JPWO2018207903A1 - エレクトロスプレーイオン化装置、質量分析機器、エレクトロスプレーイオン化の方法、及び質量分析方法 - Google Patents

エレクトロスプレーイオン化装置、質量分析機器、エレクトロスプレーイオン化の方法、及び質量分析方法 Download PDF

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Abstract

本発明は、エレクトロスプレーイオン化装置であって、接触することにより試料を捕捉する探針部材と、前記探針部材に電圧を印加するように構成された電圧印加部材とを有し、前記探針部材が前記試料への液状溶媒の連続供給機構又は液状溶媒の断続供給機構を備えるか、又は前記エレクトロスプレーイオン化装置が前記試料への液状溶媒の連続供給機構又は液状溶媒の断続供給機構を備える溶媒供給部材をさらに有する、エレクトロスプレーイオン化装置を提供するものである。

Description

本発明は、エレクトロスプレーイオン化装置、質量分析機器、エレクトロスプレーイオン化の方法、及び質量分析方法に関する。
近年、有機化学や生化学の分野では、分析しようとする試料中の分子をイオン化させて、そのイオンの質量を検出する質量分析法(MS)が広く用いられている。質量分析法では、試料中の分子が電荷を1つ持ったイオンや複数持ったイオンを検出することができ、さらに、試料中の分子が会合、または解離したものに由来するイオンを検出することができる等、豊富な情報を得ることができる。そのため、既知物質の同定や未知物質の構造を決定するための手段として非常に有用であり、より優れた質量分析法の研究・開発が盛んに行われている。
例えば、特許文献1では、金属プローブの先端で試料を捕捉し、金属プローブに電圧を印加することで、エレクトロスプレーを発生させる探針エレクトロスプレーイオン化法(PESI)およびPESIを用いた質量分析装置(PESI−MS)が報告されている。特許文献1によれば、PESIは、前処理なしの生体組織等を対象試料とすることができ、金属製プローブや試料が大気圧の下で、試料をイオン化させることができることが開示されている。
特許文献2では、高温蒸気にした溶媒を探針に吹き付けることで、イオン化されやすい成分からイオン化されにくい成分までを順次イオン化し、試料に含まれる成分全体の分析を可能にしたPESI−MSが報告されている。
特許4862167号 特許5034092号
特許文献1のPESI−MSは、試料に含まれる溶媒の量が極少量であったため、エレクトロスプレーを短時間しか発生させることができなかった。そのため、試料中の成分の中でも、イオン化しやすい成分のみが検出され、相対的にイオン化されにくい成分を検出することができないという問題があった。
特許文献2のPESI−MSは、試料に溶媒を高温蒸気として吹き付けることで溶媒を供給する機能を備えることで、イオン化されにくい成分を含めた試料に含まれる成分全体の分析を可能にした。しかしながら、このPESI−MSは、溶媒を加熱して蒸気にする工程及び蒸気を吹き付ける工程を必要とするものであり、より温和な環境で、且つ簡便な方法で溶媒を供給して試料をイオン化する装置及び方法が求められていた。
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであり、温和な環境で、且つ簡便な方法で溶媒を液状のまま連続的又は断続的(継続的)に供給し、旧来のPESI−MSではイオン化して分析することが困難であったイオン化しにくい成分をイオン化することができるエレクトロスプレーイオン化装置、質量分析機器、エレクトロスプレーイオン化の方法、及び質量分析方法を提供するものである。
本発明によれば、エレクトロスプレーイオン化装置であって、接触することにより試料を捕捉する探針部材と、前記探針部材に電圧を印加するように構成された電圧印加部材とを有し、前記探針部材が前記試料への液状溶媒の連続供給機構又は液状溶媒の断続供給機構を備えるか、又は前記エレクトロスプレーイオン化装置が前記試料への液状溶媒の連続供給機構又は液状溶媒の断続供給機構を備える溶媒供給部材をさらに有する、エレクトロスプレーイオン化装置が提供される。
図1は、本発明におけるエレクトロスプレーイオン化装置の一例の概略図である。 図2は、本発明におけるエレクトロスプレーイオン化装置の一例の概略図である。 図3は、探針部材の反復移動と電圧の印加が同期する様子を示す概念図である。 図4は、本発明のエレクトロスプレーイオン化装置における第1の実施形態の一例の概略図である。 図5は、本発明のエレクトロスプレーイオン化装置における第1の実施形態のマニピュレータを有する一例の概略図である。 図6は、本発明のエレクトロスプレーイオン化装置における第2の実施形態の一例の概略図である。 図7は、本発明のエレクトロスプレーイオン化装置における第3の実施形態の一例の概略図である。 図8は、本発明の質量分析機器の一例の概略図である。 図9A〜9Cは、本発明のエレクトロスプレーイオン化装置における第1の実施形態を用いて質量分析を行った結果のスペクトル図である。 図10A〜10Bは、本発明のエレクトロスプレーイオン化装置における第2の実施形態を用いて質量分析を行った結果のスペクトル図である。 図11A〜11Eは、本発明のエレクトロスプレーイオン化装置における第2の実施形態を用いて質量分析を行った結果のスペクトル図である。 図12A〜12Bは、本発明のエレクトロスプレーイオン化装置における第3の実施形態を用いて質量分析を行った結果のスペクトル図である。
以下、本発明の実施形態を例示して本発明について詳細な説明をする。本発明は、これらの記載によりなんら限定されるものではない。以下に示す本発明の実施形態の各種特徴事項は、互いに組み合わせ可能である。また、各特徴事項について独立して発明が成立する。
