本出願は、2016年9月29日に出願された日本特許出願番号2016−191318号と、2017年4月11日に出願された日本特許出願番号2017−78186号とに基づくもので、ここにその記載内容が参照により組み入れられる。
以下、本開示の実施形態について図に基づいて説明する。なお、以下の各実施形態相互において、互いに同一もしくは均等である部分には、同一符号を付して説明を行う。
(第1実施形態)
図1に示すように、本実施形態の輻射ヒータ装置1は、道路走行車両の車室内の暖房装置として用いられる。車室内には、乗員2が着座するための座席3が設置されている。車室内には、座席3よりも車両前方側にインストルメントパネル4が設置されている。インストルメントパネル4は、内装部材である。本明細書で言うインストルメントパネル4には、計器類が配置されている部分だけでなく、オーディオやエアコンを収納する部分が含まれる。
輻射ヒータ装置1は、面状のヒータ本体部10を備えている。ヒータ本体部10は、インストルメントパネル4の下部4aのうち座席3の前方に対応する部位に設置される。ヒータ本体部10は、加熱対象物である乗員2の足に向けて輻射熱H1を放射する。
ヒータ本体部10は、その一部がインストルメントパネル4の下部4aに覆われた状態で、車両に搭載される。したがって、インストルメントパネル4の下部4aが、ヒータ本体部10の一部を覆う被覆部材5を構成している。被覆部材5は、開口部6を有している。開口部6を介して、ヒータ本体部10の他の一部が露出している。
図2に示すように、ヒータ本体部10は、第1領域12と第2領域14とを有する。第1領域12は、乗員2に向けて輻射熱を放射する領域である。したがって、第1領域12が乗員2に温熱感、すなわち、暖房感を提供する。
第2領域14は、ヒータ本体部10のうち第1領域12とは異なる位置に設定されている。第2領域14は、後述する温度センサ30が設置される。第2領域14は、第1領域12の温度と関連のある温度となる領域である。第2領域14の面積は、第1領域12の面積よりも小さく設定されている。
図3に示すように、被覆部材5の開口部6は、ヒータ本体部10と被覆部材5とが重なり合った状態で、被覆部材5から第1領域12を露出させる。すなわち、ヒータ本体部10が車両に搭載された状態において、被覆部材5は、第1領域12を覆わない。このため、第1領域12から乗員2の足に向けての輻射熱H1の放射は妨げられない。
また、乗員が第1領域12を触れることがあり得る。したがって、第1領域12は、乗員が触れられる場所に設置される。
さらに、被覆部材5は、ヒータ本体部10と被覆部材5とが重なり合った状態のとき、第2領域14を覆う部分7を有する。したがって、ヒータ本体部10が車両に搭載された状態において、被覆部材5は、第2領域14および温度センサ30を覆う。すなわち、第2領域14および温度センサ30は、被覆部材5の反乗員側の位置に配置される。このため、第2領域14は、乗員2に触れられない。このように、第2領域14は、乗員に触れられない場所に設置される。
図4、5、6に示すように、ヒータ本体部10は、乗員側の表面10aと、反乗員側の表面10bとを有する。図4、5、6中の矢印で示すX軸方向、Y軸方向およびZ軸方向は、互いに直交する方向である。X軸方向およびY軸方向が、ヒータ本体部10の表面10a、10bに平行な方向、すなわち、ヒータ本体部10の面方向である。Z軸方向が、ヒータ本体部10の表面10a、10bに垂直な方向、すなわち、ヒータ本体部10の厚さ方向である。
図4に示すように、ヒータ本体部10は、基板部20と、一対の電極22、24と、複数の第1発熱部26と、1つの第2発熱部28とを有する。
基板部20は、平板形状である。図5、6に示すように、基板部20の内部に、一対の電極22、24と、複数の第1発熱部26と、1つの第2発熱部28とが配置されている。基板部20は、一対の電極22、24と、複数の第1発熱部26と、1つの第2発熱部28とを支持している。基板部20は、絶縁材料としての可撓性を有する合成樹脂で構成されている。合成樹脂は、例えば、熱可塑性樹脂である。
図4に示すように、一対の電極22、24は、互いに離れて配置されている。一対の電極22、24は、複数の第1発熱部26と1つの第2発熱部28との両方に電気的に接続される。
複数の第1発熱部26は、通電によって発熱して輻射熱を放射する。複数の第1発熱部26は、金属材料で構成されている。複数の第1発熱部26は、一対の電極22、24の間に並列に配置されている。第1発熱部26は、一対の電極22、24の間で直線状に延びている。第1発熱部26の一端側は、一対の電極22、24のうち一方の電極22に接触している。このため、第1発熱部26の一端側は、一方の電極22と電気的に接続されている。第1発熱部26の他端側は、一対の電極22、24の他方の電極24に接触している。このため、第1発熱部26の他端側は、他方の電極24と電気的に接続されている。
図5に示すように、第1発熱部26は、膜状である。「膜状」とは、薄く広がった形状を意味する。換言すると、「膜状」とは、ヒータ本体部10の表面10a、10bに平行な異なる2方向(例えば、X軸方向およびY軸方向の両方向)での寸法が、ヒータ本体部10の厚さ方向(すなわち、Z軸方向)での厚さ寸法よりも大きい形状を意味する。
このように、複数の第1発熱部26のそれぞれは、膜状であって、線状に延びている。「線状」とは、図4に示されるように、ヒータ本体部10の表面10a、10bに平行な方向での形状において、一端から他端までの長さ寸法(例えば、X軸方向での寸法)が幅寸法(例えば、Y軸方向での寸法)よりも大きい形状を意味する。「線状」には、幅寸法が厚さ寸法よりも大きい場合と、幅寸法が厚さ寸法よりも小さい場合とが含まれる。本実施形態では、複数の第1発熱部26のそれぞれの幅寸法は、厚さ寸法よりも大きい。このため、本実施形態では、複数の第1発熱部26のそれぞれは、膜状でもある。
図4に示すように、基板部20の内部において、複数の第1発熱部26のうち隣り合う2つの第1発熱部26の間には、低熱伝導部27が存在する。低熱伝導部27は、第1発熱部26よりも熱伝導性が低い部分である。低熱伝導部27は、隣り合う第1発熱部26同士を熱的に分離している。低熱伝導部27は、基板部20を構成する絶縁材料によって構成されている。
複数の第1発熱部26と複数の低熱伝導部27とが存在する領域が、第1領域12である。換言すると、第1領域12は、ヒータ本体部10のうち複数の第1発熱部26と複数の低熱伝導部27とを有する領域である。
このように、第1領域12は、膜状である複数の第1発熱部26と、複数の低熱伝導部27とを有する。第1発熱部26が膜状であることにより、第1発熱部26の熱容量が小さくされている。
さらに、発熱部が複数の第1発熱部26によって構成されている。より具体的には、1つの第1発熱部26は細長い形状を有する。これにより、第1発熱部26の長さ方向の熱抵抗が大きくされている。隣り合う2つの第1発熱部26の間に低熱伝導部27が配置されている。これにより、隣り合う2つの第1発熱部26の間の熱抵抗が大きくされている。これらの結果、第1領域12の面方向での熱抵抗が大きくされている。すなわち、発熱部が面方向で連続する1つの発熱部で構成されている場合と比較して、面方向の熱移動が抑制されている。
このため、図2に示すように、第1領域12が乗員2の指などに触れられて、触れられた部分から乗員へ熱が移動したときに、触れられた部分の周囲から触れられた部分への熱移動が抑制される。触れられた部分の温度が速やかに低下する。これにより、乗員への熱的な不快感を低減することができる。このように、第1領域12は、触れられた部分の温度が速やかに低下するヒータを構成している。
本実施形態では、複数の第1発熱部26は、人に暖かさを感じさせる輻射熱を放射できる放射温度に到達できるように設定される。複数の第1発熱部26のそれぞれの長さ方向の熱抵抗は、ヒータ本体部10の表面の上において物体が接触するとき、物体が接触している部分の温度が、放射温度より低い抑制温度に低下するように設定される。
図4に示すように、第2発熱部28は、基板部20の内部のうち複数の第1発熱部26から離れた領域に配置されている。基板部20のうち第2発熱部28が存在する領域が、第2領域14である。換言すると、第2領域14は、第2発熱部28を有する領域である。
第2発熱部28は、通電によって発熱する。第2発熱部28は、通電時に第1発熱部26と同じ温度となるように、第1発熱部26を構成する材料と同じ材料で構成されている。
また、第2発熱部28は、第1発熱部26の温度と同じとなるように、長さ、幅、厚さ等の形状によって、第2発熱部28の電気抵抗値が調整されている。具体的には、第2発熱部28は、一対の電極22、24の間で、面方向に広がる形状を有している。
第2発熱部28の一端側は、一方の電極22に接触している。このため、第2発熱部28の一端側は、一方の電極22と電気的に接続されている。第2発熱部28の他端側は、他方の電極24に接触している。このため、第2発熱部28の他端側は、他方の電極24と電気的に接続されている。
図6に示すように、第2発熱部26は、膜状である。
