以下に、本発明の実施の形態にかかるワイヤ放電加工機及びワイヤ放電加工機の制御装置を図面に基づいて詳細に説明する。なお、この実施の形態によりこの発明が限定されるものではない。
実施の形態1.
図1は、本発明の実施の形態1に係るワイヤ放電加工機の構成を示す図である。図2は、図1に示すワイヤ放電加工機のワイヤ電極を停止した状態を示す図である。図3は、図2に示されたワイヤ電極を移動させている状態を示す図である。
ワイヤ放電加工機1は、ワークWにワイヤ放電加工を施す装置であって、図1に示すように、放電電極となるワイヤ電極10、ワイヤ電極10をこのワイヤ電極10の長手方向に沿って移動するワイヤ移動部20、ワークWを保持するワーク保持部30、及び、ワイヤ電極10とワークWとを相対的に移動させる駆動部40を備える。また、ワイヤ放電加工機1は、ワイヤ電極10に張力を付与する張力付与部50、ワイヤ電極10とワークWとの相対位置を測定する相対位置測定部90、及びワイヤ放電加工機1の各構成要素を制御する制御装置100を備える。
ワイヤ電極10は、加工電圧が印加されてワークWとの間に放電を発生させるものである。ワイヤ電極10は、導電性を有する金属により構成され、長尺状に形成されている。ワイヤ電極10の断面形状は、円形に形成される。実施の形態1において、ワイヤ電極10の外径は、20μm以上でかつ300μm以下である。
ワイヤ移動部20は、ワイヤ電極10を巻回して供給するワイヤボビン21と、複数のワイヤ送りローラ22と、ワイヤ電極10をワークWに向けて送り出す上ノズル23を備えた加工ヘッド24と、ワイヤ電極10を通す下ノズル25と、ワイヤ電極10を回収する回収ローラ26とを備える。ワイヤ送りローラ22は、軸心回りに回転自在に支持される。ワイヤ送りローラ22は、ワイヤボビン21と加工ヘッド24との間に少なくとも一つ設けられ、ワイヤ電極10が巻回されて、ワイヤ電極10をワイヤボビン21から加工ヘッド24に導く。ワイヤ送りローラ22は、下ノズル25と回収ローラ26との間に少なくとも一つ設けられ、ワイヤ電極10が巻回されて、ワイヤ電極10を下ノズル25から回収ローラ26に導く。ワイヤ送りローラ22は、ワイヤ電極10の移動により回転する。
加工ヘッド24は、内側にワイヤ電極10を通すヘッド本体24aと、ヘッド本体24aに設けられかつワイヤ電極10に接触した接触子24bと、ヘッド本体24aのワークWに対面する下面に取り付けられた上ノズル23とを備える。上ノズル23は、図2及び図3に示すように、内側にワイヤ電極10を通すガイド孔23aを備える。ガイド孔23aの内径とワイヤ電極10の外径との差D1は、数μmである。
下ノズル25は、加工ヘッド24の上ノズル23の下方に配置される。下ノズル25は、図2及び図3に示すように、内側にワイヤ電極10を通すガイド孔25aを備える。ガイド孔25aの内径とワイヤ電極10の外径との差D2は、数μmである。上ノズル23と下ノズル25とは、ガイド孔23a,25aにワイヤ電極10を通すことで、ワイヤ電極10を上ノズル23と下ノズル25との間で直線状に支持する。実施の形態1において、上ノズル23と下ノズル25とは、鉛直方向に間隔をあけて対向されて、上ノズル23と下ノズル25との間のワイヤ電極10を鉛直方向と平行に支持するが、上ノズル23と下ノズル25が対向する方向及び上ノズル23と下ノズル25との間のワイヤ電極10の長手方向が鉛直方向と交差しても良い。
回収ローラ26は、ワイヤ電極10をワイヤ送りローラ22との間に挟み、かつワイヤ回収モータ27により回転される。回収ローラ26は、ワークWに放電加工を施す際に、ワイヤ回収モータ27により回転されることで、上ノズル23のガイド孔23aと下ノズル25のガイド孔25aとに通されたワイヤ電極10を回収ボックス28内に回収する。また、回収ローラ26は、ワイヤ回収モータ27による回転速度が変更されることで、ワイヤ電極10の移動速度を変更することができる。ワイヤ回収モータ27は、放電加工時、ワイヤ電極10の移動速度、即ち、回収ローラ26の回転速度が予め設定された一定の速度となるように制御される。また、ワイヤ回収モータ27は、回収ローラ26の回転角度を測定するエンコーダを内蔵しており、エンコーダの測定結果を制御装置100に出力する。
ワーク保持部30は、導電性を有する金属により構成され、外縁の平面形状が四角形の枠状に形成されている。ワーク保持部30は、表面が平坦に形成され、水平方向と平行に配置される。ワーク保持部30は、内側に上ノズル23と下ノズル25との間のワイヤ電極10を通す。
駆動部40は、ワイヤ電極10とワークWとをノズル23,25間のワイヤ電極10の長手方向と交差する方向に相対的に移動させる。実施の形態1において、駆動部40は、ノズル23,25間のワイヤ電極10の長手方向と直交しかつ水平方向と平行なX方向と、水平方向と平行でかつX方向と直交するY方向とに沿ってワイヤ電極10とワークWとを相対的に移動可能である。駆動部40は、ワイヤ電極10とワークWとをX方向に沿って相対的に移動可能なX方向駆動部40Xと、ワイヤ電極10とワークWとをY方向に沿って相対的に移動可能なY方向駆動部40Yと、を備える。
