JPWO2018134924A1 - ねじ切りフライス - Google Patents

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Abstract

工具寿命を長くできるねじ切りフライスを提供する。工具本体(10)の外周の先端側から軸直方向に複数のねじ山が突出してねじ切り刃(20a,24,29)が形成される。工具本体の先端面に形成される底刃(33)は、ねじ切り刃の先端側に連なる第1底刃(34)と、第1底刃の軸心(C)側に連なって第1底刃よりも後端側へ傾斜する第2底刃(35)とを備える。軸心に垂直な仮想平面(P)と第1底刃とのなす角(θ1)が6°以下に設定される。第2底刃と軸心に垂直な仮想平面とのなす角(θ2)は、第1底刃と軸心に垂直な仮想平面とのなす角よりも大きく設定される。

Description

本発明はねじ切りフライスに関し、特に穴あけ加工とねじ切り加工とを同時に行うねじ切りフライスに関するものである。
従来より、被加工物にめねじを切削加工するための工具としてねじ切りフライスがある。このねじ切りフライスは、工具本体の外周にねじ切り刃が設けられ、NCフライス盤等の駆動装置により軸心まわりに回転されつつ被加工物に対して相対移動させることでねじ切り加工を行う。
ねじ切りフライスの中には、工具本体の先端面に底刃を設けることで、ねじ切り加工の前工程として別の工具を使って行う下穴加工を不要とし、穴あけ加工とねじ切り加工とを同時に行うものがある(特許文献1)。
特開2012−86286号公報
しかしながら、特許文献1では、被加工物から受ける径方向の力によってめねじの中心軸に対してねじ切りフライスが倒れ易く、ねじ切りフライスの工具寿命が短いという問題点がある。
本発明は上述した問題点を解決するためになされたものであり、工具寿命を長くできるねじ切りフライスを提供することを目的とする。
この目的を達成するために本発明のねじ切りフライスは、駆動装置により軸心まわりに回転されつつ被加工物に対して相対移動されることで前記被加工物にめねじを切削加工するものであって、前記駆動装置に保持されて軸心まわりに回転される工具本体と、前記工具本体の外周の先端側から軸直方向に複数のねじ山が突出するねじ切り刃と、前記工具本体の先端面に形成される底刃とを備え、前記底刃は、前記ねじ切り刃の先端側に連なり、前記軸心に垂直な仮想平面とのなす角が6°以下に設定される第1底刃と、前記第1底刃の前記軸心側に連なって前記第1底刃よりも後端側へ傾斜する第2底刃とを備え、前記軸心に垂直な仮想平面と前記第2底刃とのなす角は、前記軸心に垂直な仮想平面と前記第1底刃とのなす角よりも大きく設定される。
請求項1記載のねじ切りフライスによれば、工具本体の軸心に垂直な仮想平面と第1底刃とのなす角が6°以下に設定される。そのため、被加工物と駆動装置との間でねじ切りフライスに生じる軸方向の突っ張り力を強くできる。その結果、めねじの中心軸に対してねじ切りフライスを倒れ難くできる。
また、軸心に垂直な仮想平面と第2底刃とのなす角は、軸心に垂直な仮想平面と第1底刃とのなす角よりも大きく設定される。そのため、第1底刃と被加工物との間の切削抵抗に比べて、第2底刃と被加工物との間の切削抵抗を低減できる。よって、第2底刃により切削抵抗を低減しつつ、第1底刃によりねじ切りフライスを倒れ難くしてねじ切りフライスの工具寿命を長くできる効果がある。
請求項2記載のねじ切りフライスによれば、ねじ切り刃と第1底刃との境界における軸心を中心とした直径は、ねじ山間の谷径以上である。これにより、第1底刃と駆動装置との間でねじ切りフライスに生じる軸方向の強い突っ張り力を、ねじ切り刃と第1底刃との境界がねじ山間の谷底よりも軸直方向内側に位置する場合に比べて、軸直方向外側に位置させることができる。その結果、めねじの中心軸に対してねじ切りフライスを更に倒れ難くできるので、請求項1の効果に加え、ねじ切りフライスの工具寿命を更に長くできる効果がある。
請求項3記載のねじ切りフライスによれば、第1底刃の軸直方向寸法は、ねじ山間の谷径に対して10%以下に設定される。これにより、第1底刃と被加工物との接触面積を抑制して第1底刃と被加工物との間の切削抵抗を抑制できる。その結果、ねじ切り刃および底刃の摩耗や折損を抑制できるので、請求項1又は2の効果に加え、ねじ切りフライスの工具寿命を更に長くできる効果がある。
請求項4記載のねじ切りフライスによれば、第1底刃と軸心に垂直な仮想平面とのなす角度が0°より大きく設定される。これにより、第1底刃と被加工物との間の切削抵抗を低減できる。その結果、請求項1から3のいずれかの効果に加え、ねじ切りフライスの工具寿命を更に長くできる効果がある。
本発明の一実施形態におけるねじ切りフライスの正面図である。 図1のII部分を拡大したねじ切りフライスの拡大図である。 ねじ切りフライスの底面図である。 ねじ切りフライスを用いた切削加工の模式的な説明図である。
以下、本発明の好ましい実施形態について、添付図面を参照して説明する。まず、図1を参照して、本発明の一実施形態におけるねじ切りフライス1について説明する。図1は本発明の一実施形態におけるねじ切りフライスの正面図である。
図1に示すように、ねじ切りフライス1は、NCフライス盤やマシニングセンタ等の駆動装置2(図4参照)から伝達される回転力により被加工物W(図4参照)にめねじ4(図4参照)を切削加工するための工具である。ねじ切りフライス1は、タングステンカーバイド等を加圧焼結した超硬合金から構成される。なお、ねじ切りフライス1は超硬合金から構成される場合に限らず、例えば、ねじ切りフライス1を高速度工具鋼などから構成しても良い。
ねじ切りフライス1は、軸心C1を中心とする円柱状の工具本体10と、被加工物Wを切削するための第1刃部20及び第2刃部30を備える。工具本体10は、その軸心C1方向の後端側(図1上側)に設けられるシャンク11と、そのシャンク11に連なって工具本体10の軸心C1方向の先端側(図1下側)に設けられるボデー12とを備える。
シャンク11は、駆動装置2に保持される部位である。ねじ切りフライス1は、シャンク11を介して保持された駆動装置2から伝達される駆動力によって、被加工物Wにめねじ4を切削加工する。この駆動装置2からの駆動力は、ねじ切りフライス1を軸心C1まわりに回転させると共に、ねじ切りフライス1をヘリカル送りさせて被加工物Wに対してねじ切りフライス1を相対移動させる。なお、ヘリカル送りとは、形成予定のめねじ4の中心軸C2に対してねじ切りフライス1を公転させつつ、ねじ切りフライス1を軸心C1方向へリード送りさせることである。
シャンク11は、軸心C1に沿って一定の外径を有する円柱状に形成される。しかし、シャンク11は、軸心C1に沿って一定の外径を有する場合に限らず、例えば、シャンク11を工具本体10の先端側から後端側へ向かうにつれて外径が縮小するテーパ状に形成しても良い。
ボデー12は、第1刃部20及び第2刃部30が設けられる部位である。ボデー12は、軸心C1に沿って一定の外径を有する円柱状に形成されると共に、その一部を切り欠いて複数の溝部13,14が形成される(溝部14は図3参照)。ボデー12の外径は、シャンク11の外径よりも小さく設定されている。
