JPWO2019044732A1 - 車両用表示装置 - Google Patents

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Abstract

第1、第2の表示部について、運転者の視覚に影響を与える可能性がある変更を行う場合に、運転者に違和感を生じさせないようにして、運転に与える影響を抑制する。車両用表示装置は、第1、第2の表示部10、120a、120bに関する変更の要否を判定する第1の判定部140と、各表示部又は各表示部による表示が運転者の視野範囲内であるか否かを判定する第2の判定部144と、変更を制御する制御部150と、を備える。制御部150は、第1の判定部140によって、第1、第2の各表示部についての変更が必要と判定された場合に、第2の判定部144の判定結果に基づいて、第1、第2の表示部のうちの、運転者の視野範囲外と判定されたものについて変更を実施させ、変更が実施されなかったものについては、その後、運転者の視野範囲外と判定された場合に変更を実施させる。

Description

本発明は、例えば自動車等の車両に搭載される車両用表示装置(車両用表示システム)等に関する。
近年、従来の車両用ミラーが電子ミラー(電子ドアミラーを含む)に置き換えられた、ミラーレスの車両の研究、開発が行われている。電子ミラーは、例えば、車両の後方及び後側方を確認するサイドミラーを含む車両用ミラーの役割を果たし、かつ、車両に備わる撮像部による撮像画像を表示するモニターとしての機能を有する、一種の表示器である。
例えば特許文献1は、車両に搭載される電子ミラーを開示する。なお、電子ミラーではないが、運転席の前方に配置された表示器を、ガイドレールを用いて移動させる例が、例えば特許文献2に記載されている。
特開2009−83618号公報 特開2017−140906号公報
例えば、車両の周囲の環境の変化(例えば、昼/夜、照明のオン/オフ、前照灯のハイビーム/ロービーム)、あるいは、運転者の状態(例えば疲労の程度)等によって、運転者の注視点(代表的な視点位置)や視野範囲(目に見える範囲)が変化することから、運転者の注視点や視野範囲の変化に対応させて、ヘッドアップディスプレイ(HUD)装置(第1の表示部)の虚像表示距離(結像距離)を変更したり、表示部(第2の表示部、例えば電子ミラー)の位置を変更したりすることで、運転者に対する視覚的な利便性を向上させる(例えば、視認しやすくする)ことが可能であることを、本発明者は認識した。
但し、その一方で、HUD装置(第1の表示部)の虚像表示領域(例えば、被投影部材としてのウインドシールド上に設定される)が運転者の視野範囲内にある場合に、表示している虚像の虚像表示距離(結像距離)を変更したり、あるいは、左用、右用のサイドミラーとして機能する電子ミラー(第2の表示部)が運転者の視野範囲内にある場合に、各電子ミラーの間隔を調整するべく、各電子ミラーを移動させたりすると、運転者に違和感を生じさせ、運転に影響を及ぼす場合がある、ということも本発明者らは認識した。
特許文献1、特許文献2には、上記の点については、何ら言及されておらず、その対策についての記載は、開示も示唆もされていない。
本発明の1つの目的は、第1、第2の表示部について、運転者の視覚に影響を与える可能性がある変更を行う場合に、運転者に違和感を生じさせないようにして、運転に与える影響を抑制することである。本発明の他の目的は、以下に例示する態様及び最良の実施形態、並びに添付の図面を参照することによって、当業者に明らかになるであろう。
以下に、本発明の概要を容易に理解するために、本発明に従う態様を例示する。
第1の態様において、車両用表示装置は、
第1の表示部と、
第2の表示部と、
前記第1の表示部及び前記第2の表示部の各々について、表示部自体の移動、表示部における表示の移動、表示部における表示形態を変化させることの少なくとも1つを含む、運転者の視覚に影響を与える可能性がある変更が必要であるか否かを判定する第1の判定部と、
前記第1の表示部、又は前記第1の表示部による表示が、運転者の視野範囲内にあるか否かを判定すると共に、前記第2の表示部、又は前記第2の表示部による表示が、前記運転者の視野範囲内にあるか否かを判定する第2の判定部と、
前記第1の表示部及び前記第2の表示部の各々についての、前記変更を制御する制御部と、
を備え、
前記制御部は、前記第1の判定部によって、前記第1の表示部及び前記第2の表示部についての前記変更が必要と判定された場合に、前記第2の判定部の判定結果に基づいて、前記第1の表示部及び前記第2の表示部のうちの、前記運転者の視野範囲外と判定されたものについて前記変更を実施させ、前記変更が実施されなかったものについては、その後、前記運転者の視野範囲外と判定された場合に前記変更を実施させる。
第1の態様によれば、第1、第2の表示部について、運転者の視覚に影響を与える可能性がある変更を実施する場合に、運転者(ユーザー)が見ていないときに、各表示部についての変更を実施することから、運転者に違和感を生じさせることが低減され、運転に与える影響が抑制される。
なお、「運転者の視覚に影響を与える可能性がある変更」は、表示部自体の移動(例えば、表示器が車両の幅方向等に沿って移動すること等)、表示部における表示の移動(例えば、1つの表示器内で、表示がなされる位置が移動すること、HUD装置が表示する虚像が、虚像表示距離の変化によって、車両の進行方向に沿って移動すること等)、及び、表示部における表示形態を変化させること(例えば、運転者が視認し易いように画像を拡大/縮小する、画像の輝度を変更する、背景色を変更する、立体的な画像とする、アイコン等の外形を変化させる、補助表示を追加する、画像要素のレイアウトを変更する、提示情報の種類を変更する等)の少なくとも1つを含む変更である。言い換えれば、それらが単独であってもよく、それらの組み合わせであってもよい。
また、第1の態様に従属する第2の態様において、
前記第1の表示部は、画像を、車両に備わる被投影部材に投影することで運転者に前記画像の虚像を視認させるヘッドアップディスプレイ(HUD)装置であり、
前記第2の表示部は、少なくとも1つの表示器であり、
前記第1の表示部についての前記変更は、所定位置を基準とした前記虚像までの距離である虚像表示距離を変化させることで、前記ヘッドアップディスプレイ装置の表示としての前記虚像を移動させること、前記第1の表示部における表示形態を変化させることの少なくとも一方を含む変更であり、
前記第2の表示部についての前記変更は、前記第2の表示部の移動、前記第2の表示部における表示の移動、前記第2の表示部における表示形態を変化させることの少なくとも1つを含む変更であるとしてもよい。
第2の態様では、第1の表示部はヘッドアップディスプレイ(HUD)装置であり、第2の表示部は少なくとも1つの表示器であり、HUD装置についての変更は、虚像表示距離の変化による虚像の移動(例えば、夜は昼よりも虚像表示距離を短くして運転者の近くに表示するといった変更)、表示形態の変更(例えば、視覚性の向上のために虚像を拡大/縮小する、虚像の輝度を変化させる、背景色を変更する、虚像を立体画像とする、アイコン等の外形を変える、補助表示を追加する、画像要素のレイアウトを変更する、提示情報の種類を変更する等)の少なくとも一方を含み、また、表示器についての変更は、表示器自体の移動(例えば、車両の幅方向における移動)、1つの表示器内での表示(あるいは表示領域)の移動(例えば、1つの表示器の占有面積が比較的大きい場合に有効となる)、及び表示形態を変化させること、の少なくとも1つを含む変更としてもよい。
運転中において、運転者は、フロントガラスを介して前方を見ているか、計器類や電子ミラー等としての少なくとも1つの表示器を見ているか、に大別でき、前方を見ているときは、概ねHUD装置が表示する虚像(あるいはHUD装置の虚像表示領域)は運転者の視野範囲内にあり、表示器(及び表示器の表示)は視野範囲外であり、一方、運転者が少なくとも1つの表示器を見ているときは、HUD装置が表示する虚像(あるいは虚像表示領域)は視野範囲外となると考えられる。したがって、HUD装置が表示する虚像が視野範囲外にあるときにHUD装置についての変更を実施し、表示器が視野範囲外にあるときに表示器についての変更を実施し、各表示部についての変更を個別に、分散したタイミングで行うことで、運転者に違和感を生じさせることなく、変更を完了させることができる。言い換えれば、表示位置や表示形態を、最適な情報提示ができるように遷移させる処理を、運転者の注視領域外で行うことで、運転者に与える違和感を低減しつつ、無理なく実施することが可能となる。