X方向駆動部40Xは、エンコーダを内蔵したモータ41Xと、モータ41Xによりモータ41Xのシャフトの軸心回りに回転される、X方向と平行な方向に延びた図示しないボールねじと、ボールねじがねじ込まれかつワーク保持部30に取り付けられた図示しないナットとを備える。モータ41Xは、アンプ42を介して制御装置100に接続している。モータ41Xは、ボールねじを軸心回りに回転する。モータ41Xに内蔵されたエンコーダは、ボールねじの回転角度を測定し、測定結果を制御装置100に出力する。X方向駆動部40Xは、モータ41Xがボールねじを軸心回りに回転することで、ワーク保持部30に保持されたワークWをワイヤ電極10に対してX方向に移動させる。
Y方向駆動部40Yは、エンコーダを内蔵したモータ41Yと、モータ41Yによりモータ41Yのシャフトの軸心回りに回転される、Y方向と平行な方向に延びた図示しないボールねじと、ボールねじがねじ込まれかつモータ41Xを支持する支持板31に取り付けられた図示しないナットとを備える。モータ41Yは、アンプ42を介して制御装置100に接続している。モータ41Yは、ボールねじを軸心回りに回転する。モータ41Yに内蔵されたエンコーダは、ボールねじの回転角度を測定し、測定結果を制御装置100に出力する。支持板31は、導電性を有する金属により構成され、外縁の平面形状が四角形の枠状に形成されている。支持板31は、モータ41Xに取り付けられている。支持板31は、表面が平坦に形成され、水平方向と平行に配置される。支持板31は、内側の孔がワーク保持部30の内側の孔と連通する位置に配置され、内側に上ノズル23と下ノズル25との間のワイヤ電極10を通す。Y方向駆動部40Yは、モータ41Yがボールねじを軸心回りに回転することで、支持板31に支持されたモータ41Xを介してワーク保持部30に保持されたワークWをワイヤ電極10に対してY方向に移動させる。
駆動部40は、ワークWをX方向とY方向に移動させることで、ワークWがノズル23,25間のワイヤ電極10に接近したり、ノズル23,25の間のワイヤ電極10から離れる方向にワークWを移動させる。実施の形態1において、駆動部40は、ノズル23,25間のワイヤ電極10の長手方向に直交する方向にワークWを移動させるが、ワークWをノズル23,25間のワイヤ電極10の長手方向に直交せずに交差する方向に移動させても良い。また、駆動部40は、ノズル23,25間のワイヤ電極10とワークWとの双方を移動させても良く、ワークWを移動させることなく、ノズル23,25間のワイヤ電極10をワークWに対して移動させても良い。
ワイヤ電極10とワークWとの間には、電源80から加工電圧が印加される。電源80は、接触子24bを介してワイヤ電極10に電気的に接続されており、ワーク保持部30を介してワークWに接続されている。電源80は、接触子24bと、ワーク保持部30との間に加工電圧を印加することで、ワイヤ電極10とワークWとの間に加工電圧を印加する。電源80が印加する加工電圧は、ノズル23,25間のワイヤ電極10とワークWとの間の絶縁を破壊して、放電を発生させ、放電によりワークWの一部を除去する電圧である。実施の形態1において、ノズル23,25間のワイヤ電極10とワークWとの距離である極間距離が10μm以上でかつ20μm以下である時に、加工電圧は、ワイヤ電極10とワークWとの間に放電を発生させる電圧であるが、ワイヤ電極10とワークWとの極間距離は、10μm以上でかつ20μm以下に限定されない。
張力付与部50は、ワイヤ電極10に加工電圧が印加されてワークWを放電加工する際にワイヤ電極10に張力を付与する。張力付与部50は、張力付与ローラ51と、張力付与ローラ51を回転可能なメインテンションモータ52とを備える。張力付与ローラ51は、ワイヤボビン21と加工ヘッド24との間に設けられ、ワイヤ電極10をワイヤ送りローラ22との間に挟む。メインテンションモータ52は、張力付与ローラ51をワイヤ電極10がワイヤボビン21に巻き取られる方向に回転する。メインテンションモータ52の駆動トルクは、ワイヤ回収モータ27の駆動トルクよりも弱い。張力付与部50は、ワークWに放電加工を施す際に、ワイヤ回収モータ27の駆動トルクよりも弱い駆動トルクでメインテンションモータ52が張力付与ローラ51を回転しようとすることで、ワイヤ電極10にノズル23,25間のワイヤ電極10の長手方向に沿って張力を付与する。メインテンションモータ52は、放電加工時、ワイヤ電極10に付与する張力が予め設定された一定の張力となるように制御される。
相対位置測定部90は、X方向のワーク保持部30とワイヤ電極10との相対位置を検出するX方向リニアスケール60Xと、Y方向のワーク保持部30とワイヤ電極10との相対位置を検出するY方向リニアスケール60Yと、ワークWとワイヤ電極10との電気的な接触を検出する接触検出部70とを備える。X方向リニアスケール60Xは、X方向と平行な直線状のスケール61Xと、スケール61XにX方向に移動自在に設けられかつワーク保持部30に固定された検出器62Xとを備える。X方向リニアスケール60Xは、検出器62Xのスケール61Xに対する位置を測定することで、ワークWとワイヤ電極10とのX方向の相対位置を測定する。X方向リニアスケール60Xは、測定結果を制御装置100に出力する。
Y方向リニアスケール60Yは、Y方向と平行な直線状のスケール61Yと、スケール61YにY方向に移動自在に設けられかつ支持板31に固定された検出器62Yとを備える。Y方向リニアスケール60Yは、検出器62Yのスケール61Yに対する位置を測定することで、ワークWとワイヤ電極10とのY方向の相対位置を測定する。Y方向リニアスケール60Yは、測定結果を制御装置100に出力する。
