以下、図面を参照しながら、本発明の実施形態について説明する。
[第1実施形態の構成]
図1は、第1実施形態のモータ用冷媒循環装置1(正転時)の模式図である。図2は、第1実施形態のモータ用冷媒循環装置1(逆転時)の模式図である。
第1実施形態のモータ用冷媒循環装置1は、モータ7(ロータ72)を冷却するオイル等の冷媒の循環経路となるものである。モータ用冷媒循環装置1は、ロータ72のシャフト721に機械的に接続された機械式ポンプ2と、経路切替機構3とにより構成される。モータ7(ハウジング71)と経路切替機構3は、冷媒の供給経路56及び導入経路57により接続されている。
モータ7は、ハウジング71にロータ72(及びステータ)を収容したものであり、ロータ72内は冷媒が循環できるようになっている。モータ7では、経路切替機構3から供給経路56を介して供給された冷媒がロータ72内部に供給され、ロータ72から排出された冷媒がハウジング71下部にあるタンク711に蓄えられる。そしてタンク711に蓄えられた冷媒は導入経路57を介して経路切替機構3に導入される。
機械式ポンプ2は、ロータ72のシャフト721に直結する、若しくはシャフト721にギア(不図示)を介して機械的に接続することで、ロータ72の回転力に従って回転し、ロータ72の回転方向に従って回転方向が切り替わるものである。機械式ポンプ2としては、トロコイドポンプ、ベーンポンプ等を適用することができる。そして、機械式ポンプ2から吐出された冷媒は供給経路56を介してモータ7(ロータ72)に供給され、機械式ポンプ2の吸引力により、タンク711に蓄えられた冷媒が導入経路57に導入される。
機械式ポンプ2と経路切替機構3は、吐出経路21及び吸引経路22を介して接続されている。吐出経路21は、機械式ポンプ2の正転時に機械式ポンプ2から吐出される冷媒が流通する経路であり、吸引経路22は、機械式ポンプ2の正転時に機械式ポンプ2が吸引する冷媒が流通する経路である。一方、機械式ポンプ2の逆転時は、吐出経路21は機械式ポンプ2が吸引する冷媒が流通する経路となり、吸引経路22は機械式ポンプ2が吐出する冷媒が流通する経路となる。
経路切替機構3は、シリンダ4、ピストン5、アクチュエータ6により構成される。シリンダ4は、第1シリンダ41、及び第2シリンダ42により構成されている。第1シリンダ41及び第2シリンダ42は互いに隣り合っており、長手方向及び開口部の向きが一致している。また、第1シリンダ41と第2シリンダ42は互いに直接連通しておらず、機械式ポンプ2、供給経路56、導入経路57を介して互いに連通している。
供給経路56は、第1供給経路561と第2供給経路562に分岐し、第1供給経路561が第1シリンダ41に接続され、第2供給経路562が第2シリンダ42に接続されている。
導入経路57は、第1導入経路571、第2導入経路572、第3導入経路573に分岐し、第1導入経路571は第1シリンダ41に接続され、第2導入経路572及び第3導入経路573は第2シリンダ42に接続されている。吐出経路21は、第1シリンダ41に接続され、吸引経路22は、第2シリンダ42に接続されている。
ピストン5は、アクチュエータ6に支持され、アクチュエータ6の駆動に従ってシリンダ4内で可動するものである。ピストン5は、長手方向の途中位置から第1ピストン51と第2ピストン52に分岐している。
第1ピストン51及び第2ピストン52は互いに平行となるように配置され、第1ピストン51は、第1シリンダ41に収容され、第2ピストン52は第2シリンダ42に収容される。また、第2ピストン52は第1ピストン51よりも長く設計されている。
第1ピストン51には、アクチュエータ6から近い順に、第1仕切り板511、第2仕切り板512が取り付けられており、第2仕切り板512は第1ピストン51の長手方向の端部に取り付けられている。
第2ピストン52には、アクチュエータ6から近い順に、第5仕切り板523、第3仕切り板521、第4仕切り板522が取り付けられ、第4仕切り板522は第2ピストン52の長手方向の端部に取り付けられている。
第1ピストン51において、第1仕切り板511と第2仕切り板512の間には第1内部空間411が形成され、第2仕切り板512の第1内部空間411の反対側には第2内部空間412が形成されている。
第2ピストン52において、第5仕切り板523と第3仕切り板521の間にはバッファ空間423が形成され、第3仕切り板521と第4仕切り板522の間には第3内部空間421が形成され、第4仕切り板522の第3内部空間421の反対側にはバッファ空間424が形成されている。バッファ空間423は、後述の第1連通状態において第3内部空間421に代わって第2供給経路562に連通させる内部空間である。また、バッファ空間424は、ピストン5のロックを回避するために冷媒を出し入れするための内部空間である。
図1,2に示すように、第2仕切り板512、第3仕切り板521、第4仕切り板522は、ピストン5の長手方向で互いに異なる位置に取り付けられており、第3仕切り板521、第2仕切り板512、第4仕切り板522の順にアクチュエータ6に近くなる位置に取り付けられている。
アクチュエータ6は、ピストン5(第1ピストン51、第2ピストン52)をその長手方向(シリンダ4の長手方向)に沿って移動させるものである。アクチュエータ6には、モータ7の回転方向を表す回転方向信号(+θ、−θ)が入力され、回転方向信号に従ってピストン5のストローク位置を切り替える。
図1では、モータ7は正転しており、アクチュエータ6には回転方向信号(+θ)が入力され、アクチュエータ6は第1ピストン51及び第2ピストン52をアクチュエータ6から遠ざけたストローク位置に移動させている(後述の第1連通状態)。
