JPWO2018159544A1 - 電力伝送システム - Google Patents

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Abstract

符号変調器(2)の制御回路(20)は、第1及び第4のスイッチ回路をオンし、第2及び第3のスイッチ回路をオフする第1の状態と、第1及び第4のスイッチ回路をオフし、第2及び第3のスイッチ回路をオンする第2の状態と、第1の状態から第2の状態に遷移するとき及び第2の状態から第1の状態に遷移するとき、第1〜第4のスイッチ回路のすべてをオンする第3の状態とを符号変調回路(23)に設定する。符号復調器(4)の制御回路(30)は、第5及び第8のスイッチ回路をオフし、第6及び第7のスイッチ回路をオンする第4の状態と、第5及び第8のスイッチ回路をオンし、第6及び第7のスイッチ回路をオフする第5の状態と、第4の状態から第5の状態に遷移するとき及び第5の状態から第4の状態に遷移するとき、第5〜第8のスイッチ回路のすべてをオンする第6の状態とを符号復調回路(33)に設定する。

Description

本開示は、伝送路を介して電力を送信する電力送信装置と、伝送路を介して電力を受信する電力受信装置と、電力送信装置及び電力受信装置を含む電力伝送システムとに関する。
近年、電力会社が提供する火力発電、水力発電、及び原子力発電等の従来からの電力供給に加え、太陽光発電、風力発電、及びバイオ燃料発電などに代表される再生可能エネルギー電源の導入が加速している。また、現在敷設されている大規模な商用電力網とは別に、遠距離送電による損失を軽減させることを目的として、電力の地産地消を実現する局所的な小規模電力網の導入が世界的に広がりつつある。
小規模電力網では、自然エネルギーを利用した発電機を使用し、負荷となる電気設備において高効率な電力回収をおこなうことで電力自給が可能になる。これは、砂漠のオアシス又は離島等の無電化地域を解消するための電力伝送システムとして期待が高い。
例えば特許文献1〜3は、電力線を介して電源から負荷に電力を伝送する電力伝送システムを開示している。
特許第5612718号公報 特許第5612920号公報 特開2011−91954号公報
電力伝送システムは、電力線を介して電源から負荷に電力を伝送するために、電源から供給された電力を伝送路を介して送信する電力送信装置と、伝送路を介して電力を受信して負荷に供給する電力受信装置とを含む。このような電力伝送システムにおいて電力送信装置から電力受信装置に電力を伝送するとき、電力送信装置と電力受信装置との確実な同期が求められる場合がある。何らかの原因により電力送信装置と電力受信装置との間に遅延が生じると、電力伝送の効率が低下するおそれがある。
本開示の目的は以上の問題点を解決し、電力送信装置と電力受信装置との間の遅延による電力伝送の効率の低下を生じにくい電力送信装置を提供することにある。
本開示の一態様に係る電力送信装置は、
伝送路を介して少なくとも1つの電力受信装置に電力を送信する電力送信装置であって、
第1のリアクトルを介して電源に接続され、前記電源から電源電力の供給を受ける符号変調回路であって、所定の符号系列に基づく変調符号を用いて前記電源電力を符号変調して符号変調波を生成し、前記伝送路を介して前記符号変調波を前記電力受信装置に送信する符号変調回路と、
前記符号変調回路を制御する制御回路とを備え、
前記符号変調回路は、
前記第1のリアクトルを介して前記電源に接続される第1及び第2の端子と、
前記伝送路に接続される第3及び第4の端子と、
前記第1及び第3の端子の間に接続される第1のスイッチ回路と、
前記第2及び第3の端子の間に接続される第2のスイッチ回路と、
前記第1及び第4の端子の間に接続される第3のスイッチ回路と、
前記第2及び第4の端子の間に接続される第4のスイッチ回路とを備え、
前記制御回路は、
前記第1及び第4のスイッチ回路をオンし、前記第2及び第3のスイッチ回路をオフする第1の状態と、
前記第1及び第4のスイッチ回路をオフし、前記第2及び第3のスイッチ回路をオンする第2の状態とを前記符号変調回路に設定し、
前記第1の状態から前記第2の状態に遷移するとき及び前記第2の状態から前記第1の状態に遷移するとき、前記第1〜第4のスイッチ回路のすべてをオンする第3の状態を前記符号変調回路に設定する。
これらの包括的かつ特定の態様は、システムにより、方法により、又はシステム及び方法の任意の組み合わせにより実現してもよい。
本開示の一態様に係る電力送信装置によれば、電力送信装置と電力受信装置との間の遅延による電力伝送の効率の低下を生じにくくすることができる。
実施形態1に係る電力伝送システムの構成を示すブロック図である。 図1の電力伝送システムの変調電流I2の信号波形例を示す波形図である。 比較例に係る通信システムの変調電流I2の信号波形例を示す波形図である。 図1の電力伝送システムにおける例示的な信号波形を示す波形図であり、(a)は発電電流I1の信号波形を示し、(b)は変調電流I2の信号波形を示し、(c)は復調電流I3の信号波形を示す。 図1の符号変調器2の構成を示すブロック図である。 図1の符号復調器4の構成を示すブロック図である。 図1の符号変調回路23及び符号復調回路33の構成を示すブロック図である。 図1の電力伝送システムにおいて直流電力を送電して直流電力を受電する実施例1に係る符号変調器2の変調符号及び符号復調器4の復調符号の一例を示す図である。 図1の電力伝送システムにおいて直流電力を送電して直流電力を受電する実施例2に係る符号変調器2の変調符号及び符号復調器4の復調符号の一例を示す図である。 実施形態2に係る電力伝送システムにおける例示的な信号波形を示す波形図であり、(a)は発電電流I1の信号波形を示し、(b)は変調電流I2の信号波形を示し、(c)は復調電流I3の信号波形を示す。 実施形態2に係る電力伝送システムの符号変調器2Aの一部の構成を示すブロック図である。 実施形態2に係る電力伝送システムの符号復調器4Aの一部の構成を示すブロック図である。 実施形態2に係る電力伝送システムにおいて交流電力を送電して交流電力を受電する実施例3に係る符号変調器2Aの変調符号及び符号復調器4Aの復調符号の一例を示す図である。 実施形態2に係る電力伝送システムにおいて直流電力を送電して直流電力を受電する実施例4に係る符号変調器2Aの変調符号及び符号復調器4Aの復調符号の一例を示す図である。 実施形態2の変形例に係る電力伝送システムにおいて用いる符号変調回路23Aのための双方向性スイッチ回路SS21Aの構成を示す回路図である。 実施形態2の変形例に係る電力伝送システムにおいて用いる符号変調回路23Aのための双方向性スイッチ回路SS22Aの構成を示す回路図である。 実施形態2の変形例に係る電力伝送システムにおいて用いる符号変調回路23Aのための双方向性スイッチ回路SS23Aの構成を示す回路図である。 実施形態2の変形例に係る電力伝送システムにおいて用いる符号変調回路23Aのための双方向性スイッチ回路SS24Aの構成を示す回路図である。 実施形態2の変形例に係る電力伝送システムにおいて用いる符号復調回路33Aのための双方向性スイッチ回路SS31Aの構成を示す回路図である。 実施形態2の変形例に係る電力伝送システムにおいて用いる符号復調回路33Aのための双方向性スイッチ回路SS32Aの構成を示す回路図である。 実施形態2の変形例に係る電力伝送システムにおいて用いる符号復調回路33Aのための双方向性スイッチ回路SS33Aの構成を示す回路図である。 実施形態2の変形例に係る電力伝送システムにおいて用いる符号復調回路33Aのための双方向性スイッチ回路SS34Aの構成を示す回路図である。 実施形態3に係る電力伝送システムの構成を示すブロック図である。 図15の電力伝送システムにおいて直流電力を送電して直流電力を受電する実施例5に係る符号変調器2A−1の変調符号及び符号復調器4A−1の復調符号の一例を示す図である。 図15の電力伝送システムにおいて直流電力を送電して交流電力を受電する実施例6に係る符号変調器2A−2の変調符号及び符号復調器4A−2の復調符号の一例を示す図である。 実施形態3に係る電力伝送システムにおける例示的な信号波形を示す波形図であり、(a)は発電電流I11の信号波形を示し、(b)は発電電流I12の信号波形を示し、(c)は変調電流I2の信号波形を示し、(d)は復調電流I31の信号波形を示し、(e)は復調電流I32の信号波形を示す。 実施形態4に係る電力伝送システムの構成を示す回路図である。 実施形態4の比較例に係る電力伝送システムにおいて使用される変調符号m1,m2及び復調符号d1,d2を示すタイミングチャートであり、(a)は遅延なしの場合を示し、(b)は遅延が生じた場合を示す。 実施形態4の比較例に係る電力伝送システムで遅延が生じた場合における電流の流れを示す図である。 実施形態4の実施例及び比較例に係る電力伝送システムの構成を示すブロック図である。 実施形態4の比較例に係る電力伝送システムにおいて遅延なしで電力を伝送する場合の負荷電圧Vout1,Vout2の変化を示すグラフである。 実施形態4の比較例に係る電力伝送システムにおいて遅延が生じた場合の負荷電圧Vout1,Vout2の変化を示すグラフである。 実施形態4に係る電力伝送システムにおいて使用される変調符号m1,m2及び復調符号d1,d2を示すタイミングチャートである。 図24の時間期間P1における電流の流れを示す図である。 図24の時間期間P2,P4における電流の流れを示す図である。 図24の時間期間P3における電流の流れを示す図である。 実施形態4に係る電力伝送システムにおいて同時オン時間よりも短い遅延が生じた場合の変調符号m1,m2及び復調符号d1,d2を示すタイミングチャートである。 図28の時間期間P2aにおける電流の流れを示す図である。 実施形態4の実施例に係る電力伝送システムにおいて遅延なしで電力を伝送する場合の負荷電圧Vout1,Vout2の変化を示すグラフである。 実施形態4の実施例に係る電力伝送システムにおいて遅延が生じた場合の負荷電圧Vout1,Vout2の変化を示すグラフである。 実施形態4に係る電力伝送システムが図25及び図27の状態にあるときの等価回路図である。 実施形態4に係る電力伝送システムが図26の状態にあるときの等価回路図である。 図32及び図33の時間期間を交互に繰り返すときの出力電圧の変化を示す概略図である。 実施形態4に係る電力伝送システムにおいて同時オン時間よりも長い遅延が生じた場合の変調符号m1,m2及び復調符号d1,d2を示すタイミングチャートである。 実施形態5に係る電力伝送システムにおいて使用される変調符号m1,m2及び復調符号d1,d2を示すタイミングチャートであり、(a)は許容遅延時間以下の遅延が生じた場合を示し、(b)は許容遅延時間を超える遅延が生じた場合を示す。 実施形態5の実施例に係る電力伝送システムにおいて許容遅延時間を超える遅延が生じていない場合の負荷電圧Vout1,Vout2の変化を示すグラフである。 実施形態5の実施例に係る電力伝送システムにおいて許容遅延時間を超える遅延が生じていない場合の負荷電圧Vout1,Vout2の変化を示すグラフである。 実施形態5の実施例に係る電力伝送システムにおいて許容遅延時間を超える遅延が生じた場合の負荷電圧Vout1,Vout2の変化を示すグラフである。 実施形態5の実施例に係る電力伝送システムにおいて許容遅延時間を超える遅延が生じた場合の負荷電圧Vout1,Vout2の変化を示すグラフである。 実施形態5の比較例に係る電力伝送システムにおいて使用される変調符号m1,m2及び復調符号d1,d2を示すタイミングチャートである。 実施形態6に係る電力伝送システムにおいて使用される変調符号m1,m2及び復調符号d1,d2を示すタイミングチャートであり、(a)は許容遅延時間に等しい遅延が生じた場合を示し、(b)は許容遅延時間未満の遅延が生じた場合を示す。 実施形態6の実施例に係る電力伝送システムにおいて許容遅延時間を超える遅延が生じていない場合の負荷電圧Vout1,Vout2の変化を示すグラフである。 実施形態4〜6に係る電力伝送システムにおいてコントローラ10、符号変調器2、及び符号復調器4を同期させる処理を示すシーケンス図である。 実施形態7に係る電力伝送システムの構成を示す回路図である。 図45の電力伝送システムにおいて使用されるフィルタ回路45a,45bを示す回路図である。 図45の電力伝送システムにおいて使用されるフィルタ回路45cを示す回路図である。 図45の電力伝送システムにおいて使用されるフィルタ回路45dを示す回路図である。 図45の電力伝送システムにおいて使用されるフィルタ回路45dを示す回路図である。 図45〜図49のフィルタ回路41〜45dの第1の例を示す回路図である。 図45〜図49のフィルタ回路41〜45dの第2の例を示す回路図である。 図45〜図49のフィルタ回路41〜45dの第3の例を示す回路図である。 図45〜図49のフィルタ回路41〜45dの第4の例を示す回路図である。 図45〜図49のフィルタ回路41〜45dの第5の例を示す回路図である。 図45〜図49のフィルタ回路41〜45dの第6の例を示す回路図である。 図45〜図49のフィルタ回路41〜45dの第7の例を示す回路図である。 実施形態7の第8の例に係るフィルタ回路を含む電力伝送システムの構成を示す回路図である。 実施形態7の第9の例に係るフィルタ回路を含む電力伝送システムの構成を示すブロック図である。 実施形態7の第9の例に係るフィルタ回路を含む電力伝送システムの構成を示す回路図である。 実施形態8に係る電力伝送システムにおける変調符号とフィルタ回路の共振波形との関係を示すグラフである。 実施形態8に係る電力伝送システムにおけるフィルタ回路の共振を説明するための図である。 実施形態8に係る電力伝送システムにおけるフィルタ回路の共振周波数が変調クロック周波数に一致しているときの、符号変調器2の出力電圧及び符号復調器4の入力電圧の関係を示す図である。 実施形態7の比較例に係る電力伝送システムのシミュレーション結果であって、(a)はスイッチ素子S1、S4のゲート電圧を示し、(b)はスイッチ素子S1、S4に流れる電流を示し、(c)スイッチ素子S1、S4の両端電圧を示すグラフである。 実施形態7の第1の実施例に係る電力伝送システムのシミュレーション結果であって、(a)はスイッチ素子S1、S4のゲート電圧を示し、(b)はスイッチ素子S1、S4に流れる電流を示し、(c)スイッチ素子S1、S4の両端電圧を示すグラフである。 図63及び図64の電流及び電圧の測定方法を示す図である。 実施形態7の比較例に係る電力伝送システムのシミュレーション結果であって、スイッチ回路のダイオードD101の両端に印加される電圧を示すグラフである。 図66の一部拡大図を示すグラフである。 実施形態7の比較例に係る電力伝送システムのシミュレーション結果であって、スイッチ回路のスイッチ素子S101の両端に印加される電圧を示すグラフである。 図68の一部拡大図を示すグラフである。 実施形態7の第2の実施例に係る電力伝送システムのシミュレーション結果であって、(a)はスイッチ回路のダイオードD101の両端に印加される電圧を示し、(b)はスイッチ回路のスイッチ素子S101の両端に印加される電圧を示すグラフである。 図66〜図70の電圧の測定方法を示す図である。 実施形態7の第3の実施例に係る電力伝送システムのシミュレーション結果であって、(a)スイッチ素子S1〜S4の両端電圧を示し、(b)はスイッチ素子S1〜S4のゲート電圧を示し、(c)はスイッチ素子S1〜S4に流れる電流を示すグラフである。 図72の一部拡大図を示すグラフである。
本開示の基礎となった知見.
特許文献1では、電力伝送装置において複数の電力系統間において電力の融通を実現可能な連携装置が開示されている。特許文献1では、前記連携装置はコンバータとインバータを備え、送電するときには前記コンバータにより送電電力を交流から直流に変換し、電力を受け取る電力系統に接続された連携装置に電力を送電する。前記電力を受け取る電力系統の連携装置では、インバータにより所望の周波数に変換することで、前記連携装置が接続される電力系統に最適な周波数の電力を提供できる。また、特許文献2では、特許文献1に対して、電力貯蔵装置を備えた構成が開示されている。
一方、特許文献3では、電力伝送装置において複数の送電装置から複数の受電装置への電力を伝送する方法が開示されている。特許文献3では、前記複数の送電装置から、前記複数の受電装置への電力の伝送は時分割で行う。なお、特許文献3では、電力融通を実現するに当たって、前記送電装置及び受電装置間の制御通信は、無線通信で行うことで実現している。
しかしながら、特許文献1及び特許文献2において、前記連携装置は、インバータとコンバータを備え、且つ、基本的には電力融通を行う系統間の全ての組み合わせに対して個別の電力伝送ケーブルが必要になる。連携装置の構成により、電力伝送ケーブルを減らす方法も記載されているが、いずれにしても多数の電力伝送ケーブルが必要になる。これにより、敷設コストの増加、ケーブルの材料費の増加、さらには、連携装置には、接続される系統の数と同じ数のインバータとコンバータの組を備える必要がある。これらより、ケーブルのコストの増加に加え、連携装置の規模の増大によるコストの増加の恐れがある。
また、特許文献3は、複数の送電装置と受電装置間において時分割で電力を融通することが可能であり、電力伝送ケーブルの本数が少なくてすむという利点がある。しかしながら、時分割で送電することにより、複数系統間での電力の融通を同時に行うことができない。すなわち、受電側に接続された負荷の電力の要求に即座に対応できない恐れがあった。さらには、多数の電力融通を実施する場合には、1つあたりの電力融通に割り振られる時間が短くなるので、パルス的に大きな電力が電力伝送ケーブルに送電される。したがって、送ケーブルの耐電力性が求められ、コストの増加に繋がる恐れがあった。また、電力を受電できない時間帯が生じるので、受電装置に大きな電力のバッファ機能が必要となる恐れがあった。さらには、時分割での電力融通を実現するためには、複数の送電装置及び受電送置間で時間的な同期が必要であり、これを実現するためには非常に精度の高い機器間制御が求められ、システム全体としてコストの増加に繋がる恐れがあった。
前記のように、特許文献1、2はいずれも、多数の電力伝送ケーブルを用いており電力伝送の多重化による電力伝送ケーブルの省線化が実現できない。さらに、連携装置においては、電力伝送ケーブルごとにインバータとコンバータの組が必要になり、連携装置の規模を小さくすることは不可能である。このため、多くの電力系統間での電力融通は困難であった。一方、特許文献3では、電力伝送ケーブルに、複数の電力融通を時分割で行うことにより、電力伝送ケーブルの省線化が図れるが、複数の電力融通を同時に行う伝送システムを提供できない。従って、送電装置及び受電装置の小型・薄型化を図りつつ、電力伝送ケーブルの省線化を実現し、且つ、複数の送電装置から複数の受電装置への電力融通を同時に、より確実に行うことができる電力伝送システムが望まれている。
さらに、前述のように、電力伝送システムにおいて電力送信装置から電力受信装置に電力を伝送するとき、電力送信装置と電力受信装置との確実な同期が求められる場合がある。何らかの原因により電力送信装置と電力受信装置との間に遅延が生じると、電力伝送の効率が低下するおそれがある。
以上の考察により、本発明者らは、以下の発明の各態様を想到するに至った。
以下、本開示に係る実施形態について図面を参照して説明する。なお、以下の各実施形態において、同様の構成要素については同一の符号を付している。
本開示の目的は、電力送信装置と電力受信装置との間の遅延による電力伝送の効率の低下を生じにくい電力送信装置、電力受信装置、及び電力伝送システムを提供することにある。実施形態1〜3では、その前提として、電力伝送システムの概要について説明する。その後、実施形態4〜8において、課題を解決する電力伝送システムについて説明する。
実施形態1.
