以下、本発明を実施するための例示的な実施形態を、図面を参照して詳細に説明する。ただし、以下の実施形態で説明する寸法、材料、形状及び構成要素の相対的な位置等は任意であり、本発明が適用される装置の構成又は様々な条件に応じて変更できる。また、特別な記載がない限り、本発明の範囲は、以下に具体的に記載された実施形態に限定されるものではない。なお、本明細書において、上下とは重力方向における上方向と下方向とにそれぞれ対応する。また、注入ヘッドにおけるシリンジが搭載される側を前側とし、前側の反対側を後側とする。
[第1実施形態]
図1は、医療用撮像装置、例えば超音波診断装置によって被験者の体内を撮影する際に使用される注入装置(インジェクター)100の概略斜視図である。図1に示すように、薬液を注入するための注入装置100は、第1シリンジ91及び第2シリンジ92が搭載される注入ヘッド1を備えている。また、注入装置100は、第1シリンジ91を保持する保持部材11を備えている。この保持部材11はアルミダイキャストによって形成されているが、樹脂によって形成することもできる。なお、図1は、プレッサー21が第1シリンジ91のピストン914を限界位置まで前進させ、プレッサー61が第2シリンジ92のピストン924を限界位置まで前進させた状態を示している。
注入装置100は、第2シリンジ92を保持する保持部12を備えており、保持部12は注入ヘッド1の前側フレーム15に設けられている。この注入ヘッド1には、表示部13と操作部14とが設けられている。そして、表示部13は、注入開始からの経過時間、注入量及び注入速度等を表示する。なお、注入ヘッド1は、これらの情報をポータブルディスプレイ又はタブレット型コンピューター等に表示させることもできる。これらのデバイスは、注入ヘッド1とBluetooth(登録商標)又はWi-Fi等の規格に従い無線接続され、注入ヘッド1の表示部13及び操作部14に代えることができる。さらに、表示部13及び操作部14に代えて、注入ヘッド1にタッチパネルが設けられてもよい。
第1シリンジ91には、第1薬液として懸濁液である造影剤が充填されている。また、第2シリンジ92には、第2薬液として生理食塩水が充填されている。これらの薬液は、手動で第1シリンジ91又は第2シリンジ92に充填されてもよく、注入装置100又は充填器で第1シリンジ91又は第2シリンジ92に充填されてもよい。さらに、第1シリンジ91及び第2シリンジ92は、プレフィルドシリンジであってもよい。
第1シリンジ91の先端には、第1チューブ103が接続されている。また、注入ヘッド1の前側フレーム15内には、第1チューブ103を案内するガイド部106が形成されている。このガイド部106は略U字状の溝からなっており、第1チューブ103は当該溝内に載置される。
また、第2シリンジ92の先端には、第2チューブ104が接続されている。そして、第2チューブ104は、T字状コネクタを介して第1チューブ103に接続されている。さらに、第1シリンジ91には、第1チューブ103を介して、第3チューブ105が接続される。そして、第3チューブ105の先端はカテーテル等に接続される。なお、T字状コネクタは、Y字状等の他の形状を有するコネクタ、又はミキシングデバイス(例えば、株式会社根本杏林堂製の「SPIRAL FLOW」(登録商標))に代替することができる。
また、注入装置100には、不図示のフットスイッチ及びハンドスイッチを有線接続することができる。オペレーターは、このフットスイッチ及びハンドスイッチを操作して薬液の注入を開始させることができる。なお、フットスイッチ及びハンドスイッチは、注入ヘッド1に無線接続されてもよい。また、フットスイッチ及びハンドスイッチに代えて、他の遠隔操作装置を注入ヘッド1に有線又は無線接続することもできる。
また、注入ヘッド1は、ACアダプタ(不図示)を介して外部電源に接続されている。ただし、注入ヘッド1には、バッテリーを内蔵することもできる。また、注入ヘッド1は、キャスタースタンド(不図示)に搭載してもよく、キャスタースタンドと一体的に構成してもよい。さらに、天吊部材を設け、この天吊部材を介して天井から注入ヘッド1を天吊することもできる。
