた前駆積層体(PL4)を加熱することによって行ってもよい。ただ、この工程(S5)において、前駆積層体(PL4)を50〜90℃で加熱しておくと、すなわち、工程(S5)を50〜90℃での加熱下で行うと、上記多官能モノマー(b1)に対する上記無機粒子(b2)の量が少なくても、工程(S6)の後に十分に高い硬度を有する積層体を得ることができるので好ましい。これは、おそらく、当該加熱を行うことにより、引き続く工程(S6)における硬化の際に、架橋状態がより密になるからと推測している。また、この加熱を行うと、組成物(B−1)の総乾燥重量に対する前記多官能モノマー(b1)の含有重量が、前記組成物(A−1)の総乾燥重量に対する前記多官能モノマー(a1)の含有重量よりも少ない状況下でも、工程(S6)の後に硬化物層(B2')の形で得られる緩衝層(B)の架橋度をより高めることができ、有利である。
この工程(S5)で上記加熱を行う場合の加熱時間は、通常3〜20分である。
工程(S6)
工程(S6)は、前記工程(S5)の後に、塗布物層(B2)の硬化を行い、当該塗布物層(B2)を硬化物層(B2')に変換する工程である。
ここで、放射線照射、例えば、紫外線(UV)照射により、組成物(B−1a)を重合硬化させる場合には、塗布物層(B2)として、通常、光重合開始剤を含むものを用いる。この場合、上記工程(S4)で製造する組成物(B−1a)には、前述した光重合開始剤を添加しておくことになる。
放射線を用いて上記組成物(B−1a)を重合する場合、放射線の波長および照射時間は、上記工程(S4)と同様とすることができる。
熱によって重合する場合、塗布物層(B2)として、通常、有機過酸化物等の熱重合開始剤を含むものを用いる。この場合、上記工程(S4)で製造する組成物(B−1a)には、前述した熱重合開始剤を添加しておくことになる。
熱によって上記組成物(B−1a)を重合する場合、加熱の温度および加熱時間は、上記工程(S4)と同様とすることができる。
以上のような放射線照射または加熱により、塗布物層(B2)に含まれる多官能モノマー(b1)等の重合反応が進行し、対応する重合体に変換される。その結果、塗布物層(B2)は、このような重合体を含む硬化物層(B2')に変換されることになる。言い換えると、この工程(S6)により、基材と硬化物層(A2')と硬化物層(B2')とをこの順で有する積層体が得られる。
以上の工程(S1)〜(S6)により、本発明の積層体を得ることができる。ここで、前記硬化物層(A2')および前記硬化物層(B2')は、それぞれ、上記貯蔵層(A)および上記緩衝層(B)に相当することになる。
また、基材がフィルムの場合には、例えば、上記貯蔵層(A)および上記緩衝層(B)を形成しない面に、後述の粘着層を設けることもできるし、さらに粘着層の表面に剥離フィルムを設けることもできる。基材フィルムの他の片面に粘着層を積層しておくと、本発明の積層体を有する積層フィルムを防曇フィルムおよび防汚フィルムとして、車両及び建物のガラス;浴室等の鏡;ディスプレイ、テレビ等の表示材料表面;看板、広告、案内板等の情報板;鉄道、道路等の標識;並びに、建物の外壁および窓ガラス等に容易に貼付できる。
粘着層に用いる粘着剤は特に制限はなく、公知の粘着剤を用いることができる。粘着剤としては、例えば、アクリル系粘着剤、ゴム系粘着剤、ビニルエーテルポリマー系粘着剤、およびシリコーン粘着剤等が挙げられる。粘着層の厚さは通常2〜50μmの範囲、好ましくは5〜30μmの範囲である。
また、上記の組成物(A−1a)および/または組成物(B−1a)を種々の形状の鋳型内で重合させることにより、種々の形状を有する架橋樹脂、例えば積層体、成形体などを得ることもできる。
本発明で得られる積層体および該積層体を含む積層体は、防曇材料、防汚材料、速乾燥性材料、結露防止材料、帯電防止材料等として好適に使用できる。このような本発明の積層体は、光学フィルム、光ディスク、光学レンズ、眼鏡レンズ、メガネ、サングラス、ゴーグル、ヘルメットシールド、ヘッドランプ、テールランプ、車両や建物の窓ガラス等の光学物品及びその材料を始めとして、種々の用途に適用することができる。
また、近年広く車両に搭載されるようになった車載カメラによる画像認識システムにおいても、本発明の積層体を適用することができる。本発明の積層体は、具体的には、車両の窓ガラスや車載カメラのカメラレンズの形とすることができる。本発明の積層体に該当する窓ガラスおよびカメラレンズは、通常の窓ガラスおよび通常のカメラレンズを基材として、それらの表面に上記貯蔵層(A)および上記緩衝層(B)を直接形成させることにより、それぞれ得ることができる。また、本発明の積層体に該当する窓ガラスおよびカメラレンズは、通常の窓ガラスおよび通常のカメラレンズの表面に、フィルム形状の本発明の積層体を貼付けることによっても、それぞれ得ることができる。つまり、本発明によれば、車載カメラによる画像認識システムを搭載する車両であって、(i) 上記貯蔵層(A)および上記緩衝層(B)を有する窓ガラスを含むか、(ii) 前記車載カメラとして、上記貯蔵層(A)および上記緩衝層(B)を有するカメラレンズを有するカメラを含むか、あるいは、(iii) 前記(i)および(ii)の両方を満たす、車両が提供されることになる。このような車両においては、低温高湿下など、本発明の積層体を適用していない内窓が曇る様な状況下でも、前記窓ガラスおよび/または前記カメラレンズが曇りにくいことから、この車両に搭載された画像認識システムが画像を適切に認識できる様になる。
