JPWO2019221268A1 - 防曇性積層体およびその製造方法 - Google Patents
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Abstract
Description
プラスチックやガラスなどに発生する曇りは、基材表面へ微小な水滴が付着または結露し、その水滴が光を散乱するために生じることが知られている。したがって、曇りを防止するには、水滴の発生を防止すれば良い。
(a)基材と水との接触角を小さくさせる方法、
(b)基材表面を吸水性にして水滴を形成させない方法、
(c)基材と水との接触角を大きくして、基材上で水滴を留まらせることなく転げ落としてしまう方法、および、
(d)基材を常に露点以上の温度に保ち、水滴を付着させない方法
が提案されている(例えば、非特許文献1参照。)。
そこで、本発明は、上記のような従来技術の問題点に鑑み、高い防曇性の維持を図りつつ、併せて、高い耐擦傷性を確保できる積層体を提供することを目的とする。
[1]
基材と、貯蔵層(A)と、緩衝層(B)とをこの順で含み;
当該貯蔵層(A)と、当該緩衝層(B)とが互いに直に接しており;
当該緩衝層(B)の厚さに対する当該貯蔵層(A)の厚さの比が、1.3〜15の範囲にあり、
前記貯蔵層(A)が、
2以上の(メタ)アクリロイル基を有する多官能モノマー(a1)、
無機粒子(a2)、および
界面活性剤(a3)
を含む組成物(A−1)の硬化物からなり;
前記緩衝層(B)が、
2以上の(メタ)アクリロイル基を有する多官能モノマー(b1)、および
無機粒子(b2)
を含む組成物(B−1)の硬化物からなり;
前記組成物(B−1)は、界面活性剤(b3)をさらに含むか、あるいは、含まず;
前記組成物(B−1)が前記界面活性剤(b3)をさらに含む場合、前記組成物(B−1)の総乾燥重量に対する当該界面活性剤(b3)の含有重量は、前記組成物(A−1)の総乾燥重量に対する前記界面活性剤(a3)の含有重量よりも少なく;且つ、
前記無機粒子(a2)が、(メタ)アクリロイル基を含む官能基で修飾された無機粒子(a2−1)を含むか、あるいは、
前記無機粒子(a2)が(メタ)アクリロイル基を含む官能基で修飾されていない無機粒子(a2−0)であり且つ前記無機粒子(b2)が(メタ)アクリロイル基を含む官能基で修飾されていない無機粒子(b2−0)である、
積層体。
前記無機粒子(a2)が、(メタ)アクリロイル基を含む官能基で修飾された無機粒子(a2−1)を含み、
前記無機粒子(b2)が、(メタ)アクリロイル基を含む官能基で修飾された無機粒子(b2−1)を含む、前記[1]に記載の積層体。
前記無機粒子(a2−1)および前記無機粒子(b2−1)が、それぞれ独立に、(メタ)アクリロイル基を含む官能基で修飾されたシリカ粒子と(メタ)アクリロイル基を含む官能基で修飾されたジルコニア粒子とからなる群より選ばれる1以上である前記[2]に記載の積層体。
前記無機粒子(b2)が、(メタ)アクリロイル基を含む官能基で修飾されていない無機粒子(b2−0)を含み、且つ、
前記組成物(B−1)中の、前記(メタ)アクリロイル基を含む官能基で修飾された無機粒子(b2−1)の含有重量が、当該(メタ)アクリロイル基を含む官能基で修飾されていない無機粒子(b2−0)の含有重量よりも多い、前記[2]または[3]に記載の積層体。
前記組成物(B−1)の総乾燥重量に対する前記多官能モノマー(b1)の含有重量が、前記組成物(A−1)の総乾燥重量に対する前記多官能モノマー(a1)の含有重量よりも少ない前記[1]〜[4]のいずれかに記載の積層体。
前記多官能モノマー(a1)および前記多官能モノマー(b1)として、下記式(1)で表される多官能モノマーを含む前記[1]〜[5]のいずれかに記載の積層体。
前記界面活性剤(a3)および前記界面活性剤(b3)が、ポリオキシアルキレン構造を有する前記[1]〜[6]のいずれかに記載の積層体。
[8]
前記界面活性剤(a3)および前記界面活性剤(b3)として、ポリオキシエチレンラウリルエーテル硫酸塩、ポリオキシエチレンオレイルセチルエーテル硫酸塩、およびポリオキシアルキレンラウリルエーテルからなる群より選ばれるいずれか1以上を含む前記[1]〜[7]のいずれかに記載の積層体。
前記組成物(B−1)の総乾燥重量に対する前記無機粒子(b2)の含有量が40〜70重量%である前記[1]〜[8]のいずれかに記載の積層体。
前記組成物(A−1)の総乾燥重量に対する前記界面活性剤(a3)の含有量が1.0〜5.0重量%である前記[1]〜[9]のいずれかに記載の積層体。
前記組成物(B−1)が、(メタ)アクリロイル基とアニオン性親水基とを有する化合物をさらに含む前記[1]〜[10]のいずれかに記載の積層体。
前記緩衝層(B)が、光安定剤を、前記組成物(B−1)の総乾燥重量に対して3重量%以上含む前記[1]〜[11]のいずれかに記載の積層体。
[13]
前記貯蔵層(A)の厚さが4.0μm以上である前記[1]〜[12]のいずれかに記載の積層体。
(S1):前記基材を含む層の少なくとも一方の面に対して、
前記多官能モノマー(a1)、
前記無機粒子(a2)、
前記界面活性剤(a3)、および
溶媒(a4)
を含む組成物(A−1a)の塗布物層(A2)を設ける工程、
(S2):前記工程(S1)で得られた塗布物層(A2)から前記溶媒(a4)を除去する工程、
(S3):前記工程(S2)の後に、塗布物層(A2)の硬化を行い、当該塗布物層(A2)を硬化物層(A2')に変換する工程、
(S4):前記工程(S3)の後に、前記硬化物層(A2')上に、
前記多官能モノマー(b1)、
前記無機粒子(b2)、および
溶媒(b4)
を含む組成物(B−1a)の塗布物層(B2)を設ける工程、
(S5):前記工程(S4)で得られた塗布物層(B2)から前記溶媒(b4)を除去する工程、および
(S6):前記工程(S5)の後に、塗布物層(B2)の硬化を行い、当該塗布物層(B2)を硬化物層(B2')に変換する工程、
を含み;
前記組成物(A−1a)100重量部あたりの前記組成物(A−1a)の総乾燥重量は、46重量部以上100重量部未満であり;
前記組成物(B−1a)は、前記界面活性剤(b3)をさらに含むか、あるいは、含まず;
前記組成物(B−1)が前記界面活性剤(b3)をさらに含む場合、前記組成物(B−1)の総乾燥重量に対する当該界面活性剤(b3)の含有重量は、前記組成物(A−1)の総乾燥重量に対する前記界面活性剤(a3)の含有重量よりも少なく;且つ、
前記無機粒子(a2)が、(メタ)アクリロイル基を含む官能基で修飾された無機粒子(a2−1)を含むか、あるいは、
前記無機粒子(a2)が(メタ)アクリロイル基を含む官能基で修飾されていない無機粒子(a2−0)であり且つ前記無機粒子(b2)が(メタ)アクリロイル基を含む官能基で修飾されていない無機粒子(b2−0)である、
前記[1]に記載の積層体の製造方法。
前記工程(S5)が、50〜90℃での加熱下で行われる前記[14]に記載の製造方法。
本発明に係る積層体は、基材と、貯蔵層(A)と、緩衝層(B)とをこの順で含んでいる。ここで、本発明に係る積層体において、この貯蔵層(A)とこの緩衝層(B)とは、互いに直に接している。
以下、本発明の積層体を構成する各層について説明する。
本発明の積層体において、貯蔵層(A)は、
2以上の(メタ)アクリロイル基を有する多官能モノマー(a1)、
無機粒子(a2)、および
界面活性剤(a3)
を含む組成物(A−1)の硬化物からなる。
なお、本明細書において、上記「2以上の(メタ)アクリロイル基を有する多官能モノマー(a1)」は、単に「多官能モノマー(a1)」と呼ばれる場合がある。
