JPWO2019039551A1 - メタマテリアル構造体および屈折率センサ - Google Patents

メタマテリアル構造体および屈折率センサ Download PDF

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Abstract

【課題】安価で且つ精密な測定を行うことができるメタマテリアル構造体および屈折率センサを提供する。【解決手段】メタマテリアル構造体11は、入射光の波長と同程度又は入射光の波長以下の微細構造11aを有し、入射光と微細構造11aに依存した表面プラズモンモードとの光結合が共振条件で強くなることにより、波長選択的な光応答を示す。微細構造11aは、回転対称に二次元周期配列された単位構造から成り、偏光無依存である。屈折率センサ10は、メタマテリアル構造体11を有する。【選択図】図1

Description

本発明は、メタマテリアル構造体および屈折率センサに関する。
近年、様々なバイオ・ケミカル検知技術が開発されている中で、表面プラズモン共鳴を利用した屈折率センサが注目を集めている。従来の表面プラズモン共鳴を用いた屈折率センサには、大きく分けて二種類ある。一つは金(Au)薄膜を成膜したガラスプリズム上での伝搬表面プラズモンを利用したものであり(例えば、非特許文献1または2参照)、もう一つはAuコロイドの局在表面プラズモンを利用したものである(例えば、非特許文献3参照)。
石田昭人、「バイオセンシングとプラズモニクス」、表面技術、2011年、Vol.62、No.6、p.285-290 K. Willets and R. V. Duyne, "Localized surface plasmon resonance spectroscopy and sensing", Annual Review of Physical Chemistry, 2007, Vol. 54, No. 1, p.267-297 J. Homola, "Surface plasmon resonance sensors for detection of chemical and biological species", Chemical Reviews, 2008, Vol. 108, No. 2, p.462-493
しかしながら、非特許文献1および2に記載のような、金(Au)薄膜を成膜したガラスプリズム上での伝搬表面プラズモンを利用した屈折率センサは、精密な測定が可能であるが、装置が複雑で高額であるという課題があった。また、非特許文献3に記載のような、Auコロイドの局在表面プラズモンを利用した屈折率センサは、安価で簡易的な測定が可能であるが、伝搬表面プラズモンを利用した屈折率センサに比べて、検出精度が劣るという課題があった。
本発明は、このような課題に着目してなされたもので、安価で且つ精密な測定を行うことができるメタマテリアル構造体および屈折率センサを提供することを目的とする。
本発明者らは、上記目的を達成するために鋭意研究した結果、メタマテリアルが周囲の屈折率変化に敏感な反応を示すこと、および、自由度の高い形状設計ができることに着目し、メタマテリアルを用いて表面プラズモンのモード分布を最適化することにより、高性能な屈折率センサを実現できることに想到した。これにより、安価で且つ精密な測定を可能とする屈折率センサを提供することが可能となる。
すなわち、本発明に係るメタマテリアル構造体は、入射光の波長と同程度又は前記波長以下の微細構造を有し、前記入射光と前記微細構造に依存した表面プラズモンモードとの光結合が共振条件で強くなることにより、波長選択的な光応答を示すメタマテリアル構造体であって、前記微細構造は、回転対称に二次元周期配列された単位構造から成ることを特徴とする。
本発明に係る屈折率センサは、本発明に係るメタマテリアル構造体を有することを特徴とする。
本発明に係るメタマテリアル構造体は、微細構造の寸法により、光応答の選択波長を調整することができる。また、本発明に係るメタマテリアル構造体は、周囲の媒質により選択波長が敏感に変化する。このため、本発明に係るメタマテリアル構造体および屈折率センサは、メタマテリアル構造体の周囲の媒質による選択波長の変化または特定波長における反射率の変化から、周囲の媒質の屈折率を検出することができる。本発明に係るメタマテリアル構造体および屈折率センサは、従来の伝搬表面プラズモンを利用した屈折率センサと比べて、簡単な構造を有しており、安価に製造することができる。
従来の表面プラズモンを利用した屈折率センサは、金の薄膜あるいは金の微粒子をランダムに配置して構成されているため、表面プラズモンの増強度が最適化されていなかった。また、ボトムアップ的に作られているため、最適化も困難であった。これに対し、本発明に係るメタマテリアル構造体および屈折率センサは、メタマテリアルの考え方により、メタマテリアル構造体の形状を任意に設計することができるため、プラズモン増強の最適化が可能である。このため、従来よりも高感度にすることができ、精密な測定を行うことができる。本発明に係る屈折率センサは、屈折率感度が300乃至1000 nm/RIUであることが好ましい。
本発明に係るメタマテリアル構造体は、微細構造が、回転対称に二次元周期配列された単位構造から成るため、偏光無依存にすることができる。本発明に係るメタマテリアル構造体は、微細構造の形状加工にはいかなる技術を用いてもよく、例えば、半導体微細加工技術や、ナノ構造を安価かつ大量に生産することができるナノインプリントを用いることができる。
