JPWO2018021486A1 - 眼鏡用レンズおよび眼鏡 - Google Patents

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Abstract

本発明は、レンズ基材および選択反射層を含む眼鏡用レンズであって、上記選択反射層は450nm〜500nmの波長域に中心波長を有する選択反射を示し、上記選択反射の半値幅が20nm〜45nmである眼鏡用レンズを提供する。本発明の眼鏡用レンズは、ブルーライトを効果的に遮断する一方で可視光領域の光線透過率が高く、また黄色味が少ない。

Description

本発明は、眼鏡用レンズおよび眼鏡に関する。
ブルーライトはメラトニン分泌を抑制し、概日リズムに影響を与えることが知られている。特に、パーソナルコンピューター、スマートフォン、ゲーム端末などの画像表示装置のバックライトや照明に用いられているLEDは、ブルーライト波長域で強い発光を示す。
ブルーライトの人体への影響を低減するための各種眼鏡が市販されている。ブルーライトを遮断する眼鏡用レンズとしては、吸収色素を使用したもの(例えば、特許文献1)が知られ、光学多層膜の反射を利用したものも提案されている(例えば、特許文献2)。さらに、特許文献3には、液晶化合物とキラル剤とを含む組成物の硬化皮膜を眼鏡用レンズに使用することに関する記載がある。
WO2010/111499 特開2015−203856号公報 特開2016−6184号公報
特許文献1および特許文献2に記載のような、ブルーライトを遮断する眼鏡用レンズは、青色の補色である黄色味が強いものとなる。一方、特許文献3では、上記硬化皮膜は黄色味の問題が低減されたとの記載がある。しかし、特許文献3では、上記硬化皮膜がブルーライト波長域を含む広い波長域で透過率が低いことを示すデータが開示されており、黄色味の低減は青色波長域の反射率を他の波長域と比べて相対的に下げたことに由来すると考えられる。
本発明は、ブルーライトを効果的に遮断する一方で可視光領域の光線透過率が高く、かつ黄色味が低減された眼鏡用レンズを提供することを課題とする。本発明は特に、斜めから見たときの黄色味が低減された上記眼鏡用レンズを提供することを課題とする。
本発明者らは、ほ乳類の網膜上に近年新たに発見された光受容器である内因性光感受性網膜神経節細胞(ipRGC)が450nm〜500nmの波長域で極大となる光応答を示すことに着目した。この細胞は特に概日リズムに関わっていると考えられている。この波長域の光を選択的に遮断するとともに斜めから見たときに黄色味が出にくい構成について検討を重ねて、本発明を完成させた。
すなわち、本発明は下記の[1]〜[12]を提供するものである。
[1]レンズ基材および選択反射層を含む眼鏡用レンズであって、
上記選択反射層は、450nm〜500nmの波長域に中心波長を有する選択反射を示し、上記選択反射の半値幅が20nm〜45nmである上記眼鏡用レンズ。
[2]上記選択反射層の上記中心波長における光線透過率が50%以下である[1]に記載の眼鏡用レンズ。
[3]上記選択反射層の上記中心波長における光線透過率が30%以下である[1]に記載の眼鏡用レンズ。
[4]400nm以上450nm未満の波長域、および500nm超780nm以下の波長域のいずれの波長においても、上記選択反射層の光線透過率が60%以上である[1]〜[3]のいずれかに記載の眼鏡用レンズ。
[5]上記眼鏡用レンズの中心に、上記眼鏡用レンズの法線方向に対して50°の角度から光を入射したときの光線透過率が、430nm〜780nmの範囲のいずれの波長においても60%以上である[1]〜[4]のいずれかに記載の眼鏡用レンズ。
[6]上記選択反射層がコレステリック液晶相を硬化したコレステリック液晶層を含む[1]〜[5]のいずれかに記載の眼鏡用レンズ。
[7]上記選択反射層が右円偏光を選択反射する上記コレステリック液晶層と左円偏光を選択反射する上記コレステリック液晶層とを含む[6]に記載の眼鏡用レンズ。
[8]上記コレステリック液晶層が複屈折Δnが0.15未満である液晶化合物を含む液晶組成物を硬化した層である[6]または[7]に記載の眼鏡用レンズ。
[9]上記液晶化合物が式(I)で表される重合性化合物である[8]に記載の眼鏡用レンズ;
式中、
Aは、置換基を有していてもよいフェニレン基または置換基を有していてもよいトランス−1,4−シクロヘキシレン基を示し、
Lは単結合、−CH2O−、−OCH2−、−(CH22OC(=O)−、−C(=O)O(CH22−、−C(=O)O−、−OC(=O)−、−OC(=O)O−、−CH=CH−C(=O)O−、および−OC(=O)−CH=CH−からなる群から選択される連結基を示し、
mは3〜12の整数を示し、
Sp1およびSp2はそれぞれ独立に、単結合、炭素数1から20の直鎖もしくは分岐のアルキレン基、および炭素数1から20の直鎖もしくは分岐のアルキレン基において1つまたは2つ以上の−CH2−が−O−、−S−、−NH−、−N(CH3)−、−C(=O)−、−OC(=O)−、または−C(=O)O−で置換された基からなる群から選択される連結基を示し、
1およびQ2はそれぞれ独立に、水素原子または以下の式Q−1〜式Q−5で表される基からなる群から選択される重合性基を示し、ただしQ1およびQ2のいずれか一方は重合性基を示す。
[10]上記レンズ基材がポリマーを含む[1]〜[9]のいずれかに記載の眼鏡用レンズ。
[11]上記レンズ基材、上記選択反射層およびハードコート層をこの順で含む[1]〜[10]のいずれかに記載の眼鏡用レンズ。
[12][1]〜[11]のいずれかに記載の眼鏡用レンズを含む眼鏡。
本発明により、ブルーライトを効果的に遮断する一方で可視光領域の光線透過率が高く、かつ黄色味が低減された眼鏡用レンズが提供される。本発明の眼鏡用レンズは特に斜めから見たときの黄色味が低減されている。本発明の眼鏡用レンズを用いて、ブルーライトを効果的に遮断し、視野が明るく、レンズの黄色味が少ない眼鏡を提供することができる。
実施例1、実施例2および比較例1のフィルムを用いて作製した眼鏡用レンズの透過スペクトル(正面)を示す図である。 実施例2および比較例1のフィルムを用いて作製した眼鏡用レンズの透過スペクトル(正面)を示す図である。 実施例2および実施例3のフィルムを用いて作製した眼鏡用レンズの透過スペクトル(正面)を示す図である。 実施例2および比較例1のフィルムを用いて作製した眼鏡用レンズの透過スペクトル(斜め50°)を示す図である。
以下、本発明を詳細に説明する。
なお、本明細書において「〜」とはその前後に記載される数値を下限値および上限値として含む意味で使用される。
本明細書において、例えば、「45°」、「平行」、「垂直」あるいは「直交」等の角度は、特に記載がなければ、厳密な角度との差異が5°未満の範囲内であることを意味する。厳密な角度との差異は、4°未満であることが好ましく、3°未満であることがより好ましい。
本明細書において、「(メタ)アクリレート」は、「アクリレートおよびメタクリレートのいずれか一方または双方」の意味で使用される。
本明細書において、円偏光につき「選択的」というときは、右円偏光成分または左円偏光成分のいずれかの光量が、他方の円偏光成分よりも多いことを意味する。具体的には「選択的」というとき、光の円偏光度は、0.3以上であることが好ましく、0.6以上がより好ましく、0.8以上がさらに好ましい。実質的に1.0であることがさらに好ましい。ここで、円偏光度とは、光の右円偏光成分の強度をIR、左円偏光成分の強度をILとしたとき、|IR−IL|/(IR+IL)で表される値である。
本明細書において、円偏光につき「センス」というときは、右円偏光であるか、または左円偏光であるかを意味する。円偏光のセンスは、光が手前に向かって進んでくるように眺めた場合に電場ベクトルの先端が時間の増加に従って時計回りに回る場合が右円偏光であり、反時計回りに回る場合が左円偏光であるとして定義される。
本明細書においては、コレステリック液晶の螺旋の捩れ方向について「センス」との用語を用いることもある。コレステリック液晶の螺旋の捩れ方向(センス)が右の場合は右円偏光を反射し、左円偏光を透過し、センスが左の場合は左円偏光を反射し、右円偏光を透過する。
