JPWO2019009076A1 - ポリカーボネート共重合体 - Google Patents
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Abstract
Description
下記式(1−1)又は(1−2)で表される単位(A)と、下記式(3)で表される単位(B)とを含む、ポリカーボネート共重合体:
(構成2)
ゲルパーミエーションクロマトグラフィー法によるポリスチレン換算による数平均分子量が、10,000〜100,000の範囲であり、かつ分子量分布(Mw/Mn)が、1.5〜3.5の範囲である、構成1に記載のポリカーボネート共重合体。
(構成3)
単位(B)を誘導するジヒドロキシ化合物が、シス−トランス異性体混合物であり、混合物中のシス異性体比率が50%以上である、構成1又は2に記載のポリカーボネート共重合体。
(構成4)
単位(B)を誘導するジヒドロキシ化合物を220℃で窒素雰囲気下で溶融させた際のハーゼン色数(APHA)が、100以下である、構成1〜3のいずれか一項に記載のポリカーボネート共重合体。
(構成5)
粘度平均分子量が10,000〜40,000である、構成1〜4のいずれか一項に記載のポリカーボネート共重合体。
(構成6)
単位(A)として、下記式(4)で表される単位を含む、構成1〜5のいずれかに記載のポリカーボネート共重合体。
(構成7)
単位(A)として、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサンから誘導される単位を含む、構成1〜6のいずれかに記載のポリカーボネート共重合体。
(構成8)
単位(A)として、6,6’−ジヒドロキシ−3,3,3’,3’−テトラメチル−1,1’−スピロビインダンから誘導される単位を含む、構成1〜5のいずれかに記載のポリカーボネート共重合体。
(構成9)
単位(B)として、2,2,4,4−テトラメチル−1,3−シクロブタンジオールから誘導される単位を含む、構成1〜8のいずれかに記載のポリカーボネート共重合体。
(構成10)
脂肪族ジヒドロキシ化合物、脂環式ジヒドロキシ化合物、オキシアルキレングリコール、環状アセタール構造を有するジオールからなる群から選ばれる少なくとも1種の化合物に由来する構成単位をさらに含む、構成1〜9のいずれかに記載のポリカーボネート共重合体。
(構成11)
式(1−1)で表される単位(A)と、式(2)で表される単位(B)とを、主たる構成単位として含み、単位(A)と単位(B)とのモル比(A/B)が5/95〜50/50である、構成1に記載のポリカーボネート共重合体。
(構成12)
式(1−2)で表される単位(A)と、式(2)で表される単位(B)とを、主たる構成単位として含み、ガラス転移温度が126〜175℃であり、JIS 7112に記載の方法で測定した比重が1.10以下である、構成1に記載のポリカーボネート共重合体。
(構成13)
構成1〜12のいずれか一項に記載のポリカーボネート共重合体を含む、樹脂成形品。
(構成14)
構成13に記載の樹脂成形品を含む、自動車内装部品又は自動車外装部品。
(構成15)
アルカリ金属触媒及び/又はアルカリ土類金属触媒の存在下で行われるジヒドロキシ化合物と炭酸ジエステルとのエステル交換反応を含み、前記アルカリ金属触媒及び/又は前記アルカリ土類金属触媒の使用量が、前記ジヒドロキシ化合物1モル当たり0.1μモル〜500μモルの範囲である、構成1〜12のいずれか一項に記載のポリカーボネート共重合体の製造方法。
本発明のポリカーボネート共重合体は、下記式(1−1)又は(1−2)で表される単位(A)と、下記式(3)で表される単位(B)とを含む:
式(1−1)で表される単位(A)は、その式中、R1およびR2は夫々独立して、水素原子、炭素原子数1〜10の芳香族基を含んでもよい炭化水素基またはハロゲン原子を示す。R1およびR2は、夫々独立して水素原子、炭素数1〜6のアルキル基であることが好ましく、さらに水素原子または炭素数1〜3のアルキル基であることがより好ましく、水素原子であることが最も好ましい。
単位(B)は、前記式(3)において、式中、R4、R5、R6、R7は夫々独立して、水素原子、ハロゲン原子、炭素数1〜20のアルキル基または炭素数3〜20のシクロアルキル基を示す。R4、R5、R6、R7は夫々独立して、水素原子、炭素数1〜6のアルキル基、炭素数3〜6のシクロアルキル基であることが好ましく、メチル基がより好ましい。
