JPWO2018235787A1 - 蛍光タンパク質を用いたタンパク質間相互作用の判定方法 - Google Patents

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拓 渡部
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健 井上
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Abstract

第1のタンパク質及び第1の4量体蛍光タンパク質を含む第1の融合タンパク質と、第2のタンパク質及び第1の4量体蛍光タンパク質とは異なる4量体蛍光タンパク質を含む第2の融合タンパク質とを、細胞内に発現させる又は細胞に導入し、前記細胞において第1の融合タンパク質と第2の融合タンパク質との会合により生じる蛍光輝点又は蛍光輝点の形成を介したFRET現象のシグナルを検出することによって、第1のタンパク質と第2のタンパク質との相互作用を判定する方法。

Description

本発明は、タンパク質間相互作用の判定方法及びその応用、並びに当該方法に用いられるためのキットに関する。
多くのタンパク質の機能は、他のタンパク質等との相互作用によって発揮され、シグナル伝達、輸送、代謝といった生命の根本をなす多種多様なシステムの制御に深く関与している。そのため、タンパク質間相互作用を分析することは、タンパク質機能や生物学的機能を解明することのみならず、疾患メカニズムの解明を通した医薬品の開発等においても極めて重要である。
タンパク質間相互作用を分析する手法は多々開発されており、ツーハイブリッド法、共免疫沈降法、表面プラズモン共鳴法、蛍光共鳴エネルギー移動(FRET)法といった様々な方法が利用されている。
本発明者らも、従前、多量化能を有するタンパク質を利用したタンパク質間相互作用の判定方法を開発している(特許文献1)。具体的には、所望のタンパク質(第1のタンパク質及び第2のタンパク質)に、多量化能を有するタンパク質(会合誘導タンパク質及び多量化能を有する蛍光タンパク質)を各々融合させて細胞内に発現させた場合において、第1のタンパク質と第2のタンパク質とが相互作用すれば、多量化能を有するタンパク質同士の会合作用が誘導され、これにより自立的に会合体(蛍光輝点)が形成されるということを見出し、該蛍光輝点の形成を指標としたタンパク質間相互作用の判定方法の開発に、本発明者らは成功している。
しかしながら、前記会合誘導タンパク質として好適に用いられるPB1、SAM等は、オートファジー制御に関するp62タンパク質、転写抑制因子であるTELタンパク質等が有する機能ドメインであり、細胞内における各タンパク質の機能発揮に深く関与する。そのため、かかる機能ドメインを含む前記融合タンパク質を細胞内において発現させた場合には、当該細胞の内在性p62タンパク質、TELタンパク質等の機能を乱すことになり、ひいては所望のタンパク質間相互作用の判定及びそれらの機能解析に影響を与えることが懸念される。
そこで、本発明者らは、所望のタンパク質に融合させる双方の多量化能を有するタンパク質を共に、発現させる細胞にとって外来タンパク質となる蛍光タンパク質とすることで、内在性のタンパク質にある機能ドメイン(PB1ドメイン、SAMドメイン等)を用いずに、タンパク質間相互作用を判定することを着想した。
しかしながら、所望のタンパク質の双方に、同一の4量体蛍光タンパク質(Azami−Green(アザミグリーン、AG)タンパク質)を前記多量化能を有するタンパク質として融合させ、細胞内に発現させた場合には、蛍光輝点が形成されず、タンパク質間相互作用の判定に利用できないことを、本発明者らは昨今見出している(非特許文献1 補足図5のd)。
国際公開第2013/084950号
渡部 拓ら、Sci Rep.2017年4月13日公開、7:46380.
本発明は、前記従来技術の有する課題に鑑みてなされたものであり、対象とするタンパク質の双方に蛍光タンパク質を融合させ、細胞内に発現させ又は導入した場合に、形成される蛍光輝点を指標に、対象タンパク質間の相互作用を判定できる方法を提供することを目的とする。
本発明者らは、前記目的を達成すべく、様々な蛍光タンパク質の組み合わせを用いて検討した。その結果、非特許文献1において開示しているように、対象とするタンパク質の双方に同一の4量体蛍光タンパク質を融合させ、細胞内に発現させても、蛍光輝点は形成されず、対象タンパク質間の相互作用を判定することができなかった。さらに、対象とするタンパク質のいずれか一方に、単量体蛍光タンパク質又は2量体蛍光タンパク質を融合させて細胞内に発現させた場合においても、対象タンパク質間の相互作用を示す蛍光輝点は形成されなかった。
しかしながら、対象とするタンパク質に各々異なる4量体蛍光タンパク質を融合させ、細胞内に発現させた場合においては、蛍光輝点が形成され、該蛍光輝点を指標として、対象タンパク質間の相互作用を判定することができた。
また、前記4量体蛍光タンパク質の一方をドナー蛍光タンパク質に、他方をアクセプター蛍光タンパク質とした場合においても、タンパク質間相互作用依存的に蛍光輝点が形成され、さらに当該蛍光輝点において蛍光共鳴エネルギー移動等(FRET現象)が生じることを見出した。
また、前述の異なる4量体蛍光タンパク質の組み合わせを用いた場合においては、対象がタンパク質間相互作用した際に蛍光輝点を形成しない蛍光タンパク質の組み合わせを用いた場合と比較して、得られるFRET現象の強度(FRET現象のシグナル、FRET現象の効率)が高くなることも明らかにした。
さらに、前述の蛍光輝点を形成できない蛍光タンパク質の組み合わせを用いた場合には、細胞を固定化するとFRET現象のシグナルを検出することすらできなくなる一方で、上述の異なる4量体蛍光タンパク質の組み合わせを用いた場合には、固定化した細胞においてもFRET現象のシグナルを検出でき、かつ、検出対象のタンパク質間相互作用の度合いを感度よく解析できることを見出し、本発明を完成するに至った。
したがって、本発明は、タンパク質間相互作用の判定方法及びその応用、並びに当該方法に用いられるためのキットに関し、より詳しくは、以下の発明を提供するものである。
<1> 第1のタンパク質と第2のタンパク質との相互作用を判定するための方法であって、第1の4量体蛍光タンパク質と第2の4量体蛍光タンパク質とは異なるタンパク質であり、かつ下記工程(1)〜(3)を含む方法
(1) 第1のタンパク質及び第1の4量体蛍光タンパク質を含む第1の融合タンパク質と、第2のタンパク質及び第2の4量体蛍光タンパク質を含む第2の融合タンパク質とを、細胞内に発現させる又は細胞に導入する工程
(2) 前記細胞内における第1の融合タンパク質と第2の融合タンパク質との会合により生じる蛍光輝点を検出する工程
(3) 前記蛍光輝点の検出により、第1のタンパク質と第2のタンパク質との相互作用を判定する工程。
<2> 第1の4量体蛍光タンパク質と第2の4量体蛍光タンパク質のいずれか一方がドナー蛍光タンパク質であり、他方がアクセプター蛍光タンパク質であり、工程(3)において、前記蛍光輝点の形成を介したFRET現象の検出により、第1のタンパク質と第2のタンパク質との相互作用を判定する、<1>に記載の方法。
<3> 特定のタンパク質と相互作用するタンパク質をスクリーニングするための方法であって、第1のタンパク質及び第2のタンパク質のいずれか一方が該特定のタンパク質であり、他方が被検タンパク質であり、前記蛍光輝点又は前記FRET現象の検出により、該特定のタンパク質と相互作用するタンパク質を選択する、<1>又は<2>に記載の方法。
<4> 前記相互作用に関与する第1のタンパク質中のアミノ酸残基又は第2のタンパク質中のアミノ酸残基を同定するための方法であって、該第1のタンパク質及び該第2のタンパク質のいずれかに変異が導入されたタンパク質を用い、前記蛍光輝点又は前記FRET現象の強度が、変異が導入されていないタンパク質を用いた場合と比較して減弱した場合は、該変異が導入されたアミノ酸残基を前記相互作用に関与すると判定する、<1>又は<2>に記載の方法。
<5> 第1のタンパク質と第2のタンパク質との相互作用を調節する物質をスクリーニングするための方法であって、第1の4量体蛍光タンパク質と第2の4量体蛍光タンパク質とは異なるタンパク質であり、かつ下記工程(1)〜(3)を含む方法
(1)被検化合物の存在下で、第1のタンパク質及び第1の4量体蛍光タンパク質を含む第1の融合タンパク質と、第2のタンパク質及び第2の4量体蛍光タンパク質を含む第2の融合タンパク質とを、細胞内に発現させる若しくは細胞に導入する工程、又は、
第1のタンパク質及び第1の4量体蛍光タンパク質を含む第1の融合タンパク質と、第2のタンパク質及び第2の4量体蛍光タンパク質を含む第2の融合タンパク質とを、細胞内に発現させた若しくは細胞に導入した後、該細胞を被検化合物の存在下におく工程、
(2)前記細胞において第1の融合タンパク質と第2の融合タンパク質との会合により生じる蛍光輝点を検出する工程、
(3)前記蛍光輝点の強度が前記被検化合物の非存在下において生じる蛍光輝点の強度より増大する場合は、前記被検化合物を前記相互作用の誘導物質として選択し、前記蛍光輝点の強度が前記被検化合物の非存在下において生じる蛍光輝点の強度より減弱する場合は、前記被検化合物を前記相互作用の抑制物質として選択する工程。
<6> 第1のタンパク質と第2のタンパク質との相互作用を調節する物質をスクリーニングするための方法であって、第1の4量体蛍光タンパク質と第2の4量体蛍光タンパク質のいずれか一方がドナー蛍光タンパク質であり、他方がアクセプター蛍光タンパク質であり、かつ下記工程(1)〜(3)を含む方法
(1)被検化合物の存在下で、第1のタンパク質及び第1の4量体蛍光タンパク質を含む第1の融合タンパク質と、第2のタンパク質及び第2の4量体蛍光タンパク質を含む第2の融合タンパク質とを、細胞内に発現させる若しくは細胞に導入する工程、又は、
第1のタンパク質及び第1の4量体蛍光タンパク質を含む第1の融合タンパク質と、第2のタンパク質及び第2の4量体蛍光タンパク質を含む第2の融合タンパク質とを、細胞内に発現させた若しくは細胞に導入した後、該細胞を被検化合物の存在下におく工程、
(2)前記細胞において第1の融合タンパク質と第2の融合タンパク質との会合により生じる蛍光輝点の形成を介したFRET現象を検出する工程、
(3)前記FRET現象の強度が、前記被検化合物の非存在下において生じるFRET現象の強度より増大する場合は、前記被検化合物を前記相互作用の誘導物質として選択し、前記FRET現象の強度が、前記被検化合物の非存在下において生じるFRET現象の強度より減弱する場合は、前記被検化合物を前記相互作用の抑制物質として選択する工程。
<7> 前記細胞が固定化された細胞である、<1>〜<6>のいずれか一に記載の方法。
<8> 下記(a)〜(k)からなる群から選択される少なくとも一の物質及び使用説明書を含む、<1>〜<7>のうちのいずれか一に記載の方法に用いられるためのキット
(a)第1の4量体蛍光タンパク質をコードするDNAと、第1の4量体蛍光タンパク質と融合して発現されるように、任意のタンパク質をコードするDNAの挿入を可能にするクローニング部位とを含むベクター
(b)第2の4量体蛍光タンパク質をコードするDNAと、第2の4量体蛍光タンパク質と融合して発現されるように、任意のタンパク質をコードするDNAの挿入を可能にするクローニング部位とを含むベクター
(c)第1の融合タンパク質をコードするベクター
(d)第2の融合タンパク質をコードするベクター
(e)(a)又は(c)に記載のベクター及び(b)又は(d)に記載のベクターを含むベクターセット
(f)第1の融合タンパク質をコードするベクターを保持する形質転換細胞
(g)第2の融合タンパク質をコードするベクターを保持する形質転換細胞
(h)第1の融合タンパク質をコードするベクターと第2の融合タンパク質をコードするベクターとを保持する形質転換細胞
(i)第1の融合タンパク質
(j)第2の融合タンパク質
(k)第1の融合タンパク質及び第2の融合タンパク質を含むタンパク質セット。
本発明によれば、対象とするタンパク質の双方に蛍光タンパク質を融合させ、細胞内に発現させ又は導入した場合において、形成される蛍光輝点を指標に、対象タンパク質間の相互作用を判定することが可能となる。さらに、融合させる蛍光タンパク質は、発現させる又は導入する細胞が生来内在するものではない。そのため、当該細胞の機能を乱すおそれが少なく、タンパク質間相互作用の判定を行なうことができる。
また、対象とするタンパク質の一方にドナー4量体蛍光タンパク質を融合させ、他方にアクセプター4量体蛍光タンパク質を融合させて細胞内に発現させ又は導入した場合には、蛍光輝点の形成を介し、FRET現象を効率よく発生させることができ、そのFRET現象を検出することにより、対象タンパク質間の相互作用を判定することもできる。さらに、本発明によれば、固定化した細胞においてもFRET現象を生じさせることができるため、当該FRET現象のシグナルによるタンパク質間相互作用の判定も可能となる。
検出対象(p53及びMDM2)の一方に単量体蛍光タンパク質であるmAG1又はmEGFPを融合させ、他方に4量体蛍光タンパク質を融合させて発現させたCOS7細胞を、観察した結果を示す、蛍光顕微鏡写真である。 検出対象(p53及びMDM2)の双方に同一の4量体蛍光タンパク質であるAG又はMmjを融合させて発現させたCOS7細胞を、観察した結果を示す、蛍光顕微鏡写真である。 検出対象(p53及びMDM2)に異なる4量体蛍光タンパク質(AG及びMmj)を各々融合させて発現させたCOS7細胞を、観察した結果を示す、蛍光顕微鏡写真である。 p53とMDM2とのタンパク質間相互作用の阻害剤であるNutlin−3の添加前後において、p53及びMDM2に異なる4量体蛍光タンパク質(AG及びMmj)を各々融合させて発現させたCOS7細胞を、観察した結果を示す、蛍光顕微鏡写真である。 Nutlin−3の添加前後において、p53及びMDM2に異なる4量体蛍光タンパク質(AG、Mmj又はMR)を融合させて発現させたHEK293細胞を、観察した結果を示す、蛍光顕微鏡写真である。 Nutlin−3の添加前後において、MDM2のN末に4量体蛍光タンパク質AGを融合させてなるタンパク質(AG−MDM2)と、p53のC末にAGとは異なる4量体蛍光タンパク質MRを融合させてなるタンパク質(p53−MR)とを発現させたHEK293細胞を解析した結果を示す、AG及びMRの各蛍光画像、並びにMR/AGのFRET現象の効率を示すRatio画像である。 Nutlin−3の添加前後において、AG−MDM2及びp53−MRを発現させたHEK293細胞を解析した結果を示す、グラフである。なお、グラフは蛍光強度の時間経過を示し、グラフ中、上に位置する点線はAG由来の蛍光強度(Em:510)を示し、下に位置する点線はMR由来の蛍光強度(Em:610)を示す。 Nutlin−3の添加前後において、MDM2のN末に4量体蛍光タンパク質AGを融合させてなるタンパク質(AG−MDM2)と、p53のN末にAGとは異なる4量体蛍光タンパク質MRを融合させてなるタンパク質(MR−p53)とを発現させたHEK293細胞を解析した結果を示す、AG及びMRの各蛍光画像、並びにMR/AGのFRET現象の効率を示すRatio画像である。 Nutlin−3の添加前後において、AG−MDM2及びMR−p53を発現させたHEK293細胞を解析した結果を示す、グラフである。なお、グラフは蛍光強度の時間経過を示し、グラフ中、上に位置する点線はAG由来の蛍光強度(Em:510)を示し、下に位置する点線はMR由来の蛍光強度(Em:610)を示す。 p53及びMDM2に異なる4量体蛍光タンパク質(AG又はMR)を融合させて発現させたHEK293細胞におけるFRET現象の効率を、アクセプターフォトブリーチング法によって解析した結果を示す、疑似カラー画像、各蛍光輝点の拡大図、及びグラフである。 Nutlin−3の添加前後において、p53−MR及びAG−MDM2を発現させたHEK293細胞について、解析した結果を示す、AG及びMRの各蛍光強度を示す画像、及びFRET現象の効率を示すRatio画像である。 p53−MR及びAG−MDM2を発現させたHEK293細胞について、Nutlin−3の添加前後におけるFRET現象の効率を解析した結果を示す、グラフである。なお、グラフは蛍光強度の時間経過を示し、グラフ中、上に位置する点線はAG由来の蛍光強度(Em:510)を示し、下に位置する点線はMR由来の蛍光強度(Em:610)を示す。 Nutlin−3の添加前後において、p53−MRと、MDM2のN末にmAG1を融合させてなるタンパク質(mAG1−MDM2)とを発現させたHEK293細胞を、解析した結果を示す、AG及びMRの各蛍光強度を示す画像、及びFRET現象の効率を示すRatio画像である。 p53−MR及びmAG1−MDM2を発現させたHEK293細胞について、Nutlin−3の添加前後におけるFRET現象の効率を、解析した結果を示す、グラフである。なお、グラフは蛍光強度の時間経過を示し、グラフ中、上に位置する点線はAG由来の蛍光強度(Em:510)を示し、下に位置する点線はMR由来の蛍光強度(Em:610)を示す。 Nutlin−3の添加前後において、MR−p53及びAG−MDM2を発現させたHEK293細胞を、解析した結果を示す、AG及びMRの各蛍光強度を示す画像、及びFRET現象の効率を示すRatio画像である。 MR−p53及びAG−MDM2を発現させたHEK293細胞について、Nutlin−3の添加前後におけるFRET現象の効率を、解析した結果を示す、グラフである。なお、グラフは蛍光強度の時間経過を示し、グラフ中、上に位置する点線はAG由来の蛍光強度(Em:510)を示し、下に位置する点線はMR由来の蛍光強度(Em:610)を示す。 Nutlin−3の添加前後において、MR−p53及びmAG1−MDM2を発現させたHEK293細胞を、解析した結果を示す、mAG1及びMRの各蛍光強度を示す画像、及びFRET現象の効率を示すRatio画像である。 