JPWO2018131527A1 - ガラス筐体及び通信装置 - Google Patents
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Abstract
Description
一般的にパッシブ方式のICタグは、アクティブ方式に比べ、小型化、軽量化でき、安価であるため、長距離通信を必要としない用途において広く使用されている。
科学技術分野では、多量のサンプルの入った試料瓶をオートサンプラーなどにより、自動で測定や計測を実施している。作業者は予め個々のサンプルの情報や管理番号を把握しておき、オートサンプラーの所定の位置にセットし、測定等を行う。測定等実施後に結果を得、予め把握していたサンプルの情報と結果とを作業者が照合し解析等を実施する。この際に、サンプルの情報と結果との照合においてミスが発生し再度測定することがあった。さらに医療分野では、サンプルの情報と結果との照合ミスで誤診断に繋がるといった課題があった。
上記の課題を解決するために、耐久性があり、照合ミスを低減できる試料瓶として、ICタグを付与したガラス製試料瓶が考えられている(例えば、特許文献1)。
(1) 電波授受用アンテナと、酸化物基準のモル百分率表示で遷移金属酸化物の合計含有量が10%以下のガラスと、を備える第1主面と第2主面とを有するガラス筐体であって、
前記第1主面を基準面とし、前記基準面から前記第2主面側に、前記電波授受用アンテナを備えることを特徴とするガラス筐体。
(2) 前記遷移金属酸化物のうち、Fe2O3とCr2O3とNiOとの合計含有量が0.3%以下である、前記(1)に記載のガラス筐体。
(3) 前記遷移金属酸化物のうち、Fe2O3の含有量が0.2%以下である、前記(1)または(2)に記載のガラス筐体。
(4) SiO2の含有量が50%以上である、前記(1)〜(3)のいずれか1に記載のガラス筐体。
(5) 前記ガラス1g中に含まれるPtが10μg以下である、前記(1)〜(4)のいずれか1に記載のガラス筐体。
(6) 前記第1主面は、前記ガラス筐体の外側となる面である、前記(1)〜(5)のいずれか1に記載のガラス筐体。
(7) 前記電波授受用アンテナはICタグを構成する、前記(1)〜(6)のいずれか1に記載のガラス筐体。
(8) 前記電波授受用アンテナは、データ読取書換に使用する電波を受信する、前記(1)〜(7)のいずれか1に記載のガラス筐体。
(9) 前記電波授受用アンテナは、起電に使用する電波を受信する、前記(1)〜(8)のいずれか1に記載のガラス筐体。
(10) 電波授受用アンテナと、酸化物基準のモル百分率表示で遷移金属酸化物の合計含有量が10%以下のガラスと、を備える第1主面と第2主面とを有するガラス筐体であって、前記第1主面を基準面とし、前記基準面から前記第2主面側に、前記電波授受用アンテナを有するガラス筐体と、
前記電波授受用アンテナに情報を載せた信号を送受信できる送受信アンテナを備えたリーダライタと、を備えることを特徴とする通信装置。
本発明における筐体用ガラスは、酸化物基準のモル百分率表示で、遷移金属酸化物の合計含有量が10%以下である。本発明の筐体用ガラスを使用すると、電波等の減衰等の原因となる遷移金属酸化物がガラス中に少ないため、情報のやり取りや起電のための電波等が、ガラスにより干渉や減衰を受けにくくなる。これにより、電波等がICタグに到達しやすくなり、データ送信の短時間化やエラーの抑制が可能である。遷移金属酸化物の合計含有量は7%以下が好ましく、5%以下がより好ましく、2%以下がさらに好ましい。
なお、本願発明の筐体は後述の通り、電波授受用アンテナも備える。
図2(a)に示すように、本発明に係るガラス筐体2は、電波授受用アンテナ7と、酸化物基準のモル百分率表示で遷移金属酸化物の合計含有量が10%以下のガラス4と、を備える。ガラス筐体2は第1主面4aと第2主面4bとを有する。さらに、ガラス筐体2は第1主面4aを基準面とし、基準面から第2主面4b側に、電波授受用アンテナ7を備える。
