JPWO2019009354A1 - 排尿障害改善用組成物 - Google Patents

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Abstract

本発明の目的は、従来技術が有する、ノビレチン等の天然物以外にも、同様に排尿障害に効果的であり、且つ安全で、安易に原料を大量に入手することができる天然物由来の成分を含む排尿障害改善用組成物を提供することにある。上記目的は、ギシギシ抽出物を有効成分として含有する、排尿障害改善用組成物により解決される。

Description

関連出願の相互参照
本出願は、2017年7月5日出願の日本特願2017−132109号の優先権を主張し、その全記載は、ここに開示として援用される。
本発明は、排尿障害改善用組成物に関する。
健常人の膀胱は、最大で300〜500mlの尿を溜めることができる。成人では、膀胱内に約200mlの尿が溜まると、尿意に関するシグナルが脳に送られ、初発尿意を感じる。かかるシグナルを脳が受け取ると副交感神経が興奮し、その結果、膀胱のムスカリン受容体が刺激され平滑筋(排尿筋)が収縮する。一方、蓄尿段階では、交感神経が優位になり、排尿筋は弛緩した状態にある。
健常人は、尿意を感じると適切に排尿を行なうことができるが、様々な原因によって、頻尿や尿失禁などの排尿障害が生じると、生活の質(QOL)が著しく低下する。このような排尿障害を放置している人が多いのが現状である。その理由は、病院に行くのが恥ずかしいということ以外に、排尿障害であることを認識できていないことが挙げられる。
2002年に開催された国際禁制学会(International Continence Society)において、「尿意切迫感」を主な症状として、「頻尿」や「夜間頻尿」を伴う症状を「過活動膀胱」(Overactive Bladder: OAB)という疾患として提唱された。この提唱に基づいて、排尿障害に対する診断、治療及び予防の取り組みが盛んになってきた。
OABは、蓄尿段階の膀胱が過剰に反応する結果、突然の強い尿意を感じる疾患であり、加齢とともに有病率が増加することが報告されている。OABの患者では、交感神経と副交感神経との調和が崩れ、蓄尿時にも関わらず排尿筋が不随意に収縮することから尿意切迫感や頻尿が起こる。男性において、OABは、前立腺肥大症を伴うことが報告されている。前立腺は、膀胱の直ぐ下で尿道を取り囲むように存在する。前立腺が加齢に伴って肥大化すると、膀胱出口の尿道が圧迫され、「尿勢減弱」や「残尿感」を引き起こす。女性のOAB患者は、加齢や出産などによって骨盤底筋が緩むことが原因で「腹圧性尿失禁」(くしゃみや咳、運動など一過的に腹部に力が加わる動作の際の尿漏れ)を高頻度で併発することが報告されている。これは、女性の尿道が男性の尿道よりも短いためである。排尿障害は、膀胱から尿道までを含めた範囲において、様々な要因で発症する加齢性疾患であるといえる。従って、排尿障害を予防することは、快適な高齢者生活を送る上で極めて重要である。
OABの治療には、抗コリン薬が有効であることが報告されている(例えば、非特許文献1、該文献の全記載はここに開示として援用される)。しかしながら、市販の抗コリン薬の長期服用は、副作用の虞があった。
OABの治療は、長期間に及ぶことがあるため、最近では、長期間の服用に対して安全性が高い食品素材を用いた排尿障害の予防及び/又は改善用の医薬品として、ノビレチン、タンゲレチン、3’,4’,5,7−テトラメチルケルセチン及びシネンセチンを有効成分とする排尿障害を改善する組成物が、特許文献1(該文献の全記載はここに開示として援用される)に記載されている。
WO2016/075960号パンフレット
Chapple et al., Eur Urol. 2005 Sep;48(3):464−70
特許文献1に記載のノビレチン、タンゲレチン、3’,4’,5,7−テトラメチルケルセチン及びシネンセチンを含む組成物は、柑橘類の中で、主にシークワーサーの果皮を用いた抽出物より得られる。しかし、シークワーサーなどの生産地は限られており、より容易に入手することが可能な原料が求められている。
そこで、本発明は、特許文献1に記載のノビレチン等を含む天然物と比べて、排尿障害に効果的でありながらも、簡便かつ大量に入手することができる天然物由来の成分を含む排尿障害改善用組成物を提供することを、本発明が解決しようとする課題とする。
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意研究開発を進め、生理活性成分を含むとされている種々の天然物について検討したところ、タデ科植物であるギシギシに着眼するに至った。さらに、試行錯誤を繰り返した結果、驚くべきことに、ギシギシの抽出物には排尿障害を改善する作用があることを見出し、ギシギシ抽出物を有効成分として含有する排尿障害改善用組成物を創作することに成功した。
ギシギシとは、タデ科スイバ属(Rumex)の多年草であり、ギシギシ(R.japonicus)、ナガバギシギシ(R.crispus)、エゾノギシギシ(R.obtusifolius)、コガネギシギシ(R.maritimus)などが知られている。ギシギシは、日本全土に分布する多年草であり、十分な供給量を確保できる天然物である。