可視光線は電磁波のうち、ヒトの目で見える波長の光であり、380nm〜780nmの波長域の光を示す。本明細書において、ブルーライトというとき、380nm〜550nm程度の波長の光を意味する。
本明細書において、所定の波長における「反射率」というとき、分光光度計を用いて、上記各波長に設定したときの反射率の測定値とする。具体的には分光光度計V−670(日本分光株式会社製)を用いて各波長における反射率を測定することができる。
本明細書において、可視光の光線透過率は、JIS A5759に記載された方法で求めた光線透過率とする。すなわち分光光度計にて、波長380nm〜780nmの透過率を測定し、CIE(国際照明委員会)昼光 D65の分光分布、CIE 明順応標準比視感度の波長分布および波長間隔から得られる重価係数を乗じて加重平均することによって光線透過率を求める。
<<眼鏡用レンズ>>
本発明の眼鏡用レンズは、レンズ基材および選択反射層を含む。本発明の眼鏡用レンズは、接着層などの他の層を含んでいてもよい。
眼鏡用レンズは、シート状または、板状であればよく、曲面を有していてもよい。曲面を有する眼鏡用レンズは、例えば曲面を有するレンズ基材を用いて作製することができる。
眼鏡用レンズの両側の表面は、いずれかの面が観察者側(眼球側)となり、他方が、観察物側(外界側)となるように作製される。本発明の眼鏡用レンズは、観察者側から、レンズ基材、選択反射層の順であってもよく、選択反射層、レンズ基材の順であってもよい。
眼鏡用レンズの両側の表面は、それぞれ独立して、凸面であっても凹面であっても、平面であってもよい。通常は、観察物側が凸面であり、かつ観察者側が凹面であることが好ましい。
眼鏡用レンズの厚みは特に限定されないが、中心(重心であればよい、以下同じ)において100μm〜20mmであることが好ましく、200μm〜15mmであることがより好ましく、300μm〜10mmであることがさらに好ましい。
眼鏡用レンズの可視光の光線透過率は、中心(重心であればよい)において80%以上であることが好ましく、85%以上であることがより好ましく、90%以上であることがさらに好ましく、95%以上であることが特に好ましい。
本発明の眼鏡用レンズは、その中心に、法線方向に対して50°の角度から光を入射したときの光線透過率が430nm〜780nmの範囲のいずれの波長においても、60%以上であることが好ましく、70%以上であることがより好ましく、80%以上であることがさらに好ましい。
<選択反射層>
本発明の眼鏡用レンズは、選択反射層を含む。選択反射層は450nm〜500nmの波長域に中心波長を有する選択反射を示す。選択反射層は、460nm〜490nmの波長域に中心波長を有する選択反射を示すことが好ましい。
また、上記の選択反射の半値幅は20nm〜45nmであり、40nm未満であることが好ましく、35nm未満であることがより好ましく、32nm未満であることがさらに好ましく、30nm未満であることが特に好ましい。
本発明の眼鏡用レンズは、ブルーライトのうち、内因性光感受性網膜神経節細胞(ipRGC)が特に関与する光の波長域である450nm〜500nmの特定の波長域の光を半値幅20nm〜45nmの狭帯域で反射する選択反射層を含むことにより、概日リズムへの影響の大きい波長域のブルーライトを遮断するとともに可視光線透過率が高くかつ黄色味が低減されている。また、このような選択反射層を用いた眼鏡用レンズでは斜め方向から見たときの黄色味を大幅に抑えることができる。
選択反射層の選択反射の中心波長と半値幅は以下のように求めることができる。なお、本明細書において、選択反射の中心波長は選択反射層の法線方向から測定した時の中心波長を意味する。
日本分光(株)製分光光度計V−670を用いて選択反射層の透過スペクトル(コレステリック液晶層の法線方向から測定したもの)を測定すると、透過率の低下ピークがみられる。この低下ピークの最も低い透過率と550±10nmにおける透過率平均との中間の透過率となる2つの波長のうち、短波長側の波長の値をλl(nm)、長波長側の波長の値をλh(nm)とすると、選択反射の中心波長と半値幅は下記式で表すことができる。
選択反射中心波長=(λl+λh)/2
半値幅=(λh−λl
選択反射層の選択反射中心波長における選択反射層の光線透過率は50%以下であることが好ましく、30%以下であることがより好ましい。また、選択反射層は500nm超780nm以下の波長域のいずれの波長においても、光線透過率が60%以上であることが好ましく、70%以上であることがより好ましく、80%以上であることがさらに好ましく、90%以上であることが特に好ましい。加えて、400nm以上450nm未満のいずれの波長においても、光線透過率が60%以上であることが好ましく、70%以上であることがより好ましく、80%以上であることがさらに好ましく、90%以上であることが特に好ましい。本明細書において、特定の波長における光線透過率は、選択反射層がないときの光強度を日本分光(株)製分光光度計V−670を用いて測定し、それに対する選択反射層があるときの光強度の比である。
選択反射層としては、例えばコレステリック液晶層を含む層または有機層の積層体を含む干渉膜などを用いることができる。選択反射層としては、コレステリック液晶層を含む層を用いることが好ましい。
[コレステリック液晶層]
選択反射層が、コレステリック液晶層を含む層であるとき、選択反射層はコレステリック液晶層を1層のみ含んでいても、2層以上含んでいてもよい。このとき、選択反射層は、コレステリック液晶層のほかに配向層などの他の層を含んでいてもよく、コレステリック液晶層のみからなっていてもよい。複数のコレステリック液晶層は、隣接するコレステリック液晶層と直接接していることが好ましい。
コレステリック液晶層を含む選択反射層の厚みは好ましくは1.0μm〜300μmの範囲、より好ましくは3.0μm〜100μmの範囲であればよい。
本明細書において、コレステリック液晶層はコレステリック液晶相を固定した層を意味する。コレステリック液晶層を単に液晶層ということもある。
コレステリック液晶相は、特定の波長域において右円偏光または左円偏光のいずれか一方のセンスの円偏光を選択的に反射させるとともに他方のセンスの円偏光を選択的に透過する円偏光選択反射を示すことが知られている。
円偏光選択反射性を示すコレステリック液晶相を固定した層を含むフィルムとして、重合性液晶化合物を含む組成物から形成されたフィルムは従来から数多く知られており、コレステリック液晶層については、それらの従来技術を参照することができる。
コレステリック液晶層は、コレステリック液晶相となっている液晶化合物の配向が保持されている層であればよく、典型的には、重合性液晶化合物をコレステリック液晶相の配向状態としたうえで、紫外線照射、加熱等によって重合、硬化し、流動性が無い層を形成して、同時に、また外場や外力によって配向形態に変化を生じさせることのない状態に変化した層であればよい。なお、コレステリック液晶層においては、コレステリック液晶相の光学的性質が層中において保持されていれば十分であり、層中の液晶化合物はもはや液晶性を示していなくてもよい。例えば、重合性液晶化合物は、硬化反応により高分子量化して、もはや液晶性を失っていてもよい。
本発明の眼鏡用レンズ中の選択反射層は、450nm〜500nmの波長域に選択反射の中心波長を有するコレステリック液晶層を含んでいればよい。
コレステリック液晶層の中心波長λは、コレステリック相における螺旋構造のピッチP(=螺旋の周期)に依存し、コレステリック液晶層の平均屈折率nとλ=n×Pの関係に従う。
上記λ=n×Pの式から分かるように、コレステリック液晶層の平均屈折率nまたは螺旋構造のピッチを調節することによって、選択反射の中心波長を調整できる。
コレステリック液晶相のピッチは重合性液晶化合物とともに用いるキラル剤の種類、またはその添加濃度に依存するため、これらを調整することによって所望のピッチを得ることができる。なお、螺旋のセンスやピッチの測定法については「液晶化学実験入門」日本液晶学会編 シグマ出版2007年出版、46頁、および「液晶便覧」液晶便覧編集委員会 丸善 196頁に記載の方法を用いることができる。
