本発明は、以上の点を考慮してなされたものであり、筋力補助装置において、第1装着具および第2装着具が互いに接近してしまうことを効果的に防止して、人体の第1部分及び第2部分の相対動作の補助にアクチュエータからの出力を効率的に使用可能にすることを目的とする。
本発明による第1の筋力補助装置は、
可動部が間に位置する人体の第1部分及び第2部分のうちの前記第1部分に取り付けられる第1装着具と、
前記第2部分に取り付けられる第2装着具と、
前記第1装着具及び前記第2装着具を連結する規制部材と、
前記第1装着具及び前記第2装着具の一方と、前記第1装着具及び前記第2装着具の他方または前記規制部材と、に接続し、接続した二箇所間の距離を変化させることが可能なアクチュエータと、を備え、
前記規制部材は、前記第1装着具及び前記第2装着具の間を延びる当該規制部材に沿った基準方向に、前記第1装着具及び前記第2装着具が接近することを規制し、前記基準方向と非平行な軸線の周りで湾曲可能又は前記基準方向と非平行な軸線を中心として屈曲可能である。
本発明による第2の筋力補助装置は、
可動部が間に位置する人体の第1部分及び第2部分のうちの前記第1部分に取り付けられる第1装着具と、
前記第2部分に取り付けられる第2装着具と、
前記第1装着具及び前記第2装着具を連結する規制部材と、
前記第1装着具と前記第2装着具との間の距離を縮める方向に駆動力を発生させることが可能なアクチュエータと、を備え、
前記規制部材は、前記第1装着具及び前記第2装着具の間を延びる当該規制部材に沿った基準方向に、前記第1装着具及び前記第2装着具が接近することを制限し、前記基準方向と非平行な軸線の周りで湾曲可能又は前記基準方向と非平行な軸線を中心として屈曲可能である。
本発明による第1又は第2の筋力補助装置において、前記規制部材が板ばねを含むようにしてもよい。
本発明による第3の筋力補助装置は、
可動部が間に位置する人体の第1部分及び第2部分のうちの前記第1部分に取り付けられる第1装着具と、
前記第2部分に取り付けられる第2装着具と、
前記第1装着具及び前記第2装着具を連結する規制部材と、
前記第1装着具及び前記第2装着具の一方と、前記第1装着具及び前記第2装着具の他方または前記規制部材と、に接続し、接続した二箇所間の距離を変化させることが可能なアクチュエータと、を備え、
前記規制部材は、前記第1装着具及び前記第2装着具の間を延びる当該規制部材に沿った基準方向と非平行な軸線の周りで湾曲可能な板ばねを含む。
本発明による第4の筋力補助装置は、
可動部が間に位置する人体の第1部分及び第2部分のうちの前記第1部分に取り付けられる第1装着具と、
前記第2部分に取り付けられる第2装着具と、
前記第1装着具及び前記第2装着具を連結する規制部材と、
前記第1装着具と前記第2装着具との間の距離を縮める方向に駆動力を発生させることが可能なアクチュエータと、を備え、
前記規制部材は、湾曲可能な板ばねを含んでいる。
本発明による第5の筋力補助装置は、
可動部が間に位置する人体の第1部分及び第2部分のうちの前記第1部分に取り付けられる第1装着具と、
前記第2部分に取り付けられる第2装着具と、
前記第1装着具及び前記第2装着具を連結する規制部材と、
前記第1装着具と前記第2装着具との間の距離を縮める方向に駆動力を発生させることが可能なアクチュエータと、を備え、
前記規制部材は、前記第1装着具及び前記第2装着具が接近することを規制し、前記基準方向と非平行な軸線の周りで湾曲可能又は前記基準方向と非平行な軸線を中心として屈曲可能である。
本発明による第1〜第5の筋力補助装置のいずれかにおいて、人体に着用された状態で前記アクチュエータが前記第1装着具及び前記第2装着具間の距離を短くした場合、前記板ばねの少なくとも一部分が、前記人体の側へ凸となるように湾曲するようにしてもよい。
本発明による第1〜第5の筋力補助装置のいずれかが、前記板ばねの前記第1装着具との接続位置および前記板ばねの前記第2装着具との接続位置の間となる位置において、前記第1装着具及び前記第2装着具から離間して、前記板ばねに接続して人体に装着される第3装着具を、さらに備えるようにしてもよい。
本発明による第1〜第5の筋力補助装置のいずれかにおいて、前記板ばねは、前記アクチュエータからの力が作用していない状態で、湾曲していてもよい。
本発明による第1〜第5の筋力補助装置のいずれかにおいて、前記板ばねは、前記第1装着具および前記第2装着具の一方から他方へ向けて前記板ばねの両端を結ぶ直線に対して傾斜する方向に延び出すよう、前記一方に接続していてもよい。
本発明による第1〜第5の筋力補助装置のいずれかにおいて、
前記アクチュエータは、前記板ばねに接続し又は前記板ばねに固定された接続具を介して前記板ばねに接続し、
前記板ばねは、前記アクチュエータが接続する位置において又は前記接続具が固定された位置において、人体から離間していてもよい。
本発明による第1〜第5の筋力補助装置のいずれかにおいて、前記アクチュエータの前記装着具または前記規制部材への接続位置は、前記板ばねから人体とは逆側に離間していてもよい。
本発明による第1〜第5の筋力補助装置のいずれかにおいて、前記板ばねから人体とは逆側に延び出す接続具が、前記板ばねに固定され、前記アクチュエータは、前記接続具に接続していてもよい。
本発明による第1〜第5の筋力補助装置のいずれかにおいて、
前記アクチュエータは、一方において、前記板ばねに接続し、
前記第1装着具及び前記第2装着具の一方が前記板ばねに接続する位置は、前記板ばねの長手方向に沿って、前記第1装着具及び前記第2装着具の他方が前記板ばねに接続する位置と、前記アクチュエータが前記板ばねに接続する位置と、の間に位置するようにしてもよい。
本発明による第1〜第5の筋力補助装置のいずれかにおいて、前記板ばねの前記第1装着具に接続する部分は、前記アクチュエータからの力が作用していない状態で、人体から離間していてもよい。
本発明による第1〜第5の筋力補助装置のいずれかにおいて、前記規制部材は、前記第1装着具および前記第2装着具の間となる位置に人体の側に膨出した膨出部を有するようにしてもよい。
本発明による第1〜第5の筋力補助装置のいずれかにおいて、前記規制部材は、前記第1装着具および前記第2装着具の間となる位置に人体の側に膨出可能な膨出アクチュエータを、さらに有するようにしてもよい。
本発明による第1〜第5の筋力補助装置のいずれかにおいて、前記膨出アクチュエータは、前記アクチュエータが前記第1装着具及び前記第2装着具間の距離を短くした場合に、人体の側に膨出するようにしてもよい。
本発明による第1〜第5の筋力補助装置のいずれかにおいて、
前記アクチュエータは、前記アクチュエータが前記第1装着具及び前記第2装着具間の距離を短くした場合に、前記規制部材を人体に向けて押すようにしてもよい。
本発明による第1〜第5の筋力補助装置のいずれかにおいて、前記規制部材は、前記第1装着具及び前記第2装着具の間を延びる前記規制部材に沿った基準方向を中心として、ねじり変形可能であるようにしてもよい。
本発明による第1〜第2又は第5の筋力補助装置のいずれかにおいて、前記アクチュエータの両端間を結ぶ方向は、前記第1装着具及び前記第2装着具の間を延びる前記規制部材に沿った基準方向と非平行であるようにしてもよい。