図1は実施形態1に係る電力伝送システムの構成を示すブロック図である。図1において、実施形態1に係る電力伝送システムは、発電機1と、符号変調器2と、伝送路3と、符号復調器4と、負荷5と、コントローラ10とを備える。伝送路3は、例えば、2本の電力線を含む有線又は無線の伝送路である。
コントローラ10は、制御回路11及び通信回路12を備える。制御回路11は、通信回路12を介して符号変調器2及び符号復調器4と通信し、それらの動作を制御する。
図1の電力伝送システムにおいて、符号変調器2は電力送信装置として動作し、符号復調器4は電力受信装置として動作する。符号変調器2は、第1の電力を、所定の符号系列に基づく変調符号を用いて符号変調して符号変調波を生成し、符号変調波を、伝送路3を介して符号復調器4に送信する。符号復調器4は、符号変調器2から伝送路3を介して符号変調波を受信し、受信した符号変調波を、符号変調したときに用いた変調符号の符号系列と同じ符号系列に基づく復調符号を用いて符号復調して第2の電力を生成する。第1の電力は、例えば、発電機1で発電された直流電力であり、図1では発電電流I1として示す。符号変調波は、符号変調された交流電力であり、図1では変調電流I2として示す。第2の電力は、例えば、負荷5に供給される直流電力であり、図1では復調電流I3として示す。
図1の電力伝送システムは、さらに、電力測定器1m,5mを備える。電力測定器1mは、第1の電力の電力量を測定する第1の電力測定手段である。すなわち、電力測定器1mは、発電機1の発電量であり、発電機1から符号変調器2へ送られる直流電力の電力量を測定する。電力測定器1mは、発電機1に設けられてもよく、発電機1と符号変調器2との間に設けられてもよい。電力測定器5mは、第2の電力の電力量を測定する第2の電力測定手段である。すなわち、電力測定器5mは、負荷5における電力使用量である、符号復調器4から負荷5へ送られる直流電力の電力量を測定する。電力測定器5mは、負荷5に設けられてもよく、符号復調器4と負荷5との間に設けられてもよい。電力測定器1m,5mによって測定された電力量はコントローラ10に送信される。
コントローラ10は、電力測定器1m,5mから受信した各電力量に基づいて、符号変調器2と符号復調器4の動作を制御する。例えば、コントローラ10は、符号変調器2及び符号復調器4を互いに同期させるための同期信号を含む制御信号を符号変調器2及び符号復調器4に送信し、これにより、正確に同期した電力の符号変調及び符号復調を実現する。
コントローラ10は、1つの符号系列に基づいて、変調符号を符号変調器2に設定し、復調符号を符号復調器4に設定する。符号変調器2において変調に用いるための変調符号の符号系列、並びに、符号復調器4において復調に用いるための復調符号の符号系列は、符号変調器2及び符号復調器4において予め設定されていてもよい。また、例えば、コントローラ10は、上記制御信号において、符号変調器2において変調に用いるための変調符号の符号系列、並びに、符号復調器4において復調に用いるための復調符号の符号系列を送信してもよい。さらに、コントローラ10は、上記制御信号において、符号系列を送信せずに、符号系列の指定情報のみを送信して符号変調器2及び符号復調器4において符号系列を生成してもよい。この場合、対向する符号変調器2と符号復調器4との間で正確に同期して符号変調及び符号復調することができる。
図2は図1の電力伝送システムの変調電流I2の信号波形例を示す波形図である。また、図3は比較例に係る通信システムの変調電流I2の信号波形例を示す波形図である。
図1の符号変調器2は、予め決められた符号系列に基づく変調符号を用いて、発電機1において発電された電力の電流を符号変調する。このとき、図2に示すように、符号変調器2は、「1」と「−1」の符号値に対応する向きに流れる電流からなる、交流の符号変調波を生成する。この符号変調波は、正の電流が流れる期間であっても、負の電流が流れる期間(例えば、図2の期間T01)であっても、電力を伝送可能である。なお、実施形態1では、一例として直流電力を符号変調する例を示すが、後述する実施形態2に示すように交流電力を符号変調してもよい。
例えば通信で使用される比較例に係るデータ伝送システムでは、通常、図3に示すように、「1」と「0」の符号値を用いて符号変調がなされる。しかしながら、図3に示す符号変調波では、変調符号の符号値が「0」のとき(例えば、図3の期間T02)に変調された電流もしくは電圧が0となり、電力が伝送されない時間が生じてしまう。このため、この電力が伝送されない時間の区間により、全体的に電力の伝送効率の低下を招いてしまう恐れがあった。すなわち、通信の場合には、データ等の情報を正確に同期して伝送することが望まれるので、符号復調器で「0」もしくは「1」と正確に判別できればよかったが、電力の伝送では、エネルギーの高効率利用の観点で、この電力が伝送されない時間の区間による電力の損失は許容することができなかった。以上により、図2に示すように、「1」と「−1」の符号値に対応する向きに流れる交流の符号変調波を用いることで、比較例よりも高い伝送効率で電力を伝送できる。
図4(a)〜図4(c)は図1の電力伝送システムにおける例示的な信号波形を示す波形図である。図4(a)は発電電流I1の信号波形を示し、図4(b)は変調電流I2の信号波形を示し、図4(c)は復調電流I3の信号波形を示す。発電機1は直流の発電電流I1を生成する。符号変調器2は、変調符号m0を発電電流I1に乗算することで、交流の変調電流I2を生成する。符号復調器4は、変調符号m0と同一の復調符号d0を変調電流I2に乗算し、これにより、発電機1で発電された直流の電力を復元して負荷5に供給することができる。
なお、図4において、T10は変調符号m0及び復調符号d0の1周期分の期間を示し、以下の図面においても同様である。
図4の信号波形例では、直流の発電電流I1(図4(a))に対して、周波数35kHzを有する変調符号m0を乗算して、符号変調波の変調電流I2(図4(b))を生成した。この場合、変調符号m0の各ビットの時間長は、1/(35kHz)/2=14.2マイクロ秒であった。
変調符号m0及び復調符号d0の各ビットは符号値「1」又は「−1」を有する。ここで、変調符号m0について、符号値「1」は、符号変調器2が入力された電流の向きと同じ向きの電流を出力することを示し、符号値「−1」は、符号変調器2が入力された電流の向きと逆向きの電流を出力することを示す。同様に、復調符号d0について、符号値「1」は、符号復調器4が入力された電流の向きと同じ向きの電流を出力することを示し、符号値「−1」は、符号復調器4が入力された電流の向きと逆向きの電流を出力することを示す。
変調符号m0及び復調符号d0はそれぞれ一例として次式で表される。
m0=[1 −1 1 1 1 −1 −1 −1 1 −1 −1 −1 1 1]
(1)
d0=m0
=[1 −1 1 1 1 −1 −1 −1 1 −1 −1 −1 1 1]
(2)
次いで、変調符号m0によって生成された符号変調波の変調電流I2に対して復調符号d0を乗算する。この乗算は次式により表される。
m0×d0
=[1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1]
(3)
式(3)から明らかなように、元の発電電流I1と同じ直流の復調電流I3(図4(c))が得られることがわかる。
以上説明したように、本実施形態に係る符号変調器2及び符号復調器4を用いることで、正確に同期しかつ電力損失のない直流の電力伝送を実現できる。また、例えば上述の変調符号m0及び復調符号d0を繰り返して使用することにより、より長い時間での電力の伝送を効率よく行うことが可能になる。
さらに、変調符号m0は、その前半の符号部分m0aと、その後半の符号部分m0bとに次式のように分割することができる。
m0a=[1 −1 1 1 1 −1 −1] (4)
m0b=[−1 1 −1 −1 −1 1 1] (5)
ここで、符号部分m0bは、符号部分m0aの各ビットの符号値をそれぞれ符号反転して生成される。すなわち、符号部分m0aのあるビットの符号値が「1」であれば、符号部分m0bの対応するビットの符号値は「−1」である。同様に、符号部分m0aのあるビットの符号値が「−1」であれば、符号部分m0bの対応するビットの符号値は「1」である。
図5は図1の符号変調器2の構成を示すブロック図である。図5において、符号変調器2は、制御回路20と、通信回路21と、符号生成回路22と、符号変調回路23とを備える。通信回路21は、コントローラ10から、同期信号と、符号系列又はその指定情報を含む制御信号とを受信して、制御回路20に出力する。ここで、同期信号は、例えば、変調開始及び変調終了のトリガー信号であってもよく、変調開始時刻及び変調終了時刻の時間情報であってもよい。制御回路20は、上記制御信号に基づいて、符号生成回路22により所定の符号系列に基づく変調符号を生成させて符号変調回路23に出力させるとともに、符号変調回路23の動作開始及び動作終了を制御する。なお、符号変調回路23は、発電機1に接続された入力端子T1,T2(第1及び第2の端子)と、伝送路3に接続された出力端子T3,T4(第3及び第4の端子)とを有する。
図6は図1の符号復調器4の構成を示すブロック図である。図6において、符号復調器4は、制御回路30と、通信回路31と、符号生成回路32と、符号復調回路33とを備える。通信回路31は、コントローラ10から、同期信号と、符号系列又はその指定情報を含む制御信号とを受信して、制御回路30に出力する。ここで、同期信号は、例えば、復調開始及び復調終了のトリガー信号であってもよく、復調開始時刻及び復調終了時刻の時間情報であってもよい。制御回路30は、上記制御信号に基づいて、符号生成回路32により所定の符号系列に基づく復調符号を生成させて符号復調回路33に出力させるとともに、符号復調回路33の動作開始及び動作終了を制御する。なお、符号復調回路33は、伝送路3に接続された入力端子T11,T12(第5及び第6の端子)と、負荷5に接続された出力端子T13,T14(第7及び第8の端子)とを有する。
なお、図1の電力伝送システムにおいて、コントローラ10から符号変調器2及び符号復調器4への制御信号は、伝送路3とは異なる制御信号回線で伝送されてもよく、伝送路3を用いて符号変調波と所定の多重化方式で多重化して伝送されてもよい。後者の場合において、コントローラ10から符号変調器2及び符号復調器4への通信に使用するケーブルを削減し、コストを低減することができる。
図7は図1の符号変調回路23及び符号復調回路33の構成を示すブロック図である。図7において、符号変調回路23は、ブリッジ形状で接続された第1〜第4のスイッチ回路SS1〜SS4を備える。スイッチ回路SS1〜SS4はそれぞれ、例えばMOSトランジスタで構成された方向性スイッチ素子S1〜S4を備える。また、符号復調回路33は、ブリッジ形状で接続された第5〜第8のスイッチ回路SS11〜SS14を備える。スイッチ回路SS11〜SS14はそれぞれ、例えばMOSトランジスタで構成された方向性スイッチ素子S11〜S14を備える。
符号生成回路22は、前述のように符号変調器2を変調符号m0に従って動作させるために、制御回路20の制御下で所定の変調符号m1,m2を生成して、符号変調回路23に出力する。符号変調回路23のスイッチ素子S1,S4は変調符号m1に従って制御され、符号変調回路23のスイッチ素子S2,S3は変調符号m2に従って制御される。各変調符号m1,m2は符号値「1」及び「0」を有する。例えば、各スイッチ素子S1〜S4に符号値「1」の信号が入力されるときに各スイッチ素子S1〜S4はオンされ、符号値「0」の信号が入力されるときに各スイッチ素子S1〜S4はオフされる。なお、本明細書において説明するスイッチ素子S1〜S4以外のスイッチ素子についても以下同様に動作する。ここで、各スイッチ素子S1〜S4は以下のように方向性を有する。スイッチ素子S1はオンのときに端子T1から入力される発電電流を端子T3に出力し、スイッチ素子S3はオンのときに端子T1から入力される発電電流を端子T4に出力し、スイッチ素子S2はオンのときに端子T3から入力される変調電流を端子T2に出力し、スイッチ素子S4はオンのときに端子T4から入力される変調電流を端子T2に出力する。
符号生成回路32は、前述のように符号復調器4を復調符号d0に従って動作させるために、制御回路30の制御下で所定の復調符号d1,d2を生成して、符号復調回路33に出力する。符号復調回路33のスイッチ素子S11,S14は復調符号d2に従って制御され、符号復調回路33のスイッチ素子S12,S13は復調符号d1に従って制御される。各復調符号d1,d2は符号値「1」及び「0」を有する。ここで、各スイッチ素子S11〜S14は以下のように方向性を有する。スイッチ素子S11はオンされるときに端子T12から入力される変調電流を端子T13に出力し、スイッチ素子S13はオンされるときに端子T11から入力される変調電流を端子T13に出力し、スイッチ素子S12はオンされるときに端子T14から入力される復調電流を端子T12に出力し、スイッチ素子S14はオンされるときに端子T14から入力される復調電流を端子T11に出力する。
なお、図7の表記においては、符号復調器4のスイッチ素子S11〜S14において電流が流れる方向は、符号変調器2のスイッチ素子S1〜S4において電流が流れる方向と逆向きとなるように記載した。
図8Aは図1の電力伝送システムにおいて直流電力を送電して直流電力を受電する実施例1に係る符号変調器2の変調符号及び符号復調器4の復調符号の一例を示す図である。すなわち、図8Aは、符号変調器2のスイッチ素子S1〜S4に入力される変調符号m1とm2、及び符号復調器4のスイッチ素子S11〜S14に入力される復調符号d1とd2の一例を示す。
図8Aに示すように、変調符号m1と復調符号d1は互いに同一であり、それぞれ符号系列c1aからなる。また、変調符号m2と復調符号d2は互いに同一であり、それぞれ符号系列c1bからなる。また、符号系列c1aのあるビットの符号値が「1」のとき、符号系列c1bの対応するビットの符号値を「0」とし、符号系列c1aのあるビットの符号値が「0」のとき、符号系列c1bの対応するビットの符号値を「1」とするように、符号系列c1a及びc1bを設定する。
従って、図7のスイッチ素子S1〜S4、S11〜S14のうち、符号系列c1aのあるビットの符号値が入力されるスイッチ素子がオンされるときに、符号系列c1bの対応するビットの符号値が入力されるスイッチ素子がオフされる。また、符号系列c1aのあるビットの符号値が入力されるスイッチ素子がオフされるとき、符号系列c1bの対応するビットの符号値が入力されるスイッチ素子がオンされる。
図7の符号変調回路23においては、スイッチ素子S1,S4がオンされるとき、スイッチ素子S2,S3がオフされ、スイッチ素子S1,S4がオフされるとき、スイッチ素子S2,S3がオンされる。これにより、スイッチ素子S1,S4がオンされかつスイッチ素子S2,S3がオフされるとき、伝送路3には正の向きに、すなわち実線矢印の向きに変調電流I2が流れる。一方、スイッチ素子S1,S4がオフされかつスイッチ素子S2,S3がオンされるとき、伝送路3には負の向きに、すなわち点線矢印の向きに変調電流I2が流れる。これにより、図4に示すように、符号変調器2に直流の発電電流I1が入力されたとき、交流に変調した変調電流I2を伝送路3に伝送することができる。
図7の符号復調回路33においては、符号変調回路23と同期して復調符号d1,d2に応答してスイッチ素子S11〜S14がオン又はオフされる。ここで、変調符号m1と同じ復調符号d1によりスイッチ素子S12,S13がオン又はオフされ、変調符号m2と同じ復調符号d2によりスイッチ素子S11,S14がオン又はオフされる。これにより、変調符号m1の符号値が「1」であり、かつ変調符号m2の符号値が「0」であるとき、すなわち伝送路3に正の向きの変調電流I2が流れるときは、復調符号d1の符号値が「1」となり、かつ復調符号d1の符号値が「0」となる。従って、スイッチ素子S13,S12がオンされかつスイッチ素子S11,S14がオフされることにより、符号復調回路33の出力端子T13,T14に正の向きに、すなわち実線矢印の向きに復調電流I3が流れる。また、変調符号m1の符号値が「0」であり、かつ変調符号m2の符号値が「1」であるとき、すなわち伝送路3に負の向きの変調電流I2が流れるときは、復調符号d1の符号値が「0」となり、かつ復調符号d1の符号値が「1」となる。従って、スイッチ素子S11,S14がオンされかつスイッチ素子S12,S13がオフされることにより、この場合も、符号復調回路33の出力端子T13,T14に正の向きに、すなわち実線矢印の向きに復調電流I3が流れる。
以上説明したように、図8Aの変調符号m1,m2及び復調符号d1,d2を用いることにより、等価的に、符号変調器2は式(1)の変調符号m0に従って動作し、符号復調器4は式(2)の復調符号d0に従って動作する。
以上説明したように、図7及び図8Aによれば、符号変調器2に直流の発電電流I1が入力されたとき、符号復調器4から、符号変調器2に入力される発電電流I1と同じ直流の復調電流I3を引き出すことが可能になる。従って、本実施形態1によれば、直流の発電電流I1を交流の変調電流I2に符号変調した後、変調電流I2を伝送路3を介して伝送し、変調電流I2を直流の復調電流I3に復調することができる。
図8Bは図1の電力伝送システムにおいて直流電力を送電して直流電力を受電する実施例2に係る符号変調器2の変調符号及び符号復調器4の復調符号の一例を示す図である。符号系列c1aとc1bに関して、符号値「1」を有するビットの個数と符号値「0」を有するビットの個数が同じ場合には、伝送路3に流れる符号変調された変調電流I2は平均的に直流成分がなく、交流成分のみとなる。しかしながら、符号系列によっては、符号値「1」を有するビットの個数と符号値「0」を有するビットの個数とが互いに異なり、直流成分が生じる場合もある。このような符号系列を用いる場合、当該符号系列と、その各ビットの符号値を反転した符号系列とを連結することにより、符号値「1」を有するビットの個数と符号値「0」を有するビットの個数が同じである変調符号及び復調符号を生成することができる。図8Bの例では、変調符号m1と復調符号d1を、符号系列c1aと符号系列c1bを連結した符号系列[c1a c1b]とし、変調符号m2と復調符号d2を、符号系列c1bと符号系列c1aを連結した符号系列[c1b c1a]にする。これにより、伝送路3に流れる符号変調された変調電流I2の平均値は0になり、変調電流I2は交流成分のみを含む。
なお、発電機1もしくは負荷5は、電池、コンデンサ等の蓄電装置であってもよい。本実施形態の電力伝送システムに蓄電装置を組み込むことにより、電力消費の少ない、あるいは電力消費のない時間帯に発電された電力を有効に活用することができるようになり、全体での電力効率を向上できる。
実施形態2.