図2では、モータ7は逆転しており、アクチュエータ6には回転方向信号(−θ)が入力され、アクチュエータ6は第1ピストン51及び第2ピストン52をアクチュエータ6に近づけたストローク位置に移動させている(後述の第2連通状態)。
上記のように、機械式ポンプ2はモータ7の回転方向に従って冷媒の吐出方向が切り替わるため、経路切替機構3は、モータ7の回転方向に従って第1シリンダ41内部及び第2シリンダ42内部の連通状態(第1連通状態、第2連通状態)をそれぞれ切り替えることで、モータ7の回転方向に関わらず供給経路56から冷媒が供給できるように仕切り板(第1仕切り板511乃至第5仕切り板523)が取り付けられている。
図1、図2に示すように、第1内部空間411、第2内部空間412、第3内部空間421、バッファ空間423、及びバッファ空間424は、第1連通状態及び第2連通状態に関わらず以下の連通状態を維持している。すなわち、第1内部空間411は、第1供給経路561に連通するとともに第1導入経路571から分離している。第2内部空間412は、第1導入経路571に連通するとともに第1供給経路561から分離している。
バッファ空間423は、第2導入経路572、第3導入経路573、吸引経路22から分離している。第3内部空間421は、吸引経路22に連通し、第3導入経路573から分離している。バッファ空間424は、第2供給経路562、吸引経路22から分離し、第3導入経路573に連通している。
図1に示す第1連通状態において、第1内部空間411は吐出経路21と第1供給経路561とを連通し、第2内部空間412は第1導入経路571に連通するとともに吐出経路21から分離し、バッファ空間423は第2供給経路562に連通し、第3内部空間421は吸引経路22と第2導入経路572とを連通するとともに、第2供給経路562から分離し、バッファ空間424は第2導入経路572から分離している。
図2に示す第2連通状態において、第1内部空間411は吐出経路21から分離し、第2内部空間412は吐出経路21と第1導入経路571とを連通し、バッファ空間423は第2供給経路562から分離し、第3内部空間421は吸引経路22と第2供給経路562とを連通するとともに第2導入経路572から分離し、バッファ空間424は第2導入経路572及び第3導入経路573に連通している。
上記のように、第2内部空間412は第1導入経路571に常時連通し、バッファ空間424は第3導入経路573に常時連通している。これにより、アクチュエータ6がピストン5を移動させるときに、第2内部空間412及びバッファ空間424に冷媒を出し入れすることができ、ピストン5のロックを回避することができる。
図3は、第1実施形態のモータ用冷媒循環装置1の経路切替機構3(正転時)の模式図である。図4は、第1実施形態のモータ用冷媒循環装置1の経路切替機構3(逆転時)の模式図である。図3、図4に示すように、仕切り板(第1仕切り板511乃至第5仕切り板523)の側面にはOリング53が取り付けられ、Oリング53が第1シリンダ41、第2シリンダ42の内壁に押圧されることにより互いに隣接する内部空間同士を分離している。
第1シリンダ41には、第1供給経路561の開口部561a、吐出経路21の開口部21a、第1導入経路571の開口部571aが形成されている。第2シリンダ42には、第2供給経路562の開口部562a、吸引経路22の開口部22a、第2導入経路572の開口部572a、第3導入経路573の開口部573aが形成されている。このうち、開口部561a及び開口部562aは供給経路56を介して互いに連通し、開口部571a、開口部572a、及び開口部573aは導入経路57を介し互いに連通している。
図3に示す第1連通状態において、第1内部空間411は開口部561aと開口部21aとを連通し、第2内部空間412は開口部571aに連通するとともに開口部561aから分離し、バッファ空間423は開口部562aに連通し、第3内部空間421は開口部22aと開口部572aとを連通するとともに開口部562aから分離し、バッファ空間424は開口部573aに連通するとともに開口部572aから分離している。
図4に示す第2連通状態において、第1内部空間411は開口部561aに連通するとともに開口部21aから分離し、第2内部空間412は開口部21aと開口部571aとを連通し、バッファ空間423は開口部562aから分離し、第3内部空間421は開口部562aと開口部22aとを連通するとともに開口部572aから分離し、バッファ空間424は開口部572a及び開口部573aに連通している。
[第1実施形態の動作]
図1、図3に示す第1連通状態において、機械式ポンプ2が正転すると、機械式ポンプ2は、吸引経路22から冷媒を吸引し、吐出経路21に冷媒を吐出する動作を行う。このとき、タンク711に蓄えられた冷媒は、経路切替機構3において、第2導入経路572を通じて第3内部空間421に導入され、開口部572aから開口部22aに流通して吸引経路22に供給される機械式ポンプ2に吸引される。また、機械式ポンプ2から吐出経路21に吐出された冷媒は、第1内部空間411において開口部21aから開口部561aに流通し、第1供給経路561及び供給経路56を介してモータ7(ロータ72)に供給される。
図2、図4に示す第2連通状態において、機械式ポンプ2が逆転すると、機械式ポンプ2は、吐出経路21から冷媒を吸引し、吸引経路22に冷媒を吐出する動作を行う。このとき、タンク711に蓄えられた冷媒は、経路切替機構3において、第1導入経路571を通じて第2内部空間412に導入され、開口部571aから開口部21aに流通して吐出経路21に導入され機械式ポンプ2に吸引される。また、機械式ポンプ2から吸引経路22に吐出された冷媒は、第3内部空間421に導入され、開口部22aから開口部562aに流通し、第2供給経路562及び供給経路56を介してモータ7(ロータ72)に供給される。
