JPWO2018180963A1 - ガスバリア性積層体、封止体、導電性積層体、及び導電性積層体の製造方法 - Google Patents

ガスバリア性積層体、封止体、導電性積層体、及び導電性積層体の製造方法 Download PDF

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Abstract

ガスバリア層と、当該ガスバリア層の一方の表面に直接積層した機能層を有し、前記機能層が、アミン系化合物を含有する組成物から形成された層である、ガスバリア性積層体を提供する。当該ガスバリア性積層体は、ガスバリア層と、特定の機能を付与するために設けた機能層との間の層間密着性に優れ、良好なガスバリア性を有する。

Description

本発明は、ガスバリア性積層体、電子デバイスを当該ガスバリア性積層体で封止してなる封止体、当該ガスバリア性積層体を用いた導電性積層体、及び導電性積層体の製造方法に関する。
近年、液晶ディスプレイやエレクトロルミネッセンス(EL)ディスプレイ等のディスプレイには、薄型化、軽量化、フレキシブル化等を実現するために、電極を有する基板として、ガラス板に代えて、ガスバリア性フィルムが用いられている。
ガスバリア性フィルムは、一般的に、樹脂フィルムの表面上にガスバリア層を積層した構成のものが多い。そして、ガスバリア層の表面上には、さらに他の層を積層し、新たな機能を付与したガスバリア性積層体の開発もなされている。
例えば、特許文献1には、ガスバリア層付き基材のガスバリア層の表面に、粘着剤層を形成してなる粘着シートが記載されている。特許文献1によれば、この粘着シートを用いることで、有機EL素子等の電子デバイスを効率よく封止することができるとされている。
国際公開第2012/032907号
特許文献1に記載された粘着シートのように、ガスバリア性フィルムのガスバリア層の表面に、特定の機能を有する新たな層を積層し、当該機能を有するガスバリア性積層体を得ることができる。
しかしながら、一般的に、ガスバリア性フィルムのガスバリア層は、有機化合物を含有する有機層との親和性が低いため、ガスバリア層上に有機層を設けても、ガスバリア層と有機層との間の層間密着性が劣り、層間剥離が生じ易いという問題を有する。
また、ガスバリア層と有機層との間の層間密着性が劣る場合、二層の層間から水蒸気や酸素等の気体が入り込み、有機EL素子等の電子デバイスの劣化を引き起こす要因ともなる。
本発明は、ガスバリア層と、特定の機能を付与するために設けた機能層との間の層間密着性に優れ、良好なガスバリア性を有するガスバリア性積層体、電子デバイスを当該ガスバリア性積層体で封止してなる封止体、当該ガスバリア性積層体を用いた導電性積層体、及び、導電性積層体の製造方法を提供することを目的とする。
本発明者らは、機能層をアミン系化合物を含有する組成物から形成することで、機能層とガスバリア層との層間密着性を向上させたガスバリア性積層体とすることができ、上記課題を解決し得ることを見い出した。
本発明は、以下の[1]〜[15]を提供する。
[1]ガスバリア層と、当該ガスバリア層の一方の表面に直接積層した機能層を有し、
前記機能層が、アミン系化合物を含有する組成物から形成された層である、ガスバリア性積層体。
[2]前記ガスバリア層が、高分子化合物を含むガスバリア層形成用組成物から形成され、改質領域を有する、改質高分子層である、上記[1]に記載のガスバリア性積層体。
[3]前記高分子化合物が、ポリシラザン系化合物である、上記[2]に記載のガスバリア性積層体。
[4]前記機能層が、前記アミン系化合物として、アミン系シランカップリング剤を含有する組成物(I)から形成された層である、上記[1]〜[3]のいずれか一項に記載のガスバリア性積層体。
[5]前記アミン系シランカップリング剤の含有量が、組成物(I)の有効成分の全量に対して、0.1〜20質量%である、上記[4]に記載のガスバリア性積層体。
[6]組成物(I)が、エネルギー線硬化性樹脂を含む、上記[4]又は[5]に記載のガスバリア性積層体。
[7]前記機能層が、前記アミン系化合物として、2以上のアミノ基を有する多官能アミン化合物を含有する組成物(II)から形成された層である、上記[1]〜[3]のいずれか一項に記載のガスバリア性積層体。
[8]前記多官能アミン化合物の含有量が、組成物(II)の有効成分の全量に対して、25〜80質量%である、上記[7]に記載のガスバリア性積層体。
[9]組成物(II)が、熱硬化性樹脂を含む、上記[7]又は[8]に記載のガスバリア性積層体。
[10]前記熱硬化性樹脂が、熱硬化性エポキシ樹脂を含む、上記[9]に記載のガスバリア性積層体。
[11]前記機能層の表面上に、さらに有機層が積層してなる、上記[1]〜[10]のいずれか一項に記載のガスバリア性積層体。
[12]前記機能層が、補助電極層を埋め込み可能な電極埋込層としての機能を有する、上記[4]〜[6]のいずれか一項に記載のガスバリア性積層体。
[13]下記工程(1)〜(3)を有する、補助電極付きガスバリア性積層体の製造方法。
・工程(1):補助電極層と、上記[6]に記載のガスバリア性積層体の前記機能層の表面とを貼り合せ、前記機能層の内部に前記補助電極層を埋め込む工程。
・工程(2):前記機能層に、エネルギー線を照射して、当該機能層を硬化させる工程。
・工程(3):前記補助電極層の表面及び硬化した前記機能層の表面に、導電層を設ける工程。
本発明のガスバリア性積層体は、特定の機能を付与するために設けた機能層との間の層間密着性に優れ、良好なガスバリア性を有する。
本発明の一態様の導電性積層体の製造方法の各工程を示した、断面模式図である。
〔ガスバリア性積層体の構成〕
本発明のガスバリア性積層体は、ガスバリア層と、当該ガスバリア層の一方の表面に直接積層した機能層とを有するものであるが、これら以外の層を設けてもよい。
例えば、自己支持性に優れたガスバリア性積層体とする観点から、本発明の一態様のガスバリア性積層体としては、ガスバリア層の機能層が積層した側とは反対の表面側にさらに基材層を有することが好ましい。
上記の基材付きガスバリア性積層体においては、基材層のガスバリア層が積層した側とは反対側の表面側に、さらに、接着剤層、プライマー層、及びハードコート層等の新たな層を設けた構成としてもよい。
なお、基材層とガスバリア層との間に、プライマー層を設けてもよい。
本発明の一態様のガスバリア性積層体は、機能層の表面上に、他の層を積層した構成としてもよく、機能層により優れた層間密着性を付与する観点から、さらに有機層を積層した構成とすることが好ましい。
当該有機層としては、樹脂等の有機化合物を含む層であればよく、接着剤層であることが好ましい。
接着剤層を設けたガスバリア性積層体とすることで、電子デバイス等の封止を効率的に行うことができると共に、電子デバイスに水蒸気や酸素等が侵入することを効果的に抑制することができる。
なお、接着剤層以外の有機層としては、例えば、機能層上に積層された剥離シートが粘着剤層を有する場合の粘着剤層、量子ドット層等が挙げられる。
本発明の一態様のガスバリア性積層体の具体的な構成例としては、以下の態様が挙げられる。
(i)ガスバリア層/機能層
(ii)ガスバリア層/機能層/接着剤層
(iii)基材層/ガスバリア層/機能層
(iv)基材層/プライマー層/ガスバリア層/機能層
(v)基材層/ガスバリア層/機能層/接着剤層
(vi)基材層/プライマー層/ガスバリア層/機能層/接着剤層
(vii)接着剤層/基材層/ガスバリア層/機能層
(viii)接着剤層/基材層/プライマー層/ガスバリア層/機能層
(ix)プライマー層/基材層/ガスバリア層/機能層
(x)プライマー層/基材層/プライマー層/ガスバリア層/機能層
(xi)プライマー層/基材層/ガスバリア層/機能層/接着剤層
(xii)プライマー層/基材層/プライマー層/ガスバリア層/機能層/接着剤層
(xiii)ハードコート層/基材層/ガスバリア層/機能層
(xiv)ハードコート層/基材層/プライマー層/ガスバリア層/機能層
(xv)ハードコート層/基材層/ガスバリア層/機能層/接着剤層
(xvi)ハードコート層/基材層/プライマー層/ガスバリア層/機能層/接着剤層
(xvii)ガスバリア層/機能層/量子ドット層
なお、上記の態様において、機能層、接着剤層、及びガスバリア層等が最外層となる場合に、これらの層の表面を保護する観点、及び、自己支持性を向上させ、取扱性に優れたガスバリア性積層体とする観点から、これらの層の表面上に、さらに、使用時には剥離可能な剥離シートを積層してもよい。
例えば、上記(i)の態様で、機能層及びガスバリア層の少なくとも一方の層の表面上に剥離シートを設けた構成とすることで、自己支持性に優れたガスバリア性積層体とすることができる。
また、ガスバリア層の表面上に剥離シートを設ける場合、剥離シートの剥離性を良好とする観点から、ガスバリア層と剥離シートとの間に下地層を設けた構成とすることが好ましい。
また、接着剤層は、上記(v)等のように機能層側に設けてもよく、また、上記(vii)のように基材層側に設けてもよい。
ただし、基材層の膜厚部分から侵入した水蒸気や酸素等の気体をガスバリア層で遮断し、封止対象物である電子デバイスにこれらの気体が到達することを防止する観点から、上記(v)等のように、機能層側の表面に接着剤層を設ける構成とすることが好ましい。
さらに、上記(i)等の機能層が最外層となる構成において、当該機能層の表面に、さらにITO等から構成された導電層を設けて、導電性積層体とすることもできる。
本発明の一態様のガスバリア性積層体について、使用時の総厚としては、好ましくは、1〜600μm、より好ましくは5〜200μm、更に好ましくは20〜100μmである。
なお、上記の「使用時の総厚」とは、ガスバリア性積層体の最外層の表面を保護するために設けられた剥離シートを除去した後のガスバリア性積層体の厚さを意味する。
本発明の一態様のガスバリア性積層体の40℃、相対湿度90%の環境下で測定した水蒸気透過率としては、好ましくは5.0g/(m・day)以下、より好ましくは0.5g/(m・day)以下、更に好ましくは0.05g/(m・day)以下、より更に好ましくは0.005g/(m・day)以下であり、また、通常1.0×10−6g/(m・day)以上である。
なお、本明細書において、水蒸気透過率は、実施例に記載の方法により測定した値を意味する。
本発明の一態様のガスバリア性積層体は、透明性に優れるものであることが好ましい。
具体的には、本発明の一態様のガスバリア性積層体の全光線透過率としては、好ましくは80%以上、より好ましく85%以上、更に好ましくは90%以上である。
なお、本明細書において、全光線透過率は、JIS K 7361−1に準拠して測定した値であって、より具体的には、実施例に記載の方法により測定した値を意味する。
以下、本発明のガスバリア性積層体が有する各層について説明する。
〔ガスバリア層〕
本発明のガスバリア性積層体が有するガスバリア層は、水蒸気や酸素等の気体の透過を抑制する特性(以下、「ガスバリア性」という)を有する層である。
本発明の一態様のガスバリア性積層体が有するガスバリア層は、単層であってもよく、2層以上を積層してなる複層であってもよい。
本発明の一態様のガスバリア性積層体が有するガスバリア層の40℃、相対湿度90%の環境下で測定した水蒸気透過率としては、好ましくは5.0g/(m・day)以下、より好ましくは0.5g/(m・day)以下、更に好ましくは0.05g/(m・day)以下、より更に好ましくは0.005g/(m・day)以下であり、また、通常1.0×10−6g/(m・day)以上である。
ガスバリア層の厚さとしては、ガスバリア層の形成材料の種類によって後述のとおり適宜設定されるが、好ましくは1nm〜50μm、より好ましくは3nm〜2000nm、更に好ましくは5〜1000nm、より更に好ましくは20〜500nmである。