図4に示すように、第2発熱部28は、第1発熱部26と比較して、一対の電極22、24が向かい合う方向(すなわち、図4中のX軸方向)での長さが短くなっている。換言すると、一対の電極22、24のうち第2発熱部28との接続箇所は、一対の電極22、24のうち第1発熱部26との接続箇所と比較して、一対の電極22、24の間隔が狭くなっている。
第2発熱部28は、一対の電極22、24が向かい合う方向に対して直交する方向(すなわち、図4中のY軸方向)での長さが、第1発熱部26よりも長くなっている。図6中のZ軸方向における第2発熱部28の厚さは、図5中のZ軸方向における第1発熱部26の厚さと同じである。したがって、第2発熱部28は、第1発熱部26と比較して、一対の電極22、24が向かい合う方向に対して直交する断面における断面積が大きくなっている。
このように、第2発熱部28の形状は、第1発熱部26と比較して、X軸方向での長さが短く、Y軸方向での長さが長い形状である。このため、第2発熱部28の面方向での熱抵抗は、第1発熱部26の面方向での熱抵抗よりも小さくなっている。
ここで、発熱部の長さ方向の熱抵抗Rh(K/W)は、次の式で表される。
Rh=HL/(λ1・CA)
HLは、発熱部の長さである。λ1は、発熱部の熱伝導率である。CAは、発熱部の断面積である。
このように、発熱部の長さ方向の熱抵抗は、発熱部の長さ、発熱部の断面積、発熱部の熱伝導率を用いて算出される。2つの発熱部の熱抵抗を比較するとき、2つの発熱部が同じ材料で構成されていれば、熱伝導率が同じである。このため、2つの発熱部のうち発熱部の長さが短く、発熱部の断面積が大きい方が、長さ方向の熱抵抗が小さい。
第2発熱部28の方が、第1発熱部26よりも、発熱部のX軸方向の長さが短く、発熱部の断面積が大きい。したがって、第2発熱部28の方が、第1発熱部28よりも、X軸方向の熱抵抗が小さい。また、第2発熱部28は、Y軸方向において低熱伝導部27によって分断されていない。このため、第2発熱部28の方が、第1発熱部28よりも、Y軸方向の熱抵抗も小さい。
上述の通り、本実施形態では、第1発熱部26よりも第2発熱部28の方が面方向における熱抵抗が小さくなる形状を第2発熱部26が有する。これにより、第2領域14の面方向における熱抵抗が、第1領域12の面方向における熱抵抗よりも小さくなっている。すなわち、第2領域14が、第1領域12と比較して、面方向で熱が移動しやすくなるように、第2発熱部28の面方向での熱抵抗が、複数の第1発熱部26のそれぞれにおける面方向での熱抵抗よりも小さくなっている。
一方の電極22の端部22aと、他方の電極24の端部24aとが、後述する制御部32に電気的に接続されている。したがって、本実施形態では、一方の電極22の端部22aと、他方の電極24の端部24aとが、それぞれ、制御部32と電気的に接続される第1、第2接続端子を構成している。
このように、第2発熱部28は、複数の第1発熱部26と共通の一対の電極22、24に対して電気的に接続されている。すなわち、一方の電極22の端部22aと他方の電極24の端部24aとの間において、複数の第1発熱部26と、第2発熱部28とが、並列に電気的に接続されている。このため、複数の第1発熱部26の通電時において、第2発熱部28の温度は、複数の第1発熱部26の温度と関連のある温度となる。
また、図4に示すように、輻射ヒータ装置1は、温度センサ30と、制御部32とを備える。
温度センサ30は、基板部20の厚さ方向で第2発熱部28と対向する位置に配置されている。図6に示すように、温度センサ30は、基板部20の表面に設置されている。温度センサ30は、第2発熱部28によって加熱される第2領域14の表面温度を検出する。温度センサ30としては、サーミスタやサーモスタットが用いられる。
制御部32は、周知のマイクロコンピュータ等によって構成されている。図4に示すように、電気接続部であるハーネス33を介して、制御部32の入力側に温度センサ30が電気的に接続されている。また、ハーネス33を介して、制御部32の出力側に一対の電極22、24が電気的に接続されている。また、制御部32に電源とグランドが電気的に接続されている。
制御部32は、温度センサ30からのセンサ信号に基づいて、複数の第1発熱部26および第2発熱部28への給電電力量を制御する。このようにして、制御部32は、温度センサ30の検出結果に基づいて、ヒータ本体部10の第1領域12および第2領域14の温度を制御する。
以上の説明の通り、本実施形態では、ヒータ本体部10のうち第1領域12とは異なる位置にある第2領域14に温度センサ30が設置されている。第2領域14は、被覆部材5に覆われている。換言すると、第2領域14は、被覆部材5に対して反乗員側に設置されている。このように、第2領域14は、乗員2に触れられない位置に設置されている。別の観点から言うと、第2領域14は、乗員2の接触が阻害された場所に設置されている。さらに、別の観点から言うと、第2領域14は、第1領域12よりも乗員2が触れ難い場所に設置されている。
このため、温度センサ30の設置部位は乗員2に触れられない。また、温度センサ30が被水することを回避することができる。これにより、温度センサ30の設置部位における温度の急変を回避することができる。
ところで、ヒータ本体部10の第1領域12は、複数の第1発熱部26のそれぞれの熱容量が小さく、かつ、ヒータ本体部10の面方向での熱抵抗が大きくなるように構成されている。このため、ヒータ本体部10の第1領域12に温度センサ30が設置された場合、第1領域12のうち温度センサ30の周囲から温度センサ30へ移動する熱量が少なく、かつ、温度センサ30への熱移動が抑制されてしまう。すなわち、温度センサ30へ流入する単位時間あたりの熱量が少なくなってしまう。この結果、第1領域12の温度が変化する際において、温度センサ30の変化が第1領域12の温度変化に追従できないという新たな課題が見出された。温度センサ30の変化が第1領域12の温度変化に追従できないと、制御部32によるヒータ本体部10の温度制御を適切に行うことができない。
例えば、制御部32が、ヒータ本体部10の第1領域12の温度が第1温度を超えたときに、第1領域12の通電を停止させる制御が考えられる。この場合、第1領域12の温度上昇時に、温度センサ30の温度上昇が遅れると、通電停止のタイミングが遅くなり、第1領域12の温度が高くなりすぎる。また、例えば、制御部32が、第1領域12の温度が第2温度よりも低くなったときに、第1領域12に通電させる制御が考えられる。この場合、第1領域12の温度下降時に、温度センサ30の温度下降が遅れると、通電開始のタイミングが遅くなり、第1領域12の温度が低くなりすぎてしまう。
このように、ヒータ本体部10の温度変化に対する温度センサ30の追従性が低いことによっても、ヒータ本体部10が適切に温度制御されない。このため、乗員に熱的不快感が生じる。
これに対して、本実施形態では、第2領域14の面方向における熱抵抗は、第1領域12の面方向における熱抵抗よりも小さくなっている。すなわち、第2領域14は、第1領域12と比較して、面方向で熱が移動しやすくなっている。このため、温度センサ30が第1領域12に設置される場合と比較して、温度センサ30の周囲から温度センサ30へ流入する単位時間当たりの熱量を多くすることができる。したがって、温度センサ30によって、感度よく第2発熱部28の温度を測定することができる。
ここで、第1発熱部26の通電時において、第2発熱部28の温度は、複数の第1発熱部26の温度と関連のある温度となる。すなわち、ヒータ本体部10の通電時において、第2領域14の温度は、第1領域12の温度と関連のある温度となる。このため、温度センサ30によって、第1領域12の温度と関連のある温度を感度良く測定することができる。したがって、本実施形態によれば、温度センサ30が第1領域12に設置される場合と比較して、ヒータ本体部10の温度変化に対する温度センサ30の追従性を向上させることができる。
これらの結果、本実施形態によれば、温度センサ30が第1領域12に設置される場合と比較して、温度センサ30を用いたヒータ本体部10の温度制御を適切に行うことができる。このため、ヒータ本体部10の温度制御が適切にされないことによってユーザに生じる熱的不快感を軽減できる。
このように、本実施形態によれば、ユーザが触れると、ユーザが触れた部位の温度が急激に低下するというヒータ本体部10の特徴を維持したまま、温度センサ30を用いたヒータ本体部10の温度制御を適切に行うことができる。
なお、本実施形態では、通電時における第2発熱部28の温度が第1発熱部26の温度と同じとなるように、第2発熱部28の電気抵抗値が調整されていたが、これに限定されない。通電時における第2発熱部28の温度が第1発熱部26の温度と同じでなくてもよい。第2発熱部28の温度と、第1発熱部26の温度との間に所定の相関関係があればよい。
また、本実施形態において、第2領域14の広さは、図4等に図示される広さに限定されない。第2領域14の広さは、少なくとも温度センサ30が設置できる広さがあればよい。
また、本実施形態では、第2発熱部28が、第1発熱部26よりも、X軸方向の長さが短く、断面積が大きい形状であったが、これに限定されない。第2発熱部28は、複数の第1発熱部26のそれぞれと比較して、面方向における熱抵抗が小さくなる形状であればよい。例えば、第2発熱部28は、複数の第1発熱部26のそれぞれと比較して、X軸方向の長さが同じで、断面積が大きい形状であってもよい。この断面積は、X軸方向に垂直な断面における面積である。
