JPWO2018151086A1 - 電気化学発光セル及び電気化学発光セルの発光層形成用組成物 - Google Patents

電気化学発光セル及び電気化学発光セルの発光層形成用組成物 Download PDF

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Abstract

電気化学発光セル(10)は、電子及び正孔の輸送機能を有する高分子材料、該高分子材料から正孔及び電子を受け取って発光するか、又は該高分子材料上で正孔及び電子が結合して生成した励起子によって発光する発光材料、及び電解質を含む発光層(12)と、発光層(12)の各面に配された電極(13,14)とを有する。発光材料がピロメテン骨格を有する化合物である。発光層(12)は、電圧が印加されていない状態において、可視光の波長領域で無色透明であることが好適である。

Description

本発明は電気化学発光セルに関する。また本発明は電気化学発光セルの発光層形成用組成物に関する。
近年、電子と正孔をキャリアとして自発光する素子である有機電界発光素子(以下「有機EL素子」とも言う。)の開発が進展している。有機EL素子は、液晶素子のように自発光せずにバックライトが必要な素子よりも、薄型化及び軽量化が図れ、視認性に優れる等の特徴を有する。
有機EL素子は、一般に、各々の互いに対向する面に電極が形成された一対の基板と、一対の基板間に配された発光層とを備えている。このうち発光層は電圧が印加されることにより発光する発光物質を含む有機薄膜からなっている。有機EL素子を発光させる場合、陽極と陰極から有機薄膜に電圧を印加して正孔と電子を注入する。このことにより、有機薄膜中で正孔と電子を再結合させ、再結合により生成された励起子が基底状態に戻ることにより発光が得られる。
有機EL素子では、発光層の他に、該発光層と電極との間に、正孔や電子の注入効率を上げるための正孔注入層や電子注入層、並びに正孔と電子の再結合効率を向上させるための正孔輸送層や電子輸送層をそれぞれ設ける必要がある。このことに起因して、有機EL素子は多層構造となって構造が複雑になり、製造過程が多くなる。また有機EL素子では、陽極と陰極に用いる電極材料の選択に仕事関数を考慮する必要があるため制限が多い。
これらの問題に対処する自発光素子として、電気化学発光セル(Light-emitting Electrochemical Cells:LEC)が近年注目されている。電気化学発光セルは、一般に塩と有機系発光材料とを含む発光層を有する。電圧印加時には、発光層中で塩に由来するカチオン及びアニオンがそれぞれ陰極及び陽極に向かって移動し、これは電極界面における大きな電場勾配(電気二重層)をもたらす。形成される電気二重層は、陰極及び陽極それぞれにおける電子及び正孔の注入を容易にするので、電気化学発光セルでは有機EL素子のような多層構造が必要ない。また、電気化学発光セルでは陰極及び陽極として用いる材料の仕事関数を考慮する必要がないことから材料の制限が少ない。これらの理由から、電気化学発光セルは、有機EL素子に比べて製造コストを大幅に低減できる自発光素子として期待されている。
電気化学発光セルに関する従来の技術としては例えば特許文献1及び2に記載のものが知られている。これらの文献には発光体としてピロメテン系化合物を用い得ることが記載されている。
US2013006118A1 US2013324909A1
ところで電気化学発光セルは、高発光効率で高輝度に発光することが望まれている。上述した各特許文献に記載の技術では満足すべき発光効率や輝度を達成することはできなかった。
したがって本発明の課題は、前述した従来技術が有する種々の欠点を解消し得る電気化学発光セル及びそれに用いられる発光層用組成物を提供することにある。
本発明は、電子及び正孔の輸送機能を有する高分子材料、該高分子材料から正孔及び電子を受け取って発光するか、又は該高分子材料上で正孔及び電子が結合して生成した励起子によって発光する発光材料、及び電解質を含む発光層と、該発光層の各面に配された電極とを有し、該発光材料がピロメテン骨格を有する化合物である電気化学発光セルを提供するものである。
また本発明は、電子及び正孔の輸送機能を有する高分子材料、該高分子材料から正孔及び電子を受け取って発光するか、又は該高分子材料上で正孔及び電子が結合して生成した励起子によって発光する発光材料、及び電解質を含み、該発光材料がピロメテン骨格を有する化合物である、電気化学発光セルの発光層形成用組成物を提供するものである。
