JPWO2017212853A1 - マーカ - Google Patents

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Abstract

本発明のマーカは、少なくとも第1の方向に沿って配置された複数の凸面を含む第1面と、第1面と表裏の位置に配置され、光学的に検出可能な像として複数の凸面に投影される第2面と、を有する。第2面は、光学的に互いに識別可能な複数の第1領域および複数の第2領域を含み、第1の方向についての複数の第1領域の中心間の間隔は、第1の方向についての複数の凸面の頂点間の間隔より広い。複数の第1領域は、複数の凸面の焦点位置よりも凸面から遠くに配置され、表裏の方向に沿って凸面に外部から平行光を入射させたときに、第1領域が配置されている高さにおいて凸面により形成される光束の第1の方向についての幅は、第1の方向についての第1領域の幅以下である。

Description

本発明は、マーカに関する。
近年、拡張現実感(Augmented Reality:AR)やロボティクスなどの分野において、物体の位置や姿勢などを認識するためのマーカとして、レンズと模様との組み合わせによる画像表示体が使用されている(例えば、特許文献1参照)。
特許文献1には、複数のシリンドリカルレンズ(凸面)が並列したレンチキュラーシートと、シリンドリカルレンズのそれぞれに対応する画像を含む画像形成層とを有するマーカが記載されている。シリンドリカルレンズは、その焦点が画像上に位置するように形成されている。シリンドリカルレンズ側からマーカを見ると、見る位置に応じて模様の像が移動して観察される。
図1は、特許文献1におけるマーカ10の観察角度を変えたときの黒色の集合像の見え方を模式的に示した図である。図1に示されるように、特許文献1に記載のマーカ10では、複数のシリンドリカルレンズ12の焦点F’が、被検出部(第1領域)14の表面16と同じ高さに位置するように、複数のシリンドリカルレンズ12が形成される。この場合、図1に示されるように、特許文献1に記載のマーカ10では、観察角度に関わらず、被検出部14の像と被検出部14以外の領域(第2領域)18の像との境界が明確に区別されうる。また、特許文献1に記載のマーカ10では、複数の被検出部(第1領域)14の像が1つの集合像として観察される。
特開2013−025043号公報
しかしながら、特許文献1に記載のマーカ10では、製造誤差などを考慮すると、製造するすべてのマーカ10において、シリンドリカルレンズ12の焦点F’を被検出部14の表面16と同じ高さに位置させることは困難である。また、一つのマーカ10内においても、複数のシリンドリカルレンズ12の焦点F’をすべて被検出部14の表面16と同じ高さに位置させることは困難である。特許文献1に記載のマーカ10では、このようにシリンドリカルレンズ12の焦点F’が被検出部14の表面16の高さからずれてしまった場合、観察角度によって、被検出部(第1領域)14の像と被検出部14以外の領域(第2領域)18の像との境界が不明確になってしまうおそれがある。また、複数の被検出部(第1領域)14の像が分離してしまい、1つの集合像として観察できなくなってしまうおそれもある。
そこで、本発明は、複数の凸面の焦点が被検出部の表面と同じ高さにない場合であっても、観察角度に関わらず、第1領域の像と第2領域の像との境界を明確に区別できるとともに、複数の第1領域の像を1つの集合像として観察できるマーカを提供することを課題とする。
本発明のマーカは、透光性を有する材料で形成されたマーカであって、少なくとも第1の方向に沿って配置された複数の凸面を含む第1面と、前記第1面と表裏の位置に配置され、光学的に検出可能な像として前記複数の凸面に投影される第2面と、を有し、前記第2面は、光学的に互いに識別可能な複数の第1領域および複数の第2領域を含み、前記第1の方向についての前記複数の凸面の頂点間の間隔は、前記第1の方向についての前記複数の第1領域の中心間の間隔より広く、前記複数の第1領域は、前記複数の凸面の焦点位置よりも前記凸面から遠くに配置され、前記表裏の方向に沿って前記凸面に外部から平行光を入射させたときに、前記第1領域が配置されている高さにおいて前記凸面により形成される光束の前記第1の方向についての幅は、前記第1の方向についての前記第1領域の幅以下である。
また、本発明のマーカは、透光性を有する材料で形成されたマーカであって、少なくとも第1の方向に沿って配置された複数の凸面を含む第1面と、前記第1面と表裏の位置に配置され、光学的に検出可能な像として前記複数の凸面に投影される第2面と、を有し、前記第2面は、光学的に互いに識別可能な複数の第1領域および複数の第2領域を含み、前記第1の方向についての前記複数の凸面の頂点間の間隔は、前記第1の方向についての前記複数の第1領域の中心間の間隔より狭く、前記複数の第1領域は、前記複数の凸面の焦点位置よりも前記凸面から近くに配置され、前記表裏の方向に沿って前記凸面に外部から平行光を入射させたときに、前記第1領域が配置されている高さにおいて前記凸面により形成される光束の前記第1の方向についての幅は、前記第1の方向についての前記第1領域の幅以下である。
本発明によれば、製造誤差などにより複数の凸面の焦点の位置がずれた場合であっても、観察角度に関わらず、第1領域の像と第2領域の像との境界を明確に区別できるとともに、複数の第1領域の像を1つの集合像として観察できるマーカを提供できる。