なお、ガスバリア層が2層以上を積層してなる複層である場合、その複層の厚さが上記範囲内であることが好ましい。
機能層との層間密着性をより効率的に向上させたガスバリア層とする観点から、ガスバリア層は、窒素原子を有する化合物を含むことが好ましい。
窒素原子を有する化合物を含むガスバリア層としては、無機窒化物、無機酸化窒化物、無機酸化窒化炭化物等の無機化合物を蒸着してなる無機蒸着膜、ポリアクリロニトリル等のガスバリア性樹脂を含むガスバリア樹脂膜、及び、ポリシラザン化合物を含む組成物から形成され、改質領域を有する改質高分子層等が挙げられる。
ガスバリア層としては、以下の3つの態様の層が挙げられる。
(1)無機化合物を蒸着してなる無機蒸着膜。
(2)ガスバリア性樹脂を含む、ガスバリア樹脂膜。
(3)高分子化合物を含むガスバリア層形成用組成物から形成され、改質領域を有する、改質高分子層。
これらの中でも、薄膜化が可能であると共に、ガスバリア性に優れた層形成が可能との観点から、ガスバリア層としては、上記(1)の無機蒸着膜、又は、上記(3)の改質高分子層であることが好ましく、さらにフレキシブル性に有するガスバリア性積層体とする観点から、上記(3)の改質高分子層であることがより好ましい。
以下、ガスバリア層の上記(1)〜(3)に態様について詳述する。
(1)無機化合物を蒸着してなる無機蒸着膜
本発明の一態様のガスバリア性積層体において、ガスバリア層として、無機化合物を蒸着してなる無機蒸着膜を適用し得る。なお、無機蒸着膜は、1層からなる単層でもよく、2層以上を積層してなる複層であってもよい。
ガスバリア層として用いる無機蒸着膜の厚さとしては、ガスバリア性と取り扱い性の観点から、好ましくは1〜2000nm、より好ましくは3〜1000nm、更に好ましくは5〜500nm、より更に好ましくは40〜200nmである。
なお、無機蒸着膜が2層以上を積層してなる複層である場合、その複層の厚さが上記範囲内であることが好ましい。
無機蒸着膜を形成し得る、無機化合物としては、例えば、酸化珪素、酸化アルミニウム、酸化マグネシウム、酸化亜鉛、酸化インジウム、酸化スズ、酸化亜鉛スズ等の無機酸化物;窒化ケイ素、窒化アルミニウム、窒化チタン等の無機窒化物;無機炭化物;無機硫化物;酸化窒化ケイ素等の無機酸化窒化物;無機酸化炭化物;無機窒化炭化物;無機酸化窒化炭化物;アルミニウム、マグネシウム、亜鉛、及びスズ等の金属;等が挙げられる。
これらの無機化合物は、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
これらの中でも、ガスバリア性の観点から、無機酸化物、無機窒化物又は金属を原料とする無機蒸着膜が好ましく、さらに、透明性の観点から、無機酸化物又は無機窒化物を原料とする無機蒸着膜が好ましい。
無機蒸着膜を形成する方法は、公知の方法を適用することができ、例えば、真空蒸着法、スパッタリング法、イオンプレーティング法等のPVD法や、熱CVD法、プラズマCVD法、光CVD法等のCVD法、原子層堆積法(ALD法)が挙げられる。
(2)ガスバリア性樹脂を含むガスバリア樹脂膜
本発明の一態様のガスバリア性積層体において、ガスバリア層として、ガスバリア性樹脂を含むガスバリア樹脂膜を適用し得る。なお、当該樹脂膜は、1層からなる単層でもよく、2層以上を積層してなる複層であってもよい。
ガスバリア層として用いるガスバリア樹脂膜の厚さとしては、ガスバリア性の観点から、好ましくは1〜2000nm、より好ましくは3〜1000nm、更に好ましくは5〜500nm、より更に好ましくは40〜200nmである。
なお、ガスバリア樹脂膜が2層以上を積層してなる複層である場合、その複層の厚さが上記範囲内であることが好ましい。
前記ガスバリア性樹脂としては、酸素や水蒸気等を透過しにくい樹脂が好ましく、具体的には、ポリビニルアルコール、又はその部分ケン化物、エチレン−ビニルアルコール共重合体、ポリアクリロニトリル、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリクロロトリフルオロエチレン等が挙げられる。
これらのガスバリア性樹脂は、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
ガスバリア樹脂膜を形成する方法としては、ガスバリア性樹脂を含む溶液を、剥離シートの剥離処理面上や基材上に、塗布して塗膜を形成し、当該塗膜を乾燥して形成する方法が挙げられる。
塗布方法としては、例えば、スピンコート法、スプレーコート法、バーコート法、ナイフコート法、ロールコート法、ブレードコート法、ダイコート法、グラビアコート法等が挙げられる。
乾燥方法としては、例えば、熱風乾燥、熱ロール乾燥、赤外線照射等が挙げられる。
(3)高分子化合物を含むガスバリア層形成用組成物から形成され、改質領域を有する、改質高分子層
本発明の一態様のガスバリア性積層体において、ガスバリア層として、高分子化合物を含むガスバリア層形成用組成物から形成され、改質領域を有する、改質高分子層を適用し得る。
なお、改質高分子層は、1層からなる単層でもよく、2層以上を積層してなる複層であってもよい。
ガスバリア層として用いる改質高分子層の厚さとしては、好ましくは20nm〜50μm、より好ましくは30nm〜1000nm、更に好ましくは40nm〜500nm、より更に好ましくは70〜450nmである。
なお、改質高分子層が2層以上を積層してなる複層である場合、その複層の厚さが上記範囲内であることが好ましい。
改質高分子層の形成材料である、ガスバリア層形成用組成物は、高分子化合物を含むが、本発明の効果を損なわない範囲で、硬化剤、老化防止剤、光安定剤、難燃剤等の汎用添加剤を含有してもよい。
ただし、高分子化合物の含有量としては、前記改質高分子量の全量(100質量%)に対して、もしくは前記ガスバリア層形成用組成物の有効成分の全量(100質量%)に対して、好ましくは50質量%以上、より好ましくは70質量%以上、更に好ましくは80質量%以上、より更に好ましくは90質量%以上である。
なお、本明細書において、「組成物の有効成分」とは、対象となる組成物に含まれる成分のうち、希釈溶媒を除いた成分を指す。
本明細書において、高分子化合物とは、所定の繰り返し単位を有し、数平均分子量(Mn)が100以上の化合物を意味する。
高分子化合物の数平均分子量(Mn)としては、好ましくは100〜50,000、より好ましくは1,000〜50,000である。
高分子化合物としては、例えば、ケイ素含有高分子化合物、ポリイミド、ポリアミド、ポリアミドイミド、ポリフェニレンエーテル、ポリエーテルケトン、ポリエーテルエーテルケトン、ポリオレフィン、ポリエステル、ポリカーボネート、ポリスルホン、ポリエーテルスルホン、ポリフェニレンスルフィド、ポリアリレート、アクリル系樹脂、脂環式炭化水素系樹脂、芳香族系重合体等が挙げられ、ケイ素含有高分子化合物が好ましい。
ケイ素含有高分子化合物としては、例えば、ポリシラザン系化合物、ポリカルボシラン系化合物、ポリシラン系化合物、ポリオルガノシロキサン系化合物、ポリ(ジシラニレンフェニレン)系化合物、及びポリ(ジシラニレンエチニレン)系化合物等が挙げあれる。
これらの高分子化合物は、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
本発明の一態様において、ガスバリア性をより向上させると共に、機能層との層間密着性に優れたガスバリア層とする観点から、前記高分子化合物としては、ポリシラザン系化合物がより好ましい。
ポリシラザン系化合物は、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
ポリシラザン系化合物は、分子内に−Si−N−結合(シラザン結合)を含む繰り返し単位を有する重合体であり、具体的には、下記一般式(1)で表される繰り返し単位を有する重合体であることが好ましい。
なお、ポリシラザン系化合物の数平均分子量(Mn)としては、好ましくは100〜50,000、より好ましくは1,000〜50,000である。
Figure 2018180963
上記一般式(1)中、nは、繰り返し単位数を示し、1以上の整数を表す。
Rx、Ry、Rzは、それぞれ独立して、水素原子、無置換もしくは置換基を有するアルキル基、無置換もしくは置換基を有するシクロアルキル基、無置換もしくは置換基を有するアルケニル基、無置換もしくは置換基を有するアリール基、又はアルキルシリル基を表す。
前記アルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、t−ブチル基、n−ペンチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基、n−へキシル基、n−ヘプチル基、n−オクチル基等の炭素数1〜10のアルキル基が挙げられる。
前記シクロアルキル基としては、例えば、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロへキシル基、シクロへプチル基等の環形成炭素数3〜10のシクロアルキル基が挙げられる。
前記アルケニル基としては、例えば、ビニル基、1−プロペニル基、2−プロペニル基、1−ブテニル基、2−ブテニル基、3−ブテニル基等の炭素数2〜10のアルケニル基が挙げられる。
前記アリール基としては、例えば、フェニル基、1−ナフチル基、2−ナフチル基等の環形成炭素数6〜15のアリール基が挙げられる。
アルキルシリル基としては、例えば、トリメチルシリル基、トリエチルシリル基、トリイソプロピルシリル基、トリ−t−ブチルシリル基、メチルジエチルシリル基、ジメチルシリル基、ジエチルシリル基、メチルシリル基、エチルシリル基等が挙げられる。
前記アルキル基、シクロアルキル基、及びアルケニル基が有してもよい置換基としては、例えば、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等のハロゲン原子;ヒドロキシル基;チオール基;エポキシ基;グリシドキシ基;(メタ)アクリロイルオキシ基;フェニル基、4−メチルフェニル基、4−クロロフェニル基等の無置換もしくは置換基を有するアリール基;等が挙げられる。
前記アリール基が有してもよい置換基としては、例えば、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等のハロゲン原子;メチル基、エチル基等の炭素数1〜6のアルキル基;メトキシ基、エトキシ基等の炭素数1〜6のアルコキシ基;ニトロ基;シアノ基;ヒドロキシル基;チオール基;エポキシ基;グリシドキシ基;(メタ)アクリロイルオキシ基;フェニル基、4−メチルフェニル基、4−クロロフェニル基等の無置換もしくは置換基を有するアリール基;等が挙げられる。
本発明の一態様において、Rx、Ry、Rzとしては、水素原子、炭素数1〜6のアルキル基、又はフェニル基が好ましく、水素原子がより好ましい。
なお、改質高分子層に含まれるポリシラザン系化合物としては、前記一般式(1)中のRx、Ry、Rzが全て水素原子である無機ポリシラザン(ペルヒドロポリシラザン)であってもよく、Rx、Ry、Rzの少なくとも1つが水素原子ではない有機基である有機ポリシラザンであってもよい。
また、ポリシラザン系化合物としては、ポリシラザン変性物であってもよい。
ポリシラザン変性物としては、例えば、特開昭62−195024号公報、特開平2−84437号公報、特開昭63−81122号公報、特開平1−138108号公報等、特開平2−175726号公報、特開平5−238827号公報、特開平5−238827号公報、特開平6−122852号公報、特開平6−306329号公報、特開平6−299118号公報、特開平9−31333号公報、特開平5−345826号公報、特開平4−63833号公報等に記載されているものが挙げられる。