また、第1又は第2の態様に従属する第3の態様において、
前記第1の表示部及び前記第2の表示部についての前記変更は、車両の周囲の環境の変化、車両に備わる照明の状態の変化、及び前記運転者の状態、の少なくとも1つによって、前記運転者の注視点及び視野範囲が変化することに対応して実施されるものであるとしてもよい。
第3の態様では、上記の「運転者の視覚に影響を与える可能性がある変更」は、車両の周囲の環境の変化(例えば、昼/夜)、車両に備わる照明の状態の変化(例えば、照明のオン/オフ、前照灯のハイビーム/ロービーム等)、運転者の状態(例えば、疲労の程度)の少なくとも1つによって、運転者の注視点及び視野範囲が変化することに対応(適応)するべく実施されるものである。このような変更は、例えば、危険を報知するための変更のような即応性(迅速性)が要求されないことから、運転者が見ていない期間を利用して、変更を、分散して行っていくことで、運転者への負担(特に、視覚的負担)を軽減しつつ、変更を完了させることができる。
また、第2又は第3の態様に従属する第4の態様において、
前記第2の表示部としての前記少なくとも1つの表示器は、前記車両の後方及び後側方を確認するサイドミラーを含む車両用ミラーの役割を果たし、かつ、前記車両に備わる撮像部による撮像画像を表示するモニターとしての機能を有する電子ミラーであるとしてもよい。
第4の態様では、第2の表示部が電子ミラーであり、電子ミラーについて、適宜、上記の変更を実施することで、種々の状況に対応して、運転者に、より見易い表示を提供することができ、これによって、運転者の利便性(特に、視覚的な利便性)が向上する。
また、第2乃至第4の何れか1つの態様に従属する第5の態様において、
前記第2の表示部としての少なくとも1つの表示器が、第1の表示器と、第2の表示器と、を含み、
前記制御部は、前記第1の表示器及び前記第2の表示器の双方が前記運転者の視野範囲外にある場合であっても、近い将来において、前記第1の表示器及び前記第2の表示器のうちのいずれか一方が、前記運転者の視野範囲内になることが予測される場合には、前記いずれか一方についての前記変更を実施させず、前記いずれか一方の移動は、前記いずれか一方が前記運転者の視野範囲外となった後において実施させるようにしてもよい。
第5の態様では、第2の表示部として第1、第2の表示器が設けられる場合に、ある時点では、第1の表示器及び第2の表示器の双方は運転者の視野範囲外であるが、例えば、HUD装置によって表示されるナビゲーション表示(例えば、左折を促す矢印の表示)等を考慮すると、近い将来、運転者の視線が、一方の表示器の側に向けられて、例えば、その一方の表示器のみが視野範囲内(例えば、周辺視野)に入ることが予測される場合があり得る。この場合、その一方の表示器について変更を開始してしまうと、運転者の視線が変更された場合に、変更途中の表示器の動き等が見えてしまう、といった不都合の発生が想定され得る。
よって、このような場合は、その一方の表示器については変更を行わず(言い換えれば、他方の表示器についてのみ変更を行い)、その一方の表示器についての変更は、後に、運転者の視野範囲外となった場合に行う。これによって、上記の不都合(例えば、周辺視野で表示器の変更が視認されて運転者に違和感を与えるという不都合)が生じることを回避することができる。
また、第2乃至第5の態様に従属する第6の態様において、
前記制御部は、前記第1の表示部としての前記ヘッドアップディスプレイ装置について、前記変更を実施させようとする場合において、前記ヘッドアップディスプレイ装置が表示する虚像が前記運転者の視野範囲内にある場合であっても、前記虚像が前記視野範囲内にある状態が所定時間以上、継続する場合は、前記変更を実施させてもよい。
第6の態様では、運転者が前方を見続けていることによって、ヘッドアップディスプレイ(HUD)装置の虚像が運転者の視野範囲内にあり続け、所定時間が経過したときは、HUD装置についての変更(虚像表示距離の変更による虚像の移動、虚像の形態を変化させること等)を実施させる。虚像(虚像の表示領域)が視野範囲にあるときに変更を行うのは、前述のとおり好ましくはないが、所定時間が経過してもなお変更を行わないと、そのことによるデメリット(例えば、周囲環境の変化に対応した適切な虚像表示が行えないことによって、運転者に負担を与える等)が、変更を保留していることによるメリットを上回ることになる。よって、この場合には、HUD装置についての変更を実施するものである。これによって、上記の不都合が生じることを回避することができる。
また、第6の態様に従属する第7の態様において、
前記ヘッドアップディスプレイ装置についての前記変更が、虚像表示距離を変化させて前記虚像を移動させることである場合に、前記制御部は、通常の速度とは異なる速度で、前記虚像表示距離を変化させるようにしてもよい。
第7の態様では、上記の第6の態様における変更が、虚像表示距離(結像距離)の変更による虚像の移動である場合に、運転者は、虚像の移動(実質的に、ヘッドアップディスプレイ(HUD)装置の表示としての虚像が、車両の進行方向に沿って移動することになる)を視認することになるため、その際の違和感を低減するために、虚像表示距離の変更を、通常の速度とは異なる速度で行う。言い換えれば、変更を加速させることで、変更に要する期間を短縮することができ、また、変更を、運転者が視認できないほどゆっくり行うことで、運転者が覚える違和感を低減することができる。
第2の態様に従属する第8の態様において、
前記第1の表示部としての前記ヘッドアップディスプレイ装置についての前記変更が、前記虚像表示距離を変化させて前記虚像を移動させることである場合において、
前記制御部は、前記虚像表示距離を変化させている途中に、前記第2の判定部によって、前記ヘッドアップディスプレイ装置が表示する虚像が前記運転者の視野範囲内になったことが判定された場合に、
そのタイミングで虚像表示距離の変化を停止させる、
又は、
そのタイミングで虚像表示距離の変化を停止し、その後、通常の速度よりも遅い速度で虚像表示距離を変化させる、
又は、
そのタイミングで、虚像表示距離の変化の速度を、直前の変化の速度よりも速くすることで、変化を加速させる、
又は、
そのタイミングで、虚像を一旦、消去し、その後、前記第2の判定部によって、虚像を再び表示しても前記運転者の視野範囲内に入らないと判定された場合に、虚像を、虚像表示距離の変更が完了したときの位置に表示させてもよい。
第8の態様では、虚像表示距離を変化させて、ヘッドアップディスプレイ(HUD)装置の表示としての虚像を移動させている途中に、運転者の視線が変化して、虚像が視野範囲内に入った場合には、変化を一旦停止する、あるいは、一旦停止させた後、通常の速度よりも遅い速度で虚像表示距離を変化させる、あるいは、その時点で変化を加速させる、あるいは、虚像を消去し、その後、虚像を再び表示しても視野範囲に入らないと判定されるときに、虚像表示距離の変更が完了したときの位置において虚像を再表示させる、といった処理を行う。これによって、運転者の違和感、ならびに視認性の低下を抑制することができる。
当業者は、例示した本発明に従う態様が、本発明の精神を逸脱することなく、さらに変更され得ることを容易に理解できるであろう。
図1(A)〜図1(F)は、本発明の車両用表示装置の、第1の表示部としてのヘッドアップディスプレイ(HUD)装置及び第2の表示部としての表示器(電子ミラー)の各々について、運転者の視覚に影響を与える可能性がある変更を実施する場合の一例を説明するための説明図である。 図2(A)〜図2(D)は、2つの表示器のうちの一方の表示器が、近い将来において運転者の視野範囲に入ると予測される場合の、第1、第2の各表示部についての変更の例を説明するための説明図である。 図3(A)〜図3(F)は、第1の表示部としてのHUD装置が表示する虚像が、所定時間以上、運転者の視野範囲内にあり続ける場合における、第1、第2の各表示部についての変更の例を示す。 図4(A)〜図4(G)は、第1の表示部としてのHUD装置が表示する虚像の虚像表示距離(結像距離)を変化させている途中で、虚像が運転者の視野範囲内に入った場合における、HUD装置についての変更の例を説明するための説明図である。 図5(A)〜図5(C)は、第2の表示部としての2つの表示器についての変更の態様を説明するための説明図である。 図6(A)は、多面HUD装置の虚像表示面の切り換え制御の一例を示し、図6(B)は、多面HUD装置の主要部の構成例を示し、図6(C)は、光学系の位置を制御する位置制御信号の例を示す。 電子ミラーを採用した車両の外観の一例を示す図である。 本発明の車両用表示装置の構成の一例を示す図である。 本発明の車両用表示装置における、第1、第2の表示部についての変更処理の手順の一例を示すフローチャートである。 本発明の車両用表示装置における、第1の表示部としてのHUD装置における、虚像表示距離の変更の途中で、運転者の視野範囲内に虚像が入った場合における処理手順の一例を示すフローチャートである。
