以下、図面を参照して実施の形態を説明する。ただし、以下に説明する実施形態は、あくまでも例示であり、以下に明示しない種々の変形や技術の適用を排除する意図はない。また、以下に説明する各種の例示的態様は、適宜に組み合わせて実施しても構わない。なお、以下の実施形態で用いる図面において、同一符号を付した部分は、特に断らない限り、同一若しくは同様の部分を表す。
図1は、一実施形態に係る無線通信システムの構成例を示すブロック図である。図1に示す無線通信システム1は、例示的に、無線端末11と、基地局12と、コアネットワーク13と、を備えてよい。なお、図1の例では、1台の無線端末11と1台の基地局12とに着目しているが、無線端末11及び基地局12は、いずれも、無線通信システム1において2台以上存在してよい。
無線端末11は、基地局12が形成又は提供する無線エリアにおいて基地局12と無線通信することが可能である。「無線端末」は、「無線デバイス」、「無線装置」、あるいは「端末装置」等と称されてもよい。
無線端末11は、その位置が変化しない固定端末であってもよいし、その位置が変化する移動端末(「移動機」と称してもよい。)であってもよい。非限定的な一例として、無線端末11は、携帯電話やスマートフォン、タブレット端末等の移動可能なUEであってよい。「UE」は、「User Equipment」の略称である。
基地局12は、無線端末11との無線通信を可能にする無線エリアを形成又は提供する。「無線エリア」は、「セル」、「カバレッジエリア」、「通信エリア」、「サービスエリア」等と称されてもよい。
基地局12は、例示的に、3GPPのLTEやLTE−Advanced(以下「LTE」と総称する。)に準拠した「eNB」であってよい。「eNB」は、「enhanced Node B」の略称である。なお、RRE(Remote Radio Equipment)やRRH(Remote Radio Head)等と称される、基地局本体から分離されて遠隔地に配置された通信ポイントが、基地局12に該当してもよい。また、基地局12は、無線端末11との通信を中継する中継装置であってもよい。中継装置は、3GPPのLTEに準拠した「RN」に該当してもよい。「RN」は「Relay Node」の略称である。
基地局12が形成又は提供する「セル」は「セクタセル」に分割されてもよい。「セル」には、マクロセルやスモールセルが含まれてよい。スモールセルは、マクロセルよりも電波到達範囲(カバレッジ)の小さいセルの一例である。
スモールセルは、カバレッジエリアに応じて呼称が異なってよい。例えば、スモールセルは、「フェムトセル」、「ピコセル」、「マイクロセル」、「ナノセル」、「メトロセル」、「ホームセル」等と称されてもよい。
コアネットワーク13には、図1に例示するように、SGW31、MME32、及び、PGW33が含まれてよい。「SGW」は、「Serving Gateway」の略称である。「PGW」は、「Packet Data Network Gateway」の略称である。「MME」は、「Mobility Management Entity」の略称である。
コアネットワーク13は、基地局12に対する「上位ネットワーク」に相当すると捉えてよい。SGW31、MME32、及び、PGW33は、「コアネットワーク」のエレメント(NE)あるいはエンティティに相当すると捉えてよく、「コアノード」と総称してよい。
基地局12は、コアネットワーク13に、有線インタフェースの一例である「S1インタフェース」によって接続されてよい。ただし、基地局12は、無線インタフェースによってコアネットワーク13と通信可能に接続されても構わない。
基地局12とコアネットワーク13とを含むネットワークは、無線アクセスネットワーク(RAN)と称されてもよい。RANの一例は、「Evolved Universal Terrestrial Radio Access Network, E-UTRAN」である。
また、基地局12は、例示的に、SGW31及びMME32と通信可能に接続されてよい。基地局12と、SGW31及びMME32と、の間は、例えば、S1インタフェースと称されるインタフェースによって通信可能に接続されてよい。
SGW31は、S5インタフェースと称されるインタフェースによってPGW33と通信可能に接続されてよい。PGW33は、インターネットやイントラネット等のパケットデータネットワーク(PDN)と通信可能に接続されてよい。
SGW31及びPGW33を介して、無線端末11とPDNとの間でユーザパケットの送受信が可能である。ユーザパケットは、ユーザデータの一例であり、ユーザプレーン信号と称してもよい。
例示的に、SGW31は、ユーザプレーン信号を処理してよい。制御プレーン信号は、MME32が処理してよい。SGW31は、S11インタフェースと称されるインタフェースによってMME32と通信可能に接続されてよい。
MME32は、例示的に、無線端末11の位置情報を管理する。SGW31は、MME32で管理されている位置情報を基に、例えば、無線端末11の移動に伴うユーザプレーン信号のパス切り替え等の移動制御を実施してよい。移動制御には、無線端末11のハンドオーバに伴う制御が含まれてよい。
eNBが形成する無線エリアは、「セル」又は「セクタ」であってよい。eNBが形成するセルは、「マクロセル」と称されてよい。マクロセルを形成する無線基地局(eNB)は、「マクロ基地局」、「マクロeNB」、又は、「MeNB」等と称されてもよい。
なお、「セル」は、無線基地局が送信する無線電波の到達可能範囲(「カバレッジ」と称してもよい。)に応じて形成される無線エリアの一例である。セル内に位置する移動局等の無線機器が、当該セルを形成する無線基地局と無線通信することが可能である。
LTEでは、マクロセルの他にスモールセル(SC)を活用してシステム容量の増大を図る技術に関する議論が行なわれている。例えば、マクロセル(MC)に、マクロセルよりもカバレッジの小さい「スモールセル」が配置されることがある。
「スモールセル」には、例示的に、「ホームセル」、「フェムトセル」、「ピコセル」、「マイクロセル」、「メトロセル」等と称されるセルが含まれてよい。
基地局12は、無線端末11との通信に用いる無線リソースの設定(「割当」と称してもよい。)を制御してよい。当該制御は、「スケジューリング」と称されてもよい。無線リソース(単に「リソース」と称することもある)は、例示的に、周波数領域及び時間領域によって2次元的に区別されてよい。
基地局12は、無線端末12との通信に利用可能な無線リソースを、周波数領域及び時間領域で分割した単位でスケジューリングを実施してよい。
無線端末11と基地局12との間の無線通信には、時分割複信(Time Division Duplex:TDD)、及び、周波数分割複信(Frequency Division Duplex:FDD)のいずれが適用されてもよい。
TDDでは、1つの周波数(又は周波数帯域)を用いて、下りリンク(ダウンリンク,DL)の通信と、上りリンク(アップリンク,UL)の通信と、が異なる時間に実施される。
例えば、基地局12は、無線端末11に対して、1つの周波数帯域においてDL通信のための時間とUL通信のための時間とを異なる時間にスケジューリングする。したがって、基地局12及び無線端末11は、1つの周波数帯域において送信と受信とを異なる時間に実施する。
これに対し、FDDでは、DLの通信とULの通信とが異なる周波数(又は周波数帯域)を用いて実施される。
例えば、基地局12は、DL通信のための周波数とUL通信のための周波数とを通信のタイミングに関わらず異なる周波数にスケジューリングしてよい。したがって、基地局12及び無線端末11は、送信を行ないながら送信周波数とは異なる周波数にて受信を行なうことができる。
FDDは、送信と受信とを同時に実施できるから、全二重(full duplex, FD)通信の一例である。TDDは、1つの周波数帯域において送信と受信とを同時には実施できない(実施すると信号間干渉が生じて通信が不能になる)から、半二重(half duplex, HD)通信の一例である。
ただし、信号間干渉を除去又は抑圧する機能や処理(以下「干渉抑圧機能」あるいは「干渉抑圧処理」と称することがある。)の適用によって、1つの周波数帯域においてFD通信を実現することは可能である。
例えば、無線端末11毎に割り当てられるスクランブリングコードを用いて、無線端末11毎の信号を識別可能とすることで、無線端末11間の信号間干渉を除去あるいは抑圧することが可能である。「スクランブリングコード」は、「拡散コード」と称されることもある。
なお、「スクランブリング」は、1ビットの情報に対して1ビット又は複数ビットの符号を乗算することであるのに対し、「拡散」は、1ビットの情報に対して複数ビットの情報を乗算することである。したがって、「スクランブリング」は、「拡散」を含む上位概念である。
干渉抑圧機能の適用によって、TDD及びFDDのいずれであっても、基地局12は、例えば図2に示すように、周波数及び時間のグリッドで表される無線リースをグリッド単位でFD通信及びHD通信のどちらに設定することも許容される。
