JPWO2019073733A1 - 画像作成装置、画像作成方法、画像作成プログラム - Google Patents

画像作成装置、画像作成方法、画像作成プログラム Download PDF

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Abstract

画像作成装置は、検出対象に含まれる代謝物と検出対象以外の非検出対象に含まれる代謝物とを各々個別に測定して得られた各スペクトルに基づいて、スペクトルの測定強度に有意差があり、かつ検出対象の方が非検出対象よりも測定強度が高くなる測定成分を検出対象成分として記憶し、有意差があり、かつ非検出対象の方が検出対象よりも測定強度が高くなる測定成分を非検出対象成分として記憶する記憶部と、検出対象および非検出対象の両方を含む被測定物に含まれる代謝物を二次元の領域で測定することにより二次元に分布して得られる各スペクトルから、記憶部に記憶された検出対象成分および非検出対象成分に対応する測定強度を各々抽出し、検出対象成分および非検出対象成分間における測定強度の相違度に対応する画素値を有する画素が二次元に分布された二次元画像を作成する制御部と、を含む。

Description

本願は2017年10月12日出願の日本出願第2017−198849号の優先権を主張すると共に、その全文を参照により本明細書に援用する。 開示の技術は、画像作成装置、画像作成方法、画像作成プログラムに関する。
近年、人体の細胞を測定し、測定結果から疾患部位を明示する画像を作成および表示して、ユーザによる疾患部位の検出を支援する技術が知られている。
たとえば、特開2013−122437号公報には、ラマンスペクトルにおける脂質とたんぱく質とのラマンバンドの強度比から、被測定物が癌か否かを判断する技術が開示されている。また、特開2013−178232号公報には、複数の測定スペクトル画像を機械学習により生成した識別器に入力することにより、疾患部位を明示する画像を表示する技術が開示されている。
特開2013−122437号公報 特開2013−178232号公報
特開2013−122437号公報および特許文献2記載の技術は、脂質またはたんぱく質の変動のような大きな変動には対応できる。しかし、特開2013−122437号公報および特開2013−178232号公報記載の技術では、たんぱく質の変動に比べて微小な代謝物の変動には対応できない。特開2013−122437号公報および特開2013−178232号公報記載の技術により対応できる脂質またはたんぱく質の組織形態の変質は、組織の代謝が変動した後に病変が進行した結果として見られる。つまり、特開2013−122437号公報および特開2013−178232号公報記載の技術を利用しても、病変の初期あるいは早期の診断が難しい。特開2013−178232号公報記載の技術により生成した画像から、病変の初期等の診断はできない。
開示の技術は、上記の点に鑑みてなされたものであり、病変の早期の診断を可能とする画像作成装置、画像作成方法および画像作成プログラムを提供する。
開示の第一態様は、画像作成装置であって、検出対象に含まれる代謝物と検出対象以外の非検出対象に含まれる代謝物とを各々個別に測定して得られた各スペクトルに基づいて、スペクトルの測定強度に有意差があり、かつ検出対象の方が非検出対象よりも測定強度が高くなる測定成分を検出対象成分として記憶し、有意差があり、かつ非検出対象の方が検出対象よりも測定強度が高くなる測定成分を非検出対象成分として記憶する記憶部と、検出対象および非検出対象の両方を含む被測定物に含まれる代謝物を二次元の領域で測定することにより二次元に分布して得られる各スペクトルから、記憶部に記憶された検出対象成分および非検出対象成分に対応する測定強度を各々抽出し、検出対象成分および非検出対象成分間における測定強度の相違度に対応する画素値を有する画素が二次元に分布された二次元画像を作成する制御部と、を含む。
上記第一態様の画像作成装置において、相違度は、検出対象成分に対応する測定強度と非検出対象成分に対応する測定強度との比であり、画素値は、測定強度の比に比例しうる。
上記第一態様の画像作成装置において、スペクトルは、表面増強ラマン散乱光のスペクトルでありうる。
上記第一態様の画像作成装置は、二次元画像を表示する表示部を更に含みうる。
上記第一態様の画像作成装置において、検出対象は組織の病変部であり、非検出対象は組織の健常部であり、制御部は、二次元画像において、画素値が第1の閾値以上の箇所を病変部として表示部に表示させうる。
上記第一態様の画像作成装置において、制御部は、二次元画像において、画素値が第1の閾値よりも小さい第2の閾値以上であって第1の閾値未満の箇所を疑陽性領域とし、画素値が第2の閾値未満の箇所を健常部として表示部に表示させうる。
上記第一態様の画像作成装置において、有意差を判断するための統計的有意差検定は、スペクトルの全測定成分に対して行われうる。
上記第一態様の画像作成装置において、制御部は、検出対象および非検出対象の両方を含む被測定物に含まれる代謝物を二次元の範囲で測定して得られるスペクトルから、検出対象成分および非検出対象成分の測定強度を各々抽出し、検出対象成分の測定強度の二次元分布を示す第1の測定強度分布と、非検出対象成分の測定強度の二次元分布を示す第2の測定強度分布とを各々生成し、第1の測定強度分布と第2の測定強度分布を用いて二次元分布画像を作成しうる。
上記第一態様の画像作成装置において、制御部は、二次元画像に対し、異なる複数の大きさの半径内の周辺画素の画素値を用いて円滑化を施して複数の円滑化画像を生成し、複数の円滑化画像を、同じ測定強度の閾値により二値化して複数の二値化画像を生成し、複数の二値化画像を組み合わせて新たな二次元分布の画像を生成しうる。
