JPWO2019177042A1 - 化合物、分散剤、複合体、分散液、および複合体の製造方法 - Google Patents

化合物、分散剤、複合体、分散液、および複合体の製造方法 Download PDF

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Abstract

下記一般式(1)で表わされる化合物。[化1](式(1)中のR1〜R3は、それぞれ炭素数1〜12のアルキル基またはフェニル基である。X1−は、Cl−、Br−、I−、PF6−、Tf2N−、BETI−、TSAC−から選ばれるいずれかの陰イオンである。)

Description

本発明は、化合物、分散剤、複合体、分散液、および複合体の製造方法に関する。
本出願は、2018年3月14日に日本に出願された特願2018−47036に基づき優先権を主張し、その内容をここに援用する。
金属ナノ粒子を溶媒に分散させる分散剤としては、従来、オレイン酸、オレイルアミン、クエン酸、ドーパミンなどが用いられている。また、金属ナノ粒子を溶媒に分散させる分散剤として、例えば、特許文献1に記載の粒子分散剤が提案されている。特許文献1に記載の粒子分散剤は、磁性粒子と配位結合できる構造であるカテコール骨格を有する。また、特許文献1には、磁性粒子を分散剤で被覆した水分散性磁性粒子が記載され、磁性粒子として金属酸化物が記載されている。
金属ナノ粒子であるCoFeナノ粒子は、超磁性体もしくは強磁性体としての性質を有する。CoFeナノ粒子は、磁気的性質を有さない媒体に混合することにより、媒体に磁気的性質を付与できる。
CoFeナノ粒子は、磁気テープ・ハードディスク・磁気スイッチなどに用いられている。
特開2008−69092号公報
しかしながら、従来の分散剤は、広範囲の溶媒に使用できるものではなかった。
また、CoFeナノ粒子は、可視光領域に強い吸収を持ち、茶褐色である。そのため、従来、CoFeナノ粒子を媒体に混合した材料は、茶褐色であり、使用用途が限られていた。
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、金属ナノ粒子を広範囲の溶媒に分散させる分散剤として好適に使用できる化合物、およびこれを含む分散剤を提供することを課題とする。
また、本発明は、上記化合物とCoFeナノ粒子との複合体であって、広範囲の溶媒に分散させることができる複合体、および複合体の製造方法、複合体を溶媒中に分散させた分散液を提供することを課題とする。
[1] 下記一般式(1)で表わされる化合物。
(式(1)中のR〜Rは、それぞれ炭素数1〜12のアルキル基またはフェニル基である。X は、Cl、Br、I、PF 、Tf、BETI、TSACから選ばれるいずれかの陰イオンである。)
[2] 前記式(1)中のX がClである[1]に記載の化合物。
[3] 前記式(1)中のR〜Rがいずれもn−ブチル基である[1]または[2]に記載の化合物。
[4] 金属ナノ粒子を溶媒に分散させる分散剤であり、
[1]〜[3]のいずれかに記載の化合物を含む分散剤。
[5] 金属酸化物ナノ粒子と化合物との複合体であり、下記一般式(2)で表わされる複合体。
(式(2)中、Aは金属酸化物である。R〜Rは、それぞれ炭素数1〜12のアルキル基またはフェニル基である。X は、Cl、Br、I、PF 、Tf、BETI、TSACから選ばれるいずれかの陰イオンである。)
[6] 前記金属酸化物が、CoFe、Fe、TiO、ZnOから選ばれるいずれか一種である[5]に記載の複合体。
[7] 前記金属酸化物が、CoFeである[5]に記載の複合体。
[8] 前記式(2)中のX がClである[5]〜[7]のいずれかに記載の複合体。
[9] 前記式(2)中のR〜Rがいずれもn−ブチル基である[5]〜[8]のいずれかに記載の複合体。
[10] [5]〜[9]のいずれかに記載の複合体を溶媒中に分散させたことを特徴とする分散液。
[11] 前記溶媒の25℃での比誘電率が4.8〜80である[10]に記載の分散液。
[12] CoFeナノ粒子を、アルコールを用いて洗浄する洗浄工程と、
洗浄後のCoFeナノ粒子と、[1]〜[3]のいずれかに記載の化合物とを、オレイルアミンの存在下で反応させて複合体を生成させる反応工程とを有することを特徴とする複合体の製造方法。
本発明の化合物は、カテコール骨格の有する2つの水酸基(−OH)よって金属ナノ粒子と結合し、かつ有機ホスホニウムイオンを有する。このため、本発明の化合物は、金属ナノ粒子を広範囲の溶媒に分散させる分散剤として好適に使用できる。