なお、LTEのリソースブロック(RB)の1つが、図2のグリッドの1つに対応すると捉えてよい。あるいは、キャリアアグリゲーション(CA)におけるコンポーネントキャリア(CC)の1つが、図2のグリッドの1列分に対応すると捉えてもよい。
LTEのRBは、無線端末11との通信に利用可能な無線リースを、時間領域におけるスロットと、周波数領域において隣り合う複数のサブキャリアと、を単位に分割した1つのブロックに相当する。
例えば図3に示すように、LTEにおいて、無線フレームは、1ms長の10個のサブフレームで構成されるため、無線フレーム長は10msである。また、1サブフレームは、例えば、0.5msの2つのスロットで構成される。
1スロットは、ノーマルのサイクリックプレフィックス(CP)が用いられる場合、7個のシンボルで構成され、ノーマルCPよりも時間的に長い拡張CPが用いられる場合、6個のシンボルで構成される。RBは、例えば、2スロット(=1サブフレーム)×12サブキャリアで表される。なお、LTEではCPと呼ばれるが、一般的にはガードインターバル(GI)と呼ばれることもある。更に、シンボルの波形の後半部分をコピーして用いることから、冗長部と呼ばれることもある。
CCは、CAによって束ねられた複数のキャリア周波数(帯域)群の1つに相当する。
また、OFDM(又はOFDMA)の拡張版であるF−OADMやUF−OFDMにおけるサブキャリアブロック(SCB)の1つが、図2のグリッドの1列分に対応すると捉えてもよい。
「OFDM」は、「Orthogonal Frequency Division Multiplexing」の略称であり、「OFDMA」は、「Orthogonal Frequency Division Multiple Access」の略称である。また、F−OFDMは、「Filtered-OFDM」の略称であり、UF−OFDMは、「Universal Filtered-OFDM」の略称である。
SCBは、F−OFDMやUF−OFDMにおいて、「サブバンド」あるいは「クラスタ」と称されることもある。F−OFDMやUF−OFDMのサブバンドは、例えば図4に示すように、無線端末11との通信に利用可能な周波数帯域(「システム帯域」と称してよい。)を分割した帯域の1つに相当する。例えば、複数のサブキャリアをまとめたものをサブバンドやクラスタとしてもよい。
サブバンド間には、図4に例示するように、フィルタを用いた信号の波形整形(「フィルタリング」と称してもよい。)に応じたギャップ(GAP)が設けられる。そのため、サブバンド間においては、OFDMのサブキャリア間とは異なり、直交性は保たれなくてよい。また、サブバンド間で、サブキャリア数や、サブキャリア間隔、送信時間間隔(transmission time interval, TTI)等が異なることも許容される。
例えば、サブバンド間では、サブキャリア数、シンボル数、シンボル長、スロット長、無線フレーム長、サブフレーム長(別言すると、TTI)等が異なっていてよい。1つのサブバンド内では、これらのパラメータは一定でよい。
別言すると、F−OFDMやUF−OFDMでは、クラスタ毎のフィルタリングによって、クラスタ毎に、サブキャリア数、シンボル数、シンボル長、スロット長、無線フレーム長、サブフレーム長(TTI)を可変することが許容される。
サブバンド間にギャップが存在することを加味して、F−OFDMやUF−OFDMでの無線リソースを周波数及び時間のグリッドに分割した例を図5に示す。
図5に例示するように、F−OFDMやUF−OFDMにおいて、基地局12は、ギャップを除いたグリッドで表される無線リソースを、周波数及び時間のグリッド単位でFD又はHDに設定することができる。
ただし、無線端末11が信号間干渉を除去又は抑圧するための情報(例えば、既述のスクランブリングコード)を知らない(別言すると、記憶していない)場合もある。別言すると、基地局12に接続を試みる無線端末11のすべてが、スクランブリングコードを用いて信号間干渉を除去又は抑圧する機能や処理(以下「干渉抑圧機能」あるいは「干渉抑圧処理」と称することがある。)をサポートしているとは限らない。
その場合、或る1つの周波数帯域をFD通信用の帯域に設定してしまうと、当該周波数帯域において信号間干渉によって基地局12と接続を確立できない無線端末11が生じ得る。
信号間干渉が生じる例について、図6及び図7を参照して説明する。図6は、無線端末11の一例であるUEが、基地局12の一例であるeNBと接続を確立して当該基地局12とデータ通信を開始するまでの処理の一例を示すシーケンス図である。図7は、図6の処理において、UE11がeNB12との間で送受信する信号に干渉が生じる様子を付記したシーケンス図である。
図6に例示するように、UE11は、処理P11においてeNB12が送信した同期信号及びパイロット信号を受信すると、受信した同期信号及びパイロット信号を用いて同期処理を実施してよい(処理P12)。パイロット信号は、リファレンス信号(RS)と称されてもよい。更には、パイロット信号は、UE11の既知信号であってもよい。同期処理では、シンボルタイミングの検出、スクランブリングコードの検出、及び、フレームタイミングの検出等が実施されてよい。
また、UE11は、処理P13においてeNB12が送信した報知情報を受信すると、報知情報を基にした設定制御を実施してよい(処理P14)。
「報知情報」には、非限定的な一例として、システム情報や無線リソース制御(RRC)に関する情報等が含まれてよい。システム情報には、例示的に、マスター情報ブロック(master information block, MIB)及びシステム情報ブロック(system information block, SIB)が含まれてよい。
「報知情報を基にした設定制御」とは、例えば、無線回線品質の測定のための設定や、セル選択のための設定(例えば、パラメータの設定等)等であってよい。他にも、以降のランダムアクセスの設定や、RRCコネクションに関する設定、データ通信のための設定等が、「報知情報を基にした設定制御」に含まれてもよい。なお、「無線回線」は、「無線チャネル」と称してもよい。
「報知情報を基にした設定制御」の後、UE11は、処理P15においてeNB12が送信したパイロット信号を受信すると、DLの無線チャネル品質を測定してよい(処理P16)。パイロット信号は、DLの共通パイロット信号であってよい。共通パイロット信号は、例示的に、セル共通のRS(common RS)であってもよいし、セル固有のRS(cell specific RS)であってもよい。
測定する「無線チャネル品質」の指標は、例示的に、RSの受信電力(RS received power, RSRP)や、RSの受信品質(RS received quality, RSRQ)、チャネル品質指標(channel quality indicator, CQI)、チャネル状態情報(channel state information, CSI)等であってよい。
無線チャネル品質の測定結果を基に、UE11は、セル選択を実施してよい(処理P17)。また、UE11は、選択セルを提供するeNB12に対してランダムアクセス(RA)手順(プロシージャ)を実施してよい(処理P18)。
RAプロシージャは、コンテンションベース(Contention-based)及びノンコンテンションベース(Non-contention-based)のいずれでもよい。図8に、コンテンションベースのRAプロシージャの一例を示し、図9に、ノンコンテンションベースのRAプロシージャの一例を示す。
(コンテンションベースRAプロシージャ)
図8に例示するように、コンテンションベースRAプロシージャでは、UE11は、メッセージ1としてRAプリアンブルをランダムアクセスチャネル(RACH)にてeNB12宛に送信する。
eNB12は、UE11が送信したRAプリアンブルの受信に成功すると、RA応答をメッセージ2としてUE11宛に送信する。RA応答には、ULの共有チャネルの送信許可や、以降のRAプロシージャの対象UE11を識別するために一時的に割り当てる識別子等が含められてよい。当該識別子は、例示的に、「temporary-cell radio network temporary identifier, T-CRNTI」であってよい。RA応答は、例えば、DLの共有チャネルを用いて送信されてよい。
UE11は、eNB12からRA応答を受信すると、ULのメッセージ3の送信(Scheduled Transmission)を行なう。当該メッセージ3には、UE11の一時的な識別子の一例として、「temporary mobile subscriber identity, TMSI」が含められてよい。
TMSIは、例示的に、複数のUE11が、競合するRAプリアンブルを同時期に送信した場合に、競合の生じたUE11を認識してUE11間の競合解決のために用いられてよい。
eNB12は、競合解決によって選択したUE11に対して、「Contention Resolution」と呼ばれる応答(メッセージ4)を送信してよい。
当該応答(メッセージ4)を受信したUE11は、eNB12との通信を継続してよい。例えば、UE11は、RA応答(メッセージ2)で受信したT−CRNTIをC−RNTI(cell-RNTI)として以降の通信に用いてよい。