本発明に係るメタマテリアル構造体で、入射光は、検出対象に応じていかなる波長であってもよい。本発明に係るメタマテリアル構造体は、微細構造の寸法を小さくすることにより、小型化が可能であり、その場合、例えば、入射光の波長は2500nm以下であってもよい。
本発明に係るメタマテリアル構造体で、前記微細構造は、前記単位構造の二次元の配列面に沿って、前記単位構造を、縦方向および/または横方向に規則的に複数並べて配置して成っていてもよい。
本発明に係るメタマテリアル構造体で、前記微細構造は、入射光の波長に応じていかなる材料から成っていてもよく、例えば、金、銀、銅、アルミニウムまたは遷移金属系窒化物から成っていてもよい。遷移金属系窒化物としては、例えば、TiN、ZrN、HfN、TaNが挙げられる。
本発明に係る屈折率センサは、屈折率に応じてメタマテリアル構造体の周囲の媒質を検出可能であれば、いかなる構成を有していてもよい。例えば、本発明に係る屈折率センサは、光ファイバを有し、前記メタマテリアル構造体は、前記光ファイバの先端に設けられていてもよい。この場合、試料を切り取る侵襲的な測定ではなく、本来ある場所(in situ)での測定が可能となる。このため、生体などのように、環境依存性がある測定対象であっても、精密な測定が可能である。また、注射針より細い光ファイバを使用することにより、生体等へのダメージが少ない測定が可能となる。また、測定範囲が光ファイバの直径で決まるため、細い光ファイバを使用することにより、微細領域の物理量を測ることができる。また、光ファイバを移動させることにより、測定結果の空間マッピングを行うことができる。
また、本発明に係る屈折率センサは、ガラスプレートを有し、前記メタマテリアル構造体は、前記ガラスプレートの表面に設けられていてもよい。この場合、ガラスプレート表面のメタマテリアル構造体の上に、液体などの物質を載せることにより、その物質中の成分を検出することができる。このため、例えば、メタマテリアル構造体の上に、血液を滴下して、血液検査を行うことができる。
また、本発明に係る屈折率センサは、前記微細構造の表面に付着された検出用作用体を有し、前記検出用作用体は、検出対象と相互作用可能であってもよい。この場合、検出用作用体および検出対象は、検出用作用体が検出対象と相互作用可能であり、その相互作用の前後で、測定可能な屈折率の変化が認められるものであれば、いかなるものであってもよい。検出用作用体と検出対象との相互作用は、例えば検出用作用体への検出対象の結合など、いかなる相互作用であってもよい。検出用作用体と検出対象の組合せとしては、例えば、検出用DNAと相補DNA、検出用RNAと相補RNA、ビオチンとアビジンまたはストレプトアビジン、抗原と抗体、各種のたんぱく質とそのたんぱく質に作用する物質、各種のアミノ酸とそのアミノ酸に作用する物質、リガンドとレセプターなどである。検出用作用体が、検出用DNAまたは検出用RNAから成る場合、検出対象であるDNAまたはRNAと相補鎖を形成可能であり、相補鎖の形成による屈折率の変化を測定することにより、所望の検出対象のDNAやRNAを検出することができる。なお、この場合、微細構造は、検出用DNAまたは検出用RNAを結合可能な材料から成ることが好ましい。
本発明に係るメタマテリアル構造体は、屈折率センサのみならず、例えば、ケミカルセンサ、バイオセンサ、in situ 分析装置、カテーテルや内視鏡と集積した医療装置、屈折率やケミカル・バイオ物質の高分解能空間マッピング装置に適用されてもよい。ここで、ケミカルセンサは、ガス・有機化学物質などを対象とするセンサで、例えば、味覚、食品、化学薬品、アルコールチェックなどに適用されるものである。また、バイオセンサは、生体・生物などを対象とするセンサで、例えば、毒性センサ、血糖センサ、DNAセンサ、医療用センサなどに適用されるものである。これらの場合、測定結果を空間マッピング可能な構成にすることにより、例えば、バイオセンサであれば、細胞・DNAの形や寸法、種類の特定などを行うことができ、ケミカルセンサであれば、薬品の濃度分布分析などを行うことができる。なお、空間マッピングができない従来のスポット計測では、例えば、測定対象が混合物質のとき、一点しか測れないため、混合しているのかどうかが分からず、それらがどのような空間分布や形状を有しているのかも分からない。
本発明によれば、安価で且つ精密な測定を行うことができるメタマテリアル構造体および屈折率センサを提供することができる。
(a)本発明の実施の形態の屈折率センサを示す側面図、(b)本発明の実施の形態のメタマテリアル構造体を示す平面図である。 本発明の実施の形態の屈折率センサの、メタマテリアル構造体の周囲の屈折率nが1.0〜1.5のときの(a)反射スペクトル、(b)反射ピーク波長(Peak wavelength)の周囲屈折率(Refractive index)依存性を示すグラフである。 本発明の実施の形態のメタマテリアル構造体の、共振波長1250 nmで(a)X方向の偏光、(b)X方向から45°傾いた偏光を設計したものに、光が垂直入射したときの、メタマテリアル構造体の上部の電場強度分布図である。 本発明の実施の形態のメタマテリアル構造体の走査型電子顕微鏡(SEM)画像である。 