JPWO2018004014A1 - トランスグルタミナーゼ活性を有する組換えタンパク質 - Google Patents

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Abstract

本発明は、大腸菌などの汎用宿主を用いたタンパク質発現系において、プロテアーゼ処理を必要としない活性型の微生物由来トランスグルタミナーゼ(MTG)、すなわちトランスグルタミナーゼ活性を有するMTG変異体、及びその製造方法等を提供する。本発明は、野生型の微生物由来トランスグルタミナーゼにおけるプロペプチド部分のアミノ酸配列中のアミノ酸を変異させたタンパク質であって、トランスグルタミナーゼ活性を有することを特徴とする、前記タンパク質に係るものである。

Description

本発明は、トランスグルタミナーゼ活性を有する組換えタンパク質に関する。詳しくは、微生物由来トランスグルタミナーゼのプロペプチド部分のアミノ酸を変異させた、上記組換えタンパク質に関する。
トランスグルタミナーゼ(Transglutaminase:TGase)とは、特定のグルタミン(Q)側鎖のγ−カルボキシアミド基とリジン(K)側鎖のアミン基をはじめとする一級アミン、または水との間のアシル基転移反応を触媒し、イソペプチド結合を形成する翻訳後修飾酵素である。特にTGaseのなかでも、Streptomyces mobaraensis由来microbial transglutaminase(MTG)は、他のTGaseと比べて、触媒活性の発現に補因子を必要とせず、微生物宿主による大量発現が容易、架橋活性(すなわち、上記イソペプチド結合を形成する活性)が高い等、産業上優位な特徴を有していることから、食品業界を中心に産業利用が盛んに行われてきた。一方、最近は、MTGの製薬分野への応用が試みられるようになり、特に、抗体の部位特異的修飾によるAntibody−drug conjugate(ADC)の調製に注目が集まっている(非特許文献1、2参照)。このように、MTGの適用範囲は拡がりを見せており、その機能改良により更なる応用が期待できる。しかしながら、遺伝子組換えの汎用宿主である大腸菌発現系においては、MTGの成熟型そのものの発現は困難であり、不溶化することが報告されている(特許文献1)。MTGにはプロペプチドと呼ばれる部分構造が、成熟型MTGのN末端側に融合した前駆体と呼ばれる構造が存在し、このプロペプチドはMTGの正しい折りたたみを導く分子内シャペロンであり、活性型MTGを獲得するうえで必要不可欠な存在といえる。従って、プロペプチドを付加した状態においては、大腸菌での発現が可能である(非特許文献3参照)。一方で、プロペプチドを付加した状態で発現したMTG変異体は、活性部位を覆うプロペプチドの存在により活性を示さない。従って、大腸菌を宿主とした活性型組換え体MTGの調製は困難とされてきた。また、他の宿主を使った分泌発現系においても、活性型MTGを得るためには、最終的にプロペプチド部位を適当なプロテアーゼで切断する必要がある(特許文献2)。
先行研究において、上記の課題を解決するべく、大腸菌細胞質内でMTG前駆体とプロテアーゼを共発現させることで、発現と同時に活性型MTGの獲得に成功している。また、プロペプチド内のアミノ酸に変異導入し、複数の変異体をスクリーニングすることで、プロテアーゼ処理後にプロペプチドが除去されやすい、より高活性なMTGの探索と発現プロセスの検討が行われている(非特許文献2参照)。
一方、MTGの改良に関してはMTG本体を改変するものが多く、プロペプチドそのものを改変することによってMTGの性質を向上させようとする研究は少ない。その中で、プロペプチドそのものを改変した先行研究の一つに、MTG前駆体をプロペプチドのC末端をリンカーとした融合タンパク質としてみなし、Streptomyces hygroscopicus由来MTGに対して、プロペプチドのC末端にリンカーペプチドを挿入する事で、TGaseの性質を向上させる新しいアプローチの提案を行っている。このリンカーペプチドはドメイン間(プロペプチドと成熟体)の相互作用の調和を満たす上で必須の役割を担っている。リンカーペプチドとは決まった二次構造を持たず、生物学的条件を満たすためにある程度の柔軟性を持っているペプチドである。リンカーペプチドとしてはポリグリシン、GS、PT(PTPPTTPT)を使用したところ、全ての変異体で比活性は野生型より増加した。特にGS、PTリンカーを挿入したものは高い比活性を示した。一方、リンカーを挿入した変異体においてはkcat/Kの値が増加したことから、酵素の触媒効率が上昇したと考えられる。これは、リンカーペプチドが活性部位近傍に位置し、リンカーペプチドと触媒領域との相互作用により触媒効率が上昇したためと推察されている。このように、プロペプチドに特定の配列を付与することでMTGの活性向上に成功している(非特許文献4参照)。
近年、大腸菌宿主内に、MTGの組換え体とプロテアーゼを共発現することにより、この問題点をクリアできることが示された(非特許文献2参照)。しかしながら、プロテアーゼを用いる系では、MTGが部分的な加水分解を受け、失活を招く懸念がある。また、プロテアーゼと切断したプロペプチドを精製により完全に除去しなければ、MTGの反応効率が低下するため、後の反応に影響を与える懸念がある。何れにせよ、プロテアーゼ処理、その後の精製過程、が必要であり、これにかかるコストの増加などが考えられる。
特開平6−30771号公報 特開2005−229807号公報
Siegmund et al.,Angew.Chem.Int.Ed.,2015,54,1−6 Rickert et al.,Protein Sci.,2016,25,442−455 L.T.Thomas et al.,J Biol Chem.,2011,286,7301−7307 Chen Kangkang et al.,J Ind Microbial Biotechnol.,2013,40,317−325
そこで、本発明が解決しようとする課題は、大腸菌などの汎用宿主を用いたタンパク質発現系において、プロテアーゼ処理を必要としない活性型MTG(トランスグルタミナーゼ活性を有するMTG変異体)、及びその製造方法等を提供することにある。
本発明者は、上記課題を解決するべく鋭意検討を行った。その結果、MTG前駆体の状態、すなわちプロペプチドを有した状態で、トランスグルタミナーゼ活性(架橋活性)を発現する変異体の探索を行った。具体的には、遺伝子工学的にMTG前駆体が持つプロペプチドに変異を加え、活性部位−プロペプチド間の相互作用を調節することで、プロペプチドを有した状態でも自発的に上記活性を発現するMTG変異体を見出し、本発明を完成した。
すなわち、本発明は以下の通りである。
(1)野生型の微生物由来トランスグルタミナーゼにおいて少なくともプロペプチド部分のアミノ酸配列中のアミノ酸を変異させたタンパク質であって、トランスグルタミナーゼ活性を有することを特徴とする、前記タンパク質。
(2)前記変異後のプロペプチド部分を有した状態で前記活性を有するものである、上記(1)記載のタンパク質。
(3)前記変異が、他のアミノ酸への置換である、上記(1)又は(2)記載のタンパク質。
(4)前記変異させる、プロペプチド部分のアミノ酸配列中のアミノ酸が、リジン及び/又は少なくとも1つのチロシンを含むものである、上記(1)〜(3)のいずれか1つに記載のタンパク質。
(5)前記少なくとも1つのチロシンを変異させた他のアミノ酸が、アラニン、グルタミン及びヒスチジンからなる群より選ばれる少なくとも1種である、上記(4)記載のタンパク質。
(6)前記リジンを変異させた他のアミノ酸が、アルギニン、アスパラギン酸、グルタミン酸、アラニン、システイン、フェニルアラニン、グリシン、ヒスチジン、イソロイシン、ロイシン、メチオニン、アスパラギン、プロリン、グルタミン、セリン、トレオニン、バリン、トリプトファン及びチロシンからなる群より選ばれる少なくとも1種である、上記(4)記載のタンパク質。
(7)野生型の微生物由来トランスグルタミナーゼのアミノ酸配列において第10番目、第12番目及び第16番目からなる群より選ばれる少なくとも1つのアミノ酸が他のアミノ酸に置換されたアミノ酸配列、又は該置換されたアミノ酸配列のうち前記置換部位のアミノ酸を除く1若しくは数個のアミノ酸が欠失、置換若しくは付加されたアミノ酸配列からなり、かつトランスグルタミナーゼ活性を有することを特徴とする、タンパク質。
(8)前記第12番目及び/又は第16番目のアミノ酸を変異させた他のアミノ酸が、アラニン、グルタミン及びヒスチジンからなる群より選ばれる少なくとも1種である、上記(7)記載のタンパク質。
(9)前記第10番目のアミノ酸を変異させた他のアミノ酸が、アルギニン、アスパラギン酸、グルタミン酸、アラニン、システイン、フェニルアラニン、グリシン、ヒスチジン、イソロイシン、ロイシン、メチオニン、アスパラギン、プロリン、グルタミン、セリン、トレオニン、バリン、トリプトファン及びチロシンからなる群より選ばれる少なくとも1種である、上記(7)記載のタンパク質。
(10)以下の(a)又は(b)のタンパク質。