なお、eNB12での競合解決によって選択されず、メッセージ4を受信しなかったUE11は、RAプリアンブル(メッセージ1)を再送信して、上述したRAプロシージャを最初からやり直す。
(ノンコンテンションベースRAプロシージャ)
上述したコンテンションベースRAプロシージャに対して、ノンコンテンションベースRAプロシージャでは、図9に例示するように、eNB12が、UE11に対して個別のRAプリアンブルを予めUE11に通知して割り当てる。当該通知及び割当に用いられるメッセージは、「メッセージ0」(RA Preamble Assignment)と称されることがある。
UE11は、メッセージ0を受信すると、当該メッセージ0によってeNB12から割り当てられたRAプリアンブルを用いて、eNB12に対してメッセージ1をRACHにてeNB12宛に送信してよい。
eNB12は、メッセージ1(RAプリアンブル)をUE11から受信すると、RA応答(メッセージ2)をUE11宛に送信する。
UE11は、以上のコンテンションベース又はノンコンテンションベースのRAプロシージャが成功すると、図6に例示するように、無線チャネルの設定を実施してよい(処理P19)。無線チャネルの設定は、例示的に、RRCコネクションに関する設定であってよい。
無線チャネルの設定後、UE11は、eNB12とデータ通信を開始してよい(処理P20)。
以上の処理シーケンス(図6)は、1つのUE11と1つのeNB12とに着目した処理シーケンスである。しかし、図7に例示するように、無線通信システム1においては、UE11とは別のUE11x及びUE11yが存在し、また、eNB12とは別のeNB12x及びeNB12yが存在することもある。
この場合に、図2に例示した、周波数及び時間のグリッドで表される無線リースを何らの制限を設けずにFD通信用に設定してしまうと、図7中に点線矢印で模式的に示すように、UE11の受信信号に干渉が生じ得る。
例えば、UE11がeNB12から受信したい同期信号やパイロット信号、報知情報に、他のUExやUEyのUL信号が干渉したり、他のeNBxやeNByのDL信号が干渉したりすることがある。
また、UE11がeNB12との間で実施するRAプロシージャにおいても、既述のメッセージのいずれかに、他のUExやUEyのUL信号が干渉したり、他のeNBxやeNByのDL信号が干渉したりすることがある。
同期信号に干渉が生じると、同期処理(図6及び図7の処理P12)が遅延することもある。また、最悪の場合、同期が確立できないこともある。
パイロット信号に干渉が生じると、RSRPやRSRQ、CQI等の無線チャネル品質の測定精度が低下し得る。無線チャネル品質の測定精度が低下すると、例えば、UE11によるセル選択精度や、eNB12によるUL通信のスケジューリング精度が低下し得る。
UE11に通知するシステム情報等の報知情報に干渉が生じると、UE11による「報知情報を基にした設定制御」(図6及び図7の処理P14)が適切に実施できない場合がある。そうすると、UE11は、以降の処理、例えば、無線チャネル品質の測定や、セル選択、RRCコネクションに関する設定等に失敗する可能性がある。
RAプロシージャにおいて干渉が生じると、UE11によるeNB12に対するRAプロシージャの成功率が低下し得る。
そこで、以下に説明する実施形態では、或る「1つの周波数帯域」に、FD通信は実施せずにHD通信を実施するための無線リソースを設定する。「1つの周波数帯域」は、システム帯域であってもよいし、CCやSCBの周波数帯域であってもよい。なお、スクランブリングコード等の、干渉抑圧処理に関する情報についてUE11が既知であるか不知であるかは不問でよい。
図10に、FDDベースでのFD及びHD通信のリソース設定例を示し、図11に、TDDベースでのFD及びHD通信のリソース設定例を示す。図10及び図11の例において、周波数軸は、サブキャリア周波数であってよい。
図10の例では、4つの周波数帯域のうちの一部、非限定的な一例として、低周波数側から2番目の周波数帯域が、HD通信に設定され、他の3つの周波数帯域はFD通信に設定されている。FD通信用の周波数帯域は、第1の周波数帯域の一例であり、HD通信用の周波数帯域は、第2の周波数帯域の一例である。
なお、図10に例示する4つの周波数帯域のトータルが、システム帯域に相当してもよいし、1つのCCや1つのSCBに相当してもよい。また、図10の例では、2番目の周波数帯域において、時間領域における4つの時間区間の全てがHD通信に設定されているが、4つの時間区間の一部のみがHD通信に設定されてもよい。
一方、図11の例では、1つの周波数帯域を時間領域で分割した4つの時間区間の一部、非限定的な一例として、時間の早い方から2番目の時間区間がHD通信に設定され、他の3つの時間区間はFD通信に設定されている。
各時間区間は、例示的に、LTEの無線フレームにおけるサブフレーム長に相当してよい。また、図11に例示する1つの周波数帯域が、システム帯域に相当してもよいし、1つのCCや1つのSCBに相当してもよい。なお、図11において、FD通信の時間区間は、第1の時間区間の一例であり、HD通信の時間区間は、第2の時間区間の一例である。
図10及び図11に例示したように、UE11に割り当て可能なリソースの少なくとも一部をHD通信に設定することで、図7に例示したような信号間干渉の発生を除去あるいは抑圧できる。
例えば、UE11は、既述の同期信号やパイロット信号、報知情報の受信、RAプロシージャをHDに設定された無線リソースにて行なう。これにより、同期処理やRAプロシージャ、無線チャネル設定の成功率向上、セル選択精度の向上、無線チャネル品質の測定精度の向上等を図ることができる。
(動作例)
上述した無線通信システム1では、LTEをベースとしたFD通信とHD通信との切り替えが可能である。例えば、ULの多元接続処理方式がDFT−s−OFDMであり、DLの多元接続処理方式がOFDMAであるLTEシステムにおいて、FD通信とHD通信との切り替えが可能である。
なお、「DFT−s−OFDM」は、「Discrete Fourier Transform Spread-OFDM」の略称である。FD通信とHD通信との切り替えは、UL及びDLの双方について実施されてもよいし、UL及びDLの一方のみについて実施されてもよい。
FD通信とHD通信との切り替えの態様としては、以下が挙げられる。
(1)TDDの場合
(1−1)時間領域(例えば、サブフレームの単位)において、FD通信とHD通信とを切り替える。
(1−2)周波数領域(例えば、RBやCCの単位)において、FD通信とHD通信とを切り替える。
(1−3)上記(1−1)及び(1−2)の組み合わせ、すなわち、時間領域及び周波数領域の双方でFD通信とHD通信とを切り替える。
(2)FDDの場合
(2−1)DL及びULの一方又は双方の1つの周波数帯域において時間領域でFD通信とHD通信とを切り替える。1つの周波数帯域は、RBやCCでもよいしSCBでもよい。
(2−2)DL及びULの一方又は双方の1つの周波数帯域において周波数領域でFD通信とHD通信とを切り替える。
(2−3)上記(2−1)及び(2−2)の組み合わせ、すなわち、例えば、DL及びULの一方又は双方の1つの周波数帯域において時間領域及び周波数領域の双方でFD通信とHD通信とを切り替える。
なお、ULの多元接続処理方式にDFT−s−OFDMを用い、DLの多元接続処理方式にF−OFDM(又は、F−OFDMA)を用いてもよい。この場合にも、FD通信とHD通信との切り替えが可能である。また、FD通信とHD通信との切り替えに加えて、多元接続処理方式の切り替えも可能である。
以下、図12〜図15を参照して、本実施形態の無線通信システム1の動作例について説明する。なお、以下において、FD通信及びHD通信のためのリソースを、それぞれ便宜的に、「FDリソース」及び「HDリソース」と称することがある。
「FDリソース」は、「第1の無線リソース」の一例であり、「HDリソース」は、第2の無線リソースの一例である。また、図12〜図15において、図6で用いた符号と同一符号を付した処理は、特に断らない限り、図6にて説明した処理と同一若しくは同様でよい。
(第1実施例)
図12は、第1実施例の動作例を示すシーケンス図である。第1実施例では、UE11が、事前にFD/HD切替制御情報を知っている場合について説明する。
「FD/HD切替制御情報」とは、例示的に、UE11がFD通信からHD通信、又は、HD通信からFD通信へ切り替えるための制御情報、あるいは、UE11がFD通信とHD通信とを使い分けるための制御情報を意味する。なお、以下において、「FD/HD切替制御情報」を「FD/HD制御情報」と略称することがある。
UE11が、「事前にFD/HD制御情報を知っている場合」の非限定的な一例としては、以下が挙げられる。
(1)UE11の製造時にUE11のROM等の記憶部にFD/HD制御情報が記憶されている場合
(2)UE11のSIM(subscriber identity module)にFD/HD制御情報が記憶されている場合
(3)UE11が過去にeNB12から受信した報知情報に含まれるFD/HD制御情報を記憶している場合
ただし、第1実施例において、UE11は、eNB12による同期信号やパイロット信号の送信に関する制御情報については、事前には知らないものと仮定する。