本発明のポリカーボネート共重合体は、単位(A)と単位(B)とを含み、それらのモル比(A/B)は5/95〜50/50であってもよい。モル比(A/B)が5/95〜50/50の範囲では、耐熱性、耐侯性等について好ましい。単位(A)と単位(B)とのモル比(A/B)は、10/80〜50/50が好ましく、20/80〜50/50がより好ましい。また、単位(A)と単位(B)とのモル比(A/B)は、10/90〜40/60がより好ましく、15/85〜35/65がさらに好ましい。単位(A)がこのような範囲では、耐熱性、表面硬度、耐侯性、耐薬品性等のバランスが好ましい傾向となる。モル比(A/B)は、日本電子社製JNM−AL400のプロトンNMRにて測定し算出することができる。
本発明のポリカーボネート共重合体は、通常のポリカーボネート樹脂を製造するそれ自体公知の反応手段、例えばジヒドロキシ成分に炭酸ジエステルなどのカーボネート前駆物質を反応させる方法により製造される。次にこれらの製造方法について基本的な手段を簡単に説明する。
本発明のポリカーボネート共重合体の数平均分子量(Mn)は、10,000以上、15,000以上、18,000以上、又は20,000以上であってもよく、100,000以下、80,000以下、50,000以下、30,000以下、20,000以下、18,000以下であってもよい。また、同様に、重量平均分子量(Mw)は、15,000以上、20,000以上、30,000以上、又は50,000以上であってもよく、200,000以下、150,000以下、100,000以下、80,000以下、50,000以下、30,000以下であってもよい。さらにその分子量分布(Mw/Mn)は、1.5以上、1.8以上、2.0以上、又は2.3以上であってもよく、3.5以下、3.0以下、2.5以下、又は2.3以下であってもよい。ここで、数平均分子量(Mn)及び重量平均分子量(Mw)は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)法によるポリスチレン換算で得られる値である。具体的には、以下の測定装置及び測定条件が採用される:
測定機種:東ソー製 HLC−8220GPC
カラム:Shodex KF−G+KF−805L×2本+KF−800D
溶離液:THF
温度:カラム恒温槽 40.0℃
流速:1.0mL/min
濃度:0.1wt/vol%
注入量:100μL
前処理:0.2μmフィルターでろ過
検出器:示差屈折計(RI)
本発明のポリカーボネート共重合体は、その粘度平均分子量(Mv)が、好ましくは10,000〜40,000であり、より好ましくは12,000〜35,000であり、さらに好ましくは15,000〜30,000である。粘度平均分子量が上記下限値以上である場合、十分な靭性及び耐衝撃性が得られる傾向にある。また、粘度平均分子量が上記上限値以下である場合、高い成形加工温度を必要とせず、また特殊な成形方法も必要としないため、汎用性に優れる傾向にある。更に溶融粘度の低下により、射出速度依存性もなくなりやすく、外観不良等による歩留まりが向上することがある。
比粘度(ηSP)=(t−t0)/t0
[t0は塩化メチレンの落下秒数、tは試料溶液の落下秒数]
求められた比粘度(ηSP)から次の数式により粘度平均分子量Mvを算出したものである。
ηSP/c=[η]+0.45×[η]2c(但し[η]は極限粘度)
[η]=1.23×10−4Mv0.83
c=0.7
本発明のポリカーボネート共重合体は、示差走査熱量測定(DSC)を行ったとき、単一のガラス転移温度(以下、Tgと略す)を示す。Tgは、好ましくは125〜175℃、より好ましくは130〜160℃である。また、Tgは126〜175℃であってもよく、好ましくは128〜170℃であり、より好ましくは130〜160℃である。ガラス転移温度(Tg)が、上記下限値以上であると耐熱性が十分となり、また、上記上限値以下であると成形加工性が良好となり好ましい。
Tgはティー・エイ・インスツルメント・ジャパン(株)製2910型DSCを使用し、昇温速度20℃/minにて測定することができる。
本発明のポリカーボネート共重合体の比重は、1.10以下が好ましく、1.08以下がより好ましく、1.06以下がさらに好ましい。比重は、JIS 7112 プラスチック−非発泡プラスチックの密度及び比重の測定方法(C法 浮沈法)に準拠し測定した。比重が小さいほど軽量化の観点で好ましい。
