JPWO2018151046A1 - 肺線維症治療剤、ptprr発現促進剤及び肺線維症治療用キット - Google Patents

肺線維症治療剤、ptprr発現促進剤及び肺線維症治療用キット Download PDF

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Abstract

本発明は、現在有効な薬物療法が確立されていない肺線維症の新規治療剤を提供することを目的とする。本発明は、間葉系幹細胞を含有する、肺線維症治療剤である。上記肺線維症は、通常型間質性肺炎(UIP)、又は特発性肺線維症(IPF)であることが好ましい。また、上記間葉系幹細胞は脂肪組織由来、他家由来であることが好ましい。

Description

本発明は、肺線維症治療剤、PTPRR発現促進剤及び肺線維症治療用キットに関する。
特発性間質性肺炎(IIP)とは、類似する臨床像を共有する、原因不明の間質性肺炎疾患群であり、組織型により6つのサブタイプに分類される。その全てが程度は異なるが炎症と線維化を特徴とし、いずれも呼吸困難及び典型的なX線異常を引き起こす。特発性間質性肺炎の組織型による6つのサブタイプは頻度の高い順に、通常型間質性肺炎(UIP)、非特異的間質性肺炎、器質化肺炎を伴う閉塞性細気管支炎、呼吸細気管支炎を伴う間質性肺疾患(ILD)、剥離性間質性肺炎及び急性間質性肺炎である。
特発性肺線維症(IPF、特発性線維化肺胞炎)は、組織型分類の上記UIPと同一のもので、IIP症例の50%を占める。IPFは肺炎と呼ばれるが、炎症が果たす役割は小さく、環境、遺伝、又は他の未知の要因がまず肺胞上皮細胞の損傷を誘発すると考えられている。そして持続的かつ異常な間質繊維芽細胞及び間葉細胞の増殖(コラーゲン沈着及び線維化を伴う)が臨床的な疾患の発現原因と考えられている。診断時にほとんどの患者は中等度から重度の臨床疾患を有しており、治療にもかかわらず悪化する。現在、IPFに対して効果が証明されている特異的な治療法はない。従来より経験的にコルチコステロイド及び細胞毒性薬(シクロホスファミド、アザチオプリン)が、炎症の進行を止める目的でIPF患者に投与されているが、その有効性を支持するデータは限られている(非特許文献1)。
抗線維化薬であるピルフェニドンやニンテダニブは、肺線維症モデルとして汎用される「ブレオマイシンモデル」を用いて、その薬効が確認されている。しかし、「ブレオマイシンモデル」は肺線維症の病態とは必ずしも一致せず、ピルフェニドンやニンテダニブは、病状の進行を抑制する効果が認められるのみである。さらに、「ブレオマイシンモデル」で有効性が示唆された薬物を用いた臨床試験において、IPF患者に対して有効な治療効果が得られないことがほとんどであることが報告されており(非特許文献2)、「ブレオマイシンモデル」で肺疾患に対する効果が認められたからと言って、実際に肺線維症に効果が認められるとは言えない状態である。また、肺線維症の治療法としては肺移植があるが、ドナーが不足している上に、移植した際の拒絶反応も問題となっている。そのため、肺線維症の新規治療法の開発が望まれている。
一方、間葉系幹細胞は、Friedenstein(1982)によって初めて骨髄から単離された多分化能を有する前駆細胞である(非特許文献3)。この間葉系幹細胞は、骨髄、臍帯、脂肪等の様々な組織に存在することが明らかにされており、間葉系幹細胞移植は、様々な難治性疾患に対する新しい治療方法として、期待されている(特許文献1〜4)。最近では、脂肪組織、胎盤、臍帯、卵膜等の胎児付属物の間質細胞に同等の機能を有する細胞が存在することが知られている。従って、間葉系幹細胞を間質細胞(Mesenchymal Stromal Cell)と称することもある。
特表2002−506831号公報 特表2000−508911号公報 特開2012−157263号公報 特表2012−508733号公報
メルクマニュアル 第18版 日本語版, pp.466−471, 2007年2月22日, 日経BP社発行 Timothy S. B. et al., American Journal of Respiratory and Critical Care Medicine, p.214−222,189(2), 2014 Pittenger F. M. et al., Science 284, pp.143−147, 1999
本発明は、上述のような状況の中、現在有効な薬物療法が確立されていない肺線維症、特に特発性肺線維症(IPF)の新規治療剤を提供することを目的とする。
上記課題を解決するために本発明者らは、肺線維化病変組織から採取した細胞を用いて、間葉系幹細胞の肺線維症に対する治療効果について検証した。その結果、間葉系幹細胞が、線維化を抑制できることを見出した。本発明は、肺線維症の新規治療剤を提供するものである。すなわち本発明の要旨は、以下の通りである。
[1]間葉系幹細胞を含有する、肺線維症治療剤。
[2]肺線維症が、通常型間質性肺炎(UIP)、又は特発性肺線維症(IPF)である[1]に記載の肺線維症治療剤。
[3]間葉系幹細胞が脂肪組織由来である[1]又は[2]に記載の肺線維症治療剤。
[4]間葉系幹細胞が他家由来である、[1]〜[3]のいずれかに記載の肺線維症治療剤。
[5]PTPRR発現促進剤を含有する、肺線維症治療剤。
[6]PTPRR発現促進剤が、リン酸化ERKを脱リン酸化する、[5]に記載の肺線維症治療剤。
[7][1]〜[6]のいずれかに記載の肺線維症治療剤、容器及びラベルを含む、肺線維症治療用キット。
本発明によると、肺線維症の新規治療剤、PTPRR発現促進剤及び肺線維症の新規治療用キットを提供することができる。
図1は、肺線維化病変由来細胞の線維化関連遺伝子発現(α−SMA、CDH2、Collagen1)に対する、本発明の肺線維症治療剤の効果を示す図である。 図2は、肺線維化病変由来細胞内のリン酸化ERK分子の脱リン酸化における、本発明の肺線維症治療剤の効果を示す図である。 図3は、肺胞上皮様細胞株の線維化関連遺伝子発現(α−SMA、CDH2、FN1)に対する、本発明の肺線維症治療剤の効果を示す図である。 図4は、肺線維化病変由来細胞を投与した重症複合免疫不全マウス(肺線維症モデル)の肺の組織像を示す図である。