図12に例示するように、UE11は、事前にFD/HD制御情報を知っている場合、電源投入時等の、eNB12から同期信号やパイロット信号を受信する前に、HD通信切替制御を実施してよい(処理P10)。
「HD通信切替」とは、例えば図10や図11に例示したリソース設定に従って、時間的に(例えば、サブフレームのタイミング等で)FD通信をHD通信に切り替えること、あるいは、使用周波数帯域をFD通信用からHD通信用に切り替えることを意味する。なお、「HD通信切替」には、HD通信を維持することが含まれてよい。
上記の「HD通信切替」とは逆の通信切替は、便宜的に、「FD通信切替」と称してよい。例えば、「FD通信切替」とは、時間的に(例えば、サブフレームのタイミング等で)HD通信をFD通信に切り替えること、あるいは、使用周波数帯域をHD通信用からFD通信用に切り替えることを意味する。なお、「FD通信切替」には、FD通信を維持することが含まれてよい。
HD通信切替制御によって、UE11は、eNB12が処理P11、P13及びP15で送信した同期信号、パイロット信号、報知情報をHDリソースにて受信できる。また、UE11は、HDリソースにてRAプロシージャ(処理P18)を実施する。
UE11は、RAプロシージャが成功すると、eNB12との間の無線チャネル設定(例えば、RRCコネクションの設定等)を実施してよい(処理P19)。
無線チャネル設定が完了すると、UE11は、FD/HD制御情報に基づいてFD通信の設定を行なうことで、HD通信をFD通信に切り替えてよい(処理P19a)。これにより、UE11は、eNB12とFD通信にてユーザデータの通信が可能になる(処理P20)。
(第2実施例)
図13は、第2実施例の動作例を示すシーケンス図である。第2実施例では、UE11は、FD/HD制御情報は第1実施例と同様に事前には知らないが、eNB12による同期信号やパイロット信号の送信に関する制御情報については、事前に知っていると仮定する。
UE11は、事前に同期信号やパイロットの送信に関する制御情報を事前に知っているから、図13に例示するように、図12の処理P10(HD通信切替制御)は実施しなくて構わない。
UE11は、第1実施例と同様にして、eNB12が処理P11で送信した同期信号及びパイロット信号を受信して同期処理P12を実施することで、eNB12とのDL通信の同期を確立する。
同期が確立すると、UE11は、eNB12が処理P13で送信する報知情報を受信可能な状態となる。eNB12は、処理P13で送信する報知情報に、既存の報知情報とFD/HD制御情報とを含めてよい。
UE11は、eNB12から報知情報を受信すると、図6にて説明したとおり、報知情報を基にした設定制御を実施し(処理P14)、また、FD/HD制御情報に基づいてHD通信切替制御を実施してよい(処理P14a)。
HD通信切替制御の後、UE11は、図6にて既述の処理P15〜P19と同様に、DLの無線チャネル品質測定、セル選択、RAプロシージャ、及び、無線チャネル設定を実施してよい。
無線チャネル設定が完了すれば、UE11は、FD通信切替制御を実施してHD通信をFD通信に切り替えてよい(処理P19a)。これにより、UE11は、eNB12とFD通信にてユーザデータの通信が可能になる(処理P20)。
(第3実施例)
図14は、第3実施例の動作例を示すシーケンス図である。第3実施例では、第1実施例及び第2実施例とは異なり、UE11は、FD/HD制御情報を事前には知らず、また、eBN12による同期信号及びパイロット信号の送信に関する制御情報についても事前には知らないと仮定する。
図14に例示するように、UE11は、既述の同期処理を第1の同期処理(P12a)と第2の同期処理(P12d)との2段階に分けて実施してよい。
第2の同期処理(P12d)は、例示的に、第1の同期処理(P12a)よりも高精度な同期処理である。そのため、第1及び第2の同期処理は、それぞれ便宜的に、「低精度同期処理」及び「高精度同期処理」と称してよい。
低精度同期処理(P12a)は、例えば、同期信号やパイロット信号がFDリソースにて送信(処理P11a)されてUE11において干渉が生じる状態において、既存の同期処理よりも低い同期精度での同期処理を許容すること、と捉えてよい。
低精度同期処理の後、UE11は、低精度な無線チャネル品質測定を実施してよい(処理P12b)。例えば、UE11は、処理P11aでeNB12が送信したパイロット信号から、RSRPやRSRQ、CQI等を測定してよい。当該測定結果は、受信パイロット信号に干渉が生じている可能性があるから、「低精度」な測定結果であると云える。
このような低精度な無線チャネル品質測定の後、UE11は、測定結果に基づいてHD切替制御を実施してよい(処理P12c)。例えば、UE11は、測定結果が或る閾値以下であり、DLの無線チャネル品質が干渉の影響によって同期処理にとって許容できない状態であると判定できる場合、HD通信切替を実施してよい。
UE11は、HD通信によって、eNB12が処理P11bで送信した同期信号及びパイロット信号を干渉が抑圧された状態で受信することが可能になる。したがって、UE11は、当該同期信号及びパイロット信号を基に高精度な同期処理を実施することが可能になる(処理P12d)。
高精度な同期処理によって、UE11は、eNB12から送信される同期信号及びパイロット信号の正確なタイミング(例えば、サブフレーム)及び/又は周波数帯域を識別、把握することができる。
このようにして、UE11がeNB12との間のDL通信の同期確立に成功すると、UE11は、eNB12が処理P13で送信する報知情報を受信可能な状態となる。eNB12は、第2実施例と同様に、処理P13で送信する報知情報に、既存の報知情報とFD/HD制御情報とを含めてよい。
UE11は、eNB12から報知情報を受信すると、図6にて説明したとおり、報知情報を基にした設定制御を実施し(処理P14)、また、FD/HD制御情報に基づいてHD通信切替制御を実施してよい(処理P14a)当該HD通信切替制御は、HD通信を維持することであってよい。
その後、UE11は、図6にて既述の処理P15〜P19と同様に、DLの無線チャネル品質測定、セル選択、RAプロシージャ、及び、無線チャネル設定を実施してよい。
無線チャネル設定が完了すれば、UE11は、FD通信切替制御を実施してHD通信をFD通信に切り替えてよい(処理P19a)。これにより、UE11は、eNB12とFD通信にてユーザデータの通信が可能になる(処理P20)。
(第4実施例)
図15は、第4実施例の動作例を示すシーケンス図である。第4実施例においても、第3実施例と同様に、UE11は、FD/HD制御情報を事前には知らず、また、eBN12による同期信号及びパイロット信号の送信に関する制御情報についても事前には知らないと仮定する。
図15と、第3実施例の図14とを比較すると、図15では、高精度同期処理P12dが、FD/HD制御情報に基づくHD通信切替制御(処理P14a)の後に実施される点が図14の例とは異なる。
別言すると、第3実施例では、UE11において、高精度同期処理P12dを実施してから、報知情報(FD/HD制御情報)を受信するのに対し、第4実施例では、報知情報(FD/HD制御情報)を受信してから、高精度同期処理12dを実施する点が異なる。
要するに、UE11において、高精度同期処理(P12d)と、FD/HD制御情報が含まれる報知情報の受信及び受信したFD/HD制御情報に基づくHD通信切替制御と、は、どちらが先に実施されても構わない。
図15の例では、UE11は、HD通信切替制御(P14a)の後、高精度同期処理(P12d)を実施し、更に、図6の処理P15〜P19と同様に、DLの無線チャネル品質測定、セル選択、RAプロシージャ、及び、無線チャネル設定を実施してよい。
無線チャネル設定が完了すれば、UE11は、FD通信切替制御を実施してHD通信をFD通信に切り替えてよい(処理P19a)。これにより、UE11は、eNB12とFD通信にてユーザデータの通信が可能になる(処理P20)。
以上のように、上述した各実施例を含む実施形態によれば、UE11が、スクランブリングコード等の干渉抑圧処理に関する情報を知らず、干渉抑圧処理を実施できない場合であっても、eNB12と正常な通信を開始するための処理を確実に実施できる。
(1)例えば、UE11は、eNB12から同期信号及びDLのパイロット信号(RS)をHD通信にて干渉が抑圧された状態で受信できるから、同期精度を向上できる。
(2)例えば、UE11は、DLの共通パイロット信号(Common RS or Cell specific RS)をHD通信にて干渉が抑圧された状態で受信できるから、DLの無線チャネル品質の測定精度を向上できる。したがって、例えば、UE11によるセル選択精度を向上できる。また、DLの無線チャネル品質の測定精度を向上できるから、当該測定結果を用いてDLのスケジューリングを実施するeNB12でのスケジューリング精度も向上できる。
(3)eNB12は、ULのsounding RS(SRS)をHD通信にて干渉が抑圧された状態で受信することで、ULの無線チャネル品質の測定精度を向上でき、その結果、ULのスケジューリング精度を向上できる。
