JPWO2019142707A1 - フィルム、積層体、撮影装置、センサーおよびヘッドアップディスプレイ - Google Patents

フィルム、積層体、撮影装置、センサーおよびヘッドアップディスプレイ Download PDF

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Abstract

本発明の課題は、コレステリック液晶相を固定してなるフィルムであって、フィルムの表面を正面から見た場合における白色の再現性に優れ、かつ、視認性に優れたフィルム、これを有する積層体、撮影装置、センサーおよびヘッドアップディスプレイの提供である。本発明のフィルムは、コレステリック液晶相を固定してなるフィルムであって、フィルムの面内方向に選択反射中心波長が異なる複数の領域を有し、複数の領域の短径のサイズがいずれも200μm以下であり、所定の2つ波長域のそれぞれに反射率の極大値を1つ有し、所定の3つの波長域における、反射率の極大値をImaxX、極小値をIminY、極大値をImaxZとした場合に、ImaxX/ImaxZ>1、IminY/ImaxX>0.3、および、IminY/ImaxZ>0.5の関係を全て満たす。

Description

本発明は、フィルム、積層体、撮影装置、センサーおよびヘッドアップディスプレイに関する。
コレステリック液晶相を用いたフィルム(以下、「コレステリック液晶フィルム」ともいう。)は、特定の波長域において右円偏光および左円偏光のいずれか一方を選択的に反射させる性質を有するフィルムとして知られている。
このようなコレステリック液晶フィルムは、多様な用途に適用されている。例えば、特許文献1には、コレステリック液晶フィルムである偏光選択反射層を有する投影スクリーンが開示されており、偏光選択反射層として選択反射中心波長が互いに異なる3層を積層させた構造が示されている。
特開2005−107508号公報
特許文献1のように、選択反射中心波長が互いに異なる層として、青色光を反射する層、緑色光を反射する層、および、赤色光を反射する層を積層させたコレステリック液晶フィルムを用いれば、多数の反射波長の光を混色できるので、原理上、多様な色を表現できる。しかしながら、特許文献1のように、選択反射中心波長が互いに異なる層を積層させる場合、層毎に露光等の各種処理が必要となるので、製造が煩雑になる。
このような問題を解決する方法として、例えば、コレステリック液晶フィルムの面内で、選択反射中心波長の異なる領域を複数配置する方法が考えられる。しかしながら、この方法を採用した場合、各領域が視認されること(すなわち、視認性が劣ること)、および、コレステリック液晶フィルムの表面を正面から見た場合に、他の色味の影響が少ない理想的な白色の表現が困難であること(すなわち、白色の再現性が劣ること)、という新たな問題が生じることを、本発明者らは見出した。
そこで、本発明は、コレステリック液晶相を固定してなるフィルムであって、フィルムの表面を正面から見た場合における白色の再現性に優れ、かつ、視認性に優れたフィルムの提供を目的とする。また、本発明は、上記フィルムを有する、積層体、撮影装置、センサーおよびヘッドアップディスプレイの提供も目的とする。
本発明者らは、上記課題について鋭意検討した結果、コレステリック液晶相を固定してなるフィルムとして、面内方向に選択反射中心波長が異なる複数の領域を有し、複数の領域の短径のサイズがいずれも所定値以下であり、所定波長に反射率の極大値を有し、所定波長の反射率の関係が所定の関係を満たすフィルムを用いれば、フィルムの表面を正面から見た場合における白色の再現性、および、視認性に優れることを見出し、本発明に至った。
すなわち、本発明者らは、以下の構成により上記課題が解決できることを見出した。
[1]
コレステリック液晶相を固定してなるフィルムであって、
上記フィルムは、上記フィルムの面内方向に選択反射中心波長が異なる複数の領域を有し、上記複数の領域の短径のサイズがいずれも、200μm以下であり、
上記フィルムは、波長400〜500nmの範囲および波長560〜700nmの範囲のそれぞれに、反射率の極大値を1つ有し、
上記フィルムは、波長400〜500nmの範囲における反射率の極大値をImaxX、波長500〜600nmにおける反射率の極小値をIminY、波長560〜700nmの範囲における反射率の極大値をImaxZとした場合に、ImaxX/ImaxZ>1、IminY/ImaxX>0.3、および、IminY/ImaxZ>0.5の関係を全て満たす、フィルム。
[2]
maxX/ImaxZ>1.4の関係を満たす、[1]に記載のフィルム。
[3]
上記ImaxZが、波長600〜700nmの範囲にある、[1]または[2]に記載のフィルム。
[4]
上記複数の領域の短径のサイズがいずれも、100μm以下である、[1]〜[3]のいずれかに記載のフィルム。
[5]
加飾フィルムとして用いられる、[1]〜[4]のいずれかに記載のフィルム。
[6]
[1]〜[5]のいずれかに記載のフィルムと、λ/4板と、直線偏光板と、がこの順に積層された、積層体。
[7]
加飾フィルムとして用いられる、[6]に記載の積層体。
[8]
撮影ユニットと、上記撮影ユニットを隠蔽するための隠蔽部材と、を有する撮影装置であって、
上記隠蔽部材が、[1]〜[4]のいずれかに記載のフィルム、または、[6]に記載の積層体を有する、撮影装置。
[9]
センサーユニットと、上記センサーユニットを隠蔽するための隠蔽部材と、を有するセンサーであって、
上記隠蔽部材が、[1]〜[4]のいずれかに記載のフィルム、または、[6]に記載の積層体を有する、センサー。
[10]
コンバイナを有するヘッドアップディスプレイであって、
上記コンバイナが、[1]〜[4]のいずれかに記載のフィルム、または、[6]に記載の積層体を有する、ヘッドアップディスプレイ。
以下に示すように、本発明によれば、コレステリック液晶相を固定してなるフィルムであって、フィルムの表面を正面から見た場合における白色の再現性に優れ、かつ、視認性に優れたフィルムを提供できる。また、本発明によれば、上記フィルムを有する、積層体、撮影装置、センサーおよびヘッドアップディスプレイを提供できる。
本発明のフィルムの実施形態の一例を示す平面模式図である。 図1に示すフィルムのA−A’線における断面模式図である。 図1に示すフィルムの反射スペクトルである。 本発明のフィルムの製造方法の一例を説明するための模式図である。 本発明のフィルムの実施形態の一例を示す平面模式図である。 図5に示すフィルムのB−B’線における断面模式図である。
以下、本発明について詳細に説明する。
以下に記載する構成要件の説明は、本発明の代表的な実施態様に基づいてなされることがあるが、本発明はそのような実施態様に限定されるものではない。
なお、本明細書において、「〜」を用いて表される数値範囲は、「〜」の前後に記載される数値を下限値および上限値として含む範囲を意味する。
また、本明細書において、「(メタ)アクリレート」とは、アクリレートおよびメタクリレートの両方を表す表記である。
また、45°等の具体的な角度については、本発明が属する技術分野において許容される誤差の範囲を含むものとする。例えば、本発明においては、角度は、具体的に示された厳密な角度に対して、±5°未満であること等を意味し、示された厳密な角度に対する誤差は、±3°以下であるのが好ましく、±1°以下であるのが好ましい。
本明細書において、円偏光につき「センス」というときは、右円偏光であるか、または、左円偏光であるかを意味する。円偏光のセンスは、光が手前に向かって進んでくるように眺めた場合に電場ベクトルの先端が時間の増加に従って時計回りに回る場合が右円偏光であり、反時計回りに回る場合が左円偏光であるとして定義される。