本発明のポリカーボネート共重合体は、鉛筆硬度がHB以上又はF以上であることが好ましい。耐傷性に優れるという点で、H以上であることがより好ましく、2H以上であることがさらに好ましい。なお、鉛筆硬度は4H以下で充分な機能を有する。鉛筆硬度は全カーボネート単位を基準として単位(B)の組成比率を増加させることで硬くすることができる。本発明において、鉛筆硬度とは、本発明の共重合体を板状に加工し、特定の鉛筆硬度を有する鉛筆(三菱鉛筆製Hi−uniを使用)で樹脂を擦過した場合に擦過しても擦過痕が残らない硬さのことであり、JIS K−5600に従って測定できる塗膜の表面硬度試験に用いる鉛筆硬度を指標とすることが好ましい。鉛筆硬度は、9H、8H、7H、6H、5H、4H、3H、2H、H、F、HB、B、2B、3B、4B、5B、6Bの順で柔らかくなり、最も硬いものが9H、最も軟らかいものが6Bである。
本発明のポリカーボネート共重合体は、レギュラーガソリンを用いた耐薬品性試験において、ソルベントクラックが発生する限界歪みが0.5%以上であることが好ましく、1.0%以上であることがより好ましい。限界歪みが上記値以上であると、耐ガソリン性が良好であり好ましい。耐薬品性試験は、各部で曲率の異なるベンゲン1/4楕円体冶具に試験片(厚み1mmの角板)を取り付けて、レギュラーガソリン中に浸漬し、1時間後の亀裂発生の終点の歪みを測定するものである。
本発明のポリカーボネート共重合体は、JIS K7211−2に即して測定された高速面衝撃試験による衝撃エネルギーが25J以上であることが好ましく、30J以上であることがより好ましい。さらに、破壊形態が延性破壊であることが好ましい。衝撃エネルギーが上記値以上であると、耐衝撃性が良好であるとともに破壊形態が延性破壊となるため好ましい。
本発明のポリカーボネート共重合体中の芳香族モノヒドロキシ化合物含有量は好ましくは1500ppm以下であり、より好ましくは1200ppm以下であり、さらに好ましくは1000ppm以下である。芳香族モノヒドロキシ化合物含有量は少ないほどポリカーボネート共重合体の色調が良好であり好ましい。なお、特に下限値は限定されないが通常5ppm以上含まれる。
本発明のポリカーボネート共重合体は、本発明の効果を損なわない範囲で、離型剤、熱安定剤、紫外線吸収剤、流動改質剤および帯電防止剤などのそれ自体公知の機能剤を含有できる。
(i)離型剤
本発明のポリカーボネート共重合体は、本発明の効果を損なわない範囲で、離型剤を併用しても良い。離型剤としては、例えば、脂肪酸エステル、ポリオレフィン系ワックス(ポリエチレンワックス、1−アルケン重合体などであり、酸変性などの官能基含有化合物で変性されているものも使用できる)、フッ素化合物(ポリフルオロアルキルエーテルに代表されるフッ素オイルなど)、パラフィンワックス、蜜蝋などを挙げることができる。これらの中でも入手の容易さ、離型性および透明性の点から脂肪酸エステルが好ましい。離型剤を含有させる割合は、ポリカーボネート共重合体100重量部に対して、好ましくは0.001〜2重量部、より好ましくは0.005〜1重量部、さらに好ましくは0.007〜0.5重量部、特に好ましくは0.01〜0.3重量部である。含有量が上記範囲の下限以上では、離型性の改良効果が明確に発揮され、上限以下の場合、成形時の金型汚染などの悪影響が低減され好ましい。
(ii)リン系安定剤
本発明のポリカーボネート共重合体には、その成形加工時の熱安定性を向上させることを主たる目的として各種のリン系安定剤が更に配合されることが好ましい。かかるリン系安定剤としては、亜リン酸、リン酸、亜ホスホン酸、ホスホン酸およびこれらのエステルなどが例示される。更にかかるリン系安定剤は第3級ホスフィンを含む。
本発明のポリカーボネート共重合体には、その成形加工時の熱安定性、および耐熱老化性を向上させることを主たる目的としてヒンダードフェノール系安定剤を配合することができる。かかるヒンダードフェノール系安定剤としては、例えば、α−トコフェロール、ブチルヒドロキシトルエン、シナピルアルコール、ビタミンE、n−オクタデシル−β−(4’−ヒドロキシ−3’,5’−ジ−tert−ブチルフェル)プロピオネート、2−tert−ブチル−6−(3’−tert−ブチル−5’−メチル−2’−ヒドロキシベンジル)−4−メチルフェニルアクリレート、2,6−ジ−tert−ブチル−4−(N,N−ジメチルアミノメチル)フェノール、3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジルホスホネートジエチルエステル、2,2’−メチレンビス(4−メチル