(4)UE11は、eNB12からシステム情報やRRCに関する情報をHD通信にて干渉が抑圧された状態で受信できるから、eNB12との間の無線チャネル設定等を確実に実施できる。
(5)RAプロシージャにおけるUL及びDLの伝送をHD通信にて干渉が抑圧された状態で実施できるから、RAプロシージャの成功率を向上することができる。したがって、無線チャネル設定等を容易に、また、確実に実施することができる。
(6)上記の(1)〜(5)による副次的な効果の一例として、UE11とeNB12との間の同期確立にかかる時間や、無線チャネルの設定にかかる時間の短縮化を図ることができるから、UE11とeNB12との間の伝送速度や伝送効率を向上できる。
(GAP設定)
ところで、上述したFD通信とHD通信との間の切り替えに際して、UE11及びeNB12は、共に、送信動作及び受信動作の一方又は双方(便宜的に「通信動作」と総称することがある。)を制御することなるため、通信動作に関する設定を実施する。
例えば、FD通信からHD通信への切り替えでは、送信動作及び受信動作の一方のみが可能な設定を、送信動作及び受信動作の双方が可能な設定に変更する。
これに対し、HD通信からFD通信への切り替えでは、送信動作及び受信動作の双方が可能な設定を、送信動作及び受信動作の一方のみが可能な設定に変更する。HD通信からFD通信への切り替えは、干渉の発生が抑圧された通信から干渉の発生が許容される通信への切り替えに相当する。そのため、切り替え後のFD通信において、例えば、既述のスクランブリングコードを用いた干渉抑圧処理を実施するための設定や制御が必要になり得る。
通信動作に関する設定や制御を実施するために、UE11及びeNB12は、通信動作を一時的に停止してよい。通信動作の一時的な停止を許容するために、通信を実施しないギャップ(GAP)が、UE11とeNB12との間の通信に割り当て可能な無線リソースに設定されてよい。例えば、通信を実施しない時間及び周波数帯域の一方又は双方が、UE11とeNB12との間の通信に割り当て可能な無線リソースに設定されてよい。
(FDDでのGAP設定)
FDDのFD通信では、UL及びDLの双方で同じ周波数帯域を用いて通信を実施する。FDDにおいて、FD通信をHD通信に切り替える場合、一部の周波数帯域をULとDLとに分けて用いることになるため、UE11及びeNB12は、共に、送信動作及び受信動作を制御する。当該制御のためにGAPが利用されてよい。
例えば、FDDにおいて、FD通信をHD通信に切り替える場合、FD通信において動作していた干渉抑圧処理を停止することが想定される。干渉抑圧処理を停止すると、例えば、隣接チャネル漏洩電力により干渉が顕在化し得る。
図16に、隣接チャネル漏洩電力による干渉のモデル例を示す。図16には、隣り合う2つのコンポーネントキャリア(CC#1及び#2)に着目した周波数対電力特性の一例が示されている。
図16の例では、CC#1のメインローブ電力S1に対するサイドローブ電力S2の少なくとも一部が、隣のCC#2のメインローブ電力S3に漏洩して干渉が生じることを示している。
このような隣接チャネル漏洩電力による干渉対策のために、例えば図17及び図18に示すように、ULの周波数帯域とDLの周波数帯域との間の周波数領域に、通信を実施しない周波数帯域(GAP)が設けられてよい。当該GAPは、UL及びDLの周波数帯域の一方を第1の周波数帯域、他方を第2の周波数帯域と捉えた場合の、第3の周波数帯域に相当する。
図17及び図18の時間軸方向は、例示的に、LTEのサブフレームに相当し、周波数軸方向は、RBやCC、SCBに相当すると捉えてよい。なお、図18に例示するように、周波数軸方向に隣り合うFD通信用の周波数帯域間については、GAPを設けてなくてもよい。干渉抑圧処理によって干渉除去又は抑圧が可能であるためである。ただし、FD通信用の周波数帯域間についても、GAPが設けられても構わない。
(TDDでのGAP設定)
TDDの場合、eNB12からUE11へのDL伝送の遅延と、UE11からeNB12へのUL伝送の遅延と、を考慮する。DL伝送の場合、伝搬遅延により、eNB12が送信した信号は、eNB12での送信タイミングよりも遅れてUE11に到達する。
また、UE11は、受信したDLの信号フレーム(例えば、無線フレームや、サブフレーム、スロット)の先頭タイミングから受信動作を開始するため、eNB12とUE11とでは受信動作の開始タイミングが異なる。
更に、UL伝送において、UE11は、ULの信号フレームの先頭タイミングがeNB12での受信動作の開始タイミングに一致するように、UL伝搬遅延を考慮し、DLで受信した信号フレームの先頭タイミングよりも早く送信する。
以上の2点を考慮せず、GAPを設定しない場合、例えば図19に模式的に示すように、UL及びDLの信号フレームが部分的に重なって干渉が生じ得る。そのため、例えば図20に模式的に示すように、eNB12及びUE11が、共に、FD通信をHD通信に切り替えると、FD通信でのDLの信号フレームと、HD通信でのULの信号フレームと、が部分的に重複し得る。
そこで、例えば図21に模式的に示すように、DLの信号フレーム長に相当するDLの時間区間と、ULの信号フレーム長に相当するULの時間区間と、の間の時間領域に、GAPを設定する。これにより、DL及びULの通信に干渉が生じることを回避又は抑制できる。したがって、HD通信において、干渉抑圧処理を実施しなくてもよくなる。
なお、時間領域に設定されるGAPは、スペシャルサブフレーム(SSF)と称されることもある。SSFは、図22(A)に例示するように全てのフィールドがGAPであるフレームであってもよいし、図22(B)に例示するように、GAPフィールドと、その他の情報を設定可能なフィールドと、を有するフレームであってもよい。
「その他の情報」の非限定的な一例としては、パイロット信号や同期信号、報知情報等が挙げられる。パイロット信号は、common RS(CRS)、sounding RS(SRS)、及び、Channel State Information RS(CSI RS)のいずれであってもよい。
なお、CRS、同期信号、及び、報知情報は、既述のように、UE11がセル選択を実施する際に利用する信号あるいは情報であるため、HD通信において伝送されてよいが、代替的あるいは追加的に、SSFで伝送することとしても構わない。
また、SSFは、上述したようにFD通信からHD通信への切り替えの間(例えば図23参照)に限らず、図24に例示するように、HD通信からFD通信への切り替えの間にも、挿入、設定されて構わない。
HD通信からFD通信への切り替えの間にSSFを挿入、設定することは、オプションであってもよいが、FD通信からHD通信への切り替えの間には、図19及び図20にて説明した干渉の発生を避けるために、SSFを挿入、設定することが好ましい。
なお、図23の例において、FD通信の時間区間は、第1の時間区間の一例であり、HD通信の時間区間は、第2の時間区間の一例である。そして、FD通信の時間区間とHD通信の時間区間との間のGAPは、第3の時間区間の一例である。
(TDD及びFDDの組み合わせでのGAP設定)
例えば図25に示すように、TDDをベースにHD通信を実施し、当該HD通信においてUL通信とDL通信とをFDDで実施することが有り得る。図25の時間軸方向は、例示的に、LTEのサブフレームに相当し、周波数軸方向は、RBやCC、SCBに相当すると捉えてよい。
図25の例では、GAP又はSSFが設定されていない。しかし、図19及び図20にて既述のとおり、伝搬遅延を考慮した送受信を考えると、図23の例と同様、例えば図26に示すように、FD通信からHD通信への切り替えの間には、SSFを挿入、設定することが好ましい。
また、図16にて説明した隣接チャネル漏洩電力を考慮すると、図26に例示するように、HDリソースを周波数領域で分割した、UL通信用の周波数帯域とDL通信用の周波数帯域との間に、GAPを挿入、設定することが好ましい。
なお、図25の例についても、図24の例と同様、例えば図27に示すように、FD通信からHD通信への切り替えの間に限らず、HD通信からFD通信への切り替えの間にも、SSFが挿入、設定されて構わない。また、図28に例示するように、HDリソースを周波数領域で分割した周波数帯域の間に限らず、分割周波数帯域の周波数軸方向両サイドにGAPが配置されてもよい。
(eNB12及びUE11の構成例)
次に、図29〜図34を参照して、上述したUE11及びeNB12の幾つかの構成例について説明する。なお、図29、図31及び図33は、それぞれ、eNB12の第1構成例、第2構成例及び第3構成例を示すブロック図である。図30、図32及び図34は、それぞれ、eNB12の第1〜第3構成例にそれぞれ対応するUE11の第1〜第3構成例を示すブロック図である。
(eNB12の第1構成例)
図29に例示するように、eNB12は、例示的に、アンテナ121と、送信部122と、受信部123と、制御部124と、を備えてよい。
アンテナ121は、例示的に、送信部122から出力される無線(RF)信号を空間へ放射し、また、空間からRF信号を受信して受信部123に出力する。図29の例において、アンテナ121は、送信部122と受信部123とに共用であるが個別であってもよい。