また、ギシギシ抽出物には、様々な成分が含まれており、その中で主に多く含まれているのが、ネポジンおよびその類縁物である。例えば、ネポジン(CAS登録番号:3785−24−8)は、ムシジンやジアネリジンとも呼ばれており、下記式(1)で表わされる構造を有している。
Figure 2019009354
(1)
このネポジンについては、耐糖能改善作用、血中脂質濃度改善作用、メタボリックシンドローム改善作用といった、5’アデノシン1リン酸活性化プロテインキナーゼ(AMPK)を活性化することにより諸症状を改善する薬理作用を有することが知られている(特許第5727481号公報を参照)。
しかしながら、ギシギシ抽出物が排尿障害、例えば、過活動膀胱由来の切迫性尿失禁、日中排尿回数、夜間排尿回数、尿意切迫感と前立腺肥大由来の日中排尿回数、夜間排尿回数、尿意切迫感、残尿感、出が悪い、および膀胱出口閉塞、及び尿道閉鎖圧の低下由来などの改善に極めて有効であることは全く知られておらず、このことは本発明者らの新知見である。本発明はこれらの知見や成功例を基にして完成するに至った発明である。
したがって、本発明の一態様によれば、以下[1]〜[7]の組成物が提供される。
[1]ギシギシ抽出物を有効成分として含有する、排尿障害改善用組成物。
[2]前記ギシギシ抽出物はネポジン、ネポジン類縁体及び/又はアントラキノン類を有効成分として含有する、[1]に記載の組成物。
[3]前記排尿障害は、頻尿、夜間頻尿、尿失禁、残尿感、尿勢減弱、膀胱収縮力低下、膀胱出口閉塞及び尿道閉鎖圧の低下からなる群より選択される少なくとも1種の排尿障害である、[1]又は[2]に記載の組成物。
[4]前記組成物は、経口用の排尿障害改善用組成物である、[1]〜[3]のいずれか1項に記載の組成物。
[5]前記組成物は、飲食品用組成物又は医薬品用組成物である、[1]〜[4]のいずれか1項に記載の組成物。
[6]前記組成物は、ギシギシ抽出物として1日あたり0.001〜600mg/kgで投与される組成物である、[1]〜[5]のいずれか1項に記載の組成物。
[7][1]〜[6]のいずれか1項に記載の組成物を、個体に投与することにより、該個体の排尿障害を改善する工程を含む、排尿障害の改善方法。
本発明の一態様の組成物によれば、全国に植生しており、簡易に大量に入手できるギシギシを加工して得たギシギシ抽出物を有効成分とすることで、従来技術に比して、工業的規模で経済的に優れた排尿障害を改善するための製品を製造することが可能である。
また、ギシギシは元来生薬で使用されておりその安全性が実証されていることから、本発明において有効成分として用いられているギシギシ抽出物は、排尿障害治療の特徴である長期に服用する場合であっても副作用を低減して使用することが可能なものである。本発明の一態様の組成物は、排尿障害の中でも、下部尿路障害による女性の頻尿の原因の一つである骨盤うっ血モデルに対して有効であり得ることから、潜在的な需要が非常に高く、治療に際して、手軽に服用が可能となる利便性を有する。
図1は、後述する実施例における、骨盤うっ血頻尿ラットの連続膀胱内圧測定(膀胱収縮間隔)に及ぼす、ギシギシ抽出物の静脈投与の効果を示した図である。 図2は、後述する実施例における、骨盤うっ血頻尿患者における、夜間排尿回数を示した図である。
以下、本発明の一態様である組成物及び方法の詳細について説明するが、本発明の技術的範囲は本項目の事項によってのみに限定されるものではなく、本発明はその目的を達成する限りにおいて種々の態様をとり得る。
本発明の一態様である組成物は、ギシギシを由来とする抽出物を有効成分として含有する排尿障害改善用組成物である。
[ギシギシ]
ギシギシとは、通常知られているとおりのタデ科植物の一種であるギシギシであり、例えば、日本全土に分布する多年草であり、路傍や水田の畔などによく見られる雑草として知られている。ギシギシは、初夏に約1mの茎を伸ばして、ソバに似た花を鈴なりにつける植物としても知られている。ギシギシは、特に限定されず、例えば、ギシギシ(Rumex japonicus)、ナガバギシギシ(R.crispus)、エゾノギシギシ(R.obtusifolius)、カラフトノダイオウ(R.gmelini)、キブネダイオウ(R.nepalensis)、R.hastatus、R.alpinus、スイバ(R.acetosa)、R.cripus、R.stenophyllus、R.patientia、R.chalepensis、R.orientalisなどが挙げられる。
ギシギシは、ギシギシの近縁の植物を包含する。ギシギシの近縁の植物としては、例えば、タデ科植物と近縁の植物であるキキョウラン(Dianella ensifolia)、D.revoluta、D.callicarpa、D.nigra;ホソバキスゲ(Hemerocallis minor);リュウゼツラン科植物であるSimethis bicolor Kunth;イソマツ科イソマツ属植物であるLimonium myrianthum;クロウメモドキ科植物であるRhamnus prinoides、R.wightii、R.procumbens;ヤブコウジ科ツルマンリョウ属植物であるMyrsine africana;その他植物であるMaesopsis eminiiなどが挙げられるが、これらに限定されない。