MR−p53とmAG1−MDM2とを発現させたHEK293細胞について、Nutlin−3の添加前後におけるFRET現象の効率を、解析した結果を示す、グラフである。なお、グラフは蛍光強度の時間経過を示し、グラフ中、上に位置する点線はAG由来の蛍光強度(Em:510)を示し、下に位置する点線はMR由来の蛍光強度(Em:610)を示す。 Nutlin−3の添加前後において、p53−MR及びAG−MDM2を発現させたHEK293細胞と、p53−MR及びmAG1−MDM2を発現させたHEK293細胞とにおける、FRET現象のシグナル(MR/AG又はmAG1(Em:610/Em:510))及びmAG1/AGを、解析した結果を示すグラフである。 Nutlin−3の添加前後において、MR−p53及びAG−MDM2を発現させたHEK293細胞と、MR−p53及びmAG1−MDM2を発現させたHEK293細胞とにおける、FRET現象のシグナル及びmAG1/AGを、解析した結果を示すグラフである。 p53−MR及びAG−MDM2を発現させたHEK293細胞と、p53−MR及びmAG1−MDM2を発現させたHEK293細胞とにおいて、Nutlin−3の添加前のFRET現象のシグナルを、Nutlin−3の添加後のそれに対する比率として表すグラフである。 MR−p53及びAG−MDM2を発現させたHEK293細胞と、MR−p53及びmAG1−MDM2を発現させたHEK293細胞とにおいて、Nutlin−3の添加前のFRET現象のシグナルを、Nutlin−3の添加後のそれに対する比率として表すグラフである。 Nutlin−3非存在下又は存在下において、p53−MR及びAG−MDM2が発現しているHEK293細胞(p53−MR/AG−MDM2)と、p53−MR及びmAG1−MDM2を発現させたHEK293細胞(p53−MR/mAG1−MDM2)とを各々パラホルムアルデヒドにより固定化した後の、AG又はmAG1とMRとの蛍光強度を示す画像、及びFRET現象の効率を示すRatio画像である。 Nutlin−3非存在下又は存在下において、MR−p53及びAG−MDM2が発現しているHEK293細胞(MR−p53/AG−MDM2)と、MR−p53及びmAG1−MDM2を発現させたHEK293細胞(MR−p53/mAG1−MDM2)とを各々パラホルムアルデヒドにより固定化した後の、AG又はmAG1とMRとの蛍光強度を示す画像、及びFRET現象の効率を示すRatio画像である。 Nutlin−3非存在下又は存在下において、p53−MR/AG−MDM2、p53−MR/mAG1−MDM2、MR−p53/AG−MDM2及びMR−p53/mAG1−MDM2における、パラホルムアルデヒドにより固定化した後のFRET現象の効率を解析した結果を示す、グラフである。 検出対象(MAX及びMyc)に異なる4量体蛍光タンパク質(AG及びMR)を各々融合させて発現させた細胞を、観察した結果を示す、蛍光顕微鏡写真である。 検出対象(MAX及びMyc)に異なる4量体蛍光タンパク質(AG及びMR)を各々融合させて発現させた細胞を、アクセプターフォトブリーチング法によって解析した結果を示す、蛍光顕微鏡写真である。 BAK及びMCL1間相互作用阻害剤(A−1210477)添加前と添加5分後において、MR−BAK及びAG−MCL1を発現させた細胞における、FRET現象の効率を示すRatio画像である。なお、「MR−BAK」は、BAKのN末に4量体蛍光タンパク質MRを融合させてなるタンパク質を表し、「AG−MCL1」は、MCL1のN末に4量体蛍光タンパク質AGを融合させてなるタンパク質を表す。 A−1210477の添加前後において、MR−BAK及びAG−MCL1を発現させた細胞における、MR及びAGに由来する各蛍光強度の時間経過(図中、上段)、並びにMR/AG比(Em:610/Em:510)の時間経過(図中、下段)を示す、グラフである。上段のグラフにおいて、上に位置する点線はAG由来の蛍光強度(Em:510)を示し、下に位置する点線はMR由来の蛍光強度(Em:610)を示す。なお、それぞれA−1210477の添加60秒前の蛍光強度又は蛍光強度の比率を1として標準化した値の推移を示している。 A−1210477添加前と添加5分後において、MR−BAK及びmAG1−MCL1を発現させた細胞における、FRET現象の効率を示すRatio画像である。なお、「mAG1−MCL1」は、MCL1のN末に単量体蛍光タンパク質mAG1を融合させてなるタンパク質を表す。 A−1210477の添加前後において、MR−BAK及びmAG1−MCL1を発現させた細胞における、MR及びmAG1に由来する各蛍光強度の時間経過(図中、上段)、並びにMR/mAG1比(Em:610/Em:510)の時間経過(図中、下段)を示す、グラフである。上段のグラフにおいて、上に位置する点線はmAG1由来の蛍光強度(Em:510)を示し、下に位置する点線はMR由来の蛍光強度(Em:610)を示す。 MR−BAK及びmAG1−MCL1を発現させた細胞におけるEm:610/Em:510と、MR−BAK及びAG−MCL1を発現させた細胞におけるそれとを比較した結果を示す、グラフである。 BAX及びMCL1間相互作用阻害剤(A−1210477)添加前と添加5分後において、MR−BAX及びAG−MCL1を発現させた細胞における、FRET現象の効率を示すRatio画像である。なお、「MR−BAX」は、BAXのN末に4量体蛍光タンパク質MRを融合させてなるタンパク質を表す。 A−1210477の添加前後において、MR−BAX及びAG−MCL1を発現させた細胞における、MR及びAGに由来する各蛍光強度の時間経過(図中、上段)、並びにMR/AG比(Em:610/Em:510)の時間経過(図中、下段)を示す、グラフである。上段のグラフにおいて、上に位置する点線はAG由来の蛍光強度(Em:510)を示し、下に位置する点線はMR由来の蛍光強度(Em:610)を示す。 A−1210477添加前と添加5分後において、MR−BAX及びmAG1−MCL1を発現させた細胞における、FRET現象の効率を示すRatio画像である。 A−1210477の添加前後において、MR−BAX及びmAG1−MCL1を発現させた細胞における、MR及びmAG1に由来する各蛍光強度の時間経過(図中、上段)、並びにMR/mAG1比(Em:610/Em:510)の時間経過(図中、下段)を示す、グラフである。上段のグラフにおいて、上に位置する点線はmAG1由来の蛍光強度(Em:510)を示し、下に位置する点線はMR由来の蛍光強度(Em:610)を示す。 MR−BAX及びmAG1−MCL1を発現させた細胞におけるEm:610/Em:510と、MR−BAX及びAG−MCL1を発現させた細胞におけるそれとを比較した結果を示す、グラフである。 mTOR及びFKBP12間相互作用誘導剤(Rapamycin)添加前と添加5分後において、MR−mTOR及びAG−FKBP12を発現させた細胞における、FRET現象の効率を示すRatio画像である。なお、「MR−mTOR」は、mTORのN末に4量体蛍光タンパク質MRを融合させてなるタンパク質を表し、「AG−FKBP12」は、FKBP12のN末に4量体蛍光タンパク質AGを融合させてなるタンパク質を表す。 Rapamycinの添加前後において、MR−mTOR及びAG−FKBP12を発現させた細胞における、MR及びAGに由来する各蛍光強度の時間経過(図中、上段)、並びにMR/AG比(Em:610/Em:510)の時間経過(図中、下段)を示す、グラフである。上段のグラフにおいて、上に位置する点線はMR由来の蛍光強度(Em:610)を示し、下に位置する点線はAG由来の蛍光強度(Em:510)を示す。 Rapamycin添加前と添加5分後において、MR−mTOR及びmAG1−FKBP12を発現させた細胞における、FRET現象の効率を示すRatio画像である。なお、「mAG1−FKBP12」は、FKBP12のN末に単量体蛍光タンパク質mAG1を融合させてなるタンパク質を表す。 Rapamycinの添加前後において、MR−mTOR及びmAG1−FKBP12を発現させた細胞における、MR及びmAG1に由来する各蛍光強度の時間経過(図中、上段)、並びにMR/mAG1比(Em:610/Em:510)の時間経過(図中、下段)を示す、グラフである。上段のグラフにおいて、上に位置する点線はMR由来の蛍光強度(Em:610)を示し、下に位置する点線はmAG1由来の蛍光強度(Em:510)を示す。 MR−mTOR及びmAG1−FKBP12を発現させた細胞におけるEm:610/Em:510と、MR−mTOR及びAG−FKBP12を発現させた細胞におけるそれとを比較した結果を示す、グラフである。 MR−BAK及びAG−MCL1を発現させた生細胞(図中、左側の(A))と、MR−BAK及びmAG1−MCL1を発現させた生細胞(図中、右側の(B))とにおける、FRET現象のシグナル(各グラフ縦軸)と、A−1210477の濃度(各グラフ横軸)との関係を示す、グラフである。 MR−BAK及びAG−MCL1を発現させ固定化した細胞(図中、左側の(A))と、MR−BAK及びmAG1−MCL1を発現させ固定化した細胞(図中、右側の(B))とにおける、FRET現象のシグナル(各グラフ縦軸)と、A−1210477の濃度(各グラフ横軸)との関係を示す、グラフである。 MR−mTOR及びAG−FKBP12を発現させた生細胞(図中、左側の(A))と、MR−mTOR及びmAG1−FKBP12を発現させた生細胞(図中、右側の(B))とにおける、FRET現象のシグナル(各グラフ縦軸)と、Rapamycinの濃度(各グラフ横軸)との関係を示す、グラフである。 MR−mTOR及びAG−FKBP12を発現させ固定化した細胞(図中、左側の(A))と、MR−mTOR及びmAG1−FKBP12を発現させ固定化した細胞(図中、右側の(B))とにおける、FRET現象のシグナル(各グラフ縦軸)と、Rapamycinの濃度(各グラフ横軸)との関係を示す、グラフである。 MR−BAK及びAG−MCL1を発現させた細胞における、A−1210477の濃度と、「視野中の蛍光輝点におけるAGの蛍光強度の総和/視野中のAGを発現している総細胞数」(図中、左側)及び「視野中の蛍光輝点におけるMRの蛍光強度の総和/視野中のMRを発現している総細胞数」(図中、右側)との関係を示す、グラフである。 MR−BAX及びAG−MCL1を発現させた細胞における、A−1210477の濃度と、「視野中の蛍光輝点におけるAGの蛍光強度の総和/視野中のAGを発現している総細胞数」(図中、左側)及び「視野中の蛍光輝点におけるMRの蛍光強度の総和/視野中のMRを発現している総細胞数」(図中、右側)との関係を示す、グラフである。 Rapamycin添加前と添加10分後において、mTOR−DsRed2及びAG−FKBP12を発現させた細胞における、FRET現象の効率を示すRatio画像(上段)と、FRET現象のシグナルを示すグラフ(下段)とを示す。なお、「mTOR−DsRed2」は、mTORのC末に4量体蛍光タンパク質DsRed2を融合させてなるタンパク質を表す。 Rapamycin添加前と添加10分後において、FKBP12−AG及びmTOR−COR5を発現させた細胞における、FRET現象の効率を示すRatio画像(上段)と、FRET現象のシグナルを示すグラフ(下段)とを示す。なお、「mTOR−COR5」は、mTORのC末に4量体蛍光タンパク質COR5を融合させてなるタンパク質を表す。 Rapamycin添加前と添加10分後において、MR−FKBP12及びmTOR−KikGR1を発現させた細胞における、FRET現象の効率を示すRatio画像(上段)と、FRET現象のシグナルを示すグラフ(下段)とを示す。なお、「MR−FKBP12」は、FKBP12のN末に4量体蛍光タンパク質MRを融合させてなるタンパク質を表し、「mTOR−KikGR1」は、mTORのC末に4量体蛍光タンパク質KikGR1を融合させてなるタンパク質を表す。 Rapamycin添加前と添加10分後において、FKBP12−DsRed2及びmTOR−KikGR1を発現させた細胞における、FRET現象の効率を示すRatio画像(上段)と、FRET現象のシグナルを示すグラフ(下段)とを示す。 Rapamycin添加前と添加10分後において、FKBP12−COR5及びmTOR−KikGR1を発現させた細胞における、FRET現象の効率を示すRatio画像(上段)と、FRET現象のシグナルを示すグラフ(下段)とを示す。 Nutlin−3添加前と添加10分後において、Mmj−p53及びMR−MDM2を発現させた細胞における、FRET現象の効率を示すRatio画像(上段)と、FRET現象のシグナルを示すグラフ(下段)とを示す。なお、「Mmj−p53」は、p53のN末に4量体蛍光タンパク質Momiji(Mmj)を融合させてなるタンパク質を表し、「MR−MDM2」は、MDM2のN末に4量体蛍光タンパク質MRを融合させてなるタンパク質を表す。 Rapamycin添加30分後において、AG−FKBP12及びmTOR−mKO1を発現させた細胞を、観察した結果を示す、蛍光顕微鏡写真である。左側は、AG由来の蛍光を検出して観察した結果を示し、右側は、mKO1由来の蛍光を検出して観察した結果を示す。なお、「mTOR−mKO1」は、mTORのC末に単量体蛍光タンパク質mKO1を融合させてなるタンパク質を表す。 Rapamycin添加30分後において、AG−FKBP12及びmTOR−mKO2を発現させた細胞を、観察した結果を示す、蛍光顕微鏡写真である。左側は、AG由来の蛍光を検出して観察した結果を示し、右側は、mKO2由来の蛍光を検出して観察した結果を示す。なお、「mTOR−mKO2」は、mTORのC末に単量体蛍光タンパク質mKO2を融合させてなるタンパク質を表す。 Rapamycin添加30分後において、AG−FKBP12及びmTOR−KO1を発現させた細胞を、観察した結果を示す、蛍光顕微鏡写真である。左側は、AG由来の蛍光を検出して観察した結果を示し、右側は、KO1由来の蛍光を検出して観察した結果を示す。なお、「mTOR−KO1」は、mTORのC末に2量体蛍光タンパク質KO1を融合させてなるタンパク質を表す。 Rapamycin添加30分後において、AG−FKBP12及びmTOR−mKeimaを発現させた細胞を、観察した結果を示す、蛍光顕微鏡写真である。左側は、AG由来の蛍光を検出して観察した結果を示し、右側は、mKeima由来の蛍光を検出して観察した結果を示す。なお、「mTOR−mKeima」は、mTORのC末に単量体蛍光タンパク質mKeimaを融合させてなるタンパク質を表す。 Rapamycin添加30分後において、AG−FKBP12及びmTOR−dKeimaを発現させた細胞を、観察した結果を示す、蛍光顕微鏡写真である。左側は、AG由来の蛍光を検出して観察した結果を示し、右側は、dKeima由来の蛍光を検出して観察した結果を示す。なお、「mTOR−dKeima」は、mTORのC末に2量体蛍光タンパク質dKeimaを融合させてなるタンパク質を表す。 Rapamycin添加30分後において、mAG1−FKBP12及びmTOR−mKO1を発現させた細胞を、観察した結果を示す、蛍光顕微鏡写真である。左側は、mAG1由来の蛍光を検出して観察した結果を示し、右側は、mKO1由来の蛍光を検出して観察した結果を示す。 Rapamycin添加30分後において、mAG1−FKBP12及びmTOR−mKO2を発現させた細胞を、観察した結果を示す、蛍光顕微鏡写真である。左側は、mAG1由来の蛍光を検出して観察した結果を示し、右側は、mKO2由来の蛍光を検出して観察した結果を示す。 Rapamycin添加30分後において、mAG1−FKBP12及びmTOR−KO1を発現させた細胞を、観察した結果を示す、蛍光顕微鏡写真である。左側は、mAG1由来の蛍光を検出して観察した結果を示し、右側は、KO1由来の蛍光を検出して観察した結果を示す。 Rapamycin添加30分後において、mAG1−FKBP12及びmTOR−mKeimaを発現させた細胞を、観察した結果を示す、蛍光顕微鏡写真である。左側は、mAG1由来の蛍光を検出して観察した結果を示し、右側は、mKeima由来の蛍光を検出して観察した結果を示す。 Rapamycin添加30分後において、mAG1−FKBP12及びmTOR−dKeimaを発現させた細胞を、観察した結果を示す、蛍光顕微鏡写真である。左側は、mAG1由来の蛍光を検出して観察した結果を示し、右側は、dKeima由来の蛍光を検出して観察した結果を示す。 Rapamycin添加30分後において、MR−FKBP12及びmTOR−dAG(AB)を発現させた細胞を、観察した結果を示す、蛍光顕微鏡写真である。左側は、MR由来の蛍光を検出して観察した結果を示し、右側は、dAG(AB)由来の蛍光を検出して観察した結果を示す。なお、「mTOR−dAG(AB)」は、mTORのC末に2量体蛍光タンパク質dAG(AB)を融合させてなるタンパク質を表す。 Rapamycin添加30分後において、MR−FKBP12及びmTOR−dAG(AC)を発現させた細胞を、観察した結果を示す、蛍光顕微鏡写真である。左側は、MR由来の蛍光を検出して観察した結果を示し、右側は、dAG(AC)由来の蛍光を検出して観察した結果を示す。なお、「mTOR−dAG(AC)」は、mTORのC末に2量体蛍光タンパク質dAG(AC)を融合させてなるタンパク質を表す。 Rapamycin添加30分後において、MR−FKBP12及びmTOR−mUkG1を発現させた細胞を、観察した結果を示す、蛍光顕微鏡写真である。左側は、MR由来の蛍光を検出して観察した結果を示し、右側は、mUkG1由来の蛍光を検出して観察した結果を示す。なお、「mTOR−mUkG1」は、mTORのC末に単量体蛍光タンパク質mUkG1を融合させてなるタンパク質を表す。 Rapamycin添加30分後において、MR−FKBP12及びmTOR−mMiCy1を発現させた細胞を、観察した結果を示す、蛍光顕微鏡写真である。左側は、MR由来の蛍光を検出して観察した結果を示し、右側は、mMiCy1由来の蛍光を検出して観察した結果を示す。なお、「mTOR−mMiCy1」は、mTORのC末に単量体蛍光タンパク質mMiCy1を融合させてなるタンパク質を表す。 Rapamycin添加30分後において、MR−FKBP12及びmTOR−MiCy1を発現させた細胞を、観察した結果を示す、蛍光顕微鏡写真である。左側は、MR由来の蛍光を検出して観察した結果を示し、右側は、MiCy1由来の蛍光を検出して観察した結果を示す。なお、「mTOR−MiCy1」は、mTORのC末に2量体蛍光タンパク質MiCy1を融合させてなるタンパク質を表す。 Rapamycin添加30分後において、MR−FKBP12及びmTOR−KCy1を発現させた細胞を、観察した結果を示す、蛍光顕微鏡写真である。左側は、MR由来の蛍光を検出して観察した結果を示し、右側は、KCy1由来の蛍光を検出して観察した結果を示す。なお、「mTOR−KCy1」は、mTORのC末に2量体蛍光タンパク質KCy1を融合させてなるタンパク質を表す。