本発明において、2以上の(メタ)アクリロイル基を有する多官能モノマー(a1)は、組成物(A−1)の硬化を通じて互いに結合し合うことにより形成されるネットワーク構造を通じて、貯蔵層(A)の基本骨格を与えるとともに、貯蔵層(A)に界面活性剤(a3)を貯蔵する空間を与える役割を果たす。つまり、多官能モノマー(a1)は、組成物(A−1)の硬化を通じて対応する重合体に変換され、貯蔵層(A)における重合体成分を構成することになる。
貯蔵層(A)を構成することになる多官能モノマー(a1)の具体的な量は、組成物(A−1)の総乾燥重量に対して通常は30〜70重量%、好ましくは45〜60重量%である。
本発明で用いられる貯蔵層(A)に関連して、後記「緩衝層(B)」の項で後述するように、硬化により緩衝層(B)を与える組成物(B−1)では、多官能モノマー(b1)のほかに、アニオン性親水基含有モノマーをさらに含むことができる。本発明の目的が達成できる限りにおいて、上記組成物(A−1)においても、後記組成物(B−1)に含まれうるアニオン性親水基含有モノマーと同様のアニオン性親水基含有モノマーが含まれる可能性を必ずしも排除するものではない。ただ、本発明の典型的な態様において、上記組成物(A−1)は、通常、このようなアニオン性親水基含有モノマーは含まない。
無機粒子(a2)は、無機物質の粒子である。本発明において、この無機粒子(a2)は、上記2以上の(メタ)アクリロイル基を有する多官能モノマー(a1)同士の結合によって形成されるネットワーク構造に組み込まれる形で貯蔵層(A)内部に内包されており、貯蔵層(A)に適度な硬度および強度を与える役割を果たす。
一方、本発明の好適な態様において、無機粒子(a2)は、(メタ)アクリロイル基を含む官能基で修飾された無機粒子(a2−1)である。この無機粒子(a2−1)は、上記無機粒子(a2−0)を基礎粒子とし、当該基礎粒子の表面に(メタ)アクリロイル基を含む官能基を有するものである。この態様では、組成物(A−1)の硬化の際に、無機粒子(a2−1)を構成する(メタ)アクリロイル基が、上記多官能モノマー(a1)を構成する(メタ)アクリロイル基との間に共有結合を形成することになる。したがって、得られる貯蔵層(A)において、無機粒子(a2−1)は、多官能モノマー(a1)同士の結合によって形成されるネットワーク構造と、共有結合を介して一体化されることになる。このような無機粒子(a2−1)の好適な例として、(メタ)アクリロイル基を含む官能基で修飾されたシリカ粒子、(メタ)アクリロイル基を含む官能基で修飾されたジルコニア粒子が挙げられる。
貯蔵層(A)における無機粒子(a2)の具体的な量は、組成物(A−1)の総乾燥重量に対して通常は30〜60重量%、好ましくは35〜50重量%である。ここで、無機粒子(a2)が無機粒子(a2−0)および無機粒子(a2−1)の両方を含む場合、無機粒子(a2−0)と無機粒子(a2−1)との割合は、無機粒子(a2−0)および無機粒子(a2−1)の乾燥重量の合計を100重量%としたときに、無機粒子(a2−0)の量は通常0重量%を越え30重量%以下であり、無機粒子(a2−1)の量は通常100重量%未満且つ70重量%以上である。
本発明において、界面活性剤(a3)は、貯蔵層(A)内部に貯蔵されており、後述する緩衝層(B)を通じて本発明の積層体の表面に滲出することにより、本発明の積層体に防曇性を付与する役割を果たす。界面活性剤(a3)は、このような役割を果たしうる限りにおいて、有すべき構造に特に限定はない。本発明の好適な態様において、界面活性剤(a3)は、ポリオキシアルキレン構造を有している。
(i)ポリオキシアルキレン構造を有する、(ii) 上記式(AC1)〜(AC2)で表される構造のいずれも有さない、という条件を満たす限り特に限定されず、従来公知の界面活性剤とすることができる。ただ、本発明では、界面活性剤(a3)として、通常、重合性を有さないもの、特に、分子中に不飽和結合を含まないものが用いられる。
R−[−O−R'−]n−X ・・・(SS1)
上記式中、Rは、炭素数10〜20のアルキル基または炭素数10〜20のアルケニル基を表し、R'は、炭素数2〜4のアルキレン基を表し、nは、1〜30の整数を表し、Xは、水酸基、または、スルホ基、ホスホノ基、カルボキシル基、リン酸基、O−硫酸基およびN−硫酸基からなる群より選ばれるいずれかのアニオン性親水基を表す。ここで、前記R'の例として、−O−CH2CH2−、−O−CH2CH2CH2−、−O−CH2CH2CH2CH2−等が挙げられ、これらの中でも、−O−CH2CH2−が好ましい。また、前記Xとなりうるアニオン性親水基の中で、リン酸基、O−硫酸基、が好ましい。前記Xとして挙げられる前記アニオン性親水基は、遊離酸の形態でも、適当なカチオンとの塩の形態でもよいが、多くの場合、対応するナトリウム塩、カリウム塩、または、アンモニウム塩の形態を有している。このような塩のうち最も一般的なものとしてナトリウム塩が挙げられるが、アンモニウム塩などほかのカチオンとの塩の形態を有することを妨げるものではない。
貯蔵層(A)における界面活性剤(a3)の具体的な量は、組成物(A−1)の総乾燥重量に対して通常は1.0〜5.0重量%、好ましくは1.5〜3.0重量%である。
本発明において、組成物(A−1)は、本発明の積層体の構成や用途によっては、上記界面活性剤(a3)に加えて、界面活性剤(a3)に該当しないその他の界面活性剤(以下、「その他の界面活性剤」)をさらに含んでいても良い。
この「その他の界面活性剤」は、上記界面活性剤(a3)に該当しない限り特に限定はなく、従来公知の界面活性剤であっても良い。
(i)アクリルポリマー構造またはメタクリルポリマー構造を有する界面活性剤(以下、「界面活性剤(a3')」);
(ii)ポリオキシアルキレン構造、アクリルポリマー構造、および、メタクリルポリマー構造のいずれも有さない界面活性剤(以下、「界面活性剤(a3'')」)
が挙げられる。
一方、「界面活性剤(a3')」は、必ずしもポリオキシアルキレン構造を有していなくてもよい。すなわち、「界面活性剤(a3')」は、アクリルポリマー構造またはメタクリルポリマー構造は有するが、ポリオキシアルキレン構造は有さない界面活性剤(以下、「界面活性剤(a3'−2)」)であっても良い。この「界面活性剤(a3'−2)」は、親水基として、ポリオキシアルキレン構造以外の親水基を有する。ポリオキシアルキレン構造以外の親水基の例として、スルホ基、ホスホノ基、カルボキシル基、リン酸基、O−硫酸基およびN−硫酸基などのアニオン性親水基、並びに、アミノ基、4級アンモニウム構造などのカチオン性親水基が挙げられる。このような「界面活性剤(a3'−2)」の1つとして、特開2012−177040号公報などに開示されているような、N−アルキル(メタ)アクリルアミドポリマーのセグメントと親水基含有ポリマーのセグメントとを有する(メタ)アクリル系ブロックコポリマーが挙げられる。
ここで、本発明の積層体は、貯蔵層(A)を2層以上有していてもよいところ、これらの貯蔵層(A)のうち、基材に最も近い貯蔵層(以下、「貯蔵層(A0)」)と、当該「貯蔵層(A0)」以外の貯蔵層(以下、「貯蔵層(A1)」)とで異なる役割を持たせることがある。特に、後記「積層体の構成」の項で後述するように、後記基材を、ポリジエチレングリコールジアリルカーボネート、ポリジアリルカーボネートなどとし、且つ、基材と貯蔵層(A)との間にプライマー層を存在させる場合、貯蔵層(A)に含まれる界面活性剤(a3)がプライマー層に侵入することを抑制するために、上記「貯蔵層(A0)」を保護層(P)として機能させることがある。このような場合、「貯蔵層(A0)」と「貯蔵層(A1)」との作り分けを「その他の界面活性剤」によって行うことがある。
