JPWO2019107514A1 - アンテナユニット、およびアンテナ付きガラス板 - Google Patents

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Abstract

アンテナユニット10は、透明基板12、一つ以上のアンテナ導体11、および透明導電膜13を有し、一つ以上のアンテナ導体11は、透明基板12の第1主面側に設けられ、透明導電膜13は、透明基板12の第1主面とは反対側の第2主面側に設けられる。

Description

本発明は、アンテナユニット、およびアンテナ付きガラス板に関する。
携帯電話、インターネット通信、GPS(Global Positioning System)など、無線技術を利用した多様な通信システムが開発されている。これらの通信システムに対応するためには、それぞれの通信システムに使用される電波の送受信が可能なアンテナが必要とされる。
近年では、アンテナは、小型化に伴い、WiFiルータなどのように建物内に設置されることが多くなっている。建物には、携帯電話やインターネット通信などに使用される電波を安定して送受信できるように、多数のアンテナが設置されている。アンテナを建物に設置する際には、建物の外観を損ねないようにしつつ電波の送受信を安定して行うことができるように、アンテナの適切な設置場所を選定しながら設置する必要がある。
特に、無線通信の高速化及び大容量化を図るため、第5世代移動通信システム(5G)用の周波数帯などのように、使用する周波数帯域の高周波化が進んでいる。そのため、高周波帯の電波が携帯電話やインターネット通信などに使用されても、電波を安定して送受信できるアンテナの設置が必要とされている。
高周波の周波数帯域の電波を受信可能なアンテナとして、例えば、導電膜を利用して、電波を導電膜の表裏両方向(双方向)に出力する、ダイポール式のアンテナが提案されている(例えば、特許文献1参照)。特許文献1では、アンテナは、一対のガラス板と、一対のガラス板の間に配置され、一端を開放端とするスロットが形成された導電膜と、一方のガラス板の導電膜とは反対側に配置された一対の電極とを有している。導電膜には、電極の投影部である結合部がスロットを介して一対形成され、前記結合部と電極とは、容量的に結合可能な距離だけ離間している。一対の電極および結合部との静電結合を利用した非接触給電方式により、導電膜をアンテナとして機能させている。
国際公開第2011/004877
しかしながら、特許文献1に記載の技術では、ダイポール式のアンテナであるため、電波が導電膜の双方向に放射される。そのため、例えば、特許文献1のアンテナが建物の窓ガラスに設置された場合、室内にいる人にも電波が放射される。また、室内に電波が放射されるのを防ぐために銅板などの反射板をアンテナに用いた場合、銅板は着色されているため、アンテナが目立つ上、窓ガラスの視界も遮られるため、窓ガラスの意匠性が損なわれる。
本発明の一態様は、高い透明性を有すると共に、単方向に電波を放射することができるアンテナユニットを提供することを目的とする。
本発明の一態様に係るアンテナユニットは、透明基板、一つ以上のアンテナ導体、および透明導電膜を有し、前記一つ以上のアンテナ導体は、前記透明基板の第1主面側に設けられ、前記透明導電膜は、前記透明基板の前記第1主面とは反対側の第2主面側に設けられる。
本発明の一態様に係るアンテナユニットは、高い透明性を有すると共に、単方向に電波を放射することができる。
アンテナユニットをガラス板に適用した状態を示す透視斜視図である。 アンテナユニットの透視斜視図である。 図1に示す、アンテナユニットをガラス板を通して見た透視斜視図である。 アンテナユニットのアンテナ導体を上向きとした状態で見た時のアンテナユニットを示す斜視図である。 図2のA−A方向から見た部分断面図である。 アンテナユニットの他の形態の一例を示す透視斜視図である。 アンテナユニットの他の形態の一例を示す透視斜視図である。 アンテナユニットの他の形態の一例を示す透視斜視図である。 アンテナユニットの他の形態を図2のA−A断面と同じ位置から+X軸方向に向かって見た時の一例を示す断面図である。 アンテナユニットの他の形態を図2のA−A断面と同じ位置から+X軸方向に向かって見た時の一例を示す断面図である。 アンテナ導体の形状の他の一例を示す図である。 アンテナ導体の形状の他の一例を示す図である。 アンテナ導体の形状の他の一例を示す図である。 アンテナユニットの他の形態の一例を示す図である。 アンテナユニットの他の形態を図2のA−A断面と同じ位置から+X軸方向に向かって見た時の一例を示す断面図である。 アンテナユニットの他の形態を図2のA−A断面と同じ位置から+X軸方向に向かって見た時の一例を示す断面図である。 固定部の他の形態の一例を示す図である。 アンテナユニットを適用したアンテナ付きガラス板の斜視図である。 例1−1のアンテナユニットの積層状態を示す図である。 例1−1のアンテナユニットの構成を示す平面図である。 透明基材の平面図である。 周波数が3.5GHz付近におけるリターンロスの測定結果を示す図である。 例2のアンテナユニットの構成を示す図である。 透明導電膜の一辺の長さが3.5λの時における、例1−1のアンテナユニットの放射指向性の測定結果を示す図である。 透明導電膜の一辺の長さが1.0λの時における、例1−1のアンテナユニットの放射指向性の測定結果を示す図である。 インピーダンス調整部の一例を示す図である。 アレイアンテナの構成例を示す平面図である。 アンテナユニットの積層構成の一例を示す断面図である。 アンテナユニットの積層構成の一例を示す断面図である。 マイクロストリップ線路を例示する断面図である。 透明導電膜のシート抵抗の違いによる、マイクロストリップ線路の透過係数の周波数特性を示す図である。 導体パターンが背面側に形成されたマイクロストリップ線路を例示する断面図である。 透明導電膜のシート抵抗の違いによる、導体パターン付きのマイクロストリップ線路の透過係数の周波数特性を示す図である。 マイクロストリップアンテナの斜視図である。 透明基板の厚さが約2mmのときのマイクロストリップアンテナの放射効率を示す図である。 透明基板の厚さが約4mmのときのマイクロストリップアンテナの放射効率を示す図である。 図38,39の測定時のマイクロストリップアンテナの構造を示す図である。 透明導電膜の材質の違いによるアンテナ利得の変化を示す図である。 透明導電膜の材質の違いによる放射効率の変化を示す図である。 導体ラインと放射素子との接続形態の一例を示す図である。 アレイアンテナの構成例を示す平面図である。
以下、本発明の実施の形態について、詳細に説明する。なお、理解の容易のため、図面における各部材の縮尺は実際とは異なる場合がある。本明細書では、3軸方向(X軸方向、Y軸方向、Z軸方向)の3次元直交座標系を用い、透明基板の幅方向をX方向とし、厚さ方向をY方向とし、高さ方向をZ方向とする。ガラス板の下から上に向かう方向を+Z軸方向とし、その反対方向を−Z軸方向とする。
<アンテナユニット> 一実施形態に係るアンテナユニットについて説明する。図1は、アンテナユニットをガラス板に適用した状態を示す透視斜視図であり、図2は、アンテナユニットの透視斜視図であり、図3は、図1に示すアンテナユニットをガラス板を通して見た透視斜視図であり、図4は、アンテナユニットのアンテナ導体を上向きとした状態で見た時のアンテナユニットを示す斜視図であり、図5は、図2のA−A方向から見た部分断面図である。
図1〜図5に示すように、アンテナユニット10は、アンテナ導体11、透明基板12、透明導電膜13、透明基材14、およびスペーサ(固定部)15Aを有する。アンテナユニット10は、ガラス板21の室内側の主面211に取り付けられ、ガラス板21側から室内側に向かって、アンテナ導体11、透明基板12、透明導電膜13、および透明基材14の順に積層して構成されている。ガラス板21は、既存または新規の建物(例えば、ビル)などの窓に用いられる窓ガラスである。本実施形態では、アンテナ導体11、透明基板12、および透明導電膜13により、マイクロストリップアンテナを構成している。以下、アンテナユニット10を構成する各部材について説明する。
アンテナ導体11は、透明基板12の第1主面121に設けられる。アンテナ導体11は、パッチ状の導体からなる放射素子(パッチアンテナ)111、導体ライン112、113、誘電体層114、115、および金属層116を有する。本明細書において、導体である、放射素子(パッチアンテナ)111、導体ライン112、113、および金属層116と、誘電体層114、115とを総称してアンテナ導体11という。金属層116に、スロット116aが切り込まれて形成されている。ガラス板21側から室内側に向かって、導体ライン113、誘電体層114、金属層116、誘電体層115、および導体ライン112の順に積層して構成されている。本実施形態では、導体ライン112、113、誘電体層114、115、および金属層116により、給電部が形成されている。アンテナ導体11は、導体ライン113が誘電体層114の一方の面の側に位置し金属層116が誘電体層114の他方の面の側に位置するマイクロストリップ線路を有する。また、アンテナ導体11は、導体ライン112が誘電体層115の一方の面の側に位置し金属層116が誘電体層115の他方の面の側に位置するマイクロストリップ線路を有する。
アンテナ導体11のうち、放射素子(パッチアンテナ)111、および導体ライン112、113は、平板状に形成された導体である。アンテナ導体11のうち、放射素子(パッチアンテナ)111、導体ライン112、113、および金属層116(以下、導体部ともいう。)は、Au(金)、Ag(銀)、Cu(銅)、Al(アルミニウム)、Cr(クロム)、Pd(鉛)、Zn(亜鉛)、Ni(ニッケル)、またはPt(白金)などの導電性材料で形成される。それらの導体部は、合金でもよく、例えば、銅と亜鉛の合金(黄銅)、銀と銅の合金、銀とアルミニウムの合金などがある。導体部の種類を変更することによって、導体部の色を変えることができる。アンテナ導体11は、公知の形成方法を用いて形成することができる。導体部は、例えば、導電性材料を含有するペーストをプリントして形成されてもよいし、導電性材料からなる箔状体を接着剤などにより貼付して形成されてもよいし、導電性材料を蒸着処理によって形成されてもよい。
アンテナ導体11のうち、導体部のそれぞれの厚さは、アンテナとして機能できればよく、例えば、0.09μm〜50μmが好ましく、1.8μm〜50μmがより好ましい。アンテナ導体11の厚さが1.8μm〜50μmであれば、導体部のそれぞれの抵抗値が1Ω以下となる。
