JP5612718B2 - 多端子型非同期連系装置、電力機器制御端末装置と電力ネットワークシステムおよびその制御方法 - Google Patents

多端子型非同期連系装置、電力機器制御端末装置と電力ネットワークシステムおよびその制御方法 Download PDF

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Description

本発明は、基幹電力系統を含む複数の電力系統を相互に非同期に接続する多端子型非同期連系装置による複数ルート同時電力融通制御と、個々の電力系統内に設置される風力・太陽光などの不安定電源やディーゼル発電などの安定電源および電力貯蔵装置や電力負荷からなる電力機器の電力制御装置に付加した電力機器制御端末装置による電力融通制御とを、統合し、さらにそれらにIPアドレスを与えて構成したWAN/LAN上のIP通信により、指定した装置間およびまたは指定した電力系統間で、指定した電力を指定した時間融通することを可能にする電力と通信の融合した電力ネットワークシステムに関するものである。
通常、電力の供給はそのほとんどが電力会社の電力系統から基幹電力系統の送配電網を通じて行われている。電力系統の周波数は需要(負荷)と供給(出力)のバランスで決定されるため、電力会社は数十秒以内の負荷変動をガバナーフリー発電所で、20分以内の負荷変動を周波数制御(AFC)機能付きの発電所で、数時間オーダーの負荷変動を汽力発電所の計画的出力増減で制御し、需要と供給を瞬時々々で一致させている。
系統内の発電機は、同期発電機群で構成され、垂下特性と呼ばれる制御特性を有している。この特性は系統周波数が下がると自身の発電機の回転数を上げる方向に、また逆に系統周波数が上がると回転数を下げる方向に出力を調整するものである。このようにして系統内の全発電機が協力して、周波数を一定に保とうとする特性がある。また、これらの同期発電機は大きな慣性力を持った回転機であるので多少の系統周波数動揺には影響をうけずに域内の周波数を安定化させる力を有している。これらは発電機の同期化力という言葉で表現される。
日本では、東側で50Hz、西側で60Hzの二つの系統に分離されているため、周波数安定のための需給制御はそれぞれ個別独立に行われているが、この制御によりそれぞれの域内の周波数はそれぞれの域内のどの場所でも一つの値に同期されている。
一方、近年、地球温暖化問題の対応ならびに化石燃料高騰の影響を受け、風力発電・太陽光発電・バイオ燃料発電などに代表される再生可能エネルギー電源の導入が加速している。
政府は、2020 年度には2,800万kW、2040年には5,300万kWの太陽光発電を導入する目標をたてているが、一方で、2009年7月の「低炭素電力供給システムに関する研究会報告書」において、現状の電力系統のままでは、太陽光発電は2020年度時点で1,300万kW程度しか導入できないと報告している。
これは太陽光発電、風力発電などの一部の再生可能エネルギー電源が基本的に同期を強化する力すなわち同期化力を持たないことに起因している。
これらの電源は、系統の周波数を検出してそれに同期させて電流を送り込むインバータ電源または系統に追従する誘導機型電源であるため、変動が大きいとむしろ系統の周波数安定性を損なう性質を有している。従って変動の大きい再生可能エネルギー電源の大量導入は現状の系統構成のままでは著しく同期化力を損ない、大規模な停電などの障害を引き起こす懸念がある。
この問題を解決し、再生可能エネルギー電源を大量導入するためには、従来の概念にない新しい電力システムを構想し、現在の電力システムから重大な困難なく移行していく手順が示されなくてはならない。しかしながら従来技術の中にはこのような文献や報告が存在しない。
従来技術の中で、大量の不安定電源を同期系統に接続される際の問題の対策としては、以下のようないくつかの提案がなされている。それらは大別すると次の3つの方法に分類される。
第一の従来方法は電力基幹系統を強化する方法である。これは高圧連系線の強化やBTB型ループコントローラの設置、周波数変換所の容量増大、北海道本州直流連系線の容量増大などを図り、バックアップ電源としてのガスタービン発電や可変速水力発電設備などの増大により再生可能エネルギー電源の変動に備えるものである。この方法にかかわるものとしては以下の特許文献1、2がある。
第二の従来方法は、分散電源の出力抑制ならびに需要抑制である。出力抑制については太陽光発電や風力発電は電力会社からの信号で出力を抑制する回路の義務化が検討されている。この方法にかかわるものとしては以下の特許文献3、4がある。
第三の従来方法は、複数の電力系統間や基幹系統との間で電力の融通を行う方法である。再生可能エネルギーのような不安定電源を大量に導入された複数の電力系統を何らかの形の電力融通装置で接続し、相互に電力を融通する方法である。この方法には以下の特許文献5、6、7、8がある。
また、電力と通信の融合に関して以下の特許文献9がある。
特開平11−146560号公報
特開平11−98694号公報
特開2008−1828598号公報
特開2007−189840号公報
特開2003−324850号公報
特開2007−89250号公報
国際公開2004−073136号公報
特許3934518号公報
特開2003−152756号公報
同期化力を持たない再生可能エネルギー電源を大量導入するための電力システムの観点からみると、これらの従来手法には以下のような問題点が存在する。
第一の従来手法は、基幹系統の強化を目的とするものであるが、例えば、特許文献1では複数の制御対象とする地域系統を制御実行時刻における系統状況に応じて各地域系統間を接続している開閉器の入り切り操作を用いて、自由に対象系統範囲を変更することにより電力系統の安定度を高めるとしている。しかし、各地域系統の元は同じ同期系統であり、単に系統の定数の変化に合わせて潮流の流れ方を変える提案に過ぎない。この方法では同期化力を持たない再生可能エネルギー電源が増大した時の解決にはならない。
また、特許文献2では、複数の電力系統においてBTB型の電力変換器で連系した電力連系系統における電力融通指令装置について提案している。明細書によれば、複数電力系統の電力連系で、電力系統毎に需要と供給をすべて測定し、その需要不均衡情報をすべてセンターに集めてあらかじめ定められた分担に従って電力を配分するという提案になっている。
実施例で記述されている北海道・本州直流連携の制御方法のような2系統間における電力融通方法としては、実現可能であるが、対象となる電力系統の数やその中の需要家数や太陽光発電設備などが急速に増加し、電力系統構成が急速に変化していく電力システムにおいては、複数電力系統のすべての需要と供給を電力系統毎に常時把握する中央制御システムを維持することは極めて困難な課題となる。
第二の従来手法は出力や需要の抑制であるが、例えば、特許文献3では蓄電装置の最大出力能力および充電容量を超える風力発電装置の出力電力変動分を抑制する風力発電システムが提案されている。また特許文献4では、系統の状態を常に監視し、必要な時には発電機遮断と発電機出力の抑制を組み合わせることで、よりきめ細かい抑制を図ることが提案されている。需要側の抑制については、近年スマートグリッドやスマートメーターというような表現で米国を中心に開発が進んでいる。これらの方法は、発電もしくは需要の抑制技術であり、いずれも再生可能エネルギー電源を大量に導入するという目的を達成するための技術とはいえない。
第三の従来手法では、複数の電力系統間や基幹系統との間で電力の融通を行う手法が提案されている。
例えば特許文献5では、「送配電線網を介して電力を相互に融通するとともに、通信網を介して相互に各種情報をやり取りすることにより電力の融通を制御する電力需給調整システム」を提案しているが、基本的に従来型の同期系統の中で系統の切り分けをこまめに行う方法であって、再生可能エネルギー電源を大量に導入するという目的を達成するための技術とはいえない。
特許文献6では、ループコントローラを使用して系統の切り分けや接続の最適化について提案しているが、やはり同期系統につながった配電網の切り分けをこまめに行う方法である。
これらの方法では、基本的にすべての電力需要家が基幹電力系統に依存しているため、再生可能エネルギー電源の増大が同期化力を弱めてしまうという課題には答えていない。
特許文献7では、「電力機器と電力需給制御機器とを備えた電力需給家の複数が相互接続されてなる電力システムにおいて、相互に電力融通を行う電力システム」を提案しているが、抽象的な概念になっていて電気回路的に以下のような欠陥がある。
まず複数の需要家をつなぐ連系線路が、「分枝状電力需給線路、数珠つなぎ状電力需給線路、放射状電力需給線路、網状電力需給線路またはこれらを組み合わせた電力需給線路」となっているが、こういった接続は、電気的には複雑な潮流問題を内包すると同時に、短絡容量が大きくなるため、遮断器容量の増大や保護システムの複雑化を招くことになる。また、これを直流連系線路で行うという提案もなされているが、これは直流連系線の短絡容量を著しく増大させ、直流遮断器の設置や線路の分断など連系線設計の難度が高い。
さらにこの提案では、1本の線路に複数の需給家が電力制御機器を通じてつながっているが、需給家と需給家の間で電力を融通するには、2つの電力制御機器を通過するため、回路が冗長となっており、損失も大きくなる。
さらに、1本の連系線路上で複数の需給家が過不足なく電力を融通しあうには、いずれかの需給家が電圧源となり、連系線路の電圧を維持し、電力を供給する立場の需給家はこの電圧に合わせて電流を供給し、電力をもらう立場の需給家はこの電圧に合わせて電流をもらうことになる。この制御に時間遅れが発生すると、このような小さな系統では電圧源が大きくふらつき、この連系線路に接続している需給家すべてに動揺を与える。この系統の需給は、通信を介して行われるので信頼度は通信に依存することになる。このような電気回路構成は、現実味がない。
特許文献8では、複数の離島などを想定した直流多端子送電に電力貯蔵装置を加えた提案を行っている。しかし、現実の直流多端子送電は実現されたものがほとんどない。これは、複数の端子間での電力の総和をゼロに制御するために高速な通信回線が不可欠であり、現実にはうまく制御できないことに起因している。実際に稼働している地点はイタリアのSACOIプロジェクト(200kV、200MW、3端子)とアメリカのQuebec−New Englandプロジェクト(450V、2,000MW、3端子)に限られその後の計画はない。後者は5端子で計画されたが、制御性の課題などにより3端子に計画縮小した上、双方向の電力融通はそのうちの1端子だけになった。
本特許文献によれば、電力貯蔵装置を取り込むことにより、複数の直流多端子で安定に運転できると主張している。しかしながら、本方式には次のような根本的な欠陥が内包されている。まず、直流送電線の距離長が長くなるため、直流ケーブルや接続部などでの事故確率が高まる。直流遮断器などを分岐点に多数配置しないと、直流部で事故が起きたときの電路切り分けができず、全系統停電になる。次に電力貯蔵装置を含めた全端子間の電力総和ゼロ制御は、通信回線で担保されなければならず、制御の信頼性が通信信頼性に依存することになる。これらの課題は電力貯蔵のあるなしにかかわらないが、電力貯蔵があるとさらに複雑になるため、4端子以上の直流送電は現実味が薄い。
以上のように、従来文献には再生可能エネルギーの大量導入を可能にする為の電力システムについて、直截的な例が見当たらないものの、従来文献を参考にすると、現在の基幹電力系統を、再生可能エネルギー電源と分散電源と需要で構成される多数の電力系統に分割し、電力貯蔵装置を導入して独自に需給バランスをとって周波数と電圧を安定させ(電力系統の自立と呼ぶ)、その上で、BTBやループコントローラのような連系装置(以下BTB型連系装置と呼ぶ)で相互にネットワーク連系線で接続する方法が有効であることが比較的容易に想起できる。
しかし、BTB型連系装置による電力ネットワークには以下のような課題がある。
まず、電力融通制御装置面においては、BTB型連系装置では連系する電力系統の数の2乗に比例するオーダーの連系装置が必要となる。さらにその間で協調制御をおこなう必要がある。これは変換器数の増大のみならず、設置時期やメーカーの異なる装置間での協調制御という困難な課題を生み出す。
さらに複数の電力系統を連続して電力融通する場合、電力が通過するだけの電力系統では電力変換が2度行われ、変換損失が大きくなるという問題がある。
また、電力母線に故障が発生すると、その電力系統を経由する電力融通ルートはすべて停止し、健全な電力系統にまで波及するという問題がある。
さらに通信システム面において、複数の電力系統間で電力融通を行うためには、ネットワークのルートが増えるにつれ、通信システムも複雑化し、高額な初期投資と保守費用が必要となる。信頼度を維持しなければならない通信ルートや通信機器が膨大になり、改造や新増設と対応が困難になる。さらに任意の電力機器から別の電力系統内の任意の電力機器に電力を融通するという新しいコンセプトを実現することは、従来の通信方法では、設備対応の困難さや初期投資の大きさ、保守コストの増大といった課題がある。
