JPWO2018190390A1 - 負極材料、負極、及び鉄空気電池 - Google Patents

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Abstract

鉄空気電池の負極での使用に適した負極材料、並びに該負極材料を用いた負極及び鉄空気電池を提供する。この負極材料は、基材粒子と該基材粒子の表面に付着した表面修飾物質とからなり、前記基材粒子が30原子%以上100原子%以下のFeを含み、前記表面修飾物質が20原子%以上100原子%以下のCuを含む。100質量%の前記基材粒子に対する前記表面修飾物質の質量比は0.001質量%以上30質量%未満である。【選択図】図1

Description

本発明は、鉄空気電池用の負極材料、並びに該負極材料を用いた負極及び鉄空気電池に関する。
金属空気電池は空気極の活物質として大気中の酸素を利用できることから、空気極の反応物質をゼロと考え、電池の大部分を負極の反応物質で構成できるので、比較的容易に高エネルギー密度化が可能である。そのため、リチウムイオン電池に代わる車載用二次電池等としての利用が期待されている。金属空気電池の負極には、亜鉛、リチウム、マグネシウム、アルミニウム、鉄等の金属が用いられる。金属空気電池の空気極には、カーボン材料や、酸化物触媒、貴金属触媒等で構成された触媒層が用いられる。
亜鉛空気電池等の多くの金属空気電池では、充電時に負極上にデンドライト状結晶が析出し、電極間で短絡が発生しやすくなるという問題がある。これに対し、鉄空気電池の負極ではデンドライト状結晶が形成されにくく、そのため鉄空気電池は比較的サイクル特性に優れている。また、リチウム空気電池やアルミニウム空気電池等と比較すると、鉄空気電池の負極は耐腐食性が高い。更に、鉄は資源が豊富であり、安価であり、毒性が低く、容易に再利用でき、環境に優しいという利点を有する。このような理由から、近年、鉄空気電池が関心を集めている。
通常、鉄空気電池の負極は、金属鉄又は酸化鉄を含む鉄基材からなる。鉄空気電池の充放電過程においては、鉄基材の表面領域のみが反応すると考えられている(非特許文献1)。そのため、鉄空気電池は大容量化が困難であるという問題を有する。
そこで、反応に寄与する鉄の量(鉄利用率)を改善する方法が検討されており、カーボン材料を用いて負極の導電性を改善する方法が知られている。例えば、Feナノ粒子をカーボンナノ繊維の表面に分布させる方法が提案されている(非特許文献2)。
ジャーナル・オブ・パワー・ソーシズ、第34巻、269〜285頁、1991年(Journal of Power Sources, Vol. 34, pages 269-285, 1991) ジャーナル・オブ・パワー・ソーシズ、第196巻、8154〜8159頁、2011年(Journal of Power Sources, Vol. 196, pages 8154-8159, 2011)
しかしながら、上記カーボン材料を用いる方法では、得られる負極が非常に嵩高いため、鉄空気電池の容量密度が低下する。鉄空気電池を実用化するためには、鉄基材の充填密度を損なわずに導電性を向上させ、放電特性を更に改善することが必要とされている。
本発明の目的は、鉄空気電池の負極に使用した際に放電特性を改善し得る負極材料を提供することである。
本発明の他の目的は、鉄空気電池に使用した際に放電特性を改善し得る負極を提供することである。
本発明の更なる目的は、改善された放電特性を示す鉄空気電池を提供することである。
本発明者は、上記課題を解決するべく鋭意検討した結果、鉄基材粒子の表面に特定の銅系表面修飾物質を特定量だけ付着させてなる負極材料を使用することによって、放電特性が改善された鉄空気電池が得られることを見出し、本発明を完成するに至った。
本発明の負極材料は、鉄空気電池に用いられ、基材粒子と該基材粒子の表面に付着した表面修飾物質とからなり、前記基材粒子が30原子%以上100原子%以下のFeを含み、前記表面修飾物質が20原子%以上100原子%以下のCuを含み、100質量%の前記基材粒子に対する前記表面修飾物質の質量比が0.001質量%以上30質量%未満である。
本発明の負極は上記本発明の負極材料を含み、本発明の鉄空気電池は該負極を有する。
本発明の負極材料では特定量の表面修飾物質が基材粒子の表面に付着しており、そのため該負極材料を用いた本発明の鉄空気電池は改善された放電特性を示す。より詳しくは、本発明の鉄空気電池は、十分な電圧と大きな放電容量の両方を達成し得る。
実施例4で調製した負極材料のSEM写真である。
本発明の負極材料は、基材粒子と該基材粒子の表面に付着した表面修飾物質とからなり、鉄空気電池に用いられる。