パッチアンテナ111は、パッチ状の導体であり、電波を放射する放射導体として機能する。パッチアンテナ111は、導体ライン112が連結される切込み部111aを有する。パッチアンテナ111は、アンテナ導体11を透明基板12の第1主面121に対して直交する方向から切込み部111aを除いて見た時、矩形状に形成されている。パッチアンテナ111の大きさは、送受信する電波の周波数帯などに応じて適宜設計される。例えば、パッチアンテナ111の一辺の長さが、電波の中心周波数
の波長λに対して、約2分の1の長さ(λ/2)を有する正方形に設計されている。なお、アンテナ導体11は、パッチアンテナ111に代えて、ダイポールアンテナなどでもよい。また透明導電膜を用いたスロットアンテナでもよい。
なお、電波は、周波数が30Hz〜3THzの電磁波であり、電磁波の一種であることから、電波には広義の意味では電磁波を含む。
導体ライン112、113は、長方形状に形成された板状導体である。
導体ライン112は、パッチアンテナ111に連結されている。
導体ライン113は、その一端に給電点113aを有する。導体ライン113は、建物の壁や天井などに取り付けられている無線機などの信号処理装置の信号経路に同軸ケーブル22を介して電気的に接続される。同軸ケーブル22の内部導体は導体ライン113の給電点113aに電気的に接続され、同軸ケーブル22の外部導体は透明導電膜13の給電点13aに電気的に接続されている。なお、導体ライン113は、同軸ケーブル22に代えて、AV線などの給電線、またはフレキシブル基板など樹脂で成形された基板を介して電気的に接続されていてもよい。
誘電体層114は、ガラスエポキシなどの樹脂材料が用いられる。
同軸ケーブル22により導体ライン113の給電点113aに入力された信号は、導体ライン113からスロット116aへ電磁結合により伝達され、スロット116aから導体ライン112へ電磁結合により伝達され、パッチアンテナ111へ給電される。電磁結合によりアンテナに非接触で給電することにより、ガラス板21の上に形成されたアンテナ導体11へ直接コネクタを実装することが難しい構造でも、容易に給電することが可能となる。
導体ライン112は、透明導電膜13をグランドプレーンとして利用することにより、パッチアンテナ111に給電する機能を有するマイクロストリップ線路を形成する。
アンテナ導体11は、光透過性を有することが好ましい。アンテナ導体11が光透過性を有すれば、ガラス板21の外側に見える景色がアンテナ導体11により遮られるのを軽減できる。
導体ライン113と同軸ケーブル22との間には、例えば、フィルタ、アンプ、移相器などの回路が実装されていてもよい。移相器で給電位相を変えることによりアンテナ導体11の指向性を制御できる。
また、アンテナ導体11は、光透過性を有するためにメッシュ状に形成してもよい。ここで、メッシュとは、アンテナ導体11の平面に網目状の透孔が空いた状態をいう。放射素子(パッチアンテナ)111、導体ライン112、113、誘電体層114、115、金属層116のいずれもメッシュ状に形成することができる。
アンテナ導体11がメッシュ状に形成される場合、メッシュの目は方形であってもよく、菱形であってもよい。メッシュの目を方形に形成する場合、メッシュの目は正方形であることが好ましい。メッシュの目が正方形であれば、意匠性が良い。また、自己組織化法によるランダム形状でもよい。ランダム形状にすることでモアレを防ぐことができる。メッシュの線幅は、5〜30μmが好ましく、6〜15μmがより好ましい。メッシュの線間隔は、50〜500μmが好ましく、100〜300μmがより好ましい。また、メッシュの線間隔は、アンテナ導体11によって送受される電波の、真空中における波長をλとしたとき、0.5λ以下であることが好ましく、0.1λ以下であることがより好ましく、0.01λ以下であることがさらに好ましい。メッシュの線間隔が0.5λ以下であればアンテナの性能が高い。また、メッシュの線間隔は、0.001λ以上であってもよい。
アンテナ導体11の開口率は、80%以上が好ましく、90%以上がより好ましい。開口率は、アンテナ導体11の開口部を含めた面積当たりの開口部の面積の割合である。
アンテナ導体11の可視光透過率は、30%以上であることが好ましく、40%以上であることがより好ましく、50%以上であることがより好ましく、60%以上であることがさらに好ましく、80%以上であることが特に好ましい。アンテナ導体11の可視光透過率は、30%以上であれば、ガラス板21をアンテナ導体11を通して見ることができるので、ガラス板21から見える視界がアンテナ導体11により遮られるのを低減できる。また、アンテナ導体11の可視光透過率は、アンテナの性能を向上するために、90%以下が好ましく、85%以下がより好ましい。アンテナ導体11の開口率を大きくするほど、アンテナ導体11の可視光透過率を高くすることができる。
アンテナ導体11の厚さは、可視光透過率を高くするために400nm以下が好ましく、300nm以下がより好ましい。アンテナ導体11の厚さの下限は特に限定されないが、アンテナの性能を向上するために2nm以上であってよく、10nm以上であってよく、30nm以上であってよい。
また、アンテナ導体11がメッシュ状に形成される場合、アンテナ導体11の厚さは、2〜40μmであってよい。アンテナ導体11がメッシュ状に形成されることにより、アンテナ導体11が厚くても、可視光透過率を高くすることができる。アンテナ導体11の厚さは、5μm以上がより好ましく、8μm以上がさらに好ましい。また、アンテナ導体11の厚さは、30μm以下がより好ましく、20μm以下がさらに好ましく、15μm以下が特に好ましい。
アンテナ導体11の表面抵抗率(以下、シート抵抗ともいう。)は、20Ω/□以下が好ましく、10Ω/□以下がより好ましく、5Ω/□以下がさらに好ましい。
アンテナ導体11は、Cuによりメッシュ状に形成されることが特に好ましい。そのようなアンテナ導体11は、導電性がよくアンテナの性能が良く、さらに可視光透過率を高くすることができる。
透明基板12は、アンテナ導体11が設けられる基板であり、透明な平板状の誘電体である。透明基板12は、ガラス板21に対して平行に設けられている。透明基板12は矩形に形成されており、第1主面121および第2主面122を有する。第1主面121がガラス板21の主面と対向するように設けられ、第2主面122がガラス板21の主面側とは反対方向となるように設けられている。透明基板12は、幅(X軸方向)の長さを、透明導電膜13および透明基材14の幅(X軸方向)の長さよりも短く形成されており、スペーサ15Aを透明導電膜13に固定できるようにしている。本実施形態では、透明基板12は1枚であるが、主面方向に2枚以上積層して組み合わせてもよい。
透明基板12は、光透過性を有する材料で形成される。透明基板12を光透過性を有する材料で形成することで、ガラス板21を透明基板12を通して見ることができるので、ガラス板21から見える視界が透明基板12により遮られるのを低減できる。
透明基板12を形成する材料としては、ガラスや樹脂などの誘電体を用いることができる。透明基板12がガラスで形成される場合、ガラスの材質としては、例えば、無アルカリガラス、石英ガラス、ソーダライムガラス、ホウケイ酸ガラス、アルカリホウケイ酸ガラス、またはアルミノシリケートガラスなどを挙げることができる。透明基板12が樹脂で形成される場合、樹脂の材質としては、例えば、ポリカーボネート、アクリル系樹脂を挙げることができる。
透明基板12は、誘電正接(tanδ)の値が小さい方が高周波の用途に適しているため、透明基板12に用いられる誘電体のtanδの値は0.025以下であることが好ましく、0.020以下であることがより好ましく、0.010以下であることがさらに好ましく、0.001〜0.01であることが特に好ましい。ここで、tanδは24GHzにおける値である。誘電体のtanδの値が0.025以下であれば、アンテナ導体11から放射される電波が通過しやすくなる。透明基板12がガラスで形成される場合、誘電体のtanδの値が0.025以下であることが好ましい点から、ガラスの材質としては、例えば、無アルカリガラス、アルカリホウケイ酸ガラス、ソーダライムガラス、または石英ガラスが好ましい。
透明基板12の厚さは、アンテナ導体11がアンテナとして機能できるように、導体ライン112と透明導電膜13とが非接触で結合可能となる範囲内に設計される。透明基板12は、アンテナ導体11と透明導電膜13との間に配置されているため、透明基板12の厚さは、透明導電膜13のアンテナ導体側の第1主面131とアンテナ導体11の透明導電膜13側の面との間隔L1となる。透明基板12の厚さ、すなわち間隔L1の好適な範囲については後述する。
透明導電膜13は、透明基板12の第2主面122側に設けられ、本実施形態では、透明基板12の第2主面122と透明基材14の第1主面141との間に設けられている。透明導電膜13は、後述するように、Ag層やTi層などの金属層と、ZnO層などの誘電体層とを含み、アンテナ導体11から放射される電波を反射するため、単方向に電波を放射することができる。透明導電膜13は、第1主面131と、第1主面131とは反対側の第2主面132とを有する。
透明導電膜13は、第1主面131に対して直交する方向から見たとき、透明基板12の第2主面122の全面を覆うように形成されている。透明導電膜13の主面は、透明基材14の第1主面141と同じ大きさであり、透明導電膜13と透明基材14とが積層する方向(積層方向)から見たとき、透明導電膜13の形状は、透明基材14の形状と一致している。送受信される電波の波長をλとした場合、透明導電膜13の面積は、透明導電膜13をグランドプレーンとして効果的に利用できるように、λ以上とすることが好ましい。
透明導電膜13は、印刷など公知の形成方法により、透明基材14の第1主面141上に形成することができる。
透明導電膜13の可視光透過率は、30%以上であることが好ましく、40%以上であることがより好ましく、50%以上であることがより好ましく、60%以上であることがさらに好ましく、80%以上であることが特に好ましい。ここで、可視光透過率は分光光度計により測定された分光透過率の値に、JIS R3106(1998)により規定された重価係数を乗じて加重平均したものである。透明導電膜13の可視光透過率は、30%以上であれば、ガラス板21を透明導電膜13を通して見ることができるので、ガラス板21から見える視界が透明導電膜13により遮られるのを低減できる。また、透明導電膜13の可視光透過率は、アンテナの性能を向上するために、90%以下が好ましく、85%以下がより好ましい。