次に制御システム面において、このような電力融通を行う際、従来の方法では、中央指令装置が必要であり、中央に情報を集める手段と、その通信回路、さらに指令を発信する手段が必要である。さらに、電源系統の信頼性の重要さに鑑み、二重化などの措置が必要であった。分散した複数の電力系統システムが常に再編され増大していくような新しい電力システムにおいては、このような従来の方法では膨大な設備投資と間断のない保守対応が発生し、ネットワーク管理者の負担が膨大になりがちである。
さらに複数電力系統間で電力融通を行う場合、すべての電力系統から融通可能な有効・無効電力の大きさや量、時間、電力価格の情報を得て、電力ルートの制限を加味して、融通すべきルート選定、複数ルートの組み合わせを決定し、各融通装置に通達し実行させる必要がある。
電力網と通信網の複合した概念については、特許文献9に家庭やビル内における電力線と通信回路の融合した例が示されているものの、これはコンセントを使ったインターネット回線の概念であり、電力融通制御に関する概念は含まれていない。
以上のことから、再生可能エネルギーを大量導入するためには、個々の電力系統の中で再生可能エネルギーと他の電源・負荷および電力貯蔵装置等の電力機器の需給をバランスさせて自立させ、過不足が生じる部分について、基幹電力系統も含め、他の電力系統と非同期に接続して電力を融通し合える効率的な連系装置を開発する必要があり、さらにそれら電力機器の制御、全体をコントロールする効率的で柔軟な制御システム、その通信基盤となる通信システム、最適な電力融通アルゴリズムの開発等の課題を解決し総合的な電力システムを構築する必要があることがわかる。
上記の課題を解決するために、本発明は、多端子型非同期連系装置であって、双方向に電力変換する複数の自励式電力変換器と、前記自励式電力変換器を通過する電圧・電流を測定する電圧・電流測定器と前記自励式電力変換器の一方の端子同士を並列に接続する電力母線と、前記各自励式電力変換器を識別する識別子、電力の送受信の開始を示すヘッダ、前記電力の送受信の終了を示すフッタおよび送受信する電力の電力融通プロファイルを有する電力変換情報を送受信するデータターミナルエンドと、前記データターミナルエンドで受信した前記電力変換情報に基づき、前記電力を送受信するように前記識別子に対応する前記自励式電力変換器を制御する電力制御システム電力制御システムであって、前記電力変換情報を記憶する記憶装置を有する、電力制御システムと、を備え、前記電力制御システムは、前記電圧・電流測定器で測定された測定値に基づき電圧・電流を算出し、前記電力母線に流入する電力と前記電力母線から送出する電力との総和がゼロとなるよう複数の前記自励式電力変換器を協調して制御し、前記自励式電力変換器の他方の端子が接続された接続先との間で非同期に電力融通するように前記自励式電力変換器を制御することを特徴とする。
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の多端子型非同期連系装置において、前記電力融通プロファイルは、前記各自励式電力変換器における、電力変換方向、および電力変換する電力量であり、前記電力制御システムは、前記識別子に対応する前記自励式電力変換器が前記開始時刻から前記終了時間の間、前記電力変換方向に前記電力変換量の電力変換を行うように、前記自励式電力変換器を制御することを特徴とする。
請求項3に記載の発明は、請求項1に記載の多端子型非同期連系装置において、前記データターミナルエンドは、多端子型非同期連系装置間を接続する電線路または(外部)データ通信網を介して前記電力変換情報を送受信することを特徴とする。
請求項4に記載の発明は、請求項1乃至3のいずれかに記載の多端子型非同期連系装置において、前記電力母線に接続された電力貯蔵装置をさらに備えたことを特徴とする。
請求項5に記載の発明は、請求項1乃至4のいずれかに記載の多端子型非同期連系装置において、前記自励式電力変換器は、前記接続先と接続された他方の端子の電圧を測定し、前記電力制御システムは、前記接続先と接続された他方の端子が交流電圧を有するときは、前記自励式電力変換器で変換する電力を、電流・電圧・周波数・位相のうち少なくとも1つに関して前記接続先と接続された他方の端子の接続先と任意の差を持たせて同期させるよう前記自励式電力変換器に司令することにより、前記自励式電力変換器と前記接続先との間で任意の有効電力又は無効電力の授受を行なわせることを特徴とする。
請求項6に記載の発明は、請求項1乃至5のいずれかに記載の多端子型非同期連系装置において、前記電力制御システムは、前記電力変換開始時刻から前記電力変換終了時刻の電力変換期間が重複する複数の前記電力変換情報を受信した場合、前記電力変換方向が同じ前記電力量は加算し、前記電力変換方向が逆の前記電力量は減算するよう前記電力量を積算した結果に基づき前記自励式電力変換器を制御することを特徴とする。
請求項7に記載の発明は、請求項1乃至5のいずれかに記載の多端子型非同期連系装置において、前記記憶装置は、前記電力変換情報の内、実施するか否かを決定するための取引成立条件が記憶されており、前記電力制御システムは、前記受信した前記電力変換情報の内、前記取引成立条件に適合した前記電力変換情報の送信元に取引成立を示す情報を送信し、前記取引成立条件に適合した前記電力変換情報のみに基づき前記自励式電力変換器を制御することを特徴とする。
請求項8に記載の発明は、請求項7に記載の多端子型非同期連系装置において、前記電力変換情報は、価格および電力発生源の少なくとも一方についての情報を含むことを特徴とする。
請求項9に記載の発明は、電力ネットワークシステムであって、複数の請求項1乃至8のいずれかに記載の多端子型非同期連系装置と、前記多端子型非同期連系装置から受信した電力融通要求および前記電力融通要求を受け入れるか否かを決定するための前記多端子型非同期連系装置毎の取引成立条件に基づき前記電力変換情報を生成し、前記多端子型非同期連系装置に前記電力変換情報を送信する電力融通制御サーバと、を備えたことを特徴とする
請求項10に記載の発明は、請求項9に記載の電力ネットワークシステムにおいて、前記電力融通制御サーバは、前記電力変換開始時刻から前記電力変換終了時刻の電力変換期間が重複する複数の前記電力変換情報を受信した場合、前記電力変換方向が同じ前記電力量は加算し、前記電力変換方向が逆の前記電力量は減算するよう前記電力量を積算した結果に基づき前記電力変換情報を生成することを特徴とする
請求項11に記載の発明は、請求項9又は10に記載の電力ネットワークシステムにおいて、前記電力融通制御サーバは、前記多端子型非同期連系装置間を接続する電線路の容量情報を予め記憶しており、前記電線路の容量情報に基づき電力融通の取引が成立した前記多端子型非同期連系装置間の送電ルートの電線路の容量が不足すると判断される場合、電線路の容量を超えないように複数の前記自励式電力変換器から複数の送電ルートで送電するよう前記電力変換情報を生成することを特徴とする。
請求項12に記載の発明は、請求項9乃至11のいずれかに記載の電力ネットワークシステムにおいて、前記電力融通制御サーバは、前記多端子型非同期連系装置毎の前記電力変換情報を記録することを特徴とする。
請求項13に記載の発明は、請求項10に記載の電力ネットワークシステムにおいて、前記電力融通制御サーバは、前記多端子型非同期連系装置間を接続する電線路の損失情報を予め記憶しており、前記電線路の損失情報に基づき電力融通の取引が成立した前記多端子型非同期連系装置間の送電ルートで発生する電力損失を算出して前記電力変換情報と関連付けて記録することを特徴とする。
請求項14に記載の発明は、請求項1乃至5のいずれかに記載の多端子型非同期連系装置間で電力を融通する多端子型非同期連系装置の制御方法であって、第1の多端子型非同期連系装置が、受信した第1の電力変換情報に基づき、第1の電力開始時刻から第1の終了時刻の間、前記第1の多端子型非同期連系装置電力母線から第1の識別子に対応する第1の自励式電力変換器が接続された第1の電線路に第1の電力量の電力変換を行うステップと、第2の多端子型非同期連系装置が、受信した第2の電力変換情報に基づき、前記第1の電力開始時刻から前記第1の終了時刻の間、第2の識別子に対応する第2の自励式電力変換器が接続された第2の電線路から前記第2の多端子型非同期連系装置電力母線に前記第1の電力量の電力変換を行うステップと、を有することを特徴とする。
請求項15に記載の発明は、請求項14に記載の多端子型非同期連系装置の制御方法において、電力融通制御サーバが、受信した電力融通要求および前記電力融通要求を受け入れるか否かを決定するための前記多端子型非同期連系装置毎の取引成立条件に基づき、第1の多端子型非同期連系装置と第2の多端子型非同期連系装置との間で第1の電力開始時刻から第1の終了時刻の間に第1の電力量の電力融通の取引が成立した場合、前記電力融通制御サーバが前記第1および第2の多端子型非同期連系装置の前記各電力変換情報を生成するステップと、前記第1および第2の多端子型非同期連系装置に前記各電力変換情報を送信するステップと、をさらに有することを特徴とする。
請求項16に記載の発明は、請求項15に記載の多端子型非同期連系装置の制御方法において、前記各電力変換情報を生成するステップは、前記電力変換開始時刻から前記電力変換終了時刻の電力変換期間が重複する複数の前記電力変換情報を受信した場合、前記電力変換方向が同じ前記電力量は加算し、前記電力変換方向が逆の前記電力量は減算するよう前記電力量を積算した結果に基づき前記電力変換情報を生成することを特徴とする。
請求項17に記載の発明は、請求項15又は16に記載の多端子型非同期連系装置の制御方法において、前記各電力変換情報を生成するステップは、前記電力融通制御サーバが、予め記憶された前記多端子型非同期連系装置間を接続する電線路の容量情報に基づき、前記第1の電線路の容量が不足すると判断した場合、電線路の容量を超えないように融通電力を分割して前記第1の電線路に加えて第2の電線路を介して送電するよう前記電力変換情報を生成し、前記第1の多端子型非同期連系装置が電力変換を行うステップは、第1の自励式電力変換器に加えて第3の自励式電力変換器を用いて、前記電力母線から前記第1の電線路と第3の電線路とに前記第1の電力量を分割して電力変換を行い、前記第2の多端子型非同期連系装置が電力変換を行うステップは、第2の自励式電力変換器に加えて第4の自励式電力変換器を用いて、前記第2の電線路と第4の電線路とから前記電力母線に前記第1の電力量を分割して電力変換を行うことを特徴とする。
本発明のように,複数の電力系統を非同期連系多端子型非同期連系装置で接続すれば、第一に多数の連系線ネットワークができ、電力系統が自立するのに必要な電力を互いに補完しあい、連系装置容量およびネットワーク回線の容量は大幅に低減される。このようにして電力系統間ネットワークが増えれば増えるほど、融通電力が増えるため電力系統内への再生可能エネルギー電源の導入量を増やすことができる。基幹電源系統は、再生可能エネルギー電源の変動を受け持たなくて済むため、連系容量を過大に持つ必要がなくなり、従来の高品質な電源系統を維持することができる。
第二に本発明の電力ネットワークシステムにより特定の電力機器や電力系統間で任意の電力を融通しあうことが可能になる。電力融通に当たっては、取引条件をもとに予約を行う電力融通手順が定められ、融通電力に情報を付加することで柔軟な融通が行なえ、電力取引の結果を記録することができるようになる。
第三にそれぞれの電力系統は,過大な発電設備や貯蔵装置を持たなくても他の電力系統とのネットワークや基幹電源系統との間でも連系することによって自立することができるので地域にとり有利な再生可能エネルギー電源を自由に電力系統内に取り込むことができるようになる。太陽光発電だけでも人類の年間に消費するエネルギーの1,000倍近くあり、日本でも未利用地に太陽光パネルを敷いた場合、電力消費の8倍程度得られるというNEDO調査結果もある。本発明は、これらの再生可能エネルギーの大量導入に大きく寄与する。
図1は電力ネットワークシステムの全体像を示した説明図である。(実施例1、実施例3、実施例5、実施例6、実施例8) 図2は同期系統と非同期系統での電力授受の違いを示した説明図である。 図3は同期系統と非同期系統での違いを示したベクトル図である。 図4は電力ネットワークの接続例である。(実施例2) 図5は通信回路のWAN/LANを、外部データ通信路で示した図である。(実施例4、実施例18) 図6は通信回路のWAN/LANを、電力線搬送通信路で示した図である。(実施例5、実施例18) 図7はルーティングテーブルの一例を示した説明図である。(実施例6) 図8は電力融通の第一の電力融通要求段階を模式的に説明する図である。(実施例7) 図9は電力融通の第二の電力融通要求段階を模式的に説明する図である。(実施例7) 図10は電力融通ルーティング段階を模式的に説明する図である。(実施例7、実施例20) 図11は多端子型非同期連系装置が接続する電力系統が直流の場合を示した説明図である。(実施例9) 図12は多端子型非同期連系装置の簡略構造を図示した説明図である。(実施例11) 図13は、多端子型非同期連系装置の詳細構造を図示した説明図である。(実施例11) 図14はBTB型連系装置と多端子型非同期連系装置の装置数を比較した図である。(実施例11) 図15はBTB型連系装置と多端子型非同期連系装置での電力融通の比較を行った説明図である。(実施例11) 図16は多端子型非同期連系装置内の通信制御システムを示した説明図である。(実施例16) 図17は電力機器制御端末装置内の通信制御システムを示した説明図である。(実施例17) 図18はさまざまな電力融通の形態の例である。(実施例19) 図19は多端子型非同期連系装置のシミュレーションの実施例である。(実施例21)