本発明の実施の形態の屈折率センサの、空気(Air)、純水(DIW)、イソプロパノール(IPA)、グリセリン(Glycerin)の4種類の媒質中で測定された(a)反射スペクトル、(b)反射ピーク波長(Peak wavelength)の周囲屈折率(Refractive index)依存性を示すグラフである。 本発明の実施の形態の屈折率センサの、IPA水溶液中で測定された、IPA水溶液の濃度(Concentration)と反射スペクトルのピーク波長(Peak wavelength)との関係を示すグラフである。 本発明の実施の形態の屈折率センサの、DNAの検出実験の(a)実験手順を示す側面図、(b)乾燥状態での相補DNA結合前後の反射スペクトル、(c)湿潤状態での相補DNA結合前後の反射スペクトルである。 本発明の実施の形態のメタマテリアル構造体の、微細構造の(a)変形例、(b) (a)に示す配置を反転させた変形例、(c)他の変形例、(d) (c)に示す配置を反転させた変形例、(e)他の変形例、(f) (e)に示す配置を反転させた変形例を示す平面図である。 本発明の実施の形態のメタマテリアル構造体の、微細構造の(a)他の変形例、(b) (a)に示す配置を反転させた変形例、(c)他の変形例、(d) (c)に示す配置を反転させた変形例、(e)他の変形例、(f) (e)に示す配置を反転させた変形例を示す平面図である。 本発明の実施の形態のメタマテリアル構造体の、微細構造の(a)他の変形例、(b) (a)に示す配置を反転させた変形例、(c)他の変形例、(d) (c)に示す配置を反転させた変形例、(e)他の変形例、(f) (e)に示す配置を反転させた変形例を示す平面図である。 本発明の実施の形態のメタマテリアル構造体の、微細構造の(a)他の変形例、(b) (a)に示す配置を反転させた変形例、(c)他の変形例、(d) (c)に示す配置を反転させた変形例、(e)他の変形例、(f) (e)に示す配置を反転させた変形例、(g)他の変形例、(h) (g)に示す配置を反転させた変形例を示す平面図である。 本発明の実施の形態のメタマテリアル構造体の、微細構造の(a)他の変形例、(b) (a)に示す配置を反転させた変形例、(c)他の変形例、(d) (c)に示す配置を反転させた変形例、(e)他の変形例、(f) (e)に示す配置を反転させた変形例を示す平面図である。 本発明の実施の形態のメタマテリアル構造体の、微細構造の(a)他の変形例、(b) (a)に示す配置を反転させた変形例、(c)他の変形例、(d) (c)に示す配置を反転させた変形例、(e)他の変形例、(f) (e)に示す配置を反転させた変形例、(g)他の変形例、(h) (g)に示す配置を反転させた変形例を示す平面図である。 本発明の実施の形態のメタマテリアル構造体の、微細構造の(a)他の変形例、(b) (a)に示す配置を反転させた変形例、(c)他の変形例、(d) (c)に示す配置を反転させた変形例を示す平面図である。 本発明の実施の形態のメタマテリアル構造体の、(a)シミュレーションに使用した微細構造、(b)メタマテリアル構造体の周囲の屈折率nが1.0〜1.5のときの反射スペクトル、(c)反射ピーク波長の周囲屈折率依存性を示すグラフである。 本発明の実施の形態のメタマテリアル構造体の、(a)シミュレーションに使用した微細構造、(b)メタマテリアル構造体の周囲の屈折率nが1.0〜1.5のときの反射スペクトル、(c)反射ピーク波長の周囲屈折率依存性を示すグラフである。 本発明の実施の形態のメタマテリアル構造体の、(a)シミュレーションに使用した微細構造、(b)メタマテリアル構造体の周囲の屈折率nが1.0〜1.5のときの反射スペクトル、(c)反射ピーク波長の周囲屈折率依存性を示すグラフである。 本発明の実施の形態の屈折率センサの、光ファイバの先端面にメタマテリアル構造体を有する変形例を示す斜視図である。 本発明の実施の形態の屈折率センサの、(a)メタマテリアル構造体と光源および光検知器(Optical detector)との接続状態、(b)その接続状態の変形例、(c)その接続状態の他の変形例、(d)その接続状態の他の変形例を示す斜視図である。 図18に示す屈折率センサの光学応答を示すグラフである。 a)〜f)図18に示す屈折率センサの製造方法を示す断面図である。 図21に示す屈折率センサの製造方法で製造された、(a)光ファイバの先端面のメタマテリアル構造体を示す電子顕微鏡写真、(b) (a)に示す光ファイバの先端面の中心部を拡大した電子顕微鏡写真(上面図)、(c) (a)に示す光ファイバの先端面の中心部を拡大した電子顕微鏡写真(斜視図)である。 図22に示す屈折率センサの、空気(Air)中およびエタノール(Ethanol)中での反射スペクトルである。 本発明の実施の形態のメタマテリアル構造体の、寸法パラメータを小さくしたときの変形例を示す平面図である。 図24に示すメタマテリアル構造体の、周囲の屈折率nが1.0〜1.2のときの透過(Transmittance)スペクトルおよび反射(Reflectance)スペクトルである。
以下、図面に基づいて、本発明の実施の形態について説明する。
図1乃至図25は、本発明の実施の形態のメタマテリアル構造体および屈折率センサを示している。
(センサの構成と原理)
