以下、図面を参照して発明を実施するための形態について説明する。
[ショベルの概要]
まず、図1を参照して、本実施形態に係るショベル500の概要について説明をする。
図1は、本実施形態に係るショベル500の側面図である。
本実施形態に係るショベル500は、下部走行体1と、旋回機構2を介して旋回自在に下部走行体1に搭載される上部旋回体3と、アタッチメント(作業装置)としてのブーム4、アーム5、及びバケット6と、オペレータが搭乗するキャビン10を備える。以下、ショベル500の前方は、ショベル500を上部旋回体3の旋回軸に沿って真上から平面視(以下、単に「平面視」と称する)で見たときに、上部旋回体3に対するアタッチメントの延出方向(以下、単に「アタッチメントの延出方向」と称する)に対応する。また、ショベル500の右方及び左方は、それぞれ、ショベル500を平面視で見たときに、キャビン10内のオペレータの右方及び左方に対応する。
下部走行体1(走行体の一例)は、例えば、左右一対のクローラを含み、それぞれのクローラが走行油圧モータ1A,1B(図2参照)で油圧駆動されることにより、ショベル500を走行させる。
上部旋回体3(旋回体の一例)は、旋回油圧モータ21(図2参照)で駆動されることにより、下部走行体1に対して旋回する。
ブーム4は、上部旋回体3の前部中央に俯仰可能に枢着され、ブーム4の先端には、アーム5が上下回動可能に枢着され、アーム5の先端には、バケット6(エンドアタッチメントの一例)が上下回動可能に枢着される。ブーム4、アーム5、及びバケット6は、それぞれ、油圧アクチュエータとしてのブームシリンダ7、アームシリンダ8、及びバケットシリンダ9によりそれぞれ油圧駆動される。
キャビン10は、オペレータが搭乗する操縦室であり、上部旋回体3の前部左側に搭載される。
[ショベルの基本構成]
次に、図2(図2A、図2B)を参照して、ショベル500の基本構成について説明する。
図2A、図2Bは、それぞれ、本実施形態に係るショベル500の構成の一例及び他の例を示すブロック図である。
尚、図中、機械的動力ラインは二重線、高圧油圧ラインは太い実線、パイロットラインは破線、電気駆動・制御ラインは細い実線でそれぞれ示される。
本実施形態に係るショベル500の油圧アクチュエータを油圧駆動する油圧駆動系は、エンジン11と、メインポンプ14と、コントロールバルブ17を含む。また、本実施形態に係るショベル500の油圧駆動系は、上述の如く、下部走行体1、上部旋回体3、ブーム4、アーム5、及びバケット6のそれぞれを油圧駆動する走行油圧モータ1A,1B、旋回油圧モータ21、ブームシリンダ7、アームシリンダ8、及びバケットシリンダ9等の油圧アクチュエータを含む。
エンジン11は、油圧駆動系におけるメイン動力源であり、例えば、上部旋回体3の後部に搭載される。具体的には、エンジン11は、後述するエンジンコントロールモジュール(ECM:Engine Control Module)75による制御の下、予め設定される目標回転数で一定回転し、メインポンプ14及びパイロットポンプ15を駆動する。エンジン11は、例えば、軽油を燃料とするディーゼルエンジンである。
メインポンプ14は、例えば、エンジン11と同様、上部旋回体3の後部に搭載され、高圧油圧ライン16を通じてコントロールバルブ17に作動油を供給する。メインポンプ14は、エンジン11により駆動される。メインポンプ14は、例えば、可変容量式油圧ポンプであり、後述するコントローラ30による制御の下、レギュレータ(不図示)が斜板の角度(傾転角)を制御することでピストンのストローク長を調整し、吐出流量(吐出圧)を制御することができる。
コントロールバルブ17は、例えば、上部旋回体3の中央部に搭載され、オペレータによる操作装置26に対する操作に応じて、油圧駆動系の制御を行う油圧制御装置である。コントロールバルブ17は、上述の如く、高圧油圧ライン16を介してメインポンプ14と接続され、メインポンプ14から供給される作動油を、操作装置26の操作状態に応じて、油圧アクチュエータである走行油圧モータ1A(右用),1B(左用)、旋回油圧モータ21、ブームシリンダ7、アームシリンダ8、及びバケットシリンダ9に選択的に供給する。具体的には、コントロールバルブ17は、メインポンプ14から油圧アクチュエータのそれぞれに供給される作動油の流量と流れる方向を制御する複数の油圧制御弁(方向切換弁)を含むバルブユニットである。
本実施形態に係るショベル500の操作系は、パイロットポンプ15と、操作装置26を含む。また、図2Bに示すように、本実施形態に係るショベル500の操作系は、シャトル弁32を含んでもよい。
パイロットポンプ15は、上部旋回体3の後部に搭載され、パイロットライン25を介して操作装置26にパイロット圧を供給する。パイロットポンプ15は、例えば、固定容量式油圧ポンプであり、エンジン11により駆動される。
操作装置26は、レバー26A,26Bと、ペダル26Cを含む。操作装置26は、キャビン10の操縦席付近に設けられ、オペレータが各種動作要素(下部走行体1、上部旋回体3、ブーム4、アーム5、バケット6等)の操作を行うための操作入力手段である。換言すれば、操作装置26は、それぞれの動作要素を駆動する油圧アクチュエータ(走行油圧モータ1A,1B、旋回油圧モータ21、ブームシリンダ7、アームシリンダ8、バケットシリンダ9等)の操作を行うための操作入力手段である。操作装置26は、パイロットライン25を通じてパイロットポンプ15から供給される作動油を利用して、操作装置26に対する操作内容に応じたパイロット圧をその二次側のパイロットライン27に出力する。
図2Aに示すように、操作装置26(即ち、レバー26A,26B、及びペダル26C)は、その二次側のパイロットライン27を介して、コントロールバルブ17に接続されてよい。これにより、コントロールバルブ17には、操作装置26における下部走行体1、ブーム4、アーム5、及びバケット6等の操作状態に応じたパイロット信号(パイロット圧)が入力される。そのため、コントロールバルブ17は、操作装置26における操作状態に応じて、それぞれの油圧アクチュエータを駆動することができる。また、操作装置26は、パイロットライン28を介して圧力センサ29に接続される。
また、図2Bに示すように、パイロットライン27は、直接、コントロールバルブ17に接続されるパイロットライン27Aと、シャトル弁32を介してコントロールバルブ17に関接的に接続されるパイロットライン27Bを含んでもよい。これにより、コントロールバルブ17には、パイロットライン27Aを通じて、操作装置26における各種動作要素の一部(例えば、下部走行体1及び上部旋回体3)に関する操作内容に応じたパイロット圧が直接入力されると共に、操作装置26における各種動作要素の残りの一部(例えば、ブーム4、アーム5、及びバケット6)に関する操作内容に応じたパイロット圧が、シャトル弁32を介して、間接的に、入力されうる。そのため、コントロールバルブ17は、オペレータ等の操作装置26に対する操作内容に応じて、それぞれの油圧アクチュエータを駆動することができる。
尚、図2Bにおいて、パイロットライン27は、全て、シャトル弁32を介してコントロールバルブ17に接続されてもよい。つまり、操作装置26における全ての動作要素に関する操作内容に対応するパイロット圧は、シャトル弁32を介して、コントロールバルブ17に入力される態様であってもよい。
シャトル弁32は、2つの入口ポートと1つの出口ポートを有し、2つの入口ポートに入力されたパイロット圧のうちの高い方のパイロット圧を有する作動油を出口ポートに出力させる。シャトル弁32は、2つの入口ポートのうちの一方が操作装置26(具体的には、操作装置26に含まれる上述のレバー26A,26B、或いはペダル26C)に接続され、他方が比例弁31に接続される。シャトル弁32の出口ポートは、パイロットラインを通じて、コントロールバルブ17内の対応する制御弁(具体的には、シャトル弁32の一方の入口ポートに接続されるレバー26A,26B或いはペダル26Cの操作対象である油圧アクチュエータに対応する制御弁)のパイロットポートに接続される。例えば、ショベル500は、ブーム4(ブームシリンダ7)、アーム5(アームシリンダ8)、及びバケット6(バケットシリンダ9)を操作するレバー26A,26Bのそれぞれに対応するシャトル弁32を含む。この場合、これらのシャトル弁32の出口ポートは、それぞれ、ブームシリンダ7、アームシリンダ8、及びバケットシリンダ9のそれぞれに対応する制御弁に接続される。そのため、これらのシャトル弁32は、それぞれ、操作装置26(レバー26A,26B)が生成するパイロット圧と比例弁31が生成するパイロット圧のうちの高い方を、対応する制御弁のパイロットポートに作用させることができる。つまり、後述するコントローラ30は、比例弁31から操作装置26(レバー装置)から出力される二次側のパイロット圧よりも高いパイロット圧を出力させることにより、オペレータの操作装置26に対する操作に依らず、対応する制御弁を制御し、アタッチメント(ブーム4、アーム5、及び、バケット6の少なくとも一つ)の動作を制御することができる。よって、コントローラ30は、オペレータによるアタッチメントの操作を支援したり、自律的に(全自動で)施工作業を行ったりするマシンコントロール機能を実現することができる。
尚、下部走行体1を操作対象とするペダル26Cについても、その二次側のパイロットライン27がシャトル弁32を介してコントロールバルブ17の対応する制御弁に接続されてもよい。上部旋回体3を操作対象とするレバー26A,26Bについても同様である。これにより、コントローラ30は、アタッチメントの場合と同様、オペレータの操作装置26に対する操作に依らず、対応する制御弁を制御し、下部走行体1や上部旋回体3の動作を制御することができる。
本実施形態に係るショベル500の制御系は、コントローラ30と、圧力センサ29と、ECM75と、エンジン回転数センサ11aを含む。また、本実施形態に係るショベル500の制御系は、後述する押し付け制限制御及び作業停止制御に関する構成として、圧力センサ40と、位置センサ42と、カメラ44と、動作状態センサ46と、表示装置50と、音声出力装置52と、可変リリーフ弁54を含む。また、図2Bに示すように、本実施形態に係るショベル500の制御系は、比例弁31を含んでもよい。
コントローラ30は、ショベル500の駆動制御を行う電子制御ユニットである。
コントローラ30は、その機能が任意のハードウェア、ソフトウェア、或いはその組み合わせにより実現されてよい。例えば、コントローラ30は、CPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)、I/O(Input-Output interface)等を含むマイクロコンピュータで構成され、ROMに格納される各種プログラムをCPU上で実行することにより各種機能が実現される。
例えば、コントローラ30は、オペレータ等の所定操作により予め設定される作業モード等に基づき、目標回転数を設定し、ECM75を介して、エンジン11を一定回転させる駆動制御を行う。また、コントローラ30は、圧力センサ29から入力される、操作装置26における各種動作要素(即ち、各種油圧アクチュエータ)の操作状態に対応する検出値等に基づき、コントロールバルブ17を含む油圧アクチュエータを駆動する油圧回路の制御を行う。
また、例えば、コントローラ30(制御装置の一例)は、図3に示すように、ブーム4の下げ動作(図中の矢印の動作)によって、バケット6の裏側の表面を成形された法面に押し付けて法面を整える仕上げ作業(法面仕上げ作業)が行われる場合に、当該作業を支援する制御を行う。