はじめに、従来型の交流同期系統での電力融通と、本発明の基本原理である非同期連係による電力融通との差異について説明する。図2は、(A)図が従来型の交流同期系統で4つの電力系統(ノード20と呼ぶ)を6つの連系電線路(リンク21と呼ぶ)で結んだものである。連系電線路には線路インダクタンスLのリアクトル成分19がある。(B)図は、本発明の交流非同期系統で、同様に4つのノードを、多端子型非同期連系装置のA接続端子とB接続端子を介して6つのリンクで結んだものである。簡単のために図中には交流フィルターや接続用リアクトルもしくは変圧器を省略してある。
(A)図の回路網の初期状態は、電圧V、位相0、周波数ω/2πで同期している。この状態からノードcに電力を送るためには、ノードcの電圧を下げるか、位相をθだけ遅らすか、いずれかの方法をとる。通常電圧を下げると、その電力系統内の電力機器に悪影響が出るので位相を遅らす方法をとる。ノードcの位相をθだけ遅らせると、隣接するa、b、dすべてのノードとの間に位相差θが生じる。これにより流れる電流はIdc、Iac、Ibcとなり、これらは同じ大きさの電流となる。電圧が同じなので流入する電力も同じになる。すなわち電力を3つのノードから受け取ることになる。これは、位相を変えずに電圧Vを変えても同じことである。すなわち、交流同期系統では、一つのノードが電力授受を行う際に、必ず隣接するノードに影響を与えてしまうことがわかる。
(B)図の回路網の初期状態は、電圧Vの大きさは4つのノード間で等しいが、周波数はそれぞれ、ωa/2π、ωb/2π、ωc/2π、ωd/2πと異なっており、同期していない。最初はすべての双方向電力変換器10が停止している状態(黒色の三角形の状態)とする。この状態から、ノードcに電力を送るために、ここではノードaに接続している電力変換器とノードcに接続している電力変換器を動作(白抜きの三角形の状態)させる。これで、図示されているように、ノードaとノードcを結ぶ電力変換器だけが運転しており、他の電力変換器はすべて停止している状態となる。従って、リンクacの間でだけ電力が融通され、他のノードbとノードdは全く影響を受けない。
このときの電圧・電流ベクトルの状態を、図3の(A)と(B)にそれぞれ図示した。
(A)図は、図2の(A)図に対応した交流同期系統の場合である。ノードa、b、c、dが同じ電圧Vであり、ノードcについてのみ位相をθだけ遅らした時のベクトル図を示している。このとき、リンクac、bc、dc間の線路リアクトル(L)の両端に電圧差ΔVが発生し、ΔV/ωLの大きさの電流I(=Iac=Ibc=Idc)が、ΔVの位相に90度遅れて流れる。本図では、各ベクトルの電圧Vが等しいので、電圧ベクトルの作る三角形は二等辺三角形になり、電流位相はθ/2になる。
I=ΔV/jωL=(V−V・e)/jωL
となり、ノードcに流入する複素電力は、ノードa、b、dの3方向から同じ大きさのIが流れ込むので以下の通りとなる。
P+jQ=V・3・I* (ただし、I*はIの共役複素数)
=V・3・V(1−e-jθ)/(−jωL)
=3・(V2/ωL)・j(e-jθ−1)
=3・(V2/ωL)・sinθ+j・3・(V2/ωL)・(cosθ-1)
一方図3の(B)図は、図2の(B)図に対応した交流非同期系統の場合である。ノードaの電力は電力変換器で直流に順変換される。ついでノードcの周波数ωc/2πに同期した交流Vinvに逆変換される。ノードcの複素電圧Vcの大きさをVとし、位相を0としたとき、電力変換器に与えるPWM信号により、複素電圧Vinvは任意の値をとることができる。Vinvの大きさをVxとし、Vcとの位相差をφとしてVcと同期させれば、VinvとVcの間にある変圧器またはリアクトルのリアクタンスの大きさをLとすると、その両端にΔVの電圧差が発生する。すなわち、Vinv=Vx・e(jωc
t+φ)、Vc=V・ejωct、ΔV=Vc−Vinvとすれば、
リアクトルLを流れる電流Iは、
I=ΔV/jωL= (V−Vx・e)/ jωL
また、授受できる電力は、
P+jQ=V・I*
=V・(V−Vx・e)/(−jωL)
=V・Vx・sinφ/ωL+j・(V2−V・Vx・cosφ) /ωL
となる。
複素電圧Vinvの電圧の大きさVxと、VinvとVcとの位相差φが、任意に作れるので、有効電力と無効電力の授受の大きさ・方向が任意に設計できる。この方法では、他のノードに影響を与えない。
従来型の電力系統では、いわゆる網目状のリンクを増やすと、隣接するノードが影響しあって潮流計算が複雑になる。また、事故時には多方面から大電流が流れ込み遮断器の容量を超えてしまい、事故遮断できなくなることがある。このため、従来の同期系統の電力網は網目状のリンクを避け、上流から下流側に向かって電力が流れていく、くし型や放射状型になっている。
これに対して、本発明の多端子型非同期連系装置による非同期連系回路網の場合、潮流計算は、線形連立方程式を解くことで解が求められるので同期連系に比べて、格段に計算が楽になる。
この原理により、適切な制御を行えば、複数の非同期電力系統間で任意の電力を融通しあったり、電圧維持に必要な無効電力を供給しあったりすることが可能になる。
本発明は、それを行うために必要な電力ネットワークシステム、多端子型非同期連系装置、電力機器制御端末装置とそれらを使用した電力融通方法ならびにそのプログラムに関するものである。
以下、図面を参照し、本発明の実施形態について説明する。
(実施例1)
図1は、本発明の電力ネットワークシステムの全体像の一例を示している。この図では、自立した電力系統3が#1から#6まで、6つ示されている。それぞれに電力母線6があり、その下に発電装置61、電力貯蔵装置62ならびに図示していないが一般需要家の負荷等の電力機器が接続されている。ただし、#5電力系統は単独の電力機器が接続される特殊な電力系統4の例として表示している。この図において1は、電力系統間を接続する多端子型非同期連系装置である。連系電線路7を介して電力系統3を相互に接続している。
各電力系統3は基幹電力系統5も含めてすべてお互いに同期を必要としない自立電力系統である。#1から#4までの電力系統の電力母線には多端子型非同期連系装置1が設置されている。多端子型非同期連系装置には遮断器8、断路器9、自励式電力変換器10で構成されるA接続端子201と遮断器8、断路器9で構成されるB接続端子202がある。
#1と#2電力系統のように、基幹電力系統5とA接続端子と連系電線路を介して接続することも可能である。この場合、図示されていないが基幹電力系統側の接続は単純な断路器と遮断器でよいし、B接続端子でもよい。#1電力系統や#2電力系統のA接続端子の電力変換器が系統電圧に同期させれば電力の授受を行うことができる。もちろん基幹電力系統側に多端子型非同期連系装置1を置き、A接続端子を介して各電力系統に接続することができる。この場合接続先電力系統には、B接続端子があればよい。
多端子型非同期連系装置は、後述するように各接続端子の少なくとも一つが前記接続先の電力系統の電力を直流に順変換したのち、直流並列母線を通じて、残りの接続端子群が接続先の電力系統の電圧・位相・周波数に同期させて電力を逆変換して送出し、流入する電力と送出する電力の総和がゼロとなるよう電力制御することを特徴とする。
#1電力系統に設置された多端子型非同期連系装置1のA接続端子201は、連系電線路7を介して、#2、#3、#4の電力系統に接続されている。接続先の電力系統では、B接続端子202が、接続相手となっている。
#2電力系統に設置された多端子型非同期連系装置のA接続端子は、#3、#4電力系統に設置された多端子型非同期連系装置のB接続端子と連系電線路7を介して接続している。
#3電力系統に設置された多端子型非同期連系装置のA接続端子は、#4電力系統に設置された多端子型非同期連系装置のB接続端子と連系電線路7を介して接続する。この例では#3電力系統に設置された多端子型非同期連系装置は、A接続端子を2回路背中あわせにつき合わせるBTB型変換器とB接続端子から構成されている。
#4電力系統に設置された多端子型非同期連系装置は、A接続端子を持たず、すべてB接続端子から構成されている。
#1電力系統の下位の電圧階級の電力母線に設置された多端子型非同期連系装置1は、電力機器単独系統4の#5電力機器に直接接続されている。この電力機器が電力貯蔵装置であれば、A接続端子の自励式電力変換器が適切な直流電圧を作りだし、充放電が可能になる。また、この電力機器が風力発電機であれば、A接続端子が、自立した交流電力を作りだし、それに風力発電機が系統連系するような制御も可能である。
この電力機器が太陽光発電装置や燃料電池発電装置であれば、A接続端子が直流変換を行うことで電力融通できる。この電力機器が、ディーゼルなどの内燃機関発電機であれば、A接続端子が、自立した交流電力を作りだし、それに内燃機関発電機が系統連系するような制御も可能である。この多端子型非同期連系装置との組み合わせを前提とした新しい発電制御方式を組み込んだ再生可能エネルギー発電機の開発も可能である。
#6電力系統に接続されたA接続端子は、受電側が電力母線に遮断器を介さず、直結している。A接続端子の給電容量が#6電力系統の負荷を十分賄え、遮断容量が#6電力系統で事故が起きた場合の故障電流を十分遮断できる場合、このような接続方法が可能である。
図1では、#6電力系統と#1〜#4電力系統との間を非同期連系接続した連系電線路は示されていないが、融通電力を大きくしたい場合は変圧器を介し、融通電力が小さい場合は多端子型非同期連系装置のみで連系し電力融通を行うことが可能である。
図1に示される各電力系統の中は、従来型の同期系統である。自立した電力系統内には、電力母線6の下位に遮断器8を介して、発電装置61・電力貯蔵装置62・図示されていないが負荷があり、これらを電力機器と総称している。電力機器には電力の入出力を制御する電力制御部がありそこに外部信号を伝える手段を有する電力機器制御端末装置13を付加していることが本発明の特徴である。
図1は、基幹電力系統を含む任意の電圧・位相・周波数を持つ複数の非同期である電力系統を多端子型非同期連系装置によって接続した複数の電力系統間非同期連系ネットワークシステムと、自立した電力系統内に設置される電力機器に電力機器制御端末装置を付加して構成した電力系統内同期ネットワークシステムとを接続し、電力制御を統合することによって、異電力系統電力機器間の電力融通や、複数電力系統間での同時かつ非同期な電力融通が可能になる電力ネットワークシステムの代表例である。
この発明では、再生可能エネルギー電源を内包した電力系統が、系統内の電力機器間で電力融通を行って自立し、それでも需給バランスが崩れると予想される場合、他の電力系統と複数の非同期連系ルートを通じて、電力を融通し合うことにより、自立を補完し合える。
また、これにより、再生可能エネルギー電源由来の出力変動は、電力系統の内部で吸収されるか、他の電力系統との非同期連系ネットワークで吸収されるようになるため、基幹電力系統は変動の影響を受けにくくなる。その結果、基幹電力系統の同期化力を維持でき、複数の電力系統ネットワークと協調して安定化し、再生可能エネルギー電源を電力系統に大量に導入することが可能になる。
本発明の電力ネットワークシステムへの移行ステップは、既存の変電所以下の電力系統に、必要な電力機器と電力機器制御端末装置を導入して自立した電力系統とし、変電所間を接続する従来の送電線と変電所母線との間に多端子型非同期連系装置を設置して他の電力系統や基幹電力系統と非同期連系することを最初のステップとする。再生可能エネルギー電源の導入量増大に併行して、連系電力系統を徐々に増やしていき、それに伴い基幹電力系統からの融通電力を減らしていくことが次のステップとなる。このようにして無理なく本発明の電力ネットワークシステムに移行していくことが可能である。
本発明では、後述するように、多数の電力系統が相互に非同期連系し、個別に電力制御を行うための多端子型非同期連系装置を考案した。この装置は異なる電力系統間で電力を分配する役割を果たしている。これにより、従来の同期電力系統では不可能であった特定の電力系統間での電力融通を、電力変換器の数を削減しつつ可能にし、制御自由度と信頼度を向上し、電力変換の回数も削減し、電力損失を減少させることができる。このネットワークを本発明では、「電力系統間非同期連系ネットワークシステム」と呼ぶ。