本発明者は、鋭意検討を行ったところ、従来のPESI−MSに用いられていたエレクトロスプレーイオン化装置に、温和な環境で、且つ簡便な方法で溶媒を液状のまま継続的(連続的又は断続的)に供給する機能を追加することで、試料中の相対的にイオン化されにくい成分をもイオン化することができる方法を見出し、本発明の完成に至った。
本開示のエレクトロスプレーイオン化装置においては探針部材が、その先端で液状の溶媒を含む試料を保持し、電圧が印加されると、その先端において起こる電気化学反応によって、印加した電圧と同符号の過剰電荷が液滴に供給されて液滴が帯電する。その後、溶媒の蒸発や表面電荷密度の増加が進み,電荷同士の反発力が液体の表面張力を超え、最終的には静電気力の反発によりクーロン爆発が起こり、試料分子が含まれる微細な帯電液滴がスプレーとして放出される(エレクトロスプレー)。このような過程によって、帯電液滴の中で、試料分子は電荷を供給されてイオン化すると考えられる。
以下、本発明の種々の実施形態を例示する。以下に示す実施形態は互いに組み合わせ可能である。
好ましくは、前記探針部材が探針を含み、前記溶媒供給部材が溶媒貯蔵部及び作動部を含み、前記作動部は、前記探針を前記溶媒貯蔵部が貯蔵する液状の溶媒に接触させて前記試料に前記溶媒を供給するように構成されている。
好ましくは、前記探針が、前記液状の溶媒に接触する時間が10ミリ秒以上100ミリ秒以下である。
好ましくは、前記作動部が、前記探針部材を前記探針部材の長手方向に反復移動させる反復移動手段を含む。
好ましくは、前記作動部が、マニピュレータを含む。
好ましくは、前記探針部材が、探針及び溶媒ローディングチップを含み、前記探針が、前記溶媒ローディングチップの下端から突き出しており、前記溶媒ローディングチップの内側に液状の溶媒を貯蔵するように構成されている。
好ましくは、前記探針が、前記溶媒ローディングチップの下端から0mm以上0.2mm以下の範囲で突き出している。
好ましくは、前記探針部材が、探針及び前記探針を覆う絶縁体を含み、前記絶縁体が、表面で液状の溶媒を保持し、前記試料の一部がイオン化した際に、前記溶媒を供給するように構成されている。
好ましくは、前記絶縁体がボロシリケート又はエポキシ樹脂を含む。
好ましくは、前記探針部材を前記探針部材の長手方向に反復移動させる反復移動手段をさらに含む。
好ましくは、マニピュレータをさらに含む。
本発明の別の観点によれば、上記のいずれかのエレクトロスプレーイオン化装置と、前記エレクトロスプレーイオン化装置によってイオン化されたイオンを分離する分析装置と、
前記分析装置で分離されたイオンを検出するイオン検出装置と、を備える質量分析機器が提供される。
本発明の別の観点によれば、探針部材が試料を捕捉する捕捉工程と、前記探針部材に電圧を印加して前記試料をイオン化するイオン化工程と、前記試料に連続的又は断続的に液状の溶媒を供給する溶媒供給工程と、を有するエレクトロスプレーイオン化の方法が提供される。
以下、本観点による、種々の実施形態を例示する。以下に示す実施形態は互いに組み合わせ可能である。
好ましくは、前記探針部材が探針を含み、前記溶媒供給工程で、前記探針を液状の溶媒に接触させて前記試料に液状の溶媒を供給する。
好ましくは、前記探針が、前記液状の溶媒に接触する時間が10ミリ秒以上100ミリ秒以下である。
好ましくは、前記溶媒供給工程で、前記探針部材を前記探針部材の長手方向に反復移動させる。
好ましくは、前記捕捉工程で、前記探針部材が、前記試料を全方位から採取する。
好ましくは、前記探針部材が、探針及び溶媒ローディングチップを含み、前記探針が、前記溶媒ローディングチップの下端から突き出しており、前記溶媒ローディングチップに液状の溶媒を充填する溶媒充填工程を有し、前記溶媒供給工程で、前記探針部材を前記試料に接触させ、前記溶媒ローディングチップの内側から前記液状の溶媒を供給する。
好ましくは、前記探針部材が、探針及び前記探針を覆う絶縁体を含み、前記捕捉工程において、前記探針部材が、前記試料に0mmより大きく2mm以下の深さで接触して前記試料を捕捉し、前記イオン化工程において前記試料の一部がイオン化すると共に、前記溶媒供給工程において、前記絶縁体の表面で保持されている液状の溶媒を前記試料に供給する。
好ましくは、前記捕捉工程で、前記探針部材が、前記試料を全方位から採取する。
本発明の別の観点によれば、上記のいずれかのエレクトロスプレーイオン化の方法と、前記イオン化の方法によってイオン化されたイオンを分離する分析工程と、前記分析工程で分離されたイオンを検出するイオン検出工程とを有する、質量分析方法が提供される。
1.エレクトロスプレーイオン化装置
本発明におけるエレクトロスプレーイオン化装置の一例の概略図を図1に示す。エレクトロスプレーイオン化装置1は、接触することにより試料を捕捉する探針部材10と、前記探針部材10に電圧を印加するように構成された電圧印加部材20とを有し、前記探針部材10が前記試料に溶媒を継続的に供給するように構成されているか、又は前記試料に溶媒を継続的に供給するように構成された溶媒供給部材をさらに有するものである。
換言すると、エレクトロスプレーイオン化装置1は、接触することにより試料を捕捉する探針部材10と、前記探針部材10に電圧を印加するように構成された電圧印加部材20とを有し、前記探針部材10が前記試料への液状溶媒連続供給機構又は液状溶媒の断続供給機構を備えるか、又はエレクトロスプレーイオン化装置が前記試料への溶媒の連続供給機構又は液状溶媒の断続供給機構を備える溶媒供給部材をさらに有するものである。