本発明による第1〜第5の筋力補助装置のいずれかにおいて、前記規制部材は、前記第1装着具及び前記第2装着具の間を延びる前記規制部材に沿った基準方向に沿った少なくとも二つの位置において、異なる曲げ剛性を有するようにしてもよい。
本発明による第1〜第5の筋力補助装置のいずれかにおいて、
前記規制部材は、人体の背及び腰の少なくとも一方に対面して配置されるようになり、
前記規制部材の下方部分における曲げ剛性は、前記規制部材の上方部分における曲げ剛性よりも低くなるようにしてもよい。
本発明によれば、筋力補助装置において、第1装着具および第2装着具が互いに接近してしまうことを効果的に防止して、アクチュエータからのアシスト力を筋力補助に効率的に使用することができる。
以下、図面を参照して本発明の一実施の形態について説明する。図1〜図22は、本発明の一実施の形態及びその変形例を説明するための図である。このうち、図1〜4は、筋力補助装置の全体を着用者とともに示している。
図1〜図4に示すように、筋力補助装置10は、人体の第1部分p1に取り付けられる第1装着具20と、人体の第2部分p2に取り付けられる第2装着具30と、を有している。また、第1装着具及び第2装着具の間には、アクチュエータ40が設けられている。このアクチュエータ40は、その両端間の距離を変化させることができる。アクチュエータ40の動作は、筋力補助装置10に取り付けられたセンサや、筋力補助装置10の着用者からの操作により制御される。アクチュエータ40の駆動により、第1装着具20及び第2装着具30は相対動作する。このときのアクチュエータ40からの駆動力が、第1装着具20が取り付けられた第1部分p1と、第2装着具30が取り付けられた第2部分p2との相対動作を補助するアシスト力として作用する。
とりわけ、以下に説明する筋力補助装置10では、アクチュエータ40が短縮する際に、第1装着具20および第2装着具30が互いに接近してしまうことを効果的に防止する工夫がなされている。具体的には、第1装着具20及び第2装着具30を連結する規制部材50が設けられている。この工夫により、アクチュエータ40からの駆動力が、効率的に第1装着具20及び第2装着具30に作用して、第1部分p1及び第2部分p2の相対動作を効果的に補助することができる。
なお、以下に説明する図1〜図4に示された例において、第1装着具20は、人体の臀部に取り付けられている。一方、第2装着具30は、上半身の上部、より具体的には、背中の上部または肩部に取り付けられている。そして、筋力補助装置10は、腰および脊椎を屈曲部位とする第1部分p1及び第2部分p2の相対動作を補助する。とりわけ図示された例において、筋力補助装置10は、アクチュエータ40の駆動によって第1装着具20及び第2装着具30を相対動作させることで、図3に示された上体を前に倒した状態(前屈みになった状態、さらにはしゃがんだ状態)から図4に示された上体を持ち上げる動作を補助する。ただし、筋力補助装置10は、以下の説明に限られず、肘、首、腰、股、手首、足首、膝等を屈曲部位(可動部)とする人体の動作を補助するようにしてもよい。
以下、図示された具体例を参照しながら、各構成要素について順に説明していく。なお、以下の説明で用いる「上」、「下」、「左」、「右」等は、起立した筋力補助装置10の着用者を基準とした「上」、「下」、「左」、「右」を指すものとする。また、「幅方向」とは、「左右方向」と一致する。
まず、第1装着具20について説明する。図1〜図4に示すように、第1装着具20は、人体の臀部上に配置される第1主部材21と、第1主部材21を臀部上に保持するための第1装着部材26及び第1補助装着部材27を有している。第1主部材21は、例えば樹脂や金属等からなり、或る程度の剛性を有した板状の部材となっている。第1装着部材26及び第1補助装着部材27は、柔軟な材料、例えば縫製品からなっている。第1装着部材26及び第1補助装着部材27は、人体上の異なる部位上に取り付けられている。したがって、第1装着部材26に加えて第1補助装着部材27を設けることで、第1装着具20をより安定して人体上に配置することが可能となる。
また、図1〜図4に示すように、第1装着具20は、第1主部材21に対面して配置された可動部材22と、第1主部材21及び可動部材22を相対動作させるための補助アクチュエータ23と、を更に有している。可動部材22は、第1主部材21と同様に、例えば樹脂や金属等からなり、或る程度の剛性を有した板状の部材となっている。補助アクチュエータ23は、第1主部材21及び可動部材22を離間させるように、第1主部材21及び可動部材22に作用する。
図示された例において、補助アクチュエータ23は、密閉材料(気密材料または液密材料)、例えば軟質塩化ビニール等の樹脂材料やゴムから作製されている。補助アクチュエータ23は、圧力源46(図2参照)から供給される流体により膨張可能な部材として、密閉材料(気密材料または液密材料)、例えば軟質塩化ビニール等の樹脂材料やゴムから作製されている。とりわけ図示された補助アクチュエータ23は、樹脂製またはゴム製のベローズによって形成されている。そして、図2及び図4の比較から理解され得るように、側面からの観察において、第1主部材21及び可動部材22は、下方に位置する軸線を中心として、相対揺動するようになっている。
ただし、補助アクチュエータ23は、図示された例に限られず、種々の構成を採用することができる。例えばWO2016/140361A1に記載された構成を、補助アクチュエータ23として採用することができる。具体的には、ラック及びピニオンの組み合わせ、ボール螺子、カム機構、リンク機構等を含む電動アクチュエータ、流体圧シリンダー、ばね等を、補助アクチュエータ23として用いることができる。また、可動部材22の第1主部材21に対する相対動作も、揺動に限られることなく並進動作等、可動部材22が第1主部材21から離間する種々の動作を採用することができる。
次に、第2装着具30について説明する。図1〜図4に示すように、第2装着具30は、人体の上部、図示された例では肩甲骨に対面する位置に配置された第2主部材31と、第2主部材31を人体上に保持するための第2装着部材36と、を有している。第2主部材31は、例えば樹脂や金属等からなり、或る程度の剛性を有した板状の部材となっている。第2装着部材36は、柔軟な材料、例えば縫製品からなっている。第2装着部材36は、第2装着具30を安定して人体上に取り付けることを可能にするよう、構成されている。
次に、アクチュエータ40について説明する。アクチュエータ40は、第1装着具20と第2装着具30との間の距離を縮める方向に駆動力を発生させることができる。アクチュエータ40は、一方において、第1装着具20又は規制部材50に接続し、他方において、第2装着具30又は規制部材50に接続する。そして、アクチュエータ40は、接続した二箇所91,92間の距離を変化させること、すなわち二箇所91,92を結ぶ直線長さを変化させることが可能となっている。なお、図1に示すように、図示された筋力補助装置10は、幅方向dwに並べて配置された二つのアクチュエータ40を有している。二つのアクチュエータ40は、同一に構成され得る。ただし、図示された例に限られず、筋力補助装置10は、一つのアクチュエータ40しか有しないようにしてもよいし、三以上のアクチュエータ40を有するようにしてもよい。