また、ポリシラザン系化合物としては、ガラスコーティング材等として市販されている市販品をそのまま使用することもできる。
ガスバリア層形成用組成物は、更に有機溶媒を含有して溶液の形態としてもよい。
当該有機溶媒としては、例えば、ベンゼン、トルエン等の芳香族炭化水素系溶媒;酢酸エチル、酢酸ブチル等のエステル系溶媒;アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等のケトン系溶媒;n−ペンタン、n−ヘキサン、n−ヘプタン等の脂肪族炭化水素系溶媒;シクロペンタン、シクロヘキサン等の脂環式炭化水素系溶媒;等が挙げられる。
これらの有機溶媒は、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
ガスバリア層形成用組成物から高分子層を形成する方法としては、ガスバリア層形成用組成物の溶液を、剥離シートの剥離処理面上、剥離シートに設けられた下地層の表面上、及び基材の表面上に、塗布して塗膜を形成し、当該塗膜を乾燥して形成する方法が挙げられる。
塗布方法としては、例えば、バーコート法、スピンコート法、ディッピング法、ロールコート法、グラビアコート法、ナイフコート法、エアナイフコート法、ロールナイフコート法、ダイコート法、スクリーン印刷法、スプレーコート法、グラビアオフセット法等が挙げられる。
塗膜の乾燥方法としては、熱風乾燥、熱ロール乾燥、赤外線照射等、従来公知の乾燥方法が挙げられる。加熱温度は、通常、80〜150℃であり、加熱時間は、通常、数十秒から数十分である。
形成した高分子層の表面に対して、改質処理を施して改質領域を形成することで、改質高分子層とすることができる。
改質処理としては、例えば、イオン注入処理、プラズマ処理、紫外線照射処理、熱処理等が挙げられる。
イオン注入処理は、加速させたイオンを、高分子層に注入して、高分子層を改質して改質領域を形成する方法であり、詳細は後述のとおりである。
プラズマ処理は、高分子層をプラズマ中に晒して、高分子層を改質して改質領域を形成する方法であり、例えば、特開2012−106421号公報に記載の方法に従って行うことができる。
紫外線照射処理は、高分子層に紫外線を照射して高分子層を改質して改質領域を形成する方法であり、例えば、特開2013−226757号公報に記載の方法に従って行うことができる。
これらの中でも、改質高分子層の表面を荒らすことなく、その内部まで効率よく改質し、よりガスバリア性を向上させ得るとの観点から、改質処理としては、イオン注入処理が好ましい。
高分子層に注入するイオンとしては、例えば、アルゴン、ヘリウム、ネオン、クリプトン、キセノン等の希ガスのイオン;フルオロカーボン、水素、窒素、酸素、二酸化炭素、塩素、フッ素、硫黄等のイオン;メタン、エタン等のアルカン系ガス類のイオン;エチレン、プロピレン等のアルケン系ガス類のイオン;ペンタジエン、ブタジエン等のアルカジエン系ガス類のイオン;アセチレン等のアルキン系ガス類のイオン;ベンゼン、トルエン等の芳香族炭化水素系ガス類のイオン;シクロプロパン等のシクロアルカン系ガス類のイオン;シクロペンテン等のシクロアルケン系ガス類のイオン;金属のイオン;有機ケイ素化合物のイオン;等が挙げられる。
これらのイオンは、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
これらの中でも、より簡便にイオンを注入することができ、より優れたガスバリア性を有する改質高分子層を形成し得るとの観点から、アルゴン、ヘリウム、ネオン、クリプトン、キセノン等の希ガスのイオンが好ましく、アルゴンイオンがより好ましい。
イオンの注入量は、ガスバリア性積層フィルムの使用目的(必要なガスバリア性、透明性等)等に合わせて適宜決定することができる。
イオンを注入する方法としては、電界により加速されたイオン(イオンビーム)を照射する方法、プラズマ中のプラズマイオンを注入する方法(プラズマイオン注入法)等が挙げられるが、プラズマイオン注入法が好ましい。
プラズマイオン注入法は、例えば、希ガス等のプラズマ生成ガスを含む雰囲気下でプラズマを発生させ、高分子層に負の高電圧パルスを印加することにより、該プラズマ中のイオン(陽イオン)を、高分子層の表面部に注入して行うことができる。
プラズマイオン注入法のより具体的な方法としては、WO2010/107018号等に記載された方法により実施することができる。
イオン注入により、イオンが注入される領域の厚さは、イオンの種類や印加電圧、処理時間等の注入条件により制御することができ、高分子層の厚さやガスバリア性積層フィルムの使用目的等に応じて決定すればよいが、通常10〜400nmである。
また、イオンが注入されたことは、X線光電子分光分析(XPS)を用いてポリシラザン層の表面から10nm付近の元素分析測定を行うことによって確認することができる。
〔機能層〕
本発明のガスバリア性積層体が有する機能層は、ガスバリア層の一方の表面に直接積層し、アミン系化合物を含有する組成物から形成された層である。
本発明の一態様において、機能層の厚さとしては、当該機能層が担う機能の種類や、形成材料である組成物の種類によって適宜選択されるが、好ましくは50nm〜200μm、より好ましくは100nm〜150μm、更に好ましくは150nm〜100μmである。
当該機能層は、形成材料の組成物に含まれる、主剤樹脂及びアミン系化合物の種類を適宜調製することで、ガスバリア性積層体の用途に応じた、機能を付与することができる。
アミン系化合物を含む組成物から形成した機能層は、ガスバリア層との層間密着性を良好に保持することができる。
また、当該機能層の表面上に、有機化合物を含有する有機層(例えば、接着剤層、剥離シートの粘着剤層等)やITO等からなる導電層等の他の層を設けた場合においても、機能層と他の層との層間密着性も良好とすることができる。
したがって、形成された機能層は、ガスバリア層及び他の層(接着剤層、導電層等)との層間密着性に優れているため、層間密着性が劣る二層の間に当該機能層を介することで、密着性を良好とすることができる。
そのため、当該機能層は「密着性向上層」としての機能を有する。
機能層上に積層される有機層としては、電子デバイス等の封止対象物の封止作業の効率性の観点、及び、封止対象物に水蒸気や酸素等の侵入を効率的に抑制する観点から、機能層の表面上に、接着剤層が好ましい。
一般的に、ガスバリア層と接着剤層とを直接積層した場合、二つの層の層間密着性は劣る傾向にある。それに対して、本発明で用いている機能層は、ガスバリア層との層間密着性に優れていると共に、接着剤層との層間密着性にも優れている。
そのため、当該態様のガスバリア性積層体は、二つの層の層間から、水蒸気や酸素等の侵入を効果的に抑制することが可能であり、優れたガスバリア性を有する。
ガスバリア層が、改質高分子層である場合、機能層はガスバリア層における改質処理がされた表面側に積層されることが好ましい。改質高分子層の改質処理された表面は、高密度で弾性率が高く、有機層との密着性に劣る傾向にあるため、機能層を介することで、有機層との密着性も良好となる。
加えて、改質高分子層が、ポリシラザン化合物を含むガスバリア層形成用組成物から形成されている場合には、当該改質高分子層の改質処理がされた表面に窒素原子が偏在している。そのため、アミン系化合物を含有する組成物から形成された機能層は、改質高分子層との層間密着性向上の効果がより得られ易い。
換言すれば、改質高分子層が、ポリシラザン化合物を含むガスバリア層形成用組成物から形成されている場合には、当該改質高分子層の改質処理がなされ、窒素原子の元素存在比率のより多い表面上に、機能層が積層されることが好ましい。
なお、改質高分子層を、下地層や基材の表面上に、ガスバリア層形成用組成物の溶液を塗布して形成する場合、当該溶液が下地層や基材の表面の凹凸に浸透する。そのため、改質高分子層と下地層や基材との間の層間密着性は、通常良好であり、大きな問題とはならない。
機能層の形成材料である組成物に含まれるアミン系化合物としては、アミン系シランカップリング剤又は2以上のアミノ基を有する多官能アミン化合物が好ましい。
つまり、機能層の形成材料である組成物としては、アミン系化合物の種類によって、下記に示す組成物(I)又は(II)であることが好ましい。
・前記アミン系化合物として、アミン系シランカップリング剤を含有する組成物(I)。
・前記アミン系化合物として、2以上のアミノ基を有する多官能アミン化合物を含有する組成物(II)。
組成物(I)に含まれるアミン系シランカップリング剤としては、1以上のアミノ基を有するシラン化合物が挙げられるが、下記一般式(b)で表される化合物が好ましく、下記一般式(b−1)又は(b−2)で表される化合物がより好ましい。
Figure 2018180963
前記一般式(b)中、R〜Rは、炭素数1〜4(好ましくは炭素数1〜2)のアルキル基である。
Xは、アミノ基を有する有機基であり、−(CH−NH−(CH−NHで表される基(p、qは1以上の整数(好ましくは2〜10の整数))又は、−(CH−NHで表される基(rは1以上の整数(好ましくは2〜10の整数))であることが好ましい。
なお、アミン系シランカップリング剤は、第1級アミン、第2級アミン、及び第3級アミンのいずれであってもよいが、第1級アミンであることが好ましい。
第1級アミンであるアミン系シランカップリング剤としては、例えば、N−2−アミノエチル−3−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N−2−アミノエチル−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−2−アミノエチル−3−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−2−アミノエチル−8−アミノオクチルトリメトキシシラン、N−2−アミノエチル−8−アミノオクチルトリエトキシシラン、3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリエトキシシラン等が挙げられる。
第2級アミン又は第3級アミンであるアミン系シランカップリング剤としては、例えば、N−フェニル−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−フェニル−3−アミノプロピルトリエトキシシラン、[3−(2,4−ジニトロフェニルアミノ)プロピル]トリエトキシシラン、N,N−ジメチルアミノプロピルトリメトキシシラン、N,N−ジメチルアミノプロピルトリエトキシシラン、N,N−ジメチルアミノプロピルトリプロポキシシラン、N,N−ジメチルアミノプロピルトリブトキシシラン、N,N−ジメチルアミノエチルトリメトキシシラン、N,N−ジエチルアミノプロピルトリメトキシシラン、N,N−ジエチルアミノプロピルトリエトキシシラン、N,N−ジプロピルアミノプロピルトリメトキシシラン、N,N−ジプロピルアミノプロピルトリエトキシシラン、N,N−ジブチルアミノプロピルトリメトキシシラン、N,N−ジブチルアミノプロピルトリエトキシシラン、N−メチル−N−エチルアミノプロピルトリメトキシシラン、N−メチル−N−フェニルアミノプロピルトリメトキシシラン、ピペリジノプロピルトリメトキシシラン、モルフォリノプロピルトリメトキシシラン、(4−メチルピペラジノ)プロピルトリメトキシシラン、N,N−ジメチルアミノプロピルメチルジメトキシシラン等が挙げられる。
これらのアミン系シランカップリング剤は、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
