JPWO2018135123A1 - 太陽電池モジュールの異常判定システムおよび方法 - Google Patents
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Abstract
Description
本願は、2017年1月17日に、日本に出願された特願2017−005717号に基づき優先権を主張し、その内容をここに援用する。
従って、太陽電池モジュールのうちのどのセルが故障したかを発見することが重要である。故障したセルは、発電電流低下を示すとともに、逆電圧およびホットスポット状態も示す。そのため、太陽電池モジュールを構成する個々の太陽電池セルのセル電圧あるいはセル温度を監視すれば、故障したセルを発見することができる。
しかしながら、太陽電池モジュールは、通常、樹脂によって密封されている。そのため、個々の太陽電池セルのセル電圧を測定することはできない。また、赤外線カメラによってセル温度を容易に観察できるものの、セル温度は周囲環境の影響を強く受ける。そのため、セルが故障しているか否かをセル温度のみに基づいて判定すると、セルが故障しているか否かの判定精度が低くなってしまう。
以下、図面を参照して、本発明の実施形態を説明する。まず、図1を参照して、第1実施形態の太陽電池モジュールMの異常判定システム1の構成について説明する。
図1は、第1実施形態の太陽電池モジュールMの異常判定システム1の構成の一例を示す図である。
図1に示す例では、第1実施形態の異常判定システム1が、太陽電池モジュールMに適用される。太陽電池モジュールMは、直列接続された複数の太陽電池セルC1、C2、C3、C4、C5を含む。太陽電池モジュールMは、負荷抵抗Rに接続されている。
図1に示す例では、太陽電池モジュールMが5個の太陽電池セルC1、C2、C3、C4、C5によって構成されているが、他の例では、太陽電池モジュールMが、直列接続された、5個以外の任意の個数の複数の太陽電池セルによって構成されていてもよい。
図1に示す例では、上述したように、変調光照射部11がレーザ光照射部111を備えているが、他の例では、変調光照射部11が、レーザ光以外の光を照射する照射部を備えていてもよい。
図1に示す例では、リフレクタ114によって反射された変調光MLが太陽電池セルC3に照射されるが、他の例では、代わりに、リフレクタ114によって反射された変調光MLが、太陽電池セルC3以外の太陽電池セルC1、C2、C4、C5のいずれかに照射されてもよい。他の例では、代りに、リフレクタ114を省略してもよい。
図1に示す例では、レーザ光照射部111と太陽電池モジュールMとの間において、ライトチョッパ部112、フィルタ115およびリフレクタ114が、ライトチョッパ部112、フィルタ115、リフレクタ114の順に配列されている。他の例では、代わりに、ライトチョッパ部112、フィルタ115およびリフレクタ114の配列の順序を異ならせてもよい。
ロックインアンプ12aは、太陽電池モジュールMに接続されている。詳細には、ロックインアンプ12aには、太陽電池モジュールMの発電出力電圧Voが、入力信号として入力される。また、ロックインアンプ12aには、チョッパ制御部113から出力された参照信号RSが入力される。また、ロックインアンプ12aは、太陽電池セルC3の状態に応じた信号LAoを出力する。
図3は、第1実施形態の太陽電池モジュールの異常判定システムの構成の第2変形例を示す図である。第1実施形態の太陽電池モジュールの異常判定システムの構成の第2変形例では、ロックインアンプ12aへの入力信号の導線に、直流である発電出力電圧Voを抑止するコンデンサCもしくはハイパスフィルタ(図示せず)、もしくは変調光MLの周波数に近い交流成分を通すバンドパスフィルタ(図示せず)が挿入されている。
第1実施形態の太陽電池モジュールMの異常判定システム1では、判定部13は、位相検波部12からの出力信号LAoに基づいて、太陽電池セルC3が異常状態であるか否かを判定する。