具体的には、コレステリック液晶相のピッチは、P=1/(β・c)で表すことができる。ここで、cはキラル剤の濃度、βはキラル剤が液晶を捩る力の指標であり、Helical Twisting Power (HTP)と呼ばれる指標である。HTPは、キラル剤と液晶化合物とを含む重合性液晶組成物から形成されたコレステリック液晶層の、選択反射波長λと、平均屈折率n、および加えたキラル剤濃度c(質量%)から、式HTP=n/(λ×0.01×c)を用いて算出することができる。
本発明の眼鏡用レンズ中の選択反射層は、異なる螺旋のセンスのコレステリック液晶層を含んでいてもよい。右円偏光を選択反射するコレステリック液晶層と左円偏光を選択反射するコレステリック液晶層とを含んでいてもよい。これらの層は、選択反射の中心波長の差異が10nm以下であることが好ましく、5nm以下であることがより好ましい。これらの層の選択反射の中心波長は実質的に同じであることが好ましい。選択反射の中心波長の差異が上記の範囲である右円偏光を選択反射するコレステリック液晶層と左円偏光を選択反射するコレステリック液晶層とを含むことにより、450nm〜500nmの波長域の光線透過率がより低い選択反射層となり、概日リズムへの影響の大きい波長域のブルーライトをより大幅に遮断する眼鏡用レンズの作製が可能である。
選択反射の中心波長が同じで異なる螺旋のセンスのコレステリック液晶層は、誘起する螺旋のセンスが異なるキラル剤を含む以外は同じ組成の液晶組成物を用いて後述の方法で作製することができる。
本発明の眼鏡用レンズ中の選択反射層は、450nm〜500nmの波長域に中心波長を有する選択反射において半値幅が20nm〜45nmである。そのためコレステリック液晶層は450nm〜500nmの波長域に中心波長を有する選択反射において半値幅が20nm〜45nmであることが好ましい。
選択反射を示す選択反射の半値幅Δλ(nm)は、液晶化合物の複屈折Δnと上記ピッチPに依存し、Δλ=Δn×Pの関係に従う。そのため、Δnを調整して半値幅を20nm〜45nmに制御することができる。Δnの調整は重合性液晶化合物の種類やその混合比率を調整したり、配向固定時の温度を制御したりすることで行うことができる。特に、複屈折Δnが0.15未満である低複屈折性液晶化合物を用いることが好ましい。
コレステリック液晶層に対して斜めに光が入射する場合は、見かけ上の選択反射の中心波長が短波長側にシフトする。具体的には、屈折率n2のコレステリック液晶層中でコレステリック液晶層の法線方向(コレステリック液晶層の螺旋軸方向)に対して光線がθ2の角度で通過するときの見かけ上の選択反射の中心波長をλdとするとき、λdは以下の式で表される。
λd=n2×P×cosθ2
したがって、コレステリック液晶層の選択反射の中心波長が450nm〜500nmの波長域にある場合、斜め方向から見たとき(例えば法線方向に対して、50°の角度から観察したとき)選択反射の中心波長の波長域は短波長側の380nm〜420nm程度の、人の視感度の低い波長域へシフトする。本発明の眼鏡用レンズは、特に選択反射の半値幅が小さいため、上記シフト後はさらに眼鏡の黄色味が抑えられる。
有機層の積層体を含む干渉膜を用いた場合も同様に斜め方向から見たときの眼鏡の黄色味を抑えることができる。
[コレステリック液晶層の作製方法]
コレステリック液晶層の形成に用いる材料としては、重合性液晶化合物を含む液晶組成物が挙げられる。液晶組成物は、さらにキラル剤(光学活性化合物)を含むことが好ましい。必要に応じてさらに界面活性剤や重合開始剤などと混合して必要に応じて溶媒に溶解した上記液晶組成物を、支持体、仮支持体、配向膜、下層となるコレステリック液晶層などに塗布し、配向熟成後、液晶組成物の硬化により固定化してコレステリック液晶層を形成することができる。
(重合性液晶化合物)
重合性液晶化合物としては、棒状液晶化合物を用いればよい。
棒状の重合性液晶化合物の例としては、棒状ネマチック液晶化合物が挙げられる。棒状ネマチック液晶化合物としては、アゾメチン類、アゾキシ類、シアノビフェニル類、シアノフェニルエステル類、安息香酸エステル類、シクロヘキサンカルボン酸フェニルエステル類、シアノフェニルシクロヘキサン類、シアノ置換フェニルピリミジン類、アルコキシ置換フェニルピリミジン類、フェニルジオキサン類、トラン類およびアルケニルシクロヘキシルベンゾニトリル類が好ましく用いられる。低分子液晶化合物だけではなく、高分子液晶化合物も用いることができる。
重合性液晶化合物は、重合性基を液晶化合物に導入することで得られる。重合性基の例には、不飽和重合性基、エポキシ基、およびアジリジニル基が含まれ、不飽和重合性基が好ましく、エチレン性不飽和重合性基が特に好ましい。重合性基は種々の方法で、液晶化合物の分子中に導入できる。重合性液晶化合物が有する重合性基の個数は、好ましくは1〜6個、より好ましくは1〜3個である。重合性液晶化合物の例は、Makromol.Chem.,190巻、2255頁(1989年)、Advanced Materials 5巻、107頁(1993年)、米国特許第4683327号明細書、同5622648号明細書、同5770107号明細書、国際公開WO95/22586、WO95/24455、WO97/00600、WO98/23580、WO98/52905、特開平1−272551号公報、同6−16616号公報、同7−110469号公報、同11−80081号公報、および特開2001−328973号公報などに記載の化合物が含まれる。2種類以上の重合性液晶化合物を併用してもよい。2種類以上の重合性液晶化合物を併用すると、配向温度を低下させることができる。
また、液晶組成物中の重合性液晶化合物の添加量は、液晶組成物の固形分質量(溶媒を除いた質量)に対して、80〜99.9質量%であることが好ましく、85〜99.5質量%であることがより好ましく、90〜99質量%であることが特に好ましい。
(低複屈折性)
上述のように、コレステリック液晶層形成のための液晶組成物は、重合性液晶化合物として低複屈折性液晶化合物を含むことが好ましい。低複屈折性液晶化合物を用いることにより、半値幅が20nm〜45nmであるコレステリック液晶層を作製することができる。低複屈折性液晶化合物は複屈折Δnが0.15未満であることが好ましく、0.13以下であることがより好ましく、0.08以下であることがさらに好ましい。化合物の複屈折(Δn)は、液晶便覧(液晶便覧編集委員会)のp.202に記載の方法に従って測定したものとする。具体的には、液晶化合物をくさび型セルに注入し、波長550nmの光を照射し、透過光の屈折角を測定することにより、60℃におけるΔnを求めることができる。
なお、液晶組成物が複数の重合性液晶化合物を含むときは、その複数の重合性液晶化合物の混合物について上記のように複屈折を測定したときの値が上記のように、0.15未満となっていることが好ましい。
また、コレステリック液晶層形成のための液晶組成物が、低複屈折性であることが好ましい。例えば、コレステリック液晶層形成のための液晶組成物からキラル剤のみを除いたものに対応する組成物から形成した一軸配向状態の液晶相を50℃で重合した層の正面位相差(Re)と厚み(d)の比から算出した波長550nmにおけるΔn(Re/d)は、0.040〜0.110であることが好ましい。正面位相差はAXOMETRICS社製のAxoScanで測定することができる。
低複屈折性液晶化合物の例としては、国際公開WO2015/115390、WO2015/147243、WO2016/035873、特開2015−163596号公報、特開2016−53149号公報に記載の化合物が挙げられる。半値幅の小さい選択反射層を与える液晶組成物については、WO2016/047648の記載も参照できる。
液晶化合物は、WO2016/047648に記載の以下式(I)で表される重合性化合物であることも好ましい。
式中、Aは、置換基を有していてもよいフェニレン基または置換基を有していてもよいトランス−1,4−シクロヘキシレン基を示し、