(a)配列番号2に示されるアミノ酸配列において第10番目、第12番目及び第16番目からなる群より選ばれる少なくとも1つのアミノ酸が他のアミノ酸に置換されたアミノ酸配列
(b)上記(a)のアミノ酸配列において前記置換部位のアミノ酸を除く1若しくは数個のアミノ酸が欠失、置換若しくは付加されたアミノ酸配列を含み、かつトランスグルタミナーゼ活性を有するタンパク質
(11)前記第12番目及び/又は第16番目のアミノ酸を変異させた他のアミノ酸が、アラニン、グルタミン及びヒスチジンからなる群より選ばれる少なくとも1種である、上記(10)記載のタンパク質。
(12)前記第10番目のアミノ酸を変異させた他のアミノ酸が、アルギニン、アスパラギン酸、グルタミン酸、アラニン、システイン、フェニルアラニン、グリシン、ヒスチジン、イソロイシン、ロイシン、メチオニン、アスパラギン、プロリン、グルタミン、セリン、トレオニン、バリン、トリプトファン及びチロシンからなる群より選ばれる少なくとも1種である、上記(10)記載のタンパク質。
(13)前記トランスグルタミナーゼ活性は、野生型の微生物由来トランスグルタミナーゼが有するトランスグルタミナーゼ活性と実質的に同等の活性レベルのものである、上記(1)〜(12)のいずれか1つに記載のタンパク質。
(14)上記(1)〜(13)のいずれか1つに記載のタンパク質をコードする遺伝子。
(15)以下の(a)又は(b)のDNAを含む遺伝子。
(a)配列番号1に示される塩基配列において、第28番目〜第30番目の塩基がリジン以外のアミノ酸のコドンを示す塩基に置換されたか、並びに/又は、第34番目〜第36番目及び/若しくは第46番目〜第48番目の塩基がチロシン以外のアミノ酸のコドンを示す塩基に置換された塩基配列からなるDNA。
(b)前記(a)のDNAに対し相補的な塩基配列からなるDNAとストリンジェントな条件下でハイブリダイズするDNAであって、前記置換部位の塩基に対応する塩基が当該置換部位の塩基と同一であり、かつトランスグルタミナーゼ活性を有するタンパク質をコードするDNA
(16)前記チロシン以外のアミノ酸が、アラニン、グルタミン及びヒスチジンからなる群より選ばれる少なくとも1種である、上記(15)記載の遺伝子。
(17)前記リジン以外のアミノ酸が、アルギニン、アスパラギン酸、グルタミン酸、アラニン、システイン、フェニルアラニン、グリシン、ヒスチジン、イソロイシン、ロイシン、メチオニン、アスパラギン、プロリン、グルタミン、セリン、トレオニン、バリン、トリプトファン及びチロシンからなる群より選ばれる少なくとも1種である、上記(15)記載の遺伝子。
(18)上記(14)〜(17)のいずれか1つに記載の遺伝子を含む、組換えベクター。
(19)上記(18)記載の組換えベクターを含む、形質転換体。
(20)形質転換体が形質転換大腸菌である、上記(19)記載の形質転換体。
(21)上記(19)又は(20)記載の形質転換体を培養する工程と、得られる培養物からトランスグルタミナーゼ活性を有するタンパク質を採取する工程とを含む、当該タンパク質の製造方法。
(22)前記採取する工程が、タンパク質の精製工程を含む、上記(21)記載の方法。
発明の効果
本発明によれば、大腸菌等の微生物を宿主とした発現系においても容易に製造(精製等)することが可能な、MTG変異体、すなわちトランスグルタミナーゼ活性を有する活性型MTGを提供することができる。当該MTG変異体であれば、発現精製時のプロテアーゼ処理も不要となり、プロペプチドならびにプロテアーゼの除去にかかる手間とコストを大幅に削減することができる。
ハイドロキサメート法による組換えMTG酵素活性の測定結果(pH6.0)を示す図である。 ハイドロキサメート法による組換えMTG酵素活性の測定結果(pH7.4)を示す図である。 FRETによるMTG変異体の活性評価の実験模式図である。 野生型MTG前駆体(Y12 MTG)のFRET測定結果を示す図である。(左:蛍光スペクトルの経時変化の様子;右:最大蛍光強度比に基づく架橋反応の進行度) Y12A MTG変異体のFRET測定結果を示す図である。(左:蛍光スペクトルの経時変化の様子;右:最大蛍光強度比に基づく架橋反応の進行度) Y12Q MTG変異体のFRET測定結果を示す図である。(左:蛍光スペクトルの経時変化の様子;右:最大蛍光強度比に基づく架橋反応の進行度) Y16A MTG変異体のFRET測定結果を示す図である。(左:蛍光スペクトルの経時変化の様子;右:最大蛍光強度比に基づく架橋反応の進行度) Y16Q MTG変異体のFRET測定結果を示す図である。(左:蛍光スペクトルの経時変化の様子;右:最大蛍光強度比に基づく架橋反応の進行度) K10R/Y12A MTG変異体のFRET測定結果を示す図である。(左:蛍光スペクトルの経時変化の様子;右:最大蛍光強度比に基づく架橋反応の進行度) 市販MTG(Zedira社製)のFRET測定結果を示す図である。(左:蛍光スペクトルの経時変化の様子;右:最大蛍光強度比に基づく架橋反応の進行度) 市販MTG及び各MTG変異体の架橋反応の進行度の比較結果を示す図である。 Y12A MTG変異体のFRET測定結果を示す図である。(左:蛍光スペクトルの経時変化の様子;右:最大蛍光強度比に基づく架橋反応の進行度) K10R/Y12A MTG変異体のFRET測定結果を示す図である。(左:蛍光スペクトルの経時変化の様子;右:最大蛍光強度比に基づく架橋反応の進行度) 市販MTG(Zedira社製)のFRET測定結果を示す図である。(左:蛍光スペクトルの経時変化の様子;右:最大蛍光強度比に基づく架橋反応の進行度) 市販MTG及び各MTG変異体の架橋反応の進行度の比較結果を示す図である。 Y12A MTG変異体のFRET測定結果を示す図である。(左:蛍光スペクトルの経時変化の様子;右:最大蛍光強度比に基づく架橋反応の進行度) K10R/Y12A MTG変異体のFRET測定結果を示す図である。(左:蛍光スペクトルの経時変化の様子;右:最大蛍光強度比に基づく架橋反応の進行度) 市販MTGのFRET測定結果を示す図である。(左:蛍光スペクトルの経時変化の様子;右:最大蛍光強度比に基づく架橋反応の進行度) 市販MTG及び各MTG変異体の架橋反応の進行度の比較結果を示す図である。 CQ−tag EGFP組換体に対する蛍光色素修飾の結果を示す図である。 NK−tag EGFP組換体に対する蛍光色素修飾結果を示す図である。(上段)Y12A MTG変異体、Y12Q MTG変異体;(中段)Y16A MTG変異体;(下段)K10R/Y12A MTG変異体 ハイドロキサメート法による組換えMTG酵素活性の測定結果(pH6.0)を示す図である。 ハイドロキサメート法による組換えMTG酵素活性の測定結果(pH6.0)を示す図である。 ハイドロキサメート法による組換えMTG酵素活性の測定結果(pH6.0)を示す図である。 ハイドロキサメート法による組換えMTG酵素活性の測定結果(pH6.0)を示す図である。 市販MTG及び各MTG変異体の架橋反応の進行度の比較結果を示す図である。 市販MTG及び各MTG変異体の架橋反応の進行度の比較結果を示す図である。 市販MTG及び各MTG変異体の架橋反応の進行度の比較結果を示す図である。 各MTG変異体の、K−tag EGFP組換体(EGFP−MRHKGS)に対する蛍光色素修飾結果を示す図である。 各MTG変異体の、K−tag EGFP組換体(MKHKGS−EGFP)に対する蛍光色素修飾結果を示す図である。 各MTG変異体の、K−tag EGFP組換体(MKHKGS−EGFP)に対する蛍光色素修飾結果を示す図である。 各MTG変異体の、K−tag EGFP組換体(EGFP−MRHKGS)に対する蛍光色素修飾結果を示す図である。 各MTG変異体の、K−tag EGFP組換体(EGFP−MRHKGS)に対する蛍光色素修飾結果を示す図である。 各MTG変異体の、K−tag EGFP組換体(EGFP−MRHKGS)に対する蛍光色素修飾結果を示す図である。
以下、本発明を詳細に説明する。本発明の範囲はこれらの説明に拘束されることはなく、以下の例示以外についても、本発明の趣旨を損なわない範囲で適宜変更し実施することができる。
なお、本明細書は、本願優先権主張の基礎となる特願2016−131883号明細書(2016年7月1日出願)の全体を包含する。また、本明細書において引用された全ての刊行物、例えば先行技術文献、及び公開公報、特許公報その他の特許文献は、参照として本明細書に組み込まれる。
本明細書において、「MTG」とは、前述のとおり、Streptomyces mobaraensis由来microbial transglutaminaseを意味する。また、「MTG前駆体」とは、プロペプチド部分を有した状態のMTGを意味し、「MTG変異体」とは、MTG前駆体におけるアミノ酸を変異(置換等)させたMTGを意味する。
1.タンパク質
本発明のタンパク質は、微生物(Streptomyces mobaraensis)由来トランスグルタミナーゼ(MTG)の変異体タンパク質である。詳しくは、本発明のタンパク質は、野生型のMTGにおいて、少なくとも、そのプロペプチド部分のアミノ酸配列中のアミノ酸を変異させたタンパク質であって、かつトランスグルタミナーゼ活性を有するタンパク質であり、好ましくは、前記変異後のプロペプチド部分を有した状態(前記変異後のプロペプチド部分がタンパク質分子中に存在した状態)で前記活性を有するものである。