図1に示すように、屈折率センサ10は、メタマテリアル構造体11と透明基板12と光源13とハーフミラー14と分光器15とを有している。図1に示すように、メタマテリアル構造体11は、複数のカットワイヤで構成される微細構造11aを有し、透明基板12の上に設けられている。図1(b)に示すように、微細構造11aは、入射光の波長と同程度または入射光の波長以下の構造であり、回転対称に二次元周期配列された単位構造から成っている。なお、メタマテリアル構造体11は、入射光と微細構造11aに依存した表面プラズモンモードとの光結合が共振条件で強くなることにより、波長選択的な光応答を示すよう構成されている。メタマテリアル構造体11は、単位構造が回転対称であり、偏光無依存である。
微細構造11aは、近赤外域で反射率が高い金(Au)から成っている。なお、微細構造11aは、金の他にも、銀、銅、アルミニウム、または高いキャリア濃度を有しプラズモン特性を示すTiN、ZrN、HfN、TaNの遷移金属系窒化物などから成っていてもよい。図1(b)に示す具体的な一例では、微細構造11aは、カットワイヤで形成され、平行に配置された2つの長方形を、4回対称に配置した構造を成している。
図1(a)に示すように、光源13は、ハーフミラー14を介して、入射光を透明基板12の側からメタマテリアル構造体11に入射するよう設けられている。ハーフミラー14は、光源13からの入射光を透過させると共に、メタマテリアル構造体11からの反射光を反射して、90度曲げるよう設けられている。なお、ハーフミラー14の代わりに、2分岐の光ファイバを用いてもよい。分光器15は、ハーフミラー14で反射された、メタマテリアル構造体11からの反射光を受光し、そのスペクトルを検出可能に設けられている。なお、分光器15の代わりに、波長可変光源と光検出器との組合せを用いてもよい。
次に、作用について説明する。
屈折率センサ10は、以下のようにして使用される。すなわち、図1(a)に示すように、屈折率を測定したい試料1を、透明基板12の上のメタマテリアル構造体11の上に滴下し、メタマテリアル構造体11の反射スペクトルを分光器15で検出する。これにより、空気(屈折率n = 1.0)を基準として、試料1の滴下による屈折率変化に応じた反射スペクトルシフトから、試料1の屈折率を算出することができる。
メタマテリアル構造体11は、微細構造11aの寸法により、光応答の選択波長を調整することができる。また、メタマテリアル構造体11は、周囲の媒質により選択波長が敏感に変化する。このため、屈折率センサ10は、メタマテリアル構造体11の周囲の媒質による選択波長の変化または特定波長における反射率の変化から、周囲の媒質の屈折率を検出することができる。また、屈折率センサ10は、従来の伝搬表面プラズモンを利用した屈折率センサと比べて、簡単な構造を有しており、安価に製造することができる。
メタマテリアル構造体11および屈折率センサ10は、メタマテリアルの考え方により、メタマテリアル構造体11の形状を任意に設計することができるため、プラズモン増強の最適化が可能である。このため、従来よりも高感度にすることができ、精密な測定を行うことができる。なお、メタマテリアル構造体11は、微細構造11aの形状加工にはいかなる技術を用いてもよく、例えば、半導体微細加工技術や、ナノ構造を安価かつ大量に生産することができるナノインプリントを用いることができる。
(光学設計)
メタマテリアル構造体11を製造し、屈折率の感度測定を行った。
まず、メタマテリアル構造体11の光学設計を行った。光学設計には、Rigorous Coupled-Wave Analysis法を用いた。設計に用いたメタマテリアル構造体11は、図1(b)に示す微細構造11aの単位構造が、縦方向および横方向に規則的に複数並べて配置されたものとした。また、メタマテリアル構造体11は、図中のw(カットワイヤの幅)を90nm、g(平行配置されたカットワイヤ間のギャップ)を150nm、d(垂直配置されたカットワイヤ間のギャップ)を150nm、l(カットワイヤの長さ)を330nm、Λ(周期)を1000nm、t(厚さ)を40nmとした。なお、図1(b)のような、微細構造11aが長方形のカットワイヤから成る構成では、屈折率感度を高めるために、アスペクト比(l/w)が3〜4、単位構造を有する面でのカットワイヤが占める割合(フィルファクタ)が0.08〜0.12であることが好ましい。
メタマテリアル構造体11の周囲の屈折率nを1.0〜1.5まで変化させたときの、各屈折率での反射スペクトルを設計計算により求め、その計算結果を図2(a)に示す。なお、計算時のハーモニクスは6とした。また、図2(a)から、反射スペクトルのピーク波長(Peak wavelength)と屈折率(Refractive index)との関係を求め、図2(b)に示す。図2(b)に示すように、メタマテリアル構造体11の周囲の屈折率変化に応じて、反射スペクトルのピーク波長が線形的に変化することが確認された。図2(b)から求めた屈折率センサ10の屈折率感度は、593 nm/refractive index unit (RIU) である。
共振波長1250 nmで、X方向の偏光およびX方向から45°傾いた偏光を設計したメタマテリアル構造体11に、光が垂直入射したときの、メタマテリアル構造体11の上部の電場強度分布を、図3(a)および(b)にそれぞれ示す。なお、偏光の方向は、図3(a)および(b)中に、それぞれ矢印で示している。また、メタマテリアル構造体11の周囲の屈折率は、1.0としている。なお、共振波長の1250 nm付近は、「第二の生体の光学窓」と呼ばれ、生体による吸収・散乱が少ないことが知られている。
