JPWO2018179757A1 - 反射防止積層体並びにこれを有する偏光板及び画像表示装置 - Google Patents

反射防止積層体並びにこれを有する偏光板及び画像表示装置 Download PDF

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Abstract

荷重に伴うキーボード写りを十分に抑制することができ、また耐擦性にも優れる反射防止積層体、並びに、これを有する偏光板及び画像表示装置を提供する。反射防止積層体は、少なくとも、樹脂フィルムとハードコート層と無機酸化物層とがこの順に積層されてなる積層体であって、上記積層体の鉛筆硬度が4H以上で剛性が8.0N・mm以上でヌープ硬度が150〜300mN/mm2である。

Description

本発明は、反射防止積層体並びにこれを有する偏光板及び画像表示装置に関する。
LCD(液晶ディスプレイ)、CRT(ブラウン管ディスプレイ)及びプラズマディスプレイ等の光学表示装置の前面には、太陽光及び蛍光灯等の外光の表示画面への写り込みを防止するために反射防止フィルムが設けられる。
反射防止層を有する反射防止フィルムとしては、例えば、特許文献1には、透明基材フィルムとしてのポリエチレンテレフタレートフィルムの少なくとも一方の面上に、ハードコート層と反射防止層とを順次積層してなる反射防止フィルムが記載されている。この反射防止フィルムは、反射防止フィルムのヘイズが0.4%以下、全光線透過率が92%以上であり、視観反射率が0.9%以下を満たし、基材フィルム、ハードコート層及び反射防止層フィルムが特定の範囲の膜厚を有する。また、特許文献2には、基材上に反射防止層を有する反射防止積層体であって、反射防止層の膜厚が100nm以上であり、反射防止積層体の押し込み硬度が、押し込み深さ100nmの押し込み試験に対し11GPa以上〜15GPa以下である積層体が記載されている。特許文献3には、透明基材の少なくとも一方の面に、ハードコート層と反射防止層がこの順に形成されている反射防止フィルムが記載されている。この反射防止フィルムは、ハードコート層が2層以上に形成されており、透明基材に最も近く形成されたハードコート層の弾性率σが表層のハードコート層の弾性率σよりも高い。
特開2010−92003号公報 特開2007−271958号公報 特開2000−214791号公報
光学表示装置を備えた機器の代表的な例として、ノートパソコン(ノートPC)が挙げられる。近年、ノートPCの薄型化が進み、この薄型化に伴い、ノートPCを折りたたんだ状態においてディスプレイ表面にはより大きな荷重がかかりやすくなっている。
反射防止フィルムを備えたノートPCでは、上記の荷重によりディスプレイ表面にキーボードの跡が転写されてしまったり、異物をディスプレイとキーボード間に挟み込んでしまうことによりディスプレイ表面に凹みが発生したり、傷がついてしまったりする問題(いわゆる「キーボード写り」の問題)が生じることが分かっている。また、このキーボード写りの問題は、スマートフォン等において、例えばケースの模様がディスプレイに転写されるような現象としても現れる。
本発明者らは鋭意検討した結果、反射防止フィルムにおける表面フィルムの鉛筆硬度を高めることにより、荷重によるキーボード写りを抑制できることを見出した。しかしその一方、表面硬度を高めると、反射防止フィルムの耐擦性が悪化してしまうという新たな問題が生じることが分かってきた。
本発明は、上記問題点に鑑みなされたものであり、上記の荷重に伴うキーボード写りを十分に抑制することができ、また耐擦性にも優れる反射防止積層体、並びに、これを有する偏光板及び画像表示装置を提供することを課題とする。
本発明者らは上記課題を解決するために鋭意検討を進めた結果、反射防止フィルム表面の鉛筆硬度と反射防止フィルム全体の剛性を特定値以上に高めた上で、さらに反射防止フィルムのヌープ硬度を特定の範囲内とすることにより、ディスプレイ表面のキーボード写りを効果的に抑えながら、ディスプレイ表面に十分な耐擦性も付与できることを見出した。
本発明はこれらの知見に基づきさらに検討を重ね、完成されるに至ったものである。
すなわち、上記の課題は以下の手段により解決された。
(1)
樹脂フィルムと、この樹脂フィルム上の片面に配されたハードコート層と、このハードコート層上に配された無機酸化物層とを少なくとも有する反射防止積層体であって、
上記積層体の鉛筆硬度が4H以上で剛性が8.0N・mm以上でヌープ硬度が150〜300mN/mmである反射防止積層体。
(2)
上記ハードコート層が、ラジカル重合性基を有する重合性化合物1と、この重合性化合物1とは異なる、同一分子内にカチオン重合性基とラジカル重合性基とを有する重合性化合物2及び/又は同一分子内にアルキレンオキシ基とラジカル重合性基とを有する重合性化合物3とを含有する組成物の重合硬化体である、(1)に記載の反射防止積層体。
(3)
上記組成物に含まれる全重合性化合物中、上記重合性化合物2の含有率が30質量%以上である(2)に記載の反射防止積層体。
(4)
上記組成物に含まれる全重合性化合物中、上記重合性化合物3の含有率が30質量%以上である(2)又は(3)に記載の反射防止積層体。
(5)
上記カチオン重合性基がエポキシ基である(2)〜(4)のいずれか1つに記載の反射防止積層体。
(6)
上記エポキシ基が脂環式エポキシ基である(5)に記載の反射防止積層体。
(7)
上記アルキレンオキシ基がエチレンオキシ基である(2)〜(6)のいずれか1つに記載の反射防止積層体。
(8)
上記ハードコート層の厚みが15μm〜40μmである(1)〜(7)のいずれか1つに記載の反射防止積層体。
(9)
上記樹脂フィルムの厚みが80μm〜250μmである(1)〜(8)のいずれか1つに記載の反射防止積層体。
(10)
(1)〜(9)のいずれか1つに記載の反射防止積層体と偏光子とを有する偏光板。
(11)
(1)〜(9)のいずれか1つに記載の反射防止積層体を有する画像表示装置。
本明細書において、「〜」を用いて表される数値範囲は、「〜」の前後に記載される数値を下限値及び上限値として含む範囲を意味する。
本明細書において、「(メタ)アクリレート」とは、アクリレートとメタクリレートの一方または両方の意味で用いられる。また、「(メタ)アクリロイル基」は、アクリロイル基とメタクリロイル基の一方または両方の意味で用いられる。「(メタ)アクリル」は、アクリルとメタクリルの一方または両方の意味で用いられる。
本明細書に記載の各成分は、一種のみで構成されていてもよく、構造の異なる二種以上を併用してもよい。また、各成分の含有量は、構造の異なる二種以上を併用する場合には、それらの合計含有量を意味する。
本明細書において、重量平均分子量(Mw)は、特段の断りがない限り、GPCによってポリスチレン換算の分子量として計測することができる。このとき、GPC装置HLC−8220(東ソー(株)社製)を用い、カラムはG3000HXL+G2000HXLを用い、23℃で流量は1mL/minで、RIで検出することとする。溶離液としては、THF(テトラヒドロフラン)、クロロホルム、NMP(N−メチル−2−ピロリドン)、m−クレゾール/クロロホルム(湘南和光純薬(株)社製)から選定することができ、溶解するものであればTHFを用いることとする。
本明細書において、各層の厚み、弾性率、鉛筆硬度、鏡面反射率及びヌープ硬度は、実施例記載の方法により測定されるものである。
本発明の反射防止積層体は、反射防止フィルムとして好適に用いることができる。
本発明の反射防止積層体は、荷重に伴うキーボード写りを十分に抑制することができ、また耐擦性にも優れる。また、本発明の偏光板及び画像表示装置は、本発明の反射防止積層体を有し、荷重に伴うキーボード写りが十分に抑制され、また優れた耐擦性を示す。
本発明の反射防止積層体の構成を示す縦断面図である。 粘着層を有する本発明の反射防止積層体の構成の一実施形態を示す縦断面図である。 静電容量式タッチパネルの一実施形態を示す断面概略図である。 タッチパネル用導電フィルムの概略図である。 図4における第1電極11と第2電極21との交差部を示す概略図である。 図4におけるアクティブエリアS1内における第1導電層8が有してもよい第1ダミー電極11Aの一実施形態を示す概略図である。
本発明の反射防止積層体の好ましい実施形態について説明する。
[反射防止積層体]
本発明の反射防止積層体の好ましい実施形態を図1に示す。図1に示す反射防止積層体4Aは、樹脂フィルム1Aと、この樹脂フィルム1A上の片面に配されたハードコート層(以下、「HC層」とも称す。)2Aと、このHC層2A上に配された無機酸化物層(以下、「AR層」とも称す。)3Aとを少なくとも有する反射防止積層体である。本発明の反射防止積層体において、積層体の剛性は8.0N・mm以上であり、積層体の鉛筆硬度は4H以上であり、積層体のヌープ硬度は150〜300mN/mmである。
本発明の反射防止積層体は上記構成を有することにより、荷重に伴うキーボード写り(キーボード跡の転写、凹みの発生、傷の発生)を十分に抑制することができ、また優れた耐擦性を実現することができる。積層体の鉛筆硬度及び剛性を特定値以上とすることによりキーボード写りを抑制することができる一方、積層体の硬度が高いと十分な耐擦性が得られない。本発明では積層体のヌープ硬度を特定の範囲内とすることにより、擦り応力が緩和されたり、AR層とHC層の界面に集中する応力が分散されたりするなどして、AR層の剥がれが抑制され、耐擦性が高められるものと推定される。
なお、本発明の反射防止積層体は、反射防止機能を有する。具体的には、380nm〜780nmにおける鏡面反射率は、1%以下であることが好ましい。
(反射防止積層体の剛性)
反射防止積層体の剛性は、荷重に伴うキーボード写り、特にキーボード跡の転写及び凹みの発生を抑制する点から、8.0N・mm以上であり、9.0N・mm以上が好ましく、10N・mm以上がより好ましい。上限に特に制限はないが、70N・mm以下が好ましく、20N・mm以下がより好ましい。
(積層体の鉛筆硬度)
積層体の鉛筆硬度は、荷重に伴う傷の発生を抑制する点から、4H以上であり、5H以上が好ましい。
(反射防止積層体のヌープ硬度)
反射防止積層体のヌープ硬度は、耐擦性の点から150〜300mN/mmであり、160〜290mN/mmが好ましく、170〜280mN/mmがより好ましい。
反射防止積層体のヌープ硬度はHC層のヌープ硬度を調整することで調整できる。HC層のヌープ硬度は、例えば、HC層形成用硬化性組成物中の重合性混合物の種類、配合比等で調整でき、耐擦性の観点から150〜300mN/mmが好ましく、170〜280mN/mmがより好ましい。
(厚み)
本発明の反射防止積層体を構成する樹脂フィルム及びHC層の厚みは、本発明に併せて適宜調整することができる。
ここで、反射防止積層体の剛性は各層の弾性率及び厚みにより調整することができ、積層体の鉛筆硬度はHC層の弾性率及び厚みにより調整することができる。ただし、反射防止積層体のヌープ硬度を適切な範囲に調整する観点から、層の厚みを厚くすることが好ましい。
具体的には、樹脂フィルムの厚みは80μm以上が好ましく、HC層の厚みは10μm以上が好ましい。また、樹脂フィルムは靱性の点から250μm以下が好ましく、HC層はカールの発生抑制及び靱性の点から40μm以下が好ましくい。
総合すると、樹脂フィルムの厚みは、80〜250μmが好ましく、90〜200μmがより好ましく、100〜180μmがさらに好ましい。また、HC層の厚みは、10〜40μmが好ましく、15〜40μmがより好ましく、20〜35μmがさらに好ましい。
本発明の反射防止積層体の厚みは、90μm以上が好ましく、100μm以上がより好ましく、110μm以上がさらに好ましい。上限値は300μm以下であることが実際的である。
(弾性率)
HC層の弾性率は剛性の観点からは高い方が好ましいが、ヌープ硬度を適切な範囲に調整する観点から、3〜20GPaが好ましく、5〜15GPaがさらに好ましい。
樹脂フィルムの弾性率は靱性の点から、3〜15GPaが好ましく、3〜10GPaがさらに好ましい。
本発明の反射防止積層体において、樹脂フィルム、HC層及びAR層等は単層であっても、複層であってもよい。
また、本発明の反射防止積層体において、樹脂フィルムは、等方性であっても異方性であってもよい。
以下、本発明の反射防止積層体を構成するフィルム及び層の成分及び調製について、詳細を説明する。
(1) 樹脂フィルム
(樹脂フィルムの材質)
本発明に用いられる樹脂フィルムは、その材質は特に限定されない。
樹脂フィルムは、例えば、アクリル系樹脂フィルム、ポリカーボネート(PC)系樹脂フィルム、トリアセチルセルロース(TAC)系樹脂フィルム等のセルロースエステル系樹脂フィルム、ポリエチレンテレフタラート(PET)系樹脂フィルム、ポリオレフィン系樹脂フィルム、ポリエステル系樹脂フィルム、および、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体フィルムを挙げることができ、アクリル系樹脂フィルム、セルロースエステル系樹脂フィルム、ポリエチレンテレフタラート系樹脂フィルムおよびポリカーボネート系樹脂フィルムから選択されるフィルムが好ましく、透湿性の点から、セルロースエステル系樹脂フィルムがより好ましい。
尚、アクリル系樹脂フィルムとは、アクリル酸エステルおよびメタクリル酸エステルからなる群から選択される1種以上の化合物から形成される重合体または共重合体の樹脂フィルムをいう。アクリル系樹脂フィルムの例としては、ポリメタクリル酸メチル樹脂(PMMA)フィルムが挙げられる。
樹脂の重量平均分子量は、10,000〜1000,000が好ましく、100,000〜1000,000がより好ましい。
(樹脂フィルムの構成)
また、樹脂フィルムの構成も限定されず、単層でも、2層以上からなる積層フィルムであってもよいが、2層以上の積層フィルムが好ましい。積層フィルムの積層数は、2〜10層が好ましく、2〜5層がより好ましく、2層または3層がさらに好ましい。3層以上の場合、外層と外層以外の層(コア層等)とは、異なる組成のフィルムが好ましい。また、外層同士は、同じ組成のフィルムが好ましい。
具体的には、TAC−a/TAC−b/TAC−a、アクリル−a/PC/アクリル−aおよびPET−a/PET−b/PET−aの積層構造を有するフィルム、ならびに、ポリカーボネート系樹脂単層のフィルムが挙げられる。ここで、同じ符号(a又はb)を付けたフィルム(例えば、Tac−a)は、同じ組成のフィルムを示す。
(添加剤)
樹脂フィルムは、上述の樹脂の他に添加剤を含有してもよい。添加剤としては、後述のハードコート層で記載する、無機粒子、マット粒子、紫外線吸収剤、含フッ素化合物、表面調整剤、レベリング剤等が挙げられる。
後述の溶融製膜法では、上記添加剤と樹脂とを混合溶融した樹脂溶融物を樹脂フィルムの形成に用いることができる。また、後述の溶液製膜法では、溶媒(後述のハードコートにおける記載を適用できる。)と樹脂と上記添加剤とを混合したドープ液を樹脂フィルムの形成に用いることができる。
(樹脂フィルム単体の厚み)
本発明の反射防止積層体の作製前後で、樹脂フィルムの厚みはほとんど変化しない。
(易接着層)
また、本発明に用いられる樹脂フィルムは、HC層を有する面とは反対側の面に易接着層を有していてもよい。
易接着層は、特開2015−224267号公報の段落0098〜0133に記載された偏光子側易接着層および偏光子側易接着層の製造方法の内容を、本発明にあわせて本明細書に組み込むことができる。
この場合、易接着層は、本発明の反射防止積層体における樹脂フィルムを構成する層とする。
(樹脂フィルムの製膜方法)
樹脂フィルムは、いずれの方法で製膜してもよく、例えば溶融製膜法および溶液製膜法が挙げられる。
<溶融製膜法、平滑化>
樹脂フィルムを溶融製膜法で製膜する場合、樹脂を押出機で溶融する溶融工程と、溶融した樹脂をダイからシート状に押し出す工程と、フィルム状に成形する工程とを含むことが好ましい。樹脂の材質によっては、溶融工程の後に溶融樹脂のろ過工程を設けてもよく、シート状に押し出す際に冷却してもよい。
以下、具体的な溶膜製膜法を説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。
[樹脂フィルムの形成方法]
上記樹脂フィルムの製造方法は、樹脂を押出機で溶融する溶融工程と、溶融した樹脂をフィルターが設置されたろ過装置に通してろ過するろ過工程と、ろ過した樹脂をダイからシート状に押し出し、冷却ドラムの上に密着させることにより冷却固化して未延伸の樹脂フィルムを成形するフィルム成形工程と、未延伸の樹脂フィルムを、1軸又は2軸延伸する延伸工程とを有する。
このような構成により、樹脂フィルムを製造することができる。溶融した樹脂のろ過工程で使用されるフィルターの孔径が1μm以下であると、異物を十分に取り除くことができる。その結果、得られる樹脂フィルムのフィルム幅方向の表面粗さを制御することができる。
具体的には、樹脂フィルムの形成方法は下記工程を含むことができる。
<溶融工程>
上記樹脂フィルムの製造方法は、樹脂を押出機で溶融する溶融工程を含む。
樹脂、または樹脂と添加剤の混合物を含水率200ppm以下に乾燥した後、一軸(単軸)あるいは二軸の押出機に導入し溶融させることが好ましい。この時、樹脂の分解を抑制するために、窒素中あるいは真空中で溶融することも好ましい。詳細な条件は、特許4962661号の<0051>〜<0052>(US2013/0100378号公報の<0085>〜<0086>)を援用して、これらの公報に従い実施でき、これらの公報に記載された内容は本明細書に組み込まれる。
押出機は、一軸混練押出機が好ましい。
さらに、溶融樹脂(メルト)の送り出し精度を上げるためギアポンプを使用することも好ましい。
<ろ過工程>
上記樹脂フィルムの製造方法は、溶融した樹脂をフィルターが設置されたろ過装置に通してろ過するろ過工程を含み、ろ過工程で使用されるフィルターの孔径は1μm以下が好ましい。
このような孔径の範囲のフィルターを有するろ過装置は、ろ過工程において1セットのみ設置してもよく、2セット以上設置してもよい。
<フィルム成形工程>
上記樹脂フィルムの製造方法は、ろ過した樹脂をダイからシート状に押し出し、冷却ドラムの上に密着させることにより冷却固化して未延伸の樹脂フィルムを成形するフィルム成形工程を含む。
溶融(および混練)し、ろ過した樹脂(樹脂を含むメルト)をダイからシート状に押し出す際、単層で押出しても、多層で押出してもよい。多層で押出す場合は、例えば、紫外線吸収剤を含む層と含まない層を積層してもよく、より好ましくは紫外線吸収剤を内層にした3層構成が、紫外線による偏光子の劣化を抑える上、紫外線吸収剤のブリードアウトを抑制でき、好ましい。
樹脂フィルムが多層で押出されて製造されてなる場合、全層の厚みに対する、得られる樹脂フィルムの好ましい内層の厚みは50%以上99%以下が好ましく、より好ましくは60%以上98%以下、さらに好ましくは70%以上97%以下である。このような積層は、フィードブロックダイやマルチマニホールドダイを用いることで実施できる。
特開2009−269301号公報の<0059>に従い、ダイからシート状に押し出した樹脂(樹脂を含むメルト)を冷却ドラム(キャスティングドラム)上に押出し、冷却固化し、未延伸の樹脂フィルム(原反)を得ることが好ましい。
上記樹脂フィルムの製造方法は、ダイから押し出される樹脂の温度が280℃以上320℃以下であることが好ましく、285℃以上310℃以下であることがより好ましい。溶融工程でダイから押し出される樹脂の温度が280℃以上であることが、原料樹脂の溶融残りを減少させて異物の発生を抑制することができ、好ましい。溶融工程でダイから押し出される樹脂の温度が320℃以下であることが、樹脂の分解を減少させて異物の発生を抑制することができ、好ましい。