開示の第二態様は、画像作成方法であって、検出対象に含まれる代謝物と検出対象以外の非検出対象に含まれる代謝物とを各々個別に測定して得られた各スペクトルに基づいて、スペクトルの測定強度に有意差があり、かつ検出対象の方が非検出対象よりも測定強度が高くなる測定成分を検出対象成分として記憶し、有意差があり、かつ非検出対象の方が検出対象よりも測定強度が高くなる測定成分を非検出対象成分として記憶部に記憶する記憶ステップと、検出対象および非検出対象の両方を含む被測定物に含まれる代謝物を二次元の領域で測定することにより二次元に分布して得られる各スペクトルから、記憶ステップにおいて記憶部に記憶された検出対象成分および非検出対象成分に対応する測定強度を各々抽出し、検出対象成分および非検出対象成分間における測定強度の相違度に対応する画素値を有する画素が二次元に分布された二次元画像を作成する作成ステップと、を含みうる。
開示の第三態様は、画像作成プログラムであって、検出対象に含まれる代謝物と検出対象以外の非検出対象に含まれる代謝物とを各々個別に測定して得られた各スペクトルに基づいて、スペクトルの測定強度に有意差があり、かつ検出対象の方が非検出対象よりも測定強度が高くなる測定成分を検出対象成分として記憶し、有意差があり、かつ非検出対象の方が検出対象よりも測定強度が高くなる測定成分を非検出対象成分として記憶部に記憶する記憶ステップと、検出対象および非検出対象の両方を含む被測定物に含まれる代謝物を二次元の領域で測定することにより二次元に分布して得られる各スペクトルから、記憶ステップにおいて記憶部に記憶された検出対象成分および非検出対象成分に対応する測定強度を各々抽出し、検出対象成分および非検出対象成分間における測定強度の相違度に対応する画素値を有する画素が二次元に分布された二次元画像を作成する作成ステップと、をコンピュータに実行させうる。
また、本開示の第四態様は、情報処理装置であって、検出対象に含まれる代謝物と検出対象以外の非検出対象に含まれる代謝物とを各々個別に測定して得られた各スペクトルに基づいて、スペクトルの測定強度に有意差があり、かつ検出対象の方が非検出対象よりも測定強度が高くなる測定成分を検出対象成分として記憶し、有意差があり、かつ非検出対象の方が検出対象よりも測定強度が高くなる測定成分を非検出対象成分として記憶部に記憶するメモリと、検出対象および非検出対象の両方を含む被測定物に含まれる代謝物を二次元の領域で測定することにより二次元に分布して得られる各スペクトルから、記憶ステップにおいて記憶部に記憶された検出対象成分および非検出対象成分に対応する測定強度を各々抽出し、検出対象成分および非検出対象成分間における測定強度の相違度に対応する画素値を有する画素が二次元に分布された二次元画像を作成するプロセッサと、を有する。
開示の技術によれば、代謝物の変動を考慮した二次元画像を作成するので、病変の早期の診断を可能とする。
実施形態に係る画像作成システムの構成を示す概略図である。 実施形態に係る画像作成装置の電気的な構成を示すブロック図である。 検出対象成分と非検出対象成分を判断する判断処理の流れを示すフローチャートである。 健常部と病変部のスペクトルの例を示す図である。 判断処理によって抽出された検出対象成分および非検出対象成分の例を示す図である。 生体組織における検出対象を明示する画像を作成する、画像作成処理の流れを示すフローチャートである。 二次元分布のスペクトルから、非検出対象成分および検出対象成分を抽出した画像を示す図である。 検出対象成分と非検出対象成分の相違度に基づいて生成した画像を示す図である。 図6の処理に用いた生体組織切片の測定範囲を、透過顕微鏡で写した透過顕微鏡像を示す図である。 検出対象および非検出対象を領域分けする領域分け処理の流れを示すフローチャートである。 領域分けした画像の例を示す図である。 ノイズ除去処理の流れを示すフローチャートである。 図12のフローチャートに従って生成される画像の例を示す図である。 飛行時間型質量分析装置を測定装置として採用する画像作成システムを示す概略図である。
以下、開示の技術の実施形態の一例を、図面を参照しつつ説明する。なお、各図面において同一または等価な構成要素および部分には同一の参照符号を付与している。また、図面の寸法比率は、説明の都合上誇張されており、実際の比率とは異なる場合がある。
(第1実施形態)
図1は、実施形態に係る画像作成システムの構成を示す概略図である。
図1に示すように、画像作成システムは、測定装置100および画像作成装置200を含む。測定装置100は、被測定物300に対して、レーザ光を照射し、被測定物300の代謝物由来の表面増強ラマン散乱光のスペクトルを取得する装置である。被測定物300は、たとえば、癌、ポリープ、感染性膿瘍、肝硬変、皮膚の良性腫瘍、肉腫、間質性腫瘍または造血器腫瘍などの病変部を含む生体組織である。被測定物300は、寄生虫、菌または微生物等を含む生体組織、あるいは、寄生虫、菌または微生物等自体であってもよい。本実施形態では、被測定物300が、病変部を含む生体組織である場合を例に説明する。
測定装置100は、レーザ光源101、レンズ102、ビームスプリッタ103、ミラー104、対物レンズ105、光電場増強デバイス106、載置台107、ロングパスフィルタ108、レンズ109、光ファイバ110および分光器111を有する。
レーザ光源101は、レーザ光を照射する。レンズ102は、レーザ光源101により照射されたレーザ光を、平行光にする。ビームスプリッタ103は、平行光を反射する。ミラー104は、平行光を、被測定物300に向けて反射する。対物レンズ105は、平行光を光電場増強デバイス106上に焦点を合わせて集光する。光電場増強デバイス106は、表面増強ラマン散乱光を生ぜしめる構成であり、被測定物300にレーザ光が照射されることにより生体組織表面からしみだした代謝物由来のラマン散乱光を増強させる。
