JPWO2019156177A1 - 波長変換光デバイスおよび波長変換光デバイスの製造方法 - Google Patents

波長変換光デバイスおよび波長変換光デバイスの製造方法 Download PDF

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Abstract

一実施形態に係る波長変換光デバイスは、結晶質または非晶質からなる基板と、放射状の第1分極秩序構造を有する複数の第1結晶領域と、放射状の第2分極秩序構造を有する複数の第2結晶領域と、を備える。基板は、仮想軸線に直交する基準方向から基板を見たときに仮想軸線を挟んで直接隣接する第1領域と第2領域が規定されている。第1領域に位置する第1分極秩序構造の放射中心と第2領域に位置する第2分極秩序構造の放射中心は、仮想軸線に沿って交互に配置されている。複数の第1結晶領域は、それらの一部が第2領域にはみ出している。複数の第2結晶領域は、それらの一部が第1領域にはみ出している。

Description

本開示は、波長変換光デバイスおよび波長変換光デバイスの製造方法に関するものである。
本願は、2018年2月8日に出願された日本特許出願第2018−021281号による優先権を主張するものであり、その内容に依拠すると共に、その全体を参照して本明細書に組み込む。
2次非線形光学現象を利用する光デバイスに用いられる材料としては、LiNbO3(LN)結晶、KTiOPO4(KTP)結晶、LiB35(LBO)結晶、あるいはβ−BaB24(BBO)結晶のような強誘電体光学結晶が主流である。これらの結晶を利用した光デバイスは、波長変換を基軸とした広範な応用分野に展開されている。例えば、レーザ加工分野では、これらの結晶を利用した光デバイスは、光ファイバレーザの第二高調波発生(SHG:Second Harmonic Generation)による短波長化に用いられている。ビームスポット径を小さくできることから、このような光デバイスは微細な加工を可能にする。光通信分野では、波長分割多重(Wavelength Division Multiplexing:WDM)光通信における波長資源の有効活用のため、これらの結晶を利用した光デバイスは、CバンドのWDM信号からLバンドへの一括多重変換(simultaneous wavelength conversion)を行う波長変換光デバイスとして用いられている。更に、計測分野では、水素結合などに起因する分子間振動が観測できるテラヘルツ分光が着目されており、これらの結晶を利用した光デバイスは、そのテラヘルツ光を発生させる光源に使用されている。
最近では、化合物半導体結晶であるGaAs、GaP、GaN、CdTe、ZnSe、ZnO等も、2次非線形光学現象を利用する光デバイスの材料として用いられている。これらの材料は、大きな2次の非線形光学定数を有することに加え、2次非線形光デバイスに不可欠な周期的空間反転構造(periodically-poled structure)の作製技術の著しい進歩により、2次非線形デバイスの材料として注目されている。
波長変換の方式は、角度位相整合(angle phase matching)と、周期分極反転(periodically-poling)による擬似位相整合(QPM:Quasi Phase Matching)とに分類できる。これらのうち、擬似位相整合は、周期分極反転幅(poling pitch)を適切に設計することにより、様々な位相整合波長の生成を可能とし、材料の透明領域の全てにおいて波長変換を可能とする。また、擬似位相整合は、角度位相整合によるウォークオフ角が無いことから、ビーム品質が良好な上に、相互作用長の長尺化が可能であり、高効率化や結合損の抑制に適していることから、加工および計測等において有効な方式である。
国際公開第2017/110792号公報
R. Gatass and E. Mazur, Nature Photonics 2, P.219 (2008) U. Ito, et al.,"Ultrafast and precision drilling of glass by selective absorption of fiber-laser pulse into femtosecond-laser-induced filament", Applied Physics Letters, Vol.113, 2018, pp.061101-1
本開示の波長変換光デバイスは、結晶質または非晶質からなる基板と、放射状の第1分極秩序構造をそれぞれ有する複数の第1結晶領域と、放射状の第2分極秩序構造をそれぞれ有する複数の第2結晶領域と、を備える。基板は、当該基板内に設定される或る仮想軸線に直交する基準方向から該基板を見たときに仮想軸線を挟んで直接隣接する第1領域と第2領域が規定される。第1分極秩序構造の放射中心は、基板の第1領域において仮想軸線に沿って配置されている。複数の第1結晶領域は、基準方向から基板を見たときに、それぞれの一部が仮想軸線を跨いで第2領域にはみ出している。第2分極秩序構造の放射中心は、基板の第2領域において仮想軸線に沿って配置されるとともに第2分極秩序構造の放射中心が仮想軸線に沿って第1分極秩序構造の放射中心と交互に配置されている。複数の第2結晶領域は、基準方向から基板を見たときに、それぞれの一部が仮想軸線を跨いで第1領域にはみ出している。
本開示の波長変換光デバイスの製造方法は、基板を用意する前工程と、放射状の第1分極秩序構造をそれぞれ有する複数の第1結晶領域と放射状の第2分極秩序構造をそれぞれ有する複数の第2結晶領域と、を基板に設ける第1加工工程と、を備える。基板は、結晶質または非晶質からなる。また、基板は、当該基板内に設定される或る仮想軸線に直交する基準方向から該基板を見たときに仮想軸線を挟んで直接隣接する第1領域と第2領域が規定される。複数の第1結晶領域の第1分極秩序構造における放射中心は、基板の第1領域において仮想軸線に沿って配置されている。また、複数の第1結晶領域は、基準方向から基板を見たときに、それぞれの一部が仮想軸線を跨いで第2領域にはみ出している。一方、複数の第2結晶領域の第2分極秩序構造における放射中心は、基板の第2領域において仮想軸線に沿って配置されている。また、複数の第2結晶領域は、基準方向から基板を見たときに、第2分極秩序構造の放射中心が仮想軸線に沿って第1分極秩序構造の前記放射中心と交互に配置された状態でそれぞれの一部が仮想軸線を跨いで第1領域にはみ出している。第1加工工程はレーザ光照射工程を含み、レーザ光照射工程は、複数の第1結晶領域の第1分極秩序構造における放射中心に対応した複数の第1集光点それぞれと複数の第2結晶領域の第2分極秩序構造における放射中心に対応した複数の第2集光点のそれぞれに対して、第1および第2分極秩序構造を形成するためのレーザ光を照射する。