以下、実施例等により本発明をさらに詳細に説明するが、本発明がこれら実施例のみに限定されるものではない。
[サンプルの物性評価]
本発明においてサンプルの物性評価は、下記のようにして行った。
1.膜厚測定
分光測定により各層の膜厚を算出した。
具体的には、OPTOTECH社製膜厚測定装置 ETA−ARCを使用し、成膜サンプルの中央付近について分光反射率を測定し、フーリエ変換法にて各単層、又は2層積層状態の膜厚を算出した。
2.密着性
サンプルに対して、カッターを用い1mm間隔で縦横11本の基材表面まで到達するよう塗膜をカットし、その部分をニチバン製セロハン粘着テープCT405AP−18を使用してクロスカット法による密着性試験を行い、3回剥離試験実施後の膜剥離面積が100マス中どの程度の割合であるか目視検査を行った。その際、剥離せず膜が残存した部分の面積が90%を超えるときの評価を「○」、50%から90%のときの評価を「△」、50%を下回るときの評価を「×」とした。
3.耐擦傷性試験
スチールウール#0000番を使用し、このスチールウールの上にサンプルを載せ、さらにこのサンプルの真上に300g又は1kgの重りを載せて荷重を掛けた。この状態で、このサンプルをスチールウール上で10回往復運動させた。この往復運動は、往復摩擦試験機 Type :30s (新東科学株式会社製)を用いて行った。この往復運動をすることでコート膜表面についた傷を目視で評価、5段階のランク付けを行った。
キズのランクは以下の通り。
ランク1: スチールウールの幅全体に傷が入り、コート膜が全面的に剥がれている状態。
ランク2: スチールウールの幅全体に深い傷が入っているが、コート膜は残っている状態。
ランク3: 太い傷が数本から十本入った状態。
ランク4: 薄い傷が数本から十本入った状態。
ランク5: 視認できる傷がほとんど無い状態。
ここで、「3.5」および「4.5」のように小数で表されているランクは、それぞれ、ランク3とランク4との間の評価、および、ランク4とランク5との間の評価を表す。
4.呼気防曇性
サンプル表面に呼気を数秒吹きかけて、当該サンプル表面に生じる曇りの有無を確認した。ここで、呼気の吹きかけを行ってもサンプル表面に曇りが生じなかったときの評価を「○」とし、呼気の吹きかけを行ったときにサンプル表面に曇りが生じたときの評価を「×」とした。テストは22℃室温下で1時間放置したものを、同温度下で実施した。
なお、下記の各実施例及び各比較例において、「初期 呼気防曇性」とは、後述する「水洗後の評価」を行う前のサンプルについての呼気防曇性を指す。
5.水接触角
純水の接触角を接触角計で測定した。測定は、1サンプルについて3箇所行い、これらの値の平均値を水接触角の値とした。ここで、水接触角の値として、着滴してから22秒後の接触角を表記する。
測定に用いた接触角計として、協和界面科学の接触角計DropMaster Model DMs-401を使用した。
なお、下記の各実施例及び各比較例において、「初期 水接触角」とは、後述する「水洗後の評価」を行う前のサンプルについての水接触角を指す。
6.50℃蒸気防曇性
ビーカー内に純水を入れ、この純水を50℃に加温しながら当該ビーカー上部に被評価サンプルを載せて60秒間保持し、その後、そのままの状態で被評価サンプルを上から目視することによって観察した。この被評価サンプルとして、事前に22℃で1時間以上静置したものを使用した。この保持を開始してから60秒以内に、サンプルが曇るか或いは像が歪んだ状態に至ったときの評価を「×」とし、そうでないときの評価を「○」とした。
7.水洗後の評価
サンプル表面を、流水中、クレシアテクノワイプC100−S(日本製紙クレシア株式会社性)で擦りながら5秒間洗浄し、エアーブローで乾燥後2時間室温下で放置するというサイクルを繰り返し、1回目、3回目、および5回目のサイクル後に、上記呼気防曇性および接触角の測定を行った。これに基づき、水洗の繰り返し回数による、呼気防曇性の評価および接触角についての変化を評価することによって、防曇耐久性の評価とした。
なお、3回目および5回目のサイクル後において、呼気防曇性および接触角につき評価「−」とあるのは、呼気防曇性および/または接触角の測定を行わなかったことを示す。
8.耐光性試験
サンプルに対し、温度40℃湿度60%の環境下で光照射を行い、耐光試験を実施した。ここで、光源として、スガ試験機のキセノンウェザー試験機を使用し、照射強度を75W/m2とした。光照射を開始してから、サンプルに外観上のクラックまたは剥がれが生じるまでの照射時間(以下、「耐久時間」)を測定し、この耐久時間を以て耐光性を評価した。
[合成例A1] <貯蔵層形成用組成物A1の調製>
常温常圧環境下において、ガラス製スクリュー管瓶に第一工業製薬製の界面活性剤ハイテノール08E(ポリオキシエチレンオレイルセチルエーテル硫酸塩)を1.0重量部計り取り、次に日産化学工業製オルガノシリカゾルPGM−AC−2140Y(プロピレングリコールモノメチルエーテル分散シリカゾルの表面改質グレード:シリカ粒子含有率42%;粒子径10〜15nm)を66.5重量部添加した。さらに溶媒としてメチルイソブチルケトン3.3重量部添加し、マグネットスターラーと撹拌子で、ハイテノール08Eが完全に溶解するまで撹拌した。次に新中村化学工業製アクリレートのNKエステルA−600(ポリエチレングリコール#600ジアクリレート)を27.9重量部添加し相溶するまでよく撹拌した。次に光重合開始剤として、BASF製Irgacure127(2−ヒドロキシ−1−{4−[4−(2−ヒドロキシ−2−メチル−プロピオニル)−ベンジル]フェニル}−2−メチル−プロパン−1−オン)を1.3重量部添加し、完全に溶解するまで撹拌し、液状の組成物(以下、「貯蔵層形成用組成物A1」)を得た。