以下、本発明をその好適な実施形態に即して詳細に説明する。また、下記各項目において説明する事項に関しては、当然のことながら特に断りがない限り、本発明全体を通し、他の項目等においても同様に解釈される。
<タンパク質間相互作用を判定するための方法>
本発明のタンパク質間相互作用を判定するための方法は、
第1のタンパク質と第2のタンパク質との相互作用を判定するための方法であって、第1の4量体蛍光タンパク質と第2の4量体蛍光タンパク質とは異なるタンパク質であり、かつ下記工程(1)〜(3)を含む
(1) 第1のタンパク質及び第1の4量体蛍光タンパク質を含む第1の融合タンパク質と、第2のタンパク質及び第2の4量体蛍光タンパク質を含む第2の融合タンパク質とを、細胞内に発現させる又は細胞に導入する工程
(2) 前記細胞において第1の融合タンパク質と第2の融合タンパク質との会合により生じる蛍光輝点を検出する工程
(3) 前記蛍光輝点の検出により、第1のタンパク質と第2のタンパク質との相互作用を判定する工程
を含む方法である。
本発明において「タンパク質」とは2個以上のアミノ酸がペプチド結合により結合した分子及びその修飾体を意味する。したがって、完全長のタンパク質のみならず、いわゆるオリゴペプチドやポリペプチドをも含む概念である。タンパク質の修飾としては、例えば、リン酸化、グリコシル化、パルミトイル化、プレニル化(例えば、ゲラニルゲラニル化)、メチル化、アセチル化、ユビキチン化、SUMO化、ヒドロキシル化、アミド化が挙げられる。
本発明にかかる「第1のタンパク質」及び「第2のタンパク質」としては、相互作用を検出したい所望のタンパク質を用いることができる。また、第1のタンパク質と第2のタンパク質とは異なっていてもよく、同一であってもよい。
本発明にかかる「第1のタンパク質と第2のタンパク質との相互作用」には、直接的な相互作用のみならず、第1のタンパク質と第2のタンパク質との間に他の分子(タンパク質、核酸、糖、脂質、低分子化合物等)を介して複合体を形成するような、間接的な相互作用も含まれる。
本発明にかかる「4量体蛍光タンパク質」は、蛍光を発することができ、かつ細胞内においてホモ4量体を形成することができるタンパク質であればよく、例えば、下記表1〜4に示す蛍光タンパク質が挙げられる。
なお、表1〜4においては、各蛍光タンパク質の、励起波長及び蛍光波長、並びに典型的な配列(配列番号によって特定される配列)も併せて示す。
また、これら蛍光タンパク質のアミノ酸配列は、自然界において(すなわち、非人工的に)変異し得る。また、人為的に変異を導入することもできる。そのため、表1〜4に示した典型的なアミノ酸配列からなる蛍光タンパク質に限らず、このような変異体も、蛍光を発することができ、かつ、細胞内にてホモ4量体を形成することができる限り、本発明において用いることができる。
かかる変異体としては、例えば、表1〜4に示した典型的なアミノ酸配列と90%以上(例えば、91%以上、92%以上、93%以上、94%以上、95%以上、96%以上、97%以上、98%以上、99%以上)の相同性を有するアミノ酸配列からなる4量体蛍光タンパク質が挙げられる。
配列の相同性は、BLASTP(アミノ酸レベル)のプログラム(Altschul et al.J.Mol.Biol.,215:403−410,1990)を利用して決定することができる。BLASTPによってアミノ酸配列を解析する方法の具体的な手法は公知であり、当業者であれば、例えば、当該プログラムのデフォルトパラメーターを用いて解析を行なうことができる。
本発明において、「第1の4量体蛍光タンパク質」及び「第2の4量体蛍光タンパク質」は、異なるタンパク質である。ここで「異なる」とは、第1の4量体蛍光タンパク質と第2の4量体蛍光タンパク質とが互いに会合することがなく、多量体を形成することができない関係を意味する。
また、本発明においては、後述のとおり、タンパク質間相互作用の判定を、蛍光輝点の形成を介したFRET現象の検出によって行なうことができる。かかる観点から、第1の4量体蛍光タンパク質と第2の4量体蛍光タンパク質のいずれか一方がドナー蛍光タンパク質であり、他方がアクセプター蛍光タンパク質であることが好ましい。
「ドナー蛍光タンパク質」及び「アクセプター蛍光タンパク質」は、FRET現象を生じさせるために、前者の蛍光スペクトルと後者の励起スペクトルとが重なり合う関係にあればよく、当業者であれば、例えば、表1〜4に示すような、各蛍光タンパク質の励起波長及び蛍光波長に基づき、これらタンパク質の組み合わせを選択することができる。
本発明にかかる「第1の融合タンパク質」又は「第2の融合タンパク質」においては、第1又は第2の4量体蛍光タンパク質は、第1又は第2のタンパク質のN末側、C末側のいずれに融合させてもよい。さらに、直接的に第1又は第2のタンパク質に融合させてもよく、スペーサータンパク質を介して間接的に融合させてもよい。また、本発明にかかる「第1の融合タンパク質」又は「第2の融合タンパク質」には、他の機能性タンパク質が融合されていてもよい。この場合、他の機能性タンパク質は、融合タンパク質のN末側、C末側のどちらか一方若しくは両側、又は第1若しくは第2の4量体蛍光タンパク質と第1若しくは第2のタンパク質との間に、直接的に又は間接的に融合させることができる。他の機能性タンパク質としては特に制限はなく、本発明にかかる融合タンパク質に付与したい機能に応じて適宜選択される。例えば、融合タンパク質の精製を容易にする目的で用いる機能性タンパク質としては、Myc−タグ(tag)タンパク質、His−タグタンパク質、ヘマグルチン(HA)−タグタンパク質、FLAG−タグタンパク質(登録商標、Sigma−Aldrich社)、グルタチオン−S−トランスフェラーゼ(GST)タンパク質が挙げられる。
本発明にかかる「細胞」としては特に制限はなく、真核細胞であってもよく、原核細胞であってもよく、例えば、動物細胞(HEK293細胞、HeLaS3細胞、U2OS細胞等)、昆虫細胞(Sf9細胞等)、植物細胞、酵母、大腸菌が挙げられる。また、かかる細胞は、生体外で培養した状態(例えば、培地中又は培地上にて生育している細胞)であってもよく、生体内に存在する状態(例えば、第1の融合タンパク質をコードするDNAと第2の融合タンパク質をコードするDNAとが導入されているトランスジェニック動物内の細胞)であってもよい。また、本発明にかかる融合タンパク質は、通常同一の細胞に導入又は発現させることになるが、異なる細胞であってもよい。そして、このような場合、サイトカインと受容体との相互作用、受容体間の相互作用等の、異なる細胞間のタンパク質間相互作用も判定することが可能となる。
また、後述の実施例において示すとおり、本発明によれば、固定化された細胞であっても、タンパク質間相互作用を検出できる。本発明において「固定化」とは、細胞内の構造の全体又は一部において通常生じる動的な変化を停止させることを意味する。また、固定化の方法としては、特に制限はないが、例えば、タンパク質凝固剤、タンパク質架橋剤によって、細胞を処理する方法が挙げられる。さらに、かかる薬剤としても特に制限はないが、例えば、パラホルムアルデヒド、ホルムアルデヒド(ホルマリン)、グルタルアルデヒド、アルコール(エタノール、メタノール)、ホルマリンアルコール、ピクリン酸、Bouin、Zenker、Hely、オスミウム、カルノアが挙げられる。
本発明にかかる融合タンパク質の前記細胞内における発現は、目的に応じて、一過性の発現であってもよく、恒常的な発現であってもよい。融合タンパク質の細胞における発現は、後述の本発明にかかるベクターを前記細胞に導入することにより行うことができる。細胞にベクターを導入する公知の手法としては、動物細胞に対しては、リポフェクション法、電気穿孔法、リン酸カルシウム法、DEAE−デキストラン法、ウィルス(アデノウイルス、レンチウイルス、アデノ随伴ウイルス等)を利用した方法が挙げられる。また、昆虫細胞に対しては、バキュロウィルスを利用した方法が挙げられる。さらに、植物細胞に対しては、アグロバクテリウム法、電気穿孔法、パーティクルガン法等が挙げられる。また、酵母に対しては、酢酸リチウム法、電気穿孔法、スフェロプラスト法が挙げられる。さらに、大腸菌に対しては、熱ショック法(例えば、塩化カルシウム法、塩化ルビジウム法)、電気穿孔法等が挙げられる。
また、本発明において、融合タンパク質の前記細胞内への導入は、当業者であれば細胞の種類に合わせて適宜公知の手法を選択して行うことができる。タンパク質を細胞に導入する公知の手法としては、例えば、タンパク質導入試薬を用いる方法、電気穿孔法、マイクロインジェクション法が挙げられる。
本発明において検出する「蛍光輝点」は、第1の融合タンパク質と第2の融合タンパク質との会合によって生じるものであり、典型的には、拡散状態で存在している第1又は第2の蛍光タンパク質の蛍光強度よりも高い蛍光強度を有する、0.2〜50μm(通常、0.2〜10μm)の領域であり、好ましくは、第1及び第2の蛍光タンパク質の蛍光強度が各々拡散状態で存在しているよりも共に高い蛍光強度を有する、0.2〜50μm(通常、0.2〜10μm)の領域である。
「蛍光輝点の検出」は、例えば、後述の実施例において示すように、市販の蛍光検出装置を用いて行うことができる。かかる蛍光装置としては、例えば、蛍光顕微鏡、蛍光スキャナ、CCDカメラタイプイメージャー、IN Cell Analyzer(GEヘルスケア社製)等のイメージングサイトメーター、マイクロタイタープレートリーダー(蛍光プレートリーダー)、フローサイトメータ等の検出装置を用いることができる。
また、得られた画像を画像解析プログラム(例えば、後述のicyスポット検出プログラム)により処理することによっても、蛍光輝点を検出することができる。なお、かかる蛍光輝点の検出において、検出する蛍光輝点の特性(蛍光輝点が発する蛍光の波長、強度等)、並びに用いる装置及びプログラム等に合わせて、フィルター、検出器、各種パラメーター等の選択、設定は、当業者であれば適宜行うことができる。
例えば、スポット検出解析プログム Icy(J.−C.Olivo−Marin「Extraction of spots in biological images using multiscale products」 Pattern recognition,vol.35−9,1989〜1996ページ,2002年、http://icy.bioimageanalysis.org 参照)における、設定値 Spot Detectorプラグイン(Scale1,Scale2,Scale3 全てにチェックを入れ、感度(Sensitivity)を全て100に設定した際の条件)にて検出可能な「解析プログラムで算出された単位当たりの蛍光強度値」が、バックグランド(例えば、陰性対照となる細胞における同蛍光強度値)の少なくとも2.0倍以上、より好ましくは2.5倍以上、さらにより好ましくは5.0倍以上、特に好ましくは10倍以上であれば、蛍光輝点を検出できたと判定できる。
また、後述の実施例において示すとおり、本発明において、第1の4量体蛍光タンパク質と第2の4量体蛍光タンパク質のいずれか一方をドナー蛍光タンパク質とし、他方をアクセプター蛍光タンパク質とした場合に、これら蛍光タンパク質によって形成される蛍光輝点を介して発生する、FRET現象を効率よく検出することが可能となる。したがって、本発明において、タンパク質間相互作用の判定は、「蛍光輝点の形成を介したFRET現象の検出」によって行うこともできる。
なお、本発明において検出される「FRET現象」は、光励起されたドナー蛍光タンパク質から、励起されていないアクセプター蛍光タンパク質へ、ドナー蛍光放出を経ずに、励起エネルギーが遷移、移動し,ドナーからの蛍光強度が減少し、アクセプター蛍光タンパク質からの蛍光強度が増加する現象(所謂、通常の「蛍光共鳴エネルギー移動(FRET)」)であってもよく、また、ドナー蛍光タンパク質から一旦蛍光が発せられたことにより、アクセプター蛍光タンパク質が励起し、アクセプター蛍光タンパク質からの蛍光強度が増加する現象(再吸収、偽FRET)であってもよいが、本発明においては、その双方を区別することなく、検出することが望ましい(再吸収、偽FRETについては、講義と実習 生細胞蛍光イメージング 阪大・北大 顕微鏡コースブック Practical Course: Fluorescence Microscopy of Living Cells (127ページ)2007年10月25日 初版1刷発行発行者 南条光章 発行所 共立出版株式会社 参照)。
FRET現象の検出は常法により行うことができ、例えば、上述の蛍光検出装置を用いて行うことができる。さらにバックグラウンンドの影響を除くため、時間分解蛍光検出機能がついた装置を用いて行なうこともできる。
そして、本発明の方法においては、細胞において前記蛍光輝点又は該蛍光輝点の形成を介したFRET現象が検出されれば、第1のタンパク質と第2のタンパク質とは相互作用していると判定することができ、前記蛍光輝点が検出されなければ、第1のタンパク質と第2のタンパク質とは相互作用していないと判定することができる。
<タンパク質間相互作用の時間情報等を得るための方法>
本発明の方法は、本発明にかかる蛍光輝点の存在又は非存在を指標として、タンパク質間相互作用の発生のみならず、タンパク質間相互作用の消失を検出することができる。また、かかるタンパク質間相互作用の発生等を経時的に追跡することもできる。さらに、PB1、SAM等といった会合誘導タンパク質の局在、シグナル等に影響を受けることなく、本発明においては細胞内の任意の領域においてタンパク質間相互作用を検出することもできる。
したがって、本発明は、本発明にかかる蛍光輝点又は該蛍光輝点の形成を介したFRET現象を検出することによって、タンパク質間相互作用の発生若しくは消失、該相互作用の発生若しくは消失するまでの時間、又は該相互作用の持続時間を検出する方法を提供することができる。
このような「タンパク質間相互作用の発生若しくは消失」の検出に関して、本発明においては、タンパク質間相互作用が生じる細胞内の領域をも特定することもできる。
また、本発明によれば、かかる「タンパク質間相互作用の発生若しくは消失」の検出を通して、当該タンパク質間相互作用が関与するシグナル伝達の発生及び消失、該シグナル伝達の発生若しくは消失するまでの時間並びに該シグナル伝達の持続時間を検出することができ、さらに該シグナル伝達が生じている細胞内の領域をも特定することもできる。
また、第1のタンパク質と第2のタンパク質との相互作用が特定の刺激に応答して発生又は消失するものであっても、本発明において検出することができる。したがって、本発明は、本発明にかかる蛍光輝点又は該蛍光輝点の形成を介したFRET現象を検出することによって、特定の刺激に応答するタンパク質間相互作用の発生若しくは消失、該相互作用の発生若しくは消失するまでの時間、又は該相互作用の持続時間を検出する方法も提供することができる。
本発明にかかる「特定の刺激」とは、タンパク質間相互作用を直接的に又は間接的に誘導又は阻害できる刺激であればよく、また細胞内で生じる内在性因子による刺激(例えば、細胞内カルシウムイオン濃度の増減、酵素の活性化又は不活性化)であってよく、細胞に与えられる外部からの刺激(例えば、受容体に対するリガンド(アゴニスト又はアンタゴニスト)の細胞への投与)であってもよい。
また、かかる本発明の方法においては、本発明にかかる蛍光輝点又は該蛍光輝点の形成を介したFRET現象を検出することによって、特定の刺激の発生若しくは消失、該刺激の発生若しくは消失するまでの時間、又は該刺激の持続時間を検出することもできる。
さらに、本発明の方法においては、特定の刺激の程度(例えば、特定の刺激が薬剤である場合には、その濃度)に応じたタンパク質間相互作用の増減も検出することができる。従って、特定の刺激が薬剤である場合には、タンパク質間相互作用に対する、その薬剤の50%効果濃度(EC50)及び50%阻害濃度(IC50)を、本発明によって決定することができる。
また、本発明の方法においては、同一の細胞において、多種類のタンパク質間相互作用、特定の刺激に各々依存的な多種類のタンパク質間相互作用、ひいてはこれらタンパク質間相互作用が関与するシグナル伝達を、判別し、検出することができる。
<特定のタンパク質と相互作用するタンパク質のスクリーニング方法>
本発明においては、任意のタンパク質間相互作用を検出することができる。したがって、本発明は、特定のタンパク質と相互作用するタンパク質をスクリーニングするための方法であって、第1のタンパク質及び第2のタンパク質のいずれか一方を該特定のタンパク質とし、他方を被検タンパク質とすることにより、本発明にかかる蛍光輝点又は該蛍光輝点の形成を介したFRET現象の検出により、該特定のタンパク質と相互作用するタンパク質を選択する方法を提供することができる。
本発明にかかる「被検タンパク質」としては特に制限はない。網羅的に効率良く特定のタンパク質と相互作用するタンパク質を選択できるという観点から、cDNAライブラリーがコードするタンパク質群を好適に用いることができる。
<タンパク質間相互作用に関与するアミノ酸残基の同定方法>