組成物(I)に含まれるアミン系シランカップリング剤の含有量は、組成物(I)の有効成分の全量(100質量%)に対して、好ましくは0.1〜20質量%、より好ましくは0.2〜15質量%、更に好ましくは0.3〜12質量%、より更に好ましくは0.4〜10質量%である。
組成物(II)に含まれる多官能アミン化合物としては、例えば、エチレンジアミン、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、テトラエチレンペンタミン、メタキシリレンジアミン、パラキシリレンジアミン、1,3−ビス(アミノメチル)シクロヘキサン、ジアミノジフェニルメタン、メタフェニレンジアミン等が挙げられる。
これらの多官能アミン化合物は、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
組成物(II)に含まれる多官能アミン化合物の含有量は、組成物(II)の有効成分の全量(100質量%)に対して、好ましくは25〜80質量%、より好ましくは35〜75質量%、更に好ましくは40〜70質量%である。
なお、機能層は、塗布や印刷による製膜を行い易くする観点から、硬化性を有することが好ましい。そのため、機能層の形成材料である組成物は、アミン系化合物と共に、エネルギー線硬化性樹脂もしくは熱硬化性樹脂を含むことが好ましい。
なお、上述のアミン系シランカップリング剤を含む組成物(I)は、さらにエネルギー線硬化性樹脂を含有し、エネルギー線硬化性組成物としてもよく、もしくは、さらに熱硬化性樹脂を含有し、熱硬化性組成物としてもよいが、さらにエネルギー線硬化性樹脂を含有し、エネルギー線硬化性組成物とすることが好ましい。
また、上述の多官能アミン化合物を含む組成物(II)も、さらにエネルギー線硬化性樹脂を含有し、エネルギー線硬化性組成物としてもよく、もしくは、さらに熱硬化性樹脂を含有し、熱硬化性組成物としてもよいが、さらに熱硬化性樹脂を含有し、熱硬化性組成物とすることが好ましい。
以下、エネルギー線硬化性組成物とする態様と、熱硬化性組成物とする態様について、詳述する。
<エネルギー線硬化性組成物の態様>
エネルギー線硬化性組成物から形成された機能層は、電極転写シートの転写基材の一方の表面の一部に形成された補助電極層を埋め込み可能な電極埋込層としての機能を有する。
なお、エネルギー線硬化性組成物から形成された機能層は、補助電極層を埋め込み前は未硬化の状態であることが好ましい。
例えば、図1(a)に示すように、エネルギー線硬化性組成物から形成された機能層12の表面に、電極転写シート50の転写基材51の一方の表面の一部に形成された補助電極層52を埋め込む場合を考える。この際、エネルギー線硬化性組成物から形成された機能層は、その内部に、補助電極層を取り入れ易く、補助電極層の埋め込み性に優れる。
この後、補助電極層52を機能層12に埋め込み後、図1(b)に示すように、エネルギー線を照射して、機能層12を硬化させる。
硬化後、図1(c)に示すように、電極転写シート50の転写基材51を、硬化後の機能層12の表面から剥離する。ここで、機能層12の形成材料の種類によっては、機能層12と転写基材51との間で密着してしまい、転写基材51が剥離し難い場合がある。
これに対して、エネルギー線硬化性組成物から形成した機能層とすることで、硬化後の機能層は、転写基材51との剥離が容易となるという利点がある。また、機能層が最終的に硬化することで、ガスバリア層と機能層との層間密着性を良好とすると共に、機能層の保形性が向上し、補助電極層の固定を位置ずれ無く行うことができ、機能層に導電層を設けることも容易となる。
つまり、エネルギー線硬化性組成物から形成された機能層は、硬化前は補助電極層の埋め込み性に優れ、硬化後には転写基材との剥離性に優れる等の性質を有するため、電極埋込層としての優れた機能を有する。
エネルギー線硬化性組成物は、アミン系化合物と、エネルギー線硬化性樹脂とを含むが、さらに光重合開始剤を含有することが好ましい。
本明細書において、エネルギー線とは、電磁波又は荷電粒子線の中でエネルギー量子を有するものであり、紫外線等の活性光、又は電子線等を指す。
エネルギー線硬化性組成物から形成された機能層は、上記のエネルギー線を照射することで硬化反応が進み、硬化するものであるが、紫外線の照射により硬化するものであることが好ましい。
なお、エネルギー線硬化性組成物は、上述の成分以外にも、本発明の効果を損なわない範囲で、さらに各種添加剤を含有していてもよい。
各種添加剤としては、紫外線吸収剤、帯電防止剤、安定剤、酸化防止剤、可塑剤、滑剤、着色顔料等が挙げられる。これらの添加剤の含有量は、目的に合わせて適宜決定すればよい。
なお、本発明の一態様において、アミン系化合物及びエネルギー線硬化性樹脂の合計含有量は、エネルギー線硬化性組成物の有効成分の全量(100質量%)に対して、好ましくは70質量%以上、より好ましくは80質量%以上、更に好ましくは90質量%以上、より更に好ましくは95質量%以上である。
また、本発明の一態様において、アミン系化合物、エネルギー線硬化性樹脂及び光重合開始剤の合計含有量は、エネルギー線硬化性組成物の有効成分の全量(100質量%)に対して、好ましくは70〜100質量%、より好ましくは80〜100質量%、更に好ましくは90〜100質量%、より更に好ましくは95〜100質量%である。
なお、エネルギー線硬化性組成物から形成される、機能層の厚さとしては、層間密着性をより向上させる観点、電極埋込層としての機能を付与する観点から、好ましくは1〜200μm、より好ましくは5〜150μm、更に好ましくは10〜100μm、より更に好ましくは15〜70μmである。
機能層の厚さは、硬化前及び硬化後のいずれも、上記範囲内であることが好ましい。
(エネルギー線硬化性樹脂)
エネルギー線硬化性樹脂としては、エネルギー線重合性基が、樹脂の主鎖及び/又は側鎖に導入された、エネルギー線重合性基を有する樹脂であればよい。
エネルギー線重合性基としては、エネルギー線重合性の炭素−炭素二重結合を有する基であればよく、例えば、(メタ)アクリロイル基、ビニル基等が挙げられる。
エネルギー線硬化性樹脂としては、多官能(メタ)アクリレート化合物等のエネルギー線重合性基を有する低分子量化合物であってもよく、エネルギー線重合性基を有する樹脂であってもよい。
エネルギー線重合性基が導入される樹脂としては、例えば、アクリル系樹脂、ウレタン系樹脂、ポリエステル系樹脂、ゴム系樹脂等が挙げられる。
なお、エネルギー線硬化性樹脂は、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
これらの中でも、本発明の一態様で用いるエネルギー線硬化性樹脂は、エネルギー線硬化性ウレタン系樹脂を含むことが好ましい。
エネルギー線硬化性ウレタン系樹脂の重量平均分子量(Mw)としては、好ましくは1,000〜100,000、より好ましくは3,000〜80,000、更に好ましくは5,000〜50,000である。
エネルギー線硬化性ウレタン系樹脂の含有割合としては、エネルギー線硬化性樹脂の全量(100質量%)に対して、好ましくは50〜100質量%、より好ましくは70〜100質量%、更に好ましくは80〜100質量%、より更に好ましくは90〜100質量%である。
本発明の一態様において、エネルギー線硬化性樹脂の含有量は、エネルギー線硬化性組成物の有効成分の全量(100質量%)に対して、好ましくは60〜99.8質量%、より好ましくは70〜99.5質量%、更に好ましくは75〜99.0質量%、より更に好ましくは80〜99.0質量%である。
なお、上述のとおり、組成物(I)が、アミン系シランカップリング剤と、エネルギー線硬化性樹脂とを含む、エネルギー線硬化性組成物であることが好ましい。
この場合のアミン系シランカップリング剤の含有量は、上述のとおりである。
ただし、本発明の一態様において、エネルギー線硬化性組成物である組成物(I)は、本発明の効果を損なわない範囲で、アミン系シランカップリング剤には該当しないカップリング剤を含有してもよい。
ただし、形成される機能層とガスバリア層との層間密着性を良好とする観点から、アミン系シランカップリング剤以外のカップリング剤の含有量は、少ないほど好ましい。
アミン系カップリング剤以外のカップリング剤の含有量は、組成物(I)中のアミン系カップリング剤の全量100質量部に対して、好ましくは0〜20質量部、より好ましくは0〜10質量部、更に好ましくは0〜5質量部、より更に好ましくは0〜1質量部である。
(光重合開始剤)
エネルギー線硬化性組成物は、さらに光重合開始剤を含有することが好ましい。
光重合開始剤を含有することで、形成される機能層を硬化させる際に、重合硬化時間を短縮することができ、また、光線照射量を少なくても、機能層の硬化反応を十分に進行させることができる。
光重合開始剤としては、例えば、芳香族ケトン化合物、ベンゾイン化合物、ベンゾインエーテル化合物、ベンジル化合物、エステル化合物、アクリジン化合物、2,4,5−トリアリールイミダゾール二量体、アルキルフェノン系化合物、α−ヒドロキシアルキルフェノン系化合物、フォスフィンオキサイド系化合物等が挙げられる。
より具体的な光重合開始剤としては、例えば、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、ベンジルジフェニルサルファイド、テトラメチルチウラムモノサルファイド、アゾビスイソブチロニトリル、ジベンジル、ジアセチル、β−クロールアンスラキノン、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−フェニルフォスフィンオキサイド等が挙げられる。
これらの光重合開始剤は、単独で又は2種以上を組み合わせて用いてもよい。
本発明の一態様において、光重合開始剤の含有量としては、エネルギー線硬化性樹脂の全量100質量部に対して、好ましくは0.01〜15質量部、より好ましくは0.05〜12質量部、更に好ましくは0.1〜10質量部、より更に好ましくは0.2〜5質量部である。
<熱硬化性組成物の態様>
熱硬化性組成物から形成された機能層は、加熱処理によって、硬化反応が進み、硬化する層である。
熱硬化性組成物は、アミン系化合物と、熱硬化性樹脂を含むが、本発明の効果を損なわない範囲で、さらに各種添加剤を含有していてもよい。
各種添加剤としては、紫外線吸収剤、帯電防止剤、安定剤、酸化防止剤、可塑剤、滑剤、着色顔料等が挙げられる。これらの添加剤の含有量は、目的に合わせて適宜決定すればよい。
なお、本発明の一態様において、アミン系化合物及び熱硬化性樹脂の合計含有量は、熱硬化性組成物の有効成分の全量(100質量%)に対して、好ましくは70〜100質量%、より好ましくは80〜100質量%、更に好ましくは90〜100質量%、より更に好ましくは95〜100質量%である。
熱硬化性組成物から形成される機能層の厚さとしては、層間密着性をより向上させる観点から、好ましくは50nm以上、より好ましくは100n以上、更に好ましくは150nm以上であり、また、携帯端末等の小型化が要求される物品にも適用可能とする観点から、好ましくは700nm以下、より好ましくは500nm以下、更に好ましくは450nm以下である。
(熱硬化性樹脂)
熱硬化性樹脂としては、加熱によって硬化し得る樹脂であればよく、例えば、熱硬化性エポキシ樹脂、熱硬化性フェノール樹脂、熱硬化性不飽和イミド樹脂、熱硬化性シアネート樹脂、熱硬化性イソシアネート樹脂、熱硬化性ベンゾオキサジン樹脂、熱硬化性オキセタン樹脂、熱硬化性アミノ樹脂、熱硬化性不飽和ポリエステル樹脂、熱硬化性アリル樹脂、熱硬化性ジシクロペンタジエン樹脂、熱硬化性シリコーン樹脂、熱硬化性トリアジン樹脂、熱硬化性メラミン樹脂等が挙げられる。
これらの熱硬化性樹脂は、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