この貯蔵層形成用組成物A1は、無機粒子としてアクリロイル基を含む官能基で修飾された無機粒子を、界面活性剤としてアニオン系界面活性剤を含む組成物に該当する。ここで、オルガノシリカゾルPGM−AC−2140Yは、アクリロイル基を含む官能基で修飾された無機粒子に該当する。
[合成例A2] <貯蔵層形成用組成物A2の調製>
界面活性剤としてハイテノール08Eの代わりに、第一工業製薬製の界面活性剤ノイゲンLP−80(ポリオキシアルキレンラウリルエーテル)を使用した以外は、合成例A1と同様に液状の組成物を調製し、貯蔵層形成用組成物A2とした。
この貯蔵層形成用組成物A2は、無機粒子としてアクリロイル基を含む官能基で修飾された無機粒子を、界面活性剤としてノニオン系界面活性剤を含む組成物に該当する。
[合成例A3] <貯蔵層形成用組成物A3の調製>
オルガノシリカゾルPGM−AC−2140Yの量を61.6重量部に、メチルイソブチルケトンの量を3.5重量部に、NKエステルA−600の量を32.4重量部に、Irgacure127の量を1.5重量部にそれぞれ変更した以外は、合成例A1と同様に液状の組成物を調製し、貯蔵層形成用組成物A3とした。
[合成例A4] <貯蔵層形成用組成物A4の調製>
界面活性剤ハイテノール08Eの量を1.1重量部に、オルガノシリカゾルPGM−AC−2140Yの量を55.2重量部に、メチルイソブチルケトンの量を3.2重量部に、NKエステルA−600の量を38.7重量部に、Irgacure127の量を1.8重量部にそれぞれ変更した以外は、合成例A1と同様に液状の組成物を調製し、貯蔵層形成用組成物A4とした。
[合成例A5] <貯蔵層形成用組成物A5の調製>
常温常圧環境下において、ガラス製スクリュー管瓶に第一工業製薬製の界面活性剤ハイテノール08Eを0.8重量部計り取り、次に日産化学工業製オルガノシリカゾルPGM−ST(プロピレングリコールモノメチルエーテル分散シリカゾル:シリカ粒子含有率30%;粒子径10〜15nm)を73.5重量部添加した。さらに溶媒としてメチルイソブチルケトン2.6重量部添加し、マグネットスターラーと撹拌子で、ハイテノール08Eが完全に溶解するまで撹拌した。次に新中村化学工業製アクリレートのNKエステルA−600を22.0重量部添加し相溶するまでよく撹拌した。次に光重合開始剤として、BASF製Irgacure127を1.1重量部添加し、完全に溶解するまで撹拌し、液状の組成物(以下、「貯蔵層形成用組成物A5」)を得た。
この貯蔵層形成用組成物A5は、無機粒子として(メタ)アクリロイル基を含む官能基で修飾されていない無機粒子を、界面活性剤としてアニオン系界面活性剤を含む組成物に該当する。
[合成例A6] <貯蔵層形成用組成物A6の調製>
界面活性剤を添加しなかった以外は、合成例A1と同様に液状の組成物を調製し、貯蔵層形成用組成物A6とした。
この貯蔵層形成用組成物A6は、無機粒子としてアクリロイル基を含む官能基で修飾された無機粒子を含むが、界面活性剤は含まない組成物である。
[合成例A7] <貯蔵層形成用組成物A7の調製>
常温常圧環境下において、ガラス製スクリュー管瓶に第一工業製薬製の界面活性剤ハイテノール08Eを0.7重量部計り取り、次に日産化学工業製オルガノシリカゾルPGM−AC−2140Yを45.9重量部添加した。さらに溶媒としてメチルイソブチルケトン4.6重量部とプロピレングリコールモノメチルエーテル28.6重量部を添加し、マグネットスターラーと撹拌子で、ハイテノール08Eが完全に溶解するまで撹拌した。次に新中村化学工業製アクリレートのNKエステルA−600を19.3重量部添加し相溶するまでよく撹拌した。次に光重合開始剤として、BASF製Irgacure127を0.9重量部添加し、完全に溶解するまで撹拌し、液状の組成物(以下、「貯蔵層形成用組成物A7」)を得た。
合成例A1〜A7で得られた各貯蔵層形成用組成物の組成を、下記表1にまとめて示す。
ここで、下記表1に示す重量のうち括弧で囲った値は、計算によって求められた値であることを表している。
また、無機粒子(a2)の量につき「固形分量」とあるのは、無機粒子(a2)が対応するゾルの形態で用いられる場合において、そのゾルの重量のうちの含有溶媒以外の成分の重量を表す。また、「総乾燥重量」とは、組成物の合計重量から、「溶媒」の項に明記された溶媒の合計重量と「溶媒」以外の成分に含有されうる溶媒成分の合計重量との合計を差し引いてなる重量を表す。
Figure 2019221268
[合成例B1] <緩衝層形成用組成物B1の調製>