本発明において、蛍光輝点の蛍光強度とタンパク質間相互作用の強弱とは相関するものである。したがって、本発明によれば、タンパク質間相互作用に関与する第1のタンパク質中のアミノ酸残基又は第2のタンパク質中のアミノ酸残基を同定するための方法であって、該第1のタンパク質及び該第2のタンパク質のいずれかに変異が導入されたタンパク質を用い、前記蛍光輝点の強度及び/又は該蛍光輝点の形成を介したFRET現象の強度が、変異が導入されていないタンパク質を用いた場合と比較して減弱した場合は、該変異が導入されたアミノ酸残基を前記相互作用に関与すると判定する方法を提供することができる。
本発明にかかる「蛍光輝点の強度」には、一蛍光輝点の蛍光強度のみならず、一定領域内(例えば、一細胞内、蛍光顕微鏡観察における一視野内、一蛍光画像内、プレートリーダーでの検出における一ウェル内)に存在する蛍光輝点の総蛍光強度も含まれる。
また、本発明において、第1の4量体蛍光タンパク質と第2の4量体蛍光タンパク質のいずれか一方をドナー蛍光タンパク質とし、他方をアクセプター蛍光タンパク質とした場合には、「蛍光輝点の形成を介したFRET現象の強度」を指標として前記判定を行うことができる。この場合、蛍光輝点の蛍光強度を指標とする判定の結果を、FRET現象の強度を指標とする判定を行なうことにより、確認することができる。また同様に、FRET現象の強度を指標とする判定の結果を、蛍光輝点の蛍光強度を指標とする判定を行なうことにより、確認することもできる。
「FRET現象の強度」としては、特に制限はなく、FRET現象が起こることによって生じる、ドナー蛍光タンパク質の蛍光強度の減少の程度、アクセプター蛍光タンパク質の蛍光強度の増加の程度、ドナー蛍光タンパク質の蛍光寿命の減少の程度が挙げられ、より具体的には、FRET現象の効率、FRET現象のシグナルが挙げられる。
「FRET現象の効率」として、通常、E=1−(F’/F)によって算出される値を用いることができる。ここで、Fは、アクセプター蛍光タンパク質非存在下のドナー蛍光タンパク質の蛍光強度を示し、F’は、アクセプター蛍光タンパク質存在下のドナー蛍光タンパク質の蛍光強度を示す。
「FRET現象の効率」として、後述の実施例において示すとおり、アクセプターフォトブリーチング法を用いた場合には、E=((Donorpost−Backpost)−(Donorpre−Backpre))/(Donorpost−Backpost)によって算出される値を用いることができる。ここで、Donorpostはアクセプター蛍光タンパク質褪色後のドナー蛍光タンパク質の蛍光強度、Backpostは前記褪色後のバックグラウンドの蛍光強度、Donorpreは前記褪色前のドナー蛍光タンパク質の蛍光強度、Backpreは前記褪色前のバックグラウンドの蛍光強度を示す。
「FRET現象のシグナル」は、後述の実施例に示すように、ドナー蛍光タンパク質の蛍光強度に対するアクセプター蛍光タンパク質の蛍光強度の比率として表すことができる。
なお、本発明にかかる「ドナー蛍光タンパク質の蛍光強度」及び「アクセプター蛍光タンパク質の蛍光強度」には各々、一蛍光輝点におけるドナー蛍光タンパク質の蛍光強度及びアクセプター蛍光タンパク質の蛍光強度のみならず、一定領域内(例えば、一細胞内、蛍光顕微鏡観察における一視野間又は一蛍光画像内、プレートリーダーでの検出における一ウェル内)あたりのドナー蛍光タンパク質の総蛍光強度及びアクセプター蛍光タンパク質の総蛍光強度も含まれる。
「第1のタンパク質等に変異が導入されたタンパク質」の調製は、当業者であれば適宜公知の手法を選択して行うことができる。かかる公知の手法としては、部位特異的変異誘発(site−directed mutagenesis)法が挙げられる。
<タンパク質間相互作用を調節する物質のスクリーニング方法>
本発明の方法において、蛍光輝点の強度を指標として、タンパク質間相互作用の強弱を把握することができる。したがって、本発明によれば、(1)被検化合物の存在下で、第1のタンパク質及び第1の4量体蛍光タンパク質を含む第1の融合タンパク質と、第2のタンパク質及び及2の4量体蛍光タンパク質を含む第2の融合タンパク質とを細胞内に発現させる若しくは細胞に導入する工程、又は、第1のタンパク質及び第1の4量体蛍光タンパク質を含む第1の融合タンパク質と、第2のタンパク質及び第2の4量体蛍光タンパク質を含む第2の融合タンパク質とを、細胞内に発現させた若しくは細胞に導入した後、該細胞を被検化合物の存在下におく工程と、(2)前記細胞内において第1の融合タンパク質と第2の融合タンパク質との会合により生じる蛍光輝点を検出する工程と、(3)前記蛍光輝点の強度が前記被検化合物の非存在下において生じる蛍光輝点の強度より増大する場合は、前記被検化合物を前記相互作用の誘導物質として選択し、前記蛍光輝点の強度が前記被検化合物の非存在下において生じる蛍光輝点の強度より減弱する場合は、前記被検化合物を前記相互作用の抑制物質として選択する工程と、を含む方法を提供することができる。
また、本発明においては、上述のとおり、蛍光輝点の強度のみならず、蛍光輝点の形成を介したFRET現象を指標としても、タンパク質間相互作用を判定することができる。したがって、本発明によれば、(1)被検化合物存在下で、第1のタンパク質及び第1の4量体蛍光タンパク質を含む第1の融合タンパク質と、第2のタンパク質及び第2の4量体蛍光タンパク質を含む第2の融合タンパク質とを細胞内に発現させる若しくは細胞に導入する工程、又は、第1のタンパク質及び第1の4量体蛍光タンパク質を含む第1の融合タンパク質と、第2のタンパク質及び第2の4量体蛍光タンパク質を含む第2の融合タンパク質とを、細胞内に発現させた若しくは細胞に導入した後、該細胞を被検化合物の存在下におく工程と、(2)前記細胞において第1の融合タンパク質と第2の融合タンパク質との会合により生じる蛍光輝点の形成を介したFRET現象を検出する工程と、(3)前記FRET現象の強度が前記被検化合物の非存在下において生じるFRET現象の強度より増大する場合は、前記被検化合物を前記相互作用の誘導物質として選択し、前記FRET現象の強度が前記被検化合物の非存在下において生じるFRET現象の強度より減弱する場合は、前記被検化合物を前記相互作用の抑制物質として選択する工程と、を含む方法も提供することができる。
本発明のスクリーニング方法において使用する被検化合物としては特に制限はなく、例えば、遺伝子ライブラリーの発現産物、合成低分子化合物ライブラリー、ペプチドライブラリー、抗体、細菌放出物質、細胞(微生物、植物細胞、動物細胞)の抽出液及び培養上清、精製又は部分精製ポリペプチド、海洋生物、植物又は動物由来の抽出物、土壌、ランダムファージペプチドディスプレイライブラリーが挙げられる。
また、被検化合物存在下の状態とは、例えば、被検化合物の培地への添加等による被検化合物と本発明にかかる細胞とが接触している状態や、被検化合物が本発明にかかる細胞内に導入された状態が挙げられる。
<本発明の方法に用いられるためのキット>
本発明は、上記方法に用いられるためのキットを提供することができる。本発明のキットは、下記(a)〜(k)からなる群から選択される少なくとも一の物質及び使用説明書を含むキットである。
(a)第1の4量体蛍光タンパク質をコードするDNAと、第1の4量体蛍光タンパク質と融合して発現されるように、任意のタンパク質をコードするDNAの挿入を可能にするクローニング部位とを含むベクター
(b)第2の4量体蛍光タンパク質をコードするDNAと、第2の4量体蛍光タンパク質と融合して発現されるように、任意のタンパク質をコードするDNAの挿入を可能にするクローニング部位とを含むベクター
(c)第1の融合タンパク質をコードするベクター
(d)第2の融合タンパク質をコードするベクター
(e)(a)又は(c)に記載のベクター及び(b)又は(d)に記載のベクターを含むベクターセット
(f)第1の融合タンパク質をコードするベクターを保持する形質転換細胞
(g)第2の融合タンパク質をコードするベクターを保持する形質転換細胞
(h)第1の融合タンパク質をコードするベクターと第2の融合タンパク質をコードするベクターとを保持する形質転換細胞
(i)第1の融合タンパク質
(j)第2の融合タンパク質
(k)第1の融合タンパク質及び第2の融合タンパク質を含むタンパク質セット。
本発明にかかるベクターとしては、本発明にかかる細胞において、挿入されたDNAを発現(転写及び翻訳)するのに必要な制御配列を含むものであればよい。かかる制御配列としては、プロモーター、エンハンサー、サイレンサー、ターミネーター、ポリAテール、リボソーム結合配列(シャイン・ダルガノ(SD)配列)が挙げられる。さらに、本発明にかかるベクターにおいては、選択マーカー(薬剤耐性遺伝子等)、レポーター遺伝子(ルシフェラーゼ遺伝子、β−ガラクトシダーゼ遺伝子、クロラムフェニコールアセチルトランスフェラーゼ(CAT)遺伝子等)を含んでいてもよい。また、このような本発明にかかるベクターの態様としては、例えば、プラスミドベクター、エピソーマルベクター、ウィルスベクターが挙げられる。
本発明にかかるベクターにおいてコードされるタンパク質は前述の通り、第1の4量体、第2の4量体蛍光タンパク質、及びこれらタンパク質との融合タンパク質であるが、かかるタンパク質をコードするDNAの発現の効率をより向上させるという観点から、当該タンパク質を発現させる細胞の種に合わせてコドンを最適化したDNA(例えば、コドンがヒト化されたDNA)が、本発明にかかるベクターには、挿入されていてもよい。
「任意のタンパク質をコードするDNAの挿入を可能にするクローニング部位」としては、例えば、1又は複数の制限酵素認識部位を含むマルチクローニング部位、TAクローニング部位、GATEWAY(登録商標)クローニング部位が挙げられる。
本発明にかかるベクターの標品においては、緩衝液、安定剤、保存剤、防腐剤等の他の成分が添加してあってもよい。
本発明にかかる形質転換細胞は、前述の通り、本発明にかかるベクターを細胞に導入することにより調製することができる。また、本発明にかかる形質転換細胞の標品には、当該細胞の保存、培養に必要な培地、安定剤、保存剤、防腐剤等の他の成分が添加又は付属してあってもよい。
本発明にかかる「使用説明書」は、前記ベクターや形質転換細胞を本発明の方法に利用するための説明書である。説明書は、例えば、本発明の方法の実験手法や実験条件、及び本発明の標品に関する情報(例えば、ベクターの塩基配列やクローニングサイト等が示されているベクターマップ等の情報、形質転換細胞の由来、性質、当該細胞の培養条件等の情報)を含むことができる。
以下、実施例及び比較例に基づいて本発明をより具体的に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
(実施例1) タンパク質間相互作用の検出1
本発明者らは、従前、所望のタンパク質(第1のタンパク質と第2のタンパク質)に多量化能を有するタンパク質(会合誘導タンパク質と多量化能を有する蛍光タンパク質)を各々融合させて細胞内に発現させた場合に、これら融合タンパク質の会合によって生じる蛍光輝点を検出することにより、前記所望のタンパク質間の相互作用を検出できることを、見出している(特許文献1)。
しかしながら、かかるタンパク質間相互作用の検出方法において、前記所望のタンパク質の各々に、前記多量化能を有するタンパク質として同一の4量体蛍光タンパク質を融合させて細胞内に発現させた場合には、蛍光輝点は形成されず、これらタンパク質間の相互作用を検出できないということも、本発明者らは見出している(非特許文献1)。
そこで、かかる多量化能を有するタンパク質を利用したタンパク質間相互作用の検出方法において、前記所望のタンパク質の双方に蛍光タンパク質を融合させて発現させた場合でも、これらタンパク質間の相互作用を検出できる条件につき、以下に示す方法にて、スクリーニングを試みた。
なお、このスクリーニングにおいて検出対象としたのは、p53タンパク質とMDM2タンパク質との相互作用である。また、該相互作用の阻害剤として知られているナトリン−3(Nutlin−3)も、このスクリーニングにおいて後述のとおり用いた(Vassilev LT ら、Science、2004年2月6日、303号、5659巻、844〜848ページ 参照)。
また、検出対象に融合させて発現させる蛍光タンパク質としては、4量体蛍光タンパク質(Azami−Green(AG)、Momiji(Mmj))、2量体蛍光タンパク質(EGFP)、単量体蛍光タンパク質(mAG1、mEGFP)を評価対象とし、後述のとおり適宜組み合わせて用いた。
<pmAG1−p53の調製>
タンパク質間相互作用解析用キット Fluoppi:Ash−hAG[p53−MDM2](株式会社医学生物学研究所製、コード番号:AM−8201M)に含まれるプラスミドベクター pAsh−p53を、制限酵素BamHI及びNotIにて処理することによって、p53をコードする領域を切り出した。次いで、同じ制限酵素の組合せにて処理したphmAG1−MCL(株式会社医学生物学研究所製、コード番号:AM−V0039M)に挿入することによって、mAG1をN末に融合させたp53(mAG1−p53)を発現させるためのプラスミドベクター(pmAG1−p53)を作製した。
<pAG−MDM2の調製>
AGをN末に融合させたMDM2(AG−MDM2)を発現させるためのプラスミドベクター(pAG−MDM2)は、前記キットに含まれているものを使用した。
<pAG−p53の調製>
pAG−MDM2を制限酵素NheI及びAgeIにて処理することによって、AGをコードする領域を切り出した。次いで、同じ制限酵素の組合せにて処理してp53をコードする領域を除いたpmAG1−p53に挿入することによって、AGをN末に融合させたp53(AG−p53)を発現させるためのプラスミドベクター(pAG−p53)を作製した。
<pMmj−MDM2の調製>
pAG−MDM2を、制限酵素NheI及びAgeIにて処理することによって、AGをコードする領域を切断除去した。また、Mmjをコードし、その末端にNheI及びAgeIの認識配列を各々備えたDNA(NheI−Mmj−AgeI、配列番号:44)を人工合成により調製した。次いで、そのDNAを同じ制限酵素の組合せにて処理した後、前記AGをコードする領域を除去したプラスミドベクターに挿入することにより、MmjをN末に融合させたMDM2(Mmj−MDM2)を発現させるためのプラスミドベクター(pMmj−MDM2)を作製した。
<pMmj−p53の調製>
pAG−p53を、制限酵素NheI及びAgeIにて処理することによってAGをコードする領域を切断除去した後、同じ制限酵素の組合せにて処理した前記NheI−Mmj−AgeIを挿入することにより、MmjをN末に融合させたp53(Mmj−p53)を発現させるためのプラスミドベクター(pMmj−p53)を作製した。
<pEGFP−p53の調製>
pAG−p53を、制限酵素NheI及びAgeIにて処理することによって、AGをコードする領域を切断除去した。また、EGFPをコードし、その末端にNheI及びAgeIの認識配列を各々備えたDNA(NheI−EGFP−AgeI、配列番号:45)を人工合成により調製した。次いで、そのDNAを同じ制限酵素の組合せにて処理した後、前記AGをコードする領域を除去したプラスミドベクターに挿入することにより、EGFPをN末に融合させたp53(EGFP−p53)を発現させるためのプラスミドベクター(pEGFP−p53)を作製した。
<pmEGFP−p53の調製>
pAG−p53を、制限酵素NheI及びAgeIにて処理することによって、AGをコードする領域を切断除去した。また、mEGFPをコードし、その末端にNheI及びAgeIの認識配列を各々備えたDNA(NheI−mEGFP−AgeI、配列番号:46)を人工合成により調製した。次いで、そのDNAを同じ制限酵素の組合せにて処理した後、前記AGをコードする領域を除去したプラスミドベクターに挿入することにより、mEGFPをN末に融合させたp53(mEGFP−p53)を発現させるためのプラスミドベクター(pmEGFP−p53)を作製した。
<細胞培養と遺伝子導入>
上記のとおりにして調製したプラスミドベクターを導入するために、先ず、COS7細胞を培養液[DMEM High glucose(SIGMA ALDRICH社製)、10%FBS(EQUITECH社製)、1%ペニシリン・ストレプトマイシン(Thermo Fisher Scientific社製)]にて培養した。次に、同細胞を遺伝子導入前日に8ウェルチャンバースライド(Nunc社製)に播種し、1ウェルあたり、200μLの培養液で培養した。
そして、Opti−MEM(Thermo Fisher Scientific社製)10μLに、上記プラスミドベクターを100ngずつ以下に示す(A)〜(I)の組み合わせにて混合し、DNA溶液を調製した。該DNA溶液に遺伝子導入試薬(Promega社製、製品名:Fugene(登録商標) HD)を0.8μL添加して攪拌し、更に培養液90μLと混合した後、前記COS7細胞に添加し、28時間培養した。
(A)pmAG1−p53+pAG−MDM2
(B)pmEGFP−p53+pAG−MDM2
(C)pmEGFP−p53+pMmj−MDM2
(D)pEGFP−p53+pAG−MDM2
(E)pEGFP−p53+pMmj−MDM2
(F)pAG−p53+pAG−MDM2
(G)pMmj−p53+pMmj−MDM2
(H)pAG−p53+pMmj−MDM2
(I)pMmj−p53+pAG−MDM2。
<細胞の観察>
上記のとおりにして遺伝子導入処理を施したCOS7細胞は、IX−81倒立顕微鏡(オリンパス社製)、U−MNIBA3フィルター(オリンパス社製)、UPlanApox20(N.A.=0.7)(オリンパス社製)及びORCA−Flash4.0デジタルカメラ(浜松ホトニクス製)を用いて観察した(励起波長:470〜495nm、蛍光観察波長:510〜550nm)。得られた結果を図1A〜1Cに示す。また、p53とMDM2の相互作用阻害剤 Nutlin−3を最終濃度20μMになるよう培養液に添加し、室温にて15分間静置した後の細胞も観察した。薬剤の添加前と添加15分後の画像を図1Dに示す。