接触検出部70は、接触子24bを介してワイヤ電極10と、ワーク保持部30を介してワークWとに電気的に接続されている。接触検出部70は、ワイヤ電極10とワークWとの間に電位差を付与する電位差付与部71と、ワイヤ電極10とワークWとの間の電位差を測定する検出部72とを備える。電位差付与部71がワイヤ電極10とワークWとの間に付与する電位差は、ワイヤ電極10とワークWとの間に放電が生じない電位差である。接触検出部70は、検出部72がワイヤ電極10とワークWとの間の電位差が変化したことを検出すると、電位差が変化したこと、即ちワイヤ電極10とワークWとの電気的な接触を検出し、検出結果を制御装置100に出力する。
このように、相対位置測定部90が測定するワイヤ電極10とワークWとの相対位置は、各リニアスケール60X,60Yのスケール61X,61Yに対する検出器62X,62Yの位置である。
制御装置100は、数値制御装置であって、数値制御プログラムを実行して加工条件を生成し、ワイヤ放電加工機1の各部に加工条件を出力することにより、ワイヤ放電加工機1の各部の動作を制御して、ワークWに放電加工を施す。制御装置100は、ワークWに放電加工を施す前に、数値制御プログラムを実行することにより、X方向とY方向それぞれのワイヤ電極10とワークWとが互いに接触する接触時相対位置を測定する。即ち、制御装置100は、ワイヤ電極10とワークWとが接触した時の接触時相対位置を相対位置測定部90が測定する動作を、ワイヤ電極10のワークWに接触する位置をワイヤ電極10の長手方向に互いに異ならせて複数回繰り返す。
また、実施の形態1において、制御装置100は、加工条件を生成するために必要な情報、及び、X方向とY方向それぞれのワイヤ電極10とワークWとが互いに接触する接触時相対位置を測定するために必要な情報とを入力するための入力装置101が接続している。制御装置100は、X方向とY方向それぞれのワイヤ電極10とワークWとが互いに接触する接触時相対位置を表示するための表示装置102が接続している。また、ワイヤ放電加工機1は、ノズル23,25間のワイヤ電極10に加工液を供給する図示しない加工液供給部を備える。
前述した構成のワイヤ放電加工機1は、制御装置100に入力装置101から加工条件を生成するために必要な情報が入力され、加工開始指令が入力されることにより加工動作を開始する。加工動作では、X方向とY方向それぞれのワイヤ電極10とワークWとが互いに接触する接触時相対位置に基づいて、ワイヤ電極10とワークWとを位置決めする。制御装置100は、ワイヤ電極10とワークWとを位置決めした後、入力された情報に基づいて加工条件を生成し、生成した加工条件を駆動部40、ワイヤ移動部20、張力付与部50及び電源80に出力する。すると、ワイヤ放電加工機1は、電源80がワイヤ電極10とワークWとの間に加工電圧を印加し、ワイヤ電極10に張力を付与してワイヤ電極10を長手方向に移動させながら、ワイヤ電極10とワークWとの間に放電を発生させて、ワークWに放電加工を施す。
ワイヤ放電加工機1は、ワイヤ移動部20によりワイヤ電極10を移動させる前では、図2に示すように、ノズル23,25間においてワイヤ電極10が停止している。ワイヤ放電加工機1は、ワイヤ移動部20によりワイヤ電極10を長手方向に沿って移動させると、ワイヤ電極10の外径とノズル23,25の内径との差D1,D2により、図3に実線で示すように、ノズル23,25間においてワイヤ電極10の移動方向に直交する方向にワイヤ電極10が振動する。ワイヤ放電加工機1は、ワイヤ電極10の外径とノズル23,25の内径との差D1,D2により放電加工中にワイヤ電極10が振動するために、放電加工前にX方向とY方向それぞれのワイヤ電極10とワークWとが互いに接触する接触時相対位置を高精度に測定する必要がある。
次に、実施の形態1に係るワイヤ放電加工機1のX方向とY方向それぞれのワイヤ電極10とワークWとが互いに接触する接触時相対位置を測定する過程を図面に基づいて説明する。図4は、図1に示されたワイヤ放電加工機のワーク保持部に保持されたワークを示す平面図である。図5は、本発明の実施の形態1に係るワイヤ放電加工機のワイヤ電極とワークとが互いに接触する接触時相対位置を測定する過程の一部を示すフローチャートである。図6は、本発明の実施の形態1に係るワイヤ放電加工機のワイヤ電極とワークとが互いに接触する時の接触時相対位置を測定する過程の残りを示すフローチャートである。
実施の形態1において、ワイヤ放電加工機1は、図4に示すワークWの1つの角を基準位置SPとして、基準位置SPにワイヤ電極10を接触させることにより、基準位置SPのX方向とY方向それぞれの位置を測定して、ワイヤ電極10とワークWとの相対位置を測定する。実施の形態1において、基準位置SPは、ワークWの1つの角であるが、基準位置SPは、ワークWの任意の位置に設定することができる。ワイヤ放電加工機1の制御装置100は、ワイヤ電極10とワークWとの相対位置を測定する際に、まず、入力装置101から相対位置を測定する測定方向を受け付ける(ステップS1)。ステップS1において、受け付ける測定方向は、X方向又はY方向である。