通常、野生型のMTGにおいては、プロペプチドと呼ばれる部分構造(プロペプチド部分)が、成熟型MTGのN末端側に融合したかたちで存在する。本明細書では、この成熟型MTGとプロペプチド部分との、いわば融合タンパク質を、MTG前駆体という。MTGにおいてプロペプチド部分は、阻害剤の役目を果たし、適切な箇所でトランスグルタミナーゼ活性(架橋活性)を発現するための役割を有している。なお、この架橋活性とは、翻訳後修飾として、特定のグルタミン(Q)側鎖のγ−カルボキシアミド基とリジン(K)側鎖のアミン基をはじめとする一級アミン、または水との間のアシル基転移反応を触媒し、イソペプチド結合を形成する活性のことである。また、MTGにおけるプロペプチド部分は、タンパク質の正しい折りたたみを導く分子内シャペロンであり、活性型MTG、すなわち上記架橋活性を有する状態のMTGを獲得する上で、必要不可欠な存在である。MTGの本来の宿主である放線菌内では、まずMTG前駆体が発現され、その後宿主が分泌する独自のプロテアーゼによってプロペプチド部分が除去され、成熟型MTGとなる。しかしながら、遺伝子組換えの汎用宿主である大腸菌発現系においては、成熟型MTGそのものの発現は困難である(不溶化してしまう)。また、プロペプチド部分を有した状態で発現させたものは、MTGの活性部位を覆うプロペプチド部分の存在により活性を示さないという問題もある。そのため、大腸菌を宿主とした活性型組換え体の調製は、従来困難とされてきた。他方、近年、大腸菌宿主内に、MTGの組換え体とプロテアーゼを共発現させることにより、上記問題を解決し得ることが示された。しかしながら、プロテアーゼを用いる系では、MTGが部分的な加水分解を受け、失活を招く懸念があり、さらに、プロテアーゼと切断したプロペプチドとを精製により完全に除去しなければMTGの反応効率が低下するため、後の反応に影響を与えるという懸念があり、精製にかかるコストも増加するという問題がある。これらに対し、本発明は、上記プロテアーゼ処理なしに活性型MTGを提供するものであり、従来技術における問題を一挙に解決し得るものである。
本発明のタンパク質は、野生型の微生物由来トランスグルタミナーゼにおいて少なくともプロペプチド部分のアミノ酸配列中のアミノ酸を変異させたタンパク質であって、トランスグルタミナーゼ活性を有することを特徴とするタンパク質である。好ましくは、前記変異後のプロペプチド部分を有した状態で前記活性を有するものであり、前記変異が、他のアミノ酸への置換であるものが挙げられる。置換されるアミノ酸は、少なくとも1つのチロシンを含むものであることが好ましく、この場合、置換後の他のアミノ酸としては、アラニン、グルタミン及びヒスチジンからなる群より選ばれる少なくとも1種が好ましく挙げられる。また、置換されるアミノ酸は、リジンを含むものであることが好ましく、この場合、置換後の他のアミノ酸としては、アルギニン、アスパラギン酸、グルタミン酸、グリシン、アスパラギン、アラニン、システイン、グルタミン、セリン、スレオニン(トレオニン)、トリプトファン、フェニルアラニン、イソロイシン、ロイシン、メチオニン、プロリン、バリン、チロシン及びヒスチジンからなる群より選ばれる少なくとも1種が好ましく挙げられ、より好ましくは、アスパラギン酸及びグルタミン酸からなる群より選ばれる少なくとも1種である。
本発明のタンパク質としては、例えば、野生型の微生物由来トランスグルタミナーゼのアミノ酸配列において、第10番目、第12番目及び第16番目からなる群より選ばれる少なくとも1つのアミノ酸が他のアミノ酸に置換されたアミノ酸配列、又は該置換されたアミノ酸配列のうち前記置換部位のアミノ酸を除く1若しくは数個のアミノ酸が欠失、置換若しくは付加されたアミノ酸配列からなり、かつトランスグルタミナーゼ活性を有することを特徴とするタンパク質が好ましく挙げられる。なお、本明細書において、野生型の微生物由来トランスグルタミナーゼのアミノ酸配列とは、野生型の微生物由来トランスグルタミナーゼにおけるシグナルペプチド部分を除いたアミノ酸配列において、そのN末端にメチオニン残基(M)を付加したアミノ酸配列のことを意味するものとする。この点は、後述する配列番号2のアミノ酸配列についても、同様である。また、配列番号1の塩基配列についても、同様に適用される。
ここで、上記「1若しくは数個のアミノ酸が欠失、置換若しくは付加されたアミノ酸配列」としては、例えば、1個〜10個程度、好ましくは1〜数個、1〜5個、1〜4個、1〜3個、1〜2個、又は1個のアミノ酸が欠失、置換又は付加されたアミノ酸配列であることが好ましい。当該欠失、置換又は付加等の変異の導入は、部位特異的突然変異誘発法を利用した変異導入用キット、例えば、GeneTailorTM Site−Directed Mutagenesis System(インビトロジェン社)、及びTaKaRa Site−Directed Mutagenesis System(Prime STAR(登録商標)Mutagenesis Basal kit、Mutan(登録商標)−Super Express Km等:タカラバイオ社製)等を用いて行うことができる。また、上記欠失、置換又は付加の変異が導入されているかどうかは、各種アミノ酸配列決定法、並びにX線及びNMR等による構造解析法などを用いて確認することができる。
上記他のアミノ酸としては、第12番目及び/又は第16番目のアミノ酸残基に関しては、チロシン以外であれば、特に限定はされないが、例えば、アラニン、グルタミン及びヒスチジンからなる群より選ばれる少なくとも1種を好ましく挙げることができる。また、第10番目のアミノ酸残基に関しては、リジン以外であれば、特に限定はされないが、例えば、アルギニン、アスパラギン酸、グルタミン酸、グリシン、アスパラギン、アラニン、システイン、グルタミン、セリン、スレオニン(トレオニン)、トリプトファン、フェニルアラニン、イソロイシン、ロイシン、メチオニン、プロリン、バリン、チロシン及びヒスチジンからなる群より選ばれる少なくとも1種が好ましく挙げられ、より好ましくは、アスパラギン酸及びグルタミン酸からなる群より選ばれる少なくとも1種である。当該第10番目のアミノ酸を置換することにより、例えば、MTGの架橋活性は維持しつつ、MTG自身の自己架橋物の生成を抑制することができる。
本発明のタンパク質はまた、以下の(a)又は(b)のタンパク質であることが好ましい。
(a)配列番号2に示されるアミノ酸配列において、第10番目、第12番目及び第16番目からなる群より選ばれる少なくとも1つのアミノ酸が他のアミノ酸に置換されたアミノ酸配列を含むタンパク質
(b)上記(a)のアミノ酸配列(前記置換後のアミノ酸配列)において前記置換部位のアミノ酸を除く1若しくは数個のアミノ酸が欠失、置換若しくは付加されたアミノ酸配列を含み、かつトランスグルタミナーゼ活性を有するタンパク質
配列番号2に示されるアミノ酸配列は、前述のとおり、野生型の微生物由来トランスグルタミナーゼにおけるシグナルペプチド部分を除いたアミノ酸配列において、そのN末端にメチオニン残基(M)を付加したアミノ酸配列であり、計376個のアミノ酸からなるアミノ酸配列である。
上記(a)のタンパク質における、「第10番目、第12番目及び第16番目からなる群より選ばれる少なくとも1つのアミノ酸が他のアミノ酸に置換されたアミノ酸配列」については、前述した説明が同様に適宜適用できる。
上記(b)のタンパク質は、上記(a)のタンパク質に含まれるアミノ酸配列において前記置換部位のアミノ酸を除く、1個又は数個(例えば1個〜10個程度、好ましくは1〜数個、1〜5個、1〜4個、1〜3個、1〜2個、又は1個)のアミノ酸が欠失、置換又は付加されたアミノ酸配列を含み、かつトランスグルタミナーゼ活性を有するタンパク質であればよく、限定はされない。当該欠失、置換又は付加等の変異の導入方法や、変異が導入されているかどうかの確認は、前述と同様である。
また、上記(a)のタンパク質と機能的に同等なタンパク質としては、上記(b)のタンパク質の他に、例えば、下記(c)のタンパク質も挙げられる。
(c)上記(a)のアミノ酸配列(前記置換後のアミノ酸配列)に対して、80%以上の同一性(相同性)を有するアミノ酸配列を含み、かつトランスグルタミナーゼ活性を有するタンパク質
当該(c)のタンパク質としては、上記同一性が、85%以上、90%以上、95%以上、96%以上、97%以上、98%以上、又は99%以上のものがより好ましい。
上記(b)や(c)のタンパク質(いわゆる変異型のタンパク質)は、該タンパク質のアミノ酸配列をコードする遺伝子を用いて遺伝子工学的に作製することもできる。
本発明においては、トランスグルタミナーゼ活性は、例えば、後述する実施例に記載の蛍光共鳴エネルギー移動(FRET)による方法等により、評価・測定することができる。