本発明のガラス筐体2では、情報のやり取りや起電のための電波等がガラス4による干渉や減衰を受けにくくなる。このため、電波等がICタグ3に到達しやすくなり、データ送信の短時間化やエラーの抑制が可能である。
なお、電波授受用アンテナ7は、図2(a)〜(c)に示すようなガラス筐体の側面に設置することに限られず、ガラス筐体の底部に設置してもよく特に制限はない。また、電波授受用アンテナ7はガラス筐体2に固定してもよい。固定には接着剤による固定等を実施できるが、爪などでの固定などでもよい。また、ガラス筐体2を、互いに螺合や嵌合等できるような2つ以上に分割可能にしておき、これらの間に電波授受用アンテナ7や後述のICタグ3を挟持させてもよい。
本発明に係る通信装置1は、電波授受用アンテナ7及び酸化物基準のモル百分率表示で遷移金属酸化物の合計含有量が10%以下のガラス4を有するガラス筐体2と、リーダライタ5と、を備える。本発明に係る通信装置のガラス筐体2は、第1主面4aと第2主面4bを有し、第1主面4aを基準面とし、基準面から第2主面4b側に、電波授受用アンテナ7を有する。本発明に係る通信装置1は、電波授受用アンテナ7に情報を載せた信号を送受信できる送受信アンテナを備えたリーダライタ5を備える。
前記組成のガラス4及び電波授受用アンテナ7を備えたガラス筐体2と、送受信アンテナを備えたリーダライタ5とを有する通信装置であるため、情報のやり取りや起電のための電波等がガラス4による干渉や減衰を受けにくくなる。このため電波等が電波授受用アンテナ7に到達しやすくなり、データ送信の短時間化やエラーの抑制が可能である。
なお、本発明は上記実施形態にのみ限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内で種々の改良ならびに設計の変更等が可能であり、その他、本発明の実施の際の具体的な手順、及び構造等は本発明の目的を達成できる範囲で他の構造等としてもよい。
例えば、筐体用ガラスやガラス筐体には以下の工程・処理がされていてもよい。
筐体用ガラスの製造方法では、各工程は特に限定されず適切に選択すればよく、典型的には従来公知の工程を適用できる。例えば、まず、各成分の原料を後述する組成となるように調合し、ガラス溶融窯で加熱溶融する。バブリング、撹拌、清澄剤の添加等によりガラスを均質化し、従来公知の成形法により所定の厚さのガラス板に成形し、徐冷する。
ガラスの成形法としては、例えば、フロート法、プレス法、フュージョン法、ダウンドロー法及びロールアウト法が挙げられる。特に、大量生産に適したフロート法が好適である。また、フロート法以外の連続成形法、すなわち、フュージョン法およびダウンドロー法も好適である。また、ガラスを平板状以外の、例えば凹状もしくは凸状に成形して用いる場合、平板状やブロック状等に成形したガラスを再加熱し、溶融させた状態でプレス成形したり、溶融ガラスをプレス型上に流し出し、プレス成形することで、所望の形状に成形される。
筐体用ガラスの具体例としては、酸化物基準のモル%で表示した組成で、SiO2を50〜85%、Al2O3を0.1〜25%、Li2O+Na2O+K2Oを3〜30%、MgOを0〜25%、CaOを0〜25%およびZrO2を0〜5%含むガラスが挙げられる。より具体的には、以下のガラスの組成が挙げられる。なお、例えば、「MgOを0〜25%含む」とは、MgOは必須ではないが25%まで含んでもよい、の意である。下記(i)のガラスはソーダライムシリケートガラスに含まれ、下記(ii)および(iii)のガラスはアルミノシリケートガラスに含まれる。
(i)酸化物基準のモル%で表示した組成で、SiO2を63〜73%、Al2O3を0.1〜5.2%、Na2Oを10〜16%、K2Oを0〜1.5%、Li2Oを0〜5%、MgOを5〜13%及びCaOを4〜10%を含むガラス。
(ii)酸化物基準のモル%で表示した組成が、SiO2を50〜74%、Al2O3を1〜10%、Na2Oを6〜14%、K2Oを3〜11%、Li2Oを0〜5%、MgOを2〜15%、CaOを0〜6%およびZrO2を0〜5%含有し、SiO2およびAl2O3の含有量の合計が75%以下、Na2OおよびK2Oの含有量の合計が12〜25%、MgOおよびCaOの含有量の合計が7〜15%であるガラス。