図示された例において、アクチュエータ40は、その下端となる一端において、第1装着具20に接続している。より具体的には、アクチュエータ40は、その一端において、第1装着具20の可動部材22に接続している。とりわけ図示されたアクチュエータ40は、可動部材22のうちの、第1主部材21に対する揺動軸から離間した上端近傍の部分に接続している。したがって、補助アクチュエータ23の駆動により、アクチュエータ40の第1装着具20への接続位置(第1接続位置)91は、第1主部材21から離間することができる。また、アクチュエータ40は、その上端となる他端において、第2装着具30に接続している。より具体的には、アクチュエータ40は、その他端において、第2装着具30の第2主部材31の上端近傍の部分(第2接続位置92)に接続している。
アクチュエータ40は、両端間の長さを変化させることができる、言い換えると、その全長を変化させることができる伸縮部材41を有している。とりわけ図示された例において、アクチュエータ40は、その両端間を引き寄せる力、すなわち引っ張り力を出力する。したがって、アクチュエータ40は、引っ張り力に対して或る程度の剛性を呈するよう構成されている。図示されたアクチュエータ40は、引っ張り力に対して或る程度の剛性を呈する伸縮部材41と、伸縮部材41の両端にそれぞれ接続した連結具42と、を有している。
連結具42は、例えば、金属や皮革からなり、或る程度の引っ張り強度を有している。すなわち、連結具42は、伸縮部材41から出力される引っ張り力によって大きく伸びてしまうことなく、当該引っ張り力を装着具20,30に伝達することができる。具体例として、連結具42は、カラビナのような開閉式のフックにより構成される。カラビナのような開閉式のフックは、複数連結したとしても、引っ張り力に対して有効に抗することができる。また、連結具42を介したアクチュエータ40の他の部材20,30,50への取り付けを容易に行うことができる。さらに、開閉式のフックの数量を変化させることで、着用者の身体に応じたアクチュエータ40の長さ調整を容易に行うことができる。これにより、アクチュエータ40からの駆動力が、効率的に第1装着具20及び第2装着具30に作用して、第1部分p1及び第2部分p2の相対動作を効果的に補助することができる。
伸縮部材41は、図示された例において、流体注入型アクチュエータ(いわゆる人工筋肉型アクチュエータ)として構成されている。流体注入型アクチュエータは、バルーンアクチュエータとも呼ばれ、圧力源46から供給される流体により膨張可能又は拡径可能な部材として、密閉材料(気密材料または液密材料)、例えば軟質塩化ビニール等の樹脂材料やゴムから作製されている。図2及び図4の比較から理解され得るように、伸縮部材41は、圧力源46から流体を供給されて膨張することで、その全長を短縮させることができる。伸縮部材41の短縮により収縮力を発揮し、この収縮力が、第1装着具20及び第2装着具30に引っ張り力として作用する。ただし、伸縮部材41は、流体注入型アクチュエータに限られることなく、ラック及びピニオンの組み合わせ、ボール螺子、カム機構、リンク機構等を含む電動アクチュエータ、流体圧シリンダー、ばね等を、補助アクチュエータ23として用いることができる。
なお、図示された例において、圧力源46(図2参照)は、上述した第1装着具20の補助アクチュエータ23と、アクチュエータ40の両方に流体を供給することができる。圧力源46から供給される流体として気体や液体を用いることができる。流体注入型アクチュエータからなるアクチュエータ40との組み合わせにおいては、圧力源46から気体が供給されることが好ましい。また、補助アクチュエータ23およびアクチュエータ40が、別々の圧力源から流体を供給されるようにしてもよい。さらに、補助アクチュエータ23およびアクチュエータ40の少なくとも一方が電動アクチュエータとして構成されている場合には、当該アクチュエータへの流体供給を不必要とすることができる。
圧力源46からの流体の供給および供給停止は、制御器15によって、制御される。制御器15は、筋力補助装置10に取り付けられたセンサや、筋力補助装置10の着用者からの操作に基づき、圧力源46の流体の供給および供給停止を制御する。なお、筋力補助装置10に取り付けられるセンサとしては、変位センサ、速度センサ、加速度センサが例示される。変位センサ、速度センサ、加速度センサのいずれかの検出結果を演算することにより、例えば、第1装着具20及び第2装着具30の相対変位、第1装着具20及び第2装着具30の相対速度、第1装着具20及び第2装着具30の相対加速度、及び、第1装着具20及び第2装着具30の相対ジャークを特定することができる。制御器15は、計測された相対変位、相対速度、相対加速度、相対ジャーク等に基づき、アクチュエータ40や補助アクチュエータ23の動作を制御することができる。また、制御器15は、着用者に取り付けたセンサの計測結果、例えば筋電位計等の計測結果に基づき、圧力源46の流体の供給および供給停止を制御するようにしてもよい。
次に、規制部材50について説明する。規制部材50は、第1装着具20及び第2装着具30を連結している。規制部材50が第1装着具20及び第2装着具30の間において延びる方向を基準方向dsとすると、規制部材50は、基準方向dsと非平行な軸線a1(図5参照)の周りで湾曲可能(図6参照)、或いは、基準方向dsと非平行な軸線a2(図7参照)を中心として屈曲可能(後述する図8参照)となっている。典型的には、規制部材50は、基準方向dsと直交する方向、とりわけ幅方向(左右方向)dwと平行な軸線a1の周りで湾曲可能、或いは、この軸線a2を中心として屈曲可能となっている。したがって、図3に示すように、人体の第1部分p1及び第2部分p2が、その間に位置する腰関節や脊椎を屈曲部位(可動部)として相対動作をする際に、第1部分p1に取り付けられた第1装着具20及び第2部分p2に取り付けられた第2装着具30の相対動作が規制部材50によって阻害されることを防止することができる。
さらに、この規制部材50は、第1装着具20及び第2装着具30の間を延びる当該規制部材50の延在方向(基準方向)dsに沿って第1装着具20及び第2装着具30が接近することを制限する。ここで「制限する」とは、基準方向dsに沿って第1装着具20及び第2装着具30が接近することを禁止することだけでなく、基準方向dsに沿って第1装着具20及び第2装着具30が接近することを抑制することも含んでいる。図示された例において、規制部材50は、第1装着具20及び第2装着具30の各々と、基準方向dsに沿って移動不可能に固定されている。そして、規制部材50が、その長手方向(基準方向ds)に沿って或る程度の圧縮強度を有した材料からなっている。すなわち、規制部材50は、その長手方向(基準方向ds)に沿って圧縮されにくくなっている。この結果、規制部材50は、基準方向dsと非平行な軸線a1、典型的には基準方向dsに直行する軸線a1を中心とした湾曲変形(撓み変形)又は屈曲変形を可能としながら、第1装着具20及び第2装着具30が基準方向dsに接近することを効果的に防止することができる。
