JPWO2018128030A1 - インクジェットヘッド、インクジェットヘッドの製造方法及び画像形成装置 - Google Patents

インクジェットヘッド、インクジェットヘッドの製造方法及び画像形成装置 Download PDF

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Abstract

インクジェットヘッドにおいて、アクチュエータを収容する空間部と、圧力室及び共通インク室を個別に連通する連通流路とを有し、配線層が形成された面に貼り合わされる流路基板を備え、流路基板と配線層が形成された面との貼り合わせ面において連通流路を囲む領域に設けられ、貼り合わせ面を液密に封止する封止部を備える。

Description

本発明は、圧力室のインクを外部に吐出させるインクジェットヘッド及びその製造方法と、そのインクジェットヘッドを備えた画像形成装置に関する。
従来、MEMS(Micro Electro Mechanical Systems)技術を用いた高解像度のインクジェットヘッドの開発が行われている。従来のインクジェットヘッドは、液体インクを吐出する複数の圧力室を有しており、その圧力室毎に、圧力室に供給されるインクに吐出圧力を付与する為のアクチュエータと、圧力室のインクを吐出させるノズルとが設けられる。そして、上部に配置された共通インク室から全圧力室に対して直接インクが供給され、各圧力室において吐出圧力が付与されることで、ノズルからインクが吐出される(特許文献1)。このようなインクジェットヘッドは、クロストークが小さく、高画質の印刷が可能である。
そして、このようなインクジェットヘッドは、一般的に、ノズル及び圧力室を有するノズル基板と、アクチュエータを収容する流路基板と、アクチュエータに電力を供給するための配線基板とが積層された構造を有する。ノズル基板と流路基板と配線基板とが積層される構造では、各基板は例えば接着剤層を介して貼り合わされ、共通インク室のインクは、配線基板及び流路基板の個別流路を流れて各圧力室に供給される。
特開2014−83705号公報
ところで、配線基板では、アクチュエータの上部電極に電力を供給する配線層が、配線基板と流路基板との貼り合わせ面に形成されており、配線層は、所定の厚みを有する。配線層上面には、一般的に絶縁酸化膜が形成されるが、この絶縁酸化膜の厚さは配線層の厚さよりも薄く、配線層の形状を踏襲するように成膜される。したがって、配線基板の配線層面には、配線層の厚みに起因する凹凸がある。そして、配線基板は、配線層に起因する凹凸面を有した状態で流路基板と貼り合わされるため、配線基板と流路基板との間では、配線が設けられていない非配線領域において隙間があいてしまうという問題がある。
このように、流路基板との貼り合わせ面に配線層に起因する凹凸がある場合、共通インク室から配線基板及び流路基板の個別流路を介して圧力室に供給されるインクが、流路基板と配線層との間に漏れ込む恐れがある。
そこで、本発明は、流路基板と配線層との間へのインクの漏れ込みを防止するインクジェットヘッドを提供することを目的とする。また、そのインクジェットヘッドの製造方法、及び、そのインクジェットヘッドを備える画像形成装置を提供することを目的とする。
上記課題を解決し、本発明の目的を達成するため、本発明のインクジェットヘッドは、複数の圧力室と、圧力室毎に設けられ圧力室の体積を変化させるアクチュエータとを有する圧力室基板と、各圧力室と連通し、圧力室の体積変化により液体を吐出するノズルを有するノズル基板とを備える。また、インクを貯留し、各圧力室にインクを供給する共通インク室と、圧力室毎に設けられた各アクチュエータに個別に電力を供給する個別配線を有する配線層と、配線層との間にアクチュエータを収容する空間部、及び、圧力室及び共通インク室を個別に連通する連通流路を有し、配線層が形成される面に貼り合わされる流路基板とを備える。さらに、流路基板と配線層との貼り合わせ面において連通流路を囲む領域に設けられ、貼り合わせ面を液密に封止する封止部を備える。
また、本発明のインクジェットヘッドの製造方法は、上記インクジェットヘッドの製造方法において、配線層が形成される面と流路基板とが貼り合わされる前に、流路基板又は配線層の、流路基板と配線層との貼り合わせ面における連通流路を囲む領域に、貼り合わせ面を液密に封止する封止部を形成する工程を有する。
また、本発明の画像形成装置は、上述のインクジェットヘッドを備える。
本発明によれば、流路基板と配線層とが貼り合わされるインクジェットヘッドにおいて、流路基板と配線層との間へのインクの漏れ込みを防止することができる。
本発明の第1の実施形態に係る画像形成装置の概略構成図である。 本発明の第1の実施形態に係るインクジェットヘッドの外観を示す概略構成図である。 本発明の第1の実施形態に係るインクジェットヘッドの要部断面を示す概略構成図である。 図4Aは、本発明の第1の実施形態に係るインクジェットヘッドの流路基板を配線基板側から見たときの概略平面構成図である。図4Bは、図4Aの領域a1の拡大図である。 図5Aは、本発明の第1の実施形態に係るインクジェットヘッドにおける配線層を流路基板上部に配置したときの概略平面構成図である。図5Bは、図5Aの領域a2の拡大図である。 図6A〜図6Cは、配線基板と、流路基板及びノズル基板の接合体とを貼り合わせ時における製造工程図である 本発明の第2の実施形態に係るインクジェットヘッドの配線層を流路基板上部に配置したときの要部の概略平面構成図である。 本発明の第3の実施形態に係るインクジェットヘッドの配線層が形成される面を平面からみたときの概略構成図である。 本発明の第3の実施形態に係るインクジェットヘッドの要部断面を示す概略構成図である。