本発明でいう前記(a)〜(c)のタンパク質は、野生型のMTGと同様に、プロペプチド部分が、成熟型MTGのN末端側に融合した(結合した)状態のものであってもよいが、他の態様として、当該プロペプチド部分と、成熟型MTGのN末端側との間に、リンカー配列を有するものも好ましく挙げられる。当該リンカー配列としては、限定はされないが、例えば、1〜30残基程度のアミノ酸配列であればよく、具体例としては、GGGSLVPRGSGGGS(トロンビンリンカー配列;配列番号10)などが好ましく挙げられる。なお、野生型のMTGのアミノ酸配列(配列番号2)において、N末端側から第46番目のアミノ酸(プロリン)までが、プロペプチド部分であり、第47番目のアミノ酸(アスパラギン酸)からC末端側までが、成熟型MTGのアミノ酸配列である。
本発明でいう前記(a)〜(c)のタンパク質は、天然物由来のペプチドであってもよいし、人工的に化学合成して得られたものであってもよく、限定はされない。
天然物由来のタンパク質は、天然物から公知の回収法及び精製法により直接得てもよいし、又は、公知の遺伝子組換え技術により、当該タンパク質をコードする遺伝子を各種発現ベクター等に組込んで細胞に導入し、発現させた後、公知の回収法及び精製法により得てもよい。あるいは、市販のキット、例えば、試薬キットPROTEIOSTM(東洋紡)、TNTTM System(プロメガ)、合成装置のPG−MateTM(東洋紡)及びRTS(ロシュ・ダイアグノスティクス)等を用いた無細胞タンパク質合成系により当該タンパク質を産生し、公知の回収法及び精製法により得てもよく、限定はされない。
また、化学合成タンパク質は、公知のタンパク質合成方法を用いて得ることができる。合成方法としては、例えば、アジド法、酸クロライド法、酸無水物法、混合酸無水物法、DCC法、活性エステル法、カルボイミダゾール法及び酸化還元法等が挙げられる。また、その合成は、固相合成法及び液相合成法のいずれをも適用することができる。市販のタンパク質合成装置を使用してもよい。合成反応後は、クロマトグラフィー等の公知の精製法を組み合わせてタンパク質を精製することができる。
本発明においては、前記(a)〜(c)のタンパク質とともに、又はそれに代えて、当該タンパク質の誘導体を含むことができる。当該誘導体とは、当該タンパク質に由来して調製され得るものをすべて含む意味であり、例えば、構成アミノ酸の一部が非天然のアミノ酸に置換されたものや、構成アミノ酸(主にその側鎖)の一部に化学修飾が施されたもの等が挙げられる。
また本発明においては、前記(a)〜(c)のタンパク質、及び/又は、当該タンパク質の誘導体とともに、あるいはそれに代えて、当該タンパク質及び/又は当該誘導体の塩を含むことができる。当該塩としては、生理学的に許容される酸付加塩又は塩基性塩が好ましい。酸付加塩としては、例えば、塩酸、リン酸、臭化水素酸、硫酸などの無機酸との塩、あるいは酢酸、ギ酸、プロピオン酸、フマル酸、マレイン酸、コハク酸、酒石酸、クエン酸、リンゴ酸、蓚酸、安息香酸、メタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸などの有機酸との塩が挙げられる。塩基性塩としては、例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化アンモニウム、水酸化マグネシウムなどの無機塩基との塩、あるいはカフェイン、ピペリジン、トリメチルアミン、ピリジンなどの有機塩基との塩が挙げられる。
当該塩は、塩酸などの適切な酸、又は水酸化ナトリウムなどの適切な塩基を用いて調製することができる。例えば、水中、又はメタノール、エタノール若しくはジオキサンなどの不活性な水混和性有機溶媒を含む液体中で、標準的なプロトコルを用いて処理することにより調製することができる。
2.組換え遺伝子
上述した本発明のタンパク質をコードする遺伝子としては、限定はされないが、以下の(a)又は(b)のDNAを含む遺伝子が好ましく挙げられる。なお、以下の(a)及び(b)のDNAは、いずれも本発明のタンパク質の構造遺伝子であることが好ましいが、これらDNAを含む遺伝子としては、これらDNAのみからなるものであってもよいし、これらDNAを一部に含み、その他に遺伝子発現に必要な公知の塩基配列(転写プロモーター、SD配列、Kozak配列、ターミネーター等)をも含むものであってもよく、限定はされない。
(a)配列番号1に示される塩基配列において、第28番目〜第30番目の塩基がリジン以外のアミノ酸のコドンを示す塩基に置換されたか、並びに/又は、第34番目〜第36番目及び/若しくは第46番目〜第48番目の塩基がチロシン以外のアミノ酸のコドンを示す塩基に置換された塩基配列からなるDNA。
(b)前記(a)のDNAに対し相補的な塩基配列からなるDNAとストリンジェントな条件下でハイブリダイズするDNAであって、前記置換部位の塩基に対応する塩基が当該置換部位の塩基と同一であり、かつトランスグルタミナーゼ活性を有するタンパク質をコードするDNA
本発明において「コドン」とは、転写後のRNA配列上の3塩基連鎖(トリプレット)に限らず、DNA配列上の3塩基連鎖をも意味する。よって、DNA配列上のコドンの表記は、ウラシル(U)の代わりにチミン(T)を用いて行う。
配列番号1に示される塩基配列は、野生型の微生物由来トランスグルタミナーゼをコードする1131個の塩基からなる塩基配列である。前述したとおり、本願明細書においては、配列番号1の塩基配列は、野生型の微生物由来トランスグルタミナーゼにおけるシグナルペプチド部分を除いたアミノ酸配列において、そのN末端にメチオニン残基(M)を付加したアミノ酸配列をコードする塩基配列である。
また、上記(a)のDNAとしては、前記チロシン以外のアミノ酸のコドンを示す塩基がアラニン、グルタミン及びヒスチジンからなる群より選ばれる少なくとも1種のコドンを示す塩基である場合のDNAが好ましく挙げられる。
さらに、上記(a)のDNAとしては、前記リジン以外のアミノ酸のコドンを示す塩基が、アルギニン、アスパラギン酸、グルタミン酸、グリシン、アスパラギン、アラニン、システイン、グルタミン、セリン、スレオニン(トレオニン)、トリプトファン、フェニルアラニン、イソロイシン、ロイシン、メチオニン、プロリン、バリン、チロシン及びヒスチジンからなる群より選ばれる少なくとも1種のコドンを示す塩基が好ましく挙げられ、より好ましくは、アスパラギン酸及びグルタミン酸からなる群より選ばれる少なくとも1種のコドンを示す塩基である場合のDNAが好ましく挙げられる。。
以上のような変異置換型のDNAは、例えば、Molecular Cloning,A Laboratory Manual 4th ed.,Cold Spring Harbor Laboratory Press(1989)、Current Protocols in Molecular Biology,John Wiley & Sons(1987−1997)等に記載の部位特異的変位誘発法に準じて調製することができる。具体的には、Kunkel法やGapped duplex法等の公知手法により、部位特異的突然変異誘発法を利用した変異導入用キットを用いて調製することができ、当該キットとしては、例えば、QuickChangeTM Site−Directed Mutagenesis Kit(ストラタジーン社製)、GeneTailorTM Site−Directed Mutagenesis System(インビトロジェン社製)、TaKaRa Site−Directed Mutagenesis System(Mutan−K、Mutan−Super Express Km等:タカラバイオ社製)等が好ましく挙げられる。
また、所望のアミノ酸のコドンを示す塩基となるようにミスセンス変異が導入されるように設計したPCRプライマーを用い、野生型MTGをコードする塩基配列を含むDNA等をテンプレートとして、適当な条件下でPCRを行うことにより調製することもできる。PCRに用いるDNAポリメラーゼは、限定はされないが、正確性の高いDNAポリメラーゼであることが好ましく、例えば、Pwo DNA(ポリメラーゼロシュ・ダイアグノスティックス)、Pfu DNAポリメラーゼ(プロメガ)、プラチナPfx DNAポリメラーゼ(インビトロジェン)、KOD DNAポリメラーゼ(東洋紡)、KOD−plus−ポリメラーゼ(東洋紡)等が好ましい。PCRの反応条件は、用いるDNAポリメラーゼの最適温度、合成するDNAの長さや種類等により適宜設定すればよいが、例えば、サイクル条件であれば「90〜98℃で5〜30秒(熱変性・解離)→50〜65℃で5〜30秒(アニーリング)→65〜80℃で30〜1200秒(合成・伸長)」を1サイクルとして合計20〜200サイクル行う条件が好ましい。
上記(b)のDNAは、上記(a)のDNA若しくはそれと相補的な塩基配列からなるDNA、又はこれらを断片化したものをプローブとして用い、コロニーハイブリダイゼーション、プラークハイブリダイゼーション、及びサザンブロット等の公知のハイブリダイゼーション法を実施し、cDNAライブラリーやゲノムライブラリーから得ることができる。ライブラリーは、公知の方法で作製されたものを利用してもよいし、市販のcDNAライブラリーやゲノムライブラリーを利用してもよく、限定はされない。