以下に説明する最良の実施形態は、本発明を容易に理解するために用いられている。従って、当業者は、本発明が、以下に説明される実施形態によって不当に限定されないことを留意すべきである。
まず、図1〜図4を用いて、本発明の車両用表示装置(又は「車両用表示システム」とも呼べる)における変更処理の具体例について説明する。
図1(A)〜図1(F)は、本発明の車両用表示装置の、第1の表示部としてのヘッドアップディスプレイ(HUD)装置及び第2の表示部としての表示器(電子ミラー)の各々について、運転者の視覚に影響を与える可能性がある変更を実施する場合の一例を説明するための説明図である。
図1(A)では、例えば、日が暮れる直前において、車両2が、直線状の道路9を走行している。車両2に備わる車両用表示装置は、第1の表示部としてのHUD装置(図1では図示せず、図8における符号10を参照)を備えている。HUD装置10は、画像(画像の表示光)を、被投影部材(透光部材)としてのウインドシールド(フロントガラス)6に投影し、これによって、ハンドル(例えばステアリングホイール)を握る運転者1の前方に、虚像を視認させる。なお、被投影部材としては、ウインドシールド6以外に、コンバイナ等、種々の部材を用いることができる。
HUD装置10によって、前方に設定される虚像表示面(図6(A)参照)に、虚像が表示される。図1(A)の例では、虚像は、「55km/h」という車速表示SPである。この車速表示SPは、ウインドシールド6の面上に設定される虚像表示領域7の内側において表示される。なお、虚像は、ウインドシールド6の前方に運転者1によって視認されるものであるが、運転者1は、ウインドシールド6を介して虚像を見ている、ということになり、よって、図1(A)の例では、ウインドシールド6の面に虚像表示領域7が設定されているとみることができる。
また、車両2には、第2の表示部としての少なくとも1つの表示器、具体的には、第1、第2の表示器120a、120bが設けられている。第1、第2の表示器120a、120bは、ウインドシールド6の下側のインストルメントパネル118に設けられており、例えば、液晶表示装置等で構成される。ここでは、第1、第2の表示器120a、120bは、例えば、車両2の後方及び後側方を確認するサイドミラーを含む車両用ミラーの役割を果たし、かつ、車両に備わる撮像部による撮像画像を表示するモニターとしての機能を有する電子ミラー(電子ドアミラー)である。具体的には、第1、第2の表示器120a、120bは、それぞれ、左用、右用のサイドミラーとして機能する電子ミラー(左用電子サイドミラー、右用電子サイドミラー)である。但し、これに限定されるものではない。また、図1(A)に示されるインナーリアビューミラー(バックミラー)125も電子ミラーとしてもよい。
図1(A)では、第1、第2の表示器(具体的には、左用電子サイドミラー、右用電子サイドミラー)120a、120bは、それぞれ、インストルメントパネル118の左右の端部に配置されている。また、図1(A)では、運転者1は、前方(特に、車速表示SP)を注視しており、よって、虚像としての車速表示SP(及び虚像表示領域)7は、運転者1の視野範囲(図中、破線で示される)内にある。
言い換えれば、図1(B)に示されるように、ウインドシールド6の前方に設定される虚像表示面PS上の虚像(車速表示)SPは、運転者1の目(視点)Aを起点として前方に向かって徐々に広がる視野範囲内にある。一方、第2の表示部としての2つの表示器(第1、第2の表示器であり、具体的には、右用電子サイドミラー、左用電子サイドミラー)120a、120bは、運転者1の視野範囲外となっている。
次に、図1(C)を参照する。図1(C)では、例えば、日が落ちて夜になり、車両2に備わる前照灯(図7の符号5a、5b参照)がオンしている。ここでは、前照灯5a、5bはロービームの状態であるとする。昼間(夕暮れを含む)では、運転者1の注視点(代表的な視点位置)は、比較的遠方にあり、左右の視野(車両2の幅方向の視界の広がり)も比較的広いが、夜になって前照灯5a、5bがオンされると、運転者1の注視点は、前照灯5a、5bの光が照射されている範囲LBの付近に集まる傾向があり、したがって、運転者1の注視点は、昼の場合に比べて、車両1に近い範囲に移動し、また、左右の視野(視野角)も狭くなる。
そこで、このような運転者1の視野範囲の変更に対応(適応)するように、車両用表示装置では、HUD装置1が表示する虚像(車速表示SP)の虚像表示距離を短縮し、また、第2の表示部としての第1、第2の表示器(右用電子サイドミラー、左用電子サイドミラー)120a、120bの各々を、ハンドル3に近づくように(言い換えれば、各表示器間の間隔が短くなるように)移動させる。これによって、運転者1は、HUD装置1による表示(虚像による表示)、及び各表示器120a、120bによる表示(実像による表示)を見る場合の、視点移動の負担が軽減され、視覚的な利便性が向上する。なお、虚像表示距離は、例えば、所定の位置(例えば運転者1の視点Aの位置)を基準とした、虚像までの距離ということができる。
図1(C)では、虚像としての車速表示SPは、運転者1の視野範囲内にある。言い換えれば、図1(C)に対応する図1(D)は、図1(B)と同じであり、図1(A)の視野範囲が維持されている。この状態で、虚像としての車速表示SPの虚像表示距離を変更すると、その変更が、運転者1に視認されてしまい、違和感を与える原因となることから、図1(C)では、虚像としての車速表示SPの虚像表示距離の変更は行わず、第2の表示部としての第1、第2の表示器(右用電子サイドミラー、左用電子サイドミラー)120a、120bの移動による位置変更のみを行っている。第1の表示器120aは、位置P1から位置P2に移動され、また、第2の表示器120bは、位置P3から位置P4へと移動されている。なお、図1(C)において、第1、第2の表示器120a、120bの移動が矢印で示されている。
次に、図1(E)を参照する。図1(E)では、運転者1は、位置が変更された第1、第2の表示器120a又は120bに視線を向けており、虚像としての車速表示SP(言い換えれば、図1(A)における虚像表示領域7)は、運転者1の視野範囲外となっている。
この期間を利用して、虚像表示面PSを、第1の位置P10から、第2の位置P11を経て、第3の位置P12へと移動する。言い換えれば、HUD装置10の表示としての虚像(車速表示SP)が、運転者1に近づくように移動する。
このように、運転者1に見えていない期間があることを利用して、第1の表示部としてのHUD装置10についての、運転者の視覚に影響を与える可能性がある変更と、第2の表示部としての第1、第2の表示器120a、120bについての、運転者の視覚に影響を与える可能性がある変更とを、個別に、分散したタイミングで行うことで、運転者1に違和感を与えることなく、車両用表示装置の視覚的な利便性を向上させる(例えば、表示を見易くする)ことができる。
なお、上記の例では、「第1、第2の各表示部(HUD装置10、電子ミラーである第1、第2の表示器120a、120b)についての、運転者の視覚に影響を与える可能性がある変更」は、「HUD装置10における表示(虚像)の移動」、及び「第1、第2の各表示器120a、120bの移動(表示器自体の移動)」であったが、これに限定されるものではない。例えば、上記の「変更」は、「表示部自体の移動、表示部における表示の移動、表示部における表示形態を変化させることの少なくとも1つを含む、運転者の視覚に影響を与える可能性がある変更」であってもよい。