組成物(A−1)に含まれうる「その他の界面活性剤」は、1種単独であっても良く、あるいは、2種以上の組み合わせであっても良い。
本発明において、貯蔵層(A)は、上記多官能モノマー(a1)、上記無機粒子(a2)および上記界面活性剤(a3)を含む組成物(A−1)を硬化させることにより得ることができる。すなわち、貯蔵層(A)は、組成物(A−1)の硬化物である。
なお、貯蔵層(A)を形成する際の具体的な条件等は、後記「積層体の製造方法」の項で後述する。
本発明の積層体において、緩衝層(B)は、
2以上の(メタ)アクリロイル基を有する多官能モノマー(b1)、および
無機粒子(b2)
を含む組成物(B−1)の硬化物からなる。
緩衝層(B)における無機粒子と重合体成分(特に多官能モノマーに対応する重合体成分)との重量比(フィラー/マトリックス比)を、貯蔵層(A)より十分大きくするか、或いは
緩衝層(B)を与えることになる組成物(B−1)の塗布後に含まれる溶媒を、加熱等で除去した後に紫外線等で硬化する
ことで、緩衝層(B)を構成する重合体成分の架橋度を上げることにより成し得る。
なお、本明細書において、上記「2以上の(メタ)アクリロイル基を有する多官能モノマー(b1)」は、単に「多官能モノマー(b1)」と呼ばれる場合がある。
本発明において、2以上の(メタ)アクリロイル基を有する多官能モノマー(b1)は、組成物(B−1)の硬化を通じて互いに結合し合うことにより形成されるネットワーク構造を通じて、緩衝層(B)の基本骨格を与えるとともに、前記貯蔵層(A)に含まれる上記界面活性剤(a3)が外部に向かって適切に滲出するために必要な空間を与える役割を果たす。つまり、多官能モノマー(b1)は、組成物(B−1)の硬化を通じて対応する重合体に変換され、緩衝層(B)における重合体成分を構成することになる。
無機粒子(b2)は、上記無機粒子(a2)と同様、無機物質の粒子である。本発明において、この無機粒子(b2)は、上記2以上の(メタ)アクリロイル基を有する多官能モノマー(b1)同士の結合によって形成されるネットワーク構造に組み込まれる形で緩衝層(B)内部に内包されており、緩衝層(B)に高い硬度および十分な耐擦傷性を付与する役割を果たす。
したがって、上記無機粒子(a2)が上記無機粒子(a2−0)である場合には、無機粒子(b2)もまた、(メタ)アクリロイル基を含む官能基で修飾されていない無機粒子(b2−0)である必要がある。
組成物(B−1)中の無機粒子(b2)の含有重量と上記多官能モノマー(b1)の含有重量との比と、
上記組成物(A−1)中の上記無機粒子(a2)の含有重量と上記多官能モノマー(a1)の含有重量との比と
の比として好ましい範囲は、本発明の積層体の形成方法によっても異なる。
本発明で用いられる組成物(B−1)は、界面活性剤(b3)をさらに含むことができる。本発明の好適な態様において、界面活性剤(b3)は、ポリオキシアルキレン構造を有している。
(i)ポリオキシアルキレン構造を有する、(ii)上記式(AC1)〜(AC2)で表される構造のいずれも有さない、という条件を満たす限り特に限定されず、従来公知の界面活性剤とすることができる。ただ、本発明では、界面活性剤(b3)として、通常、重合性を有さないもの、特に、分子中に不飽和結合を含まないものが用いられる。
緩衝層(B)における界面活性剤(b3)の具体的な量は、組成物(B−1)の総乾燥重量に対して通常は0重量%を越え1重量%以下、好ましくは0.3〜0.6重量%である。
本発明で用いられる組成物(B−1)は、上記界面活性剤(b3)の有無にかかわらず、塗布膜のレベリング性付与、或いは表面親水性向上のため、上記界面活性剤(b3)に該当しないその他の界面活性剤(以下、「その他の界面活性剤」)をさらに含むことができる。ここで、組成物(B−1)が次述するアニオン性親水基含有モノマーをさらに含む場合、この「その他の界面活性剤」は、組成物(B−1)の硬化物を形成する際における当該アニオン性親水基含有モノマーの配向を制御するためにも用いられることがある。
本発明で用いられる組成物(B−1)は、上記多官能モノマー(b1)とは別に、アニオン性親水基含有モノマーをさらに含むことができる。本発明で用いられる組成物(B−1)がアニオン性親水基含有モノマーをさらに含むと、緩衝層(B)が、当該アニオン性親水基含有モノマーに由来するアニオン性親水基を有することになる。これにより緩衝層(B)内に外部から水分子が進入しやすくなることから、上記貯蔵層(A)からの界面活性剤(a3)が緩衝層(B)内部に補充されやすくなり、本発明の積層体を水洗した後における当該積層体の防曇性が回復しやすくなる。そのため、本発明では、組成物(B−1)は、アニオン性親水基含有モノマーをさらに含むことが好ましい。なお、組成物(B−1)にアニオン性親水基含有モノマーが含まれる場合、このアニオン性親水基含有モノマーは、組成物(B−1)の硬化を通じて、上記多官能モノマー(b1)から変換されてなる重合体に組み込まれ、緩衝層(B)における重合体成分の一部となる。
緩衝層(B)におけるアニオン性親水基含有モノマーの具体的な量は、組成物(B−1)の総乾燥重量に対して通常は1〜5重量%、好ましくは3〜4重量%である。
本発明で用いられる組成物(B−1)は、光安定剤をさらに含むことが好ましい。本発明で用いることのできる光安定剤として、紫外線吸収剤およびヒンダードアミン光安定剤が挙げられる。
本発明において、緩衝層(B)は、上記多官能モノマー(b1)、上記無機粒子(b2)およびオプショナルの上記界面活性剤(b3)を含む組成物(B−1)を硬化させることにより得ることができる。すなわち、緩衝層(B)は、組成物(B−1)の硬化物である。
一方、緩衝層(B)の厚さの上限は、本発明の積層体の機能を損ねない限り特に限定はないものの、通常10μm以下であり、4μm以下であることが好ましい。
なお、緩衝層(B)を形成する際の具体的な条件等は、後記「積層体の製造方法」の項で後述する。
本発明の積層体において用いられる基材としては、例えば、ガラス、シリカ、金属、金属酸化物等の無機材料からなる基材、ポリメチルメタクリレート(PMMA)、ポリカーボネート、ポリアリルカーボネート、ポリエチレンテレフタレート、ポリアセチルセルロース(TAC)、アクリロニトリル・ブタジエン・スチレン共重合体(ABS)、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリウレタン樹脂、エポキシ樹脂、ポリ(メタ)アクリレート樹脂、塩化ビニル樹脂、シリコーン樹脂、紙、パルプ等の有機材料からなる基材、不飽和ポリエステル樹脂と炭酸カルシウムなどの充填材とガラス繊維などを複合したSMCおよびBMCなどの有機無機基材、並びにこれらの無機材料、有機材料、さらには有機無機複合材料からなる基材の表面に塗装が施された、塗料硬化物層を有する基材等が挙げられる。
上述した通り、本発明に係る積層体は、上記基材と、上記貯蔵層(A)と、上記緩衝層(B)とをこの順で含んでいる。ここで、本発明に係る積層体に含まれる上記貯蔵層(A)および上記緩衝層(B)は、それぞれ、1層のみであってもよく、あるいは、2層以上であってもよいが、当該貯蔵層(A)と、当該緩衝層(B)とは互いに直に接している必要がある。
