JPWO2018155115A1 - 変形測定方法、変形測定装置、及びそのプログラム - Google Patents

変形測定方法、変形測定装置、及びそのプログラム Download PDF

Info

Publication number
JPWO2018155115A1
JPWO2018155115A1 JP2019501174A JP2019501174A JPWO2018155115A1 JP WO2018155115 A1 JPWO2018155115 A1 JP WO2018155115A1 JP 2019501174 A JP2019501174 A JP 2019501174A JP 2019501174 A JP2019501174 A JP 2019501174A JP WO2018155115 A1 JPWO2018155115 A1 JP WO2018155115A1
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
sample
load
applying
strain
phase
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Granted
Application number
JP2019501174A
Other languages
English (en)
Other versions
JP6753592B2 (ja
Inventor
慶華 王
志遠 李
浩 津田
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
National Institute of Advanced Industrial Science and Technology AIST
Original Assignee
National Institute of Advanced Industrial Science and Technology AIST
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by National Institute of Advanced Industrial Science and Technology AIST filed Critical National Institute of Advanced Industrial Science and Technology AIST
Publication of JPWO2018155115A1 publication Critical patent/JPWO2018155115A1/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP6753592B2 publication Critical patent/JP6753592B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Classifications

    • GPHYSICS
    • G01MEASURING; TESTING
    • G01BMEASURING LENGTH, THICKNESS OR SIMILAR LINEAR DIMENSIONS; MEASURING ANGLES; MEASURING AREAS; MEASURING IRREGULARITIES OF SURFACES OR CONTOURS
    • G01B11/00Measuring arrangements characterised by the use of optical techniques
    • G01B11/16Measuring arrangements characterised by the use of optical techniques for measuring the deformation in a solid, e.g. optical strain gauge
    • GPHYSICS
    • G01MEASURING; TESTING
    • G01BMEASURING LENGTH, THICKNESS OR SIMILAR LINEAR DIMENSIONS; MEASURING ANGLES; MEASURING AREAS; MEASURING IRREGULARITIES OF SURFACES OR CONTOURS
    • G01B11/00Measuring arrangements characterised by the use of optical techniques
    • G01B11/24Measuring arrangements characterised by the use of optical techniques for measuring contours or curvatures
    • G01B11/25Measuring arrangements characterised by the use of optical techniques for measuring contours or curvatures by projecting a pattern, e.g. one or more lines, moiré fringes on the object
    • GPHYSICS
    • G01MEASURING; TESTING
    • G01LMEASURING FORCE, STRESS, TORQUE, WORK, MECHANICAL POWER, MECHANICAL EFFICIENCY, OR FLUID PRESSURE
    • G01L1/00Measuring force or stress, in general

Abstract

試料に負荷を印加したときに当該試料に生じる変形を測定するための変形測定方法であって、試料の表面に存在する周期的パターンの画像を、前記試料へ当該試料作成後最初に負荷を印加する前後において画像記録手段によって記録し、記録した各前記周期的パターンの画像に基づいてモアレ縞を生成し、前記試料に最初に負荷を印加する前の前記モアレ縞の位相を計算し、前記試料に負荷を印加した後の前記モアレ縞の位相を計算し、前記試料に負荷を印加する前後の前記モアレ縞の位相差を取得し、当該位相差に2次元位相同時解析を適用することによって前記試料の変位分布とひずみ分布とを算出する。残留ひずみを測定する場合、残留応力解放後の格子画像も記録し、モアレ縞を生成し、残留応力解放後のモアレ縞と最初に負荷を印加する前のモアレ縞の位相差を取得し、当該位相差に2次元位相同時解析を適用することによって前記試料の残留ひずみ分布を算出する。