本発明の複合体は、カテコール骨格の有する2つの水酸基(−OH)がCoFeナノ粒子と結合し、かつ有機ホスホニウムイオンを有する複合体である。このため、本発明の複合体は、広範囲の溶媒に分散させることができる。
化合物AのH−NMR測定を行った結果を示したグラフである。 実施例1のナノ粒子のアガロースゲル電気泳動の結果を示した写真である。 化合物AとCoFeナノ粒子との複合体の透過型電子顕微鏡写真である。 オレイン酸とオレイルアミンで被覆したCoFeナノ粒子の透過型電子顕微鏡写真である。 実施例1のナノ粒子を溶媒中に分散させた分散液の吸光度を測定した結果を示すスペクトルである。 実施例1のナノ粒子を溶媒中に分散させた分散液の吸光度を測定した結果を示すスペクトルである。 実施例1のナノ粒子を溶媒中に分散させた分散液の吸光度を測定した結果を示すスペクトルである。 実施例1のナノ粒子を溶媒中に分散させた分散液の吸光度を測定した結果を示すスペクトルである。 実施例2の複合体を溶媒1〜7中に分散させた分散液の写真である。 実施例3の複合体を溶媒1〜7中に分散させた分散液の写真である。 実施例4の複合体を溶媒1〜7中に分散させた分散液の写真である。 実施例2の複合体の透過型電子顕微鏡写真である。 実施例3の複合体の透過型電子顕微鏡写真である。 実施例4の複合体の透過型電子顕微鏡写真である。 実施例5の複合体の分散液と、オレイン酸で被覆したCoFeナノ粒子の分散液の写真である。 実施例5の複合体の分散液と、オレイン酸で被覆したCoFeナノ粒子の分散液の吸光度を測定した結果を示すスペクトルである。 実施例5の複合体を溶媒11〜20中に分散させた分散液の写真である。
以下、本発明の化合物、分散剤、複合体、分散液、および複合体の製造方法について詳細に説明する。
<化合物>
本発明者は、上記課題を解決するために、鋭意検討を重ねた。
その結果、カテコール骨格の有する2つの水酸基(−OH)よって金属ナノ粒子と結合し、かつ有機ホスホニウムイオンを有する化合物が、金属ナノ粒子を広範囲の溶媒に分散させる分散剤として使用できることを見出し、本発明を完成した。
本実施形態の化合物は、下記一般式(1)で表わされる。
(式(1)中のR〜Rは、それぞれ炭素数1〜12のアルキル基またはフェニル基である。X は、Cl、Br、I、PF 、Tf、BETI、TSACから選ばれるいずれかの陰イオンである。)
式(1)中のR〜Rは、それぞれ炭素数1〜12のアルキル基またはフェニル基である。R〜Rとして用いられる炭素数1〜12のアルキル基は、直鎖であってもよいし、分岐していてもよいし、環式であってもよい。式(1)中のR〜Rは、一般式(1)で表わされる化合物の両親媒性を高めるため、いずれもn−ブチル基であることが好ましい。
式(1)中のX は、Cl、Br、I、ヘキサフルオロフォスフェート(PF )、ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド(Tf)、ビス(パーフルオロエチルスルホニル)イミド(BETI)、(2,2,2−トリフルオロ−N−(トリフルオロメタンスルホニル)アセトアミド(TSAC)から選ばれるいずれかの陰イオンである。式(1)中のX は、標準的なアニオンであるため、Clが好ましい。
式(1)で表される化合物では、金属ナノ粒子を分散させる溶媒の種類に応じて、X を適宜選択することが好ましい。
式(1)で表される化合物を製造する方法は、式(1)中のR〜R、Xに応じて適宜決定することができ、特に限定されない。
式(1)で表される化合物を製造する方法としては、例えば、アクリルドーパミンに有機ホスホニウムイオンを共有結合させる方法などが挙げられる。
具体的には、アクリルドーパミンと有機ホスホニウムとを酸性条件下で反応させて得た反応物と、所望の陰イオンを生成する化合物とを反応させる方法が挙げられる。
アクリルドーパミンと反応させる有機ホスホニウムとしては、式(1)中のR〜Rに対応する有機基を有する有機ホスホニウムが用いられる。例えば、式(1)中のR〜Rがいずれもn−ブチル基である化合物を製造する場合、トリブチルホスフィンを用いる。
所望の陰イオンを生成する化合物としては塩酸が挙げられる。式(1)中のXがClである化合物を製造する場合、塩酸を用いることが好ましい。
がCl以外である化合物を製造する場合、例えば、XがClである化合物を用いて、以下に示す方法により式(1)で表される化合物を製造できる。すなわち、XがClである化合物をクロロホルムに溶解してクロロホルム溶液とする。このクロロホルム溶液に、所望の陰イオンを含むリチウム塩を、XがClである化合物と等量添加して反応溶液する。その後、反応溶液を例えば60℃で2時間加熱し、反応溶液と等量の水を用いて、副生する塩化リチウムを除去することにより製造できる。