常温常圧環境下において、ガラス製スクリュー管瓶に日産化学工業製オルガノシリカゾルPGM−AC−2140Y(プロピレングリコールモノメチルエーテル分散シリカゾルの表面改質グレード:シリカ粒子含有率42%;粒子径10〜15nm)を60.6重量部計り取り、次に溶媒としてプロピレングリコールモノメチルエーテル19.5重量部添加し、更に新中村化学工業製アクリレートのNKエステルA−600(ポリエチレングリコール#600ジアクリレート)を11.7重量部添加し相溶するまでマグネットスターラーと撹拌子でよく撹拌した。次にプロピレングリコールモノメチルエーテルに分散した3−スルホプロピルアクリレートカリウム塩(SPA−K)分散液(SPA−K 30.0重量%・水9.0重量%・プロピレングリコールモノメチルエーテル61.0重量%)を3.4重量部添加し、完全に相溶するまでよく撹拌した。次にペレックスTR分散液(ペレックスTR(ジアルキルスルホコハク酸ナトリウム) 10.0重量%・プロピレングリコールモノメチルエーテル90.0重量%)を3.2重量部添加し、完全に相溶するまでよく撹拌した。次に光重合開始剤として、BASF製Irgacure127(2−ヒドロキシ−1−{4−[4−(2−ヒドロキシ−2−メチル−プロピオニル)−ベンジル]フェニル}−2−メチル−プロパン−1−オン)を1.6重量部添加し、完全に溶解するまで撹拌し、液状の組成物(以下、「緩衝層形成用組成物B1」)を得た。
この緩衝層形成用組成物B1は、無機粒子としてアクリロイル基を含む官能基で修飾された無機粒子を、界面活性剤としてアニオン系界面活性剤を含む組成物に該当する。
[合成例B2] <緩衝層形成用組成物B2の調製>
常温常圧環境下において、ガラス製スクリュー管瓶に日産化学工業製オルガノシリカゾルPGM−AC−2140Y(シリカ粒子含有率42%)を59.2重量部計り取り、次に溶媒としてプロピレングリコールモノメチルエーテル19.2重量部添加し、更に新中村化学工業製アクリレートのNKエステルA−600を11.4重量部添加し相溶するまでマグネットスターラーと撹拌子でよく撹拌した。次にプロピレングリコールモノメチルエーテルに分散したSPA−K分散液(SPA−K 30.0重量%・水9.0重量%・プロピレングリコールモノメチルエーテル61.0重量%)を3.3重量部添加し、完全に相溶するまでよく撹拌した。次にペレックスTR分散液(ペレックスTR 10.0重量%・プロピレングリコールモノメチルエーテル90.0重量%)を3.1重量部添加し、完全に相溶するまでよく撹拌した。次に、ハイテノール08E(ポリオキシエチレンオレイルセチルエーテル硫酸塩;第一工業製薬製) 10.0重量%とプロピレングリコールモノメチルエーテル90.0重量%とからなるハイテノール08E分散液を2.2重量部添加し、よく撹拌した。次に光重合開始剤として、BASF製Irgacure127を1.6重量部添加し、完全に溶解するまで撹拌し、液状の組成物(以下、「緩衝層形成用組成物B2」)を得た。
この緩衝層形成用組成物B2は、無機粒子としてアクリロイル基を含む官能基で修飾された無機粒子を、界面活性剤としてアニオン系界面活性剤を含む組成物に該当する。ただし、この緩衝層形成用組成物B2は、前記緩衝層形成用組成物B1とは異なり、界面活性剤として、ポリオキシエチレン構造を含むアニオン系界面活性剤をさらに含んでいる。
[合成例B3] <緩衝層形成用組成物B3の調製>
オルガノシリカゾルPGM−AC−2140Yの量を47.4重量部に、プロピレングリコールモノメチルエーテルの量を25.2重量部に、NKエステルA−600の量を15.3重量部に、SPA−K分散液の量を4.4重量部に、ペレックスTR分散液の量を4.1重量部に、ハイテノール08E分散液の量を1.9重量部に、Irgacure127の量を1.7重量部にそれぞれ変更した以外は合成例B2と同様に液状の組成物を調製し、緩衝層形成用組成物B3とした。
[合成例B4] <緩衝層形成用組成物B4の調製>
オルガノシリカゾルPGM−AC−2140Yの量を44.8重量部に、プロピレングリコールモノメチルエーテルの量を24.2重量部に、NKエステルA−600の量を17.3重量部に、SPA−K分散液の量を5.0重量部に、ペレックスTR分散液の量を4.7重量部に、ハイテノール08E分散液の量を2.1重量部に、Irgacure127の量を1.9重量部にそれぞれ変更した以外は合成例B2と同様に液状の組成物を調製し、緩衝層形成用組成物B4とした。
[合成例B5] <緩衝層形成用組成物B5の調製>
オルガノシリカゾルPGM−AC−2140Yの量を39.5重量部に、プロピレングリコールモノメチルエーテルの量を27.2重量部に、NKエステルA−600の量を19.0重量部に、SPA−K分散液の量を5.5重量部に、ペレックスTR分散液の量を4.3重量部に、ハイテノール08E分散液の量を2.4重量部に、Irgacure127の量を2.1重量部にそれぞれ変更した以外は合成例B2と同様に液状の組成物を調製し、緩衝層形成用組成物B5とした。
[合成例B6] <緩衝層形成用組成物B6の調製>
常温常圧環境下において、ガラス製スクリュー管瓶に日産化学工業製オルガノシリカゾルPGM−ST(プロピレングリコールモノメチルエーテル分散シリカゾル:シリカ粒子含有率30%;粒子径10〜15nm)を78.8重量部計り取り、次に新中村化学工業製アクリレートのNKエステルA−600を10.9重量部添加し相溶するまでマグネットスターラーと撹拌子でよく撹拌した。次にプロピレングリコールモノメチルエーテルに分散したSPA−K分散液(SPA−K 30.0重量%・水9.0重量%・プロピレングリコールモノメチルエーテル61.0重量%)を3.1重量部添加し、完全に相溶するまでよく撹拌した。次にペレックスTR分散液(ペレックスTR 10.0重量%・プロピレングリコールモノメチルエーテル90.0重量%)を3.6重量部添加し、完全に相溶するまでよく撹拌した。次にハイテノール08E分散液(ハイテノール08E 10.0重量%・プロピレングリコールモノメチルエーテル90.0重量%)を2.1重量部添加し、よく撹拌した。次に光重合開始剤として、BASF製Irgacure127を1.5重量部添加し、完全に溶解するまで撹拌し、液状の組成物(以下、「緩衝層形成用組成物B6」)を得た。