実施形態1では、直流の発電電流を符号変調して伝送する電力伝送システムについて説明した。一方、実施形態2では、交流の発電電流を符号変調して伝送する電力伝送システムについて説明する。
実施形態2に係る電力伝送システムは、図1の符号変調器2及び符号復調器4に代えて、図10及び図11を参照して後述する符号変調器2A及び符号復調器4Aを備える。他の部分については、実施形態2に係る電力伝送システムは、実施形態1に係る電力伝送システムと同様に構成される。
図9(a)〜図9(c)は実施形態2に係る電力伝送システムにおける例示的な信号波形を示す波形図であり、図9(a)は発電電流I1の信号波形を示し、図9(b)は変調電流I2の信号波形を示し、図9(c)は復調電流I3の信号波形を示す。すなわち、図9は、交流(単相交流)の発電電流I1を符号変調器2Aにより符号変調した後、変調電流I2を伝送路3を介して伝送し、変調電流I2を符号復調器4Aにより符号復調したときの信号波形例である。
発電機1は交流の発電電流I1を生成する。ここで、交流の発電電流I1は、一例として、200マイクロ秒で正と負を周期的に繰り返す、周波数5kHzの矩形波形を有する。このときも、図4に示した直流の発電電流I1を符号変調したときと同様に、符号変調器2Aは、変調符号m0を発電電流I1に乗算することで、交流の変調電流I2を生成する。符号復調器4Aは、変調符号m0と同一の復調符号d0を変調電流I2に乗算し、これにより、発電機1で発電された交流電力を復元して負荷5に供給することができる。
変調符号m0及び復調符号d0の周波数は、発電電流I1の周波数及び復調電流I3の周波数よりも高く設定される。図9の信号波形例では、交流の発電電流I1(図9(a))に対して、周波数35kHzを有する変調符号m0を乗算して、符号変調波の変調電流I2(図9(b))を生成した。この場合、変調符号m0の各ビットの時間長は、1/(35kHz)/2=14.2マイクロ秒であった。
変調符号m0及び復調符号d0の各ビットは符号値「1」又は「−1」を有する。交流の発電電流I1を伝送する場合、発電電流I1が正の期間(図9(a)の0〜100μ秒の期間)と、発電電流I1が負の期間(図9(a)の100〜200μ秒の期間)とで、符号値「1」又は「−1」は異なる意味を有する。発電電流I1が正の期間において、変調符号m0について、符号値「1」は、符号変調器2Aが入力された電流の向きと同じ向きの電流を出力することを示し、符号値「−1」は、符号変調器2Aが入力された電流の向きと逆向きの電流を出力することを示す。同様に、発電電流I1が正の期間において、復調符号d0について、符号値「1」は、符号復調器4Aが入力された電流の向きと同じ向きの電流を出力することを示し、符号値「−1」は、符号復調器4Aが入力された電流の向きと逆向きの電流を出力することを示す。発電電流I1が負の期間において、変調符号m0について、符号値「1」は、符号変調器2Aが入力された電流の向きと逆向きの電流を出力することを示し、符号値「−1」は、符号変調器2Aが入力された電流の向きと同じ向きの電流を出力することを示す。同様に、発電電流I1が負の期間において、復調符号d0について、符号値「1」は、符号復調器4Aが入力された電流の向きと逆向きの電流を出力することを示し、符号値「−1」は、符号復調器4Aが入力された電流の向きと同じ向きの電流を出力することを示す。
変調符号m0及び復調符号d0はそれぞれ一例として次式で表される。
m0=[1 −1 1 1 1 −1 −1 −1 1 −1 −1 −1 1 1]
(6)
d0=m0
=[1 −1 1 1 1 −1 −1 −1 1 −1 −1 −1 1 1]
(7)
実施形態1に係る符号復調と同様に、変調符号m0によって生成された符号変調波の変調電流I2に対して復調符号d0を乗算する。この乗算は次式により表される。
m0×d0
=[1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1]
(8)
式(8)から明らかなように、元の発電電流I1と同じ交流の復調電流I3(図8(c))が得られることがわかる。
以上説明したように、本実施形態に係る符号変調及び符号復調の方法を用いることで、正確に同期しかつ電力損失のない電力伝送を実現できる。また、前記の変調符号m0及び復調符号d0を繰り返して使用することにより、より長い時間での電力の伝送を効率よく行うことが可能になる。
図10は実施形態2に係る電力伝送システムの符号変調器2Aの一部の構成を示すブロック図である。図10の符号変調器2Aは、図5の符号生成回路22及び符号変調回路23に代えて、符号生成回路22A及び符号変調回路23Aを備える。図10の符号変調器2Aは、図5の符号変調器2と同様に制御回路20及び通信回路21をさらに備えるが、図10では図示の簡単化のためにこれらを省略する。
図10の符号生成回路22A及び符号変調回路23Aは、図7の符号生成回路22及び符号変調回路23と比較して以下の点が異なる。
(1)符号生成回路22Aは、2つの変調符号m1,m2に代えて、4個の変調符号m1〜m4を生成して符号変調回路23Aに出力する。
(2)符号変調回路23Aは、一方向性スイッチ回路SS1〜SS4に代えてそれぞれ、ブリッジ形式で接続された第1〜第4の双方向性スイッチ回路SS21〜SS24を備える。
符号生成回路22Aは、前述のように符号変調器2Aを変調符号m0に従って動作させるために、制御回路20の制御下で所定の変調符号m1〜m4を生成して、符号変調回路23Aに出力する。各変調符号m1〜m4は符号値「1」及び「0」を有する。
符号変調回路23Aにおいて、スイッチ回路SS21は、変調符号m1に応答してオンオフされる図7のスイッチ素子S1に加えて、スイッチ素子S1とは逆方向性を有しかつ並列に接続され、変調符号m3に応答してオンオフされるスイッチ素子S21を備える。スイッチ回路SS22は、変調符号m2に応答してオンオフされる図7のスイッチ素子S2に加えて、スイッチ素子S2とは逆方向性を有しかつ並列に接続され、変調符号m4に応答してオンオフされるスイッチ素子S22を備える。スイッチ回路SS23は、変調符号m2に応答してオンオフされる図7のスイッチ素子S3に加えて、スイッチ素子S3とは逆方向性を有しかつ並列に接続され、変調符号m4に応答してオンオフされるスイッチ素子S23を備える。スイッチ回路SS24は、変調符号m1に応答してオンオフされる図7のスイッチ素子S4に加えて、スイッチ素子S4とは逆方向性を有しかつ並列に接続され、変調符号m3に応答してオンオフされるスイッチ素子S24を備える。なお、スイッチ素子S21〜S24はそれぞれ、例えばMOSトランジスタで構成される。符号変調回路23Aは、発電機1に接続された端子T1,T2(第1及び第2の端子)と、伝送路3に接続された端子T3,T4(第3及び第4の端子)を有する。符号変調回路23Aには発電機1からの交流電力が入力され、符号変調回路23Aは交流電力を符号変調した後、符号変調された変調波を伝送路3に出力する。
図11は実施形態2に係る電力伝送システムの符号復調器4Aの一部の構成を示すブロック図である。図11の符号復調器4Aは、図6の符号生成回路32及び符号復調回路33に代えて、符号生成回路32A及び符号復調回路33Aを備える。図11の符号復調器4Aは、図5の符号復調器4と同様に制御回路30及び通信回路31をさらに備えるが、図11では図示の簡単化のためにこれらを省略する。
図11の符号生成回路32A及び符号復調回路33Aは、図7の符号生成回路32及び符号復調回路33と比較して以下の点が異なる。
(1)符号生成回路32Aは、2つの復調符号d1,d2に代えて、4個の復調符号d1〜d4を生成して符号復調回路33Aに出力する。
(2)符号復調回路33Aは、一方向性スイッチ回路SS11〜SS14に代えてそれぞれ、ブリッジ形式で接続された第5〜第8の双方向性スイッチ回路SS31〜SS34を備える。
符号生成回路32Aは、前述のように符号復調器4Aを復調符号d0に従って動作させるために、制御回路30の制御下で所定の復調符号d1〜d4を生成して、符号復調回路33Aに出力する。各復調符号d1〜d4は符号値「1」及び「0」を有する。
符号復調回路33Aにおいて、スイッチ回路SS31は、復調符号d2に応答してオンオフされる図7のスイッチ素子S11に加えて、スイッチ素子S11とは逆方向性を有しかつ並列に接続され、復調符号d4に応答してオンオフされるスイッチ素子S31を備える。スイッチ回路SS32は、復調符号d1に応答してオンオフされる図7のスイッチ素子S12に加えて、スイッチ素子S12とは逆方向性を有しかつ並列に接続され、復調符号d3に応答してオンオフされるスイッチ素子S32を備える。スイッチ回路SS33は、復調符号d1に応答してオンオフされる図7のスイッチ素子S13に加えて、スイッチ素子S13とは逆方向性を有しかつ並列に接続され、復調符号d3に応答してオンオフされるスイッチ素子S33を備える。スイッチ回路SS34は、復調符号d2に応答してオンオフされる図7のスイッチ素子S14に加えて、スイッチ素子S14とは逆方向性を有しかつ並列に接続され、復調符号d4に応答してオンオフされるスイッチ素子S34を備える。なお、スイッチ素子S31〜S34はそれぞれ、例えばMOSトランジスタで構成される。符号復調回路33Aは、伝送路3に接続された端子T11,T12(第5及び第6の端子)と、負荷5に接続された端子T13,T14(第7及び第8の端子)を有する。符号復調回路33Aには伝送路3からの交流の符号変調波が入力され、符号復調回路33Aは符号変調波を交流の復調電力に符号復調した後、負荷5に出力する。
図12Aは実施形態2に係る電力伝送システムにおいて交流電力を送電して交流電力を受電する実施例3に係る符号変調器2Aの変調符号及び符号復調器4Aの復調符号の一例を示す図である。すなわち、図12Aは、符号変調回路23Aの双方向性スイッチ回路SS21〜SS24に入力される変調符号m1〜m4、及び符号復調回路33Aの双方向性スイッチ回路SS31〜SS34に入力される復調符号d1〜d4の一例を示す。
図12Aに示すように、変調符号m1と復調符号d1は互いに同一であり、変調符号m2と復調符号d2は互いに同一である。同様に、変調符号m3と復調符号d3は互いに同一であり、変調符号m4と復調符号d4は互いに同一である。また、直流電力の伝送のときと同様に、符号系列c1aのあるビットの符号値が「1」のとき、符号系列c1bの対応するビットの符号値を「0」とし、符号系列c1aのあるビットの符号値が「0」のとき、符号系列c1bの対応するビットの符号値を「1」とするように、符号系列c1a及びc1bを設定する。
図12Aでは、符号系列c1aと符号系列c1bの時間長を交流の発電電流I1の半周期と一致させる場合を示した。交流の発電電流I1が正の期間(図12Aの例では、各周期の前半の期間)において、変調符号m1,m2はそれぞれ符号系列c1a,c1bからなり、一方、変調符号m3,m4の符号値は常に「0」である。交流の発電電流I1が負の期間(図12Aの例では、各周期の後半の期間)において、変調符号m1,m2の符号値は常に「0」であり、一方、変調符号m3,m4はそれぞれ符号系列c1a,c1bからなる。各周期の前半の期間のビットと各周期の後半の期間のビットとを連結することにより、1周期分の変調符号m1〜m4がそれぞれ生成される。これにより、各周期の前半の期間では、スイッチ素子S1〜S4は変調符号m1,m2に従ってオンオフされ、一方、スイッチ素子S21〜S24は切断されて電流が流れない。また、各周期の後半の期間では、スイッチ素子S1〜S4は切断されて電流が流れず、一方、スイッチ素子S21〜S24は変調符号m3,m4に従ってオンオフされる。変調符号m1〜m4と同様に、1周期分の復調符号d1〜d4もまた、各周期の前半の期間のビットと各周期の後半の期間のビットとを連結することにより生成される。
ここで、符号変調回路23Aの動作について以下説明する。
まず、入力端子T1,T2において正の向きに、すなわち実線矢印A1の向きに発電電流I1が流れる場合の動作について説明する。この場合、変調符号m1の符号値「1」が入力されるスイッチ素子S1,S4がオンされるときに、変調符号m2の符号値「0」が入力されるスイッチ素子S2,S3がオフされる。また、変調符号m1の符号値「0」が入力されるスイッチ素子S1,S4がオフされるとき、変調符号m2の符号値「1」が入力されるスイッチ素子S2,S3がオンされる。これにより、スイッチ素子S1,S4がオンでかつスイッチ素子S2,S3がオフのとき、伝送路3には正の向きに、すなわち実線矢印A1の向きに変調電流I2が流れる。一方、スイッチ素子S1,S4がオフでかつスイッチ素子S2,S3がオンのとき、伝送路3には負の向きに、すなわち点線矢印A2の向きに変調電流I2が流れる。これにより、交流の発電電流I1のうちの正の期間の電流が符号変調回路23Aに入力されているとき、図9(b)に示すように、交流の変調電流I2を伝送路3に伝送することができる。
次に、入力端子T1,T2において負の向きに、すなわち一点鎖線矢印B1の向きに発電電流I1が流れる場合の動作について以下説明する。この場合、変調符号m3の符号値「1」が入力されるスイッチ素子S21,S24がオンされるときに、変調符号m4の符号値「0」が入力されるスイッチ素子S22,S23がオフされる。また、変調符号m3の符号値「0」が入力されるスイッチ素子S21,S24がオフされるとき、変調符号m4の符号値「1」が入力されるスイッチ素子S22,S23がオンされる。これにより、スイッチ素子S21,S24がオンでかつスイッチ素子S22,S23がオフのとき、伝送路3には負の向きに、すなわち一点鎖線矢印B1の向きに変調電流I2が流れる。一方、スイッチ素子S21,S24がオフでかつスイッチ素子S22,S23がオンのとき、伝送路3には正の向きに、すなわち二点鎖線矢印B2の向きに変調電流I2が流れる。これにより、交流の発電電流I1のうちの負の期間の電流が符号変調回路23Aに入力されているとき、図9(b)に示すように、交流の変調電流I2を伝送路3に伝送することができる。
図10を参照して説明したように、符号変調回路23Aは、交流の発電電流I1のうちの正の期間及び負の期間のそれぞれにおいて、図9(b)に示すように、交流の変調電流I2を生成することができる。
次に、図11の符号復調回路33Aの動作について以下説明する。
まず、符号変調回路23Aの入力端子T1,T2において正の向きに、すなわち実線矢印A1の向きに発電電流I1が流れる場合を考える。このとき、符号復調回路33Aの入力端子T11,T12には、伝送路3を介して、正の向き及び負の向きに流れる交流の変調電流I2が入力される。符号復調回路33Aが正しく復調動作を行った場合には、符号復調回路33Aの出力端子T13,T14において正の向きに、すなわち実線矢印C1の向きに復調電流I3が流れることになる。以下、これらの動作について説明する。この場合には、復調符号d3と復調符号d4の符号値はすべて「0」であり、スイッチ素子S31〜S34はすべてオフされる。
まず、符号変調回路23Aの入力端子T1,T2において正の向きに発電電流I1が流れ、かつ、符号復調回路33Aの入力端子T11,T12において正の向きに、すなわち実線矢印C1の向きに流れる変調電流I2が入力された場合の符号復調回路33Aの動作について説明する。この場合、符号系列c1aの符号値は「1」であり、符号系列c1bの符号値は「0」である。従って、復調符号d1の符号値「1」が入力されるスイッチ素子S12,S13はオンされ、復調符号d2の符号値「0」が入力されるスイッチ素子S11,S14はオフされる。従って、出力端子T13,T14には正の向きに、すなわち実線矢印C1の向きに復調電流I3が流れる。
次に、符号変調回路23Aの入力端子T1,T2において正の向きに発電電流I1が流れ、かつ、符号復調回路33Aの入力端子T11,T12において負の向きに、すなわち点線矢印C2の向きに流れる変調電流I2が入力された場合の符号復調回路33Aの動作について説明する。この場合、符号系列c1aの符号値は「0」であり、符号系列c1bの符号値は「1」である。従って、復調符号d1の符号値「0」が入力されるスイッチ素子S12,S13はオフされ、復調符号d2の符号値「1」が入力されるスイッチ素子S11,S14はオンされる。従って、出力端子T13,T14には正の向きに、すなわち実線矢印C1の向きに復調電流I3が流れることになる。これにより、交流の発電電流I1のうちの正の期間の電流が符号変調回路23Aに入力されているとき、符号復調回路33Aにより、図9(c)に示すように、正しく正の極性を有するように復調された復調電流I3を負荷5に出力することができる。
次に、符号変調回路23Aの入力端子T1,T2において負の向きに、すなわち一点鎖線矢印B1の向きに発電電流I1が流れる場合を考える。この場合も、符号復調回路33Aの入力端子T11,T12には、伝送路3を介して、正の向き及び負の向きに流れる交流の変調電流I2が入力される。符号復調回路33Aが正しく復調動作を行った場合には、符号復調回路33Aの出力端子T13,T14において負の向きに、すなわち点線矢印C2の向きに復調電流I3が流れることになる。以下、これらの動作について説明する。この場合には、復調符号d1とd2の符号値はすべて「0」であり、スイッチ素子S11〜S14はすべてオフされる。
まず、符号変調回路23Aの入力端子T1,T2において負の向きに発電電流I1が流れ、かつ、符号復調回路33Aの入力端子T11,T12において負の向きに、すなわち点線矢印C2の向きに流れる変調電流I2が入力された場合の符号復調回路33Aの動作について説明する。この場合、符号系列c1aの符号値は「1」であり、符号系列c1bの符号値は「0」である。従って、復調符号d3の符号値「1」が入力されるスイッチ素子S32,S33がオンされ、復調符号d4の符号値「0」が入力されるスイッチ素子S31,S34はオフされる。従って、出力端子T13,T14には負の向きに、すなわち点線矢印C2の向きに復調電流I3が流れる。
次に、符号変調回路23Aの入力端子T1,T2において負の向きに発電電流I1が流れ、かつ、符号復調回路33Aの入力端子T11,T12において正の向きに、すなわち実線矢印C1の向きに流れる変調電流I2が入力された場合の符号復調回路33Aの動作について説明する。この場合、符号系列c1aの符号値は「0」であり、符号系列c1bの符号値は「1」である。従って、復調符号d3の符号値「0」が入力されるスイッチ素子S32,S33はオフされ、復調符号d4の符号値「1」が入力されるスイッチ素子S31,S34はオンされる。従って、出力端子T13,T14には負の向きに、すなわち点線矢印C2の向きに復調電流I3が流れることになる。これにより、交流の発電電流I1のうちの負の期間の電流が符号変調回路23Aに入力されているとき、符号復調回路33Aにより、図9(c)に示すように、正しく負の極性を有するように復調された復調電流I3を負荷5に出力することができる。
以上説明したように、図12Aの変調符号m1〜m4及び復調符号d1〜d4を用いることにより、等価的に、符号変調器2Aは式(6)の変調符号m0に従って動作し、符号復調器4Aは式(7)の復調符号d0に従って動作する。
以上説明したように、図10、図11、及び図12Aによれば、符号変調器2Aに交流の発電電流I1が入力されたとき、符号復調器4Aから、符号変調器2Aに入力される発電電流I1と同じ交流の復調電流I3を引き出すことが可能になる。従って、本実施形態2によれば、交流の発電電流I1を交流の変調電流I2に符号変調した後、変調電流I2を伝送路3を介して伝送し、変調電流I2を交流の復調電流I3に復調することができる。
図12Bは実施形態2に係る電力伝送システムにおいて直流電力を送電して直流電力を受電する実施例4に係る符号変調器2Aの変調符号及び符号復調器4Aの復調符号の一例を示す図である。ここで、図10の符号変調回路23Aと図11の符号復調回路33Aにおいて、図12Bに示すように、変調符号m3、m4及び復調符号d3、d4の符号値を常に「0」に設定することによりスイッチ素子S21〜S24,S31〜S34をオフにする。これにより、図10の符号変調回路23Aと図11の符号復調回路33Aを、図7の符号変調回路23と符号復調回路33としてそれぞれ動作させることができる。従って、図12Bに示すように、変調符号m1,m2及び復調符号d1,d2を符号系列c1a,c1bから生成することで、図4に示した直流電力伝送を実現することができる。このように、変調符号m1〜m4及び復調符号d1〜d4を変更することで、図10の符号変調回路23Aと図11の符号復調回路33Aを用いて、直流の電力伝送及び交流の電力伝送の両方をサポートすることが可能な優れた電力伝送システムを実現できる。