は、本発明の一実施形態に係る波長変換光デバイス1Aの構造を示す断面図である。 は、結晶領域10A,10Bを拡大した平面図である。 は、一実施形態の製造方法を示すフローチャートである。 は、複数の集光点P1および複数の集光点P2を基板2に設定した様子を示す図である。 は、一実施形態におけるレーザ光の光強度分布の一例を示すグラフである。 は、第1変形例に係る波長変換光デバイス1Bの構成を示す断面図である。 は、第1変形例の結晶領域10A,10Bを形成するためのレーザ光の光強度分布の一例を示すグラフである。 は、図7に示された光強度分布を得るための光学系の例を示す図である。 は、第2変形例に係る波長変換光デバイス1Cの構成を示す断面図である。 は、波長変換領域B1における電界分布を示すグラフである。 は、波長変換領域B2における電界分布を示すグラフである。 は、上記実施形態の第3変形例に係る波長変換光デバイス1Dの構成を示す平面図である。 は、図10AのIXb−IXb線に沿った断面図である。 は、図10AのIXc−IXc線に沿った断面図である。 は、上記実施形態の第4変形例に係る波長変換光デバイスの製造方法の一工程を示す断面図である。 は、第5変形例に係る波長変換光デバイスの製造方法の一工程を示す断面図である。 は、図5に示された光強度分布を有するレーザ光を利用して形成された結晶領域における分極方向を説明するための概略図である。 は、第5変形例に係る波長変換光デバイスの製造方法により形成された結晶領域における分極方向を説明するための概略図である。 は、SrO−TiO2−SiO2系ガラスにCOレーザからのレーザ光を照射した後の状態を示す光学顕微鏡像である。 は、図14Aの部分拡大図である。 は、SrO−TiO2−SiO2系ガラスにCOレーザからのレーザ光を照射した後の状態を示す光学顕微鏡像である。 は、図15Aの部分拡大図である。 は、SrO−TiO2−SiO2系ガラスにCOレーザからのレーザ光を照射した後の状態を示す光学顕微鏡像である。 は、図16Aの部分拡大図である。 は、第二高調波発生の測定結果を示す画像である。
[本開示が解決しようとする課題]
発明者らは、従来の波長変換光デバイスについて検討した結果、以下のような課題を発見した。すなわち、擬似位相整合を行う波長変換光デバイスとして、ガラスの自在成形加工と波長変換技術の組み合わせにより得られる光デバイスが提案されている(例えば特許文献1を参照)。このような波長変換光デバイスの利点は、基板材料がガラスであることからファイバ形や薄膜形など様々な形状に加工することができ、その形状に波長変換機能を付与できる点である。特許文献1には、電界を印加した状態でレーザを照射することにより、分極方向(polarization orientation)で規定される分極秩序構造(polarization-ordered structure)を形成する方法が記載されている。一方、擬似位相整合を実現するための分極秩序構造は微細であり、また、互いに隣り合う分極秩序構造同士の間隔も極めて短い。このような構造では電界を印加するための正電極と負電極との間隔が狭くなるので、高い電圧を印加したときの絶縁破壊を避けるために加工工程が複雑化するという課題がある。
本開示は、このような課題を解決するためになされたものであり、擬似位相整合を実現するための分極秩序構造を簡易な方法により形成することができる波長変換光デバイス、および該波長変換光デバイスの製造方法を提供することを目的とする。
[本開示の効果]
本開示の波長変換光デバイスおよび波長変換光デバイスの製造方法によれば、仮想軸線を挟む一対の領域において、該仮想軸線に沿って交互に放射状の分極秩序構造を有する結晶領域が形成される。
[本開示の実施形態の説明]
最初に本開示の実施形態の内容をそれぞれ個別に列挙して説明する。
(1)本開示の一実施形態に係る波長変換光デバイスは、その一態様として、結晶質または非晶質からなる基板と、放射状の第1分極秩序構造をそれぞれ有する複数の第1結晶領域と、放射状の第2分極秩序構造をそれぞれ有する複数の第2結晶領域と、を備える。基板は、当該基板内に設定される或る仮想軸線に直交する基準方向から該基板を見たときに仮想軸線を挟んで直接隣接する第1領域と第2領域が規定される。第1分極秩序構造の放射中心は、基板の第1領域において仮想軸線に沿って配置されている。複数の第1結晶領域は、基準方向から基板を見たときに、それぞれの一部が仮想軸線を跨いで第2領域にはみ出している。第2分極秩序構造の放射中心は、基板の第2領域において仮想軸線に沿って配置されるとともに第2分極秩序構造の放射中心が仮想軸線に沿って第1分極秩序構造の放射中心と交互に配置されている。複数の第2結晶領域は、基準方向から基板を見たときに、それぞれの一部が仮想軸線を跨いで第1領域にはみ出している。
上述のような構造を有する波長変換デバイスでは、仮想軸線の両側に放射状の分極秩序構造が交互に並んでいる。したがって、仮想軸線上においては、仮想軸線と交差し且つ互いに逆向きである分極配向が交互に現れる。故に、仮想軸線上を伝搬する光に対し、周期分極反転による擬似位相整合を行うことができる。また、当該波長変換光デバイスの各結晶領域は、基板の吸収波長に含まれる波長のレーザ光を基板に照射すること、または、基板表面または内部に熱源を形成することにより、容易に形成可能である。
(2)本実施形態の一態様として、基板は、仮想軸線を光軸とするチャネル光導波路構造を有するのが好ましい。このようなチャネル光導波路構造は、仮想軸線上における光伝搬効率を高めることができる。本実施形態の一態様として、基板は、フレスノイト型結晶、BaO−TiO2−GeO2−SiO2系ガラス、およびSrO−TiO2−SiO2系ガラスのうち少なくとも一つを含むのが好ましい。例えばこれらの基板において、上述の放射状の分極秩序構造がレーザ光の照射によって容易に形成され得る。更に、本実施形態の一態様として、基板は、BaO−TiO2−GeO2−SiO2系ガラスおよびSrO−TiO2−SiO2系ガラスのうち少なくとも一つを含み、更に添加物として、ランタノイド系、アクチノイド系、4族ないし12族のうち何れかの群に含まれる金属を含んでもよい。この場合、基板におけるレーザ光の吸収が高められ、上述の放射状の分極秩序構造が更に効率良く形成され得る。
(3) 本開示の一実施形態に係る波長変換光デバイスの製造方向は、その一態様として、基板を用意する前工程と、放射状の第1分極秩序構造をそれぞれ有する複数の第1結晶領域と放射状の第2分極秩序構造をそれぞれ有する複数の第2結晶領域と、を基板に設ける第1加工工程と、を備える。基板は、結晶質または非晶質からなる。また、基板は、当該基板内に設定される或る仮想軸線に直交する基準方向から該基板を見たときに仮想軸線を挟んで直接隣接する第1領域と第2領域が規定される。複数の第1結晶領域の第1分極秩序構造における放射中心は、基板の第1領域において仮想軸線に沿って配置されている。また、複数の第1結晶領域は、基準方向から基板を見たときに、それぞれの一部が仮想軸線を跨いで第2領域にはみ出している。一方、複数の第2結晶領域の第2分極秩序構造における放射中心は、基板の第2領域において仮想軸線に沿って配置されている。また、複数の第2結晶領域は、基準方向から基板を見たときに、第2分極秩序構造の放射中心が仮想軸線に沿って第1分極秩序構造の前記放射中心と交互に配置された状態でそれぞれの一部が仮想軸線を跨いで第1領域にはみ出している。
特に、第1加工工程はレーザ光照射工程を含む。レーザ光照射工程は、複数の第1結晶領域の第1分極秩序構造における放射中心に対応した複数の第1集光点それぞれと複数の第2結晶領域の第2分極秩序構造における放射中心に対応した複数の第2集光点のそれぞれに対して、第1および第2分極秩序構造を形成するためのレーザ光を照射する。当該波長変換光デバイスの各結晶領域は、基板の吸収波長に含まれる波長のレーザ光を基板に照射すること、または、基板表面または内部に熱源を形成することにより、容易に形成可能である。すなわち、当該製造方法によれば、擬似位相整合を実現するための分極秩序構造を簡易な方法により形成することを可能にする。