これらの中でも、本発明の一態様において、熱硬化性樹脂が、熱硬化性エポキシ樹脂を含むことが好ましい。
熱硬化性エポキシ樹脂を含む熱硬化性組成物から形成した機能層は、高温高湿の環境下においても、ガスバリア層との層間密着性を良好に保持することができる。
上記観点から、熱硬化性エポキシ樹脂の含有割合としては、熱硬化性樹脂の全量(100質量%)に対して、好ましくは50〜100質量%、より好ましくは70〜100質量%、更に好ましくは80〜100質量%、より更に好ましくは90〜100質量%である。
熱硬化性エポキシ樹脂としては、熱硬化性を有し、分子内に複数のエポキシ基を有する化合物が挙げられ、具体的には、メタキシリレンジアミンから誘導されたグリシジルアミノ基を有するエポキシ樹脂、1,3−ビス(アミノメチル)シクロヘキサンから誘導されたグリシジルアミノ基を有するエポキシ樹脂、ジアミノジフェニルメタンから誘導されたグリシジルアミノ基を有するエポキシ樹脂、パラアミノフェノールから誘導されたグリシジルアミノ基又はグリシジルオキシ基を有するエポキシ樹脂、ビスフェノールAから誘導されたグリシジルオキシ基を有するエポキシ樹脂、ビスフェノールFから誘導されたグリシジルオキシ基を有するエポキシ樹脂、フェノールノボラックから誘導されたグリシジルオキシ基を有するエポキシ樹脂、レゾルシノールから誘導されたグリシジルオキシ基を有するエポキシ樹脂等が挙げられる。
これらの熱硬化性エポキシ樹脂は、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
これらの中でも、熱硬化性エポキシ樹脂としては、分子内に芳香環を含むエポキシ樹脂が好ましい。
本発明の一態様において、熱硬化性樹脂の含有量は、熱硬化性組成物の有効成分の全量(100質量%)に対して、好ましくは10〜60質量%、より好ましくは20〜50質量%、更に好ましくは25〜45質量%である。
なお、上述のとおり、組成物(II)が、多官能アミン化合物と、熱硬化性樹脂とを含む、熱硬化性組成物であることが好ましい。
なお、この熱硬化性組成物において、多官能アミン化合物は、硬化剤としても機能を有する。
熱硬化性組成物である組成物(II)中の熱硬化性樹脂の全量100質量部に対する、多官能アミン化合物の含有量としては、好ましくは20〜800質量部、より好ましくは50〜600質量部、更に好ましくは100〜400質量部、より更に好ましくは150〜300質量部である。
<機能層の形成方法>
機能層の形成方法については、特に制限は無いが、既に形成したガスバリア層の表面上に、機能層の形成材料である組成物を塗布して塗膜を形成し、当該塗膜を乾燥させて形成することが好ましい。
本発明の一態様において、上述の組成物(I)及び(II)を含む、機能層の形成材料である組成物は、溶媒を加えて、溶液の形態としてもよい。
当該溶媒としては、例えば、n−ヘキサン、n−ヘプタン等の脂肪族炭化水素系溶媒;トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素系溶媒;ジクロロメタン、塩化エチレン、クロロホルム、四塩化炭素、1,2−ジクロロエタン、モノクロロベンゼン等のハロゲン化炭化水素系溶媒;メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、プロピレングリコールモノメチルエーテル等のアルコール系溶媒;アセトン、メチルエチルケトン、2−ペンタノン、イソホロン、シクロヘキサノン等のケトン系溶媒;酢酸エチル、酢酸ブチル等のエステル系溶媒;エチルセロソルブ等のセロソルブ系溶剤;1,3−ジオキソラン等のエーテル系溶媒;等が挙げられる。
これらの溶媒は、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
機能層の形成材料である組成物の塗付方法としては、湿式コーティング方法を用いることができ、例えば、ディッピング法、ロールコート、グラビアコート、ナイフコート、エアナイフコート、ロールナイフコート、ダイコート、スクリーン印刷法、スプレーコート、グラビアオフセット法等が挙げられる。
形成した塗膜の乾燥温度としては、好ましくは70〜180℃、より好ましくは80〜150℃であり、乾燥時間としては、好ましくは30秒〜10分、より好ましくは1〜7分である。
エネルギー線硬化性組成物を用いて機能層を形成する場合、乾燥工程を経て機能層を形成後、当該機能層に対して、紫外線等のエネルギー線を照射させて光硬化させ、硬化した機能層としてもよい。なお、上述のとおり、エネルギー線硬化性組成物から形成した機能層は、未硬化とし、当該機能層に補助電極層を埋め込んだ後に、機能層を硬化してもよい。
また、熱硬化性組成物を用いて機能層を形成する場合、熱硬化性組成物から形成した塗膜の乾燥工程において、当該塗膜を熱硬化させ、硬化した機能層としてもよい。
〔基材層〕
本発明の一態様のガスバリア性積層体は、ガスバリア層の機能層が積層した側とは反対の表面側に、さらに基材層を有していてもよい。
基材層を有することで、自己支持性に優れたガスバリア性積層体とすることでき、取扱性の面で利点がある。
基材層は、樹脂フィルムから構成されることが好ましい。
当該樹脂フィルムに含まれる樹脂としては、例えば、ポリイミド、ポリアミド、ポリアミドイミド、ポリフェニレンエーテル、ポリエーテルケトン、ポリエーテルエーテルケトン、ポリオレフィン、ポリエステル、ポリカーボネート、ポリスルホン、ポリエーテルスルホン、ポリフェニレンスルフィド、アクリル系樹脂、シクロオレフィン系ポリマー、芳香族系重合体等が挙げられる。
これらの中でも、透明性に優れるとの観点から、基材層が、ポリエステル、ポリアミド、及びシクロオレフィン系ポリマーから選ばれる樹脂を含む樹脂フィルムから構成されることが好ましく、ポリエステル及びシクロオレフィン系ポリマーから選ばれる樹脂を含む樹脂フィルムから構成されることがより好ましい。
ポリエステルとしては、例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリアリレート等が挙げられ、ポリエチレンテレフタレート及びポリエチレンナフタレートが好ましい。
ポリアミドとしては、全芳香族ポリアミド、ナイロン6、ナイロン66、ナイロン共重合体等が挙げられる。
シクロオレフィン系ポリマーとしては、ノルボルネン系重合体、単環の環状オレフィン系重合体、環状共役ジエン系重合体、ビニル脂環式炭化水素重合体、及びこれらの水素化物が挙げられる。その具体例としては、アペル(三井化学社製のエチレン−シクロオレフィン共重合体)、アートン(JSR社製のノルボルネン系重合体)、ゼオノア(日本ゼオン社製のノルボルネン系重合体)等が挙げられる。
なお、基材層を構成する樹脂フィルムは、本発明の効果を損なわない範囲で、各種添加剤を含有していてもよい。
各種添加剤としては、例えば、紫外線吸収剤、帯電防止剤、安定剤、酸化防止剤、可塑剤、滑剤、着色剤、顔料等が挙げられる。これらの添加剤の含有量は、目的に合わせて適宜決定すればよい。
基材層の厚さは、好ましくは0.4〜400μm、より好ましくは1〜300μm、更に好ましくは5〜200μm、より更に好ましくは10〜150μmである。
〔プライマー層〕
本発明の一態様のガスバリア性積層体は、基材層の表面に積層する他の層との層間密着性を良好とする観点から、基材層の表面上にプライマー層を形成してもよい。
例えば、基材層とガスバリア層との間にプライマー層を設けることで、層間密着性を良好とすることができる。
なお、プライマー層は、単層であってもよく、2層以上を積層してなる複層であってもよい。
プライマー層は、硬化性成分を含む硬化性組成物からなる層を、硬化させることで形成することができる。
硬化性成分としては、エネルギー線硬化性成分であってもよく、熱硬化性成分であってもよい。
エネルギー線硬化性成分としては、例えば、側鎖にエネルギー線硬化性基を有するアクリル系モノマー又はアクリル系樹脂や、側鎖にエネルギー線硬化性基を有するウレタン系モノマー又はウレタン系樹脂等が挙げられる。
熱硬化性成分としては、エポキシ系樹脂、ポリイミド系樹脂、フェノール系樹脂等が挙げられる。
また、プライマー層の形成材料である硬化性組成物は、さらに、無機充填剤、光重合開始剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、光安定剤、帯電防止剤、シランカップリング剤、着色剤、界面活性剤、可塑剤、消泡剤等の各種添加剤を含有してもよい。
なお、プライマー層の形成材料としては、予め硬化性成分と充填材とが配合された市販の硬化性組成物を用いてもよい。
このような市販の硬化性組成物としては、例えば、オプスターZ7530、オプスターZ7524、オプスターTU4086、オプスターZ7537(いずれも商品名、JSR株式会社製)等が挙げられる。
プライマー層の厚さとしては、好ましくは0.01〜50μm、より好ましくは0.1〜30μm、更に好ましくは0.3〜20μm、より更に好ましくは0.5〜10μmである。
〔剥離シート〕
本発明の一態様のガスバリア性積層体は、特に基材層を有しない場合に自己支持性を付与する観点から、及び、機能層等の層の表面を保護する観点から、剥離シートを設けた構成としてもよい。
剥離シートは、樹脂フィルムの表面上に、シリコーン系剥離剤等の剥離剤から形成した剥離剤層を設けたものが挙げられる。また、ガスバリア性積層体と一時的に接着するための、粘着性の低い粘着剤層を樹脂フィルム上に設けたものであってもよい。
剥離シートを有するガスバリア性積層体である場合、剥離シートの剥離処理面上に、上記方法によりガスバリア層を形成し、次いで、このガスバリア層上に、機能層を形成することで、効率的にガスバリア性積層体を製造することができる。
〔下地層〕
剥離シートとガスバリア層との剥離を容易とする観点、ガスバリア層の破損等を防止する観点から、本発明の一態様のガスバリア性積層体において、剥離シートとガスバリア層との間に、下地層を設けることが好ましい。
前記下地層は、エネルギー硬化性樹脂を含有する硬化性組成物から形成した層の硬化物であることが好ましい。当該エネルギー硬化性樹脂としては、上述のものが挙げられる。
また、下地層の形成材料である硬化性組成物は、さらに、熱可塑性樹脂、無機充填剤、光重合開始剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、光安定剤、帯電防止剤、シランカップリング剤、着色剤、界面活性剤、可塑剤、消泡剤等の各種添加剤を含有してもよい。
下地層の厚さとしては、特に限定されないが、好ましくは0.1〜10μm、より好ましくは0.5〜5μmである。
〔有機層〕
本発明の一態様のガスバリア性積層体は、機能層の表面上にさらに有機層を有していてもよい。
なお、本発明の一態様のガスバリア性積層体は、電子デバイス等の封止対象物の封止作業の効率性の観点、及び、封止対象物に水蒸気や酸素等の侵入を効率的に抑制する観点から、機能層の表面上に、さらに有機層として、接着剤層が積層してなる構成とすることが好ましい。
接着剤層を構成する接着剤としては、用途に応じて適宜選択され、感圧接着剤であってもよく、熱硬化性接着剤であってもよい。
具体的な接着剤としては、例えば、アクリル系接着剤、ウレタン系接着剤、シリコーン系接着剤、ゴム系接着剤、オレフィン系接着剤、エポキシ系接着剤等が挙げられる。
なお、アクリル系接着剤、ウレタン系接着剤、ゴム系接着剤及びオレフィン系接着剤からなる群から選択される接着剤から構成した接着剤層を、直接ガスバリア層上に設けた場合、ガスバリア層との層間密着性が劣る傾向がある。
これに対して、本発明のガスバリア性積層体が有する機能層は、上記の接着剤から構成された接着剤層とも、層間密着性が良好であるため、上記の接着剤を用いる場合に適している。