図1、図2および図3に示す例では、判定部13における判定結果、つまり、太陽電池セルC3が異常状態であるか否かが、出力部14によって出力される。出力部14は、判定部13における判定結果を表示する表示部、判定部13における判定結果を音声出力する音声出力部、および、判定部13における判定結果を印字する印字部の少なくとも1つを備えている。異常判定システム1の利用者は、出力部14から出力された判定部13における判定結果によって、太陽電池セルC3が異常状態であるか否かを把握することができる。
図4Aは図1に示す太陽電池モジュールMおよび負荷抵抗Rの等価回路図である。
図1に示す例では、5個の太陽電池セルC1、C2、C3、C4、C5が直列接続されているが、図4Aに示す例では、n個の太陽電池セルC1、…、Ci、…、Cnが直列接続されている。太陽電池セルC1は、電流Iph1を出力する電流源C1−1と、ダイオードC1−2とによって表現される。太陽電池セルCiは、電流Iphiを出力する電流源Ci−1と、ダイオードCi−2とによって表現される。太陽電池セルCnは、電流Iphnを出力する電流源Cn−1と、ダイオードCn−2とによって表現される。
ダイオードCi−2を流れる電流Idiは、下記の式(1)によって表現される。
Viは、ダイオードCi−2の順方向電圧である。nは、ダイオード因子である。kは、ボルツマン定数である。Tは、絶対温度である。
図4Aに示す例では、変調光MLが太陽電池セルCnに照射されることに伴って、太陽電池セルCnの光電流が微小量△Iphだけ増加する。図4Aに示す回路の各部の微小量△Iphだけに由来する変化量を重ね合わせの理によって求めると、図4Bに示すようになる。
図4Bに示す例では、太陽電池セルC1は、微分抵抗Rd1によって表現される。
つまり、太陽電池セルC1の光電流による電流源C1−1(図4A参照)は、開放されて消える。また、太陽電池セルC1の変化は微小と仮定し、太陽電池セルC1のダイオードC1−2(図4A参照)は、微分抵抗Rd1によって表現される。
同様に、太陽電池セルCiは、微分抵抗Rdiによって表現される。
変調光照射部11からの変調光MLが照射される太陽電池セルCnは、電流の変化分△Iphnを出力する電流源Cn−1と、微分抵抗Rdnとによって表現される。
太陽電池セルCiの微分抵抗Rdiは、下記の式(2)によって表現される。
太陽電池セルCnの電圧の変化分△Vnは、下記の式(3−1)によって表現される。
太陽電池モジュールMおよび負荷抵抗Rを流れる電流Iの微小変化分△Iは、下記の式(3−2)によって表現される。
負荷抵抗Rにかかる電圧の変化分△Vは、下記の式(3−3)によって表現される。
式(3−3)の右辺の分母は、全ての太陽電池セルC1、…、Ci、…、Cnの微分抵抗の和を取る。そのため、微分抵抗の値が変化しなければ、どの太陽電池セルに電流の変化分△Iphnを発生させても、式(3−3)の右辺の分母は等しい。
変調光MLが変調光照射部11から太陽電池セルCnに照射されることに伴って、太陽電池セルCnの光電流が変化分△Iphnだけ変化する場合、負荷抵抗Rを流れる電流Iの微小変化分△Iから、負荷抵抗Rにかかる電圧の変化分△Vが求められる。
図1に示す例では、太陽電池モジュールMの発電出力電圧Vo、つまり、負荷抵抗Rにかかる電圧が、ロックインアンプ12aに入力信号として入力される。そのため、負荷抵抗Rにかかる電圧の変化分△Vは、ロックインアンプ12aによって求められる。
ここで、全ての太陽電池セルC1、…、Ci、…、Cnのそれぞれに、電流の変化分△Iphnと大きさが等しい一定の微小光電流を順々に発生させ、負荷抵抗Rにかかる電圧の変化分△Vを見ると、電流の変化分△Iphnによる微分抵抗Rdnの変化が無視できる場合、Rdn≫Rdi,R(i≠n)のとき、大きい微分抵抗Rdnを有する太陽電池セルCnに電流の変化分△Iphnを発生させると、負荷抵抗Rにかかる電圧の変化分△Vは最大となる。