ダイから押し出される樹脂の温度は、放射温度計(林電工製、型番:RT61−2、放射率0.95で使用)により樹脂の表面を非接触で測定することができる。
上記樹脂フィルムの製造方法は、フィルム成形工程において、樹脂を冷却ドラムの上に密着させる際に静電印加電極を用いることが好ましい。これにより、フィルム面状が荒れないように樹脂を強く冷却ドラムの上に密着させることができる。
上記樹脂フィルムの製造方法は、冷却ドラムの上に密着する際(ダイから押出された溶融樹脂が冷却ドラムと最初に接触する点)の樹脂の温度は280℃以上が好ましい。これにより、樹脂の電気伝導性が高まり、静電印加により冷却ドラムに強く密着することができ、フィルム面状の荒れを抑制できる。
冷却ドラムの上に密着する際の樹脂の温度は、放射温度計(林電工製、型番:RT61−2、放射率0.95で使用)により樹脂の表面を非接触で測定することができる。
<延伸工程>
上記樹脂フィルムの製造方法は、未延伸の樹脂フィルムを、1軸又は2軸延伸する延伸工程を含む。
縦延伸工程(フィルムの搬送方向と同じ方向に延伸する工程)では、樹脂フィルムが予熱された後、樹脂フィルムが加熱された状態で、周速差のある(すなわち、搬送速度の異なる)ローラー群で搬送方向に延伸される。
縦延伸工程における予熱温度は樹脂フィルムのガラス転移温度(Tg)に対して、Tg−40℃以上、Tg+60℃以下が好ましく、Tg−20℃以上、Tg+40℃以下がより好ましく、Tg以上、Tg+30℃以下がさらに好ましい。また、縦延伸工程における延伸温度は、Tg以上、Tg+60℃以下が好ましく、Tg+2℃以上、Tg+40℃以下がより好ましく、Tg+5℃以上、Tg+30℃以下がさらに好ましい。縦方向の延伸倍率は1.0倍以上2.5倍以下が好ましく、1.1倍以上、2倍以下がさらに好ましい。
縦延伸工程に加えて、または縦延伸工程に代えて、横延伸工程(フィルムの搬送方向に対して垂直な方向に延伸する工程)により、幅方向に横延伸される。横延伸工程では例えばテンターを好適に用いることができ、このテンターによって樹脂フィルムの幅方向の両端部をクリップで把持し、横方向に延伸する。
横延伸は、テンターを用いて実施するのが好ましく、好ましい延伸温度は樹脂フィルムのガラス転移温度(Tg)に対して、Tg以上、Tg+60℃以下が好ましく、より好ましくはTg+2℃以上、Tg+40℃以下、さらに好ましくはTg+4℃以上、Tg+30℃以下である。延伸倍率は1.0倍以上、5.0倍以下が好ましく、1.1倍以上4.0倍以下がさらに好ましい。横延伸の後に縦、横のいずれか、または両方に緩和させることも好ましい。
また、厚みの幅方向、長手方向の場所による変動をいずれも10%以下、好ましくは8%以下、より好ましくは6%以下、さらに好ましくは4%以下、最も好ましくは2%以下にすることが好ましい。
尚、ここで、厚みの変動は、以下の通り求めることができる。
延伸された樹脂フィルムを10m(メートル)サンプリングし、フィルム幅方向の両端部20%ずつを除き、フィルム中心部から幅方向、長手方向に等間隔でそれぞれ50点サンプリングし、厚みを測定する。
幅方向の厚み平均値ThTD−av、最大値ThTD−max、最小値ThTD−minを求め、
(ThTD−max−ThTD−min)÷ ThTD−av×100 [%]
が幅方向の厚みの変動である。
また、長手方向の厚み平均値ThMD−av、最大値ThMD−max、最小値ThMD−minを求め、
(ThMD−max−ThMD−min)÷ ThMD−av×100 [%]
が長手方向の厚みの変動である。
上記延伸工程により、樹脂フィルムの厚み精度の向上を図ることができる。
延伸後の樹脂フィルムは、巻取工程でロール状に巻き取ることができる。その際、樹脂フィルムの巻取りテンションは、0.02kg/mm以下とすることが好ましい。
その他詳細な条件については、溶融製膜は特開2015−224267の<0134>−<0148>に記載された内容、延伸工程は特開2007−137028に記載された内容を、本発明にあわせて本明細書に組み込むことができる。
<溶液製膜法、平滑化>
樹脂フィルムを溶液製膜法で製膜する場合、ドープ液を流延バンド上に流延し、流延膜を形成する工程と、流延膜に乾燥する工程と、流延膜を延伸する工程とを含むことが好ましい。具体的には、特許第4889335号に記載の方法によって製膜するのが好ましい。
本発明では、以下の方法を採用することが好ましい。
例えば、特開平11−123732号公報に記載の、流延膜の乾燥速度を乾量基準の含有溶媒量で300質量%/min(=5質量%/s)以下とし、緩やかな乾燥を行う方法が挙げられる。また、特開2003−276037号公報に記載の、中間層であるコア層の両表面にスキン層(外層)を有する多層構造の流延膜の共流延法において、コア層を形成するドープ液の粘度を高めて流延膜の強度を確保するとともに外層を形成するドープの粘度を低くする方法が挙げられる。さらに、流延膜を急乾燥して流延膜表面に膜を形成し、形成された膜のレベリング効果により面状を平滑化する方法、及び、流延膜を延伸する方法なども好ましく挙げられる。
(2)ハードコート層(HC層)
本発明の反射防止積層体は、樹脂フィルムの片面にハードコート層(HC層)を有する。積層体の鉛筆硬度およびヌープ硬度が所定の値となるように、このHC層を形成すのに用いる硬化性組成物の種類等を適宜選択したり、HC層の弾性率および厚みを調整する。
本発明に用いられるHC層は、HC層形成用硬化性組成物に活性エネルギー線を照射することにより硬化することで得ることができる。なお本発明および本明細書において、「活性エネルギー線」とは、電離放射線をいい、X線、紫外線、可視光、赤外線、電子線、α線、β線、γ線等が包含される。
HC層の形成に用いられるHC層形成用硬化性組成物は、活性エネルギー線の照射により硬化する性質を有する少なくとも一種の成分(以下、「活性エネルギー線硬化性成分」とも記載する。)を含む。活性エネルギー線硬化性成分としては、ラジカル重合性化合物およびカチオン重合性化合物からなる群から選択される少なくとも一種の重合性化合物が好ましい。なお本発明および本明細書において、「重合性化合物」とは、1分子中に1個以上の重合性基を含む化合物である。重合性基とは、重合反応に関与し得る基であり、具体例としては、後述の各種重合性化合物に含まれる基を例示することができる。また、重合反応としては、ラジカル重合、カチオン重合、アニオン重合等の各種重合反応を挙げることができる。
本発明に用いられるHC層は、1層構造でも2層以上の積層構造であってもよいが、下記に詳細を記載する1層構造または2層以上の積層構造からなるHC層が好ましい。
1)1層構造
1層構造のHC層形成用硬化性組成物の好ましい態様としては、第一の態様として、1分子中に2個以上のエチレン性不飽和基を有する重合性化合物を少なくとも一種含むHC層形成用硬化性組成物を挙げることができる。エチレン性不飽和基とは、エチレン性不飽和二重結合を含有する官能基をいう。また、第二の態様として、少なくとも一種のラジカル重合性化合物と少なくとも一種のカチオン重合性化合物を含むHC層形成用硬化性組成物を挙げることができる。
以下、第一の態様のHC層形成用硬化性組成物について説明する。
第一の態様のHC層形成用硬化性組成物に含まれる1分子中に2個以上のエチレン性不飽和基を有する重合性化合物としては、多価アルコールと(メタ)アクリル酸とのエステル〔例えば、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、1,4−シクロヘキサンジアクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、トリメチロールエタントリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、1,2,3−シクロヘキサンテトラメタクリレート、ポリウレタンポリアクリレート、ポリエステルポリアクリレート〕、上記のエステルのエチレンオキサイド変性体、ポリエチレンオキサイド変性体やカプロラクトン変性体、ビニルベンゼンおよびその誘導体〔例、1,4−ジビニルベンゼン、4−ビニル安息香酸−2−アクリロイルエチルエステル、1,4−ジビニルシクロヘキサノン〕、ビニルスルホン(例、ジビニルスルホン)、アクリルアミド(例、メチレンビスアクリルアミド)およびメタクリルアミドが挙げられる。
エチレン性不飽和基を有する重合性化合物の重合は、ラジカル光重合開始剤の存在下、活性エネルギー線の照射により行うことができる。ラジカル光重合開始剤としては、後述するラジカル光重合開始剤が好ましく適用される。また、HC層形成用硬化性組成物中の、エチレン性不飽和基を有する重合性化合物に対するラジカル光重合開始剤の含有量比については、後述するラジカル重合性化合物に対するラジカル光重合開始剤の含有量比の記載が好ましく適用される。
次に、第二の態様のHC層形成用硬化性組成物について説明する。
第二の態様のHC層形成用硬化性組成物は、少なくとも一種のラジカル重合性化合物と少なくとも一種のカチオン重合性化合物を含む。好ましい態様としては、
アクリロイル基およびメタクリロイル基からなる群から選ばれるラジカル重合性基を1分子中に2個以上含むラジカル重合性化合物と;
カチオン重合性化合物と;
を含むHC層形成用硬化性組成物を挙げることができる。
上記HC層形成用硬化性組成物は、ラジカル光重合開始剤とカチオン光重合開始剤とを含むことがより好ましい。第二の態様の好ましい一態様としては、
アクリロイル基およびメタクリロイル基からなる群から選ばれるラジカル重合性基を1分子中に2個以上含むラジカル重合性化合物と;
カチオン重合性化合物と;
ラジカル光重合開始剤と;
カチオン光重合開始剤と;
を含むHC層形成用硬化性組成物を挙げることができる。以下において、本態様を、第二の態様(1)と記載する。
第二の態様(1)において、上記のラジカル重合性化合物は、1分子中に2個以上のラジカル重合性基とともに、1分子中に1個以上のウレタン結合を含むことが好ましい。
第二の態様の他の好ましい一態様では、
a)脂環式エポキシ基およびエチレン性不飽和基を含み、1分子中に含まれる脂環式エポキシ基の数が1個であり、かつ1分子中に含まれるエチレン性不飽和基の数が1個であり、分子量が300以下であるカチオン重合性化合物と;
b)1分子中に3個以上のエチレン性不飽和基を含むラジカル重合性化合物と;
c)ラジカル重合開始剤と;
d)カチオン重合開始剤と;
を含むHC層形成用硬化性組成物を挙げることができる。以下において、本態様を、第二の態様(2)と記載する。第二の態様(2)のHC層形成用硬化性組成物を硬化したHC層は、好ましくは、HC層の全固形分を100質量%とした場合に、上記a)由来の構造を15〜70質量%、上記b)由来の構造を25〜80質量%、上記c)を0.1〜10質量%、上記d)を0.1〜10質量%含むことができる。また、一態様では、第二の態様(2)のHC層形成用硬化性組成物は、このHC層形成用硬化性組成物の全固形分を100質量%とした場合に、上記a)を15〜70質量%含むことが好ましい。なお、「脂環式エポキシ基」とは、エポキシ環と飽和炭化水素環とが縮合した環状構造を有する1価の官能基をいうものとする。
以下、第二の態様、好ましくは第二の態様(1)または第二の態様(2)のHC層形成用硬化性組成物に含まれ得る各種成分について、更に詳細に説明する。
−ラジカル重合性化合物−
第二の態様のHC層形成用硬化性組成物は、少なくとも一種のラジカル重合性化合物と少なくとも一種のカチオン重合性化合物を含む。第二の態様(1)におけるラジカル重合性化合物は、アクリロイル基およびメタクリロイル基からなる群から選ばれるラジカル重合性基を1分子中に2個以上含む。上記ラジカル重合性化合物は、アクリロイル基およびメタクリロイル基からなる群から選ばれるラジカル重合性基を、1分子中に、好ましくは例えば2〜10個含むことができ、より好ましくは2〜6個含むことができる。
上記ラジカル重合性化合物としては、分子量が200以上1000未満のラジカル重合性化合物が好ましい。なお本発明および本明細書において「分子量」とは、多量体については、ゲル浸透クロマトグラフィー(Gel Permeation Chromatography;GPC)によりポリスチレン換算で測定される重量平均分子量をいうものとする。重量平均分子量の具体的な測定条件の一例としては、以下の測定条件を挙げることができる。
GPC装置:HLC−8120(東ソー製)
カラム:TSK gel Multipore HXL−M(東ソー製、内径7.8mm×カラム長30.0cm)
溶離液:テトラヒドロフラン
上記ラジカル重合性化合物は、前述の通り、1分子中に1個以上のウレタン結合を含むことが好ましい。上記ラジカル重合性化合物の1分子中に含まれるウレタン結合の数は、好ましくは1個以上であり、より好ましくは2個以上であり、より好ましくは2〜5個であり、例えば2個であることができる。なお1分子中にウレタン結合を2個含むラジカル重合性化合物において、アクリロイル基およびメタクリロイル基からなる群から選ばれるラジカル重合性基は、一方のウレタン結合のみに直接または連結基を介して結合していてもよく、2個のウレタン結合にそれぞれ直接または連結基を介して結合していてもよい。一態様では、連結基を介して結合している2個のウレタン結合に、それぞれアクリロイル基およびメタクリロイル基からなる群から選ばれるラジカル重合性基が1個以上結合していることが、好ましい。
より詳しくは、上記ラジカル重合性化合物において、ウレタン結合とアクリロイル基およびメタクリロイル基からなる群から選ばれるラジカル重合性基は直接結合していてもよく、ウレタン結合とアクリロイル基およびメタクリロイル基からなる群から選ばれるラジカル重合性基との間に連結基が存在していてもよい。連結基としては、特に限定されるものではなく、直鎖または分岐の飽和または不飽和の炭化水素基、環状基、およびこれらの2つ以上の組み合わせからなる基、等を挙げることができる。上記炭化水素基の炭素数は、例えば2〜20程度であるが、特に限定されるものではなない。また、環状基に含まれる環状構造としては、一例として、脂肪族環(シクロヘキサン環など)、芳香族環(ベンゼン環、ナフタレン環など)、などが挙げられる。上記の基は、無置換であっても置換基を有していてもよい。なお、本発明および本明細書において、特記しない限り、記載されている基は置換基を有してもよく無置換であってもよい。ある基が置換基を有する場合、置換基としては、アルキル基(例えば炭素数1〜6のアルキル基)、水酸基、アルコキシ基(例えば炭素数1〜6のアルコキシ基)、ハロゲン原子(例えばフッ素原子、塩素原子、臭素原子)、シアノ基、アミノ基、ニトロ基、アシル基、カルボキシ基等を挙げることができる。
以上説明したラジカル重合性化合物は、公知の方法で合成することができる。また、市販品として入手することも可能である。例えば、合成方法の一例としては、アルコール、ポリオール、および/または水酸基含有(メタ)アクリル酸等の水酸基含有化合物とイソシアネートを反応させ、または必要に応じて、上記反応によって得られたウレタン化合物を(メタ)アクリル酸でエステル化する方法を挙げることができる。なお「(メタ)アクリル酸」とは、アクリル酸とメタクリル酸の一方または両方を意味するものとする。
上記の1分子中に1個以上のウレタン結合を含むラジカル重合性化合物の市販品としては、下記のものに限定されるものではないが、例えば、共栄社化学社製UA−306H、UA−306I、UA−306T、UA−510H、UF−8001G、UA−101I、UA−101T、AT−600、AH−600、AI−600、BPZA−66、BPZA−100、新中村化学社製U−4HA、U−6HA、U−6LPA、UA−32P、U−15HA、UA−1100H、日本合成化学工業社製紫光UV−1400B、同UV−1700B、同UV−6300B、同UV−7550B、同UV−7600B、同UV−7605B、同UV−7610B、同UV−7620EA、同UV−7630B、同UV−7640B、同UV−6630B、同UV−7000B、同UV−7510B、同UV−7461TE、同UV−3000B、同UV−3200B、同UV−3210EA、同UV−3310EA、同UV−3310B、同UV−3500BA、同UV−3520TL、同UV−3700B、同UV−6100B、同UV−6640B、同UV−2000B、同UV−2010B、同UV−2250EAを挙げることができる。また、日本合成化学工業社製紫光UV−2750B、共栄社化学社製UL−503LN、大日本インキ化学工業社製ユニディック17−806、同17−813、同V−4030、同V−4000BA、ダイセルUCB社製EB−1290K、トクシキ製ハイコープAU−2010、同AU−2020等も挙げられる。
以下に、上記の1分子中に1個以上のウレタン結合を含むラジカル重合性化合物の具体例として例示化合物A−1〜A−8を示すが、本発明は下記具体例に限定されるものではない。
以上、1分子中に1個以上のウレタン結合を含むラジカル重合性化合物について説明したが、アクリロイル基およびメタクリロイル基からなる群から選ばれるラジカル重合性基を1分子中に2個以上含むラジカル重合性化合物は、ウレタン結合を有さないものであってもよい。また、第二の態様(1)のHC層形成用硬化性組成物は、アクリロイル基およびメタクリロイル基からなる群から選ばれるラジカル重合性基を1分子中に2個以上含むラジカル重合性化合物に加えて、かかるラジカル重合性化合物以外のラジカル重合性化合物の一種以上を含んでいてもよい。
以下において、アクリロイル基およびメタクリロイル基からなる群から選ばれるラジカル重合性基を1分子中に2個以上含み、かつウレタン結合を1分子中に1個以上含むラジカル重合性化合物を「第一のラジカル重合性化合物」と記載し、アクリロイル基およびメタクリロイル基からなる群から選ばれるラジカル重合性基を1分子中に2個以上含むか否かに関わらず、第一のラジカル重合性化合物に該当しないラジカル重合性化合物を「第二のラジカル重合性化合物」と記載する。第二のラジカル重合性化合物は、ウレタン結合を1分子中に1個以上有していてもよく、有さなくてもよい。第一のラジカル重合性化合物と第二のラジカル重合性化合物とを併用する場合、それらの質量比は、第一のラジカル重合性化合物/第二のラジカル重合性化合物=3/1〜1/30であることが好ましく、2/1〜1/20であることがより好ましく、1/1〜1/10であることが更に好ましい。
第二の態様(1)のHC層形成用硬化性組成物のアクリロイル基およびメタクリロイル基からなる群から選ばれるラジカル重合性基を1分子中に2個以上含むラジカル重合性化合物(ウレタン結合の有無を問わない)の含有量は、組成物全量100質量%に対して、好ましくは30質量%以上であり、より好ましくは50質量%以上であり、更に好ましくは70質量%以上である。また、第二の態様(1)のHC層形成用硬化性組成物のアクリロイル基およびメタクリロイル基からなる群から選ばれるラジカル重合性基を1分子中に2個以上含むラジカル重合性化合物(ウレタン結合の有無を問わない)の含有量は、組成物全量100質量%に対して、好ましくは98質量%以下であり、より好ましくは95質量%以下であり、更に好ましくは90質量%以下である。
また、第二の態様(1)のHC層形成用硬化性組成物の第一のラジカル重合性化合物の含有量は、組成物全量100質量%に対して、好ましくは30質量%以上であり、より好ましくは50質量%以上であり、更に好ましくは70質量%以上である。一方、第一のラジカル重合性化合物の含有量は、組成物全量100質量%に対して、98質量%以下であることが好ましく、95質量%以下であることがより好ましく、90質量%以下であることが更に好ましい。