本明細書においては、コレステリック液晶相の螺旋の捩れ方向について「センス」との用語を用いることもある。コレステリック液晶相による選択反射は、コレステリック液晶相の螺旋の捩れ方向(センス)が右の場合は右円偏光を反射して左円偏光を透過し、センスが左の場合は左円偏光を反射して右円偏光を透過する。
可視光は電磁波のうち、ヒトの目で見える波長の光であり、380〜780nmの波長域の光を示す。非可視光は、380nm未満の波長域または780nmを超える波長域の光である。
また、これに限定されるものではないが、可視光のうち、400〜500nmの波長域の光は、青色光であり、500〜560nmの波長域の光は、緑色光であり、560〜700nmの波長域の光は、赤色光である。
本明細書において、「選択反射中心波長」とは、対象となる物(部材)における反射率の極大値を示す波長(nm)を意味する。
[フィルム]
本発明のフィルムは、コレステリック液晶相を固定してなるフィルムである。
また、本発明のフィルムは、上記フィルムの面内方向に選択反射中心波長が異なる複数の領域を有し、上記複数の領域の短径のサイズがいずれも、200μm以下である。
また、本発明におけるフィルムは、波長400〜500nmの範囲および波長560〜700nmの範囲のそれぞれに、反射率の極大値を1つ有する。
また、本発明におけるフィルムは、波長400〜500nmの範囲における反射率の極大値をImaxX、波長500〜600nmにおける反射率の極小値をIminY、波長560〜700nmの範囲における反射率の極大値をImaxZとした場合に、ImaxX/ImaxZ>1、IminY/ImaxX>0.3、および、IminY/ImaxZ>0.5の関係を全て満たす。
以下において、本発明のフィルムの一態様について、実施形態毎に図面を参照しながら説明する。なお、本発明における図はいずれも模式図であり、各領域のサイズおよび位置関係等は必ずしも実際のものとは一致しない。
〔第1実施形態〕
図1は、本発明のフィルムの実施形態の一例(第1実施形態)を示す平面模式図である。図2は、図1に示す平面模式図のA−A’における断面模式図である。
フィルム10は、コレステリック液晶相を固定してなるフィルムである。
フィルム10は、互いにコレステリック液晶相の螺旋ピッチが異なる2つの領域を有する。具体的には、フィルム10は、赤色光の右円偏光を反射し、赤色光の左円偏光および他の波長域の光を透過する赤色反射領域12Rと、青色光の右円偏光を反射し、青色光の左円偏光および他の波長域の光を透過する青色反射領域12Bと、を有する。
赤色反射領域12Rおよび青色反射領域12Bは、フィルム10の面内方向(フィルム10の厚み方向と交差する方向)に、この順に配置されている。赤色反射領域12Rおよび青色反射領域12Bは、これを一単位として、面内の所定方向に沿って周期的に配列している。より具体的には、図1に示すように、赤色反射領域12Rおよび青色反射領域12Bがストライプ状に配置されている。
赤色反射領域12Rおよび青色反射領域12Bはそれぞれ、特定の波長域の右円偏光に対して波長選択反射性を有する。
一般的に、選択反射中心波長(λ)は、コレステリック液晶相における螺旋構造のピッチP(=螺旋の周期)に依存し、コレステリック液晶相の平均屈折率nとλ=n×Pの関係に従う。そのため、この螺旋構造のピッチを調節することによって、選択反射中心波長を調節できる。コレステリック液晶相のピッチは、液晶化合物とともに用いるキラル剤の種類、または、その添加濃度に依存するため、これらを調節することによって所望のピッチを得ることができる。
また、選択反射を示す選択反射帯域(円偏光反射帯域)の半値幅Δλ(nm)は、コレステリック液晶相の屈折率異方性Δnと螺旋のピッチPとに依存し、Δλ=Δn×Pの関係に従う。そのため、Δnを調節することにより、選択反射帯域の幅を制御できる。Δnは、反射領域を形成する液晶化合物の種類およびその混合比率、ならびに、配向時の温度により調節できる。なお、コレステリック液晶相における反射率はΔnに依存することも知られており、同程度の反射率を得る場合に、Δnが大きいほど、螺旋ピッチの数を少なく、すなわち膜厚を薄く、することができる。
螺旋のセンスおよびピッチの測定法については「液晶化学実験入門」日本液晶学会編 シグマ出版2007年出版、46頁、および「液晶便覧」液晶便覧編集委員会 丸善 196頁に記載の方法を用いることができる。
コレステリック液晶相の反射光は円偏光である。反射光が右円偏光であるか左円偏光であるかは、コレステリック液晶相の螺旋の捩れ方向による。コレステリック液晶相による円偏光の選択反射は、コレステリック液晶相の螺旋の捩れ方向が右の場合は右円偏光を反射し、螺旋の捩れ方向が左の場合は左円偏光を反射する。
フィルム10において、赤色反射領域12Rおよび青色反射領域12Bは、右捩れのコレステリック液晶相を含む層である。
なお、コレステリック液晶相の旋回の方向は、反射領域を形成する液晶化合物の種類または添加されるキラル剤の種類によって調節できる。
図1の例において、青色反射領域12Bは、波長400〜500nmの範囲に選択反射中心波長を有する領域であり、赤色反射領域12Rは、波長560〜700nmの範囲に選択反射中心波長を有する領域である。これにより、フィルム10は、波長400〜500nmの範囲および波長560〜700nmの範囲のそれぞれに反射率の極大値を有しやすくなる。このように、フィルム10が上記各範囲に反射率の極大値を有していれば、フィルム10を正面から見た場合(すなわち、フィルムの表面に対する法線方向に向かってフィルムを見た場合)における白色の再現性がより優れる。
図1の例では、赤色反射領域12Rおよび青色反射領域12Bが、この順に隣接して配置されている。このように、選択反射中心波長が互いに異なる領域が、隣接して配置されていれば、フィルム10を正面から見た場合における白色の再現性がより優れる。
また、図1の例では、赤色反射領域12Rおよび青色反射領域12Bを1つの周期として、赤色反射領域12Rおよび青色反射領域12Bが交互に配置されている。ここで、赤色反射領域12Rと青色反射領域12Bとの界面付近では、両者の領域の影響によって緑色の光が反射されやすい。そのため、1つの赤色反射領域12Rおよび1つの青色反射領域12Bからなる1周期においては、赤色反射領域12Rと青色反射領域12Bとが交互に配置される方向に沿って、反射波長が連続的に変化している状態となる。言い換えれば、フィルム10のコレステリック液晶の螺旋ピッチは、隣接する領域が配列する方向に沿って、連続的に変化している状態となる。これにより、フィルム10を正面から見た場合における白色の再現性がより優れる。
各領域(赤色反射領域12Rおよび青色反射領域12B)はいずれも、短径のサイズが、200μm以下であり、150μm以下が好ましく、100μm以下が特に好ましい。
短径のサイズが200μm以下であれば、各領域がヒトの目によって視認されにくくなるので、視認性に優れた(すなわち、各領域が視認しづらいこと)フィルムが得られる。
また、各領域の短径のサイズの下限値は、特に制限はないが、赤色反射領域および青色反射領域と、コレステリック液晶の螺旋ピッチが連続的に変化する領域とを両立するため、10μm以上が好ましく、20μm以上が特に好ましい。
ここで、本明細書において、領域の短径のサイズとは、領域の形状が長方形である場合には長方形の短辺の長さを意味し、領域の形状が正方形である場合には正方形の一辺の長さを意味し、領域の形状が正円である場合には円の直径を意味する。また、領域の形状が長方形、正方形および正円以外の場合には、領域の短径のサイズは、フィルムを正面からみたときに、領域に外接する平行二直線のうち、その距離が最大になる平行二直線の距離を長径(図1におけるL1)とし、長径を与える平行二直線に直交し、かつ、領域に外接する平行二直線のうち、その距離が最小となる平行二直線の距離を領域の短径のサイズ(図1におけるL2)とする。
また、領域の短径のサイズは、ニコン社製顕微鏡(対物レンズ10倍)の落射モードで観察したものをNIS−ElementsDで解析することによって算出する。なお、領域の長径のサイズは、特に限定されない。