(4)本実施形態の一態様として、分極秩序構造を形成するためのレーザ光は、基板の吸収波長帯域に含まれる波長を有するのが好ましい。この場合、レーザ光照射により基板を直接加熱することが可能になる。また、本実施形態の一態様として、分極秩序構造を形成するためのレーザ光は、基板表面または基板内に励起電子高密度領域を発生させるための第1レーザ光と、該励起電子高密度領域を加熱するための第2レーザ光を含んでもよい。このような構成において、レーザ光照射工程は、第2レーザ光の集光領域が第1レーザ光の集光領域とオーバーラップした状態で複数の第1集光点のそれぞれおよび複数の第2集光点のそれぞれに対して、第1レーザ光および第2レーザ光を照射する。この場合、分極秩序構造を形成するための熱源を基板表面または内部の任意の位置に形成することが可能になる。
(5)なお、上記第1レーザ光および第2レーザ光には、種々のレーザ光が適用可能である。例えば、本実施形態の一態様として、第1レーザ光は、基板の吸収波長帯域から外れた波長または該基板への光吸収量が低く抑えられる波長を有するとともにパルス幅1ps未満のfs(femtosecond)レーザ光を含むのが好ましい。また、本実施形態の一態様として、第2レーザ光は、第1レーザ光の集光領域以外における基板の吸収波長帯域から外れた波長または該基板への光吸収量が低く抑えられる波長を有するとともにパルス幅1ps以上、好ましくは1ns以上のパルスレーザ光を含むのが好ましい。本実施形態の一態様として、第2レーザ光は、第1レーザ光の集光領域以外における基板の吸収波長帯域から外れた波長または該基板への光吸収量が低く抑えられる波長を有するCW(Continuous Wave)レーザ光を含んでもよい。
第1レーザ光の集光領域は、該第1レーザ光の集光点を中心とした励起された電子が高密度に発生する領域(励起電子高密度領域)を意味し、励起された電子の数密度が1019/cm以上の領域として規定される。また、第1レーザ光の集光領域と第2レーザ光の集光領域とがオーバーラップした状態(以下、オーバーラップ状態という)は、第1レーザ光の集光点と第2レーザ光の集光点とが一致している状態の他、集光点が一致していない状態も含む。具体的には、第2レーザ光の集光点が励起電子高密度領域(第1レーザ光の集光領域)内に存在していない場合であっても、このオーバーラップ状態には、励起電子高密度領域全体または少なくともその一部が第2レーザ光の照射領域内に存在するよう、該第2レーザ光のスポット径が絞り込まれた状態が含まれる。第1レーザ光(fsレーザ光)が非晶質の基板、例えば前駆体ガラスの内部に集光されると、該fsレーザ光が集光された領域には、一時的に励起電子高密度領域が発生する。この励起電子高密度領域(第1レーザ光の集光領域)が発生している間に該励起電子高密度領域にその集光領域がオーバーラップするように第2レーザ光(パルスレーザ光またはCWレーザ光)が照射されると、該励起電子高密度領域の局所領域のみにおいて優先的かつ選択的に光吸収を誘発させられることが可能になる。このとき、光吸収領域(第1および第2レーザ光のオーバーラップされた集光領域)では熱が発生し、結晶領域が形成される。基板の表面または内部において、第1および第2レーザ光のオーバーラップされた集光領域を三次元的に走査することで、バルク形状やファイバ形状等、様々な形態の高効率な波長変換光デバイスが実現され得る。
(6)本実施形態の一態様として、当該製造方法は、レーザ光照射工程の前または後に、仮想軸線を光軸とするチャネル光導波路構造を基板に形成する第2加工工程を更に備えてもよい。これにより、仮想軸線上における光伝搬効率を高めることができる。また、本実施形態の一態様として、チャネル光導波路構造は、ダイシングソーまたはドライエッチングにより形成されるのが好ましい。これにより、結晶質または非晶質からなる基板にチャネル光導波路構造を容易に形成することが可能になる。
(7)本実施形態の一態様として、レーザ光照射工程は、レーザ光の光強度分布をトップハット状に整形するための光部品を介して該レーザ光を基板に照射するのが好ましい。これにより、各結晶領域の中心部分における基板の溶融が抑えられ、各結晶領域の中心に穿孔が生じることを抑制することができる。また、本実施形態の一態様として、光部品は、回折光学素子または非球面レンズを含むのが好ましい。これにより、トップハット状の光強度分布を有するレーザ光を容易に生成することが可能になる。
(8)本実施形態の一態様として、レーザ光の光源はCO2レーザを含んでもよい。これにより、多くの基板の吸収波長に含まれる赤外域のレーザ光を、比較的大きな光強度でもって基板に照射することができる。
(9)本実施形態の一態様として、レーザ光照射工程は、基板の表面上に光吸収材を配置した状態でレーザ光を基板に照射してもよい。これにより、基板におけるレーザ光の吸収を高め、上述した放射状の分極秩序構造を更に効率良く形成することができる。更に、本開示の一実施形態の一態様として、光吸収材は、カーボンペーストであるのが好ましい。これにより、レーザ光を効率良く吸収する光吸収材を基板上に容易に配置することができる。
以上、この[本願発明の実施形態の説明]の欄に列挙された各態様は、残りの全ての態様のそれぞれに対して、または、これら残りの態様の全ての組み合わせに対して適用可能である。
[本開示の実施形態の詳細]
以下、本開示の波長変換光デバイスおよび波長変換光デバイスの製造方法の具体例を、添付図面を参照しながら詳細に説明する。なお、本開示はこれらの例示に限定されるものではなく、請求の範囲によって示され、請求の範囲と均等の意味および範囲内での全ての変更が含まれることが意図される。また、図面の説明において同一の要素には同一符号を付して重複する説明を省略する。更に、以下の説明において、各要素(領域、軸線等)の位置関係は、特に言及しない限り、基板の表面上における位置関係を意味するものとする。
図1は、本開示の一実施形態に係る波長変換光デバイス1Aの構造を示す断面図であって、光導波方向D1に沿った波長変換光デバイス1Aの断面を示している。図1に示されたように、本実施形態に係る波長変換光デバイス1Aは、結晶質または非晶質からなる基板2を備える。基板2は、平坦な板面(表面)を有する基板であって、光導波方向D1に沿って互いに対向するよう配置された一対の端面2a,2bを有する。本実施形態において、端面2a,2bは光導波方向D1と直交しており、且つ互いに平行である。基板2は、少なくとも所定波長の光を透過する性質を有する。所定波長は、例えば400nm〜4500nmの範囲内の波長である。基板2の構成材料には、例えばフレスノイト型結晶、BaO−TiO2−GeO2−SiO2系ガラス、およびSrO−TiO2−SiO2系ガラスのうち少なくとも一つが含まれる。