一方、接続される側の電力系統は、従来の変電所下流の配電網にあたる。本発明では、この電力系統の中に設置される発電装置・電力貯蔵装置・負荷からなる電力機器に付加し、個別の電力の制御を行うことが可能になる電力機器制御端末装置を考案した。この装置は通信データターミナルエンド(DTE)であり、かつ電力制御インターフェースの役割を果たす。これにより、後述する通信システムと通信プロトコルに準じて通信を行い、同じ電力系統内で、たとえば風力発電機と電力貯蔵装置の出力を調整制御することが可能になった。このネットワークを本発明では、「電力系統内同期ネットワークシステム」と呼ぶ。
上述した「電力系統間非同期連系ネットワークシステム」と「電力系統内同期ネットワークシステム」とを前記多端子型非同期連系装置の接続端子を通じて接続し、制御統合することで、電力系統内の特定電力機器の発電電力を別の電力系統の特定の電力機器に送ることが可能になる。これにより、一つの電力系統で発電電力が過剰に発生したときに周辺の多くの電力系統に吸収させることや、逆に出力が不足したときに、周辺の電力系統の電力貯蔵装置や発電装置から、複数のネットワークを経由してその電力系統の電力貯蔵装置に電力を送り込こんだりすることができるようになる。
これらにより、日本や欧州・米国のような基幹電力系統が確立したところで、変電所以下の電力系統を分離・非同期化して再生可能エネルギー電源を大量に導入していくことができる。
また、開発途上国など村落・町・市などの分散した小さな交流電力系統が分散し、点在しているところが多い。
小さな電力系統単独では周波数不安定や瞬時電圧低下・停電等が頻発し、太陽電池や風力発電などの出力の不安定な電源は導入が困難であるが、こういう地点こそ、化石燃料からいち早く脱却すべきであって自然エネルギー電源の導入が必要である。
本発明の利用により、小さな電力系統を多端子型非同期連系装置で接続し、非同期連系ネットワーク化していくことで電力機器を共用でき、周波数不安定や瞬時電圧低下・停電等の問題が解消できる上、自然エネルギーの導入も可能になり化石燃料からの脱却を推進できる。
(実施例2)
図4は本発明における、N個の電力系統間において、1/2・N・(N−1)の電力融通リンクが生成される電力ネットワークの接続例である。#1から#5の同期がとれていない電力系統を連系する多端子型非同期系統連系装置1の形態が示されている。5つの電力系統間の場合、
#1電力系統に接続された多端子型非同期連系装置のA接続端子201と、#2、#3、#4、#5の電力系統に設置された多端子型非同期連系装置のB接続端子202が、連系電線路7を介して接続して、#1電力系統とのネットワークを構成し、
#2電力系統電力母線に設置された多端子型非同期連系装置のA接続端子群と、#3、#4、#5の電力系統に設置された多端子型非同期連系装置のB接続端子が、連系電線路7を介して接続して、#2電力系統とのネットワークを構成し、
#3電力系統電力母線に設置された多端子型非同期連系装置のA接続端子群と、#4、#5電力系統に設置された多端子型非同期連系装置のB接続端子が、連系電線路を介して接続して、#3電力系統とのネットワークを構成し、
#4電力系統電力母線に設置された多端子型非同期連系装置のA接続端子と、#5電力系統に設置された多端子型非同期連系装置のB接続端子が、連系電線路を介して接続して、#4電力系統とのネットワークを構成することにより、10本の非同期電力融通リンクが生成される。
このようにしてN個の電力系統間においては1/2・N・(N−1)の電力融通リンクが生成される。従来のくし型電源系統では、N個の電力系統に対し、N+1の電力融通リンクが作られるが、本方式では、Nの2乗に比例したリンク数となり、Nが大きくなるについて、電力融通の柔軟性が大きくなる。連系電線路の容量や多端子型非同期連系装置の接続端子の容量もNの2乗に比例して小さくできるようになることを特徴としている。
これにより、たとえばN=10の場合、理論的には45リンクの非同期電力融通リンクが生成される。N=20の場合190リンク、N=30の場合435リンクにもなる。1電力系統に多端子型非同期連系装置を複数置くことができるので理論的リンク数はさらに増やすことができる。
一つの電力系統に複数の多端子型非同期連系装置が設置されることも可能であり、一つの電力融通ルートに複数の連系電線路が設置されることも可能である。しかし、任意の二つの電力系統を接続するA接続端子とB接続端子の間に挟まれた連系電線路には途中に分岐がないことが、キルヒホッフの法則を利用する上で重要である。
電力ネットワークシステムを機能させる上で、連系電線路のどちらか一端にA接続端子を有し、他端にB接続端子を有することが望ましいが、B接続端子は、単純な遮断器の接続でも電力融通には支障がない。
Nをノード数と見ると、その間を相互に結ぶリンクの数は、1/2・N・(N−1)本となる。たとえばN=5の場合、理論的には10本の非同期電力融通リンクが生成される。このようにして、N=6の場合15本、N=7の場合21本と増えていき、N=20の場合190本のリンクができる。1電力系統に多端子型非同期連系装置は複数置くことができるので理論的リンク数はさらに増やすことができる。
あるノードから別のノードへ、一定の電力を流す場合、複数のリンクをつなげば選択できるルートはさらに多数生まれる。このうち最適なものを一つだけ選択する方法もあるが、複数のルートを同時に使用して電力を分散して流すことで、それぞれのルートを流れる電力は少なくて済むようになる。
また、複数のノードが複数の電力融通を要求している場合、適切なルートを組み合わせることにより、電力の潮流が相殺することが可能になる。従って電力変換器や連系電線路での電力損失の総和が最小となるようなルーティング選定アルゴリズムが重要になる。
(実施例3)
図1に基づいて、本発明の電力機器端末制御装置を付加した電力機器が設置された電力系統内同期系統ネットワークシステムについて説明する。
電力系統3の中において、6は電力母線であり、この母線に遮断器8、断路器9が接続され発電装置61や電力貯蔵装置62などの電力機器にケーブルを通じて電力を供給する。
電力機器には、電力機器制御端末装置12を付加しており、これを通じて電力制御をおこなうことができる。電力機器制御端末装置12には、外部との通信ができる通信端局が内蔵されており、後述するように各装置に個別のIPアドレスを与えて電力融通制御や電力情報収集を行うことができる。図1では、電力線搬送通信端局13が内蔵された例が示されている。電力機器制御端末装置12を使用すれば、同一電力系統内でも電力機器間での電力融通制御が可能になる。
#1の電力系統では、変圧器を介して下位の電圧階級の電力母線も示されている。図1では、後述する電力線搬送通信も可能とするため、電力線搬送通信バイパス付変圧器11を図示している。電力母線は通常、特別高圧・高圧・低圧の3分類となっており、ここには図示していないが、その電圧階級ごとに、一般需要家の負荷が接続されている。これらの負荷や発電設備・電力貯蔵設備などにより複数の電力系統3が構成される。
本発明の電力ネットワークシステムでは、電力機器制御端末装置12によって、個々の電力系統内でも電力機器間の電力融通が可能になる。
日本の電力系統は、7,000Vを超えるものを特別高圧、600Vを超え7,000Vまでを高圧、600V以下を低圧として様々な電力機器の仕様が定められている。本発明では、従来型配電網の仕組みを踏襲することで、自立型電力系統への移行をスムーズに行う。電力系統内の電力機器に、その電力情報を取得したり、電力制御信号を与えたりできる電力機器制御端末装置を付加することによって、電力機器の間で電力調整を行えるようになると、電力系統内の総発電量と総消費量の需給バランスをとり、周波数と電圧を一定に保つこと、すなわち電力系統の自立が可能になる。再生可能エネルギー電源の量が増えると、変動が大きくなるため、電力貯蔵装置との電力調整が必要になるが、これも電力機器制御端末装置を用いた制御で可能になる。
(実施例4)
本実施例では、外部データ通信路を使用した例を説明する。
まず図5に基づいて、本発明の通信システムの構成を説明する。多端子型非同期連系装置のA接続端子、B接続端子、電力機器制御端末装置などに設置されたデータターミナルエンド(DTE)は、電力に関わる情報を取得し、CPUに伝えるとともに、電力系統内においてはLANに、電力系統間に関してはWANに情報を伝送する。データ通信路として、光ケーブル・LANケーブル・メタルケーブル・無線・同軸ケーブルなど外部データ通信路を新たに施設することが可能である。
図示していないが多端子型非同期連系装置の接続端子に通信用アドレスを与えてWANを構成し、電力機器制御端末装置にも通信用アドレスを与えてLANを構成し、その両者を接続し、通信を統合することによって、異電力系統電力機器間や、複数電力系統間での通信が可能になり、多端子型非同期連系装置の接続端子および電力機器制御端末装置に電力融通に関する制御指示を与えることが可能になる電力ネットワークシステムが構築できる。
WANの中に、接続端子固有のMACアドレス、割り当てられたIPアドレス、サブネットマスク、デフォルトゲートウェイを記述したアドレステーブルを保有するアドレスサーバーを置き、
LANの中に、電力機器制御端末装置固有のMACアドレス、割り当てられたIPアドレス、サブネットマスク、デフォルトゲートウェイを記述したアドレステーブルを保有するアドレスサーバーを置けば、TCP/IP通信プロトコルを使用して、多端子型非同期連系装置接続端子および電力機器制御端末装置の間で通信することを特徴とする電力ネットワークシステムが構築できる。
これにより、電力系統内の電力機器の情報制御系と、電力系統間の電力融通の情報制御系がインターネットにおけるLANとWANに類似の通信系統となって、柔軟な通信制御形態が構築できる。従来の同期電力系統では、系統内の電力はどの瞬間を取っても同期していたため、電力制御に必要な通信系は高速で信頼性の高いものを要求されていた。しかし、電力制御を通信に頼るのはリスクが大きく、実際には電力系統の周波数や電圧を元に個々の発電機器が制御を行うという仕組みが主流であった。
本発明では、電力貯蔵装置が個々の電力系統の自立を担保する電力ネットワークを前提としているため、通信系の高速性よりも、むしろ確実性が重要となる。その点でNの2乗に比例したリンクを持ち、いずれかのルートが使用できなくても他のルートから通信信号と融通電力が送ることが可能になる。
また、これにより多端子型非同期連系装置の接続端子に柔軟な動的IPアドレスを持たせることができる。IPアドレスがあれば、多端子型非同期連系装置間をルーティングする際のゲートウェイを記述したルーティングテーブルを有するサーバーをWAN内に置き、情報のやり取りを行うことができる。さらに、サーバーの替わりに、各多端子型非同期連系装置の内部にルーティングテーブルを置いて情報を交換し合って常に最新の状態に維持することもできる。
また、これにより、不特定多数の機器に問い合わせをして、電力融通選択肢を広げ、一定のアルゴリズムに電力融通を依頼する電力機器や多端子型非同期連系装置を複数特定して、予約をすることができる。予約をされた電力機器や多端子型非同期連系装置が、応諾の返信をすることによって電力融通が確定する。ここには記述していないが融通開始直前の変更や、融通中の事故などの対応も本請求項の電力融通アルゴリズムの中に含まれる。ルーティングについては、複数の電力融通要求を組み合わせることで電力損失の少なくなるルート選定が望ましい。これら電力融通要求手順に関わる一連の動作は、数日前、数時間前、数分前、数秒前と常に変更可能な状況におけることが望ましい。
(実施例5)
本実施例では、電力線搬送通信を使用した例を説明する。
まず図6に基づいて、本発明の通信システムの構成を説明する。多端子型非同期連系装置のA接続端子、B接続端子、電力機器制御端末装置などに設置されたデータターミナルエンド(DTE)は、電力に関わる情報を取得し、CPUに伝えるとともに、電力系統内においては電力ケーブルなどから構成される電力線搬送通信LANに、電力系統間に関しては連系電線路から構成される電力線搬送通信WANに、電力線搬送通信端局13を介して情報を伝送する。
この例では、電力線搬送通信を用いるため、連系電線路や電力ケーブルを通信信号の伝送路としてWAN/LANが構築されるので、これにより、通信が可能なルートが電力を送れるルートと物理的に一致する。電線路が断線したり、関連設備を停止したりすると、通信回路も解放されたり停止したりするので、その回路に通信信号は流れない。これにより、複雑な状態確認などなしに、電力システムの最新状態が把握できる。66kV系の送電線では、すでに192kbpsのデジタル式電力線搬送が実用化されている。後述する電力融通信号の情報量は、すべての交信に数キロビット程度しか必要ないため、上記帯域は十分な速度といえる。
6.6kVや440Vおよび220V系の配電系統では、現在のところ600bps程度のかなり遅いアナログ式電力線搬送装置が実用化されているのみである。これはいまだに規制が厳しいためであり、いずれ技術の進歩とあいまってこの規制が緩和されるものと思われる。この遅い搬送速度でも後述する電力融通予約を行うには十分である。電力機器の起動・停止・更新・新増設・廃止などの変化に対し、電力線搬送通信を採用していれば、電力線の使用開始とともに、自動的に新しいIPアドレスを付加してくれるのでネットワーク技術者の負担が軽減される。