図3(a)では、長手方向がX方向のカットワイヤの両端で電場が増幅されており、X方向に対して共振特性を示すことが確認された。また、図3(b)では、全てのカットワイヤの両端で電場が増幅されており、どの偏光方向に対しても共振特性を示すことが確認された。
(製造結果)
光学設計に基づいて、リフトオフプロセスにより、石英基板上にメタマテリアル構造体11を製造した。すなわち、まず、基板上にEB(Electron beam)レジストをスピンコートした後、EBリソグラフィでレジストパターンを作製した。その上に、EB蒸着によりTi(膜厚:1 nm)およびAu(膜厚:40 nm)を成膜した後、EBレジストを剥離することにより、メタマテリアル構造体11を製造した。なお、メタマテリアル構造体11の製造には、他の半導体微細加工技術やナノインプリントを用いても良い。
製造したメタマテリアル構造体11の走査型電子顕微鏡(SEM)画像を、図4に示す。製造したメタマテリアル構造体11の寸法は、w(カットワイヤの幅)が84nm、g(平行配置されたカットワイヤ間のギャップ)が156nm、d(垂直配置されたカットワイヤ間のギャップ)が162nm、l(カットワイヤの長さ)が312nm、Λ(周期)が1000nm、t(厚さ)が40nmであった。設計時より、幅(w)および長さ(l)が若干小さくなり、ギャップ(g,d)が若干増加しているが、ほぼ精度良く製造できた。なお、各カットワイヤのエッジの丸まりは、共振のQ値に影響することから、可能な限りシャープなエッジにすることが望ましい。また、カットワイヤの側面は、テーパー状にならず、基板の表面に対してほぼ垂直な面であることが好ましい。
(光学測定結果)
製造したメタマテリアル構造体11を用いて、空気(Air)、純水(DIW)、イソプロパノール(IPA)、グリセリン(Glycerin)の4種類の媒質中で、分光器15による反射スペクトル測定を行った。測定された反射スペクトルを図5(a)に、反射スペクトルのピーク波長(Peak wavelength)と周囲の媒質の屈折率(Refractive index)との関係を、図5(b)に示す。なお、図5(b)において、各媒質の屈折率を、空気が 1.000、DIWが 1.321、IPAが 1.368、グリセリンが 1.461 とした。図5(b)から屈折率の感度を求めると、599 nm/RIUとなり、非常に高感度であることが確認された。なお、製造されたメタマテリアル構造体11の寸法で再計算を行った結果、屈折率の感度は 605 nm/RIUとなり、実測値に近い値が得られた。この結果は、従来の表面プラズモンを利用した屈折率センサの屈折率感度が60〜190 nm/RIU(吉田隆、「プラズモニクス」、株式会社エヌ・ティー・エス、2011年8月24日発行、p.129)であったことと比較すると、最大で3倍以上感度が上回っている。計算値と実測値との差異は、リフトオフ時に剥離したAu素片の一部が、メタマテリアル構造体11の近傍に再付着して表面プラズモンモードを乱すことに起因する信号ノイズ成分に伴う計測誤差が一因と考えられる。
(IPAの濃度測定)
製造したメタマテリアル構造体11を用い、IPA水溶液の濃度を変化させたときの、それぞれの濃度における反射スペクトルの変化を測定した。室温は24℃で、IPAと水とを混合してから30秒以内に測定を行った。IPA水溶液の濃度(Concentration)と反射スペクトルのピーク波長(Peak wavelength)との関係を、図6および表1に示す。なお、使用した分光器15の最小波長分解能は、1.7 nmである。図6および表1に示すように、IPA濃度を薄くしていくと、それに伴って反射ピーク波長が短波長側へシフトしていくことが確認された。また、IPA濃度が4.6%〜1.2%の範囲において、反射ピーク波長が1357.4 nmから変化しておらず、濃度が0.6%になったときに1355.7 nmに変化したことが確認された。この結果から、最小で4%のIPA濃度変化を観測できたといえる。
(DNAの検出)
製造したメタマテリアル構造体11を用い、DNAの存在を検出する実験を行った。図7(a)に示すように、実験では、まず、メタマテリアル構造体11の微細構造11aの表面を、検出用DNA21で修飾し、その検出用DNA21に検出対象の相補DNA22を結合させて相補鎖23を形成した。相補DNA22を結合する前後の、乾燥状態および湿潤状態での反射スペクトルを測定し、相補DNA22を結合する前後でのピーク波長(屈折率)の変化を検出した。なお、実験では、検出用DNA21および相補DNA22として、特に意味を持たない塩基配列を有する遺伝子を作製して使用している。また、塩基配列の設計次第で、特定の蛋白質のみと結合するようなDNAも製作可能である。
乾燥状態および湿潤状態での、相補DNA22結合前後の反射スペクトルの測定結果を、それぞれ図7(b)および(c)に示す。図7(b)に示すように、乾燥状態では、相補DNA22の結合によって反射ピーク波長が長波長側へ8.5 nmシフトしていることが確認された。また、図7(c)に示すように、湿潤状態では、短波長側に1.7 nmシフトしていることが確認された。このように、相補鎖の形成前後で反射ピーク波長のシフトが認められ、屈折率が変化していることが確認できることから、製造したメタマテリアル構造体11により、DNAを検出できたといえる。なお、測定結果から、相補DNA22の屈折率を計算すると、乾燥状態における屈折率は 1.13、湿潤状態における屈折率は 1.30となる。