Description

本発明は、変形測定方法、変形測定装置、及びそのプログラムに関する。
===参照による取り込み===
本出願は、2017年2月23日に出願された日本特許出願第2017−32645号の優先権を主張し、その内容を参照することにより、本出願に取り込む。
変形の測定は、材料及び構造における残留応力、機械的性質、不安定挙動、クラックの発生と伝播を評価するために欠かせない。現在、全視野、非接触、かつ非破壊の主な変形測定技法としては、モアレ法、デジタル画像相関法(DIC)、幾何学位相解析(GPA)、フーリエ変換法(FT)、電子スペックルパターン干渉法(ESPI)などがある。これらの技法の中で、DIC法はシンプルであるが、変形キャリアがスペックルであるためにノイズに弱い。GPA及びFTは複数の周波数が混在するような格子画像では精度よく解析できないため、複雑な変形測定には向かない。またESPIは振動の影響を受けやすい欠点がある。
一般的に用いられているモアレ法は、走査型顕微鏡モアレ法(Microscope scanning moire method)、モアレ干渉法(Moireinterferometry)、CCD又はCMOSモアレ法(以下単に「CCDモアレ法」と称する)、デジタル・オーバーラップモアレ法(Digital/overlapped moiremethod)の4つの方法に分類される。走査型顕微鏡モアレ法には電子走査モアレ(Electron scanning moire)とレーザ走査モアレ(Laser scanning moire)がある。これらのモアレ法は、モアレ縞センタリング技術を利用する。
さらに解析精度を高めるために、位相シフト法を導入し、モアレ縞の位相分布が得られる(時間的)位相シフトモアレ法(Temporal phase-shifting moire method)と(空間的)サンプリングモアレ法(Sampling moiremethod)がある。
また一般的にモアレ縞を生成するには、格子ピッチに近い間隔で走査またはダウンサンプリング処理する以外に、格子ピッチの整数倍または分数倍の間隔で走査またはダウンサンプリング処理する乗算型又は分数型モアレ法(multiplication or fractional moire method)がある。
走査型顕微鏡モアレ法は、複合材料の残留応力・残留ひずみ測定への応用が報告され、またモアレ干渉法は、電子部品パッケージ及び複合材料の残留応力・残留ひずみ測定に適用されてきた。
具体的には、以下に示す特許文献1,2、及び非特許文献1,2に関連する技術が提案されている。特許文献1は、温度差により生じる試料のひずみに基づく熱膨張係数測定方法であって、試料本体に対して粒子線やエネルギー線が照射された時の二次電子発生量や反射電子量や反射光が、前記試料本体とは異なるグリッドを前記試料表面に形成してある試料に対して粒子線やエネルギー線を照射し、二次電子発生量や反射電子量や反射光の違いにより観察できる電子線モアレ縞,CCDモアレ縞,レーザー走査モアレ縞等の各種モアレ縞を前記試料の加熱あるいは冷却中とその前に観察した両モアレ縞を相互に比較して、試料に生じたひずみを計測することを提案している。
特許文献2は、規則性のある縞模様、白黒比が1:1の余弦波または矩形波模様を利用してモアレ縞を発生させ、そのモアレ縞の位相情報を解析して変形前後のモアレ縞の位相差分布を算出することで微小変位分布を計測できるサンプリングモアレ法の従前の手法は、ナノマイクロ材料や大型構造物には不向きであり、また、2周期以上の任意の繰り返しのある規則性模様に適用した場合、従来の解析方法では大きな誤差が発生するという問題点に鑑み、物体表面に人工的に作製された、または物体表面に予め存在している1次元または2次元の繰り返しを有する任意の規則性模様を利用して発生させたモアレ縞の高次周波数または複数の周波数成分における位相情報を利用することを提案している。
また、非特許文献1は、構造材料のひずみ分布、応力分布の測定方法に関し、電子線リソグラフィーによって測定対象である試料表面に微細なモデル格子を形成し、走査型電子顕微鏡による電子線走査をマスター格子として用いている。モデル格子に対して電子線走査を行うことで電子線モアレ縞が生成されるので、このモアレ縞を解析することによりひずみ分布、応力分布を求めている。
また、非特許文献2は、残留応力を機械的に解放するための方法に関し、特に最近の光学的残留応力検出手法と、それと組み合わされる、穴あけ法をはじめとする近年の残留応力解放の手法について紹介している。
特開2009−162562号公報 国際公開第2015/008404号
S. Kishimoto, Y. Xing, Y. Tanaka, and Y. Kagawa, Measurement of Strain and Stress Distributions in Structural Materials by Electron Moire Method, Journal of Solid Mechanics and Materials Engineering, Vol. 2, No. 6, pp. 812-821 (2008). X. Huang, Z. Liu, and H. Xie, Recent Progress in Residual Stress Measurement Techniques, Acta Mechanica Solida Sinica, Vol. 26, No.6, pp. 570-583 (2013).
上記した先行技術文献には、先に列挙した種々のモアレ法が採用されている。しかしながら、これらのモアレ法には、例えば以下のような問題があると考えられる。
まず、上記のモアレ法では、残留ひずみの近似計算をしているのみであり、x方向またはy方向残留ひずみ、残留せん断ひずみ、及び残留主ひずみについて、同時に正確な分布を測定することはできない。
モアレ縞センタリング技術を利用する走査型顕微鏡モアレ法は、モアレ縞の中心線の情報を用いるだけであり、変形の測定精度は低い。また、測定中、モアレ縞の中心線を手作業で修正する必要が有るため、変形測定を一括自動処理することは困難である。
(時間的)位相シフトモアレ法は、変形の測定精度を向上させることができるが、位相シフト装置が必要であり、複数枚の画像を記録するために時間を要し、ダイナミックな解析には不向きである。
モアレ干渉法では変形感度が非常に高いため、変形が大きくなるとモアレ縞が非常に密になり記録することができない。そのため、変形が大きくなると解析ができない領域が生じる。一例として、フリップチップ実装部品における金型隅部があり、そのような領域ではアンダーフィルが急激に変形し、モアレ干渉法では測定することができない。
本発明は、上記の及び他の課題に鑑みてなされたもので、その一つの目的は、2次元位相同時解析モアレ法により、負荷の印加によって生じるx方向ひずみ、y方向ひずみ、せん断ひずみ、及び主ひずみを含む各種ひずみ分布及び残留ひずみ分布を、測定対象である試料が大きく変形した場合であっても、単発で取得した周期的パターンから正確に測定することができる、変形測定方法、変形測定装置、及びそのプログラムを提供することにある。