図1Aに示した結果から明らかなとおり、検出対象(p53及びMDM2)の一方に、単量体蛍光タンパク質であるmAG1又はmEGFPを融合させて発現させたCOS7細胞においては、タンパク質間相互作用を示す蛍光輝点は確認されなかった。また、図には示していないが、検出対象の一方に、2量体蛍光タンパク質であるEGFPを融合させて発現させたCOS7細胞においても、タンパク質間相互作用を示す蛍光輝点は確認されなかった。さらに、検出対象の双方に、同一の4量体蛍光タンパク質であるAG又はMmjを融合させて発現させたCOS7細胞においても、非特許文献1の補足図5のdにおいて示されている結果同様に、タンパク質間相互作用を示す蛍光輝点は確認されなかった(図1B参照)。
しかしながら、図1Cに示した結果から明らかなように、検出対象に異なる4量体蛍光タンパク質を融合させて発現させたCOS7細胞においては、タンパク質間相互作用を示す明確な蛍光輝点が観察された。一方、図1Dに示すとおり、p53とMDM2とのタンパク質間相互作用の阻害剤であるNutlin−3存在下において、これらタンパク質間相互作用を示す蛍光輝点は解消されたことから、当該輝点は前記タンパク質間相互作用に依存して形成されたことが確認された。
以上のとおり、検出対象に異なる4量体蛍光タンパク質を融合させて細胞内に発現させた場合には、検出対象間のタンパク質間相互作用依存的に、蛍光輝点が形成されることが明らかになった。
(実施例2) タンパク質間相互作用の検出2
以下に示すとおり、COS7細胞の代わりにHEK293細胞を用いて実施例1と同様の検討を行なった。さらに、4量体タンパク質であるMonti−Red(MR)を用いてもタンパク質間相互作用を検出できるかを検討した。
<pmAG1−MDM2の調製>
前記タンパク質間相互作用解析用キットに含まれるプラスミドベクター phAG−MDM2を、制限酵素BamHI及びNotIにて処理することによって、MDM2をコードする領域を切り出した。次いで、同じ制限酵素の組合せにて処理したphmAG1−MCLに挿入することによって、mAG1をN末に融合させたMDM2(mAG1−MDM2)を発現させるためのプラスミドベクター(pmAG1−MDM2)を作製した。
<pMR‐MDM2の調製>
pAG−MDM2を制限酵素BamHI及びNotIにて処理することによって、MDM2をコードする領域を切り出した。次いで、同じ制限酵素の組合せにて処理したpMonti−Red−MCL(株式会社医学生物学研究所製、コード番号:AM−VS0802M)に挿入することによって、MRをN末に融合させたMDM2(MR‐MDM2)を発現させるためのプラスミドベクター(pMR‐MDM2)を作製した。
<pMR‐p53の調製>
pAG−p53を制限酵素BamHI及びNotIにて処理することによって、p53をコードする領域を切り出した。次いで、同じ制限酵素の組合せにて処理したpMonti−Red−MCLに挿入することによって、MRをN末に融合させたp53(MR‐p53)を発現させるためのプラスミドベクター(pMR‐p53)を作製した。
<細胞培養と遺伝子導入>
上記のとおりにして調製したプラスミドベクターを導入するために、先ず、HEK293細胞を培養液[DMEM High glucose(SIGMA ALDRICH社製)、10%FBS(EQUITECH社製)、1%ペニシリン・ストレプトマイシン(Thermo Fisher Scientific社製)]にて培養した。次に、同細胞を遺伝子導入前日に8ウェルチャンバースライド(Nunc社製)に播種し、1ウェルあたり、200μLの培養液で培養した。
そして、Opti−MEM(Thermo Fisher Scientific社製)10μLに、上記プラスミドベクターを200ngずつ以下に示す(A)〜(G)の組み合わせにて混合し、DNA溶液を調製した。該DNA溶液に遺伝子導入試薬(Fugene HD)を0.8μL添加して攪拌し、更に培養液90μLと混合した後、前記HEK293細胞に添加し、48時間培養した。
(A)pAG−p53+pAG−MDM2
(B)pAG−p53+pmAG1−MDM2
(C)pMmj−p53+pMmj−MDM2
(D)pMmj−p53+pmAG1−MDM2
(E)pMmj−p53+pAG−MDM2
(F)pMmj−p53+pMR−MDM2
(G)pMR−p53+pAG−MDM2。
<細胞の観察>
遺伝子導入処理を施したHEK293細胞の観察は、上記COS7細胞の場合と同様にして行なった。Nutlin‐3の添加前と添加15分後の画像を図2に示す。
図には示していないが、検出対象(p53及びMDM2)の双方に同一の4量体蛍光タンパク質(AG又はMmj)を融合させて発現させたHEK293細胞、並びに、検出対象の一方に単量体蛍光タンパク質(mAG1)を融合させて発現させたHEK293細胞においては、上述のCOS7細胞の場合同様に、タンパク質間相互作用を示す明確な蛍光輝点は観察されなかった。また、これら細胞にNutlin‐3を添加しても、変化は生じなかった。
一方、図2に示した結果から明らかなように、上述のCOS7細胞の場合同様に、検出対象に異なる4量体蛍光タンパク質を融合させて発現させたHEK293細胞においては、タンパク質間相互作用を示す明確な蛍光輝点が観察された。また、p53とMDM2とのタンパク質間相互作用の阻害剤であるNutlin−3存在下において、これらタンパク質間相互作用を示す蛍光輝点は解消されたことから、当該輝点は前記タンパク質間相互作用に依存して形成されたことが確認された(図2の下部3画像 参照)。
以上の結果から、検出対象に異なる4量体蛍光タンパク質を融合させ、細胞内において発現させた場合には、その細胞の種類を問わず、蛍光輝点の形成の有無を指標として、タンパク質間相互作用を判定できることが明らかになった。
また、実施例1及び2に示した結果から、検出対象に融合させる4量体蛍光タンパク質は異なっていれば、これら蛍光タンパク質の蛍光波長(緑色領域の波長、赤色領域の波長、変換型の蛍光波長)を問わず、検出対象間の相互作用依存的に蛍光輝点が形成されることも判明した。
(実施例3) FRET現象を利用したタンパク質間相互作用の判定方法への適用
上述のとおり、本発明のタンパク質間相互作用の判定方法は、検出対象に異なる4量体蛍光タンパク質を融合させ細胞内において発現させることを特徴とする。そこで、一方の4量体蛍光タンパク質をアクセプターとし、他方の4量体蛍光タンパク質をドナーとすることにより、FRET現象(蛍光共鳴エネルギー移動、再吸収)を生じさせることができるかについて、以下に示すとおり分析した。
<pp53−MRの調製>
先ずp53の一部(p53タンパク質の1〜70アミノ酸からなる領域)をコードするDNAの5’末端及び3’末端にそれぞれBamHI認識配列とNotI認識配列を付加したヌクレオチド配列を設計した。そして、当該ヌクレオチド配列からなるDNAを人工合成し、BamHIとNotIで切断した後、同じ制限酵素の組合せにて処理したpMonti−Red−MNL(株式会社医学生物学研究所製、コード番号:AM−VS0802M)に挿入することにより、MRをC末に融合させたp53(p53−MR)を発現させるためのプラスミドベクター(pp53−MR)を作製した。
<細胞培養と遺伝子導入>
上記実施例2に記載の方法によって、以下に示す(A)〜(B)の組み合わせにてプラスミドベクターをHEK293細胞に導入した。
(A)pp53‐MR+pAG‐MDM2
(B)pMR−p53+pAG‐MDM2。
<細胞の観察>
遺伝子導入処理を施したHEK293細胞のFRET現象の検出において、IX−81倒立顕微鏡(オリンパス社製)、励起フィルター440AF21(Omega社製、型番:XF1071)、ダイクロイックミラー455DRLP(Omega社製、型番:XF2034)、並びに蛍光フィルター510WB40(Omega社製、型番:XF3043)及び610ALP(Omega社製、型番:XF3094)を使用した。また、UPlanFLN 40xOil(N.A.=1.3)(オリンパス社製)、ORCA‐Flash4.0デジタルカメラ(浜松ホトニクス社製)も用いて、前記HEK293細胞を観察した。
<FRET現象の検出>
440AF21を用いて励起させ、ドナー側(AG)の蛍光を510WB40(Em:510)によって、アクセプター側(MR)の蛍光を610ALP(Em:610)によって検出した。また、p53とMDM2の相互作用阻害剤としてNutlin‐3を最終濃度20μMになるよう、HEK293細胞の培養液に添加し、当該薬剤添加の前後において、10秒間隔にて画像データを取得した。また、得られた画像データは、MetaMorph ver8.9.0(モレキュラーデバイス社製)で解析し、細胞エリア全体のMR(Em:610)、AG(Em:510)の各蛍光強度を算出した。さらに、ドナー側(AG)の蛍光強度に対するアクセプター側の蛍光強度の比率(MR/AG比(Em:610/Em:510))を、FRET現象のシグナルとして算出し、Ratio画像を取得した。Nutlin‐3添加前と添加15分後のAGとMRの蛍光画像、及びMR/AGのRatio画像を、図3A及びCに示す。さらに、各蛍光強度の時間経過グラフを、図3B及びDに示す。
また、遺伝子導入処理を施したHEK293細胞におけるFRET現象の効率を、アクセプターフォトブリーチング法(acceptor photo−bleaching法)によって測定した。より具体的には、前記薬剤添加前の細胞に、蛍光ミラーユニットU−MWIG3(オリンパス社製)を用いて530〜550nmの励起光を5分間照射することによって、MRを褪色(bleach、ブリーチ)させ、蛍光ミラーユニットU−MNIBA3(励起波長:470〜495nm、蛍光波長:510〜550nm、オリンパス社製)を用いてAGの蛍光強度の変化を観察することにより、FRET現象の効率を得た。なお、530〜550nm励起光照射前(Pre−bleach、褪色前)後(Post−bleach、褪色後)のAG蛍光強度画像、及びFRET現象の効率は、下記計算式を用いて求めた。
((Donorpost−Backpost)−(Donorpre−Backpre))/(Donorpost−Backpost)
Donorpostは褪色後のAGの蛍光強度、Backpostは褪色後のバックグラウンドの蛍光強度、Donorpreは褪色前のAGの蛍光強度、Backpreは褪色前のバックグラウンドの蛍光強度を表す。このようにして得られた結果を、図3Eに示す。
図3A〜3Dに示した結果から明らかなように、p53−MR又はMR−p53とAG−MDM2とを発現する細胞において、MR/AG比は蛍光輝点を中心に高く、Nutlin‐3添加後は細胞全体に拡散しながら低下した。Nutlin−3添加後の各蛍光強度の変化として、MR(Em:610)は低下し、AG(Em:510)は上昇した。これは、タンパク質間相互作用の阻害剤(Nutlin−3)の添加により、ドナー側の蛍光強度が増加し、アクセプター側の蛍光強度が減少したこと、すなわちFRET現象のシグナルが低下したことを示している。
また、図3Eに示すとおり、p53−MRとAG−MDM2を発現する細胞において、褪色後(530〜550nm励起光照射後)は、蛍光輝点におけるMRの蛍光強度が平均28%にまで低下した(N=7)。一方、AGの蛍光強度は平均128%に上昇した。また、各蛍光強度から22.1%のFRET現象の効率が算出された。
このように、アクセプター側(MR)を褪色させたことによって、AGの蛍光強度が上昇することが明らかとなった。さらに、22.1%のFRET現象の効率が認められたことから、検出対象に異なる4量体蛍光タンパク質(MR及びAG)を融合させ発現させることにより、蛍光輝点が形成された場合において、FRET現象が生じ得ることが明らかになった。
(実施例4) FRET現象の効率の比較
検出対象に蛍光タンパク質を融合させて細胞内に発現させた場合において、検出対象間の相互作用依存的な蛍光輝点の形成を介することにより、発生するFRET現象の効率が向上するかについて検証した。より具体的には、以下に示すとおり、検出対象がタンパク質間相互作用した場合に、蛍光輝点を形成する4量体蛍光タンパク質の組み合わせ(AG及びMR)を用いた場合と、蛍光輝点を形成しない蛍光タンパク質の組み合わせ(mAG1及びMR)を用いた場合とにおいて、得られるFRET現象の効率を比較した。
<細胞培養と遺伝子導入>
上記実施例2に記載の方法によって、以下に示す(A)〜(D)の組み合わせにてプラスミドベクターをHEK293細胞に導入した。
(A)pp53‐MR+pAG‐MDM2
(B)pp53‐MR+pmAG1‐MDM2
(C)pMR−p53+pAG‐MDM2
(D)pMR−p53+pmAG1‐MDM2。
<細胞の観察とFRET現象の検出>
上記実施例3に記載の方法によって、遺伝子導入処理を施したHEK293細胞の観察及びFRET現象の検出を行った。Nutlin‐3添加前と添加15分後のAGとMRの蛍光画像及びMR/AGのRatio画像を、図4A、4C、4E及び4Gに示す。さらに、各蛍光強度の時間経過グラフを、図4B、4D、4F及び4Hに示す。また、Nutlin‐3添加によるMR/AG比、MR/mAG1比、mAG1/AG比の時間経過グラフを、図4I及び4Jに示す。FRET現象のシグナル(MR/AG比とMR/mAG1比)を比較した結果を、図4Kに示す。なお、図4B、4D、4F及び4Hにて、p53‐MR及びAG‐MDM2とp53‐MR及びmAG1‐MDM2とにおいては11個の各細胞におけるMR/AG比とMR/mAG1比の各平均値をプロットし、MR−p53及びAG‐MDM2とMR−p53及びmAG1‐MDM2とにおいては8個の各細胞におけるMR/AG比とMR/mAG1比の各平均値をプロットした。また、エラーバーは標準誤差を表している。
図4A、4B、4E及び4Fに示すとおり、図3A〜3Dに示した結果同様に、p53−MR又はMR−p53とAG−MDM2とを発現する細胞において、MR/AG比は蛍光輝点を中心に高く、Nutlin‐3添加後は細胞全体に拡散しながら低下した。Nutlin−3添加後の各蛍光強度の変化としては、MR(Em:610)は低下し、AG(Em:510)は上昇し、タンパク質間相互作用の阻害によるFRET現象のシグナルの低下が認められた。
また、図4C、4D、4G及び4Hに示すとおり、p53−MR又はMR−p53とmAG1−MDM2を発現する細胞においても、MR/mAG1比はNutlin−3添加前に比して添加後は細胞全体で低下した。各蛍光強度の変化としては、MR(Em:610)は低下し、AG(Em:510)は上昇し、タンパク質間相互作用の阻害によるFRET現象のシグナルの低下が認められた。このように、蛍光輝点を形成しない蛍光タンパク質の組み合わせ(mAG1及びMR)を用いた場合においても、FRET現象の検出によってタンパク質間相互作用を検出できることが確認された。
しかしながら、図4Iに示した結果から明らかなように、p53−MR及びAG−MDM2を発現させた細胞におけるMR/AG比と、p53−MR及びmAG1−MDM2を発現させた細胞におけるMR/mAG1比とを比較した結果、Nutlin−3添加後0秒から600秒の間では、600秒時点での差が最も高く、MR/AG比のほうが阻害剤添加後に1.2倍低下した。
また、図4Jに示すとおり、MR−p53及びAG−MDM2を発現させた細胞におけるMR/AG比と、MR−p53及びmAG1−MDM2を発現させた細胞におけるMR/mAG1比とを比較した結果、Nutlin−3添加後0秒から600秒の間では、160秒時点での差が最も高く、MR/AG比のほうが1.52倍低下した。また、添加後600秒時点では1.4倍低下した。
さらに、図4K及び4Lに示すとおり、阻害剤添加後600秒の時点(FRET現象が生じていない場合)の各比率を1として、阻害剤添加前(FRET現象が生じている場合)のMR/AG比及びMR/mAG1比を各々算出した結果、MR/AG比がMR/mAG1比と比して1.2〜1.4倍高くなることが明らかになった。
以上のとおり、検出対象がタンパク質間相互作用した場合に、蛍光輝点を形成する4量体蛍光タンパク質の組み合わせの方が、蛍光輝点を形成できない蛍光タンパク質の組み合わせよりも、FRET現象の効率が高くなること(1.2〜1.52倍に向上すること)が明らかになった。このようにFRET現象の効率が向上する理由は必ずしも定かではないが、異なる4量体蛍光タンパク質を用いることによって形成された会合体(蛍光輝点)において、これら蛍光タンパク質の凝集密度が上昇したことによるものと推察される。
(実施例5) 固定後の細胞におけるFRET現象の効率の比較
上記実施例3及び4において示したとおり、検出対象に異なる4量体蛍光タンパク質を融合させ、細胞内において発現させることによって、蛍光輝点が形成された場合において、FRET現象が生じ得ることが明らかになった。
次に、前記細胞を固定化しても、検出対象間の相互作用を示す蛍光輝点が生じたまま、維持され、さらにFRET現象も検出できるかについて、以下に示すとおり検証した。また、検出対象が相互作用した場合に、蛍光輝点を形成する4量体蛍光タンパク質の組み合わせ(AG及びMR)を用いた場合のみならず、蛍光輝点を形成しない蛍光タンパク質の組み合わせ(mAG1及びMR)を用いた場合についても検証した。
<細胞培養と遺伝子導入>
上記実施例2に記載の方法によって、以下に示す(A)〜(D)の組み合わせにてプラスミドベクターを導入したHEK293細胞を、各2ウェルずつ調製した。
(A)pp53‐MR+pAG‐MDM2
(B)pp53‐MR+pmAG1‐MDM2
(C)pMR−p53+pAG‐MDM2
(D)pMR−p53+pmAG1‐MDM2。
<細胞の固定>
遺伝子導入処理を施してから48時間培養した後、(A)〜(D)各2ウェルのうち1ウェルから培養液全量を除き、4%パラホルムアルデヒドを200μL添加した。室温で15分静置した後、パラホルムアルデヒド全量を除き、20mM HEPESを含むHBSSを200μL添加した。一方、残りの各1ウェルには、p53とMDM2との相互作用の阻害剤としてNutlin‐3を最終濃度20μMとなるように添加した。その15分後、培養液全量を除き、4%パラホルムアルデヒドを200μL添加した。室温で15分静置した後、パラホルムアルデヒド全量を除き、20mM HEPESを含むHBSSを200μL添加した。
<細胞の観察及びFRET現象の検出>