式(1)で表される化合物は、カテコール骨格の有する2つの水酸基(−OH)よって金属ナノ粒子と結合し、かつ有機ホスホニウムイオンを有することにより金属ナノ粒子を広範囲の溶媒に分散させる分散剤として使用できる。具体的には、式(1)で表される化合物は、金属ナノ粒子を広範囲の溶媒(25℃での比誘電率4.8〜80)に分散させる分散剤として使用できる。
<分散剤>
本実施形態の分散剤は、金属ナノ粒子を溶媒に分散させる分散剤であり、式(1)で表される化合物を含む。
本実施形態における金属ナノ粒子は、粒径が10〜50nmの範囲であることが好ましく、15〜30nmの範囲であることがより好ましい。金属ナノ粒子の粒径が10〜50nmの範囲であると、溶媒に分散させることにより、磁気テープ、ハードディスク、磁気スイッチなど様々な製品に好ましく使用できる磁気材料となる。
本実施形態における金属ナノ粒子の粒径とは、溶媒に分散させた状態で紫外・可視吸収スペクトル法(UV−VISスペクトル法)を用いて動的光散乱法により測定した平均粒子径を意味する。
本実施形態の分散剤において、溶媒に分散させる金属ナノ粒子としては、例えば、CoFe、CuO、Fe、Fe、TiO、ZnOなどの遷移金属酸化物、チタン、金、銀などの金属からなるナノ粒子が挙げられる。上記の金属ナノ粒子は、1種のみ単独で分散されていてもよいし、2種以上混合して使用してもよい。
本実施形態の分散剤において、金属ナノ粒子を分散させる溶媒としては、25℃での比誘電率4.8〜80の溶媒を用いることが好ましく、比誘電率4.8〜70の溶媒を用いることがより好ましい。
具体的には、溶媒として、ジメチルスルホキシド(DMSO)(25℃での比誘電率;48.9)、エチレングリコール(EG)(25℃での比誘電率;38.7)、N,N−ジメチルホルムアミド(DMF)(25℃での比誘電率;38)、アセトニトリル(ACN)(25℃での比誘電率;37)、アセトン(ACE)(25℃での比誘電率;21)、テトラヒドロフラン(THF)(25℃での比誘電率;7.5)、クロロホルム(CHL)(25℃での比誘電率;4.8)、イソプロパノール(ISO)(25℃での比誘電率;18)、エタノール(eta)(25℃での比誘電率;24)、メタノール(met)(25℃での比誘電率;33)、水(HO)(25℃での比誘電率;80)などを用いることができる。上記の溶媒は、1種のみ単独で使用してもよいし、2種以上混合して使用してもよい。
<複合体>
本実施形態の複合体は、金属酸化物ナノ粒子と式(1)で表される化合物との複合体であり、下記一般式(2)で表わされる。
(式(2)中、Aは金属酸化物である。R〜Rは、それぞれ炭素数1〜12のアルキル基またはフェニル基である。X は、Cl、Br、I、PF 、Tf、BETI、TSACから選ばれるいずれかの陰イオンである。)
式(2)中のAで示される金属酸化物は、CoFe、Fe、TiO、ZnOから選ばれるいずれか一種であることが好ましく、特にCoFeであることが好ましい。
CoFe、Fe、TiO、ZnOから選ばれるいずれか一種の金属酸化物と、式(1)で表される化合物との複合体は、広範囲の溶媒に分散できる。
本実施形態の複合体は、CoFeナノ粒子と式(1)で表される化合物との複合体であることが好ましい。
式(2)中のR〜Rは、それぞれ炭素数1〜12のアルキル基またはフェニル基である。R〜Rとして用いられる炭素数1〜12のアルキル基は、直鎖であってもよいし、分岐していてもよいし、環式であってもよい。式(2)中のR〜Rは、一般式(2)で表わされる複合体の両親媒性を高めるため、いずれもn−ブチル基であることが好ましい。
式(2)中のX は、Cl、Br、I、PF 、Tf、BETI、TSACから選ばれるいずれかの陰イオンであり、式(1)中のX と同様に、Clが好ましい。
<複合体の製造方法>
式(2)で表わされる複合体を製造する方法としては、例えば、金属酸化物ナノ粒子を溶媒に分散させた分散液と、式(1)で表される化合物を溶媒に溶解させた分散剤とを混合し、式(1)で表される化合物のカテコール骨格の有する2つの水酸基(−OH)に金属ナノ粒子を結合させる方法が挙げられる。
本実施形態の複合体は、カテコール骨格の有する2つの水酸基(−OH)が金属酸化物ナノ粒子と結合し、かつ有機ホスホニウムイオンを有する複合体である。このため、本実施形態の複合体は、広範囲の溶媒に分散させることができる。