本発明の積層体において、上記緩衝層(B)の厚さに対する上記貯蔵層(A)の厚さの比(膜厚比)は、水洗後における防曇性および親水性を十分に高く確保する観点からは、一定以上であることが好ましく、具体的には、通常1.3以上、好ましくは1.5以上、さらに好ましくは1.7以上である。一方、前記膜厚比の上限については、本発明を実用上適切に実施できる限り特に限定はないものの、通常15以下、好ましくは5以下、さらに好ましくは3.5以下である。本発明の典型的な態様において、前記膜厚比は、通常1.3〜15、好ましくは1.5〜5、さらに好ましくは1.7〜3.5の範囲にある。前記膜厚比がこのような範囲内にあると、本発明の積層体は水洗後においても高い防曇性および高い親水性を有利に維持できる傾向にあり、好ましい。
本発明の積層体は、上記基材、上記貯蔵層(A)および上記緩衝層(B)に加えて、上記基材、上記貯蔵層(A)および上記緩衝層(B)のいずれでもないその他の層(以下、「その他の層」)を更に有していてもよい。
ここで、プライマー層は、接着剤(プライマー)からなる層であり、この層を挟むように位置する2つの層の間の接着性を向上させるために採用されることがある。例えば、基材が、ポリジエチレングリコールジアリルカーボネート、ポリジアリルカーボネートなどの場合には、上記基材と、上記貯槽層(A)との間にプライマー層を存在させることもある。さらにプライマー層を存在させた際は、上記貯蔵層(A)に含まれる界面活性剤(a3)が上記プライマーに侵入することを防ぐ目的で、上記貯蔵層(A)を2層にすることもある。この場合、上記貯蔵層(A)を、上記「貯蔵層(A0)」と上記「貯蔵層(A1)」との2層構成とし、そのうちの「貯蔵層(A0)」を保護層(P)とすることになる。
本発明の積層体が「その他の層」を含む場合の具体的な例示態様について触れると、例えば、本発明の好適な態様の1つでは、本発明の積層体は、上記基材と、プライマー層と、上記貯蔵層(A)と、上記緩衝層(B)とをこの順で含んでいる。
本発明の積層体の典型的な製造方法を以下に記載する。
本発明の積層体の製造方法は、
(S1):前記基材を含む層の少なくとも一方の面に対して、
前記多官能モノマー(a1)、
前記無機粒子(a2)、
前記界面活性剤(a3)、および
溶媒(a4)
を含む組成物(A−1a)の塗布物層(A2)を設ける工程、
(S2):前記工程(S1)で得られた塗布物層(A2)から前記溶媒(a4)を除去する工程、
(S3):前記工程(S2)の後に、塗布物層(A2)の硬化を行い、当該塗布物層(A2)を硬化物層(A2')に変換する工程、
(S4):前記工程(S3)の後に、前記硬化物層(A2')上に、
前記多官能モノマー(b1)、
前記無機粒子(b2)、および
溶媒(b4)
を含む組成物(B−1a)の塗布物層(B2)を設ける工程、
(S5):前記工程(S4)で得られた塗布物層(B2)から前記溶媒(b4)を除去する工程、および
(S6):前記工程(S5)の後に、塗布物層(B2)の硬化を行い、当該塗布物層(B2)を硬化物層(B2')に変換する工程、
を含む。
本発明の製造方法において、工程(S1)は、前記基材を含む層の少なくとも一方の面に対して、
前記多官能モノマー(a1)、
前記無機粒子(a2)、
前記界面活性剤(a3)、および
溶媒(a4)
を含む組成物(A−1a)の塗布物層(A2)を設ける工程である。
また上記光重合開始剤を使用する場合には、光重合促進剤を併用してもよい。光重合促進剤としては、例えば、2,2−ビス(2−クロロフェニル)−4,5'−テトラフェニル−2'H−<1,2'>ビイミダゾルイル、トリス(4−ジメチルアミノフェニル)メタン、4,4'−ビス(ジメチルアミノ)ベンゾフェノン、2−エチルアントラキノン、カンファーキノン等が挙げられる。
貯蔵層(A)を塗布により形成する際、貯蔵層(A)の厚さは、組成物(A−1a)に含有される溶媒(a4)の量を加減することにより調整することができる。ここで、上記「貯蔵層(A)の構成」で上述したように、貯蔵層(A)の厚さが薄すぎると、積層体を水洗した後に十分な防曇性が発揮できない場合がある。したがって、組成物(A−1a)100重量部あたりに占める当該組成物(A−1a)の総乾燥重量は、得られる貯蔵層(A)が十分な厚さを有することができるよう、通常46重量部以上であり、55重量部以上であることが好ましい。一方、組成物(A−1a)100重量部あたりに占める当該組成物(A−1a)の総乾燥重量は、100重量部未満であるところ、塗布に必要な流動性が得られるよう、65重量部以下であることが好ましい。
工程(S2)は、前記工程(S1)で得られた塗布物層(A2)から前記溶媒(a4)を除去する工程である。
工程(S3)は、前記工程(S2)の後に、塗布物層(A2)の硬化を行う工程である。
塗布物層(A2)の硬化は、典型的には、放射線照射または加熱によって行うことができる。
上記重合は大気下で行うこともできるが、窒素等の不活性ガス雰囲気下で行った場合は重合時間を短縮できる点で好ましい。
工程(S4)は、前記工程(S3)の後に、前記硬化物層(A2')上に、
前記多官能モノマー(b1)、
前記無機粒子(b2)、および
溶媒(b4)
を含む組成物(B−1a)の塗布物層(B2)を設ける工程である。
緩衝層(B)を塗布により形成する際、緩衝層(B)の厚さは、組成物(B−1a)に含有される溶媒(b4)の量を加減することにより調整することができる。組成物(B−1a)100重量部あたりに占める当該組成物(B−1a)の総乾燥重量は、得られる緩衝層(B)が十分な強度等を有するに必要な厚さを有することができるよう、35重量部以上であることが好ましく、37.5重量部以上であることがより好ましい。一方、組成物(B−1a)100重量部あたりに占める当該組成物(B−1a)の総乾燥重量は、100重量部未満であるところ、塗布に必要な流動性が得られるよう、50重量部以下であることが好ましい。
この工程(S4)により、基材と硬化物層(A2')と塗布物層(B2)とをこの順で有する前駆積層体(PL4)が得られる。この前駆積層体(PL4)は、次述する工程(S5)に供される。
工程(S5)は、前記工程(S4)で得られた塗布物層(B2)から前記溶媒(b4)を除去する工程である。
この工程(S5)で上記加熱を行う場合の加熱時間は、通常3〜20分である。
工程(S6)は、前記工程(S5)の後に、塗布物層(B2)の硬化を行い、当該塗布物層(B2)を硬化物層(B2')に変換する工程である。
ここで、放射線照射、例えば、紫外線(UV)照射により、組成物(B−1a)を重合硬化させる場合には、塗布物層(B2)として、通常、光重合開始剤を含むものを用いる。この場合、上記工程(S4)で製造する組成物(B−1a)には、前述した光重合開始剤を添加しておくことになる。
熱によって重合する場合、塗布物層(B2)として、通常、有機過酸化物等の熱重合開始剤を含むものを用いる。この場合、上記工程(S4)で製造する組成物(B−1a)には、前述した熱重合開始剤を添加しておくことになる。
熱によって上記組成物(B−1a)を重合する場合、加熱の温度および加熱時間は、上記工程(S4)と同様とすることができる。
[サンプルの物性評価]
本発明においてサンプルの物性評価は、下記のようにして行った。
分光測定により各層の膜厚を算出した。
具体的には、OPTOTECH社製膜厚測定装置 ETA−ARCを使用し、成膜サンプルの中央付近について分光反射率を測定し、フーリエ変換法にて各単層、又は2層積層状態の膜厚を算出した。
サンプルに対して、カッターを用い1mm間隔で縦横11本の基材表面まで到達するよう塗膜をカットし、その部分をニチバン製セロハン粘着テープCT405AP−18を使用してクロスカット法による密着性試験を行い、3回剥離試験実施後の膜剥離面積が100マス中どの程度の割合であるか目視検査を行った。その際、剥離せず膜が残存した部分の面積が90%を超えるときの評価を「○」、50%から90%のときの評価を「△」、50%を下回るときの評価を「×」とした。