また、本実施形態では、第2発熱部28を構成する材料が、第1発熱部26を構成する材料と同じであったが、これに限定されない。第2発熱部28を構成する材料が、第1発熱部26を構成する材料よりも熱伝導率が高い材料で構成されていてもよい。これにより、第2発熱部28の面方向における熱抵抗が、第1発熱部26の面方向における熱抵抗よりも小さくなっていればよい。
(第2実施形態)
本実施形態は、第1実施形態に対して、第2発熱部の平面形状が異なる。輻射ヒータ装置1の他の構成は、第1実施形態と同じである。
図7に示すように、本実施形態では、第2領域14は、1つの第2発熱部28aを有する。第2発熱部28aは、第1実施形態の第2発熱部28に対応する。第2発熱部28aは、蛇行して配置されている。具体的には、第2発熱部28aの両端のそれぞれは、一対の電極22、24のそれぞれに接続されている。第2発熱部28aは、一対の電極22、24の間を蛇行して配置されている。これにより、第2発熱部28aの電気抵抗値が調整されている。
そして、第2領域14が、第1領域12と比較して、面方向で熱が移動しやすくなるように、第2発熱部28aのうち隣り合う部分の間隔G28aが、図4に示す隣り合う2つの第1発熱部26の間隔G26よりも狭くなっている。すなわち、複数の第1発熱部26と比較して、第2発熱部28aが密に配置されている。これにより、第2領域14の面方向における熱抵抗は、第1領域12の面方向における熱抵抗よりも小さくなっている。したがって、本実施形態においても、第1実施形態と同様の効果が得られる。
(第3実施形態)
本実施形態は、第1実施形態に対して、第2発熱部の数および形状が異なる。輻射ヒータ装置1の他の構成は、第1実施形態と同じである。
図8に示すように、本実施形態では、第2領域14は、2つの第2発熱部28bを有する。第2発熱部28bは、第1実施形態の第2発熱部28に対応する。2つの第2発熱部28bは、一対の電極22、24の間に並列に配置されている。第2発熱部28bは、一対の電極22、24の間で直線状に延びている。
そして、第2領域14が、第1領域12と比較して、面方向で熱が移動しやすくなるように、隣り合う2つの第2発熱部28bの間隔G28bが、図4に示す隣り合う2つの第1発熱部26の間隔G26よりも狭くなっている。これにより、第2領域14の面方向における熱抵抗は、第1領域12の面方向における熱抵抗よりも小さくなっている。したがって、本実施形態においても、第1実施形態と同様の効果が得られる。
なお、本実施形態では、第2発熱部28bが2つであったが、3つ以上であってもよい。この場合、複数の第2発熱部28bのうち隣り合う2つの第2発熱部28bの間隔G28bが、複数の第1発熱部26のうち隣り合う2つの第1発熱部26の間隔G26よりも狭くなっていればよい。
(第4実施形態)
図9に示すように、本実施形態は、第2領域14が伝熱シート29を有する点が、第1実施形態と異なる。輻射ヒータ装置1の他の構成は、第1実施形態と同じである。
伝熱シート29は、基板部20を構成する材料よりも熱伝導率が高い材料で構成されている。すなわち、伝熱シート29は、第1領域12の低熱伝導部27を構成する材料よりも熱伝導率が高い材料で構成されている。具体的には、伝熱シート29は、金属で構成されている。伝熱シート29は、基板部20を構成する材料よりも熱伝導率が高い材料であれば、金属以外の材料で構成されていてもよい。
図10に示すように、伝熱シート29は、基板部20の表面上に形成されている。伝熱シート29の上面に温度センサ30が設置されている。このように、伝熱シート29は、温度センサ30と第2発熱部28との間に配置されている。
本実施形態では、第2領域14が、第1領域12と比較して、面方向で熱が移動しやすくなるように、第2領域14は、伝熱シート29を有している。この伝熱シート29により、第2領域14の面方向における熱伝導性が高められている。この伝熱シート29により、第2領域14の面方向における熱抵抗は、第1領域12の面方向における熱抵抗よりも小さくなっている。したがって、本実施形態においても、第1実施形態と同様の効果が得られる。
なお、本実施形態は、第1実施形態に適用されたが、第2、第3実施形態に適用されてもよい。
(第5実施形態)
本実施形態は、第1実施形態に対して、第1発熱部と第2発熱部の電気的な接続が異なる。輻射ヒータ装置1の他の構成は、第1実施形態と同じである。
図11に示すように、本実施形態では、複数の第1発熱部26に一対の電極22、24bが接続されている。1つの第2発熱部28に一対の電極24c、25が接続されている。一対の電極22、24bのうち他方の電極24bと、一対の電極24c、25のうち一方の電極24cとが、1つの電極24で構成されている。一対の電極22、24bのうち一方の電極22の端部22aと、一対の電極24c、25のうち他方の電極25の一部25aとが、制御部32に電気的に接続されている。したがって、本実施形態では、第1発熱部26側の一方の電極22の端部22aと、第2発熱部28側の他方の電極25の一部25aとが、それぞれ、制御部32と電気的に接続される第1、第2接続端子を構成している。
このように、本実施形態では、第1接続端子22aと第2接続端子25aとの間において、複数の第1発熱部26と第2発熱部28とが、直列に電気的に接続されている。このため、複数の第1発熱部26の通電時において、第2発熱部28の温度は、複数の第1発熱部26の温度と関連のある温度となる。したがって、本実施形態によっても、第1実施形態と同様の効果が得られる。
(第6実施形態)
本実施形態は、第1実施形態に対して、ヒータ本体部10の車両搭載状態が異なる。輻射ヒータ装置1の他の構成は、第1実施形態と同じである。
図12に示すように、ヒータ本体部10は、第1領域12と第2領域14の間に位置する中間領域13が湾曲した状態で、車両に搭載されている。すなわち、ヒータ本体部10が車両に搭載された状態において、中間領域13は湾曲形状である。中間領域13は、基板部20の一部である。このため、中間領域13は可撓性を有する。
ヒータ本体部10は、第1実施形態と同様に、インストルメントパネル4の下部4aに設置されている。第1領域12は、インストルメントパネル4の乗員側の表面に設置されている。中間領域13は、インストルメントパネル4に設けられた開口部8の内部に配置されている。第2領域14は、インストルメントパネル4の反乗員側の表面に設置されている。すなわち、第2領域14は、第1領域12に対して乗員側の反対側に設置されている。第2領域14を乗員側に投影したときに、第1領域12の範囲内に投影した第2領域が位置するように、第2領域14が設置される。第2領域14は、固定部材9によって、インストルメントパネル4に固定されている。温度センサ30は、第2領域14のうち乗員側の表面に設置されている。
このように、本実施形態においても、第2領域14は、乗員に触れられない場所に設置されている。したがって、本実施形態によっても、第1実施形態と同様の効果が得られる。さらに、本実施形態によれば、外力による温度センサ30の剥がれ防止も兼ね備えることができる。
なお、本実施形態では、温度センサ30は、第2領域14のうち乗員側の表面に設置されていたが、これに限定されない。温度センサ30は、第2領域14のうち反乗員側の表面に設置されていてもよい。
また、第2領域14の乗員側と反乗員側の一方または両方に、断熱部材を追加してもよい。これにより、第2領域14の周辺からの第2領域14への熱的な影響を軽減させることができる。この結果、ヒータ本体部10の温度制御をより適切に行うことができる。
また、本実施形態では、中間領域13が湾曲形状、すなわち、丸みを有して曲がった形状であったが、角を有して曲がった形状であってもよい。また、本実施形態では、中間領域13は、基板部20の一部であったが、基板部20とは別体の配線部材で構成してもよい。
(第7実施形態)
本実施形態は、第2領域の構成が第1実施形態と異なる。輻射ヒータ装置1の他の構成は、第1実施形態と同じである。
図13に示すように、第2領域14は、第1実施形態の第2発熱部28の替わりに、伝熱シート40を有する。伝熱シート40は、複数の低熱伝導部27のそれぞれを構成する材料、すなわち、基板部20を構成する材料よりも熱伝導率が高い材料で構成されたシート状の部材である。具体的には、伝熱シート40は、金属で構成されている。伝熱シート40は、基板部20を構成する材料よりも熱伝導率が高い材料であれば、金属以外の材料で構成されていてもよい。
伝熱シート40は、第1発熱部26からの熱が伝わるように、第1領域12に隣接して配置されている。伝熱シート40は、基板部20の表面に配置されている。伝熱シート40は、第1発熱部26と比較して、Y軸方向での長さが広く、X軸方向での長さが短い平面形状を有する。温度センサ30は、伝熱シート40の表面に設置されている。温度センサ30は、第1発熱部26からの熱が伝わる伝熱シート40、すなわち、第2領域14の温度を検出する。
本実施形態では、第2領域14が、第1領域12と比較して、面方向で熱が移動しやすくなるように、第2領域14は、伝熱シート40を有している。この伝熱シート40により、第2領域14の面方向における熱抵抗は、第1領域12の面方向における熱抵抗よりも小さくなっている。このため、温度センサ30が第1領域12に設置される場合と比較して、温度センサ30の周囲から温度センサ30へ流入する単位時間当たりの熱量を多くすることができる。