上記の、及び他の課題を解決するための本発明の一つの態様は、試料の変形を測定するための変形測定方法であって、試料に負荷を印加したときに当該試料に生じる変形を測定するための変形測定方法であって、試料の表面に存在する周期的パターンの画像を、前記試料へ当該試料作成後最初に負荷を印加する前後において画像記録手段によって記録し、記録した各前記周期的パターンの画像に基づいてモアレ縞を生成し、前記試料に最初に負荷を印加する前の前記モアレ縞の位相を計算し、前記試料に負荷を印加した後の前記モアレ縞の位相を計算し、前記試料に負荷を印加する前後の前記モアレ縞の位相差を取得し、当該位相差に2次元位相同時解析を適用することによって前記試料の変位分布とひずみ分布とを算出するものである。さらに残留ひずみを測定する場合、残留応力解放後の格子画像も記録し、モアレ縞を生成し、残留応力解放後のモアレ縞と最初に負荷を印加する前のモアレ縞の位相差を取得し、当該位相差に2次元位相同時解析を適用することによって前記試料の残留ひずみ分布を算出するものである。また、本発明の他の態様には、前記の変形測定方法を実施するための変形測定装置とそのプログラムが含まれる。
本発明によれば、2次元位相同時解析モアレ法により、負荷の印加によって生じるx方向ひずみ、y方向ひずみ、せん断ひずみ、及び主ひずみを含む各種ひずみ分布及び残留ひずみ分布を、測定対象である試料が大きく変形した場合についても、単発で取得した周期的パターンから正確に測定することができる。
図1は、周期的パターン(格子)を用いてひずみ分布及び残留ひずみ分布を測定する原理を示す図である。 図2は、変形前後の2次元格子の幾何学的関係を示す図である。 図3は、傾斜している格子から位相を計算するためのサンプリングモアレ法の原理を示す図である。 図4は、ひずみ及び残留ひずみ測定のための2次元位相同時解析モアレ法の原理を示す図である。 図5は、本願発明に係る変形測定方法のフローチャートを例示する図である。 図6は、傾斜した2次元格子から2次元変位、ひずみ、及び残留ひずみを測定するプロセスを示す図である。 図7は、1次元格子から1次元変位、ひずみ、及び残留ひずみを測定するプロセスを示す図である。 図8は、本発明の一実施形態による変形測定装置の構成例を示す図である。 図9は、図8の変形測定装置による変形測定処理のフローチャート例を示す図である。 図10は、交角10度の2次元格子から2次元変位及びひずみを測定するプロセスを示す図である。 図11は、本願発明の2次元位相同時解析と、従来の1次元位相解析による2次元ひずみの測定結果を、格子の交角によって理論値と比較して示す図である。 図12は、本願発明の2次元位相同時解析と、従来の1次元位相解析により測定した2次元ひずみの相対誤差を、格子の交角によって理論値と比較して示す図である。 図13は、本願発明の方法による2次元残留ひずみの測定結果を、格子の交角によって理論値と比較して示す図である。 図14は、測定した2次元残留ひずみの相対誤差と標準偏差を、格子の交角によって理論値と比較して示す図である。 図15は、格子の交角が10度であり、格子に当該格子の振幅に対して標準偏差σが2%のランダムノイズが存在する場合に、ひずみ、及び残留ひずみを適用して格子を変換する様子を示す図である。 図16は、本願発明の方法により測定した2次元ひずみの絶対誤差、相対誤差、及び標準偏差と、理論ひずみとの関係を示す図である。 図17は、本願発明の方法により測定した2次元残留ひずみの絶対誤差、相対誤差、及び標準偏差と、理論残留ひずみとの関係を示す図である。 図18は、チタン合金試料の寸法、及び走査型レーザー顕微鏡下で使用した引張治具を含む機械的負荷印加装置の一例を示す図である。 図19は、試料表面の測定対象領域、及び3μmピッチで形成された格子を示す図である。 図20は、負荷0,225,604,660MPaにおける試料上の格子と、x方向及びy方向のモアレ縞を示す図である。 図21は、負荷0,225,604,660MPaにおける試料上のx方向及びy方向のモアレ縞の位相を示す図である。 図22は、負荷225,604,660MPaにおける試料のx方向のひずみ、y方向のひずみとせん断ひずみ分布を示す図である。 図23は、負荷225,604,660MPaにおける試料の最大・最小主ひずみ分布を示す図である。 図24は、負荷660,682,669,及び683MPaにおける試料の格子画像、せん断ひずみの一部の分布を示す図である。
本願では、サンプリングモアレ(空間位相シフト)法、2次元位相解析、及びその逆問題解析を組み合わせることによって、面内変形及び面内残留変形を正確に測定することができる2次元位相同時解析モアレ法を提案する。このモアレ法は、電子部品のパッケージング、光学測定、実験力学といった分野に関係している。
2次元位相同時解析モアレ法は、種々の産業分野における様々な材料、構造の変形、ひずみ、残留ひずみ、及び残留応力の分布を測定する上で有用である。その産業分野は、航空宇宙、自動車、電子部品パッケージング、生物医薬、材料製造等の多岐にわたる。適用対象としては、金属、ポリマー、セラミック、半導体、複合材料、多孔質材料ハイブリッド構造、薄膜などが挙げられる。当該モアレ法は、ナノスケールからメートルスケールまで幅広く応用することができる。材料、構造に印加される負荷としては、機械的、電気的、磁気的、熱的、疲労、熱機械的、熱電気的、電磁気的、熱磁気的負荷等様々な形態を想定することができる。
産業分野における典型的な応用例として次のようなものがある。
・応力集中、転位の発生、すべり形成の可視化
・クラック発生位置、クラック成長経路、及び層間剥離位置の予測
・座屈、不安定性、及び欠陥発生メカニズム解析のための内部応力又は残留応力の評価
・材料の強化に関する指針を与えるための、変形レベルの評価
・境界面の最適設計のための変形分布特性の評価
・生産品質管理のためのひずみ及び残留ひずみ状態の監視
・インフラストラクチャ、マイクロエレメカシステムの構造的な健全性のモニタリング
==本発明の基本原理==
まず、本発明の実施形態の前提となっている測定基本原理について必要な数式を用いて説明する。
位相の測定原理
2次元周期的パターン(以下、前記の周期的パターンを「格子」と略称する。)は、2つの1次元格子、X格子とY格子との組み合わせと考えることができる。負荷印加前に試料格子を作成するとき、格子Xのx方向(水平右方向)、y方向(垂直上方向)のピッチをpXx,pXy、格子Yのx方向(水平右方向)、y方向(垂直上方向)のピッチをpYx,pYyとする。このとき、負荷印加前の2次元格子の輝度は、式(1)で表すことができる。
なお、AX、AYは、それぞれ格子X、格子Yの変調された振幅であり、Bは背景及び高次成分の輝度情報を含む。
ローパスフィルタ、又はフーリエ変換を用いると、前記2次元格子は、格子Xと格子Yとに分離することができる。格子X及び格子Yの輝度は、それぞれ式(2),(3)によって表すことができる。ここで、BXは、格子Xの背景及び高次成分の輝度情報、BYは、格子Yの背景及び高次成分の輝度情報であり、φX,φYは、それぞれ格子X及び格子Yの位相を表す。
次に負荷を印加することによって、試料表面の格子X及び格子Yは、格子X'、Y'に変化する。このときの格子X、Yの変化の様子を、図2に模式的に示している。格子X'のx方向及びy方向のピッチをp'Xx,p'Xy、格子Y'のx方向及びy方向のピッチをp'Yx,p'Yyとすると、2次元格子、格子X'、及び格子Y'の負荷印加後の輝度は、それぞれ式(4)〜(6)によって表すことができる。