載置台107は、光電場増強デバイス107に保持される被測定物300を載置する台である。載置台107は、XY平面、すなわち水平面において自由に移動可能であり、被測定物300上のレーザ光が集光される位置を変更することにより、被測定物300の任意の場所を測定可能とする。測定装置100は、載置台107をレーザ光に対して走査しながら、測定することにより、表面増強ラマン散乱光の二次元分布を取得できる。
表面増強ラマン散乱光は、対物レンズ105を透過し、ミラー104に反射され、ビームスプリッタ103を透過して、ロングパスフィルタ108に入射される。ロングパスフィルタ108は、励起光よりも長波長のみを透過する。レンズ109は、ロングパスフィルタ108を透過した光を、光ファイバ110に入射する。光ファイバ110は、光を分光器111に導光する。分光器111は、光を分光して、表面増強ラマン散乱光のスペクトルを取得する。測定装置100のような測定系において、スペクトルは、測定装置100に依存する測定成分としてラマンシフト値(cm−1)と、表面増強ラマン散乱光の測定強度(arbitrary unit:a.u.)との関係を示す。測定装置100により取得されたスペクトルは、画像作成装置200に入力される。
画像作成装置200は、表面増強ラマン散乱光のスペクトルをデータ処理する。
次に、画像作成装置200の電気的な構成について、説明する。
図2は、実施形態に係る画像作成装置の電気的な構成を示すブロック図である。画像作成装置200は、CPU(Central Processing Unit)および半導体メモリ等を備えたコンピュータから構成される。
画像作成装置200は、入力部201、記憶部202、操作部203、表示部204および制御部205を含む。
入力部201は、測定装置100により測定された表面増強ラマン散乱光のスペクトルを入力するためのインタフェースである。
記憶部202は、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)、フラッシュメモリ、ハードディスク等を含み、種々のデータを一時的または恒久的に記憶する。特に、記憶部202は、表面増強ラマン散乱光のスペクトルの分析に必要なデータおよび分析対象となるスペクトルのデータを記憶する。
操作部203は、マウスおよびキーボードなどを備えたものであり、各種の必要なデータおよびユーザによる種々の操作を受け付ける。
表示部204は、たとえば液晶ディスプレイなどを備え、表面増強ラマン散乱光のスペクトルの解析結果または病変部を明示する画像等を表示する。また、表示部204をタッチパネルディスプレイによって構成し、操作部203と兼用してもよい。
制御部205は、画像作成装置200全体を制御するCPUである。制御部205は、表面増強ラマン散乱光のスペクトルの解析を行ったり、解析結果を用いて生体組織中の病変部を明示する画像を作成したりする。
以下、本実施形態における画像作成装置200の動作について説明する。まず、事前に表面増強ラマン散乱光のスペクトルの解析を行う手順について説明する。解析では、特に、検出対象となる病変部で健常部に比べて測定強度が高くなる測定成分(以下、検出対象成分という)と、健常部で病変部と比べて測定強度が高くなる測定成分(以下、非検出対象成分という)とを抽出する。
図3は、検出対象成分と非検出対象成分を判断する判断処理の流れを示すフローチャートである。図4は、健常部と病変部のスペクトルの例を示す図、図5は、判断処理によって抽出された検出対象成分および非検出対象成分の例を示す図である。判断処理は、CPUである制御部205が、プログラムを読み込むことによって実行する。
まず、画像作成装置200の制御部205は、被測定物300の表面増強ラマン散乱光のスペクトルを入力部201により入力する(ステップS101)。入力される表面増強ラマン散乱光のスペクトルは、測定装置100により取得されたスペクトルである。図3のフローチャートに示す方法を行う段階においては、測定装置100は、予め病変部と分かっている生体組織と、健常部と分かっている生体組織を各々個別に測定して、病変部に含まれる代謝物由来のスペクトルと、健常部に含まれる代謝物由来のスペクトルとを、画像作成装置200に入力する。入力されるスペクトルは、後述する統計的有意差検定に用いられる。病変部に含まれる代謝物由来のスペクトルおよび健常部に含まれる代謝物由来のスペクトルは、それぞれ1つでもよい。ただし、確度を向上するために、スペクトルは、病変部と健常部でそれぞれ5つ以上、画像作成装置200に入力されることが好ましい。ここで、スペクトルを5つ以上取得するには、5回以上のサンプリングが必要となる。複数回のサンプリングを行う場合、同じ生体組織の違う箇所を測定してもよく、または、異なる個体の生体組織を測定してもよい。複数回サンプリングを行った結果、病変部に含まれる代謝物由来のスペクトル同士を平均し、さらに、健常部に含まれる代謝物由来のスペクトル同士を平均する。
次に、画像作成装置200の制御部205は、初期値としてiに1を代入する(ステップS102)。iは、スペクトルの測定成分の配列における順位を示す。上述の通り、表面増強ラマン散乱光のスペクトルは、ラマンシフト値が測定成分となるので、たとえば、ラマンシフト値が小さい順に1から順位が付けられている。