遺伝子導入及び固定処理を施したHEK293細胞は、実施例3に記載の方法にて観察し、またFRET現象を検出した。Nutlin‐3添加又は非添加において得られたAGとMRの蛍光画像、及びMR/AGのRatio画像を図5A及び5Bに示す。各FRET現象のシグナル(Em:610/Em:510、MR/AG比、MR/mAG1比)のグラフを図5Cに示す。なお、図5Cにおいて示すデータは、それぞれ視野全体における蛍光強度比の3視野の平均値であり、エラーバーは標準誤差を表している。
図5Aの(A)及び図5Bの(C)において示すとおり、p53−MR又はMR−p53とAG−MDM2とを発現する細胞において、MR/AG比は蛍光輝点を中心に高くなった。一方、Nutlin‐3を添加した細胞においては低下しており、細胞を固定化した場合においても、図4A及びCと同様の結果が得られた。
一方、図5Aの(B)及び図5の(D)においては、図4C、4D、4G及び4Hに示した結果とは異なり、p53−MR又はMR−p53とmAG1−MDM2とを発現する細胞においては、当該細胞を固定化することによって、Nutlin−3の添加・非添加において、MR/mAG1比に大きな差は生じられなくなった。
また、図5Cに示した結果から明らかなように、p53−MR又はMR−p53とAG−MDM2とを発現する細胞において、Nutlin−3を添加した場合と比較して、Nutlin−3を添加していない場合におけるFRET現象のシグナルは高値にて検出された。
一方、p53−MR又はMR−p53とmAG1−MDM2とを発現する細胞においては、Nutlin−3の添加有無によるFRET現象のシグナルの差は認められなかった。
以上のとおり、検出対象がタンパク質間相互作用した際に蛍光輝点を形成できない蛍光タンパク質の組み合わせを用いた場合には、細胞を固定化するとFRET現象を検出することができなくなる。その一方で、検出対象が相互作用した際に蛍光輝点を形成する4量体蛍光タンパク質の組み合わせを用いた場合には、固定化した細胞においてもFRET現象が維持され、検出できることが明らかになった。
(実施例6) タンパク質間相互作用の検出3
上記実施例3における検出対象を、p53及びMDM2から、MAX及びMycに変更して、これらタンパク質間の相互作用も検出できるか検証した。
<pMR−Mycの調製>
先ず、c−MycのN末端(c−Mycタンパク質の383〜454アミノ酸からなる領域)をコードするDNAの5’末端にBamHI認識配列、3’末端に停止コドンTAA及びNotI認識配列を付加したヌクレオチド配列(配列番号:47)を設計した。
そして、当該ヌクレオチド配列からなるDNAを人工合成し、BamHIとNotIで切断した後、同じ制限酵素の組合せにて処理したpMonti−Red−MCL(株式会社医学生物学研究所製、コード番号:AM−VS0802M)に挿入することにより、MRをN末に融合させたMyc(MR−Myc)を発現させるためのプラスミドベクター(pMR−Myc)を作製した。
<pAG−Maxの調製>
先ず、Maxの全長から、核移行シグナル(Maxタンパク質の153と154番のアミノ酸)及びDNA結合領域(Maxタンパク質の1〜35アミノ酸からなる領域)を外したアミノ酸領域のN末端に4アミノ酸配列(配列番号:48)を挿入し、得られたアミノ酸配列をコードするDNAの5’末端にBamHI認識配列、3’末端に停止コドンTAA及びXhoI認識配列を付加したヌクレオチド配列(配列番号:49)を設計した。
そして、当該ヌクレオチド配列からなるDNAを人工合成し、BamHIとXhoIで切断した後、同じ制限酵素の組合せにて処理したphAG−MCL(株式会社医学生物学研究所製、コード番号:AM−VS0801M)に挿入することにより、AGをN末に融合させたMax(AG−Max)を発現させるためのプラスミドベクター(pAG−Max)を作製した。
<細胞培養と遺伝子導入>
上記のとおりにして調製したプラスミドベクターを導入するために、先ず上記実施例2に記載の方法によって、HEK293T細胞を培養した。そして、Opti−MEM(Thermo Fisher Scientific社製)10μLに、上記プラスミドベクター(pMR−MycとpAG−Max)を200ngずつ混合し、DNA溶液を調製した。また、別にOptiMEM 10μLに遺伝子導入試薬Transficient(MBL International社製)を0.2μL添加して攪拌し、Transficient溶液を調製した。そして、前記DNA溶液10μLと混合し、20分室温で反応させ、前記HEK293T細胞に添加し、すぐに300Gで遠心し、上清を実施例2に記載の培地に交換し、48時間培養した。
<細胞の観察>
遺伝子導入処理を施したHEK293T細胞の観察は、Incell Analyzer 2200(GE社製)を用いて行ない、同じ視野のAG由来の緑色蛍光及びMR由来の赤色蛍光を検出した。得られた結果を図6Aに示す。また、蛍光顕微鏡ECLIPS TS100(NIKON社製)を用いても、前記細胞の観察を行なった。得られた結果を図6Bに示す。
図6Aに示した結果から明らかなように、MAXのN末にAGを融合させてなるタンパク質(AG−MAX)及びMycのN末にMRを融合させてなるタンパク質(MR−Myc)を、細胞内に発現させた場合においても、蛍光輝点が検出された。すなわち、検出対象に異なる4量体蛍光タンパク質を融合させて発現させた場合には、その検出対象の種類によらず、蛍光輝点を指標としてタンパク質間相互作用の有無を判定できることが確認できた。
また、AG−MAX及びMR−Mycを発現させた細胞の顕微鏡像において、その一部の領域におけるMRの蛍光を褪色させた結果、図6Bに示すとおり、アクセプター側(MR)を褪色させたことによって、AGの蛍光強度の上昇が認められた。すなわち、FRET現象が生じていることが確認された。
(実施例7) タンパク質間相互作用の検出4
上記実施例3における検出対象を、p53とMDM2から他のタンパク質に変更して、これらタンパク質間の相互作用を検出した。より具体的には、以下に示す方法にて、p53及びMDM2以外のタンパク質間相互作用でも蛍光輝点が形成されること、及び該蛍光輝点形成によってFRET現象の効率の上昇が起こることを確認した。さらに、当該タンパク質間相互作用について、蛍光輝点を形成する4量体蛍光タンパク質の組み合わせ(AG及びMR)を用いて検出した場合と、蛍光輝点を形成しない蛍光タンパク質の組み合わせ(mAG1及びMR)を用いて検出した場合とを比較した。
なお、本実施例7において、対象としたタンパク質間相互作用は、MCL1とBAX又はBAKとの相互作用との相互作用である。BAX及びBAKは共にBH3ドメインを介して、MCL1と相互作用することが明らかになっている(Ku Bら、Cell Res.、2009年4月、21巻4号、627〜641ページ 参照)。また、A−1210477(BH3模倣薬)はMCL1のBH3結合溝に結合し、BH3との相互作用を阻害する化合物として知られている(Xiao Yら、Mol Cancer Ther.、2015年8月、14巻8号、1837〜1847ページ 参照)。
<pAG−MCL1の調製>
先ず、MCL1の一部(MCL1タンパク質の173〜327アミノ酸からなる領域)をコードするヌクレオチド配列の5’末端及び3’末端にそれぞれBamHI認識配列、ストップコドンとNotI認識配列を付加したヌクレオチド配列(配列番号:50)を設計した。そして、当該ヌクレオチド配列からなるDNAを人工合成し、BamHIとNotIで切断した後、同じ制限酵素の組合せにて処理したphAG−MCL(株式会社医学生物学研究所製、コード番号:AM−VS0801M)に挿入することにより、AGをN末に融合させたMCL1(AG−MCL1)を発現させるためのプラスミドベクター(pAG−MCL1)を作製した。
<pmAG1−MCL1の調製>
BamHI認識配列及びNotI認識配列を付加したMCL1の一部を含むヌクレオチド配列を、同じ制限酵素の組合せにて処理したphmAG1−MCL(株式会社医学生物学研究所製、コード番号:AM−V0039M)に挿入することにより、mAG1をN末に融合させたMCL1(mAG1−MCL1)を発現させるためのプラスミドベクター(pmAG1−MCL1)を作製した。
<pMR−BAKの調製>
先ず、BAKの一部(BAKタンパク質の72〜87アミノ酸からなる領域)をコードするヌクレオチド配列の5’末端及び3’末端にそれぞれBamHI認識配列、ストップコドンとNotI認識配列を付加したヌクレオチド配列(配列番号:51)を設計した。そして、当該ヌクレオチド配列からなるDNAを人工合成し、BamHIとNotIで切断した後、同じ制限酵素の組合せにて処理したpMonti−Red−MCL(株式会社医学生物学研究所製、コード番号:AM−VS0802M)に挿入することにより、MRをN末に融合させたBAK(MR−BAK)を発現させるためのプラスミドベクター(pMR−BAK)を作製した。
<pMR−BAXの作製>
先ず、BAXの一部(BAXタンパク質の35〜55アミノ酸からなる領域)をコードするヌクレオチド配列の5’末端及び3’末端にそれぞれBamHI認識配列、ストップコドンとNotI認識配列を付加したヌクレオチド配列(配列番号:52)を設計した。そして、当該ヌクレオチド配列からなるDNAを人工合成し、BamHIとNotIで切断した後、同じ制限酵素の組合せにて処理したpMonti−Red−MCL(株式会社医学生物学研究所製、コード番号:AM−VS0802M)に挿入することにより、MRをN末に融合させたBAX(MR−BAX)を発現させるためのプラスミドベクター(pMR−BAX)を作製した。
<細胞培養、遺伝子導入及び細胞の観察>
上述の実施例2に記載の方法にて、HEK293細胞を培養し、当該細胞に、上記にて調製したプラスミドベクターを、200ngずつ以下に示す(A)〜(D)の組み合わせにて導入した。
(A)pMR−BAK+pAG−MCL1
(B)pMR−BAK+pmAG1−MCL1
(C)pMR−BAX+pAG−MCL1
(D)pMR−BAX+pmAG1−MCL1
そして、観察前に各ウェルから培養液全量を除き、20mM HEPESを含むHBSSを200μL添加し、実施例1の<細胞の観察>に記載の方法にて、遺伝子導入処理を施したHEK293細胞を観察した。
<FRET現象の検出>
FRET現象の検出は、Nutlin‐3の代わりに、MCL1とBAKとの、又はMCL1とBAXとの相互作用阻害剤として、A−1210477を最終濃度25μMになるよう、HEK293細胞の培養液に添加した以外は、実施例3に記載の方法にて行なった。
得られた結果について、MR−BAK及びAG−MCL1を発現させた細胞に関し、薬剤添加前と添加5分後のRatio画像を図7Aに示し、各蛍光強度の時間経過グラフ及びMR/AG比(Em:610/Em:510)の時間経過グラフを図7Bに示す。MR−BAK及びmAG1−MCL1を発現させた細胞に関し、薬剤添加前と添加5分後のRatio画像を図7Cに示し、各蛍光強度の時間経過グラフ及びMR/AG比の時間経過グラフを図7Dに示す。また、蛍光輝点を形成する4量体蛍光タンパク質の組み合わせ(MR−BAK及びAG−MCL1)を用いてFRET現象を検出した場合と、蛍光輝点を形成しない蛍光タンパク質の組み合わせ(MR−BAK及びmAG1−MCL1)を用いて検出した場合とを比較した結果を、図7Eに示す。また前記BAK及びMCL1同様に、BAX及びMCL1に関し、得られた結果を図7F〜7Jに示す。
図7A、7B、7F及び7Gに示すとおり、MR−BAK又はMR−BAXとAG−MCL1とを発現する細胞のMR/AG比は、蛍光輝点を中心に高く、A−1210477添加後は細胞全体に拡散しながら低下した。A−1210477添加後の各蛍光強度の変化としては、MR(Em:610)は低下し、AG(Em:510)は上昇した。このことは、当該タンパク質間相互作用阻害剤の添加によって、FRET現象のシグナルが低下したことを示している。
一方、MR−BAK又はMR−BAXとmAG1−MCL1とを発現する細胞に関しても、図7C、7D、7H及び7Iに示すとおり、前記同様の傾向は見られたが、A−1210477添加有無によるFRET現象のシグナルの顕著な差は認められなかった。実際、前記MR/AG比とR/mAG1比とを比較した結果、図7E及び7Jに示すとおり、A−1210477添加後0秒から600秒の間では、600秒時点での差が最も高く、MR/AG比のほうが阻害剤添加後顕著に低下した(MR−BAK及びAG−MCL1の場合は4倍低下し、MR−BAX及びAG−MCL1の場合は2.8倍低下した)。すなわち、MR/AGの組み合わせの方が、FRETによるエネルギー移動効率が高いことを示しており、4量体蛍光タンパク質を用いて凝集密度を上昇させることで、FRET現象の効率が向上することを示唆している。
(実施例8) タンパク質間相互作用の検出5
上記実施例7同様に、以下に示す方法にて、p53及びMDM2以外の、薬剤によって誘導されるタンパク質間相互作用でも蛍光輝点が形成されること、及び該蛍光輝点形成によってFRET現象の効率の上昇が起こることを確認した。さらに、当該タンパク質間相互作用について、蛍光輝点を形成する4量体蛍光タンパク質の組み合わせ(AG及びMR)を用いて検出した場合と、蛍光輝点を形成しない蛍光タンパク質の組み合わせ(mAG1及びMR)を用いて検出した場合とを比較した。
なお、本実施例8において、対象としたタンパク質間相互作用は、mTORタンパク質のFRBドメインとFKBP12タンパク質との相互作用であり、これらは、ラパマイシン(Rapamycin)の存在下において相互作用することが知られている(Chen Jら、Proc Natl Acad Sci USA.、1995年5月23日、92巻11号、4947〜4951ページ 参照)。
<pAG−FKBP12の調製>
Fluoppi:Ash−hAG[mTOR−FKBP12](株式会社医学生物学研究所製、コード番号:AM−8202M)に含まれるプラスミドベクター pAsh−FKBP12を、NheI及びAgeIで処理し、当該プラスミドベクターからAshペプチドをコードする領域を除去した。また、phAG−MCL(株式会社医学生物学研究所製、コード番号:AM−VS0801M)を、同じ制限酵素の組合せにて処理し、AGタンパク質をコードする領域を切り出した。そして、当該領域を前記プラスミドベクターに挿入することにより、AGをN末に融合させたFKBP12(AG−FKBP12)を発現させるためのプラスミドベクター(pAG−FKBP12)を作製した。
<pmAG1−FKBP12の調製>
pAG−FKBP12を、NheI及びAgeIで処理し、当該プラスミドベクターからAGをコードする領域を除去した。また、phmAG1−MCL(株式会社医学生物学研究所製、コード番号:AM−V0039M)を、同じ制限酵素の組合せにて処理し、mAG1をコードする領域を切り出した。そして、当該領域を前記プラスミドベクターに挿入することにより、mAG1をN末に融合させたFKBP12(mAG1−FKBP12)を発現させるためのプラスミドベクター(pmAG1−FKBP12)を作製した。
<pMR−mTORの調製>
先ず、mTORの一部(mTORタンパク質の2025〜2114アミノ酸からなる領域)をコードするヌクレオチド配列の5’末端及び3’末端にそれぞれEcoRI認識配列とXhoI認識配列を付加したヌクレオチド配列(配列番号:53)を設計した。そして、当該ヌクレオチド配列からなるDNAを人工合成し、EcoRIとXhoIで切断した後、同じ制限酵素の組合せにて処理したpMonti−Red−MCL(株式会社医学生物学研究所製、コード番号:AM−VS0802M)に挿入することにより、MRをN末に融合させたmTORの一部(MR−mTOR)を発現させるためのプラスミドベクター(pMR−mTOR)を作製した。
<細胞培養、遺伝子導入、細胞の観察及びFRET現象の検出>
上述の実施例7同様に、HEK293細胞を培養し、当該細胞に、上記にて調製したプラスミドベクターを、200ngずつ以下に示す(E)及び(F)の組み合わせにて導入した。
(E)pMR−mTOR+pAG−FKBP12
(F)pMR−mTOR+pmAG1−FKBP12
また、A−1210477の代わりに、mTOR及びFKBP12の相互作用に必要なRapamycinを最終濃度1μMになるよう、HEK293細胞の培養液に添加した以外は、実施例7同様に、細胞の観察及びFRET現象の検出を行った。
得られた結果について、MR−mTOR及びAG−FKBP12を発現させた細胞に関し、薬剤添加前と添加5分後のRatio画像を図8Aに示し、各蛍光強度の時間経過グラフ及びMR/AG比(Em:610/Em:510)の時間経過グラフを図8Bに示す。MR−mTOR及びmAG1−FKBP12を発現させた細胞に関し、薬剤添加前と添加5分後のRatio画像を図8Cに示し、各蛍光強度の時間経過グラフ及びMR/AG比の時間経過グラフを図8Dに示す。また、蛍光輝点を形成する4量体蛍光タンパク質の組み合わせ(MR−mTOR及びAG−FKBP12)を用いてFRET現象を検出した場合と、蛍光輝点を形成しない蛍光タンパク質の組み合わせ(MR−mTOR及びmAG1−FKBP12)を用いて検出した場合とを比較した結果を、図8Eに示す。
図8A及び8Bに示すとおり、MR−mTOR及びAG−FKBP12を発現する細胞のMR/AG比は、Rapamycin添加後に形成された蛍光輝点を中心に上昇した。各蛍光強度の変化としては、MR(Em:610)は上昇し、AG(Em:510)は低下した。このことは、当該タンパク質間相互作用誘導剤の添加によって、FRET現象のシグナルが上昇したことを示している。
一方、MR−mTOR及びmAG1−FKBP12を発現する細胞に関しては、図8C及び8Dに示すとおり、MR/mAG1比は、Rapamycin添加後、細胞全体で上昇した。各蛍光強度の変化としては、前記MR−mTOR及びAG−FKBP12同様に、FRET現象シグナルの上昇が認められた。しかしながら、タンパク質間相互作用誘導剤添加の有無によるシグナルの顕著な差は認められなかった。実際、前記MR/AG比とR/mAG1比とを比較した結果、図8Eに示すとおり、Rapamycin添加後0秒から430秒の間では、320秒時点での差が最も高く、MR/AG比のほうが誘導剤添加後に2.7倍増加した。すなわち、上述の実施例7の結果同様に、MR/AGの組み合わせの方が、FRETによるエネルギー移動効率が高いことを示しており、4量体蛍光タンパク質を用いて凝集密度を上昇させることで蛍光輝点が形成され、蛍光輝点を介することにより、FRET現象の効率が向上することを示唆している。