ギシギシは、上記したタデ科植物又はタデ科植物と近縁の植物の1種又は2種以上であればよく、上記具体例として挙げた植物の交配種であってもよい。
ギシギシの部位は、特に限定されないが、根であることが好ましい。ギシギシは、根に加えて、茎、葉、花などの他の部位が混入したものであってもよい。
ギシギシの具体的な例は、ギシギシ、カラフトノダイオウ、ナガバギシギシ、キブネダイオウ、エゾノギシギシ、R.hastatus、D.ensifolia、D.callicarpa(Liliaceae)、D.nigra、ホソバキスゲ及びMyrsine africanaの根;R.prinoidesの葉;R.wightiiの樹皮などである。このうち、ギシギシの根は、羊蹄の名で、生薬として使用されてきた実績があることから好ましい。ギシギシの根には、多く含まれているネポジンに加えて、クリソファノール、エモジン、クリソファノーアンスロン、シュウ酸などが含まれ、抗菌作用や凝血作用などがあることが知られている。
[ギシギシ抽出物]
ギシギシ抽出物は、排尿障害改善作用を示すものであれば、特に限定されない。本発明の技術的範囲はいかなる理論や推測に拘泥されるわけではないが、ネポジン、ネポジン類縁体及び/又はアントラキノン類を高含量で抽出する処理により得られたギシギシ抽出物は、以下に述べる排尿障害を改善する作用を発揮することから、ネポジン及びその類縁体及びアントラキノン類、中でも高含量のネポジンが排尿障害改善作用を発揮すると想定され得る。そこで、ギシギシ抽出物はネポジン、ネポジン類縁体及び/又はアントラキノン類を含有するギシギシ抽出物であることが好ましく、ネポジンを含有するギシギシ抽出物であることがより好ましい。
ネポジン類縁体としては、例えば、下記の式(2)に示す、nakahalene等が挙げられる。アントラキノン類としては、例えば、emodin、chrysophanol、physcionなどが挙げられる。
Figure 2019009354
(2)
ギシギシ抽出物は、ネポジンを高濃度で含有することが好ましい。ギシギシ抽出物におけるネポジン濃度(含有量)は特に限定されないが、例えば、ネポジンは、ギシギシ抽出物の乾燥質量あたり10wt%以上、好ましくは20wt%以上、より好ましくは30wt%以上である。また、ギシギシ抽出物中ネポジン以外に、ネポジン類縁体であるnakahaleneを1〜15wt%程度、好ましくは10wt%以下で含んでもよく、アントラキノン類であるemodin、chrysophanol、physcionなどを1〜10wt%程度、好ましくは8wt%以下で含んでもよい。
ギシギシ抽出物の製造方法については特に限定されないが、例えば、国際出願番号PCT/JP2017/006435の明細書に記載の方法などを挙げることができる。具体的には、以下の工程(1)〜(5)を含む、ネポジン含有ギシギシ抽出物の製造方法などが挙げられる:
(1)ギシギシを、ネポジン可溶性溶媒を用いた抽出処理に供することにより、ギシギシ粗抽出物を得る工程;
(2)前記ギシギシ粗抽出物を、加水処理及び/又は濃縮処理に供することにより、ギシギシ粗抽出物固形分を得る工程;
(3)前記ギシギシ粗抽出物固形分を、弱アルカリ処理に供することにより、弱アルカリ不溶解物を得る工程;
(4)前記弱アルカリ不溶解物を、強アルカリ処理に供することにより、強アルカリ溶解物を得る工程;及び
(5)前記強アルカリ溶解物を、中和処理に供することにより、ネポジン含有ギシギシ抽出物を得る工程。
以下に、ギシギシ抽出物の製造方法の代表例として、ギシギシの根を原料として、ネポジン等を高濃度で含有するギシギシ抽出物を製造する方法を説明するが、ギシギシ抽出物の製造方法は以下のものに限定されない。
花茎が枯る頃(7〜9月)に掘り上げたギシギシの根から細根を取り除いて日干しにし、充分に乾燥させる。乾燥したギシギシの根を粉砕して、所定量を秤量したものに、ギシギシの根に対して2〜10質量倍のエタノールを加えて、室温で5〜15時間静置して、抽出処理を実施し、固液分離手段によりギシギシ残渣を取り除くことによって、ギシギシ粗抽出物を得る。
次いで、得られたギシギシ粗抽出物に、ギシギシ粗抽出物に対して0.2〜0.5倍の水を加え、次いで減圧濃縮に供することにより、加水処理及び濃縮処理を実施し、固液分離手段によりギシギシ粗抽出物液体成分を取り除くことにより、ギシギシ粗抽出物固形分を得る。この際、加水処理及び濃縮処理に代えて、加水処理のみ又は濃縮処理のみを実施してもよい。
次いで、得られたギシギシ粗抽出物固形分について、0.05〜1%(w/v)弱アルカリ水溶液(pH 8〜10)を用いて弱アルカリ処理を実施し、固液分離手段により弱アルカリ溶解物を取り除くことにより、弱アルカリ不溶解物を得る。
次いで、得られた弱アルカリ不溶解物について、0.05〜1%(w/v)強アルカリ水溶液(pH 12〜14)を用いて強アルカリ処理を実施し、固液分離手段により強アルカリ不溶解物を取り除くことにより、強アルカリ溶解物を得る。
次いで、得られた強アルカリ溶解物について、酸(pH 1〜3)を用いて、溶液のpHが7〜8になるように中和処理を実施し、固液分離手段により中和溶液溶解物を取り除くことにより、ギシギシ抽出物を得る。