図1A〜Dは、特許文献1におけるマーカの観察角度を変えたときの黒色の集合像の見え方を模式的に示した図である。 図2A、Bは、本発明の実施の形態1に係るマーカの構成を示す図である。 図3A〜Dは、比較例1に係るマーカにおいて、観察角度を変えたときの黒色の集合像の見え方を模式的に示した図である。 図4A〜Dは、実施の形態1に係るマーカにおいて、観察角度を変えたときの黒色の集合像の見え方を模式的に示した図である。 図5A、Bは、実施の形態2に係るメーカの構成を示す図である。 図6A〜Dは、比較例2に係るマーカにおいて、観察角度を変えたときの黒色の集合像の見え方を模式的に示した図である。 図7A〜Dは、実施の形態2に係るマーカにおいて、観察角度を変えたときの黒色の集合像の見え方を模式的に示した図である。 図8A〜Cは、本発明の実施の形態3に係るマーカの構成を示す図である。 図9A〜Cは、本発明の実施の形態4に係るマーカの構成を示す図である。 図10A〜Dは、本発明の実施の形態5に係るマーカの構成を示す図である。 図11A〜Dは、本発明の実施の形態6に係るマーカの構成を示す図である。 図12A〜Dは、本発明の実施の形態7に係るマーカの構成を示す図である。
以下、添付した図面を参照して、本発明の一実施の形態に係るマーカについて説明する。
[実施の形態1]
(マーカの構成)
図2A、Bは、本発明の実施の形態1に係るマーカ100の構成を示す図である。図2Aは、本発明の実施の形態1に係るマーカ100の平面図であり、図2Bは、正面図である。
図2Aおよび2Bに示されるように、マーカ100は、表面(第1面)120と、裏面(第2面)140とを有する。マーカ100の材料は、透光性を有する材料であれば特に限定されない。マーカ100の材料の例には、ポリカーボネート、アクリル樹脂、シクロオレフィンポリマー(COP)、シクロオレフィンコポリマー(COC)などの透明な樹脂やガラスなどが含まれる。本実施の形態では、マーカ100の材料は、屈折率が1.54のシクロオレフィンコポリマー(COC)である。表面120は、複数のシリンドリカル形状の凸面121を含む。また、裏面140は、複数の第1領域(被検出部)141と、複数の第2領域(反射部)142とを含む。第1領域141と第2領域142とは、光学的に互いに識別可能である。また、第1領域141および第2領域142は、異なる高さに配置されていることが好ましい。
ここで「光学的に区別可能」とは、第1領域141と、第2領域142とが光学的な特性で明らかな差を有することを意味する。ここで、「光学的な特性」とは、例えば、明度、彩度、色相などの色合いであり、あるいは、輝度などの光の強さを意味する。上記の差は、マーカ100の用途に応じて適宜に決めることができ、例えば、目視で確認可能な差であってもよいし、光学的な検出装置で確認可能な差であってもよい。また、上記の差は、第1領域141および第2領域142から直接検出可能な差であってもよいし、例えば第1領域141および第2領域142の少なくとも一方が蛍光を発する透明な膜である場合のように、UVランプの照射などのさらなる操作を伴って検出可能な差であってもよい。
複数の凸面121は、第1の方向(図2におけるX方向)に沿って配列されている。複数の凸面121は、第1の方向(X方向)およびマーカ100の高さ方向(表裏の方向;第2の方向;図2におけるZ方向)に垂直な第3の方向(図2におけるY方向)にそれぞれ延在している。凸面121は、第3の方向(Y方向)に向かって直線状に延在する稜線122を含み、かつ第1の方向(X方向)にのみ曲率を有する曲面である。すなわち、本実施の形態に係るマーカ100は、レンチキュラーの構造を有する。また、第1の方向(X方向)に沿うマーカ100の高さ方向(Z方向)の断面において、稜線122および頂点123は、一致する。また、本実施の形態では、複数の凸面121のうち、隣り合う2つの凸面121は、隙間なく配置されている。
複数の凸面121の大きさは、全て同じである。例えば、1つの凸面121の幅W1(第1の方向における長さ)は、440μmであり、複数の凸面121のピッチPCLは、440μmである。ここで「凸面121のピッチ」とは、隣り合う凸面121の第1の方向における稜線122(頂点123または中心軸CA)間の距離である。また、本実施の形態では、凸面121のピッチは、凸面121の第1の方向(X方向)における長さ(幅)でもある。ここで、「凸面121の中心軸CA」とは、凸面121を平面視したときに、凸面121の中心であって、かつ第1の方向(X方向)および第3の方向(Y方向)のいずれにも垂直な第2の方向(Z方向)に沿う直線を意味する。また、「凸面121の頂点123」とは、第1の方向(X方向)に沿うマーカ100の高さ方向(Z方向)の断面における稜線122の位置である。すなわち、本実施の形態では、中心軸CAを含む断面において、凸面121の頂点123は、凸面121と、中心軸CAとの交点である。
第1の方向(X方向)に沿うマーカ100の高さ方向(Z方向)の断面における、複数の凸面121のそれぞれの断面形状は、円弧または弧である。本実施の形態では、当該断面における凸面121の断面形状は、曲率半径が、0.25mmの円弧である。また、本実施の形態では、凸面121の焦点F1は、凸面121と、複数の第1領域141を通る仮想平面との間に位置している。言い換えれば、第1領域141は、凸面121の焦点F1よりも表面(第1面)120から遠く(離れた位置)に配置されている。
各凸面121から入射した平行光は、表面(第1面)120からみたときに、第1領域141よりも表面120側でその焦点F1を結ぶ。このとき、高さ方向(表裏の方向)に沿って凸面121に外部から平行光を入射させたときに、第1領域141が配置されている高さにおいて凸面121により形成される光束の第1の方向(X方向)についての幅は、第1の方向(X方向)についての第1領域141の幅以下である。なお、本実施の形態では、凸面121により形成される光束の幅は、第1領域141の幅と同じである。