以上、実施例7及び8に示した結果から、実施例6に示した結果同様に、本願発明によれば対象を問わず、蛍光輝点の形成を介したFRET現象の検出を通して、タンパク質間相互作用を検出できることが確認された。また、実施例4に示した結果同様に、検出対象がタンパク質間相互作用した場合に、蛍光輝点を形成する4量体蛍光タンパク質の組み合わせの方が、蛍光輝点を形成できない蛍光タンパク質の組み合わせよりも、FRET現象の効率が高くなること(2.7〜4倍に向上すること)が確認された。
(実施例9) プレートリーダーを用いたFRET現象の検出
本発明において蛍光顕微鏡で検出された蛍光輝点の形成を介したFRET現象を、プレートリーダーでも検出できることを、以下に示す方法にて確認した。また、蛍光輝点を形成する4量体蛍光タンパク質の組み合わせ(AG及びMR)を用いて検出した場合と、蛍光輝点を形成しない蛍光タンパク質の組み合わせ(mAG1及びMR)を用いて検出した場合とを比較することで、FRET現象の効率上昇における、蛍光輝点形成による効果についても確認した。さらに、固定化した細胞においてもFRET現象が維持され、検出できることも、本実施例において確認した。
<細胞培養と遺伝子導入>
(A)MR−BAK+AG−MCL1
(B)MR−BAK+mAG1−MCL1
(C)MR−mTOR+AG−FKBP12
(D)MR−mTOR+mAG1−FKBP12
上記(A)〜(D)に記載のタンパク質の組み合わせを、細胞にて各々発現させるために、以下に示す方法にて、上記にて調製したプラスミドをHEK293細胞に導入した。
先ずHEK293細胞を、培養液[DMEM High glucose(SIGMA ALDRICH社製)、10%FBS(EQUITECH社製)、1%ペニシリン・ストレプトマイシン(Thermo Fisher Scientific社製)]にて培養した。次に、同細胞を遺伝子導入前日に6ウェルプレート(Nunc社製,#140675)に播種し、1ウェルあたり3mLの培養液で培養した。そして、Opti−MEM(Thermo Fisher Scientific社製)300μLに各プラスミド3μgずつを混合したDNA溶液を希釈し、Fugene HD(Promega社製)を20μL添加した後、攪拌した。25℃で10分静置した後、培養細胞に添加し、24時間培養した。また、バックグラウンド算出用に、遺伝子導入していない細胞を同様に培養した。細胞をトリプシン処理で回収し、96ウェルプレート(Nunc社製,#137101)24ウェルに継代した。そして、1ウェルあたり100μLの培養液で24時間培養した。
<相互作用調整剤(阻害剤又は誘導剤)の添加>
各ウェルから培養液全量を除き、20mM HEPESを含むHBSSに置換した。MCL1及びBAK間相互作用の阻害剤であるA−1210477を、最終濃度16.67μMを最大濃度とし、3倍希釈系列で8点調整した後、各濃度の阻害剤希釈液を3ウェルずつ添加し、37℃、5%COで30分静置した。
mTOR及びFKBP12間相互作用の誘導剤であるRapamycinを、最終濃度1μMを最大濃度とし、3倍希釈系列で8点調整した後、各濃度の誘導剤希釈液を3ウェルずつ添加し、37℃、5%COで30分静置した。
<FRET現象の検出>
96ウェルプレートを、マルチラベルプレートリーダー(Perkin Elmer社製、製品名:EnVision 2102 Multilabel Reader)にセットし、励起 430/8 フィルター(2100−5250、Perkin Elmer社製)、D480(特注ダイクロイックミラー)及び光学フィルター Fura2 510/10 フィルター(2100−5320、Perkin Elmer社製)を用い、ドナーの蛍光値を測定した。また、励起 430/8 フィルター、D480、Cy5 620/40 フィルター(2100−5760、Perkin Elmer社製)を用い、アクセプターの蛍光値を測定した。
<細胞の固定>
各ウェルから、前記阻害剤希釈液又は誘導剤希釈液 全量を除き、4%パラホルムアルデヒドを100μL添加した。室温で15分静置した後、全量を除き、20mM HEPESを含むHBSSを100μL添加した。このようにして細胞を固定した後、上記と同様の方法でFRET現象を検出した。
<データ解析>
遺伝子導入していない細胞を440nmで励起した時の620nm及び510nmにおける各蛍光値(Em.620及びEm.510)をバックグランドの値として差し引いた、アクセプターの蛍光値/ドナーの蛍光値([Ex.440−Em.620]/[Ex.440−Em.510])を、FRET現象のシグナルとして算出した。また、得られたシグナル値は、添加した各相互作用調整剤の最低濃度の平均値(n=3)を1として標準化した。そして、カレイダグラフ(Synergy Software社製)を用いて用量反応曲線を描き、IC50を算出した。得られた結果を、生細胞に関しては図9A及び9Cに示し、固定細胞に関しては図9B及び9Dに示す。なお、各図において、エラーバーは標準誤差を表している。
図9A及び9Cに示すとおり、相互作用調整剤の濃度依存的に、FRET現象のシグナルは変化し、プレートリーダーでも検出できることが確認された。さらに、用量反応曲線の最大値をFRET+、最小値をFRET−として、FRET比(FRET+/FRET−)を算出し、4量体蛍光タンパク質を用いた場合と、単量体蛍光タンパク質を用いた場合とを比較した結果、前者の方が、MCL1及びBAK間相互作用では1.6倍、mTOR及びFKBP12間相互作用では2.0倍、FRET比が高くなった。
また図9B及び9Dに示すとおり、4量体蛍光タンパク質を用いた場合は、固定した細胞でもプレートリーダーにてFRET現象を検出できることが確認された。一方、単量体蛍光タンパク質を用いた場合においては、固定した細胞ではIC50が算出されない場合や生細胞で測定したIC50と大きく値がずれる場合があり、正確な評価ができなかった。また、前記同様に、4量体蛍光タンパク質を用いた場合と、単量体蛍光タンパク質を用いた場合とを比較した結果、前者の方が、MCL1及びBAK間相互作用では1.5倍、mTOR及びFKBP12間相互作用では1.9倍、FRET比が高くなった。
以上のとおり、検出対象がタンパク質間相互作用した場合に、蛍光輝点を形成する4量体蛍光タンパク質の組み合わせの方が、蛍光輝点を形成できない蛍光タンパク質の組み合わせよりも、FRET現象の効率が高くなったため、プレートリーダーにて当該現象を検出でき、かつ、検出対象のタンパク質間相互作用の度合いを感度よく解析できることが確認された。また実施例5に示した結果同様に、検出対象が相互作用した際に蛍光輝点を形成する4量体蛍光タンパク質の組み合わせを用いた場合には、固定化した細胞においてもFRET現象が維持され、検出できることも確認された。
(実施例10) イメージングシステムを用いた画像解析による相互作用の検出
本発明において形成される蛍光輝点の蛍光強度を、イメージングシステムを用い測定することによっても、タンパク質間相互作用の判定を行なうことができることを、確認した。
<細胞培養と遺伝子導入>
(A)MR−BAK+AG−MCL1
(B)MR−BAX+AG−MCL1
前記(A)及び(B)に記載のタンパク質の組み合わせを、細胞にて各々発現させるために、実施例9に記載の方法にて、HEK293細胞を培養し、上記にて調製したプラスミドを該細胞に導入した。そして、プラスミドDNA溶液及びFugene HDを添加して24時間培養後の細胞を、トリプシン処理で回収し、96ウェルプレート(Corning社製、#356640)の24ウェルに継代し、1ウェルあたり100μLの培養液で24時間培養した。
<相互作用阻害剤の添加、及び細胞の固定>
各ウェルから培養液全量を除き、HBSS/20mM HEPESに置換した。MCL1とBAK又はBAXとの相互作用の阻害剤であるA−1210477を、最終濃度16.67μMを最大濃度として3倍希釈系列で8点調整した後、各濃度の阻害剤希釈液を3ウェルずつ添加し、37℃、5%COで30分静置した。その後、培地を除き、4%パラホルムアルデヒドを100μL添加した。室温で15分静置した後、全量を除き、20mM HEPESを含むHBSSを100μL添加した。
<イメージングと解析>
イメージングシステム(ParkinElmer社製、製品名:オペレッタCLS)に、対物レンズ20xAir,NA0.4をセットし、AG(時間:100ms,パワー:10%,励起波長:460〜490nm,蛍光波長:500〜550nm)、MR(時間:100ms,パワー:10%,励起波長:530〜560nm,蛍光波長:570〜650nm)、Hoechst33342(時間:100ms,パワー:10%,励起波長:355〜385nm,蛍光波長:430〜500nm)に関し、各蛍光画像を1ウェルあたり49視野取得した。
得られた画像は、ソフトウェアHarmony(ParkinElmer社製)を用いて解析した。蛍光輝点は、Harmonyの解析アルゴリズムであるFind Spots Method CのRadius 2μm、Contrast 0.3以上、Uncorrected Spot to Region Intensity 0.5以上、Distance 0.9μm、Spot Peak Radius 0μmの設定で検出した。また、「視野中の蛍光輝点におけるAGの蛍光強度の総和/視野中のAGを発現している総細胞数」及び「視野中の蛍光輝点におけるMRの蛍光強度の総和/視野中のMRを発現している総細胞数」を算出した。そして、これら値を、阻害剤A−1210477 0.01μM添加時の平均値(n=3)で標準化し、グラフにプロットした。また、カレイダグラフ(Synergy Software社製)を用いて用量反応曲線を描き、IC50を算出した。MR−BAK及びAG−MCL1について解析した結果を図10Aに示し、MR−BAX及びAG−MCL1について解析した結果を図10Bに示す。
図10A及び10Bに示すとおり、蛍光輝点におけるAG由来及びMR由来の蛍光強度は共に、阻害剤濃度依存的に変化した。よって、イメージングシステムを用いて得られた蛍光顕微鏡画像を解析することによっても、タンパク質間相互作用を判定できることが確認された。
(実施例11) AG及びMR以外の4量体蛍光タンパク質を用いた、蛍光輝点形成とFRET現象の検出
AG及びMR以外の4量体蛍光タンパク質(DsRed2、COR5、KikGR1)を用いても、蛍光輝点形成とFRET現象の検出ができることを、以下に示す方法にて確認した。
<pmTOR−DsRed2の調製>
DsRed2をコードするヌクレオチド配列(配列番号:27)の5’末端及び3’末端にそれぞれAgeI認識配列、ストップコドンとXbaI認識配列を付加したヌクレオチド配列を設計した。そして、当該ヌクレオチド配列からなるDNAを人工合成し、AgeIとXbaIで切断した。また、pmTOR−AG(株式会社医学生物学研究所製、コード番号:AM−8202M)を同じ制限酵素の組合せにて処理し、該プラスミドDNAからAGをコードする領域を除去した後、前記DsRed2をコードするDNAを挿入し、DsRed2をC末に融合させたmTOR(mTOR−DsRed2)を発現させるためのプラスミドベクター(pmTOR−DsRed2)を作製した。
<pmTOR−COR5の調製>
COR5をコードするヌクレオチド配列(配列番号:23)の5’末端及び3’末端に、それぞれAgeI認識配列、ストップコドンとXbaI認識配列を付加したヌクレオチド配列を設計した。そして、当該ヌクレオチド配列からなるDNAを人工合成し、AgeIとXbaIで切断した。また、pmTOR−AGを同じ制限酵素の組合せにて処理し、該プラスミドDNAからAGをコードする領域を除去した後、前記COR5をコードするDNAを挿入し、COR5をC末に融合させたmTOR(mTOR−COR5)を発現させるためのプラスミドベクター(pmTOR−COR5)を作製した。
<pmTOR−KikGR1の調製>
前記pmTOR−AGより、AGをコードする領域をAgeI及びXbaIにて処理することにより除去した。また、pmKikGR11−MNL(株式会社医学生物学研究所製、コード番号:AM−V0150M)を、同じ制限酵素の組合せにて処理し、KikGR1をコードするDNAを切り出した。そして、当該DNAを、前記制限酵素処理したpmTOR−AGに挿入し、KikGR1をC末に融合させたmTOR(mTOR−KikGR1)を発現させるためのプラスミドベクター(pmTOR−KikGR1)を作製した。
<pFKBP12−AGの調製>
先ず、FKBP12の全長をコードするヌクレオチド配列の5’末端及び3’末端にそれぞれEcoRI認識配列とXhoI認識配列を付加したヌクレオチド配列(配列番号:54)を設計した。そして、当該ヌクレオチド配列からなるDNAを人工合成し、EcoRIとXhoIで切断した後、同じ制限酵素の組合せにて処理したphAG−MNL(株式会社医学生物学研究所製、コード番号:AM−VS0801M)に挿入、AGをC末に融合させたFKBP12(FKBP12−AG)を発現させるためのプラスミドベクター(pFKBP12−AG)を作製した。
<pFKBP12−DsRed2の調製>
前記pFKBP12−AGより、AGをコードする領域をAgeI及びXbaIにて処理することにより除去した。また、前記pmTOR−DsRed2を、同じ制限酵素の組合せにて処理し、DsRed2をコードするDNAを切り出した。そして、当該DNAを、前記制限酵素処理したpFKBP12−AGに挿入し、DsRed2をC末に融合させたFKBP12(FKBP12−DsRed2)を発現させるためのプラスミドベクター(pFKBP12−DsRed2)を作製した。
<pFKBP12−COR5の調製>
前記pFKBP12−AGより、AGをコードする領域をAgeI及びXbaIにて処理することにより除去した。また、前記pmTOR−COR5を、同じ制限酵素の組合せにて処理し、COR5をコードするDNAを切り出した。そして、当該DNAを、前記制限酵素処理したpFKBP12−AGに挿入し、COR5をC末に融合させたFKBP12(FKBP12−COR5)を発現させるためのプラスミドベクター(pFKBP12−COR5)を作製した。
<pMR−FKBP12の調製>
実施例8にて調製したpAG−FKBP12より、AGをコードする領域をNheI及びAgeIにて処理することにより除去した。また、pMonti−Red−MCL(株式会社医学生物学研究所製、コード番号:AM−VS0802M)を、同じ制限酵素の組合せにて処理し、Monti−Red(MR)をコードするDNAを切り出した。そして、当該DNAを、前記制限酵素処理したpAG−FKBP12に挿入し、MRをN末に融合させたFKBP12(MR−FKBP12)を発現させるためのプラスミドベクター(pMR−FKBP12)を作製した。
<細胞培養と遺伝子導入>
(A)AG−FKBP12+mTOR−DsRed2
(B)FKBP12−AG+mTOR−COR5
(C)MR−FKBP12+mTOR−KikGR1
(D)FKBP12−DsRed2+mTOR−KikGR1
(E)FKBP12−COR5+mTOR−KikGR1
(F)Mmj−p53+MR−MDM2
前記(A)〜(F)に記載のタンパク質の組み合わせを、細胞にて各々発現させるために、実施例7に記載の方法にて、HEK293細胞を培養し、上記にて調製したプラスミドを該細胞に導入した。なお、(F)の調整、細胞への導入については実施例2参照。
<細胞の観察、及び細胞の固定>
遺伝子導入を施したHEK293細胞の観察及び固定は、UPlanFLN 40xOil(N.A.=1.3)の代わりに、UPlanApo 20x(N.A.=0.7)(オリンパス社製)を用いたこと以外は、実施例3に記載の方法にて行った。
<FRET現象の検出、及びデータ解析>
ドナー側を、AG、KikGR1又はMmjとし、アクセプター側を、MR、DsRed2又はCOR5とした。さらに、mTOR及びFKBP12においては、その相互作用誘導剤として、Rapamycinを最終濃度1μMになるようHEK293細胞の培養液に添加し、またはp53及びMDM2においては、その相互作用阻害剤として、Nutlin−3を最終濃度20μMになるようHEK293細胞の培養液に添加し、薬剤添加前後10分の各蛍光強度の変化を測定した。そして、以上の事項以外は、実施例3に記載の方法にて行なった。
前記(A)〜(E)に関し、Rapamycin添加前後のRatio画像とFRET現象のシグナル値に関するグラフとを、各々図11A〜11Eに示す。また、前記(F)に関し、Nutlin−3添加前後のRatio画像とFRET現象のシグナル値に関するグラフとを、各々図11Fに示す。
図11A〜11Eに示すとおり、Rapamycinを添加した後、FRET現象のシグナル値(MR/AG比)は、形成された蛍光輝点を中心に上昇した。すなわち、mTOR及びFKBP12が相互作用をすることによって、各4量体蛍光タンパク質間のエネルギー移動効率が上昇し、FRET現象が生じたことが確認された。
また、図11Fに示すとおり、Nutlin−3を添加する前のFRET現象のシグナル値(MR/AG比)は蛍光輝点を中心に高く、添加後は、細胞全体に拡散しながら低下した。すなわち、p53及びMDM2間の相互作用が阻害されたことによって、4量体蛍光タンパク質(Mmj及びMR)間のエネルギー移動効率が低下し、FRET現象が低減したことが確認された。
以上のとおり、AG及びMR以外の4量体タンパク質を用いても、蛍光輝点は形成され、また当該形成を介したFRET現象も検出することができ、これらを指標としてタンパク質間相互作用を判定できることが、確認された。
(比較例) 2量体・単量体蛍光タンパク質を用いた、タンパク質間相互作用の検出