基材粒子は主成分(鉄基材)として鉄単体(金属鉄)、酸化鉄、又はこれらの混合物を含有する。酸化鉄の例としてはFe、Fe等が挙げられる。本発明の負極材料を鉄空気電池に用いた際に高い容量密度を得るためには、基材粒子は比重が大きく、微細であり、表面積が大きいことが好ましい。比重の観点からは金属鉄が好ましいが、金属鉄を微細に調製することは難しく、酸化鉄の微細粒子を調製することでより大きな放電容量が得られる場合もある。
基材粒子はその特性に大きな悪影響を与えない範囲の量で不純物を含んでいてもよい。本発明において、「不純物」は、意図的に添加したわけではないが負極材料に混入した成分であり、負極材料中で何ら効果を示さないか、或いは効果が不明な成分を意味する。基材粒子の不純物としては、Na、Ca、Nb、Cr、Mn、Co、Ni、Cu、Zn、Al、Ga、Si、P、S、Cl、希土類元素(Pr、Nd、Dy等)等が挙げられる。希土類酸化物は鉄よりも高い還元電位を示すため、鉄空気電池を充電しても不活性なままである。従って、本発明では希土類元素を不純物として扱う。
基材粒子全体に対する主成分の質量比は、通常は95質量%以上であり、好ましくは100質量%である。基材粒子全体に対する不純物の質量比は、好ましくは0質量%であるが、5質量%以下であれば本発明の放電特性改善効果が十分に得られる。これら質量比はX線回折法、高周波誘導結合プラズマ(ICP)発光分光分析法等によって測定できる。
基材粒子の全構成原子に対するFeの原子比は、30原子%以上100原子%以下である。例えば、基材粒子が金属鉄のみからなる場合、当該原子比は100原子%である。基材粒子がFeのみからなる場合、当該原子比は40原子%である。この原子比はX線回折法、ICP発光分光分析法等によって測定できる。
上述のとおり、基材粒子は微細であることが好ましい。具体的には、基材粒子のD50粒径は5μm以下であるのが好ましい。負極材料を電池ケース等に充填する場合は、基材粒子が過剰に微細であると充填性(充填密度)が低下し、容量密度が向上しないことがある。従って、このような場合は、基材粒子のD50粒径を0.1μm以上とするのが好ましい。このD50粒径は粒度分布計等によって測定できる。
上述のとおり、基材粒子は大きな表面積を有することが好ましい。具体的には、基材粒子のBET比表面積は、好ましくは0.1m/g以上、より好ましくは0.3m/g以上である。一方、負極材料の充填性、ひいては容積あたりの電池容量を向上させる観点からは、基材粒子のBET比表面積は、好ましくは70m/g以下、より好ましくは65m/g以下である。このBET比表面積は、例えばMacsorb HM−1210(MOUNTECH社製)等を用いて、窒素ガス吸着BET法等によって測定できる。
基材粒子の形状は球状や八面体状等であってよい。基材粒子はそれぞれが独立した粒子であってもよく、一部が焼結により繋がっていてもよく、一部が二次粒子として凝集していてもよい。
基材粒子は尿素を用いた均一沈殿法等によって調製できる。基材粒子は市販品であってもよく、その例としては、BASF製カルボニル鉄SQグレード(D50=4.0μm)、和光純薬工業株式会社製Fe粒子(D50=1.9μm)等が挙げられる。また、本発明では、例えば希土類磁石のリサイクル工程等で生じた残渣を基材粒子として用いることも可能である。通常このような残渣は希土類磁石に由来する元素を含有するが、その量が上記不純物の質量比の範囲(5質量%以下)内であれば、本発明の効果が十分に得られる。
表面修飾物質は主成分として銅単体(金属銅)、銅化合物、又はこれらの混合物を含有する。銅化合物の例としてはCuO、CuO、Cu(OH)等が挙げられる。負極の導電性を向上させるためには、表面修飾物質の主成分はCuであることが好ましい。しかしながら、基材粒子に付着させた直後、充電前、或いは放電後の時点では、表面修飾物質の主成分はCuO、CuO、又はCu(OH)を含んでいてもよい。鉄空気電池を充電すると、CuO、CuO、及びCu(OH)はCuの状態まで還元される。
表面修飾物質はその特性に大きな悪影響を与えない範囲の量で不純物を含んでいてもよい。表面修飾物質の不純物は、その前駆体又は中和剤に由来する元素であってよく、その例としてはLi、Na、K、S等が挙げられる。
表面修飾物質全体に対する主成分の質量比は、通常は95質量%以上であり、好ましくは100質量%である。表面修飾物質全体に対する不純物の質量比は、好ましくは0質量%であるが、5質量%以下であれば本発明の放電特性改善効果が十分に得られる。これら質量比はX線回折法、ICP発光分光分析法等によって測定できる。