スチールウール#0000番を使用し、このスチールウールの上にサンプルを載せ、さらにこのサンプルの真上に300g又は1kgの重りを載せて荷重を掛けた。この状態で、このサンプルをスチールウール上で10回往復運動させた。この往復運動は、往復摩擦試験機 Type :30s (新東科学株式会社製)を用いて行った。この往復運動をすることでコート膜表面についた傷を目視で評価、5段階のランク付けを行った。
キズのランクは以下の通り。
ランク1: スチールウールの幅全体に傷が入り、コート膜が全面的に剥がれている状態。
ランク2: スチールウールの幅全体に深い傷が入っているが、コート膜は残っている状態。
ランク3: 太い傷が数本から十本入った状態。
ランク4: 薄い傷が数本から十本入った状態。
ランク5: 視認できる傷がほとんど無い状態。
ここで、「3.5」および「4.5」のように小数で表されているランクは、それぞれ、ランク3とランク4との間の評価、および、ランク4とランク5との間の評価を表す。
サンプル表面に呼気を数秒吹きかけて、当該サンプル表面に生じる曇りの有無を確認した。ここで、呼気の吹きかけを行ってもサンプル表面に曇りが生じなかったときの評価を「○」とし、呼気の吹きかけを行ったときにサンプル表面に曇りが生じたときの評価を「×」とした。テストは22℃室温下で1時間放置したものを、同温度下で実施した。
なお、下記の各実施例及び各比較例において、「初期 呼気防曇性」とは、後述する「水洗後の評価」を行う前のサンプルについての呼気防曇性を指す。
純水の接触角を接触角計で測定した。測定は、1サンプルについて3箇所行い、これらの値の平均値を水接触角の値とした。ここで、水接触角の値として、着滴してから22秒後の接触角を表記する。
測定に用いた接触角計として、協和界面科学の接触角計DropMaster Model DMs-401を使用した。
なお、下記の各実施例及び各比較例において、「初期 水接触角」とは、後述する「水洗後の評価」を行う前のサンプルについての水接触角を指す。
ビーカー内に純水を入れ、この純水を50℃に加温しながら当該ビーカー上部に被評価サンプルを載せて60秒間保持し、その後、そのままの状態で被評価サンプルを上から目視することによって観察した。この被評価サンプルとして、事前に22℃で1時間以上静置したものを使用した。この保持を開始してから60秒以内に、サンプルが曇るか或いは像が歪んだ状態に至ったときの評価を「×」とし、そうでないときの評価を「○」とした。
サンプル表面を、流水中、クレシアテクノワイプC100−S(日本製紙クレシア株式会社性)で擦りながら5秒間洗浄し、エアーブローで乾燥後2時間室温下で放置するというサイクルを繰り返し、1回目、3回目、および5回目のサイクル後に、上記呼気防曇性および接触角の測定を行った。これに基づき、水洗の繰り返し回数による、呼気防曇性の評価および接触角についての変化を評価することによって、防曇耐久性の評価とした。
なお、3回目および5回目のサイクル後において、呼気防曇性および接触角につき評価「−」とあるのは、呼気防曇性および/または接触角の測定を行わなかったことを示す。
サンプルに対し、温度40℃湿度60%の環境下で光照射を行い、耐光試験を実施した。ここで、光源として、スガ試験機のキセノンウェザー試験機を使用し、照射強度を75W/m2とした。光照射を開始してから、サンプルに外観上のクラックまたは剥がれが生じるまでの照射時間(以下、「耐久時間」)を測定し、この耐久時間を以て耐光性を評価した。
常温常圧環境下において、ガラス製スクリュー管瓶に第一工業製薬製の界面活性剤ハイテノール08E(ポリオキシエチレンオレイルセチルエーテル硫酸塩)を1.0重量部計り取り、次に日産化学工業製オルガノシリカゾルPGM−AC−2140Y(プロピレングリコールモノメチルエーテル分散シリカゾルの表面改質グレード:シリカ粒子含有率42%;粒子径10〜15nm)を66.5重量部添加した。さらに溶媒としてメチルイソブチルケトン3.3重量部添加し、マグネットスターラーと撹拌子で、ハイテノール08Eが完全に溶解するまで撹拌した。次に新中村化学工業製アクリレートのNKエステルA−600(ポリエチレングリコール#600ジアクリレート)を27.9重量部添加し相溶するまでよく撹拌した。次に光重合開始剤として、BASF製Irgacure127(2−ヒドロキシ−1−{4−[4−(2−ヒドロキシ−2−メチル−プロピオニル)−ベンジル]フェニル}−2−メチル−プロパン−1−オン)を1.3重量部添加し、完全に溶解するまで撹拌し、液状の組成物(以下、「貯蔵層形成用組成物A1」)を得た。
界面活性剤としてハイテノール08Eの代わりに、第一工業製薬製の界面活性剤ノイゲンLP−80(ポリオキシアルキレンラウリルエーテル)を使用した以外は、合成例A1と同様に液状の組成物を調製し、貯蔵層形成用組成物A2とした。
この貯蔵層形成用組成物A2は、無機粒子としてアクリロイル基を含む官能基で修飾された無機粒子を、界面活性剤としてノニオン系界面活性剤を含む組成物に該当する。
オルガノシリカゾルPGM−AC−2140Yの量を61.6重量部に、メチルイソブチルケトンの量を3.5重量部に、NKエステルA−600の量を32.4重量部に、Irgacure127の量を1.5重量部にそれぞれ変更した以外は、合成例A1と同様に液状の組成物を調製し、貯蔵層形成用組成物A3とした。
界面活性剤ハイテノール08Eの量を1.1重量部に、オルガノシリカゾルPGM−AC−2140Yの量を55.2重量部に、メチルイソブチルケトンの量を3.2重量部に、NKエステルA−600の量を38.7重量部に、Irgacure127の量を1.8重量部にそれぞれ変更した以外は、合成例A1と同様に液状の組成物を調製し、貯蔵層形成用組成物A4とした。
常温常圧環境下において、ガラス製スクリュー管瓶に第一工業製薬製の界面活性剤ハイテノール08Eを0.8重量部計り取り、次に日産化学工業製オルガノシリカゾルPGM−ST(プロピレングリコールモノメチルエーテル分散シリカゾル:シリカ粒子含有率30%;粒子径10〜15nm)を73.5重量部添加した。さらに溶媒としてメチルイソブチルケトン2.6重量部添加し、マグネットスターラーと撹拌子で、ハイテノール08Eが完全に溶解するまで撹拌した。次に新中村化学工業製アクリレートのNKエステルA−600を22.0重量部添加し相溶するまでよく撹拌した。次に光重合開始剤として、BASF製Irgacure127を1.1重量部添加し、完全に溶解するまで撹拌し、液状の組成物(以下、「貯蔵層形成用組成物A5」)を得た。
この貯蔵層形成用組成物A5は、無機粒子として(メタ)アクリロイル基を含む官能基で修飾されていない無機粒子を、界面活性剤としてアニオン系界面活性剤を含む組成物に該当する。
界面活性剤を添加しなかった以外は、合成例A1と同様に液状の組成物を調製し、貯蔵層形成用組成物A6とした。
この貯蔵層形成用組成物A6は、無機粒子としてアクリロイル基を含む官能基で修飾された無機粒子を含むが、界面活性剤は含まない組成物である。
常温常圧環境下において、ガラス製スクリュー管瓶に第一工業製薬製の界面活性剤ハイテノール08Eを0.7重量部計り取り、次に日産化学工業製オルガノシリカゾルPGM−AC−2140Yを45.9重量部添加した。さらに溶媒としてメチルイソブチルケトン4.6重量部とプロピレングリコールモノメチルエーテル28.6重量部を添加し、マグネットスターラーと撹拌子で、ハイテノール08Eが完全に溶解するまで撹拌した。次に新中村化学工業製アクリレートのNKエステルA−600を19.3重量部添加し相溶するまでよく撹拌した。次に光重合開始剤として、BASF製Irgacure127を0.9重量部添加し、完全に溶解するまで撹拌し、液状の組成物(以下、「貯蔵層形成用組成物A7」)を得た。