エレクトロスプレーイオン化装置1は、探針部材10の先端に付着する程度の量の試料があればよく、例えば、1pL(ピコリットル)、3pL等の極微量の試料でもイオン化させることができる。本発明のエレクトロスプレーイオン化装置が対象とする試料は、粉末等の固体試料であっても、試料自体が液体状であるか試料を溶媒に分散させた分散液若しくは溶解させた溶液等の液体試料であってもよい。
エレクトロスプレーイオン化装置1が、エレクトロスプレーを発生させることができる時間としては、1秒以上であることが好ましく、2秒以上、3秒以上、5秒以上であることがさらに好ましい。
探針部材10は、試料を捕捉する機能を有することおよび電圧を印加できることを満たせば、特に制限されないが、典型的には、例えば金属探針等の導電性探針、又は導電性探針を他の素材で覆ったものが挙げられる。
電圧印加部材20は、試料をイオン化できる程度に高い電圧を探針部材10に印加できるものであれば特に制限されないが、電圧印加部材20が探針部材10に印加できる電圧としては、0.5kV(キロボルト)以上であることが好ましく、1kV以上であることがより好ましく、10kV以下であることが好ましく、8kV以下であることがより好ましい。2±0.5kVがより好ましい。
探針部材10が前記試料に溶媒を連続的又は断続的に供給するように構成されている場合としては、例えば、後述する第2の実施形態または第3の実施形態に記載される探針部材を用いてもよい。前記試料に溶媒を連続的又は断続的に供給するように構成された溶媒供給部材とは、後述する第1の実施形態に記載される溶媒供給部材30のようにしてもよい。
用いられる溶媒は、試料を溶解又は分散させることができるものであれば特に制限されないが、試料に効率よく電荷を供給する観点から極性溶媒であることが好ましく、帯電した試料を効率よく脱溶媒する観点から揮発性溶媒であることが好ましい。用いられる溶媒は、混合溶媒であってもよく、典型的には、水と揮発性の極性溶媒との混合溶媒であり、揮発性の極性溶媒としては、メタノール、エタノール等のアルコール類やアセトニトリルが好ましく用いられる。
用いられる溶媒は、試料の変性を防ぐ観点から、0℃以上80℃以下が好ましく、70℃以下、60℃以下、50℃以下であることがより好ましく、常温であることがさらに好ましい。また、用いられる溶媒は、装置を簡便にする観点から、蒸気や霧として供給されるのではないことが好ましい。
エレクトロスプレーイオン化装置1を用いたエレクトロスプレーイオン化の方法は、探針部材10が試料を捕捉する捕捉工程と、探針部材10に電圧を印加して前記試料をイオン化するイオン化工程と、前記試料に連続的又は断続的に溶媒を供給する溶媒供給工程と、を有するものである。
探針部材10に電圧を印加するタイミングとしては特に制限されず、常時電圧を印加していてもよく、試料捕捉後や溶媒供給後にのみ電圧を印加するものであってもよい。
図2に、本発明のエレクトロスプレーイオン化装置の一例を示す。図2における電圧供給部材20は、電源21(例えば、H.V.power supply等)と、スイッチ22(例えば、H.V.switch等)と、デジタル遅延パルス発生器23(例えば、Digital delay pulse generator等)とを有するものである。本実施形態では、デジタル遅延パルス発生器23が反復移動手段33にトリガー信号を供給し、探針部材10の反復移動を実行させる。さらに、電源21が常時電圧を印加し、デジタル遅延パルス発生器23がスイッチ22にトリガー信号を供給し、電源21が印加している電圧を探針部材10に伝えるかどうかのオンとオフを制御している。例えば、探針部材10の先端が下至点付近にある期間においてはスイッチ22をオフとし、探針部材10の先端が上昇した後、探針部材10の先端が上至点付近にある期間においてはスイッチ22をオンとして探針部材10に電圧を印加して試料をイオン化する等、探針部材10の反復移動と電圧の印加を同期させることができる。
探針部材10の反復移動と電圧の印加が同期する様子を示した概念図を図3に示す。反復移動手段33がトリガー信号を受け取ると、探針部材10の先端が下至点に移動して上至点に戻る反復移動が行われる。さらに、トリガー信号にΔt時間遅れてスイッチ22がオンになり、探針部材10に電圧が一定時間印加される。このようにして探針部材10の反復移動と電圧の印加が同期される。以上の工程を繰り返すことにより、試料の採取とイオン化を繰り返し行なったり、溶媒の供給を繰り返し行うことができる。
以下、本発明のより具体的な第1〜第3の実施形態を説明するが、これらの実施形態が有する特徴は、互いに組み合わせることができる。
(1)第1の実施形態
本開示のエレクトロスプレーイオン化装置1の第1の実施形態の一例を図4に示す。第1の実施形態は、図1に示すエレクトロスプレーイオン化装置1の構成に加えて、探針部材10が探針11を含み、溶媒供給部材30として溶媒貯蔵部31及び作動部32を含み、作動部32が探針11を移動させることによって、探針11を溶媒貯蔵部31が貯蔵する溶媒に接触させるように構成される。
第1の実施形態のエレクトロスプレーイオン化装置1は、試料を付着させた探針11を作動部32が操作して溶媒貯蔵部31に接触させることで、試料が繰り返し溶媒を得るようにしたものである。すなわち少なくとも1回以上、試料を付着させた探針11を溶媒貯蔵部31の溶媒にディッピング(浸漬、Dipping)する動作を実行する。
第1の実施形態のエレクトロスプレーイオン化装置1は、試料を付着させた探針11を作動部32が操作して溶媒貯蔵部31に接触させることで、試料へ繰り返し、すなわち断続的に溶媒が供給されるようにしたものである。本実施形態においては、溶媒貯蔵部31及び作動部32を備える溶媒供給部材30によって液状溶媒の断続供給機構が構成されうる。
