JPWO2018037436A1 - 筒状フィルタ - Google Patents

Abstract

筒状フィルタは、流路芯の周りに配置される不織布の内層と、前記内層の上に紐状不織布が巻きつけられて形成される外層と、を有する筒状フィルタであって、前記紐状不織布は、一の繊維径で出来た不織布の第一不織布紐と、前記一の繊維径よりも太い繊維径で出来た第二不織布紐と、が重ねて形成されていて、前記外層は、隣接して接触する前記紐状不織布において、前記第一不織布紐同士が接触しないように、巻きつけられて形成されている。これにより、不純物等の捕捉性能と、その経時的安定性を同時に実現できる。

Description

この発明は、筒状フィルタに関する。

フィルタでは、濾過対象となる不純物を含む流体を、目の細かいフィルタに流すことで、不純物を捕捉する。フィルタ部材の材料および構造としては、さまざまなものが考えられるが、不織布を巻きつけた構造の筒状フィルタが知られている。筒状フィルタは、流路芯の周りに不織布などの材料を巻きつけた構造をしている。

従来、濾過対象となる不純物を含む流体における不純物の捕捉性能は、予定される不純物の粒子の大きさと、フィルタ部材の目の大きさによって決まる。一般に、不純物を含む流体の粒子がフィルタの目よりも小さく、不純物の粒子がフィルタの目の大きさに対して大きければ、その不純物は捕捉される。しかし、一旦、不純物の粒子が捕捉されると、フィルタ部材が目詰まりを起こし、不純物を含む流体の流れを阻害する。不純物を含む流体の流れが阻害されると、不純物の捕捉ができない。そのため、不純物の捕捉性能の高さと、その性能の長期的維持は、一般的には、相反する。そこで、目標となるフィルタの性能は、不純物の高い捕捉性能と、その性能の長期的維持となる。

そこで、流路芯の周りに配置される不織布の内層と、前記内層の上に紐状不織布が巻きつけられて形成される外層と、を有する筒状フィルタであって、前記紐状不織布は、一の繊維径で出来た不織布の第一不織布紐と、前記一の繊維径よりも太い繊維径で出来た第二不織布紐と、が重ねて形成されていて、前記外層は、隣接して接触する前記紐状不織布において、前記第一不織布紐同士が接触しないように、巻きつけられて形成されている筒状フィルタにより解決する。

これにより、不純物等の捕捉性能と、その経時的安定性を同時に実現できる。

本発明のフィルタの外観図である。 図１の断面２−２であって、本発明のフィルタの外層を構成する紐状不織布の断面図である。

（第一の実施の形態）
以下、図１を参照して、本発明の筒状フィルタ１について説明する。図１は、筒状フィルタ１を示している。図２は、図１の断面２−２におけるフィルタの外層を構成する紐状不織布３の断面であって、特に、紐状不織布３が重なった箇所における紐状不織布３を示している。

流路芯１０は、内部が管路を形成する筒状の芯部材である。流路芯１０は、その周部に孔等の貫通部を有し、周部を介して、流路芯１０の内外の流れを形成させる。流路芯１０の周りには、内層１１が形成されている。内層１１は、流路芯１０に巻きつけられた第一不織布紐２１で構成される。後に説明する外層１２と異なり、内層１１では第一不織布紐２１のみが巻きつけられて形成されている。内層１１の外周上には外層１２が形成されている。外層１２は、内層１１の外周に巻き付けられた紐状不織布３により形成される。