ハイブリダイゼーション法の詳細な手順については、Molecular Cloning,A Laboratory Manual 3rd ed.(Cold Spring Harbor Laboratory Press(1989)等を適宜参照することができる。
ハイブリダイゼーション法を実施における「ストリンジェントな条件」とは、ハイブリダイゼーション後の洗浄時の条件であって、バッファーの塩濃度が15〜330mM、温度が25〜65℃、好ましくは塩濃度が15〜150mM、温度が45〜55℃の条件を意味する。具体的には、例えば80mMで50℃等の条件を挙げることができる。さらに、このような塩濃度や温度等の条件に加えて、プローブ濃度、プローブの長さ、反応時間等の諸条件も考慮し、上記(b)のDNAを得るための条件を適宜設定することができる。
ハイブリダイズするDNAとしては、上記(a)のDNAの塩基配列に対して少なくとも40%以上の相同性(同一性)を有する塩基配列であることが好ましく、より好ましくは60%、80%以上、85%以上、90%以上、95%以上、96%以上、97%以上、98%以上、又は99%以上の同一性を有する塩基配列が挙げられる。
また、上記(b)のDNAは、前記置換部位の塩基に対応する塩基が当該置換部位の塩基と同一である。
ここでいう「置換部位」とは、上記(a)のDNAに含まれる塩基配列においてなされた塩基置換の部位であり、詳しくは、当該塩基置換により生じた変更後のコドンを示す塩基(トリプレット)の部位を意味する。
また「前記置換部位の塩基に対応する塩基」の「対応する塩基」とは、上記(b)のDNAが上記(a)のDNAに対する相補鎖とハイブリダイズした場合に、このハイブリッドにおいて、前記置換部位の塩基に対する相補塩基(トリプレット)と、位置的に対向する関係にある塩基(トリプレット)を意味する。
上記(b)のDNAとしては、例えば、上記(a)のDNAと比較して、塩基配列については完全に同一ではないが、翻訳された後のアミノ酸配列については完全に同一となるような塩基配列からなるDNA(すなわち上記(a)のDNAにサイレント変異が施されたDNA)が、特に好ましい。
本発明のタンパク質をコードする遺伝子としては、翻訳後の個々のアミノ酸に対応するコドンは、特に限定はされないので、転写後、ヒト等の哺乳類において一般的に用いられているコドン(好ましくは使用頻度の高いコドン)を示すDNAを含むものであってもよいし、また、大腸菌や酵母等の微生物や、植物等において一般的に用いられているコドン(好ましくは使用頻度の高いコドン)を示すDNAを含むものであってもよい。
また、本発明のタンパク質をコードする遺伝子としては、当該タンパク質が前述したリンカー配列を含むものである場合は、そのリンカー配列のアミノ酸配列をコードするDNAを含むものであってもよい。
3.組換えベクター及び形質転換体
本発明のタンパク質を発現させるためには、まず、上述した本発明の遺伝子を発現ベクターに組込んで組換えベクターを構築することが必要である。この際、発現ベクターに組込む遺伝子には、必要に応じて、予め、上流に転写プロモーター、SD配列(宿主が原核細胞の場合)及びKozak配列(宿主が真核細胞の場合)を連結しておいてもよいし、下流にターミネーターを連結しておいてもよく、その他、エンハンサー、スプライシングシグナル、ポリA付加シグナル、選択マーカー等を連結しておくこともできる。なお、上記転写プロモーター等の遺伝子発現に必要な各要素は、初めから当該遺伝子に含まれていてもよいし、もともと発現ベクターに含まれている場合はそれを利用してもよく、各要素の使用態様は特に限定されない。
発現ベクターに当該遺伝子を組込む方法としては、例えば、制限酵素を用いる方法や、トポイソメラーゼを用いる方法など、公知の遺伝子組換え技術を利用した各種方法が採用できる。また、発現ベクターとしては、例えば、プラスミドDNA、バクテリオファージDNA、レトロトランスポゾンDNA、レトロウイルスベクター、人工染色体DNAなど、本発明のタンパク質をコードする遺伝子を保持し得るものであれば、限定はされず、使用する宿主細胞に適したベクターを適宜選択して使用することができる。
次いで、構築した上記組換えベクターを宿主に導入して形質転換体を得、これを培養することにより、本発明のタンパク質を発現させることができる。なお、本発明で言う「形質転換体」とは宿主に外来遺伝子が導入されたものを意味し、例えば、宿主にプラスミドDNA等を導入すること(形質転換)で外来遺伝子が導入されたもの、並びに、宿主に各種ウイルス及びファージを感染させること(形質導入)で外来遺伝子が導入されたものが含まれる。
宿主としては、上記組換えベクターが導入された後、本発明のタンパク質を発現し得るものであれば、限定はされず、適宜選択することができるが、例えば、ヒトやマウス等の各種動物細胞、各種植物細胞、細菌、酵母、植物細胞等の公知の宿主が挙げられる。
動物細胞を宿主とする場合は、例えば、ヒト繊維芽細胞、CHO細胞、サル細胞COS−7、Vero、マウスL細胞、ラットGH3、ヒトFL細胞等が用いられる。また、Sf9細胞、Sf21細胞等の昆虫細胞を用いることもできる。
細菌を宿主とする場合、例えば、大腸菌、枯草菌等が用いられる。
酵母を宿主とする場合は、例えば、サッカロミセス・セレビシエ(Saccharomyces cerevisiae)、シゾサッカロミセス・ポンベ(Schizosaccharomyces pombe)等が用いられる。
植物細胞を宿主とする場合は、例えば、タバコBY−2細胞等が用いられる。
形質転換体を得る方法は、限定はされず、宿主と発現ベクターとの種類の組み合わせを考慮し、適宜選択することができるが、例えば、電気穿孔法、リポフェクション法、ヒートショック法、PEG法、リン酸カルシウム法、DEAEデキストラン法、並びに、DNAウイルスやRNAウイルス等の各種ウイルスを感染させる方法などが好ましく挙げられる。
得られる形質転換体においては、組換えベクターに含まれる遺伝子のコドン型は、実際に用いた宿主のコドン型と一致していてもよいし、異なっていてもよく、限定はされない。
4.タンパク質の製法
本発明のタンパク質の製造は、具体的には、前述した形質転換体を培養する工程と、得られる培養物からトランスグルタミナーゼ活性を有するタンパク質を採取する工程とを含む方法により実施することができる。ここで、「培養物」とは、培養上清、培養細胞、培養菌体、又は細胞若しくは菌体の破砕物のいずれをも意味するものである。上記形質転換体の培養は、宿主の培養に用いられる通常の方法に従って行うことができる。目的のタンパク質は、上記培養物中に蓄積される。本発明においては、前記採取する工程は、タンパク質の精製工程を含んでいてもよい。
上記培養に用いる培地としては、宿主が資化し得る炭素源、窒素源、無機塩類などを含有し、形質転換体の培養を効率的に行うことができる培地であれば、公知の各種天然培地及び合成培地のいずれを用いてもよい。
培養中は、形質転換体に含まれる組換えベクターの脱落及び目的タンパク質をコードする遺伝子の脱落を防ぐために、選択圧をかけた状態で培養してもよい。すなわち、選択マーカーが薬剤耐性遺伝子である場合には、相当する薬剤を培地に添加することができ、選択マーカーが栄養要求性相補遺伝子である場合には、相当する栄養因子を培地から除くことができる。
プロモーターとして誘導性のプロモーターを用いた発現ベクターで形質転換した形質転換体等を培養する場合は、必要に応じて、好適なインデューサー(例えば、IPTG等)を培地に添加してもよい。
形質転換体の培養条件は、目的タンパク質の生産性及び宿主の生育が妨げられない条件であれば特に限定はされず、通常、10℃〜40℃、好ましくは20℃〜37℃で5〜100時間行う。pHの調整は、無機又は有機酸、アルカリ溶液等を用いて行うことができる。培養方法としては、固体培養、静置培養、振盪培養、通気攪拌培養などが挙げられる。
培養後、目的タンパク質が菌体内又は細胞内に生産される場合には、菌体又は細胞を破砕することにより目的タンパク質を採取することができる。菌体又は細胞の破砕方法としては、フレンチプレス又はホモジナイザーによる高圧処理、超音波処理、ガラスビーズ等による磨砕処理、リゾチーム、セルラーゼ又はペクチナーゼ等を用いる酵素処理、凍結融解処理、低張液処理、ファージによる溶菌誘導処理等を利用することができる。破砕後、必要に応じて菌体又は細胞の破砕残渣(細胞抽出液不溶性画分を含む)を除くことができる。残渣を除去する方法としては、例えば、遠心分離やろ過などが挙げられ、必要に応じて、凝集剤やろ過助剤等を使用して残渣除去効率を上げることもできる。残渣を除去した後に得られた上清は、細胞抽出液可溶性画分であり、粗精製したタンパク質溶液とすることができる。
また、目的のタンパク質が菌体内又は細胞内に生産される場合は、菌体や細胞そのものを遠心分離、膜分離等で回収して、未破砕のまま使用することも可能である。
一方、目的のタンパク質が菌体外又は細胞外に生産される場合には、培養液をそのまま使用するか、遠心分離やろ過等により菌体又は細胞を除去する。その後、必要に応じて硫安沈澱による抽出等により、培養物中から目的タンパク質を採取し、さらに必要に応じて透析、各種クロマトグラフィー(ゲルろ過、イオン交換クロマトグラフィー、アフィニティクロマトグラフィー等)を用いて単離精製することもできる。