ここで、A'X,A'Yはそれぞれ格子X'、Y'の変調された振幅、B',B'X,B'Yは、それぞれ負荷印加後の2次元格子、格子X'、格子Y'の背景及び高次成分の輝度情報を示す。また、φ'X,φ'Yは、それぞれ格子X'、格子Y'の位相を示している。
式(2),(3),(5),及び(6)より、格子X及び格子Yの負荷により生じる位相差は、式(7),(8)のように求めることができる。
格子Xと格子X'について、x方向の空間位相シフトモアレ縞を、間引き数をTxとして、ダウンサンプリング及び輝度補間の画像処理により生成することができる。その生成過程を、図3に模式的に示している。負荷印加前後のTxステップの位相シフトモアレ縞の輝度は、それぞれ式(9)、(10)で表すことができる。
φX,mxとφ'X,mxはそれぞれ負荷印加前後のx方向のモアレ縞の位相値である。
格子Yと格子Y'について、y方向の空間位相シフトモアレ縞を、間引き数をTyとして、ダウンサンプリング及び輝度補間の画像処理により生成することができる。負荷印加前後のTyステップの位相シフトモアレ縞の輝度は、それぞれ式(11)、(12)で表すことができる。
φY,my,φ'Y,myは、それぞれ負荷印加前後のy方向のモアレ縞の位相値である。
式(9)〜(12)のモアレ縞の位相φX,mx,φ'X,mx,φY,my及びφ'Y,myは、離散フーリエ変換アルゴリズムを用いて、位相シフト法から式(13)のように計算することができる。
熱変形及び熱ひずみに関する測定原理
次に、熱変形及び熱ひずみに関する測定原理について説明する。図4に、熱変形及び熱ひずみに関する測定原理を模式的に示している。
式(7)及び(9)、(10)から、x方向のモアレ縞の位相差は、格子Xの位相差と等しく、式(14)から決定することができる。
式(8)及び(11),(12)から、y方向のモアレ縞の位相差は、格子Yの位相差と等しく、式(15)から決定することができる。
いま、x方向、y方向の試料の変位をそれぞれux、uyとすると、変形後の格子X、格子Yの位相は、式(16),(17)のように表すことができる。
式(2),(3),(16)、及び(17)から、負荷の印加に伴って生じる格子X及び格子Yの位相差は、式(18),(19)により決定することができる。
前出の式(14)、(15)からわかるように、x方向及びy方向のモアレ縞の位相差は、それぞれ格子X、格子Yの位相差に等しい。そのため、式(18)、(19)に基づいて、モアレ縞の位相差と試料の変形との間の関係は、式(20)のように得ることができる。
したがって、試料のx方向、y方向の変位は、式(21)から測定することができる。
なお、ここで、Mは、x方向、y方向において、格子X、格子Yの4つのピッチ成分を有する行列を表している。
異なる方向のひずみは変位の偏微分であるから、x方向ひずみ、y方向ひずみ、及びせん断ひずみは、下記の式(22)で表すことができる。
図2を参照すると、格子Xのピッチ及び角度はそれぞれpX、θX、格子Yのピッチ及び角度はそれぞれpY、θYであり、角度θX、θYは、x方向から反時計回りを正と定義している。このとき、式(21)、(22)の行列Mはまた、式(23)のように表すことができる。
負荷印加前に作成された格子が、均一のピッチを有する標準直交格子である場合、すなわち、pX = pY= p、θX - π/2 = θY= θが成立する場合、式(21)、式(22)の行列Mは、式(24)のように変形することができる。
多くの場合、作成される格子は標準の直交格子である。そのため、変位u及びひずみε、γ測定についての最も一般的な計算式は、式(25)、(26)のようになる。
式(21)及び式(22)、又は式(25)及び式(26)から、負荷印加前に対する任意の負荷時の変位及びひずみを求めることができる。材料製作時の条件で、言い換えれば、当該材料に最初に負荷を印加する前において試料の内部応力及びひずみがゼロであるとした場合、それ以外の条件で生じる内部ひずみを残留ひずみ(すなわち、外力等の外部からの負荷を除去した後でも材料内部に存在するひずみのこと)と呼ぶものとする。
残留ひずみの測定原理
x方向の垂直ひずみは、ピッチの変化、すなわちεx=(p'x-px)/pxから求めることができるので、負荷印加前(F0)に対する任意の負荷(F)印加後、及び穴あけ、スロット加工等による、残留応力を解放後の無残留ひずみ状態(Ff)におけるx方向のひずみまたは熱ひずみは、格子ピッチ間の関係から式(27)のように表すことができる。
式(27)に基づいて、材料製作時の無残留ひずみ状態に対する負荷印加時における残留垂直ひずみもまた、ピッチの変化によって表現することができる。したがって、負荷印加によるx方向の残留ひずみは、負荷F印加時及び無残留ひずみ状態Ffでのx方向のひずみから、式(28)を用いて求めることができる。
同様に、負荷F印加時におけるy方向の残留ひずみは、負荷F印加時及び無残留ひずみ状態Ffでのy方向の垂直ひずみから、式(29)を用いて求めることができる。
せん断ひずみは試料の格子の交角が変化することを意味する。すなわち、α'が変形後の角度を表すとした場合、γxy = - (α'-α)となり、交角が元の直角から鋭角に変化した場合、γxyは正である。負荷印加前に対する負荷F印加時、無残留ひずみ状態Ffにおけるせん断ひずみは、それぞれ式(30)、(31)で表すことができる。
式(30)、(31)に基づいて、無残留ひずみ状態Ffに対する負荷F印加時での残留せん断ひずみもまた、角度変化から求めることができる。したがって、負荷F印加後の残留せん断ひずみは、負荷F印加時、無残留ひずみ状態Ffでのせん断ひずみから、式(32)を用いて求めることができる。
以上から、任意の負荷を印加した場合におけるx方向残留ひずみ、y方向残留ひずみ、及び残留せん断ひずみは、式(28)、(29)、(32)を用いて求めることができる。なお、負荷F印加後、無残留ひずみ状態Ffにおけるひずみ、すなわちεxx(F), εyy(F), γxy(F), εxx(Ff), εyy(Ff),及びγxy(Ff)は、式(22)、又は式(26)から計算することができる。また負荷印加前における残留ひずみは、式(28)、(29)、(32)にFをF0に置き換えれば(εxx(F0)=0, εyy(F0)=0, γxy(F0)=0)、2枚の格子画像のみで求めることができる。
残留主ひずみ、残留主応力の測定原理
ひずみと残留ひずみを測定した後、主ひずみ及び残留主ひずみを、ひずみ状態を解析することによって求めることができる。平面応力問題について、残留主ひずみは、以下の数式により計算することができる。
また、平面応力問題について、残留主応力は、フックの法則により以下のように計算することができる。なお、E、νは、それぞれ測定対象の試料のヤング率、及びポアソン比である。
ひずみ測定の手順
ひずみ又は残留ひずみの測定に関する2次元位相同時解析モアレ法のフローチャートの一例を、図5に示している。2次元位相同時解析モアレ法を実行する際、処理の開始後(S501)、試料の表面上に周期的パターンが存在しない場合、まずその試料の上に格子を作成する(S502)。次いで、作成した格子の画像を、顕微鏡、画像センサ等の画像記録手段によって記録する(S503)。この画像記録は、負荷印加前とは異なる負荷において実施される。残留ひずみを測定する場合、残留応力解放後の格子画像も記録する。次いで、記録した格子の画像について、試料格子のピッチに近似するピッチでダウンサンプリング処理する。なお前記ピッチは試料格子の整数倍又は整数分の一であってもよい。さらに、記録した格子画像について、輝度の補間を行い、試料のモアレ縞(x方向、y方向)を生成する(S504)。その後、フーリエ変換アルゴリズムを用いた空間位相シフトによって、変形前のモアレ縞の位相(x方向、y方向)を計算する(S505)。