紐状不織布３は、紐状の不織布として形成される。たとえば、紐状不織布が巻きつけられた重なり部では、紐状不織布３１と紐状不織布３２が重なっている。紐状不織布３１，３２は、それぞれ、第一不織布紐２１ａ，２１ｂと第二不織布紐２２ａ，２２ｂとが重ねられて、一つの束の紐状の不織布の紐状不織布３として形成されている。第二不織布紐２２ａ，２２ｂの繊維径は、第一不織布紐２１ａ，２１ｂを構成する繊維径よりも太い。第一不織布紐２１ａ，２１ｂと第二不織布紐２２ａ，２２ｂとは、それぞれ紐の長手方向を軸として幅を折り畳むように形成する。第一不織布紐２１ａ，２１ｂを折り畳んだ幅は、第二不織布紐２２ａ，２２ｂを折り畳んだ幅よりも短い。そして、第一不織布紐２１ａ，２１ｂと第二不織布紐２２ａ，２２ｂとの断面において、第二不織布紐２２ａ，２２ｂが第一不織布紐２１ａ，２１ｂを囲むような形状をしている。

紐状不織布３は、内層１１の上に、流路芯１０の長手方向に角度をもった方向に、巻き付けられていて、巻きつけられた紐状不織布３は、外層１２において、綾状の形状を形成する。図１において、Ａの領域には、紐状不織布３は描かれていないが、ここにも、紐状不織布３が巻きつけられている。外層１２において、紐状不織布３１と紐状不織布３２は、フィルタの半径方向に隣接する紐状不織布３１と紐状不織布３２とにおいて、第一不織布紐２１ａと第一不織布紐２１ｂとは接触しないように巻きつけられている。すなわち、外層１２は、隣接して接触する紐状不織布３１と紐状不織布３２において、第一不織布紐２１ａ，第一不織布紐２１ｂ同士が接触しないように巻きつけられて形成されている。第二不織布紐２２ａと第二不織布紐２２ｂとは接触する場合もあれば、接触しない場合もある。第一不織布紐２１ａ，２１ｂが第二不織布紐２２ａ，２２ｂとの断面において、第二不織布紐２２ａ，２２ｂが第一不織布紐２１ａ，２１ｂを囲むような形状となっているので、第一不織布紐２１ａと第一不織布紐２１ｂとは接触しない。

すなわち、外層１２において、紐状不織布３１と紐状不織布３２とが隣接して接触している箇所における紐状不織布３１と紐状不織布３２との断面では、第一不織布紐２１ａと第二不織布紐２２ａとが一つの束の紐状不織布３１を構成し、第二不織布紐２１ｂと第二不織布紐２２ｂとが一つの束の紐状不織布３２を構成する。そして、紐状不織布３１と紐状不織布３２との断面では、半径方向に第一不織布紐２１ａ，第二不織布紐２２ａ，第一不織布紐２１ｂ，第二不織布紐２２ｂの順に、第一不織布紐２１ａ，２１ｂと第二不織布紐２２ａ，２２ｂとが交互に出現するように、紐状不織布３が巻きつけられて外層１２を構成する。

この構成において、内層１１は捕捉性能の経時的な劣化を防ぐ経時安定層としての機能を有する。第一不織布紐２１ａ，２１ｂは不純物を捕捉するための主濾材として機能し、第二不織布紐２２ａ，２２ｂは不純物を捕捉するための予備濾材として機能するとともに、不純物を含む流体の流れを確保する流路材として機能する。すなわち、第一不織布紐２１ａ，第一不織布紐２１ｂ同士が接触しない構成は、不純物を含む流体の流れを確保する流路材により、常に流路を確保することが可能となり、捕捉性能の経時的な劣化を防ぐことが可能となる。

ここで、本発明のフィルタにおいて、捕捉性能の経時的変化の比較結果を説明する。試験は、まず、フィルタをアルコール浸漬した後に通水してフィルタを十分に濡らし、不純物が含まれる液体試料(原液)をフィルタに通して濾過を行う。通水でフィルタ内部に充満していた水が液体試料(原液)と置き換わる3分後に、濾過後液体を検査して、濾過前の液体の濁度と濾過後の液体の濁度との差を測定して、捕捉効率を算出する。ここで、任意の液体の捕捉効率は、以下で表される。