ワイヤ放電加工機1の制御装置100は、ワイヤ移動部20にワイヤ電極10を停止させ、加工液供給部に加工液を供給させる(ステップS2)。ワイヤ放電加工機1の制御装置100は、張力付与部50に放電加工時と同じ張力をワイヤ電極10に付与させる(ステップS3)。ワイヤ放電加工機1の制御装置100は、ステップS1において受け付けた測定方向に沿って駆動部40にワークWをワイヤ電極10に近付く方向に第1の移動速度で移動させる(ステップS4)。
ワイヤ放電加工機1の制御装置100は、接触検出部70がワイヤ電極10とワークWとの電気的な接触を検出したか否かを判定する(ステップS5)。ワイヤ放電加工機1の制御装置100は、接触検出部70がワイヤ電極10とワークWとの電気的な接触を検出していないと判定する(ステップS5:No)と、ステップS4に戻り、接触検出部70がワイヤ電極10とワークWとの電気的な接触を検出したと判定するまでステップS4とステップS5を繰り返す。
ワイヤ放電加工機1の制御装置100は、接触検出部70がワイヤ電極10とワークWとの電気的な接触を検出したと判定する(ステップS5:Yes)と、駆動部40にワークWをワイヤ電極10に接触しなくなる接触回避する位置まで後退させる(ステップS6)。実施の形態1において、ワイヤ放電加工機1の制御装置100は、接触検出部70がワイヤ電極10とワークWとの接触を検出しなくなる位置まで駆動部40にワークWをワイヤ電極10から離した後、予め設定された距離分ワイヤ電極10からワークWが離れる方向に駆動部40にワークWを移動させる。なお、予め設定された距離は、ワイヤ電極10の外径とノズル23,25の内径の差D1,D2に応じて定められ、ワークWとワイヤ電極10とが確実に接触することがないとともに、ワークWとワイヤ電極10とが極力近くに位置付けられる距離である。
ワイヤ放電加工機1の制御装置100は、ワイヤ移動部20にワイヤ電極10を移動させる(ステップS7)。ワイヤ放電加工機1の制御装置100は、ワイヤ回収モータ27のエンコーダの測定結果に基づいて、ステップS7の移動開始からワイヤ電極10が予め設定された指定距離移動したか否かを判定する(ステップS8)。ワイヤ放電加工機1の制御装置100は、ワイヤ電極10が予め設定された指定距離移動していないと判定する(ステップS8:No)と、ステップS7に戻り、ワイヤ電極10が指定距離移動するまで、ステップS7とステップS8を繰り返す。実施の形態1において、指定距離は、ノズル23,25の距離であるが、ノズル23,25間のワイヤ電極10の長手方向に沿うワークWの厚みでも良い。また、制御装置100は、ステップS8において、指定距離の代わりにステップS7のワイヤ移動部20によるワイヤ電極10の移動を開始してから予め設定された指定時間が経過したか否かを判定しても良い。
ワイヤ放電加工機1の制御装置100は、ワイヤ電極10が予め設定された指定距離移動したと判定する(ステップS8:Yes)と、ワイヤ移動部20にワイヤ電極10の移動を停止させる(ステップS9)。ワイヤ放電加工機1の制御装置100は、ステップS1において受け付けた測定方向に沿って駆動部40にワークWをワイヤ電極10に近付く方向に第1の移動速度よりも低速な第2の移動速度で移動させる(ステップS10)。実施の形態1において、ステップS10の第2の移動速度は、接触検出部70のワイヤ電極10とワークWとの接触を検出するサンプリング時間において、ワークWが予め設定された距離移動する移動速度としている。ワークWの予め設定された距離は、ワイヤ電極10とワークWとが接触した時の接触時相対位置の測定精度に応じて定められる。
ワイヤ放電加工機1の制御装置100は、接触検出部70がワイヤ電極10とワークWとの電気的な接触を検出したか否かを判定する(ステップS11)。ワイヤ放電加工機1の制御装置100は、接触検出部70がワイヤ電極10とワークWとの電気的な接触を検出していないと判定する(ステップS11:No)と、ステップS10に戻り、接触検出部70がワイヤ電極10とワークWとの電気的な接触を検出したと判定するまでステップS10とステップS11を繰り返す。
ワイヤ放電加工機1の制御装置100は、接触検出部70がワイヤ電極10とワークWとの電気的な接触を検出したと判定する(ステップS11:Yes)と、駆動部40にワークWの移動を停止させる(ステップS12)。ワイヤ放電加工機1の制御装置100は、ステップS1において受け付けた測定方向に対応するリニアスケール60X,60Yの測定結果、即ち、ステップS1において受け付けた測定方向のワイヤ電極10とワークWとが接触した時の接触時相対位置を記憶する(ステップS13)。
ワイヤ放電加工機1の制御装置100は、予め指定された測定回数、ステップS1において受け付けた測定方向のワイヤ電極10とワークWとが接触した時の接触時相対位置を記憶したか否かを判定する(ステップS14)。ワイヤ放電加工機1は、予め指定された測定回数、ステップS1において受け付けた測定方向のワイヤ電極10とワークWとが接触した時の接触時相対位置を記憶していないと判定する(ステップS14:No)と、ステップS6に戻り、指定回数、ステップS1において受け付けた測定方向のワイヤ電極10とワークWとが接触した時の接触時相対位置を記憶するまでステップS6からステップS14を繰り返す。実施の形態1において、指定回数は5回であるが、5回に限定されない。こうして、ワイヤ放電加工機1の制御装置100は、ワイヤ移動部20がワイヤ電極10を長手方向に沿って移動してからワイヤ電極10の移動を停止する動作と、駆動部40がワイヤ電極10とワークWとを互いに近付ける動作と、相対位置測定部90がワイヤ電極10とワークWとが接触した時の接触時相対位置を測定する動作と、を順に複数回繰り返させる。