−6−tert−ブチルフェノール)、2,2’−メチレンビス(4−エチル−6−tert−ブチルフェノール)、4,4’−メチレンビス(2,6−ジ−tert−ブチルフェノール)、2,2’−メチレンビス(4−メチル−6−シクロヘキシルフェノール)、2,2’−ジメチレン−ビス(6−α−メチル−ベンジル−p−クレゾール)2,2’−エチリデン−ビス(4,6−ジ−tert−ブチルフェノール)、2,2’−ブチリデン−ビス(4−メチル−6−tert−ブチルフェノール)、4,4’−ブチリデンビス(3−メチル−6−tert−ブチルフェノール)、トリエチレングリコール−N−ビス−3−(3−tert−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロピオネート、1,6−へキサンジオールビス[3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、ビス[2−tert−ブチル−4−メチル6−(3−tert−ブチル−5−メチル−2−ヒドロキシベンジル)フェニル]テレフタレート、3,9−ビス{2−[3−(3−tert−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロピオニルオキシ]−1,1,−ジメチルエチル}−2,4,8,10−テトラオキサスピロ[5,5]ウンデカン、4,4’−チオビス(6−tert−ブチル−m−クレゾール)、4,4’−チオビス(3−メチル−6−tert−ブチルフェノール)、2,2’−チオビス(4−メチル−6−tert−ブチルフェノール)、ビス(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)スルフィド、4,4’−ジ−チオビス(2,6−ジ−tert−ブチルフェノール)、4,4’−トリ−チオビス(2,6−ジ−tert−ブチルフェノール)、2,2−チオジエチレンビス−[3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、2,4−ビス(n−オクチルチオ)−6−(4−ヒドロキシ−3’,5’−ジ−tert−ブチルアニリノ)−1,3,5−トリアジン、N,N’−ヘキサメチレンビス−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシヒドロシンナミド)、N,N’−ビス[3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオニル]ヒドラジン、1,1,3−トリス(2−メチル−4−ヒドロキシ−5−tert−ブチルフェニル)ブタン、1,3,5−トリメチル−2,4,6−トリス(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)ベンゼン、トリス(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)イソシアヌレート、トリス(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)イソシアヌレート、1,3,5−トリス(4−tert−ブチル−3−ヒドロキシ−2,6−ジメチルベンジル)イソシアヌレート、1,3,5−トリス2[3(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオニルオキシ]エチルイソシアヌレート、およびテトラキス[メチレン−3−(3’,5’−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]メタンなどが例示される。これらはいずれも入手容易である。上記ヒンダードフェノール系酸化防止剤は、単独でまたは2種以上を組み合わせて使用することができる。
本発明に使用されるポリカーボネート共重合体は紫外線吸収剤を含有することができる。