以下、本発明の実施形態に係るインクジェットヘッド、インクジェットヘッドの製造方法、及び、そのインクジェットヘッドを備えた画像形成装置の一例を、図面を参照しながら説明する。なお、本発明は以下の例に限定されるものではない。以下で説明する各図において、共通の部材には同一の符号を付している。また、説明は、以下の順に行う。
1.第1の実施形態(ノズル基板、圧力室基板、流路基板及び配線基板を備えるインクジェットヘッドの例)
1−1.画像形成装置の構成
1−2.インクジェットヘッドの構成及び製造方法
2.第2の実施形態(封止部を個別配線と接続する例)
3.第3の実施形態(圧電体層に薄膜PZTを用い、個別配線及び封止部が圧力室基板に直接設けられる例)
1.第1の実施形態(ノズル基板、圧力室基板、流路基板及び配線基板を備えるインクジェットヘッドの例)
1−1.画像形成装置の構成
まず、本発明の第1の実施形態(以下、本実施形態)に係る画像形成装置について説明する。図1は、本実施形態に係る画像形成装置の概略構成図である。なお、以下の説明では、ラインヘッドを用いた記録媒体の搬送のみで描画を行う1パス描画方式での実施形態例を説明するが、適宜の描画方式を採用することができる。また、以下の説明では、記録媒体Rの搬送方向を前後方向、記録媒体の搬送面において、当該搬送方向に直交する方向を左右方向とし、前後方向及び左右方向に垂直な方向(インクの射出方向)を上下方向として説明する。
図1に示すように、本実施形態の画像形成装置100は、プラテン101と、搬送ローラ102と、複数のラインヘッド103、104、105、106とを備える。プラテン101は、平板状の部材で構成されており、上面に記録媒体Rを支持する。プラテン101は、搬送ローラ102が駆動されると、記録媒体Rを搬送方向(前後方向)に搬送する。ラインヘッド103、104、105、106は、記録媒体Rの搬送方向(前後方向)の上流側から下流側に架けて、搬送方向に直交する幅方向(左右方向)に並列して設けられている。そして、ラインヘッド103、104、105、106、の内部には、後述するインクジェットヘッドが少なくとも一つ設けられており、例えば、シアン(C)、マゼンタ(M)、イエロー(Y)、黒(K)のインクを記録媒体Rに向けて吐出する。
1−2.インクジェットヘッドの構成及び製造方法
次に、上述した画像形成装置100に適用される本実施形態に係るインクジェットヘッドについて説明する。図2は、本実施形態に係る画像形成装置100に用いられるインクジェットヘッド1の外観を示す概略構成図である。また、図3は、本実施形態に係るインクジェットヘッド1の要部断面を示す概略構成図である。
図2及び図3に示すように、インクジェットヘッド1は、保持板3と、保持板3の上部に取り付けられたインクマニホールド2と、フレキシブル回路基板5と、保持板3の下部に取り付けられたヘッドチップ10とを備える。
[インクマニホールド、保持板、フレキシブル回路基板]
インクマニホールド2は、LCP(Liquid Crystal Plastic)等の樹脂で形成されており、一方の端部が上面部によって塞がれ、他方の端部は開口された角筒状の部材で構成されている。インクマニホールド2の開口された面には、保持板3が接続されており、インクマニホールド2の内部は、外部から供給されるインクが貯留される共通インク室8となる。また、インクマニホールド2の上面部には、共通インク室8にインクを供給するためのインク供給口6と、共通インク室8からインクを排出するためのインク排出口7が設けられている。
また、共通インク室8の開口部近傍には、共通インク室8をインク供給口6側の領域とヘッドチップ10側の領域とで区切るように配置されたフィルタ9が設けられている。フィルタ9は、メッシュ状の部材で構成されており、インク供給口6から供給されたインクから異物を取り除き、異物が取り除かれたインクをヘッドチップ10側に供給するために設けられている。
保持板3は、中央部分に開口部3bを有する平板状の部材で構成され、シリコン(Si)に線膨張率の近い42Niアロイなどで構成される。保持板3の一方の面にはインクマニホールド2が接合され、他方の面にはヘッドチップ10が接合される。そして、保持板3の開口部3bを介して、インクマニホールド2の共通インク室8とヘッドチップ10とが連通する。
保持板3の外周部には、ヘッドチップ10に電力を供給するためのフレキシブル回路基板5を挿通させる挿通孔3aが設けられている。本実施形態では、保持板3を、シリコンの線膨張率と近い線膨張率を有する材料で構成することで、精度が必要なMEMS技術を用いた本実施形態のヘッドチップ10の平面性を確保することができる。
フレキシブル回路基板5は、後述する配線基板30の接続部63(図5参照)に、異方性導電フィルムにより接続される。そして、フレキシブル回路基板5は、保持板3にもうけられた挿通孔3aを挿通してインクマニホールド2側に引き出される。本実施形態のインクジェットヘッド1では、フレキシブル回路基板5によって、配線基板30を介して後述するアクチュエータ50の上部電極53及び下部共通電極51に電力が供給される。
[ヘッドチップ]
ヘッドチップ10は、図1では図示されないが、図2に示すように、保持板3のインクマニホールド2が保持される側とは反対側に保持されている。ヘッドチップ10は、ノズル基板21と、中間基板22と、圧力室基板26と、流路基板29と、配線基板30とを有し、インクジェットヘッド1のインク吐出面側から保持板3側にこの順で積層されている。
図4Aは、本実施形態のインクジェットヘッド1の流路基板29を配線基板30側から見たときの概略平面構成図であり、図4Bは、図4Aの領域a1の拡大図である。また、図5Aは、図5Aは、本実施形態に係るインクジェットヘッド1における配線層31を流路基板29上部に配置したときの概略平面構成図であり、図5Bは、図5Aの領域a2の拡大図である。