図1は、本発明の一実施形態における電気化学発光セルの概略断面図である。 図2は、電気化学発光セルの発光機構を示す概念図であり、図2(a)は電圧印加前の電気化学発光セルを示し、図2(b)は電圧印加後の電気化学発光セルを示す。 図3は、実施例1及び2並びに比較例1で得られた電気化学発光セルの発光輝度の測定結果を示すグラフである。 図4は、実施例1及び2並びに比較例1で得られた電気化学発光セルの発光効率の測定結果を示すグラフである。 図5は、実施例1で得られた電気化学発光セルにおける発光層の可視光透過率の測定結果を示すグラフである。 図6は、実施例3ないし5及び比較例2で得られた電気化学発光セルの発光輝度の測定結果を示すグラフである。 図7は、実施例3ないし5及び比較例2で得られた電気化学発光セルの発光効率の測定結果を示すグラフである。 図8は、実施例5で得られた電気化学発光セルにおける発光層の可視光透過率の測定結果を示すグラフである。
以下、本発明をその好ましい実施形態に基づき説明する。図1には、本発明の電気化学発光セルの一実施形態を示す厚み方向断面図が示されている。図1に示すとおり、本実施形態の電気化学発光セル10は、発光層12と、その各面に配された電極13,14とを有する。電気化学発光セル10は、電極13,14間に電圧が印加されることにより発光層12が発光するようになっている。電気化学発光セル10は、例えば各種ディスプレイ素子等として好適に使用されるものである。図1においては、電源として直流電源を用い、第1電極13を直流電源の陽極に接続し、第2電極14を陰極に接続している状態が示されている。しかしながら、図示とは反対に、第1電極13を陰極に接続し、第2電極14を陽極に接続してもよい。また、電源として直流電源の代わりに交流電源を用いることも可能である。
第1電極13及び第2電極14は、可視光の波長領域において透光性を有する透明電極であってもよいし、半透明又は不透明な電極であってもよい。透光性を有する透明電極としては、インジウムドープ酸化錫(ITO)やフッ素ドープ酸化錫(FTO)などの金属酸化物からなるものが挙げられる。また第1電極13及び第2電極14として、不純物を添加したポリ(3,4−エチレンジオキシチオフェン)(PEDOT)等の透明性を有する高分子からなるものを挙げることができる。半透明又は不透明な電極としては、例えば、アルミニウム、銀、金、白金、錫、ビスマス、銅、クロム等の金属材料が挙げられる。
第1電極13及び第2電極14のうち少なくとも一方を透明電極とすると、発光層12から発せられた光を容易に外部に取り出せるため好ましい。また一方を透明電極とし、他方を不透明な金属電極とした場合には、発光層12から発せられた光を金属電極で反射させつつ透明電極を介してセル外に取り出せるので好ましい。また、第1電極13及び第2電極14の両方を透明電極としてシースルー発光体としてもよい。更に、第1電極13及び第2電極14の両方を、高い反射率を有する材質であるAg等からなる金属電極とし、発光層12の膜厚を制御することで、電気化学発光セル10をレーザー発振素子とすることもできる。
第1電極13を透明電極とし、第2電極14を不透明又は半透明な金属電極とした場合、第1電極13は、適切な抵抗率及び光透過性を実現する観点から、例えば10nm以上500nm以下の厚さを有していることが好ましい。第2電極14は、第1電極13と同様に適切な抵抗率及び光透過性を実現する観点から、例えば10nm以上500nm以下の厚さを有していることが好ましい。
電気化学発光セル10における発光層12は、複数の成分が混合されてなる発光層形成用組成物から構成されている。発光層12は固体及び液体のいずれであってもよい。発光層12が固体であると、一定の形状を維持して、外から加えられる力に対抗することができることや、フレキシブルな素材、例えば伸縮可能な電極を発光層12と組み合わせることで、伸縮可能な電気化学発光セルを作製することができるので好ましい。
前記の発光層形成用組成物は、(ア)電子及び正孔の輸送機能を有する高分子材料、(イ)高分子材料から正孔及び電子を受け取って発光する発光材料、及び(ウ)電解質を含むものである。以下、これらの成分についてそれぞれ説明する。
<(ア)高分子材料>
高分子材料としては、電気化学発光セル10の発光層12において正孔及び電子の輸送機能を有するものが用いられる。そのような高分子材料としては、π電子が広い範囲にわたって非局在化したπ共役二重結合を有する高分子材料が挙げられる。また、高分子材料は、発光層12の発光に際して該高分子材料から発光材料へエネルギーを移動させ得るものであることが好ましく、この観点からバンドギャップが大きい物質であることも好ましい。また、効率的なエネルギー移動の観点から高分子材料の発光波長と発光材料の吸収波長の重なりが大きいほど好ましい。更に高分子材料は、可視光の波長領域において無色透明であることが好ましい。無色透明とは、電気化学発光セル10の発光層12の厚さと同じ厚さになるように高分子材料を成膜したときに、該膜の可視光領域における光透過率が70%以上であることを言う。可視光領域とは、450nm以上800nm以下の波長領域のことである。