直流の発電機1は、例えば、太陽光発電装置を含む。交流の発電機1は、例えば、火力、水力、風力、原子力、潮力等のタービン等の回転による発電機を含む。
上述のように、実施形態2に係る電力伝送システムは、互いに同一の変調符号及び復調符号を用いることにより、直流の発電電流I1を変調して伝送し、直流の復調電流I3に復調することができ、さらに、交流の発電電流I1を変調して伝送し、交流の復調電流I3に復調することができる。また、実施形態2に係る電力伝送システムは、変調符号とは異なる復調符号を用いることにより、直流の発電電流I1を変調して伝送し、交流の復調電流I3に復調することができ、さらに、交流の発電電流I1を変調して伝送し、直流の復調電流I3に復調することができる。
図10の符号変調回路23A及び図11の符号復調回路33Aは、双方向性スイッチ回路SS21〜SS24,SS31〜SS34を備えているので、可逆である。すなわち、符号変調回路23Aは、符号復調回路としても動作可能であり、端子T3,T4から入力された変調電流を復調して端子T1,T2から出力する。符号復調回路33Aは、符号変調回路としても動作可能であり、端子T13,T14から入力された発電電流を変調して端子T11,T12から出力する。これにより、符号復調回路33Aを備えた符号復調器4Aから、符号変調回路23Aを備えた符号変調器2Aへ、電力を伝送することができる。
図10〜図11では、双方向性スイッチ回路SS21〜SS34はそれぞれ、互いに逆の向きの電流を流すように並列に接続された各1対のスイッチ素子(S1,S21;S2,S22;S3,S23;S4,S24;S11,S31;S12,S32;S13,S33;S14,S34)により構成された例を示した。代替として、双方向性スイッチ回路SS21〜SS34は、以下の図13A〜図14Dに示すように直列に接続された各1対のスイッチ素子(S41,S51;S42,S52;S43,S53;S44,S54)によっても構成することができる。図13A〜図14Dにおいて、各図において上から下に向かう方向を「正方向」といい、下から上に向かう方向を「負方向」という。
図13Aは実施形態2の変形例に係る電力伝送システムにおいて用いる符号変調回路23Aのための双方向性スイッチ回路SS21Aの構成を示す回路図である。図13Aにおいて、スイッチ回路SS21Aは、図10のスイッチ回路SS21に対応し、
(1)負方向に電流を流すダイオードD1が並列に接続され、変調符号m1に基づいてオンオフするスイッチ素子S41と、
(2)正方向に電流を流すダイオードD11が並列に接続され、変調符号m3に基づいてオンオフするスイッチ素子S51と
が直列に接続されて構成される。
図13Bは実施形態2の変形例に係る電力伝送システムにおいて用いる符号変調回路23Aのための双方向性スイッチ回路SS22Aの構成を示す回路図である。図13Bにおいて、スイッチ回路SS22Aは、図10のスイッチ回路SS22に対応し、
(1)負方向に電流を流すダイオードD2が並列に接続され、変調符号m2に基づいてオンオフするスイッチ素子S42と、
(2)正方向に電流を流すダイオードD12が並列に接続され、変調符号m4に基づいてオンオフするスイッチ素子S52と
が直列に接続されて構成される。
図13Cは実施形態2の変形例に係る電力伝送システムにおいて用いる符号変調回路23Aのための双方向性スイッチ回路SS23Aの構成を示す回路図である。図13Cにおいて、スイッチ回路SS23Aは、図10のスイッチ回路SS23に対応し、
(1)負方向に電流を流すダイオードD3が並列に接続され、変調符号m2に基づいてオンオフするスイッチ素子S43と、
(2)正方向に電流を流すダイオードD13が並列に接続され、変調符号m4に基づいてオンオフするスイッチ素子S53と
が直列に接続されて構成される。
図13Dは実施形態2の変形例に係る電力伝送システムにおいて用いる符号変調回路23Aのための双方向性スイッチ回路SS24Aの構成を示す回路図である。図13Dにおいて、スイッチ回路SS24Aは、図10のスイッチ回路SS24に対応し、
(1)負方向に電流を流すダイオードD4が並列に接続され、変調符号m1に基づいてオンオフするスイッチ素子S44と、
(2)正方向に電流を流すダイオードD14が並列に接続され、変調符号m3に基づいてオンオフするスイッチ素子S54と
が直列に接続されて構成される。
図14Aは実施形態2の変形例に係る電力伝送システムにおいて用いる符号復調回路33Aのための双方向性スイッチ回路SS31Aの構成を示す回路図である。図14Aにおいて、スイッチ回路SS31Aは、図11のスイッチ回路SS31に対応し、
(1)正方向に電流を流すダイオードD31が並列に接続され、復調符号d2に基づいてオンオフするスイッチ素子S61と、
(2)負方向に電流を流すダイオードD21が並列に接続され、復調符号d4に基づいてオンオフするスイッチ素子S71と
が直列に接続されて構成される。
図14Bは実施形態2の変形例に係る電力伝送システムにおいて用いる符号復調回路33Aのための双方向性スイッチ回路SS32Aの構成を示す回路図である。図14Bにおいて、スイッチ回路SS32Aは、図11のスイッチ回路SS32に対応し、
(1)正方向に電流を流すD32が並列に接続され、復調符号d1に基づいてオンオフするスイッチ素子S62と、
(2)負方向に電流を流すダイオードD22が並列に接続され、復調符号d3に基づいてオンオフするスイッチ素子S72と
が直列に接続されて構成される。
図14Cは実施形態2の変形例に係る電力伝送システムにおいて用いる符号復調回路33Aのための双方向性スイッチ回路SS33Aの構成を示す回路図である。図14Cにおいて、スイッチ回路SS33Aは、図11のスイッチ回路SS33に対応し、
(1)正方向に電流を流すダイオードD33が並列に接続され、復調符号d1に基づいてオンオフするスイッチ素子S63と、
(2)負方向に電流を流すダイオードD23が並列に接続され、復調符号d3に基づいてオンオフするスイッチ素子S73と
が直列に接続されて構成される。
図14Dは実施形態2の変形例に係る電力伝送システムにおいて用いる符号復調回路33Aのための双方向性スイッチ回路SS34Aの構成を示す回路図である。図14Dにおいて、スイッチ回路SS34Aは、図11のスイッチ回路SS34に対応し、
(1)正方向に電流を流すダイオードD34が並列に接続され、復調符号d2に基づいてオンオフするスイッチ素子S64と、
(2)負方向に電流を流すダイオードD24が並列に接続され、復調符号d4に基づいてオンオフするスイッチ素子S74と
が直列に接続されて構成される。
図13A〜図14Dにおいて、スイッチ素子S41〜S74は例えばMOSトランジスタで構成され、それぞれ並列にMOSトランジスタの寄生(ボディ)ダイオードD1〜D34を使用することも可能である。図13A〜図14Dの各スイッチ回路SS21A〜SS34Aを、例えばMOSトランジスタのスイッチ素子と1つのダイオードで実現すると、1つの双方向性スイッチ回路SS21A〜SS34Aで2つのMOSトランジスタと2つのダイオードが必要になる。一方、MOSトランジスタには特性の良い逆特性ダイオードが内蔵されたパッケージが普及しており、これを用いれば2つのスイッチ素子で1つの双方向性スイッチ回路SS21A〜SS34Aを構成でき小型化が可能となる。
実施形態3.
実施形態1及び2では、1つの発電機1から1つの負荷5に電力を伝送する電力伝送システムについて説明した。一方、実施形態3では、複数の発電機から複数の負荷に電力を伝送する電力伝送システムについて説明する。
図15は実施形態3に係る電力伝送システムの構成を示すブロック図である。図15において、実施形態3に係る電力伝送システムは、複数の発電機1−1,1−2と、複数の符号変調器2A−1,2A−2と、伝送路3と、複数の符号復調器4A−1,4A−2と、複数の負荷5−1,5−2と、コントローラ10Aとを備える。
コントローラ10Aは、制御回路11及び通信回路12Aを備える。制御回路11は、通信回路12Aを介して符号変調器2A−1,2A−2及び符号復調器4A−1,4A−2と通信し、それらの動作を制御する。
図15の電力伝送システムにおいて、符号変調器2A−1,2A−2は電力送信装置としてそれぞれ動作し、符号復調器4A−1,4A−2は電力受信装置としてそれぞれ動作する。符号変調器2A−1,2A−2のうちの各1つの符号変調器は、第1の電力を、所定の符号系列に基づく変調符号を用いて符号変調して符号変調波を生成し、符号変調波を、伝送路3を介して符号復調器4A−1,4A−2のうちの1つの符号復調器に送信する。符号復調器4A−1,4A−2のうちの各1つの符号復調器は、符号変調器2A−1,2A−2のうちの1つの符号変調器から伝送路3を介して符号変調波を受信し、受信した符号変調波を、符号変調したときに用いた変調符号の符号系列と同じ符号系列に基づく復調符号を用いて符号復調して第2の電力を生成する。第1の電力は、例えば、発電機1−1,1−2で発電された電力であり、図15では発電電流I11,I12として示す。符号変調波は、符号変調された交流電力であり、図15では変調電流I2として示す。第2の電力は、例えば、負荷5−1,5−2に供給される電力であり、図1では復調電流I31,I32として示す。
ここで、図15の符号変調器2A−1,2A−2及び符号復調器4A−1,4A−2は、実施形態2に係る符号変調器2A及び符号復調器4Aと同様に構成され、同様に動作する。
図15の電力伝送システムは、さらに、電力測定器1m−1,1m−2,5m−1,5m−2を備える。電力測定器1m−1,1m−2は、第1の電力の電力量を測定する第1の電力測定手段である。すなわち、電力測定器1m−1,1m−2は、発電機1−1,1−2の発電量であり、発電機1−1,1−2から符号変調器2A−1,2A−2へ送られる電力の電力量を測定する。電力測定器5m−1,5m−2は、第2の電力の電力量を測定する第2の電力測定手段である。すなわち、電力測定器5m−1,5m−2は、負荷5−1,5−2における電力使用量である、符号復調器4A−1,4A−2から負荷5−1,5−2へ送られる電力の電力量を測定する。電力測定器1m−1,1m−2,5m−1,5m−2によって測定された電力量はコントローラ10Aに送信される。
コントローラ10Aは、電力測定器1m−1,1m−2,5m−1,5m−2から受信した各電力量に基づいて、符号変調器2A−1,2A−2及び符号復調器4A−1,4A−2の動作を制御する。例えば、コントローラ10Aは、符号変調器2A−1,2A−2及び符号復調器4A−1,4A−2を互いに同期させるための同期信号を含む制御信号を符号変調器2A−1,2A−2及び符号復調器4A−1,4A−2に送信し、これにより、正確に同期した電力の符号変調及び符号復調を実現する。
コントローラ10Aは、符号変調器2A−1,2A−2のうち、電力を送信すべき符号変調器に対して変調符号の符号系列又はその指定情報を送信する一方、符号復調器4A−1,4A−2のうち、電力を受信すべき符号復調器に対して復調符号の符号系列又はその指定情報を送信する。例えば、符号変調器2A−1から符号復調器4A−1に電力を伝送する場合、コントローラ10Aは、1つの符号系列に基づいて、変調符号を符号変調器2A−1に設定し、復調符号を符号復調器4A−1に設定する。それと同時に符号変調器2A−2から符号復調器4A−2に電力を伝送する場合、コントローラ10Aは、異なるもう1つの符号系列に基づいて、変調符号を符号変調器2A−2に設定し、復調符号を符号復調器4A−2に設定する。複数の符号変調器2A−1,2A−2から複数の符号復調器4A−1,4A−2に同時に電力を伝送する場合、互いに低相関である(例えば、互いに直交する)複数の符号系列を用いてもよい。
これにより、複数の発電機1−1,1−2から複数の負荷5−1,5−2へ電力を伝送することができる。
発電機1−1,1−2で発電された電力を負荷5−1,5−2へ伝送するための符号変調器2A−1,2A−2及び符号復調器4A−1,4A−2の例示的な動作について、以下に説明する。
実施形態3において、発電機1−1及び1−2の出力電力が直流であり、負荷5−1の入力電力が直流であり、負荷5−2への入力電力が交流である場合を示す。すなわち、発電機1−2から負荷5−2への電力伝送が、直流から交流への変換動作となる。
図16Aは図15の電力伝送システムにおいて直流電力を送電して直流電力を受電する実施形態3に係る符号変調器2A−1の変調符号及び符号復調器4A−1の復調符号の一例を示す図である。また、図16Bは図15の電力伝送システムにおいて直流電力を送電して交流電力を受電する実施形態3に係る符号変調器2A−2の変調符号及び符号復調器4A−2の復調符号の一例を示す図である。
図16Aは、符号変調器2A−1及び符号復調器4A−1のスイッチ素子S1〜S44に入力される変調符号及び復調符号を示す。ここで、変調符号m1a〜m4aは、それぞれ図10に示した符号変調回路23Aの変調符号m1〜m4に対応し、復調符号d1a〜d4aは、それぞれ図11に示した符号復調回路33Aの復調符号d1〜d4に対応する。この場合、図12Bを用いて説明した通り、変調符号m3a、m4a及び復調符号d3a、d4aの符号値を常に「0」に設定することによりスイッチ素子S21〜S24,S31〜S34はオフされる。また、変調符号m1a、m2a及び復調符号d1a、d2aは、図12Bを用いて説明した通り、符号系列c1aと符号系列c1bから生成される。
さらに、図16Bに、符号変調器2A−2と符号復調器4A−2のスイッチ素子S1〜S44に入力される変調符号及び復調符号を示す。ここで、変調符号m1b〜m4bは、それぞれ図10に示した符号変調回路23Aの変調符号m1〜m4に対応し、復調符号d1b〜d4bは、それぞれ図11に示した符号復調回路33Aの復調符号d1〜d4に対応する。この場合、変調符号m3b、m4bの符号値を常に「0」に設定することによりスイッチ素子S21〜S24はオフされる。また、変調符号m1b、m2b及び復調符号d1b〜d4bは、符号系列c2aと符号系列c2bから生成される。電流の符号変調及び符号復調の原理は、実施形態1〜2と同様であるので、ここでは説明は省略する。
以下では、図17を参照して、複数の発電機1−1,1−2から複数の負荷5−1,5−2に電力を伝送する動作について説明する。
図17(a)〜図17(e)は、実施形態3に係る電力伝送システムにおける例示的な信号波形を示す波形図である。図17(a)は発電電流I11の信号波形を示し、図17(b)は発電電流I12の信号波形を示し、図17(c)は変調電流I2の信号波形を示し、図17(d)は復調電流I31の信号波形を示し、図17(e)は復調電流I32の信号波形を示す。
直流の発電電流I11は、符号変調器2A−1により符号変調されて交流の符号変調波になる。同様に、直流の発電電流I12は、符号変調器2A−2により符号変調されて交流の符号変調波になる。符号変調器2A−1により生成された符号変調波と、符号変調器2A−2により生成された符号変調波とは、図17(c)に示すように、互いに合成された変調電流I2として伝送路3を介して伝送される。
上述の通り、符号変調器2A−1及び2A−2は互いに同一の構成を有し、それぞれ図10の符号変調器2Aと同様に構成される。また、符号復調器4A−1と4A−2もまた互いに同一の構成を有し、それぞれ図11の符号復調器4Aと同様に構成される。符号変調器2A−1と2A−2の間の相違点、及び、符号復調器4A−1と4A−2の間の相違点は、互いに異なる符号系列c1a,c1bと符号系列c2a,c2bとを用いていることにある。符号変調器2A−1及び符号復調器4A−1は符号系列c1a,c1bを使用し、符号変調器2A−2及び符号復調器4A−2は符号系列c2a,c2bを使用する。ここで、符号系列c1aとc2aは互いに直交し、従って、符号系列c1bとc2bもまた互いに直交する。ここでは、7段のGold系列を用い、互いに異なるGold系列を符号系列c1a,c2aとして設定した。
符号復調器4A−1,4A−2は、互いに直交した符号系列c1a,c2aを用いることにより、変調電流I2から、対応する符号変調器2A−1,2A−2で生成された電力をそれぞれ復調して取り出すことができる。これにより、図17(d)と図17(e)に示したように、符号変調器2A−1,2A−2に入力された発電電流I11,I12は、符号変調波として伝送された後、対応する符号復調器4A−1,4A−2において復調電流I31,I32として正確に復調されて出力される。これにより、所望の波形(直流又は交流)及び所望の大きさを持った復調電流I31,I32が負荷5−1と5−2にそれぞれ供給される。
以上説明したように、本実施形態によれば、符号変調器2A−1,2A−2と符号復調器4A−1,4A−2を用いることで、1つの伝送路3において多重化された2つの電力伝送を同時に行い、そして、伝送された電力を分離することが可能になる。従って、2つの発電機1−1,1−2から2つの負荷5−1,5−2に所望の大きさの電流を同時に伝送可能な優れた電力伝送システムを実現できる。
なお、符号変調器2A−1と2A−2あるいは符号復調器4A−1と4A−2で瞬時電力を測定し、符号系列と照らし合わせることにより、どの発電機1−1,1−2からどの負荷にどれだけの電力が伝送されたのかを把握することが可能となる。これにより、異なる発電コストを有する複数の異なる発電機1−1,1−2が接続された場合に、送電元の発電機1−1,1−2に応じた電気料金を課すような電力ビジネスの運営を実現できる。あるいは、どの発電機1−1,1−2からどの負荷5−1,5−2に電力を送るかによって送電効率が変わるようなシステムでは、電力伝送の情報を管理して分析することにより、最適な電力供給を実現できる。
以上説明したように、本実施形態によれば、符号変調器2A−1,2A−2及び符号復調器4A−1,4A−2を用いることで、1つ以上の発電機1−1,1−2から1つ以上の負荷5−1,5−2に対して電力を効率よく供給可能な電力伝送システムを提供することが可能になる。
以上の実施形態では、2つの発電機1−1,1−2と2つの負荷5−1,5−2を備えた電力伝送システムを例に挙げて説明したが、本開示はこれに限られるものではない。1つの発電機1−1と2つ以上の負荷5−1,5−2を備えた構成、更には、2つ以上の発電機1−1,1−2と2つ以上の負荷5−1,5−2で構成される電力伝送システムを構成することも可能である。この場合には、多数の電力伝送を1つの伝送路3にまとめて行うことが可能となり、伝送路3の敷設コストの減少、伝送路3の本数削減によるコスト減少等の効果がある。
上述の実施形態の説明では、図15における符号変調器2A−1,2A−2は一例として図10に示した符号変調回路23Aで構成した場合を示したが、これに限られるものではない。例えば、発電機1−1,1−2の出力電力が直流の場合には、符号変調器2A−1,2A−2は図7に示した符号変調回路23を用いて構成してもよい。また、負荷5−1,5−2への入力電力が直流の場合には、符号復調器4A−1,4A−2は図7に示した符号復調回路33を用いて構成してもよい。これらの場合は、符号変調器2A−1,2A−2及び符号復調器4A−1,4A−2の回路構成を簡略化することができるので、部品点数が削減され、コストの削減及び装置の小型化を実現できるという効果がある。
なお、実施形態3では、一例として、直流の出力電力を有する2つの発電機から、直流の入力電力を有する1つの負荷と、交流の入力電力を有する1つの負荷とに電力を伝送する電力伝送システムについて説明したが、これに限られるものではない。電力伝送システムは、直流の出力電力を有する任意個数の発電機と、交流の出力電力を有する任意個数の発電機とから電力供給を受けてもよい。また、電力伝送システムは、直流の入力電力を有する任意個数の負荷と、交流の入力電力を有する任意個数の負荷とに電力を供給してもよい。
自然エネルギーの大半を占める太陽光発電では直流の電力が生成される。その一方で、風力及び地熱発電では交流の電力が生成される。この場合、電力網内に直流と交流の電源が混ざり合うことは望ましくないので、従来の電力伝送システムでは、発電機(電源)及び負荷を直流あるいは交流に揃える必要がある。
これに対して、本実施形態に係る電力伝送システムでは、符号変調及び符号復調を用いることにより、直流の電源から直流の負荷への電力伝送と、直流の電源から交流の負荷への電力伝送と、交流の電源から直流の負荷への電力伝送と、交流の電源から交流の負荷への電力伝送とを、1つの伝送路上で同時に行うことができる。
これにより、実施形態1から3における電力伝送システムにおいて、電力の符号変調及び符号復調を正確に実現する電力伝送に加え、複数の電力伝送を1つの伝送路で多重化して同時に行うことを可能にする優れた電力伝送システムを提供することができる。
実施形態4.