透明導電膜13のシート抵抗は、20Ω/□以下であることが好ましく、10Ω/□以下であることがより好ましく、6Ω/□以下であることがさらに好ましく、4Ω/□以下であることが特に好ましい。さらに、透明導電膜13のシート抵抗は、2Ω/□以下であることが好ましく、1.5Ω/□以下であることがより好ましく、1Ω/□以下であることがさらに好ましく、0.5Ω/□以下であることが特に好ましく、0.1Ω/□以下であることが最も好ましい。シート抵抗の下限値は、0Ω/□に近いほど好ましい。透明導電膜13のシート抵抗が、20Ω/□以下であれば、アンテナ導体11から放射される電波を反射できると共に、透明導電膜13の透明性を維持することができる。例えば、透明導電膜13のシート抵抗は、Low−E(Low Emissivity)膜の場合、1.0〜1.2Ω/□程度であり、メッシュ状に形成された銅膜の場合、0.1Ω/□以下である。
透明導電膜13は、具体的には、Low−E(Low Emissivity)膜などを用いることができる。Low−E膜は、誘電体層と金属層とを積層して構成されている。誘電体層および金属層は、それぞれ、1層でもよいし、2層以上でもよい。誘電体層を形成する材料としては、例えば、ZnO、SnO、またはTiO2などの金属酸化物、またはSiなどの窒化物などが用いられる。金属層を形成する材料としては、例えば、Au、Ag、Zn、Ti、またはPdなどの金属、またはTiNなどの窒化物などが用いられる。金属層がAgを含む層(Ag層)である場合、Agのみで構成されていてもよいし、TiやPdを数at%添加したものでもよい。本実施形態では、金属層として、Ag層を用いる。Ag層は、1〜3層形成することが好ましい。透明導電膜13のAg層を1〜3層とすることにより、透明導電膜13は、可視光透過率およびシート抵抗を、いずれも、上記の範囲内に容易に調整することができる。Ag層を1層以上とすることにより、透明導電膜13のシート抵抗を低くできる。また、Ag層を3層以下とすることにより、透明導電膜13の可視光透過率を高くすることができる。
また、透明導電膜13は、厚さを薄くしたAu、Ag、Cu、Al、CrまたはPtなどの導電性材料を用いてもよい。また、透明導電膜13は、Au、Ag、CuまたはPtなどの導電性材料を、後述するメッシュ状に形成したものを用いてもよい。透明導電膜13の厚さを薄くしたり、メッシュ状に形成したりすることにより、Au、Ag、CuまたはPtなどの金属であっても可視光透過率およびシート抵抗を、いずれも、上記の範囲内に容易に調整することができる。
透明導電膜13の膜厚は、0.09μm以上が好ましく、0.35μm以上がより好ましい。また、透明導電膜13の膜厚は、110μm以下が好ましい。透明導電膜13の膜厚が上記範囲内であれば、アンテナの放射効率を高めることができる。
透明導電膜13は、光透過性を有するためにメッシュ状に形成してもよい。ここで、メッシュとは、透明導電膜13の平面に網目状の透孔が空いた状態をいう。
透明導電膜13がメッシュ状に形成される場合、メッシュの目は方形であってもよく、菱形であってもよい。メッシュの線幅は、5〜30μmが好ましく、6〜15μmがより好ましい。メッシュの線間隔は、50〜500μmが好ましく、100〜300μmがより好ましい。また、メッシュの線間隔は、アンテナ導体11によって送受される電波の、真空中における波長をλとしたとき、0.5λ以下であることが好ましく、0.1λ以下であることがより好ましく、0.01λ以下であることがさらに好ましい。メッシュの線間隔が0.5λ以下であれば電磁遮蔽性能が高い。また、メッシュの線間隔は、0.001λ以上であってもよい。
透明導電膜13の表面抵抗率は、透明導電膜13の厚さ、材質、および開口率による。開口率は、透明導電膜13の開口部を含めた面積当たりの開口部の面積の割合である。
また、透明導電膜13の開口率が大きいほど可視光透過率が高くなる。透明導電膜13の開口率は、80%以上が好ましく、90%以上がより好ましい。また、透明導電膜13の開口率は、室内への電波の透過を抑制するために、95%以下が好ましい。
また、透明導電膜13がメッシュ状に形成される場合における透明導電膜13の膜厚は、0.3μm以上が好ましく、1μm以上がより好ましく、2μm以上がさらに好ましく、5μm以上が特に好ましく、10μm以上が最も好ましい。また、透明導電膜13がメッシュ状に形成される場合における透明導電膜13の膜厚は、40μm以下が好ましく、30μm以下がより好ましく、20μm以下がさらに好ましい。透明導電膜13がメッシュ状に形成されることにより、透明導電膜が厚くても、可視光透過率を高くすることができる。
ガラス板21の主面211に対して直交する方向から見たとき、透明導電膜13の投影面積は、送受信される電波の波長をλとした場合、λ以上であることが好ましく、2λ〜25λであることがより好ましい。透明導電膜13の投影面積がλ以上であれば、アンテナ導体11から放射される電波の反射効率を高め、単方向に電波を強く放射することができる。
また、透明導電膜13の面積は、0.07m以上が好ましく、0.09m以上がより好ましく、0.18m以上がさらに好ましい。特に、0.07m以上であれば、3.5GHz以上の高周波の電波においてもアンテナ導体11から放射される電波の反射効率を高め、単方向に電波を強く放射することができる。透明導電膜13の面積の上限は特に限定されないが、ガラス板21の面積を考慮し、30m以下が好ましい。
透明導電膜13の面積は、アンテナ導体11の面積の3倍以上が好ましく、4倍以上がより好ましく、5倍以上がさらに好ましい。透明導電膜13の面積が、アンテナ導体11の面積の3倍以上であれば、電磁遮蔽性能が高い。
透明導電膜13のアンテナ導体側の第1主面131とアンテナ導体11の透明導電膜13側の面との間隔L1は、アンテナ導体11がアンテナとして機能するために、金属層116と透明導電膜13とが非接触で結合可能な範囲内であればよい。間隔L1は、0.5mm以上が好ましく、0.7mm以上であってもよく、1mm以上であってもよく、2mm以上であってもよく、3mm以上であってもよく、4mm以上であってもよい。また、間隔L1は、20mm以下が好ましく、10mm以下がより好ましく、5mm以下がさらに好ましい。間隔L1が上記範囲内であれば、金属層116と透明導電膜13とが非接触で結合可能となり、アンテナ導体11はアンテナとして機能できる。アンテナ導体11の動作周波数が3.5GHzであるときは、間隔L1を特に上記範囲とすることが好ましい。上記範囲を3.5GHzの波長で規格化すると、送受される電波の波長をλとしたとき、間隔L1は、0.005λ以上が好ましく、0.008λ以上であってもよく、0.011λ以上であってもよく、0.023λ以上であってもよく、0.035λ以上であってもよく、0.046λ以上であってもよい。また、間隔L1は、0.234λ以下が好ましく、0.117λ以下がより好ましく、0.059λ以下がさらに好ましい。
透明基材14は、透明導電膜13が設けられる、透明な平板状の誘電体である。透明基材14は、透明基板12と同様、ガラス板21に対して平行に設けられている。透明基材14は、第1主面141に対して直交する方向から見たとき、矩形に形成されており、透明導電膜13が設けられる第1主面141および第1主面141とは反対側である第2主面142を有する。
ガラス板21の主面211に対して直交する方向から見たときの、透明基材14の投影面積は、ガラス板21の主面211に対して直交する方向から見たときの、透明基板12の投影面積よりも大きく形成されている。
透明基材14の材料は、透明基板12の材料と同じでもよいし、異なっていてもよい。アンテナユニット10は、透明基板12および透明基材14をガラスで形成し、複層ガラスで構成してもよい。
透明基材14の厚さは、透明導電膜13を外部から保護しつつ、透明性を維持できればよく、上述の透明基板12の厚さと同様でもよいし、異なっていてもよい。
スペーサ15Aは、透明基材14をガラス板21に固定するためのものである。一対のスペーサ15Aが、透明導電膜13の第1主面131の両端に設けられている。スペーサ15Aの一端がガラス板21の主面211に固定され、他端が第1主面131に固定される。本実施形態では、スペーサ15Aは、透明導電膜13のX軸方向の両端に、Z軸方向に沿って矩形状に設けられている。
スペーサ15Aを形成する材料としては、透明導電膜13およびガラス板21の接触面に固定できる材料であれば特に限定されず、例えば、接着剤、弾性シール、または金属を用いることができる。接着剤や弾性シールを形成する材料として、例えば、シリコーン系樹脂、ポリサルファイド系樹脂、アクリル系樹脂など公知の樹脂を用いることができる。金属としては、アルミニウムなどで形成することができる。
スペーサ15Aの厚さは、アンテナユニット10の大きさ、ガラス板21とアンテナ導体11との間に必要な間隔などに応じて適宜設計される。例えば、アンテナ導体11とガラス板21との間に空間を形成する場合には、前記空間が形成されるように、スペーサ15Aの厚さを設計する。アンテナ導体11とガラス板21との間に空間が必要ない場合などには、アンテナ導体11がガラス板21と接するようにスペーサ15Aの厚さを設計する。ガラス板21の主面211と透明基板12との間隔が離れる(大きくなる)と、電波の透過性能は良好になる。しかし、アンテナユニット10がガラス板21の主面から大きく突出することになるので、アンテナユニット10がガラス板21の障害物になってしまう。スペーサ15Aの厚さは、上記点を考慮して設計することが好ましい。
なお、本実施形態において、スペーサ15Aの厚さとは、透明導電膜13とガラス板21との接触面に対するスペーサ15Aの垂直方向(Y軸方向)の長さをいう。
アンテナユニット10は、送信用および受信用のアンテナとして用いることができる。アンテナユニット10が送信用のアンテナとして用いられる場合、アンテナユニット10では、図示しない屋内の送受信機から同軸ケーブル22を介して導体ライン112を有するマイクロストリップ線路に給電されると、導体ライン112に電流が生じることで、マイクロストリップ線路からパッチアンテナ111に給電される。パッチアンテナ111に送られた電流は、所定の周波数帯の電波(送信信号)に変換され、パッチアンテナ111からガラス板21側に向かって放射される。これにより、パッチアンテナ111は送信用のアンテナとして機能する。
アンテナユニット10が受信用のアンテナとして用いられる場合、アンテナユニット10では、屋外からガラス板21を通って到達した、所定の周波数帯の電波(受信信号)がパッチアンテナ111で受信されると、パッチアンテナ111は励振して、パッチアンテナ111に電流が生じる。電流はパッチアンテナ111から導体ライン112に流れ、導体ライン112から同軸ケーブル22により送られ、送受信機に入力される。これにより、パッチアンテナ111が受信用のアンテナとして機能する。