具体的には、コントローラ30は、法面仕上げ作業におけるバケット6を法面に押し付ける力(以下、「バケット押し付け力」)や押し付ける直前のバケット6を地面に向けて下げる速度(以下、「バケット下降速度」)等を制限する制御を行う。以下、当該制御態様を、「押し付け制限制御」と称する。また、コントローラ30は、法面仕上げ作業が行われる場合に、法面が崩れる可能性があると判断したときに、法面仕上げ作業を停止させる制御を行う。以下、当該制御態様を、「作業停止制御」と称する。以下、押し付け制限制御及び作業停止制御を、総括的に「法面仕上げ支援制御」と称する場合がある。法面仕上げ支援制御の詳細は後述する。
また、例えば、コントローラ30は、オペレータの操作装置26に対するアタッチメントの操作に応じて、油圧アクチュエータを自動的に動作させることで、オペレータによるショベルの手動操作を支援する態様のマシンコントロール機能(以下、「支援型マシンコントロール機能」)に関する制御を行う。また、コントローラ30は、オペレータの操作装置26に対するアタッチメントの操作に依らず、油圧アクチュエータを自律的に動作させるマシンコントロール機能(以下、「自律型マシンコントロール機能」)に関する制御を行う。このとき、コントローラ30は、上述の如く、比例弁31を制御することにより、それぞれの油圧アクチュエータに対応する制御弁に作用するパイロット圧を個別に且つ自動的に調整する。これにより、コントローラ30は、それぞれの油圧アクチュエータを自動的に動作させ、マシンコントロール機能を実現することができる。
また、例えば、コントローラ30は、法面仕上げ支援制御と、マシンコントロール機能に関する制御とを組み合わせて行ってもよい。具体的には、コントローラ30は、例えば、バケット6の背面が仕上げ対象の法面に対応する目標施工面に沿って移動するように、アタッチメントを自動で動作させる態様で、転圧作業(法面仕上げ作業)をショベル500に行わせているときに、同時に、押し付け制限制御を行い、法面仕上げ作業におけるバケット押し付け力やバケット下降速度等を制限してよい。つまり、コントローラ30は、バケット押し付け力やバケット下降速度が相対的に大きくならないように、ブーム4の下げ動作を制限しながら、バケット6の所定部位(例えば、背面)を法面に対応する目標施工面に押し付けると共に、バケット6の所定部位を目標施工面に沿って移動させるように、ブーム4、アーム5、及びバケット6の少なくとも一つを動作させる。マシンコントロール制御だけでは、バケット6の位置が制御されるだけであるため、法面に対するバケット6の押し付け力や法面に向かうバケット6の下降速度が大きすぎると、法面が崩れたり、窪んだり等し、法面が適切に仕上がらない可能性がある。これに対して、マシンコントロール機能に関する制御に、法面仕上げ支援制御を組み合わせることにより、後述の如く、マシンコントロール機能による法面仕上げ作業の品質を向上させることができる(図4A,図4B参照)。以下、後述する作業停止制御の場合についても、マシンコントロール機能に関する制御と組み合わせる形で行われてよい。
尚、コントローラ30の機能の一部は、他のコントローラにより実現されてもよい。即ち、コントローラ30の機能は、複数のコントローラにより分散される態様で実現されてもよい。
圧力センサ29は、上述の如く、パイロットライン28を介して操作装置26と接続され、操作装置26の二次側のパイロット圧、即ち、操作装置26におけるそれぞれの動作要素(油圧アクチュエータ)の操作状態に対応するパイロット圧を検出する。圧力センサ29は、一対一の通信線やCAN(Controller Area Network)等の車載ネットワークを通じてコントローラ30と通信可能に接続され、操作装置26における下部走行体1、上部旋回体3、ブーム4、アーム5、及びバケット6等の操作状態に対応するパイロット圧の検出信号は、コントローラ30に入力される。
ECM75は、コントローラ30から制御指令に基づき、エンジン11を駆動制御する。例えば、ECM75は、エンジン回転数センサ11aから入力される検出信号に対応するエンジン11の回転数(回転速度)の測定値に基づき、コントローラ30からの制御指令に対応する目標回転数でエンジン11が一定回転するように、エンジン11のトルク指令を生成する。そして、ECM75は、生成したトルク指令に応じたトルクがエンジン11に発生するような駆動指令を、エンジン11の燃料噴射装置等の各種アクチュエータに出力する。
エンジン回転数センサ11aは、エンジン11の回転数を検出する既知の検出手段である。エンジン回転数センサ11aは、一対一の通信線やCAN等の車載ネットワークを通じてECM75と通信可能に接続され、エンジン11の回転数に対応する検出信号は、ECM75に入力される。
圧力センサ40は、例えば、ブームシリンダ7のロッド側油室に設けられ、ブームシリンダ7のロッド側油室の油圧(以下、単に「ロッド圧」と称する)を検出する既知の検出手段である。圧力センサ40は、一対一の通信線やCAN等の車載ネットワークを通じてコントローラ30と通信可能に接続され、ブームシリンダ7のロッド圧に対応する検出信号は、コントローラ30に取り込まれる。
位置センサ42は、例えば、ブームシリンダ7に設けられ、ブームシリンダ7のロッドの伸縮方向の位置(以下、単に「ロッド位置」と称する)を検出する既知の検出手段である。位置センサ42は、一対一の通信線やCAN等の車載ネットワークを通じてコントローラ30と通信可能に接続され、ブームシリンダ7のロッド位置に対応する検出信号は、コントローラ30に取り込まれる。
カメラ44は、例えば、キャビン10の前面下部等に設けられ、アタッチメントを含む上部旋回体3の前方の所定範囲を撮像する。カメラ44は、例えば、ショベル500の起動時におけるコントローラ30の初期処理終了後から、ショベル500の停止までのショベル500の運転中(以下、単に「ショベル500の運転中」と称する)において、所定周期(例えば、1/30秒)ごとに、上部旋回体3の前方を撮像する。カメラ44は、一対一の通信線やCAN等の車載ネットワークを通じてコントローラ30と通信可能に接続され、カメラ44の撮像画像は、コントローラ30に取り込まれる。
動作状態センサ46は、ショベル500の車体(下部走行体1、上部旋回体3、アタッチメント等)の動作状態、具体的には、車体のピッチ方向の傾斜角を検出する。動作状態センサ46には、例えば、上部旋回体3に搭載され、ショベル500(即ち、上部旋回体3)の前後方向及び左右方向の2軸における傾斜角を検出する傾斜センサが含まれうる。また、動作状態センサ46には、角速度センサ、或いは、三軸加速度、及び三軸角加速度を出力可能な三軸慣性センサ(IMU:Inertial Measurement Unit)等が含まれうる。動作状態センサ46は、一対一の通信線やCAN等の車載ネットワークを通じてコントローラ30と通信可能に接続され、傾斜角に対応する検出信号は、コントローラ30に取り込まれる。
表示装置50(通知手段の一例)は、キャビン10内の操縦席付近のオペレータが視認し易い場所(例えば、キャビン10内の右前部のピラー部分等)に設けられ、コントローラ30による制御の下、各種情報画像を表示する。表示装置50は、例えば、液晶ディスプレイや有機EL(Electro Luminescence)ディスプレイであり、表示領域に表示される操作画面を対象とする操作手段を兼ねるタッチパネル式であってもよい。以下、表示装置50は、タッチパネル式のディスプレイである前提で説明を進める。
音声出力装置52(通知手段の一例)は、キャビン10内の操縦席付近に設けられ、コントローラ30による制御の下、オペレータに各種通知を行うための音声を出力する。音声出力装置52は、例えば、スピーカやブザー等である。
可変リリーフ弁54は、コントロールバルブ17とブームシリンダ7のロッド側油室との間の高圧油圧ラインに設けられ、コントローラ30から入力される制御指令に応じて、ブームシリンダ7の圧力を所定のリリーフ圧以下に制限することができる。可変リリーフ弁54は、例えば、電磁比例式であり、コントローラ30からの制御指令により、作動/非作動が制御されると共に、リリーフ圧を当該制御指令に含まれる指令値に設定する。これにより、コントローラ30は、制御指令を可変リリーフ弁54に出力することにより、ブームシリンダ7のロッド圧を制限し、ブーム4の下げ動作を制御(制限)することができる。
尚、ブーム4の下げ動作は、他の方法で制御(制限)されてもよい。例えば、操作装置26とコントロールバルブ17とを接続するパイロットライン27のうち、ブーム4(ブームシリンダ7)の下げ動作に対応するパイロットライン27に減圧弁を設け、コントローラ30からの制御指令で作動させてもよい。これにより、コントローラ30からの制御指令に応じて、コントロールバルブ17に入力されるパイロット圧を、操作装置26における実際の操作状態に対応する圧力よりも減圧させることができるため、ブーム4の下げ動作を制限することができる。
比例弁31は、パイロットライン25から分岐し、シャトル弁32に接続されるパイロットラインに設けられ、その流路面積(作動油が通流可能な断面積)を変更可能に構成されている。これにより、比例弁31は、パイロットラインを通じて供給されるパイロットポンプ15の作動油を利用して、所定のパイロット圧を二次側に出力し、シャトル弁32の他方の入力ポートに作用させることができる。例えば、上述の如く、ブーム4(ブームシリンダ7)、アーム5、(アームシリンダ8)、及びバケット6(バケットシリンダ9)のそれぞれに対応するシャトル弁32が設けられる場合、シャトル弁32ごとに、対応する比例弁31が設けられる。比例弁31は、コントローラ30から入力される制御指令に応じて動作する。これにより、コントローラ30は、オペレータにより操作装置26(具体的には、レバー26A,26B)が操作されていない場合であっても、パイロットポンプ15が吐出する作動油を、比例弁31及びシャトル弁32を介して、コントロールバルブ17内のアタッチメント(ブーム4、アーム5、或いは、バケット6)の動作に対応する制御弁のパイロットポートに供給させることができる。
[法面仕上げ支援制御装置の構成の詳細]
次に、図2を参照して、法面仕上げ支援制御を司る法面仕上げ支援制御装置200の詳細な構成について説明する。
法面仕上げ支援制御装置200は、コントローラ30と、圧力センサ29と、圧力センサ40と、位置センサ42と、カメラ44と、表示装置50と、音声出力装置52と、可変リリーフ弁54を含む。
コントローラ30は、法面仕上げ支援制御に関連する機能部として、作業状況判定部301と、押し付け反力判定部302と、押し付け制限制御部303と、作業停止制御部304を含む。
作業状況判定部301は、ショベル500の作業状況を判定する。
例えば、ショベル500が法面仕上げ作業を行っているか否かを判定する。
具体的には、作業状況判定部301は、カメラ44の撮像画像に基づき、ショベル500が法面仕上げ作業を行っているか否かを判定してよい。より具体的には、作業状況判定部301は、カメラ44の撮像画像に含まれるアタッチメントの姿勢状態や法面の有無等に基づき、ショベル500が法面仕上げ作業を行っているか否かを識別可能に予め機械学習された識別器等を適用することにより、当該判定を行ってよい。
また、作業状況判定部301は、圧力センサ40により検出されるロッド圧の測定値に基づき、ショベル500が法面仕上げ作業を行っているか否かを判定してもよい。より具体的には、作業状況判定部301は、ショベル500が法面仕上げ作業を行っている場合のロッド圧の測定値やロッド圧の測定値の変化状態等に基づき、ショベル500が法面仕上げ作業を行っているか否かを識別可能に予め機械学習された識別器等を適用することにより、当該判定を行ってよい。