制御部205は、i番目の測定成分における、病変部と健常部の統計的有意差検定を行う(ステップS103)。ステップS101において入力された病変部に含まれる代謝物由来のスペクトルの平均および健常部に含まれる代謝物由来のスペクトルの平均は、たとえば、図4に示される。図4に示す例では、7つの異なる個体の病変部に対して、異なる50箇所にレーザ光を照射して得たスペクトルを平均化して、病変部のスペクトルを得た。図4に示す健常部のスペクトルについても、病変部と同様に、7つの異なる個体をそれぞれ50箇所で測定して得た。ここで、レーザ光の波長は785nm、パワーは1mW、照射の積算時間は10sであった。この条件において、Ocean Optics社製の分光器QE65000により、ラマンシフト値が0〜2000cm−1の領域にわたって、ラマンスペクトルが取得される。なお、図4では、病変部と健常部のスペクトルは、明示のために重ねずに示しているが、実際は、測定強度が近似しており、多くの測定成分において重なる。制御部205は、統計的有意差検定として、たとえば、T検定を行い、p値が0.05未満(病変部と健常部とが同じである確率が5%未満)で有意差ありと判断する。
制御部205は、図4に示すようなスペクトルについて統計的有意差検定を行った結果、測定成分iに有意差が見られるか判断する(ステップS104)。有意差が見られない場合(ステップS104:NO)、制御部205は、ステップS108の処理に進む。
有意差が見られる場合(ステップS104:YES)、制御部205は、有意差が見られる測定成分i(ラマンシフト値)において、病変部の測定強度が、健常部の測定強度よりも大きいか判断する(ステップS105)。病変部の強度が健常部の強度よりも大きい場合(ステップS105:YES)、制御部205は、測定成分iを、検出対象である病変部が測定強度として大きく有意差を有するラマンシフト値として記憶部202に記憶する(ステップS106)。
一方、病変部の強度が健常部の強度よりも大きくない場合(ステップS105:NO)、制御部205は、測定成分iを、非検出対象である健常部が測定強度として大きく有意差を有するラマンシフト値として記憶部202に記憶する(ステップS107)。
制御部205は、全測定成分について、有意差の有無を判断し終わったか否か判断する(ステップS108)。ここで、全測定成分とは、入力されたスペクトルのラマンシフト値の全範囲の測定成分である。たとえば、入力されたスペクトルのラマンシフト値が0〜2000cm−1である場合、制御部205は、この範囲の全ての値を測定成分とする。これにより、グルタチオンおよびタウリン等の特定の代謝物に由来する信号に限定せずに、いかなる代謝物に由来する信号に対しても、統計的有意差検定を行える。
全ての測定成分が終わっていない場合(ステップS108:NO)、制御部205は、iを1だけインクリメントして(ステップS109)、ステップS103の処理に戻る。全ての測定成分が終わった場合(ステップS108:YES)、制御部205は、処理を終了する。
上述のようにして、有意差があり、かつ病変部(検出対象)の方が健常部(非検出対象)よりも測定強度が高くなる測定成分を検出対象成分として記憶し、有意差があり、かつ健常部の方が病変部よりも測定強度が高くなる測定成分を非検出対象成分として記憶する。この結果、図5に示すように、p値が0.05未満で有意差があると判断された点は、それぞれ、健常部および病変部のいずれの測定強度が大きかったのかという属性を持って記憶される。図5に示す各点のラマンシフト値が、後述の処理に使用される。
図6は、生体組織における検出対象を明示する画像を作成する、画像作成処理の流れを示すフローチャートである。図7は、二次元分布のスペクトルから、非検出対象成分および検出対象成分を抽出した画像を示す図である。図8は、検出対象成分と非検出対象成分の相違度に基づいて生成した画像を示す図である。図9は、図6の処理に用いた生体組織切片の測定範囲を、透過顕微鏡で写した透過顕微鏡像を示す図である。画像作成処理は、CPUである制御部205が、プログラムを読み込むことによって実行する。
画像作成装置200の制御部205は、被測定物300の表面増強ラマン散乱光のスペクトルを入力部201により入力する(ステップS201)。ステップS201では、ステップS101とは異なり、検出対象である病変部と、非検出対象である健常部との両方を含む被測定物300から得られるスペクトルが入力される。被測定物300を載置台107に載置し、レーザ光に対して二次元に走査しながら測定することにより、二次元に分布されたスペクトルが入力部201に入力される。
制御部205は、測定成分iの初期値として1を代入する(ステップS202)。制御部205は、測定成分iが、ステップS107において記憶した非検出対象成分であるか判断する(ステップS203)。
測定成分iが非検出対象成分である場合(ステップS203:YES)、制御部205は、非検出対象成分の画像(第2の測定強度分布)作成する(ステップS204)。非検出対象成分の画像とは、二次元分布のスペクトルから、非検出対象成分に対応する測定強度だけを抽出して作成される二次元画像である。具体的には、非検出対象成分の画像は、スペクトルが分布される各点(位置)を、抽出した測定強度に比例した画素値を有する画素として表した二次元画像である。ステップS203においては、図7の上段に示すような画像が作成される。画素値には、輝度、明度または濃度が考えられる。本実施形態では、画素値を輝度として表す。
測定成分iが非検出対象成分でない場合(ステップS203:NO)、制御部205は、測定成分iが、ステップS106において記憶した検出対象成分であるか判断する(ステップS205)。
測定成分iが検出対象成分である場合(ステップS205:YES)、制御部205は、検出対象成分の画像(第1の測定強度分布)を作成する(ステップS206)。検出対象成分の画像とは、二次元分布のスペクトルから、検出対象成分に対応する測定強度だけを抽出して作成される二次元画像である。具体的には、検出対象成分の画像は、スペクトルが分布される各点(位置)を、抽出した測定強度に比例した画素値を有する画素として表した二次元画像である。ステップS206においては、図7の下段に示すような画像が作成される。本実施形態では、画素値を輝度として表す。