表面修飾物質の全構成原子に対するCuの原子比は、20原子%以上100原子%以下であり、好ましくは50原子%以上100原子%以下である。すなわち、Cu(OH)は比重が小さいため、負極材料の充填密度の観点からはCu、CuO、及びCuOのほうが好ましい。この原子比は、X線回折により同定された相やエネルギー分散型X線分析装置(EDS)等を用いて測定できる。
表面修飾物質は粒状であってよい。表面修飾物質の平均粒径は、好ましくは10nm以上500nm以下であり、より好ましくは20nm以上200nm以下である。すなわち、本発明で用いる表面修飾物質は非常に微細な粒子であり得る。表面修飾物質の平均粒径は走査型電子顕微鏡(SEM)観察等によって測定できる。
本発明の負極材料において、表面修飾物質は基材粒子の表面に付着している。表面修飾物質は基材粒子の表面上で均一に分散していることが好ましく、基材粒子の表面全て又は一部を被覆していてもよい。なお、本発明において「表面修飾物質が基材粒子の表面に付着している」とは、表面修飾物質が該表面に接触して保持されていることを意味する。表面修飾物質が該表面に物理吸着及び/又は化学結合していてもよく、また表面修飾物質と基材粒子がその接触界面の一部又は全体で固溶体を形成していてもよい。ただし、本発明の負極材料は、後述する工程(a)〜(c)を含む製造方法によって達成される特定の付着状態を有する。この特定の付着状態は、鉄基材粒子と銅粒子とを単に混ぜて得られる混合物では得られない。本発明の特定の付着状態と該混合物等における界面状態との違いを数値範囲により特定することは困難であるが、後述する実施例に示すように、該混合物を鉄空気電池に用いると放電特性が低下する。
また、鉄基材粒子と銅粒子とを単に混合する場合、上述した平均粒径500nm以下の微細な銅粒子を工業的に製造することは技術的に困難であり、また高コストである。更に、この場合、微細な銅粒子を鉄基材粒子上に均一に分散させ付着させることは実質的に不可能である。微細な酸化銅粒子として古河ケミカルズ株式会社製FRC−N10が市販されているが、顕微鏡観察によってこの粒子は二次凝集していることが確認できる。二次凝集粒子を基材粒子上に均一に分散させ付着させるには、非常に煩雑な工程が必要であると考えられる。本発明では、後述する工程(a)〜(c)を含む製造方法によって、微細な表面修飾物質粒子を基材粒子上に容易に付着させることができる。
本発明の負極材料において、100質量%の基材粒子に対する表面修飾物質の質量比は、0.001質量%以上30質量%未満である。表面修飾物質の質量比が低すぎる場合は、十分な導電性改善効果が得られない。一方、表面修飾物質の質量比が高すぎる場合は、基材粒子の充填量が減少するため鉄空気電池の電圧が低下する。表面修飾物質の質量比は、好ましくは0.005質量%以上、より好ましくは0.3質量%以上である。また、該質量比は好ましくは25質量%以下である。この含有割合はICP発光分光分析法等によって測定できる。
本発明の負極材料は、(a)基材粒子、表面修飾物質の前駆体、及び中和剤を溶媒中で撹拌し、スラリーを調製する工程、(b)得られたスラリーをろ過してケーキを得る工程、及び(c)ケーキを焼成する工程を含む方法によって製造できる。
工程(a)において、例えば、まず溶媒に基材粒子を加え、更に中和剤を加え、これに表面修飾物質前駆体の溶液を滴下して中和反応を行うことで、表面修飾物質を形成して基材粒子の表面に付着させることができる。このとき、表面修飾物質前駆体溶液を滴下した後のpHが4.0以上となるように各成分の量を調整する。或いは、溶媒に基材粒子を加え、アルカリ性の中和剤溶液と酸性の表面修飾物質前駆体溶液とを、pHを4.0以上に調整しながら同時に滴下し、中和反応を行ってもよい。表面修飾物質の量が多い場合(例えば、100質量%の基材粒子に対し5質量%以上の表面修飾物質を付着させる場合)、多量の中和剤を溶解させることが難しいため、中和剤と表面修飾物質前駆体とを同時に添加することが好ましい。
工程(a)において、表面修飾物質前駆体としては硫酸銅、硝酸銅、これらの水和物等を用いることができる。中和剤としては水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等を用いることができる。溶媒としては水、エタノール等を用いることができる。表面修飾物質前駆体溶液の添加速度、中和剤溶液の添加速度、溶媒の量、撹拌方法等は、基材粒子を均一に撹拌でき、表面修飾物質を均一に分散できれば特に限定されない。撹拌温度は溶媒が蒸発しない温度であれば特に限定されない。
工程(b)において、スラリーをろ過した後、ケーキを洗浄するのが好ましい。ろ過及び洗浄には、吸引ろ過器、フィルタープレス、遠心分離機等を使用できる。洗浄には水、エタノール等の液体を用いることができる。ろ過後の洗浄が不十分な場合、負極材料に中和剤由来のLi、Na、K等が混入する場合がある。通常、洗浄液の導電率を測定することによって、洗浄度合いを確認する。