このように、アンテナユニット10は、アンテナ導体11、透明基板12、透明導電膜13、および透明基材14を有し、透明性が高い部材で形成されている。アンテナユニット10は、高い透明性を有するので、ガラス板21の外をアンテナユニット10を通して見ることができ、アンテナユニット10は目立たない。そのため、ガラス板21から見える視界がアンテナユニット10で遮られるのを低減できると共に、ガラス板21の意匠性を維持できる。
アンテナユニット10の可視光透過率は、20%以上であることが好ましく、40%以上であることがより好ましく、50%以上であることがより好ましく、60%以上であることがさらに好ましく、80%以上であることが特に好ましい。ここで、可視光透過率はJIS R3106(1998)により規定されたものである。また、アンテナユニット10の可視光透過率とは、光がアンテナ導体11、透明基板12、透明導電膜13、および透明基材14の全てを透過したときの可視光透過率である。アンテナユニット10の可視光透過率は、20%以上であれば、ガラス板21をアンテナユニット10を通して見ることができるので、ガラス板21から見える視界がアンテナユニット10により遮られるのを低減できる。また、アンテナユニット10の可視光透過率は、アンテナの性能を向上するために、90%以下が好ましく、85%以下がより好ましい。
アンテナ導体11に含まれるパッチアンテナ111は、主に単方向である外側(+Y軸方向)に電波を放射する。そのため、アンテナユニット10は、アンテナ導体11から放射される電波の放射効率を向上させることができる。なお、放射効率は、下記式(1)に基づいて求められる。式(1)中、放射電力とは、アンテナ導体11から放射される電力であり、入力電力とは、アンテナ導体11に入力(供給)される電力である。アンテナユニット10は、特に、移動体通信として利用されている周波数が0.7〜110GHz付近の放射効率を高めることができる。 放射効率(dB)=10×log{放射電力(W)/入力電力(W)} ・・・(1)
また、アンテナ導体11から放射される電波の放射指向性は外側(+Y軸方向)に高く、室内側(−Y軸方向)に小さくても、一部の電波は室内側に向けて放射される可能性がある。アンテナユニット10は、透明基板12の第2主面122側に透明導電膜13を有しているので、室内側に放射される僅かな電波は透明導電膜13で反射される。そのため、アンテナ導体11から放射される電波が室内に放射されるのを軽減できるので、電波が室内にいる人に照射されるのを低減することができる。
アンテナユニット10の製造方法の一例について説明する。透明基板12の第1主面121にAgなどの導電性材料を含有するペーストを塗布し、乾燥、焼成を行い、アンテナ導体11を形成する。次いで、透明基板12の第2主面122に、透明導電膜13を形成した透明基材14を貼り合わせる。次いで、透明導電膜13の透明基板12が貼り合わされていない部分にスペーサ15Aの一端を固定する。スペーサ15Aの他端はガラス板21に取り付けて、アンテナユニット10をガラス板21に固定する。
なお、アンテナユニット10を、透明導電膜13とスペーサ15Aとを一体とした状態でガラス板21に取り付けているが、これに限定されない。例えば、ガラス板21にスペーサ15Aのみを先に取り付けた後、透明導電膜13をスペーサ15Aに取り付けて、アンテナユニット10をガラス板21上で完成させるようにしてもよい。
また、アンテナ導体11は、透明基板12の第1主面121に導電性材料を印刷、メッキ、またはスパッタにより形成してもよい。また、透明導電膜13は、透明基板12の第2主面122に導電性材料を印刷、メッキ、またはスパッタにより形成してもよい。
また、本実施形態では、アンテナ導体11は、透明基板12の第1主面121上に設けられているが、透明基板12の第1主面121側であればよい。アンテナ導体11は、透明基板12の第1主面121と隙間を空けて設けられていてもよい。アンテナ導体11と透明導電膜13との距離を長くすることで、アンテナの動作利得(アンテナ利得)を向上させることができる。なお、隙間は、例えば、透明基板12の第1主面121およびアンテナ導体11の透明基板12側の主面の端に、アルミニウムなどの金属または樹脂などにより形成されたスペーサを設けることにより形成される。
アンテナユニット10は、ガラス板21の意匠性を維持しつつ、電波が室内に放射されるのを軽減できることから、建物のガラス板21に取り付ける、例えば移動体通信用の周波数帯など高周波数帯域を送受信するアンテナとして有効に用いることができる。
本実施形態では、建物(例えば、ビルなど)に設置されるガラス板21にアンテナユニット10が取り付けられる場合について説明したが、アンテナユニット10は、建物以外(例えば、乗り物など)の窓ガラスに取り付けられてもよいし、ガラス板21以外のガラスに取り付けられてもよい。
以下に、アンテナユニット10の他の形態について説明する。
本実施形態では、アンテナユニット10は、図6に示すように、透明基板12の第1主面121に形成される導体ライン112と、導体ライン112との両側にギャップを空けて第1主面121に形成されるグランド層31とを含むコプレーナ線路32を備えてもよい。グランド層31は、導体ライン112との間に、非接触で結合可能な距離があればよい。グランド層31と透明導電膜13とは、透明基板12の端面12aからAuなどの導電性材料からなる導体ワイヤで繋がれ、前記導体ワイヤを介して電気的に接続されている。また、同軸ケーブル22の外部導体は、グランド層31の給電点31aに電気的に接続する。
本実施形態では、透明基板12の幅(X軸方向)の長さは、透明導電膜13および透明基材14の幅(X軸方向)の長さよりも短くして、スペーサ15Aを透明導電膜13に固定できるようにしているが、これに限定されない。例えば、図7に示すように、透明基板12の幅(X軸方向)の長さは、透明導電膜13および透明基材14の幅(X軸方向)の長さと同じにしてもよい。この場合、スペーサ15Aは、透明基板12の第1主面121に固定される。スペーサ15Aを透明基板12の第1主面121に設けて、透明基板12とガラス板21(図1参照)との距離を最適に設計することにより、アンテナ導体11とガラス板21(図1参照)との干渉が軽減される。
本実施形態では、アンテナユニット10は、導体ライン113の端部に給電点113aを設けているが、これに限定されない。アンテナユニット10は、例えば、図8に示すように、導体ライン112の端部に給電点112aを設け、給電点112aに同軸ケーブル22の内部導体を直接接続させてもよい。この場合、アンテナ導体11は、導体ライン113、誘電体層114、115、および金属層116を備えなくてもよい。
本実施形態では、透明基板12の端面12aに、例えばアルミニウム、金、銀、銅、白金などで形成された金属膜を有してもよい。アンテナ導体11から放射された電磁波は、透明導電膜13で室内側に放射されることを抑制できるが、透明基板12に放射されると、透明基板12の第1主面121の端面12a側に流れ、端面12aから室内側に放射される可能性がある。透明基板12の端面12aに金属層を設けることにより、透明基板12の端面12a側から室内に電磁波が放射されることを抑制できる。金属膜は、透明基板12の端面12aだけではなく、透明基材14の端面14aに設けてもよく、アンテナ導体11を覆わない範囲で透明基板12または透明基材14の主面上に設けてもよい。透明基板12の端面12aに設ける金属膜と、透明基材14の端面14a、透明基板12の主面、または透明基材14の主面に設ける金属膜とを一体物にすることにより、容易に金属膜を透明基板12の端面12aに設けることができる。
本実施形態では、アンテナユニット10は、透明基材14を備えているが、透明導電膜13は、透明基板12の第2主面122上に設けられているので、アンテナユニット10の薄型化や軽量化を図る場合などには透明基材14を備えなくてもよい。
本実施形態では、透明導電膜13は、透明基材14の第1主面141上に設けられているが、透明基板12の第2主面122側であればよい。アンテナユニットの他の形態を図2のA−A断面と同じ位置から+X軸方向に向かって見た時の一例を、図9および図10に示す。透明導電膜13は、図9に示すように、透明基材14の第2主面142に設けられていてもよいし、図10に示すように、透明基板12の第2主面122と隙間Sを空けて透明基材14の第1主面141に設けられていてもよい。図9および図10に示すように、アンテナ導体11と透明導電膜13との距離を長くすることで、アンテナの動作利得(アンテナ利得)を向上させることができる。なお、隙間Sは、例えば、透明基板12の第2主面122および透明導電膜13の第1主面131の端に、アルミニウムなどの金属または樹脂などにより形成されたスペーサを設けることにより形成される。
本実施形態では、パッチアンテナ111を透明基板12の第1主面121に対して直交する方向から切込み部111aが形成されていないと仮定して見た時、パッチアンテナ111は、矩形状に形成されているが、図4に示すような矩形状に限定されず、送受信する周波数帯や要求される性能に応じて適宜変更してもよい。例えば、パッチアンテナ111を透明基板12の第1主面121に対して直交する方向から見て切込み部111aが形成されていないと仮定した時、パッチアンテナ111は、例えば、長方形や菱形などの矩形状でもよいし、図11に示すように、対角線上に位置する一対の角に切り欠きを形成してもよいし、図12に示すように、円形や楕円形に形成されてもよいし、図13に示すように、三角形状などの多角形状に形成されてもよい。
本実施形態では、導体ライン112は、直線状に形成されているが、導体ライン112が、所定の周波数帯で透明導電膜13と電磁結合できれば、図示の形態(形状、寸法など)に限られない。導体ライン112の形状の具体例として、ループ状、L字状、格子状などが挙げられる。
本実施形態では、アンテナ導体11は、パッチアンテナ111を透明基板12の第1主面121上に1つ設けている。しかし、透明基板12の第1主面121上に、例えば、図14に示すように、複数(図14では、16個)のパッチアンテナ111−1〜111−16をアレー状に複数配置してもよい。なお、パッチアンテナ111−1〜111−16がアレー状に複数配置される場合、アンテナ導体11の大きさや配置場所などにより適宜設計されるものであるので、図14では、パッチアンテナ111−1〜111−16のそれぞれの導体ライン112の図示は省略する。複数のパッチアンテナ111−1〜111−16の配置間隔を最適に配置することにより電波を特定の方向に強く放射することができる。例えば、パッチアンテナ111−1〜111−16をE面に配列すると、E面の指向性を鋭くできる。パッチアンテナ111−1〜111−16をH面に配列すると、H面の指向性を鋭くできる。