(iii)酸化物基準のモル%で表示した組成が、SiO2を68〜80%、Al2O3を4〜10%、Na2Oを5〜15%、K2Oを0〜1%、Li2Oを0〜5%、MgOを4〜15%およびZrO2を0〜1%含有するガラス。
(iv)酸化物基準のモル%で表示した組成が、SiO2を67〜75%、Al2O3を0〜4%、Na2Oを7〜15%、K2Oを1〜9%、Li2Oを0〜5%、MgOを6〜14%およびZrO2を0〜1.5%含有し、SiO2およびAl2O3の含有量の合計が71〜75%、Na2OおよびK2Oの含有量の合計が12〜20%であり、CaOを含有する場合その含有量が1%未満であるガラス。
ガラスは、溶融の際の清澄剤として、SO3、塩化物、フッ化物等を含有してよい。
NiOの下限値は特に制限はないが、酸化物基準のモル百分率表示で、含有量は0.0001%以上が好ましく、0.001%以上がより好ましい。
Cr2O3の下限値は特に制限はないが、酸化物基準のモル百分率表示で、含有量は0.0001%以上が好ましく、0.001%以上がより好ましい。
本実施形態の筐体用ガラスまたはガラス筐体の算術平均粗さRaは、特に制限はないが、5000nm以下が好ましく、3000nm以下がより好ましく、2000nm以下がさらに好ましい。電波等がガラス筐体表面で散乱されるなどの影響を低減でき、データ送信の短時間化やエラーの抑制が可能である。また、本実施形態のガラス筐体の算術平均粗さRaの下限は、特に制限はないが、例えば0.1nm以上が好ましく、0.15nm以上がより好ましく、0.5nm以上がさらに好ましい。ガラス筐体の第1主面と第2主面とは算術平均粗さRaが同じでも異なっていてもよい。
第1主面4aおよび第2主面4bの最大高さ粗さRzはそれぞれ独立して5000nm以下が好ましく、4500nm以下がより好ましく、4000nm以下がさらに好ましい。Rzが5000nm以下であれば、電波等がガラス筐体2表面で散乱されるなどの影響を低減でき、データ送信の短時間化やエラーの抑制が可能である。第1主面および第2主面の最大高さ粗さRzは0.1nm以上が好ましく、0.15nm以上がより好ましく、0.3nm以上がさらに好ましい。
第1主面4aおよび第2主面4bの他の粗さとして、例えば、二乗平均平方根粗さRqは、データ通信の高速化の観点からそれぞれ独立して0.3nm以上5000nm以下が好ましい。最大断面高さ粗さRtは、データ通信の高速化の観点から0.5nm以上5000nm以下が好ましい。最大山高さ粗さRpは、データ通信の高速化の観点から0.3nm以上5000nm以下が好ましい。最大谷深さ粗さRvは、データ通信の高速化の観点から0.3nm以上5000nmが好ましい。平均長さ粗さRsmは、データ通信の高速化の観点から0.3nm以上10000nm以下が好ましい。クルトシス粗さRkuは、作業者の触感の観点で1〜3が好ましい。スキューネス粗さRskは、作業者の触感などの観点から−1〜1が好ましい。これらは粗さ曲線Rを元にしているが、これに相関したうねりWや断面曲線Pで規定してよく、特に制限はない。
筐体用ガラス4に屈曲部を付与してガラス筐体2を作製するために成形処理を実施してよい。例えば平板状の筐体用ガラスに使用する成形法としては、自重成形法、真空成形法、プレス成形法、ドロー成形、ブロー成形から、成形後のガラス筐体の形状に応じて、所望の成形法を選択すればよい。
自重成形法は、成形後のガラス筐体2の形状に応じた所定の金型上に筐体用ガラス4を設置した後、ガラス4を軟化させて、重力によりガラス4を曲げて金型になじませて、所定の形状に成形する方法である。これにより一部に屈曲部を付与したガラス筐体2を作製できる。
なお、成形後のガラス筐体の形状に応じて、適切な成形法を選択すればよく、2種以上の成形法を併用してもよい。
筐体用ガラス4またはガラス筐体2に表面圧縮応力層を形成する強化処理方法として、物理強化法や化学強化法が利用できる。ガラス主面が強化処理された被加工物は、機械的強度が高くなる。いずれの強化手法を採用してもよいが、厚みが薄くかつ表面圧縮応力(CS)値が大きなガラスを得る場合には、化学強化処理が好ましい。