以上のように、モータ7(ロータ72)及び機械式ポンプ2の回転方向に関わらず、タンク711に蓄えられた冷媒は、経路切替機構3内の流路の切替により、供給経路56からモータ7(ロータ72)に供給することができ、冷媒の循環を確実に行うことができる。
なお、第1連通状態、第2連通状態の切り替えは、アクチュエータ6が回転方向信号(+θ、−θ)を受信することにより、ピストン5を、第1連通状態を実現するストローク位置、第2連通状態を実現するストローク位置に移動させている。その際、第2内部空間412、及びバッファ空間424は常時導入経路57に連通しているので、導入経路57との間で冷媒の出し入れが可能となり、ピストン5の動作のロックを回避することができる。
[第1実施形態の効果]
第1実施形態のモータ用冷媒循環装置1は、モータ7に冷媒を循環して冷却させるモータ用冷媒循環装置1であって、モータ7に機械的に接続され、モータ7の回転方向に従って冷媒の吐出方向が切り替わる機械式ポンプ2と、モータ7に冷媒を供給する供給経路56と、モータ7から排出された冷媒を導入する導入経路57と、モータ7の正転時に機械式ポンプ2から吐出される冷媒を流通させる吐出経路21と、モータ7の正転時に機械式ポンプ2が吸引する冷媒を流通させる吸引経路22と、が接続され、モータ7の正転時に吐出経路21と供給経路56を連通させるとともに吸引経路22と導入経路57を連通させ、モータ7の逆転時に吸引経路22と供給経路56を連通させるとともに吐出経路21と導入経路57を連通させる経路切替機構3と、を備える。
上記構成により、モータ7の回転方向が切り替わることで機械式ポンプ2の冷媒の吐出方向が切り替わっても経路切替機構3がこれに連動して機械式ポンプ2の連通先を切り替えることができる。よって、モータ7の回転方向、及び機械式ポンプ2の吐出方向に関わらず、冷媒を順方向に循環させることができ、電動のオイルポンプを用いることなく、コストを抑制して、モータ7に冷媒を循環させることができる。
経路切替機構3は、供給経路56と、導入経路57と、吐出経路21と、吸引経路22と、が接続されたシリンダ4と、シリンダ4の内部空間を仕切る仕切り板(第1仕切り板511乃至第5仕切り板523)が取り付けられ、仕切り板によりモータ7の正転時に吐出経路21と供給経路56を連通させるとともに吸引経路22と導入経路57とを連通させる内部空間を形成する第1連通状態と、モータ7の逆転時に吸引経路22と供給経路56とを連通させるとともに吐出経路21と導入経路57とを連通させる内部空間を形成する第2連通状態と、に切り替え可能に可動するピストン5と、モータ7の回転方向に従ってピストン5を移動させ、シリンダ4の内部空間を第1連通状態及び第2連通状態のいずれか一方に切り替えるアクチュエータ6と、を備える。
上記構成により、簡易な構成で、吐出経路21の連通先、吸引経路22の連通先を切り替え、機械式ポンプ2の回転方向、すなわち冷媒の吐出方向に関わらず冷媒の順方向の循環を維持する機構を構築することができる。
シリンダ4は、供給経路56から分岐した第1供給経路561、導入経路57から分岐した第1導入経路571、及び吐出経路21に連通するとともに吸引経路22から分離している第1シリンダ41と、供給経路56から分岐した第2供給経路562、導入経路57から分岐した第2導入経路572、及び吸引経路22に連通するとともに吐出経路21から分離している第2シリンダ42と、を備える。
ピストン5は、第1シリンダ41内に配置される第1ピストン51と、第2シリンダ42内に配置される第2ピストン52と、に分岐している。
仕切り板は、第1ピストン51に並んで取り付けられた第1仕切り板511及び第2仕切り板512と、第2ピストン52に並んで取り付けられた第3仕切り板521及び第4仕切り板522と、を備える。
第1シリンダ41は、第1仕切り板511と第2仕切り板512の間に形成され、第1供給経路561に連通する第1内部空間411と、第2仕切り板512の第1内部空間411の反対側に形成され、第1導入経路571に連通する第2内部空間412と、を備える。
第2シリンダ42は、第3仕切り板521と第4仕切り板522の間に形成され吸引経路22に連通する第3内部空間421を備える。
第1連通状態において、第1内部空間411は、吐出経路21と第1供給経路561とを連通し、第3内部空間421は、吸引経路22と第2導入経路572とを連通している。
第2連通状態において、第2内部空間412は、吐出経路21と第1導入経路571とを連通し、第3内部空間421は、吸引経路22と第2供給経路562とを連通している。
上記構成により、ピストン5を移動させるだけでシリンダ4内に第1連通状態及び第2連通状態を形成できるので、経路切替機構3を小型化することができる。
なお、第1実施形態(以後の実施形態も同様)において、供給経路56と導入経路57の取り付け位置を逆にしてもよい。この場合、第1連通状態と第2連通状態とで連通状態が互いに入れ替わる。よって、モータ7及び機械式ポンプ2が正転しているときは、アクチュエータ6はピストン5を上記の第2連通状態となるストローク位置に移動させ、逆転しているときはピストン5を上記の第1連通状態となるストローク位置に移動させればよい。また、第1実施形態では、供給経路56を第1供給経路561と第2供給経路562に分岐させているが、供給経路56が第1シリンダ41及び第2シリンダ42に連通するように、シリンダ4において第1シリンダ41と第2シリンダ42の間の壁面を跨ぐような大きな開口部を形成し、この開口部に供給経路56を接続する形態であってもよい。同様に、導入経路57を第1導入経路571と第2導入経路572に分岐させているが、導入経路57が第1シリンダ41及び第2シリンダ42に連通するように、シリンダ4において第1シリンダ41と第2シリンダ42の間の壁面を跨ぐような大きな開口部を形成し、この開口部に導入経路57を接続する形態であってもよい。