図6において、横軸は、微分抵抗Rdiにかかる電圧を示している。縦軸は、太陽電池セルCiが出力する電流Iを示している。図6に示すように、太陽電池セルCiが出力する電流Iが減少するに従って、微分抵抗Rdiにかかる電圧が増加する。図6に示すように、太陽電池セルCiの出力電流Iが大きく、微分抵抗Rdiにかかる電圧が小さい場合には、微分抵抗Rdiは大きくなる。一方、太陽電池セルCiの出力電流Iが小さく、微分抵抗Rdiにかかる電圧が大きい場合には、微分抵抗Rdiは小さくなる。
図4Aおよび図4Bに示す例では、太陽電池モジュールMが開放していないが、図7Aおよび図7Bに示す例では、太陽電池モジュールMが開放している。
図7Aおよび図7Bに示す例では、電流の微小変化分△Iphnが発生している太陽電池セルCnにおいてのみ、電圧の微小変化分△Vnが発生する。そのため、太陽電池モジュールMの発電出力電圧Voの微小変化分△Vは、下記の式(4)によって表現される。
そこで、第1実施形態の太陽電池モジュールMの異常判定システム1が適用された図1に示す例では、上述したように、太陽電池モジュールMの発電出力電圧Voと、太陽電池セルC3に照射される変調光MLの位相(周波数)を示す参照信号RSとが、ロックインアンプ12aに入力される。ロックインアンプ12aは、変調光MLに同期した微弱成分を抽出する。また、ロックインアンプ12aは、太陽電池セルC3の状態に応じた信号LAoを判定部13に出力する。そのため、図1に示す例では、太陽電池セルC3の状態に関する情報を定量的に得ることができ、判定部13は、太陽電池セルC3が異常状態であるか否かを判定することができる。
本発明者等は、異常状態の(つまり、故障している)太陽電池セルに変調光MLが照射された場合のロックインアンプ12aの出力電圧と、異常状態ではない(つまり、故障していない)太陽電池セルに変調光MLが照射された場合のロックインアンプ12aの出力電圧とを比較する実験を行った。
実験では、図1に示す例と同様に、直列接続されている5個の太陽電池セルC1、C2、C3、C4、C5によって構成されている太陽電池モジュールMを用いた。また、太陽電池セルC5または太陽電池セルC1にマスクを施すことによって、太陽電池セルC5または太陽電池セルC1を異常状態(つまり、正常に発電できない状態)に設定した。太陽電池セルC2、C3、C4にはマスクを施さず、太陽電池セルC2、C3、C4を正常状態(つまり、正常に発電可能な状態)に設定した。
また、実験では、図1に示す例と同様に、太陽電池モジュールMの発電出力電圧Voを測定し、図1に示す例と同様に、その電圧を入力信号としてロックインアンプ12aに入力した。実験では、図1に示す例とは異なり、太陽電池セルC1、C2、C3、C4、C5のそれぞれの電圧も測定した。
また、実験では、変調光照射部11を、図1に示す例と同様に構成した。実験では、図1に示す例とは異なり、太陽光ではなく、LEDライトを用いた模擬太陽光を太陽電池セルC1、C2、C3、C4、C5に照射した。
図8において、「セル1」は太陽電池セルC1を示しており、「セル2」は太陽電池セルC2を示しており、「セル3」は太陽電池セルC3を示しており、「セル4」は太陽電池セルC4を示しており、「セル5」は太陽電池セルC5を示している。
「セル1」の「電圧の平均(V)」は太陽電池セルC1の電圧(V)を示しており、「セル2」の「電圧の平均(V)」は太陽電池セルC2の電圧(V)を示しており、「セル3」の「電圧の平均(V)」は太陽電池セルC3の電圧(V)を示しており、「セル4」の「電圧の平均(V)」は太陽電池セルC4の電圧(V)を示しており、「セル5」の「電圧の平均(V)」は太陽電池セルC5の電圧(V)を示している。