形質転換体等を培養して得られたタンパク質の生産収率は、例えば、培養液あたり、菌体湿重量又は乾燥重量あたり、粗酵素液タンパク質あたりなどの単位で、SDS−PAGE(ポリアクリルアミドゲル電気泳動)等により確認することができる。
また、目的タンパク質の製造は、上述したような形質転換体を用いたタンパク質合成系のほか、生細胞を全く使用しない無細胞タンパク質合成系を用いて行うこともできる。
無細胞タンパク質合成系とは、細胞抽出液を用いて試験管等の人工容器内で目的タンパク質を合成する系である。また、使用し得る無細胞タンパク質合成系としては、DNAを鋳型としてRNAを合成する無細胞転写系も含まれる。
この場合、使用する細胞抽出液の由来は、前述の宿主細胞であることが好ましい。細胞抽出液としては、例えば真核細胞由来又は原核細胞由来の抽出液、より具体的には、CHO細胞、ウサギ網状赤血球、マウスL−細胞、HeLa細胞、小麦胚芽、出芽酵母、大腸菌などの抽出液を使用することができる。なお、これらの細胞抽出液は、濃縮又は希釈して用いてもよいし、そのままでもよく、限定はされない。
細胞抽出液は、例えば限外濾過、透析、ポリエチレングリコール(PEG)沈殿等によって得ることができる。
このような無細胞タンパク質合成は、市販のキットを用いて行うこともできる。例えば、試薬キットPROTEIOSTM(東洋紡)、TNTTM System(プロメガ)、合成装置のPG−MateTM(東洋紡)、RTS(ロシュ・ダイアグノスティクス)等が挙げられる。
無細胞タンパク質合成によって産生された目的のタンパク質は、前述したようにクロマトグラフィー等の手段を適宜選択して、精製することができる。
以下に、実施例を挙げて本発明をより具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
MTG変異体の調製
以下に示す各アミノ酸配列からなるMTG変異体(詳しくは、MTG前駆体の変異体)をコードするDNAを、pET22b+のNdeI−XhoI間に挿入し、組換え発現プラスミドベクターを構築した。なお、下記の各MTG変異体のアミノ酸配列中、下線を付したアミノ酸は、置換変異したアミノ酸である。
MTG変異体(Y12A)のアミノ酸配列
MTG変異体(Y12Q)のアミノ酸配列
MTG変異体(Y16A)のアミノ酸配列
MTG変異体(Y16Q)のアミノ酸配列
MTG変異体(K10R/Y12A)のアミノ酸配列
得られた組換え発現プラスミドベクターを大腸菌BL21(DE3)株に対してヒートショック法を用いて形質転換し、アンピシリンナトリウムを100μg/mLで含むLB寒天培地に植菌、37℃で一晩静置することでコロニーを得た。得られた大腸菌コロニーを、LB培地(アンピシリンナトリウム100μg/mL含)、10mLに植菌し、37℃、200rpmで4時間培養した。500mLのLB培地に植え継ぎ、37℃、120rpmで培養を行い、OD600=0.6に達した時点で、Isopropyl β−D−1−thiogalactopyranosideを終濃度0.5mMで添加し、培養温度を15℃に下げ、さらに16時間培養を継続した。菌体を6000g、7分の遠心分離で回収した。1×TBS Buffer(25mM Tris−HCl,150mM NaCl,pH7.4)で3回洗浄した後、上清を全て捨て、ペレット状になった菌体を−80℃で凍結保存した。凍結保存したペレットを1×TBS buffer 15mLに溶解させ、超音波処理(Output 4,Duty 20,12.5min)により菌体を破砕し、遠心分離(4℃,18,000×g,20min)によって菌体と含タンパク質溶液とを分離した。得られた溶液を0.45μm及び0.22μmPVDFメンブレンフィルターで濾過し不溶性画分および菌体を除去した。得られた溶液に対してHisTrap Excelカラム(1mL)を用いて、Y16A MTGのC末端に導入されたヘキサヒスチジンタグ(His Tag)による精製を行った。タンパク質中の芳香族アミノ酸(チロシン・トリプトファン)の吸光度に由来する280nmの吸収が確認されたフラクションを回収し、PD−10カラムによって脱塩を行った。次に、HiTrap Qカラム(1mL)によって陰イオン交換クロマトグラフィーによる精製を行った。先程と同様に、280nmの吸収が確認されたフラクションを回収し、PD−10カラムによって1×PBSによるバッファー交換を行った。以下に各カラムでの精製条件を示す。
・HisTrap Excel(1mL)
Buffer A(20mM Tris−HCl、0.5M NaCl、5mM Imidazole、pH7.4)
Buffer B(20mM Tris−HCl、0.5M NaCl、500mM Imidazole pH7.4)
・HiTrap Q HP(1mL)
Buffer A(20mM Tris−HCl)
Buffer B(20mM Tris−HCl、1M NaCl)
ハイドロキサメート法(J.E.Folk & P.W.Cole,J.Biol.Chem.,1966,241,5518−5525)による組換えMTG前駆体の活性評価
1.Z−Gln−Gly(Z−QG)、塩化ヒドロキシルアンモニウム、ならびに還元型グルタチオン(GSH)を混合した溶液(基質溶液)、トリクロロ酢酸と塩化鉄6水和物に濃塩酸を加えた溶液(反応停止液)、検量線としてL−グルタミン酸γ−モノヒドロキシアミン塩の希釈系列、および各MTGの希釈系列を作製した。
2.96穴プレートにブランクである0.2M Tris−HCl緩衝液(pH7.4)、検量線希釈系列、各MTG希釈系列を20μLずつそれぞれ添加した。
3.基質溶液80μLを各wellに添加し、37℃、10minインキュベートした。
4.反応停止液を100μL添加し、速やかにプレートリーダーにて525nmの吸収を測定した。
5.検量線から、各MTG条件で生成したヒドロキサム酸量を測定し、比活性(U/mg)を算出した。ここで、1分間に1μmolのハイドロキサメートを生成させる酵素量をTGaseの活性単位、1U(unit)と定義した。ここで、各試薬の反応時における最終濃度は以下の通りである。[Z−QG]=30mM、[塩化ヒドロキシルアンモニウム]=0.1M、[GSH]=10mM in 0.2M Tris−Acetate(pH6.0)or0.2M Tris−HCl(pH7.4)。
pH6.0(図1)ならびにpH74(図2)の条件における酵素活性測定結果を以下に示す。これらの結果からpH6.0ではY12A MTG、Y12Q MTGは活性を示さなかったが、pH7.4ではY12A MTGはわずかながら活性を示した。また、Y12Q MTGに関しても若干の活性の向上が見られた。しかしながら、市販MTGに比べると、ハイドロキサメート法における酵素活性は著しく低い。この結果より、Y12A MTG前駆体ならびにY12Q MTG前駆体は、Z−QGとヒドロキシルアミンのいずれか、または両方を基質として認識していないと考えられ、MTGと基質のアクセスが大幅に低減していることが強く示唆された。
蛍光共鳴エネルギー移動(FRET)による組換えMTG変異体の活性評価
Texas Red−QG(200μM)、CRK−tag EGFP組換体(C末端にMRHKGS(配列番号8)配列を持つ)(10μM)ならびに各種組換えMTG変異体(1μM)を50μLの体積で37℃条件下で混合した。経時的にサンプル溶液から5μL分取し、495μLの1mM N−エチルマレイミド溶液(in 10mM Tris−HCl(pH8.0))と混合し、架橋反応を停止させ、蛍光光度計(PerkinElmer,LS 55)で蛍光スペクトルを測定した(励起光波長:460nm、蛍光スペクトル測定範囲:480〜680nm)。
<酵素反応条件>
Lysペプチド基質融合タンパク質:CRK−EGFP(C末端MRHKGS) 10μM
小分子Gln基質:TexasRed−QG 200μM
MTG 1μM
蛍光スペクトル測定条件
励起波長 460nm
測定波長 480〜680nm
FRETによるMTG変異体の活性評価の実験模式図を、図3に示す。
図4〜11に、FRETによる分析結果ならびに、EGFPの極大蛍光強度とTexas Redの極大蛍光強度の比(I610/I508)に基づくMTGの架橋反応進行度の経時変化を示す。
以上の結果より、Y12A MTG変異体と市販MTGでは最終的に同程度の反応率に達していることから、Y12A MTG変異体は市販MTGと同等の反応性を示すことが明らかとなった。しかしながら、FRETとハイドロキサメートの結果では活性の差が大きく異なることから、Y12A MTG変異体の基質認識能の差が反映された結果と言える。また、野生型MTG前駆体(Y12)よりも著しく活性が高いことが示された。
以上の結果から、Y12A MTG変異体はプロペプチドを切断せずとも、架橋活性を発現する変異体であることが示された。同時に、市販MTGよりも初期活性が若干低いことが示された。
(1)小分子1級アミン基質−小分子Gln基質間の反応
下記酵素反応条件に基づき、蛍光小分子基質を用いてY12A MTG変異体の架橋活性を評価した。その結果を図11〜13に示す。
<酵素反応条件>