[第2実施形態の構成]
図5は、第2実施形態のモータ用冷媒循環装置1(正転時)の模式図である。図6は、第2実施形態のモータ用冷媒循環装置1(逆転時)の模式図である。第2実施形態のモータ用冷媒循環装置1では、経路切替機構3にエア導入経路58が接続され、ロータ72の冷却が不要な場合に、機械式ポンプ2を空回りさせて、モータ7のトルクの機械式ポンプ2に係る損失を低減させるようになっている。
供給経路56は、第1供給経路561と第2供給経路562に分岐し、第1供給経路561が第1シリンダ41に接続され、第2供給経路562が第2シリンダ42に接続されている。
導入経路57は、第1導入経路571、第2導入経路572に分岐し、第1導入経路571は第1シリンダ41に接続され、第2導入経路572は第2シリンダ42に接続されている。吐出経路21は、第1シリンダ41に接続され、吸引経路22は、第2シリンダ42に接続されている。
エア導入経路58の一方は、モータ7のハウジング71(タンク711)であって冷媒の液面より高くなる位置に接続され、他方は、シリンダ4に接続されている。これにより、経路切替機構3からエア導入経路58に冷媒が逆流したとしても、冷媒が外部に漏洩することを防止できる。
エア導入経路58の他方は、第1エア導入経路581、第2エア導入経路582、第3エア導入経路583に分岐し、第1エア導入経路581は第1シリンダ41に接続され、第2エア導入経路582及び第3エア導入経路583は第2シリンダ42に接続されている。
第1ピストン54には、アクチュエータ6から近い順に、第1仕切り板541、第2仕切り板542、第3仕切り板543が取り付けられており、第3仕切り板543は第1ピストン54の長手方向の端部に取り付けられている。
第2ピストン55には、アクチュエータ6から近い順に、第7仕切り板554、第4仕切り板551、第5仕切り板552、第6仕切り板553が取り付けられ、第6仕切り板553は第2ピストン55の長手方向の端部に取り付けられている。
第1シリンダ41において、第1仕切り板541と第2仕切り板542の間には第1内部空間411が形成され、第2仕切り板542と第3仕切り板543の間には第2内部空間412が形成され、第3仕切り板543の第2内部空間412の反対側には、ピストン5の動作のロックを回避するためにエアを出し入れするためのバッファ空間413が形成されている。
第2シリンダ42において、第7仕切り板554と第4仕切り板551の間にはバッファ空間423が形成され、第4仕切り板551と第5仕切り板552の間には第3内部空間421が形成され、第5仕切り板552と第6仕切り板553の間には第4内部空間422が形成され、第6仕切り板553の第4内部空間422の反対側には、ピストン5の動作のロックを回避するためにエアを出し入れするためのバッファ空間424が形成されている。
図5、図6に示すように、第1内部空間411乃至第4内部空間422、バッファ空間413、バッファ空間423、及びバッファ空間424は、第1連通状態、第2連通状態、及び後述の第3連通状態に関わらず以下の連通状態を維持している。すなわち、第1内部空間411は、第1供給経路561に連通し、第1導入経路571、及び第1エア導入経路581から分離している。第2内部空間412は、第1導入経路571に連通するとともに第1供給経路561及び第1エア導入経路581から分離している。バッファ空間413は、第1供給経路561、第1導入経路571、及び吐出経路21から分離するとともに第1エア導入経路581に連通している。バッファ空間423は、第2導入経路572、吸引経路22、第2エア導入経路582、及び第3エア導入経路583から分離している。第3内部空間421は、吸引経路22に連通するとともに第2エア導入経路582及び第3エア導入経路583から分離している。第4内部空間422は、第2供給経路562、吸引経路22、及び第3エア導入経路583から分離している。バッファ空間424は、第2供給経路562、第2導入経路572、吸引経路22から分離し、第3エア導入経路583に連通している。
図5に示す第1連通状態において、第1内部空間411は吐出経路21と第1供給経路561とを連通し、第2内部空間412は吐出経路21から分離し、バッファ空間423は第2供給経路562に連通し、第3内部空間421は吸引経路22と第2導入経路572とを連通し、第4内部空間422は第2エア導入経路582に連通するとともに第2導入経路572から分離し、バッファ空間424は第2エア導入経路582から分離している。
図6に示す第2連通状態において、第1内部空間411は吐出経路21から分離し、第2内部空間412は吐出経路21と第1導入経路571とを連通し、バッファ空間423は第2供給経路562から分離し、第3内部空間421は吸引経路22と第2供給経路562とを連通するとともに第2導入経路572から分離し、第4内部空間422は第2導入経路572に連通するともに第2エア導入経路582から分離し、バッファ空間424は第2エア導入経路582に連通している。
上記のように、バッファ空間413は第1エア導入経路581に常時連通し、バッファ空間424は第3エア導入経路583に常時連通している。これにより、アクチュエータ6がピストン5を移動させるときに、バッファ空間413及びバッファ空間424に対してエアを出し入れすることができ、ピストン5のロックを回避することができる。またモータ7内のエアをバッファ空間413及びバッファ空間424に導入するので、モータ7内の気化したオイルを包含するエアの漏洩を防止することができる。