以下に示すように電力線搬送を使用して通信路と電線路を物理的に同じものにすることにより、電線路に合わせて新たな通信路施設する必要がなくなるうえ、線路の健全性の確認が自動的に行えるなど、複数のメリットがある。
図1では、電力線搬送通信による通信システムの例が示されている。電力機器制御端末装置12に電力線搬送通信端局13が設置され、それぞれのIPアドレス14が示されている。また、多端子型非同期連系装置1の各接続端子にも電力線搬送通信端局13が設置され、それぞれのIPアドレス14が表示されている。
電力線搬送通信WANの中に、接続端子固有のMACアドレス、割り当てられたIPアドレス、サブネットマスク、デフォルトゲートウェイを記述したアドレステーブルを保有するアドレスサーバーを置き、電力線搬送通信LANの中に、電力機器制御端末装置固有のMACアドレス、割り当てられたIPアドレス、サブネットマスク、デフォルトゲートウェイを記述したアドレステーブルを保有するアドレスサーバーを置けば、多端子型非同期連系装置接続端子および電力機器制御端末装置の間で通信することを特徴とする電力ネットワークシステムが構築できる。
アドレス管理の方法としては、各多端子型非同期連系装置に手動でアドレスを与える方法と自動で与える方法がある。手動の場合、多端子型非同期連系装置の変更に伴いアドレス変更作業が生じる。自動の場合は、新しく設置されたり、電源が入ったりすると、装置側から自分のMACアドレスを発信して、新しいIPアドレスの割り当てを要求することになる。自動の場合、アドレス変更作業などはすべて自動で行われるので、システム管理者の負担が小さい。
このように多端子型非同期連系装置の接続端子に通信用アドレスを与えて構成されたWANと、電力機器制御端末装置に通信用アドレスを与えて構成されたLANは、多端子型非同期連系装置の接続端子を通じて通信的にも接続されているので、異電力系統電力機器間や、複数電力系統間での通信が可能になり、多端子型非同期連系装置の接続端子および電力機器制御端末装置に電力融通に関する制御指示を与えることが可能になる電力ネットワークシステムが構築できる。
(実施例6)
図7は、図1の電力ネットワークシステムの例で割り当てられているIPアドレスを使って作成した、ルーティングテーブルの一例である。最初のテーブルには、#1の電力系統に設置された多端子型非同期連系装置から、他の系統に行くときのゲートウェイが記されている。ここでSubnet maskが、255.255.255.0のとき、Network192.168.2.0とは、最初の24ビットが共通の群であることを意味する。これは#2電力系統を意味している。#2電力系統に到達するには、Gateway192.168.0.7、すなわち#2電力系統に設置された多端子型非同期連系装置のうち#1電力系統と接続されているB接続端子を最初に通るということを示している。
同様に#1から#3電力系統に到達するためには、ルーティングテーブルのNetwork192.168.3.0を見ればよく、その時Gatewayは192.168.0.9となる。同様に#1から#4電力系統に到達するためには、ルーティングテーブルのNetwork192.168.4.0を見ればよく、その時Gatewayは192.168.0.11となる。別の例として、たとえば#5電力機器系統から、#1、2、3、4電力系統に行くためには、すべて#1電力系統の電力母線に接続した多端子型非同期連系装置のA接続端子192.168.1.1がGatewayになる。
このようにして、接続先へのルーティングテーブルを、すべての多端子型非同期連系装置が保有し、その内容を交換して、WAN/LAN内の最新のルーティングマップを共有することができる。これにより、本発明の電力ネットワークシステムにおいて、TCP/IP通信プロトコルを使用して多端子型非同期連系装置および電力機器制御端末装置の間で通信することができる。
これにより、WAN/LANにより通信統合され、かつ多端子型非同期連系装置と電力機器制御端末により電力融通統合されている電力ネットワークシステム内で、インターネットで標準化されている通信プロトコルが使用でき、物理アドレス、誤り制御、順序制御、フロー制御、衝突回避などの標準化が可能となる。
これにより、電力ネットワークシステムで、電力融通に関する通信が可能になり、電力系統内での自立を優先しながら、必要に応じて、WANを通じて他の電力系統に電力融通を依頼する仕組みが構築できる。IPアドレスは静的・動的のいずれでも与えることができ、静的な場合は、IPアドレスを物理的な機器に固有のものとして与えるが、動的な場合は、物理的な機器からのリクエストに応じて、付与されるものであり、システムの変化に応じてアドレスも変化する柔軟なシステムとなる。
(実施例7)
図8は、電力ネットワークシステムにおいて、いずれかの多端子型非同期連系装置または電力機器が、他の装置および機器に対して希望取引条件を付けて一斉問い合わせを発信し、電力融通可能な電力系統が可能取引条件を付けて返信してくる第一の電力融通要求段階を示している。
第一の電力融通要求段階における電力融通要求元の発信するIPパケットは、少なくとも、発信元IPアドレス・マルチキャストIPアドレス・希望取引条件の情報を含むことを特徴とし、電力融通応答先が応信するIPパケットは、少なくとも、応信元IPアドレス・返信先IPアドレス・可能取引条件の情報を含むことを特徴としている。
図9は、電力融通可能との返信があった電力系統の多端子型非同期連系装置に対して予約取引条件を発信し、電力融通応答先が予約確定条件を付けて返信してくる第二の電力融通要求段階を示している。
第二の電力融通要求段階における電力融通要求元の発信するIPパケットは、少なくとも、発信元IPアドレス・受取先IPアドレス・予約取引条件の情報を含むことを特徴とし、電力融通応答先が応信するIPパケットは、応信元IPアドレス・返信先IPアドレス・予約確定条件の情報を含むことを特徴としている。
電力融通相手先と電力融通プロファイルが決定したのち、(1)ルーティング経路の複数選定段階、(2)ルーティングプロファイル収集段階、(3)電力融通ルート選定段階、(4)ルーティング予約段階、(5)ルーティング確定段階、(6)電力融通実施の監視段階、(7)異常事態における緊急ルーティング方法をへてルーティングが決定する。
図10は、予約の時間が来たときに最終的に電力が融通されていく状況を概念的に図示したものである。複数のルートを経由することで、一ルートあたりの負担が減り、故障などが発生しても影響が小さく、代替ルートがすぐ見つかるなど柔軟なネットワーク運用が可能になる。
電力融通開始にあたっては、予約時間が来た時に、取引条件に定められた、小さな電力変化率で融通を開始することにより、電力融通のミスマッチを防ぐことが可能である。また、予約時間が来た時に、再度融通開始信号を送ることが可能である。
これにより、不特定多数の機器に問い合わせをして、電力融通選択肢を広げ、一定のアルゴリズムに電力融通を依頼する電力機器や多端子型非同期連系装置を複数特定して、予約をすることができる。予約をされた電力機器や多端子型非同期連系装置が、応諾の返信をすることによって電力融通が確定する。ここには記述していないが融通開始直前の変更や、融通中の事故などの対応も本請求項の電力融通アルゴリズムの中に含まれる。ルーティングについては、複数の電力融通要求を組み合わせることで電力損失の少なくなるルート選定が望ましい。これら電力融通要求手順に関わる一連の動作は、数日前、数時間前、数分前、数秒前と常に変更可能な状況におけることが望ましい。
また、これにより、電力要求を受信した電力機器または多端子型非同期連系装置は、希望取引条件に対し、対応できるかどうか検討でき、対応できる場合、自身の可能取引条件を伝えることができるような柔軟な取引形態を内包する電力ネットワークシステムとすることができる。記述はしていないが、問題が発生した場合はひとつ前の手順に戻るプロセスを含んでいる。
また、これにより電力融通予約を受信した電力機器または多端子型非同期連系装置は、予約取引条件に対し、再度確認するステップが設けられ、確認後、自身の確定取引条件を伝えることができるような信頼度の高い取引形態を内包する電力ネットワークシステムとすることができる。記述はしていないが、問題が発生した場合はひとつ前の手順に戻るプロセスを含んでいる。
また、これにより、最適な電力融通ルーティングが可能になる電力ネットワークシステムが構築できる。電力融通要求が複数ある場合、基幹電力系統からの融通も含めてどのルートを使うと全体の電力ロスが少なくて済むか、物理的な制約はないか、取引価格情報も含めると膨大な選択肢が生じる。電力ロスを価格情報に含めて経済性を重視し、物理制約条件下での最適化問題を解くことでルーティング問題を解決できる。
(実施例8)
#1電力系統の電力貯蔵装置B1の電池残量SOCが少なくなり、電力系統の自立に支障が出そうであると予測されたとき、
(1)電力貯蔵装置B1の電力機器制御端末装置は自己の通信ポート192.168.1.3を通じて、まず、#1電力系統内の他の電力機器に、融通を打診するため後述する手順で一斉問い合わせ(Broad Casting)を発信する。
(2)対応できる発電装置の返信が電力系統内から得られなかった場合、次にDefault Gatewayである#1電力系統の多端子型非同期連系装置の192.168.1.1のポートに対して、他の電力系統に、対応できる電力機器がないか、電力融通プロファイルをつけて問い合わせを発信する。
(3)#1電力系統の多端子型非同期連系装置は、他の電力系統の多端子型非同期連系装置のGatewayに対してその内容を一斉問い合わせ(Broad Casting)する。
(4)例えば、#4電力系統の多端子型非同期連系装置が系統の状態を見て対応できるときは、192.168.0.11のB接続端子が、自分のIPアドレスと融通電力プロファイルを、#1電力系統の電力貯蔵装置B1の電力機器制御端末装置通信ポート192.168.1.3に返信する。
(5)あるいは#4電力系統の発電装置G4が、電力融通可能であると判断した時は、G4の電力機器制御端末装置のポート192.168.4.2から#1電力系統の電力貯蔵装置B1の電力機器制御端末装置通信ポート192.168.1.3に対応可能な電力融通プロファイルをつけて返信する。
以上のような手順で、#1電力系統の電力貯蔵装置B1に、#4電力系統の発電装置G4が電気を供給する手続きが進められる。これにより、ある電力系統の自立のために必要な電力量を他の電力系統が選択的に供給するという、従来不可能であった電力融通が可能になる。また、同様にして、ある電力系統の自然エネルギー由来の電源が、過分な電力を発生してしまう時、他のたくさんの電力系統内の電力貯蔵装置に分散して吸収してもらうことが可能である。これらにより、電力機器の共有化が促進され、個別に用意するより少ないリソースで目的を達成できるようになる。
(実施例9)
図11は、多端子型非同期連系装置が接続する電力系統が直流の場合の例である。図11では電力系統が太陽光発電装置と電力貯蔵装置一台ずつで表現されているが、この構成が最低限の構成要素で他に図示されていない電力機器が接続されていてもよい。
(1)の部分は、A接続端子が、電力貯蔵装置と太陽光発電装置の直流接続部に直接接続している例であり、ここで作られるDC電圧が電力貯蔵装置の充放電制御を行っている。この場合太陽光発電のV−I最適制御は、効率的に働かない可能性が高いが、電力変換器の数を減らせるので、小規模の電力融通ではこのような接続も可能である。
(2)の部分は、一つのA接続端子に太陽光発電装置が接続され、別のA接続端子に電力貯蔵装置が接続され、他のA接続端子は、風力発電装置や他の交流または直流電力系統に接続されている例である。太陽光発電装置のV−I最適制御や、電力貯蔵装置の充放電制御をA接続端子が代替できる。交流系統に接続する場合は、図示してはいないがA接続端子出口に交流リアクトルまたは変圧器が必要となる。
(3)の部分の例は、A接続端子のうちの一つが直接AC家電機器に電力を提供している例である。図示されていないがこの際はリアクトルまたは変圧器が必要である。
これにより、太陽電池と蓄電池で電力を得ているような小さな直流電力系統または直流需要家が数多くある場合、それらを多端子型非同期連系装置で直流接続することで大きな電力ネットワークシステムにしていくことができる。小さな需要家単独では電池の枯渇や太陽電池の故障などで障害が起きてしまうが、ネットワーク化することで電力機器を共用でき、全体の設備予備率も下げることができ、ネットワークシステムの信頼性を高めることができる。開発途上国などにおいて、村・町などが個別に直流電力系統を持っており連系がないところにおいても使用できる。
直流のネットワーク化は、通常、事故時の遮断電流が大きくなっていくため推奨されない。しかし本発明は、すべての連系線が多端子型非同期連系装置の接続端子と接続しているため、事故時にはゲートブロックをかけることができる。ゲートブロックは高速であり、直流を遮断することができるので、従来直流遮断器なしには構築できなかった直流でのネットワークが構築可能となる。
(実施例10)