複数の第1領域141は、複数の凸面121と表裏の位置に配置され、光学的に検出可能な像として複数の凸面121にそれぞれ投影される。第1領域141は、マーカ100を平面視した場合に、第3の方向(Y方向)に沿って延在している。第1領域141の構成は、前述したように、光学的に検出可能な像として複数の凸面121にそれぞれ投影されれば、特に限定されない。第1領域141は、凹部であってもよいし、凸部であってもよい。本実施の形態では、第1領域141は、凹部である。凹部の形状は、マーカ100を平面視したときに、所定の幅となれば特に限定されない。また、この凹部に塗料を塗布して形成された塗膜143が配置されていてもよい。本実施の形態では、第1領域141の平面視形状は、第3の方向(Y方向)を長手方向とする矩形である。「第1領域141の中心」とは、第1の方向(X方向)における第1領域141の中点であって、かつ第3の方向(Y方向)における第1領域141の中点を意味する。
また、第1領域141を構成するための凹部の深さは、所期の機能(像の表示)を発揮できれば特に限定されない。第1領域141を構成するための凸部の高さは、例えば5〜100μmの範囲から適宜決めることができる。本実施の形態では、第1領域141を構成するための凹部の深さは、例えば10μmである。第1領域141を構成するための凹部の第1の方向(X方向)における長さ(幅)W2は、例えば45μmである。第1領域141の幅W2をPCLに対して小さくすると、凸面121側で観察される像のコントラストが大きくなる傾向がある。また、第1領域141の幅W2をPCLに対して大きくすると、第1領域141の作製が容易となる傾向がある。ピッチPCLに対する第1領域141の幅W2の比(W2/PCL)は、十分に明確な上記像を得る観点から1/200〜1/5であることが好ましい。
第1領域141は、表面120側から凸面121の第1の方向(X方向)および第3の方向(Y方向)における中央でマーカ100を観察したときに、第1領域141による像が凸面121の中央部に位置するように配置されている。
例えば、第1の方向(X方向)において、表面120の中央に位置する凸面121(図2Bにおけるn=0の凸面121)に対応する第1領域141は、その中心Cがn=0の凸面121の中心軸CAと重なる位置に配置される。
本実施の形態では、第1の方向(X方向)における隣り合う凸面121に対応する第1領域141の中心間の距離(|C−Cn−1|)は、PCL+nG(μm)で表される。PCLは、前述したように、隣接する凸面121の頂点123間の距離を示している。また、Gは、像の光学的効果を発現させるための、第1の方向(X方向)における所定の距離(例えば8μm)を示している。さらに、nは、中心の凸面121を0番としたときの第1の方向(X方向)におけるn番目の凸面121であることを示している。
このように、中心(n=0)の凸面121から離れた位置にある凸面121に対応する第1領域141は、その凸面121の中心軸CAよりも第1の方向(X方向)において、より中心(n=0)の凸面121から離れた位置に配置されている。すなわち、本実施の形態では、第1の方向(X方向)についての隣接する第1領域141の中心間の間隔(第1領域のピッチ)は、第1の方向(X方向)についての隣接する凸面121の頂点123間の間隔(凸面121のピッチ)よりも広い。
本実施の形態では、第1領域141には、塗膜143が形成されている。塗膜143は、例えば、黒色の液体塗料の固化物である。
塗膜143は、塗料の塗布および固化により作製される。黒色の液体塗料は、流動性を有し、例えば液状の組成物であり、あるいは粉体である。塗料を塗布または固化する方法は、公知の方法の中から塗料に応じて適宜に決めることができる。例えば、黒色の液体塗料の塗布方法の例には、スプレー塗布およびスクリーン印刷が含まれる。また、黒色の液体塗料の固化方法の例には、黒色の液体塗料の乾燥、黒色の液体塗料中の硬化成分(ラジカル重合性化合物など)の硬化、および粉体の焼き付けが含まれる。
塗膜143は、光学的に区別可能な部分を形成する。光学的に区別可能とは、その塗膜143とそれ以外の部分とが光学的な特性で明らかな差を有することを意味する。ここで、「光学的な特性」とは、例えば、明度、彩度、色相などの色合いであり、あるいは、輝度などの光の強さを意味する。上記の差は、マーカ100の用途に応じて適宜に決めることができ、例えば、目視で確認可能な差であってもよいし、光学的な検出装置で確認可能な差であってもよい。また、上記の差は、塗膜143から直接検出可能な差であってもよいし、例えば塗膜143が蛍光を発する透明な膜である場合のように、UVランプの照射などのさらなる操作を伴って検出可能な差であってもよい。
マーカ100を白色の物体上に載置した場合、それぞれの凸面121で入射した光のうち、第1領域141に到達した光は、塗膜143に吸収される。一方、それぞれの凸面121で入射した光のうち、第2領域142に到達した光は、その表面で反射して凸面121に戻る。このため、凸面121には、白色の背景上に塗膜143の色(黒色)の線の像が投影される。
そして、第1領域141は、マーカ100の第1の方向における中心からの距離に応じて適宜に配置されているため、表面120側からマーカ100を観察すると、黒色の線の像が集合した黒色の集合像が観察される。
黒色の集合像は、例えば、第1の方向(X方向)における中央からマーカ100を見たときには、第1の方向における中央部に観察される。マーカ100を、第1の方向(X方向)について角度を変えて観察すると、集合像は、観察角度に応じて、第1の方向における異なる位置で観察される。したがって、集合像の第1の方向(X方向)における位置から、マーカ100の観察角度が決まる。