図7は、第2実施形態のモータ用冷媒循環装置1を構成する経路切替機構3(正転時)の模式図である。図8は、第2実施形態のモータ用冷媒循環装置1を構成する経路切替機構3(逆転時)の模式図である。
図7、図8に示すように、第1シリンダ41には、第1供給経路561の開口部561a、吐出経路21の開口部21a、第1導入経路571の開口部571a、第1エア導入経路581の開口部581aが形成されている。第2シリンダ42には、第2供給経路562の開口部562a、吸引経路22の開口部22a、第2導入経路572の開口部572a、第2エア導入経路582の開口部582a、第3エア導入経路583の開口部583aが形成されている。このうち、開口部561a及び開口部562aは供給経路56を介して互いに連通し、開口部571a及び開口部572aは導入経路57を介して互いに連通し、開口部581a、開口部582a、及び開口部583aはエア導入経路58を介して相互に連通している。なお、エア導入経路58を第1エア導入経路581と第2エア導入経路582に分岐させているが、エア導入経路58が第1シリンダ41及び第2シリンダ42に連通するように、シリンダ4において第1シリンダ41と第2シリンダ42の間の壁面を跨ぐような大きな開口部を形成し、この開口部にエア導入経路58を接続する形態であってもよい。
図7に示す第1連通状態において、第1内部空間411は開口部561aと開口部21aとを連通し、第2内部空間412は開口部571aに連通し、バッファ空間413は開口部581aに連通し、バッファ空間423は開口部562aに連通し、第3内部空間421は開口部22aと開口部572aとを連通し、第4内部空間422は開口部582aに連通し、バッファ空間424は開口部583aに連通している。
図8に示す第2連通状態において、第1内部空間411は開口部561aに連通し、第2内部空間412は開口部21aと開口部571aとを連通し、バッファ空間413は開口部581aに連通し、バッファ空間423は開口部562aから分離し、第3内部空間421は開口部22aと開口部562aとを連通するとともに開口部572aから分離し、第4内部空間422は開口部572aに連通するとともに開口部582aから分離し、バッファ空間424は開口部582a及び開口部583aに連通している。
アクチュエータ6は、モータ7に取り付けた温度センサ(不図示)によりモータ7(ロータ72)の温度(T)を計測可能であり、温度(T)が所定温度(Tth)よりも高いときは、ピストン5のストローク位置を、回転方向信号(+θ、−θ)に基づいて、第1連通状態を形成するストローク位置、または第2連通状態を形成するストローク位置に移動させる。
一方、アクチュエータ6は、温度(T)が所定温度(Tth)よりも低くなったときは、モータ7(ロータ72)の冷却が不要であると判断して、回転方向信号(+θ、−θ)に関わらず、ピストン5のストローク位置を、後述の第3連通状態となるストローク位置に移動させ、機械式ポンプ2を空回りさせる。
図9は、第2実施形態のモータ用冷媒循環装置1(正転空回り時)の模式図である。図10は、第2実施形態のモータ用冷媒循環装置1(逆転空回り時)の模式図である。図11は、第2実施形態のモータ用冷媒循環装置1を構成する経路切替機構3の模式図であり、実線の矢印は機械式ポンプ2が正転時のエアの流通方向を示し、破線の矢印は機械式ポンプ2が逆転時のエアの流通方向を示す。
図9乃至図11に示すように、第3連通状態は、第1連通状態に類似しているが、第2導入経路572が第3内部空間421、及び第4内部空間422に連通した状態となっている。すなわち、図11に示すように、第2導入経路572の開口部572a(第1開口部)の径が第5仕切り板552の厚みよりも大きくなっており、第3連通状態において、第5仕切り板552の両面側に開口部572aがはみ出る態様で第5仕切り板552の側面が開口部572aに対向することで、第3内部空間421と第4内部空間422が開口部572aを介して互いに連通した状態となっている。
図9、図10に示すように、経路切替機構3において、第3連通状態を形成するピストン5のストローク位置は、第1連通状態を形成するピストン5のストローク位置と、第2連通状態を形成するピストン5のストローク位置との間の位置となっている。これによりアクチュエータ6のストローク量の増加を回避することができる。
図9、図10に示すように、エア導入経路58(第2エア導入経路582)は、第4内部空間422、第2導入経路572(開口部572a)、第3内部空間421、吸引経路22を介して機械式ポンプ2に連通することになる。また、機械式ポンプ2は、吐出経路21、第1内部空間411を介して第1供給経路561に連通している。
図9及び図11(実線の矢印)に示すように、モータ7及び機械式ポンプ2が正転している場合は、吸引経路22が負圧となることで、エア導入経路58(第2エア導入経路582)にエアが導入され、エアは第4内部空間422、開口部572a、第3内部空間421、吸引経路22を介して機械式ポンプ2に吸引される。このとき、エアは冷媒よりも比重が軽いため、冷媒よりも優先的に機械式ポンプ2に吸引される。また、機械式ポンプ2から吐出経路21に吐出されたエアは第1内部空間411を介して第1供給経路561(供給経路56)からモータ7(ハウジング71)に排出される。これにより、機械式ポンプ2が正転で空回りし始めるとともに、モータ7からエア導入経路58を介して導入したエアが供給経路56を介してモータ7に戻され、エアがモータ7(ハウジング71)と経路切替機構3との間を循環する。