[物理強化処理]
物理強化処理(風冷強化処理)は、軟化点付近まで加熱した筐体用ガラスまたはガラス筐体の主面を風冷などにより急速に冷却する手法である。
筐体用ガラス4又はガラス筐体2を化学強化処理する場合、表面に圧縮応力層が形成され、強度及び耐擦傷性が高められる。化学強化処理においては、450℃弱の溶融塩で、筐体用ガラス4又はガラス筐体2の主面に存在するイオン半径が小さいアルカリ金属イオン(典型的にはLiイオン、Naイオン)を、イオン半径のより大きいアルカリイオン(典型的にはLiイオンに対してはNaイオン又はKイオンであり、Naイオンに対してはKイオンである。)に交換することで、ガラス表面に圧縮応力層を形成する。化学強化処理は従来公知の方法によって実施でき、一般的に硝酸カリウム溶融塩にガラスを浸漬する。この溶融塩に炭酸カリウムや炭酸ナトリウムを10質量%程度入れて使用してもよい。これによりガラスの表層のクラックなどを除去でき高強度のガラスが得られる。化学強化時に硝酸カリウムに硝酸銀などの銀成分を混合することで、ガラスがイオン交換され銀イオンを表面に有し抗菌性を付与できる。化学強化処理は1回に限らず、例えば異なる条件で2回以上実施してもよい。
筐体用ガラス4またはガラス筐体2の少なくとも一方の主面を研削・研磨加工を実施してもよい。筐体用ガラス4の主面に特定の金属(例えばスズ)などを多量に含む層がある場合、情報のやり取りや起電のための電波等が、この層による干渉や減衰を受けることが考えられる。このため、研磨や研削により特定の金属を多量に含む層を除くことで、電波等がICタグに到達しやすくなり、データ送信の短時間化やエラーの抑制ができると考えられる。
筐体用ガラス4またはガラス筐体2の少なくとも一部に孔を形成してもよい。孔は筐体用ガラス4またはガラス筐体2を貫通していても、貫通していなくてもよい。孔あけ加工は、ドリルやカッタなどの機械加工でも、フッ酸などを使用したエッチング加工でもよく、特に制限はない。
筐体用ガラス4またはガラス筐体2の端面は、面取加工などの処理がなされていてもよく、機械的な研削により一般的にR面取、C面取と呼ばれる加工を行うのが好ましいが、エッチングなどで加工を行ってもよく、特に限定されない。
筐体用ガラス4またはガラス筐体2について必要な個所に、各種表面処理層を形成する工程を実施してもよい。表面処理層としては、防眩処理層、反射防止処理層、防汚処理層、バリア層などが挙げられ、これらを併用してもよい。表面処理層の形成面は、筐体用ガラス4又はガラス筐体2の第1主面4a又は第2主面4bのいずれの面でもよい。
防眩処理層とは主に反射光を散乱させ、光源の映り込みによる反射光の眩しさを低減する効果をもたらす層のことである。防眩処理層は筐体用ガラス4自体またはガラス筐体2自体の表面を加工して形成してよく、別途堆積形成してもよい。防眩処理層の形成方法として、例えば、筐体用ガラス4またはガラス筐体2の少なくとも一部に化学的あるいは物理的な方法で表面処理を施し、所望の表面粗さの凹凸形状を形成する方法を使用できる。また、形成方法として、筐体用ガラス4またはガラス筐体2の少なくとも一部に処理液を塗布あるいは噴霧し、板上に凹凸構造を形成してもよい。
さらに熱的な方法により筐体用ガラス4またはガラス筐体2の少なくとも一部に凹凸構造を形成してもよい。
物理的方法による凹凸構造形成方法として、例えば、結晶質二酸化ケイ素粉、炭化ケイ素粉等を加圧空気で筐体用ガラス4またはガラス筐体2の少なくとも一方の主面に吹きつけるいわゆるサンドブラスト処理や、結晶質二酸化ケイ素粉、炭化ケイ素粉等を付着させたブラシを水で湿らせて、ガラスの少なくとも一方の主面を研磨する方法等で行われる。
なかでも、化学的方法であるフロスト処理は、被処理体表面にマイクロクラックを生じ難く、強度の低下が生じ難いため、好ましく利用できる。
