JPWO2018029727A1 - タイヤ加硫金型、タイヤ加硫装置及びタイヤの製造方法 - Google Patents

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Abstract

実施形態に係るタイヤ加硫金型は、タイヤのトレッド部1を成型するタイヤ周方向に分割されたセクタ13と、タイヤのサイドウォール部2を成型する上下一対のサイドプレート11,12と、を備えたものである。セクタ13と上下一対のサイドプレート11,12とで形成される金型分割線16a,17aは、トレッド部1に位置し、かつ、トレッド部1における表面意匠の屈曲点8cを通るように設定されている。

Description

本発明は、タイヤ加硫金型、該タイヤ加硫金型を含むタイヤ加硫装置、及びタイヤの製造方法に関する。
タイヤは、未加硫のグリーンタイヤを作製し、タイヤ加硫装置を用いてグリーンタイヤを所定形状に成型しつつ加硫することにより製造される。
タイヤ加硫装置は、グリーンタイヤを所定形状に成型する加硫金型として、タイヤのトレッド部を形成するセクタと、タイヤのサイドウォール部を形成する上下一対のサイドプレートとを備えたものが知られている。
このタイヤ加硫装置では、上側のサイドプレート及びセクタを下側のサイドプレートから離隔させた型開き状態において、下側のサイドプレートにグリーンタイヤをセットした後、上側のサイドプレートを下降するとともにセクタをタイヤ径方向内方へ移動させることにより、下側のサイドプレートに上側のサイドプレート及びセクタを近接させて型閉め状態となる。なお、セクタは周方向で複数に分割されており、型開き状態では放射状に離間し、型閉め状態では互いに寄り集まって環状をなす。
トレッド部やサイドウォール部の外表面には、種々の凹凸形状のパターンが形成されている。タイヤの意匠性を向上させるため、トレッド部からサイドウォール部にかけて連続する凹凸形状を形成することがある。このようなパターンを形成する場合、セクタとサイドプレートとで形成される金型分割線をサイドウォール部に配置すると、金型分割線においてはみ出したゴムが外観上目立つ位置に発生するおそれがある。
一方、セクタとサイドプレートとで形成される金型分割線をトレッド部に配置する技術が知られている(特許文献1,2参照)。この場合、目立ちやすいサイドウォール部でのはみ出しゴムの発生は抑制することができる。
特開2001−96538号公報 特開2000−87936号公報
しかしながら、金型分割線をトレッド部に配置すると、トレッド部において金型分割線からゴムがはみ出すことにより外観性の悪化を招くおそれがある。
本発明は、以上の点に鑑み、金型分割線をトレッド部に配置したものでありながら、トレッド部における外観性を向上することができるタイヤ加硫金型を提供することを目的とする。
本発明の第1の態様に係るタイヤ加硫金型は、タイヤを加硫成型するタイヤ加硫金型において、タイヤのトレッド部を成型するタイヤ周方向に分割されたセクタと、タイヤのサイドウォール部を成型する上下一対のサイドプレートと、を備え、前記セクタと上下一対の前記サイドプレートとで形成される金型分割線が、前記トレッド部に位置し、かつ、前記トレッド部における表面意匠の屈曲点を通るように設定されたものである。
一実施形態において、前記表面意匠の屈曲点は、前記トレッド部のショルダー領域に位置する陸部の横溝に沿う稜線の屈曲点でもよい。その場合、前記横溝は、前記金型分割線での溝幅に対して当該金型分割線のタイヤ幅方向外側での溝幅が大きく設定されてもよい。他の実施形態において、前記トレッド部のショルダー領域に位置する陸部の稜線に突条を成型するための突条成型用溝が設けられ、前記金型分割線が前記突条成型用溝に重なる部分を含んでもよい。更に他の実施形態において、前記トレッド部が、第1のトレッド端を持つ第1陸部と、前記第1のトレッド端よりもタイヤ幅方向外側に位置する第2のトレッド端を持つ第2陸部と、を含み、前記金型分割線が前記第1のトレッド端に重なる部分を含んでよい。