本発明の肺線維症治療剤、及び肺線維症治療用キットについて詳細に説明する。
<肺線維症治療剤>
本発明の肺線維症治療剤は、間葉系幹細胞を含む。間葉系幹細胞は、肺線維化を起こしている組織の細胞に対して作用し、細胞の線維化関連遺伝子の発現を低下させる効果を奏する。また、細胞レベルのみでなく、線維化をおこしている動物に間葉系幹細胞を投与することで、線維化を軽減させることが期待できる。本発明における肺線維症治療剤は、間葉系幹細胞以外に、本発明の効果を損なわない範囲で、その他の成分を含有していてもよい。以下に間葉系幹細胞、その他の成分について詳細に説明する。
(間葉系幹細胞)
本発明において間葉系幹細胞とは、間葉系に属する一種以上、好ましくは二種以上、更に好ましくは三種以上の細胞(骨細胞、心筋細胞、軟骨細胞、腱細胞、脂肪細胞など)への分化能を有し、当該能力を維持したまま増殖できる細胞を意味する。本発明において用いる間葉系幹細胞なる用語は、間質細胞と同じ細胞を意味し、両者を特に区別するものではない。また、単に間葉系細胞と表記される場合もある。間葉系幹細胞を含む組織としては、例えば、脂肪組織、臍帯、骨髄、臍帯血、子宮内膜、胎盤、羊膜、絨毛膜、脱落膜、真皮、骨格筋、骨膜、歯小嚢、歯根膜、歯髄、歯胚等が挙げられる。例えば脂肪組織由来間葉系幹細胞とは、脂肪組織に含有される間葉系幹細胞を意味し、脂肪組織由来間質細胞と称してもよい。これらのうち、肺線維症の治療に対する有効性の観点、入手容易性の観点等から、脂肪組織由来間葉系幹細胞、臍帯由来間葉系幹細胞、骨髄由来間葉系幹細胞、胎盤由来間葉系幹細胞、歯髄由来間葉系幹細胞が好ましく、脂肪組織由来間葉系幹細胞、臍帯由来間葉系幹細胞がより好ましく、脂肪組織由来間葉系幹細胞がさらに好ましい。
本発明における間葉系幹細胞は、処置される対象(被検体)と同種由来であってもよいし、異種由来であってもよい。本発明における間葉系幹細胞の種として、ヒト、サル、ウマ、ウシ、ヒツジ、ブタ、イヌ、ネコ、ラビット、マウス、ラットが挙げられ、好ましくは処置される対象(被検体)と同種由来細胞である。本発明における間葉系幹細胞は、処置される対象(被検体)に由来、すなわち自家細胞(同種同系)であってもよいし、同種の別の対象に由来、すなわち他家細胞(同種異系)であってもよい。好ましくは他家細胞(同種異系)である。
間葉系幹細胞は同種異系の被験体に対しても拒絶反応を起こしにくいため、あらかじめ調製されたドナーの細胞を拡大培養して凍結保存したものを、本発明の肺線維症治療剤における間葉系幹細胞として使用することができる。そのため、自己の間葉系幹細胞を調製して用いる場合と比較して、商品化も容易であり、かつ安定して一定の効果を得られ易いという観点から、本発明における間葉系幹細胞は、同種異系であることがより好ましい。
本発明において間葉系幹細胞とは、間葉系幹細胞を含む任意の細胞集団を意味する。当該細胞集団は、少なくとも20%以上、好ましくは、30%、40%、50%、60%、70%、75%、80%、85%、90%、93%、96%、97%、98%又は99%が間葉系幹細胞である。
本発明において脂肪組織とは、脂肪細胞、及び微小血管細胞等を含む間葉系幹細胞を含有する組織を意味し、例えば、哺乳動物の皮下脂肪を外科的切除又は吸引して得られる組織である。脂肪組織は、皮下脂肪より入手され得る。後述する脂肪組織由来間葉系幹細胞の投与対象と同種動物から入手されることが好ましく、ヒトへ投与することを考慮すると、より好ましくは、ヒトの皮下脂肪である。皮下脂肪の供給個体は、生存していても死亡していてもよいが、本発明において用いる脂肪組織は、好ましくは、生存個体から採取された組織である。個体から採取する場合、脂肪吸引は、例えば、PAL(パワーアシスト)脂肪吸引、エルコーニアレーザー脂肪吸引、又は、ボディジェット脂肪吸引などが例示され、細胞の状態を維持するという観点から、超音波を用いないことが好ましい。
本発明において臍帯とは、胎児と胎盤を結ぶ白い管状の組織であり、臍帯静脈、臍帯動脈、膠様組織(ウォートンジェリー;Wharton’s Jelly)、臍帯基質自体等から構成され、間葉系幹細胞を多く含む。臍帯は、本発明の肺線維症治療剤を使用する被験体(投与対象)と同種動物から入手されることが好ましく、本発明の肺線維症治療剤をヒトへ投与することを考慮すると、より好ましくは、ヒトの臍帯である。
本発明において骨髄とは、骨の内腔を満たしている柔組織のことをいい、造血器官である。骨髄中には骨髄液が存在し、その中に存在する細胞を骨髄細胞と呼ぶ。骨髄細胞には、赤血球、顆粒球、巨核球、リンパ球、脂肪細胞等の他、間葉系幹細胞、造血幹細胞、血管内皮前駆細胞等が含まれている。骨髄細胞は、例えば、ヒト腸骨、長管骨、又はその他の骨から採取することができる。
本発明において、脂肪組織由来間葉系幹細胞、臍帯由来間葉系幹細胞、骨髄由来間葉系幹細胞といった各組織由来間葉系幹細胞とは、それぞれ脂肪組織由来間葉系幹細胞、臍帯由来間葉系幹細胞、骨髄由来間葉系幹細胞といった各組織由来間葉系幹細胞を含む任意の細胞集団を意味する。当該細胞集団は、少なくとも20%以上、好ましくは、30%、40%、50%、60%、70%、75%、80%、85%、90%、93%、96%、97%、98%又は99%が、脂肪組織由来間葉系幹細胞、臍帯由来間葉系幹細胞、骨髄由来間葉系幹細胞といった各組織由来間葉系幹細胞である。
本発明における間葉系幹細胞は、成長特徴(例えば、継代から老化までの集団倍加能力、倍加時間)、核型分析(例えば、正常な核型、母体系統又は新生児系統)、フローサイトメトリー(例えば、FACS分析)による表面マーカー発現、免疫組織化学及び/又は免疫細胞化学(例えば、エピトープ検出)、遺伝子発現プロファイリング(例えば、遺伝子チップアレイ;逆転写PCR、リアルタイムPCR、従来型PCR等のポリメラーゼ連鎖反応)、miRNA発現プロファイリング、タンパク質アレイ、サイトカイン等のタンパク質分泌(例えば、血漿凝固解析、ELISA、サイトカインアレイ)、代謝産物(メタボローム解析)、本分野で知られている他の方法等によって、特徴付けられてもよい。