Lは単結合、−CH2O−、−OCH2−、−(CH22OC(=O)−、−C(=O)O(CH22−、−C(=O)O−、−OC(=O)−、−OC(=O)O−、−CH=CH−C(=O)O−、および−OC(=O)−CH=CH−からなる群から選択される連結基を示し、
mは3〜12の整数を示し、
Sp1およびSp2はそれぞれ独立に、単結合、炭素数1から20の直鎖もしくは分岐のアルキレン基、および炭素数1から20の直鎖もしくは分岐のアルキレン基において1つまたは2つ以上の−CH2−が−O−、−S−、−NH−、−N(CH3)−、−C(=O)−、−OC(=O)−、または−C(=O)O−で置換された基からなる群から選択される連結基を示し、
1およびQ2はそれぞれ独立に、水素原子または以下の式Q−1〜式Q−5で表される基からなる群から選択される重合性基を示し、ただしQ1およびQ2のいずれか一方は重合性基を示す。
式(I)中の、フェニレン基は1,4−フェニレン基であることが好ましい。
フェニレン基およびトランス−1,4−シクロヘキシレン基について「置換基を有していてもよい」というときの置換基は、特に限定されず、例えば、アルキル基、シクロアルキル基、アルコキシ基、アルキルエーテル基、アミド基、アミノ基、およびハロゲン原子ならびに、上記の置換基を2つ以上組み合わせて構成される基からなる群から選択される置換基が挙げられる。また、置換基の例としては、後述の−C(=O)−X3−Sp3−Q3で表される置換基が挙げられる。フェニレン基およびトランス−1,4−シクロヘキシレン基は、置換基を1〜4個有していてもよい。2個以上の置換基を有するとき、2個以上の置換基は互いに同一であっても異なっていてもよい。
本明細書において、アルキル基は直鎖状または分枝鎖状のいずれでもよい。アルキル基の炭素数は1〜30が好ましく、1〜10がより好ましく、1〜6が特に好ましい。アルキル基の例としては、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、n−ペンチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基、1,1−ジメチルプロピル基、n−ヘキシル基、イソヘキシル基、直鎖状または分枝鎖状のヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、ウンデシル基、またはドデシル基を挙げることができる。アルキル基に関する上記説明はアルキル基を含むアルコキシ基においても同様である。また、本明細書において、アルキレン基というときのアルキレン基の具体例としては、上記のアルキル基の例それぞれにおいて、任意の水素原子を1つ除いて得られる2価の基などが挙げられる。ハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、およびヨウ素原子が挙げられる。
本明細書において、シクロアルキル基の炭素数は、3〜20が好ましく、5以上がより好ましく、また、10以下が好ましく、8以下がより好ましく、6以下がさらに好ましい。シクロアルキル基の例としては、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基、シクロオクチル基を挙げることができる。
フェニレン基およびトランス−1,4−シクロヘキシレン基が有していてもよい置換基としては特に、アルキル基、およびアルコキシ基、−C(=O)−X3−Sp3−Q3からなる群から選択される置換基が好ましい。ここで、X3は単結合、−O−、−S−、もしくは−N(Sp4−Q4)−を示すか、または、Q3およびSp3と共に環構造を形成している窒素原子を示す。Sp3、Sp4はそれぞれ独立に、単結合、炭素数1から20の直鎖もしくは分岐のアルキレン基、および炭素数1から20の直鎖もしくは分岐のアルキレン基において1つまたは2つ以上の−CH2−が−O−、−S−、−NH−、−N(CH3)−、−C(=O)−、−OC(=O)−、または−C(=O)O−で置換された基からなる群から選択される連結基を示す。
3およびQ4はそれぞれ独立に、水素原子、シクロアルキル基、シクロアルキル基において1つもしくは2つ以上の−CH2−が−O−、−S−、−NH−、−N(CH3)−、−C(=O)−、−OC(=O)−、もしくは−C(=O)O−で置換された基、または式Q−1〜式Q−5で表される基からなる群から選択されるいずれかの重合性基を示す。
シクロアルキル基において1つまたは2つ以上の−CH2−が−O−、−S−、−NH−、−N(CH3)−、−C(=O)−、−OC(=O)−、または−C(=O)O−で置換された基として、具体的には、テトラヒドロフラニル基、ピロリジニル基、イミダゾリジニル基、ピラゾリジニル基、ピペリジル基、ピペラジニル基、モルホルニル基、などが挙げられる。置換位置は特に限定されない。これらのうち、テトラヒドロフラニル基が好ましく、特に2−テトラヒドロフラニル基が好ましい。
式(I)において、Lは単結合、−CH2O−、−OCH2−、−(CH22OC(=O)−、−C(=O)O(CH22−、−C(=O)O−、−OC(=O)−、−OC(=O)O−、−CH=CH−C(=O)O−、−OC(=O)−CH=CH−、からなる群から選択される連結基を示す。Lは−C(=O)O−または−OC(=O)−であることが好ましい。m個のLは互いに同一でも異なっていてもよい。
Sp1、Sp2はそれぞれ独立に、単結合、炭素数1から20の直鎖もしくは分岐のアルキレン基、および炭素数1から20の直鎖もしくは分岐のアルキレン基において1つまたは2つ以上の−CH2−が−O−、−S−、−NH−、−N(CH3)−、−C(=O)−、−OC(=O)−、または−C(=O)O−で置換された基からなる群から選択される連結基を示す。Sp1およびSp2はそれぞれ独立に、両末端にそれぞれ−O−、−OC(=O)−、および−C(=O)O−からなる群から選択される連結基が結合した炭素数1から10の直鎖のアルキレン基、−OC(=O)−、−C(=O)O−、−O−、および炭素数1から10の直鎖のアルキレン基からなる群から選択される基を1または2以上組み合わせて構成される連結基であることが好ましく、両方の末端に−O−がそれぞれ結合した炭素数1から10の直鎖のアルキレン基であることが好ましい。
1およびQ2はそれぞれ独立に、水素原子、もしくは上記の式(Q−1)〜式(Q−5)で表される基からなる群から選択される重合性基を示し、ただしQ1およびQ2のいずれか一方は重合性基を示す。
重合性基としては、アクリロイル基(式Q−1)またはメタクリロイル基(式Q−2)が好ましい。
式(I)中、mは3〜12の整数を示し、3〜9の整数であることが好ましく、3〜7の整数であることがより好ましく、3〜5の整数であることがさらに好ましい。
式(I)で表される重合性化合物は、Aとして置換基を有していてもよいフェニレン基を少なくとも1つおよび置換基を有していてもよいトランス−1,4−シクロヘキシレン基を少なくとも1つ含むことが好ましい。式(I)で表される重合性化合物は、Aとして、置換基を有していてもよいトランス−1,4−シクロヘキシレン基を1〜4個含むことが好ましく、1〜3個含むことがより好ましく、2または3個含むことがさらに好ましい。また、式(I)で表される重合性化合物は、Aとして、置換基を有していてもよいフェニレン基を1個以上含むことが好ましく、1〜4個含むことがより好ましく、1〜3個含むことがさらに好ましく、2個または3個含むことが特に好ましい。
式(I)において、Aで表されるトランス−1,4−シクロヘキシレン基の数をmで割った数をmcとしたとき、0.1<mc<0.9であることが好ましく、0.3<mc<0.8であることがより好ましく、0.5<mc<0.7であることがさらに好ましい。液晶組成物が0.5<mc<0.7である式(I)で表される重合性化合物とともに、0.1<mc<0.3である式(I)で表される重合性化合物を含むことも好ましい。
式(I)で表される重合性化合物の例として具体的には、WO2016/047648の段落0051〜0058に記載の化合物のほか、特開2013−112631号公報、特開2010−70543号公報、特許4725516号、国際公開WO2015/115390、WO2015/147243、WO2016/035873、特開2015−163596号公報、および特開2016−53149号公報に記載の化合物などを挙げることができる。