金属酸化物ナノ粒子として、CoFeナノ粒子を含む複合体を製造する場合、以下に示す製造方法を用いることが好ましい。
まず、酢酸系化合物で被覆したCoFeナノ粒子を用意する。酢酸系化合物としては、例えば、オレイン酸、ノナデカン酸、酪酸、ヘキサン酸などを用いることができ、溶媒の親和性の観点からオレイン酸を用いることが好ましい。
酢酸系化合物で被覆したCoFeナノ粒子は、従来公知の方法により製造できる。
次に、酢酸系化合物で被覆したCoFeナノ粒子を、アルコールを用いて洗浄する(洗浄工程)。洗浄工程において使用するアルコールとしては、例えば、メタノールおよび/またはエタノールが挙げられる。
次に、洗浄後の酢酸系化合物で被覆したCoFeナノ粒子と、式(1)で表される化合物とを、オレイルアミンの存在下で反応させて複合体を生成させる(反応工程)。
以上の工程を行うことにより、CoFeナノ粒子と式(1)で表される化合物との複合体が得られる。
このようにして得られたCoFeナノ粒子と式(1)で表される化合物との複合体は、広範囲の溶媒に分散させることができる。しかも、この複合体は、これを溶媒中に分散させた分散液を着色しないため、好ましい。
<分散液>
本実施形態の分散液は、本実施形態の複合体を溶媒中に分散させたものである。
本実施形態の分散液において、複合体を分散させる溶媒としては、25℃での比誘電率4.8〜80の溶媒を用いることが好ましく、具体的には、上述した分散剤において金属ナノ粒子を分散させる溶媒として挙げたものと同様のものを用いることができる。
本実施形態の分散液の色は、溶媒の比誘電率に応じて変化する。具体的には、分散液の溶媒の比誘電率が高いほど、分散液を紫外・可視吸収スペクトル法(UV−VISスペクトル法)を用いて測定したスペクトルの極大吸収波長が大きくなる傾向がある。
本実施形態の分散液は、本実施形態の複合体を溶媒中に分散させたものであればよく、本実施形態の複合体と溶媒の他に、例えば、テトラブチルホスホニウムクロリド(TC)などが含まれていてもよい。
分散液中にテトラブチルホスホニウムクロリド(TC)を含有させることにより、分散液の色を変化させることができる。
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明はこれに限定されることはなく、その発明の技術的思想を逸脱しない範囲で適宜変更可能である。
「化合物の合成」
3−ヒドロキシチラミン塩酸塩(10.0g、52.8mmol)と、トリエチルアミン(7.31mL、52.7mmol)とをメタノール(100mL)に溶解して原料溶液とした。
次に、原料溶液を氷浴上で冷却し、pH9に維持しながら、トリエチルアミン(11.0mL、79.1mmol)と塩化アクリロイル(5.11mL、63.2mmol)とメタノール(11mL)の混合溶液と、テトラヒドロフラン(5mL)とを交互に滴下した後、室温で1時間撹拌し、反応させた。
真空下で反応後の溶液から溶媒を除去し、残渣を酢酸エチルに溶解し、1mol/Lの塩酸とブライン(飽和塩化ナトリウム水溶液)とを用いて洗浄した。洗浄後の溶液に硫酸ナトリウムを添加して有機層を乾燥させた後、濾過して硫酸ナトリウムを除去した。乾燥後の溶液(濾液)を蒸発させて濃縮し、アクリルドーパミンを得た。
このようにして得られたアクリルドーパミン(3g、14.4mmol)をジオキサン(20mL)に溶解し、酢酸(1.73g、28.8mmol(密度1.05g/cm、1.64mL))と、トリブチルホスフィン(2.91g、14.4mmol、3.64mL)とを添加し、常温で1時間保持して反応させた。
反応後の溶液に1mol/Lの塩酸(30mL)を添加し、ヘキサン(30mL)で2回洗浄した後、クロロホルム(30mL)を用いて2回抽出し、エバポレータを用いて溶媒を減圧除去した。残渣をメタノール(20mL)と1mol/Lの塩酸(20mL)との混合溶液に溶解し、80℃で3時間保持し、エバポレータを用いて溶媒を減圧除去し、目的物である白色個体からなる化合物Aを得た(収率70%)。
「化合物の同定」
このようにして得られた化合物AのH−NMR測定を行い、図1に示す結果により構造を同定した。その結果、化合物Aは、式(1)で表される化合物(式(1)中のR〜Rはいずれもn−ブチル基であり、X がClである。)であることが確認できた。
「複合体の製造」
(実施例1)
オレイルアミンで被覆したCoFeナノ粒子(500mg)を、クロロホルム(200mL)に溶解し、シリンジを用いて分散剤(20mL)を添加した。分散剤としては、100mg/mLの濃度でクロロホルムに化合物Aを溶解したものを用いた。分散剤を添加した溶液を、スターラーを用いて500rpmの回転速度で、50℃で24時間撹拌した。その後、溶液量が10mLとなるまで、エバポレータを用いてクロロホルムを減圧除去した。