測定成分iが検出対象成分でない場合(ステップS205:NO)、制御部205は、測定成分iを破棄し(ステップS207)、ステップS208の処理に進む。
制御部205は、全ての測定成分について、記憶部202に記憶されている測定成分との突き合わせが終わったか否か判断する(ステップS208)。全ての測定成分が終わっていない場合(ステップS208:NO)、制御部205は、iを1だけインクリメントして(ステップS209)、ステップS203の処理に戻る。
全ての測定成分が終わった場合(ステップS208:YES)、制御部205は、ステップS206において作成した全ての検出対象成分の画像を平均する(ステップS210)。平均とは、全ての検出対象成分の画像を重ね合わせて、同じ位置の画素の輝度の平均値を算出し、算出した平均値の輝度の画素を有する画像を作成することである。
制御部205は、ステップS210と同様に、ステップS204において作成した全ての非検出対象成分の画像を平均化する(ステップS211)。
制御部205は、ステップS210において作成した検出対象成分の平均画像と、ステップS211において作成した非検出対象成分の平均画像との相違度に比例する画素値を有する二次元画像を作成する(ステップS212)。具体的には、制御部205は、検出対象成分の平均画像および非検出対象成分の平均画像の同じ位置の画素同士を比較し、相違度を算出する。相違度は、たとえば、検出対象成分の画素の輝度を、非検出対象成分の画素の輝度で除算して得られる比である。本実施形態では、ステップS204およびステップS206において、スペクトルの測定強度が画素の輝度に変換されている。しかし、画素の輝度は測定強度に比例するので、上記のように相違度として、輝度の比を求めれば、間接的に測定強度の比を求めていることになる。相違度としては、非検出対象成分の画素の輝度を、検出対象成分の画素の輝度で除算してもよい。あるいは、相違度は、非検出対象成分の画素の輝度および検出対象成分の画素の輝度の一方から他方を減算して求めてもよい。
ステップS212において、検出対象成分の画素の輝度を、非検出対象成分の画素の輝度で除算して得られる比を算出し、算出した比に比例する画素値を有する二次元画像を作成すると、図8に示すような画像Dが得られる。図8に示す画像Dは、表示部204に表示可能である。図8に示す画像Dは、図9に示す生体組織の顕微鏡写真の画像Oと比べると、検出対象である病変部Aのみが明示的に示されていることが分かる。図9に示す画像Oでは、病変部Aと血管Vの区別がつきにくい。しかし、図8に示す画像Dでは、検出対象ではない血管Vは、病変部Aのように明るく表示されない。さらに、図8に示す画像Dでは、病変部A周辺が健常部Nと比較して明るく描出される。つまり、図8に示す画像Dでは、細胞形態にはまだ差が出る前であっても、病変の進行により健常部Nに代謝変動が起こり始めている様子が描出されている。
以上のように、本実施形態においては、画像作成システムは、被測定物に含まれる代謝物から表面増強ラマン散乱光を検出し、表面増強ラマン散乱光からスペクトルを取得して、図8に示すような二次元画像を作成する。したがって、画像作成装置200は、たんぱく質等の変動に比べて極めて微小な代謝物の変動を加味した二次元画像を作成し、病変部を明示できる。ユーザは、病変部を明示的に確認できる。加えて、病変の初期あるいは早期において、たんぱく質等には見られず、代謝物には見られる変動を画像にするので、ユーザは、病変を早期に診断できる。
なお、上記第1実施形態においては、ステップS204およびステップS206において、測定強度を輝度に変換して、画像を作成している。しかし、ステップS204およびステップS206において、輝度に変換した画像を作成しなくてもよい。この場合、ステップS204およびステップS206において、検出対象成分および非検出対象成分により抽出した測定強度をそのまま二次元の測定強度分布(第1の測定強度分布および第2の測定強度分布)として記憶する。そして、ステップS210およびステップS211において、検出対象成分の測定強度分布および非検出対象成分の測定強度分布をそれぞれ平均した平均二次元分布を作成する。最後に、ステップS212において、平均二次元分布において各点において、検出対象成分および非検出対象成分間の測定強度の比に比例する輝度を有する画素を作成し、二次元画像を作成する。
(第2実施形態)
上記第1実施形態においては、ユーザが検出対象(病変部)を確認するのを容易にするために二次元画像を作成している。第2実施形態では、ユーザによる確認をさらに容易にし、あるいは、コンピュータによる検出対象の検出可能とするために、処理を追加している。
図10は、検出対象および非検出対象を領域分けする領域分け処理の流れを示すフローチャートである。図11は、領域分けした画像の例を示す図である。領域分け処理は、CPUである制御部205が、プログラムを読み込むことによって実行する。
画像作成装置200の制御部205は、図6のステップS212において作成した二次元画像を入力部201に入力する(ステップS301)。なお、ステップS301は、図6から続けて行う場合は省略できる。
制御部205は、閾値を設定する(ステップS302)。閾値は、たとえば、二次元画像の全画素の輝度の平均値として設定できる。輝度の平均値を取ることにより、二次元画像を取得する際の検出感度のバラツキまたは検出環境のバラツキに起因して、検出対象および非検出対象の領域分けの精度が低下することを防止できる。特に、検出対象が全領域の50%程度である場合、閾値を輝度の平均値とすることにより、検出対象を区別する精度が良好となる。