(キラル剤:光学活性化合物)
液晶組成物はキラル剤を含んでいることが好ましい。キラル剤はコレステリック液晶相の螺旋構造を誘起する機能を有する。キラル化合物は、化合物によって誘起する螺旋のセンスまたは螺旋ピッチが異なるため、目的に応じて選択すればよい。
キラル剤としては、特に制限はなく、公知の化合物を用いることができる。キラル剤の例としては、液晶デバイスハンドブック(第3章4−3項、TN、STN用カイラル剤、199頁、日本学術振興会第142委員会編、1989に記載)、特開2003−287623号、特開2002−302487号、特開2002−80478号、特開2002−80851号、特開2010−181852号または特開2014−034581号の各公報に記載の化合物が挙げられる。
キラル剤は、一般に不斉炭素原子を含むが、不斉炭素原子を含まない軸性不斉化合物あるいは面性不斉化合物もキラル剤として用いることができる。軸性不斉化合物または面性不斉化合物の例には、ビナフチル、ヘリセン、パラシクロファンおよびこれらの誘導体が含まれる。キラル剤は、重合性基を有していてもよい。キラル剤と液晶化合物とがいずれも重合性基を有する場合は、重合性キラル剤と重合性液晶化合物との重合反応により、重合性液晶化合物から誘導される繰り返し単位と、キラル剤から誘導される繰り返し単位とを有するポリマーを形成することができる。この態様では、重合性キラル剤が有する重合性基は、重合性液晶化合物が有する重合性基と同種の基であることが好ましい。従って、キラル剤の重合性基も、不飽和重合性基、エポキシ基またはアジリジニル基であることが好ましく、不飽和重合性基であることがさらに好ましく、エチレン性不飽和重合性基であることが特に好ましい。
また、キラル剤は、液晶化合物であってもよい。
キラル剤としては、イソソルビド誘導体、イソマンニド誘導体、またはビナフチル誘導体を好ましく用いることができる。イソソルビド誘導体としては、BASF社製のLC−756等の市販品を用いてもよい。
液晶組成物における、キラル剤の含有量は、重合性液晶化合物の総モル量に対し0.01モル%〜200モル%が好ましく、1.0モル%〜30モル%がより好ましい。
(重合開始剤)
液晶組成物は、重合開始剤を含むことが好ましい。紫外線照射により重合反応を進行させる態様では、使用する重合開始剤は、紫外線照射によって重合反応を開始可能な光重合開始剤であることが好ましく、特にラジカル光重合開始剤が好ましい。ラジカル光重合開始剤の例には、α−カルボニル化合物(米国特許第2367661号、同2367670号の各明細書記載)、アシロインエーテル(米国特許第2448828号明細書記載)、α−炭化水素置換芳香族アシロイン化合物(米国特許第2722512号明細書記載)、多核キノン化合物(米国特許第3046127号、同2951758号の各明細書記載)、トリアリールイミダゾールダイマーとp−アミノフェニルケトンとの組み合わせ(米国特許第3549367号明細書記載)、アクリジンおよびフェナジン化合物(特開昭60−105667号公報、米国特許第4239850号明細書記載)、アシルフォスフィンオキシド化合物(特公昭63−40799号公報、特公平5−29234号公報、特開平10−95788号公報、特開平10−29997号公報記載)、オキシム化合物(特公昭63−40799号、特公平5−29234号、特開平10−95788号、特開平10−29997号、特開2001−233842号、特開2000−80068号、特開2006−342166号、特開2013−114249号、特開2014−137466号、特許4223071号、特開2010−262028号、特表2014−500852号各公報記載)およびオキサジアゾール化合物(米国特許第4212970号明細書記載)等が挙げられる。例えば、特開2012−208494号公報の段落0500〜0547の記載も参酌できる。
重合開始剤としては、アシルフォスフィンオキシド化合物またはオキシム化合物を用いることも好ましい。
アシルフォスフィンオキシド化合物としては、例えば、市販品のBASFジャパン株式会社製のIRGACURE819(化合物名:ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−フェニルフォスフィンオキサイド)を用いることができる。オキシム化合物としては、IRGACURE OXE01(BASF社製)、IRGACURE OXE02(BASF社製)、TR−PBG−304(常州強力電子新材料有限公司製)、アデカアークルズNCI−831、アデカアークルズNCI−930(ADEKA社製)、アデカアークルズNCI−831(ADEKA社製)等の市販品を用いることができる。
重合開始剤は、1種のみ用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
液晶組成物中の重合開始剤の含有量は、重合性液晶化合物の含有量に対して0.1〜20質量%であることが好ましく、0.5質量%〜5.0質量%であることがさらに好ましい。
(架橋剤)
液晶組成物は、硬化後の膜強度向上、耐久性向上のため、任意に架橋剤を含有していてもよい。架橋剤としては、紫外線、熱、湿気等で硬化するものが好適に使用できる。
架橋剤としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えばトリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート等の多官能アクリレート化合物;グリシジル(メタ)アクリレート、エチレングリコールジグリシジルエーテル等のエポキシ化合物;2,2−ビスヒドロキシメチルブタノール−トリス[3−(1−アジリジニル)プロピオネート]、4,4−ビス(エチレンイミノカルボニルアミノ)ジフェニルメタン等のアジリジン化合物;ヘキサメチレンジイソシアネート、ビウレット型イソシアネート等のイソシアネート化合物;オキサゾリン基を側鎖に有するポリオキサゾリン化合物;ビニルトリメトキシシラン、N−(2−アミノエチル)3−アミノプロピルトリメトキシシラン等のアルコキシシラン化合物などが挙げられる。また、架橋剤の反応性に応じて公知の触媒を用いることができ、膜強度および耐久性向上に加えて生産性を向上させることができる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
液晶組成物の架橋剤の含有量は、3.0質量%〜20質量%が好ましく、5.0質量%〜15質量%がより好ましい。架橋剤の含有量が3.0質量%以上であることにより、架橋密度向上の効果を得ることができる。また、20質量%以下とすることにより、形成される層の安定性を維持することができる。
(配向制御剤)
液晶組成物中には、安定的にまたは迅速にプレーナー配向とするために寄与する配向制御剤を添加してもよい。配向制御剤の例としては特開2007−272185号公報の段落0018〜0043等に記載のフッ素(メタ)アクリレート系ポリマー、特開2012−203237号公報の段落0031〜0034等に記載の式(I)〜(IV)で表される化合物などが挙げられる。
なお、配向制御剤としては1種を単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
液晶組成物中における、配向制御剤の添加量は、重合性液晶化合物の全質量に対して0.01質量%〜10質量%が好ましく、0.01質量%〜5.0質量%がより好ましく、0.02質量%〜1.0質量%が特に好ましい。
(その他の添加剤)
その他、液晶組成物は、塗膜の表面張力を調整し厚みを均一にするための界面活性剤、および重合性モノマー等の種々の添加剤から選ばれる少なくとも1種を含有していてもよい。また、液晶組成物中には、必要に応じて、さらに重合禁止剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、光安定化剤、色材、金属酸化物微粒子等を、光学的性能を低下させない範囲で添加することができる。
(溶媒)