「モジュール」の「電圧の平均(V)」は、太陽電池セルC1、C2、C3、C4、C5を直列接続することによって構成された太陽電池モジュールMの発電出力電圧Vo(V)を示している。「ロックインアンプ」の「電圧の平均(V)」は、太陽電池モジュールMの発電出力電圧Voと、変調光MLの位相(周波数)を示す参照信号RSとがロックインアンプ12aに入力された場合に、ロックインアンプ12aから出力された信号LAoの電圧(V)を示している。
条件1では、太陽電池セルC1、C2、C3、C4、C5のいずれにもマスクが施されなかった。つまり、太陽電池セルC1、C2、C3、C4、C5のすべてが正常状態に設定された。模擬太陽光は、太陽電池セルC1、C2、C3、C4、C5のすべてに照射された。変調光MLは、変調光照射部11から太陽電池セルC5のみに照射された。
図8に示すように、「条件1」では、太陽電池モジュールMの発電出力電圧Voが、1.368(V)になった。ロックインアンプ12aの出力電圧は、0.085(V)になった。正常状態である太陽電池セルC5の電圧は、図8の条件1より、他の太陽電池セルC1〜C4の電圧のうち高いグループに属するので、太陽電池セルC5の微分抵抗のRd5は小さいグループに属する。微分抵抗が小さいと式(3−3)から負荷抵抗Rにかかる電圧の変化分△Vが小さくなるので、ロックインアンプ12aの出力電圧は小さくなる。
図8に示すように、「条件2」では、太陽電池モジュールMの発電出力電圧Voが、1.276(V)になった。ロックインアンプ12aの出力電圧は、3.590(V)になった。異常状態である太陽電池セルC5の電圧は、図8の条件2より、他の太陽電池セルC1〜C4の電圧と比べて最小なので、太陽電池セルC5の微分抵抗のRd5は最大となる。微分抵抗が大きいと式(3−3)から負荷抵抗Rにかかる電圧の変化分△Vが大きくなるので、ロックインアンプ12aの出力電圧は大きくなる。
つまり、太陽電池セルC5が異常状態に設定された条件2では、太陽電池セルC1、C2、C3、C4、C5のすべてが正常状態に設定された条件1よりも、太陽電池モジュールMの全体の発電量が低下し、太陽電池モジュールMの発電出力電圧Voが低下した。
一方、異常状態に設定された太陽電池セルC5に変調光MLが照射された条件2では、正常状態に設定された太陽電池セルC5に変調光MLが照射された条件1よりも、ロックインアンプ12aの出力電圧が増加した。
図8に示すように、「条件3」では、太陽電池モジュールMの発電出力電圧Voが、1.075(V)になった。ロックインアンプ12aの出力電圧は、0.037(V)になった。正常状態である太陽電池セルC5の電圧は、図8の条件3より、他の太陽電池セルC1〜C4の電圧のうち高いグループに属するので、太陽電池セルC5の微分抵抗のRd5は小さいグループに属する。微分抵抗が小さいと式(3−3)から負荷抵抗Rにかかる電圧の変化分△Vが小さくなるので、ロックインアンプ12aの出力電圧は小さくなる。
つまり、太陽電池セルC1が異常状態に設定された条件3では、太陽電池セルC1、C2、C3、C4、C5のすべてが正常状態に設定された条件1よりも、太陽電池モジュールMの全体の発電量が低下し、太陽電池モジュールMの発電出力電圧Voが低下した。
一方、正常状態に設定された太陽電池セルC5に変調光MLが照射された条件3では、ロックインアンプ12aの出力電圧が、正常状態に設定された太陽電池セルC5に変調光MLが照射された条件1とほぼ同程度になった。
つまり、実証実験において、本発明者等は、変調光MLが照射される太陽電池セルが異常状態である場合に、変調光MLが照射される太陽電池セルが正常状態である場合よりも、ロックインアンプ12aが高い電圧を出力することを見い出したのである。