ノズル基板21は、例えば50〜200μmのシリコン基板で構成され、共通インク室8側から供給されたインクを外部に吐出する開口径10〜30μm、深さ10〜40μm程度のノズル40となる複数の貫通孔を有する。ノズル40は、フォトリソグラフィーを用いたエッチング処理によって、シリコン基板の不要な部分を除去することによって形成することができる。
ノズル40は、ノズル基板21に例えば500〜2000個設けられ、マトリクス状に配置されている。このノズル40は、後述する圧力室基板26に設けられる圧力室27に連通するように設けられている。ノズル40は、必要なノズル解像度を確保するために所定のノズルピッチで配列されており、図4Aでは、8行構造のノズル40を有する場合を例に示している。
中間基板22は、例えばガラス基板で構成され、ノズル40と後述の圧力室基板26に設けられる圧力室27とを連通する第1連通流路41を有する。第1連通流路41は、ガラス基板の所定の位置をブラスト加工することで形成することができる。また、第1連通流路41は、各ノズル40と対応する位置に設けられ、中間基板22を貫通するように形成されている。中間基板22では、第1連通流路41の径を絞る形状とするなど、ノズル40に至るインクの流路の形状を任意の形状とすることで、第1連通流路41を流れる際にインクに加えられる運動エネルギーを調整することができる。この中間基板22は、ノズル基板21と接着層(図示を省略する)を介して接合されている。なお、中間基板22は必ずしも必要ではなく、中間基板22が設けられない構造であってもよい。
圧力室基板26は、Siからなる支持基板23、SiOからなるBOX層24、及び、Siからなる活性層25がこの順に積層されたSOI(Silicon on Insulator)基板で構成され、中間基板22に設けられた第1連通流路41を介して各ノズル40と連通する複数の圧力室(チャネル)27と、第2連通流路28と、圧力発生部55とを有する。圧力室基板26となるSOI基板の支持基板23の厚さは、50〜200μm程度、BOX層24の厚さは0.1μm程度、活性層25の厚さは10〜50μm程度である。
圧力室27は、共通インク室8から供給されるインクを個別に貯留する空間である。また、第2連通流路28は、各圧力室27と流路基板29に設けられる後述する第3連通流路42とを連通する孔である。図4A及び図4Bでは、圧力室27及び第2連通流路28の形状が破線で示されている。図4Aに示すように、圧力室27及び第2連通流路28は、SOI基板の支持基板23側に2次元マトリクス状に設けられている。また、圧力室27は、断面がほぼ円形状に形成されており、第2連通流路28は、圧力室27から第3連通流路42が配置される位置に突出するように設けられている。
圧力発生部55は、振動板47とアクチュエータ50とを有する。振動板47は、図3に示すように、各圧力室27の流路基板29側の上面に設けられ、それぞれの圧力室27毎に設けられている。振動板47は、圧力室27の流路基板29側の上壁部で構成され、圧力室27が形成される圧力室基板26に一体に設けられている。本実施形態では、振動板47は、圧力室基板26を構成するSOI基板の活性層25で構成されている。
アクチュエータ50は、振動板47の圧力室27に面する側とは反対側の面に設けられ、振動板47側から順に積層された下部共通電極51、圧電体層52及び上部電極53で構成されている。下部共通電極51は、薄膜状の金属層で構成されており、本実施形態では、Ti(チタン)層とPt(白金)層とをこの順に積層して構成されている。Ti層は、例えば0.02μm程度に形成され、Pt層は、例えば0.1μm程度に形成されている。なお、Pt層の代わりにAu(金)層を形成してもよい。この下部共通電極51は、全ての圧力室27に共通に設けられており、下部共通電極51は、後述する配線基板30に設けられるグランド配線64(図5A参照)によってグランド接続される。
圧電体層52は、厚さが20〜100μm程度の電界が印加されることによって変形する材料で構成することができ、例えばチタン酸ジルコン酸鉛(PZT)などの強誘電体材料で構成されている。圧電体層52は、圧力室27上部の振動板47上部に設けられ、圧力室27毎(チャネル毎)に形成されている。本実施形態では、図4Bに示すように、平面視で円形状に形成されている。
上部電極53は、各圧電体層52の上部に個別に設けられる電極であり、各圧力室27に対応して設けられる個別電極である。上部電極53は、薄膜状の金属層で構成され、本実施形態では、Ti層と、Pt層とをこの順に積層して構成されている。Ti層は、例えば0.02μm程度に形成され、Pt層は、例えば0.1μm程度に形成されている。なお、Pt層の代わりにAu(金)層を形成してもよい。また、図4Bに示すように、上部電極53は、圧電体層52と同様、ほぼ円形状に形成されている。上部電極53は、その端部に突出部を有し、その突出部に後述する個別配線39のスタッドバンプ54及びはんだバンプまたは導電ペースト56が接続される。
圧力室基板26を形成する場合には、まず、SOI基板を準備し、SOI基板の活性層25の表面全面に、スパッタ法を用いて、厚さ0.02μm程度のTi層と厚さ0.1μm程度のPt層を順に成膜し、下部共通電極51となる金属層を形成する。次に、フォトリソグラフィーを用いたエッチングにより金属層の余分な部分を除去し、所望の形状の下部共通電極51を形成する。