本発明の第2の態様に係るタイヤ加硫装置は、タイヤを加硫成型するタイヤ加硫金型において、タイヤのトレッド部を成型するタイヤ周方向に分割されたセクタと、タイヤのサイドウォール部を成型する上下一対のサイドプレートと、を備え、前記セクタと上下一対の前記サイドプレートとで形成される金型分割線が、前記トレッド部に位置し、前記トレッド部が、第1のトレッド端を持つ第1陸部と、前記第1のトレッド端よりもタイヤ幅方向外側に位置する第2のトレッド端を持つ第2陸部と、を含み、前記金型分割線が前記第1のトレッド端に重なる部分を含むものである。
本発明に係るタイヤ加硫装置は、上記各態様のタイヤ加硫金型と、前記セクタに固定されタイヤ径方向に前記セクタを移動させるセグメントと、上下一対の前記サイドプレートに固定され前記セグメントを摺動可能に支持する上下一対の取付プレートと、を備えるものである。
タイヤ加硫装置は、一実施形態において、前記セグメントが、上下一対の前記取付プレートを摺動する上下一対の摺動面を備え、上下一対の前記摺動面が、タイヤ径方向外側ほどタイヤ幅方向中央部に向かうように傾斜し、前記セグメントは、前記セクタをタイヤ径方向外方へ移動させると、上下一対の前記摺動面が上下一対の前記取付プレートを摺動し、前記金型分割線を含む金型分割面の間隔を広げるものであってもよい。その場合、前記金型分割線を含む金型分割面が、タイヤ径方向と平行に設けられてもよい。
本発明に係るタイヤの製造方法は、グリーンタイヤを成形する成形工程と、上記のタイヤ加硫装置を用いてグリーンタイヤを加硫成型する加硫工程と、を含むものである。
本実施形態であると、仮に金型分割線からゴムがはみ出したとしても、はみ出したゴムを表面意匠の一部と感じることができるので、外観性を向上することができる。
一実施形態に係るタイヤ加硫装置の加硫時における状態を示す半断面図 同実施形態に係るトレッドパターンを示す平面図 図2のIII−III線におけるタイヤ加硫時の断面図 図2のIV−IV線におけるタイヤ加硫時の断面図 同タイヤ加硫装置の開閉動作を説明する図 同タイヤ加硫装置の開閉動作を説明する図 同タイヤ加硫装置の開閉動作を説明する図 図7の要部拡大図 図7の要部拡大図 他の実施形態に係るトレッドパターンを示す平面図 図10のXI−XI線におけるタイヤ加硫時の断面図 更に他の実施形態に係るトレッドパターンを示す平面図
以下、本発明の実施形態について、図面を参照して説明する。
タイヤ加硫装置は、図1に示すように、タイヤ加硫金型(以下、単に加硫金型という)10と、加硫金型10が取り付けられるコンテナ30と、加硫金型10やコンテナ30を上下動させる第1昇降手段50及び第2昇降手段51と、ブラダー60とを備える。タイヤ加硫装置は、タイヤ軸方向が上下になるようにセットされた未加硫のグリーンタイヤを加熱及び加圧により、所定形状に成型しつつ加硫する。
加硫金型10は、上下一対の上側サイドプレート11及び下側サイドプレート12と、周方向に分割された複数のセクタ13と、上下一対のビードリング14,15とを備え、タイヤTの外表面(意匠面)を形成する金型である。加硫金型10の材料としては、アルミニウムやアルミニウム合金や鉄などの金属材料を用いることができる。
セクタ13は、タイヤTのトレッド部1を成型する金型であり、タイヤ周方向に複数(例えば、9個)に分割され、タイヤ放射方向(タイヤ径方向)に拡縮変位可能に設けられている。各セクタ13を型閉め位置に配置した型閉め状態では、タイヤ周方向に隣合うセクタ13が、互いに寄り集まって環状をなしている。
上側サイドプレート11は、タイヤTの上方に配置されたサイドウォール部2及びビード部3を成型する金型である。下側サイドプレート12は、下方に配置されたサイドウォール部2及びビード部3を成型する金型である。上側サイドプレート11及び下側サイドプレート12のタイヤ径方向内側にはそれぞれビードリング14,15が設けられている。ビードリング14,15は、タイヤTのビード部3が嵌合可能に構成されている。