図18は、実施形態4に係る電力伝送システムの構成を示す回路図である。図18の発電機1、符号変調器2、伝送路3、符号復調器4、及び負荷5は、図1の対応する構成要素と同様に構成される。発電機1は直流の発電電流を符号変調器2に供給し、負荷5は符号復調器4から直流の負荷電流の供給を受ける。図18では、図示の簡単化のために、図1のコントローラ10、電力測定器1m,5m、符号変調器2におけるスイッチ素子S1〜S4以外の構成要素、符号復調器4におけるスイッチ素子S11〜S14以外の構成要素を省略している。
図18の電力伝送システムは、符号変調器2と発電機1との間に接続された第1のリアクトルL1と、符号復調器4と負荷5との間に接続された第2のリアクトルL2とをさらに備える。リアクトルL1を備えることにより、符号変調器2の符号変調回路23において生じたスイッチングノイズが発電機1に到達しにくくなる。また、リアクトルL2を備えることにより、符号復調器4の符号復調回路33において生じたスイッチングノイズが負荷5に到達しにくくなる。また、リアクトルL1、L2を備えることにより、各スイッチ素子S1〜S4,S11〜S14をオン・オフするときも電流の連続性を維持することができる。これにより、電力伝送の品質及び安全性を向上させることができる。
通常、符号変調器2のスイッチ素子S1〜S4と符号復調器のスイッチ素子S11〜S14とは時間的に同期され、スイッチ素子S1〜S4,S11〜S14のオン・オフを同時に切り換える。しかしながら、完全な時間同期を維持し続けることは難しく、時間遅延および時間進みが生じることがある。電力伝送システムがリアクトルL1,L2を備える場合、スイッチ素子S1〜S4,S11〜S14のオン・オフの切り換えに遅延が生じると、電力伝送できない時間が生じるので、符号復調器4の側で電圧が立ち上がらなくなる。
図19は、実施形態4の比較例に係る電力伝送システムにおいて使用される変調符号m1,m2及び復調符号d1,d2を示すタイミングチャートである。図19(a)は遅延なしの場合を示し、図19(b)は遅延が生じた場合を示す。図19(b)では、復調符号d1,d2が変調符号m1,m2に対して遅延している。
遅延は、例えば以下の原因により生じる。
・符号変調器2及び符号復調器4の間における同期の喪失
・符号変調器2、符号復調器4、及びコントローラ10の間における信号伝送の遅延
・符号変調器2及び符号復調器4の間における電力伝送の遅延
・符号変調器2及び符号復調器4のクロック周波数の不一致
図20は、実施形態4の比較例に係る電力伝送システムで遅延が生じた場合における電流の流れを示す図である。図19(b)のように遅延が生じた場合、符号変調器2のスイッチ素子S2,S3がオンされていても、符号復調器4のスイッチ素子S11,S14がオフされているので、負荷5に電力を供給することができない。
図21は、実施形態4の実施例及び比較例に係る電力伝送システムの構成を示すブロック図である。図21の電力伝送システムは、発電機1−1,1−2と、符号変調器2−1,2−2と、伝送路3と、符号復調器4−1,4−2と、負荷5−1,5−2と、リアクトルL1−1,L1−2,L2−1,L2−2とを備える。図21の電力伝送システムについて、以下の条件でシミュレーションを行った。発電機1−1,1−2は115Vの直流電圧を発生した。リアクトルL1−1,L2−1のインダクタンスは10mHであり、リアクトルL1−2,L2−2のインダクタンスは100mHであった。負荷5−1は4.3Ωのインピーダンスを有し、負荷5−2は60Ωのインピーダンスを有していた。符号変調器2−1,2−2及び符号復調器4−1,4−2の変調クロック周波数は20kHzであった。ここで、変調クロック周波数は、変調符号及び復調符号のビットレートを表す。符号変調器2−1,2−2及び符号復調器4−1,4−2の各スイッチ素子の損失は0.2Ωであった。符号変調器2−1から符号復調器4−1に電力を伝送し、符号変調器2−2から符号復調器4−2に電力を伝送する。
図22は、実施形態4の比較例に係る電力伝送システムにおいて遅延なしで電力を伝送する場合の負荷電圧Vout1,Vout2の変化を示すグラフである。図23は、実施形態4の比較例に係る電力伝送システムにおいて遅延が生じた場合の負荷電圧Vout1,Vout2の変化を示すグラフである。図21の電力伝送システムにおいてシミュレーションを行った。図22の場合、符号変調器2−1及び符号復調器4−1のペアと、符号変調器2−2及び符号復調器4−2のペアとのそれぞれにおいて、変調符号及び復調符号の状態は図19(a)で表される。一方、図23の場合、符号変調器2−2及び符号復調器4−2のペアでは、変調符号及び復調符号の状態は図19(a)で表されるが、符号変調器2−1及び符号復調器4−1のペアでは、変調符号及び復調符号の状態は図19(b)で表される。後者の場合、復調符号d1,d2が変調符号m1,m2に対して変調クロック周期(変調符号及び復調符号の1ビット分の時間長)の1%だけ遅延している。
図22及び図23からわかるように、電力伝送システムがリアクトルL1,L2を備える場合、符号変調器2及び符号復調器4の間に遅延が生じると、負荷電圧が立ち上がらず、電力を伝送できなくなる。復調符号d1,d2が変調符号m1,m2に対して変調クロック周期の1%遅延しただけでも、電力を伝送できなくなる。従って、電力を伝送するためには、符号変調器2及び符号復調器4が完全に同期していなければならないという、現実的でない要件が課せられる。
これに対して、以下、遅延による電力伝送の効率の低下を生じにくい実施形態4に係る電力伝送システムの動作について説明する。
図24は、実施形態4に係る電力伝送システムにおいて使用される変調符号m1,m2及び復調符号d1,d2を示すタイミングチャートである。
図24を参照すると、符号変調器2において、制御回路20は、異なるスイッチ素子S1〜S4(図7のスイッチ回路SS1〜SS4)の状態を有する第1〜第3の状態を符号変調回路23に設定する。第1の状態では、スイッチ素子S1,S4をオンし、スイッチ素子S2,S3をオフする(時間期間P1)。第2の状態では、スイッチ素子S1,S4をオフし、スイッチ素子S2,S3をオンする(時間期間P3)。第3の状態では、第1の状態から第2の状態に遷移するとき及び第2の状態から第1の状態に遷移するとき、スイッチ素子S1〜S4のすべてをオンする(時間期間P2,P4)。本明細書では、第3の状態を、符号変調器2の「同時オン状態」ともいう。
また、図24を参照すると、符号復調器4において、制御回路30は、異なるスイッチ素子S11〜S14(図7のスイッチ回路SS11〜SS14)の状態を有する第4〜第6の状態を符号復調回路33に設定する。第4の状態では、スイッチ素子S11,S14をオフし、スイッチ素子S12,S13をオンする(時間期間P1)。第5の状態では、スイッチ素子S11,S14をオンし、スイッチ素子S12,S13をオフする(時間期間P3)。第6の状態では、第4の状態から第5の状態に遷移するとき及び第5の状態から第4の状態に遷移するとき、スイッチ素子S11〜S14のすべてをオンする(時間期間P2,P4)。本明細書では、第6の状態を、符号復調器4の「同時オン状態」ともいう。
第3及び第6の状態(時間期間P2,P4)は予め決められた時間長を有し、本明細書では、この時間長を「同時オン時間」という。
図25は、図24の時間期間P1における電流の流れを示す図である。時間期間P1では、符号変調器2のスイッチ素子S1,S4がオンされ、符号復調器4のスイッチ素子S12,S13がオンされるので、図24のように電流が流れ、負荷5に電力が供給される。
図26は、図24の時間期間P2,P4における電流の流れを示す図である。符号変調回路23が第3の状態にあるとき、端子T1及び端子T2は符号変調器2の内部で短絡され、符号変調器2の内部で端子T1から端子T2に帰還する電流が流れる。このとき、各スイッチ素子S1〜S4の抵抗分配により符号変調器2の内部の全経路に電流が流れるが、電流のエネルギーはリアクトルL1に吸収されるので、電流の経路上のスイッチ素子S1〜S4等は保護されている。また、符号変調回路23が第3の状態に設定される時間長は、リアクトルL1のインダクタンスを基準として非常に短いので、図26のように電流が流れても、電流の経路上のスイッチ素子S1〜S4等の破壊は生じにくい。なお、実際には、符号変調回路23が第3の状態にあるとき、符号変調器2の電流の一部は伝送路3にも流れる。この電流量は、各スイッチ素子S1〜S4の抵抗分配の関係で、端子T1から端子T2に帰還する電流に比べて小さく、また、リアクトルL1に吸収されるエネルギーに比べて小さいので、無視してもよい。同様に、符号復調回路33が第6の状態にあるとき、端子T13及び端子T14は符号復調器4の内部で短絡され、符号復調器4の内部で端子T13から端子T14に帰還する電流が流れる。
図27は、図24の時間期間P3における電流の流れを示す図である。時間期間P3では、符号変調器2のスイッチ素子S2,S3がオンされ、符号復調器4のスイッチ素子S11,S14がオンされるので、図27のように電流が流れ、負荷5に電力が供給される。
図24〜図27は、電力伝送システムにおいて遅延なしで電力を伝送する場合を示す。図24の時間期間P1では、符号変調回路23は第1の状態にあり、かつ、符号復調回路33は第4の状態にある(図25)。図24の時間期間P2,P4では、符号変調回路23は第3の状態にあり、かつ、符号復調回路33は第6の状態にある(図26)。図24の時間期間P3では、符号変調回路23は第2の状態にあり、かつ、符号復調回路33は第5状態にある(図27)。
図28は、実施形態4に係る電力伝送システムにおいて同時オン時間よりも短い遅延が生じた場合の変調符号m1,m2及び復調符号d1,d2を示すタイミングチャートである。図28の場合、復調符号d1,d2が、変調符号m1,m2に対して、同時オン時間P2よりも短い時間長だけ遅延している。図28の時間期間P2aでは、符号変調回路23は第3の状態(同時オン状態)にあり、かつ、符号復調回路33は第4の状態にある。図28の時間期間P2bでは、符号変調回路23は第3の状態(同時オン状態)にあり、かつ、符号復調回路33は第6の状態にある(同時オン状態)。図28の時間期間P2cでは、符号変調回路23は第2の状態にあり、かつ、符号復調回路33は第6の状態(同時オン状態)にある。また、図28の時間期間P1’では、符号変調回路23は第1の状態にあり、かつ、符号復調回路33は第4の状態にある。図28の時間期間P3’では、符号変調回路23は第2の状態にあり、かつ、符号復調回路33は第5の状態にある。
従って、時間期間P2aでは、符号変調器2のみが同時オン状態になる。時間期間P2bでは、符号変調器2及び符号復調器4の両方が同時オン状態になる。時間期間P2cでは、符号復調器4のみが同時オン状態になる。
図29は、図28の時間期間P2aにおける電流の流れを示す図である。発電電流の一部は、伝送路3を介して負荷5に供給され、発電電流の他の一部は、符号変調器2の内部で端子T1から端子T2に帰還する。
時間期間P2cでは、発電機1から伝送路3を介して負荷5に電流が供給されるとともに、符号復調器4の内部で端子T13から端子T14に帰還する電流が流れる。
このように、図28の時間期間P1’、P2a、P2b(図26のように電流が流れる時間期間)、P2c、及びP3’のいずれにおいても、リアクトルL1,L2に流れる電流はゼロにならない。
変調符号m1,m2に対する復調符号d1,d2の遅延時間が、同時オン時間(時間期間P2の時間長)を超えなければ、電力伝送が停止することはない。
図30は、実施形態4の実施例に係る電力伝送システムにおいて遅延なしで電力を伝送する場合の負荷電圧Vout1,Vout2の変化を示すグラフである。図31は、実施形態4の実施例に係る電力伝送システムにおいて遅延が生じた場合の負荷電圧Vout1,Vout2の変化を示すグラフである。図21の電力伝送システムにおいてシミュレーションを行った。図30及び図31のそれぞれにおいて、符号変調器2及び符号復調器4の同時オン時間を、変調クロック周期の10%に設定した。図30の場合、符号変調器2−1及び符号復調器4−1のペアと、符号変調器2−2及び符号復調器4−2のペアとのそれぞれにおいて、変調符号及び復調符号の状態は図24で表される。一方、図31の場合、符号変調器2−2及び符号復調器4−2のペアでは、変調符号及び復調符号の状態は図24で表されるが、符号変調器2−1及び符号復調器4−1のペアでは、変調符号及び復調符号の状態は図28で表される。後者の場合、復調符号d1,d2を変調符号m1,m2に対して変調クロック周期の10%の遅延時間、すなわち、同時オン時間以下の遅延時間だけ遅延させた。図30及び図31に示すように、符号変調器2及び符号復調器4の同時オン状態を導入することにより、発電電流及び負荷電流がゼロになる時間が生じなくなるので、遅延が生じても、遅延時間が同時オン時間を超えなければ、電力伝送が停止することはない。
ここで、同時オン状態の時間長を決定する2つの方法について説明する。
まず、同時オン状態の時間長を決定する第1の方法について説明する。上記では、一例として、符号変調器2及び符号復調器4の間の遅延を例に挙げて説明したが、時間進みも同様に、電力伝送が停止する要因となりうる。また、符号変調器2及び符号復調器4の間の遅延に加えて、符号変調器2のスイッチ素子S1〜S4の動作の時間ズレ(遅れ、あるいは進み)と、符号復調器4のスイッチ素子S11〜S14の動作の時間ズレ(遅れ、あるいは進み)も同様に、電力伝送が停止する要因となりうる。そこで、符号変調器2の各スイッチ素子S1〜S4の動作の時間ズレ(遅れ、あるいは進み)を、Δt_Txにより表す。符号復調器4の各スイッチ素子S11〜S14の動作の時間ズレ(遅れ、あるいは進み)を、Δt_Rxにより表す。符号変調器2及び符号復調器4の間の時間ズレ(遅れ、あるいは進み)を、Δt_Tx−Rxにより表す。これらの時間ズレは、電力伝送システムの基準時間に対する遅れ又は進みを表す。この場合、同時オン時間は次式により決定される。
同時オン時間≧Δt_Tx+Δt_Tx−Rx+Δt_Rx
従って、同時オン状態の時間長は、符号変調器2のスイッチ素子S1〜S4の動作の時間ズレと、符号変調器2及び符号復調器4の間の時間ズレと、符号復調器4のスイッチ素子S11〜S14の動作の時間ズレとの和以上に設定される。
また、電力伝送システムが複数の符号変調器2−i(1≦i≦M)及び複数の符号復調器4−j(1≦j≦N)を含む場合を考える。符号変調器2−iのスイッチ素子S1〜S4の動作の時間ズレを、Δt_Txiにより表す。符号復調器4−jのスイッチ素子S11〜S14の動作の時間ズレを、Δt_Rxjにより表す。符号変調器2−i及び符号復調器4−jの間の時間ズレを、Δt_Txi−Rxjにより表す。この場合、同時オン時間は次式により決定される。
同時オン時間≧max(Δt_Txi+Δt_Txi−Rxj+Δt_Rxj)
ここで、i,jを変化させて、右辺の最大値を計算する。
従って、同時オン状態の時間長は、各符号変調器2におけるスイッチ素子S1〜S4の動作の時間ズレの最大値と、各符号変調器及び各符号復調器の間の時間ズレの最大値と、各符号復調器4におけるスイッチ素子S11〜S14の動作の時間ズレの最大値との和以上に設定される。
次に、図32〜図34を参照して、同時オン状態の時間長を決定する第2の方法について説明する。
図32は、実施形態4に係る電力伝送システムが図25及び図27の状態にあるときの等価回路図である。図33は、実施形態4に係る電力伝送システムが図26の状態にあるときの等価回路図である。図34は、図32及び図33の時間期間を交互に繰り返すときの出力電圧の変化を示す概略図である。
一般に、インダクタンス値Lを有するリアクトルを含む回路において、時間期間Δtにおける電流の変化量Δi及び出力電圧の変化量ΔVoは、次式によって与えられる。
電流の変化量:Δi=1/L×Δv×Δt
出力電圧の変化量:ΔVo=Z×Δi=Z×Δv×Δt/L
ここで、Δvは、微小時間Δtにおけるリアクトルの電圧の変化量を示し、Zは、負荷5のインピーダンスを示す。
図32の場合、時間期間Δt_1における負荷電圧の変化量ΔVo_1は、Δt_1/(L1+L2)に比例する。図33の場合、時間期間Δt_2における負荷電圧の変化量ΔVo_2は、Δt_2/L2に比例する。ここで、時間期間Δt_2は符号復調器4の同時オン時間を表し、時間期間Δt_1は、符号復調器4の変調クロック周期から同時オン時間を減算した残りの時間を表す。ΔVo_1>ΔVo_2が常に成り立つので、次式が得られる。
Δt_1/(L1+L2)>Δt_2/L2
この式を変形し、同時オン状態の時間長の条件として次式が得られる。
Δt_2/Δt_1<L2/(L1+L2)
従って、符号復調器4において、第4及び第5の状態の合計の時間長に対する第6の状態の時間長の比の値は、第1及び第2のリアクトルのインダクタンスの和に対する第2のリアクトルのインダクタンスの比の値よりも小さく設定される。
図35は、実施形態4に係る電力伝送システムにおいて同時オン時間よりも長い遅延が生じた場合の変調符号m1,m2及び復調符号d1,d2を示すタイミングチャートである。図35の場合、復調符号d1,d2が、変調符号m1,m2に対して、同時オン時間P2よりも長い時間長だけ遅延している。これにより、図19(b)と同様に、発電機1から負荷5に電力を供給できない時間期間が生じる。図35の時間期間P2では、符号変調回路23は第3の状態(同時オン状態)にあり、かつ、符号復調回路33は第4の状態にある。図35の時間期間P5では、符号変調回路23は第2の状態にあり、かつ、符号復調回路33は第4の状態にある。図35の時間期間P6では、符号変調回路23は第2の状態にあり、かつ、符号復調回路33は第6の状態(同時オン状態)にある。時間期間P5では、図20に示すように、符号変調器2のスイッチ素子S2,S3がオンされていても、符号復調器4のスイッチ素子S11,S14がオフされているので、負荷5に電力を供給することができない。
実施形態4に係る電力伝送システムによれば、符号変調器2及び符号復調器4の同時オン状態を導入することにより、符号変調器2及び符号復調器4の間の遅延による電力伝送の効率の低下を生じにくくすることができる。
実施形態4に係る電力伝送システムによれば、遅延が生じても、遅延時間が同時オン時間を超えなければ、電力伝送が停止することはない。
符号変調器2及び符号復調器4のそれぞれにおいて、すべてのスイッチ素子がオフされる時間期間が存在すると、サージが発生したり、ノイズが増加したりする可能性がある。実施形態4に係る電力伝送システムによれば、すべてのスイッチ素子がオフされる時間期間は存在せず、符号変調器2及び符号復調器4の安全性を向上することができる。
実施形態5.