この溶液をヘキサン30mLとともに50mLのコニカルチューブ(ファルコン社製)に入れたところ、赤紫色の沈殿物が生成した。この操作を3回繰り返した。その後、沈殿物をクロロホルム(50mL)と水(100mL)との混合溶液に入れ、液液分離し、水層からエバポレータを用いて水を減圧除去し、目的物である実施例1のナノ粒子を得た。
このようにして得られた実施例1のナノ粒子について、以下に示す方法により、アガロースゲル電気泳動を行った。
トリス、酢酸、エチレンジアミン四酢酸緩衝液(TAEバッファー)に対して、1重量%のアガロースを添加してアガロースゲルを作製する。次いで、作製したアガロースゲルに、20%グリセロール水溶液に分散させたナノ粒子を添加し、電圧をかける。このことにより、ナノ粒子がマイナス電極側に移動する。その結果を図2に示す。
図2に示すように、実施例1のナノ粒子は、アガロースゲル電気泳動により泳動した。したがって、実施例1のナノ粒子では、例えば、ナノ粒子の粒径を分離する方法として、アガロースゲル電気泳動を用いることができる。
また、CoFeナノ粒子の表面が化合物Aで被覆された複合体は、表面が正に帯電している。実施例1のナノ粒子は、プラスからマイナスの方向に泳動した。このことから、実施例1のナノ粒子は、CoFeナノ粒子の表面が化合物Aで被覆された複合体であるといえる。
(比較例1)
ナスフラスコに、ジフェニルエーテル(30mL)と、トリス(2,4−ペンタンジオナト)鉄(III)(0.353g)と、ビス(2,4−ペンタンジオナト)コバルト(II)(0.129g)と、オレイン酸(3.808mL)とを入れて金属粒子溶液とした。金属粒子溶液を、オイルバスを用いて180℃で24時間加熱し、室温になるまで冷ました。冷ました金属粒子溶液(10mL)を、スターラーチップとともにナスフラスコに入れ、攪拌しながら180℃で30分間加熱して脱水した。
ジフェニルエーテル(30mL)を、オイルバスを用いて180℃で30分間加熱し、ジフェニルエーテル中の水を除去した。ナスフラスコに、水を除去したジフェニルエーテル(30mL)と、オレイン酸(0.5mL)と、オレイルアミン(3.0mL)とをスターラーチップとともに入れ、攪拌しながら脱水後の金属粒子溶液を滴下し、オイルバスを用いて180℃で1.5時間加熱し、室温になるまで冷ました。
冷ました溶液に、溶液の3倍量のメタノールを入れて回転速度5000rpmで5分間遠心分離し、沈殿物を得た。上澄みを捨て、沈殿物をメタノールで洗浄した後、クロロホルムに分散させ、回転速度7000rpmで5分間遠心分離した。遠心分離後の溶液から上澄みを除去し、目的物である比較例1のナノ粒子(沈殿物)を得た。
「複合体の分散性」
このようにして得られた実施例1のナノ粒子(化合物AとCoFeナノ粒子との複合体)と、比較例1のナノ粒子(オレイン酸とオレイルアミンで被覆したCoFeナノ粒子)とを、以下に示す方法により、それぞれ透過型電子顕微鏡(TEM)で観察した。その結果を図3および図4に示す。TEMグリットは、メタノール中に分散させたナノ粒子をエラスティックカーボン上にドロップキャストすることで調整した。
図3は、化合物AとCoFeナノ粒子との複合体の透過型電子顕微鏡写真である。図4は、オレイン酸とオレイルアミンで被覆したCoFeナノ粒子の透過型電子顕微鏡写真である。
図3に示す化合物AとCoFeナノ粒子との複合体は、図4に示すオレイン酸とオレイルアミンで被覆したCoFeナノ粒子と比較して、凝集が少なく、分散性が良好であることが確認できた。
「複合体の分散液」
実施例1のナノ粒子(化合物AとCoFeナノ粒子との複合体)を、以下に示す溶媒中に、濃度が80mg/mlとなるように、それぞれ分散させた。その結果、実施例1のナノ粒子は、いずれの溶媒にも分散させることができ、分散液が得られた。
(溶媒)
ジメチルスルホキシド(DMSO)、25℃での比誘電率;48.9
エチレングリコール(EG)、25℃での比誘電率;38.7
N,N−ジメチルホルムアミド(DMF)、25℃での比誘電率;38
アセトニトリル(ACN)、25℃での比誘電率;37
アセトン(ACE)、25℃での比誘電率;21
テトラヒドロフラン(THF)、25℃での比誘電率;7.5
クロロホルム(CHL)、25℃での比誘電率;4.8
イソプロパノール(ISO)、25℃での比誘電率;18
エタノール(eta)、25℃での比誘電率;24
メタノール(met)、25℃での比誘電率;33