第二のラジカル重合性化合物は、一態様では、好ましくは、ラジカル重合性基を1分子中に2個以上含み、ウレタン結合を持たないラジカル重合性化合物である。第二のラジカル重合性化合物に含まれるラジカル重合性基は、好ましくはエチレン性不飽和基であり、一態様では、ビニル基が好ましい。他の一態様では、エチレン性不飽和基は、アクリロイル基およびメタクリロイル基からなる群から選ばれるラジカル重合性基であることが好ましい。即ち、第二のラジカル重合性化合物は、アクリロイル基およびメタクリロイル基からなる群から選ばれるラジカル重合性基を1分子中に1個以上有し、かつウレタン結合を持たないことも好ましい。また、第二のラジカル重合性化合物は、ラジカル重合性化合物として、一分子中に、アクリロイル基およびメタクリロイル基からなる群から選ばれるラジカル重合性基の1個以上と、これら以外のラジカル重合性基の1個以上と、含むこともできる。
第二のラジカル重合性化合物の1分子中に含まれるラジカル重合性基の数は、好ましくは、少なくとも2個であり、より好ましくは3個以上であり、更に好ましくは4個以上である。また、第二のラジカル重合性化合物の1分子中に含まれるラジカル重合性基の数は、一態様では、例えば10個以下であるが、10個超であってもよい。また、第二のラジカル重合性化合物としては、分子量が200以上1000未満のラジカル重合性化合物が好ましい。
第二のラジカル重合性化合物としては、例えば以下のものを例示できる。ただし本発明は、下記例示化合物に限定されるものではない。
例えば、ポリエチレングリコール200ジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコール300ジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコール400ジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコール600ジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、エピクロルヒドリン変性エチレングリコールジ(メタ)アクリレート(市販品として、例えば長瀬産業製デナコールDA−811等)、ポリプロピレングリコール200ジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコール400ジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコール700ジ(メタ)アクリレート、エチレンオキシド(EO;Ethylene Oxide)・プロピレンオキシド(PO;Propylene Oxide)ブロックポリエーテルジ(メタ)アクリレート(市販品として、例えば日本油脂製ブレンマーPETシリーズ等)、ジプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールA EO付加型ジ(メタ)アクリレート(市販品として、例えば東亜合成製M−210、新中村化学工業製NKエステルA−BPE−20等)、水添ビスフェノールA EO付加型ジ(メタ)アクリレート(新中村化学工業製NKエステルA−HPE−4等)、ビスフェノールA PO付加型ジ(メタ)アクリレート(市販品として、例えば共栄社化学製ライトアクリレートBP−4PA等)、ビスフェノールA エピクロルヒドリン付加型ジ(メタ)アクリレート(市販品として、例えばダイセルUCB製エピクリル150等)、ビスフェノールA EO・PO付加型ジ(メタ)アクリレート(市販品として、例えば東邦化学工業製BP−023−PE等)、ビスフェノールF EO付加型ジ(メタ)アクリレート(市販品として、例えば東亜合成製アロニックスM−208等)、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、およびそのエピクロルヒドリン変性品、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ヒドロキシピバリン酸ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、およびそのカプロラクトン変性品、1,4− ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,9−ノナンジオールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンジ(メタ)アクリレート、トリシクロデカンジメタノールジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールジ(メタ)アクリレートモノステアレート、トリメチロールプロパンアクリル酸・安息香酸エステル、イソシアヌル酸EO変性ジ(メタ)アクリレート(市販品として、例えば東亜合成製アロニックスM−215等)等の2官能(メタ)アクリレート化合物が挙げられる。
また、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、およびそのEO、PO、エピクロルヒドリン変性品、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、グリセロールトリ(メタ)アクリレート、およびそのEO、PO、エピクロルヒドリン変性品、イソシアヌル酸EO変性トリ(メタ)アクリレート(市販品として、例えば東亜合成製アロニックスM−315等)、トリス(メタ)アクリロイルオキシエチルフォスフェート、フタル酸水素−(2,2,2−トリ−(メタ)アクリロイルオキシメチル)エチル、グリセロールトリ(メタ)アクリレート、およびそのEO、PO、エピクロルヒドリン変性品等の3官能(メタ)アクリレート化合物;ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、およびそのEO、PO、エピクロルヒドリン変性品、ジトリメチロールプロパンテトラ(メタ)アクリレート等の4官能(メタ)アクリレート化合物;ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、およびそのEO、PO、エピクロルヒドリン、脂肪酸、アルキル変性品等の5官能(メタ)アクリレート化合物;ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、およびそのEO、PO、エピクロルヒドリン、脂肪酸、アルキル変性品、ソルビトールヘキサ(メタ)アクリレート、およびそのEO、PO、エピクロルヒドリン、脂肪酸、アルキル変性品等の6官能(メタ)アクリレートが挙げられる。
第二のラジカル重合性化合物は2種以上併用してもよい。この場合、ジペンタエリスリトールペンタアクリレートとジペンタエリスリトールヘキサアクリレートの混合物“DPHA”(日本化薬製)などを好ましく用いることができる。
また、第二のラジカル重合性化合物として、重量平均分子量が200以上1000未満のポリエステル(メタ)アクリレート、エポキシ(メタ)アクリレートも好ましい。市販品では、ポリエステル(メタ)アクリレートとして、荒川化学工業製の商品名ビームセット700シリーズ、例えばビームセット700(6官能)、ビームセット710(4官能)、ビームセット720(3官能)等が挙げられる。また、エポキシ(メタ)アクリレートとしては、昭和高分子製の商品名SPシリーズ、例えばSP−1506、500、SP−1507、480、VRシリーズ、例えばVR−77、新中村化学工業製商品名EA−1010/ECA、EA−11020、EA−1025、EA−6310/ECA等が挙げられる。
また、第二のラジカル重合性化合物の具体例としては、下記例示化合物A−9〜A−11を挙げることもできる。
第二の態様の好ましい一態様である第二の態様(2)のHC層形成用硬化性組成物は、b)1分子中に3個以上のエチレン性不飽和基を含むラジカル重合性化合物を含む。b)1分子中に3個以上のエチレン性不飽和基を含む化合物を、以下において「b)成分」とも記載する。
b)成分としては、多価アルコールと(メタ)アクリル酸とのエステル、ビニルベンゼンおよびその誘導体、ビニルスルホン、(メタ)アクリルアミド等が挙げられる。中でも、アクリロイル基およびメタクリロイル基からなる群から選ばれるラジカル重合性基を1分子中に3個以上含むラジカル重合性化合物が好ましい。具体例としては、多価アルコールと(メタ)アクリル酸とのエステルであって、1分子中に3個以上のエチレン性不飽和基を有する化合物を挙げることができる。より詳しくは、例えば、(ジ)ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、(ジ)ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、EO変性トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、PO変性トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、EO変性リン酸トリ(メタ)アクリレート、トリメチロールエタントリ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、(ジ)ペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、1,2,3−シクロヘキサンテトラメタクリレート、ポリウレタンポリアクリレート、ポリエステルポリアクリレート、カプロラクトン変性トリス(アクリロキシエチル)イソシアヌレート、トリペンタエリスリトールトリアクリレート、トリペンタエリスリトールヘキサトリアクリレート、1,2,4−シクロヘキサンテトラ(メタ)アクリレート、ペンタグリセロールトリアクリレート、等が挙げられる。なお上記の「(ジ)ペンタエリスリトール」とは、ペンタエリスリトールとジペンタエリスリトールの一方または両方の意味で用いられる。
更に、アクリロイル基およびメタクリロイル基からなる群から選ばれるラジカル重合性基を1分子中に3個以上含む樹脂も好ましい。
アクリロイル基およびメタクリロイル基からなる群から選ばれるラジカル重合性基を1分子中に3個以上含む樹脂としては、例えば、ポリエステル系樹脂、ポリエーテル系樹脂、アクリル系樹脂、エポキシ系樹脂、ウレタン系樹脂、アルキド系樹脂、スピロアセタール系樹脂、ポリブタジエン系樹脂、ポリチオールポリエン系樹脂、多価アルコール等の多官能化合物等の重合体等も挙げられる。
アクリロイル基およびメタクリロイル基からなる群から選ばれるラジカル重合性基を1分子中に3個以上含むラジカル重合性化合物の具体例としては、特開2007−256844号公報段落0096に示されている例示化合物等を挙げることができる。
更に、アクリロイル基およびメタクリロイル基からなる群から選ばれるラジカル重合性基を1分子中に3個以上含むラジカル重合性化合物の具体例としては、日本化薬製KAYARAD DPHA、同DPHA−2C、同PET−30、同TMPTA、同TPA−320、同TPA−330、同RP−1040、同T−1420、同D−310、同DPCA−20、同DPCA−30、同DPCA−60、同GPO−303、大阪有機化学工業製V#400、V#36095D等のポリオールと(メタ)アクリル酸のエステル化物を挙げることができる。また紫光UV−1400B、同UV−1700B、同UV−6300B、同UV−7550B、同UV−7600B、同UV−7605B、同UV−7610B、同UV−7620EA、同UV−7630B、同UV−7640B、同UV−6630B、同UV−7000B、同UV−7510B、同UV−7461TE、同UV−3000B、同UV−3200B、同UV−3210EA、同UV−3310EA、同UV−3310B、同UV−3500BA、同UV−3520TL、同UV−3700B、同UV−6100B、同UV−6640B、同UV−2000B、同UV−2010B、同UV−2250EA、同UV−2750B(日本合成化学製)、UL−503LN(共栄社化学製)、ユニディック17−806、同17−813、同V−4030、同V−4000BA(大日本インキ化学工業製)、EB−1290K、EB−220、EB−5129、EB−1830,EB−4358(ダイセルUCB製)、ハイコープAU−2010、同AU−2020((株)トクシキ製)、アロニックスM−1960(東亜合成製)、アートレジンUN−3320HA、UN−3320HC、UN−3320HS、UN−904、HDP−4T等の3官能以上のウレタンアクリレート化合物、アロニックスM−8100、M−8030、M−9050(東亜合成製)、KBM−8307(ダイセルサイテック製)の3官能以上のポリエステル化合物なども好適に使用することができる。
また、b)成分としては、一種のみ用いてもよく、構造の異なる二種胃需要を併用してもよい。
前述の通り、第二の態様(2)のHC層形成用硬化性組成物を硬化したHC層は、好ましくは、HC層の全固形分を100質量%とした場合に、上記a)由来の構造を15〜70質量%、上記b)由来の構造を25〜80質量%、上記c)を0.1〜10質量%、上記d)を0.1〜10質量%含むことができる。b)由来の構造は、HC層の全固形分を100質量%とした場合に、40〜75質量%含有されることが好ましく、60〜75質量%含有されることがより好ましい。また、第二の態様(2)のHC層形成用硬化性組成物は、このHC層形成用硬化性組成物の全固形分を100質量%とした場合に、b)成分を40〜75質量%含むことが好ましく、60〜75質量%含むことがより好ましい。
−カチオン重合性化合物−
第二の態様のHC層形成用硬化性組成物は、少なくとも一種のラジカル重合性化合物と少なくとも一種のカチオン重合性化合物を含むことが好ましい。カチオン重合性化合物としては、カチオン重合可能な重合性基(カチオン重合性基)を有するものであれば、何ら制限なく用いることができる。また、1分子中に含まれるカチオン重合性基の数は、少なくとも1個である。カチオン重合性化合物は、カチオン重合性基を1分子中に1個含む単官能化合物であっても、2個以上含む多官能化合物であってもよい。多官能化合物に含まれるカチオン重合性基の数は、特に限定されるものではないが、例えば1分子中に2〜6個である。また、多官能化合物の1分子中に2個以上含まれるカチオン重合性基は、同一あってもよく、構造が異なる二種以上であってもよい。
また、カチオン重合性化合物は、一態様では、カチオン重合性基とともに、1分子中に1個以上のラジカル重合性基を有することも好ましい。そのようなカチオン重合性化合物が有するラジカル重合性基については、ラジカル重合性化合物についての上述の記載を参照できる。好ましくは、エチレン性不飽和基であり、エチレン性不飽和基は、より好ましくは、ビニル基、アクリロイル基およびメタクリロイル基からなる群から選ばれるラジカル重合性基である。ラジカル重合性基を有するカチオン重合性化合物の1分子中のラジカル重合性基の数は、少なくとも1個であり、1〜3個であることが好ましく、1個であることがより好ましい。
カチオン重合性基としては、好ましくは、含酸素複素環基およびビニルエーテル基を挙げることができる。なおカチオン重合性化合物は、1分子中に、1個以上の含酸素複素環基と1個以上のビニルエーテル基を含んでいてもよい。
含酸素複素環としては、単環であってもよく、縮合環であってもよい。また、ビシクロ骨格を有するものも好ましい。含酸素複素環は、非芳香族環であっても芳香族環であってもよく、非芳香族環であることが好ましい。単環の具体例としては、エポキシ環、テトラヒドロフラン環、オキセタン環を挙げることができる。また、ビシクロ骨格を有するものとしては、オキサビシクロ環を挙げることができる。なお含酸素複素環を含むカチオン重合性基は、1価の置換基として、または2価以上の多価置換基として、カチオン重合性化合物に含まれる。また、上記縮合環は、含酸素複素環の2個以上が縮合したものであっても、含酸素複素環の1個以上と含酸素複素環以外の環構造の1個以上が縮合したものであってもよい。上記の含酸素複素環以外の環構造としては、これらに限定されるものではないが、シクロヘキサン環等のシクロアルカン環を挙げることができる。
以下に、含酸素複素環の具体例を示す。ただし、本発明は、下記具体例に限定されるものではない。
カチオン重合性化合物には、カチオン重合性基以外の部分構造が含まれていてもよい。そのような部分構造は、特に限定されるものではなく、直鎖構造であっても、分岐構造であっても、環状構造であってもよい。これら部分構造には、酸素原子、窒素原子等のヘテロ原子が1個以上含まれていてもよい。
カチオン重合性化合物の好ましい一態様としては、カチオン重合性基として、またはカチオン重合性基以外の部分構造として、環状構造を含む化合物(環状構造含有化合物)を挙げることができる。環状構造含有化合物に含まれる環状構造は、1分子中に、例えば1個であり、2個以上であってもよい。環状構造含有化合物に含まれる環状構造の数は、1分子中に、例えば1〜5個であるが、特に限定されるものではない。1分子中に2個以上の環状構造を含む化合物は、同一の環状構造を含んでいてもよく、構造の異なる二種以上の環状構造を含んでいてもよい。
上記環状構造含有化合物に含まれる環状構造の一例としては、含酸素複素環を挙げることができる。その詳細は、先に記載した通りである。
カチオン重合性化合物の1分子中に含まれるカチオン重合性基の数(以下、「C」と記載する。)によって分子量(以下、「B」と記載する。)を除して求められるカチオン重合性基当量(=B/C)は、例えば300以下であり、HC層形成用硬化性組成物を硬化したHC層と樹脂フィルムとの密着性向上の観点からは、150未満であることが好ましい。一方、HC層形成用硬化性組成物を硬化したHC層の吸湿性の観点からは、カチオン重合性基当量は、50以上であることが好ましい。また、一態様では、カチオン重合性基当量を求めるカチオン重合性化合物に含まれるカチオン重合性基は、エポキシ基(エポキシ環)であることができる。即ち、一態様では、カチオン重合性化合物は、エポキシ環含有化合物である。エポキシ環含有化合物は、HC層形成用硬化性組成物を硬化したHC層と樹脂フィルムとの密着性向上の観点からは、1分子中に含まれるエポキシ環の数によって分子量を除して求められるエポキシ基当量が、150未満であることが好ましい。また、エポキシ環含有化合物のエポキシ基当量は、例えば50以上である。
また、カチオン重合性化合物の分子量は500以下であることが好ましく、300以下であることが更に好ましい。上記範囲の分子量を有するカチオン重合性化合物は、樹脂フィルムへ浸透しやすい傾向があり、HC層形成用硬化性組成物を硬化したHC層と樹脂フィルムとの密着性向上に寄与することができると推察している。
第二の態様(2)のHC層形成用硬化性組成物は、a)脂環式エポキシ基およびエチレン性不飽和基を含み、1分子中に含まれる脂環式エポキシ基の数が1個であり、かつ1分子中に含まれるエチレン性不飽和基の数が1個であり、分子量が300以下であるカチオン重合性化合物を含む。以下において、上記a)を、「a)成分」と記載する。
エチレン性不飽和基としては、アクリロイル基、メタクリロイル基、ビニル基、スチリル基、アリル基等を含むラジカル重合性基が挙げられ、中でも、アクリロイル基、メタクリロイル基およびC(O)OCH=CHが好ましく、アクリロイル基およびメタクリロイル基がより好ましい。1分子中の脂環式エポキシ基とエチレン性不飽和基の数は、それぞれ1個であることが好ましい。
a)成分の分子量は、300以下であり、210以下であることが好ましく、200以下であることがより好ましい。
a)成分の好ましい一態様としては、下記一般式(1)で表される化合物を挙げることができる。
一般式(1)中、Rは単環式炭化水素または架橋炭化水素を表し、Lは単結合または2価の連結基を表し、Qはエチレン性不飽和基を表す。