この緩衝層形成用組成物B6は、無機粒子として(メタ)アクリロイル基を含む官能基で修飾されていない無機粒子を、界面活性剤としてアニオン系界面活性剤を含む組成物に該当する。この緩衝層形成用組成物B6は、界面活性剤として、ポリオキシエチレン構造を含まないアニオン系界面活性剤に加えて、ポリオキシエチレン構造を含むアニオン系界面活性剤をさらに含んでいる。
[合成例B7] <緩衝層形成用組成物B7の調製>
常温常圧環境下において、ガラス製スクリュー管瓶に日産化学工業製オルガノシリカゾルPGM−AC−2140Y(シリカ粒子含有率42%)を38.7重量部計り取り、更にオルガノシリカゾルPGM−ST(シリカ粒子含有率30%)を13.5重量部計り取り、次に溶媒としてプロピレングリコールモノメチルエーテル19.4重量部添加し、更に新中村化学工業製アクリレートのNKエステルA−600を15.6重量部添加し相溶するまでマグネットスターラーと撹拌子でよく撹拌した。次にプロピレングリコールモノメチルエーテルに分散したSPA−K分散液(SPA−K 30.0重量%・水9.0重量%・プロピレングリコールモノメチルエーテル61.0重量%)を4.5重量部添加し、完全に相溶するまでよく撹拌した。次にペレックスTR分散液(ペレックスTR 10.0重量%・プロピレングリコールモノメチルエーテル90.0重量%)を4.2重量部添加し、完全に相溶するまでよく撹拌した。次にハイテノール08E分散液(ハイテノール08E 10.0重量%・プロピレングリコールモノメチルエーテル90.0重量%)を2.0重量部添加し、よく撹拌した。次に光重合開始剤として、BASF製Irgacure127を2.1重量部添加し、完全に溶解するまで撹拌し、液状の組成物(以下、「緩衝層形成用組成物B7」)を得た。
この緩衝層形成用組成物B7は、無機粒子として(メタ)アクリロイル基を含む官能基で修飾されていない無機粒子およびアクリロイル基を含む官能基で修飾された無機粒子を、界面活性剤としてアニオン系界面活性剤を含む組成物に該当する。この緩衝層形成用組成物B7は、界面活性剤として、ポリオキシエチレン構造を含まないアニオン系界面活性剤に加えて、ポリオキシエチレン構造を含むアニオン系界面活性剤をさらに含んでいる。
[合成例B8] <緩衝層形成用組成物B8の調製>
常温常圧環境下において、ガラス製スクリュー管瓶に日産化学工業製オルガノシリカゾルPGM−AC−2140Y(シリカ粒子含有率42%)を46.8重量部計り取り、次に溶媒としてプロピレングリコールモノメチルエーテル24.4重量部添加し、更に新中村化学工業製アクリレートのNKエステルA−600を15.1重量部添加し相溶するまでマグネットスターラーと撹拌子でよく撹拌した。次にプロピレングリコールモノメチルエーテルに分散したSPA−K分散液(SPA−K 30.0重量%・水9.0重量%・プロピレングリコールモノメチルエーテル61.0重量%)を4.4重量部添加し、完全に相溶するまでよく撹拌した。次にペレックスTR分散液(ペレックスTR 10.0重量%・プロピレングリコールモノメチルエーテル90.0重量%)を4.1重量部添加し、完全に相溶するまでよく撹拌した。次にハイテノール08E分散液(ハイテノール08E 10.0重量%・プロピレングリコールモノメチルエーテル90.0重量%)を2.0重量部添加し、よく撹拌した。次に光安定剤としてアデカ製アデカスタブLA−72を1.6重量部添加し撹拌した。次に光重合開始剤として、BASF製Irgacure127を1.6重量部添加し、完全に溶解するまで撹拌し、液状の組成物(以下、「緩衝層形成用組成物B8」)を得た。
この緩衝層形成用組成物B8は、無機粒子としてアクリロイル基を含む官能基で修飾された無機粒子を、界面活性剤としてアニオン系界面活性剤を含む組成物に該当する。この緩衝層形成用組成物B8は、界面活性剤として、ポリオキシエチレン構造を含まないアニオン系界面活性剤に加えて、ポリオキシエチレン構造を含むアニオン系界面活性剤をさらに含んでいる。また、この緩衝層形成用組成物B8は、光安定剤を含んでいる。
[合成例B9] <緩衝層形成用組成物B9の調製>
オルガノシリカゾルPGM−AC−2140Yの量を46.9重量部に、プロピレングリコールモノメチルエーテルの量を24.9重量部に、ハイテノール08E分散液の量を1.9重量部に、LA−72の量を1.2重量部にそれぞれ変更した以外は合成例B8と同様に液状の組成物を調製し、緩衝層形成用組成物B9とした。
[合成例B10] <緩衝層形成用組成物B10の調製>
オルガノシリカゾルPGM−AC−2140Yの量を47.1重量部に、プロピレングリコールモノメチルエーテルの量を25.0重量部に、ハイテノール08E分散液の量を1.9重量部に、LA−72の量を0.8重量部にそれぞれ変更した以外は合成例B8と同様に液状の組成物を調製し、緩衝層形成用組成物B10とした。
合成例B1〜B10で得られた各緩衝層形成用組成物の組成を、下記表2−1〜表2−2にまとめて示す。
ここで、無機粒子(b2)の量につき「固形分量」とあるのは、無機粒子(b2)が対応するゾルの形態で用いられる場合において、そのゾルの重量のうちの含有溶媒以外の成分の重量を表す。また、界面活性剤(b3)等の量につき「有効成分量」とあるのは、各分散液の重量のうちの含有溶媒以外の成分の重量を表す。また、「総乾燥重量」とは、組成物の合計重量から、「溶媒」の項に明記された溶媒の合計重量と「溶媒」以外の成分に含有されうる溶媒成分の合計重量との合計を差し引いてなる重量を表す。