水(HO)、25℃での比誘電率;80
「分散液の色」
実施例1のナノ粒子を、ジメチルスルホキシド(DMSO)、N,N−ジメチルホルムアミド(DMF)、アセトニトリル(ACN)、アセトン(ACE)、イソプロパノール(ISO)、エタノール(eta)、メタノール(met)中に、濃度が80mg/mlとなるように、それぞれ分散させて分散液とした。各分散液の吸光度を、紫外・可視吸収スペクトル法(UV−VISスペクトル法)を用いて測定した。その結果を図5および図6に示す。
図5および図6に示すように、実施例1のナノ粒子(化合物AとCoFeナノ粒子との複合体)を上記の溶媒中にそれぞれ分散させた分散液は、それぞれ異なるスペクトル形状を示し、350〜570nmの異なる波長にピーク(極大吸収波長)を有している。このことから、実施例1のナノ粒子は、広範囲の溶媒に分散させることができ、赤紫〜緑色(350〜570nm)までの様々な色を媒体に付加できることが確認できた。
また、実施例1のナノ粒子を上記の溶媒中にそれぞれ分散させた分散液では、溶媒の比誘電率が高いほど、スペクトルの極大吸収波長が大きくなる傾向があることが分かる。
「添加剤と分散液の色の関係」
実施例1のナノ粒子を、溶媒であるクロロホルム(CHL)中に濃度が80mg/mlとなるように分散させた分散液に、添加剤としてテトラブチルホスホニウムクロリド(TC)を、分散液1mLに対して、5mg、10mg、20mg、40mg、80mg添加した液体を作成し、各液体の吸光度を、上述した吸光度測定方法を用いて測定した。その結果を、添加剤を添加していない分散液(0mg)の吸光度とともに、図7に示す。
図7に示すように、添加剤の含有量が多くなるほど、スペクトルの極大吸収波長が小さくなり、液体の色が透明に近づく傾向があることが分かる。
また、比較例1のナノ粒子(オレイン酸とオレイルアミンで被覆したCoFeナノ粒子)をクロロホルム中に濃度が80mg/mlとなるように分散させて、比較例1の分散液を作成した。そして、比較例1の分散液の吸光度を、上述した吸光度測定方法を用いて測定した。その結果を、図7に示す添加剤を添加していない分散液(0mg)の吸光度、および分散液1mLに対してテトラブチルホスホニウムクロリド(TC)を80mg添加した液体の吸光度とともに図8に示す。
図8に示すように、比較例1の分散液の吸光度と、添加剤を添加していない分散液(0mg)の吸光度と、TCを80mg添加した液体の吸光度は、それぞれ異なるスペクトル形状を示した。
「複合体の製造」
(実施例2)
金属酸化物ナノ粒子としての酸化鉄(Fe)0.1gと塩化ナトリウム10gとを100mLのガラスバイアル瓶に計り取り、水を10mL添加して混合溶液とした。得られた混合溶液に、45Hzの超音波を100分間照射し、50mLのコニカルチューブ(ファルコン社製)に移して水を40mL添加し、相対遠心力(RCF)16000gで遠心分離を行って上澄みを除去した。その後、遠心分離により分離された沈殿物に、水を40mL添加して相対遠心力(RCF)16000gで遠心分離を行い、上澄みを除去する操作を、3回繰り返し行った。
次に、遠心分離により分離された沈殿物と、1gの上記化合物Aを50mLの水に溶解したものとを混合し、100mlのナスフラスコに入れて80℃で3時間加熱して反応させた。
反応後の反応液を再び50mLのコニカルチューブに移し、相対遠心力(RCF)16000gで遠心分離を行い、上澄みを除去した。その後、遠心分離により分離された沈殿物に、水を40mL添加して相対遠心力(RCF)16000gで遠心分離を行い、上澄みを除去する操作を、3回繰り返し行った。
その後、遠心分離により分離された沈殿物として、酸化鉄(Fe)ナノ粒子と化合物Aとの複合体を得た。
このようにして得た実施例2の複合体を、以下に示す溶媒1〜7中に、濃度が1mg/mlとなるように、それぞれ分散させた。その結果を図9に示す。
図9は、実施例2の複合体を溶媒1〜7中に分散させた分散液の写真である。図9に示すように、実施例2の複合体は、いずれの溶媒にも分散させることができ、透明な分散液が得られた。また、図9に示すように、酸化鉄(Fe)ナノ粒子が沈殿せず、透明な分散液が得られたことから、実施例2では、酸化鉄(Fe)ナノ粒子が化合物Aと複合体を形成しているといえる。
(溶媒)
溶媒1.水
溶媒2.ジメチルスルホキシド
溶媒3.NNジメチルホルムアミド
溶媒4.メタノール
溶媒5.エタノール
溶媒6.クロロホルム
溶媒7.イソプロパノール
(実施例3)
金属酸化物ナノ粒子として、酸化チタン(TiO)を用いたこと以外は、実施例2と同様にして、酸化チタン(TiO)ナノ粒子と化合物Aとの複合体を得た。