溝部13,14は、第1刃部20及び第2刃部30によって被加工物Wが切削されて生じた切り屑を排出するための溝である。溝部13はボデー12の外周面に設けられる。溝部14はボデー12の先端面に設けられる。第1刃部20及び第2刃部30は、この複数の溝部13,14により工具本体10の周方向に複数(本実施形態では4つ)に分断された形状となる。
次に図2及び図3を参照して、第1刃部20及び第2刃部30について説明する。図2は図1のII部分を拡大したねじ切りフライス1の拡大図である。図3はねじ切りフライス1の底面図である。
図2に示すように、第1刃部20は、下穴の内周面にめねじを切削する部位である。第1刃部20は、工具本体10の外周から軸直方向外側へ張り出す複数のねじ山部を備える。複数のねじ山部は、工具本体10の外周の先端から後端側へ向かって形成される。複数のねじ山部のうち、最も工具本体10の先端側の1山が先端ねじ山部21であり、先端ねじ山部21以外の2山が後端ねじ山部26である。
先端ねじ山部21は、先端すくい面22と、先端逃げ面23と、先端すくい面22及び先端逃げ面23の稜線に形成される先端刃24とを備える。後端ねじ山部26は、後端すくい面27と、後端逃げ面28と、後端すくい面27及び後端逃げ面28の稜線に形成される後端刃29とを備える。
先端すくい面22及び後端すくい面27は、それぞれ先端刃24及び後端刃29による被加工物Wの切削加工時に切り屑を生成および排出するための部位である。先端すくい面22及び後端すくい面27は、それぞれ先端ねじ山部21及び後端ねじ山部26の外面のうち切削回転方向の前方側の面である。
先端逃げ面23及び後端逃げ面28は、それぞれ先端刃24及び後端刃29による被加工物Wの切削加工時に第1刃部20と被加工物Wとの接触面積を低減するための部位である。先端逃げ面23及び後端逃げ面28は、それぞれ先端ねじ山部21及び後端ねじ山部26の外面のうち外周側の面である。
先端刃24及び後端刃29は、被加工物Wに食い込んで被加工物Wを切削するねじ山状の部位である。先端刃24は、山頂24aと、山頂24aの先端側(第2刃部30側)に連なるフランク24bと、山頂24aの後端側(シャンク11側)に連なるフランク24cとを備える。後端刃29は、山頂29aと、山頂29aの先端側に連なるフランク29bと、山頂29aの後端側に連なるフランク29cとを備える。
フランク24cとフランク29bとを、2つの後端刃29のうち先端側の後端刃29のフランク29cと、後端側の後端刃29のフランク29bとを、それぞれ軸方向に繋ぐ稜線が谷底20aである。谷底20aは、先端刃24及び後端刃29による複数のねじ山の間の谷底である。これら先端刃24、後端刃29及び谷底20aが、被加工物Wにめねじ4(図4参照)をねじ切りするためのねじ切り刃である。谷底20aから先端刃24の山頂24aまでの高さは、谷底20aから後端刃29の山頂29aまでの高さよりも小さく設定される。
このように設定されたねじ切り刃20a,24,29を有するねじ切りフライス1がヘリカル送りされて被加工物Wにめねじ4を切削加工する。まず、先端刃24で被加工物Wを荒切削し、その後、先端刃24で切削されなかった部分を後端刃29で仕上げ切削して被加工物Wがねじ切りされる。先端刃24が荒切削して後端刃29が仕上げ切削することで、後端刃29への負荷を低減できる。その結果、後端刃29の摩耗を抑制できるので、ねじ切り刃20a,24,29による切削精度を向上できる。
図2及び図3に示すように、第2刃部30は、めねじ4の内径に該当する下穴を切削加工する部位である。第2刃部30は、工具本体10の先端面、即ち、工具本体10の底面に設けられる。第2刃部30は、底すくい面31と、底逃げ面32と、底すくい面31及び底逃げ面32の稜線に形成される底刃33とを備える。
底すくい面31は、底刃33による被加工物Wの切削加工時に切り屑を生成および排出するための部位である。底すくい面31は、第2刃部30の外面のうち切削回転方向の前方側に向いた面である。底逃げ面32は、底刃33による被加工物Wの切削加工時に第2刃部30と被加工物Wとの接触面積を低減するための部位である。底逃げ面32は、工具本体10の先端面の一部である。
底刃33は、被加工物Wに食い込んで被加工物Wを切削する部位である。底刃33は軸心C1周りに回転対称に形成される。底刃33は、先端刃24の先端側のフランク24bに連なる第1底刃34と、第1底刃34の軸心C1側に連なる第2底刃35とを備える。
第1底刃34は、軸心C1に垂直な仮想平面Pとのなす角θ1が6°以下(本実施形態では0°)に設定される。また、この仮想平面Pとフランク24bとのなす角θ3は、本実施形態では30°に設定される。なお、角θ3は、30°に限らず、切削予定のめねじ4の形状に合わせて設定される。
第1底刃34の幅d1(軸直方向寸法)は、谷底20aにおける軸心C1を中心とした直径(以下「谷径」と称す)d2の10%以下に設定されることが好ましい。なお、本実施形態では、谷径d2に対する幅d1の比が6%に設定される。第1底刃34とフランク24bとの境界Bにおける軸心C1を中心とした直径d3は、谷底20aの谷径d2以上に設定される。なお、本実施形態では、谷径d2と直径d3とが同一に設定される。
第2底刃35は、底刃33の切削抵抗を低減させる部位である。第2底刃35は、第1底刃34よりも工具本体10の後端側へ傾斜する。第2底刃35と仮想平面Pとのなす角θ2は、角θ1よりも大きく設定される。なお、本実施形態では、角θ2が10°に設定される。
次に、図2及び図4を参照してねじ切りフライス1の切削加工時の作用について説明する。図4はねじ切りフライス1を用いた切削加工の模式的な説明図である。図4には、本実施形態に対して第1底刃34がなく、先端刃24のフランク24bを下方へ延長したフランク41と、第2底刃35を下方へ延長した第2底刃42とが交点43で連なる従来技術(例えば、特許文献1)のねじ切りフライス40が二点鎖線で図示される。
図2及び図4に示すように、被加工物Wを図示しない固定装置に固定し、ねじ切りフライス1のシャンク11を駆動装置2に装着する。そして、駆動装置2により、ねじ切りフライス1を軸心C1まわりに自転させながらヘリカル送りさせることで、底刃33により被加工物Wに下穴が切削加工されつつ、その下穴の内周面がねじ切り刃20a,24,29によってねじ切りされる。これにより被加工物Wにめねじ4が形成される。
従来技術のねじ切りフライス40では、被加工物Wを切削開始するときに、まず交点43が被加工物Wに接触する。軸心C1に垂直な仮想平面Pとフランク24b,41とのなす角θ3と、仮想平面Pと第2底刃35,42とのなす角θ2とにより規定される先細り形状の交点43付近は耐久性が比較的低く摩耗し易い。
これに対し、本実施形態のねじ切りフライス1では、被加工物Wを切削開始するときにまず接触する部分の形状が、角θ2よりも角度が小さい仮想平面Pと第1底刃34とのなす角θ1と、角θ2又は角θ2とにより規定される。そのため、ねじ切りフライス40よりもねじ切りフライス1の方が底刃33の耐久性を高くでき、摩耗し難くできる。特に、角θ1が0°に近い程、ねじ切りフライス1で被加工物Wを切削開始するとき、第1底刃34全体が被加工物Wに略一度に接触するので、第1底刃34及び第2底刃35をより摩耗し難くできる。