一般式(1)中のRが単環式炭化水素の場合、単環式炭化水素は脂環式炭化水素であることが好ましく、中でも炭素数4〜10の脂環基であることがより好ましく、炭素数5〜7個の脂環基であることが更に好ましく、炭素数6個の脂環基であることが特に好ましい。好ましい具体例としては、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基を挙げることができ、シクロヘキシル基がより好ましい。
一般式(1)中のRが架橋炭化水素の場合、架橋炭化水素は、2環系架橋炭化水素(ビシクロ環)、3環系架橋炭化水素(トリシクロ環)が好ましい。具体例としては、炭素数5〜20個の架橋炭化水素が挙げられ、例えば、ノルボルニル基、ボルニル基、イソボルニル基、トリシクロデシル基、ジシクロペンテニル基、ジシクロペンタニル基、トリシクロペンテニル基、トリシクロペンタニル基、アダマンチル基、低級(例えば炭素数1〜6)アルキル基置換アダマンチル基等が挙げられる。
Lが2価の連結基を表す場合、2価の連結基は、2価の脂肪族炭化水素基が好ましい。2価の脂肪族炭化水素基の炭素数は、1〜6の範囲であることが好ましく、1〜3の範囲であることがより好ましく、1であることが更に好ましい。2価の脂肪族炭化水素基としては、直鎖状、分岐状または環状のアルキレン基が好ましく、直鎖状または分岐状のアルキレン基がより好ましく、直鎖状のアルキレン基が更に好ましい。
Qとしては、アクリロイル基、メタクリロイル基、ビニル基、スチリル基、アリル基等を含むエチレン性不飽和基が挙げられ、中でも、アクリロイル基、メタクリロイル基およびC(O)OCH=CHが好ましく、アクリロイル基およびメタクリロイル基がより好ましい。
a)成分の具体例としては、特開平10−17614号公報段落0015に例示されている各種化合物、下記一般式(1A)または(1B)で表される化合物、1,2−エポキシ−4−ビニルシクロヘキサン等を挙げることができる。中でも、下記一般式(1A)または(1B)で表される化合物がより好ましい。なお、下記一般式(1A)で表される化合物は、その異性体も好ましい。
一般式(1A)、(1B)中、Rは水素原子またはメチル基を表し、Lは炭素数1〜6の2価の脂肪族炭化水素基を表す。
一般式(1A)および(1B)中のLで表される2価の脂肪族炭化水素基の炭素数は、1〜6の範囲であり、1〜3の範囲であることがより好ましく、炭素数1であることが更に好ましい。2価の脂肪族炭化水素基としては、直鎖状、分岐状または環状のアルキレン基が好ましく、直鎖状または分岐状のアルキレン基がより好ましく、直鎖状のアルキレン基が更に好ましい。
第二の態様(2)のHC層形成用硬化性組成物を硬化したHC層は、好ましくは、HC層の全固形分を100質量%とした場合に、上記a)由来の構造を15〜70質量%含むことが好ましく、18〜50質量%含むことがより好ましく、22〜40質量%含むことが更に好ましい。また、第二の態様(2)のHC層形成用硬化性組成物は、a)成分を、HC層形成用硬化性組成物の全固形分を100質量%とした場合に、15〜70質量%含むことが好ましく、18〜50質量%含むことがより好ましく、22〜40質量%含むことが更に好ましい。
上記環状構造含有化合物に含まれる環状構造の他の一例としては、含窒素複素環を挙げることができる。含窒素複素環含有化合物は、HC層形成用硬化性組成物を硬化したHC層と樹脂フィルムとの密着性向上の観点から好ましいカチオン重合性化合物である。含窒素複素環含有化合物としては、イソシアヌレート環(後述の例示化合物B−1〜B−3に含まれる含窒素複素環)およびグリコールウリル環(後述の例示化合物B−10に含まれる含窒素複素環)からなる群から選ばれる含窒素複素環を1分子中に1個以上有する化合物が好ましい。中でも、イソシアヌレート環を含む化合物(イソシアヌレート環含有化合物)は、HC層形成用硬化性組成物を硬化したHC層と樹脂フィルムとの密着性向上の観点から、より好ましいカチオン重合性化合物である。これは、イソシアヌレート環が樹脂フィルムを構成する樹脂との親和性に優れるためと、本発明者らは推察している。この点からは、アクリル系樹脂フィルムを含む樹脂フィルムがより好ましく、HC層形成用硬化性組成物を硬化したHC層と直接接する表面がアクリル系樹脂フィルム表面であることが更に好ましい。
また、上記環状構造含有化合物に含まれる環状構造の他の一例としては、脂環構造を挙げることができる。脂環構造としては、例えば、シクロ環、ジシクロ環、トリシクロ環構造を挙げることができ、具体例としては、ジシクロペンタニル環、シクロヘキサン環等を挙げることができる。
以上説明したカチオン重合性化合物は、公知の方法で合成することができる。また、市販品として入手することも可能である。
カチオン重合性基として含酸素複素環を含むカチオン重合性化合物の具体例としては、例えば、3,4−エポキシシクロヘキシルメチルメタクリレート(株式会社ダイセル製サイクロマーM100等の市販品)、3,4−エポキシシクロヘキシルメチル−3’,4’−エポキシシクロヘキサンカルボキシレート(例えば、ユニオンカーバイト製UVR6105、UVR6110およびダイセル化学製CELLOXIDE2021等の市販品)、ビス(3,4−エポキシシクロヘキシルメチル)アジペート(例えば、ユニオンカーバイト製UVR6128)、ビニルシクロヘキセンモノエポキサイド(例えば、ダイセル化学製CELLOXIDE2000)、ε−カプロラクトン変性3,4−エポキシシクロヘキシルメチル3’,4’−エポキシシクロヘキサンカルボキシレート(例えば、ダイセル化学製CELLOXIDE2081)、1−メチル−4−(2−メチルオキシラニル)−7−オキサビシクロ[4,1,0]ヘプタン(例えば、ダイセル化学製CELLOXIDE3000)、7,7’‐ジオキサ‐3,3’‐ビ[ビシクロ[4.1.0]ヘプタン](例えば、ダイセル化学製CELLOXIDE8000)、3−エチル−3−ヒドロキシメチルオキセタン、1,4ビス{[(3−エチル−3−オキセタニル)メトキシ]メチル}ベンゼン、3−エチル−3−(フェノキシメチル)オキセタン、3−エチル−3−(2−エチルヘキシロキシメチル)オキセタンおよびジ[1−エチル(3−オキセタニル)]メチルエーテル等を挙げることができる。
また、カチオン重合性基としてビニルエーテル基を含むカチオン重合性化合物の具体例としては、1,4−ブタンジオールジビニルエーテル、1,6−ヘキサンジオールジビニルエーテル、ノナンジオールジビニルエーテル、シキロヘキサンジオールジビニルエーテル、シクロヘキサンジメタノールジビニルエーテル、トリエチレングリコールジビニルエーテル、トリメチロールプロパントリビニルエーテル、ペンタエリスリトールテトラビニルエーテル等が挙げられる。ビニルエーテル基を含むカチオン重合性化合物としては、脂環構造を有するものも好ましい。
更に、カチオン重合性化合物としては、特開平8−143806号公報、特開平8−283320号公報、特開2000−186079号公報、特開2000−327672号公報、特開2004−315778号公報、特開2005−29632号公報等に例示されている化合物を用いることもできる。
以下に、カチオン重合性化合物の具体例として例示化合物B−1〜B−14を示すが、本発明は下記具体例に限定されるものではない。
また、HC層形成用硬化性組成物を硬化したHC層と樹脂フィルムとの密着性向上の観点からは、HC層形成用硬化性組成物の好ましい態様としては、下記態様を挙げることができる。下記態様の1つ以上を満たすことがより好ましく、2つ以上を満たすことが更に好ましく、3つ以上を満たすことがいっそう好ましく、すべて満たすことがよりいっそう好ましい。なお1つのカチオン重合性化合物が、複数の態様を満たすことも好ましい。例えば、含窒素複素環含有化合物が、カチオン重合性基当量150未満であること等を、好ましい態様として例示できる。
(1)カチオン重合性化合物として、含窒素複素環含有化合物を含む。好ましくは、含窒素複素環含有化合物が有する含窒素複素環は、イソシアヌレート環およびグリコールウリル環からなる群から選択される。含窒素複素環含有化合物は、より好ましくは、イソシアヌレート環含有化合物である。更に好ましくは、イソシアヌレート環含有化合物は、1分子中に1つ以上のエポキシ環を含むエポキシ環含有化合物である。
(2)カチオン重合性化合物として、カチオン重合性基当量が150未満のカチオン重合性化合物を含む。好ましくは、エポキシ基当量が150未満のエポキシ基含有化合物を含む。
(3)カチオン重合性化合物が、エチレン性不飽和基を含む。
(4)カチオン重合性化合物として、1分子中に1個以上のオキセタン環を含むオキセタン環含有化合物を、他のカチオン重合性化合物とともに含む。好ましくは、オキセタン環含有化合物は、含窒素複素環を含まない化合物である。
上記HC層形成用硬化性組成物のカチオン重合性化合物の含有量は、ラジカル重合性化合物とカチオン重合性化合物との合計含有量100質量部に対して、好ましくは10質量部以上であり、より好ましくは15質量部以上であり、更に好ましくは20質量部以上である。また、上記HC層形成用硬化性組成物のカチオン重合性化合物の含有量は、ラジカル重合性化合物とカチオン重合性化合物との合計含有量100質量部に対して、50質量部以下であることが好ましい。
また、上記HC層形成用硬化性組成物のカチオン重合性化合物の含有量は、第一のラジカル重合性化合物の含有量とカチオン重合性化合物との合計含有量100質量部に対して、好ましくは0.05質量部以上であり、より好ましくは0.1質量部以上であり、更に好ましくは1質量部以上である。一方、カチオン重合性化合物の含有量は、第一のラジカル重合性化合物の含有量とカチオン重合性化合物との合計含有量100質量部に対して、50質量部以下であることが好ましく、40質量部以下であることがより好ましい。
なお本発明および本明細書において、カチオン重合性基とラジカル重合性基をともに有する化合物は、カチオン重合性化合物に分類し、HC層形成用硬化性組成物における含有量を規定するものとする。
−重合開始剤−
HC層形成用硬化性組成物は重合開始剤を含むことが好ましく、光重合開始剤を含むことがより好ましい。ラジカル重合性化合物を含むHC層形成用硬化性組成物は、ラジカル光重合開始剤を含むことが好ましく、カチオン重合性化合物を含むHC層形成用硬化性組成物は、カチオン光重合開始剤を含むことが好ましい。なおラジカル光重合開始剤は一種のみ用いてもよく、構造の異なる二種以上を併用してもよい。この点は、カチオン光重合開始剤についても同様である。
以下、各光重合開始剤について、順次説明する。
(i)ラジカル光重合開始剤
ラジカル光重合開始剤としては、光照射により活性種としてラジカルを発生することができるものであればよく、公知のラジカル光重合開始剤を、何ら制限なく用いることができる。具体例としては、例えば、ジエトキシアセトフェノン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン、ベンジルジメチルケタール、4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル−(2−ヒドロキシ−2−プロピル)ケトン、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2−メチル−2−モルホリノ(4−チオメチルフェニル)プロパン−1−オン、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルホリノフェニル)ブタノン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−[4−(1−メチルビニル)フェニル]プロパノンオリゴマー、2−ヒロドキシ−1−{4−[4−(2−ヒドロキシ−2−メチル−プロピオニル)−ベンジル]フェニル}−2−メチル−プロパン−1−オン等のアセトフェノン類;1,2−オクタンジオン、1−[4−(フェニルチオ)−,2−(O−ベンゾイルオキシム)]、エタノン,1−[9−エチル−6−(2−メチルベンゾイル)−9H−カルバゾール−3−イル]−,1−(0−アセチルオキシム)等のオキシムエステル類;ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、ベンゾインイソブチルエーテル等のベンゾイン類;ベンゾフェノン、オルト−ベンゾイル安息香酸メチル、4−フェニルベンゾフェノン、4−ベンゾイル−4’−メチル−ジフェニルサルファイド、3,3’,4,4’−テトラ(t−ブチルパーオキシカルボニル)ベンゾフェノン、2,4,6−トリメチルベンゾフェノン、4−ベンゾイル−N,N−ジメチル−N−[2−(1−オキソ−2−プロペニルオキシ)エチル]ベンゼンメタナミニウムブロミド、(4−ベンゾイルベンジル)トリメチルアンモニウムクロリド等のベンゾフェノン類;2−イソプロピルチオキサントン、4−イソプロピルチオキサントン、2,4−ジエチルチオキサントン、2,4−ジクロロチオキサントン、1−クロロ−4−プロポキシチオキサントン、2−(3−ジメチルアミノ−2−ヒドロキシ)−3,4−ジメチル−9H−チオキサントン−9−オンメソクロリド等のチオキサントン類;2,4,6−トリメチルベンゾイル−ジフェニルフォスフィンオキサイド、ビス(2,6−ジメトキシベンゾイル)−2,4,4−トリメチル−ペンチルフォスフィンオキサイド、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−フェニルフォスフィンオキサイド等のアシルフォスフォンオキサイド類;等が挙げられる。また、ラジカル光重合開始剤の助剤として、トリエタノールアミン、トリイソプロパノールアミン、4,4’−ジメチルアミノベンゾフェノン(ミヒラーケトン)、4,4’−ジエチルアミノベンゾフェノン、2−ジメチルアミノエチル安息香酸、4−ジメチルアミノ安息香酸エチル、4−ジメチルアミノ安息香酸(n−ブトキシ)エチル、4−ジメチルアミノ安息香酸イソアミル、4−ジメチルアミノ安息香酸2−エチルヘキシル、2,4−ジエチルチオキサンソン、2,4−ジイソプロピルチオキサンソン等を併用してもよい。
以上のラジカル光重合開始剤および助剤は、公知の方法で合成可能であり、市販品として入手も可能である。市販のラジカル光重合開始剤としては、BASF製のイルガキュア(127,651,184,819,907,1870(CGI−403/Irg184=7/3混合開始剤、500,369,1173,2959,4265,4263など)、OXE01)等、日本化薬製のKAYACURE(DETX−S,BP−100,BDMK,CTX,BMS,2−EAQ,ABQ,CPTX,EPD,ITX,QTX,BTC,MCAなど)、サートマー製のEsacure(KIP100F,KB1,EB3,BP,X33,KT046,KT37,KIP150,TZT)等を好ましい例として挙げられる。
上記HC層形成用硬化性組成物のラジカル光重合開始剤の含有量は、ラジカル重合性化合物の重合反応(ラジカル重合)を良好に進行させる範囲で適宜調整すればよく、特に限定されるものではない。上記HC層形成用硬化性組成物に含まれるラジカル重合性化合物100質量部に対して、例えば0.1〜20質量部の範囲であり、好ましくは0.5〜10質量部、より好ましくは1〜10質量部の範囲である。
(ii)カチオン光重合開始剤
カチオン光重合開始剤としては、光照射により活性種としてカチオンを発生することができるものであればよく、公知のカチオン光重合開始剤を、何ら制限なく用いることができる。具体例としては、公知のスルホニウム塩、アンモニウム塩、ヨードニウム塩(例えばジアリールヨードニウム塩)、トリアリールスルホニウム塩、ジアゾニウム塩、イミニウム塩などが挙げられる。より具体的には、例えば、特開平8−143806号公報段落0050〜0053に示されている式(25)〜(28)で表されるカチオン光重合開始剤、特開平8−283320号公報段落0020にカチオン重合触媒として例示されているもの等を挙げることができる。また、カチオン光重合開始剤は、公知の方法で合成可能であり、市販品としても入手可能である。市販品としては、例えば、日本曹達製CI−1370、CI−2064、CI−2397、CI−2624、CI−2639、CI−2734、CI−2758、CI−2823、CI−2855およびCI−5102等、ローディア製PHOTOINITIATOR2047等、ユニオンカーバイト製UVI−6974、UVI−6990、サンアプロ製CPI−10Pを用いることができる。
カチオン光重合開始剤としては、光重合開始剤の光に対する感度、化合物の安定性等の点からは、ジアゾニウム塩、ヨードニウム塩、スルホニウム塩、イミニウム塩が好ましい。また、耐候性の点からは、ヨードニウム塩が最も好ましい。
ヨードニウム塩系のカチオン光重合開始剤の具体的な市販品としては、例えば、東京化成製B2380、みどり化学BBI−102、和光純薬工業製WPI−113、和光純薬工業製WPI−124、和光純薬工業製WPI−169、和光純薬工業製WPI−170、東洋合成化学製DTBPI−PFBSを挙げることができる。
また、カチオン光重合開始剤として使用可能なヨードニウム塩化合物の具体例としては、下記化合物PAG−1、PAG−2を挙げることもできる。
上記HC層形成用硬化性組成物のカチオン光重合開始剤の含有量は、カチオン重合性化合物の重合反応(カチオン重合)を良好に進行させる範囲で適宜調整すればよく、特に限定されるものではない。カチオン重合性化合物100質量部に対して、例えば0.1〜200質量部の範囲であり、好ましくは1〜150質量部、より好ましくは2〜100質量部の範囲である。
その他の光重合開始剤としては、特開2009−204725号公報の段落0052〜0055に記載の光重合開始剤を挙げることもでき、この公報の内容は本発明に組み込まれる。
上記重合性化合物の官能基数は、ヌープ硬度を上記範囲にする観点から下記式で定義される膜中平均官能基数が3〜5であることが好ましい。ここで、「膜中平均官能基数」とは、HC層を形成する際に用いられるHC層形成用硬化性組成物中での平均官能基数を意味する。HC層形成用硬化性組成物は、二種類以上の重合性化合物を含有してもよい。
:HC層形成用硬化性組成物に含まれる各重合性化合物の官能基数
ここで、官能基数とは、ラジカル重合性基数、カチオン重合性基数等の反応性基の総数を意味する。
:HC層形成用硬化性組成物に含まれる重合性化合物の総重量に対する、各重合性化合物の重量比率
n:重合性化合物の種類の数
硬度、カール調整のしやすさの観点から、HC層形成用硬化性組成物は2種類以上の重合性化合物を含有することが好ましく、ラジカル重合性基を有する重合性化合物1と、同一分子内にカチオン重合性基とラジカル重合性基とを有する重合性化合物2および/または同一分子内にアルキレンオキシ基とラジカル重合性基とを有する重合性化合物3とを含有することがより好ましい。ただし、重合性化合物1と重合性化合物2と重合性化合物3とは、それぞれ異なる重合性化合物であり、重合性化合物1〜3のうち複数の重合性化合物に該当する場合には、重合性化合物3、重合性化合物2、重合性化合物1の順に優先して分類することとする。
重合性化合物3が有する「アルキレンオキシ基」は、ポリエチレンオキシ及びポリプロピレンオキシ等の、繰返し数2以上のポリアルキレンオキシ基、並びに、エチレンジオキシ及びプロピレンジオキシ等の、アルキレン基が2以上のオキシ基(−O−)を有するアルキレンポリオキシ基の両方を意味する。同様に、「エチレンオキシ基」は、繰り返し数2以上のポリエチレンオキシ基、及び、2以上のオキシ基を有するエチレンポリオキシ基の両方を意味する。
HC層形成用硬化性組成物に含まれる全重合性化合物中、同一分子内にカチオン重合性基とラジカル重合性基とを有する重合性化合物2の含有量は、10〜90質量%が好ましく、30〜70%がより好ましい。