送信部122は、例示的に、UE11宛に送信するDLの無線信号を生成してアンテナ121へ出力する。
受信部123は、例示的に、UE11が送信してアンテナ121で受信されたULの無線信号を受信し、受信した無線信号の復調及び復号を行なう。
制御部124は、例示的に、送信部122の動作(別言すると、DLの送信処理)と、受信部123の動作(別言すると、ULの受信処理)と、を制御する。なお、「送信処理」及び「受信処理」は、それぞれ、既述の「送信動作」及び「受信動作」と同義であると捉えてよい。
送信部122は、図29に例示するように、報知情報生成部1221、同期信号生成部1222、パイロット信号生成部1223、及び、無線チャネル制御情報生成部1224を備えてよい。また、送信部122は、例示的に、符号化・変調部1225、送信多元接続処理部1226、及び、送信無線部1227を備えてよい。
報知情報生成部1221は、例示的に、制御部124(例えば、後述するシステム情報管理・記憶部1241)から、eNB12が提供する無線エリア(例示的に、セル)に報知する情報を取得して報知情報を生成する。
例えば、報知情報生成部1221は、既述のとおり、システム情報や、RRCに関する情報、FD/HD制御情報等を含む報知情報を生成してよい。
同期信号生成1222は、例示的に、システム情報管理・記憶部1241から、セルIDを取得し、取得したセルIDを基に同期信号を生成する。
パイロット信号生成部1223は、例示的に、システム情報管理・記憶部1241から取得したセルIDを基に、パイロット信号を生成する。
無線チャネル制御情報生成部1224は、例示的に、制御部124(例えば、後述する無線チャネル制御部1242)からの制御に従って、無線チャネルの制御情報を生成する。無線チャネルの制御情報には、RAプロシージャに関するメッセージや、FD通信とHD通信との間の切り替えを制御する制御情報が含まれてよい。
なお、上記の各生成部1221〜1224の一部又は全部は、制御部124のエレメントであってもよい。
符号化・変調部1225は、例示的に、報知情報生成部1221、同期信号生成部1222、パイロット信号生成部1223、及び、無線チャネル制御情報生成部1224で生成された信号あるいは情報を符号化し変調する。
符号化・変調部1225での符号化方式や符号化率、変調方式は、例示的に、制御部124(例えば、後述する基地局設定制御部1243、あるいは、無線チャネル制御部1242)によって制御されてよい。
送信多元接続処理部1226は、例示的に、符号化・変調部1225から入力された信号を、eNB12でサポートする多元接続方式(例示的に、OFDMA)に対応する信号フレーム(例えば、無線フレームや、サブフレーム、スロット)にマッピングする。
送信無線部1227は、例示的に、送信多元接続処理部1226から入力された信号の周波数を無線周波数へ変換して、DLの無線信号を生成する。DLの無線信号は、送信無線部1227において、適宜に増幅されてよい。
一方、受信部123は、例示的に、受信無線部1231、受信多元接続処理部1232、復調・復号部1233、及び、無線チャネル品質情報抽出部1234を備えてよい。
受信無線部1231は、例示的に、アンテナ10で受信されたULの無線信号を適宜に増幅してベースバンド信号に変換してよい。
受信多元接続処理部1232は、例示的に、受信無線部1231から入力されたベースバンド信号に、eNB12でサポートする多元接続方式(例えば、DFT−s−OFDM)に対応して多重化されている信号を分離してよい。
復調・復号部1233は、例示的に、受信多元接続処理部1232から入力された信号を復調し、復調した信号を復号する。
無線チャネル品質情報抽出部1234は、例示的に、復号された受信信号から無線チャネル品質に関する情報を抽出する。無線チャネル品質に関する情報は、例示的に、既述のRSRPやRSRQ、CQI等であってよい。抽出された無線チャネル品質に関する情報は、例示的に、無線チャネル制御部1242に入力されて、無線チャネルの制御に用いられてよい。
なお、無線チャネル品質情報抽出部1234は、制御部124のエレメントであってもよい。
制御部124は、例示的に、システム情報管理・記憶部1241、無線チャネル制御部1242、及び、基地局設定制御部1243を備えてよい。
システム情報管理・記憶部1241は、例示的に、システム情報や、セルID、FD/HD制御情報、送信タイミング情報等を記憶、管理する。セルIDは、システム情報に含まれると捉えてもよい。FD/HD制御情報は、既述のとおり、報知情報生成部1221で生成される報知情報に含められてよい。なお、システム情報管理・記憶部1241において記憶、管理する情報は、コアノード(例えば、MME32)との通信によって適宜に送受信されてよい。
無線チャネル制御部1242は、例示的に、UE11との間の無線チャネルを制御する。無線チャネルの制御には、例示的に、RAプロシージャに関する制御や、FD通信とHD通信との間の切替に関する制御等が含まれてよい。無線チャネルの制御に関する情報は、例示的に、コアノード(例えば、MME32)との通信によって適宜に送受信されてよい。
基地局設定制御部1243は、例示的に、送信部122の送信動作、及び、受信部123の受信動作の一方又は双方の設定を制御する。
送信部122に対する送信動作の設定制御は、例示的に、符号化・変調部1225、送信多元接続処理部1226、及び、送信無線部1227のいずれか1つ以上に対する設定制御であってよい。
符号化・変調部1225に対する設定制御には、符号化方式や符号化率、変調方式等に関する設定制御が含まれてよい。
送信多元接続処理部1226に対する設定制御には、例示的に、DLの信号フレームの送信に用いるリソース(例えば、送信タイミング及び送信周波数帯域の一方又は双方)に関する設定制御が含まれてよい。
送信無線部1227に対する設定制御には、例示的に、DLの無線信号の送信電力に関する設定制御が含まれてよい。
受信部123に対する受信動作の設定制御は、例示的に、受信無線部1231、受信多元接続処理部1232、及び、復調・復号部1233のいずれか1つ以上に対する設定制御であってよい。
受信無線部1231に対する設定制御には、例示的に、ULの受信無線信号の増幅率に関する設定制御が含まれてよい。
受信多元接続処理部1232に対する設定制御には、例示的に、ULの信号フレームを受信するリソース(例えば、受信タイミング及び受信周波数帯域の一方又は双方)に関する設定制御が含まれてよい。
復調・復号部1233に対する設定制御には、例示的に、UE11が送信したULの無線信号に用いられた変調方式、符号化方式及び符号化率に対応した復調及び復号処理に関する設定制御が含まれてよい。
上述した構成において、FD/HD制御情報に従ったFD通信とHD通信との切り替えに伴って、例えば、送信部122及び受信部123の動作が制御部124(例えば、基地局設定制御部1243)によって切り替えられる。
例えば、TDD(又はFDD)のFD通信では、送信部122及び受信部123が共に動作してよい。送信部122では、符号化・変調部1225、送信多元接続処理部1226、及び、送信無線部1227の全てが動作してよい。受信部123では、受信無線部1231、受信多元接続処理部1232、及び、復調・復号部1233の全てが動作してよい。
これに対し、TDD(又はFDD)のHD通信では、送信部122及び受信部123の一方のみが動作してよい。送信部122が動作する場合は、符号化・変調部1225、送信多元接続処理部1226、及び、送信無線部1227の全てが動作してよい。受信部123が動作する場合は、受信無線部1231、受信多元接続処理部1232、及び、復調・復号部1233の全てが動作してよい。
FD通信において、制御部124は、報知情報、同期信号、及び、UE11がセル選択に用いるパイロット信号の送信を実施しなくてよい。また、制御部124は、RAプロシージャに関する制御、及び、UE11によるセル選択に関する制御は実施しなくてよい。ただし、UE11が個別データの復調に用いるパイロット信号については送信を実施してよい。
これに対し、HD通信において、制御部124は、報知情報、同期信号、及び、UE11がセル選択に用いるパイロット信号の送信、並びに、RAプロシージャに関する制御、及び、UE11によるセル選択に関する制御を実施してよい。
FDDのHD通信では、制御部124は、送信タイミングの制御ではなく、送信無線リソースの制御を実施してよい。無線リソースは、RB及びCCのいずれであってもよい。
TDDのHD通信では、制御部124は、HD通信を実施するHDリソース(例えば、サブフレーム)に限って、報知情報、同期信号、及び、UE11がセル選択に用いるパイロットの送信、並びに、RAプロシージャに関する制御を実施してよい。
TDDでは、制御部124は、HD通信とFD通信とを時間的に(例えば、サブフレームのタイミング等)で切り替えればよい。
(UE11の第1構成例)
図30は、図29に例示したeNB12の第1構成例に対応するUE11の第1構成例を示すブロック図である。図30に例示するように、UE11は、アンテナ111と、送信部112と、受信部113と、制御部114と、を備えてよい。