底刃33は、被加工物Wに全体が接触して下穴を切削加工している。更に底刃33が軸心C1周りに回転対称に形成されるので、底刃33が被加工物Wから受ける軸直方向の力は互いに相殺される。
一方、ねじ切り刃20a,24,29は、周方向の一部が被加工物Wに接触してねじ切りしている。即ち、ねじ切り刃20a,24,29は、被加工物Wに接触している部分とは軸心C1を挟んで反対側の部分が被加工物Wに接触していない。
そのため、ねじ切りフライス1には、めねじ4の内周面からめねじ4の中心軸C2へ向かう力が生じる。この力が大きいと、ねじ切りフライス1がめねじ4の中心軸C2へ向かって倒れ易くなる。ここで、めねじ4の中心軸C2に対してねじ切りフライス1が倒れる程、めねじ4の有効径が小さくなる。そのため、有効径が一定量以上小さくなった段階で駆動装置2により補正する必要がある。よって、ねじ切りフライス1がめねじ4の中心軸C2へ向かって倒れ易い程、頻繁に補正を行う必要がある。
先端刃24のフランク24bは、フランク24bに垂直な方向の力F2を被加工物Wから受ける。力F2の軸直方向成分F2bは、ねじ切りフライス1の倒れに寄与する。一方、力F2の軸方向成分F2aによって、シャンク11を介して駆動装置2に保持されるねじ切りフライス1を駆動装置2に押し付けることができる。これにより、被加工物Wと駆動装置2との間でねじ切りフライス1が突っ張って、めねじ4の中心軸C2に対するねじ切りフライス1の倒れが抑制される。
第1底刃34は、第1底刃34に垂直な方向の力F1を被加工物Wから受ける。本実施形態では、第1底刃34と仮想平面Pとのなす角θ1が6°以下に設定されるので、その力F1の略全てが軸方向の力となる。これにより、被加工物Wと駆動装置2との間でねじ切りフライス1に生じる軸方向の突っ張り力を強くできるので、めねじ4の中心軸C2に対してねじ切りフライス1を倒れ難くできる。
更に、本実施形態では、第1底刃34を設けることで、従来技術に対してフランク24bを短くでき、力F2を小さくできる。その結果、本実施形態では、従来技術に対して力F2の軸直方向成分F2bも小さくできるので、ねじ切りフライス1をより倒れ難くできる。
フランク24bと第1底刃34との境界Bにおける軸心C1を中心とした直径d3が大きく設定される程、ねじ切りフライス1に生じる軸方向の突っ張り力を軸直方向外側に位置させることができる。その結果、めねじ4の中心軸C2に対してねじ切りフライス1を一層倒れ難くできる。
更に、直径d3が大きい程、フランク24bを短くできるので、力F2の軸直方向成分F2bを小さくできる。これにより、めねじ4の中心軸C2に対してねじ切りフライス1を一層倒れ難くできる。
しかし、先端刃24のフランク24bが短い程、フランク24bへの負荷が集中する。そのため、フランク24bが摩耗し易くなり、先端刃24の耐久力が低下するので、ねじ切りフライス1の工具寿命が短くなるおそれがある。
また、直径d3が谷底20aの谷径d2よりも大きい場合には、フランク24bによる被加工物Wの切削量が少なくなる。フランク24bで切削できなくなった部分は、後端刃29の先端側のフランク29bが代わりに切削する。そのため、後端刃29への負荷が大きくなる。これにより、後端刃29が摩耗し易くなって後端刃29の耐久力が低下するので、ねじ切りフライス1の工具寿命が短くなるおそれがある。
以上の結果、境界Bの直径d3は、谷径d2以上に設定されることで、直径d3が谷径d2よりも小さく設定される場合に比べて、ねじ切りフライス1に生じる軸方向の突っ張り力を軸直方向外側に位置できると共に、力F2の軸直方向成分F2bを小さくできる。これにより、めねじ4の中心軸C2に対してねじ切りフライス1を一層倒れ難くできる。その結果、駆動装置2によるねじ切りフライス1の補正回数を少なくできると共に、ねじ切りフライス1の工具寿命を長くできる。
但し、直径d3が谷径d2以上に設定されつつ、直径d3と谷径d2との差が小さい方が好ましく、その差がないことがより好ましい。これらの差が小さい程、フランク24bへの負荷の集中を緩和できると共に、フランク24bによる被加工物Wの切削量を適切にできる。これらの結果、先端刃24及び後端刃29の耐久力の確保と、ねじ切りフライス1の倒れ抑制と、によってねじ切りフライス1の工具寿命を長くできると共に、駆動装置2によるねじ切りフライス1の補正回数を少なくできる。
第1底刃34の幅d1は、谷底20aの谷径d2の10%以下に設定されることが好ましい。幅d1が谷径d2の10%より大きい場合には、第1底刃34と被加工物Wとの間の切削抵抗が大きくなる。そのため、切削加工中のねじ切りフライス1の振動が大きくなり、ねじ切りフライス1による加工精度が低下したり、振動に起因してねじ切り刃20a,24,29及び底刃33が摩耗したり折損したりするおそれがある。
幅d1が谷径d2の10%以下に設定されることで、第1底刃34と被加工物Wとの間の切削抵抗を十分に小さくできる。その結果、ねじ切りフライス1による加工精度を確保しつつ、ねじ切り刃20a,24,29及び底刃33の摩耗や折損を抑制してねじ切りフライス1の工具寿命を長くできる。
第1底刃34よりも後端側へ第2底刃35が傾斜し、仮想平面Pと第1底刃34とのなす角θ1よりも仮想平面Pと第2底刃35とのなす角θ2が大きく設定される。そのため、第2底刃35がなく底刃33が全て第1底刃34である場合に比べて、底刃33と被加工物Wとの間の切削抵抗を低減できる。その結果、ねじ切りフライス1による加工精度を確保しつつ、ねじ切り刃20a,24,29及び底刃33の摩耗や折損を抑制してねじ切りフライス1の工具寿命を長くできる。
以下、実施例により本発明を更に具体的に説明する。なお、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。以下の実施例では、上記実施形態で説明したねじ切りフライス1の幅d1、角θ1の値を具体化したものを用いた。全ての実施例および比較例では、角θ2を10°、角θ3を30°とした。
まず、第1底刃34を有する実施例1と、第1底刃34を有しない比較例とについて比較する。実施例1には、角θ1が0°〜+1°となり、幅d1が0.19mm、谷径d2が3.17mm、即ち、谷径d2に対する幅d1の比d1/d2が6%(誤差±0.4%)となるように作製したねじ切りフライスを用いる。なお、角θ1の「+」とは、第1底刃34が軸心C1側へ向かうにつれて後端側へ傾斜する場合を示す。また、幅d1の誤差は±0.02mmとなるように設定し、全ての実施例において幅d1の誤差を同様に設定した。比d1/d2の誤差は、全ての実施例で共通の±0.4%に設定した。
比較例は、第1底刃34を有しない従来技術のねじ切りフライス40を用いた以外は、実施例1と同様に構成したものである。
実施例1および比較例におけるねじ切りフライスを用いて、立型マシニングセンタ(駆動装置2)により呼び径がM5×0.8、ねじ立て長さが9.6mm、JIS規格の定める等級が6Hであるめねじが、被加工物WであるSKD11(60HRC)にいくつ加工できるか評価することで、ねじ切りフライスの耐久試験を行った。更に詳しくは、有効径+0.080のステップゲージが12回転入り、有効径+0.100のステップゲージが12回転以上入らないように工具半径オフセットを調整し、耐久試験をスタートさせた。通り側ねじプラグゲージ(以下「GPゲージ」と称す)がめねじに入らなくなった時点で耐久試験をストップして、工具半径補正を行い、耐久試験を再開させた。なお、パス回数は1回とした。また、切削油には水溶性切削油を用い、切削速度を45m/min、1刃当たりの送りを0.023mm/tとした。