HC層形成用硬化性組成物に含まれる全重合性化合物中、同一分子内にアルキレンオキシ基とラジカル重合性基とを有する重合性化合物3の含有量は、10〜90%が好ましく、30〜70%がより好ましい。
重合性化合物1としては、前述のラジカル重合性化合物の記載が好ましく適用され、重合性化合物2としては、前述のカチオン重合性化合物におけるa)成分の記載が好ましく適用される。
同一分子内にアルキレンオキシ基とラジカル重合性基とを有する重合性化合物3の具体例としては、ブトキシジエチレングリコールメタクリレート、メトキシポリエチレングリコールメタクリレート、メトキシポリエチレングリコールメタクリレート、エチレングリコールジメタクリレート、ジエチレングリコールジメタクリレート、トリエチエレングリコールジメタクリレート、ポリエチレングリコール#200ジメタクリレート、ポリエチレングリコール#400ジメタクリレート、ポリエチレングリコール#600ジメタクリレート、ポリエチレングリコール#1000ジメタクリレート、ポリエチレングリコール#200ジアクリレート、ポリエチレングリコール#400ジアクリレート、ポリエチレングリコール#600ジアクリレート、ポリエチレングリコール#1000ジアクリレート、ジプロピレングリコールジアクリレート、トリプロピレングリコールジアクリレート、ポリプロピレングリコール#400ジアクリレート、ポリプロピレングリコール(#700)ジアクリレート、ポリテトラメチレングリコール#650ジアクリレート、エトキシ化ポリプロピレングリコール#700ジメタクリレート、ポリプロピレングリコール#400ジメタクリレート、エトキシ化ペンタエリスリトールテトラアクリレート、グリセリンジメタクリレート、が挙げられる。なお、♯の後に記載する数字は、エチレンオキシ基の分子量を意味する。
また、上記以外にも、アルキレンオキシ基と反応性基A(例えば、ヒドロキシ基)を有するモノマーと、ラジカル重合性基と反応性基B(例えば、ヒドロキシ基、アミノ基)を有するモノマーとを反応させることで、合成することもできる。この場合、反応性基Aと反応性基Bが互いに結合形成可能であるか、反応性基A及びBと結合形成可能な反応性基C(例えば、イソシアネート基)を有するモノマーを更に反応させることで、合成することができる。具体的には、ウレタンアクリレートポリマー(2−ヒドロキシエチルアクリレートとポリテトラメチレングリコールジオールとイソホロンジイソシアネートの反応物)が挙げられる。
重合性化合物3が有するアルキレンオキシ基は、硬度とカールの発生抑制の両立の点からエチレンオキシ基が好ましい。
−HC層形成用硬化性組成物に任意に含まれ得る成分−
HC層形成用硬化性組成物は、活性エネルギー線の照射により硬化する性質を有する少なくとも一種の成分を含み、任意に少なくとも一種の重合開始剤を含むことができ、含むことが好ましい。それらの詳細は、先に記載した通りである。
次に、HC層形成用硬化性組成物に任意に含まれ得る各種成分について説明する。
(i)無機粒子
HC層形成用硬化性組成物は、平均一次粒径が2μm未満の無機粒子を含むことができる。HC層形成用硬化性組成物を硬化したHC層を有する前面板の硬度向上(更にはこの前面板を有する液晶パネルの硬度向上)の観点からは、HC層形成用硬化性組成物およびこの組成物を硬化したHC層は、平均一次粒径が2μm未満の無機粒子を含むことが好ましい。無機粒子の平均一次粒径は、10nm〜1μmの範囲であることが好ましく、10nm〜100nmの範囲であることがより好ましく、10nm〜50nmの範囲であることが更に好ましい。
無機粒子および後述のマット粒子の平均一次粒径については、透過型電子顕微鏡(倍率50万〜200万倍)で粒子の観察を行い、無作為に選択した粒子(一次粒子)100個を観察し、それらの粒径の平均値をもって平均一次粒径とする。
上記無機粒子としては、シリカ粒子、二酸化チタン粒子、酸化ジルコニウム粒子、酸化アルミニウム粒子などが挙げられる。中でもシリカ粒子が好ましい。
上記無機粒子は、HC層形成用硬化性組成物に含まれる有機成分との親和性を高めるために、その表面が有機セグメントを含む表面修飾剤で処理されていることが好ましい。表面修飾剤としては、無機粒子と結合を形成するか無機粒子に吸着し得る官能基と、有機成分と高い親和性を有する官能基を同一分子内に有するものが好ましい。無機粒子に結合または吸着し得る官能基を有する表面修飾剤としては、シラン系表面修飾剤、アルミニウム、チタニウム、ジルコニウム等の金属アルコキシド表面修飾剤や、リン酸基、硫酸基、スルホン酸基、カルボン酸基等のアニオン性基を有する表面修飾剤が好ましい。有機成分との親和性の高い官能基としては、有機成分と同様の親疎水性を有する官能基、有機成分と化学的に結合し得る官能基等が挙げられる。中でも、有機成分と化学的に結合し得る官能基等が好ましく、エチレン性不飽和基または開環重合性基がより好ましい。
好ましい無機粒子表面修飾剤は、金属アルコキシド表面修飾剤またはアニオン性基とエチレン性不飽和基もしくは開環重合性基を同一分子内に有する重合性化合物である。これら表面修飾剤によって無機粒子と有機成分とを化学的に結合させることによりHC層の架橋密度を高めることができ、その結果、前面板の硬度(更にはこの前面板を含む液晶パネルの硬度)を向上させることができる。
上記表面修飾剤の具体例としては、以下の例示化合物S−1〜S−8が挙げられる。
S−1 HC=C(X)COOCSi(OCH
S−2 HC=C(X)COOCOTi(OC
S−3 HC=C(X)COOCOCOC10OPO(OH)
S−4 (HC=C(X)COOCOCOC10O)POOH
S−5 HC=C(X)COOCOSO
S−6 HC=C(X)COO(C10COO)
S−7 HC=C(X)COOC10COOH
S−8 CHCH(O)CHOCSi(OCH
(Xは、水素原子またはメチル基を表す)
表面修飾剤による無機粒子の表面修飾は、溶液中で行うことが好ましい。無機粒子を機械的に分散する際に、一緒に表面修飾剤を存在させるか、無機粒子を機械的に分散した後に表面修飾剤を添加して攪拌するか、または、無機粒子を機械的に分散する前に表面修飾を行って(必要により、加温、乾燥した後に加熱、またはpH(power of hydrogen)変更を行う)、その後に分散を行ってもよい。表面修飾剤を溶解する溶媒としては、極性の大きな有機溶媒が好ましい。具体的には、アルコール、ケトン、エステル等の公知の溶媒が挙げられる。
無機粒子の含有量は、HC層形成用硬化性組成物の全固形分を100質量%とした場合に、5〜40質量%が好ましく、10〜30質量%がより好ましい。無機粒子の一次粒子の形状は、球形、非球形を問わないが、無機粒子の一次粒子は球形であることが好ましく、HC層形成用硬化性組成物を硬化したHC層中において球形の2〜10個の無機粒子(一次粒子)が連結した非球形の2次粒子以上の高次粒子として存在することが更なる硬度向上の観点からより好ましい。
無機粒子の具体的な例としては、ELCOM V−8802(日揮触媒化成製の平均一次粒径15nmの球形シリカ粒子)やELCOM V−8803(日揮触媒化成製の異形シリカ粒子)、MiBK−SD(日産化学工業製平均一次粒径10〜20nmの球形シリカ粒子)、MEK−AC−2140Z(日産化学工業製の平均一次粒径10〜20nmの球形シリカ粒子)、MEK−AC−4130(日産化学工業製の平均一次粒径45nmの球形シリカ粒子)、MiBK−SD−L(日産化学工業製の平均一次粒径40〜50nmの球形シリカ粒子)、MEK−AC−5140Z(日産化学工業製の平均一次粒径85nmの球形シリカ粒子)等を挙げることができる。中でも、日揮触媒化成製ELCOM V−8802が、更なる硬度向上の観点から好ましい。
(ii)マット粒子
HC層形成用硬化性組成物は、マット粒子を含むこともできる。マット粒子とは、平均一次粒径が2μm以上の粒子をいうものとし、無機粒子であっても有機粒子であってもよく、または無機・有機の複合材料の粒子であってもよい。マット粒子の形状は、球形、非球形を問わない。マット粒子の平均一次粒径は、2〜20μmの範囲であることが好ましく、4〜14μmの範囲であることがより好ましく、6〜10μmの範囲であることが更に好ましい。
マット粒子の具体例としては、例えばシリカ粒子、TiO粒子等の無機粒子、架橋アクリル粒子、架橋アクリル−スチレン粒子、架橋スチレン粒子、メラミン樹脂粒子、ベンゾグアナミン樹脂粒子等の有機粒子を挙げることができる。中でも、マット粒子が有機粒子であることが好ましく、架橋アクリル粒子、架橋アクリル−スチレン粒子、架橋スチレン粒子であることがより好ましい。
マット粒子は、HC層形成用硬化性組成物を硬化したHC層における単位体積あたりの含有量として、0.10g/cm以上であることが好ましく、0.10g/cm〜0.40g/cmであることがより好ましく、0.10g/cm〜0.30g/cmであることがより好ましい。
(iii)紫外線吸収剤
HC層形成用硬化性組成物は、紫外線吸収剤を含有することも好ましい。紫外線吸収剤としては、例えば、ベンゾトリアゾール化合物、トリアジン化合物を挙げることができる。ここでベンゾトリアゾール化合物とは、ベンゾトリアゾール環を有する化合物であり、具体例としては、例えば特開2013−111835号公報段落0033に記載されている各種ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤を挙げることができる。トリアジン化合物とは、トリアジン環を有する化合物であり、具体例としては、例えば特開2013−111835号公報段落0033に記載されている各種トリアジン系紫外線吸収剤を挙げることができる。樹脂フィルム中の紫外線吸収剤の含有量は、例えばフィルムに含まれる樹脂100質量部に対して0.1〜10質量部程度であるが、特に限定されるものではない。また、紫外線吸収剤については、特開2013−111835号公報段落0032も参照できる。なお本発明および本明細書における紫外線とは200〜380nmの波長帯域に発光中心波長を有する光をいうものとする。
(iv)含フッ素化合物
HC層形成用硬化性組成物は、レベリング剤および防汚剤等の含フッ素化合物を含有することも好ましい。
レベリング剤としては、含フッ素ポリマーが好ましく用いられる。例えば、特許5175831号に記載されているフルオロ脂肪族基含有ポリマーが挙げられる。またフルオロ脂肪族基含有ポリマーを構成する、一般式(1)で表されるフルオロ脂肪族基含有モノマーの含有量が全重合単位の50質量%以下のフルオロ脂肪族基含有ポリマーをレベリング剤として用いることもできる。
HC層が防汚剤を含むと、指紋や汚れの付着を低減し、また、付着した汚れの拭き取りを容易にすることができる。また、表面のすべり性を向上させる事により耐擦性をより向上させることも可能になる。
防汚剤は、含フッ素化合物を含有することが好ましい。含フッ素化合物は、パーフルオロポリエーテル基および重合性基(好ましくは、ラジカル重合性基)を有することが好ましく、パーフルオロポリエーテル基および重合性基を有し、かつ重合性基を一分子中に複数有することがさらに好ましい。このような構成とすることにより、耐擦性改良という効果をより効果的に発揮させることができる。
尚、本明細書では、防汚剤が、重合性基を有する場合であっても、上記重合性化合物1〜3および上記他の重合性化合物には該当しないものとして扱う。
上記含フッ素化合物は、モノマー、オリゴマーおよびポリマーのいずれであってもよいが、オリゴマー(含フッ素オリゴマー)であることが好ましい。
なお、後述の(vi)その他の成分に記載するリベリング剤および防汚剤も、上記に加えて含有することができる。
本発明で用いることができる防汚剤については、上記の他、特開2012−088699号公報の段落0012〜0101に記載の材料を用いることができ、この公報の内容は本明細書に組み込まれる。
以上説明した防汚剤としては、公知の方法で合成したものを用いてもよく、市販品を用いてもよい。市販品としては、DIC社製のRS−90、RS−78などを好ましく用いることができる。
HC層形成用硬化性組成物が、防汚剤を含有する場合の含有量は、HC層形成用硬化性組成物の固形分の0.01〜7質量%が好ましく、0.05〜5質量%がより好ましく、0.1〜2質量%がさらに好ましい。
HC層形成用硬化性組成物は、防汚剤を、1種のみ含んでいてもよいし、2種以上含んでいてもよい。2種以上含まれている場合、その合計量が上記範囲となることが好ましい。
また、HC層形成用硬化性組成物は、防汚剤を実質的に含まない構成とすることもできる。
(v)溶媒
HC層形成用硬化性組成物は、溶媒を含むことも好ましい。溶媒としては、有機溶媒が好ましく、有機溶媒の1種または2種以上を任意の割合で混合して用いることができる。有機溶媒の具体例としては、例えば、メタノール、エタノール、プロパノール、n−ブタノール、i−ブタノール等のアルコール類;アセトン、メチルイソブチルケトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン類;エチルセロソルブ等のセロソルブ類;トルエン、キシレン等の芳香族類;プロピレングリコールモノメチルエーテル等のグリコールエーテル類;酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチル等の酢酸エステル類;ジアセトンアルコール等が挙げられる。これらの中でも、シクロヘキサノン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトンおよび酢酸メチルが好ましく、シクロヘキサノン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトンおよび酢酸メチルを任意の割合で混合して用いることがより好ましい。このような構成とすることにより、耐擦性、打抜き性および密着性により優れた反射防止積層体が得られる。
HC層形成用硬化性組成物中の溶媒量は、上記組成物の塗布適性を確保できる範囲で適宜調整することができる。例えば、重合性化合物および光重合開始剤の合計量100質量部に対して、溶媒を50〜500質量部とすることができ、好ましくは80〜200質量部とすることができる。
また、HC形成用硬化性組成物の固形分は、10〜90質量%であることが好ましく、50〜80質量%であることがより好ましく、65〜75質量%であることが特に好ましい。
(vi)その他の成分
HC層形成用硬化性組成物は、上記成分に加えて、公知の添加剤の一種以上を任意の量で含むことができる。添加剤としては、表面調整剤、レベリング剤、重合禁止剤、ポリロタキサン等を挙げることができる。それらの詳細については、例えば特開2012−229412号公報の段落0032〜0034を参照できる。また、市販の防汚剤または公知の方法で調製可能な防汚剤を含むこともできる。ただし添加剤はこれらに限らず、HC層形成用硬化性組成物に一般に添加され得る各種添加剤を用いることができる。
HC層形成用硬化性組成物は、以上記載した各種成分を同時に、または任意の順序で順次混合することにより調製することができる。調製方法は特に限定されるものではなく、調製には公知の攪拌機等を用いることができる。
2)2層以上の積層構造
本発明の反射防止積層体は、図1におけるHC層2Aが、少なくとも、第1のHC層、および第2のHC層を、樹脂フィルム1A側から順に有する態様も好ましい。
樹脂フィルム1Aの表面に、第1のHC層が位置していても、間に他の層を有していてもよい。同様に、第1のHC層の表面に、第2のHC層が位置していても、間に他の層を有していてもよい。第1のHC層と第2のHC層の密着性を高める観点からは、第1のHC層の表面に第2のHC層が位置する、すなわち、両層は、膜面の少なくとも一部において接している方が好ましい。
また、第1のHC層および第2のHC層は、それぞれ、1層であっても、2層以上であってもよいが、1層が好ましい。
さらに、詳細を後述するとおり、本発明の反射防止積層体をタッチパネルに用いる場合、上記第2のHC層が画像表示素子の前面側となるように反射防止積層体を配置することが好ましいが、反射防止積層体表面の耐擦性、打抜き性を優れたものにするためには、上記第2のHC層が反射防止積層体の表面側、特に、最表面に配置されることが好ましい。
<第1のHC層、第1のHC層形成用硬化性組成物>
本発明に用いられる第1のHC層は、第1のHC層形成用硬化性組成物から形成される。
第1のHC層形成用硬化性組成物は、ラジカル重合性基を有する重合性化合物1と、同一分子内にカチオン重合性基とラジカル重合性基を有し、かつ重合性化合物1とは異なる重合性化合物2とを含有し、第1のHC層形成用硬化性組成物に含まれる重合性化合物中、重合性化合物2の含有量が51質量%以上である。
(重合性化合物)
重合性化合物1としては、前述のラジカル重合性化合物の記載が好ましく適用され、重合性化合物2としては、前述のカチオン重合性化合物におけるa)成分の記載が好ましく適用される。
また、第1のHC層形成用硬化性組成物は、重合性化合物1とも重合性化合物2とも異なる他の重合性化合物を有していてもよい。
上記他の重合性化合物は、カチオン重合性基を有する重合性化合物であることが好ましい。上記カチオン重合性基としては、重合性化合物2で述べたカチオン重合性基と同義であり、好ましい範囲も同様である。特に、本発明では、他の重合性化合物として、カチオン重合性基を含む、含窒素複素環含有化合物が好ましい。このような化合物を用いることにより、樹脂フィルムと第1のHC層の密着性をより効果的に向上させることができる。含窒素複素環としては、イソシアヌレート環(後述の例示化合物B−1〜B−3に含まれる含窒素複素環)およびグリコールウリル環(後述の例示化合物B−10に含まれる含窒素複素環)からなる群から選ばれる含窒素複素環が例示され、イソシアヌレート環がより好ましい。他の重合性化合物が有するカチオン性基の数は、1〜10が好ましく、2〜5がより好ましい。また、他の重合性化合物として、カチオン重合性基と含窒素複素環構造を有する重合性化合物を用いる場合、樹脂フィルムは、アクリル系樹脂フィルムを含む樹脂フィルムが好ましい。このような構成とすることにより、樹脂フィルムと第1のHC層の密着性がより向上する傾向にある。
他の重合性化合物の具体例としては、前述の例示化合物B−1〜B−14が挙げられるが、本発明は前述の具体例に限定されるものではない。
(その他)
その他、前述の、重合開始剤、無機粒子、マット粒子、紫外線吸収剤、含フッ素化合物、溶媒およびその他の成分の記載を好ましく適用することができる。
特に第1のHC層形成用硬化性組成物は、溶媒を含むことが好ましく、第2のHC層形成用硬化性組成物は、防汚剤を含むことが好ましい。
(HC層の厚み)
HC層の厚みは、10〜40μmが好ましく、15〜40μmがより好ましく、20〜35μmがさらに好ましい。
−HC層の形成方法−
HC層形成用硬化性組成物を、樹脂フィルム上に直接、または易接着層等の他の層を介して、塗布し、活性エネルギー線を照射することにより、HC層を形成することができる。塗布は、ディップコート法、エアーナイフコート法、カーテンコート法、ローラーコート法、ダイコート法、ワイヤーバーコート法、グラビアコート法等の公知の塗布方法により行うことができる。なおHC層は、二種以上の異なる組成の組成物を同時または逐次塗布することにより二層以上(例えば二層〜五層程度)の積層構造のHC層として形成することもできる。