なお、検出用作用体および検出対象は、それぞれ検出用DNA21および相補DNA22に限らず、検出用作用体が検出対象と相互作用可能であり、その相互作用の前後で、測定可能な屈折率の変化が認められるものであれば、いかなるものであってもよい。検出用作用体と検出対象との相互作用は、例えば検出用作用体への検出対象の結合など、いかなる相互作用であってもよい。検出用作用体と検出対象の組合せとしては、例えば、ビオチンとアビジンまたはストレプトアビジン、抗原と抗体、各種のたんぱく質とそのたんぱく質に作用する物質、各種のアミノ酸とそのアミノ酸に作用する物質、リガンドとレセプターなどである。
[変形例:メタマテリアル構造体の配置バリエーション]
メタマテリアル構造体11の二次元配置については、複数のカットワイヤで構成される微細構造11aが回転対称に二次元周期配列されたものであれば、特に限定されない。図8〜図14にメタマテリアル構造体11の配置バリエーションの例を示す。
メタマテリアル構造体11は、例えば、1または平行に配置された複数の長方形に形成したカットワイヤを、4回対称に配置した微細構造11a(図8参照)や、格子、円形、十字型に形成したカットワイヤを、4回対称に配置した微細構造11a(図9参照)、卍型、I型をクロスさせた形状に形成したカットワイヤを、4回対称に配置した微細構造11a(図10参照)、円環状、四角形の枠状、それらを二重にした形状に形成したカットワイヤを、4回対称に配置した微細構造11a(図11参照)、十字型、卍型の中心部を除いた形状に形成したカットワイヤを、4回対称に配置した微細構造11a(図12参照)、円環状、四角形の枠状の一部を除いた形状に形成したカットワイヤを、4回対称に配置した微細構造11a(図13参照)、三角形の枠状に形成したカットワイヤを、6回対称に配置した微細構造11a、および、三角形に形成したカットワイヤを、4回対称に配置した微細構造11a(図14参照)を有している。
また、メタマテリアル構造体11は、図8〜図14に示すように、各バリエーションのカットワイヤで構成される部分と、カットワイヤのない部分とを反転(相補)させたものであってもよい。また、メタマテリアル構造体11は、図8〜図14に示す4回対称または6回対称の配置に限らず、n回対称(nは2以上の整数)の配置であってもよい。
(様々なバリエーションのメタマテリアル構造体のシミュレーション)
3種類のメタマテリアル構造体11について、Rigorous Coupled-Wave Analysis法を用いたシミュレーションを行った。なお、計算時のハーモニクスは6とした。シミュレーションに使用したメタマテリアル構造体11は、それぞれ図15(a)、図16(a)、図17(a)に示す配置およびサイズの微細構造11aのものである。透明基板12は、SiOから成り、微細構造11aはAuから成っている。微細構造11aの厚みは、40 nmである。
各メタマテリアル構造体11の周囲の屈折率nを1.0〜1.5まで変化させたときの、各屈折率での反射スペクトルを求め、その計算結果をそれぞれ図15(b)、図16(b)、図17(b)に示す。また、図15(b)、図16(b)、図17(b)から、反射スペクトルのピーク波長と屈折率との関係を求め、それぞれ図15(c)、図16(c)、図17(c)に示す。図15(c)、図16(c)、図17(c)に示すように、メタマテリアル構造体11の周囲の屈折率変化に応じて、反射スペクトルのピーク波長がほぼ線形的に変化することが確認された。図15(c)、図16(c)、図17(c)から求めた屈折率センサ10の屈折率感度は、それぞれ 368 nm/RIU、458 nm/RIU、824 nm/RIU であった。
[変形例:光ファイバ型屈折率センサ]
図18に示すように、屈折率センサ10は、光ファイバ(Optical fiber)31を有し、メタマテリアル構造体11が、光ファイバ31の先端面31aに設けられていてもよい。この場合、図19(a)に示すように、屈折率センサ10は、光ファイバ31を介して、メタマテリアル構造体11と光源13および光検知器(Optical detector)32とが接続されている。なお、光検知器32は、分光器15やパワーメータを含むものである。図19(a)に示すように、屈折率センサ10は、光源13からの入射光を、光ファイバ31の後端面から導入し、メタマテリアル構造体11で反射して戻ってきた光を、光検知器32で読み取るようになっている。
なお、屈折率センサ10は、図19(a)に示す構成に代えて、図19(b)〜(d)に示す構成であってもよい。図19(b)に示す構成では、入射光を光ファイバ31の後端面から導入し、メタマテリアル構造体11の透過光を光検知器32で読み取るようになっている。また、図19(c)に示す構成では、試料側から光を照射し、メタマテリアル構造体11および光ファイバ31を通過した光を、光検知器32で読み取るようになっている。図19(d)に示す構成では、試料側から光を照射し、メタマテリアル構造体11に当った光の反射光を、光検知器32で読み取るようになっている。
以上のような構成を用いて、共振波長の変化や反射率の変化を読み取ることにより、周囲の屈折率の値をセンシングすることができる。すなわち、メタマテリアル構造体11の周囲の屈折率のわずかな変化により、共振波長がシフトするため、メタマテリアル構造体11からの反射光をモニターすることにより、図20に示すように、周辺の屈折率Nのわずかな変化ΔNに応じた、反射率の変化ΔRあるいは中心(共振)波長の変化Δλを読み取ることができる。