探針11は、微細な試料を捕捉する観点から、先端の曲率半径が、例えば10μm(マイクロメートル)以下、5μm以下、1μm以下、0.7μm以下であることが好ましい。また、入手の容易性や製造コストの観点から、先端の曲率半径が、例えば0.1μm以上、0.3μm以上、0.5μm以上であることが好ましい。探針11の胴体の径は、特に制限されないが、例えば、5.0mm以下、1.0mm以下、0.5mm以下等であり、0.1mm以上、0.3mm以上等である。このように探針11の胴体及び先端の径が非常に小さいものである場合には、試料に対する侵襲性が非常に低いことから、バイオプシーや内視鏡でのサンプリング等、医療分野への応用に好適である。
探針11は、導電性があり硬度が高い観点から、金属製であることが好ましく、金属製の探針としては、ステンレススチール、チタン、アルミ、鉄、銀、金、またはスチール等の前記金属の合金を含むことが好ましい。また、探針がチタンを含む場合には、探針表面が凹凸に富むため、各成分の分離が顕著に起こる。
溶媒貯蔵部31は、特に制限されないが、典型的には、皿状やカップ状の容器であり、ガラス等の溶媒に溶出しない素材でできていることが好ましい。
作動部32が、探針11を溶媒貯蔵部31が貯蔵する溶媒に接触させる時間は、例えば、10ミリ秒以上100ミリ秒以下であるが、試料の溶出を防ぐ観点から、80ミリ秒以下であることが好ましく、50ミリ秒以下であることがさらに好ましい。なお、上記の探針を溶媒貯蔵部が貯蔵する溶媒に接触させる時間は、10、15、20、25、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、80、85、90、95、100ミリ秒のうち任意の2つの数値の範囲内にあればよい。作動部32が、探針11を溶媒貯蔵部31が貯蔵する溶媒に接触させる深さとしては、好ましくは探針11に捕獲した試料がすべて溶媒につかる程度とするとよい。
作動部32は、探針11を探針11の長手方向に反復移動させる反復移動手段33を含むものであってもよい。
また、作動部32は、上記したディッピング動作の他に、試料を探針11に付着あるいは捕捉させる捕捉動作を担わせてもよい。上記したディッピング動作の例のように探針11の上下動作(すなわち探針11の長手方向に探針11を上下させる動作)により、試料を探針11に捕捉させるようにしてもよい。
作動部32は、マニピュレータ34を含むものであってもよい。図5に、作動部32にマニピュレータ34を含む第1の実施形態の一例を示す。作動部32がマニピュレータ33を含む場合には、試料に対して全方位から捕捉することができるため、体積の大きな試料に対しても捕捉してイオン化することができ、体積の大きな試料を3次元で質量分析することができる3D(3次元)イメージング質量分析機器に好適である。
例えば、生体サンプルの立体的な成分分布の計測を行う場合は、立体的なサンプルの複数の測定ポイントで試料捕捉し計測を実施する。この時、マニピュレータを備えた作動部32とすることで容易にこの複数点の成分分析を行うことが可能となる。マニピュレータの動作制御、測定やデータの収集はコンピュータ等を用いてその動作を制御でき、自動化をはかることが可能となる。
本開示においてマニピュレータとは、人間の腕や手先と同様の運動機能を有し、人間の手作業の代替を目的とした装置のことを指し、例えば、屈曲および回転可能な1以上の可動部を有するマジックハンド等があげられる。
第1の実施形態のエレクトロスプレーイオン化装置1を用いたエレクトロスプレーイオン化の方法は、上述した捕捉工程、溶媒供給工程、イオン化工程を備え、探針部材10が探針11を含み、前記溶媒供給工程で、前記探針11を液状の溶媒に接触させて前記試料に液状の溶媒を供給するように構成されたものである。
ここで捕捉工程は、作動部32を用いて試料を探針11に付着あるいは捕捉させる工程であり、溶媒供給工程は、作動部32が、探針11を溶媒貯蔵部31が貯蔵する溶媒に接触させる工程であり、イオン化工程は、試料を捕捉した探針11に電圧(高電圧)を印加し、試料のイオン化をはかる工程である。
なお、イオン化工程は後述する分析装置3のイオン導入口(不図示)付近で行うようにすることが望ましい。
イオン化工程及び溶媒供給工程は、イオン化しにくい成分をイオン化するという本発明の目的を達成するため、複数回行われることが好ましく、例えば、3回以上、5回以上、10回以上等である。イオン化工程及び溶媒供給工程は、行われる順番が前後してもよい。
作動部32が、前記反復移動手段33を含むものである場合には、探針11は探針11の長手方向に反復移動することができ、作動部32がマニピュレータ34を含む場合には、試料に対して全方位から捕捉することができる。これらの作動部32の動作により、試料の捕捉や溶媒の供給を行うことができる。
第1の実施形態は、探針11の先端と溶媒の接触により溶媒を供給するため、(通常のエレクトロスプレーでは対応できないような)濃度が高い液体試料や、乾燥試料、固形試料であってもイオン化することができる。さらに、液体試料を捕捉した後に、試料を一度乾燥させて運搬し、遠隔地で溶媒を供給してイオン化することができる。
(2)第2の実施形態
本開示のエレクトロスプレーイオン化装置1の第2の実施形態の一例を図6に示す。第2の実施形態は、図1に示すエレクトロスプレーイオン化装置1の構成に加えて、探針部材10が、探針11及び溶媒ローディングチップ13(例えばゲルローディングチップ等)を含み、探針11が、前記溶媒ローディングチップ13の下端から0mm以上0.2mm以下の範囲で突き出しており、溶媒ローディングチップ13の内側に溶媒を貯蔵するように構成されているという特徴を有するものである。
第2の実施形態のエレクトロスプレーイオン化装置1は、探針11が試料に接触して試料を捕捉すると同時に、毛細管現象により溶媒ローディングチップ13内に貯蔵された溶媒が試料に供給される。また、探針11が捕捉した試料に電圧が印加されて試料や溶媒がスプレーされて減少すると、溶媒ローディングチップ13内の溶媒がさらに供給される。