以下、簡単のため、作業状況判定部301により、ショベル500が法面仕上げ作業を行っていると判定された場合のことを「ショベル500が法面仕上げ作業を行っている場合」と称する場合がある。
また、例えば、作業状況判定部301は、ショベル500に浮き上がり動作が発生したか否かを判定する。
具体的には、作業状況判定部301は、動作状態センサ46の検出結果に基づき、ショベル500に浮き上がり動作が発生したか否かを判定してよい。より具体的には、作業状況判定部301は、動作状態センサ46から出力されるショベル500の車体のピッチ方向の傾斜角に関する情報に基づき、ショベル500の浮き上がり動作が発生したか否かを判定することができる。
尚、作業状況判定部301は、ショベル500に浮き上がり動作が発生しそうか否かを判定してもよい。この場合、作業状況判定部301は、動作状態センサ46から出力されるショベル500の車体のピッチ方向の傾斜角に関する情報に基づくピッチ方向の角加速度や角加加速度等を利用することにより、ショベル500に浮き上がり動作が発生しそうな状況であるか否かを判定することができる。
押し付け反力判定部302は、地面(法面)からバケット6への反力が相対的に小さくなったか否か、具体的には、所定基準以下になったか否かを判定する。当該所定基準は、例えば、法面が脆くなって崩れる兆候があるような場合に、法面からバケット6に作用しうる反力に相当する。
例えば、押し付け反力判定部302は、圧力センサ40により検出されるブームシリンダ7のロッド圧の測定値の変化に基づき、対象物からバケット6への反力が所定基準以下になったか否かを判定する。具体的には、押し付け反力判定部302は、法面仕上げ作業における通常のブームシリンダ7のロッド圧の状態から、上記所定基準に対応する比較的低いロッド圧の状態に遷移し、その状態が継続する場合に、当該反力が所定基準以下になったと判定してよい。
以下、簡単のため、押し付け反力判定部302により、法面からバケット6への反力が所定基準以下になったと判定された場合のことを「法面からバケット6への反力が所定基準以下になった場合」と称する。
押し付け制限制御部303は、具体的に、押し付け制限制御を行う。
例えば、押し付け制限制御部303は、バケット押し付け力或いは押し付ける直前のバケット下降速度が相対的に大きくならないように、ブーム4の下げ動作を制御(制限)する。具体的には、押し付け制限制御部303は、バケット押し付け力或いはバケット下降速度が所定の上限値UL1(第1の上限値の一例)以下になるように、ブーム4の下げ動作を制限する。より具体的には、押し付け制限制御部303は、ブームシリンダ7のロッド圧が、当該上限値UL1に対応する所定の閾値Pth1以下になるように、リリーフ圧を当該閾値Pth1に設定する制御指令を可変リリーフ弁54に出力し、可変リリーフ弁54を作動させる。これにより、法面仕上げ支援制御装置200は、上限値UL1及び閾値Pth1が適宜設定されることで、ブーム4の下げ動作により、バケット6で法面を押し付ける場合に、バケット6を押しつける勢いが強すぎて法面が崩壊してしまうような事態を抑制できる。また、法面仕上げ支援制御装置200は、ブーム4の下げ動作により、バケット6で法面を押し付ける場合に、バケット6を押しつける勢いが強すぎてショベル500が浮き上がり動作を起こしてしまうような事態を抑制できる。そのため、オペレータが法面が崩壊したり、ショベルが浮き上がり動作を起こしたり等しないように、地面の硬さ等の作業現場の状況に応じて、適切な操作状態を見出す必要がない。従って、法面仕上げ支援制御装置200は、作業性を維持しつつ、法面仕上げ作業を適切に行うことができる。
また、押し付け制限制御部303は、制限対象とするバケット押し付け力、或いは、バケット下降速度の方向(以下、「制限方向」)を、オペレータ等による操作入力や実際の法面の角度等に応じて、変化させてもよい(図5B参照)。バケット6から法面に実際に作用する力は、法面に垂直な方向の力だからである。この場合、押し付け制限制御部303は、ブーム4の下げ動作に加えて、アーム5及びバケット6の動作を制御する、つまり、アタッチメントを総合的に動作制御することにより、法面の角度に合わせたバケット押し付け力或いはバケット下降速度の制御を行ってよい。つまり、押し付け制限制御部303は、ブーム4の動作だけを制御し、バケット押し付け力、或いは、バケット下降速度を制限してもよいし、ブーム4以外の要素も総合的に制御し、バケット押し付け力、或いは、バケット下降速度を制限してもよい。
尚、押し付け制限制御部303は、バケット押し付け力、及び、バケット下降速度の双方が相対的に大きくならないように、ブーム4の下げ動作を制限してもよい。つまり、押し付け制限制御部303は、バケット押し付け力、及び、バケット下降速度の少なくとも一方が相対的に大きくならないように、ブーム4の下げ動作を制限する。また、コントローラ30は、押し付け制限制御によって、ブーム4の下げ動作が制限されている場合、表示装置50や音声出力装置52を制御し、オペレータに対して、ブーム4の下げ動作が制限されていることを通知してもよい。これにより、コントローラ30は、ブーム4の下げ動作が制限された場合のオペレータの違和感を軽減させることができる。
押し付け制限制御部303の機能、つまり、押し付け制限制御に関する機能は、ショベル500の起動から停止までの間で、常に有効であってよい。また、押し付け制限制御部303の機能は、有効な場合と無効な場合とが遷移される態様であってもよい。つまり、コントローラ30は、押し付け制限制御が無効な押し付け制限無効モード(第1のモードの一例)と押し付け制限制御が有効な押し付け制限有効モード(第2のモードの一例)とを有し、押し付け制限無効モードと押し付け制限有効モードとの間で、制御モードを遷移させる態様であってもよい。この場合、コントローラ30は、後述の如く、オペレータの操作に応じて、押し付け制限無効モードから押し付け制限有効モードに移行したり、押し付け制限有効モードから押し付け制限無効モードに移行したりしてよい。また、コントローラ30は、ショベル500が法面仕上げ作業を行っていない状態から行っている状態になった場合に、押し付け制限無効モードから押し付け制限有効モードに移行し、ショベル500が法面仕上げ作業を行っている状態から行っていない状態になった場合に、押し付け制限有効モードから押し付け制限無効モードに移行してもよい。つまり、コントローラ30は、圧力センサ40により検出されるロッド圧の測定値やカメラ44の撮像画像等に基づき、押し付け制限無効モードと押し付け制限有効モードとの間を遷移してよい。
例えば、図4は、法面仕上げ作業への押し付け制限制御の適用による作用を説明する図である。具体的には、図4Aは、法面仕上げ作業の対象となる法面の一例を示す図であり、図4Bは、法面仕上げ作業時に発生しうるショベル500の浮き上がり動作を説明する図である。
図4Aに示すように、盛り土により成形される盛り土造成地400では、盛り土部分の端部に複数の法面401,402が形成される場合がある。
特に、隣接する法面401,402が連結する角部403付近の法面401,402の部分は、法面仕上げ作業によるバケット6の押し付け力により崩れやすいため、慎重な作業が要求される。
このような状況で、押し付け制限制御部303は、ブーム4の下げ動作を制限することにより、法面仕上げ作業時に、バケット6を押し付ける勢いが強くなり過ぎて、法面401,402、特に、角部403付近が崩れてしまうような事態を抑制することができる。
また、図4Bに示すように、ショベル500は、盛り土造成地410の盛り土部分の端部に形成される法面411を対象として、法面仕上げ作業を行っており、バケット6から法面411に向かって押し付け力F2が作用する。このとき、ショベル500の車体(上部旋回体3)には、バケット6に作用する力F2の反力に対応する車体を後方に傾斜させようとする力F1(力のモーメント)がアタッチメントを介して作用する。そして、この車体を後方に傾斜させようとする力F1に相当する力のモーメントが、重力Mgに基づく車体を地面に押さえつけようとする力のモーメントを上回ると、車体の前部が浮き上がってしまう。また、作業現場の状況によっては、車体の後部が浮き上がってしまう場合も有りうる。
このような状況で、押し付け制限制御部303は、ブーム4の下げ動作を制限することにより、法面仕上げ作業時に、バケット6を押し付ける勢いが強くなり過ぎて、ショベル500に法面からの反力に起因する浮き上がり動作が起きてしまう事態を抑制することができる。
図2に戻り、押し付け制限制御部303は、押し付け制限制御におけるブーム4の下げ動作を制限する制御条件(以下、「押し付け制限制御条件」)を設定する。例えば、押し付け制限制御条件は、上述の上限値UL1である。押し付け制限制御部303は、例えば、ショベル500の作業状況や作業現場の状況等に応じて、自動的に、押し付け制限制御条件を設定してよい。このとき、ショベル500の作業状況や作業現場の状況等は、カメラ44の撮像画像や動作状態センサ46の検出情報に基づき、判断されうる。また、押し付け制限制御部303は、オペレータによる操作に応じて、押し付け制限制御条件を設定してもよい。
押し付け制限制御条件に相当する上限値UL1は、初期条件(初期値)であり、且つ、推奨条件(推奨値)であるデフォルト値(初期設定)が予め規定され、コントローラ30の内部メモリ等に格納される態様であってよい。この場合、上限値UL1は、コントローラ30によって、自動的に、デフォルト値に設定されてよい。また、上限値UL1は、上述の如く、オペレータにより設定可能な態様であってもよく、デフォルト値を基準として、オペレータが変更することにより、設定可能な態様であってもよい。この場合、表示装置50には、当該上限値UL1を設定するための操作画面(以下、「上限値設定画面」)が表示されてよい。そして、表示装置50のタッチパネルや、ボタンスイッチ等のハードウェアによる他の操作部への操作入力に応じて、上限値設定画面が操作され、当該上限値UL1が設定されてよい。以下、後述する上限値UL2の設定操作及び上限値UL1,UL2の解除操作等についても同様である。また、表示装置50に表示される上限値設定画面は、当該上限値UL1の数値が表示され、表示装置50のタッチパネル等への操作に応じて、表示される数値が変化したり、オペレータによるタッチパネル等への決定操作に応じて、設定が有効になったりする態様であってよい。また、表示装置50に表示される上限値設定画面は、例えば、当該上限値UL1に対応するバーグラフが表示され、表示装置50のタッチパネル等への操作に応じて、上限値UL1に対応するバーグラフの長さが変化したり、オペレータによるタッチパネル等への決定操作に応じて、設定が有効になったりする態様であってもよい。以下、上限値UL2の設定操作についても同様である。
また、上限値UL1は、予め規定される複数の候補条件、つまり、候補値の中から選択されてもよい。上限値UL1の候補値は、例えば、ショベル500の作業性と法面仕上げ作業の遂行性とを考慮して、予め規定されてよい。具体的には、上限値UL1の複数の候補値には、例えば、ショベル500の作業性を優先させる態様の相対的に大きな第1の候補値と、ショベル500の作業性と法面仕上げ作業の遂行性のバランスを取る態様の中程度の第2の候補値と、法面仕上げ作業の遂行性を優先させる態様の相対的に小さい第3の候補値を含んでよい。この場合、上限値UL1は、ショベル500の作業状況(例えば、オペレータが作業性と作業遂行性の何れを優先した操作をしているのか等)、や作業現場の状況(例えば、法面の硬さ等)が考慮される態様で、コントローラ30によって、複数の候補値の中から自動で一の候補値が選択されてよい。また、上限値UL1は、オペレータの操作に応じて、複数の候補値の中から一の候補値が選択されてもよい。具体的には、上述と同様に、表示装置50に上限値設定画面が表示され、上限値設定画面に対する操作を通じて、複数の候補値の中から一の候補値が選択されてよい。より具体的には、例えば、上限値設定画面には、複数の候補値のそれぞれに対応するボタンアイコンが表示され、表示装置50のタッチパネル等への操作に応じて、何れかのボタンアイコンに対応する一の候補値が選択されてよい。