同じ手順により、試料が外部からの負荷(機械的、電気的、磁気的、熱的、熱機械的、熱電気的、熱磁気的、機械電気的負荷等)によって変形した後のモアレ縞の位相も得ることができる。
格子作製時に対して試料の変形前後のモアレ縞の位相差を求めた後(S506)、2次元位相同時解析により、変位分布とひずみ分布を測定することができる(S507)。残留ひずみを測定する場合、逆問題解析(inverse problem)から、残留応力解放後に対する残留ひずみ分布を得ることもできる(S508)。以上の一連の処理により2次元位相同時解析モアレ法は終了する(S509)。
図6に、2次元格子から2次元変位、ひずみ、残留ひずみを求める手順を詳細に例示している。図6は、図5により説明した処理手順を模式的に示したものであり、(a)2次元格子の作成、(b)格子のx,y成分分離、(c)モアレ縞の生成、(d)位相の計算、(e)位相差の計算、(f)試料の変形による変位、ひずみ、残留ひずみの計算の各処理を模式的に示している。図7は、1次元格子についての図6に対応する模式図である。
測定装置と測定プログラム
次に、本発明の実施形態による変形測定装置について説明する。図8に変形測定装置1の構成例を示している。図8に示すように、変形測定装置1は、格子画像記録装置10、及びコンピュータ20を備え、負荷印加装置30により負荷をかけられて変形する試料の変形度合いを測定する機能を有する。格子画像記録装置10は、顕微鏡、画像センサ等を含み、光学的に取得した格子画像をデジタルデータとしてメモリに一時的に記録し、コンピュータ20に供給する機能を有する。コンピュータ20は、MPU、CPU等の適宜のプロセッサ21と、ROM、RAM、NVRAM等の記憶デバイス22とを備えた情報処理装置であり、キーボード等の入力装置23と、出力装置24とを有している。図8の例では出力装置24は適宜の形式のモニタ・ディスプレイであるが、プリンタ等の他の出力デバイスでもよい。コンピュータ20には外部通信ネットワークと接続可能な通信モジュールを設け、他の情報処理装置と通信可能に構成することができる。
コンピュータ20の記憶デバイス22には、モアレ縞発生部221、位相処理部222、変形計算部223の各機能部が格納されている。モアレ縞発生部221、位相処理部222、変形計算部223は、それぞれコンピュータプログラムとして構成し、プロセッサ21により記憶デバイス22から適宜読み出して実行されるように構成することができる。プログラム実行の契機は、入力装置23からの指示により与えることができる。
負荷印加装置30では、測定対象となる、格子が作成された各種試料について機械的負荷、電気的負荷、熱的負荷等の負荷を与えて変形させる。負荷印加装置30において試料に負荷を与えるための構成は、機械的負荷、磁気的負荷等の負荷の種類に応じて適宜の構成を採用することができる。
格子画像記録装置10は、試料の変形度合いを、試料に形成された格子の画像として記録してコンピュータ20に供給する。画像データは、適宜のUSBメモリ等の記憶デバイスや、適宜の通信インタフェースを通じてコンピュータ20に取り込まれる。
次に、図8の変形測定装置1により実行される、試料の変位、ひずみ、及び残留ひずみ測定処理について説明する。図9に、この試料の変位、ひずみ、及び残留ひずみ測定処理の処理フロー例を示している。処理を開始後(S901)、まず格子画像記録装置10から格子画像データを取り込み、入力装置23から解析処理用の解析パラメータを入力する(S902)。解析パラメータとは、例えば、図2に示す格子ピッチp、角度θ等、前記した本発明の2次元位相同時解析処理に必要なパラメータである。残留主応力を算出するためには、測定対象物のヤング率とポアソン比が物性値として必要である。
モアレ縞生成部221は、測定対象の試料表面の同一領域から、同一サイズの格子画像を検索する(S903)。次いでモアレ縞生成部221は、格子画像をフィルタリング処理した後、位相シフトモアレ縞を生成する(S904)。前記フィルタリング処理は、格子をx方向とy方向とに分離する処理であり、例えば1次元モアレ縞の場合などは省略される。次いで位相処理部222は、生成したモアレ縞のラップ位相を計算して、試料の変形前後の非ラップ又はラップ位相から位相差を取得する(S905, S906)。次に、変形計算部223は、取得した位相差を用いて、2次元位相解析により変位分布、及びひずみ分布を計算する(S907)。S908では、引き続き残留ひずみの計算が必要であるか判定し、必要でないと判定した場合(S908, No)、変形計算部223は計算された変位分布及びひずみ分布を出力装置24に出力して処理を終了する(S910, S911)。S908で残留ひずみの計算が必要であると判定した場合(S908, Yes)、変形計算部223は残留ひずみ分布を計算し(S909)、変位分布、ひずみ分布とともに出力装置24に出力して処理を終了する(S910, S911)。
実施例1 x方向ひずみ、y方向ひずみ、及びせん断ひずみに関する本願提案の測定方法と従来方法との比較
本実施例では、本願提案の方法と従来方法とを比較するため、シミュレーションから本願提案方法による2次元変形測定の精度を検証した。まずx方向、y方向とも10ピクセルピッチの格子を異なる角度で回転させて、一連の傾斜した格子を得た。格子画像のサイズは480×400ピクセルであった。これらの傾斜した格子は、理論上のx方向ひずみ、y方向ひずみ、及びせん断ひずみを加えて変形させた。変形の測定は本願提案の方法によった。
図10に、格子の傾斜が10°の場合の変形計測例を示している。図10(a)の変形前の2次元格子では、格子画像はまず、x方向、y方向2つのローパスフィルタによって、図10(b)に示す2つの1次元格子に変換される。次に、図10(c)に示すように、空間位相シフトサンプリングモアレ縞が生成され、図10(d)に示すx方向、y方向の変形前のモアレ縞について、2つの位相マップが計算される。同様に、変形後のモアレ縞についても、変形後の2方向の位相マップが得られる。次に、図10(e)のように、変形に起因するモアレ縞の位相差を、x方向、y方向について求める。2次元位相同時解析に基づき、図10(f)に示すように、2次元変位及びひずみ分布が測定される。図10の例では、x方向、y方向、及びせん断ひずみの平均値は、それぞれ、0.01138、-0.00354、0.00543であった。これらの値は、それぞれの理論値である0.01152、-0.00352、0.00547とほぼ等しいという結果が得られた。これに対して、従来の1次元位相解析の手法によって測定した場合には、x方向、y方向、及びせん断ひずみの平均値は、それぞれ、0.01186、-0.00402、0.00280であり、特にせん断ひずみについて理論値からの乖離が顕著であるとの結果が得られた。