以上のようにして、ギシギシの根の抽出物から、本発明のネポジン等を多く含むギシギシ抽出物を得ることができる。得られた質量分析(MS)、核磁気共鳴分析(NMR)等に供して各種スペクトルデータを得、これらを文献値と比較することにより、構造を決定することができる。
[排尿障害]
本発明の一態様の組成物は、排尿障害改善作用を有する。本明細書において、用語「排尿障害」とは、ある対象において、自覚症状としてまたは適当な検査の結果として排尿の困難が認められることを意味し、ここで排尿の困難には、排出症状および蓄尿症状を含む、排尿に関連する何らかの不都合が生じている任意の状態が含まれる。排尿障害は下部尿路機能障害ともいえる。ここで排出症状とは、尿の排出障害を主とするものであり、尿勢低下、尿線途絶、排尿遅延、尿閉、残尿感等をきたしている状態である。また蓄尿症状とは、尿の膀胱への貯尿不全の状態であり、それにより例えば、昼間頻尿、夜間頻尿、尿意切迫感、尿失禁等をきたす。本発明の組成物は、少なくともこれらのいずれか一種の排尿障害を対象とする。後述するように、これらの症状は様々な疾患に付随して生じ得る。
本明細書において、用語「改善」とは、疾患や症状などの発生の防止及び遅延;疾患や症状などの発生の危険性の低下;疾患、症状及び状態の好転;疾患、症状及び状態の悪化の防止や遅延;機能の維持、悪化の防止及び遅延などを包含する。したがって、本発明の一態様の組成物は、排尿障害改善作用を有することにより、使用個体の排尿障害を予防、抑制、緩和、治療などをすることが期待できる。
上に例示したような排出症状または蓄尿症状は、例えば、過活動膀胱、前立腺肥大症、膀胱収縮力低下、膀胱出口閉塞、及び尿道閉鎖圧の低下等の疾患または状態に付随するものであり得る。本発明の一態様の組成物が改善する排尿障害は、例えば、上記したような排出症状及び蓄尿症状並びに過活動膀胱、前立腺肥大症、膀胱収縮力低下、膀胱出口閉塞、及び尿道閉鎖圧の低下等の疾患または状態に付随するものであり得る。
過活動膀胱は、我慢できない尿意が急に生じる症状である尿意切迫感を伴う。また、過活動膀胱は、頻尿、夜間頻尿及び尿失禁からなる群より選択される1又は複数の症状を伴ってもよい。過活動膀胱の治療では、抗コリンが第一選択薬として用いられる。前立腺肥大症は、下部尿路閉塞による、尿流抵抗の増大及び/又は膀胱血流障害を伴っていてもよい。前立腺肥大症では、α1遮断薬が第一選択薬として用いられる。膀胱収縮力低下、膀胱出口閉塞、及び尿道閉鎖圧の低下は、尿の排出障害であり、尿勢減弱、尿線途絶、排尿遅延、尿閉、残尿感などの症状を伴う。
本願明細書において、排尿障害は、頻尿、夜間頻尿、尿失禁、残尿感、尿勢減弱、尿線途絶、排尿遅延、尿閉からなる群より選択される1又は複数の症状であってもよい。頻尿は、起床から就寝までの排尿回数が多くなる症状である。通常、1日の排尿回数が8回以上の場合は頻尿と診断されるが、これに限定されない。夜間頻尿は、就寝から起床までに排尿のために一時的に起床する症状であり、通常、1回以上の排尿があれば夜間頻尿と診断されるが、これに限定されない。また、尿失禁は、不随意又は無意識に尿が漏れる症状を指す。尿失禁には、腹圧性尿失禁、切迫性尿失禁、溢流性尿失禁、反射性尿失禁、真性尿失禁が含まれる。残尿感は、排尿後も膀胱に尿が残っている(残尿)感覚が伴う症状であり、かかる感覚は、残尿の有無に関係なく生じる。尿勢減弱は、排尿の勢いが低下し、排尿時間が長くなる症状であり、出が悪いといわれる症状である。
尿線途絶は、尿の出口である外尿道口に異常があると、排尿の際に尿線が分かれ、排尿中突然、尿線が中絶する場合を尿線途絶といい、膀胱結石や凝血塊が膀胱の出口をふさぐためにおこる。排尿遅延は尿が出始めるまで時間がかかるものをいい、膀胱以下の部分に異物ができたり炎症がおこったりして尿道が狭くなったときにみられる。尿閉は、膀胱に尿がたまっているにもかかわらず一滴も出ない状態をいい、激しい尿意とともに膀胱が張ってくると非常な苦しみ、前立腺肥大症により生じることがある。膀胱の収縮力が低下すると放尿力が低下し、尿線が細くなる。また、頻尿や尿失禁として尿意切迫感のある過活動膀胱の場合と、尿意切迫感のない頻尿の場合がある。尿意切迫感のあるときには通常は自分の意志では抑制できない膀胱収縮、つまり無抑制膀胱収縮が出現している。
過活動膀胱には下部尿路自体に原因がある排尿筋過活動の場合と、中枢神経系に原因がある排尿筋過反射の場合がある。尿意切迫感のない頻尿の原因には膀胱のうっ血も挙げられており、それらは慢性前立腺炎の原因のひとつともいわれている。上記症状は、検尿、前立腺特異的抗原(PSA)測定、尿流測定、超音波検査、コンピューター断層撮影(CT)検査、磁気共鳴画像(MRI)検査、排尿時膀胱造影、尿流動態検査又はこれらの組み合わせによって判断することができる。例えば、本発明の一態様の組成物が改善する排尿障害は、過活動膀胱由来の切迫性尿失禁、日中排尿回数、夜間排尿回数、尿意切迫感、前立腺肥大由来の日中排尿回数、夜間排尿回数、尿意切迫感、残尿感、出が悪い、または、膀胱収縮力低下、膀胱出口閉塞、及び尿道閉鎖圧の低下由来の尿閉又は残尿感などであり得る。