加硫金型10は、タイヤ幅方向に金型を分割する合わせ型の分割線(パーティングライン)、つまり、セクタ13と上側サイドプレート11とで形成される金型分割線16aと、セクタ13と下側サイドプレート12とで形成される金型分割線17aを備える。金型分割線16a,17aは、タイヤTのトレッド部1に位置しており、そのため、この加硫金型10では、セクタ13と上下一対のサイドプレート11,12とがトレッド面にてタイヤ幅方向に分割されるように構成されている。
金型分割線16a,17aを含む金型分割面、つまり、セクタ13と上側サイドプレート11との合わせ面である金型分割面16と、セクタ13と下側サイドプレート12との合わせ面である金型分割面17は、ともに、金型分割線16a,17aからタイヤ径方向外方に延び、この例ではセクタ13の移動方向であるタイヤ径方向に対して平行(即ち、水平)に設けられている。なお、金型分割線16a,17aは、金型分割面16,17の内側端部、すなわちキャビティに面する端部に位置する分割線である。
金型分割線16a,17aは、本実施形態では、トレッド部1のショルダー領域における表面意匠の屈曲点を通るように設定されている。表面意匠とは、トレッドパターンとも称されるトレッド面(即ち、接地面)の形状であり、例えば、トレッド部に設けられたブロックやリブなどの陸部の稜線やサイプなどにより表される形状である。また、その屈曲点は、直線同士の交点でもよく、曲線同士の交点でもよく、直線と曲線の交点でもよい。
金型分割線16a,17aの配置構成について、図2〜4に基づき説明する。
図2に示すように、トレッド部1は、屈曲しながらタイヤ周方向に延びる主溝4と該主溝4に交差する横溝5とにより区画された複数のブロックを備える。なお、タイヤ周方向は、図2において符号CDで示す方向である。タイヤ幅方向は、符号WDで示す方向であり、タイヤ幅方向内側(即ち、中央部側)とはタイヤ赤道CLに近づく方向であり、タイヤ幅方向外側とはタイヤ赤道CLから離れる方向である。
トレッド部1は、タイヤ赤道CLを含むセンター領域に位置する一対の中央ブロック列6a,6aと、その両側のショルダー領域に位置する一対のショルダーブロック列6b,6bとを有する。ショルダー領域とは、トレッド部におけるタイヤ幅方向端部に位置する領域であり、主溝とタイヤ接地端とに挟まれた、当該タイヤ接地端を含む領域である。
図2〜4に示すように、ショルダーブロック列6bは、第1のトレッド端7aを持つ第1陸部(ブロック)7と、第1のトレッド端7aよりもタイヤ幅方向外側に位置する第2のトレッド端8aを持つ第2陸部(ブロック)8とで構成されている。この例では、ショルダーブロック列6bは、第1陸部7と、該第1陸部7よりもタイヤ幅方向外側に延在した第2陸部8とを、タイヤ周方向に交互に設けてなる。ここで、これら陸部のトレッド端とは、各陸部におけるタイヤ幅方向外側の接地端のことである。
このようなトレッドパターンを持つものにおいて、本実施形態では、金型分割線16a,17aが、第2陸部8の稜線8bの屈曲点8cを通るように設定されている。稜線8bは、第2陸部8の稜線のうち当該陸部8を区画する横溝5に沿う稜線8bであり、トレッド面(即ち、接地面)における稜線8bの屈曲点8cが金型分割位置に設定されている。図2中に一部拡大して示すように、屈曲点8cは、稜線8bの曲線部8dと直線部8eとの交点である。ここで、稜線とは、陸部(ブロック)の側面と上面(トレッド面)とが交わったところに生じる線である。
金型分割線16a,17aは、全周にわたってタイヤ周方向に平行に延びており、タイヤ赤道CLから金型分割線16a,17aまでの距離が全周にわたって一定に設定されている。そのため、金型分割線16a,17aは、第2陸部8において上記の屈曲点8cを通ってタイヤ周方向に平行に延びている。
また、本実施形態において、金型分割線16a,17aは、第1のトレッド端7aに重なる部分を含む。詳細には、金型分割線16a,17aは、第1陸部7においては、そのタイヤ幅方向外縁である、第1のトレッド端7a上を、タイヤ周方向に延びており、すなわち、第1のトレッド端7aに一致している。