制御部205は、設定した閾値以上の輝度を有する領域(画素)を検出対象、閾値未満の輝度を有する領域(画素)を非検出対象として出力する(ステップS303)。具体的には、制御部205は、閾値以上の輝度を有する画素を、たとえば白とし、閾値未満の輝度を有する画素を黒とする。画素を白と黒により二値化すると、二値化画像として、たとえば、図11の画像B1が作成される。検出対象である病変部は、白い領域として表現され、非検出対象である健常部は、黒い領域として表現される。
図11の画像Oは、図9と同様の生体組織切片の透過顕微鏡写真である。画像Oと画像B1を比較すると、画像B1では、病変部Aが明確に示されることが分かる。また、画像B1では、血管Vが健常部Nと同様に黒で表現され、血管Vが病変部Aと完全に区別される。血管Vに含まれる代謝物は、図3に示す処理において、検出の対象となっておらず、有意差の検討対象にもなっていない。このため、血管Vは、画像B1ではまったく表現されていない。一方、画像Oでは病変部Aと血管Vがいずれも健常部Nよりも明るく表示されており、両者の区別がつけにくい。
以上のように、閾値を用いて画像を二値化することにより、ユーザによる検出対象の区別が容易になる。あるいは、コンピュータによる自動判別も可能となる。
上記ステップS302では、閾値を、ステップS301で入力した二次元画像の全画素の輝度の平均値とした。しかし、これに限定されない。種々の考え方により閾値を設定可能である。たとえば、閾値を、二次元画像の全画素の輝度の平均値の60%に設定できる。このように閾値を平均値よりも下げると、たとえば、図11の画像B2が得られる。画像B2を画像B1と比較すると、閾値が下がった分、白い領域が広がっていることが分かる。本開示では、図3に示す処理において代謝物由来のスペクトルを見ており、微小な代謝物の変化を測定できる。閾値を下げることにより、病変部Aよりも微小な代謝物の変化も表現できる。このような変化が生じる領域は、たとえば、陽性であることが疑わしい疑陽性領域Tである。疑陽性領域Tでは、病変部Aよりも小さくかつ同質の変化が起こっていると考えられる。したがって、疑陽性領域Tは、病変部に変質する可能性がある領域として表現されることが好ましい。
画像B2では、病変部Aと疑陽性領域Tの区別がつかない。そこで、閾値を、二次元画像の全画素の輝度の平均値と、さらに、平均値の60%で二つ用意することもできる。この場合、制御部205は、輝度が平均値以上の画素を白にし、輝度が平均値未満でかつ平均値の60%以上の画素をグレーにし、輝度が60%未満の画素を黒にして表現する。このように、閾値を二段階にすると、たとえば、画像B3が得られる。画像B3では、病変部Aと疑陽性領域Tが区別して表現される。
閾値の設定は、他にもいかなる方法により設定されてもよい。輝度の平均値ではなく、最大輝度に対する割合(たとえば、最大輝度の50%)として設定されてもよい。あるいは、Triangle法(Zack GW. Rogers We, Latt SA (1977), "Automatic measurement of sister chromatid exchange frequency")、または、大津の二値化(Otsu, N (1979), " A threshold selection method from gra-level histograms")などの閾値設定方法を使用してもよい。もしくは、https://imagej.net/Auto_Thresholdに掲載されている、いかなる閾値設定方法を用いることもできる。
(第3実施形態)
第1実施形態および第2実施形態においては、ノイズについて特に考慮していない。第3実施形態においては、ノイズを除去して、ユーザによる確認をより容易にする形態について説明する。
図12は、ノイズ除去処理の流れを示すフローチャートである。図13は、図12のフローチャートに従って生成される画像の例を示す図である。ノイズ除去処理は、CPUである制御部205が、プログラムを読み込むことによって実行する。
画像作成装置200の制御部205は、図6のステップS212において作成した二次元画像を入力部201に入力する(ステップS401)。なお、ステップS401は、図6から続けて行う場合は省略できる。
制御部205は、第1フィルタにより円滑化を施して第1円滑化画像を作成する(ステップS402)。第1フィルタは、たとえば、半径が1画素のメディアンフィルタである。半径が1画素の第1フィルタは、フィルタの中心画素の全周に1画素を含むので、9画素を含む。制御部205は、二次元画像に対して第1フィルタにより9画素ずつ走査して、フィルタ内の9画素の輝度の平均値を中心画素の輝度に置き換える。これにより、図13に示すように、元の二次元画像Dから画像F1が得られる。
制御部205は、さらに画像F1を、閾値により二値化して、二値化画像を作成する(ステップS403)。閾値は、第2実施形態で説明した方法により設定できる。閾値は、たとえば、Triangle法により設定される。二値化により、図13のFB1の画像が得られる。
制御部205は、第2フィルタにより円滑化を施して第2円滑化画像を作成する(ステップS404)。第2フィルタは、たとえば、半径が2画素のメディアンフィルタである。半径が2画素の第2フィルタは、フィルタの中心画素の全周に2画素を含むので、25画素を含む。制御部205は、二次元画像に対して第2フィルタにより25画素ずつ走査して、フィルタ内の25画素の輝度の平均値を中心画素の輝度に置き換える。これにより、図13に示すように、元の二次元画像Dから画像F2が得られる。