次に、フォトリソグラフィーによるエッチングにより、SOI基板の支持基板23側から、支持基板23、BOX層24及び活性層25の不要な部分を除去することで、複数の圧力室27及び第2連通流路28を形成する。ここで、圧力室27の形成のための支持基板23側のエッチング工程では、BOX層24がエッチングストップ層となり、圧力室27に対応する部分に残った活性層25が振動板47となる。
一方、アクチュエータ50となる圧電体層52及び上部電極53は、ブラスト加工により所定形状に加工して形成する。このとき、図示を省略するが、圧電体層52の下層には下部共通電極51と接合される電極層が形成される。すなわち、電極層、圧電体層52、上部電極53からなる積層体は一体的に加工形成される。そして、圧力室基板26をノズル基板21及び中間基板22を貼り合わせた接合体に接着した後にアクチュエータ50となる圧電体層52と上部電極53とを含む積層体を、振動板47上部の下部共通電極51上部にエポキシ接着剤などにより接合する。これにより、圧力室基板26では、振動板47上部に、ユニモルフ構造のアクチュエータ50が形成される。
本実施形態では、上部電極53と下部共通電極51との間に電圧を印加することで圧電体層52を変形させ、これによって振動板47を変形させることができる。そして、振動板47の変形によって各圧力室27ではインク吐出に係る圧力が発生し、ノズル40からインクが吐出される。圧力室基板26は、圧力発生部55が形成される側と反対側の面が、例えば陽極接合によって中間基板22のノズル基板21とは反対側の面に接合されている。
流路基板29は、ガラス基板又は42アロイ等で構成され、アクチュエータ50を収容する空間部44と、各圧力室27、及び、後述する配線基板30に設けられる第4連通流路43を連通する第3連通流路42とを有する。図4Aの実線で示すように、流路基板29に設けられる空間部44は、マトリクス状に配置される圧力室27の行毎に形成され、基板を貫通するように設けられている。すなわち、行方向に隣り合う圧力室27に対応するそれぞれのアクチュエータ50は、行方向に繋がった空間部44に収容される。
また、流路基板29の第3連通流路42は、圧力室27毎に設けられており、図4Aに示すように断面形状が円形状に形成されている。また、図4Aに示すように、流路基板29の行方向の両端部には、下部共通電極51をグランド接続するための引き出し貫通孔61が三箇所ずつ設けられており、それぞれの下部共通電極51はバンプ62を介して後述する配線基板30のグランド配線64に接続される。流路基板29は、圧力室基板26の中間基板22が接合される側とは反対側の面に、接着剤層(図示を省略する)を介して接着されている。
配線基板30は、シリコン層32と、配線層31と、配線層31を被覆するように設けられる絶縁層45と、シリコン層32及び絶縁層45を貫通する第4連通流路43とを有する。
第4連通流路43(本発明の配線基板側連通流路)は、配線基板30の上部に設けられる共通インク室8と流路基板29に設けられた第3連通流路42とを連通するように、シリコン層32を貫通して設けられている。本実施形態では、第4連通流路43は、流路基板29との接合面において、第3連通流路42の断面とほぼ同じ形状に形成されており、例えば、円形状に形成されている。
配線層31は、シリコン層32の流路基板29側の面に形成され、各圧力発生部55に設けられた上部電極53に接続される個別配線39と、下部共通電極51に接続されるグランド配線64と、第4連通流路43の周囲を囲むように設けられた封止部46とを有する。個別配線39、グランド配線64及び封止部46は、例えば、アルミニウムで形成されている。
個別配線39は、図3に示すように、各アクチュエータ50を構成するそれぞれの上部電極53にスタッドバンプ54及びはんだバンプまたは導電ペースト56を介して接続され、個別配線39は、図5A及び図5Bに示すように、上部電極53を配線基板30の列方向の端部に引き出すように設けられている。配線基板30の列方向の両端部は、フレキシブル回路基板5が接続される接続部63となる。それぞれの個別配線39は、配線基板30の列方向の両端に設けられる接続部63のうち近い方に引き出される。本実施形態では、8行分の圧力室27のうち、中央から一方の側に配列された4行分の圧力室27に設けられた上部電極53は、一方の側の接続部63に引き出され、他方の側に配列された4行分の圧力室27に設けられた上部電極53は、他方の側の接続部63に引き出されている。
また、本実施形態では、配線基板30の個別配線39の延在方向と直交する方向における両端部には、下部共通電極51に接続されるグランド配線64が設けられている。グランド配線64にも、下部共通電極51に接続されるバンプ62が形成されており、バンプ62を介してグランド配線64は下部共通電極51に電気的に接続されている。さらに、グランド配線64も、個別配線39と同方向に延在して設けられており、配線基板30の接続部63でフレキシブル回路基板5に接続される。
このような、個別配線39及びグランド配線64は、配線抵抗を減らすため、製造可能範囲で極力太く、厚く形成するのが好ましく、本実施形態では、4μmの厚みに形成されている。
封止部46は、第4連通流路43を囲むように第4連通流路43の際から所定の幅を有して形成され、本実施形態では、円形状(ドーナツ状)に形成されている。また、封止部46は、隣接する個別配線39と緩衝しない程度の大きに形成されている。本実施形態では、封止部46は、配線層31の面方向において20μm〜200μm程度の幅、好ましくは100μm以下の幅で形成されるのが好ましい。ここで、本実施形態における封止部46の幅は、ドーナツ状に設けられた封止部46の外径と内径の差の半分とする。