日本の電力系統では2,000kWまでは高圧電力系統に区分されている。したがって最大使用電力2,000kW以下からなる、家庭、マンション、アパート、ビル、店舗、スーパー、工場のうちいずれか複数の需要家である電力系統は、電圧階級を高圧とすることができる。市中に見かける高圧受電盤のネットワークや電柱に設置されている柱上変圧器は高圧6.6kVであり、そこから低圧の220V/110Vに降圧されて業務用設備や家庭に供給されている。
自励型の電力変換器として実用的なものは絶縁ゲートバイポーラトランジスタ (IGBT)であり、大容量、高耐圧のものは、高圧電圧系統に使用できる。
高圧電圧階級では、配電線が非常に多く張り巡らされており、本発明の連系電線路として利用できる。従って、地域単位の配電網をひとまとまりの電力系統とし、その大きさを概ね2,000kW以内とすれば、IGBTを使用した多端子型非同期連系装置で非同期連系ネットワークが構築でき、改めて連系電線路を設置する必要が少なくなる。
最大使用電力2,000kW以下では、電圧階級が6.6kV級となる。従ってすでに市中に張り巡らされている6.6kV高圧配電線を、連系電線路として使用することができる。既存の電力ケーブルを流用できるため本発明の電力ネットワークシステムへの移行費用が小さくて済む。
(実施例11)
本発明の多端子型非同期連系装置について図面により説明する。
図12は、多端子型非同期連系装置1の構造を図示したものである。(A)は今までの表現の電力変換器10と断路器9と遮断器8である。ここでは断路器と遮断器を一体型のもので表現しているが、分離型のものもある。(B)はそれをもう少し正確に表現したものである。(B)の電力変換器10は3相のフルブリッジ双方向変換器である。
図13は、さらに詳しく多端子型非同期連系装置1の構造を図示したものである。
10は自励式双方向電力変換器、13は電力線搬送通信端局、16は電圧・電流・電力測定器で,電圧・電流により電力を計算するタイプのものと専用の電力測定器を設置するものとある。また、16には直流母線に設置するものと、交流側に設置するものとがあり、それぞれタイプが異なる。この測定値は電力の取引にも使用することが可能だが、取引用に別途専用の電力計を用意する場合もある。この電力の記録は専用の記録装置161に保存され、電力取引に使用される。
17は直流電圧安定化用キャパシターである。18は、並列型の直流母線である。A接続端子201の構成は、回路を切断できる機械式断路器9と、必要な遮断容量を持つ遮断器8と、自励式双方向電力変換器10からなり、B接続端子202の構成は、回路を切断できる機械式断路器9と、必要な遮断容量を持つ遮断器8とだけでなる。各多端子型非同期連系装置にはA・B接続端子の両方があるものと、A接続端子だけのものと、B接続端子だけのものの3種類がある。
A接続端子のうち、少なくとも一つが、その多端子型非同期連系装置の設置されている電力系統に接続され、その電力系統の電力を直流に順変換したのち、残りのA接続端子が接続先の電力系統の電圧・位相・周波数に同期させて電力を逆変換して送出したり、あるいは逆に複数のA接続端子が電力を順変換して、その電力系統に逆変換して電力を送り込んだりできる。A接続端子間での流入する電力と送出する電力の総和がゼロとなるよう制御することを特徴としている。
共通直流母線18に、電力貯蔵装置や二次電池を接続することは可能であるが、直流母線の入出力電力総和ゼロ制御に、電力貯蔵装置や二次電池の充放電制御を組み込む必要が生じる。電力貯蔵装置や二次電池はA接続端子の接続先側に置き、A接続端子の変換器制御で充放電を行う方が望ましい。
B接続端子は、連系電線路を介して接続される先の電力系統に設置される、別の多端子型非同期連系装置のA接続端子と対をなす接続端子である。
一つの電力系統電力母線に、多端子型非同期連系装置の複数のA接続端子が接続する方法は、容量増大の簡単な方法の一つとして、可能である。また、一つの電力系統に複数の多端子型非同期連系装置が接続することも、可能であり、接続先を増やすのに有効な手法である。
A接続端子の自励式電力変換器の順変換側は直流母線で並列接続され、電圧維持のためのコンデンサーを有しており、同電力変換器の逆変換側は接続先が交流電力系統の場合は交流リアクトルもしくは交流変圧器と必要な交流フィルターを有し、接続先が直流電力系統の場合は平滑用コンデンサーを有する。
図14は、接続する電力系統が増えたときの連系装置の数をイメージしたものである。
(A)ではBTB型連系装置の数が、1/2・N・(N−1)台必要になるが、(B)ではN台でよい。このように、本発明の多端子型非同期連系装置を用いた電力融通は、BTB型連系装置やループコントローラに比べて、必要機器数の低減、制御の容易さ、設備投資の低減などにつながるという特徴を有する。
図15は、複数の電力系統を本発明の多端子型非同期連系装置で接続した場合、従来型のBTB型連系装置で接続した場合に比べ、電力変換の回数が少なくて済み電力損失が減ることを示したものである。
図15では、4つのノードa,b,c,d間でノードdからノードcへ電力を送る際に、ノードaを経由する2つのケースを比較している。(A)では、BTB型変換器を各リンクに設置したケースを示す。この場合、da間で交直変換、直交変換を行い、ac間でも交直変換、直交変換を行うため、計4回の電力変換となる。損失もこれに比例する。
一方(B)では、本発明の多端子型非同期連系装置を設置したケースを示す。この場合、da間で1回、ac間で1回の計2回の電力変換となる。電力損失も半分となる。変換器の数も、(A)では12個あるのに対し(B)では9個である。装置の数としては(A)では6台となるが、(B)では4台である。
このように、本発明の多端子型非同期連系装置は、BTB型連系装置に比べ電力損失面からも設備台数面からも優位性を持っている。
これにより任意の二つの電力系統を接続するどの連系電線路も途中に分岐がなく、連系電線路のどちらか一端に前記多端子型非同期連系装置のA接続端子を有し、他端にB接続端子を有する電力系統間非同期連系ネットワークシステムが構築できる。したがって従来のBTB型連系装置に比べて必要な電力変換器の数が減り、電力融通時の変換回数も半分になる。
また、複数のBTB型連系装置間での協調制御は、設置時期やメーカーが異なる中での制御協調になり、複雑になるが、本発明の多端子型非同期連系装置は、一体型であるためA接続端子間の協調制御のみならずB接続端子の操作制御まで含めて総合的に制御可能となる。
また、これにより、接続端子が複数の交流もしくは直流電力系統と接続し、相互に電力を融通することができる。BTBやループコントローラでは、1対1の電力融通であったが、本発明は、1対Nや、N対Nの電力融通が可能になる。
自励式電力変換器の採用により、系統連系モードの場合、電力と位相を独立に制御できるため、任意の有効電力を任意の方向に送れるとともに、独立して任意の無効電力を任意の大きさで発生できるので、電圧の制御も可能となる。また、自励式のため、接続先電力系統が無電圧になった場合、自立モードで電力を供給することができる。
一体型構造をとることにより、直流母線部は閉鎖されたキュービクルに密閉されるため、接地や短絡の事故の確率を極小化できる。
B接続端子も一体化することにより、遮断器・断路器の開閉制御も自動化でき、必要な電力情報を得ることができる。これにより電力ネットワークシステムの一体制御が可能になる。
(実施例12)
図示していないが、事故時保護システムとして、以下のようなものを持ち、必要最小限の回路の遮断を行うことによって、最大限の電力融通ルートを確保する電力融通ルート保護回路を有する。これにより、ゲートブロックだけで異常が復旧する場合に不要な遮断を行わずに済む。また、過電流になった接続端子だけを切り離し、他の接続端子で電力融通を継続することが可能である。過電流になった接続端子も、復旧次第、運転再開が可能なシステムとなっている。
(1)接続端子過電流保護回路:各接続端子において個々の設定電流以上に電流が流れた時に、A接続端子においてはゲートブロックと遮断器開操作、B接続端子においては遮断器開操作を行う接続端子保護回路。
(2)直流母線保護回路:各A接続端子の直流部に直流電流計を設置し全端子電流総和がゼロでなくなった時に、時限を以て全電力変換器のゲートブロックを行う電力変換器直流母線保護回路。
(3)連系装置保護回路:電力系統の接続する各接続端子受電部に電力計を設置し全端子電力総和がゼロでなくなった時に、時限を以て接続端子全遮断器を開操作する連系装置保護回路。
接続端子過電流保護回路は、接続端子に設定電流値以上の電流が流れた時に、A接続端子においては電力変換器のゲートブロックと遮断器の遮断操作、B接続端子においては遮断器の遮断操作を行。これにより、各端子過電流保護が行えるので基本的な保護を満足する。
直流母線保護回路は、各A接続端子の直流部に設置された直流電流計の直流電流総和がゼロでなくなった時に、時限を以て全電力変換器のゲートブロックを行い、復旧しないときには全遮断器の遮断操作を行う。A接続端子直流部共通母線はキュービクル内にあり接地事故や短絡事故の可能性は小さいが、この保護により信頼度が高まる。
連系装置保護回路は、電力系統の接続する各接続端子受電部側に設置された電力計の電力総和がゼロでなくなった時に、時限を以て接続端子全遮断器の遮断操作を行う。多端子型非同期連系装置の内部で事故が起こった場合を想定しており、遮断器より動作の速いゲートブロックにより事故の拡大を最小限に収めることができる。
これらの保護の順番を定めておくことで、事故時切り分け回路を最小限にすることができ、停止回路部分を最小にしたまま、残りの部分の多端子型非同期連系装置を機能させ、電力融通ルートを確保することができる
(実施例13)
図示していないが、機器操作システムとして、各A接続端子同期投入時に断路器を閉じ操作し、接続先の電圧・周波数・位相を測定し、接続先が電圧を有するときは、電力変換器の電圧・周波数・位相を同期させてから遮断器を閉じる並列同期投入操作(系統連系運転モード)を行い、接続先が無電圧の時には、接続先定格に準拠した電圧・周波数を前記電力変換器で作成してから、遮断器を閉じ、接続先に電源を供給する自立運転投入操作回路(自立運転モード)を行う機器操作システムを備えている。
機器操作システムは、各接続端子の接続先に、未だ接続がなされていないときに接続端子の断路器と遮断器を閉じる操作を行い、電力供給を開始するものである。同様に停止の際は、必要に応じ遮断器を開き、次いで断路器を開いて接続を切り離すものである。
並列同期投入操作は、各A接続端子同期投入時に断路器を閉じ操作し、接続先の電圧・周波数・位相を測定し、接続先が電圧を有するときは、前記電力変換器の電圧・周波数・位相を同期させてから遮断器を閉じる並列同期投入操作(系統連系運転モード)を行う。これにより、接続先の系統に連系させ、電流制御を行う系統連系運転モードが可能になる。系統連系運転モードでは力率1の電力のみならず、位相をずらして力率を変化させ、無効電力を供給することによって、電圧を制御することも可能となる。
自立運転投入操作は、接続先が無電圧の時には、接続先定格に準拠した電圧・周波数を前記電力変換器で作成してから、遮断器を閉じ、接続先に電源を供給する自立運転投入操作回路(自立運転モード)を行う。これにより、接続先電力系統の非常用電源回路などへの電力供給を行って、再起動に資することが可能となる。
(実施例14)
電力制御システムとして、各A接続端子の直流電圧・交流電圧・有効電力・無効電力・電流・位相同期・PWMゲート制御からなる端子制御システムと、起動・停止・各接続端子受送電電力設定ならびに全電力協調制御からなる共通制御システムと、からなる電力制御システムを備えていることを特徴としている。
この多端子型非同期連系装置の各端子は異なる容量でもかまわない。同一容量であればより効率的であり経済的である。なぜならA接続端子の内の一つが送る電力がその他のA接続端子のうち一つだけに集中するときが、その他のA接続端子の最大容量になるからである。電力の送受については全端子に等しく電力を分配したり、異なる電力を配分したり、連系電線路の使用状況を見ながらタイムシェアリングして間欠的に送ることもできる。
端子制御システムは、各A接続端子の直流電圧・交流電圧・有効電力・無効電力・電流・位相同期・PWMゲート制御からなり、各A接続端子の電力変換器のPWMゲートのスイッチングを制御することにより、任意の順変換側直流電圧および逆変換側交流電圧・周波数・位相を作り出すことができる。逆変換は直流を作ることも可能である。
協調制御システムは、各端子に関わる起動制御・停止制御・各接続端子受送電電力設定等が可能になり、全電力総和ゼロ協調制御も可能となる。各接続端子を起動停止し、運転電力を指示し、全端子間で協調制御を行うことができる。
(実施例15)
電力取引システムとして、各A接続端子の電力計16の値と電力融通プロファイルデータとを電力量の取引に使用できるように記録する電力取引用記録装置161を備えていることを特徴としている。
これにより、電力融通を行った結果発生する電力料金精算に関わる基礎データが蓄積される。これらのデータは定期的にバックアップされ、さらに二重化される。電力取引について必要なデータについては、個別に定められるが、設置記録計は取引用の法規に準拠したものでなければならない。電力量計がA接続端子の順変換側に設置されることを特徴とするものと逆変換側に設置されることを特徴とするものとがある。