また、オペレータの操作に応じた、或いは、自動的での設定により変動しうる上限値UL1と閾値Pth1との対応関係は、関係式やマップ等の態様で、コントローラ30の内部メモリ等に予め格納される態様であってよい。これにより、押し付け制限制御部303は、上限値UL1の設定値と、コントローラ30の内部メモリ等に予め格納される対応関係に関する情報に基づき、可変リリーフ弁54を制御し、適切に、ブーム4の下げ動作を制限することができる。以下、後述する上限値UL2と閾値Pth2との対応関係についても同様である。
例えば、図5Aは、表示装置50に表示される、押し付け制限制御に関する制御条件(押し付け制限制御条件)を設定する設定画面の一例(設定画面510)を示す図である。
図5Aに示すように、表示装置50に表示される設定画面510には、押し付け制限制御条件の一例である上限値UL1を示すバーグラフ501と、バーグラフ501の押し付け制限制御条件を補足的に説明するショベル画像502が示される。
尚、バーグラフ501の内の点線部分は、現在の設定状態では、表示されていない部分を表している。
バーグラフ501は、設定画面510の左端部において、上下方向に延在する態様で配置される。バーグラフ501の左側には、設定可能な下限値を示す"MIN"の文字と、設定可能な上限値を示す"MAX"の文字と、デフォルト値を示す"DEF"の文字が併記されている。本例では、上限値UL1がデフォルト値に設定されている状態であることを示している。
バーグラフ501で示される押し付け制限制御条件(上限値UL1)は、例えば、タッチパネル式の表示装置50における設定画面510のバーグラフ501の部分に対するオペレータのタッチ操作により、設定変更が可能な態様であってよい。具体的には、オペレータは、バーグラフ501における上限値UL1に対応する上端位置をタッチし、タッチしたまま上下方向にスライド操作を行うことにより、バーグラフ501の上端位置を上下に変化させることが可能な態様であってよい。
また、バーグラフ501で示される押し付け制限制御条件(上限値UL1)は、例えば、表示装置50に搭載されるボタンスイッチ50Aに対するオペレータの操作により、設定変更が可能な態様であってよい。具体的には、オペレータは、ボタンスイッチ50Aの左右方向を指示する方向指示ボタンによりバーグラフを選択し、バーグラフ501が選択された状態でボタンスイッチ50Aの中央の決定ボタンを操作する。これにより、バーグラフ501で示される制御条件の変更操作が可能なアクティブ状態になる。そして、オペレータは、ボタンスイッチ50Aの上下方向を指示する方向指示ボタンにより、バーグラフ501の上端位置を上下に変化させることが可能な態様であってよい。
また、"DEF"の文字の部分を指定する操作(例えば、表示装置50に実装されるタッチパネルの"DEF"の文字の部分に対するタッチ操作)が行われることにより、上限値UL1がデフォルト値に自動で設定されてもよい。また、デフォルト値以外に、上限値UL1の候補値が予め規定されてもよい。このとき、当該候補値に対応する文字情報がバーグラフ501の当該候補値に対応する位置に併記され、当該文字情報の部分を指定する操作が行われることにより、上限値が当該候補値に自動で設定されてもよい。
ショベル画像502は、バーグラフ501の右側に隣接する態様で描画され、ショベル500の法面仕上げ作業を模式的に示している。具体的には、ショベル画像502において、バケットがアタッチメントの動作に応じて、法面に沿って移動する様子が描画されている(図中のショベル画像502における実線及び点線のアタッチメント部分)。これにより、オペレータは、設定画面510が押し付け制限制御条件を設定する画面であることを認識し易くなる。
また、ショベル画像502のバケット付近には、バケット6が法面に押し付け力を負荷している(つまり、ショベル500が法面の転圧を行っている)状態を表す黒い矢印502Aが表示されている。これにより、オペレータは、設定画面510が押し付け制限制御条件を設定する画面であることをより認識し易くなる。
また、矢印502Aは、上限値UL1の設定状態によって、変化してもよい。例えば、矢印502Aは、上限値UL1が大きくなるほど、長くなり、小さくなるほど、短くなる態様であってよい。また、例えば、矢印502Aは、バーグラフ501の表示状態に応じて(つまり、連動して)、変化してよい。具体的には、バーグラフ501の上端位置が上に進むほど、長くなり、バーグラフ501の上端位置が下に進むほど、短くなる態様であってもよい。これにより、オペレータは、矢印502Aの長さから、直感的に、押し付け制限制御におけるブーム4の下げ動作の制限度合いを把握できる。また、上限値UL1は、例えば、タッチパネル式の表示装置50における設定画面510の矢印502Aの部分に対するオペレータのタッチ操作により、設定可能であってもよい。具体的には、オペレータは、矢印502Aの先端位置をタッチし、タッチしたまま先端側或いは基端側にスライド操作を行うことにより、矢印502Aの長さを変化させ、上限値UL1を設定可能な態様であってよい。
また、設定画面510の上端部には、仮想的な操作対象であるボタン503,504が左右に並べて配置される。
ボタン503,504は、コントローラ30の押し付け制限制御に関する制御モード、つまり、押し付け制限無効モードと押し付け制限有効モードとの間の切り替え方法を選択するための操作部である。
ボタン503は、押し付け制限無効モードと押し付け制限有効モードとの間の自動切替を選択するための操作部である。例えば、表示装置50に実装されるタッチパネルを通じて、ボタン503が操作されると、所定の条件に応じて、押し付け制限無効モードと押し付け制限有効モードとの間の自動切替が行われる。この場合、押し付け制限制御を有効及び無効にするための操作部としての後述のボタン503,505に対する操作があっても、無効とされたり、ボタン503,505に対する操作自体が受け付けられない状態(例えば、ボタン503,505がグレーアウトの表示状態)であったりしてよい。
ボタン504は、押し付け制限無効モードと押し付け制限有効モードとの間の手動切替を選択するための操作部である。例えば、表示装置50に実装されるタッチパネルを通じて、ボタン504が操作されると、ボタン503,505に対するオペレータの操作に応じて、押し付け制限無効モードと押し付け制限有効モードとの間の手動切替が行われる。
また、設定画面510の下端部には、仮想的な操作対象であるボタン505〜508が左右方向に並べて配置される。
ボタン505は、設定画面510で設定された制御条件を有効にし、押し付け制限制御を開始させる、つまり、コントローラ30の制御モードを押し付け制限無効モードから押し付け制限有効モードに移行させるための操作部である。これにより、オペレータは、設定画面510で設定した制御条件で、押し付け制限制御が開始させることができる。
ボタン506は、設定画面510で設定された制御条件を適用するための操作部である。これにより、オペレータは、例えば、既に、押し付け制限制御が開始されている状況で、現場状況等に合わせて制御条件を変更したいような場合に、適切な制御条件に変更した上で、押し付け制限制御を継続させることができる。
ボタン507は、設定画面510で設定された制御条件を解除し、押し付け制限制御を停止させる、つまり、コントローラ30の制御モードを押し付け制限有効モードから押し付け制限無効モードに移行させるための操作部である。これにより、オペレータは、自らの判断で、押し付け制限制御を停止させることができる。
ボタン508は、設定画面510から所定のメイン画面に戻るための操作部である。これにより、オペレータは、例えば、気が変わって、制御条件の設定変更を行う必要がないと考えたような場合に、設定変更を行うことなく、表示装置50の表示を設定画面510からメイン画面等に遷移させることができる。
バーグラフ501と、ボタン505〜508の間の選択操作は、オペレータによるタッチパネルへのタッチ操作、或いは、ボタンスイッチ50Aの左右方向を指示する方向指示ボタン、及び、決定ボタンの操作により実現されうる。
尚、本例(図5A)では、制御条件の設定画面に押し付け制限制御を開始及び停止させる操作部(ボタン503,505)が設けられるが、制御条件の設定とは関係なく、別の画面に設けられてもよい。また、表示装置50の表示とは関係なく、押し付け制限制御を開始及び停止させることが可能なボタンスイッチ等が設けられてもよい。
また、例えば、図5Bは、表示装置50に表示される、押し付け制限制御に関する制御条件(押し付け制限制御条件)を設定する設定画面の他の例(設定画面520)を示す図である。
図5Bに示すように、表示装置50に表示される設定画面520には、押し付け制限制御の一例である上限値UL1を示すバーグラフ511と、バーグラフ501の押し付け制限制御条件を補足的に説明するショベル画像512が示される。
バーグラフ511は、設定画面510の下半分の領域を左右に延在する態様で配置される。バーグラフ511は、バケット6を法面に押し付ける力の上限値UL1を設定するためのバーグラフ511Aと、バケット下降速度の上限値UL1を設定するためのバーグラフ511Bとを含む。このとき、バケット押し付け力の上限値UL1とバケット下降速度の上限値UL1とは、独立して設定可能な態様であってもよい。また、バケット押し付け力の上限値UL1とバケット下降速度の上限値UL1とは、何れか一方は他方に依存する対応関係を有し、一方が設定されると、他方も一方との対応関係によって、自動的に、設定される態様であってもよい。
本例では、バーグラフ511A,511Bは、それぞれ、上限値UL1を10段階で表している。図5Bにおいて、バーグラフ511Aに対応するバケット押し付け力の上限値UL1は、10段階のうちの第4段階に設定され、バーグラフ511Bに対応するバケット下降速度の上限値UL1は、10段階のうちのだい6段階に設定されている。
バーグラフ511A,511Bで示される押し付け制限制御条件(上限値UL1)は、図5Aのバーグラフ501の場合と同様、タッチパネル式の表示装置50における設定画面510のバーグラフ501の部分に対するオペレータのタッチ操作により、設定変更が可能な態様であってよい。また、バーグラフ511A,511Bで示される押し付け制限制御条件(上限値UL1)は、図5Aのバーグラフ501の場合と同様、例えば、表示装置50に搭載されるボタンスイッチ50Aに対するオペレータの操作により、設定変更が可能な態様であってもよい。
ショベル画像512は、図5Aのショベル画像502と同様、ショベル500の法面仕上げ作業を模式的に示している。
また、設定画面520の下端部には、仮想的な操作対象である操作アイコン群513,514が左右に配置されている。操作アイコン群513,514は、押し付け制限制御条件の一例としての制限方向を設定するための操作部である。
操作アイコン群513は、複数(本例では、4つ)の制限方向の候補の中から制限方向を設定する操作部である。操作アイコン群513は、アイコン513A〜513Dを含む。