工程(c)において、ケーキを焼成する温度は、好ましくは150℃以上800℃以下である。この焼成温度が800℃を超えると、CuとFeが過剰に固溶し、Cuが基材粒子内部まで拡散するため、表面修飾による効果が低下する。焼成温度が150℃未満であると、表面修飾物質が基材粒子に十分に付着しないため、負極材料の導電性が十分に向上せず、鉄利用率の向上効果が小さくなる。焼成時間は特に限定されないが、2〜10時間程度であってよい。焼成は大気中で行ってよく、電気炉やガス炉等を用いて行ってよい。
例えば、表面修飾物質の前駆体として硫酸銅(II)五水和物を用いる場合、工程(a)において、硫酸銅(II)五水和物の少なくとも一部が水酸化銅へと変換され得る。工程(c)では、焼成温度等の条件に依っては、水酸化銅から酸化銅や金属銅が生じることがあり、また水酸化銅の少なくとも一部がそのまま残ることもある。すなわち、この場合、各工程の条件を適宜選択することによって、表面修飾物質として硫酸銅、水酸化銅、酸化銅、及び/又は金属銅を基材粒子表面に付着させることができる。特に、金属銅、酸化銅、又はこれらの組み合わせを基材粒子表面に付着させるのが好ましい。このように、本発明では、表面修飾物質として一種又は複数の物質を基材粒子に付着させてよい。
本発明の鉄空気電池は、通常は負極、空気極、及び電解質を有し、更にセパレータ、集電体、セルケース、開孔部等を有していてもよい。鉄空気電池は負極活物質として鉄及び酸素を利用し、空気極活物質として酸素を利用する。
負極は上記本発明の負極材料を含み、更にバインダー、集電体、電極を保持するための芯体、カーボン材料等の導電補助剤等を含んでいてもよい。負極の作製方法は特に限定されないが、例えば本発明の負極材料を圧延加工して得られる。負極の大きさや形状も特に限定されないが、通常、負極の厚みは10μm〜5mm程度であってよい。
空気極は、活物質である酸素に電子を供給するための集電体と、酸素還元反応を促進するための触媒層とを有してよい。集電体は導電性材料を含み、その例としては活性炭、炭素繊維、カーボンブラック、黒鉛等のような炭素質材料や、鉄、銅、ニッケル、アルミニウム等のような金属材料等が挙げられる。触媒層に用いられる触媒の例としては、銀、白金、ルテニウム、パラジウム、カーボン、酸化物等が挙げられる。中でも、資源量の豊富さと反応活性の高さの両立の観点から酸化物系触媒が好ましい。集電体及び触媒層はそれぞれバインダーや撥水材料等を含んでいてもよい。空気極は集電体と触媒層とを別個の構成要素として用意しこれらを積層したものであってよい。或いは、空気極は集電体用の導電性材料と触媒層用の触媒とを混合してなるものであってもよい。即ち、集電体としての機能と触媒層としての機能とを併せ持つ1つの構成要素を空気極として使用してもよい。
空気極は更に支持体(担体)、撥水層、ガス拡散層等を有していてもよい。支持体は機械的強度を有する材料からなり、その例としてはニッケル等の各種発泡金属、パンチングメタル、マイクロメッシュ等が挙げられる。撥水層は酸素を透過可能であるが水を遮断できる材料からなり、その例としてはポリテトラフルオロエチレン(PTFE)等が挙げられる。ガス拡散層は好ましくは高い多孔性及び高い導電性を有し、その材料の例としてはカーボンペーパー、カーボンクロス等が挙げられる。
空気極の作製方法は特に限定されないが、例えば、触媒、導電性材料、バインダー、及び溶媒を混合してスラリーを調製し、このスラリーを支持体に塗付し、乾燥して作製できる。溶媒の例としては水や有機溶媒(N−メチル−2−ピロリドン、エタノール、エチレングリコール等)が挙げられる。空気極の大きさや形状も特に限定されないが、通常、空気極の厚みは20μm〜1cm程度であってよい。
電解質は電解質溶液(電解液)の形態で使用してよい。電解液としては、KOH、NaCl、NaOH、NaHCO、NaSO、HCl、HNO、NH等の水溶液が挙げられる。
通常、セパレータは負極と空気極との間に配置され、両電極間の短絡を防止するとともに、電解質を保持し、イオンを伝導させる役割を有する。セパレータの材料としては、ポリエチレン繊維、ポリプロピレン繊維、ガラス繊維、樹脂不織布、ガラス不織布、濾紙等が挙げられる。