接着剤の具体例としては、ゴム系の感圧接着剤として、例えば、重量平均分子量30万〜50万のポリイソブチレン系樹脂、重量平均分子量1千〜25万のポリブテン樹脂、ヒンダードアミン系光安定剤及びヒンダードフェノール系酸化防止剤を含み、前記ポリブテン樹脂を前記ポリイソブチレン系樹脂100質量部に対して5〜100質量部含むことを特徴とする粘着性組成物からなるものが挙げられる。
また、カルボン酸系官能基を有するイソプレン系ゴム、カルボン酸系官能基を有しないイソブチレン系重合体及びエポキシ系架橋剤を含有する接着剤組成物を用いることもできる。
オレフィン系の熱硬化性接着剤としては、変性オレフィン系樹脂、多官能エポキシ化合物及びイミダゾール系硬化触媒を含有する接着剤組成物からなるものが挙げられ、変性ポリオレフィン系樹脂としては、例えば、酸変性ポリオレフィン系樹脂である、三井化学社製のユニストール等が挙げられる。
接着剤層の厚さは、用途に応じて適宜設定されるが、好ましくは0.5〜100μm、より好ましくは1〜60μm、更に好ましくは3〜40μmである。
本発明の一態様のガスバリア性積層体は、機能層、接着剤層、及びガスバリア層等が最外層となる場合、これらの層の表面を保護する観点、及び、取扱性の観点から、これらの層の表面上に、さらに、上述の剥離シートが積層した構成としてもよい。
〔封止体〕
本発明の封止体は、被封止物である電子デバイスを、上述の本発明のガスバリア性積層体で封止してなるものである。
被封止物である電子デバイスとしては、例えば、液晶ディスプレイ、有機EL発光体、無機EL発光体、電子ペーパー、太陽電池等が挙げられる。なお、有機EL発光体、無機EL発光体は、ディスプレイや照明等の用途に供されることが一般的である。
本発明のガスバリア性積層体は、上記の被封止物である電子デバイスを封止する、封止材としての役割を担うものである。
本発明の封止体の構成としては、透明基板上に形成された被封止物である電子デバイスを、封止材である本発明のガスバリア性積層体で封止してなるものが挙げられる。
透明基板は、特に限定されるものではなく、種々の基板材料を用いることができる。特に可視光の透過率が高い基板材料を用いることが好ましい。また、素子外部から浸入しようとする水分やガスを阻止する遮断性能が高く、耐溶剤性や耐候性に優れている材料が好ましい。
具体的には、石英やガラス等の透明無機材料;ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリカーボネート、ポリスチレン、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリフェニレンスルフィド、ポリフッ化ビニリデン、アセチルセルロース、ブロム化フェノキシ、アラミド類、ポリイミド類、ポリスチレン類、ポリアリレート類、ポリスルホン類、ポリオレフィン類等の透明プラスチック、前述したガスバリア性フィルム;が挙げられる。
透明基板の厚さは特に制限されず、光の透過率や、素子内外を遮断する性能を勘案して、適宜選択することができる。
〔導電性積層体〕
図1(d)に示すように、本発明の導電性積層体100は、上述の本発明のガスバリア性積層体の機能層12の表面側に、補助電極層52及び導電層60を有する。
なお、補助電極層52は、機能層12の表面及び内部に埋め込まれており、機能層12の表面及び補助電極層52の表面に、導電層60が積層した構成を有する。
本発明の一態様の導電性積層体において、機能層は、硬化されたものであることが好ましい。
硬化された機能層とすることで、ガスバリア層と機能層との層間密着性を良好とすると共に、機能層の保形性が向上し、補助電極層の固定を位置ずれ無く行うことができ、機能層に導電層を設けることも容易となる。
本発明の一態様の導電性積層体の導電層側から測定したシート抵抗値ρとしては、好ましくは10.0Ω/□以下、より好ましくは5.0Ω/□以下、更に好ましくは1.0Ω/□以下である。
なお、本明細書において、シート抵抗値ρは、実施例に記載の方法により測定された値を意味する。
また、本発明の一態様の導電性積層体の40℃、相対湿度90%の環境下で測定した水蒸気透過率としては、好ましくは5.0g/(m・day)以下、より好ましくは0.5g/(m・day)以下、更に好ましくは0.05g/(m・day)以下、より更に好ましくは0.005g/(m・day)以下であり、また、通常1.0×10−6g/(m・day)以上である。
(補助電極層)
補助電極層は、導電性積層体のシート抵抗値を低下させる機能を有する。特に、導電層が透明導電層である場合、導電性の高い透明導電層が得られにくいことがあり、導電性の高い材料から補助電極層を設けることで、補助電極層が透明導電層の導電性を補うことができる。
また、導電層が透明導電層である場合、当該透明導電層の光線透過率の低下を抑制する観点から、補助電極層は、パターン化し開口部を設けた構成であることが好ましい。
補助電極層の材料は、特に制限されないが、フォトリソグラフィー等の方法を用いてパターン化を行う場合は、金、銀、銅、アルミニウム、マグネシウム、ニッケル、白金、パラジウム等の単金属、銀−パラジウム、銀−銅、銀−マグネシウム、アルミニウム−シリコン、アルミニウム−銀、アルミニウム−銅、アルミニウム−チタン−パラジウム等の2元ないし3元系の合金等を挙げられる。
また、補助電極層の材料として、導電性材料を含む導電ペーストを用いることができる。
導電ペーストとしては、例えば、溶媒中に、銀、銅、アルミニウム等の金属微粒子、カーボン、酸化ルテニウム等の導電性微粒子や金属ナノワイヤー、カーボンナノチューブ等の導電性カーボン材料を分散させたものを用いることができ、さらにバインダー成分を有していてもよく、2種類以上の導電ペーストを混合させて使用してもよい。この導電ペーストを印刷し、焼成もしくは硬化することにより、補助電極層を形成することができる。
補助電極層は、単層であってもよく、多層構造であってもよい。多層構造としては、同種の材料からなる層を積層した多層構造であってもよく、少なくとも2種類以上の材料からなる層を積層した多層構造であってもよい。
補助電極層は、パターン化されていることが好ましいが、パターン形状としては、例えば、格子状、ハニカム状、櫛歯状、帯状(ストライプ状)、直線状、曲線状、波線状(サイン曲線等)、多角形状の網目状、円形状の網目状、楕円状の網目状、不定形等が挙げられる。
補助電極層の厚さは、10nm〜20μmであることが好ましく、より好ましくは100nm〜15μm、さらに好ましくは1μm〜10μmである。
補助電極層の線幅は、0.1〜100μmが好ましく、より好ましくは1〜80μm、さらに好ましくは5〜60μmである。
(導電層)
導電層としては、透明導電層であることが好ましい。
透明導電層の材料としては、例えば、インジウム−スズ酸化物(ITO)、インジウム−亜鉛酸化物(IZO)、アルミニウム−亜鉛酸化物(AZO)、ガリウム−亜鉛酸化物(GZO)、インジウム−ガリウム−亜鉛酸化物(IGZO)、酸化ニオブ、酸化チタン、酸化スズ等が挙げられる。
これらは、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
導電層の厚さとしては、好ましくは5〜200nm、より好ましくは10〜100nm、更に好ましくは20〜50nmである。
〔導電性積層体の製造方法〕
本発明の導電性積層体の製造方法としては、特に制限は無いが、生産性の観点から、下記工程(1)〜(3)を有する製造方法であることが好ましい。
・工程(1):補助電極層と、エネルギー線硬化性組成物から形成した機能層を有するガスバリア性積層体の当該機能層の表面とを貼り合せ、前記機能層の内部に前記補助電極層を埋め込む工程。
・工程(2):前記機能層に、エネルギー線を照射して、当該機能層を硬化させる工程。
・工程(3):前記補助電極層の表面及び硬化した前記機能層の表面に、導電層を設ける工程。
なお、図1に示すような、転写基材51上に、補助電極層52を形成した、電極転写シート50を予め用意してもよい。
転写基材51は、樹脂フィルムから構成されていることが好ましく、例えば、ポリエチレンテレフタレートやポリエチレンナフタレート等のポリエステルフィルム、ポリプロピレンやポリメチルペンテン等のポリオレフィンフィルム、ポリカーボネートフィルム、ポリ酢酸ビニルフィルム等が挙げられる。
また、補助電極層52の形成材料は、上述のとおりである。
補助電極層の形成方法としては、転写基材上に、パターンが形成されていない補助電極層を設けた後、フォトリソグラフィー法を主体とした公知の物理的処理もしくは化学的処理、又はそれらを併用する等により、所定のパターン形状に加工する方法、又は、スクリーン印刷法、ロータリースクリーン印刷法、スクリーンオフセット印刷法、インクジェット法、オフセット印刷法、グラビアオフセット印刷法等により直接補助電極層のパターンを形成する方法等が挙げられる。
パターンが形成されていない補助電極層の形成方法としては、真空蒸着法、スパッタリング法、イオンプレーティング法等のPVD法(物理気相成長法)、もしくは熱CVD法、ALD法(原子層蒸着法)等のCVD法(化学気相成長法)等のドライプロセス、又はディップコーティング法、スピンコーティング法、スプレーコーティング法、グラビアコーティング法、ダイコーティング法、ドクターブレード法等の各種コーティングや電着等のウェットプロセス、銀塩法等が挙げられ、補助電極層の材料に応じて適宜選択される。
以下、図1を適宜参照しながら、本発明の導電性積層体の製造方法の上記工程(1)〜(3)について説明する。
<工程(1)>
工程(1)は、補助電極層と、エネルギー線硬化性組成物から形成した機能層を有するガスバリア性積層体の当該機能層の表面とを貼り合せ、前記機能層の内部に前記補助電極層を埋め込む工程である。
図1(a)では、電極転写シート50を用いて、電極転写シート50の補助電極層52を備える側の表面と、ガスバリア性積層体1の当該機能層12の表面とを貼り合せ、機能層12の内部に補助電極層52を埋め込んだ状態を示している。
ここで、本工程で用いるガスバリア性積層体の機能層は、上述のエネルギー線硬化性組成物から形成された層であり、特に、アミン系シランカップリング剤と、エネルギー線硬化性樹脂とを含む組成物(I)から形成された層であることが好ましい。
上述のとおり、組成物(I)から形成された機能層は、未硬化の状態であり補助電極層の埋め込み性に優れると共に、工程(2)による機能層の硬化後は、工程(3)において、転写基材を剥離する際の剥離性に優れる等の性質を有する。また、当該機能層12は、ガスバリア層11との層間密着性も良好である。
本工程での電極転写シート50の補助電極層52を備える側の表面と、ガスバリア性積層体1の機能層12の表面とを貼り合せは、ラミネータを用いて行ってもよい。
<工程(2)>
工程(2)は、前記機能層に、エネルギー線を照射して、当該機能層を硬化させる工程である。
エネルギー線の照射は、図1(b)に示すように、ガスバリア性積層体1の基材層13側から行うことが好ましい。
エネルギー放射線を照射する方法としては、例えば、紫外線を照射する場合には、高圧水銀ランプ、フュージョンHランプ、キセノンランプ等を用いて、光量100〜500mJ/cmにて照射することが好ましい。
また、電子線を照射する場合には、電子線加速器等を用いて、照射量150〜350kVにて照射することが好ましい。
電極転写シートを用いている場合、機能層を硬化させた後、図1(c)に示すように、電極転写シート50の転写基材51を、硬化した機能層12から剥離する。
ここで、機能層12は、エネルギー線硬化性組成物から形成された層であるため、硬化後の機能層の表面から、転写基材51は容易に剥離することができる。
<工程(3)>