Figure 2019221268
Figure 2019221268
[実施例1]
ポリカーボネート板(長さ65mm×幅65mm×厚さ2mm)に貯蔵層形成用組成物A1をスピンコートで塗布した。スピンコートは、貯蔵層形成用組成物A1をコート液として用い、ポリカーボネート板を500rpmで10秒回転させる間に当該ポリカーボネート板の上からコート液を流し、板上で徐々に広げた後1000rpmで10秒間回転させることにより行い、これにより第1の塗布膜を得た。
引き続き、このようにポリカーボネート板上に形成された第1の塗布膜をUV照射装置にて硬化した。UV照射装置はアイグラフィクス社製UV照射装置UB012−0BMを使用し、第1の塗布膜の硬化は、1kwの光源により当該塗布膜に対し5秒間UV照射しすることによって行い、これにより第1の硬化膜(以下「硬化膜A1」)が得られた。この時の積算光量はUV−Cで350mJ/cm2、UV−Aで1300mJ/cm2であった。このUV照射により得られた硬化膜A1は、貯蔵層を構成することになる。
次に、この硬化膜A1上に、緩衝層形成用組成物B1をスピンコートで塗布した。緩衝層形成用組成物B1の塗布は、前記塗布膜A1を形成したときと同様のスピンコート塗布条件にて行い、これにより第2の塗布膜を得た。この第2の塗布膜に対して、そのまま上記UV照射装置にて30秒間UV照射し、第2の硬化膜(以下「硬化膜B1」)が得られた。このUV照射により得られた硬化膜B1は、緩衝層を構成することになる。
以上の操作により、ポリカーボネート板と硬化膜A1と硬化膜B1とをこの順で有する透明な積層体(以下「積層体1」)を得た。得られた積層体1において、硬化膜A1(貯蔵層)の膜厚が5.8μm、硬化膜B1(緩衝層)の膜厚が2.6μmであった。
[実施例2]
緩衝層を形成させる際に、緩衝層形成用組成物B1に代えて緩衝層形成用組成物B2を使用した以外は、実施例1と同様に各層の形成を行い、積層体(以下「積層体2」)を得た。
[実施例3]
緩衝層を形成させる際に、緩衝層形成用組成物B1に代えて緩衝層形成用組成物B3を使用し、且つ、第2の塗布膜を得た後当該第2の塗布膜へのUV照射を行う前に、この第2の塗布膜を有する中間積層体を一旦80℃の電気炉内で5分乾燥した以外は、実施例1と同様に各層の形成を行い、積層体(以下「積層体3」)を得た。
[実施例4]
貯蔵層を形成させる際に、貯蔵層形成用組成物A1に代えて貯蔵層形成用組成物A2を使用した以外は、実施例3と同様に各層の形成を行い、積層体(以下「積層体4」)を得た。
[実施例5]
緩衝層を形成させる際に、緩衝層形成用組成物B3に代えて緩衝層形成用組成物B4を使用した以外は、実施例3と同様に各層の形成を行い、積層体(以下「積層体5」)を得た。
[実施例6]
緩衝層を形成させる際に、緩衝層形成用組成物B3に代えて緩衝層形成用組成物B5を使用した以外は、実施例3と同様に各層の形成を行い、積層体(以下「積層体6」)を得た。
[実施例7]
貯蔵層を形成させる際に、貯蔵層形成用組成物A1に代えて貯蔵層形成用組成物A3を使用し、且つ、緩衝層を形成させる際に、緩衝層形成用組成物B3に代えて緩衝層形成用組成物B4を使用した以外は、実施例3と同様に各層の形成を行い、積層体(以下「積層体7」)を得た。
[実施例8]
貯蔵層を形成させる際に、貯蔵層形成用組成物A1に代えて貯蔵層形成用組成物A4を使用した以外は、実施例3と同様に各層の形成を行い、積層体(以下「積層体8」)を得た。
[実施例9]
本実施例では、第1の硬化膜(貯蔵層)を構成する無機粒子として、アクリロイル基を含む官能基で修飾された無機粒子を、第2の硬化膜(緩衝層)を構成する無機粒子として、(メタ)アクリロイル基を含む官能基で修飾されていない無機粒子を採用した。
緩衝層を形成させる際に、緩衝層形成用組成物B1に代えて緩衝層形成用組成物B6を使用した以外は、実施例1と同様に各層の形成を行い、積層体(以下「積層体9」)を得た。
[実施例10]
本実施例では、第1の硬化膜(貯蔵層)を構成する無機粒子、および、第2の硬化膜(緩衝層)を構成する無機粒子として、共に(メタ)アクリロイル基を含む官能基で修飾されていない無機粒子を採用した。
貯蔵層を形成させる際に、貯蔵層形成用組成物A1に代えて貯蔵層形成用組成物A5を使用し、且つ、緩衝層を形成させる際に、緩衝層形成用組成物B1に代えて緩衝層形成用組成物B6を使用した以外は、実施例1と同様に各層の形成を行い、積層体(以下「積層体10」)を得た。
[実施例11]
本実施例では、第1の硬化膜(貯蔵層)を構成する無機粒子として、アクリロイル基を含む官能基で修飾された無機粒子を、第2の硬化膜(緩衝層)を構成する無機粒子として、(メタ)アクリロイル基を含む官能基で修飾されていない無機粒子とアクリロイル基を含む官能基で修飾された無機粒子との混合物を採用した。
緩衝層を形成させる際に、緩衝層形成用組成物B3に代えて緩衝層形成用組成物B7を使用した以外は、実施例3と同様に各層の形成を行い、積層体(以下「積層体11」)を得た。
[比較例1]
本比較例では、上記各実施例とは異なり、第1の硬化膜(貯蔵層)の形成のみを行い、第2の硬化膜(緩衝層)の形成は行わなかった。
ここで、第1の硬化膜(貯蔵層)の形成は実施例10と同様に行った。これによって得られる第1の硬化膜(貯蔵層)を有する積層体は、緩衝層の形成のための塗布・成膜プロセスを実施することなく、そのまま積層体C1として用いた。