本発明の紫外線吸収剤としては、具体的にはベンゾフェノン系では、例えば、2,4−ジヒドロキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−オクトキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−ベンジロキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−メトキシ−5−スルホキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−メトキシ−5−スルホキシトリハイドライドレイトベンゾフェノン、2,2’−ジヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、2,2’,4,4’−テトラヒドロキシベンゾフェノン、2,2’−ジヒドロキシ−4,4’−ジメトキシベンゾフェノン、2,2’−ジヒドロキシ−4,4’−ジメトキシ−5−ソジウムスルホキシベンゾフェノン、ビス(5−ベンゾイル−4−ヒドロキシ−2−メトキシフェニル)メタン、2−ヒドロキシ−4−n−ドデシルオキシベンソフェノン、および2−ヒドロキシ−4−メトキシ−2’−カルボキシベンゾフェノンなどが例示される。
本発明のポリカーボネート共重合体は、本発明の効果を損なわない範囲で、流動改質剤を含むことができる。かかる流動改質剤としては、スチレン系オリゴマー、ポリカーボネートオリゴマー(高度分岐型、ハイパーブランチ型および環状オリゴマー型を含む)、ポリアルキレンテレフタレートオリゴマー(高度分岐型、ハイパーブランチ型および環状オリゴマー型を含む)高度分岐型およびハイパーブランチ型の脂肪族ポリエステルオリゴマー、テルペン樹脂、並びにポリカプロラクトン等が好適に例示される。かかる流動改質剤は、ポリカーボネート共重合体100重量部当たり、好ましくは0.1〜30重量部、より好ましくは1〜20重量部、さらに好ましくは2〜15重量部である。特にポリカプロラクトンが好適であり、組成割合はポリカーボネート共重合体100重量部あたり、特に好ましくは2〜7重量部である。ポリカプロラクトンの分子量は数平均分子量で表して1,000〜70,000であり、1,500〜40,000が好ましく、2,000〜30,000がより好ましく、2,500〜15,000が更に好ましい。
本発明のポリカーボネート共重合体は、帯電防止性を向上させることを主たる目的として帯電防止剤を配合することができる。帯電防止剤としては、スルホン酸ホスホニウム塩、亜リン酸エステル、カプロラクトン系重合体等を使用することができ、スルホン酸ホスホニウム塩が好ましく使用される。かかるスルホン酸ホスホニウム塩の具体例としては、ドデシルスルホン酸テトラブチルホスホニウム、ドデシルベンゼンスルホン酸テトラブチルホスホニウム、ドデシルベンゼンスルホン酸トリブチルオクチルホスホニウム、ドデシルベンゼンスルホン酸テトラオクチルホスホニウム、オクタデシルベンゼンスルホン酸テトラエチルホスホニウム、ジブチルベンゼンスルホン酸トリブチルメチルホスホニウム、ジブチルナフチルスルホン酸トリフェニルホスホニウム、ジイソプロピルナフチルスルホン酸トリオクチルメチルホスホニウム等が挙げられる。中でも、ポリカーボネートとの相溶性及び入手が容易な点で、ドデシルベンゼンスルホン酸テトラブチルホスホニウムが好ましい。帯電防止剤の量は、ポリカーボネート共重合体100重量部に対し、好ましくは0.1〜5.0重量部、より好ましくは0.2〜3.0重量部、さらに好ましくは0.3〜2.0重量部、特に好ましくは0.5〜1.8重量部配合される。0.1重量部以上では、帯電防止の効果が得られ、5.0重量部以下であると透明性や機械的強度に優れ、成形品表面にシルバーや剥離が生じず外観不良を引き起こし難い。
本発明のポリカーボネート共重合体または樹脂組成物からなる成形品の製造方法は、特に限定されず、ポリカーボネート樹脂について一般に採用されている成形法を任意に採用できる。その例を挙げると、射出成形法、超高速射出成形法、射出圧縮成形法、二色成形法、ガスアシスト等の中空成形法、断熱金型を使用した成形法、急速加熱金型を使用した成形法、発泡成形(超臨界流体も含む)、インサート成形、IMC(インモールドコーティング成形)成形法、押出成形法、シート成形法、熱成形法、回転成形法、積層成形法、プレス成形法などが挙げられる。また、ホットランナー方式を使用した成形法を用いることも出来る。
本発明のポリカーボネート共重合体または樹脂組成物は、表面硬度、耐熱性、耐侯性、耐溶剤性に優れ、且つ低比重であることから、例えば、インストルメントパネル、センターコンソールパネル、カーナビケーション部品、カーオーディオビジュアル部品、オートモバイルコンピュータ部品、表示用メーターカバー、メーター文字板、各種スイッチ類、ディスプレイ前面板、ヒートコントロールパネル、インストルメントパネル、センタークラスター、センターパネル、ルームランプレンズ、ヘッドアップディスプレイ等の各種表示装置、保護部品、透光部品等の自動車内装部品、ヘッドランプレンズ、バックドアパネル、ドアハンドル、エンブレム、グレージング、フェンダー、バンパー、フェーシャ、ドアパネル、サイドガーニッシュ、ピラー、ラジエータグリル、サイドプロテクター、サイドモール、リアプロテクター、リアモール、各種スポイラー、ボンネット、ルーフパネル、トランクリッド、デタッチャブルトップ、ウインドリフレクター、ミラーハウジング、アウタードアハンドル等の自動車用外装部品に好適に適用できる。