このようにして得られた実施例3の複合体を、実施例2の複合体と同様にして上記の溶媒1〜7中に、それぞれ分散させた。その結果を図10に示す。
図10は、実施例3の複合体を溶媒1〜7中に分散させた分散液の写真である。図10に示すように、実施例3の複合体は、いずれの溶媒にも分散させることができ、透明な分散液が得られた。また、図10に示すように、酸化チタン(TiO)ナノ粒子が沈殿せず、透明な分散液が得られたことから、実施例3では、酸化チタン(TiO)ナノ粒子が化合物Aと複合体を形成しているといえる。
(実施例4)
金属酸化物ナノ粒子として、酸化亜鉛(ZnO)を用いたこと以外は、実施例2と同様にして、酸化亜鉛(ZnO)ナノ粒子と化合物Aとの複合体を得た。
このようにして得られた実施例4の複合体を、実施例2の複合体と同様にして上記の溶媒1〜7中に、それぞれ分散させた。その結果を図11に示す。
図11は、実施例4の複合体を溶媒1〜7中に分散させた分散液の写真である。図11に示すように、実施例4の複合体は、いずれの溶媒にも分散させることができ、透明な分散液が得られた。また、図11に示すように、酸化亜鉛(ZnO)ナノ粒子が沈殿せず、透明な分散液が得られたことから、実施例4では、酸化亜鉛(ZnO)ナノ粒子が化合物Aと複合体を形成しているといえる。
また、実施例2〜実施例4の複合体を、それぞれ透過型電子顕微鏡(TEM)で観察した。その結果を図12〜図14に示す。
図12は、実施例2の複合体の透過型電子顕微鏡写真である。図13は、実施例3の複合体の透過型電子顕微鏡写真である。図14は、実施例4の複合体の透過型電子顕微鏡写真である。
図12〜図14に示すように、実施例2〜実施例4の複合体は、分散性が良好であることが確認できた。
(実施例5)
オレイン酸で被覆したCoFeナノ粒子を、50mLのコニカルチューブ(ファルコン社製)に入れてメタノールを40mL添加し、相対遠心力(RCF)5000gで遠心分離を行って上澄みを除去した。その後、遠心分離により分離された沈殿物に、エタノールを40mL添加して相対遠心力(RCF)5000gで遠心分離を行い、上澄みを除去する操作を、5回繰り返し行った(洗浄工程)。
次に、遠心分離により分離された沈殿物を、50mLのクロロホルムに分散させて100mLのナスフラスコに入れ、さらに0.17gの上記化合物Aと0.408gのオレイルアミンとを添加し、60℃で3時間加熱して反応させた(反応工程)。
反応後の反応液25mLを50mLのコニカルチューブに移し、25mLのヘキサンを添加して相対遠心力(RCF)7000gで遠心分離を行い、上澄みを除去した。その後、遠心分離により分離された沈殿物に、アセトニトリルを40mL添加して相対遠心力(RCF)10000gで遠心分離を行い、上澄みを除去する操作を、2回繰り返し行った。
その後、遠心分離により分離された沈殿物として、コバルトフェライト(CoFe)ナノ粒子と化合物Aとの複合体を得た。
実施例5の複合体を、クロロホルムからなる溶媒中に濃度が10mg/mlとなるように、分散させて分散液とした。また、実施例5の複合体の原料として使用したオレイン酸で被覆したCoFeナノ粒子を、クロロホルムからなる溶媒中に濃度が10mg/mlとなるように、分散させて分散液とした。
図15は、実施例5の複合体の分散液と、オレイン酸で被覆したCoFeナノ粒子の分散液の写真である。図15に示すように、オレイン酸で被覆したCoFeナノ粒子の分散液は、黒褐色であった。また、実施例5の複合体の分散液は、透明あった。
また、実施例5の複合体の分散液と、オレイン酸で被覆したCoFeナノ粒子の分散液の吸光度を、紫外・可視吸収スペクトル法(UV−VISスペクトル法)を用いて測定した。その結果を図16に示す。図16に示すように、オレイン酸で被覆したCoFeナノ粒子の分散液は、短い波長領域での吸光度が高かった。一方、実施例5の複合体の分散液は、どの波長領域においても吸光度が低かった。
(磁性体であることの確認)
実施例5の複合体を、クロロホルムからなる溶媒中に濃度が10mg/mlとなるように分散させて分散液とし、10mlの試験管に入れた。その後、試験管にネオジウム磁石を、試験管とネオジウム磁石との間の距離が50mmとなるまで近づけ、1分間保持した。その結果、試験管がネオジウム磁石に引き寄せられることが確認され、実施例5の複合体が、磁性体であることが確認できた。
また、実施例5の複合体を、以下に示す溶媒11〜20中に、濃度が10mg/mlとなるように、それぞれ分散させた。その結果を図17に示す。