基板2は、光導波方向D1に直交する基準方向から基板2を見たときの平面形状(実質的には基板2の表面上で規定される形状)が円環状である複数の結晶領域10A(第1結晶領域)と、該平面形状が円環状である複数の結晶領域10B(第2結晶領域)とを含む。図2は、結晶領域10A,10Bを拡大した平面図である。結晶領域10A,10Bは、それぞれ放射状の分極秩序構造を有する領域である。分極秩序構造とは、自発分極(spontaneous polarization)が一定の態様で配向(orient)されている構造を指す。本実施形態の結晶領域10Aは、自発分極A1が放射中心O1から結晶領域10Aの外周に向けて径方向に延びた放射状の分極秩序構造を有する。同様に、本実施形態の結晶領域10Bは、自発分極A2が放射中心O2から結晶領域10Bの外周に向けて径方向に延びた放射状の分極秩序構造を有する。後述するように、この分極秩序構造は、基板2に例えば赤外域のレーザ光が照射されることにより形成される。基板2がBaO−TiO2−GeO2−SiO2系ガラスおよびSrO−TiO2−SiO2系ガラスのうち少なくとも一つを含む場合、基板2は、赤外域の特定波長のレーザ光に対する吸収を高めるために、ランタノイド系、アクチノイド系、4族ないし12族のうち何れかの群に含まれる金属を添加物として含んでもよい。ランタノイド系またはアクチノイド系の金属としては、例えばYb,Tm,Erが挙げられる。また、4族ないし12族の金属としては、例えばTi,Cr,Znが挙げられる。
図1に示されたように、基板2は、基板2内に設定される或る仮想軸線AXを挟む一対の領域2c,2dを有する。なお、一対の領域2c,2dは、仮想軸線に直交する基準方向から該基板2を見たときに仮想軸線を挟んで直接隣接する領域である。そして、複数の結晶領域10Aの放射中心(分極秩序構造の放射中心に一致)O1は、そのうち一方の領域2c内に位置し、仮想軸線AXに沿って等間隔で一列に並んでいる。また、複数の結晶領域10Bの放射中心(分極秩序構造の放射中心に一致)O2は、他方の領域2d内に位置し、仮想軸線AXに沿って等間隔で一列に並んでいる。更に、複数の結晶領域10Aの放射中心O1と、複数の結晶領域10Bの放射中心O2とは、仮想軸線AXの延在方向(すなわち光導波方向D1)に沿って交互に配置されている。換言すれば、仮想軸線AXの延在方向と交差する方向D2から基板2の表面を見たとき、基板2の表面において放射中心O1と放射中心O2とが交互に並んでいる。したがって、基板2の表面において、互いに隣り合う放射中心O1と放射中心O2とを結ぶ直線と仮想軸線AXとは、0°より大きく90°より小さい角度でもって交差している。更に、複数の放射中心O1を結ぶ第1直線と、複数の放射中心O2を結ぶ第2直線とは、それぞれ仮想軸線AXに対して平行である。仮想軸線AXは、これら第1および第2直線の間に位置する。すなわち、複数の放射中心O1と仮想軸線AXとの距離は均等であり、複数の放射中心O2と仮想軸線AXとの距離は均等である。また、放射中心O1と仮想軸線AXとの距離と、放射中心O2と仮想軸線AXとの距離とは互いに等しい。換言すれば、仮想軸線AXに対応する軸線(基板2の表面で規定される線)は、基板2の表面において互いに隣り合う放射中心O1と放射中心O2とを結ぶ線分の中点を結んだ直線と平行である。
各結晶領域10Aは、一部が仮想軸線AXを跨いで領域2d側にはみ出している。すなわち、各結晶領域10Aは、仮想軸線AXと重なる部分を有する。また、各結晶領域10Bは、一部が仮想軸線AXを跨いで領域2c側にはみ出している。すなわち、各結晶領域10Bは、仮想軸線AXと重なる部分を有する。仮想軸線AX上において、結晶領域10Aと結晶領域10Bとは交互に並んでいる。
基板2は、各結晶領域10Aの内側に穿孔(レーザ加工痕)12Aを更に有する。穿孔12Aの平面形状(基板2の表面上で規定される形状)は、放射中心O1を中心とする円形である。穿孔12Aの外周は、結晶領域10Aの内周と接している。また、基板2は、各結晶領域10Bの内側に穿孔(レーザ加工痕)12Bを更に有する。穿孔12Bの平面形状は、放射中心O2を中心とする円形である。穿孔12Bの外周は、結晶領域10Bの内周と接している。これらの穿孔12A,12Bは、レーザ光の照射によって基板2の一部が溶融することにより生じた穴(凹部または空孔)である。
上述のような構造を備えた波長変換光デバイス1Aでは、波長変換領域B1が基板2の内部に形成される。波長変換領域B1は、仮想軸線AXを光軸として光導波方向D1に沿って延在する光導波路である。波長変換領域B1の一端B1aは基板2の端面2aに達し、波長変換領域B1の他端B1bは基板2の端面2bに達する。一端B1aから入射された所定波長の光は、波長変換領域B1内を伝搬した後に他端B1bから出射される。
次に、上述のような構造を備えた本実施形態の波長変換光デバイス1Aを製造する方法の一例について説明する。図3は、本実施形態の製造方法を示すフローチャートである。まず、基板2を用意する前工程では、基板2の原料(SrO−TiO2−SiO2系ガラスの場合、Sr2CO3、TiO2、およびSiO2)の計量が行われた後、これらが混ぜ合わされる(工程S1)。必要に応じて、レーザ光の吸収を高める前述の金属が混ぜ合わされた原料に添加されてもよい。次に、混ぜ合わせた原料を加熱して溶融し、溶融した原料を平板状の型に流して冷却することにより成型が行われ、最終的に基板2が得られる(工程S2)。溶融温度は例えば1500℃であり、溶融時間は例えば1時間である。続いて、基板2の歪みを取り除くために、基板2に対して熱処理が行われる(工程S3)。このとき、熱処理温度は例えば760℃であり、熱処理時間は例えば1時間である。その後、基板2の両方の板面(表面および裏面)に対して鏡面研磨が行われる(工程S4)。
続いて、基板2に複数の結晶領域10Aおよび複数の結晶領域10Bを設ける第1加工工程が実施される。この第1加工工程はレーザ光照射工程を含む。レーザ光照射工程の一例として基板2の吸収波長に含まれる波長のレーザ光を利用する場合、該レーザ光を基板2の板面に照射することにより、複数の結晶領域10Aおよび複数の結晶領域10Bが形成される。具体的には、図4に示されたように、まず複数の集光点P1(第1集光点)および複数の集光点P2(第2集光点)が基板2に設定される。すなわち、基板2の表面において、複数の集光点P1は、仮想軸線AXを挟む一方の領域2c内に位置し、仮想軸線AXに沿って一列に並ぶ。また、複数の集光点P1は、他方の領域2d内に位置し、仮想軸線AXに沿って一列に並ぶ。更に、複数の集光点P1と、複数の集光点P2とは、仮想軸線AXの延在方向(すなわち光導波方向D1)において交互に配置される。換言すれば、仮想軸線AXの延在方向と交差する方向D2から基板2の表面を見て、集光点P1と集光点P2が交互に並ぶ。複数の集光点P1を結ぶ第1直線と、複数の集光点P1を結ぶ第2直線とは、仮想軸線AXに対して平行である。仮想軸線AXは、これら第1および第2直線の間に位置する。すなわち、複数の集光点P1と仮想軸線AXとの距離は均等であり、複数の集光点P1と仮想軸線AXとの距離は均等である。また、集光点P1と仮想軸線AXとの距離と、集光点P2と仮想軸線AXとの距離とは互いに等しい。換言すれば、仮想軸線AXに対応する軸線(基板2の表面上で規定される線)は、基板2の表面において互いに隣り合う集光点P1と集光点P2とを結ぶ線分の中点を結んだ直線である。