表1は、この耐久試験により加工されためねじの数を表した耐久試験結果である。表1に示すように、第1底刃34を有する実施例1では、第1底刃34を有しない比較例1と比べて、駆動装置2による補正回数を少なくできると共に、めねじの加工数を多くして工具寿命を長くできることが明らかとなった。
Figure 2018134924
次に、幅d1を異ならせた実施例2〜5を比較する。実施例2には、角θ1が0°〜+1°となり、谷径d2が4.86mm、幅d1が0.1mm、即ち、谷径d2に対する幅d1の比d1/d2が2%となるように作製したねじ切りフライスを用いる。実施例3は、幅d1を0.2mm、比d1/d2を4%となるように作製した以外は、実施例2と同様に構成したものである。実施例4は、幅d1を0.3mm、比d1/d2を6%となるように作製した以外は、実施例2と同様に構成したものである。実施例5は、幅d1を0.5mm、比d1/d2を10%となるように作製した以外は、実施例2と同様に構成したものである。
実施例2〜5におけるねじ切りフライスを用いて、立型マシニングセンタ(駆動装置2)により呼び径がM8×1.25、ねじ立て長さが8mm、JIS規格の定める等級が6Hであるめねじが、被加工物WであるSKD11(59〜61HRC)にいくつ加工できるか評価することで、ねじ切りフライスの耐久試験を行った。更に詳しくは、有効径+0.080のステップゲージが10回転入り、有効径+0.100のステップゲージが10回転以上入らないように工具半径オフセットを調整し、耐久試験をスタートさせた。GPゲージがめねじに入らなくなった時点で耐久試験をストップして、工具半径補正を行い、耐久試験を再開させた。なお、パス回数は1回とした。また、切削油は用いず、エアブローを行い、切削速度を45m/min、1刃当たりの送りを0.04mm/tとした。
この耐久試験におけるめねじの加工数は、比d1/d2が2%の実施例2で130、比d1/d2が4%の実施例3で145、比d1/d2が6%の実施例4で152、比d1/d2が10%の実施例5で136であった。また、補正回数は全て0回であった。
この試験結果から、比d1/d2が6%付近までは比d1/d2が大きくなるにつれてめねじの加工数が多くなり、比d1/d2が6%付近よりも大きくなるにつれてめねじの加工数が少なくなることが明らかとなった。これは、比d1/d2が大きくなる程、第1底刃34が受ける軸方向の力F1を大きくできるが、第1底刃34と被加工物Wとの間の切削抵抗が大きくなるためであると推察される。よって、比d1/d2を4%〜10%に設定することで、めねじの加工数を多くして工具寿命をより長くできる。更に、比d1/d2を5%〜8%に設定することで、工具寿命をより一層長くできる。
次に、角θ1を異ならせた実施例6〜9を比較する。実施例6には、角θ1が0°〜+1°となり、谷径d2が4.86mm、幅d1が0.3mm、即ち、谷径d2に対する幅d1の比d1/d2が6%となるように作製したねじ切りフライスを用いる。なお、実施例6は、実施例4に対して、ボデー12の先端面の溝部14の幅(周方向寸法)を大きくし、軸心C1から底逃げ面32までの距離を約1.5倍に設定したものである。
実施例7は、角θ1が1°〜2°となるように作製した以外は、実施例6と同様に構成したものである。実施例8は、角θ1が3°〜4°となるように作製した以外は、実施例6と同様に構成したものである。実施例9は、角θ1が5°〜6°となるように作製した以外は、実施例6と同様に構成したものである。
角θ1を異ならせた実施例6〜9における耐久試験の方法は、幅d1を異ならせた実施例2〜5における耐久試験の方法と同様にした。表2は、この耐久試験により加工されためねじの数を表した耐久試験結果である。
Figure 2018134924
表2に示すように、実施例6〜9のいずれも補正回数は同じだが、角θ1が1°〜2°の実施例7の場合をピークに、1°〜2°から離れるにつれてめねじの加工数が少なくなることが明らかとなった。これは、角θ1を0°に近づける程、ねじ切りフライスに生じる軸方向の突っ張り力を大きくできる一方で、角θ1が0°の場合に第1底刃34と被加工物Wとの間の切削抵抗が特に大きくなるためであると推察される。
よって、角θ1を0°より大きく設定することで、めねじの加工数を多くして工具寿命をより長くできる。更に、角θ1を1°〜3°、より好ましくは角θ1を1°〜2°に設定することで工具寿命をより一層長くできる。
以上、実施形態および実施例に基づき本発明を説明したが、本発明は上記実施形態に何ら限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲内で種々の改良変形が可能であることは容易に推察できるものである。例えば、上記実施形態および上記実施例で挙げた数値は一例であり、他の数値を採用することは当然可能である。
上記実施形態では、1山の先端ねじ山部21と、2山の後端ねじ山部26が設けられる場合について説明したが、必ずしもこれに限られるものではない。例えば、後端ねじ山部26を1山または3山以上にしても良い。また、先端ねじ山部21の形状と後端ねじ山部26の形状とを同一にしても良い。
上記実施形態では、第1刃部20及び第2刃部30がそれぞれ複数の溝部13,14により周方向に4つに分断される場合について説明したが、必ずしもこれに限られるものではない。例えば、第1刃部20及び第2刃部30を複数の溝部13,14により周方向に2つ、3つまたは5つ以上に分断しても良い。
上記各実施例では、第1底刃34が軸心C1と垂直な場合、又は、第1底刃34が軸心C1側へ向かうにつれて工具本体10の後端側へ傾斜する場合について説明したが、必ずしもこれに限られるものではない。第1底刃34が軸心C1側へ向かうにつれて工具本体10の先端側へ傾斜させても良い。底刃33が軸心C1周りに回転対称に形成されるので、軸心C1に垂直な仮想平面Pと第1底刃34とのなす角θ1の正負に係わらず、角θ1が6°以下であれば、被加工物Wと駆動装置2との間でねじ切りフライス1に生じる軸方向の突っ張り力を強くできる。その結果、めねじ4の中心軸C2に対してねじ切りフライス1を倒れ難くできる。
1 ねじ切りフライス
2 駆動装置
10 工具本体
20a 谷底(ねじ切り刃の一部)
24 先端刃(ねじ切り刃の一部、ねじ山)
29 後端刃(ねじ切り刃の一部、ねじ山)
33 底刃
34 第1底刃
35 第2底刃
C 軸心
P 仮想平面
W 被加工物
本発明はねじ切りフライスに関し、特に穴あけ加工とねじ切り加工とを同時に行うねじ切りフライスに関するものである。
従来より、被加工物にめねじを切削加工するための工具としてねじ切りフライスがある。このねじ切りフライスは、工具本体の外周にねじ切り刃が設けられ、NCフライス盤等の駆動装置により軸心まわりに回転されつつ被加工物に対して相対移動させることでねじ切り加工を行う。