本実施の形態に係るマーカ100は、第1の方向(X方向)に配列された複数の凸面121に、複数の第1領域141が投影されて機能を発揮する。すなわち、所定の位置からマーカ100を観察するときには、黒色の線の像が連続した黒色の集合像として観察されることが好ましい。黒色の線の像が連続した黒色の集合像として観察されるためには、第1の方向(X方向)についての凸面121の頂点123間の間隔と、第1の方向(X方向)についての第1領域141の中心間の間隔と、第1領域141(凸面121の焦点F1)の位置と、第1領域141が配置された高さにおいて、凸面121により形成される光束の第1の方向(X方向)についての幅および第1領域141の幅との関係が重要である。
次いで、第1の方向(X方向)についての凸面121により形成される光束の幅および第1領域141の幅の関係について説明する。図3A〜Dは、第1の方向(X方向)についての第1領域141’の中心間の間隔が頂点123’間の間隔より広く、かつ第1領域141’が凸面121’の焦点(F1’)位置よりも凸面121’から遠くに配置され、さらに第1領域141’が配置された高さにおいて、凸面121’により形成される光束の第1の方向(X方向)についての幅が、第1の方向(X方向)についての第1領域141’の幅を超える長さであるマーカ100’において、観察角度を変えたときの黒色の集合像の見え方を模式的に示した図である。図4A〜Dは、実施の形態1に係るマーカ100において、観察角度を変えたときの黒色の集合像の見え方を模式的に示した図である。図3A〜Dおよび図4A〜Dでは、凸面121、121’の中心軸CA、CA’の延在方向を観察角度0°とし、紙面右側に向かうにつれて観察角度がプラス側に大きくなり、紙面左側に向かうにつれて観察角度がマイナス側に大きくなるとしたとき、観察角度0°から観察角度を徐々にマイナス側に大きくした場合の黒色の集合像の見え方について示している。
図3A〜Dに示されるように、第1領域141’の中心間の間隔が頂点123’間の間隔より広く、かつ第1領域141’が凸面121’の焦点(F1’)位置よりも凸面121’から遠くに配置され、さらに第1領域141’が配置された高さにおいて、凸面121’により形成される光束の幅が第1領域141’の幅を超える長さであるマーカ100’において、複数の第1領域141’の像(黒色の集合像)の移動方向について見てみると、観察角度を0°からマイナス側に大きくしていく(紙面中央から紙面左側に移動していく)と、複数の第1領域141’の像は、紙面中央から紙面右側に移動するように見える。すなわち、マーカ100’では、黒色の集合像は、観察対象から離れるように移動する。また、マーカ100’において、複数の第1領域141’の像の見え方について見てみると、複数の第1領域141’の像が一つの集合像として観察されない。言い換えると、1つの凸面121’で観察される第1領域141’と、当該凸面121’に隣接する凸面121’で観察される第1領域141’との間に黒色でない領域が存在する。これは、第2領域142’の一部が凸面121’に投影されたためである。また、第1領域141’が凸面121’の焦点(F1’)位置よりも凸面121’から遠くに配置されているため、第1領域141’および第2領域142’は、第1の方向(X方向)において反転し、凸面121’に投影されると考えられる。さらに、第1領域141’が配置された高さにおいて、凸面121’により形成される光束の幅が第1領域141’の幅を超える長さであるため、凸面121’に隣接する凸面121’で観察される第1領域141’との間に黒色でない領域が存在すると考えられる。
一方、図4A〜Dに示されるように、本実施の形態に係るマーカ100において、複数の第1領域141の像(黒色の集合像)の移動方向について見てみると、観察角度を0°からマイナス側に大きくしていく(紙面中央から紙面左側に移動していく)と、複数の第1領域141の像(黒色の集合像)は、紙面中央から紙面右側に移動するように見える。すなわち、当該マーカ100では、黒色の集合像は、観察対象から離れるように移動する。また、当該マーカ100において、複数の第1領域141の像の見え方について見てみると、複数の第1領域141の像が一つの集合像として観察される。また、本実施の形態に係るマーカ100では、図3に示されるマーカ100’と同様に第2領域142の一部が凸面121に投影される場合がある。しかしながら、当該マーカ100では、そのような場合であっても、第1領域141の中心間の間隔が、凸面121の頂点123間の間隔より広く、かつ第1領域141が、凸面121の焦点位置よりも凸面121から遠くに配置され、さらに、第1領域141が配置された高さにおいて、凸面121により形成される光束の幅は、第1領域141の幅以下であるため、第2領域142の一部は、第1の方向(X方向)において、外側(第2領域142側)に隣接する凸面121側に投影される。これにより、実施の形態1に係るマーカ100では、第1領域141の像が一つの像として観察される。さらに、第1領域141と第2領域142とのコントラストが大きくなる。
(効果)
以上のように、本実施の形態に係るマーカ100では、複数の凸面121の焦点位置が第1領域141上にないが、観察角度に関わらず、第1領域141と第2領域142との境界は、明確に区別できるとともにともに、複数の第1領域141の像を一つの像として観察できる。したがって、製造誤差などにより複数の凸面121の焦点の位置がずれた場合であっても、観察角度に関わらず、第1領域141と第2領域142との境界を明確に区別できるとともに、複数の第1領域141の像を1つの集合像として観察できる。
[実施の形態2]