本発明の鉄空気電池は改善された放電特性を示す。より詳しくは、本発明の鉄空気電池は十分な電圧と大きな放電容量の両方を達成し得る。以下、後述する実施例に示すように鉄空気電池を作製し充放電を30サイクル行ったとき、30サイクル中で得られた最大の放電容量を当該鉄空気電池の「最大容量」とし、この最大容量が得られた放電時の平均電圧を「最大容量時電圧」とする。本発明の鉄空気電池は、表面修飾処理を行っていない負極材料を用いた鉄空気電池よりも高い最大容量を示し、且つ0.4V以上という十分な最大容量時電圧を示す。なお、この最大容量時電圧が0.4V未満であると、機器を動作させる等の目的で実際に使用する際に、鉄空気電池を多直列化する必要がある。即ち、最大容量時電圧が0.4V未満の鉄空気電池を実用化しようとすると、煩雑な製造工程が必要となり、コストが増加する。
鉄空気電池の製造方法は特に限定されないが、例えば、負極ケース、スペーサー、集電体、負極、セパレータ、空気極、及び空気極ケースをこの順に積層して製造できる。
以下、実施例及び比較例により本発明をより詳細に説明するが、本発明はそれらに限定されるものではない。
実施例1
基材粒子の準備
希土類磁石のリサイクル過程で生じた残渣鉄材を基材粒子(A)として用いた。この基材粒子(A)は主に八面体状の形状を有し、Feを主成分として含有していた。X線回折測定を行ったところ、Fe以外の相に起因するピークは確認されなかった。また、ICP発光分光分析の結果、基材粒子(A)はFeに加えてNd、Dy、Co、及びAlを含有していた。基材粒子(A)全体を100質量%とすると、Feの割合は70.5質量%、Ndは1.33質量%、Dyは0.46質量%、Coは0.51質量%、Alは0.19質量%であった。従って、基材粒子(A)全体に対する不純物の質量比は2.49質量%であった。基材粒子(A)の全構成原子に対するFeの原子比は42.6原子%であった。また、基材粒子(A)のBET比表面積は8.8m/g、D50粒径は4.1μmであった。
負極材料の調製
50mLの純水に10gの基材粒子(A)を加えて撹拌し、これに5%NaOH溶液を滴下してpHを9.0に調整し、スラリーを得た。一方、10mLの純水に0.0314gの硫酸銅(II)五水和物(和光純薬工業株式会社製)を溶解させて表面修飾物質前駆体溶液を調製した。表面修飾物質前駆体溶液のうち1mLを分取してスラリーに滴下し、更に5%NaOH溶液を滴下しpHを9.0に調整した。pHの変動が無いことを確認した後、得られたスラリーをヌッチェろ過し、純水で洗浄した。洗浄は洗浄液の導電率が300μS/cm以下になるまで繰り返した。得られたケーキを250℃で2時間焼成して負極材料を得た。
得られた負極材料では、100質量%の基材粒子(A)に対して0.01質量%の表面修飾物質が付着していた。表面修飾物質はCuOを主成分とし、50原子%のCuを含有していた。また、日本電子株式会社製フィールドエミッション電子プローブマイクロアナライザ(FESEM)JXA−8530Fを用いて、この方法によって形成した表面修飾物質を観察し、56個の粒子の平均粒径を求めたところ、約100nmであった。以下の実施例2〜17並びに比較例2、6、8、及び10でも同様であった。
なお、実施例において、基材粒子の形状は、株式会社日立ハイテクノロジーズ製走査型電子顕微鏡(SEM)S−3000Nを用いて観察した。基材粒子及び表面修飾物質の組成は、パーキンエルマー社製ICP発光分析装置Optima8300を用いたICP分析及び株式会社リガク製X線回折装置UltimaIVを用いたXRD測定によって決定した。基材粒子のBET比表面積は、MOUNTECH社製比表面積測定装置Macsorb HM−1210を用いて測定した。基材粒子のD50粒径は、LEEDS&NORTHRUP製レーザー回折式粒度分布計HRA(マイクロトラック)を用いて測定した。
負極の作製
1.5gの上記負極材料及び電解質溶液(電解液)である0.3mLのKOH水溶液(5M)を乳鉢中で10分間混練し、負極を作製した。この負極材料の使用量を、鉄空気電池中の負極材料の充填量として表1に示す。
空気極の作製
MnO(東ソー株式会社製HMH)と、アセチレンブラック(デンカ株式会社製デンカブラック)と、ポリフッ化ビニリデン溶液(株式会社クレハ製KFポリマーL#1120)とを、MnO:アセチレンブラック:ポリフッ化ビニリデンの質量比が2:0.05:0.1となるよう秤量し、溶媒として1mLのN−メチル−2−ピロリドンを加え、2時間混合して触媒スラリーを調製した。直径14mmに切り出した発泡ニッケル(住友電気工業株式会社製セルメット#8)をこの触媒スラリーに浸漬した。このようにして触媒スラリーが塗布された発泡ニッケルを160℃に加熱したホットプレート上で3時間以上乾燥した後、64MPaで30秒間プレスして、空気極(触媒層)を作製した。
鉄空気電池の作製
