JP2005010003A - 複合材料における残留ひずみおよび残留応力の測定方法 - Google Patents

複合材料における残留ひずみおよび残留応力の測定方法 Download PDF

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哲 岸本
Yunmin Shin
シン・ユンミン
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義久 田中
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Abstract

【課題】微小領域での複合材料の残留ひずみおよび残留応力を正確に測定することのできる、複合材料における残留ひずみおよび残留応力の測定方法を提供する。
【解決手段】強化材(3)と母材(5)とからなる複合材料(1)の表面の強化材の周囲に微小なグリッド(2)を描き、強化材を押し出してとりはずし電子線モアレ法により残留ひずみを測定し、その残留ひずみより残留応力を求める。
【選択図】 図1

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
この出願の発明は、複合材料における残留ひずみおよび残留応力の測定方法に関するものである。さらに詳しくは、この出願の発明は、微小領域での複合材料の残留ひずみおよび残留応力をも正確に測定することのできる複合材料における残留ひずみおよび残留応力の測定方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術とその課題】
繊維強化複合材料や粒子分散強化複合材料などの複合材料は、炭素繊維やガラス繊維などの強化繊維、あるいは強化粒子といった母材とは異なる物質(以下「強化材」とする)と母材の2種類以上の材料から形成されているのであるが、これまで複合材料は軽量で強度が高いにもかかわらず、疲労寿命や強度のばらつきが大きいため、機械やその他の構造体の主要な部分にはあまり用いられてこなかった。たとえば、航空機では最新鋭の旅客機でも複合材料は15%程度しか用いられておらず、しかもそのほとんどが2次構造材であった。このように複合材料が主要な部分に用いられないのは複合材料が同じ素材を使いながらも作製条件によって強度に違いが出てくるからであった。したがって複合材料の強度を最適にするためには、強化繊維などの強化材の強度、強化材を締め付ける力、そして母材の強度の相互作用により最適な値を見出す必要があった。
【0003】
とくに、強化繊維や強化粒子などの強化材の周囲の母材に生成する残留応力は、その大きさにより複合材料が荷重を受けたときに強化繊維や強化粒子の引き抜けや破壊を生じさせる一要因となるため、この残留応力を測定することは複合材料開発にとって非常に重要なことである。
【0004】
しかしながら、現在までこの残留応力を測定する手法は、X線を用い、試料にX線を照射して反射する角度によるX線強度から格子定数を測定し、応力やひずみを逆算する手法や、強化繊維を引き抜いたりあるいは押し出したりすることで強化繊維の存在していた孔(円孔)の直径の変化より残留応力を推定する手法あるいは有限要素などの計算機を用いて計算する以外に方法がなかった。
【0005】
一方で、従来より材料の変形量を測定する手法の1つとしてモアレ法が知られている。このモアレ法は試料上に規則的な幾何学的模様(モデルグリッド)を描き、これに他の規則的な模様(マスターグリッド)を重ね合わせ、それらモデルグリッドとマスターグリッドが重なり合った部分と重なり合わない部分とで形成される濃淡の縞(モアレ縞)より変形量を求めることを特徴としている。
【0006】
モアレ法の種類としては、従来より光学的モアレ法、走査モアレ法などが知られているが、それら従来のモアレ法では数μmオーダでのモデルグリッドおよびマスターグリッドの作製が限界であるため、微小領域での不均一な変形の観測・計測に適用できるほどのモアレ縞の線密度が得られず、試料中の微小領域での正確な変形量の測定を行うことはできなかった。
【0007】