電子及び正孔の輸送機能を有する高分子材料として好ましいものは例えばフルオレン骨格を有する高分子化合物、カルバゾール骨格を有する高分子化合物、σ共役系シリコンポリマー(ポリシラン系ポリマー、例えばポリビスパラブチルフェニルシランなど)、ポリフェニレン(例えばポリ(1,4フェニレン)など)等である。フルオレン骨格を有する高分子化合物としては、ポリマーの凝集を抑える観点から、Poly[(9,9-dioctylfluorenyl-2,7-diyl)-alt-co-(9,9'-spirobifluorene-2,7-diyl)]を用いることが好ましい。カルバゾール骨格を有する高分子化合物としては、Poly(N-vinylcarbazole)を用いることが好ましい。これらの高分子材料は1種を単独で、又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
発光層12を構成する組成物における高分子材料の量は、発光層12全体を100質量部としたときに、正孔及び電子の輸送機能を維持し、また固体の発光層としての物理的強度を保持する観点から、60質量部以上98質量部以下とすることが好ましく、70質量部以上95質量部以下とすることが更に好ましく、80質量部以上92質量部以下とすることが一層好ましい。
<(イ)発光材料>
発光材料としては、(ア)の高分子材料から正孔及び電子を受け取って発光する材料、又は高分子材料上で正孔及び電子が結合して生成した励起子によって発光する材料が用いられる。かかる材料として本発明ではピロメテン骨格を有する化合物を用いている。電気化学発光セルを初めとする各種の発光デバイスにピロメテン骨格を有する化合物を用いることは知られているが、電子及び正孔の輸送機能を有する高分子材料から正孔及び電子を受け取って発光するか、又は該高分子材料上で正孔及び電子が結合して生成した励起子によって発光する発光材料としてピロメテン骨格を有する化合物を用いることは、本発明者による初めての試みである。電気化学発光セルの発光材料としてピロメテン骨格を有する化合物を用いることで、意外にも高発光効率で高輝度に発光する電気化学発光セルが得られることを本発明者は知見したものである。
特に、ピロメテン骨格を有する化合物は、ピロメテン骨格を有する化合物の錯体であることが、高発光効率及び高輝度の電気化学発光セルを得る観点から好ましい。特に好ましく用いられるピロメテン骨格を有する化合物は、以下の式1で表される錯体である。
Figure 2018151086
式1で表される化合物において、R−Rで表されるアルキル基は、水素原子であるか又は炭素数1〜8の直鎖若しくは分岐鎖のものであることが好ましい。更に好ましくはR−Rで表されるアルキル基は、水素原子であるか又は炭素数1〜6の直鎖若しくは分岐鎖のものであり、一層好ましくは水素原子であるか又は炭素数1〜4の直鎖若しくは分岐鎖のものである。またR−RのうちR−Rは同種のアルキル基であり、且つR及びRは同種のアルキル基であって、R−Rとは異なるアルキル基であることが、一層高発光効率及び高輝度の電気化学発光セルを得る観点から好ましい。同様の観点から、R−RのうちR−Rは同種のアルキル基であり、且つR及びRは水素原子であることも好ましい。とりわけ、R−RのうちR−Rは同種のアルキル基であり、且つR及びRは同種のアルキル基であって、R−Rよりも炭素原子数の多いアルキル基であるか、若しくはR−Rよりも炭素原子数の少ないアルキル基であることが、更に一層高発光効率及び高輝度の電気化学発光セルを得る観点から好ましい。
−Rの具体例としては、R−Rはメチル基であることが好ましく、且つR及びRは直鎖又は分岐鎖の同種のブチル基であることが好ましい。また、R−Rはメチル基であることが好ましく、且つR及びRは水素原子であることが好ましい。
ピロメテン骨格を有する化合物として特に好ましいものは、例えば1,3,5,7,8−ペンタメチルピロメテン−ジフルオロボレート錯体、1,3,5,7,8−ペンタメチル−2,6−ジ−t−ブチルピロメテン−ジフルオロボレート錯体、1,3,5,7,8−ペンタメチル−2,6−ジ−n−ブチルピロメテン−ジフルオロボレート錯体,及び1,3,5,7,8−ペンタメチル−2,6−ジエチルピロメテン−ジフルオロボレート錯体などである。これらの中でも、1,3,5,7,8−ペンタメチルピロメテン−ジフルオロボレート錯体、1,3,5,7,8−ペンタメチル−2,6−ジ−t−ブチルピロメテン−ジフルオロボレート錯体、及び1,3,5,7,8−ペンタメチル−2,6−ジ−n−ブチルピロメテン−ジフルオロボレート錯体が更に好ましい。