具体的には、「運転者の視覚に影響を与える可能性がある変更」は、表示部自体の移動(例えば、表示器が車両の幅方向等に沿って移動すること)、表示部における表示の移動(例えば、HUD装置が表示する虚像の虚像表示距離が変化することで、虚像が車両の進行方向に沿って移動すること、あるいは、一つの表示器内で、表示がなされる位置が移動すること)、表示部における表示形態を変化させること(例えば、運転者が視認し易いように画像を拡大/縮小する、画像の輝度を変更する、背景色を変更する、立体的な画像とする、アイコン等の外形を変化させる、補助表示を追加する、画像要素のレイアウトを変更する、提示情報の種類を変更する等)の少なくとも1つを含む変更であってよい。なお、表示部の移動、表示の移動については、後に、図5を参照して具体的に説明する。
また、上記の「運転者の視覚に影響を与える可能性がある変更」は、上記の例に限定されるものではない。例えば、車両2の周囲の環境の変化(例えば、昼/夜)、車両2に備わる照明の状態の変化(例えば、照明のオン/オフ、前照灯のハイビーム/ロービーム等)、運転者1の状態(例えば、疲労の程度)の少なくとも1つによって、運転者の注視点及び視野範囲が変化することに対応(適応)するべく実施されるものであってもよい。
なお、運転者1の状態は、例えば、脈拍や脳波等の生体情報に基づいて判定することができる。このような変更は、例えば、危険を報知するための変更のような即応性(迅速性)が要求されないことから、運転者1が見ていない期間を利用して、変更を、分散して行っていくことで、運転者への負担(特に、視覚的負担)を軽減しつつ、変更を完了させることができる。
言い換えれば、表示位置や表示形態を、最適な情報提示ができるように遷移させる処理を、運転者の注視領域外で行うことで、運転者に与える違和感を低減しつつ、無理なく実施することが可能となる。
次に、図2を参照する。図2(A)〜図2(D)は、2つの表示器のうちの一方の表示器が、近い将来において運転者の視野範囲に入ると予測される場合の、第1、第2の各表示部についての変更の例を説明するための説明図である。図2において、図1と共通する部分には同じ参照符号を付している。なお、この点は、図3、図4についても同様である。
図2(A)は、図1(A)に対応する図である。但し、図2(A)では、図1(A)と異なり、左斜め前方に、左に折れる道11があり、また、虚像表示領域7が、図1(A)と比べて拡張されており、そして、その拡張された虚像表示領域7において、運転者1に左折を促すナビゲーション表示としての矢印13が、道11に重畳されるようにして表示されている。また、図2(A)では、車両2の車速は、車両2が左折されることから減速されて「20km/h」となっている。
また、図2(A)では、第1、第2の表示器120a、120bは、運転者1の視野範囲には入っていない。但し、ここで、図1の例と同様に、第1、第2の表示器120a、120bの双方を移動させると、近い将来(例えば、その直後)に、図2(B)のように、運転者1の視線がナビゲーション表示としての矢印13の方向に向けられ、視野範囲が左側にずれると、移動中の第1の表示器120aが視野範囲に入り、移動中の第1の表示器120aが運転者1に視認される可能性がある。特に、第1の表示器120aの移動距離は、第2の表示器120bの移動距離よりも長いために、その可能性が高い。
よって、図2(B)では、HUD装置10の表示としての虚像(車速表示SPであり、ここでは「5km/h」となっている)の虚像表示距離の変化による虚像の移動(図1(E)と同様の移動)、及び第2の表示器120bについての移動のみを実施する。
図2(C)では、車両2は左に曲がっている途中であるが、第1の表示器120aは、運転者1の視野範囲内にあることから、第1の表示器120aの移動は実施されない。
図2(D)では、左折が終了して、車両2は、道11を進んでおり、この状態では、第1の表示器120aは、運転者1の視野範囲外となっている。よって、この期間において、第2の表示器120aの移動が実施される。
このように、第1、第2の表示器120a、120bの双方が運転者1の視野範囲外にある場合であっても、近い将来において、第1、第2の表示器120a、120bのうちのいずれか一方が、運転者1の視野範囲内になることが、例えばナビゲーション表示等に基づいて予測される場合には、いずれか一方についての変更は実施せず、いずれか一方の移動は、いずれか一方が運転者1の視野範囲外となった後において実施することで、運転者1に違和感を与えて、車両2の運行に影響を及ぼす、といった不都合を回避することができる。
次に、図3を参照する。図3(A)〜図3(F)は、第1の表示部としてのHUD装置10が表示する虚像が、所定時間以上、運転者の視野範囲内にあり続ける場合における、第1、第2の各表示部についての変更の例を示す説明図である。図3(A)は、先に説明した図1(C)と同じである。図1の例では、図1(D)において、第1、第2の表示器120a、120bが運転者1の視野範囲外となったが、図3の例では、図3(B)に示すように、第1、第2の表示器120a、120bの移動が完了した後も、運転者1は前方を注視したままであり、HUD装置10の表示としての虚像SPが運転者1の視野範囲内にある状態が継続している。
この場合、そのような状態が所定時間以上、継続するときは、図3(C)に示されるように、視野範囲に関係なく、HUD装置10が表示する虚像についての変更(言い換えれば、HUD装置についての変更であり、ここでは、虚像表示距離を変化させることによる虚像SPの移動)を実施させる。
虚像(虚像の表示領域)が視野範囲にあるときに変更を行うのは、上記のとおり好ましくはないが、所定時間が経過してもなお変更を行わないと、そのことによるデメリット(例えば、周囲環境の変化に対応した適切な虚像表示が行えないことによって、運転者1に負担を与える等)が、変更を保留していることによるメリットを上回る、という不都合が生じる。よって、この場合には、虚像表示距離を変化させることによる虚像の移動(HUD装置10についての変更)を実施するものである。これによって、上記の不都合が生じることを回避することができる。この結果として、図3(D)(図1(F)と同じである)に示されるように、HUD装置10についての変更、及び第1、第2の表示器20a、120bについての変更の双方を完了させることができる。
但し、図3(C)のように、運転者1の視野範囲内で、虚像表示距離(結像距離)の変更による虚像SPの移動を行う場合には、運転者1は、その虚像SPの移動(実質的に、HUD装置10の表示としての虚像SPが、車両2の進行方向に沿って移動することになる)を視認することになる。
そこで、その際の、運転者1が覚える違和感を低減するために、虚像表示距離の変更を、通常の速度とは異なる速度で行うこととする。図3(E)の例では、虚像表示距離の変更(変化)を加速させることによって、変更に要する期間を短縮することができる。なお、図3(E)では、虚像SPの移動速度が速められていることを、太い実線の矢印で示している。
また、図3(F)の例では、虚像表示距離の変更(変化)を、運転者1が視認できないほどゆっくり行うことで、運転者が覚える違和感を低減させている。なお、図3(F)では、虚像SPの移動速度が、極めて遅くなっていることを、細い破線の矢印で示している。言い換えれば、変更を加速させることで、変更に要する期間を短縮することができ、また、その変更を、運転者が視認できないほどゆっくり行うことで、運転者が覚える違和感を低減することができる。
次に、図4を参照する。図4(A)〜図4(G)は、第1の表示部としてのHUD装置が表示する虚像の虚像表示距離(結像距離)を変化させている途中で、虚像が運転者の視野範囲内に入った場合における、HUD装置についての変更の例を説明するための説明図である。
図4(A)では、車両2の運転中に、HUD装置10の表示である虚像(虚像表示面PS上に表示されている車速表示SP)が、虚像表示距離の変化に伴って、第1の位置P10から第2の位置P11まで移動している。但し、虚像SPの移動は完了していない。
図4(B)では、虚像SPの移動の途中で、運転者1の視線の向きが変更されて、虚像SPが視野範囲内に入った状態となる。この場合は、図4(C)〜図4(G)に示されるような表示制御を行うことができる。
図4(C)では、虚像SPが視野範囲内に入ったタイミング(時点)で、虚像表示距離の変化を停止させている。この場合、虚像SPの位置は、目標とする第3の位置P12には到達していないが、虚像表示距離の変化を開始させた時点と比較すれば、視認性は向上している。