具体的には、条件1では、ロックインアンプ12aの出力電圧(0.085(V))が閾値電圧(2.000(V))以下であるため、変調光MLが照射された太陽電池セルC5が正常状態であると判定することができる。条件2では、ロックインアンプ12aの出力電圧(3.590(V))が閾値電圧(2.000(V))より高いため、変調光MLが照射された太陽電池セルC5が異常状態であると判定することができる。条件3では、ロックインアンプ12aの出力電圧(0.037(V))が閾値電圧(2.000(V))以下であるため、変調光MLが照射された太陽電池セルC5が正常状態であると判定することができる。
図9は第1実施形態の太陽電池モジュールMの異常判定システム1によって実行される処理を示すフローチャートである。
ステップS1では、変調光照射部11が、太陽電池モジュールMを構成する複数の太陽電池セルC1、C2、C3、C4、C5のうちの1つの太陽電池セルC1に変調光MLを照射する。
次いで、ステップS2では、太陽電池モジュールMの発電出力電圧Voが、太陽電池モジュールMの発電出力を示す信号として、位相検波部12を構成するロックインアンプ12aに入力される。また、変調光MLの位相(周波数)を示す参照信号RSが、変調光照射部11のチョッパ制御部113からロックインアンプ12aに入力される。また、ロックインアンプ12aは、変調光MLに同期した微弱成分を抽出し、太陽電池セルC1の状態に応じた信号LAoを判定部13に出力する。
第1実施形態の太陽電池モジュールMの異常判定システム1が適用された一例では、位相検波部12のロックインアンプ12aからの出力信号LAoが示す値が閾値より大きい場合に、ステップS3において、判定部13は、変調光MLが照射された太陽電池セルC1が異常状態であると判定する。一方、位相検波部12のロックインアンプ12aからの出力信号LAoが示す値が閾値以下の場合には、ステップS3において、判定部13は、変調光MLが照射された太陽電池セルC1が正常状態であると判定する。
第1実施形態の太陽電池モジュールMの異常判定システム1が適用された図8に示す例では、ロックインアンプ12aの出力電圧が例えば2.000(V)の閾値電圧より高い場合に、ステップS3において、判定部13は、変調光MLが照射された太陽電池セルC1が異常状態であると判定する。一方、ロックインアンプ12aの出力電圧が例えば2.000(V)の閾値電圧以下の場合には、ステップS3において、判定部13は、変調光MLが照射された太陽電池セルC1が正常状態であると判定する。
ステップS1では、変調光照射部11が、太陽電池モジュールMを構成する複数の太陽電池セルC1、C2、C3、C4、C5のうちの次の太陽電池セルC2に変調光MLを照射する。
異常判定システム1は、太陽電池モジュールMを構成する複数の太陽電池セルC1、C2、C3、C4、C5のすべての異常判定が完了するまで、上述したステップS1からステップS4の処理を繰り返し実行する。
上述した例では、太陽電池セルC1、C2、C3、C4、C5のそれぞれに対するステップS3の異常判定が実行される毎に、ステップS4において判定結果が出力されるが、他の例では、代わりに、出力部14が、太陽電池セルC1、C2、C3、C4、C5のそれぞれに対するステップS3の判定結果をまとめて出力してもよい。
以上、第1実施形態の太陽電池モジュールMの異常判定システム1について説明した。
第1実施形態の太陽電池モジュールMの異常判定システム1は、直列接続された複数の太陽電池セルC1、C2、C3、C4、C5を含む太陽電池モジュールMの異常判定システム1であって、複数の太陽電池セルC1、C2、C3、C4、C5のうちの1つの太陽電池セルC3に変調光MLを照射する変調光照射部11と、太陽電池モジュールMの発電出力を示す信号と、変調光MLの位相(周波数)を示す参照信号RSとに基づいて、太陽電池セルC3の状態に応じた信号LAoを出力する位相検波部12と、位相検波部12からの出力信号LAoに基づいて、太陽電池セルC3が異常状態であるか否かを判定する判定部13とを備えている。
また、第1実施形態の太陽電池モジュールMの異常判定システム1では、判定部13は、位相検波部12からの出力信号LAoが示す値と、閾値とに基づいて、太陽電池セルC3が異常状態であるか否かを判定する。