実施の形態2に係るマーカ200は、凸面221の頂点223間の間隔および第1領域241の中心間の間隔と、第1領域241(凸面221の焦点F2)の位置と、第1領域241が配置された高さにおいて凸面221により形成される光束の幅および第1領域241の幅との大小関係のみが実施の形態1に係るマーカ100の構成と異なる。そこで、実施の形態1に係るマーカ体100と同じ構成については、同じ符号を付してその説明を省略する。
図5A、Bは、本発明の実施の形態2に係るマーカ200の構成を示す図である。図5Aは、本発明の実施の形態2に係るマーカ200の平面図であり、図5Bは、正面図である。図5Aおよび5Bに示されるように、実施の形態2に係るマーカ200は、第1面220および第2面240を有する。第1面220は、複数の凸面221を有する。また、第2面240は、複数の第1領域241と、複数の第2領域242を有する。
本実施の形態では、第1の方向(X方向)に沿うマーカ200の高さ方向(Z方向)の断面における、複数の凸面221のそれぞれの断面形状は、弧である。より具体的には、本実施の形態では、凸面221の断面形状は、中心軸CA(稜線222)から離れるにつれて曲率半径が徐々に大きくなる形状である。また、凸面221の焦点F2は、凸面221からみたとき、複数の第1領域241を含む仮想平面よりも遠くに位置している。言い換えれば、第1領域241は、凸面221の焦点位置よりも凸面221の近くに配置されている。
第1領域241は、表面220側から凸面221の第1の方向(X方向)および第3の方向(Y方向)における中央でマーカ200を観察したときに、第1領域241による像が凸面221の中央部に位置するように配置されている。
例えば、第1の方向(X方向)において、表面220の中央に位置する凸面221(図5Bにおけるn=0の凸面221)に対応する第1領域241は、その中心Cがn=0の凸面221の中心軸CAと重なる位置に配置される。
本実施の形態では、第1の方向(X方向)における隣り合う凸面221に対応する第1領域241の中心間の距離(|C−Cn−1|)は、PCL−nG(μm)で表される。PCLは、前述したように、隣接する凸面221の頂点223間の距離を示している。また、Gは、像の光学的効果を発現させるための、第1の方向(X方向)における所定の距離(例えば8μm)を示している。さらに、nは、中心の凸面221を0番としたときの第1の方向(X方向)におけるn番目の凸面221であることを示している。
このように、中心(n=0)の凸面221から離れた位置にある凸面221に対応する第1領域241は、その凸面221の中心軸CAよりも第1の方向(X方向)において、より中心(n=0)の凸面221側に配置されている。すなわち、本実施の形態では、隣接する第1領域241の中心間の間隔は、隣接する凸面221の頂点223間の間隔(凸面122のピッチ)よりも狭い。
また、高さ方向(表裏の方向)に沿って凸面221に外部から平行光を入射させたときに、第1領域241が配置されている高さにおいて凸面221により形成される光束の第1の方向(X方向)についての幅は、第1の方向(X方向)についての第1領域241の幅以下である。なお、本実施の形態では、凸面221により形成される光束の幅は、第1領域241の幅と同じ幅である。
次いで、第1の方向(X方向)についての凸面221により形成される光束の幅および第1領域141の幅の関係について説明する。図6A〜Dは、第1の方向(X方向)についての第1領域241’の中心間の間隔が頂点223’間の間隔より狭く、かつ第1領域241’が凸面221’の焦点(F2’)位置よりも凸面221’から近くに配置され、さらに第1領域141’が配置された高さにおいて、凸面221’により形成される光束の第1の方向(X方向)についての幅が、第1の方向(X方向)についての第1領域241’の幅を超える長さであるマーカ200’において、観察角度を変えたときの黒色の集合像の見え方を模式的に示した図である。図7A〜Dは、実施の形態2に係るマーカ200において、観察角度を変えたときの黒色の集合像の見え方を模式的に示した図である。図6A〜Dおよび図7A〜Dでは、凸面221、221’の中心軸CA、CA’の延在方向を観察角度0°とし、紙面右側に向かうにつれて観察角度がプラス側に大きくなり、紙面左側に向かうにつれて観察角度がマイナス側に大きくなるとしたとき、観察角度0°から観察角度を徐々にマイナス側にした場合の黒色の集合像の見え方について示している。
図6A〜Dに示されるように、第1領域241’の中心間の間隔が頂点223’間の間隔より狭く、かつ第1領域241’が凸面221’の焦点(F2’)位置よりも凸面221’から近くに配置され、さらに第1領域241’が配置された高さにおいて、凸面221’により形成される光束の幅が第1領域241’の幅を超える長さであるマーカ200’において、複数の第1領域241’の像(黒色の集合像)の移動方向について見てみると、観察角度を0°からマイナス側に大きくしていく(紙面中央から紙面左側に移動していく)と、複数の第1領域241’の像は、紙面中央から紙面左側に移動するように見える。すなわち、黒色の集合像は、観察対象に対して近づくように移動する。また、マーカ200’において、複数の第1領域241’の像の見え方について見てみると、複数の第1領域241’の像が一つの集合像として観察されない。言い換えると、1つの凸面221’に投影される第1領域241’と、当該凸面221’に隣接する凸面221’に投影される第1領域241’との間に黒色でない領域が存在する。これは、第2領域242’の一部が凸面221’に投影されたためと考えられる。第1領域241’が凸面221’の焦点(F2’)位置よりも凸面221’から近くに配置されているため、第1領域241’および第2領域242’は、第1の方向(X方向)において反転せずに凸面221’に投影されるためと考えられる。さらに、第1領域241’が配置された高さにおいて、凸面221’により形成される光束の幅が第1領域241’の幅を超える長さであるため、凸面221’に隣接する凸面221’で観察される第1領域241’との間に黒色でない領域が存在すると考えられる。