ワイヤ放電加工機1の制御装置100は、予め指定された測定回数、ステップS1において受け付けた測定方向のワイヤ電極10とワークWとが接触した時の接触時相対位置を記憶したと判定する(ステップS14:Yes)と、記憶した指定回数分の接触時相対位置のうちノイズとみなすことができる接触時相対位置を除去する(ステップS15)。実施の形態1において、ワイヤ放電加工機1の制御装置100は、記憶した指定回数分の接触時相対位置の平均値と、各接触時相対位置の分散値とを算出し、各接触時相対位置の分散値が、ワイヤ電極10の外径とノズル23,25の内径との差D1,D2に応じて定められる値と平均値との和を超える接触時相対位置をノイズとする。
ワイヤ放電加工機1の制御装置100は、ノイズとして除去された接触時相対位置を除く、接触時相対位置の平均値を算出し、平均値をワイヤ電極10とワークWとが互いに接触する相対位置として算出する(ステップS16)。このように、ワイヤ放電加工機1の制御装置100は、ステップS16において、相対位置測定部90が複数回測定したワイヤ電極10とワークWとが接触した時の接触時相対位置に基づいて、ワイヤ電極10とワークWとの相対位置を算出する。
ワイヤ放電加工機1の制御装置100は、駆動部40にワークWを、ステップS16において算出した平均値であるワイヤ電極10とワークWとが互いに接触する相対位置に移動させて、平均値であるワイヤ電極10とワークWとが互いに接触する相対位置を表示装置102に表示して(ステップS17)、図5及び図6のフローチャートを終了する。なお、実施の形態1において、ステップS15において算出する接触時相対位置の平均値と、ステップS16において算出する接触時相対位置の平均値とは、相加平均値であるが、相乗平均値でも良い。
ワイヤ放電加工機1及び制御装置100は、ステップS3を実行し、ステップS6からステップS14を指定された測定回数繰り返すことにより、ワイヤ移動部20にワイヤ電極10を長手方向に沿って移動させてからワイヤ電極10の移動を停止させて、張力付与部50にワイヤ電極10に放電加工時と同じ張力を付与させた状態で、駆動部40にワイヤ電極10とワークWとを互いに近付けさせて、相対位置測定部90にワイヤ電極10とワークWとが接触した時の接触時相対位置を測定させる動作を複数回繰り返させる。
以上のように、実施の形態1に係るワイヤ放電加工機1及び制御装置100は、ワイヤ移動部20にワイヤ電極10を長手方向に沿って移動させてからワイヤ電極10の移動を停止させて、張力付与部50にワイヤ電極10に放電加工時と同じ張力を付与させた状態で、駆動部40にワイヤ電極10とワークWとを互いに近付けさせて、相対位置測定部90にワイヤ電極10とワークWとが接触した時の接触時相対位置を測定させる動作を複数回繰り返させる。このために、ワイヤ放電加工機1及び制御装置100は、ワイヤ電極10とワークWとの相対位置を測定する間にワイヤ電極10を長手方向に移動させて、ワイヤ電極10とワークWとの相対位置を測定する各測定回のノズル23,25内におけるワイヤ電極10の位置を前述した差D1,D2の範囲内において分散させることができる。その結果、ワイヤ放電加工機1及び制御装置100は、ワイヤ電極10とワークWとの相対位置を測定する際に、ワイヤ電極10とワークWとの相対位置を放電加工時の相対位置に近付けることができる。
また、実施の形態1に係るワイヤ放電加工機1及び制御装置100は、ワイヤ移動部20にワイヤ電極10を長手方向に沿って指定距離移動させてからワイヤ電極10の移動を停止させて、張力を付与してワイヤ電極10とワークWとの相対位置を測定する動作を複数回繰り返させるので、相対位置を検出されていない、又は放電加工が行われていないワイヤ電極10の一部分とワークWとの相対位置を測定する。このために、ワイヤ放電加工機1及び制御装置100は、加工電圧が印加されることで生じる腐食が生じたワイヤ電極10の一部分とワークWとの相対位置を測定しないとともに、ワークWの接触により曲げられたワイヤ電極10の一部分とワークWとの相対位置を測定しない。その結果、ワイヤ放電加工機1及び制御装置100は、ワイヤ電極10とワークWとの相対位置を正確に測定することができる。
また、実施の形態1に係るワイヤ放電加工機1及び制御装置100は、指定回数のワイヤ電極10とワークWとの接触時相対位置のうちのノイズとみなすことができる接触時相対位置を除去するので、ワイヤ電極10とワークWとの正確な相対位置を測定することができる。また、実施の形態1に係るワイヤ放電加工機1及び制御装置100は、ステップS10とステップS11において、ワイヤ電極10とワークWとを互いに近づけて、接触した時の接触時相対位置を測定する際に、ワイヤ移動部20にワイヤ電極10の移動を停止させている。このために、実施の形態1に係るワイヤ放電加工機1及び制御装置100は、接触時相対位置を測定する際にワイヤ電極10が振動しないので、ワイヤ電極10を長手方向に沿って移動させながら測定する場合よりも測定時間を短縮することができる。