(実施例16)
図16は多端子型非同期連系装置内の通信システムを図示したものである。
この図では、電力線搬送通信端局が外部データ通信のポートになっているが、もちろん光ケーブルや同軸ケーブルの通信端局でも同じ仕組みとなる。通信端局から得られた情報はデータターミナルエンド(DTE)に伝えられ、CPUで処理される。
通信端局の一つは、電力系統内の通信システムと接続しており、LAN内の電力機器制御端末装置にIPアドレスを割り当てる。そのLAN内に多端子型非同期連系装置が複数ある時は、その中で順位づけをして、いずれか一台が親機になってIPアドレス割り当てを行う。親機の多端子型非同期連系装置は、電力機器制御端末装置のMACアドレス、IPアドレスを把握するアドレステーブルを持ち、子機とも共有する。多端子型非同期連系装置の他の接続端子に設置された通信端局は、WAN内の他の多端子型非同期連系装置と通信してルーティングテーブルを作成し、それをメモリ内に保存する。
これにより多端子型非同期連系装置とその接続端子が一つずつ、唯一無二のIPアドレスを持ち、外部と通信し、アドレスサーバーの役割を果たすための記憶装置やルーティングアルゴリズムの演算を行うCPUやメモリ等の基本的デバイスを有することができる。
また、これにより、電力を流す連系電線路そのものが通信線路となるため、電力融通が可能なルートかどうかを自動的に確認することができる。通信が出来ないルートは自動的にルーティングアルゴリズムから除外されるので無駄な確認手順が不要となる。
(実施例17)
図17は電力機器制御端末装置内の通信システムを図示したものである。
電力系統内の電力機器制御端末装置は、自分のMACアドレスとIPアドレス、さらにLANの外に出るときの通信ポートにあたるDefault GatewayのIPアドレスの情報を持っている。これは通常、多端子型非同期連系装置の自分の電力系統に接続しているA接続端子のIPアドレスにあたる。
この図では、電力線搬送通信端局が外部データ通信のポートになっているが、もちろん光ケーブルや同軸ケーブルの通信端局でも同じ仕組みとなる。通信端局から得られた情報はデータターミナルエンド(DTE)に伝えられ、CPUで処理される。
また、LAN内の他の電力機器に対して通信を行うためのアドレステーブルを持ち、それを他の電力線搬送通信端局と共有し、常に最新の状態に保っている。これにより、LAN内の電力機器が、他の電力機器と通信を行う際に、どのアドレスに信号を出すかがわかる。
これにより太陽光発電・風力発電等の比較的変動の激しい電源の発電量を測定して外部通信回路を通じて情報を出したり、ディーゼル発電機やガスエンジン発電機等出力調整が容易な発電機に出力増減指令を伝えて制御したり、電力貯蔵装置の充電量(State of charge:SOC)の情報を出したり、充放電量を制御したり、電力消費をする電力機器の情報を外部に出したりすることができる。
電力機器のアルゴリズムによっては電力融通に関わる情報を、予測し前もって融通予約を行うことも可能である。また、その時点の情報をもって一定時間後の電力融通予約をしておくことも電力系統自立に有効な手段となる。電力系統の特徴ごとに様々なアルゴリズムが考えられるが、一般的には電力貯蔵装置のSOCを50%前後に維持し、太陽光発電や風力発電の出力増加が予想されるときにはその出力を吸収するために50%より低めに、出力減少が予想されるときには電池より出力するために50%より高めに維持しておく予測制御が好適である。
また、これにより電力機器制御端末装置が一つずつ、唯一無二のIPアドレスを持ち、外部と通信し、アドレステーブルの記憶装置や電力融通依頼・受諾関連の演算を行うCPUやメモリ等の基本的デバイスを有することができる。
また、これにより、電力を流す配電網そのものが通信線路となるため、電力融通が可能なルートかどうかを自動的に確認することができる。通信が出来ないルートは自動的にルーティングアルゴリズムから除外されるので無駄な確認手順が不要となる。電力系統内には、電力線搬送通信に適さない変圧器や遮断器・断路器・コンデンサー・リアクトル等がある上、接続されている他の機器のインピーダンスによっては通信信号の減衰が大きいため、部分的にバイパスを設けたり、増幅器を必要としたりする可能性がある。
(実施例18)
本発明の電力融通方法は、前記電力ネットワークシステムにおいて、第一の電力融通要求段階における電力融通要求元の発信するIPパケットは、少なくとも、発信元IPアドレス・マルチキャストIPアドレス・希望取引条件の情報を含むことを特徴とし、電力融通応答先が応信するIPパケットは、少なくとも、応信元IPアドレス・返信先IPアドレス・可能取引条件の情報を含むことを特徴とするものである。
ここでいう希望取引条件とは、希望融通有効電力方向と大きさ・希望融通無効電力方向と大きさ・希望融通開始時間・希望融通終了時間・希望融通価格上限・希望融通価格下限・融通電力発生源の希望属性からなり、可能取引条件とは、可能融通有効電力方向と大きさ・可能融通無効電力方向と大きさ・可能融通開始時間・可能融通終了時間・可能融通価格・可能融通電力発生源の属性、からなることを特徴とする。
第二の電力融通要求段階における電力融通要求元の発信するIPパケットは、少なくとも、発信元IPアドレス・受取先IPアドレス・予約取引条件の情報を含むことを特徴とし、電力融通応答先が応信するIPパケットは、応信元IPアドレス・返信先IPアドレス・予約確定条件の情報を含むことを特徴とするものである。
ここでいう予約取引条件とは、予約番号・予約融通有効電力方向と大きさ・予約融通無効電力方向と大きさ・予約融通開始時間・予約融通終了時間・予約融通価格・予約融通電力発生源の属性からなり、予約確定条件とは、予約確定番号・予約確定融通有効電力方向と大きさ・予約確定融通可能無効電力方向と大きさ・予約確定融通開始時間・予約確定融通終了時間・予約確定融通価格・予約確定融通電力発生源の属性からなることを特徴とする。
ルーティングアルゴリズムは、電力融通相手先と電力融通プロファイルが決定したのち、(1)ルーティング経路の複数選定段階、(2)ルーティングプロファイル収集段階、(3)電力融通ルート選定段階、(4)ルーティング予約段階、(5)ルーティング確定段階、(6)電力融通実施の監視段階、(7)異常事態における緊急ルーティング方法を有することを特徴とする。
以上の流れを図5または図6により、模式的に説明する。
この図では#1電力系統内に設置されている電力機器1に対して#2電力系統内に設置されている電力機器2が電力融通を依頼する場合以下のような手順で実施される。
(1) 電力機器2の制御端末装置のIPアドレスが、仮にIP001とした場合、LAN内で、電力を融通してくれる電力機器があるかをLANに問い合わせる。
(2) LAN内に対応できる電力機器がない場合、#2電力系統に設置された多端子型非同期連系装置のB接続端子(IP002)を経由してWANに、問い合わせが転送される。
(3) WAN内で、一斉問い合わせを行い、WANに接続されている多端子型非同期連系装置の接続端子は、それぞれのLANに問い合わせを行う。
(4) その結果#1電力系統の電力機器1が対応することになった場合、IP001からIP005に対する電力融通予約がなされる。
(5) 次に、ルーティングプロトコルにしたがい複数のルートが選定される。図中には一つのルートしか示されていないが、通常複数ルートを使用する。
(6) 図では、IP001からIP002、IP003、IP004、IP005のルートを通じて電力機器1に到達することがわかり、このルーティングが記録される。
(7) 予約時間が来ると、IP002,IP003,IP004の遮断器は閉じ、対応する電力変換器が電力を移動させる。
(8) 同時に、IP001とIP005の電力機器制御端末装置も電力制御を開始し、その結果、IP001からIP005に電力が融通される。
(実施例19)
本実施例では、請求項27から請求項31に関わる実施例の別形態を図18に基づいて説明する。
(1)の例は、同じ電力系統内で、電力融通が行われる例である。これは、LAN内での通信で目的が達成できる。電力系統内で、風力発電機が発生した電力を電力貯蔵装置が充電に使用したり、需要の不足分を電力貯蔵装置が補ったりなど多くのケースがある。この場合も予約手続きで対応される。この手続きに必要な時間は、通信速度によるが数十ミリセカンド以内であるので、リアルタイム応答に近いレスポンスが得られる。
(2)の例は、多端子型非同期連系装置が、電力系統内に電力融通の問い合わせを行うケースである。この場合は、WAN側からの要請の場合もLAN側からの要請の場合も含め、要請してきた機器を特定させずに、多端子型非同期連系装置として需要をとりまとめている。
(3)の例は、多端子型非同期連系装置同士で、経由するものも含めて電力融通を行う例である。自らの電力系統の需給を予測して、多端子型非同期連系装置が自ら判断して需給予約を行うケースである。
(4)の例は、発信元の電力機器が特定されるが、対応する相手が電力系統であって特定の電力機器でない場合である。需給バランスに余裕のある電力系統が、複数で発信元の電力機器に対して電力融通を行うケースにあたる。たとえば、急激な風力発電電力の増加を周辺電力系統で吸収する場合や、残量が少なくなった電力貯蔵装置を周辺の電力系統が協力して充電する場合などがある。
(5)の例は、発信元の電力機器が、他電力系統の電力機器を特定して電力を融通し合うケースである。これにより需要家が任意の発電ソースの電力を購入するなどの概念が具体化する。
これにより柔軟な電力融通方法を実施する手順が構築できる。
第一の電力融通要求段階で電力融通要求元は、まず電力系統内の他のすべての電力機器に対し、発信元IPアドレス・マルチキャストIPアドレス・希望取引条件の情報を含んだIPパケットを発信する。受信した電力機器は電力融通要求に応えられる場合のみ返信をする。応信するIPパケットは、少なくとも、応信元IPアドレス・返信先IPアドレス・可能取引条件の情報を含むことを特徴とする。同一の電力系統内にこたえられる電力機器がない場合や最初から他の電力系統に融通を依頼する場合は、第一の電力融通要求段階で、他のすべての多端子型非同期連系装置に対して同様の手順を実施する。
これにより、電力融通の取引を有効・無効電力の大きさ、方向、時間、価格、電力発生源を含めて不特定多数の相手に条件を打診し、それを受け取った側で条件が折り合えば可能な条件を盛り込んで返信を送ることで電力融通の候補が定めることができる。
また、これにより信頼性の高い電力融通方法を実施する手順が構築できる。
応信を受けた電力機器もしくは多端子型非同期連系装置は、取引条件などを勘案して、予約を行うかどうか決定する。交渉が必要な場合はこのステップが何度か繰り返されることもある。確定したところで予約取引条件を含んだIPパケットを発信し、相手先はそれに対して予約が確定した旨の条件を含んだIPパケットを返信する。これにより一連の電力融通予約手順は終了し、予約時間が来た時に実行される。
これにより、候補者の中から条件の折り合うものを選んで、電力融通の予約を、有効・無効電力の大きさ、方向、時間、価格、電力発生源を含めて予約を申し入れ、それを受け取った側で状況の変化などを含めて問題なければ予約確定の返信を上記の条件付きで送ることで電力融通の予約が確定する。
実用上は、予約番番号、電力の融通開始時の出力上昇率、融通停止時の出力減少率、時間などの情報が含まれていることが、スムーズな電力融通を行う上で望ましい。
電力融通プロファイルにおいて、電力の大きさの変化が複雑な時もこれを電力パケット化して単純なやりとりとすることが可能である。たとえば毎正時ごとに1時間分1kWHを1電力パケットとして扱い、その個数と開始時間のみを情報化するとか、1電力パケットの単価を毎月あらかじめ定めて置くなどの方法で、情報を簡略化し、予約プロセスを簡略化することが可能である。
(実施例20)
図10の上部に示した(A)の融通電力は、その前および後、あるいはいずれか一方に、発信元IPアドレス・受取先IPアドレス・取引条件の情報を含むIPパケットを有している。これは、図中ではヘッダー情報とフッター情報と表現しているが同じものである。電力線搬送通信の場合であれば、デジタル信号をデジタル送電電力の前または後、あるいは前後に付け、電力の発信元と送付先および送電条件を付加したタグ付きデジタル電力として送電することができる。
このヘッダー情報とフッター情報は、電力変換器のPWM信号を信号源とすることができる。この場合、適切な交流フィルターバイパスを用いれば、電力変換器そのもので通信信号を作り出すこともできる。またDSPまたは、CPUの信号を直接電力線搬送信号生成装置の入力とすることもできる。
この情報を用いれば電力を識別して管理することができ、電力融通が容易になる。電力貯蔵装置のおかげで電力融通の同時性は厳しくないため、融通電力をパケットに分割して別ルートで送電するなどの運用も可能になる。連系電線路の容量が足りないケースが発生した時は、融通電力をいくつかに分割して別な連系電線ルートに迂回するなどのおようが可能となる。