制御部205は、さらに画像F2を、閾値により二値化して、二値化画像を作成する(ステップS405)。閾値は、第2実施形態で説明した方法により設定できる。閾値は、たとえば、Triangle法により設定される。二値化により、図13のFB2の画像が得られる。なお、ステップS404およびステップS405は、ステップS402およびステップS403と並行して行われてもよいし、ステップS402およびステップS403よりも先に行われてもよい。
制御部205は、二値化した画像FB1および画像FB2をAND条件により重ね合わせ処理する(ステップS406)。AND条件の重ね合わせ処理では、画像FB1および画像FB2において、黒の画素を1、白の画素を0として、同じ位置の画素の少なくとも一方が1であれば1、同じ位置の画素の両方が0であれば0として、新たな合成画像Cを作成する。
合成画像Cを、画像FB1と比較する。画像FB1では、ごましお状のノイズSP(salt and pepper noise)が表れている。しかし、画像FB1を画像FB2と合成することで、ノイズSPが除去されていることが分かる。また、合成画像Cを、画像FB2と比較する。画像FB2では、病変部Aの領域が、画像Cに比べて、にじんで広がっていることが分かる。つまり画像Cでは、画像のにじみが少ない。
このように、異なるフィルタを適用してできた画像を合成することにより、それぞれのフィルタで発生していたノイズやにじみを低減し、より、検出対象が見やすい画像が得られる。
なお、図13には、参考として、医師が図9に示す電子顕微鏡写真の画像Oを目で見て、病変部を描画した画像Hを示している。画像Hと画像Cとについて、一致する画素数/全画素数×100%により計算した結果、正答率は85%と良好な結果を得た。
第3実施形態においては、異なる半径のメディアンフィルタを用いる例について説明した。画像FB1に示すような、ごましお状のノイズSP(salt and pepper noise)に対しては、メディアンフィルタが有効である。しかし、除去したいノイズの種類によって、適用するフィルタの種類を変更してもよい。
また、フィルタの半径を1ピクセルおよび2ピクセルとする例について説明したが、測定分解能を考慮して、適宜変更してもよい。
(第4実施形態)
また、第1実施形態から第3実施形態においては、測定装置100として、代謝物由来の表面増強ラマン散乱光のスペクトルを取得する装置を採用している。しかし、少なくとも検出対象に含まれる代謝物を測定できる装置であれば、他の装置を採用してもよい。
たとえば、測定装置として、飛行時間型質量分析装置を採用できる。
図14は、飛行時間型質量分析装置を測定装置として採用する画像作成システムを示す概略図である。
図14に示すように、飛行時間型質量分析装置400は、レーザ光源401、レンズ402、導電性プレート403、電圧印可部404、引き出し電極405、エンドプレート406、イオン検出部407および増幅アンプ408を有する。
レーザ光源401はイオン化用のレーザ光を照射する。レンズ402は、レーザ光源401により照射されたレーザ光を、被測定物300に集光する。被測定物300にレーザ光が集光されることにより、被測定物300に含まれる代謝物に由来するイオンが発生する。導電性プレート403は、被測定物300を載置する導電性のプレートである。電圧印可部404は、導電性プレートに電圧を印可する。引き出し電極405は、接地された電極である。
レーザ光の照射により発生した代謝物由来のイオンは、電圧印可部404と引き出し電極405との電位差により、加速され、エンドプレート406内に誘導される。エンドプレート406は、イオンをイオン検出部407に案内する。イオン検出部407は、エンドプレート406内を質量に応じた一定の速度で飛行してきたイオンを検出する。増幅アンプ408は、イオン検出部407によるイオンの検出結果を増幅し、画像作成装置200に入力する。イオンの検出結果から、マススペクトルが得られる。マススペクトルは、測定成分(横軸)であるm/z値ごとの、測定強度を示す。
第1実施形態〜第3実施形態の測定成分が、ラマンシフト値であったのに対し、第4実施形態の測定成分は、質量に関するm/z値である。測定成分は異なるが、測定成分がm/zだとしても、図3に示すフローチャートを適用して、m/zの単位を有する検出対象成分および非検出対象成分を特定できる。したがって、飛行時間型質量分析装置400を採用する場合でも、第1実施形態〜第3実施形態のように、検出対象成分および非検出対象成分を用いて、図6、図10、図12に示す処理を適用できる。
なお、上記各実施形態でCPUがソフトウェア(プログラム)を読み込んで実行した判断処理、領域分け処理、画像作成処理およびノイズ除去処理を、CPU以外の各種のプロセッサが実行してもよい。この場合のプロセッサとしては、FPGA(Field-Programmable Gate Array)等の製造後に回路構成を変更可能なPLD(Programmable Logic Device)、及びASIC(Application Specific Integrated Circuit)等の特定の処理を実行させるために専用に設計された回路構成を有するプロセッサである専用電気回路等が例示される。また、分布導出処理及び確率導出処理を、これらの各種のプロセッサのうちの1つで実行してもよいし、同種又は異種の2つ以上のプロセッサの組み合わせ(例えば、複数のFPGA、及びCPUとFPGAとの組み合わせ等)で実行してもよい。また、これらの各種のプロセッサのハードウェア的な構造は、より具体的には、半導体素子等の回路素子を組み合わせた電気回路である。