本実施形態では、探針部材10である探針11及び溶媒ローディングチップ13が上述した機能を有するため、試料に触れるだけという簡単な操作だけで試料に連続又は断続的に溶媒を供給することができる。そのため、乾燥した固体試料や、濃度の高い試料でも簡便に分析することができる。
すなわち、連続的又は断続的な溶媒供給により、これまで分析が難しかった試料に対しても連続的なエレクトロスプレーの発生が可能となる。本実施形態においては、探針11及び溶媒ローディングチップ13を備える探針部材10によって液状溶媒の連続供給機構又は液状溶媒の断続供給機構が構成されうる。
本実施形態では、探針11は、第1の実施形態と同様のものを用いることができる。溶媒ローディングチップ13は、試料が親水性である場合に、溶媒ローディングチップ13に付着して汚染することを防ぐ観点から、疎水性材料で作られていることが好ましい。溶媒ローディングチップ13としては、例えば、eppendorf社製のepT.I.P.S等が挙げられる。これによって、多くの試料を連続的に測定する際の、いわゆるクロスコンタミナネーションを抑制することができる。
また、エレクトロスプレーイオン化装置1は、探針部材10を探針部材10の長手方向に反復移動させる反復移動手段をさらに備えていてもよい。当該移動により試料を探針11に付着あるいは捕捉させることが可能である。また、エレクトロスプレーイオン化装置1は、マニピュレータを備えていてもよく、これにより第1の実施形態と同様に試料に対して全方位から捕捉することができる。
第2の実施形態のエレクトロスプレーイオン化装置1を用いたエレクトロスプレーイオン化の方法は、上述した捕捉工程、イオン化工程、溶媒供給工程を備え、探針部材10が、探針11及び溶媒ローディングチップ13を含み、探針11が、溶媒ローディングチップ13の下端から0mm以上0.2mm以下の範囲で突き出しており、溶媒ローディングチップ13に溶媒を充填する溶媒充填工程を有し、前記溶媒供給工程で、探針部材10を前記試料に接触させ、溶媒ローディングチップ13の内側から溶媒を供給するものである。
ここで探針11の突出しを、溶媒ローディングチップ13の下端から0mmより小さく(溶媒ローディングチップ13の中に納めるように)するとスプレーの発生ポイントが変動してしまう。また探針11の突出しを、溶媒ローディングチップ13の下端から0.2mmより大きくすると試料の先端まで溶媒ローディングチップ13からの溶媒で濡れない。探針11が、溶媒ローディングチップ13の下端から0mm以上0.2mm以下の範囲で突き出すようにすることによって、安定したスプレーの発生を可能とする。
なお、試料の捕捉をする段階(例えば上記捕捉工程)では、探針11が溶媒ローディングチップ13の下端から所望の長さ(例えば4〜5mm)突き出すようにして,探針部材11先端を試料に侵入深さ1mm程度で穿刺して試料を捕捉し、エレクトロスプレーを実施する段階(例えば上記イオン化工程)で、探針11を溶媒ローディングチップ13の下端から0mm以上0.2mm以下の範囲に収めるようにしてもよい。このような機構を探針部材10あるいは作動部32に組み込むようにしてもよい。このように構成すれば、例えば疎水性試料などの捕捉も容易に行うことができる。
溶媒ローディングチップ13の内側に充填する溶媒の量としては、特に制限されないが、例えば、5μL以上、10μL以上、15μL以上等であり、45μL以下、30μL以下、20μL以下等である。
本実施形態のエレクトロスプレーイオン化装置1は、測定前にあらかじめ溶媒ローディングチップ13内に溶媒を貯蔵しておく。上記したようにこの構造は極めて簡易な構成でありかつエレクトロスプレーには十分な量の溶媒を試料に探針部材10上で供給できる。
(3)第3の実施形態
本開示のエレクトロスプレーイオン化装置1の第3の実施形態の一例を図7に示す。第3の実施形態は、図1に示すエレクトロスプレーイオン化装置1の構成に加えて、探針部材10が、探針11及び探針11を覆う絶縁体15を含み、絶縁体15が、表面で溶媒を保持し、前記試料の一部がイオン化した際に、溶媒を供給するように構成されるという特徴をさらに有するものである。
第3の実施形態のエレクトロスプレーイオン化装置1は、液体試料に対して、探針部材10を接触させることで、絶縁体15の表面で液体試料を保持する。その後、探針部材10に電圧を印加してその先端でエレクトロスプレーを発生させると、絶縁体15の表面に保持されている液体試料から絶縁体15の先端方向に溶媒が供給される。
本実施形態においては、探針11を覆う絶縁体15によって液状溶媒の連続供給機構又は液状溶媒の断続供給機構が構成されうる。
本実施形態では、探針11を絶縁体15で覆うことにより、例えば5秒以上の長時間に渡って、エレクトロスプレーを発生させることができる。また、スプレー時間が長時間続くので、質量分析装置が2つ設けられているタンデム型の質量分析機器、または質量分析装置が3つ以上設けられている質量分析機器に好適である。
絶縁体15で覆われた探針部材10の太さは、特に制限されないが、例えば、1μm以上1000μm以下、5μm以上500μm以下である。
また、探針部材10は、絶縁体15を用いたガラスキャピラリー中に、電気伝導性の液体、例えばイオン液体を充填したり、内面メッキをしたものを用いることもできる。このような探針部材を用いる場合には、金属探針を挿入する場合と比較して電場が強まるので、試料をイオン化する能力が高まる点で好ましい。
絶縁体15は、特に制限されないが、溶媒の付着しやすさ、入手の容易性、加工の容易性の観点から、ボロシリケートやエポキシ樹脂が好ましく試料による汚染が少なく、繰り返し使用可能である観点から、ボロシリケートがさらに好ましい。