図1に示すように、各領域の形状は、四角形(長方形)である。ただし、各領域の形状はこれに限定されず、例えば、三角形、四角形(例えば、長方形および正方形)、円、楕円、不定形等のいずれの形状であってもよい。
図3は、フィルム10の反射スペクトルの好適態様の一例である。図3において、縦軸は、反射強度Iを示し、横軸は、波長W(nm)を示す。
図3に示すように、フィルム10は、波長400〜500nmの範囲および波長560〜700nmの範囲のそれぞれに、反射率の極大値を1つ有する。
また、波長400〜500nmの範囲における反射率の極大値をImaxX、波長500〜600nmにおける反射率の極小値をIminY、波長560〜700nmの範囲における反射率の極大値をImaxZとした場合に、ImaxX/ImaxZ>1、IminY/ImaxX>0.3、および、IminY/ImaxZ>0.5の関係を全て満たす。上記関係を満たすことで、白色の再現性に優れたフィルム10が得られる。
maxX、IminYおよびImaxZが上述した関係を満たすようにする方法としては、例えば、フィルム10の製造時に使用する、マスクのパターン形状、マスクと液晶組成物の塗膜との距離、液晶組成物の塗膜に対する露光量等を調整する方法が挙げられる。
なお、ImaxX、IminYおよびImaxZは、本発明のフィルムの反射スペクトルから得られる。また、本発明のフィルムの反射スペクトルは、後述する実施例欄に記載の方法にしたがって測定される。
フィルム10における、波長560〜700nmの範囲にある反射率の極大値(すなわち、ImaxZ)は、波長600〜700nmの範囲にあるのが好ましい。これにより、フィルム10を正面から見た場合のみならず、フィルム10の表面に対する法線方向から傾いた角度(以下、「斜め方向」ともいう。好ましくは30度傾いた角度)からフィルム10を見た場合においても、フィルム10の白色度の再現性が優れる。
また、フィルム10における、波長400〜500nmの範囲にある反射率の極大値(すなわち、ImaxX)は、波長425〜500nm(より好ましくは450〜500nm)の範囲にあり、かつ、波長560〜700nmの範囲にある反射率の極大値(すなわち、ImaxZ)は、波長580〜700nm(より好ましくは600〜700nm)の範囲にあるのがより好ましい。これにより、フィルム10を正面から見た場合のみならず、フィルム10を斜め方向から見た場合においても、フィルム10の白色度の再現性がより優れる。
maxXを示す波長W1(nm)と、ImaxZを示す波長W2(nm)との中点の波長での反射強度が、0.5×ImaxZよりも大きいことが好ましい。また、上記中点の波長での反射強度の上限値は、ImaxZ以下が好ましく、ImaxZ未満がより好ましい。
上記中点の波長での反射強度が0.5×ImaxZよりも大きければ、フィルム10が緑色の光を良好に反射できるので、フィルム10を正面から見た場合の白色度の再現性がより優れる。
maxXおよびImaxZは、ImaxX/ImaxZ>1の関係を満たし、ImaxX/ImaxZ>1.2の関係を満たすのが好ましく、ImaxX/ImaxZ>1.4の関係を満たすのが特に好ましい。ImaxX/ImaxZ>1.4の関係を満たせば、フィルム10の表面を正面から見た場合の白色の再現性がより優れる。
maxXおよびImaxZは、3.5>ImaxX/ImaxZの関係を満たすのが好ましく、3.0>ImaxX/ImaxZの関係を満たすのが特に好ましい。2.8>ImaxX/ImaxZの関係を満たせば、フィルム10の表面を正面から見た場合の白色の再現性がより優れる。
maxXおよびIminYは、IminY/ImaxX>0.3の関係を満たし、IminY/ImaxX>0.35の関係を満たすのが好ましく、IminY/ImaxX>0.4の関係を満たすのが特に好ましい。IminY/ImaxX>0.4の関係を満たせば、フィルム10を正面から見た場合の白色の再現性がより優れる。ヒトの目は、555nmの緑色の反射光に対する感度が最大となるためImaxXとIminYとが上記関係を満たすことで、緑色の反射光の強度が適宜調整されて、白色度の再現性が向上したと考えている。
maxXおよびIminYは、0.9>IminY/ImaxXの関係を満たすのが好ましく、0.8>IminY/ImaxXの関係を満たすのが特に好ましい。0.8>IminY/ImaxXの関係を満たせば、フィルム10の表面を正面から見た場合の白色の再現性がより優れる。
minYおよびImaxZは、IminY/ImaxZ>0.5の関係を満たし、IminY/ImaxZ>0.6の関係を満たすのが好ましく、IminY/ImaxZ>0.8の関係を満たすのが特に好ましい。IminY/ImaxZ>0.8の関係を満たせば、フィルム10を正面から見た場合の白色の再現性がより優れる。ヒトの目は、555nmの緑色の反射光に対する感度が最大となるためImaxXとIminYとが上記関係を満たすことで、緑色の反射光の強度が適宜調整されて、白色度の再現性が向上したと考えている。
minYおよびImaxZは、1>IminY/ImaxZの関係を満たすのが好ましい。1>IminY/ImaxZの関係を満たせば、フィルム10の表面を正面から見た場合の白色の再現性が優れる。
図3に示すように、フィルム10は、ImaxXに対応する波長と、ImaxZに対応する波長との間の全波長域において、反射率を有している。これにより、フィルム10を正面から見た場合の白色度の再現性がより向上する。
maxXに対応する波長と、ImaxZに対応する波長との間の全波長域において、反射率を有するフィルムを得る方法としては、赤色反射領域12Rと青色反射領域12Bとを隣接するように配置する方法が挙げられる。これにより、フィルム10のコレステリック液晶の螺旋ピッチが、隣接する領域が配列する方向に沿って、連続的に変化している状態となる結果、ImaxXに対応する波長と、ImaxZに対応する波長との間の全波長域において、反射率を示すものとなると考えられる。
フィルム10の厚みは特に限定されないが、発色性および配向性が優れる観点から、1〜10μmが好ましく、2〜8μmがより好ましく、3〜6μmが特に好ましい。
コレステリック液晶相を固定してなるフィルム10は、コレステリック液晶相となっている液晶化合物の配向が保持されている構造であればよく、典型的には、重合性液晶化合物をコレステリック液晶相の配向状態としたうえで、紫外線照射、加熱等によって重合、硬化し、流動性が無い層を形成して、同時に、外場または外力によって配向形態に変化を生じさせることない状態に変化した構造であればよい。なお、コレステリック液晶相を固定してなるフィルム10においては、コレステリック液晶相の光学的性質が保持されていれば十分であり、液晶化合物はもはや液晶性を示していなくてもよい。例えば、重合性液晶化合物は、硬化反応により高分子量化して、もはや液晶性を失っていてもよい。
(液晶組成物)
フィルム10の形成に用いる材料としては、液晶化合物を含む液晶組成物等が挙げられる。液晶化合物は、重合性基を有する液晶化合物(重合性液晶化合物)であることが好ましい。
重合性液晶化合物を含む液晶組成物(本明細書において、「重合性液晶化合物」ともいう。)は、さらに界面活性剤、キラル剤、重合開始剤等を含んでいてもよい。以下、各成分について詳述する。
<重合性液晶化合物>
重合性液晶化合物は、棒状液晶化合物であっても、円盤状液晶化合物であってもよいが、棒状液晶化合物であることが好ましい。
フィルム10を形成する棒状の重合性液晶化合物の例としては、棒状ネマチック液晶化合物が挙げられる。棒状ネマチック液晶化合物としては、アゾメチン類、アゾキシ類、シアノビフェニル類、シアノフェニルエステル類、安息香酸エステル類、シクロヘキサンカルボン酸フェニルエステル類、シアノフェニルシクロヘキサン類、シアノ置換フェニルピリミジン類、アルコキシ置換フェニルピリミジン類、フェニルジオキサン類、トラン類、および、アルケニルシクロヘキシルベンゾニトリル類が好ましい。低分子液晶化合物だけではなく、高分子液晶化合物も用いることができる。