(1)シス−トランス比(NMR)
日本電子社製JNM−AL400のプロトンNMRにて測定し、シス−トランス異性体比率(モル比)を算出した。
原料 50mg
溶媒 重DMSO 0.6mL
積算回数:512回
(2)ハーゼン色数(APHA)
試験管に試料15gを秤量し、窒素雰囲気下にて、220℃に加熱したアルミブロックバスヒーターに投入した。15分後、溶融した試料のハーゼン色数(APHA)を日本電飾製色差計TZ6000にて測定した。
日本電子社製JNM−AL400のプロトンNMRにて測定し、ポリマー組成比(モル比)を算出した。
ポリマー量 40mg
溶媒 重クロロホルム(TMS0.05%入り) 0.6mL
積算回数:256回
樹脂組成物の粘度平均分子量を、以下の方法で測定した。ポリカーボネート共重合体0.7gを塩化メチレン100mlに溶解した溶液から、その溶液の20℃における比粘度(ηsp)を測定した。そして、下記式により算出されるMvを粘度平均分子量とした。
ηsp/c=[η]+0.45×[η]2c
[η]=1.23×10−4Mv0.83
ηsp:比粘度
η:極限粘度
c:定数(=0.7)
Mv:粘度平均分子量
樹脂組成物のガラス転移温度をTAインスツルメント社製の熱分析システムDSC−2910を使用して、JIS K7121に従い窒素雰囲気下(窒素流量:40ml/min)、昇温速度:20℃/minの条件下で測定した。
(6)比重
3段型板(厚み2mm分)を400mm×100mmに切削し、JIS 7112記載の方法(浮沈法)にて比重を測定した。
3段型板(厚み2mm分)を用いて、JIS K 5600に準拠し、鉛筆硬度を測定した。
荷重 750g
測定速度 50mm/min
測定距離 7mm
鉛筆 三菱鉛筆製Hi−uni
樹脂組成物を射出成形機(東芝機械株式会社製EC100NII−2Y)により100mm×100mm×1mmの成形板を成形した。120℃で24時間放置後、23℃50%RH環境下でさらに24時間放置した。その後、ベンゲン1/4楕円体冶具に試験片を取り付け、レギュラーガソリン中に1時間浸漬し、取り出し後の亀裂発生終点の歪みを測定し、限界歪みとした。
(9)耐侯性試験
スガ試験機株式会社製スーパーキセノンウェザーメーターを用いて、63℃、相対湿度50%の条件で、3段型板(2mm厚部)を試験し、1000時間後の色相変化をX−Rite社製積分球分光光度計CE−7000Aにて測定し、色差(ΔE CIE L*a*b*)を算出した。
樹脂組成物を射出成形機 日本製鋼所製J−75E3)により、シリンダ温度300℃、金型温度80℃の条件で、保圧時間20秒および冷却時間20秒にて幅50mm、長さ90mm、厚みがゲート側から3mm(長さ20mm)、2mm(長さ45mm)、1mm(長さ25mm)である3段型板を成形した。島津ハイドロショットHTM−1を用いて下記条件にて試験を行い、衝撃エネルギー及び試験後の外観を目視観察した。
試験速度 7m/sec
撃芯径 半径6.4mm半球状
受台径 半径12.8mm円状
試験位置 試験片2mm厚部
ポリカーボネートペレット試料1.25gを塩化メチレン7mLに溶解後、総量が25mlとなるようにアセトンを添加して再沈澱処理を行った。次いで、該処理液を0.2μmディスクフィルターでろ過し、液体クロマトグラフィーにて定量を行った。
数平均分子量(Mn)及び分子量分布(Mw/Mn)は、GPC法によるポリスチレン換算で得られる値であり、以下の測定装置及び測定条件を採用した:
測定機種:東ソー製 HLC−8220GPC
カラム:Shodex KF−G+KF−805L×2本+KF−800D
溶離液:THF
温度:カラム恒温槽 40.0℃
流速:1.0mL/min
濃度:0.1wt/vol%
注入量:100μL
前処理:0.2μmフィルターでろ過
検出器:示差屈折計(RI)