上記のトレッドパターンを成型するため、加硫金型10には、トレッド部1に主溝4を成型するための主溝成型用リブ(不図示)と、横溝5を形成するための横溝成型用リブ18とが設けられている(図3及び図4参照)。セクタ13から上側サイドプレート11に跨がって設けられた横溝成型用リブ18は、金型分割線16aにより分割されている。また、セクタ13から下側サイドプレート12に跨がって設けられた横溝成型用リブ18は、金型分割線17aにより分割されている。そのため、横溝成型用リブ18は、セクタ13に設けられた第1リブ部18aと、サイドプレート11,12に設けられた第2リブ部18bとからなり、これら第1リブ部18aと第2リブ部18bを金型分割線16a,17aにおいて接合することで構成されている。
コンテナ30は、セクタ13を保持する複数のセグメント31と、セグメント31をタイヤ径方向に移動させるジャケットリング32と、上側サイドプレート11及び上側のビードリング14を支持するとともにセグメント31の上側に配置された上側取付プレート33と、下側サイドプレート12及び下側のビードリング15を支持するとともにセグメント31の下側に配置された下側取付プレート34とを備える。
セグメント31は、セクタ13のタイヤ径方向外側において、分割されたセクタ13ごとに設けられており、各セグメント31はボルト35によって対応するセクタ13に固定されている。
セグメント31の上面には、タイヤ径方向外側ほどタイヤ幅方向中央部(つまり、下方へ)に向かうように傾斜する上側摺動面36が設けられている。上側摺動面36は、上側取付プレート33に設けられた上側スライド37を摺動する。セグメント31の下面には、タイヤ径方向外側ほどタイヤ幅方向中央部(つまり、上方へ)に向かうように傾斜する下側摺動面38が設けられている。下側摺動面38は下側取付プレート34に設けられた下側スライド39を摺動する。
上側摺動面36及び下側摺動面38の傾斜角度は、特に制限が無いが、タイヤ径方向に対して5°以上10°以下であることが好ましい。また、セグメント31に設けられた上側摺動面36及び下側摺動面38は、好ましくは、湾曲することのない平面からなり、上側スライド37及び下側スライド39に対して面接触状態で摺動する。
セグメント31は、セクタ13が取り付けられた側面と反対側(タイヤ径方向外側)の側面が、下方に向かってタイヤ径方向外方に傾斜する傾斜面40をなしている。
ジャケットリング32は、複数のセグメント31の径方向外側に設けられた環状の部材である。ジャケットリング32の内周面は、セグメント31のタイヤ径方向外側に設けられた傾斜面40に沿って傾斜しており、傾斜面40に摺動可能な状態で取り付けられている。ジャケットリング32は、セグメント31に対して相対的に上下動することで、傾斜面40を摺動しながらセグメント31をタイヤ径方向に移動させる。これにより、セクタ13がタイヤ径方向に拡縮変位可能に構成されている。
上側取付プレート33の下面には、上側サイドプレート11と上側スライド37が固定されている。上側スライド37は、上側サイドプレート11のタイヤ径方向外側であって、セグメント31の上面に設けられた上側摺動面36と対向する位置に配置され、セグメント31をタイヤ径方向に摺動可能に支持する。
下側取付プレート34の上面には、下側サイドプレート12と下側スライド39が固定されている。下側スライド39は、下側サイドプレート12のタイヤ径方向外側であって、セグメント31の下面に設けられた下側摺動面38と対向する位置に配置され、セグメント31をタイヤ径方向に摺動可能に支持する。
第1昇降手段50は、下側取付プレート34に対して上側取付プレート33を相対的に上下動させる。第2昇降手段51は、上側取付プレート33に支持されたセグメント31と別個にジャケットリング32を上下動させる。
ブラダー60は、軸方向中央部が外側に膨出したトロイダル状をなした拡縮可能なゴム弾性体からなり、グリーンタイヤの内面側に配置されて加圧気体(例えば、蒸気や窒素ガス等)の供給によって膨らみグリーンタイヤを内側から加圧する。ブラダー60は、その軸方向両端部である上端部と下端部が伸縮支持部61により支持されている。伸縮支持部61は、ブラダー60の上端部を固定する上側クランプリング62と、ブラダー60の下端部を固定する下側クランプリング63と、伸縮可能な伸縮軸部64とを備えてなる。