また、エレクトロスプレーイオン化装置1は、探針部材10を探針部材10の長手方向に反復移動させる反復移動手段をさらに備えていてもよい。当該移動により試料を探針11に付着あるいは捕捉させることが可能である。また、エレクトロスプレーイオン化装置1は、マニピュレータを備えていてもよく、これにより第1の実施形態と同様に試料に対して全方位から捕捉することができる。
本開示の第3の実施形態のエレクトロスプレーイオン化の方法は、上述した捕捉工程、溶媒供給工程、イオン化工程を備え、探針部材10が、探針11及び探針を覆う絶縁体15を含み、前記捕捉工程において、探針部材10が、前記試料に0より大きく2mm以下の深さで接触して前記試料を捕捉し、前記イオン化工程において前記試料の一部がイオン化すると共に、前記溶媒供給工程において、絶縁体15の表面で保持されている溶媒を前記試料に供給するものである。
探針部材10を試料に接触させる深さとしては、例えば生体検査など被測定試料に対し低侵襲を考慮すべき場合は0より大きく2mm以下とすればよい。好ましくは1mm以下であり、さらに好ましくは0.5mm以下である。探針部材10を試料に接触させる深さをこれらの範囲としても本方法は十分な測定が可能である。
なお、第3の実施形態は、後述する実施例4に示すように、探針11をボロシリケートのような絶縁体15で覆ったものでもエレクトロスプレーが可能であることを示している。さらにその性能が他の実施例や従来のPESIの性能と比べてもなんら遜色のないレベルである。
2.質量分析機器
本開示の質量分析機器2は、エレクトロスプレーイオン化装置1と、分析装置3と、イオン検出装置5とを備えるものである。本開示の質量分析機器2が備えるエレクトロスプレーイオン化装置1は、上述した記載と同様のものを使用することができる。
本開示の質量分析機器2が備える分析装置3は、特に制限されず、磁場偏向型、四重極型、イオントラップ型、オービトラップ型、飛行時間型、フーリエ変換イオンサイクロトロン共鳴型、タンデム型などの一般的な装置を使用することができる。本開示の質量分析機器2は、対象試料に対して継続的に溶媒を供給する機能を有するエレクトロスプレーイオン化装置1を使用していることから、エレクトロスプレーを継続して引き起こすことができる。そのため、本開示の質量分析機器2は、本開示のエレクトロスプレー時間が1秒未満であった従来のPESI−MSでは適用が困難であった、四重極質量分析装置のような掃引速度が遅い質量分析装置を組み合わせることができ、また、分析装置を2つ有するタンデム型の質量分析装置を用いることができる。
本開示の質量分析機器が備えるイオン検出装置5は、例えば、分析装置3で選別されたイオンを電子増倍管やマイクロチャンネルプレートで増感して検出する形式、オービトラップ形式あるいはファラデーカップで検出してカウントする形式などが挙げられる。
本開示の質量分析方法は、上述したエレクトロスプレーイオン化の方法と、前記イオン化の方法によってイオン化されたイオンを分離する分析工程と、前記分析工程で分離されたイオンを検出するイオン検出工程と、を有するものである。
本発明の質量分析機器の一例を図8に示す。図8における電圧供給部材20は、図2と同様の構成であり、探針11の先端が下至点付近で溶媒に接触している期間においてはスイッチ22をオフとし、探針11の先端が上昇した後、探針11の先端が上至点付近にある期間においてはスイッチ22をオンとして試料をイオン化する等、探針部材10の反復移動とスイッチ22のオンとオフとを同期させることができる。これにより、反復して溶媒を試料に供給することができるため、試料中の相対的にイオン化されにくい成分をもイオン化することができる。
上記したほかに以下点も考慮すれば、さらに快適なエレクトロスプレーイオン化装置となる。
例えば、エレクトロスプレーイオン化装置1では、電圧を印加しエレクトロスプレーを発生させると、まず試料成分が数秒間スプレーされ、その後溶媒自体のエレクトロスプレーが発生する。溶媒が完全になくなるまでエレクトロスプレーは継続するが、試料が飛び切った時点で電圧を切れば、溶媒消費の節約ができる。ある程度、溶媒をエレクトロスプレーさせて、先端に捕捉した試料を完全に飛ばし切るようにすると、試料の洗浄、Carry Over防止することができる。
また、エレクトロスプレーイオン化装置1でエレクトロスプレーを発生させる場合、周囲温度が高いと溶媒自体が揮発しやすくなるので、エレクトロスプレーが不安定化しやすくなり,また溶媒消費速度が増大する。したがって周囲温度は、常温とするほうがよい。
試料の採取とイオン化を繰り返し行なったり、溶媒の供給を繰り返し行う場合、上述した実施形態においてロボット等との組み合わせを実施することができる。このようにするとさらに3Dイメージング質量分析機器の操作性が向上できる。
第2の実施形態において、溶媒ローディングチップ13のヘッドの部分(垂直方向時)が大きすぎると(50mm以上)試料と接触させた場合,溶媒が一方方向に流出して試料の捕捉効率が下がる。30〜35mm程度が適当で,この場合,探針が垂直,斜め,up−side down でも固体試料を濡らすことが可能である。溶媒ローディングチップ13の先端は細いままで,上部を太目にすればヘッドに関わらず溶媒量を増やすことが可能)。ヘッドが20mm程度(以下)になると、液体がチップ内部に吸い込まれ,エレクトロスプレーしても溶媒由来のシグナルが出なくなることがある。つまり,後に続く継続的溶媒エレクトロスプレーによる先端に捕捉された試料の洗浄効果が薄れる。したがってヘッドは20mm以上50mm以下が好ましく、30〜35mmがさらに好ましい。