発光材料として用いられるピロメテン骨格を有する化合物は発光効率の高い物質なので、少量の添加によって十分な輝度が得られる。この観点から、発光層12を構成する組成物における発光材料の量は、発光層12全体を100質量部としたときに、0.1質量部以上15質量部以下とすることが好ましく、1質量部以上10質量部以下とすることが更に好ましく、2質量部以上8質量部以下とすることが一層好ましい。このような少量の添加量に設定することで、電圧が印加されていない状態において、発光層12を、可視光の波長領域で無色透明にすることが容易となる。電圧が印加されていない状態において、発光層12を、可視光の波長領域で無色透明にできることは、電気化学発光セル10の利用分野を広げることに資する。例えば第1電極13を透明電極とし、且つ第2電極14を光反射性の金属電極とした場合に、発光層12を無色透明にすると、電圧が印加されていない場合には、電気化学発光セル10を鏡として使用することができ、電圧が印加されている場合にはディスプレイ素子として使用することができる。
発光層12が、可視光の波長領域で無色透明であるとは、可視光領域における発光層12の光透過率が70%以上であることを言う。発光層12の光透過率の測定方法については後述する。
<(ウ)電解質>
電解質は、発光層12において、イオンの移動性が確保され電気二重層が形成されやすく、正孔や電子の注入を容易にできる物質が好適に用いられる。そのような物質としてはイオン性化合物を用いることが好ましい。イオン性化合物としては、カチオン及びアニオンを含む化合物を用いることができる。また、イオン性化合物として有機カチオンの塩及び無機カチオンの塩のいずれも採用できる。有機カチオンの塩としては、カチオンがホスホニウムカチオン、アンモニウムカチオン、ピリジニウムカチオン、イミダゾリウムカチオン又はピロリジニウムカチオンであるものなどを用いることができる。無機カチオンの塩としては、第1族又は第2族に属する金属カチオンの塩が好ましく挙げられる。
イオン性化合物は有機塩及び無機塩のいずれであってもよい。有機塩の場合は、上述した有機カチオンの塩や無機カチオン及び有機アニオンからなる塩が挙げられる。無機塩の場合には、カチオンが前述の金属カチオン、例えばリチウムイオン又はカリウムイオンであるものなどを用いることができる。中でも、発光材料との相溶性が高い点から、カチオンがホスホニウムカチオン、アンモニウムカチオン及びイミダゾリウムカチオンから選ばれる少なくとも1種を用いることが好ましい。特に前記の発光材料と併用した場合に低い電圧で高い輝度が得やすい観点から、発光層12に用いるイオン性化合物としては、カチオンがホスホニウムカチオン及びアンモニウムカチオンから選ばれる少なくとも1種を用いることが好ましい。
カチオンがホスホニウムカチオン又はアンモニウムカチオンであるイオン性化合物としては、例えば、下記の式2で表される化合物が挙げられる。
Figure 2018151086
式中、R1、R2、R3及びR4は、それぞれ官能基で置換されていてもよい、アルキル基、アルコキシアルキル基、トリアルキルシリルアルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基又は複素環基を表す。R1、R2、R3及びR4は互いに同一でも異なっていてもよい。MはN又はPを表す。X-はアニオンを表す。
1、R2、R3及びR4で表されるアルキル基は分岐鎖状、直鎖状、環状のいずれでもよいが、分岐鎖状、直鎖状であるものが好ましい。分岐鎖状又は直鎖状のアルキル基の例としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、s−ブチル基、t−ブチル基、イソブチル基、n−アミル基、イソアミル基、t−アミル基、n−ヘキシル基、n−ヘプチル基、イソヘプチル基、t−ヘプチル基、n−オクチル基、イソオクチル基、2−エチルヘキシル基、t−オクチル基、ノニル基、イソノニル基、デシル基、イソデシル基、ウンデシル基、ドデシル基、トリデシル基、イソトリデシル基、テトラデシル基、ヘキサデシル基、オクタデシル基、イコシル基等が挙げられる。環状アルキル基の例としては、シクロペンチル基、シクロヘキシル基及びこれらの水素原子の一以上が前記の鎖状脂肪族炭化水素基のいずれかに置換された基が挙げられる。