次に、図11(a)に示すように、2次元格子の交角を、0, 1, 2, 3, 4, 5, 6, 7, 8, 9, 10, 13, 16, 19, 22, 25°と変化させた場合の、本発明による2次元位相同時解析と従来の1次元位相解析モアレ法によるひずみ測定値の平均値をそれぞれひずみの理論値と比較した。図11(b)にx方向ひずみ、y方向ひずみそれぞれの比較結果を、図11(c)に2次元格子の交角が異なる場合の残留ひずみの比較結果を示している。これらの比較結果からわかるように、本発明による測定結果の方が、従来の手法の測定結果よりもはるかに理論値とよい近似を示している。
図12に、ひずみ測定値の理論値に対する相対誤差を示している。この図から明らかなように、x方向ひずみ、y方向ひずみ、せん断ひずみのいずれについても、本発明の手法の方が従来の測定技法に比べてはるかに測定精度が優れていることが判明した。
実施例2 本発明の2次元残留ひずみ測定に関するシミュレーション検証
本実施例では、本発明によるx方向、y方向残留ひずみ、及びせん断残留ひずみ測定の測定精度をシミュレーションにより検証した。使用した格子は実施例1の場合と同様である。残留ひずみの理論値は、モールの残留ひずみ円から求めた。
式(28)、(29)及び(32)を用いて、x方向、y方向の残留ひずみ分布、及び残留せん断ひずみ分布を測定した。2次元格子の交角に対する残留ひずみ測定値の平均値を、図13に示す残留ひずみ理論値と比較した。この比較結果から、格子の交角が25°程度となっている場合であっても、本発明の手法による残留ひずみの測定値は、理論値とよく一致することが確認された。
図14(a)に、理論値に対する残留ひずみ想定値の相対誤差をプロットして示している。図14(b)には、格子の交角に対する残留ひずみ測定値の標準偏差を示している。相対誤差は1.2%以内であり、標準偏差は0.0015未満であった。これにより、本発明による2次元残留ひずみ測定は、高精度を実現できていることがわかる。
実施例3 本発明の2次元ひずみ及び残留ひずみ測定に関する、ランダムノイズを有する傾斜した格子によるシミュレーション検証
本実施例では、ランダムノイズを含む傾斜した格子からひずみ及び残留ひずみを求める場合について説明する。傾斜した格子は、互いに直交する格子Xと格子Yとに分離することができる。図15に示すように、格子Yのx方向からの傾斜角、格子Xのy方向からの傾斜角は10°である。格子Xのx方向、y方向の格子ピッチは、それぞれ10.1543ピクセルと57.5877ピクセル、格子Yのx方向、y方向の格子ピッチは、それぞれ57.5877ピクセルと10.1543ピクセルであった。格子画像のサイズは480×400ピクセル、格子振幅に対して標準偏差σが2%のランダムノイズを傾斜した格子に加えた。
負荷F1の格子を、x方向、y方向ひずみ、及びせん断ひずみを印加することにより負荷F2の格子に変形させた。負荷F2を印加したときの格子には、x方向、y方向の残留ひずみ、及び残留せん断ひずみを適用することにより、負荷F1を印加したときの格子に変換することが可能であった。表1に、印加した理論ひずみ、及び理論残留ひずみの値を示している。
本発明の手法を用いて、格子のひずみと残留ひずみを測定した。図16に、ひずみ測定値の絶対誤差、相対誤差、及び標準偏差を理論ひずみ値に対して示している。図16に示すように、絶対誤差は-0.00014〜0の範囲、相対誤差は-1.2%〜0.6%の範囲であり、標準偏差は0.0015未満であった。これは、本発明の手法が、傾斜格子にランダムノイズがある場合でも高精度でひずみ測定を行えることを示している。
図17に、残留ひずみ測定値の絶対誤差、相対誤差、及び標準偏差を理論ひずみ値に対して示している。図17に示すように、絶対誤差は0〜0.00013の範囲、相対誤差は-1.1%〜0.5%の範囲であり、標準偏差は0.0015未満であった。このように、本発明の手法は、傾斜格子にランダムノイズがある場合でも高精度で残留ひずみ測定を行えることを示している。
実施例4 引張試験における微小ひずみ集中の可視化を目的とした、本発明手法によるチタン合金の2次元ひずみ測定
本実施例では、本発明の方法を用いたチタン合金の2次元ひずみ測定について説明する。図18に、本実施例における測定対象の試料の形状寸法と、測定に用いた機械的負荷印加装置を示している。試料の厚さと最小幅は、それぞれ1mm、1.8mmであった。この試料の表面の1.8×15mm2の範囲に、UVナノインプリントリソグラフィーにより、格子間隔3μmの直交格子を作成した。一つの格子ラインと試料の軸方向(x方向)のなす角度は2°である。引張試験は、走査型レーザー顕微鏡の下で実施した。図19に示すように、この引張試験では、測定対象領域として、試料の一端において旧β相粒界を含む219×204μm2の範囲を選定した。
試料に対する引張負荷を変えて対象領域の格子画像を記録し、本発明の手法を用いてひずみ分布を測定した。公称応力を0,225,604,660MPaと変化させた場合の典型的な格子画像とx方向、y方向の4ピクセルダウンサンプリングモアレ縞を、図20に示す。図21には、これらのモアレ縞のx方向、y方向の対応する位相を計算して示している。0MPaにおける位相に対する位相差から、225、604、660MPaにおけるx方向、y方向ひずみ、せん断ひずみの分布を測定した。測定結果を図22に示している。また公称応力における最大及び最小主ひずみを決定して図23に示している。
図20の格子画像から、604MPaでは明らかな変形は観測されなかった。しかし、図22のx方向ひずみとせん断ひずみの分布、あるいは図23の最大主ひずみ分布から、604MPaにおいて、微小な応力集中が起こっていることが観測された。この応力集中は、図22、図23のひずみ分布からより顕著である。最後に、図24の683MPaの場合の格子画像から、ひずみ集中領域においてマイクロクラックの発生が認められた。このことは、本発明の手法により、正確なひずみ分布を測定することができるようになったことで、クラックの発生位置をより正確に予測することが可能となったことを示している。
また、図24に示すように、引張負荷がより大きい場合に、異なる粒界で斜め向きに異なる方向のスリップラインを観察した。これらのスリップラインは、図24に示されているように、せん断ひずみεyx=∂uy/∂xの一部のせん断ひずみ成分分布から可視化することができた。
以上説明したように、本発明の一実施形態によれば、x方向ひずみ、y方向ひずみ、せん断ひずみ、主ひずみの分布を、一括して正確に測定することが可能である。また、残留ひずみ、及び残留応力の測定について、高精度の自動一括処理と高速の画像記憶が可能となる。また、本実施形態のモアレ法は、動的変形測定に好適であり、測定結果をリアルタイムに表示することができる。
本発明の変形測定方法、変形測定装置、及びそのプログラムは、航空宇宙、自動車、電子部品パッケージング、医薬、材料製造等の分野に応用することができる。本発明の手法は、欠陥解析、残留応力測定、ナノメートルからメートルレベルの材料強度向上、インタフェースの最適設計、生産品質管理、構造的健全性モニタリング等に有用である。
1 変形測定装置
10 格子画像記録装置
20 コンピュータ
21 プロセッサ
22 メモリ
221 モアレ縞発生部
222 位相処理部
223 変形計算部
23 入力装置
24 出力装置
30 負荷印加装置