このように構成することにより、判定部13は、直列接続された複数の太陽電池セルC1、C2、C3、C4、C5のうちの、どの太陽電池セルが異常状態であるかを正確に判定することができる。
このように構成することにより、位相検波部12は、太陽電池モジュールMの発電出力を示す信号から、変調光MLの位相(周波数)に同期した微弱成分を高精度に抽出することができる。
図10を参照して、第2実施形態の太陽電池モジュールMの異常判定システム1の構成について説明する。第2実施形態の太陽電池モジュールMの異常判定システム1は、後述する点を除き、第1実施形態の太陽電池モジュールMの異常判定システム1と同様に構成されている。従って、第2実施形態の太陽電池モジュールMの異常判定システム1によれば、後述する点を除き、第1実施形態の太陽電池モジュールMの異常判定システム1と同様の効果を奏することができる。
図10は、第2実施形態の太陽電池モジュールMの異常判定システム1の構成の一例を示す図である。
第2実施形態の太陽電池モジュールMの異常判定システム1が適用された図10に示す例では、異常判定システム1が、太陽電池モジュールMの発電電流を検出するクランプセンサ15をさらに備えている。
図10に示す例では、代わりに、太陽電池モジュールMの発電電流が、クランプセンサ15によって検出される。また、太陽電池モジュールMの発電出力を示す信号として、クランプセンサ15からの出力信号Coが、ロックインアンプ12aに入力される。
また、図10に示す例では、図1に示す例と同様に、チョッパ制御部113から出力された参照信号RSが、ロックインアンプ12aに入力される。また、ロックインアンプ12aは、太陽電池セルC3の状態に応じた信号LAoを出力する。
つまり、図10に示す例では、図1に示す例と同様に、ロックインアンプ12aに入力される参照信号RSが、変調光照射部11から太陽電池セルC3に照射される変調光MLの位相(周波数)を示す。また、ロックインアンプ12aから出力される信号LAoは、変調光MLが照射された太陽電池セルC3の状態を示す。
また、第2実施形態の太陽電池モジュールMの異常判定システム1では、ロックインアンプ12aに入力される太陽電池モジュールMの発電出力を示す信号とは、クランプセンサ15からの出力信号Coである。
つまり、第2実施形態の太陽電池モジュールMの異常判定システム1では、太陽電池モジュールMの発電出力電圧Voがロックインアンプ12aに直接入力されるのではなく、太陽電池モジュールMの発電電流を検出するクランプセンサ15からの出力信号Coが、ロックインアンプ12aに入力される。
そのため、第2実施形態の太陽電池モジュールMの異常判定システム1では、太陽電池モジュールMの発電出力電圧Voが高い場合であっても、太陽電池モジュールMの発電出力を示す信号をロックインアンプ12aに入力することができる。その結果、太陽電池モジュールMの発電出力電圧Voが高い場合であっても、判定部13は、ロックインアンプ12aからの出力信号LAoに基づいて、太陽電池セルC3が異常状態であるか否かを判定することができる。第2実施形態では、<解析理論>のうち、太陽電池モジュールMおよび負荷抵抗Rを流れる電流Iの微小変化分△Iを表す式(3−2)に基づく動作原理に従っている。
図11を参照して、第3実施形態の太陽電池モジュールMの異常判定システム1の構成について説明する。第3実施形態の太陽電池モジュールMの異常判定システム1は、後述する点を除き、第1実施形態の太陽電池モジュールMの異常判定システム1と同様に構成されている。従って、第3実施形態の太陽電池モジュールMの異常判定システム1によれば、後述する点を除き、第1実施形態の太陽電池モジュールMの異常判定システム1と同様の効果を奏することができる。
図11は、第3実施形態の太陽電池モジュールMの異常判定システム1の構成の一例を示す図である。