一方、図7A〜Dに示されるように、本実施の形態に係るマーカ200において、複数の第1領域241の像(黒色の集合像)の移動方向について見てみると、観察角度を0°からマイナス側に大きくしていく(紙面中央から紙面左側に移動していく)と、複数の第1領域241の像(黒色の集合像)は、紙面中央から紙面左側に移動するように見える。すなわち、黒色の集合像は、観察対象に対して近づくように移動する。また、実施の形態2に係るマーカ200において、複数の第1領域241の像の見え方について見てみると、複数の第1領域241の像(黒色の集合像)が一つの集合体として観察される。実施の形態2に係るマーカ200では、第2領域242の一部が凸面221に投影される。しかしながら、実施の形態2に係るマーカ200では、第1領域241が凸面221の焦点(F2)位置よりも凸面221から近くに配置されているため、第2領域242の一部は、第1の方向(X方向)において、中央側に隣接する凸面221側に投影される。さらに、第1領域241が配置された高さにおいて、凸面221により形成される光束の幅が第1領域241の幅以下の長さであるため、実施の形態2に係るマーカ200では、第1領域241の像が一つの像として観察される。
(効果)
以上のように、本実施の形態に係るマーカ200は、実施の形態1のマーカ100と同様の効果を有する。
[実施の形態3]
実施の形態3に係るマーカ300は、凸面321の形状と、第1領域341の形状と、第2領域342の形状とが実施の形態2に係るマーカ200の構成と異なる。そこで、実施の形態2に係るマーカ200と同じ構成については、同じ符号を付してその説明を省略する。
図8A〜Cは、本発明の実施の形態3に係るマーカ300の構成を示す図である。図8Aは、本発明の実施の形態3に係るマーカ300の平面図であり、図8Bは、ハッチングを省略した部分的拡大断面図であり、図8Cは、底面図である。
図8A〜Cに示されるように、実施の形態3に係るマーカ300は、第1面320および第2面340を有する。第1面320は、複数の凸面321を含む。また、第2面340は、複数の第1領域341と、第2領域342とを含む。
凸面321の平面視形状は円形であり、いずれも同じ大きさである。たとえば、凸面321の平面視形状の直径は、440μmであり、凸面321のピッチPCLは、第1の方向(X方向)および第3の方向(Y方向)のいずれも440μmである。ここで「凸面321ピッチ」とは、隣り合う凸面321の中心(頂点323または中心軸CA)間の距離を意味する。また、「凸面321の中心軸CA」とは、凸面321を平面視したときに、凸面321の中心を通り、かつ第2の方向(Z方向)に沿う直線を意味する。さらに「凸面321の頂点323」とは、凸面321と、中心軸CAとの交点である。
マーカ300の高さ方向(Z方向)の断面において、複数の凸面321の形状は、ほぼ半円状である。すなわち、凸面321の中心軸CAは第2の方向(Z方向)に平行な直線であることから、凸面321は、ほぼ半球面である。すなわち、凸面321は、中心軸CAを回転軸とした回転対称である。また、凸面321の焦点F3は、凸面321からみたとき、第1領域341よりも遠くに位置している。言い換えれば、第1領域(被検出部)341は、表面(第1面)320の焦点位置よりも凸面321の近くに配置されている。
また、マーカ300は、その裏面側に、凸面321のそれぞれに対応する位置に配置された第1領域341を有している。たとえば、第1領域341の平面視形状は円形であり、その直径は45μmであり、その深さは10μmである。
第1の方向(X方向)において隣り合う第1領域341間の中心間距離(|C−C −1|)は、PCL−nGμmであり、第3の方向(Y方向)において隣り合う第1領域341間の中心間距離(|C−Cm−1|)は、PCL−mGμmである。nは、ある凸面321を0番としたときの第1の方向(X方向)におけるn番目の凸面321であることを示す。mは、ある凸面321を0番としたときの第3の方向(Y方向)におけるm番目の凸面321であることを示す。
このように、中心(n=0)の凸面321から第1の方向(X方向)離れた位置にある凸面321に対応する第1領域341は、その凸面321の中心軸CAよりも第1の方向(X方向)において、より中心(n=0)の凸面321側に配置されている。また、中心(m=0)の凸面321から第3の方向(Y方向)離れた位置にある凸面321に対応する第1領域341は、その凸面321の中心軸CAよりも第3の方向(Y方向)において、より中心(n=0)の凸面321側に配置されている。すなわち、本実施の形態では、第1の方向(X方向)および第3の方向(Y方向)において、隣接する第1領域341の中心間の間隔は、隣接する凸面321の頂点323間の間隔よりも狭い。また、本実施の形態においても、第1の方向(X方向)および高さ方向(Z方向)を含む断面の第1領域341が配置された高さにおいて、凸面321により形成される光束の幅は、第1領域341の幅以下である。
特に図示しないが、本実施の形態に係るマーカ300においても、観察角度を変化させた場合に、第1領域341の像が一つの像として観察される。
以上のように、本実施の形態に係るマーカ300は、実施の形態1のマーカ100と同様の効果を有する。
[実施の形態4]
実施の形態4に係るマーカ400は、凸面421の形状のみが実施の形態3に係るマーカ300の構成と異なる。そこで、実施の形態3に係るマーカ300と同じ構成については、同じ符号を付してその説明を省略する。