また、図10及び図11(破線の矢印)に示すように、モータ7及び機械式ポンプ2が逆転しているときは、吐出経路21が負圧となることで、供給経路56(第1供給経路561)にエアが導入され、エアは第1内部空間411、吐出経路21を介して機械式ポンプ2に吸引される。また機械式ポンプ2から吸引経路22に吐出されたエアは、第3内部空間421、開口部572a、第4内部空間422を介して、第2エア導入経路582(エア導入経路58)からモータ7(ハウジング71)に排出される。これにより、機械式ポンプ2が逆転で空回りし始めるとともに、モータ7から供給経路56を介して導入したエアがエア導入経路58を介してモータ7に戻され、エアがモータ7(ハウジング71)と経路切替機構3との間を循環する。
そして、図9、図10に示すように、エアが機械式ポンプ2に吸引される状態をしばらく維持することで、機械式ポンプ2内部はエアで満たされ、機械式ポンプ2が空回りすることになる。
[第2実施形態の動作]
アクチュエータ6は、温度(T)が所定温度(Tth)よりも高いときは、ピストン5のストローク位置を、回転方向信号(+θ、−θ)に基づいて、第1連通状態を形成するストローク位置、または第2連通状態を形成するストローク位置に移動させる。
図5、図7に示す第1連通状態において、機械式ポンプ2が正転すると、機械式ポンプ2は、吸引経路22から冷媒を吸引し、吐出経路21に冷媒を吐出する動作を行う。このとき、タンク711に蓄えられた冷媒は、経路切替機構3において、第2導入経路572を通じて第3内部空間421に導入され、第3内部空間421に導入された冷媒が吸引経路22を介して機械式ポンプ2に吸引される。また、機械式ポンプ2から吐出経路21に吐出された冷媒は、第1内部空間411及び第1供給経路561(供給経路56)を介してモータ7(ロータ72)に供給される。
図6、図8に示す第2連通状態において、機械式ポンプ2が逆転すると、機械式ポンプ2は、吐出経路21から冷媒を吸引し、吸引経路22の冷媒を吐出する動作を行う。このとき、タンク711に蓄えられた冷媒は、経路切替機構3において、第1導入経路571を通じて第2内部空間412に導入され、第2内部空間412に導入された冷媒が吐出経路21を介して機械式ポンプ2に吸引される。また、機械式ポンプ2から吸引経路22に吐出された冷媒は、第3内部空間421及び第2供給経路562(供給経路56)を介してモータ7(ロータ72)に供給される。
以上のように、第2実施形態においても、モータ7(ロータ72)及び機械式ポンプ2の回転方向に関わらず、タンク711に蓄えられた冷媒は、経路切替機構3を介してモータ7(ロータ72)に供給することができ、冷媒の循環を確実に行うことができる。
一方、アクチュエータ6は、温度(T)が所定温度(Tth)よりも低くなったときは、ピストン5のストローク位置を、図9乃至図11に示すように、第3連通状態となるストローク位置に移動させ、機械式ポンプ2を空回りさせる。
また、アクチュエータ6は、ピストン5を第3連通状態となるストローク位置に移動させたあと、所定時間経過後に、回転方向信号(+θ、−θ)に基づいて、第1連通状態を形成するストローク位置、または第2連通状態を形成するストローク位置に一時的に移動させ、機械式ポンプ2内部に一時的に冷媒を供給して潤滑不足による磨耗を防止するようにしてもよい。
その後、温度(T)が所定温度(Tth)以上になった場合には、アクチュエータ6は、回転方向信号(+θ、−θ)に基づいて、ピストン5を、第1連通状態を形成するストローク位置、または第2連通状態を形成するストローク位置に移動させモータ7(ロータ72)への冷媒の循環を再開する。
[第2実施形態の効果]
第2実施形態のモータ用冷媒循環装置1において、シリンダ4には、エアを導入するエア導入経路58が接続され、仕切り板(第5仕切り板552)は、第1連通状態を形成する位置と第2連通状態を形成する位置との間の位置において、吐出経路21を供給経路56に連通させるとともに導入経路57(第2導入経路572の開口部572a)を介して吸引経路22をエア導入経路58に連通させる内部空間を形成する第3連通状態に切り替え可能となるようにピストン5に取り付けられている。そして、アクチュエータ6は、冷媒の温度が所定温度よりも低くなったときに、第3連通状態となるようにピストン5を移動させる。
上記構成により、モータ7(ロータ72)の冷却が不要な場合は、機械式ポンプ2にエアを供給して空回りさせることでモータ7のトルク(出力)の機械式ポンプ2の回転による損失を低減することができる。また、第3連通状態を形成するストローク位置を、第1連通状態を形成するストローク位置と第2連通状態を形成するストローク位置の間に設定しているので、ピストン5のストローク長を長くする必要はなく、アクチュエータ6の負担を回避できる。
シリンダ4は、供給経路56から分岐した第1供給経路561、導入経路57から分岐した第1導入経路571、及び吐出経路21に連通するとともに吸引経路22から分離している第1シリンダ41と、供給経路56から分岐した第2供給経路562、導入経路57から分岐した第2導入経路572、吸引経路22、及びエア導入経路58(第2エア導入経路582)に連通するとともに吐出経路21から分離している第2シリンダ42と、を備える。
ピストン5は、第1シリンダ41内に配置される第1ピストン54と、第2シリンダ42内に配置される第2ピストン55と、に分岐している。
仕切り板は、第1ピストン54に並んで取り付けられた第1仕切り板541、第2仕切り板542、及び第3仕切り板543と、第2ピストン55に並んで取り付けられた第4仕切り板551、第5仕切り板552、及び第6仕切り板553と、を備える。
る。
第1シリンダ41は、第1仕切り板541と第2仕切り板542の間に形成され、第1供給経路561に連通する第1内部空間411と、第2仕切り板542と第3仕切り板543の間に形成され、第1導入経路571に連通する第2内部空間412と、を備える。