小分子1級アミン基質:FITC−cadaverine 10μM
小分子Gln基質:TexasRed−QG 200μM
MTG 1μM
蛍光スペクトル測定条件
励起波長 460nm
測定波長 480〜680nm
図11〜13の結果より、市販MTGに比べるとY12A MTG変異体はほとんど活性を示さないことが明らかとなり、図2のハイドロキサメート法による組換えMTG酵素活性測定結果を支持するものとなった。また、K10R/Y12A MTG変異体(二重変異体)は、Y12A変異体に比べると僅かに高い活性を有することが示唆されたが、市販酵素に比べるとその活性は低いものであった。
(2)6アミノ酸Lysペプチド基質−小分子Gln基質間の反応
下記酵素反応条件に基づき、蛍光小分子基質を用いてY12A MTG変異体の架橋活性を評価した。その結果を図14〜16に示す。
<酵素反応条件>
Lysペプチド基質:FAM−MRHKGS(配列番号8) 10μM
小分子Gln基質:TexasRed−QG 200μM
MTG 1μM
蛍光スペクトル測定条件
励起波長 480nm
測定波長 495〜680nm
図14〜16の結果より、Y12A MTG変異体は、市販MTGに比べやや初期活性は劣るものの、酵素反応が平衡に達した時点での架橋効率はほぼ同等であることが示唆された。また、K10R/Y12A MTG変異体(二重変異体)は、Y12A変異体と類似の触媒挙動を示した。
また、上記(1)の結果との比較から、Y12A MTG変異体およびK10R/Y12A MTG変異体(二重変異体)は、ペプチド性Lys基質を用いると、小分子Gln基質に対しても十分な架橋活性を発現することが示された。
一方、図11と図19の横軸の比較から、同一の小分子Gln基質(TexasRed−QG)に対して、同一のLysペプチド基質配列(MRHKGS(配列番号8))を反応させているにも関わらず、タンパク質に付加配列として融合されたタンパク質性基質(CRK−EGFP)の場合の方が、より早く反応することが示唆された。
(3)まとめ
以上の結果から、MTGの活性部位を覆うプロペプチド配列部に適当な変異(Y12X,X=A or Q;Y16X,X=A or Q;K10R/Y12A)を導入し、且つ、反応性の高いペプチド性の基質を利用することで、プロペプチドを有するMTG変異体においても触媒活性が発現することが明らかとなった。
MTG反応性ペプチドタグ付加タンパク質への蛍光色素修飾実験
CQ−tag EGFP組換体(LLQG配列をC末端に持つ)、蛍光色素FITC−cadaverine、ならびにY12A MTG変異体またはY12Q MTG変異体をPBS(pH7.4)中で混合し、37℃、1時間反応させた。また、NK−tag EGFP組換体(MKHKGSGGGSGGGS(配列番号9)配列をN末端に持つ)、蛍光色素FITC−β−Ala−QG、ならびにY12A MTG変異体またはY12Q MTG変異体をPBS(pH7.4)中で混合し、37℃、1時間反応させた。最後に、NK−tag EGFP組換体(MKHKGSGGGSGGGS(配列番号9)配列をN末端に持つ)、蛍光色素FITC−β−Ala−QG、ならびにY16A MTG変異体をPBS(pH7.4)中で混合し、37℃、1時間反応させた。
反応後、SDS−PAGEを行い、蛍光イメージャー(Bio−Rad、Molecular Imager FX Pro)によるタンパク質にラベルされたFITC由来の蛍光イメージを取得した。また、Coomassie Brilliant Blue(CBB)によるタンパク質の染色を行った。ここで、基質ペプチドタグを付加したEGFP、蛍光色素ならびに各種MTGの濃度は、それぞれ1μM、20μM、ならびに1μMと設定した。結果を図17、18に示す。
図20及び21の結果より、
・小分子1級アミン基質―Gln基質ペプチド付加タンパク質間(図17)
・Lys基質ペプチド付加タンパク質―小分子Gln基質(図18)
の何れの場合においても、EGFP組換体の分子量付近に蛍光バンドが見られたことから、タンパク質に付加した基質ペプチド配列と小分子基質との間での架橋反応が進行することが明らかとなり、何れのMTGプロ配列変異体も架橋活性を有することが示された。
また、図20のY12Q MTG変異体のレーンにおいて、MTG変異体に該当する箇所に薄いながらも蛍光バンドが確認され、Y12A MTG変異体のレーンにおいてはそれが確認されなかったことから、変異を導入したGln残基に1級アミン基質がラベルされていることが示唆された。
一方、図21のY12A、Y12Q、Y16AのいずれのMTG変異体のレーンにおいても、MTG変異体に該当する箇所に蛍光バンドが確認された。市販MTGでは蛍光が確認されなかったことから、これらの変異体のプロペプチド配列中のLys残基(K10)に、小分子Gln基質(FITC−β−Ala−QG)がラベルされていることが示唆された。このK10をArg残基に置換したK10R/Y12A MTG変異体(二重変異体)においては、MTG自身のラベル産物は確認されなかった。
下記の表3に示す各種MTG変異体(詳しくは、MTG前駆体の変異体)をコードするDNAを作製し、実施例1と同様の方法を用いて、組換え発現プラスミドベクターの構築、タンパク質の発現及び精製を行い、各種MTG変異体タンパク質を得た。各種MTG変異体をコードするDNAは、表3中の「変異導入位置」欄に示した変異態様であるNo.2〜21のMTG変異体をコードするDNAである。詳しくは、実施例1において構築したMTG変異体をコードするDNAと同様に、野生型のMTGのアミノ酸配列(配列番号2)のC末端に「GSHHHHHH」(配列番号11)のペプチドを付加したアミノ酸配列(表3中のNo.1の野生型(WT)MTGのアミノ酸配列)をベースとし、当該アミノ酸配列のプロペプチド部分に表3中のNo.2〜21のアミノ酸置換変異を導入したり、リンカー配列(トロンビンリンカー配列:配列番号10)の挿入をしたMTG変異体をコードするDNAである。なお、表3中のNo.9のMTG変異体(K10X(X≠K,R)/Y12A/TL)については、第10番目のKに関しては、K及びR以外の各種アミノ酸(すなわち、X(X≠K,R))に置換されたものである(図24、27、28、31参照)。
得られた野生型MTG(No.1)及び各種MTG変異体(No.2〜21)について、1)小分子基質を用いたハイドロキサメート法、及び
2)ペプチド(タンパク質)基質を用いた方法としての、2−1)ペプチド架橋FRET、2−2)タンパク質ラベル(SDS−PAGE)
の各分析手法により、トランスグルタミナーゼ活性を測定・評価した。その結果を下記の表4にまとめて示した。なお、表4中の各評価結果(+、−など)には、当該評価のベースとなる図面番号(図22〜図34)も併記した。
詳しくは、1)小分子基質を用いたハイドロキサメート法については、前述した実施例2の方法において、pH6.0とpH7.0の条件のうちpH6.0の条件でのみ行った以外は、当該方法と同様にして、比活性(U/mg)を算出した。その結果を、図22〜25に示した。
また、2)ペプチド(タンパク質)基質を用いた方法については、以下のとおりである。
2−1)ペプチド架橋FRETの方法では、前述した実施例3の方法と同様にして、酵素活性を評価した。その結果を、図26〜28に示した。ただし、図27、28に結果を示したMTG変異体については、使用濃度を1μMではなく0.1μMとして実施した。
2−2)タンパク質ラベル(SDS−PAGE)の方法では、K−tag EGFP組換体(MKHKGS(配列番号12)配列をN末端に持つアミノ酸配列からなるものであり、MKHKGS−EGFP(配列番号14)とも称する)、蛍光色素FITC−β−Ala−QG、ならびに各種MTG変異体をPBS(pH7.4)中で混合し、37℃、1時間反応させた。反応後、SDS−PAGEを行い、蛍光イメージャー(Bio−Rad、Molecular Imager FX Pro)によるタンパク質にラベルされたFITC由来の蛍光イメージを取得した。また、Coomassie Brilliant Blue(CBB)によるタンパク質の染色を行った。ここで、基質ペプチドタグを付加したEGFP、蛍光色素ならびに各種MTGの濃度は、それぞれ1μM、20μM、ならびに1μMと設定した。その結果を図30、31に示した。
また、上記とは異なるK−tag EGFP組換体(MRHKGS(配列番号13)配列をC末端に持つアミノ酸配列からなるものであり、EGFP−MRHKGS(配列番号15)とも称する)、蛍光色素FITC−β−Ala−QG、ならびに各種MTG変異体をPBS(pH7.4)中で混合し、37℃、1時間反応させた。反応後、SDS−PAGEを行い、蛍光イメージャー(Bio−Rad、Molecular Imager FX Pro)によるタンパク質にラベルされたFITC由来の蛍光イメージを取得した。また、Coomassie Brilliant Blue(CBB)によるタンパク質の染色を行った。ここで、基質ペプチドタグを付加したEGFP、蛍光色素ならびに各種MTGの濃度は、それぞれ1μM、20μM、ならびに1μMと設定した。その結果を図29及び32〜34に示した。
<本実施例の考察>