排尿障害改善作用の評価は、下部尿路障害モデル動物に対して、これらの抽出物の所定量を所定期間静脈投与したときの、連続膀胱内圧測定を行い、膀胱活動の差を継時的に測定することによって行うことができる。また、使用個体に対しては、本発明の一態様の組成物の所定量を経口投与したときの、夜間頻尿回数等を測定することによって行うことができる。
[排尿障害改善用組成物]
本発明の組成物の具体的な一態様は、ギシギシ抽出物を有効成分として含有する排尿障害改善用組成物である。排尿障害改善作用を有する物質は、一般的には適用された使用個体の排尿に関する神経伝達物質とレセプターとの結合を適正化して、神経伝達環境が良好になるように改善することができるといわれている。そこで、排尿障害改善用組成物は、上記した神経伝達環境を良好にするためのものであり得るが、このようなものに限定されない。
排尿障害改善用組成物の適用対象や適用方法について特に限定されず、例えば、使用個体は動物、中でも哺乳類が挙げられ、哺乳類としてはヒト、イヌ、ネコ、ウシ、ウマなどが挙げられ、これらの中でもヒトであることが好ましい。
排尿障害改善用組成物は、それ自体を単独で、又はそれ自体を配合する飲食品用組成物や医薬品用組成物などの形態をとり得る。したがって、本発明の組成物の具体的な一実施態様は、ギシギシ抽出物を有効成分として含有する、又はギシギシ抽出物を有効成分として含有する排尿障害改善用組成物を含有する、経口用又は非経口用の飲食品用組成物、医薬品用組成物、医薬部外品用組成物、化粧品用組成物、動物飼料用組成物などである。
排尿障害改善用組成物は、上記のとおりに、経口的に投与されるものであっても、非経口的に投与されるものであってもよいが、日常的に摂取することを鑑みれば、経口用組成物であることが好ましく、飲食品用組成物又は経口用医薬品用組成物であることがより好ましい。
飲食品用組成物の具体的な一態様は、例えば、生体に対して一定の機能性を有する飲食品である機能性飲食品である。機能性飲食品は、例えば、特定保健用飲食品、機能性表示飲食品、栄養機能飲食品、保健機能飲食品、特別用途飲食品、栄養補助飲食品、健康補助飲食品、サプリメント、美容食品などのいわゆる健康飲食品に加えて、乳児用飲食品、妊産婦用飲食品、高齢者用飲食品などの特定者用飲食品を包含する。さらに機能性飲食品は、コーデックス(FAO/WHO合同食品規格委員会)の食品規格に基づく健康強調表示(Health claim)が適用される健康飲食品を包含する。
経口用医薬品用組成物は、適用後に少なくとも排尿障害を改善し得る限り、あらゆる経口用医薬品の形態をとり得る。また、経口用医薬品用組成物は、本発明の目的を達成し得る限り、ギシギシ抽出物以外の排尿障害改善作用を有する生理活性物質を配合してもよく、ギシギシ抽出物以外の排尿障害改善作用を有する生理活性物質を有効成分として含有する他の薬剤と併用してもよい。かかる薬剤としては、従来の排尿障害対症療法として用いられてきた抗コリン剤、α1阻害薬、アドレナリン受容体作動薬(ミラベグロン、TAK259など)、ポリ硫酸ペントサン、塩酸ヒアルロン酸ナトリウム、フラボキサート、セルニチンポーレンエキス、β3受容体刺激薬などが挙げられるが、これらに限定されない。
排尿障害改善用組成物の摂取量は特に限定されず、使用個体に求められる排尿改善効果の程度や摂取態様などに応じて適宜設定され得るが、例えば、経口的に摂取される1回量として、使用個体の体重を基準として、ギシギシ抽出物として1日あたり0.0001〜1,000mg/kgであり、好ましくは0.001〜600mg/kgであり、より好ましくは0.1〜60mg/kgである。例えば、ギシギシ抽出物のネポジン含量が10〜30wt%の場合、ギシギシ抽出物として0.001〜600mg/kgは、0.0001〜180mg/kgのネポジン投与量に相当し、ギシギシ抽出物0.1〜60mg/kgは0.01〜18mg/kgのネポジン投与量に相当する。
排尿障害改善用組成物の摂取回数は特に限定されないが、例えば、1日1〜3回であり、使用個体の排尿障害の程度や摂取量に応じて適宜回数を増減することができる。排尿障害改善用組成物の摂取期間は、一定期間、すなわち3日以上、好ましくは1週間以上、より好ましくは2週間以上、さらに好ましくは1ヶ月以上、例えば6ヶ月又は1年以上にわたって継続的に投与することが好ましい。排尿障害改善用組成物の投与は、毎日行うことが好ましいが、期間中継続的に投与する限り、毎日投与しなくてもよい。
本発明の一態様の組成物の1日の摂取量は特に限定されず、例えば、ギシギシ抽出物の総量について0.1〜60,000mg、好ましくは10〜6,000mgである。
経口用の排尿障害改善用組成物の形態は特に限定されず、任意の形態とすることができる。経口用の排尿障害改善用組成物の形態としては、例えば、錠剤、散剤、顆粒剤、粉剤、カプセル剤、丸剤、トローチ剤、液剤などの形態をとり得る。ここで、錠剤には、糖衣錠、コーティング錠、バッカル剤が含まれ、カプセル剤には、硬カプセル剤、軟カプセル剤の双方が含まれる。顆粒剤にはコーティングされた顆粒剤も含まれる。また、液剤には、懸濁剤、乳剤、シロップ剤、エリキシル剤等が含まれ、シロップ剤にはドライシロップも含まれる。