液晶組成物の調製に使用する溶媒としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、有機溶媒が好ましく用いられる。
有機溶媒としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えばケトン類、アルキルハライド類、アミド類、スルホキシド類、ヘテロ環化合物、炭化水素類、エステル類、エーテル類、などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。これらの中でも、環境への負荷を考慮した場合にはケトン類が特に好ましい。
(塗布、配向、重合)
仮支持体、配向膜、下層となるコレステリック液晶層などへの液晶組成物の塗布方法は、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ワイヤーバーコーティング法、カーテンコーティング法、押し出しコーティング法、ダイレクトグラビアコーティング法、リバースグラビアコーティング法、ダイコーティング法、スピンコーティング法、ディップコーティング法、スプレーコーティング法、スライドコーティング法などが挙げられる。また、別途支持体上に塗設した液晶組成物を転写することによっても実施できる。塗布した液晶組成物を加熱することにより、液晶分子をコレステリック配向させる。コレステリック配向の際、加熱温度は200℃以下が好ましく、130℃以下がより好ましい。この配向処理により、重合性液晶化合物がフィルム面に対して実質的に垂直な方向に螺旋軸を有するように捩れ配向している光学薄膜が得られる。
配向させた液晶化合物は、更に重合させ、液晶組成物を硬化することができる。重合は、熱重合、光照射を利用する光重合のいずれでもよいが、光重合が好ましい。光照射は、紫外線を用いることが好ましい。照射エネルギーは、20mJ/cm2〜50J/cm2が好ましく、100mJ/cm2〜1,500mJ/cm2がより好ましい。光重合反応を促進するため、加熱条件下または窒素雰囲気下で光照射を実施してもよい。照射紫外線波長は350nm〜430nmが好ましい。重合反応率は安定性の観点から高いことが好ましく、70%以上が好ましく、80%以上がより好ましい。重合反応率は、重合性基の消費割合をIR吸収スペクトルを用いて測定することにより、決定することができる。
個々のコレステリック液晶層の厚みは、上記特性を示す範囲であれば、特に限定はされないが、好ましくは1.0μm以上150μm以下の範囲、より好ましくは4.0μm以上100μm以下の範囲であればよい。
(仮支持体、支持体)
液晶組成物は、支持体、仮支持体、または支持体もしくは仮支持体表面に形成された配向層の表面に塗布され層形成されてもよい。
仮支持体または仮支持体および配向層は、層形成後に剥離されればよい。例えば、選択反射層をレンズ基材に接着後、剥離されるものであればよい。仮支持体は、選択反射層がレンズ基材に接着されるまで、保護フィルムとして機能していてもよい。
支持体は剥離されずに、眼鏡用レンズを構成する層として残っていてもよい。眼鏡用レンズにおいて、レンズ基材、選択反射層、および支持体がこの順に配置されていてもよく、レンズ基材、支持体、および選択反射層がこの順に配置されていてもよい。または、支持体がレンズ基材を構成していてもよい。
仮支持体および支持体の例としては、プラスチックフィルムまたはガラス板が挙げられる。プラスチックフィルムの材料の例としては、ポリエチレンテレフタレート(PET)などのポリエステル、エポキシ樹脂、ポリアミド、トリアセチルセルロースなどのセルロース誘導体、シリコーン、スチレン樹脂、ジエチレングリコールビスアリルカーボネート樹脂(CR−39)、ポリウレタン樹脂、チオウレタン樹脂、エピスルフィド樹脂、ポリカーボネート樹脂、(メタ)アクリル樹脂、ポリオレフィン樹脂などが挙げられる。仮支持体としてはポリエチレンテレフタレート(PET)フィルムが好ましく、支持体としてはトリアセチルセルロースフィルムが好ましい。
仮支持体および支持体の厚みは10μm〜10mm程度であればよく、好ましくは100μm〜5mmであり、より好ましくは200μm〜2mmであり、さらに好ましくは500μm〜1000μmである。
(配向層)
配向層は、ポリマーなどの有機化合物(ポリイミド、ポリビニルアルコール、ポリエステル、ポリアリレート、ポリアミドイミド、ポリエーテルイミド、ポリアミド、変性ポリアミドなどの樹脂)のラビング処理、無機化合物の斜方蒸着、マイクログルーブを有する層の形成、またはラングミュア・ブロジェット法(LB膜)を用いた有機化合物(例えば、ω−トリコサン酸、ジオクタデシルメチルアンモニウムクロライド、ステアリル酸メチル)の累積のような手段で、設けることができる。更に、電場の付与、磁場の付与または光照射により、配向機能が生じる配向層を用いてもよい。
特にポリマーからなる配向層はラビング処理を行ったうえで、ラビング処理面に液晶組成物を塗布することが好ましい。ラビング処理は、ポリマー層の表面を、紙、布で一定方向に、数回擦ることにより実施することができる。
配向層を設けずに仮支持体表面に、または仮支持体をラビング処理した表面に、液晶組成物を塗布してもよい。
配向層の厚さは0.01μm〜5.0μmであることが好ましく、0.05μm〜2.0μmであることがさらに好ましい。
(重合性液晶化合物から形成される層の積層膜)
複数のコレステリック液晶層からなる積層膜の形成の際は、先のコレステリック液晶層の表面に直接、重合性液晶化合物等を含む液晶組成物を塗布し、配向および固定の工程を繰り返してもよく、別に用意したコレステリック液晶層を接着剤等を用いて積層してもよいが、前者が好ましい。接着層の厚みムラに由来する干渉ムラが観測されにくくなるからである。また、コレステリック液晶層の積層膜においては、先に形成されたコレステリック液晶層の表面に直接接するように次のコレステリック液晶層を形成することにより、先に形成したコレステリック液晶層の空気界面側の液晶分子の配向方位と、その上に形成するコレステリック液晶層の下側の液晶分子の配向方位が一致し、コレステリック液晶層の積層体の偏光特性が良好となるからである。
[有機層の積層体を含む干渉膜]
有機層の積層体を含む干渉膜については、例えば特表平9−506837号公報または特開2007−271896号公報を参照することができる。これらの文献を参照し、様々な有機材料を用い、互いに異なる屈折率を示す有機層を交互に積層することにより干渉膜が作製される。材料および厚みを調整することにより、450nm〜500nmの波長域に中心波長を20nm〜45nmの半値幅で有する選択反射を示す選択反射層を形成することができる。市販品としては、例えば、DBEF(登録商標)(3M社製)などが挙げられる。
特開2007−271896号公報にも記載されているように、有機層の積層体を含む干渉膜も、コレステリック液晶層と同様に、干渉膜に対して斜めに光が入射する場合は、見かけ上の選択反射の中心波長が短波長側にシフトする。したがって、コレステリック液晶層を用いた場合と同様に、有機層の積層体を含む干渉膜を用いて作製された眼鏡用レンズは、斜めから見たときに黄色味が確認されにくい。
有機層の積層体を含む干渉膜において、個々の有機層の厚みは50nm〜500nmであることが好ましく、100nm〜300nmであることがより好ましい。有機層の積層体を含む干渉膜全体の厚みは好ましくは1.0μm〜30μmの範囲、より好ましくは5.0μm〜30μmの範囲であればよい。
<レンズ基材>
レンズ基材としては、眼鏡用レンズ基材として公知の材料を用いることができる。
レンズ基材は透明であることが好ましい。具体的には、可視光の光線透過率が、80%以上であることが好ましく、90%以上であることがより好ましく、94%以上であることがさらに好ましい。
レンズ基材は屈折率が1.50〜1.80程度であることが好ましく、1.60〜1.75程度であることがより好ましい。
レンズ基材はシート状または板状であればよい。レンズ基材は平面であっても、曲面を有していてもよい。レンズ基材の両側の表面は、それぞれ凸面であっても凹面であっても、平面であってもよい。レンズ基材は観察物側が凸面であり、かつ観察者側が凹面であることが好ましい。