アイコン513Aは、ショベル100のオペレータから見て、制限方向を前方向に設定するための操作部である。例えば、ショベル100の前方の傾斜が非常にきつい上り法面や壁面等の転圧作業が行われる場合に利用されうる。
アイコン513Bは、ショベル100のオペレータから見て、制限方向を前斜め下方向に設定するための操作部である。例えば、ショベル100の前方の中程度の傾斜の上り法面の転圧作業が行われる場合に利用されうる。
アイコン513Cは、ショベル100のオペレータから見て、制限方向を下方向に設定するための操作部である。例えば、ショベル100の前方の傾斜が非常に緩い上り法面や水平面の転圧作業が行われる場合に利用されうる。
アイコン513Dは、ショベル100のオペレータから見て、制限方向を後斜め下方向に設定するための操作部である。例えば、ショベル100の前方の下り法面の転圧作業、つまり、法面の頂上側から法面仕上げ作業が行われる場合に利用されうる。
オペレータは、例えば、表示装置50に実装されるタッチパネルやボタンスイッチ50Aを適宜操作することにより、アイコン513A〜513Dの中から作業対象の法面により適切な制限方向を選択(設定)することができる。
操作アイコン群514は、より細かく制限方向を調整するための操作部である。操作アイコン群514は、アイコン514A〜514Cを含む。
アイコン514Aは、ショベル画像512を基準として、現在設定されている制限方向を表す矢印の画像である。これにより、オペレータは、現在の制限方向を確認できる。
アイコン514B,514Cは、それぞれ、制限方向を右回り(つまり、時計回り)、及び左回り(つまり、反時計回り)に調整するための操作部である。具体的には、例えば、表示装置50に実装されるタッチパネルやボタンスイッチ50Aを通じて、アイコン514Bが操作されると、当該操作に連動して、アイコン514Aが所定の角度ずつ右回りに回転し、制限方向が調整される。また、同様に、アイコン514Cが操作されると、当該操作に連動して、アイコン514Aが所定角度ずつ左回りに回転し、制限方向が調整される。これにより、オペレータは、より細かく制限方向を調整することができる。
このように、本例(図5B)では、オペレータは、設定画面520を通じて、押し付け制限制御条件として、上限値UL1だけでなく、制限方向も設定することができる。そのため、オペレータは、制限方向を設定するだけで、作業対象の法面の角度等により適切な形の押し付け制限制御が実現される。
図2に戻り、作業停止制御部304は、具体的に、作業停止制御を行う。
例えば、作業停止制御部304は、法面からバケット6への反力が相対的に小さくなった場合、つまり、比較的小さい値に設定される所定基準(以下、「第1の基準」と称する)以下になった場合に、バケット押しつけ力或いはバケット下降速度が相対的に小さくなるように(具体的には、上限値UL1より小さい上限値UL2以下になるように)、ブーム4の下げ動作を更に制限する。これにより、法面仕上げ作業中に、法面からの反力が相対的に小さくなった状況、つまり、地面が脆くなって崩れやすくなった状況において、ブーム4の下げ動作を大きく制限させることで、法面仕上げ作業を停止させることができる。そのため、脆くなっている法面仕上げ対象の法面が崩れてしまうような事態を抑制できる。
また、例えば、作業停止制御部304は、法面からバケット6への反力が相対的に大きくなった場合、つまり、比較的大きい値に設定される(第1の基準より十分に大きく設定される)所定基準(以下、「第2の基準」と称する)を超えた場合に、バケット押し付け力或いはバケット下降速度が相対的に小さくなるように(具体的には、上述の上限値UL2以下になるように)、ブーム4の下げ動作を更に制限する。これにより、法面仕上げ作業中に、土砂の中の岩等に起因して法面からの反力が相対的に大きくなった状況、つまり、法面の下の土砂中の岩に作用する押し付け力で岩の部分を起点として法面に亀裂等が生じ易くなっている状況において、ブーム4の下げ動作を大きく制限することで、法面仕上げ作業を停止させることができる。そのため、法面仕上げ対象の法面が崩れてしまうような事態を抑制できる。そのため、岩等の影響で亀裂等が生じ易くなっている法面仕上げ対象の法面が崩れてしまうような事態を抑制できる。
より具体的には、作業停止制御部304は、ブームシリンダ7のロッド圧が、当該上限値UL2に対応する所定の閾値Pth2(<Pth1)以下になるように、リリーフ圧を閾値Pth2に設定する制御指令を可変リリーフ弁54に出力し、可変リリーフ弁54を作動させる。これにより、上限値UL2及び閾値Pth2が適宜非常に小さい値に設定されることで、具体的に、法面が崩れる可能性がある状況で、法面仕上げ作業がこれ以上行えないように、ブーム4の下げ動作を制限し、法面仕上げ作業を停止させることができる。そのため、法面が崩れる可能性がある状況で、法面仕上げ作業が継続され、結果として、法面が崩壊してしまうような事態を抑制することができる。
尚、作業停止制御部304は、法面からバケット6への反力が相対的に小さくなった場合、或いは、相対的に大きくなった場合の何れか一方の場合だけ、作業停止制御を実行してもよい。また、コントローラ30は、作業停止制御によって、ブーム4の下げ動作が大きく制限された場合、表示装置50や音声出力装置52を制御し、オペレータに対して、ブーム4の下げ動作が大きく制限され、法面仕上げ作業が停止されたことを通知してもよい。これにより、コントローラ30は、ブーム4の下げ動作が制限された場合のオペレータの違和感を軽減させることができる。
上限値UL2は、上限値UL1の場合と同様、デフォルト値が予め規定され、コントローラ30の内部メモリ等に格納される態様であってよい。また、上限値UL2は、デフォルト値を基準として、オペレータが大きくする方向に変化させることにより、設定可能な態様であってもよい。この場合、上述した押し付け制限制御に関する制御条件を設定する設定画面510(図5参照)と同様の設定画面が表示装置50に表示され、オペレータによる作業停止制御に関する制御条件(上限値UL2)の設定が可能な態様であってよい。
[法面仕上げ支援制御装置の動作の詳細]
次に、図6〜図11を参照して、法面仕上げ支援制御装置200の具体的な動作、即ち、法面仕上げ支援制御の具体的な処理動作について説明する。
[押し付け制限制御の具体例]
図6〜図8は、コントローラ30による押し付け制限制御の具体例を示すフローチャートである。以下、図6〜図8に係る押し付け制限制御の具体例は、適宜、組み合わせることができる。例えば、図6〜図8に係る押し付け制限制御の具体例は、その少なくとも二つの処理が並列して実行されてもよい。
まず、図6は、コントローラ30による押し付け制限制御の一例を概略的に示すフローチャートである。具体的には、図6A及び図6Bは、それぞれ、コントローラ30による押し付け制限制御の開始に関する処理、及び、押し付け制限制御の制御条件の変更及び停止に関する処理の一例を概略的に示すフローチャートである。図6Aのフローチャートによる処理は、例えば、ショベル500の運転中において、押し付け制限制御が実行されていない状況で、所定の制御周期ごとに、繰り返し実行される。以下、図7A、図8Aのフローチャートについても同様である。また、図6Bのフローチャートによる処理は、例えば、ショベル500の運転中において、押し付け制限制御が実行されている状況で、所定の制御周期ごとに、繰り返し実行される。以下、図7B,図8Bのフローチャートについても同様である。
尚、本例では、オペレータは、表示装置50等を通じて、押し付け制限制御に関する制御条件に相当する上限値UL1を設定したり、設定した上限値UL1を解除したりする操作を行うことができる。また、本例では、オペレータは、押し付け制限制御が実行中か否かに関わらず、表示装置50等を通じて、上限値UL1を設定することができ、以下、図7A、図7B、及び、図8A、図8Bのフローチャートの場合も同様である。
図6Aを参照するに、ステップS602にて、押し付け制限制御部303は、表示装置50等を通じて、オペレータによる押し付け制限制御に関する制御条件の設定操作、即ち、上限値UL1を設定する操作が行われたか否かを判定する。押し付け制限制御部303は、オペレータによる上限値UL1を設定する操作が行われた場合、ステップS604に進み、それ以外の場合、今回の処理を終了する。
ステップS604にて、押し付け制限制御部303は、設定された制御条件が初期設定から変更されたか否かを判定する。押し付け制限制御部303は、制御条件が初期設定から変更されている場合、ステップS606に進み、制御条件が初期設定から変更されていない場合、ステップS608に進む。
ステップS606にて、押し付け制限制御部303は、オペレータにより初期設定から変更された制御条件による押し付け制限制御を開始する。具体的には、押し付け制限制御部303は、リリーフ圧をオペレータにより初期設定から変更された上限値UL1に対応する閾値Pth1に設定する制御指令を可変リリーフ弁54に出力し、可変リリーフ弁54を作動させる。これにより、ブームシリンダ7のロッド圧が、オペレータにより初期設定から変更された上限値UL1に対応する閾値Pth1以下に制限され、ブーム4の下げ動作は、バケット6を下げる力或いは速度が当該上限値UL1以下になるように制限される。
一方、ステップS608にて、押し付け制限制御部303は、オペレータにより初期設定のままで設定された制御条件による押し付け制限制御を開始する。具体的には、押し付け制限制御部303は、リリーフ圧を初期設定の上限値UL1に対応する閾値Pth1に設定する制御指令を可変リリーフ弁54に出力し、可変リリーフ弁54を作動させる。これにより、ブームシリンダ7のロッド圧が初期設定の上限値UL1に対応する閾値Pth1以下に制限され、ブーム4の下げ動作は、バケット6を下げる力或いは速度が当該上限値UL1以下になるように制限される。
尚、押し付け制限制御部303は、ステップS606,S608の処理と併せて、表示装置50や音声出力装置52を通じて、オペレータによる操作により押し付け制限制御に関する制御条件、つまり、上限値UL1が設定されたことや、押し付け制限制御が開始されたこと等を通知する表示や音声を出力させてもよい。以下、後述する図7AのステップS706,S708、及び図8AのステップS806,S808についても同様である。
また、図6Bを参照するに、ステップS610にて、押し付け制限制御部303は、表示装置50等を通じて、オペレータによる押し付け制限制御に関する制御条件の設定の変更操作、即ち、上限値UL1の設定を変更する操作が行われたか否かを判定する。押し付け制限制御部303は、オペレータによる上限値UL1の設定を変更する操作が行われた場合、ステップS612に進み、それ以外の場合、ステップS614に進む。
ステップS612にて、押し付け制限制御部303は、オペレータによる変更操作に応じて、押し付け制限制御に関する制御条件を変更する。具体的には、押し付け制限制御部303は、リリーフ圧をオペレータにより変更された上限値UL1に対応する閾値Pth1に設定変更する制御指令を可変リリーフ弁54に出力する。これにより、ブーム4の下げ動作は、バケット6を下げる力或いは速度が新たに設定変更された上限値UL1以下になるように制限される。
尚、押し付け制限制御部303は、ステップS612の処理と併せて、表示装置50や音声出力装置52を通じて、オペレータによる操作により押し付け制限制御に関する制御条件、つまり、上限値UL1が設定変更されたこと等を通知する表示や音声を出力させてもよい。以下、後述する図7BのステップS712、及び、図8BのステップS812の場合についても同様である。