ここで、第2領域14は、伝熱シート40によって第1発熱部26から熱が伝わる。このため、ヒータ本体部10の通電時において、第2領域14の温度は、第1領域12の温度と関連のある温度となる。したがって、本実施形態によっても、温度センサ30によって、第1領域12の温度と関連のある温度を感度良く測定することができる。よって、本実施形態においても、第1実施形態と同様の効果が得られる。
(第8実施形態)
本実施形態は、第1−第7実施形態と得られる効果が異なる。
図14に示すように、ヒータ本体部10は、第1本体部101と第2本体部102とを有する。第1本体部101は、ヒータ本体部10のうち第1領域12側の部分である。第1本体部101は、第1領域12と一対の電極22、24とを含む。第2本体部102は、ヒータ本体部10のうち第2領域14側の部分である。第2本体部102は、第2領域14と一対の電極22、24とを含む。
第2領域14の表面上に温度センサ30が設置されている。第2領域14は、第1実施形態と同様に、第1領域12よりも面積が十分に小さい。これは、乗員2を暖める目的である第1領域12と比べて、第1領域12を極力小さくすることで、ヒータ本体部10の全体で使用される電力を効率よく、乗員2を暖める目的で使えるためである。
第1実施形態と同様に、一対の電極22、24のそれぞれの端部22a、24aおよび温度センサ30は、ハーネス33を介して、制御部32に接続されている。
図15に示すように、ヒータ本体部10は、乗員側の表面10aと、反乗員側の表面10bとを有する。第1本体部101は、収納部50の内部に設置されている。収納部50は、インストルメントパネル4の一部に設けられた凹部4bで構成されている。なお、収納部50は、インストルメントパネル4とは別の部材で構成されていてもよい。
第1本体部101の反乗員側に第1断熱部52が配置されている。第1断熱部52は、第1本体部101の反乗員側の表面10bに積層されている。この状態で、第1本体部101が収納部50の内部に設置されている。第1断熱部52は、第1領域12からの熱の移動を抑制するための断熱材料で構成されている。
第1本体部101の乗員側の表面10aに表皮部54が積層されている。表皮部54は、図14、15に示すように、第1本体部101を覆う被覆部材である。表皮部54は、織物、不織布などの布やレザーで構成されている。
図16に示すように、第2本体部102の反乗員側に第2断熱部56が配置されている。第2断熱部56は、第2本体部102の反乗員側の表面10bに積層されている。この状態で、第2本体部102が収納部50の表面上に設置されている。収納部50は、インストルメントパネル4の一部で構成されている。第2断熱部56は、第2領域14からの熱の移動を抑制するための断熱材料で構成されている。本実施形態では、第2断熱部56を構成する断熱材料と、第1断熱部52を構成する断熱材料とは同じ種類の材料である。ヒータ本体部10の表面10aに垂直な方向における第2断熱部56の厚さT56は、第1断熱部52の厚さT52と同じである。
第2本体部102および温度センサ30は、保護ケース58に覆われている。保護ケース58の内部では、温度センサ30の周りに空間60が形成されている。
図17に示すように、第1実施形態と同様に、第1領域12は、複数の第1発熱部26を有する。
第1実施形態と異なり、第2領域14は、複数の第2発熱部28cを有する。複数の第2発熱部28cのそれぞれは、第1実施形態の第2発熱部28に対応する。図17では、複数の第2発熱部28cは3つである。複数の第2発熱部28cの数は2以上の他の数であってもよい。
複数の第2発熱部28cのそれぞれは、直線状に延びている。複数の第2発熱部28cのそれぞれは、並列に配置されている。なお、複数の第1発熱部26および複数の第2発熱部28cのそれぞれが直線状に延びている場合に限られない。これらが曲がった線状に延びていてもよい。
そして、第2領域14の発熱密度が第1領域12の発熱密度よりも高くなるように、複数の第2発熱部28cのうち隣り合う第2発熱部28cの間隔G28が、複数の第1発熱部26のうち隣り合う第1発熱部26の間隔G26よりも狭くなっている。発熱密度は、単位面積あたりの発熱量(W/m2)である。すなわち、発熱密度は、単位面積あたりの熱移動量(W/m2)である。さらに換言すると、第2領域14の発熱密度は、ヒータ本体部10の乗員側の表面10aでの第2領域14の面積に対する第2領域14からヒータ本体部の外部へ放出される熱量の比である。第1領域12の発熱密度は、ヒータ本体部10の乗員側の表面10aでの第1領域12の面積に対する第1領域12からヒータ本体部10の外部へ放出される熱量の比である。発熱密度は、熱流束と同じである。よって、第2領域14の発熱密度と第1領域12の発熱密度は、熱流束センサによって計測することが可能である。
第2領域14の面積とは、複数の第2発熱部28cをヒータ本体部10の乗員側の表面10aに対して、表面10aに垂直な方向で、投影したときに、投影した複数の第2発熱部28cが含まれる領域の面積である。第1領域12の面積とは、複数の第1発熱部26をヒータ本体部10の表面10aに対して、表面10aに垂直な方向で、投影したときに、投影した複数の第1発熱部26が含まれる領域の面積である。
本実施形態では、複数の第2発熱部28cのそれぞれは等間隔で配置されている。複数の第2発熱部28cのそれぞれの幅W28は、複数の第1発熱部26のそれぞれの幅W26よりも小さい。第2発熱部28cの幅W28は、複数の第2発熱部28cの並び方向における第2発熱部28cの長さである。第1発熱部26の幅W26は、複数の第1発熱部26の並び方向における第1発熱部26の長さである。
また、図18、19に示すように、複数の第2発熱部28cのそれぞれの厚さT28は、複数の第1発熱部26のそれぞれの厚さT26と同じである。第2発熱部28cの厚さT28は、ヒータ本体部10の表面10aに垂直な方向における第2発熱部28cの長さである。第1発熱部26の厚さT26は、ヒータ本体部10の表面10aに垂直な方向における第1発熱部26の長さである。したがって、複数の第2発熱部28cのそれぞれの長手方向に対して垂直な断面での断面積は、複数の第1発熱部26のそれぞれの長手方向に対して垂直な断面での断面積よりも小さい。
また、図18、19に示すように、基板部20のうち複数の第2発熱部28cの乗員側を覆う部分202の厚さT202は、基板部20のうち複数の第1発熱部26の乗員側を覆う部分201の厚さT201と同じである。
次に、本実施形態の輻射ヒータ装置1と比較例1の輻射ヒータ装置J1とを比較する。
図20に示すように、比較例1の輻射ヒータ装置J1は、第2領域14の発熱密度が第1領域12の発熱密度と同じとなるように構成されている点が、本実施形態の輻射ヒータ装置1と異なる。
比較例1の輻射ヒータ装置J1では、第2領域14は、複数の第2発熱部28dを有する。複数の第2発熱部28dは、複数の第2発熱部28cに対応する。複数の第2発熱部28dのそれぞれの間隔G28が、複数の第1発熱部26のそれぞれの間隔G26よりも広くなっている。複数の第2発熱部28dのそれぞれの幅W28が、複数の第1発熱部26のそれぞれの幅W26よりも小さくなっている。その他のヒータ本体部10の構成は、本実施形態のヒータ本体部10の構成と同じである。
比較例1の輻射ヒータ装置J1では、次の課題が生じることが本発明者に見出された。
比較例1の輻射ヒータ装置J1では、第1領域12の表面がユーザに触れられたときに、触れられた部分の温度が速やかに低下するように、第1領域12が構成されている。このため、第1領域12の表面温度を45℃以上300℃以下の高温にすることができる。乗員2に十分な温熱感を与えるためには、第1領域12の表面温度は100℃以上であることが好ましい。
また、第2領域14は、第1領域12に比べて十分に小さい面積である。第2領域14の全体の発熱量は、第1領域12の全体の発熱量よりも小さい。このため、第1領域12の表面温度を45℃以上の高温にする場合、第2領域14の表面温度は、第2領域14とその周囲空気との間の熱伝達の影響を強く受ける。このため、第2領域14の表面温度は、第1領域12の表面温度よりも低くなる。さらに、第2領域14の表面温度が変化するときの傾き(すなわち、単位時間あたりの温度変化量)が第1領域12の表面温度が変化するときの傾きと異なる。この結果、第2領域14の表面温度の変化が、第1領域14の表面温度の変化から大きく乖離する。すなわち、第1領域14の表面温度が変化するとき、第2領域14の表面温度は、第1領域14の表面温度と異なる挙動を示す。
例えば、表皮部54を介して第1領域12に乗員2が接触したときに、制御部32はヒータ本体部10への通電を停止する。乗員2の接触が解消されたときに、制御部32はヒータ本体部10への通電を再開する。通電の再開後では、第2領域14の表面温度が目標温度になるように、制御部32がヒータ本体部10の通電を制御する。制御部32がこのような制御を行う場合、第1領域12の表面温度と第2領域14の表面温度とは、時間経過にともなって、図21Aに示すように変化する。