1、R2、R3及びR4で表されるアルコキシアルキル基の例としては、上述したアルキル基のアルコキシドが挙げられる。
1、R2、R3及びR4で表されるトリアルキルシリルアルキル基中のアルキル基の例としては、上述したアルキル基が挙げられる。
1、R2、R3及びR4で表されるアルケニル基及びアルキニル基としては、ビニル基、アリル基、イソプロペニル基、2−ブテニル基、2−メチルアリル基、1,1−ジメチルアリル基、3−メチル−2−ブテニル基、3−メチル−3−ブテニル基、4−ペンテニル基、ヘキセニル基、オクテニル基、ノネニル基、デセニル基等の直鎖状又は分岐鎖状のアルケニル基や、エチニル基、プロパ−2−イン−1−イル基等のアルキニル基が挙げられる。
1、R2、R3及びRで表されるアリール基の例としては、フェニル基、ナフチル基、アントラセニル基、並びに、これらの芳香族環に結合した水素原子の1又は2以上が鎖状脂肪族炭化水素基に置換された基、例えばトリル基、キシリル基等が挙げられる。また、R1、R2、R3及びR4で表される複素環基の例としては、ピリジン、ピロール、フラン、イミダゾール、ピラゾール、オキサゾール、イミダゾリン、ピラジン等から誘導される一価の基が挙げられる。
1、R2、R3及びR4で表される基として前記で挙げた各基は、それに含まれる水素原子のうちの1個又は2個以上が官能基で置換されていてもよい。官能基としては、例えばハロゲン原子、アミノ基、ニトリル基、フェニル基、ベンジル基、カルボキシル基、炭素数が1以上12以下のアルコキシ基などが挙げられる。
1、R2、R3及びR4で表される基として前記で挙げた各基は、これらの基に含まれる水素原子が、一部フッ素原子で置換されていてもよい。フッ素原子を導入することにより耐電圧性が向上するため、電気化学発光セルの安定性、高寿命化につながる。
カチオンがホスホニウムカチオン又はアンモニウムカチオンであるイオン性化合物としては、式2で表される化合物との相溶性がよく、高い輝度が得られる観点、及び、発光材料との相溶性や耐電圧性の観点から、R1、R2、R3及びR4のうち、1又は2以上の基がアルキル基であることが好ましく、R1、R2、R3及びR4がいずれもアルキル基であることがより好ましい。またイオン性化合物と発光材料との相溶性を一層向上させることができる観点から、R1、R2、R3及びR4で表されるアルキル基の炭素原子数は、2以上18以下であることが好ましく、4以上8以下であることがより好ましい。
特に、R1、R2、R3及びR4で表されるアルキル基のうち、2個、3個又は4個が、炭素原子数が同じアルキル基である場合は、前記と同様の観点から、これら炭素原子数が同じアルキル基の炭素原子数が、2以上18以下であることが好ましく、4以上8以下であることがより好ましい。
式2で表される化合物におけるホスホニウムカチオン又はアンモニウムカチオンの分子量は、150以上750以下、特に200以上500以下、とりわけ250以上350以下であることが、電気化学発光セルの発光輝度が一層高くなり、発光輝度が一層優れたものになるため好ましい。
発光層12を構成する組成物におけるイオン性化合物の含有割合は、イオン移動度を確保し、且つ発光層12の製膜性を高める観点から、発光層12全体を100質量部としたときに、1質量部以上20質量部以下であることが好ましく、2質量部以上10質量部以下であることが更に好ましい。また、発光層12中のイオン性化合物の含有量は、発光材料100質量部に対し、1質量部以上25質量部以下であることが好ましい。
<(エ)その他の成分>
発光層12には、高分子材料、発光材料及び電解質以外のその他の成分を含有させていてもよい。そのような物質としては、例えば界面活性剤、製膜性向上のためのポリマー成分(ポリスチレン、ポリメタクリル酸メチル(PMMA)等)、高分子材料、発光材料及び電解質の相溶性を向上させて膜質改善を図ることのできる成分(トリス(2−エチルヘキシル)ホスフェート、トリブチルホスフェート等のリン酸エステル類、ジブチルフタレート、ジイソノニルフタレート、ビス(2−エチルヘキシル)フタレート等のカルボン酸エステル類)等を挙げることができる。発光材料及び電解質の相溶性を向上させて膜質改善を図ることのできる成分としては、発光材料及び電解質を溶解できる耐電圧性を有する有機化合物であるという観点から、ジブチルフタレートを用いることが好ましい。その他の成分(ただし溶媒を除く)の量は、発光層12全体を100質量部としたときに、30質量部以下とすることが好ましく、20質量部以下とすることが更に好ましく、10質量部以下とすることが特に好ましい。