図1(d)に示すように、工程(4)は、工程(3)で転写基材を剥離して表出した当該機能層12の表面に、導電層60を設ける工程である。
導電層の形成方法としては、上述の導電層の形成材料を用いて、例えば、抵抗加熱蒸着法、電子ビーム蒸着法、分子線エピタキシー法、イオンビーム法、イオンプレーティング法、スパッタ法等の物理気相成長法(PVD)や、熱CVD法、プラズマCVD法、光CVD法、エピタキシャルCVD法、アトミックレイヤーCVD法、等の化学気相成長法(CVD)等の方法によって形成することができる。
以下、実施例を挙げて本発明を更に詳細に説明する。ただし、本発明は、以下の実施例に何ら限定されるものではない。
製造例1−1(基材層/プライマー層/ガスバリア層からなる積層体の作製)
(1)プライマー層の形成
ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート(新中村化学工業株式会社製、製品名「A−DPH」)20質量部(有効成分比)を、メチルイソブチルケトン100質量部に溶解させた溶液に、光重合開始剤(BASF社製、製品名「Irgacure127」)0.62質量部(有効成分比)を添加して、混合し、プライマー層形成用組成物の溶液を調製した。
そして、基材層として、厚さ100μmのポリエチレンナフタレート(PEN)フィルム(帝人フィルムソリューション株式会社製、製品名「PENQ65HW」)を使用した。
この基材層である、PENフィルムの一方の表面上に、上記のプライマー層形成用組成物の溶液をバーコート法により塗布して塗膜を形成し、当該塗膜を、70℃で、1分間加熱乾燥させた。その後、UV光照射ライン(Fusion UV Systems JAPAN社製、高圧水銀灯;積算光量100mJ/cm、ピーク強度1.466W、ライン速度20m/分、パス回数2回)を用いて、乾燥後の塗膜に、UV照射を行って硬化させ、厚さ1μmのプライマー層を形成した。
(2)ガスバリア層の形成
ガスバリア層形成用組成物として、ペルヒドロポリシラザン含有液(AZエレクトロニックマテリアルズ社製、製品名「AZNL110A−20」、前記一般式(1)中のRx、Ry、Rzが水素原子である繰り返し単位を有するペルヒドロポリシラザンを含有した溶液)を使用した。
上記(1)で形成したプライマー層の表面上に、上記のペルヒドロポリシラザン含有液をスピンコート法により塗布して塗膜を形成し、当該塗膜を120℃で、2分間加熱乾燥し、厚さ200nmの第1高分子層を形成した。
そして、形成した第1高分子層の表面に対して、後述の条件で、アルゴン(Ar)をプラズマイオン注入して、改質領域を形成し、第1改質高分子層とした。
次いで、第1改質高分子層の表出している表面上に、上記と同じ、ペルヒドロポリシラザン含有液を用いて、上記と同様にして、厚さ150nmの第2高分子層を形成した。そして、第2高分子層の表面に対しても、同じ条件で、アルゴン(Ar)をプラズマイオン注入して、改質領域を形成し、第2改質高分子層とした。
以上のようにして、それぞれ改質領域を有する第1改質高分子層及び第2改質高分子層からなるガスバリア層を形成した。
[プラズマイオン注入の条件]
第1高分子層及び第2高分子層の表面に対する、プラズマイオン注入は、下記の装置を用い、以下の注入条件で行った。
(プラズマイオン注入装置)
・RF電源:製品名「RF56000」、日本電子社製
・高電圧パルス電源:製品名「PV−3−HSHV−0835」、栗田製作所社製
(プラズマイオン注入条件)
・プラズマ生成ガス:Ar
・ガス流量:100sccm
・Duty比:0.5%
・繰り返し周波数:1000Hz
・印加電圧:−10kV
・RF電源:周波数=13.56MHz、印加電力=1000W
・チャンバー内圧:0.2Pa
・パルス幅:5sec
・処理時間(イオン注入時間):200sec
・搬送速度:0.2m/min
製造例1−2(電極転写シートの作製)
転写基材として、厚さ100μmのポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム(東洋紡株式会社製、製品名「PET A4100」、一方の表面に易接着処理が施されたPETフィルム)を使用した。
スクリーン印刷機(マイクロ・テック社製、製品名「MT−320TV」)、及び、線幅30μm、ピッチ1200μmのハニカム構造を有するスクリーン版(印刷面積:縦100mm×横100mm)を用いて、上記の転写基材の易接着処理が施されてない表面の一部に、銀ペースト(三ツ星ベルト株式会社製、製品名「低温焼成導電ペーストMDot(登録商標)」)をインクとして印刷し、未硬化の補助電極層を形成した。
そして、未硬化の補助電極層に対して、70℃で、1分間の仮乾燥を行った後、コンベア式熱風/IR焼成炉に投入し、150℃で、10分間焼成を行い、補助電極層を形成した。
なお、形成した補助電極層の線幅は40μmであり、厚さは8μmであった。
実施例1−1〜1−7、比較例1−1〜1−6
(1)エネルギー線硬化性組成物の調製
表1に示す種類及び配合量(有効成分比)の各成分を添加して、混合して、エネルギー線硬化性組成物(I−A)〜(I−G)及び(I−a)〜(I−f)をそれぞれ調製した。
当該組成物(I−A)〜(I−G)及び(I−a)〜(I−f)の調製に使用した、表1に記載の各成分の詳細は以下のとおりである。
<エネルギー線硬化性樹脂>
・「UV硬化性ウレタン系樹脂(A−1)」:日本合成化学工業株式会社製、製品名「UT5746」、紫外線重合性基を有するウレタン系樹脂、固形分80質量%の酢酸エチル溶液。
・「UV硬化性ウレタン系樹脂(A−2)」:亜細亜工業株式会社製、製品名「RUA−048」、紫外線重合性基を有するウレタン系樹脂。
<シランカップリング剤>
・「アミン系シランカップリング剤(B−1)」:信越化学工業株式会社製、製品名「KBM6803」、N−2−アミノエチル−8−アミノオクチルトリメトキシシラン。
・「アミン系シランカップリング剤(B−2)」:信越化学工業株式会社製、製品名「KBM603」、N−2−アミノエチル−3−アミノプロピルトリメトキシシラン。
・「アミン系シランカップリング剤(B−3)」:信越化学工業株式会社製、製品名「KBM903」、3−アミノプロピルトリメトキシシラン。
・「エポキシ系シランカップリング剤(b’−1)」:信越化学工業株式会社製、製品名「KBM403」、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン。
・「メルカプト系シランカップリング剤(b’−2)」:信越化学工業株式会社製、製品名「KBM803」、3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン。
・「アクリル系シランカップリング剤(b’−3)」:信越化学工業株式会社製、製品名「KBM5103」、3−アクリロキシプロピルトリメトキシシラン。
・「ウレイド系シランカップリング剤(b’−4)」:信越化学工業株式会社製、製品名「KBE585」、3−ウレイドプロピルトリアルコキシシラン。
<光重合開始剤>
・「光重合開始剤(C−1)」:BASF社製、製品名「Irgacure819」、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−フェニルフォスフィンオキサイド。
(2)機能層の形成
製造例1−1で作製した、基材層/プライマー層/ガスバリア層をこの順で積層してなる積層体の当該ガスバリア層の表面上に、上記(1)で調製したエネルギー線硬化性組成物をアプリケーターで塗布して塗膜を形成し、当該塗膜を90℃で、2分間乾燥して、機能層を形成した。
これらの工程によって、基材層/プライマー層/ガスバリア層/機能層をこの順で積層してなるガスバリア性積層体を得た。
(3)導電性積層体の作製
図1に示す手順で導電性積層体を作製した。
まず、図1(a)に示すように、上記(2)で作製したガスバリア性積層体1の機能層12と、製造例1−2で作製した電極転写シート50の補助電極層52側の表面とをラミネータで貼合し、機能層12内に補助電極層52を埋め込み、図1(b)に示すように積層した。
そして、図1(b)に示す状態で、ガスバリア性積層体の基材層側から、コンベア式UV照射機(ヘレウス社製、製品名「CV−110Q−G」、高圧水銀灯)を用いて、積算光量250mJ/cmで紫外線(UV)を照射し、補助電極層52が埋め込まれている状態で、機能層12を硬化させた。なお、硬化後の機能層の厚さは25μmであった。
次いで、図1(c)に示すように、硬化後の機能層12と転写基材51との界面で、転写基材51を剥離した。
最後に、図1(d)に示すように、補助電極層52が埋め込まれた側の機能層の表面に、下記条件にて、スパッタ法にて、ITO(酸化インジウムスズ)からなる厚さ50nmの導電層を成膜して、導電性積層体を得た。
[導電層の成膜条件]
・ターゲット:ITO(JX日鉱日石金属社製、SnO含有量=10質量%)
・手法:DCマグネトロンスパッタリング
・印加方式:DC500W
・基材加熱:なし
・キャリアガス:アルゴン(Ar)
・成膜圧力:0.6Pa
実施例及び比較例で作製した導電性積層体について、以下の評価及び物性値の測定を行った。これらの結果を表1に示す。
[層間密着性の評価]
作製した導電性積層体の導電層側から、縦10マス×横10マス=100マスの碁盤目状に1mm幅で、ガスバリア層まで刃先が到達するようクロスカットした。
次に、碁盤目状にクロスカットされた導電層の表面に、粘着テープ(ニチバン株式会社製、製品名「セロテープ(登録商標)」)の粘着面を貼付し、JIS K5600−5−6(クロスカット法)の碁盤目テープ法に準拠して、セロテープ(登録商標)剥離試験を行った。
そして、導電層、硬化後の機能層、及び密着層の層間密着性を、下記の基準により評価した。
・「A」:JIS K 5600−5−6の表1における評価結果の分類が0〜2
・「F」:JIS K 5600−5−6の表1における評価結果の分類が3〜5
なお、層間密着性の評価は、まず、23℃、相対湿度50%の環境下で24時間保管した後の導電性積層体について行った。
そして、当該評価が「A」であった場合のみ、導電性積層体を60℃、相対湿度95%の環境下で1000時間保管するといった湿熱試験を行った後、23℃、相対湿度50%の環境下で24時間保管した導電性積層体についても、層間密着性の評価を行った。
[シート抵抗値ρ
非接触式抵抗測定器(ナプソン社製、製品名「EC−80P」)を用いて、導電性積層体の導電層側から測定した。
[水蒸気透過率]
水蒸気透過率計(MOCON社製、製品名「AQUATRAN」)を用いて、40℃、相対湿度90%における、導電性積層体の水蒸気透過率(単位:g/(m・day))を測定した。なお、ガス流量は20sccmとした。
Figure 2018180963
表1により、実施例1−1〜1−7で作製した導電性積層体は、層間密着性に優れると共に、導電性及びガスバリア性も良好であった。
一方で、比較例1−1〜1−6で作製した導電性積層体は、層間密着性が劣り、特に、硬化後の機能層とガスバリア層との間で剥離が見られた。そのため、シート抵抗値及び水蒸気透過率の測定を行わずに終了した。
製造例2−1(基材層/プライマー層/ガスバリア層からなる積層体の作製)
(1)プライマー層の形成
基材層として、厚さが50μmの両面易接着処理が施されたポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム(東洋紡株式会社製、製品名「PET50A4300」)を使用した。
この基材層である、PETフィルムの一方の表面上に、UV硬化型アクリレート樹脂組成物(JSR株式会社製、製品名「オプスターZ7530」)を、マイヤーバーを用いて塗布して塗膜を形成し、当該塗膜を70℃で、1分間乾燥させた。その後、無電極UVランプシステム(ヘレウス社製)を用いて、照度250mW/cm、光量170mJ/cmで、乾燥後の塗膜に、UV照射を行って硬化させ、厚さ1000nmのプライマー層を形成した。