また、上記各実施形態では、判断処理、領域分け処理、画像作成処理およびノイズ除去処理のプログラムが記憶部202に予め記憶(インストール)されている態様を説明したが、これに限定されない。プログラムは、CD−ROM(Compact Disk Read Only Memory)、DVD−ROM(Digital Versatile Disk Read Only Memory)、及びUSB(Universal Serial Bus)メモリ等の持続性(non-transitory)の記録媒体に記録された形態で提供されてもよい。また、プログラムは、ネットワークを介して外部装置からダウンロードされる形態としてもよい。

Claims (11)

  1. 検出対象に含まれる代謝物と前記検出対象以外の非検出対象に含まれる代謝物とを各々個別に測定して得られた各スペクトルに基づいて、スペクトルの測定強度に有意差があり、かつ前記検出対象の方が前記非検出対象よりも前記測定強度が高くなる測定成分を検出対象成分として記憶し、有意差があり、かつ前記非検出対象の方が前記検出対象よりも前記測定強度が高くなる測定成分を非検出対象成分として記憶する記憶部と、
    前記検出対象および前記非検出対象の両方を含む被測定物に含まれる代謝物を二次元の領域で測定することにより二次元に分布して得られる各スペクトルから、前記記憶部に記憶された前記検出対象成分および前記非検出対象成分に対応する前記測定強度を各々抽出し、前記検出対象成分および前記非検出対象成分間における前記測定強度の相違度に対応する画素値を有する画素が二次元に分布された二次元画像を作成する制御部と、
    を含む画像作成装置。
  2. 前記相違度は、前記検出対象成分に対応する前記測定強度と前記非検出対象成分に対応する前記測定強度との比であり、
    前記画素値は、前記測定強度の比に比例する請求項1に記載の画像作成装置。
  3. 前記スペクトルは、表面増強ラマン散乱光のスペクトルである請求項1または請求項2に記載の画像作成装置。
  4. 前記二次元画像を表示する表示部を更に含む請求項1〜3のいずれか一項に記載の画像作成装置。
  5. 前記検出対象は組織の病変部であり、前記非検出対象は組織の健常部であり、
    前記制御部は、前記二次元画像において、前記画素値が第1の閾値以上の箇所を前記病変部として前記表示部に表示させる請求項4に記載の画像作成装置。
  6. 前記制御部は、前記二次元画像において、前記画素値が前記第1の閾値よりも小さい第2の閾値以上であって前記第1の閾値未満の箇所を疑陽性領域とし、前記画素値が前記第2の閾値未満の箇所を前記健常部として前記表示部に表示させる請求項5に記載の画像作成装置。
  7. 前記有意差を判断するための統計的有意差検定は、スペクトルの全測定成分に対して行われる請求項1〜6のいずれか一項に記載の画像作成装置。
  8. 前記制御部は、前記検出対象および前記非検出対象の両方を含む被測定物に含まれる代謝物を二次元の範囲で測定して得られるスペクトルから、前記検出対象成分および前記非検出対象成分の前記測定強度を各々抽出し、前記検出対象成分の測定強度の二次元分布を示す第1の測定強度分布と、前記非検出対象成分の測定強度の二次元分布を示す第2の測定強度分布とを各々生成し、前記第1の測定強度分布と前記第2の測定強度分布を用いて前記二次元画像を作成する請求項1〜7のいずれか一項に記載の画像作成装置。
  9. 前記制御部は、
    前記二次元画像に対し、異なる複数の大きさの半径内の周辺画素の画素値を用いて円滑化を施して複数の円滑化画像を生成し、
    複数の前記円滑化画像を、同じ測定強度の閾値により二値化して複数の二値化画像を生成し、
    複数の前記二値化画像を組み合わせて新たな二次元分布の画像を生成する請求項1〜7のいずれか一項に記載の画像作成装置。
  10. 検出対象に含まれる代謝物と前記検出対象以外の非検出対象に含まれる代謝物とを各々個別に測定して得られた各スペクトルに基づいて、スペクトルの測定強度に有意差があり、かつ前記検出対象の方が前記非検出対象よりも前記測定強度が高くなる測定成分を検出対象成分として記憶し、有意差があり、かつ前記非検出対象の方が前記検出対象よりも前記測定強度が高くなる測定成分を非検出対象成分として記憶部に記憶する記憶ステップと、
    前記検出対象および前記非検出対象の両方を含む被測定物に含まれる代謝物を二次元の領域で測定することにより二次元に分布して得られる各スペクトルから、前記記憶ステップにおいて前記記憶部に記憶された前記検出対象成分および前記非検出対象成分に対応する前記測定強度を各々抽出し、前記検出対象成分および前記非検出対象成分間における前記測定強度の相違度に対応する画素値を有する画素が二次元に分布された二次元画像を作成する作成ステップと、
    を含む画像作成方法。
  11. 検出対象に含まれる代謝物と前記検出対象以外の非検出対象に含まれる代謝物とを各々個別に測定して得られた各スペクトルに基づいて、スペクトルの測定強度に有意差があり、かつ前記検出対象の方が前記非検出対象よりも前記測定強度が高くなる測定成分を検出対象成分として記憶し、有意差があり、かつ前記非検出対象の方が前記検出対象よりも前記測定強度が高くなる測定成分を非検出対象成分として記憶部に記憶する記憶ステップと、
    前記検出対象および前記非検出対象の両方を含む被測定物に含まれる代謝物を二次元の領域で測定することにより二次元に分布して得られる各スペクトルから、前記記憶ステップにおいて前記記憶部に記憶された前記検出対象成分および前記非検出対象成分に対応する前記測定強度を各々抽出し、前記検出対象成分および前記非検出対象成分間における前記測定強度の相違度に対応する画素値を有する画素が二次元に分布された二次元画像を作成する作成ステップと、
    をコンピュータに実行させる画像作成プログラム。
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