ねじ切りフライスの中には、工具本体の先端面に底刃を設けることで、ねじ切り加工の前工程として別の工具を使って行う下穴加工を不要とし、穴あけ加工とねじ切り加工とを同時に行うものがある(特許文献1)。
特開2012−86286号公報
しかしながら、特許文献1では、被加工物から受ける径方向の力によってめねじの中心軸に対してねじ切りフライスが倒れ易く、ねじ切りフライスの工具寿命が短いという問題点がある。
本発明は上述した問題点を解決するためになされたものであり、工具寿命を長くできるねじ切りフライスを提供することを目的とする。
この目的を達成するために本発明のねじ切りフライスは、駆動装置により軸心まわりに回転されつつ被加工物に対して相対移動されることで前記被加工物にめねじを切削加工するものであって、前記駆動装置に保持されて軸心まわりに回転される工具本体と、前記工具本体の外周の先端側から軸直方向に複数のねじ山が突出するねじ切り刃と、前記工具本体の先端面に形成される底刃とを備え、前記底刃は、前記ねじ切り刃の先端側に連なり、前記軸心に垂直な仮想平面とのなす角が6°以下に設定される第1底刃と、前記第1底刃の前記軸心側に連なって前記第1底刃よりも後端側へ傾斜する第2底刃とを備え、前記軸心に垂直な仮想平面と前記第2底刃とのなす角は、前記軸心に垂直な仮想平面と前記第1底刃とのなす角よりも大きく設定される。
請求項1記載のねじ切りフライスによれば、工具本体の軸心に垂直な仮想平面と第1底刃とのなす角が6°以下に設定される。そのため、被加工物と駆動装置との間でねじ切りフライスに生じる軸方向の突っ張り力を強くできる。その結果、めねじの中心軸に対してねじ切りフライスを倒れ難くできる。
また、軸心に垂直な仮想平面と第2底刃とのなす角は、軸心に垂直な仮想平面と第1底刃とのなす角よりも大きく設定される。そのため、第1底刃と被加工物との間の切削抵抗に比べて、第2底刃と被加工物との間の切削抵抗を低減できる。よって、第2底刃により切削抵抗を低減しつつ、第1底刃によりねじ切りフライスを倒れ難くしてねじ切りフライスの工具寿命を長くできる効果がある。
じ切り刃と第1底刃との境界における軸心を中心とした直径は、ねじ山間の谷径と同一である。これにより、第1底刃と駆動装置との間でねじ切りフライスに生じる軸方向の強い突っ張り力を、ねじ切り刃と第1底刃との境界がねじ山間の谷底よりも軸直方向内側に位置する場合に比べて、軸直方向外側に位置させることができる。その結果、めねじの中心軸に対してねじ切りフライスを更に倒れ難くできるのでねじ切りフライスの工具寿命を更に長くできる効果がある。
さらに、ねじ切り刃と第1底刃との境界における軸心を中心とした直径が、ねじ山間の谷径と同一なので、ねじ切り刃への負荷の集中を緩和できると共に、ねじ切り刃による被加工物の切削量を適切にできる。これらの結果、ねじ切り刃の耐久力の確保と、ねじ切りフライスの倒れ抑制と、によってねじ切りフライスの工具寿命を長くできると共に、駆動装置によるねじ切りフライスの補正回数を少なくできる。
請求項記載のねじ切りフライスによれば、第1底刃の軸直方向寸法は、ねじ山間の谷径に対して10%以下に設定される。これにより、第1底刃と被加工物との接触面積を抑制して第1底刃と被加工物との間の切削抵抗を抑制できる。その結果、ねじ切り刃および底刃の摩耗や折損を抑制できるので、請求項の効果に加え、ねじ切りフライスの工具寿命を更に長くできる効果がある。
請求項記載のねじ切りフライスによれば、第1底刃と軸心に垂直な仮想平面とのなす角度が0°より大きく設定される。これにより、第1底刃と被加工物との間の切削抵抗を低減できる。その結果、請求項1又は2の効果に加え、ねじ切りフライスの工具寿命を更に長くできる効果がある。
本発明の一実施形態におけるねじ切りフライスの正面図である。 図1のII部分を拡大したねじ切りフライスの拡大図である。 ねじ切りフライスの底面図である。 ねじ切りフライスを用いた切削加工の模式的な説明図である。
以下、本発明の好ましい実施形態について、添付図面を参照して説明する。まず、図1を参照して、本発明の一実施形態におけるねじ切りフライス1について説明する。図1は本発明の一実施形態におけるねじ切りフライスの正面図である。
図1に示すように、ねじ切りフライス1は、NCフライス盤やマシニングセンタ等の駆動装置2(図4参照)から伝達される回転力により被加工物W(図4参照)にめねじ4(図4参照)を切削加工するための工具である。ねじ切りフライス1は、タングステンカーバイド等を加圧焼結した超硬合金から構成される。なお、ねじ切りフライス1は超硬合金から構成される場合に限らず、例えば、ねじ切りフライス1を高速度工具鋼などから構成しても良い。
ねじ切りフライス1は、軸心C1を中心とする円柱状の工具本体10と、被加工物Wを切削するための第1刃部20及び第2刃部30を備える。工具本体10は、その軸心C1方向の後端側(図1上側)に設けられるシャンク11と、そのシャンク11に連なって工具本体10の軸心C1方向の先端側(図1下側)に設けられるボデー12とを備える。
シャンク11は、駆動装置2に保持される部位である。ねじ切りフライス1は、シャンク11を介して保持された駆動装置2から伝達される駆動力によって、被加工物Wにめねじ4を切削加工する。この駆動装置2からの駆動力は、ねじ切りフライス1を軸心C1まわりに回転させると共に、ねじ切りフライス1をヘリカル送りさせて被加工物Wに対してねじ切りフライス1を相対移動させる。なお、ヘリカル送りとは、形成予定のめねじ4の中心軸C2に対してねじ切りフライス1を公転させつつ、ねじ切りフライス1を軸心C1方向へリード送りさせることである。
シャンク11は、軸心C1に沿って一定の外径を有する円柱状に形成される。しかし、シャンク11は、軸心C1に沿って一定の外径を有する場合に限らず、例えば、シャンク11を工具本体10の先端側から後端側へ向かうにつれて外径が縮小するテーパ状に形成しても良い。
ボデー12は、第1刃部20及び第2刃部30が設けられる部位である。ボデー12は、軸心C1に沿って一定の外径を有する円柱状に形成されると共に、その一部を切り欠いて複数の溝部13,14が形成される(溝部14は図3参照)。ボデー12の外径は、シャンク11の外径よりも小さく設定されている。
溝部13,14は、第1刃部20及び第2刃部30によって被加工物Wが切削されて生じた切り屑を排出するための溝である。溝部13はボデー12の外周面に設けられる。溝部14はボデー12の先端面に設けられる。第1刃部20及び第2刃部30は、この複数の溝部13,14により工具本体10の周方向に複数(本実施形態では4つ)に分断された形状となる。
次に図2及び図3を参照して、第1刃部20及び第2刃部30について説明する。図2は図1のII部分を拡大したねじ切りフライス1の拡大図である。図3はねじ切りフライス1の底面図である。
図2に示すように、第1刃部20は、下穴の内周面にめねじを切削する部位である。第1刃部20は、工具本体10の外周から軸直方向外側へ張り出す複数のねじ山部を備える。複数のねじ山部は、工具本体10の外周の先端から後端側へ向かって形成される。複数のねじ山部のうち、最も工具本体10の先端側の1山が先端ねじ山部21であり、先端ねじ山部21以外の2山が後端ねじ山部26である。