(間葉系幹細胞の調製方法)
間葉系幹細胞は、当業者に周知の方法により調製することができる。以下に、一つの例として、脂肪組織由来間葉系幹細胞の調製方法を説明する。脂肪組織由来間葉系幹細胞は、例えば米国特許第6,777,231号に記載の製造方法によって得られて良く、例えば、以下の工程(i)〜(iii)を含む方法で製造することができる:
(i) 脂肪組織を酵素による消化により細胞懸濁物を得る工程;
(ii) 細胞を沈降させ、細胞を適切な培地に再懸濁する工程;ならびに
(iii) 細胞を固体表面で培養し、固体表面への結合を示さない細胞を除去する工程。
工程(i)において用いる脂肪組織は、洗浄されたものを用いることが好ましい。洗浄は、生理学的に適合する生理食塩水溶液(例えばリン酸緩衝食塩水(PBS))を用いて、激しく攪拌して沈降させることによって行い得る。これは、脂肪組織に含まれる夾雑物(デブリとも言い、例えば損傷組織、血液、赤血球など)を組織から除去するためである。したがって、洗浄及び沈降は一般に、上清からデブリが総体的に除去されるまで繰り返される。残存する細胞は、さまざまなサイズの塊として存在するので、細胞そのものの損傷を最小限に抑えながら解離させるため、洗浄後の細胞塊を、細胞間結合を弱めるか、又は破壊する酵素(例えば、コラゲナーゼ、ディスパーゼ又はトリプシンなど)で処理することが好ましい。このような酵素の量及び処理期間は、使用される条件に依存して変わるが、当技術分野で既知である。このような酵素処理に代えて、又は併用して、細胞塊を、機械的な攪拌、超音波エネルギー、熱エネルギーなどの他の処理法で分解することができるが、細胞の損傷を最小限に抑えるため、酵素処理のみで行うことが好ましい。酵素を用いた場合、細胞に対する有害な作用を最小限に抑えるために、適切な期間をおいた後に培地等を用いて酵素を失活させることが望ましい。
工程(i)により得られる細胞懸濁物は、凝集状の細胞のスラリー又は懸濁物、ならびに各種夾雑細胞、例えば赤血球、平滑筋細胞、内皮細胞、及び線維芽細胞を含む。従って、続いて凝集状態の細胞とこれらの夾雑細胞を分離、除去してもよいが、後述する工程(iii)での接着及び洗浄により、除去可能であることから、当該分離、除去は割愛してもよい。夾雑細胞を分離、除去する場合、細胞を上清と沈殿に強制的に分ける遠心分離によって達成しえる。得られた夾雑細胞を含む沈殿は、生理学的に適合する溶媒に懸濁させる。懸濁状の細胞には、赤血球を含む恐れがあるが、後述する個体表面への接着による選択により、赤血球は除外されるため、溶解する工程は必ずしも必要ではない。赤血球を選択的に溶解する方法として、例えば、塩化アンモニウムによる溶解による高張培地又は低張培地中でのインキュベーションなど、当技術分野で周知の方法を使用することができる。溶解後、例えば濾過、遠心沈降、又は密度分画によって溶解物を所望の細胞から分離してもよい。
工程(ii)において、懸濁状の細胞において、間葉系幹細胞の純度を高めるために、1回もしくは連続して複数回洗浄し、遠心分離し、培地に再懸濁してもよい。この他にも、細胞を、細胞表面マーカープロファイルを基に、又は細胞のサイズ及び顆粒性を基に分離してもよい。
再懸濁において用いる培地は、間葉系幹細胞を培養できる培地であれば、特に限定されないが、このような培地は、基礎培地に、血清を添加する、及び/又は、アルブミン、トランスフェリン、脂肪酸、インスリン、亜セレン酸ナトリウム、コレステロール、コラーゲン前駆体、微量元素、2−メルカプトエタノール、3’−チオールグリセロール等の1つ以上の血清代替物を添加して作製してもよい。これらの培地には、必要に応じて、さらに脂質、アミノ酸、タンパク質、多糖、ビタミン、増殖因子、低分子化合物、抗生物質、抗酸化剤、ピルビン酸、緩衝剤、無機塩類等の物質を添加してもよい。
上記基礎培地としては、例えば、IMDM培地、Medium 199培地、Eagle’s Minimum Essential Medium(EMEM)培地、αMEM培地、Dulbecco’s Modified Eagle’s Medium(DMEM)培地、Ham’s F12培地、RPMI 1640培地、Fischer’s培地、MCDB201培地及びこれらの混合培地等が挙げられる。
上記血清としては、例えば、ヒト血清、ウシ胎児血清(FBS)、ウシ血清、仔ウシ血清、ヤギ血清、ウマ血清、ブタ血清、ヒツジ血清、ウサギ血清、ラット血清等が挙げられるがこれらに限定されない。血清を用いる場合、基礎培地に対して、5v/v%〜15v/v%、好ましくは、10v/v%を添加してもよい。
上記脂肪酸としては、リノール酸、オレイン酸、リノレイン酸、アラキドン酸、ミリスチン酸、パルミトイル酸、パルミチン酸、及びステアリン酸等が例示されるが、これらに限定されない。脂質は、フォスファチジルセリン、フォスファチジルエタノールアミン、フォスファチジルコリン等が例示されるが、これらに限定されない。アミノ酸は、例えば、L−アラニン、L−アルギニン、L−アスパラギン酸、L−アスパラギン、L−システイン、L−シスチン、L−グルタミン酸、L−グルタミン、L−グリシンなどを含むがこれらに限定されない。タンパク質は、例えば、エコチン、還元型グルタチオン、フィブロネクチン及びβ2−ミクログロブリン等が例示されるが、これらに限定されない。多糖は、グリコサミノグリカンが例示され、グリコサミノグリカンのうち特に、ヒアルロン酸、ヘパラン硫酸等が例示されるが、これらに限定されない。増殖因子は、例えば、血小板由来増殖因子(PDGF)、塩基性線維芽細胞成長因子(bFGF)、トランスフォーミング増殖因子ベータ(TGF−β)、肝細胞増殖因子(HGF)、上皮成長因子(EGF)、結合組織増殖因子(CTGF)、血管内皮細胞増殖因子(VEGF)等が例示されるが、これらに限定されない。本発明において得られる脂肪由来間葉系幹細胞を細胞移植に用いるという観点から、血清等の異種由来成分を含まない(ゼノフリー)培地を用いることが好ましい。このような培地は、例えば、PromoCell社、Lonza社、Biological Industries社、Veritas社、R&D Systems社、Corning社及びRohto社などから間葉系幹細胞(間質細胞)用として予め調製された培地として提供されている。