[比較例2]
本比較例では、上記各実施例とは異なり、第1の硬化膜(貯蔵層)の形成のみを行い、第2の硬化膜(緩衝層)の形成は行わなかった。
ここで、第1の硬化膜(貯蔵層)の形成は実施例1と同様に行った。これによって得られる第1の硬化膜(貯蔵層)を有する積層体は、緩衝層の形成のための塗布・成膜プロセスを実施することなく、そのまま積層体C2として用いた。
[比較例3]
本比較例では、上記各実施例とは異なり、界面活性剤を含まない組成物を用いて貯蔵層を形成した。
すなわち、貯蔵層を形成させる際に、貯蔵層形成用組成物A1に代えて貯蔵層形成用組成物A6を使用し、且つ、緩衝層を形成させる際に、緩衝層形成用組成物B1に代えて緩衝層形成用組成物B2を使用した以外は、実施例1と同様に各層の形成を行い、積層体(以下「積層体C3」)を得た。
[比較例4]
本比較例では、上記各実施例とは異なり、第2の硬化膜(緩衝層)の形成のみを行い、第1の硬化膜(貯蔵層)の形成は行わなかった。
すなわち、緩衝層形成用組成物B6の塗布をポリカーボネート板に対して直接行ったことを除き、実施例9と同様に第2の硬化膜(緩衝層)の形成を行い、緩衝層は有するが貯蔵層は有さない積層体(以下「積層体C4」)を得た。
[比較例5]
本比較例では、上記各実施例とは異なり、第2の硬化膜(緩衝層)の形成のみを行い、第1の硬化膜(貯蔵層)の形成は行わなかった。
すなわち、緩衝層形成用組成物B2の塗布をポリカーボネート板に対して直接行ったことを除き、実施例2と同様に第2の硬化膜(緩衝層)の形成を行い、緩衝層は有するが貯蔵層は有さない積層体(以下「積層体C5」)を得た。
[比較例6]
本比較例では、第1の硬化膜(貯蔵層)として、上記各実施例よりも薄い厚さのものを有する積層体を形成した。
貯蔵層を形成させる際に、貯蔵層形成用組成物A1に代えて貯蔵層形成用組成物A7を使用した以外は、実施例3と同様に各層の形成を行い、積層体(以下「積層体C6」)を得た。
[比較例7]
本比較例では、第1の硬化膜(貯蔵層)を構成する無機粒子として、(メタ)アクリロイル基を含む官能基で修飾されていない無機粒子を、第2の硬化膜(緩衝層)を構成する無機粒子として、アクリロイル基を含む官能基で修飾された無機粒子を採用した。
貯蔵層を形成させる際に、貯蔵層形成用組成物A1に代えて貯蔵層形成用組成物A5を使用し、且つ、緩衝層を形成させる際に、緩衝層形成用組成物B1に代えて緩衝層形成用組成物B2を使用した以外は、実施例1と同様に各層の形成を行い、積層体(以下「積層体C7」)を得た。
上記実施例1〜11および上記比較例1〜7のそれぞれについて、評価結果を下記表3−1〜表3−5に示す。ここで、表3−1〜表3−5に記載の「固形分量」、「有効成分量」、および、「総乾燥重量」の定義は、上記表2−1〜表2−2に記載の「固形分量」、「有効成分量」、および、「総乾燥重量」とそれぞれ同じである。
Figure 2019221268
Figure 2019221268
Figure 2019221268
Figure 2019221268
Figure 2019221268
光安定剤添加による耐光性を併せて確認するため、下記の実施例12,13,R1およびR2を実施した。
[実施例12]
緩衝層を形成させる際に、緩衝層形成用組成物B3に代えて緩衝層形成用組成物B8を使用した以外は、実施例3と同様に各層の形成を行い、積層体(以下「積層体12」)を得た。
[実施例13]
緩衝層を形成させる際に、緩衝層形成用組成物B3に代えて緩衝層形成用組成物B9を使用した以外は、実施例3と同様に各層の形成を行い、積層体(以下「積層体13」)を得た。
[実施例R1]
緩衝層を形成させる際に、緩衝層形成用組成物B3に代えて緩衝層形成用組成物B10を使用した以外は、実施例3と同様に各層の形成を行い、積層体(以下「積層体R1」)を得た。
[実施例R2]
光安定剤なしの積層体として、実施例3と同様にして得られた積層体を、「積層体R2」として用いた。
上記実施例12,13,R1およびR2のそれぞれについて、評価結果を下記表4に示す。ここで、表4に記載の「固形分量」、「有効成分量」、および、「総乾燥重量」の定義は、上記表2−1〜表2−2に記載の「固形分量」、「有効成分量」、および、「総乾燥重量」とそれぞれ同じである。
Figure 2019221268

Claims (15)

  1. 基材と、貯蔵層(A)と、緩衝層(B)とをこの順で含み;
    当該貯蔵層(A)と、当該緩衝層(B)とが互いに直に接しており;
    当該緩衝層(B)の厚さに対する当該貯蔵層(A)の厚さの比が、1.3〜15の範囲にあり、
    前記貯蔵層(A)が、
    2以上の(メタ)アクリロイル基を有する多官能モノマー(a1)、
    無機粒子(a2)、および
    界面活性剤(a3)
    を含む組成物(A−1)の硬化物からなり;
    前記緩衝層(B)が、
    2以上の(メタ)アクリロイル基を有する多官能モノマー(b1)、および
    無機粒子(b2)
    を含む組成物(B−1)の硬化物からなり;
    前記組成物(B−1)は、界面活性剤(b3)をさらに含むか、あるいは、含まず;
    前記組成物(B−1)が前記界面活性剤(b3)をさらに含む場合、前記組成物(B−1)の総乾燥重量に対する当該界面活性剤(b3)の含有重量は、前記組成物(A−1)の総乾燥重量に対する前記界面活性剤(a3)の含有重量よりも少なく;且つ、