本実施例を総括したものが表4である。
まず、図22、23より、ハイドロキサメート法によるMTG活性測定において、Y12A,Y12Q,Y16A,Y16Q変異体においては、活性を示さないが、Y12,Y16の両方をAに変異させたダブルミュータントに関しては、有意な活性向上が観察された。続いて、図24において、Y12をAに固定し、K10を各種アミノ酸に置換したダブルミュータントに関しては、D,Eなどの酸性アミノ酸に置換した変異体において有意な活性向上が見られた。次に、図25より、Y12H、Y16Hのシングルあるいはダブルミュータントにおいて、Y12Hの変異を有するMTG変異体において、有意な活性向上が見られ、さらにY12H/Y16Hのダブルミュータントにおいては更なる活性向上が観察された。また、Y12A変異を持たない、K10DあるいはK10E変異体においては有意な活性は見られなかった。
次に、図26において、トロンビンリンカー配列のみを有するWT/TLは活性を示さないのに対して、Y12またはY16にAやQの変異を導入した、シングルまたはダブルミュータントは、顕著な活性向上を示した。各変異体の活性の差異を見積もるため、MTG濃度を10分の1にして、同様の検討をおこなった。図27、28より、各K10X/Y12A/TL変異体において、X=D>E,G>K(Y12A/TL)>A,C,N>M>Hの順に高い架橋活性を示した。
最後に、図29より、トロンビンリンカーの挿入により、僅かに活性が発現することが示された。さらに、図30、31から、Y12あるいはY16に変異を導入したMTG変異体は、有意な活性向上を示した。さらに図32、33より、K10R/Y12HあるいはK10R/Y12H/Y16Hの変異を有するMTG変異体は、pH応答性を示し、pH6.0において、pH7.4よりも有意に高い活性を示した。最後に、図34において、Y12あるいはY16に変異を持たず、K10DあるいはK10Eの変異を持つシングルミュータントに関して、活性の発現が確認できた。
本発明によれば、大腸菌等の微生物を宿主とした発現系においても容易に製造(精製等)することが可能な、MTG変異体、すなわちトランスグルタミナーゼ活性を有する活性型MTGを提供することができる。当該MTG変異体であれば、発現精製時のプロテアーゼ処理も不要となり、プロペプチドならびにプロテアーゼの除去にかかる手間とコストを大幅に削減することができる。
さらに、本発明に係るMTG変異体は、反応性の低い小分子基質に対して架橋活性を示さないものであり、MTGをタンパク質の部位特異的修飾に用いる上で問題となりうる非特異的な架橋反応を防ぎ得るものである。すなわち、本発明に係るMTG変異体は、変異の導入されたプロペプチドよりも高い親和性を有するペプチド性基質を用いたときのみ、当該プロペプチドを有するMTG変異体によって基質認識をし、特定のペプチド配列選択的な架橋反応を行い得るものである。また、本発明に係るMTG変異体は、宿主内での対象タンパク質基質の部位特異的修飾にも用い得るものである。
配列番号3:組換えタンパク質
配列番号4:組換えタンパク質
配列番号5:組換えタンパク質
配列番号6:組換えタンパク質
配列番号7:組換えタンパク質
配列番号8:ペプチド
配列番号9:ペプチド
配列番号10:ペプチド
配列番号11:ペプチド
配列番号12:ペプチド
配列番号13:ペプチド
配列番号14:組換えタンパク質
配列番号15:組換えタンパク質
[配列表]

Claims (22)

  1. 野生型の微生物由来トランスグルタミナーゼにおいて少なくともプロペプチド部分のアミノ酸配列中のアミノ酸を変異させたタンパク質であって、トランスグルタミナーゼ活性を有することを特徴とする、前記タンパク質。
  2. 前記変異後のプロペプチド部分を有した状態で前記活性を有するものである、請求項1記載のタンパク質。
  3. 前記変異が、他のアミノ酸への置換である、請求項1又は2記載のタンパク質。
  4. 前記変異させる、プロペプチド部分のアミノ酸配列中のアミノ酸が、リジン及び/又は少なくとも1つのチロシンを含むものである、請求項1〜3のいずれか1項に記載のタンパク質。
  5. 前記少なくとも1つのチロシンを変異させた他のアミノ酸が、アラニン、グルタミン及びヒスチジンからなる群より選ばれる少なくとも1種である、請求項4記載のタンパク質。
  6. 前記リジンを変異させた他のアミノ酸が、アルギニン、アスパラギン酸、グルタミン酸、アラニン、システイン、フェニルアラニン、グリシン、ヒスチジン、イソロイシン、ロイシン、メチオニン、アスパラギン、プロリン、グルタミン、セリン、トレオニン、バリン、トリプトファン及びチロシンからなる群より選ばれる少なくとも1種である、請求項4記載のタンパク質。
  7. 野生型の微生物由来トランスグルタミナーゼのアミノ酸配列において第10番目、第12番目及び第16番目からなる群より選ばれる少なくとも1つのアミノ酸が他のアミノ酸に置換されたアミノ酸配列、又は該置換されたアミノ酸配列のうち前記置換部位のアミノ酸を除く1若しくは数個のアミノ酸が欠失、置換若しくは付加されたアミノ酸配列からなり、かつトランスグルタミナーゼ活性を有することを特徴とする、タンパク質。
  8. 前記第12番目及び/又は第16番目のアミノ酸を変異させた他のアミノ酸が、アラニン、グルタミン及びヒスチジンからなる群より選ばれる少なくとも1種である、請求項7記載のタンパク質。
  9. 前記第10番目のアミノ酸を変異させた他のアミノ酸が、アルギニン、アスパラギン酸、グルタミン酸、アラニン、システイン、フェニルアラニン、グリシン、ヒスチジン、イソロイシン、ロイシン、メチオニン、アスパラギン、プロリン、グルタミン、セリン、トレオニン、バリン、トリプトファン及びチロシンからなる群より選ばれる少なくとも1種である、請求項7記載のタンパク質。
  10. 以下の(a)又は(b)のタンパク質。
    (a)配列番号2に示されるアミノ酸配列において第10番目、第12番目及び第16番目からなる群より選ばれる少なくとも1つのアミノ酸が他のアミノ酸に置換されたアミノ酸配列
    (b)上記(a)のアミノ酸配列において前記置換部位のアミノ酸を除く1若しくは数個のアミノ酸が欠失、置換若しくは付加されたアミノ酸配列を含み、かつトランスグルタミナーゼ活性を有するタンパク質
  11. 前記第12番目及び/又は第16番目のアミノ酸を変異させた他のアミノ酸が、アラニン、グルタミン及びヒスチジンからなる群より選ばれる少なくとも1種である、請求項10記載のタンパク質。
  12. 前記第10番目のアミノ酸を変異させた他のアミノ酸が、アルギニン、アスパラギン酸、グルタミン酸、アラニン、システイン、フェニルアラニン、グリシン、ヒスチジン、イソロイシン、ロイシン、メチオニン、アスパラギン、プロリン、グルタミン、セリン、トレオニン、バリン、トリプトファン及びチロシンからなる群より選ばれる少なくとも1種である、請求項10記載のタンパク質。
  13. 前記トランスグルタミナーゼ活性は、野生型の微生物由来トランスグルタミナーゼが有するトランスグルタミナーゼ活性と実質的に同等の活性レベルのものである、請求項1〜12のいずれか1項に記載のタンパク質。
  14. 請求項1〜13のいずれか1項に記載のタンパク質をコードする遺伝子。
  15. 以下の(a)又は(b)のDNAを含む遺伝子。
    (a)配列番号1に示される塩基配列において、第28番目〜第30番目の塩基がリジン以外のアミノ酸のコドンを示す塩基に置換されたか、並びに/又は、第34番目〜第36番目及び/若しくは第46番目〜第48番目の塩基がチロシン以外のアミノ酸のコドンを示す塩基に置換された塩基配列からなるDNA。
    (b)前記(a)のDNAに対し相補的な塩基配列からなるDNAとストリンジェントな条件下でハイブリダイズするDNAであって、前記置換部位の塩基に対応する塩基が当該置換部位の塩基と同一であり、かつトランスグルタミナーゼ活性を有するタンパク質をコードするDNA
  16. 前記チロシン以外のアミノ酸が、アラニン、グルタミン及びヒスチジンからなる群より選ばれる少なくとも1種である、請求項15記載の遺伝子。
  17. 前記リジン以外のアミノ酸が、アルギニン、アスパラギン酸、グルタミン酸、アラニン、システイン、フェニルアラニン、グリシン、ヒスチジン、イソロイシン、ロイシン、メチオニン、アスパラギン、プロリン、グルタミン、セリン、トレオニン、バリン、トリプトファン及びチロシンからなる群より選ばれる少なくとも1種である、請求項15記載の遺伝子。
  18. 請求項14〜17のいずれか1項に記載の遺伝子を含む、組換えベクター。
  19. 請求項18記載の組換えベクターを含む、形質転換体。
  20. 形質転換体が形質転換大腸菌である、請求項19記載の形質転換体。
  21. 請求項19又は20記載の形質転換体を培養する工程と、得られる培養物からトランスグルタミナーゼ活性を有するタンパク質を採取する工程とを含む、当該タンパク質の製造方法。
  22. 前記採取する工程が、タンパク質の精製工程を含む、請求項21記載の方法。
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