続いて、工程(iii)では、工程(ii)で得られた細胞懸濁液中の細胞を分化させずに固体表面上で、上述の適切な細胞培地を使用して、適切な細胞密度及び培養条件で培養する。本発明において、「固体表面」とは、本発明における脂肪組織由来間葉系幹細胞の結合・接着を可能とする任意の材料を意味する。特定の態様では、このような材料は、その表面への哺乳類細胞の結合・接着を促すように処理されたプラスチック材料である。固体表面を有する培養容器の形状は特に限定されないが、シャーレやフラスコなどが好適に用いられる。非結合状態の細胞及び細胞の破片を除去するために、インキュベーション後に細胞を洗浄する。
本発明では、最終的に固体表面に結合・接着した状態で留まる細胞を、脂肪組織由来間葉系幹細胞の細胞集団として選択することができる。
選択された細胞について、本発明における脂肪組織由来間葉系幹細胞であることを確認するために、表面抗原についてフローサイトメトリー等を用いて従来の方法で解析してもよい。さらに、各細胞系列に分化する能力について検査してもよく、このような分化は、従来の方法で行うことができる。
本発明における間葉系幹細胞は、上述の通り調製することができるが、次の特性を持つ細胞として定義してもよい;
(1)標準培地での培養条件で、プラスチックに接着性を示す、
(2)表面抗原CD44、CD73、CD90が陽性であり、CD31、CD45が陰性であり、及び
(3)培養条件にて骨細胞、脂肪細胞、軟骨細胞に分化可能。
(間葉系幹細胞の凍結保存)
本発明における間葉系幹細胞は、肺線維症に対する治療効果を備えていれば、適宜、凍結保存及び融解を繰り返した細胞であってもよい。本発明において、凍結保存は、当業者に周知の凍結保存液へ間葉系幹細胞を懸濁し、冷却することによって行い得る。懸濁は、細胞をトリプシンなどの剥離剤によって剥離し、凍結保存容器に移し、適宜、処理した後、凍結保存液を加えることによって行い得る。
凍結保存液は、凍害防御剤として、DMSO(Dimethyl sulfoxide)を含有していてもよいが、DMSOは、細胞毒性に加えて、間葉系幹細胞を分化誘導する特性を有することから、DMSO含有量を減らすことが好ましい。DMSOの代替物として、グリセロール、プロピレングリコール又は多糖類、糖アルコール類が例示される。DMSOを用いる場合、5%〜20%の濃度、好ましくは5%〜10%の濃度、より好ましくは10%の濃度を含有する。この他にも、WO2007/058308に記載の添加剤を含んでもよい。このような凍結保存液として、例えば、バイオベルデ社、日本ジェネティクス株式会社、リプロセル社、ゼノアック社、コスモ・バイオ社、コージンバイオ株式会社、サーモフィッシャーサイエンティフィック社などから提供されている凍結保存液を用いてもよい。
上述の懸濁した細胞を凍結保存する場合、−80℃〜−100℃の間の温度(例えば、−80℃)で保管することで良く、当該温度に達成しえる任意のフリーザーを用いて行い得る。特に限定されないが、急激な温度変化を回避するため、プログラムフリーザーを用いて、冷却速度を適宜制御してもよい。冷却速度は、凍結保存液の成分によって適宜選択しても良く、凍結保存液の製造者指示に従って行われ得る。
保存期間は、上記条件で凍結保存した細胞が融解した後、凍結前と同等の性質を保持している限り、特に上限は限定されないが、例えば、1週間以上、2週間以上、3週間以上、4週間以上、2か月以上、3か月以上、4か月以上、5か月以上、6か月以上、1年以上、又はそれ以上が挙げられる。より低い温度で保存することで細胞障害を抑制することができるため、液体窒素上の気相(約−150℃以下から−180℃以下)へ移して保存してもよい。液体窒素上の気相で保存する場合、当業者に周知の保存容器を用いて行うことができる。特に限定されないが、例えば、2週間以上保存する場合、液体窒素上の気相で保存することが好ましい。
融解した間葉系幹細胞は、次の凍結保存までに適宜、培養してもよい。間葉系幹細胞の培養は、上述した間葉系幹細胞を培養できる培地を用いて行われ、特に限定されないが、約30〜40℃、好ましくは約37℃の培養温度で、CO含有空気の雰囲気下で行われてもよい。CO濃度は、約2〜5%、好ましくは約5%である。培養において、培養容器に対して適切なコンフルエンシー(例えば、培養容器に対して、50%〜80%を細胞が占有することが挙げられる)に達した後に、細胞をトリプシンなどの剥離剤によって剥離し、別途用意した培養容器に適切な細胞密度で播種して培養を継続してもよい。細胞を播種する際において、典型的な細胞密度として、100細胞/cm〜100,000細胞/cm、500細胞/cm〜50,000細胞/cm、1,000〜10,000細胞/cm、2,000〜10,000細胞/cmなどが例示される。特定の態様では、細胞密度は2,000〜10,000細胞/cmである。適切なコンフルエンシーに達するまでの期間が、3日間〜7日間となるように調整することが好ましい。培養中、必要に応じて、適宜、培地を交換してもよい。
凍結保存した細胞の融解は、当業者に周知の方法によって行い得る。例えば、室温〜37℃、好ましくは37℃の恒温槽内又は湯浴中にて静置又は振とうすることによって行う方法が例示される。
(間葉系幹細胞の形態)
本発明の間葉系幹細胞は、いずれの状態の細胞であってもよいが、例えば培養中の細胞を剥離して回収された細胞でもよいし、凍結保存液中に凍結された状態の細胞でもよい。拡大培養して得られる同ロットの細胞を小分けして凍結保存したものを使用すると、安定して同様の作用効果が得られる点、取扱い性に優れる点等において好ましい。凍結保存状態の間葉系幹細胞は、使用直前に融解し、凍結保存液に懸濁したまま輸液もしくは培地等の間葉系幹細胞懸濁用溶液に直接混合してもよい。また、遠心分離等の方法により凍結保存液を除去してから輸液もしくは培地等の間葉系幹細胞懸濁用溶液に懸濁してもよい。ここで、本発明における「輸液」とは、ヒトの治療の際に用いられる溶液のことをいい、特に限定されないが、例えば、生理食塩水、日局生理食塩液、5%ブドウ糖液、日局ブドウ糖注射液、リンゲル液、日局リンゲル液、乳酸リンゲル液、酢酸リンゲル液、1号液(開始液)、2号液(脱水補給液)、3号液(維持液)、4号液(術後回復液)等が挙げられる。なお、上記の輸液もしくは培地等の間葉系幹細胞懸濁用溶液は、後述するその他の成分(薬学的に許容される担体や添加物)を含むように調製されてもよい。