基準方向dsは、上述したように、規制部材50が第1装着具20及び第2装着具30の間で延びる方向(延在方向、長手方向)である。したがって、図6に示すように、規制部材50の変形に応じて基準方向dsは変化する。図6に点線で示すように、規制部材50が第1装着具20及び第2装着具30の間で直立した状態において、基準方向dsは、直線状に延びる方向となる。一方、図6に実線で示すように、規制部材50が第1装着具20及び第2装着具30の間で湾曲した状態において、基準方向dsは、湾曲して延びる方向となる。
図1〜図6に示された規制部材50は、第1装着具20及び第2装着具30のそれぞれに接続した弾性の板状の部材、典型的には板ばね51として構成されている。具体的には、板ばね51の上端が、第2装着具30の第2主部材31の下端に固定され、板ばね51の下端が、第1装着具20の第1主部材21の上端に固定されている。板ばね51を規制部材50に用いた場合、第1装着具20及び第2装着具30は、一定の基準となる相対位置に配置されるよう、板ばね51から弾性力を受ける。この弾性力によって、筋力補助装置10の着用者は、所定の姿勢、例えば起立した姿勢を取るよう、アシスト力を受けることになる。また、板ばね51を規制部材50に用いた場合、規制部材50は、基準方向dsに非平行な軸線a1を基準とする湾曲や屈曲だけでなく、図5に示すように、基準方向dsを中心とするねじり変形を可能とすることもできる。これにより、筋力補助装置10の着用者が受ける拘束感・違和感を極めて効果的に低減することができる。
ところで、図1〜図6に示された例において、規制部材50の幅方向dwに関する曲げ剛性[N・m2]は、規制部材50の基準方向dsに沿って一定とはなっていない。ここで曲げ剛性は、ヤング率E[N/m2]と断面二次モーメント[m4]との積として得られる数値であり、この曲げ剛性が低いと、幅方向dwに延びる軸線a1を中心として曲がりやすいことを意味する。曲げ剛性は、材料を調整してヤング率を変化させることにより、及び、幅や厚み等の断面形状を変化させることにより、調整することができる。
図示された例において、規制部材50の下方部分50aにおける幅方向dwを中心軸線とする曲げに関する曲げ剛性は、規制部材50の上方部分50bにおける幅方向dwを中心軸線とする曲げに関する曲げ剛性よりも低くなっている。この規制部材50は、人体の背及び腰の少なくとも一方に対面して配置されるようになっている。人体の背及び腰の領域では、下方においてより大きく屈曲する傾向が生じる。このような傾向は、第1装着具20が取り付けられる人体の第1部分p1と、第2装着具30が取り付けられる人体の第2部分p2との間に、脊椎の少なくとも一部と腰関節とが含まれる場合に、より顕著となる。したがって、この規制部材50によれば、図3に示すように、規制部材50が、人体に沿うようにして変形することができる。つまり、規制部材50の基準方向dsが、人体に沿うようになる。このため、規制部材50によって、第1装着具20及び第2装着具30が人体に沿って接近することを効果的に防止することができる。
なお、図5に示された規制部材50は、一定の材料で形成されている。規制部材50は、上方に位置する約半分の領域(上方部分50b)で、基準方向dsに沿った各位置において一定の断面形状を有している。一方、規制部材50は、下方に位置する約半分の領域(下方部分50a)で、基準方向dsに沿って下方に向かうにつれて幅を狭くしていく。ただし、規制部材50の厚みは、基準方向dsに沿った各位置において一定となっている。この結果、この下方に位置する領域(下方部分50a)において、幅方向dwを中心軸線とする曲げに関する曲げ剛性は、下方に向けて次第に小さくなるように変化する。この結果、図3及び図6に示すように、規制部材50は、第1装着具20に近接する位置において曲がり易くなっている。
なお、規制部材50が、下方に位置する約半分の領域(下方部分50a)で、基準方向dsに沿って下方に向かうにつれて幅を狭くしていくことに代えて又は加えて、厚みを薄くしていくようにしてもよい。このような例においても、規制部材50の下方領域(下方部分50a)において、幅方向dwに関する曲げ剛性は、下方に向けて次第に小さくなるように変化するようになる。
次に、以上のような構成からなる筋力補助装置10の動作について説明する。
上述したように、図示された筋力補助装置10は、図3に示された腰および脊椎を屈曲部位(可動部)とする第1部分p1及び第2部分p2の相対動作を補助する。とりわけ、筋力補助装置10は、アクチュエータ40の駆動によって第1装着具20及び第2装着具30を相対動作させることで、図3に示された上体を前に倒した状態(前屈みになった状態、さらにはしゃがんだ状態)から図4に示された上体を持ち上げる動作を補助する。このときの筋力補助装置10の動作について以下に説明する。
図示された筋力補助装置10では、まず、第1装着具20の補助アクチュエータ23が動作し、可動部材22が第1主部材21から離間するように動作する。具体的には、制御器15からの制御によって、圧力源46から補助アクチュエータ23に流体が供給され、図3に示すように補助アクチュエータ23が膨張する。この補助アクチュエータ23の膨張によって、可動部材22が第1主部材21から離間するように動作する。
アクチュエータ40は、可動部材22の上端部分に接続している。そして、アクチュエータ40の可動部材22への接続位置(第1接続位置)91は、補助アクチュエータ23の駆動による可動部材22の動作によって、人体並びに第1主部材21から離間するように動作する。この結果、第1接続位置91と、アクチュエータ40の第2装着具30への接続位置(第2接続位置)92と、を結ぶ方向d1は、基準方向dsと非平行になる。また、第1接続位置91から人体の第1部分p1までの距離と、第2接続位置92から人体の第2部分p2までの距離とは、異なるようになる。
次に、アクチュエータ40が短縮し、第1接続位置91と第2接続位置92とを結ぶ方向d1に沿って、第1接続位置91と第2接続位置92とが接近する。具体的には、制御器15からの制御によって、圧力源46からアクチュエータ40に流体が供給され、図4に示すようにアクチュエータ40が膨張する。このアクチュエータ40の膨張によって、アクチュエータ40が短縮する。アクチュエータ40の短縮は、第1接続位置91と第2接続位置92との間で引っ張り力を発生させ、この引っ張り力は、第2装着具30を第1接続位置91に向けて引き寄せるように、第1装着具20及び第2装着具30に作用する。この結果、アクチュエータ40から出力された駆動力が、第2装着具30を第1装着具20に対して動作させ、第2装着具30が取り付けられた上体の上方部分p1を持ち上げる動作を補助する。
なお、アクチュエータ40の短縮に先立ち、補助アクチュエータ23が膨張することで、第1接続位置91と、アクチュエータ40の第2装着具30への接続位置(第2接続位置)92と、を結ぶ方向d1は、基準方向dsと非平行になっている。そして、第1接続位置91から人体の第1部分p1までの距離と、第2接続位置92から人体の第2部分p2までの距離とは、異なるようになる。このようなアクチュエータ40の傾斜は、アクチュエータからの出力が、上体を立ち上げるためのより大きなモーメントを引き起こすことになる。すなわち、人体の第1部分p1及び第2部分p2の相対動作の補助にアクチュエータ40からの出力を効率的に使用することが可能となる。