飲食品用組成物とする場合は、例えば、ギシギシ抽出物又は排尿障害改善用組成物を、パン、クッキー、ビスケット、米飯添加用麦、雑穀、うどん、そば、パスタその他の麺類、チーズ、ヨーグルトその他の乳製品、ジャム、マヨネーズ、味噌、醤油その他の大豆製品、茶、コーヒー、ココア、清涼飲料、果実飲料その他の非アルコール性飲料、薬用酒、その他のアルコール性飲料、キャンディー、チョコレートその他のスナック菓子、チューインガム、せんべい、羊羹その他の大豆を原料とする菓子などに添加して一般的な飲食品の形態とすることができる。
排尿障害改善用組成物は、ギシギシ抽出物を少なくとも含有すればよいが、ギシギシ抽出物とその他の成分とを組み合わせたものとすることができる。その他の成分としては特に限定されないが、例えば、飲食品用又は経口用医薬品用の添加物などをその他の成分として用いることができる。例えば、種々の賦形剤、結合剤、滑沢剤、安定剤、希釈剤、増量剤、乳化剤、着色料、香料、香油、増粘剤、光沢剤などをその他の成分として用いることができる。その他の成分の含有量は、本発明の課題解決を妨げない限り、本発明の一態様の組成物の形態などに応じて適宜選択することができる。
賦形剤としては、例えば、乳糖、ブドウ糖、白糖、マンニトール、馬鈴薯デンプン、デキストリン、トウモロコシデンプン、炭酸カルシウム、リン酸カルシウム、硫酸カルシウム、結晶セルロース、カンゾウ末、ゲンチアナ末等を挙げることができる。結合剤としては、例えば、デンプン、トラガントゴム、ゼラチン、シロップ、ポリビニルアルコール、ポリビニルエーテル、ポリビニルピロリドン、ヒドロキシプロピルセルロース、メチルセルロース、エチルセルロース、カルボキシルメチルセルロース等を挙げることができる。崩壊剤としては、例えば、デンプン、寒天、ゼラチン末、カルボキシメチルセルロースナトリウム、カルボキシメチルセルロースカルシウム、結晶セルロース、炭酸カルシウム、メチルセルロース、エチルセルロース、カルボキシルメチルセルロース等を挙げることができる。滑沢剤としては、例えば、タルク、ステアリン酸マグネシウム等を挙げることができる。着色剤としては、飲食品や経口用医薬品に添加することが許容されているものなどを使用することができ、特に限定されない。
錠剤や顆粒剤とする場合には、所望により、白糖、ゼラチン、精製セラック、グリセリン、ソルビトール、エチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ポリビニルピロリドン、フタル酸セルロースアセテート、ヒドロキシプロピルメチルセルロースフタレート、メチルメタクリレート、メタアクリル酸重合体等を用いてコーティングしてもよく、複数層でコーティングすることもできる。さらに顆粒剤や粉剤をエチルセルロースやゼラチンのようなカプセルに詰めてカプセル剤とすることもできる。
経口用の排尿障害改善用組成物の使用方法は特に限定されないが、例えば、排尿障害改善用組成物をそのまま、水などとともに、又は水などで希釈するなどして、飲食することにより経口摂取することができる。使用個体の好みなどに応じて、排尿障害改善用組成物と他の固体物や液状物とを混ぜて経口摂取してもよい。排尿障害改善用組成物を口腔崩壊剤形とした場合は、水なしで経口摂取することができる。
非経口用の排尿障害改善用組成物は、pH調整剤、緩衝剤、安定化剤、可溶化剤などを添加することにより製造できる。非経口用の排尿障害改善用組成物は、例えば、非経口用医薬品組成物や化粧品組成物に適した形態、すなわち非経口用医薬品組成物や化粧品組成物として使用することができる。例えば、非経口用の排尿障害改善用組成物は、そのままで、又は通常非経口用医薬品組成物や化粧品組成物の加工に使用される添加物と混合して、ローション剤、乳剤、ゲル剤、クリーム剤、軟膏剤などの種々の形態に加工され得る。
非経口用医薬品組成物は、ギシギシ抽出物を水溶性溶剤に溶かして、製薬上許容される塩の形態で製剤にした状態で存在し得る。このような製薬上許容される塩の形態としては、生理的に受け入れられる水溶性の塩、例えばナトリウム、カリウム、マグネシウム、カルシウムなどの塩の形で生理的なpHにて緩衝させた形態が挙げられる。また、水溶性溶剤の他に、非水溶性溶剤を用いることができ、このような非水溶性溶剤としては、例えばアルコール、エタノール、プロピレングリコールなどが挙げられる。
非経口用の医薬品組成物は、ギシギシ抽出物以外のその他の成分として、保存剤、緩衝剤などを含有してもよい。保存剤としては、ナトリウム重亜硫酸、ナトリウム重硫酸、ナトリウムチオ硫酸、塩化ベンザルコニウム、クロロブタノール、チメロサール、酢酸フェニル水銀、硝酸フェニル水銀、メチルパラベン、ポリビニルアルコール、フェニルエチルアルコール、アンモニア、ジチオスレイトール、ベータメルカプトエタノールなどが挙げられる。また、緩衝剤としては、炭酸ナトリウム、ホウ酸ナトリウム、リン酸ナトリウム、酢酸ナトリウム、重炭酸ナトリウムなどが挙げられる。非経口用の医薬品用組成物の剤型は特に限定されないが、例えば、注射剤(筋肉、皮下、皮内)、経口製剤、点鼻製剤などが例示される。
排尿障害改善用組成物は、容器に詰めて密封した容器詰組成物とすることができる。容器は特に限定されないが、例えば、アルミなどの金属、紙、PETやPTPなどのプラスチック、1層又は積層(ラミネート)のフィルム袋、レトルトパウチ、真空パック、アルミ容器、プラスチック容器、瓶、缶などの包装容器が挙げられる。排尿障害改善用組成物は、経時的な変質を避けるために、容器に詰めて密封した後に、加圧及び/又は加熱などにより殺菌処理したものであることが好ましい。