第2シリンダ42は、第4仕切り板551と第5仕切り板552の間に形成され、吸引経路22に連通する第3内部空間421と、第5仕切り板552と第6仕切り板553との間に形成された第4内部空間422と、を備える。
第1連通状態において、第1内部空間411は、吐出経路21と第1供給経路561とを連通し、第3内部空間421は、吸引経路22と第2導入経路572とを連通している。
第2連通状態において、第2内部空間412は、吐出経路21と第1導入経路571とを連通し、第3内部空間421は、吸引経路22と第2供給経路562とを連通している。
第3連通状態において、第1内部空間411は、吐出経路21と第1供給経路561とを連通し、第3内部空間421は、吸引経路22に連通し、第4内部空間422は、第2エア導入経路582(エア導入経路58)に連通し、第3内部空間421と第4内部空間422が第2導入経路572(開口部572a)を介して互いに連通している。
上記構成により、ピストン5を移動させるだけでシリンダ4内に第1連通状態、第2連通状態、及び第3連通状態を形成できるので、経路切替機構3を小型化することができる。
第2導入経路572の第2シリンダ42に接続する開口部572a(第1開口部)の径は、第5仕切り板552の厚みよりも大きく、第3連通状態において、第5仕切り板552の両面側に開口部572aがはみ出る態様で第5仕切り板552の側面が開口部572aに対向することで、第3内部空間421と第4内部空間422が開口部572aを介して互いに連通している。これにより、簡易な構成で第3内部空間421と第4内部空間422を第3連通状態において互いに連通させることができる。
アクチュエータ6は、シリンダ4の内部空間を第3連通状態にしている間、所定時間ごとにモータ7の回転方向に従って第1連通状態または第2連通状態に一時的に戻すようにしてもよい。これにより、機械式ポンプ2内部に一時的に冷媒を供給して、機械式ポンプ2の潤滑不足による磨耗を防止することができる。
エア導入経路58は、モータ7のハウジング71に連通している。これにより、経路切替機構3からエア導入経路58に冷媒が逆流したとしても、冷媒が外部に漏洩することを防止できる。なお、第2実施形態では、第1シリンダ41の底部、及び第2シリンダ42の底部を開放し、第1エア導入経路581(バッファ空間413)、第3エア導入経路583(バッファ空間424)を省略しても、第1連通状態、第2連通状態、第3連通状態を形成することが可能である。
第2実施形態(第1実施形態も同様)では、ピストン5をアクチュエータ6から繰り出すことにより第1連通状態を形成し、逆にピストン5を引っ込めることにより第2連通状態を形成している。しかし、例えば、吐出経路21、吸引経路22、供給経路56、導入経路57、エア導入経路58のシリンダ4の取り付け位置をシリンダ4の長手方向で反転させ、第1仕切り板541乃至第7仕切り板554(第1実施形態の第1仕切り板511乃至第5仕切り板523)の取り付け位置もピストン5の長手方向で反転させる。これにより、ピストン5をアクチュエータ6から繰り出すことで第2連通状態を形成し、逆にピストン5を引っ込めることで第1連通状態を形成することが可能である。
[第3実施形態]
図12は、第3実施形態のモータ用冷媒循環装置1(正転空回り時)の模式図である。図13は、第3実施形態のモータ用冷媒循環装置1(逆転空回り時)の模式図である。
第3実施形態のモータ用冷媒循環装置1は、第2実施形態のモータ用冷媒循環装置1においてアクチュエータ6のストローク長を長くしたものである。そして、アクチュエータ6(図12、図13では不図示)は、仕切り板のいずれもが、供給経路56、吐出経路21、吸引経路22、及びエア導入経路58のシリンダ4に接続するそれぞれの開口部よりもピストン5の長手方向の一方側に位置するようにピストン5を移動可能となっている。
すなわち、アクチュエータ6は、第3仕切り板543が第1供給経路561、吐出経路21、及び第1エア導入経路581のシリンダ4に接続するそれぞれの開口部よりもアクチュエータ6に近接する位置となり、また、第6仕切り板553が第2導入経路572、吸引経路22、及び第2エア導入経路582のシリンダ4に接続するそれぞれの開口部よりもアクチュエータ6に近接する位置となるようにピストン5を移動可能となっている。このようにピストン5を移動させることで、エア導入経路58からエアが第1シリンダ41、第2シリンダ42に充填される。
図12に示すように、モータ7及び機械式ポンプ2が正転した状態で、ピストン5を上記のように移動させると、吸引経路22が負圧となることで、エア導入経路58(第2エア導入経路582、第3エア導入経路583)を経由して第2シリンダ42にエアが導入され、第2シリンダ42に連通した吸引経路22を経由して機械式ポンプ2にエアが到達する。また、機械式ポンプ2から吐出経路21に吐出されたエアは第1シリンダ41に排出され、エアは第1シリンダ41に連通した第1供給経路561(供給経路56)を経由してモータ7(ハウジング71)に排出される。これにより、機械式ポンプ2が正転で空回りするとともに、モータ7からエア導入経路58を介して導入したエアが供給経路56を介してモータ7に戻され、エアがモータ7(ハウジング71)と経路切替機構3との間を循環する。
また、上記のようにエアの循環を行うと、第1シリンダ41に排出されたエアが第1エア導入経路581に流通する場合がある。この場合、当該エアは第2エア導入経路582を介して第2シリンダ42に導入され、これが第2シリンダ42に連通する吸引経路22に導入され、エアが機械式ポンプ2、第1シリンダ41、第2シリンダ42、機械式ポンプ2の順に循環する循環経路が形成される。