一方、ステップS614にて、押し付け制限制御部303は、表示装置50等を通じて、オペレータにより押し付け制限制御に関する制御条件の解除操作、即ち、上限値UL1を解除する操作が行われたか否かを判定する。押し付け制限制御部303は、オペレータにより上限値UL1を解除する操作が行われた場合、ステップS616に進み、それ以外の場合、今回の処理を終了する。
ステップS616にて、押し付け制限制御部303は、押し付け制限制御を停止する。具体的には、押し付け制限制御部303は、可変リリーフ弁54に制御指令を出力し、可変リリーフ弁54を停止させて、今回の処理を終了する。これにより、上限値UL1によるブーム4の下げ動作の制限が解除される。
このように、本例では、押し付け制限制御部303は、オペレータにより設定された、初期設定、或いは、初期設定から変更された上限値UL1に基づき、可変リリーフ弁54のリリーフ圧を当該上限値UL1に対応する閾値Pth1に設定することにより、押し付け制限制御を行う。これにより、ブーム4の下げ動作は、バケット6を下げる力或いは速度が当該上限値UL1以下になるように制限される。そのため、法面仕上げ作業時に、バケット6を押し付ける勢いが強すぎる等により法面が崩壊してしまうような事態を抑制することができる。以下、図7A、図8Aのフローチャートの場合についても同様である。
また、本例では、押し付け制限制御部303は、オペレータによる制御条件(上限値UL1)の設定操作に応じて、押し付け制限制御を開始し、オペレータによる制御条件(上限値UL1)の解除操作に応じて、押し付け制限制御を停止する。これにより、オペレータは、押し付け制限制御に関する制御条件である上限値UL1の設定操作及び解除操作によって、押し付け制限制御を開始させたり、停止(解除)させたりすることができる。
また、本例では、押し付け制限制御部303は、押し付け制限制御が実行されている場合、オペレータによる制御条件(上限値UL1)の設定操作(変更操作)が行われたときに、制御条件(上限値UL1)を変更する。これにより、オペレータは、作業現場の状況(例えば、地面の硬さ等)に合わせて、押し付け制限制御に関する制御条件に相当する上限値UL1を調整しながら、ショベル500に法面仕上げ作業の実施させることができる。そのため、オペレータは、作業現場の状況に合わせた適切な上限値UL1を見出すことができるため、法面仕上げ作業時に、法面が崩壊してしまうような事態を更に抑制することができる。以下、図7A、図8Aのフローチャートの場合についても同様である。
また、本例では、押し付け制限制御部303は、デフォルト状態(初期設定)の制御条件、具体的には、初期設定の上限値UL1に基づく押し付け制限制御を行うことができる。そのため、例えば、オペレータが上限値UL1をどの程度に設定すればよいか分からないような場合でも、押し付け制限制御を適切に実行させることができる。また、オペレータは、デフォルト値を基準として、上限値UL1を設定変更することができるため、作業現場の状況に合わせた適切な上限値UL1を見出すことが可能となり、法面仕上げ作業時に、法面が崩壊してしまうような事態を更に抑制することができる。以下、図7A、図8Aのフローチャートの場合についても同様である。
続いて、図7は、コントローラ30による押し付け制限制御の他の例を概略的に示すフローチャートである。具体的には、図7A及び図7Bは、それぞれ、コントローラ30による押し付け制限制御の開始に関する処理、及び、押し付け制限制御の制御条件の変更及び停止に関する処理の他の例を概略的に示すフローチャートである。
尚、本例では、オペレータは、表示装置50等を通じて、押し付け制限制御部303による押し付け制限制御を有効にしたり、無効にしたりする操作を行うことができる。
図7Aを参照するに、ステップS702にて、押し付け制限制御部303は、表示装置50等を通じて、オペレータによる押し付け制限制御を有効にする操作が行われたか否かを判定する。押し付け制限制御部303は、オペレータによる押し付け制限制御を有効にする操作が行われた場合、ステップS704に進み、それ以外の場合、今回の処理を終了する。
ステップS704〜S708の処理は、図6AのステップS604〜608と同じであるため、説明を省略する。
また、図7Bを参照するに、ステップS710にて、押し付け制限制御部303は、図6のステップS610と同様、表示装置50等を通じて、オペレータによる押し付け制限制御に関する制御条件の設定の変更操作、即ち、上限値UL1の設定を変更する操作が行われたか否かを判定する。押し付け制限制御部303は、オペレータによる上限値UL1の設定を変更する操作が行われた場合、ステップS712に進み、それ以外の場合、ステップS714に進む。
ステップS712の処理は、図6AのステップS612と同じであるため、説明を省略する。
一方、ステップS714にて、押し付け制限制御部303は、表示装置50等を通じて、オペレータによる押し付け制限制御を無効にする操作(つまり、押し付け制限制御を停止させる操作)が行われたか否かを判定する。押し付け制限制御部303は、押し付け制限制御を無効にする操作が行われた場合、ステップS716に進み、行われていない場合、今回の処理を終了する。
ステップS716の処理は、図6BのステップS616と同じであるため、説明を省略する。
このように、本例では、押し付け制限制御部303は、オペレータによる押し付け制限制御を有効にする操作に応じて、押し付け制限制御を開始し、オペレータによる押し付け制限制御を無効にする操作に応じて、押し付け制限制御を停止する。これにより、オペレータは、具体的に、押し付け制限制御を有効或いは無効にする操作を行うことによって、押し付け制限制御を開始させたり、停止させたりすることができる。
続いて、図8は、コントローラ30による押し付け制限制御の更に他の例を概略的に示すフローチャートである。具体的には、図8A及び図8Bは、それぞれ、コントローラ30による押し付け制限制御の開始に関する処理、及び、押し付け制限制御の制御条件の変更及び停止に関する処理の更に他の例を概略的に示すフローチャートである。
図8Aを参照するに、ステップS802にて、作業状況判定部301は、ショベル500が法面仕上げ作業を行っているか否かを判定する。作業状況判定部301は、ショベル500が法面仕上げ作業を行っている場合、ステップS804に進み、それ以外の場合、今回の処理を終了する。
尚、ステップS802にて、作業状況判定部301は、ショベル500が法面仕上げ作業を行っているか否かに代えて、或いは、加えて、ショベル500の浮き上がり動作が発生したか否かを判定してもよい。また、ステップS802にて、作業状況判定部301は、ショベル500の浮き上がり動作が発生したか否かに代えて、或いは、加えて、ショベル500の浮き上がり動作が発生しそうか否かを判定してもよい。この場合、作業状況判定部301は、ショベル500が法面仕上げ作業を行っている場合、ショベル500の浮き上がり動作が発生している場合、或いは、ショベル500の浮き上がり動作が発生しそうな場合に、ステップS804に進み、それ以外の場合、今回の処理を終了する。
ステップS804〜S808の処理は、図6AのステップS604〜S608と同じであるため、説明を省略する。
また、図8Bを参照するに、ステップS810にて、押し付け制限制御部303は、図6のステップS610と同様、表示装置50等を通じて、オペレータによる押し付け制限制御に関する制御条件の設定の変更操作、即ち、上限値UL1の設定を変更する操作が行われたか否かを判定する。押し付け制限制御部303は、オペレータによる上限値UL1の設定を変更する操作が行われた場合、ステップS812に進み、それ以外の場合、ステップS814に進む。
ステップS812の処理は、図6AのステップS612と同じであるため、説明を省略する。
一方、ステップS814にて、作業状況判定部301は、ショベル500が法面仕上げ作業を行っているか否かを判定する。作業状況判定部301は、ショベル500が法面仕上げ作業を行っていない場合、ステップS816に進み、ショベル500が法面仕上げ作業を行っている場合、今回の処理を終了する。
尚、ステップS814にて、作業状況判定部301は、ステップS802と対応付けて、ショベル500が法面仕上げ作業を行っているか否かに代えて、或いは、加えて、ショベル500の浮き上がり動作が発生したか否かを判定してもよい。また、ステップS814にて、作業状況判定部301は、ショベル500の浮き上がり動作が発生したか否かに代えて、或いは、加えて、ショベル500の浮き上がり動作が発生しそうか否かを判定してもよい。この場合、作業状況判定部301は、ショベル500が法面仕上げ作業を行っている場合、ショベル500の浮き上がり動作が発生している場合、或いは、ショベル500の浮き上がり動作が発生しそうな場合、今回の処理を終了し、それ以外の場合、ステップS816に進む。
ステップS816の処理は、図6BのステップS616と同じであるため、説明を省略する。
このように、本例では、押し付け制限制御部303は、作業状況判定部301によりショベル500が法面仕上げ作業を行っていると判定された場合に、押し付け制限制御が行われる(開始される)。これにより、押し付け制限制御部303は、ショベル500が法面仕上げ作業を行う場合に、オペレータによる操作に依らず、押し付け制限制御を実行することができる。そのため、例えば、オペレータが押し付け制限制御を有効にする操作を忘れてしまい、ブーム4の下げ動作が制限されないまま、ショベル500の法面仕上げ作業が行われてしまう事態を抑制することができる。
また、押し付け制限制御部303は、押し付け制限制御を実行中の状況で、作業状況判定部301によりショベル500が法面仕上げ作業を行っていないと判定された場合に、押し付け制限制御を停止する。これにより、押し付け制限制御部303は、ショベル500が法面仕上げ作業を終了した場合に、オペレータによる操作に依らず、自動的に、押し付け制限制御を停止することができる。そのため、例えば、オペレータが押し付け制限制御を無効にする操作を忘れてしまい、ブーム4の下げ動作が制限されたまま、ショベル500が他の作業を行い、作業効率が低下するような事態を抑制できる。
また、押し付け制限制御部303は、作業状況判定部301によりショベル500の浮き上がり動作が発生した、或いは、発生しそうであると判定された場合に、押し付け制限制御が行われる(開始される)。これにより、押し付け制限制御部303は、ショベル500が浮き上がり動作を起こした場合、或いは、起こしそうな場合に、オペレータによる操作に依らず、押し付け制限制御を実行することができる。そのため、例えば、オペレータが押し付け制限制御を有効にする操作を忘れてしまい、ブーム4の下げ動作が制限されないまま、法面仕上げ作業時に浮き上がり動作が発生してしまうような事態を抑制することができる。
また、押し付け制限制御部303は、押し付け制限制御を実行中の状況で、作業状況判定部301によりショベル500の浮き上がり動作が発生している、或いは、発生しそうであると判定されなかった場合に、押し付け制限制御を停止する。これにより、押し付け制限制御部303は、ショベル500の浮き上がり動作自体や浮き上がり動作が発生しそうな状況が収束した場合に、オペレータによる操作に依らず、自動的に、押し付け制限制御を停止することができる。そのため、例えば、オペレータが押し付け制限制御を無効にする操作を忘れてしまい、ブーム4の下げ動作が制限されたまま、ショベル500が作業を継続し、作業効率が低下するような事態を抑制できる。