封止部46は、流路基板29と配線基板30との境界面において、流路基板29と配線基板30との密着性を向上させ、インクのリークを防止するための土手として設けられるものである。本実施形態のように、封止部46の面方向における幅を20μm以上とすることで、インクの流路の周囲を確実に封止することができる。また、チャネルの高密度化により、他の配線への影響もあるため、200μm以下の幅、好ましくは100μm以下の幅で形成されるのが好ましい。このような、封止部46は、個別配線39の製造工程と同工程で形成されるものであり、個別配線39及びグランド配線64と同様、4μmの厚みに形成されている。
絶縁層45は、例えばSiOで構成されており、配線基板30に設けられた配線層31上面に成膜され、個別配線39に設けられるスタッドバンプ54及びグランド配線64に設けられるバンプ62の形成領域を除いた部分に設けられる。この絶縁層45は、例えば1μm程度の厚さに成膜され、配線層31の形状を踏襲するように配線層31上面に成膜されている。
なお、配線基板30では、シリコン層32の両面全面、すなわち、シリコン層32と配線層31との間及びシリコン層32の配線層31が形成される面とは反対側の面に、シリコン層32を保護するための絶縁層が成膜されているが、本実施形態では図示を省略している。そして、このような構成の配線基板30は、その配線層31側の面が流路基板29に接合するように、接着剤層(図示を省略する)を介して貼り合わされる。
ここで、配線基板30の製造工程の一例について説明する。まず、シリコン層32となるシリコン基板を準備し、シリコン基板の一方の面の全面にSiOからなる絶縁層(図示を省略する)を成膜し、その上面に、Al層を形成する。そして、フォトリソグラフィーを用いたエッチングにより、Al層の不要部分を除去することで、所望の形状の個別配線39、グランド配線64、及び、封止部46を有する配線層31を形成する。その後、その配線層31上部に、SiOからなる絶縁層45を成膜する。この絶縁層45のうち、個別配線39のスタッドバンプ54とはんだバンプ56、及び、グランド配線64のバンプ62が形成される領域は、エッチングにより除去する。
次に、シリコン基板の配線層31が形成された側とは反対側の面の全面にSiOからなる絶縁層(図示を省略する)を成膜する。そして、フォトリソグラフィーによるエッチング処理により、絶縁層及びシリコン基板の不要な部分を除去することで、第4連通流路43を形成する。そして、個別配線39の所定の位置に、金属細線を用いたワイヤボンディングによりスタッドバンプ54を形成する。また、配線基板30と流路基板29との貼り合わせ時における電気的接合の信頼性を確保するため、スタッドバンプ54上にははんだバンプ56を形成する。また、個別配線39に形成したスタッドバンプ54及びはんだバンプ56の形成工程と同じ工程において、グランド配線64のバンプ62も形成する。あるいは、はんだバンプの替わりにスタッドバンプ先端に導電ペースト56を転写などで塗布してもよい。これにより、配線基板30が形成される。
図6A〜図6Cは、配線基板30と、流路基板29、圧力室基板26、中間基板22及びノズル基板21の接合体との貼り合わせ時における製造工程図である。まず、配線基板30(図6A参照)及び、流路基板29、圧力室基板26、中間基板22及びノズル基板21が接合された接合体(図6B参照)を準備する。流路基板29、圧力室基板26、中間基板22及びノズル基板21の接合体は、上述したように、ノズル基板21、中間基板22、圧力室基板26、流路基板29を順次接合することで形成する。
次に、流路基板29、圧力室基板26、中間基板22及びノズル基板21の接合体における流路基板29表面に、接着剤層(図示を省略する)を形成する。接着剤層は、全面に均一に塗布する必要があるため、転写や印刷技術を用いて塗布するのが好ましい。その後、配線基板30の配線層31の面側と流路基板29とを向かい合わせ、図示を省略するアライメントマークを用いて位置あわせする。そして、図6Cに示すように、配線基板30を流路基板29上に貼り合わせる。配線基板30と、流路基板29、圧力室基板26、中間基板22及びノズル基板21の接合体との貼り合わせにより、個別配線39は、圧力発生部55の上部電極53に電気的に接続され、グランド配線64は下部共通電極51に電気的に接続される。これにより、ヘッドチップ10が完成する。
そして、本実施形態では、インクマニホールド2の共通インク室8側に、保持板3を介してヘッドチップ10の配線基板30側を接合し、配線基板30に設けられた接続部63に異方性導電フィルムを介してフレキシブル回路基板5を接合することでインクジェットヘッド1が完成する。
本実施形態のインクジェットヘッド1では、共通インク室8に供給されたインクは、第4連通流路43、第3連通流路42、第2連通流路28を介して各圧力室27に供給される。そして、圧力発生部55において、アクチュエータ50では、圧電体層52に電界が印加されることによってたわみ変形が発生し、そのたわみ変形が振動板を介して圧力室27の体積変化を与える。これにより、圧力室27内では、体積変化による圧力変化が起こり、内部に供給されたインクは、第1連通流路41及びノズル40を通って外部に吐出される。
本実施形態では、配線基板30において、第4連通流路43の周囲に、土手状の封止部46が設けられており、この土手状の封止部46が他の個別配線39及びグランド配線64と同一の高さに形成されているため、配線層31面の凹凸面における一番高い部分となる。したがって、配線基板30と流路基板29との貼り合わせ時において封止部46は流路基板29の表面に確実に接着される。
これにより、第4連通流路43と第3連通流路42との境界部分において、配線基板30と流路基板29との間に隙間が形成されないので、第4連通流路43及び第3連通流路42は液密に保持される。このため、第4連通流路43から第3連通流路42にインクが流れる際に、配線基板30と流路基板29との間にインクが漏れるのを防ぐことができる。