図4(D)では、そのタイミングで、虚像表示距離の変化を停止した後、通常の速度よりも遅い速度で、虚像表示距離を変化させている。変化が遅いため、運転者1に与える違和感は軽減される。
図4(E)では、そのタイミングで、虚像表示距離の変化の速度を、直前の変化の速度よりも速くすることで、変化を加速させている。これによって、虚像SPが、目標である第3の位置P12に到達するまでの時間を短縮でき、したがって、運転者1に与える違和感が軽減される。
図4(F)では、そのタイミングで、虚像SPを一旦、消去する(第2の位置P11において、虚像SPが消えている)。ここで、直前までは、運転者1は虚像SPを見ていなかったことから、虚像SPを消去したとしても、特に問題は生じない。その後、図4(G)で、虚像SPが運転者1の視野範囲外となった場合に、言い換えれば、虚像を再び表示しても運転者1の視野範囲内に入らない状態となった場合に(この判定は、図10の第2の判定部144が行う)、虚像SPを、虚像表示距離の変更が完了したときの位置、言い換えれば、目標とする第3の位置P12にて再び表示する。この場合は、運転者1には、移動途中の虚像SPが見えないことから、違和感が生じない。
このように、変化を一旦停止する、あるいは、一旦停止させた後、通常の速度よりも遅い速度で虚像表示距離を変化させる、あるいは、その時点で変化を加速する、あるいは、虚像を消去し、その後、虚像を再び表示しても視野範囲に入らないと判定されるときに、虚像表示距離の変更が完了したときの位置において虚像を再表示する、といった処理を行うことで、運転者の違和感、ならびに視認性の低下を抑制することができる。
次に、図5を参照する。図5(A)〜図5(C)は、第2の表示部としての2つの表示器についての変更の態様を説明するための説明図である。図5において、前掲の図と共通する部分には、同じ参照符号を付している。なお、この点は、図6〜図8についても同様である。
図5(A)に示されるように、第2の表示器としての第1、第2の表示器(具体的には、左用電子サイドミラー、右用電子サイドミラー)120a、120bは、それぞれ、第1、第2の可動ベルトVB(a)、VB(b)に支持されている。
ここで、第1のモータ駆動部110aが第1のステッピングモータMT(a)を駆動すると、第1のギアGE(a)が回転し、これに伴って、第1の可動ベルトVB(a)が回動する。この回動に伴って、第1の表示器(左用電子サイドミラー)120aが移動する。図1(A)において、この移動は、双方向の矢印で示されている。
また、第2のモータ駆動部110bが第2のステッピングモータMT(b)を駆動すると、第2のギアGE(b)が回転し、これに伴って、第2の可動ベルトVB(b)が回動する。この回動に伴って、第2の表示器(右用電子サイドミラー)120bが移動する。第1、第2の各表示器(左用電子サイドミラー、右用電子サイドミラー)120a、120bの移動は、各々、独立に制御することが可能である。
次に、図5(B)を参照する。先に説明した図1〜図3の例では、第1、第2の各表示器120a、120bが移動していた(言い換えれば、第2の表示部自体が移動していた)が、図5(B)の例では、1つの表示器121(横方向に長い、矩形の外形を有する)において、第1の表示領域122aが、位置P5と位置P6との間で移動し、第2の表示領域122bが、位置P7と位置P8との間で移動する。ここで、第1、第2の表示領域122a、122bが移動する、ということは、言い換えれば、その表示領域における表示が移動する、ということである。図5(B)の例においても、先に説明した図1〜図3の例と同様の効果が得られる。また、図5(B)の例では、表示器自体が移動しないことから、図5(A)のような移動機構が不要であり、構成を簡素化できるという効果が得られる。
また、図5(C)の例では、第1、第2の表示器122a、122b(各々、横方向に長い、矩形の外形を有する)が設けられ、第1の表示器122a内で、第1の表示領域124aが、位置P9と位置P10との間で移動し、第2の表示器122b内で、第2の表示領域124bが、位置P11と位置P12との間で移動する。図5(C)の例においても、先に説明した図1〜図3の例、及び、図5(B)の例と同様の効果が得られる。また、図5(B)の例では、1つの表示器のための大きな専有面積を確保する必要があるが、図5(C)の例では、2つの表示器123a、123bが分離されていることから、大きな専有面積を確保できない場合であっても、空いているスペースを有効活用したレイアウトを実現し易いという利点がある。
次に、虚像表示距離の変更について説明する。上述のとおり、虚像表示距離は、例えば、所定の位置(例えば運転者1の視点Aの位置)を基準とした、虚像までの距離ということができる。虚像表示距離を変更する方法としては、例えば、1つの虚像表示面を、道路の路面に垂直な方向に対して傾かせ(虚像表示面を路面に重畳させる場合を含む)、その虚像表示面上における虚像の表示位置(具体的には、上下方向、言い換えれば路面に垂直な垂線に沿う方向における位置)を制御することで、運転者1の視点Aから虚像までの距離を変化させる方法がある。例えば、虚像表示面が傾いた結果として、その虚像表示面において、上側ほど運転者1の視点Aから遠ざかる場合には、虚像の表示位置を上方向に移動させれば、虚像表示距離は長くなり、下方向に移動させれば、虚像表示距離は短くなる。よって、虚像の表示位置の制御によって、虚像表示距離を微調整することができる。なお、虚像表示面を、路面に垂直な方向に対して傾けることは、例えば、HUD装置に含まれる画像形成部(図6(B)の符号46)を、表示光(図6(B)の符号K)の進行方向に対して傾けることによって実現可能である。また、虚像表示距離を変更する他の方法としては、2面以上の虚像表示面を切り換え制御する方法がある。以下、この方法について、図6を用いて説明する。図6(A)は、多面HUD装置の虚像表示面の切り換え制御の一例を示し、図6(B)は、多面HUD装置の主要部の構成例を示し、図6(C)は、光学系の位置を制御する位置制御信号の例を示す。
多面(マルチレイヤー)HUD装置は、多面(3以上の面)の虚像表示面を設定可能なHUD装置である。言い換えれば、虚像表示距離は、m通り(mは3以上の自然数)に変更可能である。多面HUD装置では、虚像を表示可能な虚像表示面が多面化されることから、虚像表示距離を、より自在に変更することができ、奥行き感のある立体的な表示が可能となる。また、更に、表示対象の物体(オブジェクト)のサイズや高さを、適宜、変更して遠近感を持たせたり、物体の表示位置を調整したり、物体に奥行きを持たせて立体化したり、物体に影をつけたり、斜視表現を採用したり、物体の質感を緻密に表現したりする、といった、幾何学的な立体装飾処理(単に立体装飾と称することもできる)を施すことで、よりリアルな3D表示が可能となる。
この多面HUD装置における虚像の表示に関して、例えば、昼夜等の区別に応じた虚像表示距離の切り換え制御を採用することで、ユーザーが虚像を視認する場合のピント調整(ピント合わせ)の負担が軽減され、運転時の負荷を軽くすることが可能となる。
図6(A)の例では、夜間に使用するのに適した虚像表示面として、夜用の第1の虚像表示面(「夜1」と記載)PS10と、夜用の第2の虚像表示面(「夜2」と記載)PS11と、が設定され、昼間に使用するのに適した虚像表示面として、昼用の第1の虚像表示面(「昼1」と記載)PS12と、昼用の第2の虚像表示面(「昼2」と記載)PS13と、が設定されている。夜用の第1、第2の虚像表示面についての虚像表示距離(基準点は視点Aである)は、それぞれ、L201、L202である。また、昼用の第1、第2の虚像表示面についての虚像表示距離は、それぞれ、L203、L204である。ここで、L201<L202<L203<L204である。また、各虚像表示面PS10〜PS13においては、実景に重畳する必要がない非重畳コンテンツの情報である車速表示の虚像SPが表示されている。なお、実景に重畳される重畳コンテンツの情報としての虚像を表示することも可能である。
なお、図6(A)において、HUD装置10は、画像(画像を表示する表示光K(1)〜K(4)を、被投影部材(透光部材)としてのウインドシールド6に投影(投射)しており、この結果として、運転者1が、虚像SPを視認することができる。