以上のような構成を備えたタイヤ加硫装置を用いた、空気入りタイヤの製造方法について説明する。製造に際しては、公知の方法によりグリーンタイヤを成形し、上記タイヤ加硫装置を用いてグリーンタイヤを加硫成型する。
図5〜7は、上記タイヤ加硫装置の開閉動作を説明する図であり、いずれもグリーンタイヤ及びブラダー60は省略している。
加硫工程において、グリーンタイヤは、型開き状態のタイヤ加硫装置の加硫金型10に装着されるとともに、グリーンタイヤの内面側にブラダー60が装着される。図5は型開き状態を示したものであり、固定された下側サイドプレート12に対して、セクタ13及び上側サイドプレート11が上方に離間した位置にある。この状態で下側サイドプレート12にグリーンタイヤを装着してから、コンテナ30を下降させる。詳細には、第1昇降手段50を下降させて、上側取付プレート33に設けられた上側サイドプレート11及びセクタ13を下降させ、すなわち下側サイドプレート12に向かって移動させる。
図6に示すようにセグメント31が下側取付プレート34に当接すると、次は、図7に示すように第2昇降手段51によりジャケットリング32を下降させることにより、セグメント31に保持されたセクタ13をタイヤ径方向内方に移動させる。
その際、セグメント31は、下側摺動面38が下側取付プレート34の下側スライド39を摺動し、上側摺動面36が上側取付プレート33の上側スライド37を摺動して、タイヤ径方向内方へ移動する。上側摺動面36及び下側摺動面38は、タイヤ径方向外側ほどタイヤ幅方向中央部に向かうように傾斜している。そのため、セグメント31とともにセクタ13がタイヤ径方向内方へ移動すると、上側摺動面36の傾斜によって上側サイドプレート11が下降し、下側摺動面38の傾斜によってセクタ13が下降する。
そのため、セグメント31がタイヤ径方向内方に移動するに従って上側サイドプレート11と下側サイドプレート12の距離は近くなり、図1に示す型閉め状態となったときにはじめて、セクタ13と上下のサイドプレート11,12とで形成される金型分割面16,17の間隔がなくなる。すなわち、セクタ13がタイヤ径方向内方に移動している途中の段階では、図8に示すように、セクタ13と上側サイドプレート11との金型分割面16には隙間があり、また、図9に示すように、セクタ13と下側サイドプレート12との金型分割面17にも隙間がある。セクタ13が完全に縮径された段階で、これら金型分割面16,17の隙間がなくなる。
このようにして加硫金型10を図1に示す型閉め状態にするとともに、ブラダー60内に加圧気体を供給して膨張させることにより、加硫金型10とブラダー60との間でグリーンタイヤを加圧及び加熱し、この状態を所定時間維持することにより、タイヤTの加硫成型が行われる。
グリーンタイヤを加硫した後、加硫金型10を型開き状態にして、加硫済みのタイヤTをタイヤ加硫装置から取り出す取り出し工程を行う。加硫金型10を型閉め状態から型開き状態にするには、上記の型閉め動作と逆の動作を行えばよい。
詳細には、まず、第2昇降手段51によりジャケットリング32を上昇させることにより、セグメント31に保持されたセクタ13をタイヤ径方向外方に移動させる。その際、図7に示すようにセグメント31がタイヤ径方向外方へ移動すると、上側摺動面36は、上側取付プレート33を上方へ押し上げながら上側取付プレート33の上側スライド37上をタイヤ径方向外方へ摺動する。また、下側摺動面38は、下側取付プレート34の下側スライド39上をせり上がりながらタイヤ径方向外方へ摺動する。
上側摺動面36により上方へ押し上げられた上側取付プレート33は、セグメント31に対して上方へ移動するため、セグメント31が径方向外方へ移動を開始すると、図8に示すように、上側サイドプレート11もセグメント31に対して上方へ移動し、セクタ13と上側サイドプレート11とで形成される金型分割面16の間隔が広がる。