図13に示すように、モータ7及び機械式ポンプ2が逆転した状態で、ピストン5を上記のように移動させると、吐出経路21が負圧となることで、供給経路56(第1供給経路561)を経由して第1シリンダ41にエアが導入され、第1シリンダ41に連通した吐出経路21を経由して機械式ポンプ2にエアが到達する。また、機械式ポンプ2から吸引経路22に吐出されたエアは第2シリンダ42に排出され、エアは第2シリンダ42に連通した第2エア導入経路582(エア導入経路58)を経由してモータ7(ハウジング71)に排出される。これにより、機械式ポンプ2が逆転で空回りするとともに、モータ7から供給経路56を介して導入したエアがエア導入経路58を介してモータ7に戻され、エアがモータ7(ハウジング71)と経路切替機構3との間を循環する。
また、上記のようにエアの循環を行うと、第2エア導入経路582に導入されたエアが第1エア導入経路581を介して第1シリンダ41に導入される場合がある。この場合、当該エアは第1シリンダ41に連通する吐出経路21に導入され、エアが機械式ポンプ2、第2シリンダ42、第1シリンダ41、機械式ポンプ2の順に循環する循環経路が形成される。
第3実施形態のモータ用冷媒循環装置1では、アクチュエータ6のストローク量は長くなるが、シリンダ4内をただちにエアで充填できるので、モータ7の出力の機械式ポンプ2の回転による損失を短時間で低減させることができる。
[第4実施形態]
図14は、第4実施形態のモータ用冷媒循環装置1を構成する経路切替機構3(正転空周り時)の模式図である。図15は、第4実施形態のモータ用冷媒循環装置1を構成する経路切替機構3(逆転空周り時)の模式図である。第4実施形態のモータ用冷媒循環装置1は、第2実施形態のモータ用冷媒循環装置1を構成する経路切替機構3において、第2導入経路572の開口部572a(第1開口部)が、第1シリンダ41に連通したものである。また、吐出経路21の第1シリンダ41に接続する開口部21a(第2開口部)の径は、第2仕切り板542の厚みよりも大きく設計されている。
そして、第3連通状態において、開口部572a(第1開口部)は、第2内部空間412に連通しており、第2仕切り板542の両面側に開口部21a(第2開口部)がはみ出る態様で第2仕切り板542の側面が開口部21a(第2開口部)に対向することで、第1内部空間411と第2内部空間412が開口部21a(第2開口部)を介して互いに連通している。
図14に示すように、モータ7及び機械式ポンプ2が正転した状態で、第3連通状態を形成する位置にピストン5を移動させると、吸引経路22が負圧となることで、エア導入経路58(第2エア導入経路582)を経由して第4内部空間422にエアが導入され、当該エアが上記理由により冷媒に優先して第2導入経路572の開口部572aを介して第3内部空間421に導入され、さらに第3内部空間421に連通する吸引経路22に導入されることで機械式ポンプ2にエアが吸引される。
また、機械式ポンプ2から吐出経路21に吐出されたエアは第1内部空間411に排出され、当該エアは第1内部空間411に連通した第1供給経路561(供給経路56)を介してモータ7(ハウジング71)に排出される。これにより、機械式ポンプ2が正転で空回りするとともに、モータ7からエア導入経路58を介して導入したエアが供給経路56を介してモータ7に戻され、エアがモータ7(ハウジング71)と経路切替機構3との間を循環する。
第3連通状態において、吐出経路21の開口部21a及び第2導入経路572の開口部572aは第2内部空間412で互いに連通している。よって、上記のようにエアの循環をしばらく行うと、第2内部空間412に排出されたエアが第2導入経路572の開口部572aを介して第3内部空間421に流通する場合がある。この場合、当該エアは再び吸引経路22に導入されることで、エアが機械式ポンプ2、第2内部空間412、第3内部空間421、機械式ポンプ2の順に循環する循環経路が形成される。
図15に示すように、モータ7及び機械式ポンプ2が逆転した状態で、第3連通状態を形成する位置にピストン5を移動させると、吐出経路21が負圧となることで、供給経路56(第1供給経路561)を経由して第1内部空間411にエアが導入され、当該エアが吐出経路21に導入されることで機械式ポンプ2にエアが吸引される。
また、機械式ポンプ2から吸引経路22に吐出されたエアは第3内部空間421に排出され、当該エアは第2導入経路572の開口部572aを介して第4内部空間422に導入され、第4内部空間422に連通する第2エア導入経路582(エア導入経路58)に導入されモータ7(ハウジング71)に排出される。これにより、機械式ポンプ2が逆転で空回りするとともに、モータ7からエア導入経路58を介して導入したエアが供給経路56を介してモータ7に戻され、エアがモータ7(ハウジング71)と経路切替機構3との間を循環する。
また、上記のようにエアの循環をしばらく行うと、第3内部空間421に排出されたエアが第2導入経路572の開口部572aを介して第2内部空間412に流通する場合がある。この場合、当該エアは開口部21aから吐出経路21に導入されることで、エアが機械式ポンプ2、第3内部空間421、第2内部空間412、機械式ポンプ2の順に循環する循環経路が形成される。
第4実施形態のモータ用冷媒循環装置1では、アクチュエータ6のストローク量を長くすることなく、エアの流通経路が複数できるので、エアの流通抵抗を減少させることで、モータ7の出力の機械式ポンプ2の回転による損失をさらに低減させ、アクチュエータ6の負担を軽減することができる。
以上、本発明の実施形態について説明したが、上記実施形態は本発明の適用例の一部を示したに過ぎず、本発明の技術的範囲を上記実施形態の具体的構成に限定する趣旨ではない。