また、アンテナ導体11は、アレー状に配列したパッチアンテナ111−1〜111−16をMIMO(Multi-Input Multi-Output)方式を適用したアンテナ(MIMOアンテナ)として使用することもできる。この場合、それぞれのパッチアンテナ111−1〜111−16に同軸ケーブル22が接続され、給電される。各パッチアンテナ111−1〜111−16を直交するように配列することで、各パッチアンテナ111−1〜111−16同士の間の相関(アンテナ間相関)を軽減することができる。これにより、パッチアンテナ111−1〜111−16の指向性を高めるなどアンテナ導体11の性能を向上できる。なお、パッチアンテナ111−1〜111−16には、移相器を介して給電することにより、パッチアンテナ111−1〜111−16の指向性は制御できる。なお、相関係数は低いほど好ましく、0が最も好ましい。相関係数が0であれば、無相関となる。各アンテナ同士の相関係数を下げるために、アンテナ同士をλ/2以上離して配置することや偏波を直交させて配置することが好ましい。
本実施形態では、アンテナ導体11は、透明基板12の第1主面121に設けられているが、透明基板12の内部に設けられてもよい。また、透明基板12が主面方向に2枚以上積層して構成されている場合には、アンテナ導体11は、透明基板12同士の間に設けられてもよい。さらに、透明基板12がガラス板21に平行な面を有する収容容器の内部に設けられている場合、アンテナ導体11は、収容容器の内部にガラス板21に平行に設けられた透明基板12に設けられてもよい。なお、このような場合、アンテナ導体11と透明導電膜13との距離を確保するため、透明基板12を厚くするか、透明導電膜13を透明基材14の第2主面142上に設けることが好ましい。
また、透明基板12とアンテナ導体11との間に、透明基板12とアンテナ導体11との主面同士を接合するための中間膜が設けられていてもよい。中間膜としては、透明基板12とアンテナ導体11との主面同士を接合できる材料であればよく、例えば、熱可塑性のポリビニルブチラール、エチレン酢酸ビニルなどを用いることができる。中間膜の比誘電率εは、合わせガラスの一般的な中間膜の比誘電率(例えば、2.8〜3.0)を適用できる。
本実施形態では、対向して配置された透明基板12と透明基材14との間に透明導電膜13を配置しているが、これに限定されない。アンテナユニットの他の形態を図2のA−A断面と同じ位置から+X軸方向に向かって見た時の一例を、図15に示す。図15に示すように、透明基板12と透明基材14との間に、透明基板12と透明基材14との主面同士を接合するための中間膜33が設けられていてもよい。中間膜33は、透明基板12と透明導電膜13との主面同士を接合するように設けられてもよく、透明基材14と透明導電膜13との主面同士を接合するように設けられてもよい。中間膜33としては、透明基板12と透明基材14との主面同士を接合できる材料であればよく、例えば、熱可塑性のポリビニルブチラール、エチレン酢酸ビニルなどを用いることができる。中間膜33の比誘電率εは、合わせガラスの一般的な中間膜の比誘電率(例えば、2.8〜3.0)を適用できる。
本実施形態では、アンテナユニット10は、透明基材14の第2主面142に他の部材を配置していないが、透明導電膜13の他に他の部材を有していてもよい。アンテナユニットの他の形態を図2のA−A断面と同じ位置から+X軸方向に向かって見た時の一例を、図16に示す。図16に示すように、アンテナユニット10は、透明基材14の第2主面142に電磁遮蔽層34を有してもよい。電磁遮蔽層34は、電波と室内の電子機器から生じる電波との電波干渉を低減することができる。電磁遮蔽層34は、単層でもよく、複数層でもよい。電磁遮蔽層34としては、透光性を有する導電性材料など公知の材料を用いることができる。前記導電性材料としては、例えば、銅やタングステンなどの金属膜、インジウム錫酸化物(ITO)、インジウム亜鉛酸化物(IZO)、酸化珪素を添加したインジウム錫酸化物(ITSO)、酸化亜鉛(ZnO)、PやBを含むSi化合物などを用いることができる。電磁遮蔽層34の形成方法としては、例えば、スパッタ法や蒸着法など公知の方法を用いることができる。
電磁遮蔽層34の表面抵抗率は、20Ω/□以下であることが好ましく、より好ましくは10Ω/□以下であり、さらに好ましくは5Ω/□以下である。電磁遮蔽層34の大きさは透明基板12の大きさ以上であることが好ましい。透明基材14の第2主面142側に電磁遮蔽層34を設けることで、室内への電波の透過をさらに抑制することができる。
電磁遮蔽層34の厚さは、400nm以下が好ましく、300nm以下がより好ましい。電磁遮蔽層34の厚さの下限は特に限定されないが、10nm以上であってよく、30nm以上であってよい。電磁遮蔽層34の厚さが上記範囲内であれば、室内への電波の透過を充分に抑制することができる。
電磁遮蔽層34は、光透過性を有するためにメッシュ状に形成してもよい。ここで、メッシュとは、電磁遮蔽層34の平面に網目状の透孔が空いた状態をいう。
電磁遮蔽層34がメッシュ状に形成される場合、メッシュの目は方形であってもよく、菱形であってもよい。メッシュの線幅は、5〜30μmが好ましく、6〜15μmがより好ましい。メッシュの線間隔は、50〜500μmが好ましく、100〜300μmがより好ましい。
電磁遮蔽層34の表面抵抗率は、電磁遮蔽層34の厚さ、材質、開口率による。開口率は、電磁遮蔽層34の開口部を含めた面積当たりの開口部の面積の割合である。
電磁遮蔽層34の可視光透過率は、30%以上であることが好ましく、40%以上であることがより好ましく、50%以上であることがより好ましく、60%以上であることがさらに好ましく、80%以上であることが特に好ましい。電磁遮蔽層34の可視光透過率は、30%以上であれば、ガラス板21を電磁遮蔽層34を通して見ることができるので、ガラス板21から見える視界が電磁遮蔽層34により遮られるのを低減できる。また、電磁遮蔽層34の可視光透過率は、室内への電波の透過を抑制するために、90%以下が好ましく、85%以下がより好ましい。
また、電磁遮蔽層34の開口率が大きいほど可視光透過率が高くなる。電磁遮蔽層34の開口率は、80%以上が好ましく、90%以上がより好ましい。また、電磁遮蔽層34の開口率は、室内への電波の透過を抑制するために、95%以下が好ましい。
また、電磁遮蔽層34がメッシュ状に形成される場合、電磁遮蔽層34の厚さは、2〜40μmであってよい。電磁遮蔽層34がメッシュ状に形成されることにより、電磁遮蔽層34が厚くても、可視光透過率を高くすることができる。
本実施形態では、スペーサ15Aが透明基材14の2カ所に設けられているが、図17に示すように、スペーサ15Bは、透明基材14の第1主面141のX軸方向の両端であって、そのZ軸方向の両端にそれぞれ設け、透明基材14を4箇所で固定するようにしてもよい。また、4つのスペーサ15Bのうち、−Z軸方向に設けるスペーサ15Bは透明基板12の下端の例えば中央付近に1つだけとして、透明基板12をガラス板21に3つのスペーサ15Bで固定するようにしてもよい。
本実施形態では、アンテナ導体11の近傍に無給電素子を備えてもよい。無給電素子を備えることにより、無給電素子からも電波が放射されることにより利得が高められ、単方向に電波を強く放射することができる。
<アンテナ付きガラス板> 一実施形態に係るアンテナユニットを適用したアンテナ付きガラス板について説明する。図18は、アンテナユニットを適用したアンテナ付きガラス板の斜視図である。図18に示すように、アンテナ付きガラス板40は、上述のアンテナユニット10と、ガラス板(窓ガラス)41とを有し、アンテナユニット10は、ガラス板41に取り付けられている。なお、ガラス板41は、ガラス板41の外縁が窓フレーム43に挟持された状態で保持されている。
ガラス板41は、既存または新規の建物などの窓に用いられるガラス板である。図18に示すガラス板41は、平面視において、矩形に形成されている。ガラス板41の厚さは、建物などの要求に応じて設定される。本実施形態では、ガラス板41の一方の主面を室外側とし、他方の主面を室内側とする。本実施形態では、矩形とは、長方形や正方形の他、長方形や正方形の角を面取りした形を含む。ガラス板41の平面視での形状は、矩形に限定されず、円形などでもよい。また、ガラス板41は、単板に限定されず、合わせガラスであってもよく、複層ガラスであってもよい。
ガラス板41の材質としては、例えば、ソーダライムガラス、ホウケイ酸ガラス、またはアルミノシリケートガラスを挙げることができる。
ガラス板41は、フロート法、フュージョン法、リドロー法、プレス成形法、または引き上げ法など公知の製造方法を用いて製造することができる。ガラス板41の製造方法としては、生産性およびコストに優れている点から、フロート法を用いることが好ましい。
ガラス板41は、公知の切断方法を用いて、平面視において、矩形に形成することができる。ガラス板41の切断方法としては、例えば、ガラス板41の表面にレーザー光を照射してガラス板41の表面上で、レーザー光の照射領域を移動させることで切断する方法、またはカッターホイールなどの機械的に切断する方法を挙げることができる。
ガラス板41の外縁が窓フレーム43に挟持された状態で保持されている。ガラス板41は、ガラス板41の外縁を接着剤などを用いて窓フレーム43に保持させてもよい。窓フレーム43を形成する材料としては、公知の材料を用いることができ、例えば、ステンレスやアルミニウムなどの金属材料を用いることができる。
アンテナユニット10は、平面視において、窓フレーム43の一部被る位置に設けることが好ましい。これにより、アンテナユニット10に設けられるアンテナ導体11がガラス板41から露出する面積を減らすことができる。
ガラス板41のアンテナ導体11に対向する主面と、アンテナ導体11のガラス板41に対向する主面との距離は、5mm以上が好ましく、7mm以上がより好ましく、8mm以上がさらに好ましい。また、20mm以下が好ましく、15mm以下がより好ましく、12mm以下がさらに好ましい。ガラス板41のアンテナ導体11に対向する主面と、アンテナ導体11のガラス板41に対向する主面(具体的には、アンテナ導体11)との距離を5〜20mmの範囲にすることにより、ガラス板41とアンテナ導体11の干渉を軽減しリターンロスを改善することができ、放射効率を高めることができる。