図9A〜Cは、本発明の実施の形態4に係るマーカ400の構成を示す図である。図9Aは、本発明の実施の形態4に係るマーカ400の平面図であり、図9Bは、ハッチングを省略した部分拡大断面図であり、図9Cは、底面図である。
図9A〜9Cに示されるように、実施の形態4に係るマーカ400は、第1面420および第2面340を有する。第1面420は、複数の凸面421を含む。また、第2面340は、複数の第1領域341と、第2領域342とを含む。
凸面421の平面視形状は正方形であり、いずれも同じ大きさである。たとえば、凸面421の平面視形状の一辺の長さは、440μmであり、凸面421のピッチPCLは、第1の方向および第3の方向のいずれも440μmである。ここで「凸面421ピッチ」とは、隣り合う凸面421の中心(頂点423または中心軸CA)間の距離を意味する。また、「凸面421の中心軸CA」とは、凸面421を平面視したときに、凸面421の中心を通り、かつ第2の方向に沿う直線を意味する。さらに「凸面421の頂点423」とは、凸面421と、中心軸CAとの交点である。
マーカ400の高さ方向(Z方向)の断面において、複数の凸面421は、その頂点423から離れるにつれて曲率半径が大きくなる曲線である。当該曲率半径は、その頂点423から離れるにつれて連続して大きくなってもよいし、断続的に大きくなってもよい。
第1の方向(X方向)および第3の方向(Y方向)において隣り合う第1領域341間の中心間距離(|C−Cn−1|)は、PCL−nGμmであり、第2の方向において隣り合う第1領域341間の中心間距離(|C−Cm−1|)は、PCL−mGμmである。nは、前述したように、ある凸面421を0番としたときの第1の方向におけるn番目の凸面421であることを示す。mは、ある凸面421を0番としたときの第2の方向におけるm番目の凸面421であることを示す。
このように、中心(n=0)の凸面421から第1の方向(X方向)離れた位置にある凸面421に対応する第1領域341は、その凸面421の中心軸CAよりも第1の方向(X方向)において、より中心(n=0)の凸面421側に配置されている。また、中心(m=0)の凸面421から第3の方向(Y方向)離れた位置にある凸面421に対応する第1領域341は、その凸面421の中心軸CAよりも第3の方向(Y方向)において、より内側に配置されている。すなわち、本実施の形態では、第1の方向(X方向)および第3の方向(Y方向)において、隣接する凸面421の頂点423間の間隔は、隣接する第1領域341の中心間の間隔よりも広い。また、本実施の形態においても、第1の方向および高さ方向を含む断面の第1領域341が配置された高さにおいて、凸面421により形成される光束の幅または径は、第1領域341の幅以下である。
特に図示しないが、本実施の形態に係るマーカ400においても、観察角度を変化させた場合に、第1領域341の像が一つの像として観察される。
(効果)
以上のように、本実施の形態に係るマーカ400は、実施の形態3のマーカ300と同様の効果を有する。
なお、実施の形態3、4では、隣接する第1領域341の中心間の間隔は、隣接する凸面341、421の頂点342、423間の間隔よりも狭いが、隣接する第1領域341の中心間の間隔は、隣接する凸面341、421の頂点342、423間の間隔よりも広くてもよい。この場合、複数の第1領域341は、複数の凸面321、421の焦点位置よりも凸面321、421の近くに配置される。
[実施の形態5]
実施の形態5に係るマーカ700は、第2面140のみが実施の形態6に係るマーカ600と異なる。そこで、実施の形態4に係るマーカ400と同じ構成については、同じ符号を付してその説明を省略する。
図10Aは、マーカ700の平面図であり、図10Bは、図10AにおけるB−B線で切断したマーカ700の一部を示す、ハッチングを省略した部分断面図であり、図10Cは、マーカ700の底面図であり、図10Dは、マーカ700の側面図である。
第2面140は、実施の形態1と同様である。すなわち、第2面140は、第1領域141と、第2領域142とを有する。第1領域141は、XY平面におけるY方向に沿って細長な矩形の凹部であり、Y方向に沿って列をなす凸面部631の全てに架け渡される位置に形成されている。また、第2領域142は、凸面部631の列に対応してX方向に並んで配置されている。
マーカ700では、各凸面部631に投影される個々の像の集合として、Y方向に沿う線状の像が観察される。この像は、マーカ700をX方向に対して観察者側に傾ける程に当該観察者に近づく方向に移動するように観察される。
(効果)
本実施の形態に係るマーカ700は、凸面部631がX方向のみならずY方向にも湾曲していることから、像のY方向におけるコントラストが高い効果を有する。
[実施の形態6]
実施の形態6に係るマーカ800は、凸面部831の構成のみが実施の形態5に係るマーカ700と異なる。そこで、実施の形態5に係るマーカ700と同じ構成については、同じ符号を付してその説明を省略する。
図11Aは、マーカ800の平面図であり、図11Bは、図11AにおけるB−B線で切断したマーカ800の一部を示す、ハッチングを省略した部分断面図であり、図11Cは、マーカ800の底面図であり、図11Dは、マーカ800の側面図である。
実施の形態6における凸面部831の平面形状は、正方形である。また、例えば、凸面部831の光軸に沿う断面における形状は、凸面部831の頂点から離れるにつれて曲率半径が大きくなる曲線である。
(効果)