なお、アクチュエータ40の動作の前に補助アクチュエータ23だけが動作している状況において、第1接続位置91と第2接続位置92との間でアクチュエータ40が既に張った状態となる場合には、補助アクチュエータ23の動作により、人体の第1部分p1及び第2部分p2の相対動作が補助される。
また、以上の動作説明では、補助アクチュエータ23がまず動作し、その後に、アクチュエータ40が動作する例を示したが、この例に限られない。上述した例と異なり、アクチュエータ40が、補助アクチュエータ23の前に動作するようにしてもよい。この例によれば、アクチュエータ40の動作時と補助アクチュエータ23の動作時に、人体の第1部分p1及び第2部分p2の相対動作が補助されるようになる。さらに、アクチュエータ40動作と補助アクチュエータ23の動作とが並行して実施されるようにしてもよい。
ところで、アクチュエータ40が短縮すると、第1接続位置91と第2接続位置92との間で引っ張り力を発生させる。この引っ張り力は、第1装着具20及び第2装着具30を接近させるように第1装着具20及び第2装着具30に作用する。そして、従来技術の欄でも説明したように、第1装着具20及び第2装着具30が互いに接近すると、例えば、第1装着具20及び第2装着具30が人体上で移動して、第1部分p1及び第2部分p2の相対動作を補助するアシスト力としてアクチュエータ40からの出力を効率的に使用することができなくなる。また、第1装着具20及び第2装着具30の接近が、第1部分p1及び第2部分p2の間に位置する人体の可動部(屈曲部位)を圧縮するように作用することも考えられる。
この点について、本実施の形態による筋力補助装置10では、第1装着具20及び第2装着具30を連結する規制部材50が設けられている。そして、規制部材50は、第1装着具20及び第2装着具30が基準方向dsに沿って接近することを規制する。したがって、アクチュエータ40からの出力を、第1部分p1及び第2部分p2の相対動作を補助するアシスト力として、効率的に使用することができ、その一方で、上述した不具合が生じてしまうことを効果的に防止することができる。
上述した一実施の形態において、筋力補助装置10は、第1装着具20及び第2装着具30と、第1装着具20及び第2装着具30を連結する規制部材50と、第1装着具20と第2装着具30に接続したアクチュエータ40と、を有している。アクチュエータ40は、第1装着具20への接続位置(第1接続位置)91と第2装着具への接続位置(第2接続位置)92との間の距離を変化させることができる。規制部材50は、第1装着具20及び第2装着具30の間を延びる当該規制部材50に沿った基準方向dsに、第1装着具20及び第2装着具30が接近することを規制し、基準方向dsと非平行な軸線a1の周りで湾曲可能となっている。このような筋力補助装置10では、アクチュエータ40が短縮することにより、第1装着具20と第2装着具30との相対動作を引き起こし、筋力補助装置10の着用者が、第1部分p1と第2部分p2との間に位置する関節や脊椎等の可動部(屈曲部位)を介して動作(屈曲)することを補助する。このとき、規制部材50は、基準方向dsと非平行な軸線a1の周りで湾曲することで、着用者の動作を妨げることを効果的に回避することができる。その一方で、規制部材50は、第1装着具20及び第2装着具30が基準方向dsに接近することを規制する。したがって、アクチュエータ40の短縮にともなって、第1装着具20及び第2装着具30が基準方向dsに接近することで、装着具20,30や装着具20,30の下に着用した着衣の位置が人体上でずれてしまうことや、第1部分p1と第2部分p2との間で人体が圧縮されてしまうことを効果的に防止することができる。結果として、アクチュエータ40から出力される駆動力が、動作を補助するアシスト力として効率的に人体に作用することが可能となる。
上述した一実施の形態において、規制部材50は板ばね51を含んでいる。このような本実施の形態によれば、規制部材50を、簡素化するとともに小型軽量化することができ、結果として、筋力補助装置10の小型軽量化を実現することができる。また、板ばね51は、基準方向dsと非平行な軸線a1の周りで湾曲可能であるとともに、さらに当該板ばね51の幅や厚みを調整することによって、基準方向dsを中心としたねじり変形を可能とすることもできる。したがって、規制部材50が板ばね51を含むことで、着用者の動作が、筋力補助装置10によって拘束されることを効果的に防止することができる。
また、言い換えると、上述した一実施の形態において、筋力補助装置10は、第1装着具20及び第2装着具30を連結する規制部材50と、第1装着具20と第2装着具30とに接続したアクチュエータ40と、を有している。アクチュエータ40は、第1装着具20への接続位置(第1接続位置)91と第2装着具への接続位置(第2接続位置)92との間の距離を変化させることができる。規制部材50は、第1装着具20及び第2装着具30の間を延びる当該規制部材50に沿った基準方向dsと非平行な軸線a1の周りで湾曲可能な板ばねを含んでいる。このような筋力補助装置10では、アクチュエータ40が短縮することにより、第1装着具20と第2装着具30との相対動作を引き起こし、筋力補助装置10の着用者が、第1部分p1と第2部分p2との間に位置する関節や脊椎等の可動部(屈曲部位)を介して動作(屈曲)することを補助する。このとき、規制部材50の板ばね51は、基準方向dsと非平行な軸線a1の周りで湾曲することで、着用者の動作を妨げることを効果的に回避することができる。その一方で、規制部材50の板ばね51は、第1装着具20及び第2装着具30が基準方向dsに接近することを規制することができる。したがって、アクチュエータ40の短縮にともなって、第1装着具20及び第2装着具30が基準方向dsに接近することで、装着具20,30や装着具20,30の下に着用した着衣の位置が人体上でずれてしまうことや、第1部分p1と第2部分p2との間で人体が圧縮されてしまうことを効果的に防止することができる。結果として、アクチュエータ40から出力される駆動力が、動作を補助するアシスト力として効率的に人体に作用することが可能となる。
上述した一実施の形態において、規制部材50は、基準方向dsを中心としてねじり変形可能となっている。このような本実施の形態によれば、着用者の動作が、筋力補助装置10によって拘束されることを効果的に防止することができる。
上述した一実施の形態において、アクチュエータ40の第1接続位置91とアクチュエータ40の第2接続位置92とを結ぶ方向d1は、基準方向dsと非平行となっている。このような本実施の形態によれば、アクチュエータ40から発生する駆動力を利用して、第1装着具20及び第2装着具30の相対動作を効率的に引き起こすことができる。
上述した一実施の形態では、規制部材50は、基準方向dsに沿った少なくとも二つの位置において、異なる曲げ剛性を有する。このような本実施の形態によれば、基準方向dsに沿った各位置または各領域において、規制部材50の湾曲のし易さを変化させることができる。したがって、人体の第1部分p1と第2部分p2との間の部分の動作に追従して、規制部材50を適切に変形させることができる。この結果、規制部材50による第1装着具20及び第2装着具30の接近を規制する機能が有効に発揮され、アクチュエータ40から出力される駆動力により第1装着具20及び第2装着具30の相対動作をより効率的に引き起こすことができる。