重合性液晶化合物は、重合性基を液晶化合物に導入することで得られる。重合性基としては、不飽和重合性基、エポキシ基、およびアジリジニル基が挙げられ、不飽和重合性基が好ましく、エチレン性不飽和重合性基がより好ましい。重合性基は種々の方法で、液晶化合物の分子中に導入できる。重合性液晶化合物が有する重合性基の個数は、1〜6個が好ましく、1〜3個がより好ましい。重合性液晶化合物の例としては、Makromol.Chem.,190巻、2255頁(1989年)、Advanced Materials 5巻、107頁(1993年)、米国特許第4683327号明細書、同5622648号明細書、同5770107号明細書、国際公開WO95/22586号公報、同95/24455号公報、同97/00600号公報、同98/23580号公報、同98/52905号公報、特開平1−272551号公報、同6−16616号公報、同7−110469号公報、同11−80081号公報、および特開2001−328973号公報等に記載の化合物が挙げられる。2種類以上の重合性液晶化合物を併用してもよい。2種類以上の重合性液晶化合物を併用すると、配向温度を低下させることができる。
重合性液晶化合物の具体例としては、下記式(1)〜(11)に示す化合物が挙げられる。
化合物(11)において、X1は2〜5(整数)である。
また、上記以外の重合性液晶化合物としては、下記式(12)〜(14)に示す化合物が挙げられる。
また、上記以外の重合性液晶化合物としては、特開昭57−165480号公報に開示されているようなコレステリック相を有する環式オルガノポリシロキサン化合物等を用いることができる。さらに、前述の高分子液晶化合物としては、液晶を呈するメソゲン基を主鎖、側鎖、または、主鎖および側鎖の両方の位置に導入した高分子、コレステリル基を側鎖に導入した高分子コレステリック液晶、特開平9−133810号公報に開示されているような液晶性高分子、および、特開平11−293252号公報に開示されているような液晶性高分子等を用いることができる。
また、液晶組成物中の重合性液晶化合物の添加量は、液晶組成物の固形分質量(溶媒を除いた質量)に対して、75〜99.9質量%であることが好ましく、80〜99質量%であることがより好ましく、85〜90質量%であることがさらに好ましい。
<キラル剤(光学活性化合物)>
キラル剤はコレステリック液晶相の螺旋構造を誘起する機能を有する。キラル化合物は、化合物によって誘起する螺旋の捩れ方向または螺旋ピッチが異なるため、目的に応じて選択すればよい。
キラル剤としては、特に限定はなく、公知の化合物(例えば、液晶デバイスハンドブック、第3章4−3項、TN(twisted nematic)、STN(Super-twisted nematic)用カイラル剤、199頁、日本学術振興会第142委員会編、1989に記載)、イソソルビド、イソマンニド誘導体を用いることができる。
キラル剤は、一般に不斉炭素原子を含むが、不斉炭素原子を含まない軸性不斉化合物または面性不斉化合物もキラル剤として用いることができる。軸性不斉化合物または面性不斉化合物の例としては、ビナフチル、ヘリセン、パラシクロファンおよびこれらの誘導体が挙げられる。キラル剤は、重合性基を有していてもよい。キラル剤と液晶化合物とがいずれも重合性基を有する場合は、重合性キラル剤と重合性液晶化合物との重合反応により、重合性液晶化合物から誘導される繰り返し単位と、キラル剤から誘導される繰り返し単位とを有するポリマーを形成できる。この態様では、重合性キラル剤が有する重合性基は、重合性液晶化合物が有する重合性基と、同種の基であることが好ましい。従って、キラル剤の重合性基も、不飽和重合性基、エポキシ基またはアジリジニル基であることが好ましく、不飽和重合性基であることがより好ましく、エチレン性不飽和重合性基であることがさらに好ましい。
また、キラル剤は、液晶化合物であってもよい。
なお、後述するように、フィルム10を製造する際に、露光量によってコレステリック液晶相の螺旋ピッチの大きさを制御する場合、光に感応しコレステリック液晶相の螺旋ピッチを変化させ得るキラル剤(以後、感光性キラル剤とも称する)を用いることが好ましい。
感光性キラル剤とは、光を吸収することにより構造が変化し、コレステリック液晶相の螺旋ピッチを変化させ得る化合物である。このような化合物としては、光異性化反応、光二量化反応、および、光分解反応の少なくとも1つを起こす化合物が好ましい。
光異性化反応を起こす化合物とは、光の作用で立体異性化または構造異性化を起こす化合物をいう。光異性化化合物としては、例えば、アゾベンゼン化合物、および、スピロピラン化合物等が挙げられる。
また、光二量化反応を起こす化合物とは、光の照射によって、二つの基の間に付加反応を起こして環化する化合物をいう。光二量化化合物としては、例えば、桂皮酸誘導体、クマリン誘導体、カルコン誘導体、および、ベンゾフェノン誘導体等が挙げられる。
上記感光性キラル剤としては、以下の一般式(I)で表されるキラル剤が好ましく挙げられる。このキラル剤は、光照射時の光量に応じてコレステリック液晶相の螺旋ピッチ(捻れ力、螺旋の捻れ角)等の配向構造を変化させ得る。
一般式(I)中、Ar1とAr2は、アリール基または複素芳香環基を表す。
Ar1とAr2で表されるアリール基は、置換基を有していてもよく、総炭素数6〜40が好ましく、総炭素数6〜30がより好ましい。置換基としては、例えば、ハロゲン原子、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アルコキシ基、ヒドロキシル基、アシル基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、アシルオキシ基、カルボキシル基、シアノ基、または、複素環基が好ましく、ハロゲン原子、アルキル基、アルケニル基、アルコキシ基、ヒドロキシル基、アシルオキシ基、アルコキシカルボニル基、または、アリールオキシカルボニル基がより好ましい。
このようなアリール基のうち、下記一般式(III)または(IV)式で表されるアリール基が好ましい。
一般式(III)中のR1および一般式(IV)中のR2は、それぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基、複素環基、アルコキシ基、ヒドロキシル基、アシル基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、アシルオキシ基、カルボキシル基、または、シアノ基を表す。なかでも、水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、アルケニル基、アリール基、アルコキシ基、ヒドロキシル基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、または、アシルオキシ基が好ましく、アルコキシ基、ヒドロキシル基、または、アシルオキシ基がより好ましい。
一般式(III)中のL1および一般式(IV)中のL2は、それぞれ独立に、ハロゲン原子、アルキル基、アルコキシ基、または、ヒドロキシル基を表し、炭素数1〜10のアルコキシ基、または、ヒドロキシル基が好ましい。
lは0、1〜4の整数を表し、0、1が好ましい。mは0、1〜6の整数を表し、0、1が好ましい。l、mが2以上のときは、L1とL2は互いに異なる基を表してもよい。