以上の各成分を含有する組成物から構成される発光層12の膜厚は、20nm以上300nm以下であることが好ましく、50nm以上150nm以下であることがより好ましい。発光層12の膜厚がこの範囲であると、発光層12から十分かつ効率よく発光を得ることができることや発光予定部分の欠陥を抑えることができ短絡防止になること等の観点から好ましい。
本実施形態の電気化学発光セル10は、例えば以下の製造方法により好適に製造できる。まず、第1電極13が設けられた基板を準備する。第1電極13を例えばITO(インジウムドープ酸化スズ)から形成する場合は、ガラス基板等の表面に、フォトリソグラフィー法又はフォトリソグラフィー法及びリフトオフ法を組み合わせて用いてITOの蒸着膜をパターン状に形成すればよい。
次に、有機溶媒に、電子及び正孔の輸送機能を有する高分子材料、該高分子材料から正孔及び電子を受け取って発光する発光材料、及び電解質を溶解又は分散して、電気化学発光セルの発光層形成用組成物を調製する。電子及び正孔の輸送機能を有する高分子材料、該高分子材料から正孔及び電子を受け取って発光する発光材料、及び電解質を効率よく混合する等の観点から、有機溶媒としてトルエン、ベンゼン、キシレン、テトラヒドロフラン、ジメチルクロライド、シクロヘキサノン、モノクロロベンゼン、ジクロロベンゼン及びクロロホルムからなる群から選ばれる少なくとも1種の有機溶媒を含有することが好ましい。この場合、有機溶媒として、これらの化合物の1種のみを、又は2種以上を組み合わせたもののみを用いることができる。或いは、これらの化合物の溶解性等の特性を損なわない範囲で、メタノールやエタノール等の他の有機溶媒と混合して用いることもできる。すなわち、電子及び正孔の輸送機能を有する高分子材料、該高分子材料から正孔及び電子を受け取って発光する発光材料、及び電解質を溶解ないし分散する有機溶媒は、トルエン、ベンゼン、キシレン、テトラヒドロフラン、ジメチルクロライド、シクロヘキサノン、モノクロロベンゼン、ジクロロベンゼン及びクロロホルムからなる群から選ばれる少なくとも1種の有機溶媒と、それ以外の有機溶媒とを含有することができる。
前記の発光層形成用組成物を、基板の第1電極13上に、スピンコーティング法等の薄膜形成手段によって塗布する。その後、この塗布によって形成された塗膜を乾燥させて有機溶媒を除去し、発光層12を形成する。発光層形成用組成物の調製及び発光層12の形成は、好ましくは水分率100ppm以下の不活性ガス雰囲気下で行うことが好ましい。この場合の不活性ガスとしては、アルゴン、窒素、ヘリウム等が好適に用いられる。
次に、形成された発光層12の表面に第2電極14を形成する。例えば、マスクを介した真空蒸着法等によって発光層12上にアルミニウムを膜状に蒸着することができる。これによって所定のパターンからなる第2電極14を形成できる。以上の操作よって、図1に示す構造の電気化学発光セル10が得られる。
本実施形態の電気化学発光セル10は、以下の発光機構により発光する。図2(a)及び(b)に示すとおり、例えば第1電極13が陽極となり第2電極14が陰極となるように発光層12に電圧を印加する。その結果、発光層12内のイオンが電界に沿って移動し、発光層12における第1電極13との界面近傍にアニオン種が集まった層が形成される。一方、発光層12における第2電極14との界面近傍にカチオン種が集まった層が形成される。このようにして、それぞれの電極の界面に電気二重層が形成される。これにより陽極である第1電極13近傍にpドープ領域16が自発形成され、且つ陰極である第2電極14近傍にnドープ領域17が自発形成される。そして、これらのドープ領域が高キャリア密度のp−i−n接合を構成する。その後、陽極と陰極から発光層12のpドープ領域及びnドープ領域に正孔と電子がそれぞれ注入される。正孔と電子がi層で再結合する。再結合した正孔と電子とから励起子が生成され、この励起子が基底状態に戻ることにより発光材料から光が発せられる。このようにして、発光層12から発光が得られる。所望の波長の光を得るためには、最高被占軌道(Highest Occupied Molecular Orbital)と最低空軌道(Lowest Unoccupied Molecular Orbital)のエネルギー差(バンドギャップ)が当該所望の波長に対応する発光材料を選択すればよい。
以下、実施例により本発明を更に詳細に説明する。しかしながら本発明の範囲は、かかる実施例に制限されない。特に断らない限り、「%」は「質量%」を意味する。
〔実施例1〕
図1に示す構造の電気化学発光セル10を製造した。市販のITO膜付きガラス基板(ジオマテック株式会社製、ITO膜厚200nm)を第1電極13として用いた。