反射防止処理層とは、反射率低減の効果をもたらし、試料瓶を透過させる測定光の反射を低減するほか、測定光の透過率を向上でき、測定結果を向上できる層である。
反射防止処理層が反射防止膜である場合、筐体用ガラス4またはガラス筐体2の第1主面4aまたは第2主面4bに形成されることが好ましいが制限は無い。反射防止膜の構成としては光の反射を抑制できれば限定されず、例えば、波長550nmでの屈折率が1.9以上の高屈折率層と屈折率が1.6以下の低屈折率層とを積層した構成、もしくは膜マトリックス中に中空粒子や空孔を混在させた波長550nmでの屈折率が1.2〜1.4の層を含む構成とできる。
反射防止処理層は、筐体用ガラス4またはガラス筐体2の一部に設けてもよく、電波授受用アンテナ7の設置場所を避けて処理することが好ましい。例えば、電波授受用アンテナ7の設置場所における第1主面4aには、電波等の減衰を抑制するために反射防止処理層を設けないことが好ましい。
防汚処理層とは表面への有機物、無機物の付着を抑制する層、または、表面に有機物、無機物が付着した場合においても、ふき取り等のクリーニングにより付着物が容易に除去できる効果をもたらす層のことである。
防汚処理層が防汚膜として形成される場合、筐体用ガラス4またはガラス筐体2の第1主面4aと第2主面4b上またはその他表面処理層上に形成されることが好ましい。防汚処理層としては、防汚性を付与できれば限定されない。中でも含フッ素有機ケイ素化合物を加水分解縮合反応により得られる含フッ素有機ケイ素化合物被膜が好ましい。
防汚処理層は、筐体用ガラス4またはガラス筐体2の一部に設けてもよく、電波授受用アンテナ7の設置場所を避けて処理することが好ましい。例えば、電波授受用アンテナ7の設置場所における第1主面4aには、静電気による干渉を抑制するために防汚処理層を設けないことが好ましい。
バリア層とは、ガラス筐体2を構成している筐体用ガラス4から溶出するイオン等の成分の拡散抑制や、ガラス筐体2を構成している筐体用ガラス4への内容物による浸食抑制をもたらす層のことである。
バリア層としては、SiO2やTiO2等の膜が好ましく、SiO2がより好ましい。バリア膜はガラス筐体2の第1主面4aと第2主面4b上に形成されることが好ましく、第2主面4bに形成されていることがより好ましい。バリア膜の形成法は特に制限はなく、ディップコートやスプレーコートのような湿式法でも、スパッタリングや化学的気相蒸着法(CVD)のような乾式法でも特に制限はないが、均質に均一にコートできる観点から化学的気相蒸着法(CVD)が好ましい。
印刷層は、用途に応じて種々の印刷方法、インキ(印刷材料)により形成されてよい。印刷方法としては、例えば、スプレー印刷、インクジェット印刷やスクリーン印刷が利用される。これらの方法により、面積の広い板状ガラスでも良好に印刷できる。特に、スプレー印刷では、屈曲部を有する筐体用ガラス4またはガラス筐体2に印刷しやすく、印刷面の表面粗さを調整しやすい。一方、スクリーン印刷では、広い板状ガラスに平均厚さが均一になるように所望の印刷パターンを形成しやすい。また、インキは、複数使用してよいが、印刷層の密着性の観点から同一のインキであるのが好ましい。印刷層を形成するインキは、無機系でも有機系であってもよい。印刷層の厚さは隠蔽性の観点から10μm以上が好ましく、設計の観点から100μm以下が好ましい。
印刷層は、筐体用ガラス4またはガラス筐体2の一部に設けてもよく、電波授受用アンテナ7の設置場所を避けて印刷することが好ましい。例えば、電波授受用アンテナ7の設置場所における第1主面4aには、電波等の遮断を抑制するために印刷層を設けないことが好ましい。
接着層は、例えばICタグ3を筐体用ガラス4またはガラス筐体2に固定するため、形成されてよい。接着層としては、特に制限はないが、例えば、液状の硬化性樹脂組成物を硬化して得られる透明樹脂層が挙げられる。硬化性樹脂組成物としては、光硬化性樹脂組成物、熱硬化性樹脂組成物などが挙げられる。また、あらかじめ別途フィルム状としたOCA樹脂を貼合してよい。接着層の形成方法としては、例えば、ダイコータ、ロールコータを使用するなど挙げられるが、特に制限はない。接着層の厚さは確実な固定を達成するため1μm以上が好ましく、設計上の観点から20μm以下が好ましい。