次に、実施の形態1に係るワイヤ放電加工機1の制御装置100が、測定回数を5回として、図5及び図6に示すフローチャートのステップS14までを5回実行した時に測定したワイヤ電極とワークとの相対位置を図7に示す。図7は、本発明の実施の形態1に係るワイヤ放電加工機のワイヤ電極とワークとが互いに接触する接触時相対位置の測定結果を示す図である。
図7の横軸の試行回が、図5及び図6に示されたフローチャートのステップS14までを実行した各測定回を示し、図7の縦軸が、各測定回において測定したワイヤ電極10とワークWとが接触した時の接触時相対位置を任意単位で示している。図7は、測定したワイヤ電極10とワークWとが接触した時の接触時相対位置をひし形で示し、各測定回の測定したワイヤ電極10とワークWとが接触した時の接触時相対位置の平均値を黒丸で示している。また、図7は、計測され得る位置決め結果のばらつき範囲を両矢印で示している。
図7によれば、ワイヤ放電加工機1及び制御装置100は、図5及び図6に示すフローチャートを実行することにより、各測定回において、ワイヤ電極10の外径とノズル23,25の内径との差D1,D2に起因するワイヤ位置ずれと計測誤差を合わせた範囲内で、ワイヤ電極10とワークWとが接触した時の接触時相対位置がばらつくことが明らかとなった。また、図7によれば、ワイヤ放電加工機1及び制御装置100は、図5及び図6に示すフローチャートによる制御を実行することにより、各測定回の平均値がワイヤ電極10の外径とノズル23,25の内径との差D1,D2に起因するワイヤ位置ずれと計測誤差を合わせた範囲内の中心に近付くことが明らかとなった。よって、図7によれば、ワイヤ移動部20にワイヤ電極10を長手方向に沿って移動させてからワイヤ電極10の移動を停止させて、張力を付与してワイヤ電極10とワークWとの相対位置を測定する動作を複数回繰り返させることは、相対位置を測定する際のワイヤ電極10とワークWとの相対位置を放電加工時の相対位置に近付けることができることが明らかとなった。
実施の形態2.
次に、本発明の実施の形態2に係るワイヤ放電加工機1を図面に基づいて説明する。図8は、本発明の実施の形態2に係るワイヤ放電加工機のワイヤ電極とワークとが互いに接触する接触時相対位置を測定する過程の一部を示すフローチャートである。図8において、実施の形態1と同一部分には、同一符号を付して説明を省略する。
実施の形態2に係るワイヤ放電加工機1は、実施の形態1と同じ構成である。実施の形態2に係るワイヤ放電加工機1の制御装置100は、接触時相対位置を測定するためにワイヤ移動部20にワイヤ電極10を長手方向に沿って移動させる(ステップS7)前のタイミングで、張力付与部50がワイヤ電極10に付与する張力を放電加工時の張力よりも一旦弱めさせた後、張力付与部50にワイヤ電極10に放電加工時と同じ張力を付与させる(ステップS20)。
実施の形態2に係るワイヤ放電加工機1の制御装置100は、ステップS3を実行した後にステップS7を実行するので、ワイヤ移動部20にワイヤ電極10を長手方向に沿って移動させる際に、張力付与部50にワイヤ電極10に放電加工時と同じ張力を付与させる。実施の形態2に係るワイヤ放電加工機1の制御装置100は、駆動部40にワークWをワイヤ電極10に接触しなくなる接触回避する位置まで後退させた(ステップS6)後、ステップS20を実行し、ステップS7を実行する。実施の形態2に係るワイヤ放電加工機1の制御装置100は、ステップS6後に、ステップS20とステップS7とを順に実行する以外、実施の形態1と同じ処理を実行する。また、実施の形態2において、ワイヤ放電加工機1の制御装置100は、ステップS20において、張力付与部50にワイヤ電極10に付与する張力をゼロにさせた後、張力付与部50にワイヤ電極10に放電加工時と同じ張力を付与させる。
実施の形態2に係るワイヤ放電加工機1及び制御装置100は、実施の形態1と同様に、ワイヤ移動部20にワイヤ電極10を長手方向に沿って移動させてからワイヤ電極10の移動を停止させて、張力を付与してワイヤ電極10とワークWとの相対位置を測定する動作を複数回繰り返させる。その結果、実施の形態2に係るワイヤ放電加工機1及び制御装置100は、実施の形態1と同様に、相対位置を測定する際のワイヤ電極10とワークWとの相対位置を放電加工時の相対位置に近付けることができる。
また、実施の形態2に係るワイヤ放電加工機1及び制御装置100は、ステップS7前のタイミングで、張力付与部50がワイヤ電極10に付与する張力を放電加工時の張力よりも一旦弱めさせた後、張力付与部50にワイヤ電極10に放電加工時と同じ張力を付与させる。このために、実施の形態2に係るワイヤ放電加工機1及び制御装置100は、ステップS7とステップS8を実行して、ワイヤ電極10を長手方向に移動させた後にワイヤ電極10とワークWとの相対位置を測定する各測定回のノズル23,25内におけるワイヤ電極10の位置を前述した差D1,D2の範囲内において分散させることができる。その結果、ワイヤ放電加工機1及び制御装置100は、相対位置を測定する際のワイヤ電極10とワークWとの相対位置を放電加工時の相対位置に近付けることができる。
実施の形態3.