以下の表1に示す高分子材料、イオン性化合物、及び発光材料としてのピロメテン546(1,3,5,7、8−ペンタメチルピロメテン−ジフルオロボレート錯体)を用い、これらの混合溶液を調製した。具体的には、アルゴン雰囲気のグローブボックス中、室温下で高分子材料のモノクロロベンゼン溶液(濃度:9g/L)と、イオン性化合物のモノクロロベンゼン溶液(濃度:9g/L)と、ピロメテン546のモノクロロベンゼン溶液(濃度:4.5g/L)とを質量比で高分子材料溶液:イオン性化合物溶液:ピロメテン546溶液=80:15:5で混合して発光層形成用組成物を調製した。
次に、アルゴン雰囲気のグローブボックス中、室温下でガラス基板の第1電極13上に、前記で調製された発光層形成用組成物をスピンコートによって塗布し製膜した。更に80℃のホットプレート上でガラス基板を30分間加熱してモノクロロベンゼンを蒸発させた。このようにして、100nmの膜厚からなる固体状の発光層12を形成した。
更に、形成された発光層12上に、蒸着法によって50nm厚さのアルミニウムからなる第2電極14を形成した。このようにして、発光予定部分の面積が2mm×2mm角からなる電気化学発光セル10を製造した。
〔実施例2〕
実施例1において、発光材料としてのピロメテン546の代わりにピロメテン597(1,3,5,7,8−ペンタメチル−2,6−ジ−t−ブチルピロメテン−ジフルオロボレート錯体)を使用したこと以外は実施例1と同じ操作を行った。ピロメテン597のモノクロロベンゼン溶液は室温下で調製した。ピロメテン597のモノクロロベンゼン溶液の濃度は9g/Lに設定した。このようにして発光層形成用組成物を調製し、この組成物を用いて電気化学発光セルを製造した。
〔実施例3〕
実施例1において、下記のように発光層形成用組成物を調製した。表1に示す高分子材料に、イオン性化合物のモノクロロベンゼン溶液(濃度:18g/L)と、ピロメテン546のモノクロロベンゼン溶液(濃度:4.5g/L)と、添加剤としてジブチルフタレートのシクロヘキサノン溶液(濃度:18g/L)とを質量比で高分子材料溶液:イオン性化合物溶液:ピロメテン546溶液:添加剤溶液=47.5:23.75:23.75:5で混合して発光層形成用組成物を調製した。また、発光層形成用組成物を塗布したガラス基板を加熱してモノクロロベンゼン及びシクロヘキサノンを蒸発させた。これら以外は実施例1と同様にして電気化学発光セル10を製造した。
〔実施例4〕
実施例3において、発光材料としてのピロメテン546の代わりにピロメテン580(1,3,5,7,8−ペンタメチル−2,6−ジ−n−ブチルピロメテン−ジフルオロボレート錯体)を使用したこと以外は実施例3と同じ操作を行った。ピロメテン580のモノクロロベンゼン溶液は室温下で調製した。ピロメテン580のモノクロロベンゼン溶液の濃度は9g/Lに設定した。このようにして発光層形成用組成物を調製し、この組成物を用いて電気化学発光セルを製造した。
〔実施例5〕
実施例3において、発光材料としてのピロメテン546の代わりにピロメテン597(1,3,5,7,8−ペンタメチル−2,6−ジ−t−ブチルピロメテン−ジフルオロボレート錯体)を使用したこと以外は実施例1と同じ操作を行った。ピロメテン597のモノクロロベンゼン溶液は室温下で調製した。ピロメテン597のモノクロロベンゼン溶液の濃度は9g/Lに設定した。このようにして発光層形成用組成物を調製し、この組成物を用いて電気化学発光セルを製造した。
〔比較例1〕
実施例1において、ピロメテン546を添加しないこと以外は実施例1と同じ操作を行った。このようにして発光層形成用組成物を調製し、この組成物を用いて電気化学発光セルを製造した。
〔比較例2〕
実施例3において、ピロメテン546を添加しないこと以外は実施例3と同じ操作を行った。このようにして発光層形成用組成物を調製し、この組成物を用いて電気化学発光セルを製造した。
〔評価〕
実施例及び比較例で得られた電気化学発光セルについて、発光輝度を測定した。その結果を以下の表1に示す。また実施例及び比較例で得られた電気化学発光セルについて、電流の経時変化を測定した。その結果を図3及び図6に示す。更に、実施例及び比較例で得られた電気化学発光セルについて、発光効率を測定した。その結果を図4及び図7に示す。更に、実施例1及び5で得られた電気化学発光セルについて、発光層の透過率を測定した結果を、それぞれ図5及び図8に示す。発光輝度、電流の経時変化、発光効率及び透過率は以下の方法で測定した。
〔発光輝度、電流の経時変化及び発光効率〕