本発明の肺線維症治療剤は、本発明の効果を損なわない範囲であれば、上記間葉系幹細胞以外に、その用途や形態に応じて、常法に従い、薬学的に許容される担体や添加物を含有させてもよい。このような担体や添加物としては、例えば、等張化剤、増粘剤、糖類、糖アルコール類、防腐剤(保存剤)、殺菌剤又は抗菌剤、pH調節剤、安定化剤、キレート剤、油性基剤、ゲル基剤、界面活性剤、懸濁化剤、結合剤、賦形剤、滑沢剤、崩壊剤、発泡剤、流動化剤、分散剤、乳化剤、緩衝剤、溶解補助剤、抗酸化剤、甘味剤、酸味剤、着色剤、呈味剤、香料又は清涼化剤等が挙げられるが、これらに限定されない。代表的な成分として例えば次の担体、添加物等が挙げられる。
担体としては、例えば、水、含水エタノール等の水性担体が挙げられる。また、等張化剤(無機塩)としては、例えば、塩化ナトリウム、塩化カリウム、塩化カルシウム、塩化マグネシウム等が;多価アルコールとしては、例えば、グリセリン、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール等が;増粘剤としては、例えば、カルボキシビニルポリマー、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、メチルセルロース、アルギン酸、ポリビニルアルコール(完全、又は部分ケン化物)、ポリビニルピロリドン、マクロゴール等が;糖類としては、例えば、シクロデキストリン、ブドウ糖等が;糖アルコール類としては、例えば、キシリトール、ソルビトール、マンニトール等(これらはd体、l体又はdl体のいずれでもよい)が;防腐剤、殺菌剤又は抗菌剤としては、例えば、ジブチルヒドロキシトルエン、ブチルヒドロキシアニソール、塩酸アルキルジアミノエチルグリシン、安息香酸ナトリウム、エタノール、塩化ベンザルコニウム、塩化ベンゼトニウム、グルコン酸クロルヘキシジン、クロロブタノール、ソルビン酸、ソルビン酸カリウム、トロメタモール、デヒドロ酢酸ナトリウム、パラオキシ安息香酸メチル、パラオキシ安息香酸エチル、パラオキシ安息香酸プロピル、パラオキシ安息香酸ブチル、硫酸オキシキノリン、フェネチルアルコール、ベンジルアルコール、ビグアニド化合物(具体的には、塩酸ポリヘキサニド(ポリヘキサメチレンビグアニド)等)、グローキル(ローディア社製商品名)等が;pH調節剤としては、例えば、塩酸、ホウ酸、アミノエチルスルホン酸、イプシロン−アミノカプロン酸、クエン酸、酢酸、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化カルシウム、水酸化マグネシウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸ナトリウム、ホウ砂、トリエタノールアミン、モノエタノールアミン、ジイソプロパノールアミン、硫酸、硫酸マグネシウム、リン酸、ポリリン酸、プロピオン酸、シュウ酸、グルコン酸、フマル酸、乳酸、酒石酸、リンゴ酸、コハク酸、グルコノラクトン、酢酸アンモニウム等が;安定化剤としては、例えば、ジブチルヒドロキシトルエン、トロメタモール、ナトリウムホルムアルデヒドスルホキシレート(ロンガリット)、トコフェロール、ピロ亜硫酸ナトリウム、モノエタノールアミン、モノステアリン酸アルミニウム、モノステアリン酸グリセリン、亜硫酸水素ナトリウム、亜硫酸ナトリウム等が;油性基剤としては、例えば、オリーブ油、トウモロコシ油、大豆油、ゴマ油、綿実油等の植物油、中鎖脂肪酸トリグリセリド等が;水性基剤としては、例えば、マクロゴール400等が;ゲル基剤としては、例えば、カルボキシビニルポリマー、ガム質等が;界面活性剤としては、例えば、ポリソルベート80、硬化ヒマシ油、グリセリン脂肪酸エステル、セスキオレイン酸ソルビタン等が;懸濁化剤としては、例えば、サラシミツロウや各種界面活性剤、アラビアゴム、アラビアゴム末、キサンタンガム、大豆レシチン等が;結合剤としては、例えば、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム、ポリビニルピロリドン、ポリビニルアルコール等が;賦形剤としては、例えば、ショ糖、乳糖、デンプン、コーンスターチ、結晶セルロース、軽質無水ケイ酸等が;滑沢剤としては、例えば、ショ糖脂肪酸エステル、ステアリン酸マグネシウム、タルク等が;崩壊剤としては、例えば、低置換度ヒドロキシプロピルセルロース、クロスポビドン、クロスカルメロースナトリウム等が;発泡剤としては、例えば、炭酸水素ナトリウム等が;流動化剤としては、例えば、メタケイ酸アルミン酸ナトリウム、軽質無水ケイ酸等が、それぞれ挙げられる。
本発明の肺線維症治療剤は、目的に応じて種々の形態、例えば、固形剤、半固形剤、液剤等の様々な剤形で提供することができる。例えば、固形剤(錠剤、粉末、散剤、顆粒剤、カプセル剤等)、半固形剤[軟膏剤(硬軟膏剤、軟軟膏剤等)、クリーム剤等]、液剤[ローション剤、エキス剤、懸濁剤、乳剤、シロップ剤、注射剤(輸液剤、埋め込み注射剤、持続性注射、用時調製型の注射剤を含む)、透析用剤、エアゾール剤、軟カプセル剤、ドリンク剤等]、貼付剤、パップ剤等の形態で利用できる。また、本発明の肺線維症治療剤は、油性又は水性のビヒクル中の溶液又は乳液等の形態でも利用できる。さらに、本発明の肺線維症治療剤は噴霧により、患部に適用することもでき、本発明の肺線維症治療剤は噴霧した後に患部でゲル化もしくはシート化される形態でも利用できる。本発明の肺線維症治療剤は上記間葉系幹細胞をシート状又は立体構造体とした後に、患部に適用することもできる。