また、下側摺動面38では、セグメント31が径方向外方へ移動を開始すると、図9に示すように、固定された下側取付プレート34に対してセグメント31が上方へ移動し、セクタ13と下側サイドプレート12とで形成される金型分割面17の間隔が広がる。
そして、図6に示すようにセクタ13の拡径が完了した後、第1昇降手段50を上昇させて、図5に示すように上側サイドプレート11及びセクタ13を下側サイドプレート12に対して離間移動させる。そして、型開き状態になったタイヤ加硫装置から加硫済みのタイヤTを取り出す。
本実施形態によれば、セクタ13とサイドプレート11,12との金型分割線16a,17aを、トレッド部1の表面意匠の屈曲点8cを通るように設定したので、仮に屈曲点8c付近の金型分割線16a,17aからゴムがはみ出したとしても、屈曲点8cを通るはみ出しゴムを表面意匠の一部と感じることができる。すなわち、金型分割線16a,17aをデザインの一部と感じさせることができ、外観性を向上することができる。
なお、金型分割線を表面意匠の屈曲点を通るように設定する場合、必ずしも全ての屈曲点を通るように設定しなくてもよく、少なくとも1つの屈曲点を通るように設定すればよい。
本実施形態によれば、また、複数のトレッド端位置を持つショルダー領域において、タイヤ幅方向内側のトレッド端である第1のトレッド端7aに重なるように金型分割線16a,17aを設定している。そのため、仮に金型分割線16a,17aからゴムがはみ出したとしても、第1のトレッド端7aに沿ってはみ出したゴムを表面意匠の一部と感じることができ、外観性を向上することができる。
なお、上記実施形態では、ショルダー領域が2つのトレッド端位置を有する場合について説明したが、3つ以上のトレッド端位置を持つものであってもよい。すなわち、例えば、第1のトレッド端7aを持つ第1陸部7と、第2のトレッド端8aを持つ第2陸部8とともに、これら第1及び第2のトレッド端とはタイヤ幅方向での位置が異なる第3のトレッド端を持つ第3陸部を含んでもよい。この場合、金型分割線は、タイヤ幅方向で最も内側のトレッド端に重なるように設定することが好ましい。
本実施形態によれば、また、上側取付プレート33及び下側取付プレート34に対して摺動する上側摺動面36及び下側摺動面38が、タイヤ径方向外側ほどタイヤ幅方向中央部に向かうように傾斜している。そのため、セグメント31が径方向外方へ移動を開始すると、セクタ13と上側サイドプレート11及び下側サイドプレート12で形成される金型分割面16、17の間隔が広がる。そのため、タイヤ加硫装置の開閉を繰り返しても、金型分割面16,17が擦れ合うことがなく金型分割面16,17の間隔を適正値に維持することができ、タイヤ加硫装置の耐久性を向上させることができる。しかも、セグメント31が径方向外方へ移動を開始した直後に上側サイドプレート11が加硫成型後のタイヤTから離れる方向へ移動するため、タイヤTを脱型しやすくなる。
また、本実施形態のタイヤ加硫装置において、セグメント31に設けられた上側摺動面36及び下側摺動面38が、上側スライド37及び下側スライド39に対して面接触状態で摺動する平面であると、セグメント31ががたつくこと無く位置精度良く移動させることができ、型閉め状態におけるセクタ13の位置ずれを抑えることができる。
なお、上記実施形態では、金型分割面16,17をタイヤ径方向に対して平行に設けたが、タイヤ径方向に対して斜めに傾斜させて設けてもよい。すなわち、金型分割面16,17は、タイヤ径方向外側ほどタイヤ幅方向外側に向かうように傾斜させて設けてもよい。その場合でも、上側摺動面36及び下側摺動面38の傾斜により、タイヤを脱型しやすくなる。また、仮に型開き及び型閉めの繰り返しにより摺動面36,38で摩滅が生じて上側サイドプレート11と下側サイドプレート12との間隔が狭まったとしても、セグメント31のタイヤ径方向への移動に伴って上側サイドプレート11と下側サイドプレート12の間隔を漸次狭めなから型閉めすることができるので、金型分割面16,17の早期の擦れ合いを抑制でき、耐久性を向上することができる。