捕捉効率（％）＝｛（液体の濁度−濾過後の液体の濁度）／液体の濁度｝×１００

初期捕捉効率とは、濾過開始直後（初期）に測定算出した捕捉効率を意味する。すなわち、補足効率は濾過により減少した濁度（捕捉された粒子）の割合を意味する。したがって、補捉効率が高いということは、「液体の濁度」と、「濾過後の液体の濁度」との濁度差が大きいことになるから、より多くの粒子が捕捉されたことを意味し、フィルタの基本的性能が高いことを意味する。捕捉性能が高いとフィルタは一般に目詰まりを起こすため、液体の流れを阻害することになる。したがって、フィルタの経時安定性は、初期の捕捉効率をいかに長く維持できるかの度合いを示している。

これについて、第一不織布紐２１ａ，２１ｂのみを巻き付けることで外層１２として形成した場合（ケース１）と、図２に示す本発明の構成であるように、第一不織布紐２１ａと第二不織布紐２２ａと、第一不織布紐２１ｂと第二不織布紐２２ｂとを、それぞれ一つの束として形成させ、第一不織布紐２１ａ，第一不織布紐２１ｂ同士が接触しないようにした場合（ケース２）とで比較すると、ケース１では初期捕捉効率が７７パーセントであって性能維持時間が４８分であることであるのに対し、ケース２では初期捕捉効率が７５パーセントであって性能維持時間が５６分と長くなる。これは、本願発明のように、不純物を含む流体の流れを確保する流路材の存在による経時安定性の効果が高いことがわかる。

さらに、内層１１無しに流路芯１０の周りの外側に紐状不織布３を巻き付けた構成の場合（ケース３）と、本願のように、不織布を巻き付けた内層１１を配置して内装の外側に紐状不織布３を巻き付けた外層１２を配置した場合（ケース４）とを比較すると、ケース３では初期捕捉効率８０パーセントであってその性能維持時間が１７分であるところ、ケース４では初期捕捉効率７５パーセントであってその性能維持時間が５６分である。このように、本願発明のように、内層１１を配置することにより捕捉性能の経時安定性の効果が高いことがわかる。

また、外層１２が、隣接して接触する紐状不織布３１，３２において、第一不織布紐２１ａ，第一不織布紐２１ｂ同士が接触するような構成とした場合（ケース５）と、第一不織布紐２１ａ，第一不織布紐２１ｂ同士が接触しないような構成とした場合（ケース６）とを比較すると、ケース５では初期捕捉効率８１パーセントであってその性能維持時間が４２分であるところ、ケース６では初期捕捉効率７５パーセントであってその性能維持時間が５６分である。このように、本願発明のように、第一不織布紐２１ａ，第一不織布紐２１ｂ同士が接触しないような構成とすることにより、捕捉性能の経時安定性の効果が高いことがわかる。

１ フィルタ
３ 紐状不織布
４ フィルタ部材
１０ 流路芯
１１ 内層
１２ 外層

Claims (4)

1. 流路芯の周りに配置される不織布の内層と、
   前記内層の上に紐状不織布が巻きつけられて形成される外層と、を有する筒状フィルタであって、
   前記紐状不織布は、一の繊維径で出来た不織布の第一不織布紐と、前記一の繊維径よりも太い繊維径で出来た第二不織布紐と、が重ねて形成されていて、
   前記外層は、隣接して接触する前記紐状不織布において、前記第一不織布紐同士が接触しないように、巻きつけられて形成されている筒状フィルタ。
2. 請求項１に記載の筒状フィルタであって、
   前記第一不織布紐と前記第二不織布紐とは、その断面において、前記第一不織布紐が前記第二不織布紐に囲まれている筒状フィルタ。
3. 請求項１または２に記載の筒状フィルタであって、
   前記外層において、前記紐状不織布が隣接して接触している箇所における前記紐状不織布の断面は、前記第一不織布紐と前記第二不織布紐とが、前記に向かって交互に出現するような筒状フィルタ。
4. 請求項１から３のいずれか一項に記載の筒状フィルタであって、
   前記外層において、前記紐状不織布は、前記第一不織布紐と前記第二不織布紐とが、一つの束の紐部材として形成されて、巻きつけられている筒状フィルタ。
   
   
   

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