レンズ基材の厚みは100μm〜20mmであることが好ましく、200μm〜15mmであることがより好ましく、300μm〜10mmであることがさらに好ましい。
レンズ基材の材料としては、例えば、ガラスおよび熱硬化性または熱可塑性のポリマーが挙げられる。ポリマーの例としては、スチレン樹脂、ジエチレングリコールビスアリルカーボネート樹脂(CR−39)、ポリウレタン樹脂、チオウレタン樹脂、エピスルフィド樹脂、ポリカーボネート樹脂、(メタ)アクリル樹脂、ポリオレフィン樹脂等を挙げることができる。
曲面を有するレンズ基材、例えば凸面や凹面を有するレンズ基材は、各種成形法で製造することができる。例えば、レンズの一方の面(凸面)を成形する成形型と、レンズの他方の面(凹面)を成形する成形型とを所定の間隔に対向配置した型を組み合わせて形成される内部の空間内に、溶融したレンズ基材材料を注入した後、固化、または重合硬化してレンズ基材を作製することができる。成形型の成形面には、球面、回転対称非球面、トーリック面、累進面、またはこれらを組み合わせた曲面等の形状を形成しておくことができる。
<接着層>
本発明の眼鏡用レンズは、接着層を含んでいてもよい。接着層は、例えば、選択反射層とレンズ基材との間に含まれていればよい。
接着層は、アクリレート系、ウレタン系、ウレタンアクリレート系、エポキシ系、エポキシアクリレート系、ポリオレフィン系、変性オレフィン系、ポリプロピレン系、エチレンビニルアルコール系、塩化ビニル系、クロロプレンゴム系、シアノアクリレート系、ポリアミド系、ポリイミド系、ポリスチレン系、ポリビニルブチラール系などの化合物を含む接着剤から形成されたものであればよい。光学的な透明性、耐熱性の観点から、アクリレート系、ウレタンアクリレート系、エポキシアクリレート系などが好ましい。接着剤としては硬化方式の観点からホットメルトタイプ、熱硬化タイプ、光硬化タイプ、反応硬化タイプ、硬化の不要な感圧接着タイプがある。
ホットメルトタイプの接着層としては、熱可塑性溶着層が挙げられる。熱可塑性溶着層は、加熱により溶解し、その後冷却することで2つの層を接着させる層である。
選択反射層および他の層の接着のための接着層は硬化の不要な感圧接着タイプの接着剤からなることもより好ましい。感圧接着タイプの接着剤としては、アクリレート系、ウレタン系、およびシリコーン系が挙げられ、特にアクリレート系が好ましい。
作業性、生産性の観点からは、硬化方式として光硬化タイプが好ましい。
接着剤は、シート状であっても液状であってもよい。
シート状の接着剤としては、硬化の不要な感圧接着タイプのほか、シートを配置後、熱硬化または光硬化を行うタイプが挙げられる。シート状の接着剤の適用に際しては、例えば、OCAテープ(高透明性接着剤転写テープ)を用いることができる。OCAテープは一般に粘着層の片面または両面に剥離性の保護シートを有する形態で市販されており、接着層としてはこの粘着層を用いることができる。シート状の接着剤として用いることができるOCAテープとしては、画像表示装置用の市販品、特に画像表示装置の画像表示部表面用として市販されている製品を用いればよい。市販品の例としては、パナック株式会社製の粘着シート(PD−S1など)、日栄化工株式会社のMHMシリーズの粘着シート、およびスリーエム社製OCA8146などが挙げられる。
液状の接着剤としては、例えば、OCR(高透明性光学樹脂)が挙げられる。
接着層は厚みが0.50μm以上50μm以下であることが好ましく、1.0μm以上25μm以下であることがより好ましい。
<ハードコート層>
本発明の眼鏡用レンズは、他の光学機能層としてハードコート層などの光学機能層を含んでいてもよい。ハードコート層は眼鏡用レンズの最外層として含まれていてもよく、ハードコート層の外側にさらに他の層が設けられていてもよい。本発明の眼鏡用レンズにおいて、レンズ基材、選択反射層およびハードコート層がこの順に配置されていることが好ましい。
本明細書において、ハードコート層とは、形成されることで眼鏡用レンズ表面の鉛筆硬度が上昇する層をいう。具体的には、ハードコート層積層後の鉛筆硬度(JIS K5400)がH以上となる層である。ハードコート層積層後の鉛筆硬度は好ましくは2H以上であり、さらに好ましくは3H以上となっていればよい。ハードコート層の厚みは、0.1μm〜100μmが好ましく、1.0μm〜70μmがより好ましく、2.0μm〜50μmがさらに好ましい。
ハードコート層は反射防止層または帯電防止層などを兼ねるものであってもよい。
ハードコート層の具体例としては、紫外線硬化性重合性化合物を含む組成物から形成された層が挙げられる。この組成物は粒子など他の成分を含んでいてもよい。紫外線硬化性重合性化合物としては(メタ)アクリレートが好ましい。ハードコート層の材料および作製方法については、特開2016−071085号公報、特開2012−168295号公報、特開2011−225846号公報等を参照することができる。
<<眼鏡用レンズの製造方法>>
眼鏡用レンズは、レンズ基材の表面に選択反射層を形成することにより製造することができる。選択反射層は、レンズ基材の観察者側に形成してもよく、観察物側に形成してもよく、または双方に形成してもよい。選択反射層の形成は、レンズ基材の表面に選択反射層を接着することにより行ってもよく、上述のようにレンズ基材を支持体としてレンズ基材の表面に直接選択反射層を形成してもよい。レンズ基材がポリマー材料からなる場合において、レンズ基材の成形と同時に選択反射層を形成してもよい。例えば、選択反射層を含む転写材料をレンズ基材の成形時の成形型の一方に配置し、インモールド成形またはインサート成形を行ってもよい。
<<眼鏡用レンズの用途>>
本発明の眼鏡用レンズは、眼鏡のレンズとして用いることができる。本発明の眼鏡用レンズを用いた眼鏡は概日リズムへの影響の大きい波長域のブルーライトを効率よく遮断するため、パーソナルコンピュータ使用時専用の眼鏡等として用いてもよい。一方、本発明の眼鏡用レンズは黄色味が抑えられているため、日常的に着用できる眼鏡としても使用可能である。
以下に実施例を挙げて本発明をさらに具体的に説明する。以下の実施例に示す材料、試薬、物質量とその割合、操作等は本発明の趣旨から逸脱しない限り適宜変更することができる。従って、本発明の範囲は以下の実施例に限定されるものではない。
なお、実施例において、各化合物の複屈折(Δn)は、化合物をくさび型セルに注入し、波長550nmの光を照射して透過光の屈折角を測定することにより求めた60℃におけるΔnである。
<フィルムの作製>
[実施例1]
特開2016−53149号公報に記載の化合物20(Δn:0.11)、フッ素系水平配向剤1、フッ素系水平配向剤2、右旋回性キラル剤、重合開始剤、ならびに溶媒メチルエチルケトンを混合し、下記組成の塗布液を調製した。得られた塗布液を、コレステリック液晶性混合物である塗布液R1とした。
・化合物20 100質量部
・フッ素系水平配向剤1 0.1質量部
・フッ素系水平配向剤2 0.007質量部
・右旋回性キラル剤LC756(BASF社製) 6.6質量部
・重合開始剤IRGACURE819(BASF社製) 3.0質量部
・溶媒(メチルエチルケトン) 溶質濃度が30質量%となる量
PETフィルム(富士フイルム(株)製、厚み:50μm、大きさ320mm×400mm)の表面に、ラビング処理(レーヨン布、圧力:0.1kgf(0.98N)、回転数:1000rpm、搬送速度:10m/min、回数:1往復)を施した。
次いで、塗布液(R1)を、ワイヤーバーを用いて、乾燥後の膜の厚みが6.0μmになるように、PETフィルムのラビング処理した表面に、室温にて塗布した。
室温にて30秒間乾燥させて溶媒を除去した後、90℃の雰囲気で2分間加熱し、コレステリック液晶相として、その後、35℃に冷却した。次いで、フュージョンUVシステムズ(株)製無電極ランプ「Dバルブ」(90mW/cm)にて、出力60%で6〜12秒間UV照射し、コレステリック液晶相を固定し、PETフィルム上にコレステリック液晶層を有する実施例1のフィルムを作製した。
[実施例2]