光ファイバ31の先端面31aにメタマテリアル構造体11を設けた屈折率センサ10は、光ファイバ31の先端が届く範囲であれば、試料を切り取る侵襲的な測定ではなく、本来ある場所(in situ)での測定が可能となる。このため、生体などのように、環境依存性がある測定対象であっても、精密な測定が可能である。また、注射針より細い光ファイバ31を使用することにより、生体等へのダメージが少ない測定が可能となる。また、測定範囲が光ファイバ31の直径で決まるため、細い光ファイバ31を使用することにより、微細領域の物理量を測ることができる。また、光ファイバ31を移動させながら測定することにより、測定結果の空間マッピングを行うことができる。
(光ファイバ型屈折率センサの製造方法)
光ファイバ31の先端面31aにメタマテリアル構造体11を設けた屈折率センサ10を製造した。図21a)〜f)に、光ファイバ31の先端面31aに、メタマテリアル構造体11を製造する方法を示す。その製造方法では、まず、カットした光ファイバ31の先端面31aを、純水もしくは有機溶剤を用いた超音波洗浄または紫外線・オゾン処理により洗浄し、その後、カットした光ファイバ31の先端面31aに、紫外線硬化樹脂(UV curing resin)33を塗布する。次に、平坦なガラス平面34に、紫外線硬化樹脂33が塗布された光ファイバ31の先端面31aを垂直に押し当て、紫外線を照射して紫外線硬化樹脂33を硬化し(図21a)参照)、その後、平坦なガラス平面34から離し、紫外線硬化樹脂33を平坦化する。なお、光ファイバ31の先端面31aに形成するのではなく、ガラス基板上にメタマテリアル構造体11を形成する場合、図21a)の工程は不要となる。また、光ファイバ31の先端面31aが十分に平滑な場合も、図21a)の工程は不要である。
次に、平坦化した紫外線硬化樹脂33の表面(ガラス基板上に形成する場合はガラス基板表面)に、Ti、Au、Crを、この順に 1 nm、40 nm、5 nmの厚さで堆積して成膜する(図21b)参照)。堆積には、スパッタ装置または蒸着装置を用いる。続いて、その成膜面上に、紫外線硬化樹脂35を塗布する(図21c)参照)。その後、別途製造したシリコン製または石英製のモールド(鋳型)を用意し、モールドを紫外線硬化樹脂35に押し当て、紫外線を120秒程度照射して紫外線硬化樹脂35を硬化させる(図21d)参照)。なお、Tiは、Auと紫外線硬化樹脂33(またはガラス基板)との密着性を高める目的で使われており、密着性が良好な場合、Tiは不要である。
次に、光ファイバ31の側面などに付着している未硬化の余分な紫外線硬化樹脂35を、エタノールで30秒程度リンスして除去した後、100℃のホットプレートで光ファイバ31を30秒程度乾燥させる。その後、45秒程度のイオンミリング(8kV、200 μA)により、Cr、Au、Tiを順次エッチングする(図21e)参照)。続いて、Crを10秒程度ウェットエッチングし、CrおよびCr上に残った紫外線硬化樹脂35を除去する(図21f)参照)。ここで、Crがウェットエッチングにより除去されることにより、Cr上に残っていた紫外線硬化樹脂35も剥離される。こうして、光ファイバ31の先端面31aに、メタマテリアル構造体11が製造される。
(光ファイバ型屈折率センサの製造結果)
光ファイバ31の先端面31aに製造したメタマテリアル構造体11の電子顕微鏡写真を、図22(a)〜(c)に示す。また、製造された光ファイバ型の屈折率センサ10の反射スペクトルを、図23に示す。図23に示すように、光ファイバ31の先端面31aに形成したメタマテリアル構造体11を、空気(Air)およびエタノール(Ethanol)のそれぞれの環境下にさらすと、その屈折率変化によって共振波長が変化し、屈折率センサ10として機能することが確認された。
[変形例:メタマテリアル構造体の配置寸法]
メタマテリアル構造体11はスケーリング則に従うため、その寸法について基本的に物理的制限はない。すなわち、寸法を小さくすれば、共振波長が短波長側にシフトし、寸法を大きくすれば、共振波長が長波長側にシフトするため、その波長に合った光源13と光検出器32とがあれば、図1に示すようなシステム構成が可能である。但し、メタマテリアル構造体11の単位構造を構成するカットワイヤ同士が接触することを避けるため、w(カットワイヤの幅)、g(平行配置されたカットワイヤ間のギャップ)、d(垂直配置されたカットワイヤ間のギャップ)、l(カットワイヤの長さ)は0nmよりも大きくした方がよい。
また、カットワイヤの厚さtについては、表皮深さ(skin depth)という物理量を目安とすると、例えば、アルミニウムの可視光での表皮深さが13nmであるので、tを13nm以上にすればよい。また、t以外の寸法パラメータの下限は、その時点での製造技術の限界で決まる。
各寸法パラメータを小さくしたときのメタマテリアル構造体11の配置の一例を、図24に示す。ここで、透明基板12はSiO2、メタマテリアル構造体11の微細構造11aは銀(Ag)から構成されている。寸法は、w=40nm、g=60nm、d=20nm、l=140nm、Λ=500nm、t=40nmである。