電気化学発光セルの第1電極を直流電流の陽極に接続し、第2電極を陰極に接続した。電圧を0Vから10Vまで60秒かけて線形に掃引し、その間の輝度の最高値を発光輝度とした。また、このときの電流の経時変化を測定した。更に、発光面積(m)とその輝度(cd/m)での電流値(A)に基づき発光効率(cd/A)を算出した。測定はコニカミノルタ株式会社のLS−110を用いて行った。
〔透過率〕
電気化学発光セルの製造過程において、発光層12を形成した後であって、第2電極14を形成する前に、450nm以上800nm以下の波長領域における発光層の透過率を測定した。測定は株式会社日立ハイテクノロジーズの分光光度計U−2910を用いて行った。ブランクは、ITO膜付きガラス基板(ジオマテック株式会社製、ITO膜厚200nm)とした。
Figure 2018151086
表1から、高分子材料としてPFO−spiro(Poly[(9,9-dioctylfluorenyl-2,7-diyl)-alt-co-(9,9'-spirobifluorene-2,7-diyl)])を含み、発光材料としてピロメテン骨格を有する化合物を含む発光層を備えた実施例1及び2の電気化学発光セルの方が、該化合物を含まない発光層を備えた比較例1の電気化学発光セルよりも、発光輝度が高いことが判る。
また図3から、発光材料としてピロメテン骨格を有する化合物を含む発光層を備えた実施例1及び2の電気化学発光セルの方が、該化合物を含まない発光層を備えた比較例1の電気化学発光セルよりも、一層低電圧側で多くの電流が流れていることが判る。このことは、比較例1よりも実施例1及び2の方が、発光材料のドープが促進されていることを意味する。
また図4から、同じ電圧で比較した場合、実施例1及び2の方が比較例1よりも発光効率に優れていることが判る。
更に図5から、実施例1の電気化学発光セルにおける発光層は、450nm以上800nm以下の波長領域における最大吸収波長での透過率が82.3%であり、該発光層が無色透明であることが判る。
また表1から、高分子材料としてPVK(Poly(N-vinylcarbazole))を含み、発光材料としてピロメテン骨格を有する化合物を含む発光層を備えた実施例3、4及び5の電気化学発光セルの方が、該化合物を含まない発光層を備えた比較例2の電気化学発光セルよりも、発光輝度が高いことが判る。
また図6から、発光材料としてピロメテン骨格を有する化合物を含む発光層を備えた実施例3及び5の電気化学発光セルの方が、該化合物を含まない発光層を備えた比較例2の電気化学発光セルよりも、一層低電圧側で多くの電流が流れていることが判る。
また図7から、同じ電圧で比較した場合、実施例3、4及び5の方が比較例2よりも発光効率に優れていることが判る。
更に図8から、実施例5の電気化学発光セルにおける発光層は、450nm以上800nm以下の波長領域における最大吸収波長での透過率が88.3%であり、該発光層が無色透明であることが判る。
本発明によれば、高発光効率で高輝度に発光する電気化学発光セルが提供される。

Claims (8)

  1. 電子及び正孔の輸送機能を有する高分子材料、該高分子材料から正孔及び電子を受け取って発光するか、又は該高分子材料上で正孔及び電子が結合して生成した励起子によって発光する発光材料、及び電解質を含む発光層と、該発光層の各面に配された電極とを有し、該発光材料がピロメテン骨格を有する化合物である電気化学発光セル。
  2. 前記発光層は、電圧が印加されていない状態において、可視光の波長領域で無色透明である請求項1に記載の電気化学発光セル。
  3. 前記発光材料がピロメテン骨格を有する化合物の錯体である請求項1に記載の電気化学発光セル。
  4. 前記発光材料が式1で表される構造を有する化合物である請求項3に記載の電気化学発光セル。
    Figure 2018151086
  5. 前記高分子材料が可視光の波長領域で無色透明である請求項1ないし4のいずれか一項に記載の電気化学発光セル。
  6. 前記高分子材料がフルオレン骨格を有する化合物又はカルバゾール骨格を有する化合物である請求項5に記載の電気化学発光セル。
  7. 前記電解質がイオン性化合物である請求項1ないし6のいずれか一項に記載の電気化学発光セル。
  8. 電子及び正孔の輸送機能を有する高分子材料、該高分子材料から正孔及び電子を受け取って発光するか、又は該高分子材料上で正孔及び電子が結合して生成した励起子によって発光する発光材料、及び電解質を含み、該発光材料がピロメテン骨格を有する化合物である、電気化学発光セルの発光層形成用組成物。
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