図10は、第2の実施形態に係るトレッドパターンでの金型分割線の配置構成を示したものであり、図11はそのXI−XI線断面図である。図10ではタイヤ赤道CLに対して一方側のみを示しているが、反対側も同様に構成されている。
第2の実施形態では、図2に示す第1の実施形態のトレッドパターンにおいて、トレッド部1のショルダー領域に位置する陸部(即ち、第1陸部7及び第2陸部8)の稜線に沿って突条9を設けている。突条9は、第1陸部7及び第2陸部8の接地面の周縁部において全周にわたって設けられた微小突条である。突条9の大きさは特に限定されないが、例えば、幅1mm以下かつ高さ1mm以下でもよい。
図11に示すように、加硫金型10には、突条9を成型するための突条成型用溝19が設けられている。この溝19はソーカットとも称される細溝である。金型分割線16a,17aは、溝19に重なる部分を含む。詳細には、金型分割線16a,17aは、第1陸部7を成型する部分において、第1のトレッド端7aに沿って設けられた溝19上を、タイヤ周方向に延びており、すなわち第1のトレッド端7aの溝19と一致している。そのため、金型分割線16a,17aは、第1陸部7において溝19に重なるとともに第1のトレッド端7aにも重なるように設定されている。
なお、金型分割線16a,17aは、第2陸部8において、その稜線8bの屈曲点8cを通るように設定されており、該稜線8bには突条9を成型するための突条成型用溝19が設けられている。そのため、金型分割線16a,17aは、第2陸部8を成型する部分において、屈曲点8cを通るとともに、溝19を横切るように設定されている。
このように金型分割線16a,17aを突条成型用溝19上に設定することにより、加硫成型時の排気性を向上して、第1陸部7におけるベア(空気溜まりによる窪み)を抑制することができる。特に、本実施形態であると、上側摺動面36及び下側摺動面38の上記傾斜により、型閉め完了の直前までセクタ13とサイドプレート11,12との金型分割面16,17に隙間が確保されているため、溝19を介して金型分割面16,17から効果的に排気することができる。第2の実施形態について、その他の構成及び作用効果については第1の実施形態と同様であり、説明は省略する。
図12は、第3の実施形態に係るトレッドパターンでの金型分割線の配置構成を示したものである。図12ではタイヤ赤道CLに対して一方側のみを示しているが、反対側も同様に構成されている。
第3の実施形態では、第1の実施形態のトレッドパターンにおいて、金型分割線16a,17aよりもタイヤ幅方向外側で横溝5の溝幅を拡幅した点に特徴がある。
詳細には、第3の実施形態では、タイヤ周方向に交互に配された第1陸部7と第2陸部8の間に横溝5aと横溝5bが交互に配され、第1陸部7の横溝5aに沿う稜線7bに屈曲点7cがあり、第2陸部8の横溝5bに沿う稜線8bに屈曲点8cがある。これら屈曲点7c,8cは、当該屈曲点7c,8cよりもタイヤ幅方向外側で横溝5a,5bの溝幅が大きくなる屈曲形状に設けられている。
そして、金型分割線16a,17aは、第1のトレッド端7aよりもタイヤ幅方向内側に位置しており、第1陸部7の稜線7bの屈曲点7cと、第2陸部8の稜線8bの屈曲点8cを通るように設定されている。そのため、第1陸部7と第2陸部8とを区画する横溝5a,5bは、金型分割線16a,17aでの溝幅に対して、当該金型分割線16a,17aのタイヤ幅方向外側での溝幅が大きく設定されている。この例では、横溝5a,5bは、トレッド面内において、金型分割線16a,17aからタイヤ接地端に向かって溝幅が漸次広くなるように形成されている。
第3の実施形態では、金型分割線16a,17aを表面意匠の屈曲点7c,8cに一致させたものにおいて、金型分割線16a,17aよりもタイヤ接地端側で横溝5a,5bを拡幅したことにより、悪路走破性を向上することができる。第3の実施形態について、その他の構成及び作用効果については第1の実施形態と同様であり、説明は省略する。