次に、本発明の実施の形態3に係るワイヤ放電加工機1を図面に基づいて説明する。図9は、本発明の実施の形態3に係るワイヤ放電加工機のワイヤ電極とワークとが互いに接触する接触時相対位置を測定する過程の一部を示すフローチャートである。図9において、実施の形態1と同一部分には、同一符号を付して説明を省略する。
実施の形態3に係るワイヤ放電加工機1は、実施の形態1と同じ構成である。実施の形態3に係るワイヤ放電加工機1の制御装置100は、接触時相対位置を測定するためにワイヤ移動部20にワイヤ電極10を長手方向に沿って移動させる(ステップS7)後のタイミングで、張力付与部50がワイヤ電極10に付与する張力を放電加工時の張力よりも一旦弱めさせた後、張力付与部50にワイヤ電極10に放電加工時と同じ張力を付与させる(ステップS21)。
実施の形態3に係るワイヤ放電加工機1の制御装置100は、ステップS3を実行した後にステップS7を実行するので、ワイヤ移動部20にワイヤ電極10を長手方向に沿って移動させる際に、張力付与部50にワイヤ電極10に放電加工時と同じ張力を付与させる。実施の形態3に係るワイヤ放電加工機1の制御装置100は、ワイヤ移動部20にワイヤ電極10の移動を停止させた(ステップS9)後、ステップS21を実行し、ステップS10を実行する。実施の形態3に係るワイヤ放電加工機1の制御装置100は、ステップS9後に、ステップS21とステップS10とを順に実行する以外、実施の形態1と同じ処理を実行する。また、実施の形態3において、ワイヤ放電加工機1の制御装置100は、ステップS21において、張力付与部50にワイヤ電極10に付与する張力をゼロにさせた後、張力付与部50にワイヤ電極10に放電加工時と同じ張力を付与させる。
実施の形態3に係るワイヤ放電加工機1及び制御装置100は、実施の形態1と同様に、ワイヤ移動部20にワイヤ電極10を長手方向に沿って移動させてからワイヤ電極10の移動を停止させて、張力を付与してワイヤ電極10とワークWとの相対位置を測定する動作を複数回繰り返させる。その結果、実施の形態3に係るワイヤ放電加工機1及び制御装置100は、実施の形態1と同様に、相対位置を測定する際のワイヤ電極10とワークWとの相対位置を放電加工時の相対位置に近付けることができる。
また、実施の形態3に係るワイヤ放電加工機1及び制御装置100は、ステップS7後のタイミングで、張力付与部50がワイヤ電極10に付与する張力を放電加工時の張力よりも一旦弱めさせた後、張力付与部50にワイヤ電極10に放電加工時と同じ張力を付与させる。このために、実施の形態3に係るワイヤ放電加工機1及び制御装置100は、ステップS7とステップS8を実行して、ワイヤ電極10を長手方向に移動させた後にワイヤ電極10とワークWとの相対位置を測定する各測定回のノズル23,25内におけるワイヤ電極10の位置を前述した差D1,D2の範囲内において分散させることができる。その結果、ワイヤ放電加工機1及び制御装置100は、相対位置を測定する際のワイヤ電極10とワークWとの相対位置を放電加工時の相対位置に近付けることができる。
実施の形態4.