アンテナ111は、例示的に、送信部112から出力されるRF信号を空間へ放射し、また、空間からRF信号を受信して受信部113に出力する。図30の例において、アンテナ111は、送信部112と受信部113とに共用であるが個別であってもよい。
送信部112は、例示的に、eNB12宛に送信するULのRF信号を生成してアンテナ111へ出力する。
受信部113は、例示的に、eNB12が送信してアンテナ111で受信されたDLのRF信号を受信し、受信したRF信号の復調及び復号を行なう。
制御部114は、例示的に、送信部112の動作(別言すると、ULの送信処理)と、受信部113の動作(別言すると、DLの受信処理)と、を制御する。なお、「送信処理」及び「受信処理」は、それぞれ、既述の「送信動作」及び「受信動作」と同義であると捉えてよい。
送信部112は、例示的に、無線チャネル品質情報生成部1121、制御情報生成部1122、符号化・変調部1123、受信多元接続処理部1124、及び、送信無線部1125を備えてよい。
無線チャネル品質情報生成部1121は、例示的に、後述する無線チャネル品質測定部1137で測定された無線チャネル品質を基に、eNB12宛に送信する無線チャネル品質に関する情報(以下「無線チャネル品質情報」と略称することがある。)を生成する。「無線チャネル品質情報」は、例示的に、RSRPやRSRQ、CQI等であってよい。
制御情報生成部1122は、例示的に、制御部114(例えば、後述の無線チャネル制御部1142)から、eNB12との間の無線チャネルの制御に関する情報を取得して、eNB12宛に送信する制御情報を生成する。
「無線チャネルの制御」には、例示的に、セル選択制御や、RAプロシージャに関する制御、RRCコネクションの制御、FD通信とHD通信との間の切り替えに関する制御等が含まれてよい。
なお、無線チャネル品質情報生成部1121及び制御情報生成部1122の一方又は双方は、制御部114のエレメントであってもよい。
符号化・変調部1123は、例示的に、入力信号を符号化し変調する。符号化・変調部1123への入力信号には、例示的に、ULの送信データ信号、無線チャネル品質情報生成部1121で生成された無線チャネル品質情報、及び、制御情報生成部1122で生成された制御情報のいずれか1以上が該当してよい。
なお、符号化・変調部1123での符号化方式や符号化率、変調方式は、例示的に、制御部114(例えば、後述する端末設定制御部1143、あるいは、無線チャネル制御部1142)によって制御されてよい。
送信直交多元接続処理部1124は、例示的に、符号化・変調部1123から入力された信号を、UE11でサポートする多元接続方式(例示的に、DFT−s−OFDM)に対応する信号フレームにマッピングする。信号フレームは、例示的に、無線フレームや、サブフレーム、スロット等であってよい。
送信無線部1125は、例示的に、送信多元接続処理部1124から入力された信号の周波数を無線周波数へ変換して、ULのRF信号を生成する。ULのRF信号は、送信無線部1125において、適宜に増幅されてよい
一方、UE11の受信部113は、図30に例示するように、受信無線部1131、受信多元接続処理部1132、及び、復調・復号部1133を備えてよい。また、受信部113は、無線チャネル制御情報抽出部1134a、報知情報抽出部1134b、パイロット信号抽出部1134c、及び、同期信号抽出部1134dを備えてよい。更に、受信部113は、パイロット信号生成部1135a、同期信号生成部1135b、同期処理部1136、及び、無線チャネル品質測定部1137を備えてよい。
受信無線部1131は、例示的に、アンテナ111で受信されたDLのRF信号を適宜に増幅してベースバンド信号に変換してよい。
受信多元接続処理部1132は、例示的に、受信無線部1131から入力されたベースバンド信号に、UE11でサポートする多元接続方式(例えば、OFDM)に対応して多重化されている信号を分離してよい。
復調・復号部1133は、例示的に、受信多元接続処理部1132から入力された信号を復調し、復調した信号を復号する。
無線チャネル制御情報抽出部1134aは、例示的に、復調・復号部1133で復号された受信信号から、無線チャネルの制御情報を抽出する。無線チャネルの制御情報には、例示的に、RAプロシージャに関するメッセージや、FD通信とHD通信との間の切り替えを制御する制御情報が含まれてよい。抽出した制御情報は、例示的に、制御部114(例えば、後述の無線チャネル制御部1142)に入力されてよい。
報知情報抽出部1134bは、例示的に、復調・復号部1133で復号された受信信号から、報知情報を抽出する。抽出した報知情報は、例示的に、制御部114(例えば、後述の無線チャネル制御部1142)に入力されてよい。
パイロット信号抽出部1134cは、例示的に、復調・復号部1133で復号された受信信号から、パイロット信号を抽出する。抽出したパイロット信号(別言すると、受信パイロット信号)は、例示的に、同期処理部1136及び無線チャネル測定部1137に入力されてよい。
同期信号抽出部1134dは、例示的に、復調・復号部1133で復号された受信信号から、同期信号を抽出する。抽出した同期信号(別言すると、受信同期信号)は、例示的に、同期処理部1136に入力されてよい。
パイロット信号生成部1135aは、例示的に、UE11とeNB12との間で既知であるパイロット信号のレプリカを生成する。生成したパイロット信号のレプリカは、例示的に、同期処理部1136及び無線チャネル品質測定部1137に入力されてよい。
同期信号生成部1135bは、例示的に、UE11とeNB12との間で既知である同期信号のレプリカを生成する。生成した同期信号のレプリカは、例示的に、同期処理部1136に入力されてよい。
同期処理部1136は、例示的に、受信同期信号と同期信号のレプリカとの相関、及び、受信パイロット信号とパイロット信号のレプリカとの相関を基に、同期処理を実施する。
同期処理には、シンボルタイミングの検出、スクランブリングコードの検出、及び、フレームタイミングの検出等が含まれてよい。同期処理によって検出された情報は、例示的に、制御部114(例えば、後述の無線チャネル制御部1142)に入力されてよい。
無線チャネル品質測定部1137は、例示的に、受信パイロット信号を基に、DLの無線チャネル品質(例えば、RSRPやRSRQ、CQI等)を測定する。測定結果は、例示的に、制御部114(例えば、後述の無線チャネル制御部1142)に入力されてよい。また、測定結果は、eNB12宛に通知(フィードバック)するために、送信部112の無線チャネル品質情報生成部1121に入力されてよい。
なお、上述した各抽出部1134a〜1134d、生成部1135a及び1135b、同期処理部1136、及び、無線チャネル品質測定部1137の一部又は全部は、制御部114のエレメントであってもよい。
次に、UE11の制御部114は、図30に例示するように、システム情報管理・記憶部1141、無線チャネル制御部1142、及び、端末設定制御部1143を備えてよい。
システム情報管理・記憶部1141は、例示的に、システム情報や、UEのID、FD/HD制御情報、送信タイミング情報等を記憶、管理する。UEのIDは、eNB12から割り当てられる一時的なIDであってもよい。
FD/HD制御情報は、例示的に、既述のように事前に与えられた情報であってもよいし、報知情報抽出部1134bで抽出された報知情報に含まれていた情報であってもよい。
無線チャネル制御部1142は、例示的に、システム情報管理・記憶部1141で記憶、管理されている情報や、同期処理部1136で検出された情報、受信信号から抽出された報知情報や制御情報等を基に、eNB12との間の無線チャネルを制御する。無線チャネルの制御には、例示的に、セル選択に関する制御や、RAプロシージャに関する制御、FD通信とHD通信との間の切り替え関する制御等が含まれてよい。
端末設定制御部1143は、例示的に、送信部112の送信動作、及び、受信部113の受信動作の一方又は双方の設定を制御する。
送信部112に対する送信動作の設定制御は、例示的に、符号化・変調部1123、送信多元接続処理部1124、及び、送信無線部1125のいずれか1つ以上に対する設定制御であってよい。
符号化・変調部1123に対する設定制御には、符号化方式や符号化率、変調方式等に関する設定制御が含まれてよい。
送信多元接続処理部1124に対する設定制御には、例示的に、ULの信号フレームの送信に用いるリソース(例えば、送信タイミング及び送信周波数帯域の一方又は双方)に関する設定制御が含まれてよい。
送信無線部1125に対する設定制御には、例示的に、ULのRF信号の送信電力に関する設定制御が含まれてよい。
受信部113に対する受信動作の設定制御は、例示的に、受信無線部1131、受信多元接続処理部1132、復調・復号部1133、同期処理部1136、及び、無線チャネル品質測定部1137のいずれか1つ以上に対する設定制御であってよい。
受信無線部1131に対する設定制御には、例示的に、DLの受信RF信号の増幅率に関する設定制御が含まれてよい。
受信多元接続処理部1132に対する設定制御には、例示的に、DLの信号フレームを受信するリソース(例えば、受信タイミング及び受信周波数帯域の一方又は双方)に関する設定制御が含まれてよい。