次に、図6(B)を参照する。HUD装置10は、位置制御信号生成部91と、虚像表示距離制御部24(レンズ駆動部93及びスクリーン駆動部95を含む)と、レンズ44と、画像Mが表示される画像表示面47を備える画像表示部46と、画像処理部51と、光源部53(光源駆動部55及び光源57を備える)と、を含む。位置制御信号生成部91が生成する位置制御信号VPCは、虚像表示距離制御部24のレンズ駆動部93及びスクリーン駆動部95に供給され、同時に、光源駆動部55にも供給される。
虚像表示距離制御部24は、画像表示部としてのスクリーン46(及びレンズ44)を、画像表示部としてのスクリーン46の光軸に沿う方向(言い換えれば、光路に沿う方向)において、所定範囲(ここでは距離範囲LZ)で、振動させることによって、画像表示部としてのスクリーン46(より具体的には、画像Mが表示される画像表示面47)から、被投影部材6までの光路長を周期的に変更する。また、光源部53の光源駆動部55によって、光源(レーザー光源LD)57からの光の出射タイミングが制御されることによって、画像表示部としてのスクリーン46の画像表示面47上における画像Mの表示タイミングが制御される。
ここで、m通りに変更され得る虚像表示距離の各々に対応する虚像表示面を第1〜第mの虚像表示面とする場合に、画像表示部としてのスクリーン46(及びレンズ44)を所定範囲(LZ)で、所定周期で振動させる制御、画像表示部としてのスクリーン46の表示面47における画像の表示タイミングの制御、及び、表示タイミングの制御に同期した表示内容の変更制御(の組み合わせ)によって、虚像表示距離が異なる第1〜第mの虚像表示面の各々に、所望の虚像を表示することが可能となる。
位置制御信号生成部91が生成する位置制御信号VPCは、例えば、図6(c)に記載されるような、鋸歯状(のこぎり状)の電圧信号(鋸歯状波の電圧信号)である、図6(c)では、横軸に時間t、縦軸に電圧vを設定している。位置制御信号VPCの電圧が0の場合は、画像表示部としてのスクリーン46は、第1の位置PT0に位置し、位置制御信号VPCの電圧がピーク値の場合は、画像表示部としてのスクリーン46は、第2の位置PT1に位置する。
ここで、図6(C)のように、時刻t1に、夜用の第1(夜1)の虚像表示面PS10に表示する画像(「55km/h」)を表示させ、時刻t2に、夜用の第2(夜2)の虚像表示面PS11に表示する画像(「55km/h」)を表示させ、時刻t3に、昼用の第1(昼1)の虚像表示面PS12に表示する画像(「55km/h」)を表示させ、時刻t4に、昼用の第2(昼2)の虚像表示面PS13に表示する画像(「55km/h」)を表示させることで、図6(A)に示されるような虚像(車速表示SP)の表示が実現される。
次に、図7を参照する。図7は、電子ミラーを採用した車両の外観の一例を示す。車両2には、前照灯5a、5bと、ウインドシールド6と、外光強度(照度)を測定する外光センサ(照度センサ)101と、左後方撮像カメラ102a(撮像範囲Z1)と、右後方撮像カメラ102b(撮像範囲Z2)と、車両2の周囲(ここでは前方、言い換えればZ軸方向)の実景を撮像する周囲撮像カメラ160と、を有している。
次に、図8を参照する。図8は、本発明の車両用表示装置の構成の一例を示す。図8において、前掲の図と共通する部分には同じ参照符号を付している。
車両用表示装置は、第1の表示部としてのHUD装置10(虚像表示距離制御部24と、表示制御部52と、を含む)と、外光センサ(照度センサ)101と、左後方撮像カメラ102a、右後方撮像カメラ102bと、画像生成部(左サイド用)104aと、画像生成部(右サイド用)104bと、表示制御部(左サイド用)106aと、表示制御部(右サイド用)106bと、第2の表示部としての第1、第2の表示器120a、120bと、各表示器120a、120bを移動させるための、図5(A)で説明した移動機構(ここでの説明は省略)と、を有する。
また、車両用表示装置は、運転者1の目(視点)Aの動きを検出することで、視線の向きを検出する瞳撮像カメラ130と、運転者1の左腕に装着され、生体情報(ここでは、脈拍情報とする)を測定(検出)する生体情報取得部132と、視線検出部140と、先に説明した、「HUD装置10及び第1、第2の表示器120a、120bについての、運転者の視覚に影響を与える可能性のある変更」の要否を判定し、判定結果を示す信号G1、G2を出力する第1の判定部141と、視野範囲(視線方向の近傍範囲)の判定部142と、HUD装置10の表示(虚像)及び第1、第2の表示器120a、120bの各々が、運転者1の視野範囲内にあるか否かを判定し、判定結果を示す信号D1、D2を出力する第2の判定部144と、「HUD装置10及び第1、第2の表示器120a、120bについての、運転者の視覚に影響を与える可能性のある変更」を制御する制御部150(表示器制御部152と、HUD制御部154と、を含む)と、を有する。
また、車両用表示装置は、周囲撮像カメラ160と、画像解析部162と、車両情報取得部164と、無線通信部166と、車両2の各部の動作を制御するECU(電子制御ユニット)168と、を有する。
このように、車両用表示装置は、第1の表示部(ここではHUD装置10)と、第2の表示部(ここでは、電子サイドミラーとしての第1、第2の表示器120a、120b)と、第1、第2の各表示部(HUD装置10、第1、第2の表示器120a、120b)について、表示部自体の移動、表示部における表示の移動、表示部における表示形態を変化させることの少なくとも1つを含む、運転者の視覚に影響を与える可能性がある変更が必要であるか否かを判定する第1の判定部141と、第1の表示部(HUD装置)、又は第1の表示部による表示(HUD装置10が表示する虚像SP)が、運転者1の視野範囲内にあるか否かを判定すると共に、第2の表示部(第1、第2の表示器120a、120b)、又は第2の表示部による表示(各表示器120a、120bの各表示面に表示される画像)が、運転者1の視野範囲内にあるか否かを判定する第2の判定部144と、第1、第2の各表示部(HUD装置10、第1、第2の表示器120a、120b)についての、上記の変更(運転者の視覚に影響を与える可能性がある変更)を制御する制御部150と、を有している。
制御部150は、第1の判定部141によって、第1、第2の各表示部(HUD装置10、第1、第2の表示器120a、120b)についての、上記の変更が必要と判定された場合に、第2の判定部144の判定結果に基づいて、第1、第2の表示部(HUD装置10、第1、第2の表示器120a、120b)のうちの、運転者1の視野範囲外と判定されたものについて上記の変更を実施させ、また、このときに変更が実施されなかったものについては、その後、第2の判定部144によって、運転者1の視野範囲外と判定された場合に、上記の変更を実施させる。
また、制御部150に含まれる表示器制御部152は、表示器の移動制御信号G1、G2を各々、第1、第2のモータ駆動部110a、110bに供給し、表示形態の制御信号G3、G4の各々を、表示制御部(左サイド用)106a、表示制御部(右サイド用)106bに供給する。
ここで、第1、第2のモータ駆動部110a、110bの各々は、送られてきた表示器の移動制御信号G1、G2に従って動作して、ステッピングモータMT(a)、MT(b)を駆動する。これによって、第1、第2の表示器120a、120bが所定位置へと移動される。
また、表示制御部(左サイド用)106a、表示制御部(右サイド用)106bは各々、送られてきた表示形態の制御信号G3、G4に従って動作し、例えば、第1、第2の各表示器120a、120bに表示する画像を拡大/縮小したり、輝度を調整したり、背景色を変更したり、画像を立体化したり、画像の外形を変化させたり、補助的画像を追加したり、画像要素のレイアウトを変更したり、提示情報の種類を変更したりして、表示の視認性を向上させる。なお、表示制御部(左サイド用)106a、表示制御部(右サイド用)106bは、制御部150に設けてもよい。
また、制御部150に含まれるHUD制御部154は、HUD装置10が表示している内容についての情報G5を、第2の判定部144に供給する。先に説明した図2の例では、ナビゲーション表示等に基づいて、近い将来、運転者1の視線が変更されることを予測していたが、このナビゲーション表示の情報が、上記の情報G5に含まれている。よって、第2の判定部144は、上記のような予測を行うことができる。