そして、複数の集光点P1,P2に対して順にレーザ光が照射される(工程S5)。これにより、基板2が局所的に結晶化し、複数の集光点P1それぞれを放射中心とする放射状の自発分極を有する複数の結晶領域10A(図1参照)が形成され、また、複数の集光点P2それぞれを放射中心とする放射状の分極秩序構造を有する複数の結晶領域10B(図1参照)が形成される。この工程では、各結晶領域10Aが仮想軸線AXを跨いで領域2d側にはみ出すように、また、各結晶領域10Bが仮想軸線AXを跨いで領域2c側にはみ出すように、レーザ光のパワー密度および照射時間が調整される。なお、上述のレーザ光照射工程の例では、レーザ光の波長は、基板2を構成する材料の吸収波長帯域(例えば遠赤外域)に含まれる任意の波長である。この工程において、吸収したエネルギーにより局所加熱された領域の温度が800℃以上となるように、必要に応じて集光レンズによりレーザ光を集光することにより、パワー密度が高められる。レーザ光の光源としては、例えば、高強度の遠赤外光を出力できるCO2レーザが好ましい。基板2がSrO−TiO2−SiO2系ガラスからなる場合、COレーザの10.6μm帯の透過率は数%程度である。したがって、CO2レーザを用いることにより基板2にレーザ光を多く吸収させることにより、各結晶領域10A,10Bを好適に形成することが可能になる。なお、結晶化に必要な熱量を局所的に印加することができれば、光源はCOレーザに限られない。
図5は、本実施形態におけるレーザ光の光強度分布の一例を示すグラフである。図5において、横軸は径方向位置を示し、縦軸は光強度を示す。また、破線E1は基板2の結晶化閾値であり、破線E2は基板2の加工(溶融)閾値である。図5に示されたように、本実施形態において基板2に照射されるレーザ光は、ガウシアン分布といった光強度分布を有する。すなわち、中心における光強度が最も大きく、中心から遠ざかるに従って次第に光強度が小さくなる。そして、中心における光強度は基板2の加工(溶融)閾値を超えている。このような光強度分布を有するレーザ光によれば、集光点P1,P2付近におけるパワー密度が大きくなるので、基板2が局所的に溶融して穿孔12A,12Bが形成される。また、穿孔12A,12Bの周囲においては、パワー密度が結晶化閾値と加工(溶融)閾値との間の大きさとなり、結晶化した各結晶領域10A,10Bが形成される。
第1加工工程の最後に、基板2の歪みを再び取り除くために、基板2に対して熱処理が行われる(工程S6)。このとき、熱処理温度は例えば760℃であり、熱処理時間は例えば1時間である。以上の前工程および第1加工工程(レーザ光照射工程を含む)を経て、本実施形態に係る波長変換光デバイス1Aが作製される。
以上に説明した本実施形態に係る波長変換光デバイス1Aおよびその製造方法によって得られる効果について説明する。本実施形態に係る波長変換光デバイス1Aおよびその造方法では、基板2の表面(レーザ照射面)を見たとき、仮想軸線AXの両側に放射状の分極秩序構造が交互に並んでいる。したがって、仮想軸線AXを含む波長変換領域B1においては、仮想軸線AXと交差し且つ互いに逆向きとなる(180度反転している)分極配向(polarization orientation)が周期的に且つ交互に現れる。故に、波長変換領域B1を伝搬する光に対し、周期分極反転による擬似位相整合を行うことができる。また、本実施形態の波長変換光デバイス1Aの各結晶領域10A,10Bは、基板2の吸収波長帯域に含まれる波長のレーザ光を基板2に照射することによって容易に形成可能である。また、本実施形態の製造方法では、各結晶領域10A,10Bが、基板2の吸収波長帯域に含まれる波長のレーザ光を基板2に照射することによって形成されている。すなわち、本実施形態の波長変換光デバイス1Aおよびその製造方法によれば、擬似位相整合を実現するための分極秩序構造が簡易な方法により形成され得る。
また、本実施形態のように、基板2は、フレスノイト型結晶、BaO−TiO2−GeO2−SiO2系ガラス、およびSrO−TiO2−SiO2系ガラスのうち少なくとも一つを含んでもよい。例えばこれらの基板2において、上述の放射状の分極秩序構造をレーザ光の照射によって容易に形成することができる。更に、基板2がBaO−TiO2−GeO2−SiO2系ガラスおよびSrO−TiO2−SiO2系ガラスのうち少なくとも一つを含む場合、該基板2は、ランタノイド系、アクチノイド系、4族ないし12族のうち何れかの群に含まれる金属を添加物として含んでもよい。これにより、基板2におけるレーザ光の吸収を高め、上述の放射状の分極秩序構造が更に効率良く形成され得る。
また、本実施形態のように、レーザ光の光源としてCO2レーザが適用されてもよい。これにより、多くの基板の吸収波長帯域に含まれる赤外域のレーザ光が、比較的大きな光強度を有する状態で基板2に照射され得る。
(第1変形例)
図6は、上記実施形態の第1変形例に係る波長変換光デバイス1Bの構成を示す断面図である。本変形例と上記実施形態との相違点は、結晶領域10A,10Bの形状である。すなわち、本変形例の結晶領域10A,10Bは、円環状ではなく、放射状の分極秩序構造の放射中心O1,O2を中心とする円形状を呈している。そして、放射中心O1,O2はそれぞれ結晶領域10A,10Bに含まれる。したがって、本変形例の波長変換光デバイス1Bは穿孔12A,12Bを備えていない。
図7は、本変形例の結晶領域10A,10Bを形成するためのレーザ光の光強度分布の一例を示すグラフである。図7において、横軸は径方向位置を示し、縦軸は光強度を示す。破線E1は基板2の結晶化閾値であり、破線E2は基板2の加工(溶融)閾値である。図7に示されたように、本変形例において基板2に照射されるレーザ光は、トップハット(フラットトップ)状の光強度分布を有する。すなわち、中心から或る半径内の領域においては光強度が略一定であり、その外側の領域では、中心から遠ざかるに従って次第に光強度が小さくなる。そして、中心から或る半径内の領域における光強度は、基板2の結晶化閾値よりも大きく、加工(溶融)閾値よりも小さい。このような光強度分布によれば、集光点P1,P2付近におけるパワー密度が溶融閾値よりも小さくなるので、基板2が溶融せず、穿孔12A,12Bが形成されない。また、集光点P1,P2から或る半径内の領域においては、パワー密度が結晶化閾値と加工(溶融)閾値との間の大きさとなり、結晶化した領域(結晶領域10A,10B)が形成される。
本変形例に係る波長変換光デバイス1Bによれば、上述の実施形態と同様の効果を奏することができる。また、本変形例のように、レーザ光の光強度分布をトップハット状とすることにより、各結晶領域10A,10Bの中心部分における基板2の溶融を抑え、各結晶領域10A,10Bの中心に穿孔12A,12Bが生じることを抑制することができる。これにより、穿孔12A,12Bに起因する割れ等によるデバイス性能の劣化を抑制することができる。
本変形例に係る波長変換光デバイス1Bを製造する際には、レーザ光の光強度分布を図7に示されたようなトップハット状に変換する光部品を介して、レーザ光が基板2に照射されればよい。このような光部品としては、例えば回折光学素子(Diffractive Optical Element:DOE)または非球面レンズが挙げられる。このような光部品を用いることにより、トップハット状の光強度分布を有するレーザ光が容易に生成され得る。