実施形態4では、符号変調器2及び符号復調器4の両方に同時オン状態を設定したが、実施形態4では、符号変調器2のみに同時オン状態を設定する場合について説明する。
図36は、実施形態5に係る電力伝送システムにおいて使用される変調符号m1,m2及び復調符号d1,d2を示すタイミングチャートである。図36(a)は許容遅延時間以下の遅延が生じた場合を示し、図36(b)は許容遅延時間を超える遅延が生じた場合を示す。許容遅延時間は、例えば、符号復調器4のスイッチ素子S11〜S14の動作の時間ズレを示す。電力伝送システムが複数の符号復調器4を含む場合、許容遅延時間は、各符号復調器4におけるスイッチ素子S11〜S14の動作の時間ズレの最大値を示す。符号変調器2の同時オン時間P11は、許容遅延時間の2倍以上に設定される。復調符号d1,d2が変調符号m1,m2に対して遅延しても、遅延時間が許容遅延時間を超えなければ、電力伝送が停止することはない。
図37は、実施形態5の実施例に係る電力伝送システムにおいて許容遅延時間を超える遅延が生じていない場合の負荷電圧Vout1,Vout2の変化を示すグラフである。図38は、実施形態5の実施例に係る電力伝送システムにおいて許容遅延時間を超える遅延が生じていない場合の負荷電圧Vout1,Vout2の変化を示すグラフである。図39は、実施形態5の実施例に係る電力伝送システムにおいて許容遅延時間を超える遅延が生じた場合の負荷電圧Vout1,Vout2の変化を示すグラフである。図40は、実施形態5の実施例に係る電力伝送システムにおいて許容遅延時間を超える遅延が生じた場合の負荷電圧Vout1,Vout2の変化を示すグラフである。図21の電力伝送システムにおいてシミュレーションを行った。図37〜図40のそれぞれにおいて、符号変調器2の同時オン時間を、変調クロック周期の10%に設定した。
図37の場合、符号変調器2−1及び符号復調器4−1のペアと、符号変調器2−2及び符号復調器4−2のペアとのそれぞれにおいて、復調符号d1,d2を変調符号m1,m2に対して変調クロック周期の1%だけ遅延させた。
図38の場合、符号変調器2−1及び符号復調器4−1のペアにおいて、復調符号d1,d2を変調符号m1,m2に対して変調クロック周期の5%だけ遅延させ、符号変調器2−2及び符号復調器4−2のペアにおいて、復調符号d1,d2を変調符号m1,m2に対して同期させた。
図39の場合、符号変調器2−1及び符号復調器4−1のペアにおいて、復調符号d1,d2を変調符号m1,m2に対して変調クロック周期の6%だけ遅延させ、符号変調器2−2及び符号復調器4−2のペアにおいて、復調符号d1,d2を変調符号m1,m2に対して同期させた。
図40の場合、符号変調器2−1及び符号復調器4−1のペアにおいて、復調符号d1,d2を変調符号m1,m2に対して変調クロック周期の10%だけ遅延させ、符号変調器2−2及び符号復調器4−2のペアにおいて、復調符号d1,d2を変調符号m1,m2に対して同期させた。
図37〜図40に示すように、符号変調器2の同時オン状態を導入することにより、遅延が生じても、遅延時間が許容遅延時間を超えなければ、電力伝送が停止することはない。
符号変調器2の同時オン状態の時間長は、符号復調器4における遅延時間の2倍以上に設定される。電力伝送システムが複数の符号復調器4を含む場合には、符号変調器2の同時オン状態の時間長は、各符号復調器4における遅延時間の最大値の2倍以上に設定される。
図41は、実施形態5の比較例に係る電力伝送システムにおいて使用される変調符号m1,m2及び復調符号d1,d2を示すタイミングチャートである。実施形態5では、符号復調器4において、復調符号d1、d2の同期ズレなどに起因して、すべてのスイッチ素子S11〜S14がオフされる時間期間P12がわずかでも存在すると、電力を伝送できなくなる。
実施形態5に係る電力伝送システムによれば、符号変調器2の同時オン状態を導入することにより、符号変調器2及び符号復調器4の間の遅延による電力伝送の効率の低下を生じにくくすることができる。
実施形態6.
実施形態5では、符号変調器2のみに同時オン状態を設定したが、実施形態6では、符号復調器4のみに同時オン状態を設定する場合について説明する。
図42は、実施形態6に係る電力伝送システムにおいて使用される変調符号m1,m2及び復調符号d1,d2を示すタイミングチャートである。図42(a)は許容遅延時間に等しい遅延が生じた場合を示し、図42(b)は許容遅延時間未満の遅延が生じた場合を示す。許容遅延時間は、例えば、符号変調器2のスイッチ素子S1〜S4の動作の時間ズレを示す。電力伝送システムが複数の符号変調器2を含む場合、許容遅延時間は、各符号変調器2におけるスイッチ素子S1〜S4の動作の時間ズレの最大値を示す。符号変調器2の同時オン時間P21は、許容遅延時間の2倍以上に設定される。復調符号d1,d2が変調符号m1,m2に対して遅延しても、遅延時間が許容遅延時間を超えなければ、電力伝送が停止することはない。
図43は、実施形態6の実施例に係る電力伝送システムにおいて許容遅延時間を超える遅延が生じていない場合の負荷電圧Vout1,Vout2の変化を示すグラフである。図21の電力伝送システムにおいてシミュレーションを行った。図43において、符号復調器4の同時オン時間を、変調クロック周期の10%に設定した。図43の場合、符号変調器2−1及び符号復調器4−1のペアにおいて、復調符号d1,d2を変調符号m1,m2に対して変調クロック周期の1%だけ遅延させ、符号変調器2−2及び符号復調器4−2のペアにおいて、復調符号d1,d2を変調符号m1,m2に対して同期させた。図43に示すように、符号復調器4の同時オン状態を導入することにより、遅延が生じても、遅延時間が許容遅延時間を超えなければ、電力伝送が停止することはない。
符号復調器4の同時オン状態の時間長は、符号変調器2における遅延時間の2倍以上に設定される。電力伝送システムが複数の符号変調器2を含む場合には、符号復調器4の同時オン状態の時間長は、各符号変調器2における遅延時間の最大値の2倍以上に設定される。
実施形態6に係る電力伝送システムによれば、符号復調器4の同時オン状態を導入することにより、符号変調器2及び符号復調器4の間の遅延による電力伝送の効率の低下を生じにくくすることができる。
実施形態4〜6では、電力伝送システムが実施形態1と同様に直流の電源及び直流の負荷を含む場合について説明したが、電力伝送システムが実施形態2と同様に交流の電源及び交流の負荷を含む場合にも同様に適用可能である。図10の符号変調回路23Aを備える符号変調器2Aにおいて、制御回路20は、異なるスイッチ回路SS21〜SS24の状態を有する第1〜第3の状態を符号変調回路23Aに設定する。第1の状態では、スイッチ回路SS21,SS24をオンし、第2及び第3のスイッチ回路SS22,SS23をオフする。第2の状態では、スイッチ回路SS21,SS24をオフし、スイッチ回路SS22,SS23をオンする。第3の状態では、第1の状態から第2の状態に遷移するとき及び第2の状態から第1の状態に遷移するとき、SS21〜SS24スイッチ回路のすべてをオンする。図11の符号復調回路33Aを備える符号復調器4Aにおいて、制御回路30は、異なるスイッチ回路SS31〜SS34の状態を有する第4〜第6の状態を符号復調回路33Aに設定する。第4の状態では、スイッチ回路SS31,SS34をオフし、スイッチ回路SS32,SS33をオンする。第5の状態では、スイッチ回路SS31,SS34をオンし、スイッチ回路SS32,SS33をオフする。第6の状態では、第4の状態から第5の状態に遷移するとき及び第5の状態から第4の状態に遷移するとき、スイッチ回路SS31〜SS34のすべてをオンする。
実施形態4〜6では、符号変調器2、符号復調器4、及びコントローラ10は、電力伝送を開始する前に、何らかの方法により同期する。次に、実施形態4〜6に係る電力伝送システムにおいて電力伝送の準備のため、特に、符号変調器2及び符号復調器4を同期させるための制御信号を送受信する動作について説明する。
特許文献1〜3では、電力伝送システム全体の時間的な同期について説明されている。しかしながら、符号変調により変調された電力を伝送する場合には、電力伝送システム全体で時間的に同期するだけでなく、符号変調器2から符号復調器4への伝搬時間を考慮して、符号復調器4の復調動作が受信した電力の位相に同期することが求められる。符号復調器4の復調動作が受信した電力の位相に同期していなければ、受信した電力を復調する際に損失が発生する。図1の電力伝送システムでは、符号復調器4の電力線通信回路24と符号復調器4の電力線通信回路34とが互いに通信することにより、この位相同期を実現する。
図1の電力伝送システムでは、発電機1で発電した電力は符号変調器2で変調され、変調された電力は伝送路3を介して符号復調器4に伝送されて復調され、復調された電力は負荷5に供給される。ここで、符号復調器4の位相同期について、符号変調器2及び符号復調器4の間の伝送路3が経路長L1を有し、符号復調器4で変調された電力を伝送路3を介して伝送するためにΔt1秒の伝搬時間がかかる場合を例に説明する。この場合、符号復調器4の変調開始時刻から符号復調器4の復調開始時刻をΔt1秒だけ遅らせることで、伝送路3を伝送されてきた変調電力が符号復調器4に達する時刻にタイミングを合わせて復調動作を開始し、電力を効率よく復調することができる。以上説明したように、図1の電力伝送システムでは、符号復調器4の復調動作が受信した電力の位相に確実に同期させることが重要となる。
図44は、実施形態4〜6に係る電力伝送システムにおいてコントローラ10、符号変調器2、及び符号復調器4を同期させる処理を示すシーケンス図である。ここでは、同期を確立するための制御信号は、符号変調器2から伝送路3を介して符号復調器4に送信される。この制御信号を送受信するため、符号変調器2及び符号復調器4は電力線通信回路をそれぞれ備えてもよい。制御信号は、符号変調器2の電力線通信回路より送信され、伝送路3を介して符号復調器4の電力線通信回路で受信される。符号復調器4は、伝送路3を介して符号変調器2から制御信号を受信することにより、伝送路3を介する符号変調器2から符号復調器4までの伝搬時間Δt1を測定する。
具体的には、例えば、コントローラ10から、電力伝送システム全体の同期をとるための基準信号としてシステム同期信号を送信し、符号変調器2及び符号復調器4の動作をそれぞれコントローラ10の動作に予め同期させる。これにより、符号変調器2及び符号復調器4の動作はシステム同期時刻t0において互いに時間的に同期する。符号変調器2は、符号復調器4の復調動作を受信した電力の位相に同期させるための制御信号として、ビーコンを符号復調器4に送信する。ビーコンは、システム同期時刻t0を基準とする当該ビーコンの送信時刻(又は、システム同期時刻t0から送信時刻までの時間長Δτ0)を示す情報を含む。符号復調器4は、ビーコンを受信して、システム同期時刻t0を基準とするその受信時刻(又は、システム同期時刻t0から受信時刻までの時間長Δτ1)を決定する。符号復調器4は、伝送路3における伝搬時間Δt1を、Δt1=Δτ1−Δτ0により求める。符号復調器4の制御回路30は、符号復調回路33の復調開始時刻を、符号変調回路23の変調開始時刻(すなわち電力の送信開始時刻)から伝搬時間Δt1だけ遅らせる。符号復調器4は、伝送路3を介して符号変調器2から電力を受信したとき、伝搬時間Δt1に基づいて当該電力の位相に同期して当該電力を復調する、これにより、符号変調器2から受信した電力の位相に同期して電力を効率よく復調することができる。
なお、システム同期信号は、コントローラ10から送信される信号に限られるものでなく、例えば、GPS信号あるいは標準電波(電波時計)のような他の信号源から送信された信号を使用してもよい。これにより、電力伝送システム全体のより正確な同期が可能となる利点がある。さらには、コントローラ10からシステム同期信号を送信する機能を備える必要がないので、コントローラ10のコストを削減する効果がある。
なお、前述のように、符号変調器2及び符号復調器4のクロック周波数の不一致に起因して遅延が発生している場合には、符号変調器2及び符号復調器4は、定期的に、クロック周波数を補正してもよい(周波数同期)。例えば、コントローラ10が定期的に基準クロック信号を符号変調器2及び符号復調器4に送信することにより、符号変調器2及び符号復調器4のクロック周波数を補正してもよい。
実施形態7.