1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン(以下BPTMCと略す、本州化学製)383部、TMCB(東京化成工業製、シス異性体比率60%、APHA80)1600部、ジフェニルカーボネート(以下DPCと略す)2641部、および触媒としてテトラメチルアンモニウムヒドロキシド0.33部と水酸化ナトリウム0.025部を窒素雰囲気下180℃に加熱し溶融させた。その後、2時間をかけて240℃まで昇温を行い、副生するフェノールを留去しながら、40分間かけて反応器内の圧力を101.3kPaから13.4kPaまで減圧した。続いて、応器内の圧力を13.3kPaに保持し、フェノールをさらに留去させながら、80分間、エステル交換反応を行った。内圧を絶対圧で13.3kPaから2kPaまで減圧し、留出するフェノールを系外に除去した。内圧を絶対圧で13.3kPaから2kPaまで減圧し、さらに260℃まで温度を上げ、留出するフェノールを系外に除去した。1時間かけて減圧度を13.4kPaに調整した。その後、1時間かけて減圧度を133Pa以下とした。さらに、内圧が0.3Pa以下に到達後、内圧を保持し、重縮合反応を行った。反応器内の最終的な内部温度は260℃とした。予め定めた所定の攪拌動力となったときに重縮合反応を終了した。
BPTMC776部、TMCB(東京化成工業製、シス異性体比率80%、APHA70)1442部とした以外は実施例1と同様の操作を行い、結果を表1に記載した。
BPTMC1914部、TMCB(東京化成工業製、シス異性体比率60%、APHA80)889部とした以外は実施例1と同様の操作を行い、結果を表1に記載した。
BPTMCを1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン(以下、BPZと略す、本州化学製)991部、TMCB(東京化成工業製、シス異性体比率60%、APHA80)1245部に変更した以外は実施例1と同様の操作を行い、結果を表1に記載した。
BPTMCを1,1−ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)シクロヘキサン(以下、BPOCZと略す、本州化学製)1825部、TMCB(東京化成工業製、シス異性体比率60%、APHA80)889部に変更した以外は実施例1と同様の操作を行い、結果を表1に記載した。
BPTMCを1,1−ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)−3,3,5−シクロヘキサン(以下、BPOCTMCと略す、本州化学製)835部、TMCB(東京化成工業製、シス異性体比率60%、APHA80)1422部に変更した以外は実施例1と同様の操作を行い、結果を表1に記載した。
TMCBを東京化成工業製、シス異性体比率45%(APHA50)とした以外は実施例1と同様の操作を行い、結果を表2に記載した。
TMCBを東京化成工業製、シス異性体比率48%(APHA150)とした以外は実施例1と同様の操作を行い、結果を表2に記載した。
触媒として、水酸化ナトリウムの代わりにステアリン酸バリウム0.44部とした以外は実施例1と同様の操作を行い、結果を表2に記載した。
BPTMC115部、TMCB(東京化成工業製、シス異性体比率60%、APHA80)1725部とした以外は実施例1と同様の操作を行い、結果を表2に記載した。
BPTMC2297部、TMCB(東京化成工業製、シス異性体比率60%、APHA80)711部とした以外は実施例1と同様の操作を行い、結果を表2に記載した。
BPTMC383部及びTMCB1600部の代わりに、6,6’−ジヒドロキシ−3,3,3’,3’−テトラメチル−1,1’−スピロビインダン(以下BPSBIと略す、本州化学製)382部及びTMCB1608部を使用した以外は実施例1と同様の操作を行い、結果を表3に記載した。
BPSBI764部、TMCB(東京化成工業製、シス異性体比率80%、APHA70)1429部とした以外は実施例12と同様の操作を行い、結果を表3に記載した。
BPSBI1911部、TMCB(東京化成工業製、シス異性体比率60%、APHA80)893部とした以外は実施例12と同様の操作を行い、結果を表3に記載した。
BPSBIをスピロビクロマン(以下、BPSBCと略す、東京化成工業製)1685部、TMCB(東京化成工業製、シス異性体比率60%、APHA80)1072部に変更した以外は実施例12と同様の操作を行い、結果を表3に記載した。
TMCBを東京化成工業製、シス異性体比率45%、APHA50とした以外は実施例12と同様の操作を行い、結果を表4に記載した。