(2)ガスバリア層の形成
ガスバリア層形成用組成物として、ペルヒドロポリシラザンを主成分とするコーティング剤(メルクパフォーマンスマテリアルズ社製、製品名「アクアミカNL110−20」、前記一般式(1)中のRx、Ry、Rzが水素原子である繰り返し単位を有するペルヒドロポリシラザンを含有したキシレン溶液)を使用した。
上記(1)で形成したプライマー層の表面上に、ガスバリア層形成用組成物である上記のコーティング剤を、スピンコーター(ミカサ社製、製品名「MS−A200」)を用いて、回転数3000rpm、回転時間30秒にて塗布して塗膜を形成し、当該塗膜を120℃で、2分間加熱乾燥して、厚さ150nmの高分子層を形成した。
次いで、形成した高分子層に、プラズマイオン注入装置を用いて、下記条件にてプラズマイオン注入して、改質領域を形成し、改質高分子層からなるガスバリア層とした。
[プラズマイオン注入の条件]
(プラズマイオン注入装置)
・RF電源:製品名「RF56000」、日本電子社製
・高電圧パルス電源:製品名「PV−3−HSHV−0835」、栗田製作所社製
(プラズマイオン注入条件)
・チャンバー内圧:0.2Pa
・プラズマ生成ガス:アルゴン
・ガス流量:100sccm
・RF出力:1000W
・RF周波数:1000Hz
・RFパルス幅:50μ秒
・RF delay:25n秒
・DC電圧:−6kV
・DC周波数:1000Hz
・DCパルス幅:5μ秒
・DC delay:50μ秒
・Duty比:0.5%
・処理時間:200秒
実施例2−1
(1)熱硬化性組成物(II−1)の調製
下記に示す種類の成分を、下記に示す配合量(有効成分比)で添加し、メタノール5166質量部及び酢酸エチル586質量部で希釈し、熱硬化性組成物(II−1)を調製した。
・熱硬化性エポキシ樹脂(三菱ガス化学株式会社製、製品名「マクシーブ M−100」、固形分100質量%):100質量部(有効成分換算)
・多官能アミン樹脂(三菱ガス化学株式会社製、製品名「マクシーブ C−93T」、固形分:65.2質量%):209質量部(有効成分換算)
(2)機能層の形成
製造例2−1で作製した、基材層/プライマー層/ガスバリア層をこの順で積層してなる積層体の当該ガスバリア層の表面上に、上記(1)で調製した、熱硬化性組成物(II−1)をマイヤーバーを用いて塗布して塗膜を形成し、当該塗膜を100℃で、2分間加熱して硬化させて、厚さ300nmの機能層を形成した。
これらの工程によって、基材層/プライマー層/ガスバリア層/機能層をこの順で積層してなるガスバリア性積層体を得た。
実施例2−2
(1)エネルギー線硬化性組成物(I−B)の調製
下記に示す成分を、下記の配合量(有効成分比)で添加して、混合して、エネルギー線硬化性組成物(I−B)の調製を調製した。なお、当該組成物(I−B)は、実施例1−2で使用したエネルギー線硬化性組成物(I−B)と同じものである。
・UV硬化性ウレタン系樹脂(日本合成化学工業株式会社製、製品名「UT5746」、紫外線重合性基を有するウレタン系樹脂、固形分80質量%の酢酸エチル溶液):100質量部(有効成分換算)
・アミン系シランカップリング剤(信越化学工業株式会社製、製品名「KBM6803」、N−2−アミノエチル−8−アミノオクチルトリメトキシシラン):1.0質量部(有効成分換算)
・光重合開始剤(BASF社製、製品名「Irgacure819」、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−フェニルフォスフィンオキサイド):1.5質量部(有効成分換算)
(2)機能層の形成
製造例2−1で作製した、基材層/プライマー層/ガスバリア層をこの順で積層してなる積層体の当該ガスバリア層の表面上に、上記(1)で調製した、エネルギー線硬化性組成物(I−B)をアプリケーターを用いて塗布して塗膜を形成し、当該塗膜を90℃で、2分間乾燥させた。
乾燥後の塗膜の表面に、剥離フィルム(リンテック株式会社製、製品名「SP−PET381031」)の剥離処理面を貼り合わせ、基材層側から、コンベア式UV照射機(ヘレウス社製、製品名「CV−110Q−G」、高圧水銀灯)を用いて、積算光量250mJ/cmで紫外線(UV)を照射し、硬化させた、厚さ20μmの機能層を形成した。
この後、剥離フィルムを除去し、基材層/プライマー層/ガスバリア層/機能層をこの順で積層してなるガスバリア性積層体を得た。
比較例2−1
(1)機能層形成用組成物(II−2)の調製
下記に示す成分を、下記の配合量(有効成分比)で添加して、混合して、機能層形成用組成物を調製した。
・ポリエステル樹脂(日本合成化学工業株式会社製、製品名「ポリエスターHR−521」):100質量部(有効成分換算)
・2−プロパノール:15質量部
(2)機能層の形成
製造例2−1で作製した、基材層/プライマー層/ガスバリア層をこの順で積層してなる積層体の当該ガスバリア層の表面上に、上記(1)で調製した、機能層形成用組成物をマイヤーバーを用いて塗布して塗膜を形成し、当該塗膜を150℃で、3分間加熱して乾燥させ、厚さ1000nmの機能層を形成した。
これらの工程によって、基材層/プライマー層/ガスバリア層/機能層をこの順で積層してなるガスバリア性積層体を得た。
比較例2−2
製造例2−1で作製した、基材層/プライマー層/ガスバリア層をこの順で積層してなる積層体の当該ガスバリア層の表面上に、UV硬化系アクリレート樹脂(JSR株式会社製、製品名「オプスターZ7530」)を、マイヤーバーを用いて塗布して塗膜を形成し、当該塗膜を70℃で、1分間乾燥させた。
乾燥後の塗膜の表面に対して、無電極UVランプシステム(ヘレウス社製、製品名「CV−110Q−G」)を用いて、照度250mW/cm、光量170mJ/cmで紫外線(UV)を照射し、当該塗膜を硬化させ、厚さ150nmの機能層を形成した。
これらの工程によって、基材層/プライマー層/ガスバリア層/機能層をこの順で積層してなるガスバリア性積層体を得た。
比較例2−3
以下の「エネルギー線硬化性組成物(I−a)」の調製し、当該組成物(I−a)を用いて機能層を形成した以外は、上述の実施例2−2と同様にし、基材層/プライマー層/ガスバリア層/機能層をこの順で積層してなるガスバリア性積層体を得た。
なお、当該組成物(I−a)は、比較例1−1で使用した組成物(I−a)と同じものである。
・UV硬化性ウレタン系樹脂(亜細亜工業株式会社製、製品名「RUA−048」、紫外線重合性基を有するウレタン系樹脂):100質量部(有効成分換算)
・エポキシ系シランカップリング剤(信越化学工業株式会社製、製品名「KBM403」、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン):1.0質量部(有効成分換算)
・光重合開始剤(BASF社製、製品名「Irgacure819」、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−フェニルフォスフィンオキサイド):1.5質量部(有効成分換算)
実施例及び比較例で作製したガスバリア性積層体について、以下の評価及び物性値の測定を行った。これらの結果を表2に示す。
[層間密着性の評価]
(評価1)
作製したガスバリア性積層体を試験片として用いて、JIS K 5600−5−6に準拠したクロスカット試験を行い、剥がれたマスの数に応じて、以下の基準で、ガスバリア層と機能層との層間密着性を評価した。
・「A」:100マス中、剥がれたマスの数が0
・「B」:100マス中、剥がれたマスの数が1〜49
・「C」:100マス中、剥がれたマスの数が50〜100
(評価2)
作製したガスバリア性積層体を85℃、相対湿度85%の環境下で1000時間静置して湿潤試験を行った後、上述の「評価1」と同様にしてクロスカット試験を行い、上記基準により、湿潤試験後のガスバリア層と機能層との層間密着性を評価した。
[水蒸気透過率]
水蒸気透過率測定装置(mocon社製、製品名「PERMATRAN」)を用いて、40℃、相対湿度90%におけるガスバリア性積層体の水蒸気透過率(単位:g/(m・day))を測定した。なお、ガス流量は10sccmとした。
[全光線透過率]
JIS K 7361−1に準拠し、ガスバリア性積層体の全光線透過率を測定した。
[HAZE]
JIS K 7136に準拠し、ガスバリア性積層体のHAZEを測定した。
Figure 2018180963
表2から、実施例2−1及び2−2で作製したガスバリア性積層体は、ガスバリア層と機能層との層間密着性に優れると共に、ガスバリア性及び透明性も良好であった。
一方、比較例2−1のガスバリア性積層体は、高温高湿条件下に置かれると、ガスバリア層と機能層との層間密着性が劣り、剥離し易くなる結果となった。
また、比較例2−2及び2−3のガスバリア性積層体は、高温高湿条件下に置かれる前後とも、層間密着性が劣る結果となった。
1 ガスバリア性積層体
11 ガスバリア層
12 機能層
13 基材層
50 電極転写シート
51 転写基材
52 補助電極層
60 導電層
100 導電性積層体

Claims (13)

  1. ガスバリア層と、当該ガスバリア層の一方の表面に直接積層した機能層を有し、
    前記機能層が、アミン系化合物を含有する組成物から形成された層である、ガスバリア性積層体。
  2. 前記ガスバリア層が、高分子化合物を含むガスバリア層形成用組成物から形成され、改質領域を有する、改質高分子層である、請求項1に記載のガスバリア性積層体。
  3. 前記高分子化合物が、ポリシラザン系化合物である、請求項2に記載のガスバリア性積層体。
  4. 前記機能層が、前記アミン系化合物として、アミン系シランカップリング剤を含有する組成物(I)から形成された層である、請求項1〜3のいずれか一項に記載のガスバリア性積層体。
  5. 前記アミン系シランカップリング剤の含有量が、組成物(I)の有効成分の全量に対して、0.1〜20質量%である、請求項4に記載のガスバリア性積層体。
  6. 組成物(I)が、エネルギー線硬化性樹脂を含む、請求項4又は5に記載のガスバリア性積層体。
  7. 前記機能層が、前記アミン系化合物として、2以上のアミノ基を有する多官能アミン化合物を含有する組成物(II)から形成された層である、請求項1〜3のいずれか一項に記載のガスバリア性積層体。
  8. 前記多官能アミン化合物の含有量が、組成物(II)の有効成分の全量に対して、25〜80質量%である、請求項7に記載のガスバリア性積層体。
  9. 組成物(II)が、熱硬化性樹脂を含む、請求項7又は8に記載のガスバリア性積層体。
  10. 前記熱硬化性樹脂が、熱硬化性エポキシ樹脂を含む、請求項9に記載のガスバリア性積層体。
  11. 前記機能層の表面上に、さらに有機層が積層してなる、請求項1〜10のいずれか一項に記載のガスバリア性積層体。
  12. 前記機能層が、補助電極層を埋め込み可能な電極埋込層としての機能を有する、請求項4〜6のいずれか一項に記載のガスバリア性積層体。
  13. 下記工程(1)〜(3)を有する、補助電極付きガスバリア性積層体の製造方法。
    ・工程(1):補助電極層と、請求項6に記載のガスバリア性積層体の前記機能層の表面とを貼り合せ、前記機能層の内部に前記補助電極層を埋め込む工程。
    ・工程(2):前記機能層に、エネルギー線を照射して、当該機能層を硬化させる工程。
    ・工程(3):前記補助電極層の表面及び硬化した前記機能層の表面に、導電層を設ける工程。
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