また、第2の実施形態において、溶媒ローディングチップ13の先端の内径は0.2mm程度を選択するとよい。これに外径0.12mmの探針11(例えば鍼灸針などが利用可能)を挿入するとよい。この場合、溶媒ローディングチップ13の先端での隙間は(0.2−0.12)/2=0.04mmとなる。原理的に、エレクトロスプレーは、先端径が小さいほど性能が上がる。入手の容易性や製造コストの観点を無視すれば、チップの内径は、上記の他に0.1mm,0.05mm,さらには0.01mm以下でもよい。この場合、挿入する探針11は,チップ内径よりも細いものを使えばよい。
第3の実施形態において、絶縁体15は、溶融石英、ポリイミドがコーティングされた溶融石英なども利用可能である。
第3の実施形態において、深さ方向分析を行う場合は、探針部材10を試料に接触させる深さを数mm(例えば10mm程度)までとしてもよい。例えば、牛肉など、表面のみのサンプリングと深く侵入させた場合のマススペクトルが大きく違う試料の解析を行うことも可能である。
(実施例1)
探針(セイリン、0.12×40、15Y05E1)と、電圧印加部材と、溶媒貯蔵部及び反復移動手段を有する溶媒供給部材とを含むエレクトロスプレーイオン化装置、分析装置(日本電子(JEOL)製 飛行時間型質量分析計AccuTOF)、及びイオン検出装置を備える質量分析装置を準備した。まず探針先端部を0.5mm程度イクラに穿刺する。穿刺後、溶媒貯蔵部に、水:メタノールが1:1の液状の混合溶媒を準備し、イクラが捕捉されている探針の先端と溶媒貯蔵部が10mmの距離になるように質量分析計に配置した。この探針を溶媒に50ミリ秒間浸潤させて探針先端の試料を溶媒で湿潤化させる。湿潤化させた後、探針を上方に移動させて上至点において、探針に2.1kVの電圧を4秒間印加し、電圧印加開始直後のイクラのマススペクトルを測定した。試料を保持した探針の溶媒への穿刺深さは、約1mmである。
その後、10秒に1回の間隔で前記の液状の溶媒の供給とイオン化の工程を繰り返すことで、イクラのPESI−MSスペクトルをシークエンシャルに測定した結果を図9A〜図9Cに示す。図9Aが一回目、図9Bが5回目、図9Cが9回目に測定したスペクトルである。
図9Aによれば、実施例1の1回目のエレクトロスプレー発生時には質量/電荷比が、m/z 800〜900の付近に、脂質であるホスファチジルコリン(PC)に由来するピークが観測されている。さらに、図9Bによれば、5回目のエレクトロスプレー発生時には、PC由来のピークがほとんど観測されず、代わってm/z 900〜1000付近に、トリアシルグリセリド(TAG)由来のピークが観測されている。図9Cによれば、m/z 800〜900付近にPCとは異なる中性の脂質群と思われるピークが観測されている。このように、実施例1では、イオン化されやすいPCのみならず、従来のPESI−MSではイオン化が困難であったTAGやPCとは異なる中性の脂質群までもイオン化して検出することに成功している。なお、TAG等の脂質群は、元々電荷を持たないため、PC等の脂質と比較するとイオン化されにくい成分である。
(実施例2)
溶媒ローディングチップ(ポリプロピレン、epT.I.P.S., GELorder, Eppendorf、内径約0.2mm、外径約0.3mm、全長65mm、20μL)の先端からおおよそ0.1mm程度突き抜けるように金属探針を配置し、溶媒ローディングチップの他方の端と金属探針を、エポキシ樹脂で封止した。さらに、溶媒ローディングチップの側面に穴を開け、水:メタノールが1:1の混合溶媒を15μL程度注入した。上記探針部材の先端に、インスタントコーヒーの粒をわずかに接触させて先端にコーヒー成分を溶解させて捕捉した。これを実施例1と同様の質量分析機器にセットし、探針に2.2kVの電圧を2秒間印加して先端からエレクトロスプレーを発生させ、その間のPESI−MSスペクトルを測定した結果を図10A〜10Bに示す。図10Aが電圧印加後0.5秒で測定したスペクトルであり、図10Bが電圧印加後2秒で測定したスペクトルである。
図10Aによれば、電圧印加後0.5秒で測定したスペクトルでは、カフェインとオリゴ糖にKが付加したピークが観測されているが、電圧印加後2秒で測定したスペクトルでは、さらに脂質由来のピークが、m/z 870付近に観測されている。なお、m/z 195のピークはカフェイン(分子量194)のプロトン化体であり、m/z 381、543、705はオリゴ糖のK付加体であると考えられる。このように、実施例2でも、イオン化されやすいカフェインとオリゴ糖のみならず、従来のPESI−MSではイオン化が困難であった脂質由来のピークまでもイオン化して検出することに成功している。
(実施例3)
実施例2で用いた質量分析機器を使用して、水:メタノール:アセトニトリルが1:1:1の混合溶媒を用いて、ゼブラ社の4色ボールペンで普通紙に書いたインク筆跡を測定した結果を図11A〜図11Dに、パイロット社の黒ボールペンで普通紙に書いたインク筆跡を測定した結果を図11Eに示す。ボールペンのインクは、一度紙に文字を書いて、10分程度室温で放置した状態のものを用いた。実施例2と同様の探針部材の先端をボールペンで書いた筆跡に軽く触れさせて、筆跡の一部(直径約0.3mm程度)のインクを溶媒で溶解して先端に抽出捕捉させて測定に供した。
図11A〜図11Dからわかるように、ゼブラ社の4色ボールペンの各色からは、全く異なるスペクトルが得られている。さらに、図11Aと図11Eを比較すると、同じ黒色インクであっても、ゼブラ社のものとパイロット社のものでも異なるスペクトルが得られている。このことから、本発明の質量分析機器は、筆跡鑑定等の精密な分析を要する分野への応用が期待される。
(実施例4)