また、ガラス板41のアンテナ導体11に対向する主面(具体的には、アンテナ導体11)と、アンテナ導体11のガラス板41に対向する主面との距離は、送受信される電波の真空中における波長をλとした場合、0.06λ以上が好ましく、0.08λがより好ましく、0.09λ以上がさらに好ましい。また、0.23λ以下が好ましく、0.17λ以下がより好ましく、0.14λ以下がさらに好ましい。ガラス板41のアンテナ導体11に対向する主面と、アンテナ導体11のガラス板41に対向する主面との距離を0.06λ〜0.23λの範囲にすることにより、ガラス板41とアンテナ導体11の干渉を軽減しリターンロスを改善することができ放射効率を高めることができる。
以上のように、アンテナ付きガラス板40は、アンテナユニット10を備えているため、ガラス板41から見える視界が遮られるのを低減しつつ、電波が室内に放射されるのを抑制することができる。そのため、アンテナ付きガラス板40は、既存または新規で建築中の建物や家などの窓ガラス用のガラス板、または乗り物など建物以外の窓ガラス用のガラス板として好適に用いることができる。
また、アンテナ付きガラス板40は、アンテナユニット10を、ガラス板41の室内側の主面に設けている。これにより、アンテナユニット10が、建物の外観を損なうのを防ぐことができると共に、外気に晒されるのを防ぐことができるので、耐久性を向上させることができる。さらに、アンテナ付きガラス板40は、アンテナユニット10を、ガラス板41の上方でかつ左右のいずれか一方の端部側に、窓フレーム43内に一部重なるように設けることが好ましい。アンテナユニット10のアンテナ導体11に接続される配線を、ガラス板41から天井裏や壁などに通すことで、ガラス板41や建物の室内の壁に露出する配線を少なくすることができる。
また、アンテナ付きガラス板40は、アンテナユニット10をガラス板41に設けるため、建物の屋上などに設ける必要がない。そのため、アンテナ付きガラス板40は、建物の屋上など高所で設置するための作業を不要とすることができるので、建物に簡単に設置することができる。また、例えば、アンテナユニット10が破損して交換が必要な場合などでも、アンテナユニット10の交換を容易に短時間で行うことができる。
なお、本実施形態では、アンテナ付きガラス板40は、ガラス板41のアンテナユニット10側とは反対方向(外側)の第1主面に撥水処理層を有していてもよい。第1主面に撥水処理層を設けることで、ガラス板41の電波透過性能を改善することができる。
以下、下記の条件で、アンテナユニットの製造を行い、アンテナ付きガラス板を評価した例を示す。例1−1〜例1−4、および例2は、実施例である。
<例1>[例1−1](アンテナユニットの作製) 図19にアンテナユニット10の積層状態を示し、図20にアンテナユニット10の平面図を示す。なお、図20中のハッチングは、アンテナ導体11およびグランド層31の領域を示す。アンテナ導体11、透明基板12、透明導電膜13、および透明基材14をこの順に積層し、アンテナユニット10を作製した。本例では、実験し易くするため、液晶ポリマーを用いたフレキシブル基板51上に、導体ライン112を挟むようにグランド層31を形成してコプレーナ線路32を形成した。アンテナ導体11およびグランド層31は、透明基板12の上面に貼合したフレキシブル基板51上に形成した。透明基板12とフレキシブル基板51とは、両面テープ52で固定した。透明基板12および透明基材14の材質には、いずれも、ソーダライムガラスを用いた。ソーダライムガラスの24GHzにおけるtanδは0.017であった。tanδは空洞共振器摂動法により測定した。透明導電膜13として、金属層としてAg層およびTiを含む層(例えば、TiO2など)を含み、誘電体層としてZnO層およびTiを含む層(例えば、TiNなど)を含んで構成されたLow−E膜を用いた。透明基材14の大きさは、図21に示すように、平面視において、正方形とし、一辺(X軸方向、Z軸方向)の長さLを300mmとし、高さ(Y軸方向)を2mmとした。透明導電膜13は、平面視における形状を透明基材14と同じ正方形とし、一辺(X軸方向、Z軸方向)の長さL(図21参照)を透明基材14と同じ300mmとし、高さ(Y軸方向)を0.35μmとした。透明基板12の大きさは、幅(Z軸方向)100mm×奥行き(X軸方向)100mm×高さ(Y軸方向の厚さ)2mmとした。アンテナ導体11は、図20に示す形状および大きさとした。
(放射効率の算出) 透明導電膜13のAg層の積層数を1〜3層のいずれかに調整して、透明導電膜13のシート抵抗を調整した。Ag層の積層数が3層のとき、透明導電膜13のシート抵抗は、1.42Ω/□、または1.92Ω/□であった。Ag層の積層数が2層のとき、透明導電膜13のシート抵抗は、2.88Ω/□であった。Ag層の積層数が1層のとき、透明導電膜13のシート抵抗は、5.31Ω/□とした。それぞれのアンテナユニット10の反射係数(リターンロス)を測定し、放射効率をCST社製、電磁波解析シミュレータMicrowave Studio(登録商標)を使って計算した。放射効率は、下記式(1)に基づいて算出した。 放射効率(dB)=10×log{放射電力(W)/入力電力(W)} ・・・(1)
透明導電膜13のシート抵抗が1×10-9Ω/□の時の、周波数が3.5GHz付近(3.3〜3.7GHz)におけるリターンロスの測定結果を図22に示し、周波数が3.5GHzの時の放射効率の値を表1に示す。なお、周波数が3.5GHz付近のみを抜粋したのは、この周波数付近が移動体通信システム用の周波数帯として使用されるためである。
[例1−2] 図23に示すように、透明導電膜13の積層位置を透明基材14の下側に変更した以外は例1−1と同様にして、アンテナユニット10を作製した。透明導電膜13のシート抵抗を、1.42Ω/□(Ag層の積層数:3層)、1.92Ω/□(Ag層の積層数:3層)、2.88Ω(Ag層の積層数:2層)、および5.31Ω/□(Ag層の積層数:1層)とした時におけるアンテナユニットのリターンロスをそれぞれ測定し、放射効率を計算した。周波数が3.5GHzの時の放射効率の値を表1に示す。
[例1−3] 透明基板12および透明基材14の材質を、無アルカリガラスに変更したこと以外は例1−1と同様にして、アンテナユニット10を作製した。無アルカリガラスの24GHzにおけるtanδは0.007であった。透明導電膜13のシート抵抗を、1.42Ω/□(Ag層の積層数:3層)、1.92Ω/□(Ag層の積層数:3層)、2.88Ω/□(Ag層の積層数:2層)、および5.31Ω/□(Ag層の積層数:1層)とした時におけるアンテナユニットのリターンロスをそれぞれ測定し、放射効率を計算した。周波数が3.5GHzの時の放射効率の値を表1に示す。
[例1−4] 透明基板12の材質を、無アルカリガラス、厚さを2mmから2.1mmに変更したこと以外は例1−2と同様にして、アンテナユニット10を作製した。透明導電膜13のシート抵抗を、1.42Ω/□(Ag層の積層数:3層)、1.92Ω/□(Ag層の積層数:3層)、2.88Ω(Ag層の積層数:2層)、および5.31Ω/□(Ag層の積層数:1層)とした時におけるアンテナユニットのリターンロスをそれぞれ測定し、放射効率を計算した。周波数が3.5GHzの時の放射効率の値を表1に示す。
それぞれの例における、透明基板12および透明基材14の材質の種類、透明導電膜13の位置、透明導電膜13のシート抵抗が1.42Ω/□、1.92Ω/□、2.88Ω/□、または5
.31Ω/□とした時におけるアンテナユニットの放射効率の値を、表1に示す。
表1から明らかなように、例1−1〜例1−4より、透明導電膜13のシート抵抗が小さいほど、放射効率が向上した。これは、透明導電膜13のシート抵抗が大きいと、透明導電膜13で入力電力の損失が生じて、放射電力が小さくなるためである。
例1−1は例1−2よりも放射効率が低く、例1−3は例1−4よりも放射効率が低かった。これは、アンテナ導体11と透明導電膜13との距離が短いと、放射効率が上がらないためといえる。よって、アンテナ導体11と透明導電膜13との距離を長くすることで、放射効率を向上できることが確認された。
例1−1は例1−3よりも放射効率が低く、例1−2は例1−4よりも放射効率が低かった。これは、透明基板12および透明基材14の材料として、ナトリウムなどのアルカリ成分を含むと、無アルカリガラスに比べて、放射効率が上がらないといえる。よって、透明基板12および透明基材14の材料として、ナトリウムなどのアルカリ成分を含むソーダライムガラスよりも無アルカリガラスを用いることで、放射効率を向上できることが確認された。
よって、透明導電膜13のシート抵抗を小さくし、アンテナ導体11と透明導電膜13との距離を長くし、さらに透明基板12および透明基材14の材料として無アルカリガラスを用いれば、より放射効率の高いアンテナユニットが得られるといえる。
<例2>(アンテナユニットの作製) 例1−1において作製したアンテナユニット10を用いた。(アンテナ利得の確認) アンテナユニットのZY平面における周波数3.5GHz(波長86mm)についての指向性をシミュレーションした。指向性のシミュレーション結果を図24および図25に示す。図24は、透明導電膜13が正方形であり、一辺の長さLが3.5λ(面積が0.09m)の時における、アンテナユニット10の放射指向性の測定結果を示す図であり、図25は、透明導電膜13が正方形であり、一辺の長さLが1.0λ(面積が0.0074m)の時における、アンテナユニット10の放射指向性の測定結果を示す図である。図24および図25中、上側がガラス板21側であり、下側が室内側である。
図24に示すように、透明導電膜13の一辺の長さLが3.5λである場合では、アンテナ利得が最も高い方向が外側であり、透明基板12の法線方向であった。図25に示すように、透明導電膜13の一辺の長さLが1.0λである場合では、アンテナ利得が最も高い方向は外側であり、透明基板12の放線方向であったが、室内側である透明基材14の法線方向においてもアンテナ利得が高くなった。よって、透明導電膜13の一辺の長さLが大きいほど、電波の室内側への放射が減少した。したがって、面積の大きい透明導電膜13を用いれば、アンテナ利得が一番高い方向を、外側の透明基板12の法線方向にできることが確認された。
以上の通り、実施形態を説明したが、上記実施形態は、例として提示したものであり、上記実施形態により本発明が限定されるものではない。上記実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の組み合わせ、省略、置き換え、変更などを行うことが可能である。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると共に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