[排尿障害の改善方法]
本発明の一態様の方法は、本発明の一態様の組成物を個体に投与することにより、該個体の排尿障害を改善する工程を含む、排尿障害の改善方法である。投与方法や個体の排尿障害の改善効果の確認方法などは、上記項目を適宜参照できる。また、本発明の一態様の方法は、本発明の課題を解決し得る限り、上記した工程の前段若しくは後段又は工程中に、種々の工程や操作を加入することができる。
以下、本発明を実施例によりさらに詳細に説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではなく、本発明の課題を解決し得る限り、本発明は種々の態様をとることができる。
[例1.ギシギシ抽出物の成分の測定方法]
ギシギシ抽出物の抽出成分の含有量(mg)は、カラムとしてCOSMOSIL 5C18−AR−2カラム及び移動相としてMeOH:HO=70:30 0.1%TFAを用いて、流速1ml/min、測定波長225.0nmに設定して、約11〜12分のリテンション・タイムを有するピークとして検量線法により測定した。
[例2.ギシギシ抽出物の製造方法]
ギシギシ根 500gを、ガーデンシュレッダ(「GS−2010」、RYOBI社)で切断し、次いで40℃で24時間温風乾燥を行ない、100gの乾燥ギシギシ根を得た。次いで、エタノール 1Lの中に乾燥ギシギシ根を加え、室温で、8時間静置して、ギシギシ根粗抽出物を得た。得られたギシギシ根粗抽出物をダイヤフラムポンプ及びろ過瓶を用いて吸引濾過して、ギシギシ根粗抽出液を得た。
ギシギシ根粗抽出液に水 500mLを加え、300mL程度になるまで減圧濃縮したところ、固形分が析出した。析出した固形分を遠心分離(7,500rpm、10分間)により分離及び回収した。
得られた固形分を、0.1%(w/v)炭酸水素ナトリウム水溶液 100mlに加えて撹拌処理をすることにより、懸濁物を得た。得られた懸濁物を遠心分離(7,500rpm、10分間)して分離することにより、上清液と沈殿物とを得た。得られた沈殿物を0.1%(w/v)水酸化ナトリウム水溶液 200mlに加えて撹拌処理し、次いで遠心分離(7,500rpm、10分間)により分離して、上清液と沈殿物とを得た。得られた上清液に酢酸 適量を加えて中和することにより固形分を析出させ、次いで遠心分離(7,500rpm、10分間)により分離して、上清液と沈殿物とを得た。得られた沈殿物を乾燥させたところ、沈殿物の乾燥物の量は52mgであった。また、沈殿物の乾燥物の有効成分を上記測定方法を使用して特定したところ、ネポジンの濃度は39.6wt%であった。
また、ネポジンの類縁体(8%;nakahalene)及びアントラキノン類(5%;emodin、chrysophanol、physcion)が含まれていた。したがって、最終生成物として、39.6wt%のネポジンを含有する、ギシギシ根抽出物を得ることができた。
以上のようにして、エタノールを用いて抽出したギシギシ根エタノール粗抽出物の固形分をさらに水、弱アルカリ、強アルカリ及び酸で処理することにより、ネポジン等を高濃度に含有するギシギシ根抽出物を得た。このようにして本発明のギシギシ抽出物を得た。
[例3.ギシギシ抽出物による排尿障害改善作用(1)]
1.骨盤うっ血排尿障害モデルラットの作製
Sprague−Dawley(SD)系メスラット16頭(200g前後)を2%イソフルレン吸入麻酔下に下腹部正中切開し、両側の総腸骨静脈と子宮静脈を結紮して骨盤うっ血状態とし閉創し、骨盤うっ血群とした(障害処理)。なお、両側総腸骨静脈と子宮静脈を周囲組織から剥離する操作のみを行ったSD系メスラット8頭(200g前後)をコントロール群とした(偽処理)。術後3週目に以下の実験に用いた。
2.ギシギシ静脈内投与実験
骨盤うっ血群8頭とコントロール群8頭において、2%イソフルレン吸入麻酔下に、経尿道的に直径約1mmの膀胱内圧測定用のカテーテルを膀胱内に挿入し、3方活栓を用いて、膀胱内への生理食塩水注入路と内圧測定路とした。一側の大腿静脈に静脈留置針を挿入し、ギシギシ抽出物投与用とした。イソフルレン吸入麻酔を止め、ウレタン(0.6mg/kg)浅麻酔拘束下に膀胱内に生理食塩水を注入(3ml/h)しながら連続膀胱内圧測定を行い、膀胱収縮が一定間隔で出現したところで、上記例2で製造した39.6wt%ネポジン含量のギシギシ抽出物(0.1、0.3、1、3mg/kg)をそれぞれ第2〜5群とし、15〜25分間隔で骨盤うっ血群とコントロール群にそれぞれ静脈内投与し、ギシギシ抽出物投与前(第1群)との比較で膀胱活動に及ぼす効果を調べた。なお、連続膀胱内圧測定とは、一定量の生理食塩水を尿道から注入しながら膀胱内の圧力を測定し、膀胱機能を確認する検査のことをいい、ここでは膀胱収縮間隔(分)、基線圧(cmHO)、最大膀胱収縮圧(cmHO)を調べた。
結果は平均±標準誤差で表し、paired t−test又はnon−paired testを用いて、第1〜5群の各コントロール群と比較して、p<0.05を有意とした。結果を以下の表1〜3および図1に示す。