先端ねじ山部21は、先端すくい面22と、先端逃げ面23と、先端すくい面22及び先端逃げ面23の稜線に形成される先端刃24とを備える。後端ねじ山部26は、後端すくい面27と、後端逃げ面28と、後端すくい面27及び後端逃げ面28の稜線に形成される後端刃29とを備える。
先端すくい面22及び後端すくい面27は、それぞれ先端刃24及び後端刃29による被加工物Wの切削加工時に切り屑を生成および排出するための部位である。先端すくい面22及び後端すくい面27は、それぞれ先端ねじ山部21及び後端ねじ山部26の外面のうち切削回転方向の前方側の面である。
先端逃げ面23及び後端逃げ面28は、それぞれ先端刃24及び後端刃29による被加工物Wの切削加工時に第1刃部20と被加工物Wとの接触面積を低減するための部位である。先端逃げ面23及び後端逃げ面28は、それぞれ先端ねじ山部21及び後端ねじ山部26の外面のうち外周側の面である。
先端刃24及び後端刃29は、被加工物Wに食い込んで被加工物Wを切削するねじ山状の部位である。先端刃24は、山頂24aと、山頂24aの先端側(第2刃部30側)に連なるフランク24bと、山頂24aの後端側(シャンク11側)に連なるフランク24cとを備える。後端刃29は、山頂29aと、山頂29aの先端側に連なるフランク29bと、山頂29aの後端側に連なるフランク29cとを備える。
フランク24cとフランク29bとを、2つの後端刃29のうち先端側の後端刃29のフランク29cと、後端側の後端刃29のフランク29bとを、それぞれ軸方向に繋ぐ稜線が谷底20aである。谷底20aは、先端刃24及び後端刃29による複数のねじ山の間の谷底である。これら先端刃24、後端刃29及び谷底20aが、被加工物Wにめねじ4(図4参照)をねじ切りするためのねじ切り刃である。谷底20aから先端刃24の山頂24aまでの高さは、谷底20aから後端刃29の山頂29aまでの高さよりも小さく設定される。
このように設定されたねじ切り刃20a,24,29を有するねじ切りフライス1がヘリカル送りされて被加工物Wにめねじ4を切削加工する。まず、先端刃24で被加工物Wを荒切削し、その後、先端刃24で切削されなかった部分を後端刃29で仕上げ切削して被加工物Wがねじ切りされる。先端刃24が荒切削して後端刃29が仕上げ切削することで、後端刃29への負荷を低減できる。その結果、後端刃29の摩耗を抑制できるので、ねじ切り刃20a,24,29による切削精度を向上できる。
図2及び図3に示すように、第2刃部30は、めねじ4の内径に該当する下穴を切削加工する部位である。第2刃部30は、工具本体10の先端面、即ち、工具本体10の底面に設けられる。第2刃部30は、底すくい面31と、底逃げ面32と、底すくい面31及び底逃げ面32の稜線に形成される底刃33とを備える。
底すくい面31は、底刃33による被加工物Wの切削加工時に切り屑を生成および排出するための部位である。底すくい面31は、第2刃部30の外面のうち切削回転方向の前方側に向いた面である。底逃げ面32は、底刃33による被加工物Wの切削加工時に第2刃部30と被加工物Wとの接触面積を低減するための部位である。底逃げ面32は、工具本体10の先端面の一部である。
底刃33は、被加工物Wに食い込んで被加工物Wを切削する部位である。底刃33は軸心C1周りに回転対称に形成される。底刃33は、先端刃24の先端側のフランク24bに連なる第1底刃34と、第1底刃34の軸心C1側に連なる第2底刃35とを備える。
第1底刃34は、軸心C1に垂直な仮想平面Pとのなす角θ1が6°以下(本実施形態では0°)に設定される。また、この仮想平面Pとフランク24bとのなす角θ3は、本実施形態では30°に設定される。なお、角θ3は、30°に限らず、切削予定のめねじ4の形状に合わせて設定される。
第1底刃34の幅d1(軸直方向寸法)は、谷底20aにおける軸心C1を中心とした直径(以下「谷径」と称す)d2の10%以下に設定されることが好ましい。なお、本実施形態では、谷径d2に対する幅d1の比が6%に設定される。第1底刃34とフランク24bとの境界Bにおける軸心C1を中心とした直径d3は、谷底20aの谷径d2以上に設定される。なお、本実施形態では、谷径d2と直径d3とが同一に設定される。
第2底刃35は、底刃33の切削抵抗を低減させる部位である。第2底刃35は、第1底刃34よりも工具本体10の後端側へ傾斜する。第2底刃35と仮想平面Pとのなす角θ2は、角θ1よりも大きく設定される。なお、本実施形態では、角θ2が10°に設定される。
次に、図2及び図4を参照してねじ切りフライス1の切削加工時の作用について説明する。図4はねじ切りフライス1を用いた切削加工の模式的な説明図である。図4には、本実施形態に対して第1底刃34がなく、先端刃24のフランク24bを下方へ延長したフランク41と、第2底刃35を下方へ延長した第2底刃42とが交点43で連なる従来技術(例えば、特許文献1)のねじ切りフライス40が二点鎖線で図示される。
図2及び図4に示すように、被加工物Wを図示しない固定装置に固定し、ねじ切りフライス1のシャンク11を駆動装置2に装着する。そして、駆動装置2により、ねじ切りフライス1を軸心C1まわりに自転させながらヘリカル送りさせることで、底刃33により被加工物Wに下穴が切削加工されつつ、その下穴の内周面がねじ切り刃20a,24,29によってねじ切りされる。これにより被加工物Wにめねじ4が形成される。
従来技術のねじ切りフライス40では、被加工物Wを切削開始するときに、まず交点43が被加工物Wに接触する。軸心C1に垂直な仮想平面Pとフランク24b,41とのなす角θ3と、仮想平面Pと第2底刃35,42とのなす角θ2とにより規定される先細り形状の交点43付近は耐久性が比較的低く摩耗し易い。
これに対し、本実施形態のねじ切りフライス1では、被加工物Wを切削開始するときにまず接触する部分の形状が、角θ2よりも角度が小さい仮想平面Pと第1底刃34とのなす角θ1と、角θ2又は角θとにより規定される。そのため、ねじ切りフライス40よりもねじ切りフライス1の方が底刃33の耐久性を高くでき、摩耗し難くできる。特に、角θ1が0°に近い程、ねじ切りフライス1で被加工物Wを切削開始するとき、第1底刃34全体が被加工物Wに略一度に接触するので、第1底刃34及び第2底刃35をより摩耗し難くできる。
底刃33は、被加工物Wに全体が接触して下穴を切削加工している。更に底刃33が軸心C1周りに回転対称に形成されるので、底刃33が被加工物Wから受ける軸直方向の力は互いに相殺される。
一方、ねじ切り刃20a,24,29は、周方向の一部が被加工物Wに接触してねじ切りしている。即ち、ねじ切り刃20a,24,29は、被加工物Wに接触している部分とは軸心C1を挟んで反対側の部分が被加工物Wに接触していない。
そのため、ねじ切りフライス1には、めねじ4の内周面からめねじ4の中心軸C2へ向かう力が生じる。この力が大きいと、ねじ切りフライス1がめねじ4の中心軸C2へ向かって倒れ易くなる。ここで、めねじ4の中心軸C2に対してねじ切りフライス1が倒れる程、めねじ4の有効径が小さくなる。そのため、有効径が一定量以上小さくなった段階で駆動装置2により補正する必要がある。よって、ねじ切りフライス1がめねじ4の中心軸C2へ向かって倒れ易い程、頻繁に補正を行う必要がある。