例えば、一つのアンテナ導体11が有する放射素子111の個数は、一つに限られず、複数でもよい。図26は、一つのアンテナ導体11が、パッチ状の4つの放射素子111p1,111p2,111p3,111p4を有するアレイアンテナを構成する例を示す。図26に示すアンテナ導体11は、4つの放射素子111p1,111p2,111p3,111p4に給電する伝送線路である導体ライン112を有する。図26の場合、導体ライン112は、第1の線路端112aと、第2の線路端112bとを有する。第1の線路端112aは、上述の同軸ケーブル22のような給電線の内部導体が直接又はコネクタ等を介して間接的に接続される。第2の線路端112bは、放射素子111p1,111p2への分岐路と放射素子111p3,111p4への分岐路とが接続される分岐箇所112cに接続される。
また、アンテナ導体11の指向性の形状は、主に、アンテナ導体11の形状や配置などに依存する。しかしながら、アンテナ導体11の指向性の形状をアンテナ導体11の形状や配置などの調整により変更しようとすると、アンテナ導体11の電圧定在波比(VSWR)が悪化(増大)する場合がある。アンテナの特性としては、VSWRは1にできるだけ近い方が好ましい。
そこで、例えば図26に示すように、導体ライン112等の伝送線路の一部(途中)に、インピーダンス整合を行うインピーダンス調整部117が設けられてもよい。導体ライン112等の伝送線路の一部にインピーダンス調整部117を設けることによって、インピーダンス調整部117を設けない場合に比べて、VSWRを更に低減できる。したがって、指向性の形状の最適化とVSWRの最適化との両立を図ることができる。
図26は、インピーダンス調整部117がスタブ118を有する場合を例示する。スタブ118は、導体ライン112等の伝送線路の途中に接続される分布定数線路である。スタブ118のパターン形状は、例えば、導体ライン112と同じ形成方法で形成される。図26に示すように、スタブ118を導体ライン112の長手方向に対して左右対称に形成することによって、スタブ118がアンテナ導体11の指向性に与える影響を低減できる。
なお、インピーダンス調整部117は、インダクタやキャパシタのようなリアクタンス素子を用いる集中定数回路によって形成された整合回路を有してもよい。
また、パッチ状の4つの放射素子111p1,111p2,111p3,111p4は、位相差給電してもよい。位相差があることにより指向性が変化し、例えばアンテナ利得が一番高い方向を、外側の透明基板12の法線方向にしやすい。分岐箇所112cから4つの放射素子111p1,111p2,111p3,111p4までのそれぞれの線路の長さが異なることにより、位相差を付けることができる。図26においては、分岐箇所112cから放射素子111p2,111p4までの線路の長さに対して、分岐箇所112cから放射素子111p1,111p3までの線路の長さが長い。分岐箇所から放射素子までの線路を長くするために遅延線を設けることにより、位相差給電することができる。
また、位相差をつけるためにバトラーマトリックスを設けてもよく、遅延線上に高誘電体を設けてもよい。
また、アンテナ導体11は、図27に示すように、パッチ状の4つの放射素子を並列に4つ有するアレイアンテナを構成してもよい。このようにアンテナ導体11を構成することにより、電波を特定の方向に強く放射することができる。
また、アンテナ導体11に含まれる導体部が、銀等の導電性材料を含有するペーストをプリントして形成される場合には、高温で焼成しているので、導体面が露出していても、酸化しにくい。しかしながら、そのような高温焼成プロセス以外の方法で導体部を形成する場合、導体面が露出していると、高温焼成プロセスによる形成方法に比べて、酸化しやすくなる場合がある。
そこで、図28に示すように、アンテナユニット10は、透明基板12の両面に形成された放射素子111と透明導電膜13を一対の透明基材14,17で挟む構造を有するものでもよい。透明基材14は、接着層16Aによって透明導電膜13に接着され、透明基材17は、接着層16Bによって放射素子111に接着される。透明基材14がガラスである場合、接着層16Aは、例えば、上述の中間膜33のような接着膜であり、透明基材14がガラス以外の誘電体である場合、接着層16Aは、例えば、透明光学粘着フィルム等のOCA(Optical Clear Adhesive)フィルムである。同様に、透明基材17がガラスである場合、接着層16Bは、例えば、上述の中間膜33のような接着膜であり、透明基材17がガラス以外の誘電体である場合、接着層16Bは、例えば、透明光学粘着フィルム等のOCAフィルムである。これにより、一対の透明基材14,17によって露出を防止できるので、放射素子111等の金属導体の酸化の進行を抑制できる。
例えば図29では、透明導電膜13付きのフィルム18Aが接着層16Cで透明基板12に貼り付けられ、放射素子111等の導体付きフィルム18Bが接着層16Dで透明基板12に貼り付けられている。そして、透明導電膜13付きのフィルム18Aに透明基材14が接着層16Aで貼り付けられ、放射素子111等の導体付きフィルム18Bに透明基材17が接着層16Bで貼り付けられている。これにより、一対の透明基材14,17によって露出を防止できるので、放射素子111等の金属導体の酸化の進行を抑制できる。
なお、フィルム18A,18Bは、例えば、透明なポリエチレンテレフタレート等の樹脂により形成される。また、接着層16C、16Dは、例えば、透明光学粘着フィルム等のOCAフィルムである。また、透明導電膜13とフィルム18Aとの位置が積層方向で反転していてもよいし、放射素子111等の導体とフィルム18Bとの位置が積層方向で反転していてもよい。
また、図30は、マイクロストリップ線路を例示する断面図である。図30に示すマイクロストリップ線路20は、アンテナ導体11の放射素子111に給電する導体ライン112が透明基板12の一方の面の側に形成され、グランドプレーンとして機能する透明導電膜13が透明基板12の他方の面の側に形成される伝送線路である。
図31は、透明導電膜13のシート抵抗の違い(0.5、1.1、2.0、3.2、5.3Ω/□)によるマイクロストリップ線路20の透過係数S21の周波数特性を示す図である。透過係数S21は、Sパラメータ(Scattering parameter)の一つであり、対象物に入射する電波(この場合、マイクロストリップ線路に入力される高周波信号)がその対象物を透過する度合いを表す指標である。透過係数S21は負値であり、透過係数S21が大きいほど(零に近づくほど)、減衰度合いが小さい(つまり、透過損失が小さい)ことを表す。透明導電膜13のシート抵抗が小さいほど、透過係数S21が高くなるので、マイクロストリップ線路20の透過損失が小さくなる。
一方、図32は、導体パターンが裏面側に形成されたマイクロストリップ線路を例示する図である。図32では、導体パターン19がマイクロストリップ線路19Aの裏面側に配置されている。導体パターン19は、放射素子111に給電する導体ライン112との間に透明基板12及び透明導電膜13を挟む。透明導電膜13は、透明基板12と導体パターン19との間に位置する。
導体パターン19は、透明基板12の法線方向で導体ライン112と対向する。透明基板12の法線方向から見て、導体パターン19は、導体ライン112と同じパターンでもよいし、放射素子111と重複する面積が放射素子111に比べて広くてもよい。
図33は、透明導電膜13のシート抵抗の違い(0.5、1.1、2.0、3.2、5.3Ω/□)によるマイクロストリップ線路20Aの透過係数S21の周波数特性を示す図である。図33は、導体パターン19が導体ライン112と同じパターンの場合を示す。図31,33の透過係数S21の計測時の図30,32の構成については、導体パターン19の有無のみが相違し、それ以外の形状及び寸法は同じである。図31,33を比較すると、導体パターン19の追加によって、透過係数S21が向上する。つまり、導体ライン112の面積を広げなくても、導体パターン19を追加することによって、透過係数S21を向上でき、透過損失を低減できる。また、シート抵抗が5.3Ω/□等の比較的大きな透明導電膜13を使用しても、導体パターン19を追加することによって、透過係数S21を向上でき、透過損失を低減できる。さらに、透明導電膜13がLow−E(Low Emissivity)膜の場合、シート抵抗が5.3Ω/□等の比較的大きな、厚さが薄いまたは層数が小さい透明導電膜13を使用できるため、透明導電膜13の可視光透過率を高くできる。
なお、図31,33の透過係数S21の計測時の図30,32の構成について、透明基板12の厚さ(上記の間隔L1に相当)は、2mmである。また、導体ライン112及び導体パターン19は、形状が縦300mm横4mmの帯状(線状)であり、シート抵抗は1.42Ω/□である。
また、図34は、マイクロストリップアンテナの斜視図である。図34に示すマイクロストリップアンテナ110は、放射素子111及び導体ライン112が透明基板12の一方の面に形成され、透明導電膜13が透明基板12の他方の面に形成されている。透明基板12の厚さL1と誘電正接tanδは、マイクロストリップアンテナ110の放射効率等の性能に影響を与える。
図35は、厚さL1が約2mmのときのマイクロストリップアンテナ110の放射効率を示す図である。「AS 2mmt」は、材質がソーダ石灰ガラスで厚さL1が2mmの透明基板12を使用した場合を示し、「AN 2mmt」は、材質が無アルカリガラスで厚さL1が2.4mmの透明基板12を使用した場合を示す。図36は、厚さL1が約4mmのときのマイクロストリップアンテナ110の放射効率を示す図である。「AS 4mmt」は、材質がソーダ石灰ガラスで厚さL1が4mmの透明基板12を使用した場合を示し、「AN 4mmt」は、厚さ2mmのソーダ石灰ガラスと厚さ2.4mmの無アルカリガラスとの積層構造である透明基板12を使用した場合を示す。表2は、図35,36に示すデータにおいて、それぞれの共振周波数での放射効率の極大値を示す。放射効率は、上記の式(1)で求められた値である。
図35,36及び表2に示すように、誘電正接tanδが小さいほど、マイクロストリップアンテナ110の放射効率は向上するが、誘電正接が比較的大きくても、厚さL1が厚いほど、損失が減少し、放射効率が増大する。
なお、図35,36の放射効率の計測時の図34の構成について、放射素子111、導体ライン112及び導体パターン19は、シート抵抗は1.42Ω/□である。
また、図37は、図38,39の測定時のマイクロストリップアンテナの構造を示す図である。なお、図38,39の測定時のデータは、図37に示すアンテナ導体11が図26に示すアレイアンテナの形態である場合を示す。図38は、透明導電膜13がメッシュ状の銅の場合と銀を包含するLow−E膜の場合におけるアンテナ利得の周波数特性を示す図である。図39は、透明導電膜13がメッシュ状の銅の場合と銀を包含するLow−E膜の場合における放射効率の周波数特性を示す図である。放射効率は、上記の式(1)で求められた値である。