図21Aに示すように、通電の停止から通電の再開まで、第1領域14の表面温度と第2領域14の表面温度とが低下する。このとき、第2領域14の表面温度は、周囲空気の影響により、第1領域12の表面温度よりも低くなる。この状態で、通電が再開される。このとき、周囲空気の影響により、第2領域14の表面温度は、第1領域12の表面温度よりも上昇速度が遅い。このため、第2領域14の表面温度が目標温度になるように、制御部32がヒータ本体部10の通電を制御すると、第1領域12の表面温度が第2領域14の表面温度よりも高くなりすぎてしまう。
このように、比較例1の輻射ヒータ装置J1では、第2領域14の表面温度と第1領域14の表面温度との相関性を確保することが困難となる。よって、ヒータ本体部10の第1領域12の温度制御を適切に行うことができないという課題が生じる。
この課題は、第2領域14の面積が第1領域12の面積よりも小さい場合に生じる。第2領域14の面積が第1領域12の面積と同じ場合、この課題は生じない。この場合、第1領域12の発熱部と第2領域14の発熱部が同じ形状であれば、第2領域の表面温度の変化は、第1領域の表面温度の変化と同じだからである。
さらに、この課題は、第1領域12および第2領域14の表面温度が45℃以上の高温とされる場合に生じる。すなわち、第1領域12および第2領域14のそれぞれの表面とヒータ本体部10の周囲空気との温度差が大きい場合に生じる。この課題は、第1領域12および第2領域14の表面温度が100℃以上とされる場合に顕著となる。また、この課題は、周囲空気の温度が低いとき、例えば、0℃以下のときに顕著となる。
従来の接触式ヒータ装置において、本実施形態と同様に、暖房用ヒータ部と、計測用ヒータ部とを別々に設けた場合を検討する。暖房用ヒータ部は、本実施形態の第1領域に対応する。計測用ヒータ部は、本実施形態の第2領域に対応する。この場合、暖房用ヒータ部の表面温度は、人体温度に近い温度、具体的には、45℃よりも低い温度とされる。このため、暖房用ヒータ部および計測用ヒータ部のそれぞれの表面と周囲空気との温度差は小さい。計測用ヒータ部における周囲空気との間の熱伝達による影響は小さい。よって、従来の接触式ヒータ装置においては、上記した課題は生じないか、大きな課題とはならない。
本実施形態の輻射ヒータ装置1では、第2領域14の発熱密度が、第1領域12の発熱密度よりも高くなっている。
これによれば、比較例1の輻射ヒータ装置1と比較して、第2領域14の全体の発熱量を増大することができる。これにより、第2領域14の表面温度が受ける周囲空気の影響を小さくすることができる。このため、第2領域14の表面温度を、第1領域12の表面温度に近づけることができる。第2領域14の表面温度が変化するときの傾きを第1領域12の表面温度が変化するときの傾きに近づけることができる。この結果、第2領域14の表面温度の変化を第1領域12の表面温度の変化に近づけることができる。
具体的には、図21Bに示すように、通電の停止直後からの第2領域14の表面温度の下降速度を、第1領域12の表面温度の下降速度に近づけることができる。このため、通電再開時の第2領域14の表面温度を、第1領域12の表面温度に近づけることができる。このため、通電再開直後からの第2領域14の表面温度の上昇速度を、第1領域12の表面温度の上昇速度に近づけることができる。よって、通電再開直後から所定時間経過後の第2領域14の表面温度を、第1領域14の表面温度に近づけることができる。
このように、本実施形態の輻射ヒータ装置によれば、第2領域14の表面温度と第1領域14の表面温度との相関性を確保することができる。よって、ヒータ本体部10の第1領域12の温度制御を適切に行うことができる。
なお、本実施形態では、複数の第2発熱部28cのそれぞれが等間隔で配置されていたが、異なる間隔で配置されていてもよい。同様に、本実施形態では、複数の第1発熱部26のそれぞれが等間隔で配置されていたが、異なる間隔で配置されていてもよい。
また、複数の第2発熱部28cのそれぞれの幅W28、厚さT28および断面積と、複数の第1発熱部26のそれぞれの幅W26、厚さT26および断面積との関係は、本実施形態に限定されない。複数の第2発熱部28cのそれぞれの幅W28が、複数の第1発熱部26のそれぞれの幅W26よりも大きくてもよい。複数の第2発熱部28cのそれぞれの厚さT28が、複数の第1発熱部26のそれぞれのT26よりも大きくてもよい。第2発熱部28cの幅W28と厚さT28の少なくとも一方が第1発熱部26よりも大きいことによって、複数の第2発熱部28cのそれぞれの断面積が、複数の第1発熱部26のそれぞれの断面積よりも大きくてもよい。
要するに、隣り合う第2発熱部28cの間隔G28が隣り合う第1発熱部26の間隔G26よりも狭くなっていることにより、第2領域14の発熱密度が第1領域12の発熱密度よりも高くなっていればよい。
(第9実施形態)
本実施形態は、1つの第2発熱部の断面積が1つの第1発熱部の断面積よりも大きくなっている点が、第8実施形態と異なる。輻射ヒータ装置1の他の構成は、第8実施形態と同じである。
図22に示すように、第2領域14は、複数の第2発熱部28eを有する。複数の第2発熱部28eは、第8実施形態の第2発熱部28cに対応する。図22では、複数の第2発熱部28eは2つである。複数の第2発熱部28eの数は3以上の他の数であってもよい。そして、第2領域14の発熱密度が第1領域12の発熱密度よりも高くなるように、複数の第2発熱部28eのそれぞれの断面積が、複数の第1発熱部26のそれぞれの断面積よりも大きくなっている。第2発熱部28eの断面積は、第2発熱部28eが直線状に延びている方向に対して垂直な断面における断面積である。同様に、第1発熱部26の断面積は、第1発熱部26が直線状に延びている方向に対して垂直な断面における断面積である。
具体的には、第8実施形態と異なり、複数の第2発熱部28eのそれぞれの幅W28は、複数の第1発熱部26のそれぞれの幅W26よりも大きい。隣り合う第2発熱部28cの間隔G28は、隣り合う第1発熱部26の間隔G26と同じである。第8実施形態と同様に、複数の第2発熱部28eのそれぞれの厚さT28は、複数の第1発熱部26のそれぞれの厚さT26と同じである。
本実施形態では、複数の第2発熱部28eのそれぞれの長手方向での単位長さあたりの電気抵抗値が、複数の第1発熱部26のそれぞれの長手方向での単位長さあたりの電気抵抗値が低くなっている。複数の第2発熱部28eのそれぞれの長さは、複数の第1発熱部26のそれぞれの長さよりも短い。このため、複数の第2発熱部28eのそれぞれの電気抵抗値は、複数の第1発熱部26のそれぞれの電気抵抗値よりも低くなっている。ジュール熱は、電気抵抗値に反比例する。電気抵抗値が小さいほど、発熱量は大きくなる。このため、複数の第2発熱部28eのそれぞれの発熱量は、複数の第1発熱部26のそれぞれの発熱量よりも大きい。これにより、第2領域14の発熱密度は、第1領域12の発熱密度よりも大きくなっている。したがって、本実施形態においても、第8実施形態と同様の効果が得られる。
なお、複数の第2発熱部28cのそれぞれの幅W28、厚さT28、間隔G28と、複数の第1発熱部26のそれぞれの幅W26、厚さT26、間隔G26との関係は、本実施形態に限定されない。
複数の第2発熱部28eのそれぞれの幅W28が、複数の第1発熱部26のそれぞれの幅W26と同じで、複数の第2発熱部28eのそれぞれの厚さT28が、複数の第1発熱部26のそれぞれの厚さT26よりも厚くなっていてもよい。第2発熱部28dの幅W28と厚さT28の少なくとも一方が第1発熱部26よりも大きいことによって、複数の第2発熱部28dのそれぞれの断面積が、複数の第1発熱部26のそれぞれの断面積よりも大きくなっていればよい。
また、第8実施形態のように、隣り合う第2発熱部28cの間隔G28が、隣り合う第1発熱部26の間隔G26より小さくなっていてもよい。この場合、第2領域14の発熱密度を、第1領域12の発熱密度よりもより一層大きくできる。
また、第2領域14の発熱密度が第1領域12の発熱密度よりも高くなっていれば、隣り合う第2発熱部28cの間隔G28が、隣り合う第1発熱部26の間隔G26よりも大きくてもよい。
要するに、複数の第2発熱部28eのそれぞれの断面積が、複数の第1発熱部26のそれぞれの断面積よりも大きくなっていることによって、第2領域14の発熱密度が第1領域12の発熱密度よりも高くなっていればよい。
(第10実施形態)
本実施形態は、複数の第2発熱部のそれぞれが、複数の第1発熱部のそれぞれと比較して、電気抵抗率が低い材料で構成されている点が、第8実施形態と異なる。輻射ヒータ装置1の他の構成は、第8実施形態と同じである。
図23に示すように、第2領域14は、複数の第2発熱部28fを有する。複数の第2発熱部28fは、第8実施形態の第2発熱部28cに対応する。図23では、複数の第2発熱部28fは2つである。複数の第2発熱部28fの数は3以上の他の数であってもよい。そして、第2領域14の発熱密度が第1領域12の発熱密度よりも高くなるように、複数の第2発熱部28fのそれぞれが、複数の第1発熱部26のそれぞれと比較して、電気抵抗率が低い材料で構成されている。
本実施形態では、複数の第2発熱部28fのそれぞれの幅W28、厚さT28、間隔G28は、複数の第1発熱部26のそれぞれの幅W26、厚さT26、間隔G26と同じである。X軸方向における複数の第2発熱部28fのそれぞれの長さは、X軸方向における複数の第1発熱部26のそれぞれの長さよりも短い。