塗布されたHC層形成用硬化性組成物に対して活性エネルギー線照射を行うことにより、HC層を形成できる。例えば、HC層形成用硬化性組成物がラジカル重合性化合物、カチオン重合性化合物、ラジカル光重合開始剤およびカチオン光重合開始剤を含む場合、ラジカル重合性化合物およびカチオン重合性化合物の重合反応を、それぞれラジカル光重合開始剤、カチオン光重合開始剤の作用により開始させ進行させることができる。照射する光の波長は、用いる重合性化合物および重合開始剤の種類に応じて決定すればよい。光照射のための光源としては、150〜450nm波長帯域の光を発する高圧水銀ランプ、超高圧水銀灯、カーボンアーク灯、メタルハライドランプ、キセノンランプ、ケミカルランプ、無電極放電ランプ、LED(Light Emitting Diode)等を挙げることができる。また、光照射量は、通常、30〜3000mJ/cmの範囲であり、好ましくは100〜1500mJ/cmの範囲である。光照射の前および後の一方または両方において、必要に応じて乾燥処理を行ってもよい。乾燥処理は、温風の吹き付け、加熱炉内への配置、加熱炉内での搬送等により行うことができる。HC層形成用硬化性組成物が溶媒を含む場合、加熱温度は、溶媒を乾燥除去できる温度に設定すればよく、特に限定されるものではない。ここで加熱温度とは、温風の温度または加熱炉内の雰囲気温度をいうものとする。
(3)無機酸化物層(AR層)
本発明の反射防止積層体におけるAR層は、反射防止層としての機能を有する層であり、例えば、スパッタリング法、反応性スパッタリング法、蒸着法、イオンプレーティング法、化学蒸着(CVD)法などのドライコーティング方法で形成できる。膜厚均一性が高く、ピンホール等の欠陥が少ないため、視認性に優れ、緻密であり、耐擦傷性などの機械特性に優れた薄膜の形成が可能である、スパッタリング法を用いることが好ましい。中でも、より高い成膜速度と高い放電安定性により高生産性を可能とすることから、中周波領域の電圧印加により成膜を行うデュアル・マグネトロン・スパッタリング(DMS)法が最適である。
なお、スパッタリング法を採用した場合、AR層の積層時の圧力は、0.1〜0.6Paであることが好ましい。その理由は、十分なスパッタリング率および膜密度を得ることができることによる。
AR層は、高屈折率層及び低屈折率層のいずれであってもよく、また、単層であっても、複層であってもよい。
AR層が複層の場合、AR層は高屈折率層及び低屈折率層が交互に積層された層であることが好ましく、AR層の最外層(すなわち、HC層に対して最も反対側に配される層)は低屈折率層であることが好ましい。なかでも、AR層は、高屈折率層及び低屈折率層が交互に積層された4層以上の積層体であって、AR層の最外層が低屈折率層であることが好ましく、AR層の最内層(すなわち、HC層に対して最も近い側に配される層)は高屈折率層であることがより好ましい。
高屈折率層を構成する材料としては、インジウム、錫、チタン、亜鉛、ジルコニウム、ニオブ、マグネシウム、ビスマス、セリウム、タンタル、アルミニウム、ゲルマニウム、カリウム、アンチモン、ネオジウム、ランタン、トリウム及びハフニウム等の金属、及び、これら金属の2種類以上からなる合金、並びに、これらの酸化物、弗化物、硫化物及び窒化物などが挙げられる。具体的には、酸化チタン、酸化ニオブ、酸化ジルコニウム、酸化タンタル、酸化亜鉛、酸化インジウム及び酸化セリウム等が挙げられるがこれに限られるものではない。また、複数積層する場合、必ずしも同じ材料を選択する必要はなく、目的にあわせて、適宜選択すればよい。中でも、スパッタリング法を用いる場合は、作製した薄膜のピンホールの少なさから、酸化ニオブが適している。
低屈折率層を構成する材料としては、酸化珪素、弗化マグネシウム、弗化バリウム、弗化カルシウム、弗化ハフニウム及び弗化ランタン等の材料が挙げられるが、これらに限定されるものでない。また、複数積層する場合、必ずしも同じ材料を選択する必要なく、目的にあわせて、適宜選択すればよい。特に、光学特性、機械強度、コスト及び成膜適正の面などから、酸化珪素が最適な材料である。なお、ここでいう酸化珪素(SiO)とは、主に二酸化珪素(SiO)を示すものである。ただし、酸素が欠乏及び/又は増加することにより、SiOのxは1.8〜2.2の範囲で推移するものである。
AR層の総厚は、100〜300nmが好ましい。十分な反射性能を得る点から上記下限値以上であることが好ましく、生産性の点から上記上限値以下が好ましい。
(4)その他の層
本発明の反射防止積層体は、上記の樹脂フィルム、HC層及びAR層以外に、必要に応じて、防汚層及び粘着層等のその他の層を設けてもよい。
この場合、反射防止積層体の剛性及びヌープ硬度は、樹脂フィルム、HC層及びAR層から構成される積層体の剛性及びヌープ硬度を意味する。
(防汚層)
本発明の反射防止積層体は、AR層の最外層に、防汚層を設けてもよい。防汚層は、真空蒸着法により成膜したフッ素化合物を含む層であることが好ましく、反応性官能基と結合している珪素原子を2つ以上有するフッ素含有珪素化合物を用いて構成された層であることがより好ましい。ここで、反応性官能基とは、AR層の最外層と反応し、結合しうる基を意味する。また、反応性官能基を有するフッ素含有珪素化合物を用い、この反応性官能基同士が反応することにより防汚層が形成されることも好ましい。
防汚層を設けることにより、表面に汚れが付きにくくなり、更に、汚れが付いた場合の拭き取り性能を向上することができる。ここで、防汚層の成膜方法は特に限定されないが、真空蒸着法による成膜方法が好ましい。この方法によれば、連続的に成膜した場合にも、膜厚の均一性良く、成膜することが可能である。
この際、十分な防汚性能を有するためには、少なくとも、水滴接触角が100°以上であることが好ましい。これにより、表面の汚れのふき取り性を向上させることができる。更に、摩擦係数も下がるため、より耐擦傷性能も向上させることもできる。また、防汚層は、スチールウール#0000を使用し、荷重1.5kg/cmで、温度25℃、相対湿度55%の環境下で、10往復擦っても傷が付かないことが耐傷性の点から特に好ましい。
(粘着層)
また、本発明に用いられる樹脂フィルムは、HC層を有する面とは反対側の面に粘着層を有していてもよい。粘着層を有する光学フィルムの一態様として、図2に示すように、粘着層5A、樹脂フィルム1A、HC層2A、AR層3Aがこの順に積層された構成を有する本発明の光学フィルム4Bが挙げられる。
上記粘着層は、その材質は特に限定されず、粘着剤でも接着剤でもよく、例えば、アクリル系粘着剤、ウレタン系粘着剤、合成ゴム系粘着剤、天然ゴム系粘着剤およびシリコン系粘着剤が挙げられ、アクリル系粘着剤が好ましい。なかでも、生産性の観点から、電離放射線硬化基を含有し、電離放射線硬化性であることが好ましい。
粘着層は、厚みが100μm以下が好ましく、50μm以下がより好ましく、15μm以下がさらに好ましい。
以下、具体的態様として、アクリル系粘着剤を含む粘着層について説明するが、本発明は下記具体的態様に限定されるものではない。
(粘着層の具体的態様)
アクリル系粘着剤の一例としては、重量平均分子量が50万〜300万の(メタ)アクリル酸エステル重合体Aを少なくとも含むか、または上記(メタ)アクリル酸エステル重合体Aと重量平均分子量が8000〜30万の(メタ)アクリル酸エステル重合体Bとが架橋した成分を含むアクリル系粘着剤を挙げることができる。(メタ)アクリル酸エステル重合体Aと(メタ)アクリル酸エステル重合体Bの中で、重量平均分子量がより小さい(メタ)アクリル酸エステル重合体Bが占める割合を増すことにより粘着層の応力緩和率を高くすることができ、その割合を減らすことにより粘着層の応力緩和率を低くすることができる。上記成分において、(メタ)アクリル酸エステル重合体Aを100質量部として、(メタ)アクリル酸エステル重合体Bの占める割合は、5〜50質量部の範囲であることが好ましく、10〜30質量部の範囲であることがより好ましい。
上記成分に含まれる(メタ)アクリル酸エステル重合体Aおよび(メタ)アクリル酸エステル重合体Bの詳細については、特開2012−214545号公報段落0020〜0046を参照できる。更に、これらを架橋する架橋剤の詳細については、特開2012−214545号公報段落0049〜0058を参照できる。
上記アクリル系粘着剤は、シランカップリング剤を含むことができ、含むことが好ましい。シランカップリング剤の詳細については、特開2012−214545号公報段落0059〜0061を参照できる。更に、上記アクリル系粘着剤の調製方法および任意に含まれ得る添加剤や溶媒の詳細については、特開2012−214545号公報段落0062〜0071を参照できる。
一態様では、上記アクリル系粘着剤は、この粘着剤を剥離処理が施された剥離シートの剥離処理面に塗布、乾燥し、粘着層を形成し、粘着層含む粘着シートを形成することができる。この粘着シートの粘着層を上記樹脂フィルムに貼り合せることで、粘着層を有する反射防止積層体を形成することができる。
(5)反射防止積層体を有する物品
本発明の反射防止積層体を含む物品としては、家電業界、電気電子業界、自動車業界、住宅業界をはじめとする様々な産業界において、反射防止機能を有し、荷重に伴うキーボード写りの抑制、並びに、耐擦性を向上することが求められる各種物品を挙げることができる。具体例としては、ノートPC、タッチセンサ、タッチパネル、液晶表示装置等の画像表示装置、自動車の窓ガラス、住居の窓ガラス等を挙げることができる。これら物品に、好ましくは反射防止フィルムとして本発明の反射防止積層体を設けることにより、反射防止機能を有し、荷重に伴うキーボード写りが十分に抑制され、優れた耐擦性を示す物品を提供することが可能となる。本発明の反射防止積層体は、画像表示装置用の前面板に用いられる反射防止積層体として好ましく用いられ、より好ましくはノートPCの画像表示素子の前面板及びタッチパネルの画像表示素子の前面板に用いられる反射防止積層体として、さらに好ましくはノートPCの画像表示素子の前面板に用いられる反射防止積層体として用いられる。
本発明の反射防止積層体を用いることができるノートPCは特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
本発明の反射防止積層体を用いることができるタッチパネルは特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、表面型静電容量式タッチパネル、投影型静電容量式タッチパネル、抵抗膜式タッチパネルなどが挙げられる。詳細については、後述する。
なお、タッチパネルとは、いわゆるタッチセンサを含むものとする。タッチパネルにおけるタッチパネルセンサー電極部の層構成が、2枚の透明電極を貼合する貼合方式、1枚の基板の両面に透明電極を具備する方式、片面ジャンパーあるいはスルーホール方式あるいは片面積層方式のいずれでもよい。
<<画像表示装置>>
本発明の反射防止積層体を有する画像表示装置は、本発明の反射防止積層体を有する前面板と、画像表示素子とを有する画像表示装置である。
画像表示装置としては、液晶表示装置(Liquid Crystal Display;LCD)、プラズマディスプレイパネル、エレクトロルミネッセンスディスプレイ、陰極管表示装置およびタッチパネルのような画像表示装置に用いることができる。
液晶表示装置としては、TN(Twisted Nematic)型、STN(Super−Twisted Nematic)型、TSTN(Triple Super Twisted Nematic)型、マルチドメイン型、VA(Vertical Alignment)型、IPS(In Plane Switching)型、OCB(Optically CompensatedBend)型等が挙げられる。
画像表示装置は、脆性が改良されハンドリング性に優れ、表面平滑性やシワによる表示品位を損なう事が無く、湿熱試験時の光漏れを低減できることが好ましい。
すなわち、本発明の反射防止積層体を有する画像表示装置は、画像表示素子が液晶表示素子であることが好ましい。液晶表示素子を有する画像表示装置としては、ソニーエリクソン社製、エクスペリアPなどを挙げることができる。
本発明の反射防止積層体を有する画像表示装置は、画像表示素子が有機エレクトロルミネッセンス(Electroluminescence;EL)表示素子であることも好ましい。
有機エレクトロルミネッセンス表示素子は、公知技術を、何ら制限なく適用することができる。有機エレクトロルミネッセンス表示素子を有する画像表示装置としては、SAMSUNG社製、GALAXY SIIなどを挙げることができる。
本発明の反射防止積層体を有する画像表示装置は、画像表示素子がインセル(In−Cell)タッチパネル表示素子であることも好ましい。インセルタッチパネル表示素子とは、タッチパネル機能を画像表示素子セル内に内蔵したものである。
インセルタッチパネル表示素子は、例えば、特開2011−76602号公報、特開2011−222009号公報等の公知技術を、何ら制限なく適用することができる。インセルタッチパネル表示素子を有する画像表示装置としては、ソニーエリクソン社製、エクスペリアPなどを挙げることができる。
また、本発明の反射防止積層体を有する画像表示装置は、画像表示素子がオンセル(On−Cell)タッチパネル表示素子であることも好ましい。オンセルタッチパネル表示素子とは、タッチパネル機能を画像表示素子セル外に配置したものである。
オンセルタッチパネル表示素子は、例えば、特開2012−88683号公報等の公知技術を、何ら制限なく適用することができる。オンセルタッチパネル表示素子を有する画像表示装置としては、SAMSUNG社製、GALAXY SIIなどを挙げることができる。
<<タッチパネル>>
本発明の反射防止積層体を有するタッチパネルは、本発明の反射防止積層体にタッチセンサーフィルムを貼り合わせてタッチセンサを含むタッチパネルである。本発明の反射防止積層体はHC層を有するため、HC層が配置された面とは反対側の樹脂フィルム面にタッチセンサーフィルムを貼り合わせることが好ましい。
タッチセンサーフィルムとしては特に制限はないが、導電層が形成された導電性フィルムであることが好ましい。
導電性フィルムは、任意の支持体の上に導電層が形成された導電性フィルムであることが好ましい。
導電層の材料としては特に制限されるものではなく、例えば、インジュウム・スズ複合酸化物(Indium Tin Oxide;ITO)、スズ酸化物およびスズ・チタン複合酸化物(Antimony Tin Oxide;ATO)、銅、銀、アルミニウム、ニッケル、クロムやこれらの合金などがあげられる。
導電層は、電極パターンであることが好ましい。また、透明電極パターンであることも好ましい。電極パターンは透明導電材料層をパターニングしたものでもよく、不透明な導電材料の層をパターン形成したものでもよい。
透明導電材料としてはITOやATOなどの酸化物、銀ナノワイヤ、カーボンナノチューブ、導電性高分子等を用いることができる。
不透明な導電材料の層としては例えば金属層が挙げられる。金属層としては導電性を持った金属であれば使用可能であり、銀、銅、金、アルミニウム等が好適に用いられる。金属層は単体の金属や合金であってもよく、金属粒子が結着材により結着されたものでもよい。又、必要に応じて、金属表面に対し黒化処理や防錆処理が適用される。金属を用いる場合は、実質透明なセンサー部と周辺の配線部を一括形成することが可能である。
導電層が、複数の金属細線を含むことが好ましい。
金属細線が銀または銀を含む合金からなることが好ましい。金属細線が銀または銀を含む合金からなる導電層としては特に制限は無く、公知の導電層を用いることができる。例えば、特開2014−168886号公報の段落0040〜0041に記載の導電層を用いることが好ましく、この公報の内容は本明細書に組み込まれる。
金属細線が銅または銅を含む合金からなることも好ましい。上記合金は、特に制限は無く、公知の導電層を用いることができる。例えば、特開2015−49852号公報の段落0038〜0059に記載の導電層を用いることが好ましく、この公報の内容は本明細書に組み込まれる。
導電層が酸化物からなることも好ましい。導電層が酸化物からなる場合、酸化物が酸化スズを含有する酸化インジウムまたはアンチモンを含有する酸化スズからなることがより好ましい。導電層が酸化物からなる導電層としては特に制限は無く、公知の導電層を用いることができる。例えば、特開2010−27293号公報の段落0017〜0037に記載の導電層を用いることが好ましく、この公報の内容は本明細書に組み込まれる。
これらの構成の導電層の中でも、導電層が、複数の金属細線を含み、金属細線がメッシュ状もしくはランダム状に配置されていることが好ましく、金属細線がメッシュ状に配置されていることがより好ましい。その中でも、金属細線がメッシュ状に配置されており、金属細線が銀または銀を含む合金からなることが特に好ましい。
タッチセンサーフィルムは、両面に導電層を有することも好ましい。
タッチセンサーフィルムの好ましい態様については、特開2012−206307号公報の段落0016〜0042に記載があり、この公報の内容は本明細書に組み込まれる。
<<抵抗膜式タッチパネル>>
本発明の反射防止積層体を有する抵抗膜式タッチパネルは、本発明の反射防止積層体を有する前面板を有する抵抗膜式タッチパネルである。
抵抗膜式タッチパネルは、導電性膜を有する上下1対の基板の導電性膜同士が対向するようにスペーサーを介して配置された基本構成からなるものである。なお抵抗膜式タッチパネルの構成は公知であり、本発明では公知技術を何ら制限なく適用することができる。
<<静電容量式タッチパネル>>
本発明の反射防止積層体を有する静電容量式タッチパネルは、本発明の反射防止積層体を有する前面板を有する静電容量式タッチパネルである。
静電容量式タッチパネルの方式としては、表面型静電容量式、投影型静電容量式等が挙げられる。投影型の静電容量式タッチパネルは、X軸電極と、X電極と直交するY軸電極とを絶縁体を介して配置した基本構成からなる。具体的態様としては、X電極およびY電極が、1枚の基板上の別々の面に形成される態様、1枚の基板上にX電極、絶縁体層、Y電極を上記順で形成する態様、1枚の基板上にX電極を形成し、別の基板上にY電極を形成する態様(この態様では、2枚の基板を貼り合わせた構成が上記基本構成となる)等が挙げられる。なお静電容量式タッチパネルの構成は公知であり、本発明では公知技術を何ら制限なく適用することができる。
図3に、静電容量式タッチパネルの実施形態の構成の一例を示す。タッチパネル2は表示装置と組み合わせて使用される。表示装置は、図3の保護層7B側、すなわち、表示装置側に配置されて使用される。図3において、本発明の反射防止積層体4C側が、視認側(すなわち、タッチパネルの操作者が表示装置の画像を視認する側)である。本発明の反射防止積層体4Cは、タッチパネル用導電フィルム1に貼り合せて用いられる。タッチパネル用導電フィルム1は、可撓性の透明絶縁基板5の両面上にそれぞれ導電部材6A(第1導電層8)および導電部材6B(第2導電層9)を有している。導電部材6Aおよび導電部材6Bは、それぞれ後述するタッチパネルとしての電極、周辺配線、外部接続端子、コネクタ部とを少なくとも構成する。
また、図3に示すように、平坦化または、導電部材6Aおよび6Bを保護する目的で、導電部材6Aおよび導電部材6Bを覆うように透明な保護層7Aおよび保護層7Bが配置されていてもよい。
反射防止積層体4Cには、後述する周辺領域S2を遮光する加飾層を形成してもよい。
透明絶縁基板5の材質としては、例えば、ガラス、PET(ポリエチレンテレフタレート)、PEN(ポリエチレンナフタレート)、COP(シクロオレフィンポリマー)、COC(シクロオレフィンポリマー)、PC(ポリカーボネート)等が使用できる。また、透明絶縁基板5の厚さは20〜200μmが好ましい。