電池部材として宝泉株式会社製2032型コインセルパーツを用いた。負極ケース、ウェーブワッシャー、スペーサー、直径16mmに切り出した銅箔(福田金属箔粉工業株式会社製CF−T8G−STD−18)、負極、直径18mmに切り出した濾紙(ADVANTEC製5C)、空気極、及び空気孔付き空気極ケースをこの順に積層し、かしめ処理を行って鉄空気電池を作製した。ここで、銅箔は集電体として機能する。また、濾紙はセパレータとして機能し、且つ電解液を保持する役割も有する。
充放電試験
作製した鉄空気電池を用いて、温度25℃、相対湿度100%、充電電流30mA、充電時間1時間、放電電流10mA、放電下限電圧0V、及び充放電後休止時間3分の条件下、充放電を行った。この充放電を30サイクル実施して、30サイクル中で得られた最大の放電容量を当該鉄空気電池の「最大容量」とし、この最大容量が得られた放電時の平均電圧を「最大容量時電圧」とした。結果を表1に示す。
実施例2
50mLの純水に30gの基材粒子(A)を加えて撹拌し、これに0.0064gの水酸化リチウム一水和物(和光純薬工業株式会社製)を溶解させてスラリーを得た。一方、10mLの純水に0.0942gの硫酸銅(II)五水和物(和光純薬工業株式会社製)を溶解させて表面修飾物質前駆体溶液を調製した。この表面修飾物質前駆体溶液をスラリーに滴下し、pHの変動が無いことを確認した後、得られたスラリーをヌッチェろ過し、純水で洗浄した。洗浄は洗浄液の導電率が300μS/cm以下になるまで繰り返した。得られたケーキを250℃で2時間焼成して負極材料を得た。得られた負極材料では、100質量%の基材粒子(A)に対して0.1質量%の表面修飾物質が付着していた。表面修飾物質はCuOを主成分とし、50原子%のCuを含有していた。この負極材料を用いて、実施例1と同様に鉄空気電池を作製し、充放電試験を行った。結果を表1に示す。
実施例3
50mLの純水に50gの基材粒子(A)を加えて撹拌し、これに0.1812gの水酸化リチウム一水和物(和光純薬工業株式会社製)を溶解させてスラリーを得た。一方、10mLの純水に0.5392gの硫酸銅(II)五水和物(和光純薬工業株式会社製)を溶解させて表面修飾物質前駆体溶液を調製した。この表面修飾物質前駆体溶液をスラリーに滴下し、pHの変動が無いことを確認した後、得られたスラリーをヌッチェろ過し、純水で洗浄した。洗浄は洗浄液の導電率が300μS/cm以下になるまで繰り返した。得られたケーキを250℃で2時間焼成して負極材料を得た。得られた負極材料では、100質量%の基材粒子(A)に対して0.3質量%の表面修飾物質が付着していた。表面修飾物質はCuOを主成分とし、50原子%のCuを含有していた。この負極材料を用いて、実施例1と同様に鉄空気電池を作製し、充放電試験を行った。結果を表1に示す。
実施例4
50mLの純水に50gの基材粒子(A)を加えて撹拌し、スラリーを得た。一方、35mLの純水に7.8474gの硫酸銅(II)五水和物(和光純薬工業株式会社製)を溶解させて表面修飾物質前駆体溶液を調製した。チューブポンプを用いて滴下速度1mL/分で表面修飾物質前駆体溶液をスラリーに滴下した。このとき、5%NaOH溶液を同時に滴下することで、スラリーのpHを9.0に保持した。pHの変動が無いことを確認した後、得られたスラリーをヌッチェろ過し、純水で洗浄した。洗浄は洗浄液の導電率が300μS/cm以下になるまで繰り返した。得られたケーキを250℃で2時間焼成して負極材料を得た。得られた負極材料では、100質量%の基材粒子(A)に対して5質量%の表面修飾物質が付着していた。実施例4の負極材料のSEM写真を図1に示す。粒径約1μm以下の比較的微細な基材粒子(A)は概ね表面修飾物質粒子によって被覆されており、粒径が数μm程度の基材粒子(A)では表面上に表面修飾物質粒子が均一に分散されていた。表面修飾物質はCuOを主成分とし、50原子%のCuを含有していた。この負極材料を用いて、実施例1と同様に鉄空気電池を作製し、充放電試験を行った。結果を表1に示す。
実施例5
60mLの純水に15.6948gの硫酸銅(II)五水和物(和光純薬工業株式会社製)を溶解させて表面修飾物質前駆体溶液を調製したこと以外は実施例4と同様に負極材料を得た。得られた負極材料では、100質量%の基材粒子(A)に対して10質量%の表面修飾物質が付着していた。表面修飾物質はCuOを主成分とし、50原子%のCuを含有していた。この負極材料を用いて、実施例1と同様に鉄空気電池を作製し、充放電試験を行った。結果を表1に示す。
実施例6
50mLの純水に10gの上記基材粒子(A)を加えて撹拌してスラリーを調製し、20mLの純水に6.2779gの硫酸銅(II)五水和物(和光純薬工業株式会社製)を溶解させて表面修飾液を調製したこと以外は実施例4と同様に負極材料を得た。得られた負極材料では、100質量%の基材粒子(A)に対して20質量%の表面修飾物質が付着していた。表面修飾物質はCuOを主成分とし、50原子%のCuを含有していた。この負極材料を用いて、実施例1と同様に鉄空気電池を作製し、充放電試験を行った。結果を表1に示す。