本実施形態によれば、材料と長さによって、複数の第2発熱部28fのそれぞれの電気抵抗値は、複数の第1発熱部26のそれぞれの電気抵抗値よりも低くなっている。このため、複数の第2発熱部28fのそれぞれの発熱量は、複数の第1発熱部26のそれぞれの発熱量よりも大きい。これにより、第2領域14の発熱密度は、第1領域12の発熱密度よりも大きくなっている。したがって、本実施形態においても、第8実施形態と同様の効果が得られる。
なお、複数の第2発熱部28fのそれぞれの幅W28、厚さT28、間隔G28と、複数の第1発熱部26のそれぞれの幅W26、厚さT26、間隔G26との関係は、本実施形態に限定されない。第2領域14の発熱密度が第1領域12の発熱密度よりも高くなっていれば、第2発熱部28fの幅W28、厚さT28、間隔G28と、第1発熱部26の幅W26、厚さT26、間隔G26とが異なっていてもよい。
また、第2領域14の発熱密度が第1領域12の発熱密度よりも高くなっていれば、第2領域14が有する第2発熱部28fが1つのみであってもよい。すなわち、第2領域14が第1実施形態の第2発熱部28を有していてもよい。
要するに、1つまたは複数の第2発熱部28fのそれぞれが、複数の第1発熱部26のそれぞれと比較して、電気抵抗率が低い材料で構成されていることによって、第2領域14の発熱密度が第1領域12の発熱密度よりも高くなっていればよい。
なお、第1実施形態では、第2領域14の全域を第2発熱部28が占めている。このため、第2領域14の発熱密度は、第1領域12の発熱密度よりも大きくなっている。さらに、第1実施形態に対して、第2発熱部28のそれぞれが、複数の第1発熱部26のそれぞれと比較して、電気抵抗率が低い材料で構成されるように変更する。これにより、第2領域14の発熱密度を、第1領域12の発熱密度よりもより一層大きくすることができる。
(第11実施形態)
本実施形態は、第2領域の基板部が、第1領域の基板部と比較して、熱伝導率が高い材料で構成されている点が、第8実施形態と異なる。輻射ヒータ装置1の他の構成は、第8実施形態と同じである。
図24に示すように、第2領域14は、複数の第2発熱部28gを有する。複数の第2発熱部28gは、第8実施形態の第2発熱部28cに対応する。図24では、複数の第2発熱部28gは2つである。複数の第2発熱部28gの数は3以上の他の数であってもよい。複数の第2発熱部28gのそれぞれの幅W28、厚さT28、間隔G28は、複数の第1発熱部26のそれぞれの幅W26、厚さT26、間隔G26と同じである。X軸方向における複数の第2発熱部28gのそれぞれの長さは、X軸方向における複数の第1発熱部26のそれぞれの長さよりも短い。複数の第2発熱部28gのそれぞれを構成する材料は、複数の第1発熱部26のそれぞれを構成する材料と同じである。
第2領域14の発熱密度が第1領域12の発熱密度よりも高くなるように、基板部20が第1本体部101と第2本体部102で異なる材料で構成されている。すなわち、図26に示す第2本体部102の基板部20bが、図25に示す第1本体部101の基板部20aと比較して、熱伝導率が高い材料で構成されている。これにより、基板部20のうち複数の第2発熱部28gの乗員側を覆う部分202が、基板部20のうち複数の第1発熱部26の乗員側を覆う部分201と比較して、熱伝導率が高い材料で構成されている。複数の第1発熱部26の乗員側を覆う部分201が、複数の第1発熱部の加熱対象物側を覆う第1絶縁部を構成している。複数の第2発熱部28gの乗員側を覆う部分202が、複数の第2発熱部の加熱対象物側を覆う第2絶縁部を構成している。
本実施形態では、第8実施形態と同様に、基板部20のうち複数の第2発熱部28gの乗員側を覆う部分202の厚さT202は、基板部20のうち複数の第1発熱部26の乗員側を覆う部分201の厚さT201と同じである。
本実施形態によれば、第2領域14の方が、第1領域12よりも、基板部20を熱が移動しやすくなっている。このため、第1領域12と第2領域14とを同じ面積で比較したとき、同じ面積における複数の第1発熱部26の総発熱量と複数の第2発熱部28の総発熱量が同じ場合、第2領域14からヒータ本体部10の外部へ放出される熱量は、第1領域12からヒータ本体部10の外部へ放出される熱量よりも多い。これにより、第2領域14の発熱密度は、第1領域12の発熱密度よりも大きくなっている。また、複数の第2発熱部28gのそれぞれの長さが複数の第1発熱部26のそれぞれの長さよりも短いことによっても、第2領域14の発熱密度は、第1領域12の発熱密度よりも高くなっている。したがって、本実施形態においても、第8実施形態と同様の効果が得られる。
なお、複数の第2発熱部28gのそれぞれの幅W28、厚さT28、間隔G28と、複数の第1発熱部26のそれぞれの幅W26、厚さT26、間隔G26との関係は、本実施形態に限定されない。第2領域14の発熱密度が第1領域12の発熱密度よりも高くなっていれば、第2発熱部28gの幅W28、厚さT28、間隔G28と、第1発熱部26の幅W26、厚さT26、間隔G26とが異なっていてもよい。第8、第9、第10実施形態のそれぞれに本実施形態を組み合わせてもよい。
また、第2領域14の発熱密度が第1領域12の発熱密度よりも高くなっていれば、第2領域14が有する第2発熱部28gが1つのみであってもよい。
また、基板部20のうち複数の第2発熱部28gの乗員側を覆う部分202の厚さT202が、基板部20のうち複数の第1発熱部26の乗員側を覆う部分201の厚さT201と異なっていてもよい。この場合でも、第2領域14の方が、第1領域12よりも、基板部20を熱が移動しやすくなっていればよい。
(第12実施形態)
本実施形態は、第2領域の基板部の厚さが、第1領域の基板部の厚さと異なる点が、第8実施形態と異なる。
図27に示すように、第2領域14は、第11実施形態と同様に、複数の第2発熱部28gを有する。
図28、29に示すように、基板部20のうち複数の第2発熱部28gの乗員側を覆う部分202の厚さT202が、基板部20のうち複数の第1発熱部26の乗員側を覆う部分201の厚さT201よりも薄く(すなわち、小さく)なっている。厚さT202は、ヒータ本体部10の表面10aに垂直な方向で、複数の第2発熱部28cのそれぞれの表面から計測した第2絶縁部の厚さである。厚さT201は、ヒータ本体部10の表面10aに垂直な方向で、複数の第1発熱部26のそれぞれの表面から計測した第1絶縁部の厚さである。
本実施形態では、基板部20は、第1本体部101と第2本体部102で同じ材料で構成されている。
本実施形態によれば、第2領域14の方が、第1領域12よりも、発熱部からヒータ本体部10の表面10aに向かって基板部20を熱が移動しやすくなっている。これにより、第11実施形態と同様に、第2領域14の発熱密度は、第1領域12の発熱密度よりも大きくなっている。また、複数の第2発熱部28gのそれぞれの長さが複数の第1発熱部26のそれぞれの長さよりも短いことによっても、第2領域14の発熱密度は、第1領域12の発熱密度よりも高くなっている。したがって、本実施形態においても、第8実施形態と同様の効果が得られる。
なお、複数の第2発熱部28gのそれぞれの幅W28、厚さT28、間隔G28と、複数の第1発熱部26のそれぞれの幅W26、厚さT26、間隔G26との関係は、本実施形態に限定されない。第2領域14の発熱密度が第1領域12の発熱密度よりも高くなっていれば、第2発熱部28gの幅W28、厚さT28、間隔G28と、第1発熱部26の幅W26、厚さT26、間隔G26とが異なっていてもよい。第8、第9、第10、第11実施形態のそれぞれに本実施形態を組み合わせてもよい。
また、第2領域14の発熱密度が第1領域12の発熱密度よりも高くなっていれば、第2領域14が有する第2発熱部28gが1つのみであってもよい。
(第13実施形態)
本実施形態は、第1断熱部と第2断熱部の厚さが異なる点が、第8実施形態と異なる。
図30、31に示すように、第2断熱部56の厚さT56は、第1断熱部52の厚さT52よりも小さくなっている。輻射ヒータ装置1の他の構成は、第8実施形態と同じである。
これによれば、第8実施形態の効果に加えて、さらに、次の効果を奏する。
第2断熱部56の熱容量が大きい場合、第2領域14の温度変化に対する第2断熱部56の熱容量の影響が大きい。ヒータ本体部10の昇温時では、第2断熱部56の熱容量が大きいほど、第2領域12の表面温度の上昇速度が遅くなる。ヒータ本体部10の降温時では、第2断熱部56の熱容量が大きいほど、第2領域12の表面温度の下降速度が遅くなる。このように、第2断熱部56の熱容量が大きいほど、第2領域14の表面温度の変化が、第1領域14の表面温度の変化から大きく乖離する。すなわち、第1領域14の表面温度が変化するとき、第2領域14の表面温度は、第1領域14の表面温度と異なる挙動を示す。
これに対して、本実施形態によれば、第2断熱部56の熱容量を小さくできる。このため、第2領域14の温度変化に対する第2断熱部56の熱容量の影響を小さくできる。第1領域14の表面温度が変化するとき、第2領域14の表面温度の変化を第1領域12の表面温度の変化に近づけることができる。すなわち、第2領域14の表面温度と第1領域14の表面温度との相関性を確保することができる。よって、ヒータ本体部10の第1領域12の温度制御を適切に行うことができる。