そこで、発明者と共同研究者等は、マスターグリッドとして平行格子状に走査される電子線を用い、モデルグリッドとして試料表面に試料とは二次電子発生量の異なる物質を蒸着して作製したグリッドを用い、電子線が試料表面に照射された時に発生する二次電子量の違いで明暗の差を生じさせてモアレ縞を発生させ、微小領域での変形量を測定する、電子線モアレ法を開発した(特許文献1および2)。この電子線モアレ法においては、さらに微小領域の観察ができる走査型電子顕微鏡や集束イオンビーム顕微鏡を用いるため、観察領域やマスターグリッドの幅(粒子線走査幅)を自由にコントロールできる利点を持っている。
【0008】
しかしながら、これまでこの電子線モアレ法は金属やあるいは導電性を有するプラスチック、セラミックスなどの変形量の測定にのみ用いられており、その用途が限られていた。
【0009】
【特許文献1】
特許第1875579号
【特許文献2】
特許第2995298号
【0010】
そこでこの出願の発明は、以上のとおりの事情に鑑みてなされたものであり、従来技術の問題点を解消し、微小領域での複合材料の残留ひずみおよび残留応力をも正確に測定することのできる、複合材料における残留ひずみおよび残留応力の測定方法を提供することを課題としている。
【0011】
【課題を解決するための手段】
この出願の発明は、上記の課題を解決するものとして、まず第1には、強化材と母材とからなる複合材料の表面の強化材の周囲に微小なグリッドを描き、強化材を押し出した前後あるいは後のグリッドの変形量を電子線モアレ法により測定して残留ひずみを算出し、その残留ひずみより残留応力を求めることを特徴とする複合材料における残留ひずみおよび残留応力の測定方法を提供する。
【0012】
第2には、この出願の発明は、第1の発明において、複合材料が繊維強化複合材料または粒子分散強化複合材料であることを特徴とする複合材料における残留ひずみおよび残留応力の測定方法を提供する。
【0013】
さらに、第3には、第1または2の発明において、複合材料の表面の強化材の周囲に電子線リソグラフィー、フォトリソグラフィー、X線リソグラフィー、集束ビームによるイオンアシストデポジション、FIBリソグラフィー、FIBによるイオン研磨およびレプリカ法のうちのいずれかの方法を用いてグリッドを描くことを特徴とする複合材料における残留ひずみおよび残留応力の測定方法を提供する。
【0014】
【発明の実施の形態】
この出願の発明は上記のとおりの特徴をもつものであるが、以下にその実施の形態について説明する。
【0015】
この出願の発明の複合材料における残留ひずみおよび残留応力の測定方法では、複合材料の表面の強化繊維あるいは強化粒子などの強化材の周囲に微小なグリッドを描き、強化材を押し出した前後あるいは後のグリッドの変形量を電子線モアレ法により測定することで残留ひずみを算出し、その残留ひずみより残留応力を求めることを大きな特徴としている。
【0016】
このように電子線モアレ法により複合材料の残留ひずみおよび残留応力を測定することで、とくに複合材料表面に形成されたグリッドの間隔を可視光の波長以下の極めて微小な間隔として微小領域の残留ひずみおよび残留応力の測定を行う場合にも、それら残留ひずみおよび残留応力の測定を正確に行うことができるのである。したがって、複合材料における微小領域での残留ひずみおよび残留応力に関しても正確に求められることから、複合材料の開発に大きな効果をもたらすことができる。
【0017】
またこの出願の発明の複合材料における残留ひずみおよび残留応力の測定方法は、とくに繊維強化複合材料または粒子分散強化複合材料に好適に適用することができ、たとえば、モアレ縞が生成している領域内の任意の場所の微小な領域の残留ひずみおよび残留応力を測定することができるため、強化繊維または強化粒子の埋め込みに失敗し、母材との接合が不完全な場合の残留応力の不均一さの測定することが可能となる。
【0018】
また、複合材料の表面の強化材の周囲に電子線リソグラフィー、フォトリソグラフィー、X線リソグラフィー、集束ビームによるイオンアシストデポジション、FIBリソグラフィー、FIBによるイオン研磨およびレプリカ法のうちのいずれかを用いてグリッドを描くことで、微小間隔のグリッドを複合材料の表面の微小領域に好適に描くことができるのである。
【0019】
すなわち、この出願の発明の複合材料における残留ひずみおよび残留応力の測定方法では、電子線モアレ法と、従来より複合材料の強化繊維の接合強度を求めるのに用いられてきた押し出し法の両方法を用いて複合材料の強化繊維などの強化材の周囲における母材の残留ひずみを測定し、残留応力を求める方法を提供するのである。