なお、本実施形態に係るタイヤとしては、乗用車用タイヤ、トラック、バス、ライトトラック(例えば、SUV車やピックアップトラック)などの重荷重用タイヤなど、各種車両用の空気入りタイヤが挙げられる。
以上の実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。
1…トレッド部、2…サイドウォール部、3…ビード部、5…横溝、7…第1陸部、7a…第1のトレッド端、8…第2陸部、8a…第2のトレッド端、8b…稜線、8c…屈曲点、9…突条、10…加硫金型、11…上側サイドプレート、12…下側サイドプレート、13…セクタ、16,17…金型分割面、16a,17a…金型分割線、19…突条成型用溝、31…セグメント、33…上側取付プレート、34…下側取付プレート、36…上側摺動面、38…下側摺動面

Claims (10)

  1. タイヤを加硫成型するタイヤ加硫金型において、
    タイヤのトレッド部を成型するタイヤ周方向に分割されたセクタと、
    タイヤのサイドウォール部を成型する上下一対のサイドプレートと、を備え、
    前記セクタと上下一対の前記サイドプレートとで形成される金型分割線が、前記トレッド部に位置し、かつ、前記トレッド部における表面意匠の屈曲点を通るように設定された、タイヤ加硫金型。
  2. 前記表面意匠の屈曲点が、前記トレッド部のショルダー領域に位置する陸部の横溝に沿う稜線の屈曲点である、請求項1に記載のタイヤ加硫金型。
  3. 前記横溝は、前記金型分割線での溝幅に対して当該金型分割線のタイヤ幅方向外側での溝幅が大きく設定された、請求項2に記載のタイヤ加硫金型。
  4. 前記トレッド部のショルダー領域に位置する陸部の稜線に突条を成型するための突条成型用溝が設けられ、前記金型分割線が前記突条成型用溝に重なる部分を含む、請求項1〜3のいずれか1項に記載のタイヤ加硫金型。
  5. 前記トレッド部が、第1のトレッド端を持つ第1陸部と、前記第1のトレッド端よりもタイヤ幅方向外側に位置する第2のトレッド端を持つ第2陸部と、を含み、前記金型分割線が前記第1のトレッド端に重なる部分を含む、請求項1〜4のいずれか1項に記載のタイヤ加硫金型。
  6. タイヤを加硫成型するタイヤ加硫金型において、
    タイヤのトレッド部を成型するタイヤ周方向に分割されたセクタと、
    タイヤのサイドウォール部を成型する上下一対のサイドプレートと、を備え、
    前記セクタと上下一対の前記サイドプレートとで形成される金型分割線が、前記トレッド部に位置し、
    前記トレッド部が、第1のトレッド端を持つ第1陸部と、前記第1のトレッド端よりもタイヤ幅方向外側に位置する第2のトレッド端を持つ第2陸部と、を含み、前記金型分割線が前記第1のトレッド端に重なる部分を含む、タイヤ加硫金型。
  7. 請求項1〜6のいずれか1項に記載のタイヤ加硫金型と、
    前記セクタに固定されタイヤ径方向に前記セクタを移動させるセグメントと、
    上下一対の前記サイドプレートに固定され前記セグメントを摺動可能に支持する上下一対の取付プレートと、を備える、タイヤ加硫装置。
  8. 前記セグメントは、上下一対の前記取付プレートを摺動する上下一対の摺動面を備え、
    上下一対の前記摺動面は、タイヤ径方向外側ほどタイヤ幅方向中央部に向かうように傾斜し、
    前記セグメントは、前記セクタをタイヤ径方向外方へ移動させると、上下一対の前記摺動面が上下一対の前記取付プレートを摺動し、前記金型分割線を含む金型分割面の間隔を広げる、請求項7に記載のタイヤ加硫装置。
  9. 前記金型分割線を含む金型分割面が、タイヤ径方向と平行に設けられた、請求項8に記載のタイヤ加硫装置。
  10. グリーンタイヤを成形する成形工程と、請求項7〜9のいずれか1項に記載のタイヤ加硫装置を用いてグリーンタイヤを加硫成型する加硫工程と、を含むタイヤの製造方法。
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