図6Aに示すように、配線基板30の配線層31側の面には、配線層31に起因する凹凸がある。したがって、従来のインクジェットヘッドのように、封止部がない構造の場合、第4連通流路43周囲は凹形状となり配線層31面と流路基板29との間には隙間があき、インクのリークの可能性が高くなる。一方で、その隙間を埋めるため接着剤の塗布量を増やすと、接着剤がインクの流路に溢れ、流路を塞いでしまう恐れがある。
これに対し、本実施形態では、封止部46を設けることで、接着剤の塗布量を増やすことなく、第4連通流路43及び第3連通流路42の周囲において配線基板30と流路基板29と境界の隙間を無くすことができる。
また、本実施形態では、封止部46は、配線層31の形成時に個別配線39やグランド配線64と同時に形成することができる。したがって、別途、封止部46を形成するための工程を設ける必要がない。
本実施形態では、配線層31は、配線基板30の一方の面にのみ形成する例を用いて説明したが、配線基板30の両面に配線層31を有する構成にも本発明を適用することができる。この場合も、配線基板30の流路基板29側に配線層31に封止部46を形成することで、本実施形態と同様の効果を得ることができる。また、本実施形態では、封止部46の外形を円形状の部材で構成したが、これに限られるものではなく、例えば矩形状であってもよい。
2.第2の実施形態(封止部を配線として用いる例)
次に、本発明の第2の実施形態に係るインクジェットヘッドについて説明する。図7は、本実施形態のインクジェットヘッド70の配線層72を流路基板29上に配置したときの概略平面構成図であり、図5Bと同様、一部の圧力室27に対応する部分を拡大して示している。図7において、図5Bに対応する部分には同一符号を付し重複説明を省略する。
図7に示すように、本実施形態のインクジェットヘッド70では、配線層72に形成される封止部46と個別配線71とが接続されている。封止部46の構成は第1の実施形態と同様である。個別配線71は封止部46に結合されており、スタッドバンプ54及びはんだバンプ56または導電ペーストを介して上部電極53に接続されると共に、配線基板30の端部の接続部63まで延在して配設されている。
ところで、ヘッドの解像度を上げる場合、チャネル(圧力室27)間のピッチを狭くする、または、列数を増やす、もしくはその両方が必要となる。チャネル間のピッチを狭くする場合には、流路間の間隔が狭くなるが、この間隔を広げるためには、流路を小さくする必要があり、流路の径を小さくすると流路抵抗の増加を招き、射出特性に影響が生じる。一方、配線の列数を増やす場合には、流路間を通す配線の本数が多くなり、配線1本あたりの幅が小さくなり配線抵抗が大きくなる。
これに対し、本実施形態では、封止部46を個別配線71の一部として用いることにより、第4連通流路43を跨ぐように配線することができる。このため、従来は配線を設けることができなかった領域を配線スペースとして用いることができる。これにより、1本の配線の幅を大きくする、もしくは、第3連通流路42の直径を大きくすることができる。したがって、ヘッドの高解像度においても、配線抵抗の増大もしくは射出特性の悪化を防ぐことができる。
3.第3の実施形態(圧電体層に薄膜PZTを用い、個別配線が圧力室基板に直接設けられる例)
次に、本発明の第3の実施形態に係るインクジェットヘッドについて説明する。図8は、本実施形態のインクジェットヘッド80の配線層92が形成される面を平面からみたときの概略構成図であり、図9は、本実施形態のインクジェットヘッド80の要部断面を示す概略構成図である。本実施形態のインクジェットヘッド80は、個別配線91が圧力室基板26に直接設けられ、配線基板が無い点で第1の実施形態と異なる。図9において、図3に対応する部分には同一符号を付し、重複説明を省略する。
図9に示すように、本実施形態のインクジェットヘッド80のヘッドチップ99は、ノズル基板21と、中間基板22と、圧力室基板97と、流路基板88と、インクジェットヘッド80のインク吐出面側から保持板3側にこの順で積層されている。
圧力室基板97は、Siからなる支持基板23、SiOからなるBOX層24、及び、Siからなる活性層25がこの順に積層されたSOI(Silicon on Insulator)基板で構成され、中間基板22に設けられた第1連通流路41を介して各ノズル40と連通する複数の圧力室(チャネル)27と、第2連通流路28と、圧力発生部81とを有する。圧力発生部81は、振動板47と、アクチュエータ85とを有する。本実施形態において、圧力室27、第2連通流路28及び振動板47の構成は第1の実施形態と同様である。
アクチュエータ85は、振動板47の圧力室27に面する側とは反対側の面に設けられ、振動板47側から順に積層された下部共通電極82、圧電体層83、及び、上部電極84で構成されている。そして、本実施形態の上部電極84は、封止部93及び個別配線91を構成する配線層92と同一の層に形成され、封止部93及び個別配線91と接続されている。
下部共通電極82は、薄膜状の金属層で構成されており、本実施形態では、Ti(チタン)層とPt(白金)層とをこの順に積層して構成されている。この下部共通電極82は、全ての振動板47上面に共通に設けられている。Ti層は、例えば0.02μm程度に形成され、Pt層は、例えば0.1μm程度に形成されている。下部共通電極82は、圧力室基板26端部でグランド接続される。