図38,39に示すように、共振周波数(銅メッシュ:3.1GHz、Low−E膜:3.2GHz)でのデータを比較すると、アンテナ利得及び放射効率は、銅メッシュの方がLow−E膜に比べて高い。銅メッシュはLow−E膜よりもシート抵抗が低いからと考えられる。
図40は、導体ライン112と放射素子111との接続形態の一例を示す図である。図40では、放射素子111の形状は、縦横の辺の長さA1,A2が異なる長方形である。導体ライン112の端部は、長方形状の放射素子111の角部に接続される。これにより、第1周波数fと第2周波数fで共振する2つの共振モードでアンテナ導体11の放射素子111を動作させることができる。第1周波数fは、横の長さA1に応じて変化し、第2周波数fは、縦の長さA2に応じて変化する。横の辺の長さA1が縦の辺の長さA2よりも長い場合、第1周波数fは、第2周波数fよりも低い。
なお、導体
ライン112が接続される放射素子111の形状は、長方形に限られず、楕円などの他の形状でもよい。
図41は、アレイアンテナの構成例を示す平面図である。図41は、一つのアンテナ導体11が、パッチ状の8つの放射素子111p1〜111p8を有するアレイアンテナを構成する例を示す。放射素子の大きさを変えることによって、その大きさに応じた複数の周波数でアンテナ導体11を共振させることができる。第2の線路端112bから遠い放射素子111p5〜111p8は、第2の線路端112bから近い放射素子111p1〜111p4よりも大きい(各放射素子の面積が広い)。すなわち、放射素子111p5〜111p8の共振周波数を第1周波数f、放射素子111p1〜111p4の共振周波数を第2周波数fとしたとき、第1周波数fは、第2周波数fよりも低い。外側の放射素子111p5,111p7間の幅B1によって、第1周波数fの電波の放射ビーム幅が決まり、内側の放射素子111p1,111p3間の幅B2によって、第2周波数fの電波の放射ビーム幅が決まるので、異なる周波数において同じ放射ビーム幅を得ることができる。ここでは、H面方向(図41のZ方向)のアレイ間隔(B1、B2)について説明したが、E面方向(図41のX方向)のアレイ間隔についても同様である。
また、上述した実施形態では、ガラス板に取り付けられる構成について説明したが、ガラス板21を透明基板12として使用することによりアンテナユニット10を形成してもよい。この場合、ガラス板21の室外側にアンテナ導体11が形成され、室内側に透明導電膜13が形成される。
また、建物や乗り物等の窓ガラスにはLow−E膜が付けられたLow−Eガラスが用いられているものがある。そのような窓ガラスは、既に付けられているLow−E膜を透明導電膜13として用いることができるため、窓ガラス(ガラス板21)にアンテナ導体11を形成することにより、アンテナユニット10を作製することができる。
また、窓ガラスが複層ガラスであってもよい。複層ガラスのガラス板の少なくとも一つを透明基板12として使用することによりアンテナユニット10を形成することができる。この場合、ガラス板21の室外側にアンテナ導体11が形成され、室内側に透明導電膜13が形成される。
また、窓ガラスに、窓ガラスと略同じ大きさのアンテナユニット10を取り付けることにより、窓ガラスとアンテナユニット10との複層ガラスとしてもよい。この場合、窓ガラスは、単板であってもよく複層ガラスであってもよい。
また、上述した実施形態では、アンテナユニット10をガラス板21に取り付けられる構成について説明したが、アンテナユニット10は表示装置、車両などの移動体、信号機、電柱などに取り付けられてもよい。
表示装置としては、液晶ディスプレイ、プラズマディスプレイ、有機ELディスプレイなどが挙げられる。また、表示装置は、ガラス板に液晶ディスプレイを直接貼り合せたAGC社製インフォベール(登録商標)、プロジェクターの映像を投影したガラス製透明スクリーン(例えばAGC社製グラシーン(登録商標))などのデジタルサイネージであってもよい。
また、アンテナユニット10は、アンテナ導体11に対して室外側に導波部材を設けてもよい。導波部材は、八木宇田アンテナで使用される導波部材と同様に、アンテナ導体11の放射素子111から放射された電波を特定の方向に導く機能を有する。アンテナユニット10は、導波部材を設けることにより、放射素子111からガラス板(窓ガラス)21に向かって放射される電波を導波部材により絞ることができる。電波が絞られることにより、ガラス板(窓ガラス)21の界面での電波の反射を抑えることができるので、FB比が向上する。つまり、ガラス板(窓ガラス)21と放射素子111との間に導波部材が配置されることにより、放射素子からガラス板(窓ガラス)21に向かって放射される電波の広がりが狭くなるので、ガラス板(窓ガラス)21に斜入射する電波の利得が減少する。その結果、ガラス板(窓ガラス)21の表面に対して法線方向に入射する電波の利得が増大し、放射素子の後方(室内側)への反射が減少するので、FB比が向上する。
また、アンテナユニット10は、ガラス板(窓ガラス)21との間に整合部材を設けてもよい。整合部材は、放射素子111とガラス板(窓ガラス)21との間に存在する媒質と、ガラス板(窓ガラス)21との間で、インピーダンスのずれを整合する整合体の一例である。インピーダンスのずれが整合されることにより、放射素子111からガラス板(窓ガラス)21に向けて放射された電波は、ガラス板(窓ガラス)21の界面で反射することを抑えることができるので、FB比が向上する。
また、ガラス板(窓ガラス)21の比誘電率をε1、整合部材の比誘電率をε2、整合部材と放射素子111との間の媒質の比誘電率をε3とするとき、ε1は、ε2よりも大きく、ε2は、ε3よりも大きいことが、好ましい。これにより、放射素子111から放射される電波が、整合部材と放射素子111との間の媒質、整合部材、ガラス板(窓ガラス)21の順に反射ロスを抑えて透過するので、FB比が向上する。
本国際出願は、2017年12月1日に出願した日本国特許出願第2017−232173号、2018年7月31日に出願した日本国特許出願第2018−143177号及び2018年11月6日に出願した日本国特許出願第2018−209224号に基づく優先権を主張するものであり、これらの3出願の全内容を本国際出願に援用する。
10 アンテナユニット 11 アンテナ導体 19 導体パターン 20,20A マイクロストリップ線路 110 マイクロストリップアンテナ 111 放射素子(パッチアンテナ) 112、113 導体ライン 117 インピーダンス調整部 118 スタブ 12 透明基板 121 透明基板のガラス板側の第1主面 122 透明基板の第1主面とは反対側の第2主面 13 透明導電膜 131 透明導電膜のアンテナ導体側の第1主面 21、41 ガラス板(窓ガラス) 31 グランド層 32 コプレーナ線路 33 中間膜 34 電磁遮蔽層 40 アンテナ付きガラス板

Claims (20)

  1. 透明基板、一つ以上のアンテナ導体、および透明導電膜を有するアンテナユニットであって、 前記一つ以上のアンテナ導体は、前記透明基板の第1主面側に設けられ、 前記透明導電膜は、前記透明基板の前記第1主面とは反対側の第2主面側に設けられるアンテナユニット。
  2. 前記アンテナユニットは、ガラス板に取り付けられ、 前記一つ以上のアンテナ導体は、前記透明基板の前記ガラス板側の第1主面に設けられ、 前記透明導電膜は、前記透明基板の前記第1主面とは反対側の第2主面側に設けられる請求項1に記載のアンテナユニット。
  3. 前記透明導電膜の可視光透過率が、30%以上である、請求項1または2に記載のアンテナユニット。
  4. 前記透明導電膜のシート抵抗が、20Ω/□以下である、請求項1〜3の何れか一項に記載のアンテナユニット。
  5. 前記透明導電膜は、1〜3層の、Agを含む層である、請求項1〜4の何れか一項に記載のアンテナユニット。
  6. 前記透明導電膜の膜厚が、0.09〜110μmである、請求項1〜5の何れか一項に記載のアンテナユニット。
  7. 前記透明基板の主面に対して直交する方向から見たとき、前記透明導電膜の投影面積は、送受信される電波の波長をλとした場合、λ以上である、請求項1〜6の何れか一項に記載のアンテナユニット。
  8. 前記透明導電膜の前記アンテナ導体側の第1主面と前記アンテナ導体の前記透明導電膜側の面との間隔が、0.5〜20mmである、請求項1〜7のいずれか一項に記載のアンテナユニット。
  9. 前記透明導電膜の前記アンテナ導体側の第1主面と前記アンテナ導体の前記透明導電膜側の面との間隔は、送受される電波の波長をλとしたとき、0.005λ〜0.234λである、請求項1から7のいずれか一項に記載のアンテナユニット。
  10. 前記透明基板が誘電体であり、 前記誘電体のtanδが0.001〜0.02である、請求項1〜9のいずれか一項に記載のアンテナユニット。
  11. 前記誘電体が、ガラスである、請求項10に記載のアンテナユニット。
  12. 前記アンテナ導体は、パッチアンテナを有する、請求項1〜11のいずれか一項に記載のアンテナユニット。
  13. 前記アンテナ導体が、前記透明基板にアレー状に複数配置されている、請求項1〜12のいずれか一項に記載のアンテナユニット。
  14. 複数の前記透明基板が、それぞれの主面が対向するように設けられ、 前記透明導電膜が、対向して配置された前記透明基板の主面同士の間に設けられる、請求項1〜13のいずれか一項に記載のアンテナユニット。
  15. 複数の前記透明基板が、それぞれの主面が対向するように設けられ、 対向して配置された前記透明基板の主面同士の間に中間膜が設けられる、請求項1〜13のいずれか一項に記載のアンテナユニット。
  16. 前記アンテナ導体は、給電部を有する請求項1〜15のいずれか一項に記載のアンテナユニット。
  17. 前記透明導電膜は、メッシュ状に形成されている、請求項1〜16のいずれか一項に記載のアンテナユニット。
  18. 前記透明導電膜は、Cuにより形成されている、請求項17に記載のアンテナユニット。
  19. 前記アンテナ導体の放射素子に給電する導体ラインと、 前記導体ラインとの間に前記透明基板及び前記透明導電膜を挟む導体パターンとを備える、請求項1〜18のいずれか一項に記載のアンテナユニット。
  20. ガラス板と、 請求項1〜19のいずれか一項に記載のアンテナユニットと、を有するアンテナ付きガラス板。
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