図11に示す例では、第3実施形態の異常判定システム1が、太陽電池モジュールMを有する太陽電池パネルアレイAに適用される。太陽電池モジュールMは、図1に示す例と同様に、直列接続された複数の太陽電池セルC1、C2、C3、C4、C5によって構成されている。
また、図11に示す例では、太陽電池パネルアレイAが、4個の太陽電池パネルP1、P2、P3、P4によって構成されている。太陽電池パネルP1は、上述した太陽電池モジュールMと、太陽電池モジュールMと同様に構成された複数の太陽電池モジュールとによって構成されている。太陽電池パネルP2は、太陽電池モジュールMと同様に構成された複数の太陽電池モジュールによって構成されている。太陽電池パネルP3、P4は、太陽電池パネルP2と同様に構成されている。
上述したように、図11に示す例では、太陽電池パネルアレイAが、4個の太陽電池パネルP1、P2、P3、P4によって構成されているが、他の例では、4個以外の任意の個数の太陽電池パネルによって太陽電池パネルアレイAを構成してもよい。
図11に示す例では、無人飛行体DRに搭載された変調光照射部11のリフレクタ114によって反射された変調光MLが太陽電池セルC3に照射されるが、他の例では、代わりに、リフレクタ114が省略され、変調光照射部11のフィルタ115を透過した変調光MLが太陽電池セルC3に直接照射されてもよい。
Claims (6)
- 直列接続された複数の太陽電池セルを含む太陽電池モジュールの異常判定システムであって、
前記複数の太陽電池セルのうちの1つの太陽電池セルに変調光を照射する変調光照射部と、
前記太陽電池モジュールの発電出力を示す信号と、前記変調光の位相を示す参照信号とに基づいて、前記1つの太陽電池セルの状態に応じた信号を出力する位相検波部と、
前記位相検波部からの出力信号に基づいて、前記1つの太陽電池セルが異常状態であるか否かを判定する判定部と
を備える太陽電池モジュールの異常判定システム。 - 前記判定部は、前記位相検波部からの出力信号が示す値と、閾値とに基づいて、前記1つの太陽電池セルが異常状態であるか否かを判定する
請求項1に記載の太陽電池モジュールの異常判定システム。 - 前記位相検波部とは、ロックインアンプであり、
前記ロックインアンプには、前記太陽電池モジュールの発電出力を示す信号と、前記参照信号とが入力され、
前記ロックインアンプは、前記1つの太陽電池セルが異常状態である場合に、前記1つの太陽電池セルが正常状態である場合よりも高い電圧を出力し、
前記判定部は、前記ロックインアンプの出力電圧が閾値電圧より高い場合に前記1つの太陽電池セルが異常状態であると判定し、前記ロックインアンプの出力電圧が前記閾値電圧以下の場合に前記1つの太陽電池セルが正常状態であると判定する
請求項2に記載の太陽電池モジュールの異常判定システム。 - 前記太陽電池モジュールの発電電流を検出するクランプセンサをさらに備え、
前記ロックインアンプに入力される前記太陽電池モジュールの発電出力を示す信号とは、前記クランプセンサからの出力信号である
請求項3に記載の太陽電池モジュールの異常判定システム。 - 前記変調光照射部は、無人飛行体に搭載されている、請求項1に記載の太陽電池モジュールの異常判定システム。
- 直列接続された複数の太陽電池セルを含む太陽電池モジュールの異常判定方法であって、
前記複数の太陽電池セルのうちの1つの太陽電池セルに変調光を照射する第1ステップと、
前記太陽電池モジュールの発電出力を示す信号と、前記変調光の位相を示す参照信号とに基づいて、前記1つの太陽電池セルの状態に応じた信号を出力する第2ステップと、
前記1つの太陽電池セルの状態に応じた信号に基づいて、前記1つの太陽電池セルが異常状態であるか否かを判定する第3ステップと
を含む太陽電池モジュールの異常判定方法。
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