図8は、図7に示された光強度分布を得るための光学系の例を示す図である。図8に示された例では、コリメートされたレーザ光Laを出力するレーザ光源(レーザ光Laをコリメートするための光学系を含んでもよい)30と集光点との間に、光部品OP1が配置されている。光部品OP1は、レーザ光源30から集光点に向かって順に、集光レンズ40A、回折光学素子50が配置されている。このような構成において、レーザ光源30と集光レンズ40Aとの間のレーザ光Laの光強度分布I1は、図5に示されたガウス分布形状となる。一方、集光レンズ40Aおよび回折光学素子50を順に通過したレーザ光Laの、集光点における光強度分布I2は、図7に示されたように、トップハット形状になる。なお、光部品OP1は、非球面レンズ40Bを含む光部品OP2に置き換えられてもよく、レーザ光源30とレーザ光Laの集光点の間に光部品OP2が配置された場合であっても、集光点における光強度分布I2の形状は、トップハット形状となる。
(第2変形例)
図9Aは、上記実施形態の第2変形例に係る波長変換光デバイス1Cの構成を示す断面図である。本変形例と上記実施形態との相違点は、第1変形例と同様に結晶領域10A,10Bが、放射状の分極秩序構造の放射中心O1,O2を含んでおり穿孔12A,12Bが存在しない点、および、結晶領域10A,10Bが、光導波方向D1と交差する方向D2においても交互に並んでいる点である。このような構成においては、或る仮想軸線AXの両側に位置する結晶領域10A,10Bによって、上記実施形態と同様の波長変換領域B1が形成され得る。また、1つの仮想軸線AX1の両側に位置する結晶領域10A,10Bと、仮想軸線AX1と隣り合う仮想軸線AX2の両側に位置する結晶領域10B,10A(結晶領域10Bは仮想軸線AX1と共通)とによって、波長変換領域B2が形成され得る。すなわち、この波長変換領域B2は、2本の仮想軸線AX1,AX2を含み、光導波方向D1に沿って延びる領域である。波長変換領域B2の方向D2に沿った幅は、方向D2に沿った放射中心O1の周期(すなわち集光点P1の周期)と略等しい。
図9Bおよび図9Cは、それぞれ波長変換領域B1およびB2で有効に波長変換できる電界分布を示すグラフであって、横軸は電界強度を示し、縦軸は方向D2における位置を示す。波長変換領域B1では、図9Bに示されたように、電界強度分布がLP01モード(基底モード)となる。これに対し、波長変換領域B2では、図9Cに示されたように、電界強度分布がLP11モードとなる。このような電界モードにおいても、波長変換が好適に行われる。なお、波長変換領域B2においては、波長変換前および波長変換後ともに、電界強度分布はLP11モードとなる。
(第3変形例)
図10Aは、上記実施形態の第3変形例に係る波長変換光デバイス1Dの構成を示す平面図である。図10Bは、図10AのIXb−IXb線に沿った断面図であって、光導波方向D1と交差する断面を示す。図10Cは、図10AのIXc−IXc線に沿った断面図であって、光導波方向D1と交差する断面を示す。本変形例に係る波長変換光デバイス1Dにおいて、基板2は、仮想軸線AXを光軸とするチャネル光導波路構造21を有する。チャネル光導波路構造21は、仮想軸線AXに沿って延びる一対の側面21a,21bを有する。一例では、IXb−IXb線に沿った基板2の断面において、一方の側面21aは仮想軸線AXと放射中心O1との間に位置している。IXc−IXc線に沿った基板2の断面において、他方の側面21bは仮想軸線AXと放射中心O2との間に位置している。側面21a,21bは、例えば図3に示された工程S5(レーザ光照射工程に相当する工程)の前または後に実施される第2加工工程により得られる。第2加工工程では、チャネル光導波路構造21の外側に位置する基板2の部分をドライエッチングにより除去することで、側面21a,21bが容易に形成され得る。
本変形例のように、実施形態に係る波長変換光デバイスは、仮想軸線AXを光軸とするチャネル光導波路構造21を有する基板2を備えてもよい。また、波長変換光デバイスの製造方法は、上述のように、チャネル光導波路構造21を基板2に形成する第2加工工程を更に備えてもよい。これにより、仮想軸線AX上(波長変換領域B1)における光伝搬効率を高めることができる。
なお、チャネル光導波路構造を基板2に形成する方法(第2加工工程)としては、上記以外にも様々な方法が考えられる。例えば、チャネル光導波路構造となる部分を残して基板2をダイシングソーにより切断する方法、Ge,Tiなどの添加物を基板2の内部に拡散させて屈折率を部分的に変化させる方法、あるいは、プロトン(H+)交換法によって基板2内部にチャネル光導波路構造を形成する方法などが挙げられる。
(第4変形例)
図11は、上記実施形態の第4変形例に係る波長変換光デバイスの製造方向の一工程を示す断面図であって、光導波方向D1と交差する基板2の断面を示す。本変形例では、図3に示された工程S5(レーザ光照射工程に相当する工程)において、表面に光吸収材31が配置された基板2に対してレーザ光Laが照射される。光吸収材31は、レーザ光Laの波長を含む帯域に吸収を有する材料を含む。基板2の表面上に光吸収材31を配置する方法には、塗布、スパッタ、蒸着等がある。例えば、光吸収材31はカーボンを含む材料からなり、一例ではカーボンペースト(樹脂にフィラーとしてカーボン粒子を加えた導電性ペースト)である。
本変形例の方法によれば、基板2におけるレーザ光Laの吸収が高められ、放射状の分極秩序構造が更に効率良く形成され得る。また、この場合、光吸収材31としてカーボンペーストが適用されてもよい。これにより、レーザ光パワーを効率良く吸収する光吸収材31が基板2上に容易に配置される。また、カーボンペーストは広範囲の吸収帯域を有しするため、CO2レーザ以外にも、ファイバレーザ、固体レーザ、或いは半導体レーザにて発振する波長帯域の光を吸収することができる。更に、カーボンペーストは、レーザ光照射後に洗浄等により簡便に除去可能である。
なお、レーザ光の吸収効率を高める方法としては、上記以外にも様々な方法が考えられる。例えば、レーザ光を照射する前に予め基板2に対し還元反応によって光吸収率を高め、レーザ光照射後に酸化反応によって光吸収率を元に戻す方法がある。
(第5変形例)
図12は、上記実施形態の第4変形例に係る波長変換光デバイスの製造方向の一工程を示す図であって、図3の工程S5に相当するレーザ光照射工程を説明するための図である。上述の変形例では、基板2の吸収波長帯に含まれる波長のレーザ光Laを利用しているが、本変形例では、分極秩序構造を形成するためのレーザ光として、基板表面または基板内に励起電子高密度領域を発生させるための第1レーザ光Lb1と、該励起電子高密度領域を加熱するための第2レーザ光Lb2が照射される。すなわち、レーザ光照射工程では、第2レーザ光Lb2の集光領域が第1レーザ光Lb1の集光領域とオーバーラップした状態で複数の集光点P1のそれぞれおよび複数の集光点P2のそれぞれに対して、第1レーザ光Lb1および第2レーザ光Lb2が照射される。