圧電体層83は、電界が印加されることによって変形する材料で構成することができ、例えばチタン酸ジルコン酸鉛(PZT)などの強誘電体材料で構成されている。圧電体層83は、振動板47上部に設けられ、圧力室27毎(チャネル毎)に形成されている。また、本実施形態では、圧電体層83は、スパッタリングやゾルゲル法を用いて形成することができる薄膜PZT(本発明の薄膜圧電体層に相当)で構成されている。本実施形態では、図8に示すように、平面視で楕円形状に形成されている。
上部電極84は、各圧電体層83の上部に個別に設けられている。上部電極84は、図8に示すように、圧電体層83と同形状に形成されている。
配線層92は、圧電体層83上部から、フレキシブル回路基板5に接続される端部に延在して設けられており、また、第2連通流路28の周囲をドーナツ状に取り囲むように形成されている。すなわち、本実施形態の配線層92のうち、第2連通流路28の周囲にある配線層92が封止部93を構成し、図8に示すように端部に向けて延在する部分が個別配線91を構成する。また、配線層92は、一部が上部電極84上に乗り上げるように構成される。
そして、これらの上部電極84、封止部93、及び個別配線91は、チャネル毎に接続されている。個別配線91は、図示を省略するが、圧力室基板26の端部において、フレキシブル回路基板5に接続されており、これにより、アクチュエータ85に所望の電圧が印加される。すなわち、本実施形態では、圧力室基板26は、配線基板を兼ねる。
また、圧電体層83が形成される領域以外の配線層92と下部共通電極82との間には、絶縁層86が形成されており、さらには、配線層92の流路基板88側上部には、全面に絶縁層87が形成されている。
ここで、圧力室基板97の形成工程について説明する。まず、圧力室基板97を構成するSOI基板を準備する。SOI基板は、Siからなる支持基板23、SiOからなるBOX層24、Siからなる活性層25がこの順に積層されており、支持基板23の厚さは50〜200μm程度である。まず、活性層25の表面に、スパッタ法を用いて、厚さ0.2μm程度のTi層と厚さ0.1μm程度のPt層を順に成膜し、下部共通電極82となる金属層を形成する。次に、下部共通電極82となる金属層の表面全面に、例えばスパッタ法を用いて圧電体層83となるPZT層を成膜し、さらに、スパッタ法などを用いて、厚さ0.2μm程度のTi層と厚さ0.1μm程度のPt層を順に成膜し、上部電極84となる金属層を形成する。その後、フォトリソグラフィーを用いたエッチング加工により、上部電極となる金属層とPZT層の余分な部分を除去して上部電極84及び圧電体層83を形成する。次に、同様にフォトリソグラフィーを用いたエッチング加工により金属層の余分の部分を除去し、下部共通電極82を形成する。
次に、全面に絶縁材料層を成膜し、フォトリソグラフィーを用いたエッチング加工により、圧電体層83上部の領域を除去し、絶縁層86を形成する。その後、Al(アルミニウム)などの配線層92となる金属層を形成する。そして、フォトリソグラフィーを用いたエッチング加工により、金属層の余分な部分を除去し、個別配線91、封止部93を含む配線層92を形成する。そして、配線層92が形成された面全面に絶縁層87を形成する。
次に、フォトリソグラフィーによるエッチングにより、SOI基板の支持基板23側から、支持基板23、BOX層24及び活性層25の不要な部分を除去することで、複数の圧力室27を及び第2連通流路28を形成する。ここで、圧力室27形成のための支持基板23側のエッチング工程では、BOX層24がエッチングストップ層となり、圧力室27に対応する部分に残った活性層25が振動板となる。
本実施形態では、以上のようにして、アクチュエータ85を構成する上部電極84の形成後、圧力室基板97上部に個別配線91及び封止部93が形成される。これにより、別途配線基板を形成する必要がない。
流路基板88は、ガラス基板又は42アロイ等で構成され、アクチュエータ85を収容する空間部90と、各圧力室27と共通インク室8を連通する第3連通流路89とを有する。本実施形態では、配線基板が設けられないため、流路基板88上部には、共通インク室8が配置される。このため、アクチュエータ85を収容する空間部90は、流路基板88を貫通せず、圧力室基板97側から所定の深さに形成された溝部で構成される。
本実施形態のインクジェットヘッド80では、圧力室基板97上部の配線層92上部に流路基板88を接着剤を用いて貼り合わせることで、ヘッドチップ99が完成する。そして、封止部93が第3連通流路89及び第2連通流路28の周囲に形成されているため、流路基板88とノズル基板98との貼り合わせ時には、封止部93上面が流路基板88の貼り合わせ面に密着するように貼り合わされる。これにより、第3連通流路89と第2連通流路28との境界において、配線層92とノズル基板98との間にインクが漏れ出すのを防ぐことができる。
本実施形態では、アクチュエータ85を構成する圧電体層83として、薄膜PZTを用いるため、圧電体層83をスパッタリング法やゾルゲル法などでSi基板上に直接形成することができる。薄膜PZTは、その膜厚が1〜5μm程度と薄く、小さな面積で大きな変位を得られるため、アクチュエータ85をさらに高密度に配置することができ、ヘッドチップ99の小型化を図ることができる。また、Si基板上に圧電体層83を直接パターニングすることができるので、上部電極84に接続される個別配線91を同一面内に構成することができ、配線基板を無くすことができる。なお、本実施形態では、上部電極84に乗り上げるように配線層92を形成したが、上部電極84のパターンを変更することにより、上部電極84と配線層92とを一体的に形成してもよい。この場合には、上部電極84と配線層92とを一度に作ることができるので、工程数を減らすことができる。