[作業停止制御の具体例]
図9〜図11は、コントローラ30による作業停止制御の具体例を示すフローチャートである。以下、図10、図11Aに係る作業停止制御の具体例は、適宜、組み合わせることができる。例えば、図10及び図11Aに係る押し付け制限制御の具体例は、その処理が並列して実行されてもよい。
まず、図9は、コントローラ30による作業停止制御の一例を概略的に示すフローチャートである。具体的には、図9は、コントローラ30による作業停止制御の開始に関する処理の一例を概略的に示すフローチャートである。本フローチャートによる処理は、例えば、ショベル500の運転中において、法面仕上げ作業を停止させるための後述するステップS804の処理によるブーム4の下げ動作の制限(つまり、作業停止制御)が行われていない場合、所定の制御周期ごとに、繰り返し実行される。以下、図10、図11Aについても同様である。
ステップS902にて、押し付け反力判定部302は、法面からバケット6への反力が相対的に小さく、或いは、大きくなったか否かを判定する。具体的には、押し付け反力判定部302は、法面からバケット6への反力が第1の基準以下になった、或いは、第2の基準を超えたか否かを判定する。押し付け反力判定部302は、法面からバケット6への反力が相対的に小さく、或いは、大きくなった場合、ステップS904に進み、それ以外の場合、今回の処理を終了する。
ステップS904にて、作業停止制御部304は、作業停止制御を開始する。具体的には、作業停止制御部304は、リリーフ圧を上限値UL2に対応する閾値Pth2に設定する制御指令を、可変リリーフ弁54に出力し、可変リリーフ弁54を作動させる。これにより、ブームシリンダ7のロッド圧が、上限値UL2に対応する閾値Pth2以下に制限されるため、ブーム4の下げ動作は、バケット6を下げる力或いは速度が当該上限値UL2以下になるように制限される。そのため、非常に小さい値に設定される上限値UL2及び閾値Pth2の作用により、ショベル500の法面仕上げ作業を停止させることができる。
尚、ステップS904の処理により開始されるブーム4の下げ動作の制限、つまり、作業停止制御は、例えば、表示装置50等を通じたオペレータによる所定の解除操作により解除されうる。以下、後述する図10のステップS1006の処理により開始されるブーム4の下げ動作の制限、つまり、作業停止制御についても同様である。また、作業停止制御部304は、ステップS904の処理と併せて、表示装置50や音声出力装置52等を通じて、ブーム4の動作が制限され、法面仕上げ作業が停止されたこと等を通知する表示や音声を出力させてもよい。これにより、オペレータは、当該通知に応じて、上述の解除操作を行い、ブーム4の下げ動作の制限を解除することができる。以下、後述する図10のステップS1006、図11AのステップS1106についても同様である。
このように、本例では、作業停止制御部304は、地面(法面)からバケット6への反力が相対的に小さくなった場合或いは相対的に大きくなった場合、押し付け制限制御の場合より更にブームの下げ動作を制限する。具体的には、作業停止制御部304は、法面からバケット6への反力が第1の基準以下になった場合、或いは、第2の基準を超えた場合、可変リリーフ弁54のリリーフ圧を上限値UL2に対応する閾値Pth2に設定する。これにより、ブーム4の下げ動作は、バケット6の下げる力或いは速度が上限値UL2以下になるように、即ち、法面仕上げ作業が継続できないレベルに制限され、ショベル500の法面仕上げ作業を停止させることができる。そのため、法面が崩壊する可能がある状況で、法面仕上げ作業が継続され、結果として、法面が崩壊してしまうような事態を抑制することができる。以下、図10,図11Aのフローチャートの場合についても同様である。
続いて、図10は、コントローラ30による作業停止制御の他の例を概略的に示すフローチャートである。具体的には、図10は、コントローラ30による作業停止制御の開始に関する処理の他の例を概略的に示すフローチャートである。
尚、本例では、オペレータは、表示装置50等を通じて、作業停止制御部304による作業停止制御を有効にしたり、無効にしたりする操作を行うことができる。
ステップS1002にて、作業停止制御部304は、オペレータによる表示装置50等を通じた所定操作に応じて、作業停止制御が有効になっているか否かを判定する。作業停止制御部304は、作業停止制御が有効になっている場合、ステップS1004に進み、それ以外の場合、今回の処理を終了する。
ステップS1004,S1006の処理は、図9のステップS902,S904と同じであるため、説明を省略する。
このように、本例では、作業停止制御部304は、オペレータによる所定操作に応じて作業停止制御が有効な状態であり、且つ、法面からバケット6への反力が所定基準以下になった場合に、可変リリーフ弁54のリリーフ圧を上限値UL2に対応する閾値Pth2に設定する。これにより、オペレータによる操作に応じて作業停止制御が有効になっている場合に限定して、ブーム4の動作を、法面仕上げ作業が継続できない程度に制限することができる。そのため、オペレータは、例えば、ショベル500による法面仕上げ作業を開始する場合に、作業停止制御を有効にし、それ以外の作業が行われる場合に、作業停止制御を無効にすることができ、法面仕上げ作業以外で、不要なブーム4の動作制限が行われる事態を抑制できる。
続いて、図11は、コントローラ30による作業停止制御の更に他の例を概略的に示すフローチャートである。具体的には、図11Aは、コントローラ30による作業停止制御の開始に関する処理の更に他の例を概略的に示すフローチャートであり、図11Bは、コントローラ30による作業停止制御の停止に関する処理の更に他の例を概略的に示すフローチャートである。図11Bのフローチャートによる処理は、例えば、ショベル500の運転中において、作業停止制御が実行されている状況で、所定の制御周期ごとに、繰り返し実行される。
図11Aを参照するに、ステップS1102にて、作業状況判定部301は、ショベル500が法面仕上げ作業を行っているか否かを判定する。作業状況判定部301は、ショベル500が法面仕上げ作業を行っている場合、ステップS1104に進み、それ以外の場合、今回の処理を終了する。
尚、ステップS1102にて、ショベル500が法面仕上げ作業を行っているか否かが判定される代わりに、図6〜図8に示す押し付け制限制御が実行されているか否かが判定されてもよい。押し付け制限制御が実行されている状態は、ショベル500が法面仕上げ作業を行っている状態と等価と考えられるからである。
ステップS1104,S1106の処理は、図9のステップS902,S904と同じであるため、説明を省略する。
また、図11Bを参照するに、ステップS1108にて、作業状況判定部301は、ショベル500が法面仕上げ作業を行っているか否かを判定する。作業状況判定部301は、ショベル500が法面仕上げ作業を行っていない場合、ステップS1110に進み、ショベル500が法面仕上げ作業を行っている場合、今回の処理を終了する。
ステップS1110にて、作業停止制御部304は、作業停止制御を停止する。具体的には、作業停止制御部304は、可変リリーフ弁54に制御指令を出力し、可変リリーフ弁54を停止状態とし、今回の処理を終了する。これにより、作業停止制御部304は、ショベル500が法面仕上げ作業を行っていない場合に、可変リリーフ弁54を停止させて、ブーム4の下げ動作の制限を解除することができる。
このように、本例では、作業停止制御部304は、ショベル500が法面仕上げ作業を行っており、且つ、法面からバケット6への反力が所定基準以下になった場合に、可変リリーフ弁54のリリーフ圧を上限値UL2に対応する閾値Pth2に設定する。これにより、法面仕上げ作業が行われている場合に限定して、ブーム4の動作を、法面仕上げ作業が継続できない程度に制限することができる。また、オペレータが作業停止制御を有効にする操作や解除する操作等を自ら行う必要がないため、オペレータの利便性を向上させることができる。また、オペレータが作業停止制御を有効にする操作を忘れてしまい、法面が崩壊する可能性がある状況で、作業停止制御が実行されないような事態を抑制することができる。
また、本例では、作業停止制御部304は、ショベル500が法面仕上げ作業を行わなくなった場合に、可変リリーフ弁54の動作が停止され、ブーム4の下げ動作の制限が解除される。これにより、ショベル500が法面仕上げ作業を行わなくなった場合に、オペレータによる操作に依らず、法面仕上げ作業が停止される程度のブーム4の下げ動作の制限が、自動的に解除される。そのため、オペレータの利便性を向上させることができる。また、法面仕上げ作業が終了しているにも関わらず、オペレータの作業停止制御を解除する操作忘れ等に起因して、作業停止制御が有効な状態が継続し、法面仕上げ作業以外において、ブーム4の下げ動作が制限されてしまうような事態を抑制することができる。
[作用]
本実施形態では、コントローラ30(押し付け制限制御部303)は、バケット6を地面に押し付ける力、又は、バケット6を地面に向けて下げる速度が相対的に大きくならないように、ブーム4の下げ動作を制限する押し付け制限制御を行う。具体的には、押し付け制限制御部303は、バケット6を地面に押し付ける力、又は、バケット6を地面に向けて下げる速度が予め規定される上限値UL1以下になるように、ブーム4の下げ動作を制限する押し付け制限制御を行う。
これにより、ショベル500(法面仕上げ支援制御装置200)は、ショベル500の法面仕上げ作業時におけるブーム4の下げ動作を制限できる。そのため、法面仕上げ支援制御装置200は、バケット6で法面を押し付ける勢いが強すぎて、法面が崩壊してしまったり、ショベル500に浮き上がり動作が生じたりするような事態を抑制することができる。従って、ショベル500は、作業性を維持しつつ、適切に法面仕上げ作業を行うことができる。
また、本実施形態では、コントローラ30(押し付け制限制御部303)は、ブームシリンダ7のロッド側油室の圧力が、上限値UL1に対応する閾値Pth1以下になるように、ブームシリンダ7を制御することにより、ブーム4の下げ動作を制限し、押し付け制限制御を行う。
これにより、ショベル500(法面仕上げ支援制御装置200)は、ブームシリンダ7の収縮側の動作を制限し、具体的に、ブーム4の下げ動作を制限することができる。
また、本実施形態では、コントローラ30(押し付け制限制御部303)は、ブームシリンダ7のロッド側油室と接続される可変リリーフ弁54のリリーフ圧を閾値Pth1に設定し、作動させることにより、ブーム4の下げ動作を制限し、押し付け制限制御を行う。
これにより、ショベル500(法面仕上げ支援制御装置200)は、具体的に、ブームシリンダ7のロッド圧を制限することができる。
また、本実施形態では、表示装置50等は、設定操作部として、タッチパネルに対する操作に応じて、押し付け制限制御に関する制御条件、具体的には、上限値UL1を設定する操作を受け付ける。
これにより、オペレータは、押し付け制限制御に係る制御条件(上限値UL1)を自ら調整することができる。
また、本実施形態では、押し付け制限制御に関する制御条件は、設定操作部(表示装置50等)に対する操作に応じて、予め規定される初期条件(初期設定)を基準として変更される。
これにより、オペレータは、制御条件をどのように設定したらわからないような状況であっても、初期条件(例えば、推奨条件)を基準として、制御条件を自ら設定することができる。
また、本実施形態では、コントローラ30(押し付け制限制御部303)は、表示装置50等を通じて、押し付け制限制御部に関する制御条件(上限値UL1)が設定された場合に、ブーム4の下げ動作を制限し、押し付け制限制御を行う(開始する)。