なお、第1レーザ光Lb1は、基板2の吸収波長帯域から外れた波長または該基板2への光吸収量が低く抑えられる波長を有するとともにパルス幅1ps未満のfsレーザ光が好適である。また、第2レーザ光Lb2は、第1レーザ光Lb1の集光領域以外における基板2の吸収波長帯域から外れた波長または該基板2への光吸収量が低く抑えられる波長を有するとともにパルス幅1ps以上、好ましくは1ns以上のパルスレーザ光が好適である。第2レーザ光Lb2は、第1レーザ光Lb1の集光領域以外における基板2の吸収波長帯域から外れた波長または該基板2への光吸収量が低く抑えられる波長を有するCWレーザ光であってもよい。第2レーザ光Lb2を照射する光源としては、上述のCOレーザ、ファイバレーザ、半導体レーザ、固体レーザ等のレーザ光源が好適である。
第1レーザ光Lb1に適用可能なfsレーザ光の集光領域には、照射条件によって、瞬間的に励起電子高密度領域が発生することが知られている(非特許文献1)。また、第2レーザ光Lb2に適用可能なパルス幅1ns以上のレーザ光(例えば、波長1070nm)を励起電子高密度領域(第1レーザ光Lb1の集光領域)にオーバーラップするように照射することで、照射されたレーザ光の光エネルギーがこの領域のみで優先的かつ選択的に吸収される。その結果、光エネルギーを吸収した領域(励起電子高密度領域は第1レーザ光Lb1の照射により一時的に発生した領域)が熱フィラメントとして効果的に発熱することが、上記非特許文献2に開示されている。第2レーザ光Lb2の光エネルギーを吸収した領域(熱フィラメント)における発熱量は、該第2レーザ光Lb2の照射時間に依存する。すなわち、発熱量が増加すると該熱フィラメントを中心とした周辺領域の温度も上昇することになる(図5および図7で示された結晶化閾値E1を超えた領域)。このとき、該周辺領域の温度が加工(溶融)閾値E2以下となるように吸収領域における発熱量を制御することで、該周辺領域の結晶化が可能になる。
具体的に、本変形例のレーザ光照射工程(図3の工程S5)では、図12に示されたように、チャネル光導波路構造21を有する基板2が用意される。第1光源30Aからは、図4や図9Aに示された集光点P1(放射中心O1に一致)および集光点P2(放射中心O2に一致)のそれぞれに対して、基板2の表面または内部に励起電子高密度領域を発生させるための第1レーザ光Lb1(fsレーザ光)が照射される。一方、第2光源30Bからは、第1レーザ光Lb1の照射により一時的に発生した励起電子高密度領域を加熱するための第2レーザ光Lb2(パルス幅1ps以上、好ましくは1ns以上のパルスレーザ光またはCWレーザ光)が基板2に照射される。図12の例では、第1レーザ光Lb1および第2レーザ光Lb2は、同軸照射される。すなわち、第1光源30Aから基板2までの第1レーザ光Lb1の光路と、第2光源30Bから基板2までの第2レーザ光Lb2の光路のそれぞれには、共通の光部品OP3(集光レンズ40Aを含む)とハーフミラー60が配置されている。このような同軸照射系は、簡単に構成できるという利点がある。ただし、第1レーザ光Lb1の光路と第2レーザ光Lb2の光路は異なっていてもよい。
第1レーザ光Lb1と第2レーザ光Lb2は、互いに同期して、基板2へ照射される。レーザ照射期間中、第1光源30Aから出力された第1レーザ光Lb1は、ハーフミラー60で反射され、集光レンズ40Aへ向かう。更に、集光レンズ40Aを通過した第1レーザ光Lb1は、基板2の表面近傍に集光する。この第1レーザ光Lb1の集光領域に励起電子高密度領域が発生する。同時に、第2光源30Bから出力された第2レーザ光Lb2は、ハーフミラー60を通過して集光レンズ40Aに向かう。更に、集光レンズ40Aを通過した第2レーザ光Lb2は、励起電子高密度領域にオーバーラップするよう集光する。第2レーザ光Lb2の光エネルギーは効率的に励起電子高密度領域に吸収されるが、このとき、励起電子高密度領域が熱フィラメント110として機能する。これにより、熱フィラメント110の周辺領域における温度の等高線に対して垂直に配向させられた結晶領域10A,10Bが基板2内に形成される。
なお、図13Aは、図5に示された光強度分布を有するレーザ光を利用して形成された結晶領域における分極方向を説明するための概略図である。また、図13Bは、第5変形例に係る波長変換光デバイスの製造方法により形成された結晶領域における分極方向を説明するための概略図である。
fsレーザ光が適用されていない上述の実施形態および第1〜第4変形例では、照射材料(基板2)の深さ方向の配向は、図13Aに示されたように、基板2の表面に対して完全な平行とはなってはおらず、少し深さ方向に傾いている。
これに対し、fsレーザ光とパルス幅1ns以上のパルスレーザ光を、それぞれのレーザ光の集光領域をオーバーラップさせた状態で照射する場合、熱フィラメント効果により、照射材料(基板2)の深さ方向に沿って選択的に昇温させられる。そのため、図13Bに示されたように、照射材料の深さ方向の配向は、領域αにおいて、基板2の表面と平行になる。穿孔(レーザ加工痕)12A,12Bの形状は、fsレーザの集光条件に依存することになるが、照射条件によっては直径10μm程度、深さ100μm以上の高アスペクト比の形状の加工も可能となる(上記非特許文献2参照)。加工形状に依存した熱フィラメント110の形状は、深さ方向に垂直に形成され、温度の等高線に対して垂直に分極することから、図13Bに示された領域αの分極は基板2の表面に対して限りなく平行に配向することになる。その結果、入射光の偏波によっては、高効率な波長変換が可能となる。なお、fsレーザ光を出力するための光源としては、Ti:Sレーザ、1μm帯のファイバレーザ、あるいは、それら光源のSHG等が有効である。
(実施例)
図14A、図15A、および図16Aは、それぞれSrO−TiO2−SiO2系ガラスにCOレーザからのレーザ光を照射した後の状態を示す光学顕微鏡像である。図14Aは、レーザ光の出力を7.8Wとし、照射時間を2秒間とした場合の状態を示す。図15Aは、レーザ光の出力を7.8Wとし、照射時間を1秒間とした場合の状態を示す。図16Aは、レーザ光の出力を3.28Wとし、照射時間を2秒間とした場合の状態を示す。なお、図14B、図15B、および図16Bは、それぞれ図14A、図15A、および図16Aの部分拡大図である。いずれの照射条件においても、穿孔(レーザ加工痕)12が生じる一方、その周囲に結晶化された領域すなわち結晶領域10(結晶領域10A,10Bに相当)が生じていた。
本発明者らは、結晶領域10の光学軸の方位を明らかにするため、波長1.06μm、光径2mm程度のレーザ光を用いて、第二高調波発生による測定を行った。図17は、第二高調波発生(Second Harmonic Generation:SHG)の測定結果を示す画像である。なお、図17中には測定に使用したレーザ光の偏光方向が併せて示されている。SrO−TiO2−SiO2系ガラスの2次非線形光学定数(d定数)には、d31>d33の関係があり、この測定においてはd31のSH光が優先的に観測される。図17に示されるように、この実験では、円環状に形成された結晶領域10において、一対のSH光が観測された。なお、これらのSH光は、結晶領域10の中心を通り偏光方向と直交する方向に延びる直線上に発生した。
このSH光はd31成分によるSH光であり、このSH光の分極の向きは、入射波面に対して垂直である。すなわち、分極の向きは、SH光の発生領域と結晶領域10の中心とを結ぶ直線に沿っており、放射状であることが判る。このことから、放射状の分極秩序構造を有する結晶領域10を、基板2にレーザ光を照射することにより形成可能であることが示された。