また、制御部150に含まれるHUD制御部154は、表示制御信号G6を、HUD装置10の表示制御部52に供給し、また、虚像表示距離制御信号G7を、HUD装置10の虚像表示距離制御部24(この構成については図6(B)を参照)に供給する。これによって、HUD装置10の表示(虚像)の内容が変更され、また、図6(A)で示したような虚像表示距離の切り換え制御がなされる。
このような構成を有する車両用表示装置によれば、第1、第2の表示部(HUD装置10、第1、第2の表示器120a、120b)について、運転者の視覚に影響を与える可能性がある変更を実施する場合に、運転者1が見ていないときに、各表示部についての変更を実施することから、運転者1に違和感を生じさせることが低減され、運転に与える影響が抑制される。
また、前述したとおり、「運転者の視覚に影響を与える可能性がある変更」は、「表示部自体の移動」を含み、具体的には、各表示器120a、120bが車両2の幅方向等に沿って移動すること等を含む。
また、前述したとおり、「運転者の視覚に影響を与える可能性がある変更」は、「表示部における表示の移動」を含み、具体的には、例えば、一つの表示器内で、表示がなされる位置が移動すること(図5(B)、図5(C)の例)、あるいは、HUD装置10が表示する虚像SPが、虚像表示距離の変化によって、車両2の進行方向に沿って移動すること(図6(A)の例)を含む。
また、前述したとおり、「運転者の視覚に影響を与える可能性がある変更」は、「表示部における表示形態を変化させること」を含み、具体的には、例えば、運転者1が視認し易いように画像を拡大/縮小する、画像の輝度を変更する、背景色を変更する、立体的な画像とする、アイコン等の外形を変化させる、補助表示を追加する、画像要素のレイアウトを変更する、提示情報の種類を変更する、といった処理を含む。但し、これらに限定されるものではない。
また、「運転者の視覚に影響を与える可能性がある変更」は、上記の処理を単独で行うものであってもよく、また、2以上の処理を組み合わせて用いるものであってもよい。例えば、夜になったことに起因して、第1、第2の表示器120a、120bを移動させるとき、移動と共に、表示輝度を低下させる、あるいは、見易いように画像を拡大する、といった表示形態の変更も併行して行うことで、運転者1の視覚的負担を、より軽減することができる。
次に、図9を参照する。図9は、本発明の車両用表示装置における、第1、第2の表示部についての変更処理の手順の一例を示すフローチャートである。ここでは、車両用表示装置が、第1の表示部としてのHUD装置10と、第2の表示部としての少なくとも1つの表示器120a、120bとを有する例(先に図1〜図3を用いて説明した例)について、主要な手順例を説明する。
まず、変更の要否判定用の情報(例えば、周囲の外光強度情報、前照灯のオン/オフやハイビーム/ロービームに関する車両情報、運転者の生体情報等)を取得し(ステップ1)、次に、変更(先に説明した「第1、第2の表示部についての、運転者の視覚に影響を与える可能性がある変更」)の要否を判定する(ステップS2)。例えば、図1(B)の例のように、夜になって前照灯がオンしたことで、運転者の視野範囲が狭くなったと推定される場合や、運転者が疲労したことで、視野範囲が狭くなったと推定される場合等には、変更要と判定される。
次に、ステップS2でYの場合は、運転者の視線の情報が検出され(ステップS3)、次に、検出された視線の情報に基いて判定される視野範囲内に、第1の表示部であるHUD装置の表示(虚像)が入っているか、又は、第2の表示部である少なくとも1つの表示器が入っているか、を判定する(ステップS4)。
ステップS4で、HUD装置が視覚範囲内にある場合は、第1の表示部としてのHUD装置についての変更は実施せず、第2の表示部としての表示器についての変更を実施する(ステップS5)。続いて、変更が保留されている、HUD装置についての変更を実施可能であるか否かを判定する(ステップS6)。ステップS6でYの場合は、HUD装置の表示(虚像)についての変更(虚像表示距離(結像距離)の変更による虚像の移動)を実施する(ステップS7)。
ステップS6でNの場合は、変更が保留された時点から所定時間が経過したか否かを判定し(ステップS8)、ステップS8でNの場合はステップS6に戻り、Yの場合は、所定の措置と共に、HUD装置の表示(虚像)についての変更(虚像表示距離(結像距離)の変更による虚像の移動)を実施する(ステップS9)。「所定の措置」は、例えば、HUD装置の表示(虚像)の移動を、通常の速度とは異なる速度で行うことであり、具体的には、図3(E)の例のように、虚像表示距離の変化を加速させて、変更に要する期間を短縮する措置、あるいは、図3(F)の例のように、虚像表示距離の変化を、運転者が視認できないほどゆっくり行って、運転者が覚える違和感を低減する措置等である。
ステップS4にて、視野範囲内にあるのが第2の表示部としての少なくとも1つの表示器である場合は、ステップS10に移行する。ステップS10では、視野範囲内にあるのは(あるいは、図2の例のように、近い将来において視野範囲内にあると推測されるのは)、少なくとも1つの表示器の全部(例えば、図1〜図3の例の場合、第1の表示器120a、第2の表示器120bの双方)であるか、あるいは、表示器の一部であるか(第1の表示器120a、第2の表示器120bのいずれか一方であるか)を判定する。
ステップS10にて、視野範囲内にあるのは(あるいは、近い将来において視野範囲内にあると推測されるのは)表示器の一部(例えば、第1の表示器120a)であると判定されると、その表示器の一部(第1の表示器120a)については変更(図1〜図3の例では表示器の移動)は実施せず、HUD装置の表示(虚像)についての変更(図1〜図3の例では虚像の移動)、及び、視野範囲外である「その他の表示器(第2の表示器120b)」についての変更(図1〜図3の例では表示器の移動)を実施する。
ここで、ステップS10にて、表示器の全部が視野範囲内であると判定されたときは、表示器の全部(第1、第2の表示器120a、120bの双方)についての変更が保留されて未実施であり、また、ステップS10にて、表示器の一部が視野範囲内であると判定されたときは、表示器の一部(ここでは第1の表示器120a)は、変更が保留されて未実施である。
ステップS12では、変更が保留されている表示器(第1、第2の表示器120a、120bの双方、又は、第1の表示器120a)についての変更が可能であるが判定され、Nの場合は、ステップS12の判断が繰り返えされ、Yの場合は、ステップS13に移行して、変更が保留されている表示器についての変更(ここでは表示器の移動)が実施される。
次に、図10を参照する。図10は、本発明の車両用表示装置における、第1の表示部としてのHUD装置における、虚像表示距離の変更の途中で、運転者の視野範囲内に虚像が入った場合における処理手順の一例を示すフローチャートである。
まず、HUD装置についての、虚像表示距離(結像距離)の変更が実施される(ステップS20)。次に、その変更の途中で、HUD装置の表示(虚像)が視野範囲内となったか否かを判定する(ステップS21)。ステップS21において、Nの場合は、ステップS23に移行し、虚像表示距離(結像距離)の変更が完了したか否かが判定され(ステップS23)、ステップS23でNの場合は、ステップS21に戻り、Yの場合は、変更が終了する。
ステップS21でYの場合は、ステップS22に移行する。ステップS22では、虚像表示距離(結像距離)の変更の途中で、HUD装置の表示(虚像)が視野範囲内になったことに対する対策として、「そのタイミングで変更を一旦停止する」、あるいは、「一旦停止させた後、通常の速度よりも遅い速度で虚像表示距離を変化させる」、あるいは、「その時点で変化を加速させる」、あるいは、「虚像を消去し、その後、虚像を再び表示しても視野範囲に入らないと判定されるときに、虚像表示距離の変更が完了したときの位置において虚像を再表示させる」といった処理を実施する。これによって、運転者の違和感、ならびに視認性の低下が抑制される。