復調・復号部1133に対する設定制御には、例示的に、eNB12が送信したDLのRF信号に用いられた変調方式、符号化方式及び符号化率に対応した復調及び復号処理に関する設定制御が含まれてよい。
同期処理部1136及び無線チャネル品質測定部1137の一方又は双方に対する設定制御には、例示的に、FD/HD制御情報に応じて同期処理及び無線チャネル品質測定の一方又は双方を実施するリソースに関する設定制御が含まれてよい。
図29に例示した構成のeNB12と同様、UE11でも、FD/HD制御情報に従ったFD通信とHD通信との切り替えに伴って、例えば、送信部112及び受信部113の動作が制御部114(例えば、端末設定制御部1143)によって切り替えられる。
例えば、TDD(又はFDD)のFD通信では、送信部112及び受信部113が共に動作してよい。送信部112では、符号化・変調部1123、送信多元接続処理部1124、及び、送信無線部1125の全てが動作してよい。受信部113では、受信無線部1131、受信多元接続処理部1132、及び、復調・復号部1133の全てが動作してよい。
これに対し、TDD(又はFDD)のHD通信では、送信部112及び受信部121の一方のみが動作してよい。送信部112が動作する場合は、符号化・変調部1123、送信多元接続処理部1124、及び、送信無線部1125の全てが動作してよい。受信部113が動作する場合は、受信無線部1131、受信多元接続処理部1132、及び、復調・復号部1133の全てが動作してよい。
FD通信において、制御部114は、RAプロシージャに関する制御、及び、セル選択に関する制御は実施しなくてよい。
これに対し、HD通信では、制御部114は、RAプロシージャに関する制御、及び、UE11によるセル選択に関する制御を実施してよい。
FDDのHD通信では、制御部114は、受信タイミングの制御ではなく、受信無線リソースの制御を実施してよい。無線リソースは、RB及びCCのいずれであってもよい。
TDDのHD通信では、制御部114は、HD通信を実施するHDリソース(例えば、サブフレーム)に限って、RAプロシージャに関する制御を実施してよい。
TDDでは、制御部114は、HD通信とFD通信とを時間的に(例えば、サブフレームのタイミング等)で切り替えればよい。
(eNB12の第2構成例)
図31は、eNB12の第2構成例を示すブロック図である。図31に例示する第2構成例は、図29に例示した第1構成例に比して、DLの送信部122において、送信多元接続処理部1226に代えて、送信多元接続処理部1226aが備えられる点が異なる。
送信多元接続処理部1226aは、例示的に、F−OFDMA方式をサポートし、符号化・変調部1225から入力された信号を、F−OFDMAに対応する信号フレーム(例えば、無線フレームや、サブフレーム、スロット)にマッピングする。
第2構成例のeNB12は、DLの通信に関してF−OFDMA方式をサポートするから、FDDのHD通信において、制御部124は、送信無線リソースの制御対象に、RB又はCCに限らず、SCBを加えてよい。その他のFDD及び/又はTDDのFD通信及びHD通信での動作例については、第1構成例と同一若しくは同様でよい。
なお、図31に例示した第2構成例は、DLの送信(送信多元接続処理)に関してF−OFDMA方式をサポートする例であるが、代替的又は追加的に、ULの受信(受信多元接続処理)に関してF−OFDMA方式をサポートしてもよい。
(UE11の第2構成例)
図32は、UE11の第2構成例を示すブロック図である。図32に例示する第2構成例は、図31に例示したeNB12の第2構成例に対応する構成例である。そのため、UE11の第2構成例は、図30に例示したUE11の第1構成例に比して、DLの受信部113において、受信多元接続処理部1132に代えて、F−OFDMA方式をサポートする受信多元接続処理部1132aが備えられる点が異なる。
受信多元接続処理部1132aは、例示的に、受信無線部1131から入力されたベースバンド信号に、F−OFDMA方式に対応して多重化されている信号を分離してよい。
第2構成例のUE11は、DLの受信に関してF−OFDMA方式をサポートするから、FDDのHD通信において、制御部114は、受信無線リソースの制御対象に、RB又はCCに限らず、SCBを加えてよい。その他のFDD及び/又はTDDのFD通信及びHD通信での動作例については、第1構成例と同一若しくは同様でよい。
なお、eNB12の第2構成例と同様、第2構成例のUE11は、代替的又は追加的に、ULの送信(送信多元接続処理)に関してF−OFDMA方式をサポートしてもよい。
(eNB12の第3構成例)
図33は、eNB12の第3構成例を示すブロック図である。図33に例示する第3構成例は、図29に例示した第1構成例に比して、DLの送信多元接続処理方式の切り替え、及び、ULの受信多元接続処理方式の切り替えをサポートする点が異なる。
例えば、DLの送信部122には、送信多元接続処理部1226に代えて、例えば、OFDMA方式とF−OFDMA方式とを切り替え可能な送信多元接続処理部1226bが備えられる。
また、ULの受信部123には、受信多元接続処理部1232に代えて、例えば、DFT−s−OFDMA方式とF−OFDMA方式とを切り替え可能な受信多元接続処理部1232bが備えられる。
そのため、第3構成例の制御部124は、FD通信とHD通信との切替制御に加えて、送信多元接続処理部1226bでの多元接続処理方式の切り替え、及び、受信多元接続処理部1232bでの多元接続処理方式の切り替えを共に制御可能である。
多元接続処理方式の切り替えを制御するための制御情報(便宜的に「多元接続切替制御情報」と略称してよい。)は、例示的に、システム情報管理・記憶部1241にて記憶、管理されてよい。
システム情報管理・記憶部1241にて記憶、管理されている多元接続切替制御情報を基に、無線チャネル制御部1242又は基地局設定制御部1243が、送信多元接続処理部1226b及び受信多元接続処理部1232bでの多元接続処理方式を制御してよい。
また、無線チャネル制御部1242は、多元接続切替制御情報を、DLの送信部122における無線チャネル制御情報生成部1224を通じて、UE11宛に送信してよい。UE11は、eNB12から多元接続切替制御情報を受信することで、eNB12での多元接続処理の切り替えに対応してUL送信及びDL受信の多元接続処理方式を切り替えることが可能になる。
その他のFDD及び/又はTDDのFD通信及びHD通信での動作例については、第1構成例と同一若しくは同様でよい。
なお、図33に例示した第3構成例は、DL送信及びUL受信の双方について多元接続処理方式の切り替えが可能な構成例であるが、DL送信及びUL受信の一方に限って多元接続処理方式の切り替えが可能であってもよい。
(UE11の第3構成例)
図34は、UE11の第3構成例を示すブロック図である。図34に例示する第3構成例は、図33に例示したeNB12の第3構成例に対応する構成例である。そのため、第3構成例のUE11は、図30に例示した第1構成例に比して、ULの送信多元接続処理方式の切り替え、及び、DLの受信多元接続処理方式の切り替えをサポートする点が異なる。
例えば、ULの送信部112には、送信多元接続処理部1124に代えて、例えば、DFT−s−OFDMA方式とF−OFDMA方式とを切り替え可能な送信多元接続処理部1124bが備えられる。
また、DLの受信部113には、受信多元接続処理部1132に代えて、例えば、OFDMA方式とF−OFDMA方式とを切り替え可能な受信多元接続処理部1132bが備えられる。
そのため、第3構成例の制御部114は、FD通信とHD通信との切替制御に加えて、送信多元接続処理部1124bでの多元接続処理方式の切り替え、及び、受信多元接続処理部1132bでの多元接続処理方式の切り替えを共に制御可能である。
多元接続切替制御情報は、例示的に、システム情報管理・記憶部1141にて記憶、管理されてよく、事前に与えられた情報であってもよいし、無線チャネル制御情報抽出部1134aで抽出された制御情報に含まれていた情報であってもよい。
多元接続切替制御情報を基に、無線チャネル制御部1142又は端末設定制御部1143が、FD通信とHD通信との切替制御に加えて、多元接続処理方式の切り替えを制御してよい。
例示的に、端末設定制御部1143は、FD/HD制御情報及び多元接続切替制御情報に従って、ULの信号フレームの送信に用いるリソース(例えば、送信タイミング及び送信周波数帯域の一方又は双方)に関する設定を制御してよい。
また、端末設定制御部1143は、FD/HD制御情報及び多元接続切替制御情報に従って、DLの信号フレームを受信するリソース(例えば、受信タイミング及び受信周波数帯域の一方又は双方)に関する設定を制御してよい。
更に、端末設定制御部1143は、FD/HD制御情報及び多元接続切替制御情報に従って、同期処理部1136による同期処理及び無線チャネル品質測定部1137による無線チャネル品質測定の一方又は双方を実施するリソースに関する設定を制御してよい。
その他のFDD及び/又はTDDのFD通信及びHD通信での動作例については、第1構成例と同一若しくは同様でよい。