本発明の肺線維症治療剤は、上述した間葉系幹細胞、その他の成分(薬学的に許容される担体や添加物)を、生理食塩水、日局生理食塩液、5%ブドウ糖液、日局ブドウ糖注射液、リンゲル液、日局リンゲル液、乳酸リンゲル液、酢酸リンゲル液、重炭酸リンゲル液、1号液(開始液)、2号液(脱水補給液)、3号液(維持液)、4号液(術後回復液)等の輸液、又は、DMEM等の細胞培養培地等の間葉系幹細胞懸濁用溶液を用いて、懸濁もしくは希釈して用いることができ、好ましくは生理食塩液、5%ブドウ糖液、1号液(開始液)で、より好ましくは5%ブドウ糖液、1号液(開始液)で懸濁もしくは希釈して用いることができる。また、上記間葉系幹細胞懸濁用溶液は、上記その他の成分(薬学的に許容される担体や添加物)が予め含まれるように調製されていてもよい。
本発明の肺線維症治療剤は、間葉系幹細胞と、間葉系幹細胞懸濁用溶液とが別々の容器に封入されて保管され、使用時に両者を混合して用いてもよい。なお、保管の際、上記間葉系幹細胞及び間葉系幹細胞懸濁用の溶液は凍結状態であってもよいし、冷蔵状態であってもよい。
本発明の肺線維症治療剤が液剤である場合、肺線維症治療剤のpHは、医薬上、薬理学的に(製薬上)又は生理学的に許容される範囲内であれば特に限定されるものではないが、一例として、2.5〜9.0、好ましくは3.0〜8.5、より好ましくは3.5〜8.0となる範囲が挙げられる。なお、間葉系幹細胞と、間葉系幹細胞懸濁用溶液とが別々の容器に封入されて保管されている場合には、間葉系幹細胞懸濁用溶液が、上記条件を満たしていればよい。
本発明の肺線維症治療剤が液剤である場合、肺線維症治療剤の浸透圧については、生体に許容される範囲内であれば、特に制限されない。本発明の肺線維症治療剤の浸透圧比の一例として、好ましくは0.7〜5.0、より好ましくは0.8〜3.0、さらに好ましくは0.9〜1.4となる範囲が挙げられる。浸透圧の調整は無機塩、多価アルコール、糖アルコール、糖類等を用いて、当該技術分野で既知の方法で行うことができる。浸透圧比は、第十五改正日本薬局方に基づき286mOsm(0.9w/v%塩化ナトリウム水溶液)の浸透圧に対する試料の浸透圧の比とし、浸透圧は日本薬局方記載の浸透圧測定法(氷点降下法)を参考にして測定する。なお、浸透圧比測定用標準液(0.9w/v%塩化ナトリウム水溶液)は、塩化ナトリウム(日本薬局方標準試薬)を500〜650℃で40〜50分間乾燥した後、デシケーター(シリカゲル)中で放冷し、その0.900gを正確に量り、精製水に溶かし正確に100mLとして調製するか、市販の浸透圧比測定用標準液(0.9w/v%塩化ナトリウム水溶液)を用いる。なお、間葉系幹細胞と、間葉系幹細胞懸濁用溶液とが別々の容器に封入されて保管されている場合には、間葉系幹細胞懸濁用溶液が、上記条件を満たしていればよい。
本発明の肺線維症治療剤の対象への投与経路は、経口投与、皮下投与、筋肉内投与、静脈内投与、動脈内投与、髄腔内投与、腹腔内投与、舌下投与、経直腸投与、経腟投与、経鼻投与、吸入、経皮投与、インプラント、肺表面への噴霧及びシート等の貼付による直接投与等が挙げられるが、本発明の肺線維症治療剤の有効性の観点から、好ましくはインプラント、動脈内投与、静脈内投与及び肺表面への噴霧及びシート等の貼付による直接投与であり、対象者の負担の軽減の観点から、より好ましくは肺動脈内投与もしくは静脈内投与であり、最も好ましくは静脈内投与である。
本発明の肺線維症治療剤において、その用量(投与量)は、患者の状態(体重、年齢、症状、体調等)、及び本発明の肺線維症治療剤の剤形等によって異なりうるが、十分な肺線維症の治療効果を奏する観点からは、その量は多い方が好ましい傾向にあり、一方、副作用の発現を抑制する観点からはその量は少ない方が好ましい傾向にある。通常、成人に投与する場合には、細胞数として、1x10〜1x1012個/回、好ましくは1x10〜1x1011個/回、より好ましくは1x10〜1x1010個/回、さらに好ましくは5x10〜1x10個/回である。また、患者の体重あたりの投与量としては、1x10〜5x1010個/kg、好ましくは1x10〜5x10個/kg、より好ましくは1x10〜5x10個/kg、さらに好ましくは1x10〜5x10個/kgである。なお、本用量を1回量として、複数回投与してもよく、本用量を複数回に分けて投与してもよい。
本発明の肺線維症治療剤の対象への投与速度は、患者の状態(体重、年齢、症状、体調等)、及び本発明の肺線維症治療剤の投与経路等によって異なりうるが、通常、成人に投与する場合には、50mL/h〜1,000mL/hであり、75mL/h〜500mL/hであることが好ましく、100mL/h〜250mL/hであることがより好ましい。
本発明の肺線維症治療剤の対象への投与温度は、患者の状態(体重、年齢、症状、体調等)、及び本発明の肺線維症治療剤の投与経路等によって異なりうるが、通常、4℃〜45℃であり、15℃〜37℃であることが好ましく、室温〜37℃であることがより好ましい。
本発明の肺線維症治療剤は、1又は2以上の他の薬剤と共に投与してもよい。他の薬剤としては、呼吸器用薬、免疫抑制薬として用いることができる任意の薬剤が挙げられ、例えば、ジモルホラミン、ドキサプラム塩酸塩水和物、シベレスタットナトリウム水和物、肺サーファクタント、ドルナーゼ アルファ、パーフェニドン、インターフェロン−γ−1b、プレドニソン、コルチコステロイド、ピルフェニドン(ピレスパ(商標登録))、ニンテダニブ(オフェブ(商標登録))、アンギオテンシン受容体遮断薬、シクロスポリン、アザチオプリン、ミゾリビン、バシリキシマブ、タクロリムス水和物、グスペリムス塩酸塩、ミコフェノール酸モフェチル、エベロリムス、アセチルシステイン等が挙げられる。なお、本発明の肺線維症治療剤が、1又は2以上の他の薬剤と共に投与される場合とは、本発明の肺線維症治療剤と他の薬剤とを同時に使用する場合、どちらか一方を投与した後に一定の時間が経過してから他方の薬剤を投与する場合、これらの組み合わせ等、種々の場合を含む。