本開示の波長変換光デバイスは、上述の実施形態(変形例を含む)に限られるものではなく、他に様々な変形が可能である。例えば、上述の実施形態および各変形例を、必要な目的および効果に応じて互いに組み合わせてもよい。また、上述の実施形態および変形例では、基板材料としてフレスノイト型結晶、BaO−TiO2−GeO2−SiO2系ガラス、およびSrO−TiO2−SiO2系ガラスが例示されたが、本開示の基板では、結晶質または非晶質であって所望の波長に対して透明である様々な材料が適用可能である。
1A,1B,1C,1D…波長変換光デバイス、2…基板、2a,2b…端面、2c,2d…領域、10,10A,10B…結晶領域、12A,12B…穿孔(レーザ加工痕)、21…チャネル光導波路構造、21a,21b…側面、30…レーザ光源、30A…第1光源、30B…第2光源、31…光吸収材、40A…集光レンズ、40B…非球面レンズ、50…回折光学素子、60…ハーフミラー、A1,A2…自発分極、AX,AX1,AX2…仮想軸線、B1,B2…波長変換領域、B1a…一端、B1b…他端、D1…光導波方向、D2…方向、La…レーザ光、Lb1…第1レーザ光、Lb2…第2レーザ光、O1,O2…放射中心、P1,P2…集光点、OP1、OP2、OP3…光部品。

Claims (17)

  1. 結晶質または非晶質からなる基板であって、前記基板内に設定される或る仮想軸線に直交する基準方向から前記基板を見たときに前記仮想軸線を挟んで直接隣接する第1領域と第2領域が規定された基板と、
    前記基板の前記第1領域において前記仮想軸線に沿って放射中心が配置された放射状の第1分極秩序構造をそれぞれ有する複数の第1結晶領域であって、前記基準方向から前記基板を見たときに、それぞれの一部が前記仮想軸線を跨いで第2領域にはみ出している複数の第1結晶領域と、
    前記基板の前記第2領域において前記仮想軸線に沿って放射中心が配置された放射状の第2分極秩序構造をそれぞれ有する複数の第2結晶領域であって、前記基準方向から前記基板を見たときに、前記第2分極秩序構造の放射中心が前記仮想軸線に沿って前記第1分極秩序構造の前記放射中心と交互に配置された状態でそれぞれの一部が前記仮想軸線を跨いで第1領域にはみ出している複数の第2結晶領域と、
    を備えた波長変換光デバイス。
  2. 前記基板は、前記仮想軸線を光軸とするチャネル光導波路構造を有する、請求項1に記載の波長変換光デバイス。
  3. 前記基板は、フレスノイト型結晶、BaO−TiO2−GeO2−SiO2系ガラス、およびSrO−TiO2−SiO2系ガラスのうち少なくとも一つを含む、請求項1または2に記載の波長変換光デバイス。
  4. 前記基板は、BaO−TiO2−GeO2−SiO2系ガラスおよびSrO−TiO2−SiO2系ガラスのうち少なくとも一つを含み、更に添加物として、ランタノイド系、アクチノイド系、4族ないし12族のうち何れかの群に含まれる金属を含む、請求項3に記載の波長変換光デバイス。
  5. 結晶質または非晶質からなる基板であって、前記基板内に設定される或る仮想軸線に直交する基準方向から前記基板を見たときに前記仮想軸線を挟んで直接隣接する第1領域と第2領域が規定された基板を用意する前工程と、
    前記基板の前記第1領域において前記仮想軸線に沿って放射中心が配置された放射状の第1分極秩序構造をそれぞれ有する複数の第1結晶領域であって、前記基準方向から前記基板を見たときに、それぞれの一部が前記仮想軸線を跨いで第2領域にはみ出している複数の第1結晶領域と、前記基板の前記第2領域において前記仮想軸線に沿って放射中心が配置された放射状の第2分極秩序構造をそれぞれ有する複数の第2結晶領域であって、前記基準方向から前記基板を見たときに、前記第2分極秩序構造の放射中心が前記仮想軸線に沿って前記第1分極秩序構造の前記放射中心と交互に配置された状態でそれぞれの一部が前記仮想軸線を跨いで第1領域にはみ出している複数の第2結晶領域と、を前記基板に設ける第1加工工程と、
    を備え、
    前記第1加工工程はレーザ光照射工程を含み、前記レーザ光照射工程は、前記複数の第1結晶領域の前記第1分極秩序構造における前記放射中心に対応した複数の第1集光点のそれぞれと前記複数の第2結晶領域の前記第2分極秩序構造における前記放射中心に対応した複数の第2集光点のそれぞれに対して、前記第1および第2分極秩序構造を形成するためのレーザ光を照射する、
    波長変換光デバイスの製造方法。
  6. 前記レーザ光は、前記基板の吸収波長帯域に含まれる波長を有する、請求項5に記載の波長変換光デバイスの製造方法。
  7. 前記レーザ光は、前記基板の表面または基板内に励起電子高密度領域を発生させるための第1レーザ光と、前記励起電子高密度領域を加熱するための第2レーザ光と、を含み、
    前記レーザ光照射工程は、前記第2レーザ光の集光領域が前記第1レーザ光の集光領域とオーバーラップした状態で前記複数の第1集光点のそれぞれおよび前記複数の第2集光点のそれぞれに対して、前記第1レーザ光および前記第2レーザ光を照射する、請求項5に記載の波長変換光デバイスの製造方法。
  8. 前記第1レーザ光は、前記基板の吸収波長帯域から外れた波長または前記基板への光吸収量が低く抑えられる波長を有するとともにパルス幅1ps未満のfsレーザ光を含む、請求項7に記載の波長変換光デバイスの製造方法。
  9. 前記第2レーザ光は、前記第1レーザ光の集光領域以外における前記基板の吸収波長帯域から外れた波長または前記基板への光吸収量が低く抑えられる波長を有するとともにパルス幅1ps以上のパルスレーザ光を含む、請求項7または8に記載の波長変換光デバイスの製造方法。
  10. 前記第2レーザ光は、前記第1レーザ光の集光領域以外における前記基板の吸収波長帯域から外れた波長または前記基板への光吸収量が低く抑えられる波長を有するCWレーザ光を含む、請求項7または8に記載の波長変換光デバイスの製造方法。
  11. 前記レーザ光照射工程の前または後に、前記仮想軸線を光軸とするチャネル光導波路構造を前記基板に形成する第2加工工程を更に備える、請求項5〜10の何れか一項に記載の波長変換光デバイスの製造方法。
  12. 前記チャネル光導波路構造をダイシングソーまたはドライエッチングにより形成する、請求項11に記載の波長変換光デバイスの製造方法。
  13. 前記レーザ光照射工程は、前記レーザ光の光強度分布をトップハット状に整形するための光部品を介して前記レーザ光を前記基板に照射する、請求項5〜12の何れか一項に記載の波長変換光デバイスの製造方法。
  14. 前記光部品は、回折光学素子または非球面レンズを含む、請求項13に記載の波長変換光デバイスの製造方法。
  15. 前記レーザ光の光源はCO2レーザを含む、請求項5〜14の何れか一項に記載の波長変換光デバイスの製造方法。
  16. 前記レーザ光照射工程は、前記基板の表面上に光吸収材を配置した状態で前記レーザ光を前記基板に照射する、請求項5〜15の何れか一項に記載の波長変換光デバイスの製造方法。
  17. 前記光吸収材はカーボンペーストである、請求項16に記載の波長変換光デバイスの製造方法。
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