図24に示すメタマテリアル構造体11の周囲の屈折率nを1.0〜1.2まで変化させたときの、メタマテリアル構造体11の透過(Transmittance)スペクトルおよび反射(Reflectance)スペクトルを計算し、図25に示す。なお、計算には、Rigorous Coupled-Wave Analysis法を用いた。計算時のハーモニクスは6とした。図25に示すように、屈折率変化およびピーク波長シフトはおおよそ線形関係となることが確認された。図25から、このメタマテリアル構造体11の屈折率感度を求めると、750 nm/RIUとなる。この結果は、従来の表面プラズモンを利用した屈折率センサの感度を大きく上回っている。
一方、各寸法パラメータの上限については、製造上の制約がないため、どの波長(周波数)まで屈折率センサ10の応用範囲を広げるかにより任意に設定可能である。以上では、可視〜近赤外(波長2000 nm程度以下)を想定してきたが、屈折率センサ10の応用範囲として、熱波長(10μm程度)からテラヘルツ波(具体的には、0.3THz(波長999μm))まで想定することもできる。この場合、単純にスケーリング則により寸法を見積もると、例えば、設計波長1.24μmを0.3THz(波長999μm)に相似的に拡大して、w=72.5μm、g=120.8μm、d=120.8μm、l=265.9μm、Λ=805.6μm、t=32.2μmとなる。
テラヘルツ(THz)波は生体に安全で、THzで吸収ピークを持つケミカル・バイオ物質(吸収周波数は物質固有であるため、物質の特定に用いることができる)が多数ある一方、紙や服などを透過するというTHzの特性から、空港でのセキュリティチェックや国際郵便物の麻薬チェック(ドラッグなどは、THzの特定周波数で固有指紋スペクトルを持つ)にTHzを使うことが検討されている。本発明の実施の形態のメタマテリアル構造体11および屈折率センサ10によれば、テラヘルツ領域における屈折率センサ10に基づくバイオ・ケミカルセンサの開発も可能となる。
[変形例:血液検査への応用]
屈折率センサ10は、ガラスプレートを有し、メタマテリアル構造体11がガラスプレートの表面に設けられていてもよい。また、メタマテリアル構造体11の微細構造11aの表面に、図7(a)に示す検出用DNA21などのリガンドが付着していてもよい。この場合、ガラスプレート表面のメタマテリアル構造体11の上に血液を滴下して、屈折率変化から屈折率を求めることにより、血液中の成分を検出することができる。なお、血液に限らず、他の液体などの物質をメタマテリアル構造体11の上に載せることにより、その物質中の成分を検出することもできる。また、図21の製造方法に従って、ガラスプレートの表面にメタマテリアル構造体11を製造することができる。
1 試料
10 屈折率センサ
11 メタマテリアル構造体
11a 微細構造
12 透明基板
13 光源
14 ハーフミラー
15 分光器

21 検出用DNA
22 相補DNA
23 相補鎖

31 光ファイバ
31a 先端面
32 光検知器
33、35 紫外線硬化樹脂
34 ガラス平面

Claims (10)

  1. 入射光の波長と同程度又は前記波長以下の微細構造を有し、前記入射光と前記微細構造に依存した表面プラズモンモードとの光結合が共振条件で強くなることにより、波長選択的な光応答を示すメタマテリアル構造体であって、
    前記微細構造は、回転対称に二次元周期配列された単位構造から成ることを
    特徴とするメタマテリアル構造体。
  2. 前記入射光の波長が2500nm以下であることを特徴とする請求項1記載のメタマテリアル構造体。
  3. 偏光無依存であることを特徴とする請求項1または2記載のメタマテリアル構造体。
  4. 前記微細構造は、前記単位構造の二次元の配列面に沿って、前記単位構造を、縦方向および/または横方向に規則的に複数並べて配置して成ることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載のメタマテリアル構造体。
  5. 前記微細構造は、金、銀、銅、アルミニウムまたは遷移金属系窒化物から成ることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載のメタマテリアル構造体。
  6. 請求項1乃至5のいずれか1項に記載のメタマテリアル構造体を有することを特徴とする屈折率センサ。
  7. 光ファイバを有し、
    前記メタマテリアル構造体は、前記光ファイバの先端に設けられていることを
    特徴とする請求項6記載の屈折率センサ。
  8. ガラスプレートを有し、
    前記メタマテリアル構造体は、前記ガラスプレートの表面に設けられていることを
    特徴とする請求項6記載の屈折率センサ。
  9. 前記微細構造の表面に付着された検出用作用体を有し、
    前記検出用作用体は、検出対象と相互作用可能であることを
    特徴とする請求項6乃至8のいずれか1項に記載の屈折率センサ。
  10. 前記検出用作用体は、検出用DNAまたは検出用RNAから成り、前記検出対象であるDNAまたはRNAと相補鎖を形成可能であり、
    前記微細構造は、前記検出用DNAまたは前記検出用RNAを結合可能な材料から成ることを
    特徴とする請求項9記載の屈折率センサ。
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