接着層は、筐体用ガラス4またはガラス筐体2の一部に設けてもよく、電波授受用アンテナ7の設置場所を避けて配置することが好ましい。例えば、電波授受用アンテナ7の設置場所における第1主面4aには、電波等の遮断を抑制するために接着層を設けないことが好ましい。
表1および表2に示す、例1〜21、例23〜25のそれぞれについて、モル質量%表示で示すガラスが得られるように、酸化物、水酸化物、炭酸塩、硝酸塩等の一般に使用されているガラス原料を適宜選択し混合し、ガラスとして1000gとなるように秤量した。
次いで、混合した原料を白金製るつぼに入れ、1500〜1800℃の抵抗加熱式電気炉に投入し、4時間程度溶融し、脱泡、均質化した。得られた溶融ガラスを型材に流し込み、ガラス転移点以上の温度で1時間保持した後、1℃/分の速度で室温まで冷却し、ガラスブロックを得た。このガラスブロックを切断、研削し、最後に両面を鏡面に加工して、サイズが100mm×100mm、厚さが0.5mmの板状ガラスをそれぞれ得た。
旭硝子社製石英ガラスを、サイズが50mm×50mm、厚さが0.5mmの板状ガラスとなるように加工した。これを例22として使用した。
SUS(ステンレススチール)製の平滑な板の上にTRUSCO社製のシートベーパー #30 GBS30を使用面が上に向いた状態で設置し、その上に例1〜8の化学強化ガラス、例9〜24のガラスそれぞれを設置し、その上に65gの鉄球を150cmの高さより落下させ、衝撃付加後の各ガラスを得た。例23〜24のガラスについては衝撃付加時に完全に破砕してしまい、荷重部位には使用できないことが分かった。これは網目構造を形成する基本成分であるSiO2を含まないためと考えられる。
2 ガラス筐体
20 ガラス筐体モデル
3 ICタグ
4 (筐体用)ガラス
5 リーダライタ
7 (電波授受用)アンテナ
9 ICチップ
Claims (10)
- 電波授受用アンテナと、酸化物基準のモル百分率表示で遷移金属酸化物の合計含有量が10%以下のガラスと、を備える第1主面と第2主面とを有するガラス筐体であって、
前記第1主面を基準面とし、前記基準面から前記第2主面側に、前記電波授受用アンテナを備えることを特徴とするガラス筐体。 - 前記遷移金属酸化物のうち、Fe2O3とCr2O3とNiOとの合計含有量が0.3%以下である、請求項1に記載のガラス筐体。
- 前記遷移金属酸化物のうち、Fe2O3の含有量が0.2%以下である、請求項1または2に記載のガラス筐体。
- SiO2の含有量が50%以上である、請求項1〜3のいずれか1項に記載のガラス筐体。
- 前記ガラス1g中に含まれるPtが10μg以下である、請求項1〜4のいずれか1項に記載のガラス筐体。
- 前記第1主面は、前記ガラス筐体の外側となる面である、請求項1〜5のいずれか1項に記載のガラス筐体。
- 前記電波授受用アンテナはICタグを構成する、請求項1〜6のいずれか1項に記載のガラス筐体。
- 前記電波授受用アンテナは、データ読取書換に使用する電波を受信する、請求項1〜7のいずれか1項に記載のガラス筐体。
- 前記電波授受用アンテナは、起電に使用する電波を受信する、請求項1〜8のいずれか1項に記載のガラス筐体。
- 電波授受用アンテナと、酸化物基準のモル百分率表示で遷移金属酸化物の合計含有量が10%以下のガラスと、を備える第1主面と第2主面とを有するガラス筐体であって、前記第1主面を基準面とし、前記基準面から前記第2主面側に、前記電波授受用アンテナを有するガラス筐体と、
前記電波授受用アンテナに情報を載せた信号を送受信できる送受信アンテナを備えたリーダライタと、を備えることを特徴とする通信装置。
Applications Claiming Priority (3)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
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