ここで、下記表1に示す重量のうち括弧で囲った値は、計算によって求められた値であることを表している。
常温常圧環境下において、ガラス製スクリュー管瓶に日産化学工業製オルガノシリカゾルPGM−AC−2140Y(プロピレングリコールモノメチルエーテル分散シリカゾルの表面改質グレード:シリカ粒子含有率42%;粒子径10〜15nm)を60.6重量部計り取り、次に溶媒としてプロピレングリコールモノメチルエーテル19.5重量部添加し、更に新中村化学工業製アクリレートのNKエステルA−600(ポリエチレングリコール#600ジアクリレート)を11.7重量部添加し相溶するまでマグネットスターラーと撹拌子でよく撹拌した。次にプロピレングリコールモノメチルエーテルに分散した3−スルホプロピルアクリレートカリウム塩(SPA−K)分散液(SPA−K 30.0重量%・水9.0重量%・プロピレングリコールモノメチルエーテル61.0重量%)を3.4重量部添加し、完全に相溶するまでよく撹拌した。次にペレックスTR分散液(ペレックスTR(ジアルキルスルホコハク酸ナトリウム) 10.0重量%・プロピレングリコールモノメチルエーテル90.0重量%)を3.2重量部添加し、完全に相溶するまでよく撹拌した。次に光重合開始剤として、BASF製Irgacure127(2−ヒドロキシ−1−{4−[4−(2−ヒドロキシ−2−メチル−プロピオニル)−ベンジル]フェニル}−2−メチル−プロパン−1−オン)を1.6重量部添加し、完全に溶解するまで撹拌し、液状の組成物(以下、「緩衝層形成用組成物B1」)を得た。
この緩衝層形成用組成物B1は、無機粒子としてアクリロイル基を含む官能基で修飾された無機粒子を、界面活性剤としてアニオン系界面活性剤を含む組成物に該当する。
常温常圧環境下において、ガラス製スクリュー管瓶に日産化学工業製オルガノシリカゾルPGM−AC−2140Y(シリカ粒子含有率42%)を59.2重量部計り取り、次に溶媒としてプロピレングリコールモノメチルエーテル19.2重量部添加し、更に新中村化学工業製アクリレートのNKエステルA−600を11.4重量部添加し相溶するまでマグネットスターラーと撹拌子でよく撹拌した。次にプロピレングリコールモノメチルエーテルに分散したSPA−K分散液(SPA−K 30.0重量%・水9.0重量%・プロピレングリコールモノメチルエーテル61.0重量%)を3.3重量部添加し、完全に相溶するまでよく撹拌した。次にペレックスTR分散液(ペレックスTR 10.0重量%・プロピレングリコールモノメチルエーテル90.0重量%)を3.1重量部添加し、完全に相溶するまでよく撹拌した。次に、ハイテノール08E(ポリオキシエチレンオレイルセチルエーテル硫酸塩;第一工業製薬製) 10.0重量%とプロピレングリコールモノメチルエーテル90.0重量%とからなるハイテノール08E分散液を2.2重量部添加し、よく撹拌した。次に光重合開始剤として、BASF製Irgacure127を1.6重量部添加し、完全に溶解するまで撹拌し、液状の組成物(以下、「緩衝層形成用組成物B2」)を得た。
オルガノシリカゾルPGM−AC−2140Yの量を47.4重量部に、プロピレングリコールモノメチルエーテルの量を25.2重量部に、NKエステルA−600の量を15.3重量部に、SPA−K分散液の量を4.4重量部に、ペレックスTR分散液の量を4.1重量部に、ハイテノール08E分散液の量を1.9重量部に、Irgacure127の量を1.7重量部にそれぞれ変更した以外は合成例B2と同様に液状の組成物を調製し、緩衝層形成用組成物B3とした。
オルガノシリカゾルPGM−AC−2140Yの量を44.8重量部に、プロピレングリコールモノメチルエーテルの量を24.2重量部に、NKエステルA−600の量を17.3重量部に、SPA−K分散液の量を5.0重量部に、ペレックスTR分散液の量を4.7重量部に、ハイテノール08E分散液の量を2.1重量部に、Irgacure127の量を1.9重量部にそれぞれ変更した以外は合成例B2と同様に液状の組成物を調製し、緩衝層形成用組成物B4とした。
オルガノシリカゾルPGM−AC−2140Yの量を39.5重量部に、プロピレングリコールモノメチルエーテルの量を27.2重量部に、NKエステルA−600の量を19.0重量部に、SPA−K分散液の量を5.5重量部に、ペレックスTR分散液の量を4.3重量部に、ハイテノール08E分散液の量を2.4重量部に、Irgacure127の量を2.1重量部にそれぞれ変更した以外は合成例B2と同様に液状の組成物を調製し、緩衝層形成用組成物B5とした。
常温常圧環境下において、ガラス製スクリュー管瓶に日産化学工業製オルガノシリカゾルPGM−ST(プロピレングリコールモノメチルエーテル分散シリカゾル:シリカ粒子含有率30%;粒子径10〜15nm)を78.8重量部計り取り、次に新中村化学工業製アクリレートのNKエステルA−600を10.9重量部添加し相溶するまでマグネットスターラーと撹拌子でよく撹拌した。次にプロピレングリコールモノメチルエーテルに分散したSPA−K分散液(SPA−K 30.0重量%・水9.0重量%・プロピレングリコールモノメチルエーテル61.0重量%)を3.1重量部添加し、完全に相溶するまでよく撹拌した。次にペレックスTR分散液(ペレックスTR 10.0重量%・プロピレングリコールモノメチルエーテル90.0重量%)を3.6重量部添加し、完全に相溶するまでよく撹拌した。次にハイテノール08E分散液(ハイテノール08E 10.0重量%・プロピレングリコールモノメチルエーテル90.0重量%)を2.1重量部添加し、よく撹拌した。次に光重合開始剤として、BASF製Irgacure127を1.5重量部添加し、完全に溶解するまで撹拌し、液状の組成物(以下、「緩衝層形成用組成物B6」)を得た。
常温常圧環境下において、ガラス製スクリュー管瓶に日産化学工業製オルガノシリカゾルPGM−AC−2140Y(シリカ粒子含有率42%)を38.7重量部計り取り、更にオルガノシリカゾルPGM−ST(シリカ粒子含有率30%)を13.5重量部計り取り、次に溶媒としてプロピレングリコールモノメチルエーテル19.4重量部添加し、更に新中村化学工業製アクリレートのNKエステルA−600を15.6重量部添加し相溶するまでマグネットスターラーと撹拌子でよく撹拌した。次にプロピレングリコールモノメチルエーテルに分散したSPA−K分散液(SPA−K 30.0重量%・水9.0重量%・プロピレングリコールモノメチルエーテル61.0重量%)を4.5重量部添加し、完全に相溶するまでよく撹拌した。次にペレックスTR分散液(ペレックスTR 10.0重量%・プロピレングリコールモノメチルエーテル90.0重量%)を4.2重量部添加し、完全に相溶するまでよく撹拌した。次にハイテノール08E分散液(ハイテノール08E 10.0重量%・プロピレングリコールモノメチルエーテル90.0重量%)を2.0重量部添加し、よく撹拌した。次に光重合開始剤として、BASF製Irgacure127を2.1重量部添加し、完全に溶解するまで撹拌し、液状の組成物(以下、「緩衝層形成用組成物B7」)を得た。