【0020】
具体的には、たとえば図1に示すように、まず強化繊維の走る方向に対して垂直になるように複合材料(1)を薄くスライスし、図1(a)に示すようにその表面に電子線リソグラフィー、フォトリソグラフィー、X線リソグラフィー、集束ビームによるイオンアシストデポジション、FIBリソグラフィー、FIBによるイオン研磨およびレプリカ法のうちのいずれかの方法を用いて非常に細いグリッド(0.1μm〜数十μm)(モデルグリッド)(2)を描き、ここで電子線でマスターグリッドとして照射すると平行な電子線モアレ縞を形成する。次に図1(b)に示すように強化繊維(3)を押し出し棒(4)などにより複合材料(1)より押し出すと残留応力により母材(5)に形成された円孔(6)の周囲が変形し電子線をマスターグリッドとして照射すると、その変形により図1(c)に示すモアレ縞(7)が変形することからその変形量を測定する、いわゆる電子線モアレ法を用いることでその残留ひずみを算出し、その残留ひずみより残留応力を求めることができるのである。
【0021】
なお、電子線モアレ法を用いた具体的な残留ひずみの算出方法は、マスターグリッドとして平行格子状に走査される電子線を用い、モデルグリッドとして試料表面に試料とは二次電子発生量の異なる物質を蒸着して作製したグリッドを用い、電子線が試料表面に照射されたときに発生する二次電子量の違いが明暗の差を生じモアレ縞を形成させて行う。
【0022】
電子線走査はモデルグリッドと平行にモデルグリッドの間隔とはわずかに異なる間隔で行っており、電子線モアレ縞はそれらの間隔の異なる2つの直線群のミスマッチにより形成されるのであり、たとえば、図2(a)に示すように電子線の走査間隔(マスターグリッドの間隔)aとモデルグリッド間隔aにより間隔dで発生している電子線モアレ縞は図2(b)のように試料が引っ張り方向に負荷を受け、モデルグリッド間隔が大きくなりa’となるとモアレ縞の間隔はd’へと小さくなる。また図2(c)に示すように試料が圧縮方向に負荷を受けてモデルグリッドの間隔が小さくなりa”となるとモアレ縞の間隔は逆にd”へと大きくなる。
【0023】
したがって電子線モアレ縞は当初より電子線の走査間隔aがモデルグリッド間隔aより小さい場合は引っ張りひずみが大きいほど縞の間隔が密になり、ひずみが小さくなるほど縞の間隔が広くなる。このモアレ縞(7)の間隔によりモアレ縞の間隔をdとするとひずみεは以下の(1)式より求められる。
【0024】
【数1】
Figure 2005010003
(1)
このようにして求められた円孔部周辺のひずみは、通常はモアレ縞の間隔の密な円孔近傍が最も大きく、円孔より遠く離れるにしたがって小さくなる。このように電子線モアレ法は数百μm程度の微小領域で測定に十分なモアレ縞を得ることができ、微小領域内での局所ひずみ分布の観察・計測が可能となる。また、固体にかかる応力(ただし過大でない応力)はその応力により形成されるひずみ(弾性ひずみ)に比例するというHookeの法則により求めることができる。
【0025】
なお、強化繊維が炭素繊維のように直径が10μm程度となると、モデルグリッドの間隔が0.4μm以下と可視光の波長よりも小さくする必要があり、フォトリソグラフィーによるグリッドの作製が困難になるが、この場合は、電子線リソグラフィー等を用いてグリッドを作製する。
【0026】
以下、添付した図面に沿って実施例を示し、この出願の発明の実施の形態についてさらに詳しく説明する。もちろん、この発明は以下の例に限定されるものではなく、細部については様々な態様が可能であることは言うまでもない。
【0027】
【実施例】
<実施例1>
強化繊維として直径100μmのボロン(B)繊維を有し、母材をエポキシ樹脂とする繊維強化複合材料を、繊維の走る方向が表面に垂直になるように約1mmの厚さにスライスし、#600エメリーで研磨を行った後、0.05μmのアルミナで研磨し、強化繊維の周り500μm四方に1μm間隔の直径グリッドを図3のように作製した。
【0028】