なお、本実施形態では、第2断熱部56を構成する断熱材料は、第1断熱部52を構成する断熱材料とは同じ種類の材料である。しかし、第2断熱部56を構成する断熱材料は、第1断熱部52を構成する断熱材料と異なる種類の材料であってもよい。この場合であっても、第2断熱部56の厚さT56が、第1断熱部52の厚さT52と同じ厚さの場合と比較して、第2断熱部56の熱容量を小さくできる。よって、この場合でも、本実施形態の効果が得られる。
また、第9、第10、第11、第12実施形態のそれぞれに本実施形態を組み合わせてもよい。
また、本実施形態においては、比較例1の輻射ヒータ装置J1のように、第2領域14の発熱密度が第1領域12の発熱密度と同じであってもよい。この場合であっても、本実施形態の効果が得られる。
(他の実施形態)
(1)上記各実施形態では、図4、17等に示されるように、複数の第1発熱部26のそれぞれは、膜状であって、線状に延びていた。しかしながら、複数の第1発熱部26のそれぞれは、図32、33、34、35に示すように、膜状ではないが、線状に延びた形状であってもよい。
図32に示す例では、複数の第1発熱部26のそれぞれは、線状に延び、かつ、上記各実施形態と比較して幅が細い形状である。複数の第1発熱部26のそれぞれのY軸方向での幅寸法は、図5に示すZ軸方向での厚さ寸法よりも小さい。このため、図32に示す例では、複数の第1発熱部26のそれぞれは、膜状ではない。
図33に示す例では、図32に示す例と同様に、複数の第1発熱部26のそれぞれは、線状に延び、かつ、上記各実施形態と比較して幅が細い形状である。そして、図32に示す例と異なり、第1領域12に複数の第1発熱部26が密に存在するために、1本の第1発熱部26は一対の電極22、24の間を折り返して配置されている。1本の第1発熱部26は、一方の電極22から第1折り返し部262までX軸方向に直線状に延びている。この第1発熱部26は、第1折り返し部262から第2折り返し部264までX軸方向に直線状に延びている。この第1発熱部26は、第2折り返し部264から他方の電極24までX軸方向に直線状に延びている。これにより、第1発熱部26の間隔が狭くなっている。
図33に示す例においては、複数の第1発熱部26のそれぞれの配置を図34に示す配置に変更してもよい。図34では、複数の第1発熱部26のそれぞれがX軸方向に蛇行して配置されている。これによっても、第1発熱部26の間隔を狭くすることができる。第1領域12に複数の第1発熱部26を密に配置することができる。
図35に示す例では、図32に示す例と同様に、複数の第1発熱部26のそれぞれは、線状に延び、かつ、上記各実施形態と比較して幅が細い形状である。そして、図32に示す例と異なり、第1領域12に複数の第1発熱部26が密に存在するために、折り返し電極22b、22c、22d、22e、22f、22gが設けられている。
図33に示す例では、一対の電極22、24の間において、複数の第1発熱部26のすべてが並列に接続されている。これに対して、図35に示す例では、一対の電極22、24の間において、複数の第1発熱部26は、並列かつ直列に接続されている。具体的には、X軸方向の一方側に、一方の電極22、折り返し電極22c、22e、22gが配置されている。X軸方向の他方側に、他方の電極24、折り返し電極22b、22d、22fが配置されている。一方の電極22と折り返し電極22bとの間を、2本の第1発熱部26が折り返して配置されている。同様に、折り返し電極22bと折り返し電極22cとの間を、2本の第1発熱部26が折り返して配置されている。このように、X軸方向の一方側に位置する電極とX軸方向の他方側に位置する電極との間を、2本の第1発熱部26が折り返して配置されている。これによっても、第1領域12に複数の第1発熱部26を密に配置することができる。図35に示す例においても、複数の第1発熱部26のそれぞれの配置を図34に示す配置に変更してもよい。
図32、33、34、35に示す例においても、1つの第1発熱部26が線状に延びた形状を有する。これにより、第1発熱部26の長さ方向の熱抵抗が大きくされている。隣り合う2つの第1発熱部26の間に低熱伝導部27が配置されている。これにより、隣り合う2つの第1発熱部26の間の熱抵抗が大きくされている。これらの結果、図32、33、34、35に示す例においても、第1領域12の面方向での熱抵抗が大きくされている。
また、図36に示すように、第1領域12に配置される第1発熱部26が1つのみであってもよい。この第1発熱部26は、膜状であって、一対の電極22、24の間の全領域にわたって配置されている。このため、本実施形態では、第1実施形態と異なり、第1領域12は、複数の低熱伝導部27を有していない。
この第1発熱部26は、導電材料と樹脂材料との混合材料によって構成される。この第1発熱部26は、混合材料を用いた印刷によって形成される。導電材料としては、カーボン、すず合金、他の金属材料が挙げられる。この第1発熱部26の熱伝導率は、銅、銀などで構成される金属膜よりも小さく設定される。
このように、この第1発熱部26は、膜状であって、熱伝導率が小さく設定されている。このため、図36に示す例においても、上記各実施形態と同様に、第1領域12の面方向での熱抵抗が大きくされている。
(2)第1実施形態では、被覆部材5として、インストルメントパネル4が用いられていたが、他の部材が用いられてもよい。
(3)上記各実施形態では、第1発熱部26は、通電によって発熱する発熱部と、発熱部の熱によって輻射熱を放射する放熱部とを兼ねていたが、兼ねていなくてもよい。この場合、発熱部と放熱部とが第1発熱部を構成する。また、第2発熱部28は、通電によって発熱する機能を少なくとも有していればよい。
(4)上記各実施形態では、輻射ヒータ装置1が車両に設置されていたが、これに限定されない。輻射ヒータ装置1は、車両以外の場所に設置されてもよい。
(5)本開示は上記した実施形態に限定されるものではなく、請求の範囲に記載した範囲内において適宜変更が可能であり、様々な変形例や均等範囲内の変形をも包含する。また、上記各実施形態は、互いに無関係なものではなく、組み合わせが明らかに不可な場合を除き、適宜組み合わせが可能である。また、上記各実施形態において、実施形態を構成する要素は、特に必須であると明示した場合および原理的に明らかに必須であると考えられる場合等を除き、必ずしも必須のものではないことは言うまでもない。また、上記各実施形態において、実施形態の構成要素の個数、数値、量、範囲等の数値が言及されている場合、特に必須であると明示した場合および原理的に明らかに特定の数に限定される場合等を除き、その特定の数に限定されるものではない。また、上記各実施形態において、構成要素等の材質、形状、位置関係等に言及するときは、特に明示した場合および原理的に特定の材質、形状、位置関係等に限定される場合等を除き、その材質、形状、位置関係等に限定されるものではない。
(まとめ)
上記各実施形態の一部または全部で示された第1の観点によれば、輻射ヒータ装置は、ヒータ本体部と、温度センサと、制御部とを備える。ヒータ本体部は、第1領域と第2領域とを有する。第1領域は、ユーザが触れられる場所に設置される。第2領域は、ユーザに触れられない場所に設置される。
また、第2の観点によれば、第1領域は、複数の発熱部と、複数の低熱伝導部とを有する。複数の発熱部は、膜状であり、通電によって発熱して輻射熱を放射する。複数の低熱伝導部は、複数の発熱部のうち隣り合う2つの発熱部の間に配置され、複数の発熱部のそれぞれよりも熱伝導性が低い。第1の観点において、このような具体的な構成を採用することができる。
また、第3の観点によれば、第2領域は、第1領域と比較して、面方向で熱が移動しやすくなっている。
ここで、上記した従来の輻射ヒータ装置では、発熱部の熱容量が小さく、かつ、ヒータ本体部の面方向での熱抵抗が大きくなるように、ヒータ本体部が構成されている。このため、ヒータ本体部に温度センサが設置された場合、ヒータ本体部のうち温度センサの周囲から温度センサへ移動する熱量が少なく、かつ、温度センサへの熱移動が抑制されてしまう。すなわち、温度センサへ流入する単位時間あたりの熱量が少なくなってしまう。この結果、ヒータ本体部の温度が変化する際において、温度センサの変化がヒータの温度変化に追従できないという新たな課題が見出された。温度センサの変化がヒータの温度変化に追従できないと、制御部によるヒータ本体部の温度制御を適切に行うことができない。
これに対して、第3の観点によれば、温度センサが第1領域に設置される場合と比較して、温度センサの周囲から温度センサへ流入する単位時間あたりの熱量を多くすることができる。したがって、温度センサによって、感度よく第2領域の温度を測定することができる。ここで、第2領域は、第1領域の温度と関連のある温度となる領域である。これにより、温度センサが第1領域に設置される場合と比較して、ヒータ本体部の温度変化に対する温度センサの追従性を向上させることができる。
また、第4の観点によれば、複数の発熱部は、複数の第1発熱部である。第2領域は、通電によって発熱する第2発熱部を有する。第2発熱部は、複数の第1発熱部のそれぞれに対して電気的に接続される。第2の観点において、このような具体的な構成を採用することができる。