常温常圧環境下において、ガラス製スクリュー管瓶に日産化学工業製オルガノシリカゾルPGM−AC−2140Y(シリカ粒子含有率42%)を46.8重量部計り取り、次に溶媒としてプロピレングリコールモノメチルエーテル24.4重量部添加し、更に新中村化学工業製アクリレートのNKエステルA−600を15.1重量部添加し相溶するまでマグネットスターラーと撹拌子でよく撹拌した。次にプロピレングリコールモノメチルエーテルに分散したSPA−K分散液(SPA−K 30.0重量%・水9.0重量%・プロピレングリコールモノメチルエーテル61.0重量%)を4.4重量部添加し、完全に相溶するまでよく撹拌した。次にペレックスTR分散液(ペレックスTR 10.0重量%・プロピレングリコールモノメチルエーテル90.0重量%)を4.1重量部添加し、完全に相溶するまでよく撹拌した。次にハイテノール08E分散液(ハイテノール08E 10.0重量%・プロピレングリコールモノメチルエーテル90.0重量%)を2.0重量部添加し、よく撹拌した。次に光安定剤としてアデカ製アデカスタブLA−72を1.6重量部添加し撹拌した。次に光重合開始剤として、BASF製Irgacure127を1.6重量部添加し、完全に溶解するまで撹拌し、液状の組成物(以下、「緩衝層形成用組成物B8」)を得た。
オルガノシリカゾルPGM−AC−2140Yの量を46.9重量部に、プロピレングリコールモノメチルエーテルの量を24.9重量部に、ハイテノール08E分散液の量を1.9重量部に、LA−72の量を1.2重量部にそれぞれ変更した以外は合成例B8と同様に液状の組成物を調製し、緩衝層形成用組成物B9とした。
オルガノシリカゾルPGM−AC−2140Yの量を47.1重量部に、プロピレングリコールモノメチルエーテルの量を25.0重量部に、ハイテノール08E分散液の量を1.9重量部に、LA−72の量を0.8重量部にそれぞれ変更した以外は合成例B8と同様に液状の組成物を調製し、緩衝層形成用組成物B10とした。
ここで、無機粒子(b2)の量につき「固形分量」とあるのは、無機粒子(b2)が対応するゾルの形態で用いられる場合において、そのゾルの重量のうちの含有溶媒以外の成分の重量を表す。また、界面活性剤(b3)等の量につき「有効成分量」とあるのは、各分散液の重量のうちの含有溶媒以外の成分の重量を表す。また、「総乾燥重量」とは、組成物の合計重量から、「溶媒」の項に明記された溶媒の合計重量と「溶媒」以外の成分に含有されうる溶媒成分の合計重量との合計を差し引いてなる重量を表す。
ポリカーボネート板(長さ65mm×幅65mm×厚さ2mm)に貯蔵層形成用組成物A1をスピンコートで塗布した。スピンコートは、貯蔵層形成用組成物A1をコート液として用い、ポリカーボネート板を500rpmで10秒回転させる間に当該ポリカーボネート板の上からコート液を流し、板上で徐々に広げた後1000rpmで10秒間回転させることにより行い、これにより第1の塗布膜を得た。
緩衝層を形成させる際に、緩衝層形成用組成物B1に代えて緩衝層形成用組成物B2を使用した以外は、実施例1と同様に各層の形成を行い、積層体(以下「積層体2」)を得た。
緩衝層を形成させる際に、緩衝層形成用組成物B1に代えて緩衝層形成用組成物B3を使用し、且つ、第2の塗布膜を得た後当該第2の塗布膜へのUV照射を行う前に、この第2の塗布膜を有する中間積層体を一旦80℃の電気炉内で5分乾燥した以外は、実施例1と同様に各層の形成を行い、積層体(以下「積層体3」)を得た。
貯蔵層を形成させる際に、貯蔵層形成用組成物A1に代えて貯蔵層形成用組成物A2を使用した以外は、実施例3と同様に各層の形成を行い、積層体(以下「積層体4」)を得た。
緩衝層を形成させる際に、緩衝層形成用組成物B3に代えて緩衝層形成用組成物B4を使用した以外は、実施例3と同様に各層の形成を行い、積層体(以下「積層体5」)を得た。
緩衝層を形成させる際に、緩衝層形成用組成物B3に代えて緩衝層形成用組成物B5を使用した以外は、実施例3と同様に各層の形成を行い、積層体(以下「積層体6」)を得た。
貯蔵層を形成させる際に、貯蔵層形成用組成物A1に代えて貯蔵層形成用組成物A3を使用し、且つ、緩衝層を形成させる際に、緩衝層形成用組成物B3に代えて緩衝層形成用組成物B4を使用した以外は、実施例3と同様に各層の形成を行い、積層体(以下「積層体7」)を得た。
貯蔵層を形成させる際に、貯蔵層形成用組成物A1に代えて貯蔵層形成用組成物A4を使用した以外は、実施例3と同様に各層の形成を行い、積層体(以下「積層体8」)を得た。
本実施例では、第1の硬化膜(貯蔵層)を構成する無機粒子として、アクリロイル基を含む官能基で修飾された無機粒子を、第2の硬化膜(緩衝層)を構成する無機粒子として、(メタ)アクリロイル基を含む官能基で修飾されていない無機粒子を採用した。
緩衝層を形成させる際に、緩衝層形成用組成物B1に代えて緩衝層形成用組成物B6を使用した以外は、実施例1と同様に各層の形成を行い、積層体(以下「積層体9」)を得た。
本実施例では、第1の硬化膜(貯蔵層)を構成する無機粒子、および、第2の硬化膜(緩衝層)を構成する無機粒子として、共に(メタ)アクリロイル基を含む官能基で修飾されていない無機粒子を採用した。
貯蔵層を形成させる際に、貯蔵層形成用組成物A1に代えて貯蔵層形成用組成物A5を使用し、且つ、緩衝層を形成させる際に、緩衝層形成用組成物B1に代えて緩衝層形成用組成物B6を使用した以外は、実施例1と同様に各層の形成を行い、積層体(以下「積層体10」)を得た。
本実施例では、第1の硬化膜(貯蔵層)を構成する無機粒子として、アクリロイル基を含む官能基で修飾された無機粒子を、第2の硬化膜(緩衝層)を構成する無機粒子として、(メタ)アクリロイル基を含む官能基で修飾されていない無機粒子とアクリロイル基を含む官能基で修飾された無機粒子との混合物を採用した。
緩衝層を形成させる際に、緩衝層形成用組成物B3に代えて緩衝層形成用組成物B7を使用した以外は、実施例3と同様に各層の形成を行い、積層体(以下「積層体11」)を得た。
本比較例では、上記各実施例とは異なり、第1の硬化膜(貯蔵層)の形成のみを行い、第2の硬化膜(緩衝層)の形成は行わなかった。
ここで、第1の硬化膜(貯蔵層)の形成は実施例10と同様に行った。これによって得られる第1の硬化膜(貯蔵層)を有する積層体は、緩衝層の形成のための塗布・成膜プロセスを実施することなく、そのまま積層体C1として用いた。
本比較例では、上記各実施例とは異なり、第1の硬化膜(貯蔵層)の形成のみを行い、第2の硬化膜(緩衝層)の形成は行わなかった。
ここで、第1の硬化膜(貯蔵層)の形成は実施例1と同様に行った。これによって得られる第1の硬化膜(貯蔵層)を有する積層体は、緩衝層の形成のための塗布・成膜プロセスを実施することなく、そのまま積層体C2として用いた。
本比較例では、上記各実施例とは異なり、界面活性剤を含まない組成物を用いて貯蔵層を形成した。
すなわち、貯蔵層を形成させる際に、貯蔵層形成用組成物A1に代えて貯蔵層形成用組成物A6を使用し、且つ、緩衝層を形成させる際に、緩衝層形成用組成物B1に代えて緩衝層形成用組成物B2を使用した以外は、実施例1と同様に各層の形成を行い、積層体(以下「積層体C3」)を得た。
本比較例では、上記各実施例とは異なり、第2の硬化膜(緩衝層)の形成のみを行い、第1の硬化膜(貯蔵層)の形成は行わなかった。
すなわち、緩衝層形成用組成物B6の塗布をポリカーボネート板に対して直接行ったことを除き、実施例9と同様に第2の硬化膜(緩衝層)の形成を行い、緩衝層は有するが貯蔵層は有さない積層体(以下「積層体C4」)を得た。
本比較例では、上記各実施例とは異なり、第2の硬化膜(緩衝層)の形成のみを行い、第1の硬化膜(貯蔵層)の形成は行わなかった。
すなわち、緩衝層形成用組成物B2の塗布をポリカーボネート板に対して直接行ったことを除き、実施例2と同様に第2の硬化膜(緩衝層)の形成を行い、緩衝層は有するが貯蔵層は有さない積層体(以下「積層体C5」)を得た。
本比較例では、第1の硬化膜(貯蔵層)として、上記各実施例よりも薄い厚さのものを有する積層体を形成した。