Figure 2019009354
Figure 2019009354
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3.ギシギシ抽出物静脈内投与の結果
ギシギシ抽出物投与前の第1群では、骨盤うっ血群は、そのコントロール群より、膀胱収縮間隔(排尿間隔)が有意に短く、頻尿であった(表1、図1、投与前)。骨盤うっ血群では、ギシギシ抽出物0.3〜3mg/kgを静脈内投与すると、膀胱収縮間隔は濃度依存的に延長し、第4群のギシギシ抽出物1mg/kgの投与では、膀胱収縮間隔は、投与前の第1群の骨盤うっ血群に比較しておよそ2倍まで延長した(表1、図1)。また、第5群のギシギシ抽出物3mg/kgを静脈投与した場合、コントロール群と比較して、骨盤うっ血群では、その膀胱収縮間隔の差が小さく骨盤うっ血群であっても、その頻尿レベルが正常なレベル近くまで改善されていた(表1、図1)。
なお、ギシギシ抽出物静脈内投与は、コントロール群および骨盤うっ血群のいずれに対しても、膀胱の基線圧や最大収縮圧に影響はなかった(表2、表3)。ここで、膀胱の基線圧(尿を溜めていく時の圧力)(表2)及び最大収縮圧(尿を出し切った時の圧力)(表3)に影響がなかったことから、膀胱収縮間隔の影響は、他の物理的な圧迫やその他の別の要因によるものではなく、ギシギシ抽出物の作用によるものであることがわかった。
[例4.ギシギシ抽出物による排尿障害改善作用(2)]
ギシギシ抽出物が、排尿障害による症状及び現象を改善する効果を有していることを証明するため、被験者を対象として以下の試験を行った。
1.被験物質
上記例2で得られたギシギシ抽出物(39.6wt%ネポジン含有粉末)30mg(低用量群)と60mg(高用量群)、これに薬学的に許容可能な賦形剤であるデキストリンを加えてハードカプセルを調製した(以下ギシギシ抽出物錠剤という)。
2.被験者
被験者として、40歳以上メタボリック症候群、ロコモティブ症候群、またはそのリスクのある肥満の成人男女ボランティア、腹囲が男性85cm以上、女性90cm以上の20歳以上の男女60例を対象にした。
3.試験方法
上記被験者を、ギシギシ抽出物錠剤を投与せずにデキストリンのみを投与するギシギシ抽出物非摂取群(n=20)、ギシギシ抽出物粉末を1日当たり30mg/人のギシギシ抽出物錠剤を投与する低用量群(n=20)、及びギシギシ抽出物粉末を1日当たり60mg/人のギシギシ抽出物錠剤を投与する高用量群(n=20)の3群に分けた。なお、ギシギシ抽出物非摂取群には、ギシギシ抽出物粉末を含まないでデキストリンのみを含むカプセルを含む薬剤を上記と同じ条件で経口投与した。いずれの群にも同じ食事をとらせた。
投与は1日1回朝とし、連日投与(内服)した。投与開始時、3週間後の1回目、6週間後の2回目に、夜間頻尿回数を、問診票で調べたとともに、血液学的検査および血液生化学検査を行った。
4.試験結果
血液学的検査及び血液生化学的検査としてグリコアルブミン濃度、TG値、血糖値については、いずれの群についても差がなく、ギシギシ抽出物投与による血糖値や、血清中の中性脂肪濃度に影響がないことが示された(図示しない)。夜間排尿回数については、以下の表4及び図2に示す。高用量群では、開始時で1.1±0.7回が投与開始から3週間後(1回目)で0.7±0.9回、及び6週間後(2回目)では0.7±0.7回と有意に抑制されていた。なお、表4及び図2において、結果は平均±標準偏差で表し、各群の投与開始時との有意差*:p<0.05を表す。
Figure 2019009354
上記の結果から、ギシギシ抽出物錠剤が、その血糖値や中性脂肪には影響を与えず、メタボリック症候群、ロコモティブ症候群の排尿障害を改善する効果を有することが示された。
以上の実施例で示された結果から、ネポジン等含有ギシギシ抽出物を含む組成物は、夜間排尿回数を抑制することから、排尿障害を治療する効果を有することが示された。
本発明の一態様の組成物は、使用個体に対して排尿障害を改善させることが可能になる有用なギシギシ抽出物含有組成物である。

Claims (7)

  1. ギシギシ抽出物を有効成分として含有する、排尿障害改善用組成物。
  2. 前記ギシギシ抽出物はネポジン、ネポジン類縁体及び/又はアントラキノン類を有効成分として含有する、請求項1に記載の組成物。
  3. 前記排尿障害は、頻尿、夜間頻尿、尿失禁、残尿感、尿勢減弱、膀胱収縮力低下、膀胱出口閉塞及び尿道閉鎖圧の低下からなる群より選択される少なくとも1種の排尿障害である、請求項1又は2に記載の組成物。
  4. 前記組成物は、経口用の排尿障害改善用組成物である、請求項1〜3のいずれか1項に記載の組成物。
  5. 前記組成物は、飲食品用組成物又は医薬品用組成物である、請求項1〜4のいずれか1項に記載の組成物。
  6. 前記組成物は、ギシギシ抽出物として1日あたり0.001〜600mg/kgで投与される組成物である、請求項1〜5のいずれか1項に記載の組成物。
  7. 請求項1〜6のいずれか1項に記載の組成物を、個体に投与することにより、該個体の排尿障害を改善する工程を含む、排尿障害の改善方法。
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