反射防止積層体4Cとタッチパネル用導電フィルム1との間には、粘着層3を設けてもよく、粘着層3としては、光学透明粘着シート(Optical Clear Adhesive)または光学透明粘着樹脂(Optical Clear Resin)が使用できる。粘着層3の好ましい厚みは10〜100μmである。光学透明粘着シートとしては、一般的には、例えば3M社製の8146シリーズが好ましく使用できる。粘着層の比誘電率の好ましい値は4.0〜6.0であり、より好ましくは5.0〜6.0である。
保護層7Aおよび保護層7Bとしては、例えば、ゼラチン、アクリル樹脂、ウレタン樹脂等の有機膜、および、二酸化シリコン等の無機膜を使用できる。厚みは、10nm以上100nm以下が好ましい。比誘電率は、2.5〜4.5が好ましい。
保護層7Aおよび保護層7B中のハロゲン不純物の濃度は、50ppm以下であることが好ましく、ハロゲン不純物は含有しないことがより好ましい。この態様によれば、導電部材6Aおよび導電部材6Bの腐食を抑制できる。
図4に示されるように、タッチパネル用導電フィルム1には、透明なアクティブエリアS1が区画されると共に、アクティブエリアS1の外側に周辺領域S2が区画されている。
アクティブエリアS1内には、透明絶縁基板5の表面(第1面)上に形成された第1導電層8と透明絶縁基板5の裏面(第2面)上に形成された第2導電層9とが互いに重なるように配置されている。なお、第1導電層8および第2導電層9は、透明絶縁基板5を介して、互いに絶縁された状態で配置されている。
透明絶縁基板5の表面上の第1導電層8により、それぞれ第1の方向D1に沿って延び且つ第1の方向D1に直交する第2の方向D2に並列配置された複数の第1電極11が形成され、透明絶縁基板5の裏面上の第2導電層9により、それぞれ第2の方向D2に沿って延び且つ第1の方向D1に並列配置された複数の第2電極21が形成されている。
これら複数の第1電極11および複数の第2電極21は、タッチパネル2の検出電極を構成するものである。第1電極11および第2電極21の電極幅は1〜5mmが好ましく、電極間ピッチは3〜6mmであることが好ましい。
一方、周辺領域S2における透明絶縁基板5の表面上に、複数の第1電極11に接続された複数の第1周辺配線12が形成され、透明絶縁基板5の縁部に複数の第1外部接続端子13が配列形成されると共に、それぞれの第1電極11の両端に第1コネクタ部14が形成されている。第1コネクタ部14に、対応する第1周辺配線12の一端部が接続され、第1周辺配線12の他端部は、対応する第1外部接続端子13に接続されている。
同様に、周辺領域S2における透明絶縁基板5の裏面上に、複数の第2電極21に接続された複数の第2周辺配線22が形成され、透明絶縁基板5の縁部に複数の第2外部接続端子23が配列形成されると共に、それぞれの第2電極21の両端に第2コネクタ部24が形成されている。第2コネクタ部24に、対応する第2周辺配線22の一端部が接続され、第2周辺配線22の他端部は、対応する第2外部接続端子23に接続されている。
タッチパネル用導電フィルム1は、透明絶縁基板5の表面上に第1電極11、第1周辺配線12、第1外部接続端子13および第1コネクタ部14を含む導電部材6Aを有すると共に、透明絶縁基板5の裏面上に第2電極21、第2周辺配線22、第2外部接続端子23および第2コネクタ部24を含む導電部材6Bを有する。
図4において、第1電極11と第1周辺配線12とは、第1コネクタ部14を介して接続されているが、第1コネクタ部14を設けずに第1電極11と第1周辺配線12とを直接接続する構成でもよい。また、同じく第2コネクタ部24を設けずに第2電極21と第2周辺配線22とを直接接続する構成でもよい。
第1コネクタ部14および第2コネクタ部24を設けることで、電極と周辺配線との接続箇所での電気的導通を良くすることができる効果がある。特に、電極と周辺配線の材料が異なる場合は、第1コネクタ部14および第2コネクタ部24を設けることが好ましい。第1コネクタ部14および第2コネクタ部24の幅は、それぞれ接続される電極の幅の1/3以上、電極の幅以下であることが好ましい。第1コネクタ部14および第2コネクタ部24の形状はベタ膜形状でもよいし、国際公開WO2013/089085号公報に示されているような枠形状、またはメッシュ形状でもよい。
第1周辺配線12および第2周辺配線22の配線幅は10μm以上200μm以下であり、最小配線間隔(最小配線間距離)は20μm以上100μm以下であることが好ましい。
各周辺配線は、ウレタン樹脂、アクリル樹脂、エポキシ樹脂等からなる保護絶縁膜で覆ってもよい。保護絶縁膜を設けることにより、周辺配線のマイグレーション、錆び等を防止できる。なお、周辺配線の腐食を引きこす可能性があるので、絶縁膜中にはハロゲン不純物を含有しないことが好ましい。保護絶縁膜の厚みは1〜20μmが好ましい。
タッチパネル用導電フィルム1をタッチパネルとして使用する場合、第1外部接続端子13と第2外部接続端子23とは異方性導電フィルム(Anisotropic Conductive Film)を介してフレキブル配線基板(Flexible Printed Circuits)と電気的に接続される。フレキシブル配線基板は、駆動機能と位置検出機能とを有するタッチパネル制御基板に接続される。
第1外部接続端子13と第2外部接続端子23はフレキシブル配線基板との電気接続性を良くする目的で、第1周辺配線12および第2周辺配線22の配線幅より大きい端子幅で形成される。具体的には、第1外部接続端子13と第2外部接続端子23の端子幅は0.1mm以上0.6mm以下が好ましく、端子長さは0.5mm以上2.0mm以下が好ましい。
なお、透明絶縁基板5は、第1面、および、第1面と対向する第2面を有する基板に該当し、第1面(表面)上に第1導電層8が配置され、第2面(裏面)上に第2導電層9が配置される。なお、図3では、透明絶縁基板5と第1導電層8および第2導電層9とが直接接している形状で示しているが、透明絶縁基板5と第1導電層8および第2導電層9との間に、密着強化層、下塗層、ハードコート層、光学調整層等の機能層を一層以上形成することもできる。
図5に、第1電極11と第2電極21との交差部を示す。透明絶縁基板5の表面上に配置された第1電極11は、第1金属細線15からなるメッシュパターンM1により形成されており、透明絶縁基板5の裏面上に配置された第2電極21も、第2金属細線25からなるメッシュパターンM2により形成されている。そして、第1電極11と第2電極21との交差部において、視認側から見たときに、第1金属細線15と第2金属細線25とが互いに交差するように配置されている。なお、図5では、第1金属細線15と第2金属細線25との区別を分かりやすくするために、第2金属細線25を点線で示しているが、実際は第1金属細線15と同様に接続された線で形成されている。
メッシュパターンの形状としては、図5のような同一のメッシュ(定形セル)が繰り返し配置されたパターンが好ましく、メッシュの形状はひし形が特に好ましいが、平行四辺形、正方形、長方形等の四角形でも良く、正六角形や他の多角形であってもよい。ひし形の場合、そのひし形の狭角角度は20°以上70°以下であることが表示装置の画素とのモアレ低減の観点から好ましい。メッシュの中心間距離(メッシュピッチ)は100〜600μmであることが視認性の観点から好ましい。第1金属細線15からなるメッシュパターンM1と第2金属細線25からなるメッシュパターンM2が同一形状であることが好ましい。さらに、図5のように、第1金属細線15からなるメッシュパターンM1と第2金属細線25からなるメッシュパターンM2とを、メッシュピッチ半分相当の距離だけずらして配置し、視認側からはメッシュピッチが半分になるメッシュパターンを形成するように配置することが、視認性の観点から好ましい。別の形態としては、メッシュの形状はランダムなパターン、または特開2013−214545号公報に示されているようなひし形の定形セルのピッチに10%程度のランダム性を付与するような、定形セル形状にある一定のランダム性を付与したセミランダム形状であってもよい。
また、互いに隣り合う第1電極11の間、互いに隣り合う第2電極21の間に、それぞれ第1金属細線15、第2金属細線25で形成された電極と絶縁されたダミーメッシュパターンを有していてもよい。ダミーメッシュパターンは、電極を形成するメッシュパターンと同一のメッシュ形状で形成することが好ましい。
タッチパネル2と表示装置とを貼り合わせる方法は、透明な粘着剤を用いて直接貼り合わせる方式(ダイレクトボンディング方式)、または、両面テープを用いてタッチパネル2と表示装置との周辺のみを貼り合わせる方式(エアギャップ方式)があるが、どちらの方式でもよい。タッチパネル2と表示装置とを貼り合わせる際には、導電部材6B上または保護層7B上に別途保護フィルムを設けてもよい。保護フィルムは、例えばハードコート付きPETフィルム(厚み20〜150μm)が使用され、光学透明粘着シート(Optical Clear Adhesive)を用いて、導電部材6B上または保護層7B上に貼り付けられる構成を採用できる。
ダイレクトボンディング方式に使用される透明な粘着剤は前述の透明な粘着層と同じく、光学透明粘着シート(Optical Clear Adhesive)または光学透明粘着樹脂(Optical Clear Resin)が使用でき、好ましい厚みは10μm以上100μm以下である。光学透明粘着シートとしては、例えば同じく3M社製の8146シリーズが好ましく使用できる。ダイレクトボンディング方式に使用される透明な粘着剤の比誘電率は、前述の透明な粘着層の比誘電率より小さいものを使用することがタッチパネル2の検出感度を向上させる点で好ましい。ダイレクトボンディング方式に使用される透明な粘着剤の比誘電率の好ましい値は、2.0〜3.0である。
また、本発明の効果がより優れる点で、第1金属細線15の視認側の表面、および、第2金属細線25の視認側の表面のそれぞれの可視光反射率は5%以下であることが好ましい。さらに、1%未満であることがより好ましい。可視光反射率は本範囲にすることにより、メッシュ見え低減やヘイズ低減を効果的にできる。
上記可視光反射率の測定方法としては、以下のようにして測定する。先ず、日本分光社製紫外可視分光光度計V660(1回反射測定ユニットSLM−721)を使用し、測定波長350nmから800nm、入射角5度で反射スペクトルを測定する。なお、アルミ蒸着平面鏡の正反射光をベースラインとする。得られた反射スペクトルからXYZ表色系D65光源2度視野のY値(等色関数JIS Z9701−1999)を、日本分光社製色彩計算プログラムを用いて計算し、可視光反射率とする。
第1金属細線15および第2金属細線25を構成する材料としては、銀、アルミニウム、銅、金、モリブデン、クロム等の金属およびそれらの合金を用いることができ、これらを単層または積層体として用いることができる。金属細線のメッシュ見えおよびモアレの低減の観点から、第1金属細線15および第2金属細線25の線幅は0.5μm以上5μm以下であることが好ましい。第1金属細線15および第2金属細線25は、直線、折線、曲線、または、波線形状でもよい。また、第1金属細線15および第2金属細線25の厚みは、抵抗値の観点から0.1μm以上であり、斜め方向からの視認性の観点から3μm以下であることが好ましい。より好ましい厚みは、金属細線の線幅に対して1/2以下であることが、斜め方向からの視認性の観点およびパターニング加工性の観点からより好ましい。さらに、第1金属細線15および第2金属細線25の可視光反射率低減の為、第1金属細線15および第2金属細線25の視認側に黒化層を設けてもよい。
第1金属細線15を構成する材料で、第1電極11、第1周辺配線12、第1外部接続端子13および第1コネクタ部14を含む導電部材6Aを形成することができる。よって、第1電極11、第1周辺配線12、第1外部接続端子13および第1コネクタ部14を含む導電部材6Aはすべて同じ金属で同じ厚みで形成され、同時形成することができる。
第2電極21、第2周辺配線22、第2外部接続端子23および第2コネクタ部24を含む導電部材6Bに関しても同様である。
第1電極11と第2電極21のシート抵抗は0.1Ω/□以上200Ω/□以下であることが好ましく、特に投影型静電容量式タッチパネルに使用する場合は10Ω/□以上100Ω/□以下であることが好ましい。
なお、図6に示されるように、アクティブエリアS1内における透明絶縁基板5の表面上に配置されている第1導電層8は、複数の第1電極11の間にそれぞれ配置された複数の第1ダミー電極11Aを有していてもよい。これらの第1ダミー電極11Aは、複数の第1電極11から絶縁されており、第1電極11と同様に、多数の第1セルC1で構成された第1メッシュパターンM1を有している。
なお、第1電極11と隣接する第1ダミー電極11Aとは、連続的な第1メッシュパターンM1に沿って配置された金属細線に幅5μm以上30μm以下の断線を設けることにより、電気的に絶縁している。図6は、第1電極11と隣接する第1ダミー電極11Aとの境界線のみに断線を形成した形状であるが、第1ダミー電極11A内の第1セルC1の辺の全てに、または部分的に断線を形成してもよい。
また、図示しないが、アクティブエリアS1内における透明絶縁基板5の裏面上に配置されている第2導電層9は、複数の第2電極21の間にそれぞれ配置された複数の第2ダミー電極を有していてもよい。これらの第2ダミー電極は、複数の第2電極21から絶縁されており、第2電極21と同様に、多数の第2セルC2で構成された第2メッシュパターンM2を有している。
なお、第2電極21と隣接する第2ダミー電極とは、連続的な第2メッシュパターンM2に沿って配置された金属細線に幅5μm以上30μm以下の断線を設けることにより、電気的に絶縁している。第2電極21と隣接する第1ダミー電極との境界線のみに断線を形成した形状でもよいが、第2ダミー電極内の第2セルC2の辺の全てに、または部分的に断線を形成してもよい。
上述したように、タッチパネル用導電フィルム1は、透明絶縁基板5の表面上に第1電極11、第1周辺配線12、第1外部接続端子13および第1コネクタ部14を含む導電部材6Aを形成すると共に、透明絶縁基板5の裏面上に第2電極21、第2周辺配線22、第2外部接続端子23および第2コネクタ部24を含む導電部材6Bを形成することにより製造される。
このとき、第1電極11は、第1メッシュパターンM1に沿って第1金属細線15が配置された第1導電層8からなり、第2電極21は、第2メッシュパターンM2に沿って第2金属細線25が配置された第2導電層9からなり、第1導電層8と第2導電層9とが透明絶縁基板5を挟んで図4のようにアクティブエリアS1内で互いに重なるように配置されるものとする。
これら導電部材6Aおよび導電部材6Bの形成方法は、特に限定されるものではない。例えば、特開2012−185813号公報の<0067>〜<0083>、特開2014−209332号公報の<0115>〜<0126>、または、特開2015−5495号公報の<0216>〜<0215>に記載されているように感光性ハロゲン化銀塩を含有する乳剤層を有する感光材料を露光し、現像処理を施すことによって、導電部材6Aおよび6Bを形成することができる。
また、透明絶縁基板5の表面および裏面に、それぞれ金属薄膜を形成し、各金属薄膜にレジストをパターン状に印刷するか、または、全面塗布したレジストを露光し、現像することでパターン化して、開口部の金属をエッチングすることにより、これらの導電部材を形成することもできる。さらに、これ以外にも、導電部材を構成する材料の微粒子を含むペーストを透明絶縁基板5の表面および裏面に印刷してペーストに金属めっきを施す方法、導電部材を構成する材料の微粒子を含むインクを用いたインクジェット法を用いる方法、導電部材を構成する材料の微粒子を含むインクをスクリーン印刷で形成する方法、透明絶縁基板5に溝を形成し、その溝に導電インクを塗布する方法、マイクロコンタクト印刷パターニング法等を用いることができる。
なお、上記では、透明絶縁基板5の表面上に第1電極11、第1周辺配線12、第1外部接続端子13および第1コネクタ部14を含む導電部材6Aを配置すると共に、透明絶縁基板5の裏面上に第2電極21、第2周辺配線22、第2外部接続端子23および第2コネクタ部24を含む導電部材6Bを配置しているが、これに限るものではない。
例えば、透明絶縁基板5の一方の面側に、導電部材6Aと導電部材6Bが層間絶縁膜を介して配置される構成とすることもできる。
さらに、2枚基板の構成とすることもできる。すなわち、第1透明絶縁基板の表面上に導電部材6Aを配置し、第2透明絶縁基板の表面上に導電部材6Bを配置し、これら第1透明絶縁基板および第2透明絶縁基板を、光学透明粘着シート(Optical Clear Adhesive)を用いて貼り合わせて使用することもできる。
さらに、透明絶縁基板5を用いずに、図3に示した反射防止積層体4Cの表面上に導電部材6Aと導電部材6Bが層間絶縁膜を介して配置される構成としてもよい。
静電容量式タッチパネルの電極パターンの形状としては、図4に示す、所謂バーアンドストライプの電極パターン形状以外にも、例えば国際公開WO2010/012179号公報の図16に開示されているダイヤモンドパターン、国際公開WO2013/094728号公報の図7または図20に開示されている電極パターン形状にも適用できることはもちろんのこと、他の形状の静電容量式タッチパネルの電極パターンにも適用できる。
また、US2012/0262414号公報等に開示されている交差部がない電極構成のように検出電極が基板の片側にしかない構成のタッチパネルにも適用できる。
さらに、タッチパネルは他の機能フィルムとの組合せとの使用も可能である、特開2014−13264号公報に開示されている高レタレーション値を有する基板を用いたニジムラを防止する画像品位向上用機能フィルム、特開2014−142462号公報に開示されているタッチパネルの電極の視認性改善の為の円偏光板との組合せ等も可能である。
<<偏光板>>
また、本発明の反射防止積層体を含む物品としては、偏光板が挙げられる。
本発明の偏光板は、本発明の反射防止積層体と偏光子を有する。本発明の反射防止積層体において、樹脂フィルムのHC層及びAR層を有する側とは反対側の面に、偏光子を有する。
より具体的には、偏光子とその両側に配置された保護フィルムとからなる偏光板の、その保護フィルムの一方又は両方として、本発明の反射防止積層体を用いることができる。本発明の反射防止積層体を用いることにより、反射防止機能を有し、荷重に伴うキーボード写りが十分に抑制され、優れた耐擦性を示す偏光板を提供可能になる。
一方の保護フィルムとして本発明の反射防止積層体を用い、他方の保護フィルムには、通常のセルロースアセテートフィルムを用いてもよい。この場合、その他方の保護フィルムには、溶液製膜法で製造され、かつ10〜100%の延伸倍率でロールフィルム形態における幅方向に延伸したセルロースアセテートフィルムを用いることが好ましい。
また、偏光子の2枚の保護フィルムのうち、本発明の反射防止積層体以外のフィルムが、光学異方性層を含んでなる光学補償層を有する光学補償フィルムであることも好ましい態様である。光学補償フィルム(位相差フィルム)は、液晶表示画面の視野角特性を改良することができる。光学補償フィルムとしては、公知のものを用いることができるが、視野角を広げるという点では、特開2001−100042号公報に記載されている光学補償フィルムが好ましい。
偏光子には、ヨウ素系偏光子、2色性染料を用いる染料系偏光子やポリエン系偏光子がある。ヨウ素系偏光子および染料系偏光子は、一般にポリビニルアルコール系フィルムを用いて製造する。
また偏光子としては、公知の偏光子や、偏光子の吸収軸が長手方向に平行でも垂直でもない長尺の偏光子から切り出された偏光子を用いてもよい。偏光子の吸収軸が長手方向に平行でも垂直でもない長尺の偏光子は以下の方法により作製される。