先端刃24のフランク24bは、フランク24bに垂直な方向の力F2を被加工物Wから受ける。力F2の軸直方向成分F2bは、ねじ切りフライス1の倒れに寄与する。一方、力F2の軸方向成分F2aによって、シャンク11を介して駆動装置2に保持されるねじ切りフライス1を駆動装置2に押し付けることができる。これにより、被加工物Wと駆動装置2との間でねじ切りフライス1が突っ張って、めねじ4の中心軸C2に対するねじ切りフライス1の倒れが抑制される。
第1底刃34は、第1底刃34に垂直な方向の力F1を被加工物Wから受ける。本実施形態では、第1底刃34と仮想平面Pとのなす角θ1が6°以下に設定されるので、その力F1の略全てが軸方向の力となる。これにより、被加工物Wと駆動装置2との間でねじ切りフライス1に生じる軸方向の突っ張り力を強くできるので、めねじ4の中心軸C2に対してねじ切りフライス1を倒れ難くできる。
更に、本実施形態では、第1底刃34を設けることで、従来技術に対してフランク24bを短くでき、力F2を小さくできる。その結果、本実施形態では、従来技術に対して力F2の軸直方向成分F2bも小さくできるので、ねじ切りフライス1をより倒れ難くできる。
フランク24bと第1底刃34との境界Bにおける軸心C1を中心とした直径d3が大きく設定される程、ねじ切りフライス1に生じる軸方向の突っ張り力を軸直方向外側に位置させることができる。その結果、めねじ4の中心軸C2に対してねじ切りフライス1を一層倒れ難くできる。
更に、直径d3が大きい程、フランク24bを短くできるので、力F2の軸直方向成分F2bを小さくできる。これにより、めねじ4の中心軸C2に対してねじ切りフライス1を一層倒れ難くできる。
しかし、先端刃24のフランク24bが短い程、フランク24bへの負荷が集中する。そのため、フランク24bが摩耗し易くなり、先端刃24の耐久力が低下するので、ねじ切りフライス1の工具寿命が短くなるおそれがある。
また、直径d3が谷底20aの谷径d2よりも大きい場合には、フランク24bによる被加工物Wの切削量が少なくなる。フランク24bで切削できなくなった部分は、後端刃29の先端側のフランク29bが代わりに切削する。そのため、後端刃29への負荷が大きくなる。これにより、後端刃29が摩耗し易くなって後端刃29の耐久力が低下するので、ねじ切りフライス1の工具寿命が短くなるおそれがある。
以上の結果、境界Bの直径d3は、谷径d2以上に設定されることで、直径d3が谷径d2よりも小さく設定される場合に比べて、ねじ切りフライス1に生じる軸方向の突っ張り力を軸直方向外側に位置できると共に、力F2の軸直方向成分F2bを小さくできる。これにより、めねじ4の中心軸C2に対してねじ切りフライス1を一層倒れ難くできる。その結果、駆動装置2によるねじ切りフライス1の補正回数を少なくできると共に、ねじ切りフライス1の工具寿命を長くできる。
但し、直径d3が谷径d2以上に設定されつつ、直径d3と谷径d2との差が小さい方が好ましく、その差がないことがより好ましい。これらの差が小さい程、フランク24bへの負荷の集中を緩和できると共に、フランク24bによる被加工物Wの切削量を適切にできる。これらの結果、先端刃24及び後端刃29の耐久力の確保と、ねじ切りフライス1の倒れ抑制と、によってねじ切りフライス1の工具寿命を長くできると共に、駆動装置2によるねじ切りフライス1の補正回数を少なくできる。
第1底刃34の幅d1は、谷底20aの谷径d2の10%以下に設定されることが好ましい。幅d1が谷径d2の10%より大きい場合には、第1底刃34と被加工物Wとの間の切削抵抗が大きくなる。そのため、切削加工中のねじ切りフライス1の振動が大きくなり、ねじ切りフライス1による加工精度が低下したり、振動に起因してねじ切り刃20a,24,29及び底刃33が摩耗したり折損したりするおそれがある。
幅d1が谷径d2の10%以下に設定されることで、第1底刃34と被加工物Wとの間の切削抵抗を十分に小さくできる。その結果、ねじ切りフライス1による加工精度を確保しつつ、ねじ切り刃20a,24,29及び底刃33の摩耗や折損を抑制してねじ切りフライス1の工具寿命を長くできる。
第1底刃34よりも後端側へ第2底刃35が傾斜し、仮想平面Pと第1底刃34とのなす角θ1よりも仮想平面Pと第2底刃35とのなす角θ2が大きく設定される。そのため、第2底刃35がなく底刃33が全て第1底刃34である場合に比べて、底刃33と被加工物Wとの間の切削抵抗を低減できる。その結果、ねじ切りフライス1による加工精度を確保しつつ、ねじ切り刃20a,24,29及び底刃33の摩耗や折損を抑制してねじ切りフライス1の工具寿命を長くできる。
以下、実施例により本発明を更に具体的に説明する。なお、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。以下の実施例では、上記実施形態で説明したねじ切りフライス1の幅d1、角θ1の値を具体化したものを用いた。全ての実施例および比較例では、角θ2を10°、角θ3を30°とした。
まず、第1底刃34を有する実施例1と、第1底刃34を有しない比較例とについて比較する。実施例1には、角θ1が0°〜+1°となり、幅d1が0.19mm、谷径d2が3.17mm、即ち、谷径d2に対する幅d1の比d1/d2が6%(誤差±0.4%)となるように作製したねじ切りフライスを用いる。なお、角θ1の「+」とは、第1底刃34が軸心C1側へ向かうにつれて後端側へ傾斜する場合を示す。また、幅d1の誤差は±0.02mmとなるように設定し、全ての実施例において幅d1の誤差を同様に設定した。比d1/d2の誤差は、全ての実施例で共通の±0.4%に設定した。
比較例は、第1底刃34を有しない従来技術のねじ切りフライス40を用いた以外は、実施例1と同様に構成したものである。
実施例1および比較例におけるねじ切りフライスを用いて、立型マシニングセンタ(駆動装置2)により呼び径がM5×0.8、ねじ立て長さが9.6mm、JIS規格の定める等級が6Hであるめねじが、被加工物WであるSKD11(60HRC)にいくつ加工できるか評価することで、ねじ切りフライスの耐久試験を行った。更に詳しくは、有効径+0.080のステップゲージが12回転入り、有効径+0.100のステップゲージが12回転以上入らないように工具半径オフセットを調整し、耐久試験をスタートさせた。通り側ねじプラグゲージ(以下「GPゲージ」と称す)がめねじに入らなくなった時点で耐久試験をストップして、工具半径補正を行い、耐久試験を再開させた。なお、パス回数は1回とした。また、切削油には水溶性切削油を用い、切削速度を45m/min、1刃当たりの送りを0.023mm/tとした。
表1は、この耐久試験により加工されためねじの数を表した耐久試験結果である。表1に示すように、第1底刃34を有する実施例1では、第1底刃34を有しない比較と比べて、駆動装置2による補正回数を少なくできると共に、めねじの加工数を多くして工具寿命を長くできることが明らかとなった。
Figure 2018134924
次に、幅d1を異ならせた実施例2〜5を比較する。実施例2には、角θ1が0°〜+1°となり、谷径d2が4.86mm、幅d1が0.1mm、即ち、谷径d2に対する幅d1の比d1/d2が2%となるように作製したねじ切りフライスを用いる。実施例3は、幅d1を0.2mm、比d1/d2を4%となるように作製した以外は、実施例2と同様に構成したものである。実施例4は、幅d1を0.3mm、比d1/d2を6%となるように作製した以外は、実施例2と同様に構成したものである。実施例5は、幅d1を0.5mm、比d1/d2を10%となるように作製した以外は、実施例2と同様に構成したものである。