上述した一実施の形態において、規制部材50は、人体の背及び腰の少なくとも一方に対面して配置されるようになる。人体の腰および背中を含む領域では、背中を曲げる動作中、より下方に位置する腰に近い側の領域において曲がりが急になり(曲率半径が小さくなり)、より上方に位置する肩に近い側の領域において曲がりが緩くなる(曲率半径が大きくなる)。上述した筋力補助装置10では、規制部材50の下方部分50aにおける曲げ剛性は、規制部材50の上方部分50bにおける曲げ剛性よりも低くなっている。このような規制部材50は、曲がりが急になる腰に近い側の領域(下方部分50a)において曲がりやすく、曲がりが緩やかになる肩に近い側の領域(上方部分50b)において曲がりにくくなる。すなわち、人体の第1部分p1と第2部分p2との間の部分の動作に追従して、規制部材50を適切に変形させることができる。この結果、規制部材50による第1装着具20及び第2装着具30の接近を規制する機能が有効に発揮され、アクチュエータ40から出力される駆動力により第1装着具20及び第2装着具30の相対動作をより効率的に引き起こすことができる。
以上、本発明を図示する一実施の形態に基づいて説明したが、本発明はこれらの実施形態に限定されるものではなく、この他にも種々の態様で実施可能である。以下、変形の一例について説明する。以下の説明では、上述した実施の形態と同様に構成され得る部分について、上述の実施の形態における対応する部分に対して用いた符号と同一の符号を用いるとともに、重複する説明を省略する。
上述した一実施の形態では、アクチュエータ40が、第1装着具20及び第2装着具30にそれぞれ接続している例を示した。しかしながら、アクチュエータ40は、第1装着具20及び第2装着具30の一方と、規制部材50と、に接続していてもよい。このような例においても、上述した一実施の形態と同様の作用効果を奏することができる。
また、上述した一実施の形態で説明した規制部材50は例示に過ぎない。以下に説明する変形例によっても、上述した一実施の形態と同様の作用効果を得ることができる。
例えば、図7及び図8に示すように、規制部材50が、多関節リンクとして構成されていてもよい。図7及び図8に示された例において、規制部材50は、複数のリンク要素52を含んでいる。各リンク要素52は、或る程度の圧縮強度を有した材料から構成されている。複数のリンク要素52は、直列に接続されており、隣り合う二つのリンク要素52は、幅方向dwに延びる軸線a2を中心として屈曲可能となっている。リンク要素52は、剛体として構成されていてもよいし、或いは、撓み変形可能な板ばねとして構成されていてもよい。また、規制部材50をなす複数のリンク要素52のうちの一部が剛体として構成され、残りが撓み変形可能な板ばねとして構成されていてもよい。
なお、図7及び図8に示す例において、隣り合う二つのリンク要素52の間にトーションばね等の付勢部材が設けられ、隣り合う二つのリンク要素52が、例えば図8に点線で示された起立した状態に付勢されるようにしてもよい。この例によれば、筋力補助装置10の着用者は、所定の姿勢、例えば起立した姿勢を取るよう、アシスト力を受けることになる。また、この例において、トーションばね等の付勢部材の付勢力を、基準方向dsに沿った位置に応じて異なるように設定しておくことにより、規制部材50が、人体に追従いて変形することを可能にすることができる。すなわち、人体の曲がりが急になる部位に対面する位置において、規制部材50を変形しやすくすることができる。
さらに、図7及び図8に示された例において、基準方向dsに沿ったリンク要素52の長さが、複数のリンク要素52の間で、一定ではないようにしてもよい。図示された例では、基準方向dsに沿って下方に向かうにつれ、リンク要素52の基準方向dsへの長さが短くなっている。この例によれば、図8に実線で示すように、規制部材50は、下方領域において急に(小さな曲率半径で)曲がることが可能となる。
また、図9及び図10に示された例においても、規制部材50は、複数のリンク要素53を含んでいる。各リンク要素53は、或る程度の圧縮強度を有した材料から構成されている。複数のリンク要素53は、直列に接続されており、隣り合う二つのリンク要素53は、幅方向dwに延びる軸線を中心として屈曲可能となっている。リンク要素52は、剛体として構成されている。隣り合う二つのリンク要素53の間にトーションばね等の付勢部材が設けられていてもよい。複数のリンク要素53は、中空状に形成されている。アクチュエータ40の伸縮部材41が、リンク要素53の中空部内に配置されている。
さらに、図11に示す例において、規制部材50は、幅方向dwに配列されて基準方向dsに延びる複数の弾性要素54を有している。さらに、この規制部材50は、基準方向dsに配列されて幅方向dwに延びる複数の弾性要素54も有している。図11に示された規制部材50は、複数の弾性要素54が編み込まれて、形成されている。各弾性要素54は、針金や、金属や樹脂からなる短冊板状のストリップ材(帯状材)から構成される。図11に示された規制部材50によれば、基準方向dsに沿って第1装着具20及び第2装着具30が接近することを効果的に防止することができるとともに、規制部材50が人体の動作に追従して、基準方向dsに非平行な軸線(典型的には基準方向dsに直行する軸線)の周りでの湾曲変形および基準方向dsに平行な軸線の周りでの湾曲変形の両方を可能にすることができる。また、複数の弾性要素54の材料や形状(幅や厚み等)を配置位置に応じて変更することで、規制部材50内での曲がりやすさを調整することができる。
さらに、図12〜図18には、更に他の変形例が図示されている。このうち、図12〜図14は、第1部分p1及び第2部分p2の相対動作を補助する際における筋力補助装置10の動作を示している。以下、図12〜図18に示された変形例について説明する。
図12〜図18に示された変形例に係る筋力補助装置10は、規制部材50を含んでおり、上述した一実施の形態と同様の作用効果を奏することができる。さらに、この変形例において、規制部材50は板ばね51を含んでいる。そして、アクチュエータ40が第1接続位置91及び第2接続位置92との間の距離を短くするように動作した場合、板ばね51の基準方向dsに沿った少なくとも一部分が、人体(着用者)の側へ凸となるように湾曲する。このような板ばね51の変形によれば、人体の第1部分p1及び第2部分p2の相対動作をさらに効率的に補助することができる。