    前記無機粒子(a2)が、(メタ)アクリロイル基を含む官能基で修飾された無機粒子(a2−1)を含むか、あるいは、
    前記無機粒子(a2)が(メタ)アクリロイル基を含む官能基で修飾されていない無機粒子(a2−0)であり且つ前記無機粒子(b2)が(メタ)アクリロイル基を含む官能基で修飾されていない無機粒子(b2−0)である、
    積層体。
  2. 前記無機粒子(a2)が、(メタ)アクリロイル基を含む官能基で修飾された無機粒子(a2−1)を含み、
    前記無機粒子(b2)が、(メタ)アクリロイル基を含む官能基で修飾された無機粒子(b2−1)を含む、請求項1に記載の積層体。
  3. 前記無機粒子(a2−1)および前記無機粒子(b2−1)が、それぞれ独立に、(メタ)アクリロイル基を含む官能基で修飾されたシリカ粒子と(メタ)アクリロイル基を含む官能基で修飾されたジルコニア粒子とからなる群より選ばれる1以上である請求項2に記載の積層体。
  4. 前記無機粒子(b2)が、(メタ)アクリロイル基を含む官能基で修飾されていない無機粒子(b2−0)を含み、且つ、
    前記組成物(B−1)中の、前記(メタ)アクリロイル基を含む官能基で修飾された無機粒子(b2−1)の含有重量が、当該(メタ)アクリロイル基を含む官能基で修飾されていない無機粒子(b2−0)の含有重量よりも多い、請求項2または3に記載の積層体。
  5. 前記組成物(B−1)の総乾燥重量に対する前記多官能モノマー(b1)の含有重量が、前記組成物(A−1)の総乾燥重量に対する前記多官能モノマー(a1)の含有重量よりも少ない請求項1〜4のいずれか1項に記載の積層体。
  6. 前記多官能モノマー(a1)および前記多官能モノマー(b1)として、下記式(1)で表される多官能モノマーを含む請求項1〜5のいずれか1項に記載の積層体。
    Figure 2019221268
    (上記式(1)中、nは1から30の整数を示す。)
  7. 前記界面活性剤(a3)および前記界面活性剤(b3)が、ポリオキシアルキレン構造を有する請求項1〜6のいずれか1項に記載の積層体。
  8. 前記界面活性剤(a3)および前記界面活性剤(b3)として、ポリオキシエチレンラウリルエーテル硫酸塩、ポリオキシエチレンオレイルセチルエーテル硫酸塩、およびポリオキシアルキレンラウリルエーテルからなる群より選ばれるいずれか1以上を含む請求項1〜7のいずれか1項に記載の積層体。
  9. 前記組成物(B−1)の総乾燥重量に対する前記無機粒子(b2)の含有量が40〜70重量%である請求項1〜8のいずれか1項に記載の積層体。
  10. 前記組成物(A−1)の総乾燥重量に対する前記界面活性剤(a3)の含有量が1.0〜5.0重量%である請求項1〜9のいずれか1項に記載の積層体。
  11. 前記組成物(B−1)が、(メタ)アクリロイル基とアニオン性親水基とを有する化合物をさらに含む請求項1〜10のいずれか1項に記載の積層体。
  12. 前記緩衝層(B)が、光安定剤を、前記組成物(B−1)の総乾燥重量に対して3重量%以上含む請求項1〜11のいずれか1項に記載の積層体。
  13. 前記貯蔵層(A)の厚さが4.0μm以上である請求項1〜12のいずれか1項に記載の積層体。
  14. (S1):前記基材を含む層の少なくとも一方の面に対して、
    前記多官能モノマー(a1)、
    前記無機粒子(a2)、
    前記界面活性剤(a3)、および
    溶媒(a4)
    を含む組成物(A−1a)の塗布物層(A2)を設ける工程、
    (S2):前記工程(S1)で得られた塗布物層(A2)から前記溶媒(a4)を除去する工程、
    (S3):前記工程(S2)の後に、塗布物層(A2)の硬化を行い、当該塗布物層(A2)を硬化物層(A2')に変換する工程、
    (S4):前記工程(S3)の後に、前記硬化物層(A2')上に、
    前記多官能モノマー(b1)、
    前記無機粒子(b2)、および
    溶媒(b4)
    を含む組成物(B−1a)の塗布物層(B2)を設ける工程、
    (S5):前記工程(S4)で得られた塗布物層(B2)から前記溶媒(b4)を除去する工程、および
    (S6):前記工程(S5)の後に、塗布物層(B2)の硬化を行い、当該塗布物層(B2)を硬化物層(B2')に変換する工程、
    を含み;
    前記組成物(A−1a)100重量部あたりの前記組成物(A−1a)の総乾燥重量は、46重量部以上100重量部未満であり;
    前記組成物(B−1a)は、前記界面活性剤(b3)をさらに含むか、あるいは、含まず;
    前記組成物(B−1)が前記界面活性剤(b3)をさらに含む場合、前記組成物(B−1)の総乾燥重量に対する当該界面活性剤(b3)の含有重量は、前記組成物(A−1)の総乾燥重量に対する前記界面活性剤(a3)の含有重量よりも少なく;且つ、
    前記無機粒子(a2)が、(メタ)アクリロイル基を含む官能基で修飾された無機粒子(a2−1)を含むか、あるいは、
    前記無機粒子(a2)が(メタ)アクリロイル基を含む官能基で修飾されていない無機粒子(a2−0)であり且つ前記無機粒子(b2)が(メタ)アクリロイル基を含む官能基で修飾されていない無機粒子(b2−0)である、
    請求項1に記載の積層体の製造方法。
  15. 前記工程(S5)が、50〜90℃での加熱下で行われる請求項14に記載の製造方法。
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