ガラスキャピラリー(プライムテック社製、PT Micropipettes for PMM, "Ultra−thin", PINUS06−20FT)の先端を加熱して封止し、その内部に金属探針を挿入した。挿入後、ガラスキャピラリーの根元にエポキシ樹脂を接着し、探針とガラスキャピラリーを固定した。
それ以外は、実施例1と同様の機器を用いて、ヨーグルト(明治社:プロビオヨーグルトR−1)に対して質量分析を行った結果を図12A〜図12Bに示す。図12Aが電圧印加1秒後、図12Bが電圧印加5秒後のスペクトルである。
図12A〜12Bからわかるように、電圧印加直後から、乳糖のNaやCa2+付加体のピークが観測されている。さらに、5秒後にはm/z 700付近に多くの成分が新たに観測されている。この成分は、乳酸菌を胃酸から守り、保護した状態で腸に輸送させるために添加された成分と予想される。このように、実施例4では、食品の安全性や品質管理の分野への適用が期待できる。
1:エレクトロスプレーイオン化装置、2:質量分析機器、3:分析装置、5:イオン検出装置、10:探針部材、11:探針、13:溶媒ローディングチップ、15:絶縁体、20:電圧印加部材、21:電源、22:スイッチ、23:デジタル遅延パルス発生器、30:溶媒供給部材、31: 溶媒貯蔵部、32:作動部、33:反復移動手段、34:マニピュレータ

Claims (15)

  1. エレクトロスプレーイオン化装置であって、
    接触することにより試料を捕捉する探針部材と、
    前記探針部材に電圧を印加するように構成された電圧印加部材とを有し、
    前記探針部材が前記試料への液状溶媒の連続供給機構又は液状溶媒の断続供給機構を備えるか、又は前記エレクトロスプレーイオン化装置が前記試料への液状溶媒の連続供給機構又は液状溶媒の断続供給機構を備える溶媒供給部材をさらに有する、
    エレクトロスプレーイオン化装置。
  2. 前記探針部材が、探針及び溶媒ローディングチップを含み、
    前記探針が、前記溶媒ローディングチップの下端から突き出しており、
    前記溶媒ローディングチップの内側に液状の溶媒を貯蔵するように構成された、
    請求項1に記載のエレクトロスプレーイオン化装置。
  3. 前記探針が、前記溶媒ローディングチップの下端から0mm以上0.2mm以下の範囲で突き出している、請求項2に記載のエレクトロスプレーイオン化装置。
  4. 前記探針部材が探針を含み、
    前記溶媒供給部材が溶媒貯蔵部及び作動部を含み、
    前記作動部は、前記探針を前記溶媒貯蔵部が貯蔵する液状の溶媒に接触させて前記試料に前記溶媒を供給するように構成された、
    請求項1に記載のエレクトロスプレーイオン化装置。
  5. 前記探針部材が、探針及び前記探針を覆う絶縁体を含み、
    前記絶縁体が、表面で液状の溶媒を保持し、前記試料の一部がイオン化した際に、前記溶媒を供給するように構成された、
    請求項1に記載のエレクトロスプレーイオン化装置。
  6. 前記探針部材を前記探針部材の長手方向に反復移動させる反復移動手段をさらに含む、請求項1〜請求項5のいずれか1つに記載のエレクトロスプレーイオン化装置。
  7. マニピュレータをさらに含む、請求項1〜請求項6のいずれか1つに記載のエレクトロスプレーイオン化装置。
  8. 請求項1〜請求項7のいずれか1つに記載のエレクトロスプレーイオン化装置と、
    前記エレクトロスプレーイオン化装置によってイオン化されたイオンを分離する分析装置と、
    前記分析装置で分離されたイオンを検出するイオン検出装置と、
    を備える、質量分析機器。
  9. 探針部材が試料を捕捉する捕捉工程と、
    前記探針部材に電圧を印加して前記試料をイオン化するイオン化工程と、
    前記試料に連続的又は断続的に液状の溶媒を供給する溶媒供給工程と、
    を有するエレクトロスプレーイオン化の方法。
  10. 前記探針部材が、探針及び溶媒ローディングチップを含み、
    前記探針が、前記溶媒ローディングチップの下端から突き出しており、
    前記溶媒ローディングチップに液状の溶媒を充填する溶媒充填工程を有し、
    前記溶媒供給工程で、前記探針部材を前記試料に接触させ、前記溶媒ローディングチップの内側から前記液状の溶媒を供給する
    請求項9に記載のエレクトロスプレーイオン化の方法。
  11. 前記探針部材が探針を含み、
    前記溶媒供給工程で、前記探針を液状の溶媒に接触させて前記試料に液状の溶媒を供給する、
    請求項9に記載のエレクトロスプレーイオン化の方法。
  12. 前記探針部材が、探針及び前記探針を覆う絶縁体を含み、
    前記捕捉工程において、前記探針部材が、前記試料に0mmより大きく2mm以下の深さで接触して前記試料を捕捉し、
    前記イオン化工程において前記試料の一部がイオン化すると共に、前記溶媒供給工程において、前記絶縁体の表面で保持されている液状の溶媒を前記試料に供給する、
    請求項9に記載のエレクトロスプレーイオン化の方法。
  13. 前記溶媒供給工程で、前記探針部材を前記探針部材の長手方向に反復移動させる、請求項9〜請求項13のいずれか1つに記載のエレクトロスプレーイオン化の方法。
  14. 前記捕捉工程で、前記探針部材が、前記試料を全方位から採取することができる、請求項9〜請求項13のいずれか1つに記載のエレクトロスプレーイオン化の方法。
  15. 請求項9〜請求項14のいずれか1つに記載のエレクトロスプレーイオン化の方法と、
    前記イオン化の方法によってイオン化されたイオンを分離する分析工程と、
    前記分析工程で分離されたイオンを検出するイオン検出工程と、
    を有する、質量分析方法。
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