そして、本実施形態のインクジェットヘッド80においても、ノズル基板98の配線層92が形成される面には、配線層92に起因する凹凸が形成される。したがって、ノズル基板98と流路基板88とを貼り合わせる際には、配線層92による凹凸面に起因する隙間が発生する。しかし、本実施形態においても、第2連通流路28の周囲を囲むように封止部93を形成することによって、第2連通流路28及び第3連通流路89の境界部分において、流路基板88とノズル基板98とを液密に貼り合わせることができる。これにより、流路基板88とノズル基板98との間へのインクのリークを防ぐことができる。
以上、本発明について、実施形態に基づいて説明したが、本発明は上述の実施形態に記載した構成に限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲において適宜その構成を変更することができるものである。上述の実施形態では、封止部を配線層に形成する構成としたが、配線層とは別部材で構成してもよく、例えば、配線と同程度の高さの絶縁層を形成するなどしてもよい。また、封止部を配線層とは別部材で構成する場合には、封止部は、配線層側ではなく、配線層と貼り合わされる面側に設けてもよい。配線層の凹凸形状に起因する貼り合わせ面の隙間を、インクが流れる流路周辺において封止することができる構成であればよい。このため、配線層の高さと同程度がそれよりも高く封止部を形成することで、本発明の効果を得ることができる。
また、上述した実施形態例は、本発明を分かりやすく説明するために詳細に説明したものであり、必ずしも説明した全ての構成を備えるものに限定されるものではない。例えば、ある実施形態の構成の一部を他の実施形態の構成に置き換えることが可能であり、また、ある実施形態の構成について他の実施形態の構成を加えることも可能である。また、各実施形態の構成の一部について、他の構成の追加・削除・置換をすることが可能である。
1…インクジェットヘッド、2…インクマニホールド、3…保持板、5…フレキシブル回路基板、8…共通インク室、10…ヘッドチップ、21…ノズル基板、22…中間基板、26…圧力室基板、27…圧力室、28…連通孔、29…流路基板、30…配線基板、31…配線層、39…個別配線、40…ノズル、41…第1連通流路、42…第2連通流路、43…第3連通流路、44…空間部、45…絶縁層、46…封止部、47…振動板、50…アクチュエータ、51…下部共通電極、52…圧電体層、53…上部電極、54…スタッドバンプ、55…圧力発生部

Claims (9)

  1. 複数の圧力室と、前記圧力室毎に設けられ、前記圧力室の体積を変化させるアクチュエータとを有する圧力室基板と、
    各圧力室と連通し、前記圧力室の体積変化により液体を吐出するノズルを有するノズル基板と、
    インクを貯留し、各圧力室にインクを供給する共通インク室と、
    前記圧力室毎に設けられた各アクチュエータに個別に電力を供給する個別配線を有する配線層と、
    前記配線層との間にアクチュエータを収容する空間部と、前記圧力室及び前記共通インク室を個別に連通する連通流路とを有し、前記配線層が形成された面に貼り合わされる流路基板と、
    前記流路基板と前記配線層が形成された面との貼り合わせ面において前記連通流路を囲む領域に設けられ、前記貼り合わせ面を液密に封止する封止部と
    を備えるインクジェットヘッド。
  2. 前記封止部は、配線層の一部で構成されている
    請求項1に記載のインクジェットヘッド。
  3. 前記封止部には、個別配線が接続されている
    請求項2に記載のインクジェットヘッド。
  4. 前記配線層は、前記流路基板を介して前記圧力室基板上に設けられた配線基板に形成され、
    前記配線基板には、前記連通流路と連通する配線基板側連通流路が設けられている
    請求項3に記載のインクジェットヘッド。
  5. 前記アクチュエータは、下部共通電極と下部共通電極上部に成膜された薄膜圧電体層と、前記薄膜圧電体層上に、各圧力室に応じて個別に設けられた上部電極とを備え、
    前記配線層は、前記上部電極に接続されている
    請求項2に記載のインクジェットヘッド。
  6. 前記配線層は、前記上部電極と一体に形成されている
    請求項5に記載のインクジェットヘッド。
  7. 複数の圧力室と、前記圧力室毎に設けられ、前記圧力室の体積を変化させるアクチュエータとを有する圧力室基板と、
    各圧力室と連通し、前記圧力室の体積変化により液体を吐出するノズルを備えるノズル基板と、
    インクを貯留し、各圧力室にインクを供給する共通インク室と、
    前記圧力室毎に設けられた各アクチュエータに個別に電力を供給する個別配線を有する配線層と、
    前記配線層との間にアクチュエータを収容する空間部と、前記圧力室及び前記共通インク室を個別に連通する連通流路とを有し、前記配線層が形成された面に貼り合わされる流路基板とを備えるインクジェットヘッドの製造方法において、
    前記配線層が形成された面と前記流路基板とが貼り合わされる前に、前記流路基板又は前記配線層の、前記流路基板と前記配線層が形成された面との貼り合わせ面における前記連通流路を囲む領域に、前記貼り合わせ面を液密に封止する封止部を形成する工程を有する
    インクジェットヘッドの製造方法。
  8. 前記封止部は前記配線層に形成し、前記配線層に形成される配線の形成と同工程で形成する
    請求項7に記載のインクジェットヘッドの製造方法。
  9. 請求項1〜6のいずれかに記載のインクジェットヘッドを備える
    画像形成装置。
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