連系電線路ルートのタイムシェアリング運用など多彩な電力運用を行うことを可能にし、電力融通の記録も正確にすることができる。電力線搬送通信を用いて、送電電力の前後、あるいはいずれか一か所につけられたIP情報は、予約情報との照合、電力授受の記録、ルート変更の記録、緊急融通等電力取引の記録に使用できる。
電力線搬送通信の場合のヘッダー情報とフッター情報信号送出タイミングとして、電力変換器を数サイクル停止してその間に送出することにより、電力変換器由来のノイズを低減し、情報の信頼性を高めることができる。
これにより、融通する電力にIPによるタグをつけることができる。前記電力ネットワークシステムにおいて、デジタルシグナルプロセッサ(DSP)または、中央演算処理装置(CPU)はPWM信号やIP信号により、電力のみならず、情報も作り出せる。IPタグは、 発生する電力の直前に発信され、受取先の多端子型非同期連系装置または、電力機器制御端末装置の電力制御を開始させることができる。同様に発生した電力の最後に発信され、受取先の多端子型非同期連系装置または、電力機器制御端末装置の電力制御を終了させることができる。
これにより、時間だけで制御した場合に生じうる、送り手と受け手のミスマッチを解消し、電圧上昇や周波数上昇などの不具合を防ぐことができる。外部データ通信網を使う場合でも可能であるが、電力線搬送で情報と電力を送る場合は同じルートを使うので時間差がなくなり、好適である。これにより、電力を識別することが可能になる。
(実施例21)
電力系統内サーバーまたは多端子型非同期連系装置内に設置された記憶装置と中央演算処理装置を用い、相互に情報を交換することによって、これらの電力融通方法を実行する電力融通制御プログラムを保存し、実行させることができる。
電力融通制御プログラムは、IPアドレスの付与やアドレステーブル、ルーティングテーブルなどと密接に関係しているので、それらと同じ場所に格納して置くことにより、情報を最新のものに維持することができる。
これにより、上述した複雑な電力融通手順を計算機の中に記憶させ、自動的に電力融通を行うことができるようになる。また、本手順は多端子型非同期連系装置のいずれもが実施できるようにプログラムを共有し分散処理することもできる。
(実施例22)
図19は、多端子型電力変換のシミュレーションをMatLab−Simulink−SimPowerSystemsを利用して実施したものである。簡単のために順変換器側を省略し、DC電源で代用した。逆変換器側は単相PWMインバータの並列回路にし、3回路のものを作成した。
DC母線側はDC±400Vの電池で代用した。2つの電池間に接地を取り、各々のインバータレグの中間を1オームの抵抗と5mHのリアクトルで直列接続し、抵抗部に発生する電圧を観測した。PWMインバータの内部抵抗は1ミリオームでスナバー抵抗は0.01ミリオームとした。
単相PWMインバータを3回路並列にし、それぞれ周波数50Hzで位相0度、周波数51Hzで位相60度、周波数49Hzで位相−30度という制御信号を与えた。その結果、正常に動作し、それぞれ振幅AC350Vで、周波数50Hzで位相0度、周波数51Hzで位相60度、周波数49Hzで位相−30度の交流出力を得た。
図示してはいないが単相PWMインバータを3回路並列にし、それぞれ周波数50Hzで位相0度、周波数30Hzで位相50度、周波数0Hz(すなわち直流)という制御信号を与えた。その結果、正常に動作し、それぞれ自在な周波数と位相、さらに直流も作成できることがシミュレーションできた。
再生可能エネルギー電源を系統に導入する際に自立した電力系統を構成するので、電力系統側に与える変動が小さくなり、再生可能エネルギー導入促進インセンティブが働く。
また、開発途上国などでの小規模電力系統を接続して大規模ネットワーク化する際にも有効な選択肢となる。
1 多端子型非同期連系装置
3 電力系統
4 電力機器単独系統
5 基幹電力系統
6 電力母線
7 連系電線路
8 遮断器
9 断路器
10 双方向電力変換器
11 電力線搬送バイパス付変圧器
12 電力機器制御端末装置
13 電力線搬送通信端局
14 IPアドレス
15 BTB型電力変換器
16 電圧・電流・電力測定器
17 キャパシター
18 共通直流母線
19 リアクトル
20 電力系統ノード
21 電力系統リンク
61 発電装置
62 電力貯蔵装置
101 運転状態双方向電力変換器
102 停止状態双方向電力変換器
161 電力取引用記録装置
201 A接続端子
202 B接続端子
203 共通直流母線

Claims (17)

  1. 双方向に電力変換する複数の自励式電力変換器と、
    前記自励式電力変換器を通過する電圧・電流を測定する電圧・電流測定器と
    前記自励式電力変換器の一方の端子同士を並列に接続する電力母線と、
    前記各自励式電力変換器を識別する識別子、電力の送受信の開始を示すヘッダ、前記電力の送受信の終了を示すフッタおよび送受信する電力の電力融通プロファイルを有する電力変換情報を送受信するデータターミナルエンドと、
    前記データターミナルエンドで受信した前記電力変換情報に基づき、前記電力を送受信するように前記識別子に対応する前記自励式電力変換器を制御する電力制御システム電力制御システムであって、前記電力変換情報を記憶する記憶装置を有する、電力制御システムと、
    を備え、前記電力制御システムは、前記電圧・電流測定器で測定された測定値に基づき電圧・電流を算出し、前記電力母線に流入する電力と前記電力母線から送出する電力との総和がゼロとなるよう複数の前記自励式電力変換器を協調して制御し、前記自励式電力変換器の他方の端子が接続された接続先との間で非同期に電力融通するように前記自励式電力変換器を制御することを特徴とする多端子型非同期連系装置
  2. 前記電力融通プロファイルは、前記各自励式電力変換器における、電力変換方向、および電力変換する電力量であり、
    前記電力制御システムは、前記識別子に対応する前記自励式電力変換器が前記開始時刻から前記終了時間の間、前記電力変換方向に前記電力変換量の電力変換を行うように、前記自励式電力変換器を制御することを特徴とする請求項1に記載の多端子型非同期連系装置
  3. 前記データターミナルエンドは、多端子型非同期連系装置間を接続する電線路または(外部)データ通信網を介して前記電力変換情報を送受信することを特徴とする請求項1に記載の多端子型非同期連系装置
  4. 前記電力母線に接続された電力貯蔵装置をさらに備えたことを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の多端子型非同期連系装置
  5. 前記自励式電力変換器は、前記接続先と接続された他方の端子の電圧を測定し、前記電力制御システムは、前記接続先と接続された他方の端子が交流電圧を有するときは、前記自励式電力変換器で変換する電力を、電流・電圧・周波数・位相のうち少なくとも1つに関して前記接続先と接続された他方の端子の接続先と任意の差を持たせて同期させるよう前記自励式電力変換器に司令することにより、前記自励式電力変換器と前記接続先との間で任意の有効電力又は無効電力の授受を行なわせることを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載の多端子型非同期連系装置
  6. 前記電力制御システムは、前記電力変換開始時刻から前記電力変換終了時刻の電力変換期間が重複する複数の前記電力変換情報を受信した場合、前記電力変換方向が同じ前記電力量は加算し、前記電力変換方向が逆の前記電力量は減算するよう前記電力量を積算した結果に基づき前記自励式電力変換器を制御することを特徴とする請求項1乃至5のいずれかに記載の多端子型非同期連系装置
  7. 前記記憶装置は、前記電力変換情報の内、実施するか否かを決定するための取引成立条件が記憶されており、
    前記電力制御システムは、前記受信した前記電力変換情報の内、前記取引成立条件に適合した前記電力変換情報の送信元に取引成立を示す情報を送信し、前記取引成立条件に適合した前記電力変換情報のみに基づき前記自励式電力変換器を制御することを特徴とする請求項1乃至5のいずれかに記載の多端子型非同期連系装置
  8. 前記電力変換情報は、価格および電力発生源の少なくとも一方についての情報を含むことを特徴とする請求項7に記載の多端子型非同期連系装置
  9. 複数の請求項1乃至のいずれかに記載の多端子型非同期連系装置と、
    前記多端子型非同期連系装置から受信した電力融通要求および前記電力融通要求を受け入れるか否かを決定するための前記多端子型非同期連系装置毎の取引成立条件に基づき前記電力変換情報を生成し、前記多端子型非同期連系装置に前記電力変換情報を送信する電力融通制御サーバと、
    を備えたことを特徴とする電力ネットワークシステム。
  10. 前記電力融通制御サーバは、前記電力変換開始時刻から前記電力変換終了時刻の電力変換期間が重複する複数の前記電力変換情報を受信した場合、前記電力変換方向が同じ前記電力量は加算し、前記電力変換方向が逆の前記電力量は減算するよう前記電力量を積算した結果に基づき前記電力変換情報を生成することを特徴とする請求項に記載の電力ネットワークシステム。
  11. 前記電力融通制御サーバは、前記多端子型非同期連系装置間を接続する電線路の容量情報を予め記憶しており、前記電線路の容量情報に基づき電力融通の取引が成立した前記多端子型非同期連系装置間の送電ルートの電線路の容量が不足すると判断される場合、電線路の容量を超えないように複数の前記自励式電力変換器から複数の送電ルートで送電するよう前記電力変換情報を生成することを特徴とする請求項9又は10に記載の電力ネットワークシステム。
  12. 前記電力融通制御サーバは、前記多端子型非同期連系装置毎の前記電力変換情報を記録することを特徴とする請求項9乃至11のいずれかに記載の電力ネットワークシステム。
  13. 前記電力融通制御サーバは、前記多端子型非同期連系装置間を接続する電線路の損失情報を予め記憶しており、前記電線路の損失情報に基づき電力融通の取引が成立した前記多端子型非同期連系装置間の送電ルートで発生する電力損失を算出して前記電力変換情報と関連付けて記録することを特徴とする請求項10に記載の電力ネットワークシステム。
  14. 請求項1乃至5のいずれかに記載の多端子型非同期連系装置間で電力を融通する電力ネットワークシステムの制御方法であって、
    第1の多端子型非同期連系装置が、受信した第1の電力変換情報に基づき、第1の電力開始時刻から第1の終了時刻の間、前記第1の多端子型非同期連系装置電力母線から第1の識別子に対応する第1の自励式電力変換器が接続された第1の電線路に第1の電力量の電力変換を行うステップと、
    第2の多端子型非同期連系装置が、受信した第2の電力変換情報に基づき、前記第1の電力開始時刻から前記第1の終了時刻の間、第2の識別子に対応する第2の自励式電力変換器が接続された第2の電線路から前記第2の多端子型非同期連系装置電力母線に前記第1の電力量の電力変換を行うステップと、
    を有することを特徴とする電力ネットワークシステムの制御方法。
  15. 電力融通制御サーバが、受信した電力融通要求および前記電力融通要求を受け入れるか否かを決定するための前記多端子型非同期連系装置毎の取引成立条件に基づき、第1の多端子型非同期連系装置と第2の多端子型非同期連系装置との間で第1の電力開始時刻から第1の終了時刻の間に第1の電力量の電力融通の取引が成立した場合、前記電力融通制御サーバが前記第1および第2の多端子型非同期連系装置の前記各電力変換情報を生成するステップと、
    前記第1および第2の多端子型非同期連系装置に前記各電力変換情報を送信するステップと、
    をさらに有することを特徴とする請求項14に記載の電力ネットワークシステムの制御方法。
  16. 前記各電力変換情報を生成するステップは、前記電力変換開始時刻から前記電力変換終了時刻の電力変換期間が重複する複数の前記電力変換情報を受信した場合、前記電力変換方向が同じ前記電力量は加算し、前記電力変換方向が逆の前記電力量は減算するよう前記電力量を積算した結果に基づき前記電力変換情報を生成することを特徴とする請求項15に記載の電力ネットワークシステムの制御方法。
  17. 前記各電力変換情報を生成するステップは、前記電力融通制御サーバが、予め記憶された前記多端子型非同期連系装置間を接続する電線路の容量情報に基づき、前記第1の電線路の容量が不足すると判断した場合、電線路の容量を超えないように融通電力を分割して前記第1の電線路に加えて第2の電線路を介して送電するよう前記電力変換情報を生成し、
    前記第1の多端子型非同期連系装置が電力変換を行うステップは、第1の自励式電力変換器に加えて第3の自励式電力変換器を用いて、前記電力母線から前記第1の電線路と第3の電線路とに前記第1の電力量を分割して電力変換を行い、
    前記第2の多端子型非同期連系装置が電力変換を行うステップは、第2の自励式電力変換器に加えて第4の自励式電力変換器を用いて、前記第2の電線路と第4の電線路とから前記電力母線に前記第1の電力量を分割して電力変換を行うことを特徴とする請求項15又は16に記載の電力ネットワークシステムの制御方法。
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