比較例1
表面修飾物質を形成せず(表面修飾処理を行わず)、上記基材粒子(A)をそのまま負極材料として用いた。この負極材料を用いて、実施例1と同様に鉄空気電池を作製し、充放電試験を行った。結果を表1に示す。
比較例2
30mLの純水に9.4169gの硫酸銅(II)五水和物(和光純薬工業株式会社製)を溶解させて表面修飾液を調製したこと以外は実施例6と同様に負極材料を得た。得られた負極材料では、100質量%の基材粒子(A)に対して30質量%の表面修飾物質が付着していた。表面修飾物質はCuOを主成分とし、50原子%のCuを含有していた。この負極材料を用いて、実施例1と同様に鉄空気電池を作製し、充放電試験を行った。結果を表1に示す。
比較例3
1.04gの上記基材粒子(A)、0.16gのカーボンブラック、及び0.3mLのKOH水溶液(5M)を乳鉢中で10分間混練して負極を作製したこと以外は実施例1と同様に鉄空気電池を作製し、充放電試験を行った。結果を表1に示す。
比較例4
1.5gの上記基材粒子(A)と0.075gの銅粉末(株式会社高純度化学研究所製純銅45μm pass)とを混合し、得られた粉末のうち1.5gを0.3mLのKOH水溶液(5M)と共に乳鉢中で10分間混練して負極を作製したこと以外は実施例1と同様に、鉄空気電池を作製し、充放電試験を行った。結果を表1に示す。なお、得られた負極では、一次粒子径1μm程度の銅粒子が基材粒子(A)と混合されていた。100質量%の基材粒子(A)に対する銅粒子の質量比は5質量%であった。
表1から明らかなように、実施例1〜6においては、100質量%の基材粒子に0.01〜20質量%の表面修飾物質を付着させたことによって、鉄空気電池の最大容量が向上した。一方、表面修飾物質の質量比を30質量%まで増加させた比較例2では、最大容量は向上したものの最大容量時電圧が大きく低下した。表面修飾物質の割合が増えるに従い基材粒子の割合が減少し、本来の鉄空気電池の反応に由来する放電成分が減少したと考えられる。また、本発明の表面修飾処理を行わず、導電助剤としてカーボンを用いた比較例3では、カーボンが嵩高いため電池ケース内に充填できる基材粒子の量が減少し、最大容量が低下した。本発明の表面修飾処理を行わず、導電助剤として銅粉末を用いた比較例4では、最大容量は向上したものの最大容量時電圧が低下した。本発明で基材粒子に付着させる表面修飾物質(CuO等)と比較して、このような銅粉末は非常に粗大であり、また銅粉末は単に基材粒子と混合された状態で基材粒子表面に保持されていなかったため、導電性改善効果が不十分であった。
実施例7〜10並びに比較例5及び6
基材粒子(A)に替えて基材粒子(B)を使用し、負極材料の充填量を表2に示すとおり変更したこと以外は実施例2、3、5、及び6並びに比較例1及び2と同様に、実施例7〜10並びに比較例5及び6の鉄空気電池をそれぞれ作製し、充放電試験を行った。結果を表2に示す。
なお、基材粒子(B)はBASF製カルボニル鉄SQグレードであり、球状の形状を有し、Feを主成分として含有していた。蛍光X線分析(SQX分析)を行ったところ、基材粒子(B)はFeに加えて微量のSiを含有しており、基材粒子(B)全体を100質量%とすると、Feの質量比は99.9質量%、Siは0.1質量%であった。基材粒子(B)の全構成原子に対するFeの原子比は99.98原子%であった。また、基材粒子(B)のBET比表面積は0.4m/g、D50粒径は4.0μmであった。
表2から明らかなように、実施例7〜10においては、100質量%の基材粒子に0.1〜20質量%の表面修飾物質を付着させたことによって、鉄空気電池の最大容量が向上した。基材粒子(B)を用いた場合、表面修飾物質の質量比が低いと最大容量改善効果はやや低かった。カルボニル鉄は酸化鉄よりも高い導電性を有するため、少量の表面修飾物質では効果が現れにくいものと考えられる。一方、表面修飾物質の質量比を30質量%まで増加させた比較例6では、最大容量は向上したものの最大容量時電圧が大きく低下した。基材粒子(B)はBET比表面積が小さいにもかかわらず、実施例10では実施例1〜6よりも大きな最大容量が得られた。基材粒子(B)は比重が大きいため、充填量を増やすことができ、そのため高容量となったと考えられる。
実施例11〜14並びに比較例7及び8
基材粒子(A)に替えて基材粒子(C)を使用し、負極材料の充填量を表3に示すとおり変更したこと以外は実施例1、2、4、及び6並びに比較例1及び2と同様に、実施例11〜14並びに比較例7及び8の鉄空気電池をそれぞれ作製し、充放電試験を行った。結果を表3に示す。