すなわち、連続的に供給されるポリビニルアルコール系フィルムなどのポリマーフィルムの両端を保持手段により保持しつつ張力を付与して延伸して、少なくともフィルム幅方向に1.1〜20.0倍に延伸する。その後、フィルム両端の保持装置の長手方向進行速度差が3%以内で、フィルム両端を保持する工程の出口におけるフィルム搬送方向とフィルムの実質延伸方向とのなす角が20〜70°傾斜するように、フィルム搬送方向を、フィルム両端を保持させた状態で屈曲させてなる延伸方法によって製造することができる。特にフィルム両端を保持する工程の出口におけるフィルム搬送方向とフィルムの実質延伸方向とのなす角を45°傾斜させてなる延伸方法が、生産性の観点から好ましく用いられる。
ポリマーフィルムの延伸方法については、特開2002−86554号公報の段落0020〜0030の記載を適用することができる。
以下に、実施例に基づき本発明についてさらに詳細に説明する。なお、本発明がこれにより限定して解釈されるものではない。以下の実施例において組成を表す「部」及び「%」は、特に断らない限り質量基準である。
<実施例>
<1−1.樹脂フィルム(厚み100μmのTACフィルム)の作製>
外層/コア層/外層の3層のセルロースアシレートの積層フィルムを、以下の方法により作製した。
(1)コア層セルロースアシレートドープ液の調製
下記の組成物をミキシングタンクに投入して撹拌し、コア層セルロースアシレートドープ溶液を調製した。
−−−−−−−−−−−−−−−−−
コア層セルロースアシレートドープ液
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・アセチル置換度2.88、重量平均分子量260,000のセルロースアセテート
100質量部
・下記構造のフタル酸エステルオリゴマーA 10質量部
・下記式Iで表される化合物(A−1) 4質量部
・下記式IIで表される紫外線吸収剤(BASF社製) 2.7質量部
・光安定剤(BASF社製、商品名:TINUVIN123) 0.18質量部
・N−アルケニルプロピレンジアミン3酢酸(ナガセケムテックス社製、商品名:テークランDO) 0.02質量部
・メチレンクロライド(第1溶媒) 430質量部
・メタノール(第2溶媒) 64質量部
−−−−−−−−−−−−−−−−−
使用した化合物を以下に示す。
フタル酸エステルオリゴマーA(重量平均分子量:750)
下記式Iで表される化合物(A−1)
式I:
式IIで表される紫外線吸収剤式II:
(2)外層セルロースアシレートドープ液の調製
上記のコア層セルロースアシレートドープ液90質量部に下記の無機粒子含有組成物を10質量部加え、外層セルロースアシレートドープ液を調製した。
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無機粒子含有組成物
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平均一次粒径20nmのシリカ粒子(日本アエロジル社製、商品名:AEROSIL R972) 2質量部
メチレンクロライド(第1溶媒) 76質量部
メタノール(第2溶媒) 11質量部
コア層セルロースアシレートドープ液 1質量部
−−−−−−−−−−−−−−−
(3)樹脂フィルムの作製
外層セルロースアシレートドープ液がコア層セルロースアシレートドープ液の両側に配されるように、外層セルロースアシレートドープ液、コア層セルロースアシレートドープ液、および外層セルロースアシレートドープ液の3種を、流延口から表面温度20℃の流延バンド上に同時に流延した。
流延バンドとして幅2.1mで長さが70mのステンレス製のエンドレスバンドを利用した。流延バンドは、厚みが1.5mm、表面粗さが0.05μm以下になるように研磨した。その材質はSUS316製であり、十分な耐腐食性と強度を有する流延バンドを用いた。流延バンドの全体の厚みムラは0.5%以下であった。
得られた流延膜に、風速が8m/s、ガス濃度が16%、温度が60℃の急速乾燥風を流延膜表面に当てて初期膜を形成した。その後、流延バンド上部の上流側からは140℃の乾燥風を送風した。また下流側からは120℃の乾燥風および60℃の乾燥風を送風した。
残留溶媒量を約33質量%にした後、バンドから剥ぎ取った。次いで、得られたフィルムの幅方向の両端をテンタークリップで固定し、溶媒残留量が3〜15質量%のフィルムを、横方向に1.06倍延伸しつつ乾燥した。その後、熱処理装置のロール間を搬送することにより、更に乾燥し、厚さが100μm(外層/コア層/外層=3μm/94μm/3μm)であるTACフィルムを作製した。得られたTACフィルムを、下記表2にTACと記載した。
<1−2.樹脂フィルム(厚みの異なるTACフィルム)の作製>
上記と同様の方法で、但し、それぞれ厚みが60μm(外層/コア層/外層=3μm/54μm/3μm)、80μm(外層/コア層/外層=3μm/74μm/3μm)、90μm(外層/コア層/外層=3μm/84μm/3μm)、150μm(外層/コア層/外層=3μm/144μm/3μm)、200μm(外層/コア層/外層=3μm/194μm/3μm)となるように調整し、厚みの異なるTACフィルムを作製した。
<2−1.ハードコート層(HC層)形成用硬化性組成物の調製>
下記表1に示す配合で各成分を混合し、孔径10μmのポリプロピレン製フィルターでろ過して、HC層形成用硬化性組成物A−1〜A−10を調製した。
上記表1中において、配合比は質量部で記載する。また、「−」はその成分を含有しないことを示す。
表1に記載した各化合物の詳細を以下に示す。
<重合性化合物1>
DPHA:ジペンタエリスリトールペンタアクリレートとジペンタエリスリトールヘキサアクリレートの混合物(日本化薬社製、商品名:KAYARAD DPHA)
<重合性化合物2>
サイクロマーM100:3,4−エポキシシクロヘキシルメチルメタクリレート(ダイセル社製、商品名)
CEL2021P:3,4−エポキシシクロヘキシルメチル3,4−エポキシシクロヘキサンカルボキシレート(ダイセル社製、商品名)
<重合性化合物3>
ライトエステル2EG:ジエチレングリコールジメタクリレート(共栄社化学社製、商品名)
ブレンマーGMR:グリセリンジメタクリレート(日本油脂社製、商品名)
A200:ポリエチレングリコール#200ジアクリレート(新中村化学工業社製、商品名、分子量308)
UA160TM:ウレタンアクリレートポリマー(2−ヒドロキシエチルアクリレートとポリテトラメチレングリコールジオールとイソホロンジイソシアネートの反応物)(新中村化学工業社製、商品名)
<重合開始剤>
Irg184:1−ヒドロキシ−シクロヘキシル−フェニル−ケトン(α−ヒドロキシアルキルフェノン系のラジカル光重合開始剤、BASF社製、商品名:IRGACURE184)
CPI−100P:トリアリールスルホニウム塩系の光カチオン重合開始剤、サンアプロ社製、商品名
[実施例1]
<2−2.ハードコート層(HC層)の形成>
上記で作製した厚み100μmのTACフィルムの一方の表面上に、HC層形成用硬化性組成物A−1を塗布し、硬化させて厚み25μmのHC層を形成し、HC層付き樹脂フィルムを作製した。
塗布および硬化の方法は、具体的には、次の通りとした。特開2006−122889号公報の実施例1記載のスロットダイを用いたダイコート法で、搬送速度30m/分の条件でHC層形成用硬化性組成物を塗布し、雰囲気温度60℃で150秒間乾燥した。その後、更に窒素パージ下、酸素濃度約0.1体積%で160W/cmの空冷メタルハライドランプ(アイグラフィックス製)を用いて、照度20mW/cm、照射量30mJ/cmの紫外線を照射して、塗布したHC層形成用硬化性組成物を硬化させてHC層を形成した後、巻き取りを行った。
<3.反射防止積層体の作製>
上記で作製したHC層付き樹脂フィルムのHC層上に、無機酸化物層(AR層)を形成し、実施例1の反射防止積層体を作製した。図1に示すように、この反射防止積層体4Aは、樹脂フィルム1A、HC層2A、AR層3Aがこの順に積層された構造を有する。
AR層の形成は具体的には、スパッタリング法にて、任意の成膜圧力条件下、層構成をHC層側からNb/SiO/Nb/SiO、各層の膜厚がそれぞれ15nm/25nm/105nm/85nmとなるように成膜を実施した。
[実施例2〜6]
HC層形成用硬化性組成物A−1に代えてHC層形成用硬化性組成物A−2〜A−6を使用した以外は実施例1と同様にして、実施例2〜6の反射防止積層体を作製した。
[実施例7〜11]
TACフィルムの厚み及び/又はHC層の厚みを下記表2に記載の厚みに変更した以外は実施例1と同様にして、実施例7〜11の反射防止積層体を作製した。
<比較例>
[比較例1〜4]
HC層形成用硬化性組成物A−1に代えてHC層形成用硬化性組成物A−7〜A−10を使用した以外は実施例1と同様にして、比較例1〜4の反射防止積層体を作製した。
[比較例5〜7]
TACフィルムの厚み及び/又はHC層の厚みを下記表2に記載の厚みに変更した以外は実施例1と同様にして、比較例5〜7の反射防止積層体を作製した。
[比較例8]
AR層を設けなかったこと以外は実施例1と同様にして、比較例8の反射防止積層体を作製した。
<試験>
上記で作製した反射防止積層体について、以下の試験を行った。試験結果を下記表2にまとめて記載する。
[試験例1]剛性
反射防止積層体の剛性を、樹脂フィルム厚みd、樹脂フィルム弾性率σ、HC層厚みd、HC層弾性率σ、AR層厚みd、AR層弾性率σを用い、下記式から算出した。
合成弾性率σsyn=(σ+σ+σ)/(d+d+d
剛性=σsyn×(d+d+d
なお、各弾性率σ、σ及びσは、下記方法によって算出した。
(弾性率)
超微小硬さ試験システム:ピコテンダー(フィッシャー社製)を用い、三角錐型ダイヤモンド圧子としてベルコビッチ型圧子(先端稜角142.3°)を用い、25℃の条件下で、圧子を試料表面に直角に当て、徐々に荷重を印加し、最大荷重到達後に荷重を0にまで徐々に戻した。この時の最大荷重Pを圧子接触部の投影面積Aで除した値P/Aをナノインデンテーション硬度Hとして算出した。25℃におけるナノインデンテーション弾性率σは、除荷曲線の傾きSとしたとき、下記式を用いて算出した。下記式において、πは円周率を表す。
σ=(S×√π)/(2√A)
原理の詳細は、Handbook of Micro/NanoTribology(BharatBhushan編CRC)に記載されている。
上記弾性率測定用試料は、以下の方法により作製した。
(弾性率測定用の試料)
各層の弾性率測定方法
樹脂フィルム:ガラス板上に樹脂フィルムを接着剤にて固定し、測定用試料として用いた。
HC層:膜厚1mmの樹脂フィルム上に、乾燥後の膜厚が25μmとなるようにHC層形成用硬化性組成物をアプリケーターを用いて流延し、UV硬化後、雰囲気温度80℃で10分以上乾燥し、HC層を形成した。このHC層付き樹脂フィルムの樹脂フィルム面側でガラス板上に接着剤で固定し、測定用試料として用いた。
なお、HC層厚みが25μm程度ある場合、この方法により測定される弾性率はHC層の弾性率とみなすことができる。
AR層:上述の反射防止積層体の作製におけるAR層の形成と同様にして、ガラス板上に直接、スパッタリング法にてAR層を形成し、測定用試料として用いた。
[試験例2]鉛筆硬度
JIS(JISは、Japanese Industrial Standards(日本工業規格)である) K 5400に従い鉛筆硬度評価を行った。
反射防止積層体(樹脂フィルム上にHC層、AR層をこの順に有する積層体)を、温度25℃、相対湿度60%の環境下で2時間調湿した後、AR層の表面の異なる5箇所について、JIS S 6006に規定するH〜9Hの試験用鉛筆を用いて4.9Nの荷重にて引っ掻いた。その後、目視で傷が認められる箇所が0〜2箇所であった鉛筆の硬度のうち、最も硬度の高い鉛筆硬度を評価結果とした。鉛筆硬度は、「H」の前に記載される数値が高いほど、硬度が高く好ましい。
[試験例3]キーボード写り試験(荷重試験)
キーボード(Apple社製、商品名:MacBook pro)上に、ガラスに粘着剤を介して貼合した反射防止積層体をAR層とキーボードが接するように乗せた。なお、ガラス及び貼合した反射防止積層体は、キーボードと同じサイズ(縦×横)である。このガラスの上から1kgの荷重をかけた状態で、震とう機(ヤマト科学製、商品名:KM)で3時間揺らし、反射防止積層体のAR層表面についた傷及び凹みを目視で観察し、それぞれ以下の基準で評価した。
<凹み:評価基準>
A:凹みが全く見られなかった。
B:凹みが僅かに見られるが、使用上問題ないレベルであった。
C:凹みが一部に見られるが、使用上問題ないレベルであった。
D:凹みが一部に見られ、使用上問題があるレベルであった。
E:凹みが全面に見られ、使用上問題があるレベルであった。
<傷:評価基準>
A:傷が全く見られなかった。
B:傷が僅かに見られるが、使用上問題ないレベルであった。
C:傷が一部に見られるが、使用上問題ないレベルであった。
D:傷が一部に見られ、使用上問題があるレベルであった。
E:傷が全面に見られ、使用上問題があるレベルであった。
[試験例4]スチールウール(SW)擦り試験
ラビングテスターを用いて、温度25℃、相対湿度60%の環境下で、反射防止積層体のAR層と接触するテスターの擦り先端部(1cm×1cm)にスチールウール(日本スチールウール社製、No.0)を巻いて動かないようバンド固定し、反射防止積層体のAR層表面を以下の条件で擦った。
移動距離(片道):13cm、こすり速度:13cm/秒、荷重:500g、先端部接触面積:1cm×1cm。
試験後の反射防止積層体の樹脂フィルム表面に油性黒インキを塗り、スチールウールと接触していた部分の傷を、AR層側から反射光で目視観察し、以下の基準で評価した。
<評価基準>
A:非常に注意深く見ても、全く傷が見えなかった。
B:非常に注意深く見ると弱い傷が僅かに見えるが、問題にならないレベルであった。
C:注意深く見ると弱い傷が見えるが、問題にならないレベルであった。
D:中程度の傷が見え、傷が目立つレベルであった。
E:一目見ただけで分かる傷があり、非常に目立つレベルであった。
[試験例5]鏡面反射率
「鏡面反射率」は、下記の方法によって測定した。
反射防止積層体の樹脂フィルム表面を、サンドペーパーで粗面化した後に、黒色インク(寺西化学工業(株)製 補充用マジックインキ黒)で塗工し、測定用サンプルを作製した。分光光度計:V−550、オプションARV−474装着(ともに日本分光(株)製)を用いて、380nm〜780nmの波長領域において、測定用サンプルのAR層表面に光を照射し、入射角5°に対し、受光角5°で鏡面反射率を測定し、380nm〜780nmにおける平均反射率を算出した。
[試験例6]ヌープ硬度
ISO14577に基づきヌープ圧子を用いて、下記の条件で、反射防止積層体のAR層側から押し込みを行い、10回測定を行った算術平均として、ヌープ硬度を算出した。
[測定装置]微小硬度試験機:フィッシャースコープHM2000(フィッシャーインスツルメンツ(株)製)
[負荷時間]10秒
[押しこみ荷重]50mN
[試験例7]厚み
「厚み」は、以下の方法により、走査型電子顕微鏡(Scanning Electron microscope;SEM)により観察して測定した。
各構成部材(樹脂フィルム、HC層及びAR層)または各構成部材を含む部材(例えば液晶パネルやその一部)の断面を、イオンビーム、ミクロトーム等の常法により露出させた後、露出した断面においてSEMによる断面観察を行った。断面観察において、部材の幅方向を4等分した際の、両端を除く3つの等分点における厚みの算術平均として、各種厚みを求めた。
上記表2中、「−」は、比較例8の積層体がAR層を有しないため、評価を行っていないことを示す。
また、HC層を形成する重合性化合物の組成比は質量比である。
表2に記載するように、実施例1〜11の本発明の反射防止積層体は、いずれも、荷重に伴う凹みの発生及び傷の発生がいずれも十分に抑制され、また耐擦性にも優れ、鏡面反射率が低く反射防止機能にも優れていた。
これに対して、比較例1及び2は、積層体のヌープ硬度が300mN/mmを超える。この比較例1及び2は、耐擦性の点で劣っていた。
また、比較例3は積層体の鉛筆硬度が4H未満であり、比較例4は積層体の鉛筆硬度が4H未満であって、積層体のヌープ硬度が150mN/mm未満である。この比較例3及び4は、キーボード写り試験後における傷の発生の抑制の点で劣り、耐擦性の点でも劣っていた。
比較例5及び7はいずれも、積層体の剛性が8.0N・mm未満であって、積層体の鉛筆硬度が4H未満である。この比較例5及び7は、キーボード写り試験後における凹みの発生及び傷の発生のいずれの抑制の点でも劣っていた。また、比較例6は積層体の鉛筆硬度が4H未満である。この比較例6は、キーボード写り試験後における傷の発生の抑制の点で劣っていた。
なお、AR層を有しない比較例8は、鏡面反射率が4%を示し、反射防止機能が不十分であった。
本発明の反射防止積層体を、偏光板及び画像表示装置に用いた際には、上記偏光板等は荷重に伴うキーボード写りを十分に抑制することができ、また優れた耐擦性を示すと考えられる。
1A:樹脂フィルム
2A:ハードコート層(HC層)
3A:無機酸化物層(AR層)
4A、4B:反射防止積層体
5A:粘着層
1:タッチパネル用導電フィルム
2:タッチパネル
3:粘着層
4C:反射防止積層体
5:透明絶縁基板
6A、6B:導電部材
7A、7B:保護層
8:第1導電層
9:第2導電層
11A:第1ダミー電極
11:第1電極
12:第1周辺配線
13:第1外部接続端子
14:第1コネクタ部
15:第1金属細線
21:第2電極
22:第2周辺配線
23:第2外部接続端子
24:第2コネクタ部
25:第2金属細線C1:第1セル
C2:第2セル
D1:第1の方向
D2:第2の方向
M1:第1メッシュパターン
M2:第2メッシュパターン
S1:アクティブエリア
S2:周辺領域

Claims (11)

  1. 樹脂フィルムと、該樹脂フィルム上の片面に配されたハードコート層と、該ハードコート層上に配された無機酸化物層とを少なくとも有する反射防止積層体であって、
    前記積層体の鉛筆硬度が4H以上で剛性が8.0N・mm以上でヌープ硬度が150〜300mN/mmである反射防止積層体。
  2. 前記ハードコート層が、ラジカル重合性基を有する重合性化合物1と、該重合性化合物1とは異なる、同一分子内にカチオン重合性基とラジカル重合性基とを有する重合性化合物2及び/又は同一分子内にアルキレンオキシ基とラジカル重合性基とを有する重合性化合物3とを含有する組成物を重合硬化してなる、請求項1に記載の反射防止積層体。
  3. 前記組成物に含まれる全重合性化合物中、前記重合性化合物2の含有率が30質量%以上である請求項2に記載の反射防止積層体。
  4. 前記組成物に含まれる全重合性化合物中、前記重合性化合物3の含有率が30質量%以上である請求項2又は3に記載の反射防止積層体。
  5. 前記カチオン重合性基がエポキシ基である請求項2〜4のいずれか1項に記載の反射防止積層体。
  6. 前記エポキシ基が脂環式エポキシ基である請求項5に記載の反射防止積層体。
  7. 前記アルキレンオキシ基がエチレンオキシ基である請求項2〜6のいずれか1項に記載の反射防止積層体。
  8. 前記ハードコート層の厚みが15μm〜40μmである請求項1〜7のいずれか1項に記載の反射防止積層体。
  9. 前記樹脂フィルムの厚みが80μm〜250μmである請求項1〜8のいずれか1項に記載の反射防止積層体。
  10. 請求項1〜9のいずれか1項に記載の反射防止積層体と偏光子とを有する偏光板。
  11. 請求項1〜9のいずれか1項に記載の反射防止積層体を有する画像表示装置。
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