実施例2〜5におけるねじ切りフライスを用いて、立型マシニングセンタ(駆動装置2)により呼び径がM8×1.25、ねじ立て長さが8mm、JIS規格の定める等級が6Hであるめねじが、被加工物WであるSKD11(59〜61HRC)にいくつ加工できるか評価することで、ねじ切りフライスの耐久試験を行った。更に詳しくは、有効径+0.080のステップゲージが10回転入り、有効径+0.100のステップゲージが10回転以上入らないように工具半径オフセットを調整し、耐久試験をスタートさせた。GPゲージがめねじに入らなくなった時点で耐久試験をストップして、工具半径補正を行い、耐久試験を再開させた。なお、パス回数は1回とした。また、切削油は用いず、エアブローを行い、切削速度を45m/min、1刃当たりの送りを0.04mm/tとした。
この耐久試験におけるめねじの加工数は、比d1/d2が2%の実施例2で130、比d1/d2が4%の実施例3で145、比d1/d2が6%の実施例4で152、比d1/d2が10%の実施例5で136であった。また、補正回数は全て0回であった。
この試験結果から、比d1/d2が6%付近までは比d1/d2が大きくなるにつれてめねじの加工数が多くなり、比d1/d2が6%付近よりも大きくなるにつれてめねじの加工数が少なくなることが明らかとなった。これは、比d1/d2が大きくなる程、第1底刃34が受ける軸方向の力F1を大きくできるが、第1底刃34と被加工物Wとの間の切削抵抗が大きくなるためであると推察される。よって、比d1/d2を4%〜10%に設定することで、めねじの加工数を多くして工具寿命をより長くできる。更に、比d1/d2を5%〜8%に設定することで、工具寿命をより一層長くできる。
次に、角θ1を異ならせた実施例6〜9を比較する。実施例6には、角θ1が0°〜+1°となり、谷径d2が4.86mm、幅d1が0.3mm、即ち、谷径d2に対する幅d1の比d1/d2が6%となるように作製したねじ切りフライスを用いる。なお、実施例6は、実施例4に対して、ボデー12の先端面の溝部14の幅(周方向寸法)を大きくし、軸心C1から底逃げ面32までの距離を約1.5倍に設定したものである。
実施例7は、角θ1が1°〜2°となるように作製した以外は、実施例6と同様に構成したものである。実施例8は、角θ1が3°〜4°となるように作製した以外は、実施例6と同様に構成したものである。実施例9は、角θ1が5°〜6°となるように作製した以外は、実施例6と同様に構成したものである。
角θ1を異ならせた実施例6〜9における耐久試験の方法は、幅d1を異ならせた実施例2〜5における耐久試験の方法と同様にした。表2は、この耐久試験により加工されためねじの数を表した耐久試験結果である。
Figure 2018134924
表2に示すように、実施例6〜9のいずれも補正回数は同じだが、角θ1が1°〜2°の実施例7の場合をピークに、1°〜2°から離れるにつれてめねじの加工数が少なくなることが明らかとなった。これは、角θ1を0°に近づける程、ねじ切りフライスに生じる軸方向の突っ張り力を大きくできる一方で、角θ1が0°の場合に第1底刃34と被加工物Wとの間の切削抵抗が特に大きくなるためであると推察される。
よって、角θ1を0°より大きく設定することで、めねじの加工数を多くして工具寿命をより長くできる。更に、角θ1を1°〜3°、より好ましくは角θ1を1°〜2°に設定することで工具寿命をより一層長くできる。
以上、実施形態および実施例に基づき本発明を説明したが、本発明は上記実施形態に何ら限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲内で種々の改良変形が可能であることは容易に推察できるものである。例えば、上記実施形態および上記実施例で挙げた数値は一例であり、他の数値を採用することは当然可能である。
上記実施形態では、1山の先端ねじ山部21と、2山の後端ねじ山部26が設けられる場合について説明したが、必ずしもこれに限られるものではない。例えば、後端ねじ山部26を1山または3山以上にしても良い。また、先端ねじ山部21の形状と後端ねじ山部26の形状とを同一にしても良い。
上記実施形態では、第1刃部20及び第2刃部30がそれぞれ複数の溝部13,14により周方向に4つに分断される場合について説明したが、必ずしもこれに限られるものではない。例えば、第1刃部20及び第2刃部30を複数の溝部13,14により周方向に2つ、3つまたは5つ以上に分断しても良い。
上記各実施例では、第1底刃34が軸心C1と垂直な場合、又は、第1底刃34が軸心C1側へ向かうにつれて工具本体10の後端側へ傾斜する場合について説明したが、必ずしもこれに限られるものではない。第1底刃34が軸心C1側へ向かうにつれて工具本体10の先端側へ傾斜させても良い。底刃33が軸心C1周りに回転対称に形成されるので、軸心C1に垂直な仮想平面Pと第1底刃34とのなす角θ1の正負に係わらず、角θ1が6°以下であれば、被加工物Wと駆動装置2との間でねじ切りフライス1に生じる軸方向の突っ張り力を強くできる。その結果、めねじ4の中心軸C2に対してねじ切りフライス1を倒れ難くできる。
1 ねじ切りフライス
2 駆動装置
10 工具本体
20a 谷底(ねじ切り刃の一部)
24 先端刃(ねじ切り刃の一部、ねじ山)
29 後端刃(ねじ切り刃の一部、ねじ山)
33 底刃
34 第1底刃
35 第2底刃
C 軸心
P 仮想平面
W 被加工物

Claims (4)

  1. 駆動装置により軸心まわりに回転されつつ被加工物に対して相対移動されることで前記被加工物にめねじを切削加工するねじ切りフライスであって、
    前記駆動装置に保持されて軸心まわりに回転される工具本体と、
    前記工具本体の外周の先端側から軸直方向に複数のねじ山が突出するねじ切り刃と、
    前記工具本体の先端面に形成される底刃とを備え、
    前記底刃は、前記ねじ切り刃の先端側に連なり、前記軸心に垂直な仮想平面とのなす角が6°以下に設定される第1底刃と、
    前記第1底刃の前記軸心側に連なって前記第1底刃よりも後端側へ傾斜する第2底刃とを備え、
    前記軸心に垂直な仮想平面と前記第2底刃とのなす角は、前記軸心に垂直な仮想平面と前記第1底刃とのなす角よりも大きく設定されることを特徴とするねじ切りフライス。
  2. 前記ねじ切り刃と前記第1底刃との境界における前記軸心を中心とした直径は、前記ねじ山間の谷径以上であることを特徴とする請求項1記載のねじ切りフライス。
  3. 前記第1底刃の軸直方向寸法は、前記ねじ山間の谷径に対して10%以下に設定されることを特徴とする請求項1又は2に記載のねじ切りフライス。
  4. 前記第1底刃は、前記軸心に垂直な仮想平面とのなす角が0°より大きく設定されることを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載のねじ切りフライス。
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