まず、図3(a)(b)に示すように、研磨した試料(繊維強化複合材料)(8)にスピンコーター((株)エイブル製 マニュアルスピンナー302)を用いて均一に電子線レジスト(9)を塗布し、その後プリベーキングを行い電子線レジストを硬化させ、次に図3(c)に示すように塗布した電子線レジスト(9)上に走査型電子顕微鏡(トプコン製SX−40A)にパターンジェネレータおよびビームブランカーを取り付けた装置を用いて電子線(10)での走査を行い格子状に露光させた。そして図3(d)に示すように、溶剤にて電子線レジスト(9)の電子線が照射された部分を取り除きポストベーキングを行い、さらに、図3(e)に示すように試料(8)表面の電子線レジスト(9)の電子線が照射された部分を取り除いた部分に、二次電子発生量が試料(8)とは異なる物質である金(11)を蒸着させ、その後図3(f)に示すように電子レジスト(9)を取り除いて金(11)によるグリッドを作製した。
【0029】
以上のプロセスで用いる代表的な電子線レジスト、ポストベーキング温度および時間、プリベーキング温度および時間、溶剤の種類、蒸着物質の種類は表1のとおりである。
【0030】
【表1】
Figure 2005010003
この試料を実体顕微鏡、光学顕微鏡および走査型電子顕微鏡を用いて観察し、φ0.1mmのドリルの先を落としたもので、強化繊維の部分を実体顕微鏡で観察しながら押し出して落とした。
【0031】
強化繊維を複合材料より押し出した後の電子線モアレ縞写真を図4および図5に示す。図4は電子線を図の縦方向(上下方向)に等間隔で走査したときに生成する電子線モアレ縞であって、図5は電子線を図の横方向(左右方向)に等間隔で走査したときに生成する電子線モアレ縞である。円孔の直径は約100μmである。図4および図5のa−b間におけるこれらのモアレ縞の変形より円孔の円周方向および半径方向のひずみを求め、このひずみにより残留応力を算出した。その測定結果と有限要素法による計算結果(理論値であって、初期値を実測値に一致)により求めた残留応力のグラフを図6に示す。なお図6(a)は円孔の円周方向の残留応力であり、(b)は円孔の半径方向の残留応力を示している。図6より図4および5中のaからbへの半径方向および円周方向の残留応力の分布である残留応力の分布は、初期値を同じにした有限要素法の計算結果とよい一致をみた。
<実施例2>
次に実施例1と同様に作製した、強化繊維として直径100μmのボロン(B)繊維を有し、母材をエポキシ樹脂とする繊維強化複合材料からなりグリッドが描かれた試料に対し、直径約80μmの図7に示すような押し出し棒を用いて強化繊維の部分を、走査型電子顕微鏡を用いて観察しながら押し出して落とした。
【0032】
強化繊維の部分を落とした前後の電子線モアレ縞写真を観察したところ、図4、図5と同様の電子線モアレ縞が得られ、残留応力についても図6と同様の結果が得られた。
<実施例3>
強化繊維として直径約100μmのシリコンカーバイド(SiC)繊維を有し、母材をチタン合金とする繊維強化金属材料を繊維の走る方向が表面に垂直になるように約1mmの厚さにスライスし、#600エメリーで研磨後0.05μ、のアルミナで研磨し、強化繊維の周り500μm四方に1μm間隔の直径グリッドを実施例1と同様の方法で作製した。
【0033】
そのプロセスで用いる代表的な電子線レジスト、ポストベーキング温度および時間、プリベーキング温度および時間、溶剤の種類、蒸着物質の種類は表2のとおりである。
【0034】
【表2】
Figure 2005010003
この試料の強化繊維部分を、直径約0.1mmのドリルの先を落としたもので、実体顕微鏡観察しながら押し出して落とした。
【0035】
強化繊維を落とした後の電子線モアレ縞写真を図8および図9にそれぞれ示す。図8は電子線を図の横方向(左右方向)に等間隔で走査したときに生成する電子線モアレ縞であって、図9は電子線を図の縦方向(上下方向)に等間隔で走査したときに生成する電子線モアレ縞である。図8および図9のモアレ縞より算出したa−b間の円孔の円周方向および半径方向の残留応力と有限要素法による計算結果(理論値であって、初期値を実測値に一致)のグラフを図10に示す。図10中の△は円孔の円周方向の残留応力であって、図10中の□は円孔の半径方向の残留応力である。図10中の残留応力の分布は初期値を同じにした有限要素法の計算結果と良い一致を見た。
<実施例4>
実施例3と同じ試料を直径80μmの図7に示すような押し出し棒を用いて走査型電子顕微鏡内において観察しながら強化繊維の部分を押し出して落とした。
【0036】
強化繊維を落とした前後の電子線モアレ縞写真を観察した結果、図8および図9と同様の結果が得られた。残留応力についても図10と同様の結果が得られた。