実施形態4〜6に係る電力伝送システムでは、符号変調器2及び符号復調器4が同時オン状態(第3及び第6の状態)にあるとき、次式に従って、急峻な電流ピークが発生する。
Figure 2018159544
ここで、Eは、符号変調器2及び符号復調器4の入力電圧を示す。Lは、リアクトルL1,L2のインダクタンスを示す。Rは、各スイッチ素子S1〜S4,S11〜S14の内部抵抗を示す。
いずれかのスイッチ素子をオフすることにより、同時オン状態から他の状態(第1、第2、第4、及び第5の状態)に遷移した瞬間、リアクトルL1,L2に蓄積されたエネルギーによりスイッチ素子に急峻な電圧ピークが生じる。このような電圧ピークを含む高周波ノイズが発生することにより、以下のような問題が生じるおそれがある。
・符号変調器2及び符号復調器4のスイッチ素子等の過電圧による破壊
・符号変調器2及び符号復調器4の誤動作
・電源、負荷、又は伝送路3を介して接続された他の装置への高周波ノイズの伝搬
これに対して、実施形態7では、高周波ノイズによる影響を低減することができる電力伝送システムを提供する。
図45は、実施形態7に係る電力伝送システムの構成を示す回路図である。図45の電力伝送システムにおいて、発電機1、符号変調器2、伝送路3、符号復調器4、負荷5、及びリアクトルL1,L2は、図18の対応する構成要素と同様に構成される。図45では、図示の簡単化のために、図1のコントローラ10、電力測定器1m,5m、符号変調器2におけるスイッチ素子S1〜S4以外の構成要素、符号復調器4におけるスイッチ素子S11〜S14以外の構成要素を省略している。
図45の電力伝送システムにおいて、符号変調器2は、端子T1,T2の間に接続された第1のフィルタ回路41と、端子T3,T4の間に接続された第2のフィルタ回路42とをさらに備えてもよい。また、符号変調器2は、図46〜図49に示すように、各スイッチ素子S1〜S4に並列に接続された第3のフィルタ回路45a〜45dをさらに備えてもよい。符号復調器4は、端子T11,T12の間に接続された第4のフィルタ回路43と、端子T13,T14の間に接続された第5のフィルタ回路44とをさらに備えてもよい。また、符号復調器4は、図46〜図49に示すように、各スイッチ素子S11〜S14に並列に接続された第6のフィルタ回路45a〜45dをさらに備えてもよい。
図46は、図45の電力伝送システムにおいて使用されるフィルタ回路45a,45bを示す回路図である。各スイッチ素子S1〜S4,S11〜S14が互いに直列接続されたダイオードD101及びスイッチ素子S101を備える場合、図46に示すように、フィルタ回路45a,45bをダイオードD101及びスイッチ素子S101にそれぞれ並列に接続してもよい。
図47は、図45の電力伝送システムにおいて使用されるフィルタ回路45cを示す回路図である。各スイッチ素子S1〜S4,S11〜S14が互いに直列接続されたダイオードD101及びスイッチ素子S101を備える場合、図47に示すように、1つのフィルタ回路45cをダイオードD101及びスイッチ素子S101に並列に接続してもよい。
図48は、図45の電力伝送システムにおいて使用されるフィルタ回路45dを示す回路図である。図48のスイッチ回路SS110は、ダイオードD111,D112及びスイッチ素子S111,S112を備え、図13A〜図13Dのスイッチ回路SS21A〜SS24Aと同様に構成される。実施形態7を実施形態2に係る電力伝送システムに適用する場合、1つのフィルタ回路45dをダイオードD111及びスイッチ素子S111に並列に接続し、もう1つのフィルタ回路45dをダイオードD112及びスイッチ素子S112に並列に接続してもよい。
図49は、図45の電力伝送システムにおいて使用されるフィルタ回路45dを示す回路図である。図49のスイッチ回路SS120は、ダイオードD121,D122及びスイッチ素子S121,S122を備え、図14A〜図14Dのスイッチ回路SS31A〜SS34Aと同様に構成される。実施形態7を実施形態2に係る電力伝送システムに適用する場合、1つのフィルタ回路45dをダイオードD121及びスイッチ素子S121に並列に接続し、もう1つのフィルタ回路45dをダイオードD122及びスイッチ素子S122に並列に接続してもよい。
符号変調器2は、第1のフィルタ回路41と、第2のフィルタ回路42と、第3のフィルタ回路45a〜45dとのうちの少なくとも1つのフィルタ回路を備えてもよい。符号復調器4は、第4のフィルタ回路43と、第5のフィルタ回路44と、第6のフィルタ回路45a〜45dとのうちの少なくとも1つのフィルタ回路を備えてもよい。
フィルタ回路41は、符号変調器2とリアクトルL1との間に接続される。同様に、フィルタ回路44は、符号復調器4とリアクトルL2との間に接続される。この場所にフィルタ回路41,44を設けることは、少ない個数の部品で、リアクトルL1,L2が原因のサージを低減するために最も効果的である。フィルタ回路41,44を設計する際に、リアクトルL1,L2のインダクタンスを考慮してもよい。
フィルタ回路42,43は、伝送路3の両端に接続される。この場所にフィルタ回路42,43を設けることは、少ない個数の部品で、伝送路3の配線インダクタンスが主要因のサージを低減するために最も効果的である。フィルタ回路42,43を設計する際に、伝送路3の配線インダクタンスを考慮してもよい。
伝送路3の配線インダクタンスに比べてリアクトルL1,L2のインダクタンスのほうが非常に大きいので、フィルタ回路42,43よりもフィルタ回路41,44のほうがより効果的である。
フィルタ回路45a〜45dは、各スイッチ素子S1〜S4,S11〜S14に並列に接続される。この場所にフィルタ回路41,44を設けることは、リアクトルL1,L2が原因のサージと、伝送路3の配線インダクタンスが主要因のサージとの両方を低減することに効果的である。
各フィルタ回路41〜44は、単独で設けられても、組み合わされてもよい。図46のフィルタ回路45a,45bは、常に組み合わされて用いられる。電源として、モータの回生電流を利用する場合には、例えばフィルタ41及び42の組み合わせを用いることが効果的である。
図45では、発電機1に並列に接続されたキャパシタCa1と、負荷5に並列に接続されたキャパシタCa2とを示すが、これらのキャパシタCa1,Ca2は必要に応じて除去されてもよい。
次に、図50〜図56を参照して、フィルタ回路41〜45dの例について説明する。
図50は、図45〜図49のフィルタ回路41〜45dの第1の例を示す回路図である。図50のフィルタ回路は、互いに直列に接続された抵抗R201及びキャパシタC201を含むスナバ回路を備える。図50のフィルタ回路では、サージ電圧の原因となる急峻な電流をキャパシタC201に充電する。キャパシタC201への充放電の過程で抵抗R201にも電流が流れるので、サージ電圧の原因となるエネルギーが消費される。ただし、図50のフィルタ回路では、抵抗R201での損失が大きい。
図51は、図45〜図49のフィルタ回路41〜45dの第2の例を示す回路図である。図51のフィルタ回路は、図50の抵抗R201及びキャパシタC201に加えて、抵抗R201に並列に接続されたダイオードD201をさらに備える。図51のフィルタ回路でもまた、サージ電圧の原因となる急峻な電流をキャパシタC201に充電する。キャパシタC201の充電時に電流は低損失のダイオードD201を流れるので、抵抗R201及びキャパシタC201のみを含むスナバ回路よりは効率的となる。
図52は、図45〜図49のフィルタ回路41〜45dの第3の例を示す回路図である。図52のフィルタ回路はツェナーダイオードZDを備える。図52のフィルタ回路では、ツェナーダイオードの逆方向特性を利用している。ツェナーダイオードの順方向特性は、通常のPN接合ダイオードと同様であるが、逆方向に電圧がかかると、流れる電流にかかわらず、一定電圧が維持される。サージ電圧がツェナーダイオードZDの逆方向にかかるように接続することで、サージ電圧を抑制する。
図53は、図45〜図49のフィルタ回路41〜45dの第4の例を示す回路図である。図53のフィルタ回路は、抵抗R211,R212及びキャパシタC211を含むスナバ回路を備え、さらに、ダイオードD211〜D214からなるダイオードブリッジ回路を備える。図53のフィルタ回路では、サージ電圧の原因となる急峻な電流をキャパシタC211に充電する。ダイオードブリッジ回路によりキャパシタC211への充放電が制限されるので、抵抗損失が小さくなる。
図54は、図45〜図49のフィルタ回路41〜45dの第5の例を示す回路図である。図54のフィルタ回路は、図50の抵抗R201及びキャパシタC201に加えて、抵抗R201にそれぞれ並列に接続されたダイオードD221,D222及びスイッチ素子S221,S222をさらに備える。ダイオードD221,D222は互いに逆方向に接続される。図54のフィルタ回路では、サージ電圧の原因となる急峻な電流をキャパシタC201に充電する。スナバ回路の両端電圧が正のとき、スイッチ素子S221をオンし、スナバ回路の両端電圧が負のとき、スイッチ素子S222をオンする。これにより、スナバ回路の両端電圧が正のときも負のときも、ダイオードD221,D222によりキャパシタC201への充放電が制限されるので、抵抗損失が小さくなる。
直流電力を扱う場合は、図50〜図54のうちのどのフィルタ回路回路も適用可能である。一方、交流電力を扱う場合は、フィルタ回路に正負両方の電圧が印加されるので、図50、図53、及び図54のような無極性のフィルタ回路を適用可能である。
サージ電圧の周波数は、変調した電力の周波数よりもずっと高いので、高周波のノイズ信号成分を抑制するために、低域通過フィルタ又は帯域通過フィルタによりフィルタ回路を構成してもよい。
図55は、図45〜図49のフィルタ回路41〜45dの第6の例を示す回路図である。図55のフィルタ回路は、インダクタL211及びキャパシタC211を含む低域通過フィルタである。図55のフィルタ回路は、遮断周波数よりも低い信号を通過させる。
図56は、図45〜図49のフィルタ回路41〜45dの第7の例を示す回路図である。図56のフィルタ回路は、インダクタL221、キャパシタC221、及び抵抗R221を含む帯域通過フィルタである。図56のフィルタ回路は、特定の周波数帯の信号を通過させる。
図55及び図56のフィルタ回路は、LC共振回路であるので、電圧が振動しやすくなる。
図55及び図56のフィルタ回路におけるインダクタンスは、リアクトルL1,L2のインダクタンス、及び/又は、伝送路3の配線インダクタンスと共用してもよい。
図57は、実施形態7の第8の例に係るフィルタ回路を含む電力伝送システムの構成を示す回路図である。図57の電力伝送システムは、端子T3,T4の間に接続されたキャパシタCa3と、端子T11,T12の間に接続されたキャパシタCa4とを備える。キャパシタCa3は、リアクトルL1及び伝送路3とともに、キャパシタCa3の容量、リアクトルL1のインダクタンス、及び伝送路3の配線インダクタンスによって決まる共振周波数を有するフィルタ回路を構成する。同様に、キャパシタCa4は、リアクトルL2及び伝送路3とともに、キャパシタCa4の容量、リアクトルL2のインダクタンス、及び伝送路3の配線インダクタンスによって決まる共振周波数を有するフィルタ回路を構成する。
電力伝送システムにおいて、リアクトルL1,L2は設計要素であるので、既知のインダクタンスを有し、その値に応じてフィルタ回路を設計することができる。一方で、伝送路3のインダクタンスは未知である可能性がある。特に、複数の符号変調器2及び複数の符号復調器4を含む電力伝送システムでは、電力を伝送する符号変調器2及び符号復調器4の組み合わせにより伝送路3の経路長が変わり、結果として伝送路3のインダクタンスが変わることが想定される。そのため、固定容量のキャパシタCa3,Ca4を用いて効果的なフィルタを設計することが困難となる。
図58は、実施形態7の第9の例に係るフィルタ回路を含む電力伝送システムの構成を示すブロック図である。図58では、電力伝送システムが図57のキャパシタCa3,Ca4に代えて可変容量キャパシタを備える場合について説明する。図58の電力伝送システムは、発電機1と、符号変調器2Bと、伝送路3と、符号復調器4Bと、負荷5と、コントローラ10Bとを備える。符号変調器2B及び符号復調器4Bは、可変容量キャパシタをそれぞれ備え、コントローラ10Bの制御下でその容量をそれぞれ設定する。コントローラ10Bは、制御回路11及び通信回路12Bを備える。制御回路11は、通信回路12Bを介して符号変調器2B及び符号復調器4Bと通信し、それらの動作を制御する。
図59は、実施形態7の第9の例に係るフィルタ回路を含む電力伝送システムの構成を示す回路図である。符号変調器2Bは、端子T3,T4の間に接続された可変容量キャパシタCa5と、電流測定器51と、電圧測定器52とを備える。電流測定器51は、符号変調器2Bから伝送路3に出力される電流を測定する。電圧測定器52は、符号変調器2から伝送路3に出力される電圧を測定する。符号変調器2Bは、電流測定器51及び電圧測定器52で測定された電流値及び電圧値をコントローラ10Bに送信し、また、コントローラ10Bの制御下で可変容量キャパシタCa5の容量を設定する。符号復調器4Bは、端子T11,T12の間に接続された可変容量キャパシタCa6と、電圧測定器53と、電流測定器54とを備える。電圧測定器53は、伝送路3から符号復調器4Bに入力される電圧を測定する。電流測定器54は、伝送路3から符号復調器4Bに入力される電流を測定する。符号復調器4Bは、電圧測定器53及び電流測定器54電圧値及び電流値をコントローラ10Bに送信し、また、コントローラ10Bの制御下で可変容量キャパシタCa6の容量を設定する。
コントローラ10Bは、可変容量キャパシタCa5,Ca6の容量を以下のように決定する。
まず、ある時刻taにおいて、符号変調器2Bから伝送路3に出力される電圧V1を測定し、伝送路3から符号復調器4Bに入力される電圧V2を測定する。
ある時刻taからあるtbまでの一定時間Δt=tb−taにわたって、符号変調器2Bから伝送路3に出力される電流の変化量ΔI1=I1b−I1a又は伝送路3から符号復調器4Bに入力される電流の変化量ΔI2=I2b−I2aを測定する。
伝送路3の配線インダクタンス値Lにかかる電圧V=V2−V1は、次式により表される。
Figure 2018159544
この式を用いて、未知のインダクタンス値Lを求める。
フィルタ回路の遮断周波数fcは、可変容量キャパシタCa5,Ca6の容量値Cと、インダクタンス値Lとに基づいて、次式により表される。
Figure 2018159544
遮断周波数fcが変調符号及び復調符号の周波数よりも高くなるように、可変容量キャパシタCa5,Ca6の容量値Cを決定する。
これにより、伝送路3が未知のインダクタンスを有する場合であっても、適切なフィルタ回路を提供することができる。
実施形態7に係る電力伝送システムによれば、符号変調器2及び符号復調器4の間の遅延による電力伝送の効率の低下を生じにくくすることができ、さらに、フィルタ回路を設けることにより、高周波ノイズによる影響を低減することができる。
実施形態8.
実施形態8では、実施形態7に係る電力伝送システムがLC共振回路であるフィルタ回路を備える場合に、符号変調器2及び符号復調器4のスイッチング損失を低減することについて説明する。
実施形態8に係る電力伝送システムは、図57〜図59の電力伝送システムと同様に構成される。
図60は、実施形態8に係る電力伝送システムにおける変調符号とフィルタ回路の共振波形との関係を示すグラフである。リアクトルL1,L2のインダクタンス及びキャパシタCa3,Ca4の容量で決まる共振波形の半周期を、変調符号及び復調符号の1ビット(変調クロック周波数)と一致させるように、キャパシタCa3,Ca4の容量を決定する。この場合、各スイッチ素子のドレイン・ソース電圧がゼロの瞬間に各スイッチ素子のオン/オフを切り換えるので、スイッチング損失が非常に小さくなる。
図61は、実施形態8に係る電力伝送システムにおけるフィルタ回路の共振を説明するための図である。図62は、実施形態8に係る電力伝送システムにおけるフィルタ回路の共振周波数が変調クロック周波数に一致しているときの、符号変調器2の出力電圧及び符号復調器4の入力電圧の関係を示す図である。図61に示すように、フィルタ回路の共振周波数では、インピーダンスZが非常に小さくなる。従って、図62に示すように、フィルタ回路の共振周波数に等しい周波数で符号変調器2又は符号復調器4の各スイッチ素子が動作しているとき、矩形波の入力電圧に対して正弦波の出力電圧を発生する。
電力伝送システムの共振周波数は、符号変調器2、伝送路3、及び符号復調器4を含む電流経路に介在する合計のインダクタンス及び合計の容量によって決まる。非常に大きいインダクタンスをもつリアクトルL1,L2に対して、容量値Cを有するキャパシタCa3又はCa4を設ける。このとき、次式で決まる共振波形(共振周波数fres)の節が変調符号及び復調符号の1ビット分に一致するように、容量値Cを決める。
Figure 2018159544
swが変調クロック周波数であり、Nが任意の整数であるとき、共振周波数fresを次式により決定する。
Figure 2018159544
このとき、変調符号及び復調符号の遷移時の電圧がゼロとなる。
符号変調器2及び符号復調器4のそれぞれに、少なくとも1つのキャパシタを設けてもよい。従って、キャパシタCa3又はCa4の容量を次式により決定してもよい。
Figure 2018159544
なお、実際の設計においては、半導体デバイスの寄生成分、基板及び伝送路3の配線インダクタンスが存在するので、寄生成分をさらに考慮して容量を決定する必要がある。
このように、リアクトルL1,L2及びキャパシタCa3,Ca4を含む共振回路を、変調クロック周波数のN/2倍に等しい共振周波数を有するように構成することにより、符号変調器2及び符号復調器4のスイッチング損失を低減することができる。
次に、図63〜図73を参照して、実施形態7に係る電力伝送システムのシミュレーション結果について説明する。
実施形態7及び8に係る電力伝送システムが実施形態2に係る1つの符号変調器2A及び1つの符号復調器4Aを含む場合についてシミュレーションを行った。符号変調器2Aに115Vの直流電圧源を接続した。符号復調器4Aに12Ωの負荷5を接続した。リアクトルL1,L2のインダクタンスは15mHであった。変調符号及び復調符号は、7段のGold符号系列であり、その変調クロック周波数は20kHzであった。
まず、図63〜図65を参照して、実施形態7の第1の実施例に係る電力伝送システムのシミュレーション結果について説明する。図65は、図63及び図64の電流及び電圧の測定方法を示す図である。
図63は、実施形態7の比較例に係る電力伝送システムのシミュレーション結果である。図63(a)はスイッチ素子S1、S4のゲート電圧を示し、図63(b)はスイッチ素子S1、S4に流れる電流を示し、図63(c)はスイッチ素子S1、S4の両端電圧を示すグラフである。図63では、フィルタ回路を備えていない電力伝送システムの電流及び電圧を示す。図63(c)を参照すると、スイッチ素子S1、S4をオフする瞬間に大きな電圧ピークが発生していることがわかる。
図64は、実施形態7の第1の実施例に係る電力伝送システムのシミュレーション結果である。図64(a)はスイッチ素子S1、S4のゲート電圧を示し、図64(b)はスイッチ素子S1、S4に流れる電流を示し、図64(c)スイッチ素子S1、S4の両端電圧を示すグラフである。図64では、端子T3,T4の間に接続されたキャパシタCa3と、端子T11,T12の間に接続されたキャパシタCa4とを備える電力伝送システムの電流及び電圧を示す。図63(c)及び図64(c)を比較すると、実施例に係る電力伝送システムでは、フィルタ回路を備えたことにより、スイッチ素子S1、S4にかかる電圧波形が矩形波から正弦波になり、スイッチ素子S1、S4をオフする瞬間の電圧ピークが大幅に低減されていることがわかる。これにより、スイッチング損失を低減することができる。
まず、図66〜図70を参照して、実施形態7の第2の実施例に係る電力伝送システムのシミュレーション結果について説明する。図71は、図66〜図70の電圧の測定方法を示す図である。
図66は、実施形態7の比較例に係る電力伝送システムのシミュレーション結果であって、スイッチ回路のダイオードD101の両端に印加される電圧を示すグラフである。図67は、図66の一部拡大図を示すグラフである。図68は、実施形態7の比較例に係る電力伝送システムのシミュレーション結果であって、スイッチ回路のスイッチ素子S101の両端に印加される電圧を示すグラフである。図69は、図68の一部拡大図を示すグラフである。図66〜図69では、フィルタ回路を備えていない電力伝送システムの電流及び電圧を示す。図66〜図69を参照すると、ダイオードD101及びスイッチ素子S101の両方に大きな過電圧が印加されていることがわかる。
図70は、実施形態7の第2の実施例に係る電力伝送システムのシミュレーション結果である。図70(a)はスイッチ回路のダイオードD101の両端に印加される電圧を示し、図70(b)はスイッチ回路のスイッチ素子S101の両端に印加される電圧を示すグラフである。図70では、電力伝送システムがフィルタ回路41,44を備え、フィルタ回路41,44が、互いに直列に接続された20Ωの抵抗及び22μFのキャパシタを含むスナバ回路をそれぞれ備える場合の電圧を示す。
図70のシミュレーションでは、以下のモデルを用いた。
Figure 2018159544
Figure 2018159544
Figure 2018159544
Figure 2018159544
Figure 2018159544
ここで、以下の表記を用いる。
peak:符号変調器2が同時オン状態にあるときの突入電流
E:符号変調器2の入力電圧
L:リアクトルL1のインダクタンス
on:各スイッチ素子S1〜S4の内部抵抗
out:符号変調器2の出力電流
out:負荷5のインピーダンス
:スナバキャパシタ
cap:スナバキャパシタのクランプ電圧
:スナバキャパシタへの充電電流
:スナバ抵抗
sw:スイッチング周波数
図70によれば、フィルタ回路41、44を備えたことにより、ダイオードD101の両端に印加される電圧はスイッチ素子S101の両端に印加される電圧−2500Vから−115Vまで低減し、25000Vから115Vまで低減したことがわかる。フィルタ回路41,44を備えたことにより、スイッチ素子S1〜S4に発生していたサージ電圧を大幅に抑制することができる。
次に、図72〜図73を参照して、実施形態7の実施例に係る電力伝送システムのシミュレーション結果について説明する。
図72は、実施形態7の第3の実施例に係る電力伝送システムのシミュレーション結果である。図72(a)スイッチ素子S1〜S4の両端電圧を示し、図72(b)はスイッチ素子S1〜S4のゲート電圧を示し、図72(c)はスイッチ素子S1〜S4に流れる電流を示すグラフである。図73は、図72の一部拡大図を示すグラフである。図73に示すように、一定時間Δtにわたって符号変調器2から伝送路3に出力される電流の変化量ΔI1を測定することができる。同様に、一定時間Δtにわたって伝送路3から符号復調器4に入力される電流の変化量ΔI2も測定することができる。これにより、前述のように、伝送路3の配線インダクタンスを、電流の波形から逆算できることがわかる。
他の実施形態.