Claims (7)

  1. 試料に負荷を印加したときに当該試料に生じる変形を測定するための変形測定方法であって、
    試料の表面に存在する周期的パターンの画像を、前記試料へ当該試料作成後最初に負荷を印加する前後において画像記録手段によって記録し、
    記録した各前記周期的パターンの画像に基づいてモアレ縞を生成し、
    前記試料に最初に負荷を印加する前の前記モアレ縞の位相を計算し、
    前記試料に負荷を印加した後の前記モアレ縞の位相を計算し、
    前記試料に負荷を印加する前後の前記モアレ縞の位相差を取得し、当該位相差に2次元位相同時解析を適用することによって前記試料の変位分布とひずみ分布とを算出する、
    変形測定方法。
  2. 請求項1に記載の変形測定方法であって、
    前記試料に残留応力を解放後での前記周期的パターン画像も記録し、モアレ縞を生成し、モアレ縞の位相を計算し、
    前記試料に最初に負荷が印加される前の前記モアレ縞の位相との位相差を計算し、
    当該位相差に2次元位相同時解析を適用することによって前記試料の残留ひずみ分布を算出する、
    変形測定方法。
  3. 請求項1に記載の変形測定方法であって、
    前記周期的パターンは1次元格子又は2次元格子であり、
    前記試料上に1次元格子が形成されている場合、前記試料の1次元変位及び1次元ひずみを算出し、
    前記試料上に2次元格子が形成されている場合に、当該2次元格子の交差するラインが互いに直交していない場合、当該2次元格子を構成する各1次元格子の格子間ピッチ及び基準軸となす角度とを用いて、前記試料に負荷が印加されているときの変位分布及びひずみ分布を算出する、
    変形測定方法。
  4. 請求項2に記載の変形測定方法であって、
    前記周期的パターンは1次元格子又は2次元格子であり、
    前記試料上に1次元格子が形成されている場合、前記試料の1次元残留ひずみを算出し、
    前記試料上に2次元格子が形成されている場合に、当該2次元格子の交差するラインが互いに直交していない場合、当該2次元格子を構成する各1次元格子の格子間ピッチ及び基準軸となす角度とを用いて、前記試料に負荷が印加前と印加されているときの残留ひずみ分布を算出する、
    変形測定方法。
  5. 請求項1から4までのいずれか1項に記載の変形測定方法であって、
    前記試料の表面に前記周期的パターンが存在しない場合に、当該試料にその作成後最初に負荷を印加する前に、その表面に周期的パターンを作成することを含む、
    変形測定方法。
  6. 試料に負荷を印加するための負荷印加手段と、
    前記試料の表面に存在する周期的パターンの画像を、前記試料へ当該試料作成後最初に負荷を印加する前後において記録するための画像記録手段と、
    記録した各前記周期的パターンの画像に基づいてモアレ縞を生成し、
    前記試料に最初に負荷を印加する前の前記モアレ縞の位相を計算し、
    前記試料に負荷を印加した後の前記モアレ縞の位相を計算し、
    前記試料に負荷を印加する前後の前記モアレ縞の位相差を取得し、当該位相差に2次元位相同時解析を適用することによって前記試料の変位分布とひずみ分布とを算出するように構成されている変形測定手段と、
    前記算出結果を出力するための出力手段と、
    を備えている変形測定装置。
  7. プロセッサとメモリとを備えるコンピュータに、
    試料表面にある周期的パターンの前記試料へ当該試料作成後最初に負荷を印加する前後における画像データと解析パラメータとの入力を受け付け、
    試料上の同一領域にある同一サイズの前記周期的パターンを検索し、
    各前記周期的パターンの画像に基づいてモアレ縞を生成し、
    前記試料に最初に負荷を印加する前の前記モアレ縞の位相を計算し、
    前記試料に負荷を印加した後の前記モアレ縞の位相を計算し、
    前記試料に負荷を印加する前後の前記モアレ縞の位相差を取得し、当該位相差に2次元位相同時解析を適用することによって前記試料の変位分布とひずみ分布とを算出し、
    前記算出結果を出力する、
    処理を実行させるコンピュータプログラム。
JP2019501174A 2017-02-23 2018-01-31 変形測定方法、変形測定装置、及びそのプログラム Active JP6753592B2 (ja)