Ar1とAr2で表される複素芳香環基は、置換基を有していてもよく、総炭素数4〜40が好ましく、総炭素数4〜30がより好ましい。置換基としては、例えば、ハロゲン原子、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基、アルコキシ基、ヒドロキシル基、アシル基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、アシルオキシ基、または、シアノ基が好ましく、ハロゲン原子、アルキル基、アルケニル基、アリール基、アルコキシ基、または、アシルオキシ基がより好ましい。
複素芳香環基としては、ピリジル基、ピリミジニル基、フリル基、および、ベンゾフラニル基等が挙げられ、この中でも、ピリジル基、または、ピリミジニル基が好ましい。
液晶組成物における、キラル剤の含有量は、重合性液晶性化合物量の0.01〜200モル%が好ましく、1〜30モル%がより好ましい。
<重合開始剤>
液晶組成物が重合性化合物を含む場合は、重合開始剤を含むことが好ましい。紫外線照射により重合反応を進行させる態様では、使用する重合開始剤は、紫外線照射によって重合反応を開始可能な光重合開始剤であることが好ましい。光重合開始剤の例としては、α−カルボニル化合物(米国特許第2367661号、同2367670号の各明細書記載)、アシロインエーテル(米国特許第2448828号明細書記載)、α−炭化水素置換芳香族アシロイン化合物(米国特許第2722512号明細書記載)、多核キノン化合物(米国特許第3046127号、同2951758号の各明細書記載)、トリアリールイミダゾールダイマーとp−アミノフェニルケトンとの組み合わせ(米国特許第3549367号明細書記載)、アクリジンおよびフェナジン化合物(特開昭60−105667号公報、米国特許第4239850号明細書記載)およびオキサジアゾール化合物(米国特許第4212970号明細書記載)等が挙げられる。
液晶組成物中の光重合開始剤の含有量は、重合性液晶化合物の含有量に対して0.1〜20質量%であることが好ましく、0.5質量%〜12質量%であることがさらに好ましい。
<架橋剤>
液晶組成物は、硬化後の膜強度向上、耐久性向上のため、任意に架橋剤を含んでいてもよい。架橋剤としては、紫外線、熱、湿気等で硬化するものが好適に使用できる。
架橋剤としては、特に限定はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート等の多官能アクリレート化合物;グリシジル(メタ)アクリレート、エチレングリコールジグリシジルエーテル等のエポキシ化合物;2,2−ビスヒドロキシメチルブタノール−トリス[3−(1−アジリジニル)プロピオネート]、4,4−ビス(エチレンイミノカルボニルアミノ)ジフェニルメタン等のアジリジン化合物;ヘキサメチレンジイソシアネート、ビウレット型イソシアネート等のイソシアネート化合物;オキサゾリン基を側鎖に有するポリオキサゾリン化合物;ビニルトリメトキシシラン、N−(2−アミノエチル)3−アミノプロピルトリメトキシシラン等のアルコキシシラン化合物等が挙げられる。また、架橋剤の反応性に応じて公知の触媒を用いることができ、膜強度および耐久性向上に加えて生産性を向上させることができる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
架橋剤の含有量は、重合性液晶化合物の含有量に対して0.1〜20質量%が好ましく、1〜10質量%がより好ましい。
<その他の添加剤>
液晶組成物中には、必要に応じて、さらに界面活性剤(例えば、フッ素系界面活性剤等)、重合性化合物、重合禁止剤、酸化防止剤、水平配向剤、紫外線吸収剤、光安定化剤、色材および金属酸化物微粒子等を、光学的性能等を低下させない範囲で添加することができる。
液晶組成物は溶媒を含んでいてもよい。溶媒としては、特に限定はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、有機溶媒が好ましい。
有機溶媒としては、特に限定はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトンおよびシクロヘキサノン、シクロペンタノン等のケトン類、アルキルハライド類、アミド類、スルホキシド類、ヘテロ環化合物、炭化水素類、エステル類、ならびに、エーテル類等が挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
(用途)
本発明のフィルム10は、コレステリック液晶相を有するフィルムが適用される公知の用途に使用でき、例えば、加飾フィルム、撮影装置もしくはセンサーの隠蔽部材、または、ヘッドアップディスプレイのコンバイナ等に使用できる。
加飾フィルムは、種々の基材の加飾に使用でき、基材の種類は特に限定されない。
ここで、撮影装置としては、撮影ユニットと、上記撮影ユニットを隠蔽するための隠蔽部材と、を有する態様が挙げられる。また、センサーとしては、センサーユニットと、上記センサーユニットを隠蔽するための隠蔽部材と、を有する態様が挙げられる。また、ヘッドアップディスプレイとしては、コンバイナを有するヘッドアップディスプレイが挙げられる。撮影装置、センサーおよびヘッドアップディスプレイの具体的な構造については、公知であるのでその説明を省略する。
(変形例)
図1の例では、フィルム10が、赤色反射領域12Rおよび青色反射領域12Bを所定方向に沿ってこの順に有し、これを一単位して、面内の所定方向に沿って周期的に配列している例を示したが、本発明のフィルムの構成はこれに限定されない。
具体的には、本発明のフィルムにおける各領域は、周期的に配置されずに、ランダムに配置されているものであってもよい。
図1の例では、赤色反射領域12Rおよび青色反射領域12Bの面積が同程度である場合を示したが、これに限定されず、各領域の面積は、互いに同一であっても、異なっていてもよい。
図1の例では、フィルム10が、右円偏光を示す場合を示したが、これに限定されず、本発明のフィルムにおけるは、左円偏光を示すものであってもよい。
(製造方法)
フィルム10の製造方法は、特に限定されず、公知の方法を採用できるが、ImaxX、IminYおよびImaxZの関係を上述した範囲に設定しやすい点から、以下の工程1〜4を有する方法が好ましい。
工程1:重合性基を有する液晶化合物、および、光に感応しコレステリック液晶相の螺旋ピッチを変化させ得るキラル剤を含む液晶組成物を用いて塗膜を形成する工程
工程2:キラル剤が感光する光にて、塗膜にパターン状に露光処理を施す工程
工程3:露光処理が施された塗膜に対して加熱処理を施し、液晶化合物を配向させてコレステリック液晶相の状態とする工程
工程4:加熱処理が施された塗膜に対して硬化処理を施し、コレステリック液晶相を固定化してなるフィルムを形成する工程
以下、上記各工程の手順について、図面を参照しながら詳述する。
<工程1>
工程1は、重合性基を有する液晶化合物、光に感応しコレステリック液晶相の螺旋ピッチを変化させ得るキラル剤を含む液晶組成物を用いて塗膜を形成する工程である。図4のS1に示すように、本工程を実施することにより、まず、塗膜10aが形成される。
塗膜10aは、図示しない基材上に形成されてもよい。なお、基材としては、転写基材を使用してもよいし、フォトマスク上に直接形成してもよい。また、円偏光板を用いて、直接、フィルム10を円偏光板上で形成してもよい。
なお、より配向性に優れ、かつ、透過性の高い円偏光反射層とする観点から、塗膜10aを形成する前に、基材の表面に対して配向処理を施してもよい。配向処理を施すことで、塗膜10aに形成されるコレステリック液晶相の配向性が向上し、フィルム10の透過性をより高めることができる。
液晶組成物に含まれる重合性基を有する液晶化合物、および、感光性キラル剤は上述の通りである。液晶組成物に含まれてもよい成分も、上述の通りである。
液晶組成物の固形分濃度は、塗布性の観点から、液晶組成物全質量に対して、10〜60質量%が好ましく、20〜50質量%がより好ましい。