<実施例5>
実施例3と同じ試料を同様の方法で観察した中で、強化繊維であるシリコンカーバイドと母材であるチタン合金との接合が不完全なため残留応力の不均一さを発見した例を図11に示す。強化繊維を押し出した後では強化繊維の円孔周辺の上部では電子線モアレ縞の間隔が激しく変形し間隔が広くなっているのに対し、下部では周辺の電子線モアレ縞より若干間隔が広くなるのみであった。半径方向の残留ひずみが上部のaの部分で450MPaであるのに対し、下部のbでは60MPaであった。このようにこの出願の発明により強化繊維と母材との接合が不完全なため残留応力の不均一さも測定することも可能となった。
【0037】
【発明の効果】
以上詳しく説明したとおり、この出願の発明によって、微小領域での繊維強化複合材料など複合材料の残留ひずみおよび残留応力をも正確に測定することのできる複合材料における残留ひずみおよび残留応力の測定方法が提供され、この出願の発明により、現在複合材料の主流である繊維強化複合材料や粒子分散強化複合材料などの作製条件を決定するに主な強化繊維や強化粒子の周囲の残留応力を測定することができ、複合材料の最適設計につながり、短時間で最強の複合材料を作製することができる。また合金設計においても介在物の大きさや残留応力との関係を調査でき、最良の合金成分や熱処理条件を決定することができる。そして複合材料の最適設計を行うことができれば、複合材料が広く用いられるようになり、特に高速輸送体の軽量化が図られるようになり、経済的な効果は極めて大きい。
【図面の簡単な説明】
【図1】この出願の発明の繊維強化複合材料における残留ひずみおよび残留応力の測定方法の工程の一実施形態を例示した正面斜視図である。
【図2】この出願の発明の繊維強化複合材料における残留ひずみおよび残留応力の測定方法に用いられる電子モアレ法の原理を示す正面図である。
【図3】この出願の発明の繊維強化複合材料における残留ひずみおよび残留応力の測定方法で用いられるグリッドの作製の工程の一実施形態を示す正面図である。
【図4】この出願の発明において、強化繊維を落とした後の横方向の電子線モアレ縞の写真の一例である。
【図5】この出願の発明において、強化繊維を落とした後の縦方向の電子線モアレ縞の写真の一例である。
【図6】この出願の発明における電子線モアレ縞より算出した円孔の周囲の半径方向および円周方向の残留応力と理論値の一例を示すグラフである。
【図7】この出願の発明における、押し出し棒を用いて強化繊維の部分を押し出す工程を示す走査型電子顕微鏡像である。
【図8】この出願の発明における円孔の周囲に観察される横方向の電子線モアレ縞の様子を示す走査型電子顕微鏡像である。
【図9】この出願の発明における円孔の周囲に観察される縦方向の電子線モアレ縞の様子を示す走査型電子顕微鏡像である。
【図10】この出願の発明における電子線モアレ縞より算出した円孔の周囲の半径方向および円周方向の残留応力と理論値の一例を示すグラフである。
【図11】シリコンカーバイド繊維が押し出された後の円孔の周囲に観察されるモアレ縞(横方向)の一例を示すグラフである。
【符号の説明】
1 繊維強化複合材料
2 グリッド
3 強化繊維
4 押し出し棒
5 母材
6 円孔
7 モアレ縞
8 試料(繊維強化複合材料)
9 電子線レジスト
10 電子線
11 金

Claims (3)

  1. 強化材と母材とからなる複合材料の表面の強化材の周囲に微小なグリッドを描き、強化材を押し出した前後あるいは後のグリッドの変形量を電子線モアレ法により測定して残留ひずみを算出し、その残留ひずみより残留応力を求めることを特徴とする複合材料における残留ひずみおよび残留応力の測定方法。
  2. 複合材料が繊維強化複合材料または粒子分散強化複合材料であることを特徴とする請求項1記載の複合材料における残留ひずみおよび残留応力の測定方法。
  3. 複合材料の表面の強化材の周囲に電子線リソグラフィー、フォトリソグラフィー、X線リソグラフィー、集束ビームによるイオンアシストデポジション、FIBリソグラフィー、FIBによるイオン研磨およびレプリカ法のうちのいずれかの方法を用いてグリッドを描くことを特徴とする請求項1または2に記載の複合材料における残留ひずみおよび残留応力の測定方法。
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