なお、基材粒子(C)は和光純薬工業株式会社製Fe粒子(酸化鉄(III)、和光一級、商品コード096−04825)であり、Feを主成分として含有していた。SQX分析を行ったところ、基材粒子(C)はFeに加えてAl、Si、P、S、Cl、Ca、Cr、Mn、Ni、Zn、及びNbを含有しており、基材粒子(C)全体を100質量%とすると、Feの質量比は69.5質量%、Alは0.03質量%、Siは0.03質量%、Pは0.01質量%、Sは0.01質量%、Clは0.06質量%、Caは0.01質量%、Crは0.02質量%、Mnは0.25質量%、Niは0.01質量%、Znは0.02質量%であった。基材粒子(C)の全構成原子に対するFeの原子比は39.96原子%であった。また、基材粒子(C)のBET比表面積は6.1m/g、D50粒径は1.9μmであった。
表3から明らかなように、実施例11〜14においては、100質量%の基材粒子に0.01〜20質量%の表面修飾物質を付着させたことによって、鉄空気電池の最大容量が向上した。一方、表面修飾物質の質量比を30質量%まで増加させた比較例8では、最大容量は向上したものの最大容量時電圧が大きく低下した。
実施例15〜17並びに比較例9及び10
基材粒子(A)に替えて基材粒子(D)を使用し、負極材料の充填量を表4に示すとおり変更したこと以外は実施例2、5、及び6並びに比較例1及び2と同様に、実施例15〜17並びに比較例9及び10の鉄空気電池をそれぞれ作製し、充放電試験を行った。結果を表4に示す。
なお、基材粒子(D)は次のとおり均一沈殿法によって調製した。まず、硫酸鉄(II)七水和物及び尿素(共に和光純薬工業株式会社製)を純水に溶解し、120℃に加熱したホットプレートを用いて尿素の分解を促してpHを制御した。この溶液を溶液温度90℃で10分間保持して沈殿を生成させた後、24%NaOHを添加してpHを10まで上昇させ、粒径を固定した。得られた沈殿をろ過により分離し、洗浄して基材粒子(D)を得た。基材粒子(D)はFeを主成分として含有していた。SQX分析を行ったところ、基材粒子(D)はFeに加えてNa、Si、P、S、Mn、Ni、及びCuを含有しており、基材粒子(D)全体を100質量%とすると、Feの質量比は72.1質量%、Naは0.05質量%、Siは0.02質量%、Sは0.10質量%、Mnは0.02質量%、Niは0.02質量%、Cuは0.01質量%であった。基材粒子(D)の全構成原子に対するFeの原子比は42.59原子%であった。また、基材粒子(D)のBET比表面積は59.1m/g、D50粒径は1.2μmであった。
表4から明らかなように、実施例15〜18においては、100質量%の基材粒子に0.1〜20質量%の表面修飾物質を付着させたことによって、鉄空気電池の最大容量が向上した。基材粒子(D)を用いた場合、表面修飾物質の質量比が低いと最大容量改善効果はやや低かった。基材粒子(D)は比較的大きな表面積を有するため、少量の表面修飾物質では効果が現れにくいものと考えられる。一方、表面修飾物質の質量比を30質量%まで増加させた比較例10では、最大容量は向上したものの最大容量時電圧が大きく低下した。なお、実施例17では最大容量が比較例9よりも低くなっているが、これは充填量が異なることに起因する。負極材料の単位質量あたりの容量は、実施例17では16.3mAh/g、比較例9では13.7mAh/gであり、実施例17でも表面修飾物質による容量改善効果が示されている。

Claims (6)

  1. 基材粒子と該基材粒子の表面に付着した表面修飾物質とからなり、
    前記基材粒子が30原子%以上100原子%以下のFeを含み、
    前記表面修飾物質が20原子%以上100原子%以下のCuを含み、
    100質量%の前記基材粒子に対する前記表面修飾物質の質量比が0.001質量%以上30質量%未満である、
    鉄空気電池用負極材料。
  2. 100質量%の前記基材粒子に対する前記表面修飾物質の質量比が0.005質量%以上25質量%以下である、請求項1に記載の負極材料。
  3. 前記基材粒子のBET比表面積が0.1m/g以上70m/g以下である、請求項1又は2に記載の負極材料。
  4. 前記表面修飾物質の平均粒径が10nm以上500nm以下である、請求項1〜3のいずれか一項に記載の負極材料。
  5. 請求項1〜4のいずれか一項に記載の負極材料を含む、鉄空気電池用負極。
  6. 請求項5に記載の負極を有する、鉄空気電池。
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