工程1で塗膜を形成する方法としては、例えば、上述した液晶組成物を基材上に塗布する方法が挙げられる。塗布方法は特に限定されず、例えば、ワイヤーバーコーティング法、押し出しコーティング法、ダイレクトグラビアコーティング法、リバースグラビアコーティング法、および、ダイコーティング法等が挙げられる。
なお、必要に応じて、塗布後に、基材上に塗布された液晶組成物を乾燥する処理を実施してもよい。乾燥処理を実施することにより、塗布された液晶組成物から溶媒を除去できる。
塗膜の膜厚は特に限定されないが、フィルム10の白色の再現性がより優れる点で、0.1〜20μmが好ましく、0.2〜15μmがより好ましく、0.5〜10μmが特に好ましい。
<工程2>
工程2は、キラル剤が感光する光にて、塗膜にパターン状に露光処理を施す工程である。本工程を実施することにより、露光量の違いによって、各領域間においてキラル剤の螺旋誘起力に差を設けることができる。よって、後述する手順をさらに実施することにより、選択反射中心波長が互いに異なる領域を形成できる。
パターン状に露光処理を実施する方法は特に限定されないが、開口部を有するマスクを用いる方法が挙げられる。より具体的には、図4のS2に示すように、所定の濃度階調を持つパターンを有するマスクMを介して、光源Sより出射される感光性キラル剤が感光する波長の光にて、塗膜10aに露光処理を施し、露光された塗膜10bを形成する。
マスクMは、塗膜10aに照射される光の量が異なる領域を形成できるように、濃度階調をもつ部分が周期的に配置されたストライプ状のパターンを有している。
ここで、図4に示すマスクMは、濃色部(例えば、遮光部)と、淡色部(例えば、透過部)とを有する。このように、濃淡の2階調のマスクを用いた場合であっても、図1における赤色反射領域12Rと青色反射領域12Bとの界面付近に、緑色の光を反射する部分を形成できる。この理由としては、マスクMの濃色部と淡色部との境界に対応する塗膜10aの部分(すなわち、図1における赤色反射領域12Rと青色反射領域12Bとの界面付近)が、マスクMの濃色部を透過する光と、マスクMの淡色部を透過する光と、の中間程度の強度の光が照射されるため、および、赤色反射領域12Rと青色反射領域12Bのキラル剤の濃度勾配の影響によるキラル剤の拡散の影響と考えている。
なお、マスクMと、塗膜10aとの距離は、所望のパターンが形成されるのであれば、特に限定されないが、光源によらずに微細なラインを再現するうえでは、マスクと塗膜はできるだけ密着させた上で露光を行うことが好ましい。
本工程で照射される光の波長としては、感光性キラル剤が感光する波長の光であれば特に限定されない。
上記液晶組成物に重合開始剤が含まれる場合、重合開始剤が感光しづらい波長の光で露光を実施することが好ましい。
光の照射量は、所望のパターンが形成されるのであれば、特に限定されない。
光照射の際には、塗膜10aを加熱してもよい。加熱温度としては、15〜50℃が好ましく、20〜40℃がより好ましい。
図4では、ストライプ状のパターンを有するマスクMを用いた例を示したが、フィルムに所望のパターンを形成できるのであれば、マスクのパターン形状は特に限定されない。
<工程3>
工程3では、工程2の露光処理が施された塗膜に対して加熱処理を施し、液晶化合物を配向させてコレステリック液晶相の状態とする工程である。本工程を実施することにより、図4のS3に示すように、ヒーターH等を用いた加熱処理により、コレステリック液晶相の状態の塗膜10cを形成できる。
液晶組成物の液晶相転移温度は、製造適性の点から、10〜250℃が好ましく、10〜150℃が特に好ましい。
好ましい加熱条件としては、40〜100℃(好ましくは、60〜100℃)で0.5〜5分間(好ましくは、0.5〜2分間)にわたって液晶組成物を加熱することが好ましい。
なお、室温で配向可能な液晶化合物を用いる場合は、工程3の加熱処理を施さずにフィルム10を形成できる場合もある。工程3についてはマスクを付着させたまま行っても、取り外した状態で行っても構わない。
<工程4>
工程4は、加熱処理が施された塗膜に対して硬化処理を施し、コレステリック液晶相を固定化してなるフィルム10を形成する工程である。
硬化処理の方法は特に限定されず、光硬化処理および熱硬化処理が挙げられる。なかでも、光照射処理が好ましく、図4のS4に示すように、UV(紫外線)光源を用いた紫外線照射処理がより好ましい。本工程を実施することにより、コレステリック液晶相を固定化してなるフィルム10が形成される。
紫外線照射には、紫外線ランプ等の光源が利用される。紫外線照射を行う場合には、マスクを取り外してから行うか、マスクを付着させたまま、マスクと逆の面から照射を行う。
紫外線の照射量は特に限定されないが、一般的には、100〜1000mJ程度が好ましい。また、紫外線を照射する時間は特に限定されないが、得られる反射層の強度および生産性の観点から適宜決定すればよい。
〔第2実施形態〕
図5は、本発明のフィルムの実施形態の一例(第2実施形態)を示す平面模式図である。図6は、図5に示す平面模式図のB−B’における断面模式図である。
フィルム20は、コレステリック液晶相を固定してなるフィルムである。
フィルム20は、互いにコレステリック液晶相の螺旋ピッチが異なる2つの領域を有する。
第2実施形態におけるフィルム20は、各領域の種類および配列が異なる以外は、第1実施形態におけるフィルム10と概ね同様であるので、共通する部分に関する説明は省略する。また、第2実施形態では、第1実施形態における変形例も適用できる。
具体的には、フィルム20は、赤色光の右円偏光を反射し、赤色光の左円偏光および他の波長域の光を透過する赤色反射領域22Rと、青色光の右円偏光を反射し、青色光の左円偏光および他の波長域の光を透過する青色反射領域22Bと、を有する。
赤色反射領域22Rおよび青色反射領域22Bは、フィルム20の面内方向(フィルム20の厚み方向と交差する方向)に、交互に配置されている。具体的には、赤色反射領域22Rおよび青色反射領域22Bは、面内における、所定方向およびこれに交差する方向に沿って交互に配列しており、いわゆるチェッカーフラッグ状(格子模様状)に配置されている。
赤色反射領域22Rおよび青色反射領域22Bはそれぞれ、特定の波長域の右円偏光に対して波長選択反射性を有する。
フィルム20の製造方法は、これに限定されないが、例えば、上述した液晶組成物の塗膜を露光するマスクのパターンを、図5のフィルム20のパターンに対応するチェッカーフラッグ状のマスクに変更する以外は、第1実施形態のフィルム10と同様にして製造できる。
[積層体]
本発明の積層体は、上述したコレステリック液晶相を固定してなるフィルムと、λ/4板と、直線偏光板と、がこの順に積層されている。
直線偏光板は、直線偏光を取り出す機能を有し、偏光子(例えば、ヨウ素または有機色素等の2色性物質)を配向させた層を有するフィルムが挙げられる。
λ/4板は、λ/4機能を有し、具体的には、延伸ポリマーフィルム、および、支持体上にλ/4機能を有する光学異方性層を設けた位相差フィルム等が挙げられる。
ここで、直線偏光板とλ/4板とをこの順に積層した構造体は、円偏光板として用いられる。この構造体は、コレステリック液晶相を固定してなるフィルムによって反射される円偏光の旋回方向とは逆向きの円偏光を透過する。
例えば、コレステリック液晶相を固定してなるフィルムとして図1のフィルム10(右円偏光を反射するフィルム)を用いる場合、直線偏光板とλ/4板とは、λ/4板側から入射した光のうち、左円偏光を直線偏光にして透過するように、λ/4板の遅相軸および直線偏光板の透過軸を合わせて配置される。より具体的には、通常、λ/4板の遅相軸と直線偏光板の透過軸とのなす角が45°となるように、直線偏光板とλ/4板とは配置される。
コレステリック液晶相を固定してなるフィルムと、λ/4板との間には、粘着層が配置されていてもよい。
本発明の積層体は、上述した本発明のフィルムと同様に公知の用途に使用でき、具体的には、加飾フィルム、上記撮影装置もしくは上記センサーの隠蔽部材、または、上記ヘッドアップディスプレイのコンバイナ等に使用できる。