本発明の肺線維症治療剤は、PTPRR発現促進剤を含有すると表現することもできる。ここで、PTPRRとは、Protein tyrosine phosphatase receptor−type Rであり、受容体型チロシンホスファターゼの一種である。PTPRRはチロシンキナーゼによってリン酸化されたタンパク質のチロシンを脱リン酸化する酵素である。受容体型チロシンホスファターゼは、酵素活性を有する細胞内領域と、膜貫通ドメインと、細胞外領域とからなり、細胞外領域にリガンドが結合することにより酵素活性が制御される。本発明におけるPTPRR発現促進剤とは、細胞や組織におけるPTPRR遺伝子及び/又はPTPRRタンパクの発現を促進する作用を示す組成物をいう。以下に本発明のPTPRR発現促進剤について説明する。
[PTPRR発現促進剤]
本発明におけるPTPRR発現促進剤は、肺線維化の原因となる細胞や組織におけるPTPRR発現を促進することで、チロシンリン酸化されたタンパク質の脱リン酸化を亢進し、結果的に、その細胞の増殖、ひいては組織の線維化を抑制することができる。このようなチロシンリン酸化されたタンパク質としては、例えば、ERK、JNK、p38等が挙げられ、これらのうち肺線維化抑制効果に優れるという観点から、ERKが好ましい。
本発明のPTPRR発現促進剤は、肺線維化の原因となる細胞や組織に作用して、それらのPTPRR発現を促進する機能を有する間葉系幹細胞を含むことが好ましい。本発明のPTPRR発現促進剤が含む間葉系幹細胞については、上述の肺線維症治療剤が含む間葉系幹細胞の説明をそのまま適用できる。
本発明の肺線維症治療剤が有効な疾患としては、例えば、通常型間質性肺炎(UIP)、特発性肺線維症(IPF、特発性線維化肺胞炎)、非特異的間質性肺炎、器質化肺炎を伴う閉塞性細気管支炎(原因不明の器質化肺炎)、呼吸細気管支炎を伴う間質性肺疾患(ILD)、剥離性間質性肺炎、急性間質肺炎(急性進行性間質性肺炎、ハマン−リッチ症候群)、特発性間質性肺炎、薬物誘発性肺疾患、好酸球性肺疾患及び慢性好酸球性肺炎である。中でも、通常型間質性肺炎(UIP)、特発性肺線維症(IPF、特発性線維化肺胞炎)に対して、顕著な効果を示す。
<肺線維症治療用キット>
本発明は、間葉系幹細胞と、間葉系幹細胞懸濁用溶液と含む、肺線維症治療用のキットも含む。本発明のキットが含む間葉系幹細胞、間葉系幹細胞懸濁用溶液については、肺線維症治療剤の項における説明を適用できる。
また、本発明の肺線維症治療用キットは、本発明の肺線維症治療剤、容器及びラベルを含むものであると表現することもできる。本発明のキットが含む適切な容器としては、特に限定されないが、例えば、細胞凍結用のクライオチューブ、間葉系幹細胞懸濁用溶液用のボトル、バイアル、試験管等が挙げられる。これらの容器は、ガラス、金属、プラスチック又はこれらの組み合わせ等の多様な材料から形成されていてもよい。これらの容器上のラベルには、内容物である間葉系幹細胞、間葉系幹細胞懸濁用溶液等を説明する内容が記載されている。
本発明のキットは、その他の添加剤、その他の薬剤、希釈剤、フィルター、針、シリンジ、使用法を記載した添付文書を含めた、商業的、及び利用者の観点から望ましい他の材料を包含することができる。
<肺線維症の治療方法、PTPRR発現の促進方法>
本発明は、間葉系幹細胞を用いることを特徴とする、肺線維症の治療方法も含む。本発明の治療方法によると、間葉系幹細胞が、肺線維化を促進する遺伝子発現を抑制することにより、肺線維症を効果的に治療することが可能である。また、本発明は、間葉系幹細胞を用いることを特徴とする、細胞・組織等におけるPTPRR発現の促進方法も含む。本発明の促進方法によると、間葉系幹細胞が細胞や組織に作用し、PTPRR発現の発現を効果的に促進させることができる。なお、間葉系幹細胞についての説明は、肺線維症治療剤の項における説明を適用できる。
以下に、実施例及び試験例を挙げて本発明を詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例等によって限定されるものではない。
1.脂肪組織由来間葉系幹細胞の調製(実施例1)
市販細胞(Lonza社製PT―5006)に間葉系幹細胞用無血清培地(Rohto社)を加え、当該細胞懸濁液を400gで5分間遠心分離し、上清除去後に間葉系幹細胞用無血清培地(Rohto社)に再懸濁し、フラスコに細胞を播種した。細胞を37℃で数日間、5%CO中で継代培養した。数日後に培養物をPBSで洗浄して、培養液中に含まれていた血球や脂肪組織の残存等を除去し、プラスチック容器に接着している間葉系幹細胞を得た。
得られた脂肪組織由来間葉系幹細胞を遠沈管に分注し、800gで5分間、遠心分離し細胞の沈殿を得た。上清を除去した後、細胞凍結保存液(STEM−CELLBANKER(ゼノアック社))を適量加え懸濁した。当該細胞懸濁溶液を、クライオチューブに分注した後、フリーザー内で−80度にて保存後、液体窒素上の気相に移し、保存を継続した。以下、脂肪組織由来間葉系幹細胞をADMSC又はASCともいう。
2.UIP患者由来肺線維芽細胞の線維化関連遺伝子発現に対する脂肪組織由来間葉系幹細胞の効果(実施例2)
肺線維化病変を指摘され、肺癌で手術した症例から検体を採取した。線維化が見られない部位(線維化(−))、線維化が見られる部位(線維化(+))を区別し、それぞれ組織を切り刻み、15%血清入りDMEM培地(Wako社製)で37℃、10%CO中で培養を開始し、各1、2、4、7日目にはPBS(Wako社製)で洗浄した後に培地交換を行い、計10日間培養を行い、UIP(Usual interstitial pneumonia;通常型間質性肺炎)患者由来の肺線維芽細胞、(以下「UIP細胞」という)を得た。