とりわけ図示された例では、図12〜図14に示すように、規制部材50の板ばね51は、人体の背及び腰の少なくとも一方に対面して配置される。図12に示すように、着用者が、前屈みの体勢を取ると、板ばね51は人体に沿うように変形する。次に、この状態からアクチュエータ40が短縮すると、図13に示された例では、板ばね51の上方部分が、人体側に凸となるように湾曲する(撓む)。このとき、アクチュエータ40は、第2装着具30を介して、着用者の上体を引き上げるように動作し、同時に、板ばね51の凸状変形部が、第1装着具20と第2装着具30との間となる位置で人体を押す。この結果、着用者に作用するアシスト力は、まず、着用者の背中のうちの凸状変形部に押される部分をまっすぐに伸ばすように作用し、その後に、着用者の上体を引き起こすようになる(図14参照)。例えば、着用者の全体的にまるまった背中のうちの主として上方部分が伸ばされ、次に、背中のうちの主として下方部分が引き起こされるようになる。すなわち、筋力補助装置10から出力されるアシスト力は、板ばね51の変形挙動により、着用者の第1部分p1および第2部分p2の間を圧縮するように作用するのではなく、装着具20,30で両側を拘束された着用者の背中を押して伸ばすように作用することができる。この場合、第1部分p1及び第2部分p2の相対動作をさらに効率的に補助することができることに加え、着用者に違和感を与えることなく着用者の動作を補助することが可能となる。なお、図15は、図14に示された状態からアクチュエータ40のアシスト力が消失した状態を示している。
次に、以上に説明した板ばね51の変形挙動を実現し得る筋力補助装置10について説明する。図14及び図15に示すように、筋力補助装置10は、規制部材50として機能する板ばね51と、板ばね51に接続した第1装着具20及び第2装着具30と、を有している。板ばね51の下端が、第1装着具20に固定されている。板ばね51の上端の近傍となる位置に、第2装着具30が取り付けられている。また、図示された例において、アクチュエータ40は、一方において、規制部材50に接続し、他方において、第1装着具20に接続している。
板ばね51は、既に説明したように、基準方向dsに沿って一定ではない曲げ剛性を有するようにしてもよい。基準方向dsに沿った各位置で曲げ剛性が変化することにより、アクチュエータ40が動作した際の板ばね51の変形挙動を制御し、図13に示すように人体側に凸となるように板ばね51を湾曲させることができる。
また、図16に示すように、板ばね51は、アクチュエータ40からの力が作用していない状態で、湾曲していてもよい。板ばね51を最初から湾曲させておくことで、アクチュエータ40からアシスト力が出力した後の板ばね51の変形開始時の挙動を制御することができる。とりわけ、アクチュエータ40からアシスト力が出力されていない状態で、板ばね51の基準方向dsに沿った少なくとも一部分が、着用者の側へ凸となるように湾曲していてもよい。このような例によれば、アシスト力が出力された際に、人体側に凸となるように板ばね51を湾曲させやすくなる。
板ばね51は、第1装着具20及び第2装着具30の一方から他方へ向けて板ばね51の両端を結ぶ仮想直線vl(或いは、規制部材50が接続する第1接続位置91及び第2接続位置92を結ぶ仮想直線)に対して着用者の側に傾斜して延び出すようにして、第1装着具20及び第2装着具30の一方に接続していてもよい。図17に示された例において、板ばね51は、その下端において、第1装着具20に固定されている。そして、板ばね51の下端部分は、アクチュエータ40からのアシスト力が作用していない状態で、板ばね51の両端を結ぶ仮想直線vl(或いは、規制部材50が接続する第1接続位置91及び第2接続位置92を結ぶ仮想直線)から着用者の側に傾斜している。このような例によれば、アクチュエータ40からアシスト力が出力された際に、板ばね51が装着具に接続する領域において、所望の側に撓むようにすることができる。これにより、板ばね51の変形挙動を制御すること、例えば人体側に凸となるように板ばね51を湾曲させることができる。
また、装着具近傍での板ばね51の所望する変形を可能にする観点から、板ばね51の第1装着具20及び第2装着具30に接続する部分は、アクチュエータ40からのアシスト力が作用していない状態で、着用者から離間している方がよい。図12〜図15及び図17に示された例において、板ばね51の第1装着具20に接続する部分は、アクチュエータ40からのアシスト力が作用していない状態で、着用者との間に隙間を形成している。同様に、図12〜図15に示された例において、板ばね51の第2装着具30に接続する部分は、アクチュエータ40からのアシスト力が作用していない状態で、着用者との間に隙間を形成している。
さらに、アクチュエータ40は、一方において、板ばね51に接続すること又は板ばね51に固定された接続具58を介して板ばねに接続することができる。この場合、板ばね51は、アクチュエータ40が接続する位置において、或いは、接続具58が固定された位置において、着用者から離間するようにしていてもよい。図15に示された例において、板ばね51は、接続具58が固定された位置において、着用者との間に隙間を形成している。このような例によれば、板ばね51は、アクチュエータ40が接続する位置において或いは接続具58が固定された位置において、アクチュエータ40からのアシスト力の出力開始時、人体から離間する側に撓み易くすることができる。これにともなって、板ばね51は、基準方向dsに沿った少なくとも一部分において、人体側に凸となるように湾曲し易くなる。
また、アクチュエータ40の規制部材50または装着具への接続位置を、板ばね51の着用者とは逆側に当該板ばね51から離間させておくことが有効である。このような例によっても、板ばね51は、アクチュエータ40が接続する位置において或いは接続具58が固定された位置において、アクチュエータ40からのアシスト力の出力開始時、人体から離間する側に撓み易くなる。これにともなって、板ばね51は、基準方向dsに沿った少なくとも一部分において、人体側に凸となるように湾曲し易くなる。図18に示された例において、板ばね51から着用者とは逆側に延び出す接続具58が、板ばね51に固定されている。アクチュエータ40は、この接続具58に接続しており、結果として、第2接続位置は、着用者とは反対側に板ばね51から離間している。接続具58を用いることで、板ばね51とアクチュエータ40との間の距離(dp)を調整することができる。
さらに、第1装着具20及び第2装着具30の一方が板ばね51に接続する位置が、板ばね51の長手方向(基準方向ds)に沿って、第1装着具20及び第2装着具30の他方が板ばね51に接続する位置と、アクチュエータ40が板ばね51に接続する位置と、の間に位置していること好ましい。図12〜図15及び図18に示された例において、第2装着具30の板ばね51への接続位置は、板ばね51の長手方向に沿って、第1装着具20の板ばね51への接続位置と、アクチュエータ40の板ばね51への接続位置と、の間に位置している。すなわち、アクチュエータ40の板ばね51への接続位置が、一方の装着具(図示された例における第2装着具30)の板ばね51への接続位置と板ばね51の自由端feとの間に位置している。このような例によっても、板ばね51は、アクチュエータ40が接続する位置において或いは接続具58が固定された位置において、アクチュエータ40からのアシスト力の出力開始時、人体から離間する側に撓み易くなる。これにともなって、板ばね51は、基準方向dsに沿った少なくとも一部分において、人体側に凸となるように湾曲し易くなる。また、この例によれば、板ばね51の長手方向に沿った長さを長くすることができる。したがって、高剛性の板ばね51を用いながら、アクチュエータ40によって板ばね51を変形させることができる。