化合物20(100質量部)の代わりに特開2016−53149号公報に記載の化合物52(Δn:0.07)(100質量部)を用いた以外は塗布液R1と同様の組成の塗布液R2を調製した。塗布液R2を乾燥後の膜の厚みが10.0μmになるように塗布した以外は実施例1と同様にして、実施例2のフィルムを作製した。
[実施例3]
特開2016−53149号公報に記載の化合物52(Δn:0.07)、フッ素系水平配向剤、左旋回性キラル剤、重合開始剤、溶媒メチルエチルケトンを混合し、下記組成の塗布液を調製した。得られた塗布液を、コレステリック液晶性混合物である塗布液L1とした。
・化合物52 100質量部
・フッ素系水平配向剤1 0.1質量部
・フッ素系水平配向剤2 0.007質量部
・下記左旋回性キラル剤(A) 10.1質量部
・重合開始剤IRGACURE819(BASF社製) 3.0質量部
・溶媒(メチルエチルケトン) 溶質濃度が30質量%となる量
実施例2のフィルムのコレステリック液晶層の表面に、塗布液L1を、ワイヤーバーを用いて乾燥後の膜の厚みが10.0μmになるように室温にて塗布した。
室温にて30秒間乾燥させて溶媒を除去した後、90℃の雰囲気で2分間加熱し、コレステリック液晶相として、その後、35℃に冷却した。次いで、フュージョンUVシステムズ(株)製無電極ランプ「Dバルブ」(90mW/cm)にて、出力60%で6〜12秒間UV照射し、コレステリック液晶相を固定し、右円偏光を選択反射するコレステリック液晶層と左円偏光を選択反射するコレステリック液晶層とを1層ずつ含む実施例3のフィルムを作製した。
[比較例1]
化合物52の代わりに下記化合物M−1(Δn:0.17)(100質量部)を用いて塗布液を調製した。塗布液を乾燥後の膜の厚みが6.0μmになるように塗布した以外は実施例2と同様にして、比較例1のフィルムを作製した。
<眼鏡用レンズの作製>
市販レンズ(NULUX、HOYA株式会社製、レンズ中心の厚み 2000μm)の観察者側(眼球側)にシート状の粘着シート(綜研化学のアクリル系粘着剤 SK)を用いて実施例1〜3および比較例1の各フィルムを、コレステリック液晶層面が接するように接着した。接着の際は各フィルムをゴムロールで皺が寄らないようにした。その後、PETフィルムを剥離して、実施例1〜3および比較例1の各フィルムを用いた眼鏡用レンズを得た。得られた眼鏡用レンズにつき、以下の測定および評価を行なった。
<眼鏡用レンズの測定および評価>
(透過スペクトル)
作製した眼鏡用レンズの透過スペクトルを日本分光(株)製分光光度計V−670を用いて測定した。
各眼鏡用レンズの中心に対し、眼鏡用レンズの法線方向から光を入射して測定した。実施例1、実施例2および比較例1のフィルムを用いた眼鏡用レンズの透過スペクトル、実施例2および比較例1のフィルムを用いた眼鏡用レンズの透過スペクトル、実施例2および実施例3のフィルムを用いた眼鏡用レンズの透過スペクトルを、それぞれ図1、2、3に示す。
得られたスペクトルから、観測された反射ピークの中心波長と半値幅を上述のように求めた。さらに各フィルムの中心波長における光線透過率を日本分光(株)製分光光度計V−670を用いて求めた。結果を表1に示す。
なお、得られた透過スペクトルの形状から、実施例1〜3のフィルムを用いた眼鏡用レンズについては、400nm以上450nm未満の波長域、および500nm超700nm以下の波長域のいずれの波長においても、光線透過率が60%以上となる波長はないと判断されたが、比較例1のフィルムについては、440nm〜450nmにおいて光線透過率が60%以上となる波長があると判断された。
さらに、各眼鏡用レンズの中心に対し、眼鏡用レンズの法線方向に対し50°傾けた方向から光を入射して透過スペクトルを得た。
斜め50°からの透過波長端は、波長550nmでの透過率をベース透過率とし、長波長側から短波長側に向かって50°方向の透過率が低下する際、下限透過率に対し50%の透過率となった点を意味する。結果を表1に示す。また、実施例2および比較例1のフィルムを用いた眼鏡用レンズのスペクトルを図4に示す。
実施例1〜3のフィルムを用いた眼鏡用レンズでは、いずれも430nm〜780nmの範囲のいずれの波長においても光線透過率が60%以上であったが、比較例4のフィルムを用いた眼鏡用レンズでは430nm〜440nmの範囲で光線透過率が60%未満となる波長がみられた。
(ブルーライトカット率)
得られた眼鏡用レンズの中心の位置で、レンズの法線方向から日本分光(株)製分光光度計V−670を用いて450nm〜500nmの平均透過率を測定した。ブルーライトカット率として以下の基準で評価した。
A:平均透過率60%未満
B:平均透過率60%以上80%未満
C:平均透過率80%以上
(色味評価)
得られた眼鏡用レンズを正面および斜め50°から観察したときの眼鏡用レンズの色味を以下の基準で評価した。

A:黄色味が全く気にならない。
B:黄色味が少し気になる。
C:黄色味が気になる。
結果を表1に示す。

Claims (12)

  1. レンズ基材および選択反射層を含む眼鏡用レンズであって、
    前記選択反射層は450nm〜500nmの波長域に中心波長を有する選択反射を示し、前記選択反射の半値幅が20nm〜45nmである前記眼鏡用レンズ。
  2. 前記選択反射層の前記中心波長における光線透過率が50%以下である請求項1に記載の眼鏡用レンズ。
  3. 前記選択反射層の前記中心波長における光線透過率が30%以下である請求項1に記載の眼鏡用レンズ。
  4. 400nm以上450nm未満の波長域、および500nm超780nm以下の波長域のいずれの波長においても、前記選択反射層の光線透過率が60%以上である請求項1〜3のいずれか一項に記載の眼鏡用レンズ。
  5. 前記眼鏡用レンズの中心に、前記眼鏡用レンズの法線方向に対して50°の角度から光を入射したときの光線透過率が、430nm〜780nmの範囲のいずれの波長においても60%以上である請求項1〜4のいずれか一項に記載の眼鏡用レンズ。
  6. 前記選択反射層がコレステリック液晶相を硬化したコレステリック液晶層を含む請求項1〜5のいずれか一項に記載の眼鏡用レンズ。
  7. 前記選択反射層が右円偏光を選択反射する前記コレステリック液晶層と左円偏光を選択反射する前記コレステリック液晶層とを含む請求項6に記載の眼鏡用レンズ。
  8. 前記コレステリック液晶層が、複屈折Δnが0.15未満である液晶化合物を含む液晶組成物を硬化した層である請求項6または7に記載の眼鏡用レンズ。
  9. 前記液晶化合物が式(I)で表される重合性化合物である請求項8に記載の眼鏡用レンズ;
    式中、
    Aは、置換基を有していてもよいフェニレン基または置換基を有していてもよいトランス−1,4−シクロヘキシレン基を示し、
    Lは単結合、−CH2O−、−OCH2−、−(CH22OC(=O)−、−C(=O)O(CH22−、−C(=O)O−、−OC(=O)−、−OC(=O)O−、−CH=CH−C(=O)O−、および−OC(=O)−CH=CH−からなる群から選択される連結基を示し、
    mは3〜12の整数を示し、
    Sp1およびSp2はそれぞれ独立に、単結合、炭素数1から20の直鎖もしくは分岐のアルキレン基、および炭素数1から20の直鎖もしくは分岐のアルキレン基において1つまたは2つ以上の−CH2−が−O−、−S−、−NH−、−N(CH3)−、−C(=O)−、−OC(=O)−、または−C(=O)O−で置換された基からなる群から選択される連結基を示し、
    1およびQ2はそれぞれ独立に、水素原子または以下の式Q−1〜式Q−5で表される基からなる群から選択される重合性基を示し、ただしQ1およびQ2のいずれか一方は重合性基を示す。
  10. 前記レンズ基材がポリマーを含む請求項1〜9のいずれか一項に記載の眼鏡用レンズ。
  11. 前記レンズ基材、前記選択反射層およびハードコート層をこの順で含む請求項1〜10のいずれか一項に記載の眼鏡用レンズ。
  12. 請求項1〜11のいずれか一項に記載の眼鏡用レンズを含む眼鏡。
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