15%血清入りDMEM培地に懸濁したUIP細胞(5.0×10cells/well)を24ウェルプレートの各ウェルに播種し、COインキュベーター(37℃、10%CO)内で一晩培養し、培養液を1%血清入りDMEM培地に入れ替えた。上記継代培養して凍結保存されていたヒト脂肪組織由来間葉系幹細胞(実施例1)を、37℃の恒温槽に浸して細胞懸濁液を融解した後に、15mL遠沈管に分取し、DMEM培地(Wako社製)で10mLまでメスアップし、室温、400×gで5分間遠心した(Eppendorf社製、5702)。24ウェルプレートにトランスウェルインサート(Corning,#3460)を設置し、トランスウェルインサートには1%血清入りDMEM培地のみ(Control)、終濃度100ng/mlのHGFを含む1%血清入りDMEM培地及び1%血清入りDMEMに懸濁したヒト脂肪組織由来間葉系幹細胞(2.0×10cells/well)を添加した。共培養を開始してから24時間後に、UIP細胞のRNAを回収し、線維化関連因子であるACTA2(α−Smooth muscle actin; α−SMA)、CDH2(Cadherin2)及びCollagen1のmRNA発現量を定量PCRで測定した。また、UIP細胞のウェスタンブロットを行った。定量PCRの結果を図1に示した。また、ウェスタンブロットの結果を図2に示した。
図1に示すとおり、UIP細胞とヒト脂肪組織由来間葉系幹細胞と共培養することにより、UIP細胞におけるACTA2(α−SMA)、CDH2及びCollagen1の発現が有意に減少した。その効果はHGFよりも顕著であった。また、図2に示すとおり、UIP細胞とヒト脂肪組織由来間葉系幹細胞と共培養することにより、UIP細胞におけるリン酸化ERKの量が減少したことがわかった。
なお、マイクロアレイ解析によりヒト脂肪組織由来間葉系幹細胞を添加することで、UIP細胞においてPTPRR遺伝子の発現が上昇することが確認された。このことから、UIP細胞において、ヒト脂肪組織由来間葉系幹細胞の作用で発現が促進されたPTPRRにより、リン酸化ERKの脱リン酸化がおこり、結果的にUIP細胞のような線維化に関与する細胞の増殖が抑制され、線維症治療に繋がる可能性が示唆された。
3.肺胞上皮細胞株A549の線維化関連遺伝子発現に対する脂肪組織由来間葉系幹細胞の効果(実施例3)
24ウェルプレートに、1%血清入りDMEM培地に懸濁した肺胞上皮様細胞株(A549;5.0×10cells/well)を播種し、COインキュベーター(37℃、5%CO)内に入れ、培養を開始した。培養を開始してから12時間後に、TGF−β最終濃度100ng/mlにて上皮間葉転換を誘導した。1日間培養後、TGF−βを、DMEM培地を用いて完全にwash outし、ADMSC共培養群にはトランスウェルインサート(corning, #3460)を設置し、トランスウェルインサートに、実施例1と同様に調整した継代培養して凍結保存されていたヒト脂肪組織由来間葉系幹細胞(2.0×10cells/well)を、1%血清入りDMEM培地に懸濁して添加した。共培養を開始してから24時間後に、A549細胞のRNAを回収し、線維化関連遺伝子であるACTA2(α−Smooth muscle actin; α−SMA)、CDH2(Cadherin2)及びFN1(Fibronectin1)のmRNA発現量を定量PCRで測定した。
結果を図3に示した。
図3に示すとおり、A549細胞とヒト脂肪組織由来間葉系幹細胞とを共培養することにより、A549細胞におけるα−SMA、CDH2及びFN1の発現が有意に減少した。以上より、ヒト脂肪組織由来間葉系幹細胞はTGF−β添加により誘導される線維化の原因とされる上皮間葉転換(EMT)を抑制し、線維化関連遺伝子であるα−SMA、CDH2及びFN1量を減少させることが明らかとなった。
4.重症複合免疫不全マウスを用いた線維症モデルマウスの作製(実施例4)
重症複合免疫不全マウスSCID−Beige(CB17.Dg−PrkdcscidKystbg−J/CrlCrli)マウス(7−10週齢、雌、日本チャールズリバー株式会社)に、実施例2と同様に調整したUIP細胞を静脈内投与した。なお、UIP細胞は遠心して培地を取り除き、PBS(Wako社製)に懸濁した細胞(2x10cells)500μLを上記投与に用いた。PBSのみを投与したマウスを陰性対照とした。PBS及びUIP細胞懸濁液投与63日後に、肺の病理切片を作成し、マッソントリクローム染色を行った。結果を図4に示す。図4に示すとおり、UIP細胞懸濁液投与群においては明らかな線維化が認められ、ヒトにおいてみられるのと同様のUIP特異的な病変が認められた。
5.上記線維症モデルマウスにおけるADMSCの治療効果(実施例5)
実施例4と同様に、重症複合免疫不全マウスSCID−Beige(CB17.Dg−PrkdcscidKystbg−J/CrlCrli)マウス(7−10週齢、雌、日本チャールズリバー株式会社)に、実施例2と同様に調整したUIP細胞を静脈内投与した。UIP細胞投与35日後に、それぞれPBSのみ(200μL、Lonza社製;PBS群)及び実施例1と同様に調製して継代培養したヒト脂肪組織由来間葉系幹細胞(200μL、1.5x10cells;ADMSC群)を静脈内投与した。UIP細胞投与63日後に肺の病理切片を作成し、マッソントリクローム染色を行い、組織学的解析を行った。ADMSC群ではPBS群と比較して線維化の軽減が見られ、肺線維症に対して治療効果があることが示唆された。
本発明により、肺線維症の新規治療剤、PTPRR発現促進剤及び肺線維症の新規治療用キットを提供することができる。本発明の肺線維症の新規治療剤及び肺線維症の新規治療用キットは、現在有効な薬物療法は確立されていない肺線維症に対して、顕著な治療効果を奏するものである。

Claims (7)

  1. 間葉系幹細胞を含有する、肺線維症治療剤。
  2. 肺線維症が、通常型間質性肺炎(UIP)または、特発性肺線維症(IPF)である請求項1に記載の肺線維症治療剤。
  3. 間葉系幹細胞が脂肪組織由来である、請求項1又は2に記載の肺線維症治療剤。
  4. 間葉系幹細胞が他家由来である、請求項1から3のいずれか1項に記載の肺線維症治療剤。
  5. PTPRR発現促進剤を含有する、肺線維症治療剤。
  6. PTPRR発現促進剤が、リン酸化ERKを脱リン酸化する、請求項5に記載の肺線維症治療剤。
  7. 請求項1〜6のいずれか1項に記載の肺線維症治療剤、容器及びラベルを含む、肺線維症治療用キット。
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