次に、図12〜図18に示された例における装着具について説明する。この例における筋力補助装置10は、板ばね51の長手方向(基準方向ds)に沿った板ばね51の第1装着具20との接続位置および板ばね51の第2装着具30との接続位置の間となる位置において、第1装着具20及び第2装着具30から離間して、板ばね51に接続した更なる装着具を有するようにしてもよい。このような例によれば、更なる装着具が設けられた部分で板ばね51の変形を拘束することができ、これにより、板ばね51の変形挙動を制御することができる。
図12〜図15に示された筋力補助装置10は、第1装着具20及び第2装着具30に加えて、第3装着具38及び第4装着具39を有している。第3装着具38は、板ばね51の長手方向に沿った第1装着具20及び第2装着具30の間となる位置において板ばね51に取り付けられている。第4装着具39は、板ばね51の長手方向に沿った第1装着具20及び第3装着具38の間となる位置において板ばね51に取り付けられている。この具体例では、第2装着具30は、主として上体を引き起こす力を着用者に加えることになる。第3装着具38は、主として、板ばね51の着用者から離間する変形を抑制し、さらに人体側に凸となる変形を板ばね51に促す。第4装着具39は、主として板ばね51が着用者から離間することを抑制し、板ばね51の理想的な変形を促す。
なお、図示された例において、第1装着具20は、可動部材22、補助アクチュエータ23および第1補助装着部材27を有していない。ただし、図示された例に限られず、第1装着具20は、種々の変形が可能であり、可動部材22、補助アクチュエータ23および第1補助装着部材27のいずれか一以上を有するようにしてもよい。また、図示された例において、第2装着具30、第3装着具38及び第4装着具39は、ベルト状部材として示されているが、この例に限られず、種々の変形が可能であり、例えば高剛性の主部材等を有するようにしてもよい。
次に、図12〜図18に示された例におけるアクチュエータ40について説明する。図示された例において、アクチュエータ40は、バルーンアクチュエータとして構成されている。図13に示すように、バルーンアクチュエータ40は、第1接続位置91と第2接続位置92との距離を短縮するように動作した場合、その全長を短くする一方で、その長手方向に直交する方向に膨張する。そして、アクチュエータ40は、アクチュエータ40が第1接続位置91と第2接続位置92との距離を短くした場合に、規制部材50を着用者に向けて押すようになる。この場合、板ばね51が人体側に向けて凸となるように湾曲する場合と同様の作用効果を得ることができる。ただし、図示された例に限られず、アクチュエータ40として、既に説明したように、種々の形式のアクチュエータを用いることができる。
以上において、板ばね51が人体側に向けて凸となるように湾曲した場合の作用効果を、板ばね51に当該変形を促すための構成とともに説明してきた。しかしながら、板ばね51が人体側に向けて凸となるように湾曲した場合の作用効果は、次に説明するように、板ばね51を用いなくても得られ得る。例えば、アクチュエータ40としてバルーンアクチュエータを用いた場合、図13に示すように、その長手方向に直交する径方向に膨張したアクチュエータ40が、規制部材50を着用者に向けて押すことができる。アクチュエータ40が規制部材50を着用者に向けて押すことにより、上述した作用効果、すなわち、第1部分p1及び第2部分p2の相対動作を効率的に補助することができることに加え、着用者に違和感を与えることなく着用者の動作を補助することが可能となる。
また、図6及び図8に二点鎖線で示すように、規制部材50が、第1装着具20との接続位置および第2装着具30との接続位置との間となる位置に人体の側に膨出した膨出部55を有するようにしてもよい。この例によれば、人体を引き起こすアシスト力を第2装着具30から人体に作用させながら、第1装着具20及び第2装着具30の間となる位置において膨出部55が人体を押すことができる。これにより、上述した作用効果、すなわち、第1部分p1及び第2部分p2の相対動作を効率的に補助することができることに加え、着用者に違和感を与えることなく着用者の動作を補助することが可能となる。
さらに、膨出部55を、膨出アクチュエータ56によって形成することもできる。すなわち、規制部材50が、第1装着具20との接続位置および第2装着具30との接続位置との間となる位置に人体の側に膨出可能な膨出アクチュエータを、さらに有するようにしてもよい。膨出アクチュエータ56は、アクチュエータ40が短縮して第1接続位置91と第2接続位置92との距離を短くする場合に、人体側に突出し、アクチュエータ40が短縮していない場合に、非膨張状態(収縮状態)となるようにしてもよい。膨出アクチュエータ56を用いた場合にも、上述した作用効果、すなわち、第1部分p1及び第2部分p2の相対動作を効率的に補助することができることに加え、着用者に違和感を与えることなく人体の動作を補助することが可能となる。
なお、膨出アクチュエータ56としては、例えば上述した補助アクチュエータ23と同様に、種々のアクチュエータを用いることができる。また、膨出アクチュエータ56は、補助アクチュエータ23やアクチュエータ40と同様に、圧力源46から供給される流体によって駆動されるようにしてもよい。
さらに別の変形例について説明する。上述した一実施の形態において、第1装着具20が臀部に取り付けられ、第2装着具30が背中の上部領域に取り付けられる例を示したが、この例に限られない。例えば、図19に示すように、第1装着具20が、背中の下部領域(腰の上方となる領域)に取り付けられ、第2装着具30が、太腿に取り付けられるようにしてもよい。図19に示された例によれば、筋力補助装置10は、腰関節および股関節を可動部(屈曲部位)とした人体の動作を補助することができる。
他の例として、図20に示された例において、第1装着具20が、脚の膝よりも上の領域に取り付けられ、第2装着具30が、脚の膝よりも下の領域に取り付けられている。図20に示された例によれば、筋力補助装置10は、膝を可動部(屈曲部位)とした人体の動作を補助することができる。
さらに他の例として、図21に示された例において、第1装着具20が、脚の膝よりも下の領域に取り付けられ、第2装着具30が、足に取り付けられている。図21に示された例によれば、筋力補助装置10は、足関節(足首)を可動部(屈曲部位)とした人体の動作を補助することができる。
さらに他の例として、図22に示された例において、第1装着具20が、下腕に取り付けられ、第2装着具30が、手に取り付けられている。図22に示された例によれば、筋力補助装置10は、手関節(手首)を可動部(屈曲部位)とした人体の動作を補助することができる。また、図22に示された例に代えて、第1装着具20が上腕に取り付けられ、第2装着具30が下腕に取り付けられ、筋力補助装置10が肘関節を可動部(屈曲部位)とした人体の動作を補助するようにしてもよい。
なお、以上において上述した一実施の形態に対するいくつかの変形例を説明してきたが、当然に、複数の変形例を適宜組み合わせて適用することも可能である。