以上、本発明をその実施形態を用いて説明したが、本発明はこれらの実施形態に限定されるものではなく、種々、変形、応用が可能である。例えば、図1〜図3の例では、HUD装置についての「虚像の移動(虚像表示距離の変更)」は、昼から夜に移行したときに実施されている(言い換えれば、周囲環境の変化に対応して実施されている)が、これに限定されるものではない。例えば、前照灯がハイビームからロービームに切り換えられたときには、周囲環境は夜であって変化はないが、運転者の注視点は車両により近づくことから、視野範囲が変化する。この変化(この場合は、車両に備わる照明の状態の変化)に対応するように、虚像の移動(虚像表示距離の変更)を実施してもよい。また、周囲環境の変化、あるいは、車両に備わる照明の状態の変化に加えて、さらに、運転者の体調や疲労度等の変化も考慮して、総合的に判断して、視野範囲が変動していると推定されるときには、上記の変更を実施してもよい。また、上記の実施形態では、表示器は車両の幅方向に沿って移動しているが、移動方向は、特に限定されるものではない。
また、本発明は、乗り物一般(船舶、航空機等も含む)の表示装置に適用可能である。なお、乗り物一般に適用される場合は、上記の説明における「運転者」は、「操舵者」や「操縦者」等に対応することになる。
以上説明したように、本発明によれば、車両用表示装置が、第1、第2の表示部を含む場合に、各表示部、又は各表示部の表示が、運転者の視野範囲外にあるときに、各表示部についての変更を、個別に、分散したタイミングで行うことで、運転者に違和感を生じさせることなく、変更を完了させることができる。言い換えれば、表示位置や表示形態を、最適な情報提示ができるように遷移させる処理を、運転者の注視領域外で行うことで、運転者に与える違和感を低減しつつ、無理なく実施することが可能である。
本発明は、上述の例示的な実施形態に限定されず、また、当業者は、上述の例示的な実施形態を特許請求の範囲に含まれる範囲まで、容易に変更することができるであろう。
1・・・運転者(ユーザー)、2・・・車両(乗り物)、3・・・ハンドル(ステアリングホイール)、5a、5b・・・前照灯、6・・・被投影部材(ウインドシールド等)、7・・・ウインドシールド上の虚像表示領域、9・・・道路、10・・・第1の表示部としてのHUD装置、11・・・道、24・・・HUD装置の虚像表示距離制御部、52・・・HUD装置の表示制御部52、101・・・外光センサ(照度センサ)、102a、102b・・・左後方又は右後方撮像カメラ、104a、104b・・・画像生成部(左サイド用又は右サイド用)、106a、106b・・・表示制御部(左サイド用又は右サイド用)、118・・・インストルメントパネル、120(120a、20b)・・・第1の表示部としての表示器(第1の表示器、第2の表示器)、125・・・インナーリアビューミラー(バックミラー)、130・・・瞳撮像カメラ、132・・・生体情報取得部、140・・・視線検出部、141・・・第1の判定部、142・・・視野範囲(視線方向の近傍範囲)の判定部、144・・・第2の判定部、150・・・制御部、152・・・表示器制御部、154・・・HUD制御部、160・・・周囲(前方)撮像カメラ、162・・・画像解析部、164・・・車両情報取得部、166・・・無線通信部、168・・・ECU。

Claims (8)

  1. 第1の表示部と、
    第2の表示部と、
    前記第1の表示部及び前記第2の表示部の各々について、表示部自体の移動、表示部における表示の移動、表示部における表示形態を変化させることの少なくとも1つを含む、運転者の視覚に影響を与える可能性がある変更が必要であるか否かを判定する第1の判定部と、
    前記第1の表示部、又は前記第1の表示部による表示が、運転者の視野範囲内にあるか否かを判定すると共に、前記第2の表示部、又は前記第2の表示部による表示が、前記運転者の視野範囲内にあるか否かを判定する第2の判定部と、
    前記第1の表示部及び前記第2の表示部の各々についての、前記変更を制御する制御部と、
    を備え、
    前記制御部は、前記第1の判定部によって、前記第1の表示部及び前記第2の表示部についての前記変更が必要と判定された場合に、前記第2の判定部の判定結果に基づいて、前記第1の表示部及び前記第2の表示部のうちの、前記運転者の視野範囲外と判定されたものについて前記変更を実施させ、前記変更が実施されなかったものについては、その後、前記運転者の視野範囲外と判定された場合に前記変更を実施させる、
    ことを特徴とする車両用表示装置。
  2. 前記第1の表示部は、画像を、車両に備わる被投影部材に投影することで運転者に前記画像の虚像を視認させるヘッドアップディスプレイ装置であり、
    前記第2の表示部は、少なくとも1つの表示器であり、
    前記第1の表示部についての前記変更は、所定位置を基準とした前記虚像までの距離である虚像表示距離を変化させることで、前記ヘッドアップディスプレイ装置の表示としての前記虚像を移動させること、前記第1の表示部における表示形態を変化させることの少なくとも一方を含む変更であり、
    前記第2の表示部についての前記変更は、前記第2の表示部の移動、前記第2の表示部における表示の移動、前記第2の表示部における表示形態を変化させることの少なくとも1つを含む変更である、
    ことを特徴とする請求項1に記載の車両用表示装置。
  3. 前記第1の表示部及び前記第2の表示部についての前記変更は、車両の周囲の環境の変化、車両に備わる照明の状態の変化、及び前記運転者の状態、の少なくとも1つによって、前記運転者の注視点及び視野範囲が変化することに対応して実施されるものである、
    ことを特徴とする請求項1又は2に記載の車両用表示装置。
  4. 前記第2の表示部としての前記少なくとも1つの表示器は、前記車両の後方及び後側方を確認するサイドミラーを含む車両用ミラーの役割を果たし、かつ、前記車両に備わる撮像部による撮像画像を表示するモニターとしての機能を有する電子ミラーである、
    ことを特徴とする請求項2又は3に記載の車両用表示装置。
  5. 前記第2の表示部としての少なくとも1つの表示器が、第1の表示器と、第2の表示器と、を含み、
    前記制御部は、前記第1の表示器及び前記第2の表示器の双方が前記運転者の視野範囲外にある場合であっても、近い将来において、前記第1の表示器及び前記第2の表示器のうちのいずれか一方が、前記運転者の視野範囲内になることが予測される場合には、前記いずれか一方についての前記変更を実施させず、前記いずれか一方の移動は、前記いずれか一方が前記運転者の視野範囲外となった後において実施させることを特徴とする請求項2乃至4の何れか1項に記載の車両用表示装置。
  6. 前記制御部は、前記第1の表示部としての前記ヘッドアップディスプレイ装置について、前記変更を実施させようとする場合において、前記ヘッドアップディスプレイ装置が表示する虚像が前記運転者の視野範囲内にある場合であっても、前記虚像が前記視野範囲内にある状態が所定時間以上、継続する場合は、前記変更を実施させることを特徴とする、請求項2乃至5の何れか1項に記載の車両用表示装置。
  7. 前記ヘッドアップディスプレイ装置についての前記変更が、虚像表示距離を変化させて前記虚像を移動させることである場合に、前記制御部は、通常の速度とは異なる速度で、前記虚像表示距離を変化させることを特徴とする請求項6に記載の車両用表示装置。
  8. 前記第1の表示部としての前記ヘッドアップディスプレイ装置についての前記変更が、前記虚像表示距離を変化させて前記虚像を移動させることである場合において、
    前記制御部は、前記虚像表示距離を変化させている途中に、前記第2の判定部によって、前記ヘッドアップディスプレイ装置が表示する虚像が前記運転者の視野範囲内になったことが判定された場合に、
    そのタイミングで虚像表示距離の変化を停止させる、
    又は、
    そのタイミングで虚像表示距離の変化を停止し、その後、通常の速度よりも遅い速度で虚像表示距離を変化させる、
    又は、
    そのタイミングで、虚像表示距離の変化の速度を、直前の変化の速度よりも速くすることで、変化を加速させる、
    又は、
    そのタイミングで、虚像を一旦、消去し、その後、前記第2の判定部によって、虚像を再び表示しても前記運転者の視野範囲内に入らないと判定された場合に、虚像を、虚像表示距離の変更が完了したときの位置に表示させる、
    ことを特徴とする請求項2に記載の車両用表示装置。
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