以下に実施例に基づいて本発明をさらに詳細に説明する。以下の実施例に示す材料、使用量、割合、処理内容、および、処理手順等は、本発明の趣旨を逸脱しない限り適宜変更することができる。従って、本発明の範囲は以下に示す実施例により限定的に解釈されるべきものではない。
[配向膜形成用組成物の調製]
以下に示す各成分を混合し、固形分濃度が33質量%である配向膜形成用組成物を調製した。
KAYARAD PET−30(商品名、日本化薬社製):100質量部
界面活性剤b(下記構造):0.01質量部
IRGACURE 819(BASF社製、光ラジカル開始剤):4質量部
メチルエチルケトン(MEK):211.2質量部
[重合性液晶組成物1の調製]
以下に示す各成分を混合し、固形分濃度42質量%の重合性液晶組成物1を調製した。
重合性液晶化合物A(下記構造):100質量部
キラル剤a(下記構造):6.70質量部
Irgacure 907(BASF社製、光ラジカル開始剤):2.00質量部
界面活性剤a(下記構造):0.15質量部
界面活性剤b(下記構造):0.04質量部
A−TMMT(商品名、新中村化学社製、多官能アクリレート):1.00質量部
MEK/シクロヘキサノン:152質量部
なお、MEK/シクロヘキサノンとは、MEKとシクロヘキサノンとの混合溶媒を意味し、混合溶媒中の両者の質量比は、MEK:シクロヘキサノン=85:15である。
なお、重合性液晶化合物Aは、上記a1〜a3の混合物であり、a1〜a3の質量比は、a1:a2:a3=83:15:2である。
(重合性液晶組成物2の調製)
以下に示す各成分を混合し、固形分濃度42質量%の重合性液晶組成物2を調製した。
重合性液晶化合物A(上記構造):100質量部
キラル剤a(上記構造):6.28質量部
Irgacure OXE−01(BASF社製、光ラジカル開始剤):1.00質量部
界面活性剤a(上記構造):0.11質量部
界面活性剤b(上記構造):0.02質量部
MEK/シクロヘキサノン:148質量部
なお、MEK/シクロヘキサノンとは、MEKとシクロヘキサノンとの混合溶媒を意味し、混合溶媒中の両者の質量比は、MEK:シクロヘキサノン=85:15である。
(重合性液晶組成物3の調製)
以下に示す各成分を混合し、固形分濃度42質量%の重合性液晶組成物3を調製した。
重合性液晶化合物A(上記構造):100質量部
キラル剤a(上記構造):4.35質量部
Irgacure OXE−01(BASF社製、光ラジカル開始剤):1.00質量部
界面活性剤a(上記構造):0.11質量部
界面活性剤b(上記構造):0.02質量部
MEK/シクロヘキサノン:144質量部
なお、MEK/シクロヘキサノンとは、MEKとシクロヘキサノンとの混合溶媒を意味し、混合溶媒中の両者の質量比は、MEK:シクロヘキサノン=85:15である。
[実施例1]
ベースフィルム(ポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム、商品名「コスモシャインA4100」、東洋紡社製、膜厚25μm)に、上記配向膜形成用組成物を#7の塗布バーで塗布して、塗膜を90℃で1分間乾燥させた。その後、系内を30秒間窒素置換した60℃の雰囲気下において、露光量(照射量)が250mJとなるようにUV(紫外線)照射を行って塗膜を硬化させて、PETフィルム上に膜厚2.0μmの配向膜を形成した。
次に、上記配向膜上に、上記重合性液晶組成物1を#5の塗布バーで塗布して、塗膜を室温(25℃)で1分間乾燥させた。なお、得られるコレステリック液晶相を固定化してなる層の膜厚が3.0μmとなるように塗布量を調整した。そして、ベンチトップUVトランスイルミネーター(UVP社製)の露光面から25cm離れた位置に、マスク1を設置し、その上に重合性液晶組成物1の塗膜が形成されたフィルムを置き、マスク1を介して、重合性液晶組成物1の塗膜に対して1回目の露光(照射波長365nm、照射量45mJ)を行った。
その後、内温を90℃にしたオーブンで、パターン状に露光された重合性液晶組成物1の塗膜を1分間加熱した後、80℃のホットプレート上で30秒間窒素置換を行い、2回目の露光(照射波長315nm、照射量500mJ)を行って、ベースフィルムに形成された配向膜上に、パターン化したコレステリック液晶相を固定化してなる層(フィルム)を形成した。なお、2回目の露光では、マスクを使用せず、全面を露光した。
なお、マスク1は、短径のサイズが100μmの透過部と、短径のサイズが100μmの遮光部とを一周期として、ストライプ状に配置したフォトマスクである。したがって、実施例1では、図1に示すようなパターンを有するフィルムが形成される。
[実施例2]
実施例1のベースフィルムとして用いたPETフィルムを、上記マスク1そのものに変更して、マスク1上に実施例1と同様にして配向膜を形成した。そして、配向膜上に、重合性液晶組成物1の塗膜を形成した後、1回目の露光時に露光機と塗布フィルムの間に挿入していたマスク1を使用せず、1回目の露光量を30mJに変更した以外は、実施例1と同様にして、パターン化したコレステリック液晶相を固定化してなる層(フィルム)をマスク1上に形成した。
[実施例3]
実施例1のベースフィルムとして用いたPETフィルムに配向膜を塗布せず、フラット面(易接着層の未コート面)に、ラビング処理(スペーサー:2.0mm、回転数:1000rpm、ステージ移動速度:3.0m/min)を行ったこと以外は、実施例1と同様にして、ベースフィルム上にパターン化したコレステリック液晶相を固定化してなる層(フィルム)を形成した。
[実施例4]
実施例1で使用したベースフィルムを、膜厚75μmのPETフィルム(商品名「コスモシャインA4100」、東洋紡社製)に変更し、マスク1をマスク2に変更して、1回目の露光量を30mJに変更した以外は、実施例1と同様にして、ベースフィルムに形成された配向膜上に、パターン化したコレステリック液晶相を固定化してなる層(フィルム)を形成した。
なお、マスク2は、200μm角のサイズの透過部と、200μm角のサイズの遮光部と、を交互にチェッカーフラッグ状に配置したフォトマスクである。すなわち、実施例4では、図5に示すようなパターンを有するフィルムが形成される。
[実施例5]
実施例1で使用したベースフィルムを、膜厚75μmのPETフィルム(商品名「コスモシャインA4100」、東洋紡社製)に変更し、マスク1をマスク3に変更して、1回目の露光量を30mJに変更した以外は、実施例1と同様にして、ベースフィルムに形成された配向膜上に、パターン化したコレステリック液晶相を固定化してなる層(フィルム)を形成した。
なお、マスク3は、短径サイズが200μmの透過部と、短径のサイズが200μmの遮光部と、を交互にストライプ状に配置したフォトマスクである。
[実施例6]
実施例1における1回目の露光量を60mJに変更した以外は、実施例1と同様にして、ベースフィルムに形成された配向膜上に、パターン化したコレステリック液晶相を固定化してなる層(フィルム)を形成した。
[実施例7]
実施例1で使用したベースフィルムを、膜厚75μmのPETフィルム(商品名「コスモシャインA4100」、東洋紡社製)に変更した以外は、実施例1と同様にして、ベースフィルムに形成された配向膜上に、パターン化したコレステリック液晶相を固定化してなる層(フィルム)を形成した。
実施例1〜7のコレステリック液晶相を顕微鏡で観察すると、透過部の領域は長波(赤)反射が、遮光部の領域は短波(青)反射が見え、さらに、透過部の領域と遮光部の領域との境目では波長のグラジエントが起こっている様子が観察された。このことから、隣接する領域が配列する方向に沿って、コレステリック液晶の螺旋ピッチが連続的に変化しているといえる。
実施例1〜7の各フィルムが有する、透過部の領域の短径サイズおよび遮光部の領域の短径サイズはそれぞれ、使用したマスクの透過部の短径サイズおよび遮光部の短径サイズと同じか、それよりも小さかった。