これにより、オペレータは、上限値UL1を設定することで、ショベル500(法面仕上げ支援制御装置200)による押し付け制限制御を有効にする(開始させる)ことができる。
また、本実施形態では、表示装置50等は、オペレータによる操作に応じて、押し付け制限制御を有効にする有効化操作部として機能する。そして、押し付け制限制御部303は、有効化操作部に対する操作が行われた場合に、ブーム4の下げ動作を制限し、押し付け制限制御を行う(開始する)。
これにより、オペレータは、押し付け制限制御を有効にする操作を行うことで、ショベル500(法面仕上げ支援制御装置200)による押し付け制限制御を有効にする(開始させる)ことができる。
また、本実施形態では、コントローラ30(作業状況判定部301)は、ショベル500が法面仕上げ作業を行っているか否かを判定する。そして、押し付け制限制御部303は、作業状況判定部301によりショベルが法面仕上げ作業を行っていると判定された場合に、ブーム4の下げ動作を制限し、押し付け制限制御を行う。
これにより、ショベル500(法面仕上げ支援制御装置200)は、ショベル500が法面仕上げ作業を行っている場合に限定して、押し付け制限制御を行うことができる。そのため、法面仕上げ作業が行われていない場合に、ブーム4の下げ動作が制限される等の不要な押付け制限制御が行われるような事態を抑制することができる。
また、本実施形態では、コントローラ30(作業状況判定部301)は、ブーム4を駆動するブームシリンダ7のロッド側油室の圧力(ロッド圧)、又は、当該ショベル500の周辺を撮像するカメラ44の撮像画像に基づき、ショベル500が法面仕上げ作業を行っているか否かを判定する。
これにより、ショベル500(法面仕上げ支援制御装置200)は、具体的に、ショベル500が法面仕上げ作業を行っているか否かを判定することができる。
また、本実施形態では、コントローラ30(作業状況判定部301)は、ショベル500の浮き上がり動作が発生したか否か、又は、発生しそうか否かを判定する。そして、コントローラ30(押し付け制限制御部303)は、ショベル500の浮き上がり動作が発生している、又は、発生しそうであると判定した場合に、ブームの下げ動作を制限し、押し付け制限制御を行う。
これにより、ショベル500(法面仕上げ支援制御装置200)は、ショベル500に浮き上がり動作が発生している場合や発生しそうな場合に限定して、押し付け制限制御を行うことができる。そのため、ショベル500に浮き上がり動作が発生していなかったり、発生しそうになかったりする場合に、ブーム4の下げ動作が制限される等の不要な押し付け制限制御が行われるような事態を抑制することができる。
また、本実施形態では、動作状態センサ46は、ショベル500の車体のピッチ方向の傾斜角に関する情報をコントローラ30に出力する。そして、コントローラ30(作業状況判定部301)は、動作状態センサ46の検出結果に基づき、ショベル500の浮き上がり動作が発生したか否か、又は、発生しそうか否かを判定する。
これにより、ショベル500(法面仕上げ支援制御装置200)は、ピッチ方向の傾斜角に関する情報やその変化(角加速度や角加加速度)等に基づき、具体的に、ショベル500の浮き上がり動作が発生したか否かや発生しそうか否かを判定することができる。
また、本実施形態では、動作状態センサ46には、傾斜角センサ、角速度センサ、或いは、IMU等が含まれうる。
これにより、ショベル500(法面仕上げ支援制御装置200)は、具体的に、ショベル500の浮き上がり動作を判定するためのセンサ情報(ピッチ方向の傾斜角に関する情報)を取得することができる。
また、本実施形態では、コントローラ30(押し付け反力判定部302)は、法面からバケット6への反力が相対的に小さくなったか否か、或いは、相対的に大きくなったか否かを判定する。具体的には、押し付け反力判定部302は、法面からバケット6への反力が第1の基準以下の状態、或いは、第1の基準より十分に大きい第2の基準を超えた状態の何れかになったか否かを判定する。そして、コントローラ30(作業停止制御部304)は、押し付け反力判定部302により反力が相対的に小さくなった(つまり、第1の基準以下になった)、或いは、相対的に大きくなった(つまり、第2の基準を超えた)と判定された場合に、バケット6を地面に押し付ける力、又は、バケット6を地面に向けて下げる速度が相対的に小さくなるように、ブーム4の下げ動作を押し付け制限制御の場合より更に制限する作業停止制御を行う。具体的には、作業停止制御部304は、バケット6を地面に押し付ける力、又は、バケット6を地面に向けて下げる速度が上限値UL1より小さい上限値UL2以下になるように、ブーム4の下げ動作を制限する。
これにより、ショベル500(法面仕上げ支援制御装置200)は、法面からバケット6への反力が、例えば、法面が脆くなり、崩れる兆候がある状況に相当する第1の基準以下になった場合に、押し付け制限制御よりもブーム4の下げ動作を大きく制限し、法面仕上げ作業を停止させることができる。また、ショベル500は、法面からバケットへの反力が、例えば、土砂の中の岩等に起因して第2の基準を超えた場合に、押し付け制限制御よりもブーム4の下げ動作を大きく制限し、法面仕上げ作業を停止させることができる。従って、このような状況で、法面仕上げ作業が継続され、結果として、法面が崩壊してしまうような事態を抑制することができる。
また、本実施形態では、押し付け反力判定部302は、ブーム4を駆動するブームシリンダ7のロッド側油室の圧力の変化に基づき、法面からバケット6への反力が相対的に小さくなったか(第1の基準以下になったか)否か、或いは、相対的に大きくなったか(第2の基準を超えたか)否かを判定する。
これにより、ショベル500(法面仕上げ支援制御装置200)は、具体的に、法面からバケット6への反力が相対的に小さくなったか(第1の基準以下になったか)否かや相対的に大きくなったか否か(第2の基準を超えたか)否かを判定することができる。
以上、本発明を実施するための形態について詳述したが、本発明はかかる特定の実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本発明の要旨の範囲内において、種々の変形・変更が可能である。
例えば、上述した実施形態では、押し付け制限制御と作業停止制御との双方が実行されるが、何れか一方だけが実行される態様であってもよい。
また、上述した実施形態及び変形例において、押し付け制限制御部303或いは作業停止制御部304は、ブーム4下げる力或いは速度の測定値(推定値)をモニタリングしながら、可変リリーフ弁54のリリーフ圧である閾値Pth1,Pth2を調整してもよい。この場合、押し付け制限制御部303或いは作業停止制御部304は、圧力センサ40から入力されるブームシリンダ7のロッド圧の測定値からバケット6を下げる力の測定値(推定値)を算出することができる。また、押し付け制限制御部303或いは作業停止制御部304は、位置センサ42から入力される、ブームシリンダ7のロッド位置の測定値に基づき、バケット6を下げる速度の測定値(推定値)を算出することができる。
また、上述した実施形態及び変形例では、法面仕上げ作業が行われる場合を想定して、ブーム4の下げ動作が制限されるが、バケット6を地面に押し付ける力或いはバケット6を地面に向けて下げる速度が制限されるべき他の作業について、同様の制御が適用されてもよい。例えば、掘削作業等の法面仕上げ作業以外の作業時に、ショベル500に浮き上がり動作が発生している場合、或いは、浮き上がり動作が発生しそうな場合に、押し付け制限制御が行われてもよい。また、法面仕上げ作業や掘削作業等に限定せず、ショベル500に浮き上がり動作が発生しそうな予め規定された作業が行われる場合に、押し付け制限制御が行われてもよい。
また、上述した実施形態及び変形例では、オペレータの操作に応じて、手動で、或いは、支援型マシンコントロール機能によって、法面仕上げ作業が行われる場合や、自律型マシンコントロール機能によって、自律的に、法面仕上げ作業が行われる場合に、押し付け制限制御や作業停止制御が実行されるが、当該態様には限定されない。例えば、ショベル500に搭載される自律型マシンコントロール機能によっては、外部からの指令に応じて、アタッチメント全体が自律的に動作し、法面仕上げ作業が実行されうる。また、ショベル500に遠隔操作機能が搭載される場合、ショベル500の作業現場とは異なる場所からショベル500を遠隔操作し、手動で、或いは、支援型マシンコントロール機能によって、法面仕上げ作業を行わせることも可能である。このような外部からの指令に応じて、或いは、遠隔操作に応じて、法面仕上げ作業が行われる場合についても、当然の如く、上述した押し付け制限制御や作業停止制御の対象であってよい。
また、上述した実施形態及び変形例では、法面を対象とする転圧作業、つまり、法面仕上げ作業における押し付け制限制御や作業停止制御が実行されるが、水平面を対象とする転圧作業において、同様に、押し付け制限制御や作業停止制御が行われてもよい。
上述した実施形態では、ショベル500は、下部走行体1、上部旋回体3、ブーム4、アーム5、及びバケット6等の各種動作要素を全て油圧駆動する構成であったが、その一部が電気駆動される構成であってもよい。つまり、上述した実施形態で開示される構成等は、ハイブリッドショベルや電動ショベル等に適用されてもよい。
最後に、本願は、2017年11月10日に出願した日本国特許出願2017−217304号に基づく優先権を主張するものであり、これらの日本国特許出願の全内容を本願に参照により援用する。
本例では、バーグラフ511A,511Bは、それぞれ、上限値UL1を10段階で表している。図5Bにおいて、バーグラフ511Aに対応するバケット押し付け力の上限値UL1は、10段階のうちの第4段階に設定され、バーグラフ511Bに対応するバケット下降速度の上限値UL1は、10段階のうちの第6段階に設定されている。
例えば、作業停止制御部304は、法面からバケット6への反力が相対的に小さくなった場合、つまり、比較的小さい値に設定される所定基準(以下、「第1の基準」と称する)以下になった場合に、バケット押し付け力或いはバケット下降速度が相対的に小さくなるように(具体的には、上限値UL1より小さい上限値UL2以下になるように)、ブーム4の下げ動作を更に制限する。これにより、法面仕上げ作業中に、法面からの反力が相対的に小さくなった状況、つまり、地面が脆くなって崩れやすくなった状況において、ブーム4の下げ動作を大きく制限させることで、法面仕上げ作業を停止させることができる。そのため、脆くなっている法面仕上げ対象の法面が崩れてしまうような事態を抑制できる。
また、例えば、作業停止制御部304は、法面からバケット6への反力が相対的に大きくなった場合、つまり、比較的大きい値に設定される(第1の基準より十分に大きく設定される)所定基準(以下、「第2の基準」と称する)を超えた場合に、バケット押し付け力或いはバケット下降速度が相対的に小さくなるように(具体的には、上述の上限値UL2以下になるように)、ブーム4の下げ動作を更に制限する。これにより、法面仕上げ作業中に、土砂の中の岩等に起因して法面からの反力が相対的に大きくなった状況、つまり、法面の下の土砂中の岩に作用する押し付け力で岩の部分を起点として法面に亀裂等が生じ易くなっている状況において、ブーム4の下げ動作を大きく制限することで、法面仕上げ作業を停止させることができる。そのため、岩等の影響で亀裂等が生じ易くなっている法面仕上げ対象の法面が崩れてしまうような事態を抑制できる。