実施形態3において、複数の符号変調器が同じ符号系列を用いてもよく、複数の符号復調器が同じ符号系列を用いてもよい。これにより、1つの符号変調器から複数の符号復調器へ電力を伝送してもよく、複数の符号変調器から1つの符号復調器へ電力を伝送してもよく、複数の符号変調器から複数の符号復調器へ電力を伝送してもよい。
実施形態1〜8において、一例として電流を符号変調及び符号復調して電力を伝送する例を示したが、これに限られるものではない。直流又は交流の電圧を符号変調及び符号復調して電力を伝送することも可能であり、同様の効果が得られる。
本開示の態様に係る電力送信装置、電力受信装置、及び電力伝送システムは以下の構成を備える。
第1の態様に係る電力送信装置は、
伝送路を介して少なくとも1つの電力受信装置に電力を送信する電力送信装置であって、
第1のリアクトルを介して電源に接続され、前記電源から電源電力の供給を受ける符号変調回路であって、所定の符号系列に基づく変調符号を用いて前記電源電力を符号変調して符号変調波を生成し、前記伝送路を介して前記符号変調波を前記電力受信装置に送信する符号変調回路と、
前記符号変調回路を制御する制御回路とを備え、
前記符号変調回路は、
前記第1のリアクトルを介して前記電源に接続される第1及び第2の端子と、
前記伝送路に接続される第3及び第4の端子と、
前記第1及び第3の端子の間に接続される第1のスイッチ回路と、
前記第2及び第3の端子の間に接続される第2のスイッチ回路と、
前記第1及び第4の端子の間に接続される第3のスイッチ回路と、
前記第2及び第4の端子の間に接続される第4のスイッチ回路とを備え、
前記制御回路は、
前記第1及び第4のスイッチ回路をオンし、前記第2及び第3のスイッチ回路をオフする第1の状態と、
前記第1及び第4のスイッチ回路をオフし、前記第2及び第3のスイッチ回路をオンする第2の状態とを前記符号変調回路に設定し、
前記第1の状態から前記第2の状態に遷移するとき及び前記第2の状態から前記第1の状態に遷移するとき、前記第1〜第4のスイッチ回路のすべてをオンする第3の状態を前記符号変調回路に設定する。
第2の態様に係る電力受信装置は、
所定の符号系列に基づく変調符号を用いて符号変調された電力を含む符号変調波を少なくとも1つの電力送信装置から伝送路を介して受信する電力受信装置であって、
第2のリアクトルを介して負荷に接続される符号復調回路であって、受信した前記符号変調波を符号変調したときに用いた変調符号の符号系列と同じ符号系列に基づく復調符号を用いて前記符号変調波を符号復調して復調電力を生成し、前記復調電力を前記負荷に供給する符号復調回路と、
前記符号復調回路を制御する制御回路とを備え、
前記符号復調回路は、
前記伝送路に接続される第5及び第6の端子と、
前記第2のリアクトルを介して前記負荷に接続される第7及び第8の端子と、
前記第6及び第7の端子の間に接続される第5のスイッチ回路と、
前記第6及び第8の端子の間に接続される第6のスイッチ回路と、
前記第5及び第7の端子の間に接続される第7のスイッチ回路と、
前記第5及び第8の端子の間に接続される第8のスイッチ回路とを備え、
前記制御回路は、
前記第5及び第8のスイッチ回路をオフし、前記第6及び第7のスイッチ回路をオンする第4の状態と、
前記第5及び第8のスイッチ回路をオンし、前記第6及び第7のスイッチ回路をオフする第5の状態とを前記符号復調回路に設定し、
前記第4の状態から前記第5の状態に遷移するとき及び前記第5の状態から前記第4の状態に遷移するとき、前記第5〜第8のスイッチ回路のすべてをオンする第6の状態を前記符号復調回路に設定する。
第3の態様に係る電力伝送システムは、
少なくとも1つの第1の態様に係る電力送信装置と、
少なくとも1つの第2の態様に係る電力受信装置とを含む。
第4の態様に係る電力伝送システムは、第3の態様に係る電力伝送システムにおいて、
前記第3及び第6の状態の時間長は、前記各電力送信装置における各スイッチ回路の動作の時間ズレの最大値と、前記各電力送信装置と前記各電力受信装置との間における時間ズレの最大値と、前記各電力受信装置における各スイッチ回路の動作の時間ズレの最大値との和以上に設定される。
第5の態様に係る電力伝送システムは、第3又は第4の態様に係る電力伝送システムにおいて、
前記第4及び第5の状態の合計の時間長に対する前記第6の状態の時間長の比の値は、前記第1及び第2のリアクトルのインダクタンスの和に対する前記第2のリアクトルのインダクタンスの比の値よりも小さく設定される。
第6の態様に係る電力伝送システムは、
少なくとも1つの第1の態様に係る電力送信装置と、
少なくとも1つの電力受信装置とを含む電力伝送システムであって、
前記電力受信装置は、前記符号変調波を前記電力送信装置から前記伝送路を介して受信し、受信した前記符号変調波を符号変調したときに用いた変調符号の符号系列と同じ符号系列に基づく復調符号を用いて前記符号変調波を符号復調して復調電力を生成し、前記復調電力を負荷に供給する。
第7の態様に係る電力伝送システムは、第6の態様に係る電力伝送システムにおいて、
前記第3の状態の時間長は、前記各電力受信装置における各スイッチ回路の動作の時間ズレの最大値の2倍以上に設定される。
第8の態様に係る電力伝送システムは、
少なくとも1つの電力送信装置と、
少なくとも1つの第2の態様に係る電力受信装置とを含む電力伝送システムであって、
前記電力送信装置は、所定の符号系列に基づく変調符号を用いて電力を符号変調して符号変調波を生成し、前記伝送路を介して前記符号変調波を前記電力受信装置に送信する。
第9の態様に係る電力伝送システムは、第8の態様に係る電力伝送システムにおいて、
前記第6の状態の時間長は、前記各電力送信装置における各スイッチ回路の動作の時間ズレの最大値の2倍以上に設定される。
第10の態様に係る電力送信装置は、
伝送路を介して少なくとも1つの電力受信装置に電力を送信する電力送信装置であって、
第1のリアクトルを介して電源に接続され、前記電源から電源電力の供給を受ける符号変調回路であって、所定の符号系列に基づく変調符号を用いて前記電源電力を符号変調して符号変調波を生成し、前記伝送路を介して前記符号変調波を前記電力受信装置に送信する符号変調回路と、
前記符号変調回路を制御する制御回路とを備え、
前記符号変調回路は、
前記第1のリアクトルを介して前記電源に接続される第1及び第2の端子と、
前記伝送路に接続される第3及び第4の端子と、
前記第1及び第3の端子の間に接続される第1のスイッチ回路と、
前記第2及び第3の端子の間に接続される第2のスイッチ回路と、
前記第1及び第4の端子の間に接続される第3のスイッチ回路と、
前記第2及び第4の端子の間に接続される第4のスイッチ回路とを備え、
前記制御回路は、
前記第1及び第4のスイッチ回路をオンし、前記第2及び第3のスイッチ回路をオフする第1の状態と、
前記第1及び第4のスイッチ回路をオフし、前記第2及び第3のスイッチ回路をオンする第2の状態とを前記符号変調回路に設定し、
前記第1の状態から前記第2の状態に遷移するとき及び前記第2の状態から前記第1の状態に遷移するとき、前記第1〜第4のスイッチ回路のすべてをオンする第3の状態を前記符号変調回路に設定し、
前記電力送信装置は、前記第1及び第2の端子の間に接続された第1のフィルタ回路と、前記第3及び第4の端子の間に接続された第2のフィルタ回路と、前記各第1〜第4のスイッチ回路にそれぞれ並列に接続された第3のフィルタ回路とのうちの少なくとも1つのフィルタ回路をさらに備える。
第11の態様に係る電力送信装置は、第10の態様に係る電力送信装置において、
前記フィルタ回路は、互いに直列に接続された抵抗及びキャパシタを含むスナバ回路を備える。
第12の態様に係る電力送信装置は、第11の態様に係る電力送信装置において、
前記フィルタ回路は、前記抵抗に並列に接続されたダイオードをさらに備える。
第13の態様に係る電力送信装置は、第11の態様に係る電力送信装置において、
前記フィルタ回路はダイオードブリッジ回路をさらに備える。
第14の態様に係る電力送信装置は、第10の態様に係る電力送信装置において、
前記フィルタ回路はツェナーダイオードを備える。
第15の態様に係る電力送信装置は、第10の態様に係る電力送信装置において、
前記フィルタ回路は、インダクタ及びキャパシタを含む低域通過フィルタである。
第16の態様に係る電力送信装置は、第10の態様に係る電力送信装置において、
前記フィルタ回路は、インダクタ、キャパシタ、及び抵抗を含む帯域通過フィルタである。
第17の態様に係る電力受信装置は、
所定の符号系列に基づく変調符号を用いて符号変調された電力を含む符号変調波を少なくとも1つの電力送信装置から伝送路を介して受信する電力受信装置であって、
第2のリアクトルを介して負荷に接続される符号復調回路であって、受信した前記符号変調波を符号変調したときに用いた変調符号の符号系列と同じ符号系列に基づく復調符号を用いて前記符号変調波を符号復調して復調電力を生成し、前記復調電力を前記負荷に供給する符号復調回路と、
前記符号復調回路を制御する制御回路とを備え、
前記符号復調回路は、
前記伝送路に接続される第5及び第6の端子と、
前記第2のリアクトルを介して前記負荷に接続される第7及び第8の端子と、
前記第6及び第7の端子の間に接続される第5のスイッチ回路と、
前記第6及び第8の端子の間に接続される第6のスイッチ回路と、
前記第5及び第7の端子の間に接続される第7のスイッチ回路と、
前記第5及び第8の端子の間に接続される第8のスイッチ回路とを備え、
前記制御回路は、
前記第5及び第8のスイッチ回路をオフし、前記第6及び第7のスイッチ回路をオンする第4の状態と、
前記第5及び第8のスイッチ回路をオンし、前記第6及び第7のスイッチ回路をオフする第5の状態とを前記符号復調回路に設定し、
前記第4の状態から前記第5の状態に遷移するとき及び前記第5の状態から前記第4の状態に遷移するとき、前記第5〜第8のスイッチ回路のすべてをオンする第6の状態を前記符号復調回路に設定し、
前記電力受信装置は、前記第5及び第6の端子の間に接続された第4のフィルタ回路と、前記第7及び第8の端子の間に接続された第5のフィルタ回路と、前記各第5〜第8のスイッチ回路にそれぞれ並列に接続された第6のフィルタ回路とのうちの少なくとも1つのフィルタ回路をさらに備える。
第18の態様に係る電力受信装置は、第17の態様に係る電力受信装置において、
前記フィルタ回路は、互いに直列に接続された抵抗及びキャパシタを含むスナバ回路を備える。
第19の態様に係る電力受信装置は、第18の態様に係る電力受信装置において、
前記フィルタ回路は、前記抵抗に並列に接続されたダイオードをさらに備える。
第20の態様に係る電力受信装置は、第18の態様に係る電力受信装置において、
前記フィルタ回路はダイオードブリッジ回路をさらに備える。
第21の態様に係る電力受信装置は、第17の態様に係る電力受信装置において、
前記フィルタ回路はツェナーダイオードを備える。
第22の態様に係る電力受信装置は、第17の態様に係る電力受信装置において、
前記フィルタ回路は、インダクタ及びキャパシタを含む低域通過フィルタである。
第23の態様に係る電力受信装置は、第17の態様に係る電力受信装置において、
前記フィルタ回路は、インダクタ、キャパシタ、及び抵抗を含む帯域通過フィルタである。
第24の態様に係る電力伝送システムは、
少なくとも1つの第10〜第16のうちの1つの態様に係る電力送信装置と、
少なくとも1つの第17〜第23のうちの1つの態様に係る電力受信装置とを含む。
第25の態様に係る電力伝送システムは、
少なくとも1つの第10の態様に係る電力送信装置と、
少なくとも1つの第17の態様に係る電力受信装置とを含む電力伝送システムであって、
前記フィルタ回路はキャパシタを含み、
前記第1及び第2のリアクトル及び前記キャパシタを含む共振回路は、Nが整数であるとき、前記変調符号及び前記復調符号のクロック周波数のN/2倍に等しい共振周波数を有するように構成される。
本開示に係る電力伝送システムは、太陽光発電、風力発電、水力発電等の発電機から、鉄道、EV車両等の負荷へ電力を伝送することに有用である。
1,1−1〜1−2…発電機、
1m,1m−1,1m−2…電力測定器、
2,2−1,2−2,2A,2A−1〜2A−2,2B…符号変調器、
3…伝送路、
4,4−1,4−2,4A,4A−1〜4A−2,4B…符号復調器、
5,5−1〜5−2…負荷、
5m,5m−1〜5m−2…電力測定器、
10,10A〜10B…コントローラ、
11…制御回路、
12,12A,12B…通信回路、
20…制御回路、
21…通信回路、
22,22A…符号生成回路、
23,23A…符号変調回路、
30…制御回路、
31…通信回路、
32,32A…符号生成回路、
33,33A…符号復調回路、
41〜45d…フィルタ回路、
51,54…電流測定器、
52,53…電圧測定器、
Ca1〜Ca4,C201〜C221…キャパシタ、
Ca5,Ca6…可変容量キャパシタ、
D1〜D34,D101〜D222…ダイオード、
L1,L2…リアクトル、
R201〜R221…抵抗、
S1〜S74,S101〜S222…スイッチ素子、
SS1〜SS34,SS21A〜SS34A…スイッチ回路、
T1〜T14…端子、
ZD…ツェナーダイオード。

Claims (9)

  1. 伝送路を介して少なくとも1つの電力受信装置に電力を送信する電力送信装置であって、
    第1のリアクトルを介して電源に接続され、前記電源から電源電力の供給を受ける符号変調回路であって、所定の符号系列に基づく変調符号を用いて前記電源電力を符号変調して符号変調波を生成し、前記伝送路を介して前記符号変調波を前記電力受信装置に送信する符号変調回路と、
    前記符号変調回路を制御する制御回路とを備え、
    前記符号変調回路は、
    前記第1のリアクトルを介して前記電源に接続される第1及び第2の端子と、
    前記伝送路に接続される第3及び第4の端子と、
    前記第1及び第3の端子の間に接続される第1のスイッチ回路と、
    前記第2及び第3の端子の間に接続される第2のスイッチ回路と、
    前記第1及び第4の端子の間に接続される第3のスイッチ回路と、
    前記第2及び第4の端子の間に接続される第4のスイッチ回路とを備え、
    前記制御回路は、
    前記第1及び第4のスイッチ回路をオンし、前記第2及び第3のスイッチ回路をオフする第1の状態と、
    前記第1及び第4のスイッチ回路をオフし、前記第2及び第3のスイッチ回路をオンする第2の状態とを前記符号変調回路に設定し、
    前記第1の状態から前記第2の状態に遷移するとき及び前記第2の状態から前記第1の状態に遷移するとき、前記第1〜第4のスイッチ回路のすべてをオンする第3の状態を前記符号変調回路に設定する、
    電力送信装置。
  2. 所定の符号系列に基づく変調符号を用いて符号変調された電力を含む符号変調波を少なくとも1つの電力送信装置から伝送路を介して受信する電力受信装置であって、
    第2のリアクトルを介して負荷に接続される符号復調回路であって、受信した前記符号変調波を符号変調したときに用いた変調符号の符号系列と同じ符号系列に基づく復調符号を用いて前記符号変調波を符号復調して復調電力を生成し、前記復調電力を前記負荷に供給する符号復調回路と、
    前記符号復調回路を制御する制御回路とを備え、
    前記符号復調回路は、
    前記伝送路に接続される第5及び第6の端子と、
    前記第2のリアクトルを介して前記負荷に接続される第7及び第8の端子と、
    前記第6及び第7の端子の間に接続される第5のスイッチ回路と、
    前記第6及び第8の端子の間に接続される第6のスイッチ回路と、
    前記第5及び第7の端子の間に接続される第7のスイッチ回路と、
    前記第5及び第8の端子の間に接続される第8のスイッチ回路とを備え、
    前記制御回路は、
    前記第5及び第8のスイッチ回路をオフし、前記第6及び第7のスイッチ回路をオンする第4の状態と、
    前記第5及び第8のスイッチ回路をオンし、前記第6及び第7のスイッチ回路をオフする第5の状態とを前記符号復調回路に設定し、
    前記第4の状態から前記第5の状態に遷移するとき及び前記第5の状態から前記第4の状態に遷移するとき、前記第5〜第8のスイッチ回路のすべてをオンする第6の状態を前記符号復調回路に設定する、
    電力受信装置。
  3. 少なくとも1つの請求項1記載の電力送信装置と、
    少なくとも1つの請求項2記載の電力受信装置とを含む、
    電力伝送システム。
  4. 前記第3及び第6の状態の時間長は、前記各電力送信装置における各スイッチ回路の動作の時間ズレの最大値と、前記各電力送信装置と前記各電力受信装置との間における時間ズレの最大値と、前記各電力受信装置における各スイッチ回路の動作の時間ズレの最大値との和以上に設定される、
    請求項3記載の電力伝送システム。
  5. 前記第4及び第5の状態の合計の時間長に対する前記第6の状態の時間長の比の値は、前記第1及び第2のリアクトルのインダクタンスの和に対する前記第2のリアクトルのインダクタンスの比の値よりも小さく設定される、
    請求項3又は4記載の電力伝送システム。
  6. 少なくとも1つの請求項1記載の電力送信装置と、
    少なくとも1つの電力受信装置とを含む電力伝送システムであって、
    前記電力受信装置は、前記符号変調波を前記電力送信装置から前記伝送路を介して受信し、受信した前記符号変調波を符号変調したときに用いた変調符号の符号系列と同じ符号系列に基づく復調符号を用いて前記符号変調波を符号復調して復調電力を生成し、前記復調電力を負荷に供給する、
    電力伝送システム。
  7. 前記第3の状態の時間長は、前記各電力受信装置における各スイッチ回路の動作の時間ズレの最大値の2倍以上に設定される、
    請求項6記載の電力伝送システム。
  8. 少なくとも1つの電力送信装置と、
    少なくとも1つの請求項2記載の電力受信装置とを含む電力伝送システムであって、
    前記電力送信装置は、所定の符号系列に基づく変調符号を用いて電力を符号変調して符号変調波を生成し、前記伝送路を介して前記符号変調波を前記電力受信装置に送信する、
    電力伝送システム。
  9. 前記第6の状態の時間長は、前記各電力送信装置における各スイッチ回路の動作の時間ズレの最大値の2倍以上に設定される、
    請求項8記載の電力伝送システム。
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