次に、本発明の実施の形態4に係るワイヤ放電加工機1を図面に基づいて説明する。図10は、本発明の実施の形態4に係るワイヤ放電加工機のワイヤ電極とワークとが互いに接触する接触時相対位置を測定する過程の一部を示すフローチャートである。図10において、実施の形態1と同一部分には、同一符号を付して説明を省略する。
実施の形態4に係るワイヤ放電加工機1は、実施の形態1と同じ構成である。実施の形態4に係るワイヤ放電加工機1の制御装置100は、接触時相対位置を測定するためにワイヤ移動部20にワイヤ電極10を長手方向に沿って移動させる(ステップS7)前のタイミングで、張力付与部50がワイヤ電極10に付与する張力を放電加工時の張力よりも一旦弱めさせた後、張力付与部50にワイヤ電極10に放電加工時と同じ張力を付与させる(ステップS20)。
また、実施の形態4に係るワイヤ放電加工機1の制御装置100は、接触時相対位置を測定するためにワイヤ移動部20にワイヤ電極10を長手方向に沿って移動させる(ステップS7)後のタイミングで、張力付与部50がワイヤ電極10に付与する張力を放電加工時の張力よりも一旦弱めさせた後、張力付与部50にワイヤ電極10に放電加工時と同じ張力を付与させる(ステップS21)。
実施の形態4に係るワイヤ放電加工機1の制御装置100は、ステップS3を実行した後にステップS7を実行するので、ワイヤ移動部20にワイヤ電極10を長手方向に沿って移動させる際に、張力付与部50にワイヤ電極10に放電加工時と同じ張力を付与させる。実施の形態4に係るワイヤ放電加工機1の制御装置100は、駆動部40にワークWをワイヤ電極10に接触しなくなる接触回避する位置まで後退させた(ステップS6)後、ステップS20を実行し、ステップS7を実行する。実施の形態4に係るワイヤ放電加工機1の制御装置100は、ワイヤ移動部20にワイヤ電極10の移動を停止させた(ステップS9)後、ステップS21を実行し、ステップS10を実行する。
実施の形態4に係るワイヤ放電加工機1の制御装置100は、ステップS6後に、ステップS20とステップS7とを順に実行し、ステップS9後に、ステップS21とステップS10とを順に実行する以外、実施の形態1と同じ処理を実行する。また、実施の形態4において、ワイヤ放電加工機1の制御装置100は、ステップS20及びステップS21において、張力付与部50にワイヤ電極10に付与する張力をゼロにさせた後、張力付与部50にワイヤ電極10に放電加工時と同じ張力を付与させる。
実施の形態4に係るワイヤ放電加工機1及び制御装置100は、実施の形態1と同様に、ワイヤ移動部20にワイヤ電極10を長手方向に沿って移動させてからワイヤ電極10の移動を停止させて、張力を付与してワイヤ電極10とワークWとの相対位置を測定する動作を複数回繰り返させる。その結果、実施の形態4に係るワイヤ放電加工機1及び制御装置100は、実施の形態1と同様に、相対位置を測定する際のワイヤ電極10とワークWとの相対位置を放電加工時の相対位置に近付けることができる。
また、実施の形態4に係るワイヤ放電加工機1及び制御装置100は、ステップS7前後の双方のタイミングで、張力付与部50がワイヤ電極10に付与する張力を放電加工時の張力よりも一旦弱めさせた後、張力付与部50にワイヤ電極10に放電加工時と同じ張力を付与させる。このために、実施の形態4に係るワイヤ放電加工機1及び制御装置100は、ステップS7とステップS8を実行して、ワイヤ電極10を長手方向に移動させた後にワイヤ電極10とワークWとの相対位置を測定する各測定回のノズル23,25内におけるワイヤ電極10の位置を前述した差D1,D2の範囲内において分散させることができる。その結果、ワイヤ放電加工機1及び制御装置100は、相対位置を測定する際のワイヤ電極10とワークWとの相対位置を放電加工時の相対位置に近付けることができる。
次に、各実施の形態に係るワイヤ放電加工機1の制御装置100の構成を説明する。図11は、各実施の形態に係るワイヤ放電加工機の制御装置のハードウェアの構成の一例を示す図である。制御装置100は、図11に示す入出力インタフェース103に接続された入力装置101から加工条件を生成するために必要な情報と、X方向とY方向それぞれのワイヤ電極10とワークWとが互いに接触する接触時相対位置を測定するために必要な情報とが入力される。入力装置101は、タッチパネル、キーボード、マウス、トラックボール又はこれらの組み合わせにより構成される。制御装置100は、入出力インタフェース103に接続された表示装置102にX方向とY方向それぞれのワイヤ電極10とワークWとが互いに接触する接触時相対位置を表示する。各実施の形態において、表示装置102は、液晶表示装置であるが、液晶表示装置に限定されない。
制御装置100は、図11に示すように、CPU(Central Processing Unit)104と、メモリ105と、入出力インタフェース103とを備えるコンピュータである。メモリ105は、ソフトウェア、ファームウェア、又はソフトウェアとファームウェアとの組み合わせをプログラムとして格納する。また、メモリ105は、入力装置101から入力された加工条件を生成するために必要な情報と、X方向とY方向それぞれのワイヤ電極10とワークWとが互いに接触する接触時相対位置を測定するために必要な情報とを記憶する。メモリ105は、X方向とY方向それぞれの接触検出部70が検出した各測定回のワイヤ電極10とワークWとが接触する接触時相対位置と、複数の測定回の接触時相対位置から算出した平均値とを記憶する。メモリ105は、不揮発性又は揮発性の半導体メモリ、磁気ディスク、光ディスク、又は光磁気ディスクにより構成される。不揮発性又は揮発性の半導体メモリとしては、RAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)、フラッシュメモリ、EPROM(Erasable Programmable Read Only Memory)、又はEEPROM(Electrically Erasable Programmable Read-Only Memory)が用いられる。制御装置100は、メモリ105に格納されたプログラムをCPU104が実行して、各実施の形態に記載した機能を実現する。
次に、各実施の形態において、接触検出部70の機能の実現方法を説明する。図12は、各実施の形態に係るワイヤ放電加工機の接触検出部の機能をハードウェアで実現した構成を示す図である。接触検出部70の機能は、各実施の形態において、図12に示す処理回路73により実現される。
接触検出部70の機能を実現する処理回路73は、単一回路、複合回路、プログラム化したプロセッサ、並列プログラム化したプロセッサ、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)、FPGA(Field-Programmable Gate Array)、又はこれらを組み合わせたものが該当する。処理回路73は、電位差付与部71を実現する電源回路74と、検出部72を実現する検出回路75とを備える。
以上の実施の形態に示した構成は、本発明の内容の一例を示すものであり、別の公知の技術と組み合わせることも可能であるし、本発明の要旨を逸脱しない範囲で、構成の一部を省略、変更することも可能である。