図17は、実施例5の複合体を溶媒11〜20中に分散させた分散液の写真である。図17に示すように、実施例5の複合体は、いずれの溶媒にも分散させることができ、透明な分散液が得られた。また、図17に示すように、CoFeナノ粒子が沈殿せず、透明な分散液が得られたことから、実施例5では、CoFeナノ粒子が化合物Aと複合体を形成しているといえる。
(溶媒)
溶媒11.ジメチルスルホキシド
溶媒12.エチレングリコール
溶媒13.NNジメチルホルムアミド
溶媒14.アセトニトリル
溶媒15.アセトン
溶媒16.クロロホルム
溶媒17.水
溶媒18.エタノール
溶媒19.メタノール
溶媒20.イソプロパノール
次に、実施例1で製造した化合物AとCoFeナノ粒子との複合体(以下、「実施例1の複合体」という。)を溶媒中に分散させた結果と、実施例5の複合体を溶媒中に分散させた結果との差異について検討した結果を説明する。
上述したように、実施例1の複合体を上記の溶媒中に分散させた分散液は、赤紫〜緑色(350〜570nm)までの様々な色を有するものであった。また、図7に示すように、実施例1の複合体をクロロホルム(CHL)中に分散させた分散液に、テトラブチルホスホニウムクロリド(TC)を添加することにより、液体の色が透明に近づく傾向がみられた。
一方、実施例5の複合体を上記の溶媒中に分散させた分散液は、図17に示すように、いずれも無色透明であった。
これは、実施例5の複合体が、上記の洗浄工程と上記の反応工程とを有する製造方法により得られたものであるため、複合体とともに生成された不純物の含有量が僅かであったことによるものと推定される。
すなわち、実施例1の複合体は、製造時に複合体とともに生成された不純物の含有量が、実施例5の複合体と比較して多いものと推定される。
このことから、実施例1の複合体を上記の溶媒中に分散させることにより付加された色は、実施例1の複合体とともに生成された不純物に起因するものであると推定される。また、実施例1の複合体をクロロホルム中に分散させた分散液に、テトラブチルホスホニウムクロリドを添加することにより、液体の色が透明に近づく傾向がみられたのは、以下に示す理由によるものであると推定される。すなわち、実施例1の複合体とともに生成された不純物が、テトラブチルホスホニウムクロリド反応したことにより消滅し、液体の色が透明に近づいたものと推定される。
これらのことから、実施例1の複合体から不純物を除去したものを上記の溶媒中に分散させた分散液は、無色透明になるものと推定される。

Claims (12)

  1. 下記一般式(1)で表わされる化合物。
    (式(1)中のR〜Rは、それぞれ炭素数1〜12のアルキル基またはフェニル基である。X は、Cl、Br、I、PF 、Tf、BETI、TSACから選ばれるいずれかの陰イオンである。)
  2. 前記式(1)中のX がClである請求項1に記載の化合物。
  3. 前記式(1)中のR〜Rがいずれもn−ブチル基である請求項1または請求項2に記載の化合物。
  4. 金属ナノ粒子を溶媒に分散させる分散剤であり、
    請求項1〜請求項3のいずれか一項に記載の化合物を含むこと分散剤。
  5. 金属酸化物ナノ粒子と化合物との複合体であり、下記一般式(2)で表わされる複合体。
    (式(2)中、Aは金属酸化物である。R〜Rは、それぞれ炭素数1〜12のアルキル基またはフェニル基である。X は、Cl、Br、I、PF 、Tf、BETI、TSACから選ばれるいずれかの陰イオンである。)
  6. 前記金属酸化物が、CoFe、Fe、TiO、ZnOから選ばれるいずれか一種である請求項5に記載の複合体。
  7. 前記金属酸化物が、CoFeである請求項5に記載の複合体。
  8. 前記式(2)中のX がClである請求項5〜請求項7のいずれか一項に記載の複合体。
  9. 前記式(2)中のR〜Rがいずれもn−ブチル基である請求項5〜請求項8のいずれか一項に記載の複合体。
  10. 請求項5〜請求項9のいずれか一項に記載の複合体を溶媒中に分散させたことを特徴とする分散液。
  11. 前記溶媒の25℃での比誘電率が4.8〜80である請求項10に記載の分散液。
  12. CoFeナノ粒子を、アルコールを用いて洗浄する洗浄工程と、
    洗浄後のCoFeナノ粒子と、請求項1〜請求項3のいずれか一項に記載の化合物とを、オレイルアミンの存在下で反応させて複合体を生成させる反応工程とを有することを特徴とする複合体の製造方法。
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