[比較例1]
ベンチトップUVトランスイルミネーターの露光面からマスクまでの距離を35cmに変更した以外は、実施例1と同様にして、ベースフィルムに形成された配向膜上に、パターン化したコレステリック液晶相を固定化してなる層(フィルム)を形成した。
[比較例2]
実施例1における1回目の露光量を90mJに変更した以外は、実施例1と同様にして、ベースフィルムに形成された配向膜上に、パターン化したコレステリック液晶相を固定化してなる層(フィルム)を形成した。
[比較例3]
実施例1で使用したマスク1をマスク4に変更して、1回目の露光量を30mJに変更した以外は、実施例1と同様にして、ベースフィルムに形成された配向膜上に、パターン化したコレステリック液晶相を固定化してなる層(フィルム)を形成した。
なお、マスク4は、短径の幅が300μmの透過部と、短径の幅が100μmの遮光部と、を交互にストライプ状に配置したフォトマスクである。
[比較例4]
実施例1と同様にして、ベースフィルム(ポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム、商品名「コスモシャインA4100」、東洋紡社製、膜厚25μm)上に、配向膜を形成した。
次に、上記配向膜上に、上記重合性液晶組成物2を#5の塗布バーで塗布して、塗膜を室温(25℃)で1分間乾燥させた。さらに、内温を90℃にしたオーブンを用いて、重合性液晶組成物2の塗膜を1分間加熱した後、80℃のホットプレート上で塗膜を加熱しながら系内を30秒間窒素置換して、露光(照射波長315nm、照射量500mJ)を行って、ベースフィルムに形成された配向膜上に、コレステリック液晶相を有する単色の層(フィルム)(以下、「第1層」ともいう。)を形成した。
次に、上記重合性液晶組成物3を用いた以外は、第1層の形成と同様にして、第1層上に、コレステリック液晶相を有する単色の層(フィルム)(以下、「第2層」ともいう。)を形成した。このようにして、ベースフィルムの配向膜上に、第1層および第2層がこの順に積層されたコレステリック液晶相を固定化してなるフィルムを形成した。
[比較例5]
実施例1で使用したマスク1をマスク5に変更して、1回目の露光量を30mJに変更した以外は、実施例1と同様にして、ベースフィルムに形成された配向膜上に、パターン化したコレステリック液晶相を固定化してなる層(フィルム)を形成した。
なお、マスク5は、短径サイズが300μmの透過部と、短径のサイズが300μmの遮光部と、を交互にストライプ状に配置したフォトマスクである。
比較例1〜3および比較例5の各フィルムが有する、透過部の領域の短径サイズおよび遮光部の領域の短径サイズはそれぞれ、使用したマスクの透過部の短径サイズおよび遮光部の短径サイズと同じか、それよりも小さかった。ただし、比較例3および比較例5の各フィルムには、短径サイズが200μmよりも大きな領域が形成されていた。
[反射スペクトル測定]
自動絶対反射率測定システム(JASCO社、商品名「ARMN−735」)を用い、入射角を0度または30度、検出角を入射角+10度に設定し、波長380〜800nmにおけるS偏向およびP偏向での反射率をそれぞれ測定し、このときの平均スペクトルに対してベースライン補正を行ったものを各測定スペクトルとした。
各測定スペクトルに基づいて得られる、ImaxX、IminYおよびImaxZに基づいて、ImaxX>ImaxZ、IminY/ImaxX、および、IminY/ImaxZを算出した。結果を表1に示す。
また、ImaxXおよびImaxZに対応する波長を表1に示す。
[色味の評価]
上記の測定スペクトルを用いてxy色度を算出した。
光源は、昼光光源(D65)のときの色度で算出しており、D65光源のxy色度を(x, y)=(0.3127, 0.3290)の位置をニュートラル(理想的な白色)として、ニュートラルからの距離を{(x−0.3127)+(y−0.3290)0.5の式を用いて算出した。
このとき、ニュートラルからの距離が0.04未満の場合は「A」、0.04〜0.06の場合は「B」、0.06を超える場合は「C」と評価して、色味の評価を行った。結果を表1に示す。
[視認性]
実施例および比較例で得られたコレステリック液晶相を固定化してなるフィルムを、70cm離れた距離に置き、その表面に形成された領域が確認できるかどうかの確認を、目視で行った。5人で確認を行い、全員が領域を視認できない場合は「A」、1〜2人が領域を視認できる場合は「B」、3人以上が領域を認識できる場合には「C」とした。結果を表1に示す。
表1に示すように、コレステリック液晶相を固定してなるフィルムとして、面内方向に選択反射中心波長が異なる複数の領域を有し、複数の領域の短径のサイズがいずれも所定値以下であり、所定波長に反射率の極大値を有し、所定波長の反射率の関係が所定の関係を満たすフィルムを用いれば、フィルムの表面を正面から見た場合における白色の再現性、および、視認性に優れることが確認できた(実施例1〜7)。
これに対して、所定波長の反射率の関係が上述の所定の関係を満たさないフィルムを用いた場合、白色の再現性が劣ることが確認できた(比較例1〜4)。
また、領域の短径のサイズが所定値を超えるフィルムを用いた場合、視認性が劣ることが確認できた(比較例3および比較例5)。
10 フィルム(透過部位)
10a,10b,10c 塗膜
12R,22R 赤色反射領域
12B,22B 青色反射領域
I 反射強度
W 波長
L1 長径
L2 短径
S 光源
M マスク
H ヒーター

Claims (10)

  1. コレステリック液晶相を固定してなるフィルムであって、
    前記フィルムは、前記フィルムの面内方向に選択反射中心波長が異なる複数の領域を有し、前記複数の領域の短径のサイズがいずれも、200μm以下であり、
    前記フィルムは、波長400〜500nmの範囲および波長560〜700nmの範囲のそれぞれに、反射率の極大値を1つ有し、
    前記フィルムは、波長400〜500nmの範囲における反射率の極大値をImaxX、波長500〜600nmにおける反射率の極小値をIminY、波長560〜700nmの範囲における反射率の極大値をImaxZとした場合に、ImaxX/ImaxZ>1、IminY/ImaxX>0.3、および、IminY/ImaxZ>0.5の関係を全て満たす、フィルム。
  2. maxX/ImaxZ>1.4の関係を満たす、請求項1に記載のフィルム。
  3. 前記ImaxZが、波長600〜700nmの範囲にある、請求項1または2に記載のフィルム。
  4. 前記複数の領域の短径のサイズがいずれも、100μm以下である、請求項1〜3のいずれか1項に記載のフィルム。
  5. 加飾フィルムとして用いられる、請求項1〜4のいずれか1項に記載のフィルム。
  6. 請求項1〜5のいずれか1項に記載のフィルムと、λ/4板と、直線偏光板と、がこの順に積層された、積層体。
  7. 加飾フィルムとして用いられる、請求項6に記載の積層体。
  8. 撮影ユニットと、前記撮影ユニットを隠蔽するための隠蔽部材と、を有する撮影装置であって、
    前記隠蔽部材が、請求項1〜4のいずれか1項に記載のフィルム、または、請求項6に記載の積層体を有する、撮影装置。
  9. センサーユニットと、前記センサーユニットを隠蔽するための隠蔽部材と、を有するセンサーであって、
    前記隠蔽部材が、請求項1〜4のいずれか1項に記載のフィルム、または、請求項6に記載の積層体を有する、センサー。
  10. コンバイナを有するヘッドアップディスプレイであって、
    前記コンバイナが、請求項1〜4のいずれか1項に記載のフィルム、または、請求項6に記載の積層体を有する、ヘッドアップディスプレイ。
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