貯蔵層を形成させる際に、貯蔵層形成用組成物A1に代えて貯蔵層形成用組成物A7を使用した以外は、実施例3と同様に各層の形成を行い、積層体(以下「積層体C6」)を得た。
本比較例では、第1の硬化膜(貯蔵層)を構成する無機粒子として、(メタ)アクリロイル基を含む官能基で修飾されていない無機粒子を、第2の硬化膜(緩衝層)を構成する無機粒子として、アクリロイル基を含む官能基で修飾された無機粒子を採用した。
貯蔵層を形成させる際に、貯蔵層形成用組成物A1に代えて貯蔵層形成用組成物A5を使用し、且つ、緩衝層を形成させる際に、緩衝層形成用組成物B1に代えて緩衝層形成用組成物B2を使用した以外は、実施例1と同様に各層の形成を行い、積層体(以下「積層体C7」)を得た。
緩衝層を形成させる際に、緩衝層形成用組成物B3に代えて緩衝層形成用組成物B8を使用した以外は、実施例3と同様に各層の形成を行い、積層体(以下「積層体12」)を得た。
緩衝層を形成させる際に、緩衝層形成用組成物B3に代えて緩衝層形成用組成物B9を使用した以外は、実施例3と同様に各層の形成を行い、積層体(以下「積層体13」)を得た。
緩衝層を形成させる際に、緩衝層形成用組成物B3に代えて緩衝層形成用組成物B10を使用した以外は、実施例3と同様に各層の形成を行い、積層体(以下「積層体R1」)を得た。
光安定剤なしの積層体として、実施例3と同様にして得られた積層体を、「積層体R2」として用いた。
上記実施例12,13,R1およびR2のそれぞれについて、評価結果を下記表4に示す。ここで、表4に記載の「固形分量」、「有効成分量」、および、「総乾燥重量」の定義は、上記表2−1〜表2−2に記載の「固形分量」、「有効成分量」、および、「総乾燥重量」とそれぞれ同じである。
Claims (15)
- 基材と、貯蔵層(A)と、緩衝層(B)とをこの順で含み;
当該貯蔵層(A)と、当該緩衝層(B)とが互いに直に接しており;
当該緩衝層(B)の厚さに対する当該貯蔵層(A)の厚さの比が、1.3〜15の範囲にあり、
前記貯蔵層(A)が、
2以上の(メタ)アクリロイル基を有する多官能モノマー(a1)、
無機粒子(a2)、および
界面活性剤(a3)
を含む組成物(A−1)の硬化物からなり;
前記緩衝層(B)が、
2以上の(メタ)アクリロイル基を有する多官能モノマー(b1)、および
無機粒子(b2)
を含む組成物(B−1)の硬化物からなり;
前記組成物(B−1)は、界面活性剤(b3)をさらに含むか、あるいは、含まず;
前記組成物(B−1)が前記界面活性剤(b3)をさらに含む場合、前記組成物(B−1)の総乾燥重量に対する当該界面活性剤(b3)の含有重量は、前記組成物(A−1)の総乾燥重量に対する前記界面活性剤(a3)の含有重量よりも少なく;且つ、
前記無機粒子(a2)が、(メタ)アクリロイル基を含む官能基で修飾された無機粒子(a2−1)を含むか、あるいは、
前記無機粒子(a2)が(メタ)アクリロイル基を含む官能基で修飾されていない無機粒子(a2−0)であり且つ前記無機粒子(b2)が(メタ)アクリロイル基を含む官能基で修飾されていない無機粒子(b2−0)である、
積層体。 - 前記無機粒子(a2)が、(メタ)アクリロイル基を含む官能基で修飾された無機粒子(a2−1)を含み、
前記無機粒子(b2)が、(メタ)アクリロイル基を含む官能基で修飾された無機粒子(b2−1)を含む、請求項1に記載の積層体。 - 前記無機粒子(a2−1)および前記無機粒子(b2−1)が、それぞれ独立に、(メタ)アクリロイル基を含む官能基で修飾されたシリカ粒子と(メタ)アクリロイル基を含む官能基で修飾されたジルコニア粒子とからなる群より選ばれる1以上である請求項2に記載の積層体。
- 前記無機粒子(b2)が、(メタ)アクリロイル基を含む官能基で修飾されていない無機粒子(b2−0)を含み、且つ、
前記組成物(B−1)中の、前記(メタ)アクリロイル基を含む官能基で修飾された無機粒子(b2−1)の含有重量が、当該(メタ)アクリロイル基を含む官能基で修飾されていない無機粒子(b2−0)の含有重量よりも多い、請求項2または3に記載の積層体。 - 前記組成物(B−1)の総乾燥重量に対する前記多官能モノマー(b1)の含有重量が、前記組成物(A−1)の総乾燥重量に対する前記多官能モノマー(a1)の含有重量よりも少ない請求項1〜4のいずれか1項に記載の積層体。
- 前記界面活性剤(a3)および前記界面活性剤(b3)が、ポリオキシアルキレン構造を有する請求項1〜6のいずれか1項に記載の積層体。
- 前記界面活性剤(a3)および前記界面活性剤(b3)として、ポリオキシエチレンラウリルエーテル硫酸塩、ポリオキシエチレンオレイルセチルエーテル硫酸塩、およびポリオキシアルキレンラウリルエーテルからなる群より選ばれるいずれか1以上を含む請求項1〜7のいずれか1項に記載の積層体。
- 前記組成物(B−1)の総乾燥重量に対する前記無機粒子(b2)の含有量が40〜70重量%である請求項1〜8のいずれか1項に記載の積層体。
- 前記組成物(A−1)の総乾燥重量に対する前記界面活性剤(a3)の含有量が1.0〜5.0重量%である請求項1〜9のいずれか1項に記載の積層体。
- 前記組成物(B−1)が、(メタ)アクリロイル基とアニオン性親水基とを有する化合物をさらに含む請求項1〜10のいずれか1項に記載の積層体。
- 前記緩衝層(B)が、光安定剤を、前記組成物(B−1)の総乾燥重量に対して3重量%以上含む請求項1〜11のいずれか1項に記載の積層体。
- 前記貯蔵層(A)の厚さが4.0μm以上である請求項1〜12のいずれか1項に記載の積層体。
- (S1):前記基材を含む層の少なくとも一方の面に対して、
前記多官能モノマー(a1)、
前記無機粒子(a2)、
前記界面活性剤(a3)、および
溶媒(a4)
を含む組成物(A−1a)の塗布物層(A2)を設ける工程、
(S2):前記工程(S1)で得られた塗布物層(A2)から前記溶媒(a4)を除去する工程、
(S3):前記工程(S2)の後に、塗布物層(A2)の硬化を行い、当該塗布物層(A2)を硬化物層(A2')に変換する工程、
(S4):前記工程(S3)の後に、前記硬化物層(A2')上に、
前記多官能モノマー(b1)、
前記無機粒子(b2)、および
溶媒(b4)
を含む組成物(B−1a)の塗布物層(B2)を設ける工程、
(S5):前記工程(S4)で得られた塗布物層(B2)から前記溶媒(b4)を除去する工程、および
(S6):前記工程(S5)の後に、塗布物層(B2)の硬化を行い、当該塗布物層(B2)を硬化物層(B2')に変換する工程、
を含み;
前記組成物(A−1a)100重量部あたりの前記組成物(A−1a)の総乾燥重量は、46重量部以上100重量部未満であり;
前記組成物(B−1a)は、前記界面活性剤(b3)をさらに含むか、あるいは、含まず;
前記組成物(B−1)が前記界面活性剤(b3)をさらに含む場合、前記組成物(B−1)の総乾燥重量に対する当該界面活性剤(b3)の含有重量は、前記組成物(A−1)の総乾燥重量に対する前記界面活性剤(a3)の含有重量よりも少なく;且つ、
前記無機粒子(a2)が、(メタ)アクリロイル基を含む官能基で修飾された無機粒子(a2−1)を含むか、あるいは、
前記無機粒子(a2)が(メタ)アクリロイル基を含む官能基で修飾されていない無機粒子(a2−0)であり且つ前記無機粒子(b2)が(メタ)アクリロイル基を含む官能基で修飾されていない無機粒子(b2−0)である、
請求項1に記載の積層体の製造方法。 - 前記工程(S5)が、50〜90℃での加熱下で行われる請求項14に記載の製造方法。
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