また、第5の観点によれば、第2領域が、第1領域と比較して、面方向で熱が移動しやすくなるように、第2発熱部の面方向での熱抵抗が、複数の第1発熱部のそれぞれにおける面方向での熱抵抗よりも小さくなっている。第4の観点において、このような具体的な構成を採用することができる。
また、第6の観点によれば、第2発熱部は、蛇行して配置されている。第2領域が、第1領域と比較して、面方向で熱が移動しやすくなるように、第2発熱部のうち隣り合う部分の間隔が、複数の第1発熱部のうち隣り合う2つの第1発熱部の間隔よりも狭くなっている。第4の観点において、このような具体的な構成を採用することができる。
また、第7の観点によれば、第2領域は、第2発熱部を複数有する。第2領域が、第1領域と比較して、面方向で熱が移動しやすくなるように、複数の第2発熱部のうち隣り合う2つの第2発熱部の間隔が、複数の第1発熱部のうち隣り合う2つの第1発熱部の間隔よりも狭くなっている。第4の観点において、このような具体的な構成を採用することができる。
また、第8の観点によれば、第2領域が、第1領域と比較して、面方向で熱が移動しやすくなるように、第2領域は、伝熱シートを有する。伝熱シートは、複数の低熱伝導部のそれぞれを構成する材料よりも熱伝導率が高い材料で構成され、第2発熱部と温度センサの間に配置される。第4の観点において、このような具体的な構成を採用することができる。
また、第9の観点によれば、第2領域が、第1領域と比較して、面方向で熱が移動しやすくなるように、第2領域は、伝熱シートを有する。伝熱シートは、複数の低熱伝導部のそれぞれを構成する材料よりも熱伝導率が高い材料で構成され、発熱部からの熱が伝わるように配置される。第2の観点において、このような具体的な構成を採用することができる。
また、第10の観点によれば、第1−第9の観点において、ヒータ本体部は、第2領域が被覆部材に覆われた状態で設置される。これによれば、第2領域はユーザに触れられない位置に設置される。このため、第2領域がユーザに触れられて温度低下することを回避することができる。
また、第11の観点によれば、第1−第9の観点において、ヒータ本体部は、第2領域が第1領域に対して加熱対象物側の反対側に位置する状態で設置される。これによれば、第2領域はユーザに触れられない位置に設置される。このため、第2領域がユーザに触れられて温度低下することを回避することができる。
また、第12の観点によれば、ヒータ本体部は、第1領域と第2領域とをつなぐ中間領域を有する。中間領域は曲がった状態である。第11の観点において、このような具体的な構成を採用することができる。
また、第13の観点によれば、第1−第12の観点において、複数の発熱部のそれぞれは、線状に延びているとともに、並列に配置されている。このような具体的な構成を採用することができる。
また、第14の観点によれば、複数の発熱部は、複数の第1発熱部である。第2領域は、通電によって発熱する1つまたは複数の第2発熱部を有する。1つまたは複数の第2発熱部のそれぞれは、複数の第1発熱部のそれぞれに対して電気的に接続されている。第2領域の面積は、第1領域の面積よりも小さくなっている。第2領域の発熱密度は、第1領域の発熱密度よりも高くなっている。
これによれば、第2領域の発熱密度が第1領域の発熱密度と同じ場合と比較して、第2領域の全体の発熱量を増大することができる。これにより、第2領域の表面温度が受ける周囲空気の影響を小さくすることができる。このため、第2領域の表面温度と第1領域の表面温度との相関性を確保することができる。よって、ヒータ本体部の第1領域の温度制御を適切に行うことができる。
また、第15の観点によれば、複数の第1発熱部のそれぞれは、線状に延びているとともに、並列に配置されている。第2領域は、複数の第2発熱部を有する。複数の第2発熱部のそれぞれは、線状に延びているとともに、並列に配置されている。第2領域の発熱密度が第1領域の発熱密度よりも高くなるように、複数の第2発熱部のうち隣り合う第2発熱部の間隔が、複数の第1発熱部のうち隣り合う第1発熱部の間隔よりも狭くなっている。このようにして、第2領域の発熱密度が第1領域の発熱密度よりも高くなるようにすることができる。
また、第16の観点によれば、複数の第1発熱部のそれぞれは、線状に延びているとともに、並列に配置されている。第2領域は、複数の第2発熱部を有する。複数の第2発熱部のそれぞれは、線状に延びているとともに、並列に配置されている。第2領域の発熱密度が第1領域の発熱密度よりも高くなるように、複数の第2発熱部のそれぞれの線状に延びている方向に対して垂直な断面における断面積が、複数の第1発熱部のそれぞれの線状に延びている方向に対して垂直な断面における断面積よりも大きくなっている。このようにして、第2領域の発熱密度が第1領域の発熱密度よりも高くなるようにすることができる。
また、第17の観点によれば、第2領域の発熱密度が第1領域の発熱密度よりも高くなるように、1つまたは複数の第2発熱部のそれぞれは、複数の第1発熱部のそれぞれと比較して、電気抵抗率が低い材料で構成されている。このようにして、第2領域の発熱密度が第1領域の発熱密度よりも高くなるようにすることができる。
また、第18の観点によれば、第1領域は、複数の第1発熱部の加熱対象物側を覆う第1絶縁部を有する。第2領域は、1つまたは複数の第2発熱部の加熱対象物側を覆う第2絶縁部を有する。第2領域の発熱密度が第1領域の発熱密度よりも高くなるように、第2絶縁部は、第1絶縁部と比較して、熱伝導率が高い材料で構成されている。このようにして、第2領域の発熱密度が第1領域の発熱密度よりも高くなるようにすることができる。
また、第19の観点によれば、第1領域は、複数の第1発熱部の加熱対象物側を覆う第1絶縁部を有する。第2領域は、1つまたは複数の第2発熱部の加熱対象物側を覆う第2絶縁部を有する。第2領域の発熱密度が第1領域の発熱密度よりも高くなるように、ヒータ本体部の表面に垂直な方向で、1つまたは複数の第2発熱部のそれぞれの表面から計測した第2絶縁部の厚さが、複数の第1発熱部のそれぞれの表面から計測した第1絶縁部の厚さよりも小さくなっている。このようにして、第2領域の発熱密度が第1領域の発熱密度よりも高くなるようにすることができる。
また、第20の観点によれば、複数の発熱部は、複数の第1発熱部である。第2領域は、通電によって発熱する1つまたは複数の第2発熱部を有する。1つまたは複数の第2発熱部のそれぞれは、複数の第1発熱部のそれぞれに対して電気的に接続されている。輻射ヒータ装置は、第1領域の反加熱対象物側に配置された第1断熱部と、第2領域の反加熱対象物側に配置された第2断熱部とを備える。第1断熱部は、第1領域からの熱の移動を抑制するための断熱材料で構成されている。第2断熱部は、第2領域からの熱の移動を抑制するための断熱材料で構成されている。第2断熱部の厚さは、第1断熱部の厚さよりも小さくなっている。
これによれば、第2断熱部の熱容量を小さくできる。このため、第2領域の温度変化に対する第2断熱部の熱容量の影響を小さくできる。第1領域の表面温度が変化するとき、第2領域の表面温度の変化を第1領域の表面温度の変化に近づけることができる。すなわち、第2領域の表面温度と第1領域の表面温度との相関性を確保することができる。よって、ヒータ本体部の第1領域の温度制御を適切に行うことができる。
また、第21の観点によれば、第1領域は、通電によって発熱する1つまたは複数の第1発熱部を有する。第2領域は、通電によって発熱する1つまたは複数の第2発熱部を有する。1つまたは複数の第2発熱部のそれぞれは、1つまたは複数の第1発熱部のそれぞれに対して電気的に接続されている。第2領域の面積は、第1領域の面積よりも小さくなっている。第2領域の発熱密度は、第1領域の発熱密度よりも高くなっている。
これによれば、第2領域の発熱密度が第1領域の発熱密度と同じ場合と比較して、第2領域の全体の発熱量を増大することができる。これにより、第2領域の表面温度が受ける周囲空気の影響を小さくすることができる。このため、第2領域の表面温度と第1領域の表面温度との相関性を確保することができる。よって、ヒータ本体部の第1領域の温度制御を適切に行うことができる。
また、第22の観点によれば、第1領域は、通電によって発熱する1つまたは複数の第1発熱部を有する。第2領域は、通電によって発熱する1つまたは複数の第2発熱部を有する。1つまたは複数の第2発熱部のそれぞれは、1つまたは複数の第1発熱部のそれぞれに対して電気的に接続されている。輻射ヒータ装置は、第1領域の反加熱対象物側に配置された第1断熱部と、第2領域の反加熱対象物側に配置された第2断熱部とを備える。第1断熱部は、第1領域からの熱の移動を抑制するための断熱材料で構成されている。第2断熱部は、第2領域からの熱の移動を抑制するための断熱材料で構成されている。第2断熱部の厚さは、第1断熱部の厚さよりも小さくなっている。
これによれば、第2断熱部の熱容量を小さくできる。このため、第2領域の温度変化に対する第2断熱部の熱容量の影響を小さくできる。第1領域の表面温度が変化するとき、第2領域の表面温度の変化を第1領域の表面温度の変化に近づけることができる。すなわち、第2領域の表面温度と第1領域の表面温度との相関性を確保することができる。よって、ヒータ本体部の第1領域の温度制御を適切に行うことができる。