TMCBを東京化成工業製、シス異性体比率48%、APHA150とした以外は実施例12と同様の操作を行い、結果を表4に記載した。
触媒として、水酸化ナトリウムの代わりにステアリン酸バリウム0.44部とした以外は実施例12と同様の操作を行い、結果を表4に記載した。
BPSBI114部、TMCB(東京化成工業製、シス異性体比率60%、APHA80)1733部とした以外は実施例12と同様の操作を行い、結果を表4に記載した。
BPSBI2290部、TMCB(東京化成工業製、シス異性体比率60%、APHA80)715部とした以外は実施例12と同様の操作を行い、結果を表4に記載した。
BPTMCを使用せず、TMCB(東京化成工業製、シス異性体比率45%、APHA50)1778部とした以外は実施例1と同様の操作を行ったが、重合反応中に結晶化が生じたため、押出しを中止した。
BPTMCの代わりにビスフェノールA281部とした以外は実施例1と同様の操作を行い、結果を表5に記載した。
BPTMCの代わりにビスフェノールA1406部、TMCB(東京化成工業製、シス異性体比率60%、APHA80)889部とした以外は実施例1と同様の操作を行い、結果を表5に記載した。
ビスフェノールAを原料として得られたポリカーボネート樹脂(帝人製パンライトL−1225Y)を用いて各種評価を行った。結果を表5に記載した。
Claims (15)
- 下記式(1−1)又は(1−2)で表される単位(A)と、下記式(3)で表される単位(B)とを含む、ポリカーボネート共重合体:
- ゲルパーミエーションクロマトグラフィー法によるポリスチレン換算による数平均分子量が、10,000〜100,000の範囲であり、かつ分子量分布(Mw/Mn)が、1.5〜3.5の範囲である、請求項1に記載のポリカーボネート共重合体。
- 単位(B)を誘導するジヒドロキシ化合物が、シス−トランス異性体混合物であり、混合物中のシス異性体比率が50%以上である、請求項1又は2に記載のポリカーボネート共重合体。
- 単位(B)を誘導するジヒドロキシ化合物を220℃で窒素雰囲気下で溶融させた際のハーゼン色数(APHA)が、100以下である、請求項1〜3のいずれか一項に記載のポリカーボネート共重合体。
- 粘度平均分子量が10,000〜40,000である、請求項1〜4のいずれか一項に記載のポリカーボネート共重合体。
- 単位(A)として、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサンから誘導される単位を含む、請求項1〜6のいずれかに記載のポリカーボネート共重合体。
- 単位(A)として、6,6’−ジヒドロキシ−3,3,3’,3’−テトラメチル−1,1’−スピロビインダンから誘導される単位を含む、請求項1〜5のいずれかに記載のポリカーボネート共重合体。
- 単位(B)として、2,2,4,4−テトラメチル−1,3−シクロブタンジオールから誘導される単位を含む、請求項1〜8のいずれかに記載のポリカーボネート共重合体。
- 脂肪族ジヒドロキシ化合物、脂環式ジヒドロキシ化合物、オキシアルキレングリコール、環状アセタール構造を有するジオールからなる群から選ばれる少なくとも1種の化合物に由来する構成単位をさらに含む、請求項1〜9のいずれかに記載のポリカーボネート共重合体。
- 式(1−1)で表される単位(A)と、式(2)で表される単位(B)とを、主たる構成単位として含み、単位(A)と単位(B)とのモル比(A/B)が5/95〜50/50である、請求項1に記載のポリカーボネート共重合体。
- 式(1−2)で表される単位(A)と、式(2)で表される単位(B)とを、主たる構成単位として含み、ガラス転移温度が126〜175℃であり、JIS 7112に記載の方法で測定した比重が1.10以下である、請求項1に記載のポリカーボネート共重合体。
- 請求項1〜12のいずれか一項に記載のポリカーボネート共重合体を含む、樹脂成形品。
- 請求項13に記載の樹脂成形品を含む、自動車内装部品又は自動車外装部品。
- アルカリ金属触媒及び/又はアルカリ土類金属触媒の存在下で行われるジヒドロキシ化合物と炭酸ジエステルとのエステル交換反応を含み、前記アルカリ金属触媒及び/又は前記アルカリ土類金属触媒の使用量が、前記ジヒドロキシ化合物1モル当たり0.1μモル〜500μモルの範囲である、請求項1〜12のいずれか一項に記載のポリカーボネート共重合体の製造方法。
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