本実施の形態に係るマーカ800は、実施の形態5に係るマーカ700と同様の効果に加え、レンチキュラーレンズ部の第1面への入射光の強度に関わらず、像が明確に検出される。これは、入射光が強いと、第1面での反射光のようなマーカ800における反射光も強くなり、上記像が見えにくくなることがあるが、マーカ800の第1面は、実質的には凸面部631(曲面)のみで構成され、実質的には平面を含まないため、マーカ700に比べて、第1面での反射光が生じにくく、また弱いためと考えられる。
[実施の形態7]
実施の形態7に係るマーカ900は、凸面部931の構成のみが実施の形態5に係るマーカ700と異なる。そこで、実施の形態5に係るマーカ700と同じ構成については、同じ符号を付してその説明を省略する。
図12Aは、マーカ900の平面図であり、図12Bは、図12AにおけるB−B線で切断したマーカ900の一部を示す、ハッチングを省略した部分断面図であり、図12Cは、マーカ900の底面図であり、図12Dは、マーカ900の側面図である。
実施の形態9における凸面部931の平面形状は、正六角形である。また、例えば、凸面部931の光軸に沿う断面における形状は、凸面部73の頂点から離れるにつれて曲率半径が大きくなる曲線で表される。Y方向における凸面部931の列は、それぞれの凸面部931が対向する一対の辺で接するようにY方向に並んで構成されている。また、凸面部931の列は、一方の列における凸面部73同士の接続部に、他方の列における凸面部931の六角形の一角が当接するように配置されて、X方向に並んでいる。このように、マーカ900では、レンチキュラーレンズ部の第1面の全面が、凸面部931の最密な集合によって実質的に構成されている。
(効果)
本実施の形態に係るマーカ900は、実施の形態6に係るマーカ800と同様の効果を有する。
なお、実施の形態5〜7では、隣接する第1領域141の中心間の間隔は、隣接する凸面831、931の頂点間の間隔よりも狭くてもよいし、広くてもよい。隣接する第1領域141の中心間の間隔が隣接する凸面831、931の頂点間の間隔よりも狭い場合には、複数の第1領域141は、複数の凸面831、931の焦点位置よりも凸面141から離れて配置される。また、隣接する第1領域141の中心間の間隔が隣接する凸面831、931の頂点間の間隔よりも広い場合には、複数の第1領域141は、複数の凸面831、931の焦点位置よりも凸面141の近くに配置される。
本出願は、2016年6月9日出願の特願2016−115484に基づく優先権を主張する。当該出願明細書および図面に記載された内容は、すべて本願明細書に援用される。
本発明に係るマーカは、物体の位置や姿勢などを認識するための位置検出用マーカ(あるいは角度検出用マーカ)として有用である。よって、本発明は、上記マーカの技術分野のさらなる発展に寄与することが期待される。
100、100’、200、200’、300、400、700、800、900 マーカ
120、220、320、420 第1面
121、121’、221、221’、321、421、831、931 凸面
122 稜線
123、123’、223、223’、323、423 頂点
140、240、340、440、540 第2面
141、141’、241、241’、341 被検出部
142、142’、242、242’、342 反射部
143 塗膜
F’、F1、F1’、F2、F2’ 焦点
CA 中心軸

Claims (5)

  1. 透光性を有する材料で形成されたマーカであって、
    少なくとも第1の方向に沿って配置された複数の凸面を含む第1面と、
    前記第1面と表裏の位置に配置され、光学的に検出可能な像として前記複数の凸面に投影される第2面と、を有し、
    前記第2面は、光学的に互いに識別可能な複数の第1領域および複数の第2領域を含み、
    前記第1の方向についての前記複数の凸面の頂点間の間隔は、前記第1の方向についての前記複数の第1領域の中心間の間隔より広く、
    前記複数の第1領域は、前記複数の凸面の焦点位置よりも前記凸面から遠くに配置され、
    前記表裏の方向に沿って前記凸面に外部から平行光を入射させたときに、前記第1領域が配置されている高さにおいて前記凸面により形成される光束の前記第1の方向についての幅は、前記第1の方向についての前記第1領域の幅以下である、
    マーカ。
  2. 透光性を有する材料で形成されたマーカであって、
    少なくとも第1の方向に沿って配置された複数の凸面を含む第1面と、
    前記第1面と表裏の位置に配置され、光学的に検出可能な像として前記複数の凸面に投影される第2面と、を有し、
    前記第2面は、光学的に互いに識別可能な複数の第1領域および複数の第2領域を含み、
    前記第1の方向についての前記複数の凸面の頂点間の間隔は、前記第1の方向についての前記複数の第1領域の中心間の間隔より狭く、
    前記複数の第1領域は、前記複数の凸面の焦点位置よりも前記凸面から近くに配置され、
    前記表裏の方向に沿って前記凸面に外部から平行光を入射させたときに、前記第1領域が配置されている高さにおいて前記凸面により形成される光束の前記第1の方向についての幅は、前記第1の方向についての前記第1領域の幅以下である、
    マーカ。
  3. 前記第1領域および前記第2領域は、異なる高さに配置されている、請求項1または請求項2に記載のマーカ。
  4. 前記凸面は、前記第1の方向および前記表裏の方向に直交する方向に向かって延在する直線状の稜線を有する、請求項1〜3のいずれか一項に記載のマーカ。
  5. 前記凸面は、前記表裏の方向に沿う軸を回転軸とした回転対称である、請求項1〜3のいずれか一項に記載のマーカ。
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