Applications Claiming Priority (3)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2017032645 2017-02-23
JP2017032645 2017-02-23
PCT/JP2018/003297 WO2018155115A1 (ja) 2017-02-23 2018-01-31 変形測定方法、変形測定装置、及びそのプログラム

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JPWO2018155115A1 true JPWO2018155115A1 (ja) 2019-11-07
JP6753592B2 JP6753592B2 (ja) 2020-09-09

Family

ID=63252738

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2019501174A Active JP6753592B2 (ja) 2017-02-23 2018-01-31 変形測定方法、変形測定装置、及びそのプログラム

Country Status (2)

Country Link
JP (1) JP6753592B2 (ja)
WO (1) WO2018155115A1 (ja)

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN111721458A (zh) * 2020-06-24 2020-09-29 北京航空航天大学 一种基于图像识别的残余应力检测方法与装置

Families Citing this family (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP6718160B2 (ja) * 2017-02-23 2020-07-08 国立研究開発法人産業技術総合研究所 残留熱ひずみ測定方法、残留熱ひずみ測定装置、及びそのプログラム
CN110887594B (zh) * 2019-12-06 2021-04-02 哈尔滨工业大学 一种陶瓷/金属异质钎焊接头残余应力的表征方法
CN116134303A (zh) 2020-09-16 2023-05-16 三菱电机株式会社 龟裂推测装置以及龟裂推测方法
US20230349779A1 (en) * 2021-11-11 2023-11-02 China University Of Mining And Technology, Beijing System and method for testing stress strain of porous rock under fluid-solid coupling effects

Citations (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US6731391B1 (en) * 1998-05-13 2004-05-04 The Research Foundation Of State University Of New York Shadow moire surface measurement using Talbot effect
JP2005010003A (ja) * 2003-06-18 2005-01-13 National Institute For Materials Science 複合材料における残留ひずみおよび残留応力の測定方法
JP2009264852A (ja) * 2008-04-23 2009-11-12 Wakayama Univ 格子画像の位相解析方法およびそれを用いた物体の変位測定方法ならびに物体の形状測定方法
WO2015008404A1 (ja) * 2013-07-18 2015-01-22 独立行政法人産業技術総合研究所 規則性模様による変位分布のための測定方法、装置およびそのプログラム
JP2015152535A (ja) * 2014-02-18 2015-08-24 藤垣 元治 重み付けを用いた格子画像の位相解析方法

Patent Citations (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US6731391B1 (en) * 1998-05-13 2004-05-04 The Research Foundation Of State University Of New York Shadow moire surface measurement using Talbot effect
JP2005010003A (ja) * 2003-06-18 2005-01-13 National Institute For Materials Science 複合材料における残留ひずみおよび残留応力の測定方法
JP2009264852A (ja) * 2008-04-23 2009-11-12 Wakayama Univ 格子画像の位相解析方法およびそれを用いた物体の変位測定方法ならびに物体の形状測定方法
WO2015008404A1 (ja) * 2013-07-18 2015-01-22 独立行政法人産業技術総合研究所 規則性模様による変位分布のための測定方法、装置およびそのプログラム
JP2015152535A (ja) * 2014-02-18 2015-08-24 藤垣 元治 重み付けを用いた格子画像の位相解析方法

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN111721458A (zh) * 2020-06-24 2020-09-29 北京航空航天大学 一种基于图像识别的残余应力检测方法与装置

Also Published As

Publication number Publication date
WO2018155115A1 (ja) 2018-08-30
JP6753592B2 (ja) 2020-09-09

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP6718160B2 (ja) 残留熱ひずみ測定方法、残留熱ひずみ測定装置、及びそのプログラム
JP6753592B2 (ja) 変形測定方法、変形測定装置、及びそのプログラム
US10655954B2 (en) Three-dimensional shape, displacement, and strain measurement device and method using periodic pattern, and program therefor
JP5818218B2 (ja) 高次元輝度情報を用いた縞画像の位相分布解析方法、装置およびそのプログラム
Rossi et al. Effect of DIC spatial resolution, noise and interpolation error on identification results with the VFM
JP6983402B2 (ja) 汚れの影響を受けにくいひずみ分布測定方法とそのプログラム
Hild et al. CorreliQ4: A software for finite element displacement field measurements by digital image correlation
JP6813162B2 (ja) モアレ法による高速変位・ひずみ分布測定方法及び測定装置
Lee et al. Full-field optical measurement of curvatures in ultra-thin-film–substrate systems in the range of geometrically nonlinear deformations
Hack et al. A reference material for establishing uncertainties in full-field displacement measurements
Rossol et al. Characterizing in‐plane geometrical variability in textile ceramic composites
Chen et al. Orthogonal sampling moiré method and its application in microscale deformation field measurement
Li et al. Fabrication of heat-resistant grids and their application to deformation measurements using a sampling moiré method
Zastavnik et al. Comparison of shearography to scanning laser vibrometry as methods for local stiffness identification of beams
JP6533914B2 (ja) 計測方法、計測装置、計測プログラム及び計測プログラムを記録した、コンピュータ読み取り可能な記録媒体
Wang et al. Wide-view and accurate deformation measurement at microscales by phase extraction of scanning moiré pattern with a spatial phase-shifting technique
Farahani et al. Electronic Speckle Pattern Interferometry for fatigue crack monitoring
Ma et al. Accurate determination of the elastic moduli of optimized cantilever beams by efficient time-averaged ESPI system
Sree et al. Applications of Non-Contact Digital Image Correlation Method (DIC)–A Review
Kuo et al. Buckling measurement of cylindrical shells by digital image correlation method
Ri et al. Two-dimensional sampling Moiré method for fast and accurate phase analysis of single fringe pattern
Kumar et al. Application of plate vibration and DSPI in evaluation of elastic modulus
Kim et al. Thermal strain analysis of composite materials by electronic speckle pattern interferometry
Ng et al. Whole field residual stress measurement using computer aided reflection grating
Sciammarella et al. The Kinematics of Crystalline Arrays at the Subnanometric Level

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20190531

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A821

Effective date: 20190531

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20200519

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20200716

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20200804

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20200813

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 6753592

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250