mAG1及びmEGFP以外の、単量体蛍光タンパク質(mKO1、mUkG1、mMiCy1、mKO2、mKeima)及び2量体蛍光タンパク質(KO1、dKeima、dAG(AB)、dAG(AC)、MiCy1、KCy1)を用いても、蛍光輝点は形成されず、タンパク質間相互作用は判定できないことを、以下に示す方法にて確認した。
<pmTOR−mKO1の調製>
前記pmTOR−AGより、AGをコードする領域をAgeI及びXbaIにて処理することにより除去した。また、phmKO1−MNL(株式会社医学生物学研究所製、コード番号:AM−V0050M)を、同じ制限酵素の組合せにて処理し、mKO1をコードするDNAを切り出した。そして、当該DNAを、前記制限酵素処理したpmTOR−AGに挿入し、mKO1をC末に融合させたmTOR(mTOR−mKO1)を発現させるためのプラスミドベクター(pmTOR−mKO1)を作製した。
<pmTOR−mKO2の調製>
前記pmTOR−AGより、AGをコードする領域をAgeI及びXbaIにて処理することにより除去した。また、phmKO2−MNL(株式会社医学生物学研究所製、コード番号:AM−V0140M)を、同じ制限酵素の組合せにて処理し、mKO2をコードするDNAを切り出した。そして、当該DNAを、前記制限酵素処理したpmTOR−AGに挿入し、mKO2をC末に融合させたmTOR(mTOR−mKO2)を発現させるためのプラスミドベクター(pmTOR−mKO2)を作製した。
<pmTOR−KO1の調製>
KO1をコードするヌクレオチド配列の5’末端及び3’末端に、それぞれAgeI認識配列、ストップコドンとXbaI認識配列を付加したヌクレオチド配列(配列番号:55)を設計した。そして、当該ヌクレオチド配列からなるDNAを人工合成し、AgeIとXbaIで切断した後、同じ制限酵素の組合せにて処理し、AGをコードする領域を除去したpmTOR−AGに挿入することにより、KO1をC末に融合させたmTOR(mTOR−KO1)を発現させるためのプラスミドベクター(pmTOR−KO1)を作製した。
<pmTOR−mKeimaの調製>
pmTOR−AGより、AGをコードする領域をAgeI及びXbaIにて処理することにより除去した。また、phmKeima−Red−MNL(株式会社医学生物学研究所製、コード番号:AM−V0090M)を、同じ制限酵素の組合せにて処理し、mKeimaをコードするDNAを切り出した。そして、当該DNAを、前記制限酵素処理したpmTOR−AGに挿入し、mKeimaをC末に融合させたmTOR(mTOR−mKeima)を発現させるためのプラスミドベクター(pmTOR−mKeima)を作製した。
<pmTOR−dKeimaの調製>
pmTOR−AGより、AGをコードする領域をAgeI及びXbaIにて処理することにより除去した。また、phdKeima−Red−MNL(株式会社医学生物学研究所製、コード番号:AM−V0100M)を、同じ制限酵素の組合せにて処理し、dKeimaをコードするDNAを切り出した。そして、当該DNAを、前記制限酵素処理したpmTOR−AGに挿入し、dKeimaをC末に融合させたmTOR(mTOR−dKeima)を発現させるためのプラスミドベクター(pmTOR−dKeima)を作製した。
<pmTOR−dAG(AB)の調製>
dAG(AB)をコードするヌクレオチド配列(配列番号:56)の5’末端及び3’末端に、それぞれAgeI認識配列、ストップコドンとXbaI認識配列を付加したヌクレオチド配列を設計した。そして、当該ヌクレオチド配列からなるDNAを人工合成し、AgeIとXbaIで切断した後、同じ制限酵素の組合せにて処理し、AGをコードする領域を除去したpmTOR−AGに挿入することにより、dAG(AB)をC末に融合させたmTOR(mTOR−dAG(AB))を発現させるためのプラスミドベクター(pmTOR−dAG(AB))を作製した。
<pmTOR−dAG(AC)の調製>
dAG(AC)をコードするヌクレオチド配列(配列番号:57)の5’末端及び3’末端に、それぞれAgeI認識配列、ストップコドンとXbaI認識配列を付加したヌクレオチド配列を設計した。そして、当該ヌクレオチド配列からなるDNAを人工合成し、AgeIとXbaIで切断した後、同じ制限酵素の組合せにて処理し、AGをコードする領域を除去したpmTOR−AGに挿入することにより、dAG(AC)をC末に融合させたmTOR(mTOR−dAG(AC))を発現させるためのプラスミドベクター(pmTOR−dAG(AC))を作製した。
<pmTOR−mUkG1の調製>
mUkG1をコードするヌクレオチド配列の5’末端及び3’末端に、それぞれAgeI認識配列、ストップコドンとXbaI認識配列を付加したヌクレオチド配列(配列番号:58)を設計した。そして、当該ヌクレオチド配列からなるDNAを人工合成し、AgeIとXbaIで切断した後、同じ制限酵素の組合せにて処理し、AGをコードする領域を除去したpmTOR−AGに挿入することにより、mUkG1をC末に融合させたmTOR(mTOR−mUkG1)を発現させるためのプラスミドベクター(pmTOR−mUkG1)を作製した。
<pmTOR−mMiCy1の調製>
pmTOR−AGより、AGをコードする領域をAgeI及びXbaIにて処理することにより除去した。また、phmMiCy1−MNL(株式会社医学生物学研究所製、コード番号:AM−V0110M)を、同じ制限酵素の組合せにて処理し、mMiCy1をコードするDNAを切り出した。そして、当該DNAを、前記制限酵素処理したpmTOR−AGに挿入し、mMiCy1をC末に融合させたmTOR(mTOR−mMiCy1)を発現させるためのプラスミドベクター(pmTOR−mMiCy1)を作製した。
<pmTOR−MiCy1の調製>
MiCy1をコードするヌクレオチド配列の5’末端及び3’末端に、それぞれAgeI認識配列、ストップコドンとXbaI認識配列を付加したヌクレオチド配列(配列番号:59)を設計した。そして、当該ヌクレオチド配列からなるDNAを人工合成し、AgeIとXbaIで切断した後、同じ制限酵素の組合せにて処理し、AGをコードする領域を除去したpmTOR−AGに挿入することにより、MiCy1をC末に融合させたmTOR(mTOR−MiCy1)を発現させるためのプラスミドベクター(pmTOR−MiCy1)を作製した。
<pmTOR−KCy1の調製>
KCy1をコードするヌクレオチド配列の5’末端及び3’末端に、それぞれAgeI認識配列、ストップコドンとXbaI認識配列を付加したヌクレオチド配列(配列番号:60)を人工合成し、AgeIとXbaIで切断した後、同じ制限酵素の組合せにて処理し、AGをコードする領域を除去したpmTOR−AGに挿入することにより、KCy1をC末に融合させたmTOR(mTOR−KCy1)を発現させるためのプラスミドベクター(pmTOR−KCy1)を作製した。
<細胞培養、遺伝子導入及び相互作用誘導剤の添加>
(A)AG−FKBP12+mTOR−mKO1
(B)AG−FKBP12+mTOR−mKO2
(C)AG−FKBP12+mTOR−KO1
(D)AG−FKBP12+mTOR−mKeima
(E)AG−FKBP12+mTOR−dKeima
(F)mAG1−FKBP12+mTOR−mKO1
(G)mAG1−FKBP12+mTOR−mKO2
(H)mAG1−FKBP12+mTOR−KO1
(I)mAG1−FKBP12+mTOR−mKeima
(J)mAG1−FKBP12+mTOR−dKeima
(K)MR−FKBP12+mTOR−dAG(AB)
(L)MR−FKBP12+mTOR−dAG(AC)
(M)MR−FKBP12+mTOR−mUkG1
(N)MR−FKBP12+mTOR−mMiCy1
(O)MR−FKBP12+mTOR−MiCy1
(P)MR−FKBP12+mTOR−KCy1
前記(A)〜(P)に記載のタンパク質の組み合わせを、細胞にて各々発現させるために、実施例8に記載の方法にて、HEK293細胞を培養し、上記にて調製したプラスミドを該細胞に導入した。
そして、プラスミドDNA溶液及びFugene HDを添加してから48時間培養後に、各ウェルから培養液全量を除き、1μM Rapamycin及び20mM HEPESを含むHBSSを、200μLずつ添加し、37℃、5%COインキュベーター内で30分静置した。
<細胞の観察>
遺伝子導入を施したHEK293細胞は、IX−81倒立顕微鏡(オリンパス社製)を用いて観察した。フィルター及びダイクロイックミラーは、AG、mAG1、dAG(AB)、dAG(AC)、mUkG1、mMiCy1、MiCy1及びKCy1に関しては、BP460−480HQ、BA495及びDM485HQ(U−MGFPHQ、オリンパス社製)を用い、mKO1、mKO2及びKO1に関しては、BP520−540HQ、BA555−600HQ、DM545HQ(FSET−KOHQ、オリンパス社製)を用い、mKeima及びdKeimaに関しては、440AF21、610ALP、590DRLP(オリンパス社製)を用い、MRに関しては、BP530−550、BA575IF及びDM570(U−MWIG3、オリンパス社製)を用いた。対物レンズは、UPlanApo 20x(N.A.=0.7)(オリンパス社製)、カメラは、ORCA‐Flash4.0デジタルカメラ(浜松ホトニクス製)を用いた。
<データ解析>
得られた画像データはMetaMorph ver8.9.0(モレキュラーデバイス社)で解析し、視野全体の各蛍光画像を取得した。得られた結果を、図12A〜12Pに示す。
図12A〜12Pに示すとおり、単量体蛍光タンパク質又は2量体蛍光タンパク質を用いた場合には、対象タンパク質間の相互作用を示す蛍光輝点は形成されなかった。したがって、対象とするタンパク質に各々異なる4量体蛍光タンパク質を融合させ、細胞内に発現させた場合において、蛍光輝点が形成され、該蛍光輝点を指標として、対象タンパク質間の相互作用を判定できることが、確認された。
以上説明したように、本発明によれば、対象とするタンパク質の双方に蛍光タンパク質を融合させ、細胞内に発現させ又は導入した場合において、形成される蛍光輝点を指標に、対象タンパク質間の相互作用を判定することが可能となる。さらに、融合させる蛍光タンパク質は、発現させる又は導入する細胞が生来内在するものではないので、当該細胞の機能を乱すおそれが少なく、タンパク質間相互作用の判定を行なうことができる。
また、対象とするタンパク質の一方にドナー4量体蛍光タンパク質を融合させ、他方にアクセプター4量体蛍光タンパク質を融合させて細胞内に発現させ又は導入した場合には、蛍光輝点が形成され、それを介して増加したFRET現象のシグナルを効率よく検出することにより、対象タンパク質間の相互作用を判定することもできる。
特に、本発明によれば、固定化した細胞においてもFRET現象を生じたままにさせることができ、該FRET現象又はFRET現象のシグナル検出によりタンパク質間相互作用を判定することができる。そのため、検出条件を揃えるためにサンプル(細胞)の固定化を要する、ハイスループットスクリーニング等において、本発明は好適に用いられ得る。
なお、このように、FRET現象を検出することによって、蛍光輝点等の画像解析の工程を減らすことができる。すなわち、FRET現象の検出でなく、蛍光輝点検出の場合、蛍光輝点の領域をコンピュータ等の画像上で手動若しくは領域指定するプログラム等で指定し、その領域中の蛍光強度を測定、算出(画像解析)する必要があるが、他方FRET現象の検出の場合、画像解析の段階を経ることなく、相互作用の有無を判定できる。
したがって、本発明のタンパク質間相互作用の判定方法等、並びにこれらの方法に用いられるためのベクター又はキットは、生体内における様々なシグナル伝達や、様々な生体反応の制御等の解明、ひいては疾患メカニズムの解明を通した医薬品等の開発において有用である。

Claims (8)

  1. 第1のタンパク質と第2のタンパク質との相互作用を判定するための方法であって、第1の4量体蛍光タンパク質と第2の4量体蛍光タンパク質とは異なるタンパク質であり、かつ下記工程(1)〜(3)を含む方法
    (1) 第1のタンパク質及び第1の4量体蛍光タンパク質を含む第1の融合タンパク質と、第2のタンパク質及び第2の4量体蛍光タンパク質を含む第2の融合タンパク質とを、細胞内に発現させる又は細胞に導入する工程
    (2) 前記細胞において第1の融合タンパク質と第2の融合タンパク質との会合により生じる蛍光輝点を形成させる工程
    (3) 前記蛍光輝点の検出により、第1のタンパク質と第2のタンパク質との相互作用を判定する工程。
  2. 第1の4量体蛍光タンパク質と第2の4量体蛍光タンパク質のいずれか一方がドナー蛍光タンパク質であり、他方がアクセプター蛍光タンパク質であり、工程(3)において、前記蛍光輝点の形成を介したFRET現象の検出により、第1のタンパク質と第2のタンパク質との相互作用を判定する、請求項1に記載の方法。
  3. 特定のタンパク質と相互作用するタンパク質をスクリーニングするための方法であって、第1のタンパク質及び第2のタンパク質のいずれか一方が該特定のタンパク質であり、他方が被検タンパク質であり、前記蛍光輝点の検出又は前記FRET現象の検出により、該特定のタンパク質と相互作用するタンパク質を選択する、請求項1又は2に記載の方法。
  4. 前記相互作用に関与する第1のタンパク質中のアミノ酸残基又は第2のタンパク質中のアミノ酸残基を同定するための方法であって、該第1のタンパク質及び該第2のタンパク質のいずれかに変異が導入されたタンパク質を用い、前記蛍光輝点又は前記FRET現象の強度が、変異が導入されていないタンパク質を用いた場合と比較して減弱した場合は、該変異が導入されたアミノ酸残基を前記相互作用に関与すると判定する、請求項1又は2に記載の方法。
  5. 第1のタンパク質と第2のタンパク質との相互作用を調節する物質をスクリーニングするための方法であって、第1の4量体蛍光タンパク質と第2の4量体蛍光タンパク質とは異なるタンパク質であり、かつ下記工程(1)〜(3)を含む方法
    (1)被検化合物の存在下で、第1のタンパク質及び第1の4量体蛍光タンパク質を含む第1の融合タンパク質と、第2のタンパク質及び第2の4量体蛍光タンパク質を含む第2の融合タンパク質とを、細胞内に発現させる若しくは細胞に導入する工程、又は、
    第1のタンパク質及び第1の4量体蛍光タンパク質を含む第1の融合タンパク質と、第2のタンパク質及び第2の4量体蛍光タンパク質を含む第2の融合タンパク質とを、細胞内に発現させた若しくは細胞に導入した後、該細胞を被検化合物の存在下におく工程、
    (2)前記細胞において第1の融合タンパク質と第2の融合タンパク質との会合により生じる蛍光輝点を検出する工程、
    (3)前記蛍光輝点の強度が、前記被検化合物の非存在下において生じる蛍光輝点の強度より増大する場合は、前記被検化合物を前記相互作用の誘導物質として選択し、前記蛍光輝点の強度が前記被検化合物の非存在下において生じる蛍光輝点の強度より減弱する場合は、前記被検化合物を前記相互作用の抑制物質として選択する工程。
  6. 第1のタンパク質と第2のタンパク質との相互作用を調節する物質をスクリーニングするための方法であって、第1の4量体蛍光タンパク質と第2の4量体蛍光タンパク質とは異なるタンパク質であり、第1の4量体蛍光タンパク質と第2の4量体蛍光タンパク質のいずれか一方がドナー蛍光タンパク質であり、他方がアクセプター蛍光タンパク質であり、かつ下記工程(1)〜(3)を含む方法
    (1)被検化合物の存在下で、第1のタンパク質及び第1の4量体蛍光タンパク質を含む第1の融合タンパク質と、第2のタンパク質及び第2の4量体蛍光タンパク質を含む第2の融合タンパク質とを、細胞内に発現させる若しくは細胞に導入する工程、又は、
    第1のタンパク質及び第1の4量体蛍光タンパク質を含む第1の融合タンパク質と、第2のタンパク質及び第2の4量体蛍光タンパク質を含む第2の融合タンパク質とを、細胞内に発現させた若しくは細胞に導入した後、該細胞を被検化合物の存在下におく工程、
    (2)前記細胞において第1の融合タンパク質と第2の融合タンパク質との会合により生じる蛍光輝点の形成を介したFRET現象を検出する工程、
    (3)前記FRET現象の強度が、前記被検化合物の非存在下において生じるFRET現象の強度より増大する場合は、前記被検化合物を前記相互作用の誘導物質として選択し、前記FRET現象の強度が、前記被検化合物の非存在下において生じるFRET現象の強度より減弱する場合は、前記被検化合物を前記相互作用の抑制物質として選択する工程。
  7. 前記細胞が固定化された細胞である、請求項1〜6のいずれか一項に記載の方法。
  8. 下記(a)〜(k)からなる群から選択される少なくとも一の物質及び使用説明書を含む、請求項1〜7のうちのいずれか一項に記載の方法に用いられるためのキット
    (a)第1の4量体蛍光タンパク質をコードするDNAと、第1の4量体蛍光タンパク質と融合して発現されるように、任意のタンパク質をコードするDNAの挿入を可能にするクローニング部位とを含むベクター
    (b)第2の4量体蛍光タンパク質をコードするDNAと、第2の4量体蛍光タンパク質と融合して発現されるように、任意のタンパク質をコードするDNAの挿入を可能にするクローニング部位とを含むベクター
    (c)第1の融合タンパク質をコードするベクター
    (d)第2の融合タンパク質をコードするベクター
    (e)(a)又は(c)に記載のベクター及び(b)又は(d)に記載のベクターを含むベクターセット
    (f)第1の融合タンパク質をコードするベクターを保持する形質転換細胞
    (g)第2の融合タンパク質をコードするベクターを保持する形質転換細胞
    (h)第1の融合タンパク質をコードするベクターと第2の融合タンパク質をコードするベクターとを保持する形質転換細胞
    (i)第1の融合タンパク質
    (j)第2の融合タンパク質
    (k)第1の融合タンパク質及び第2の融合タンパク質を含むタンパク質セット。
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