図2は、上側フレーム及び下側フレームが外された注入ヘッド1の内部を示している。図2に示すように、注入装置100は、第1薬液である造影剤が充填された第1シリンジ91から第1薬液を押し出す第1駆動部2と、第1シリンジ91内の第1薬液を撹拌するために、保持部材11を介して第1シリンジ91を揺動させる撹拌ユニット3とを備える。また、注入装置100は、第2薬液が充填された第2シリンジ92から第2薬液を押し出す第2駆動部6を備えている。そして、第1駆動部2、第2駆動部6及び撹拌ユニット3は、注入ヘッド1の両フレーム内に収容されている。
第1駆動部2は、搭載された第1シリンジ91の後端(ピストン914の後端)を押圧して、第1シリンジ91から造影剤を押し出すプレッサー21と、プレッサー21を前進又は後退させるアクチュエータ22とを備えている。このアクチュエータ22は、送りネジナットと、送りネジ軸と、モーターと、モーターからの回転を送りネジ軸に伝達する伝達機構と、前進及び後退するロッド(いずれも不図示)とを有している。また、第1駆動部2は、アクチュエータ22のロッドに接続されたプレッサーパイプ23を有している。
プレッサー21は、プレッサーパイプ23に固定されている。そして、プレッサー21がピストン914の後端に当接した状態でアクチュエータ22のモーターが正転すると、プレッサー21がピストン914を前方向に押す。これにより、ピストン914が前進すると、第1シリンジ91内の造影剤が押し出され、第1シリンジ91の先端に接続される第1チューブ103、T字状コネクタ及び第3チューブ105を介して被験者の体内に注入される。一方、モーターが逆転すると、プレッサー21は後退して元の位置に戻ることができる。
第2駆動部6も、プレッサー61及びアクチュエータ62を有している。そして、アクチュエータ62は、アクチュエータ22と同様の構造を有している。一方、プレッサー61は、ピストン924の後端をプレッサー61に固定するためのシリンジフック611を有している。そして、ピストン924の後端がプレッサー61に固定された状態でプレッサー61が後退すると、ピストン924を後退させることができる。
プレッサー61は、プレッサーパイプ63に固定されている。そして、プレッサー61がピストン924の後端に当接した状態でアクチュエータ62のモーターが正転すると、プレッサー61がピストン924を前方向に押す。これにより、ピストン924が前進すると、第2シリンジ92内の生理食塩水が押し出され、第2シリンジ92の先端に接続される第2チューブ104、T字状コネクタ及び第3チューブ105を介して被験者の体内に注入される。一方、モーターが逆転すると、プレッサー61が後退してピストン924を後退させることができる。なお、プレッサー21及びプレッサー61は、いずれもアルミによって形成されているが、樹脂によって形成することもできる。
第1シリンジ91を保持する保持部材11の前端部には、第1シリンジ91の胴部を保持する断面略U字状の溝部111が取り付けられている。また、保持部材11は溝部111に近接するフランジ溝部112を有しており、第1シリンジ91のフランジは、当該フランジ溝部112に挿入される。これにより、保持部材11が第1シリンジ91を保持しており、撹拌ユニット3が保持部材11を揺動すると、第1シリンジ91は保持部材11と共に揺動される。第2シリンジ92を保持する保持部12には、第2シリンジ92のフランジが挿入されるフランジ溝部122が設けられている。これにより、保持部12が第2シリンジ92を保持している。
[撹拌ユニット]
続いて、第1シリンジ91を揺動させる撹拌ユニット3について図3及び図4を参照して説明する。なお、図3は上側後方から見た撹拌ユニット3を示しており、図4は前側から見た伝達機構33を示している。
図3に示すように、撹拌ユニット3は、保持部材11を駆動する撹拌用モーター32と、撹拌用モーター32からの回転力を保持部材11に伝達する伝達機構33とを有する。この撹拌用モーター32としては、DCモーターを用いることができる。また、撹拌ユニット3は、保持部材11の揺動角度を検出する揺動検出部35を有している。この揺動検出部35は、例えば光学式のスリットセンサーである。
伝達機構33は、ニードルベアリングを介して固定部134に回転可能に取り付けられた回転部材124(図4)を有している。そして、保持部材11は、回転部材124にワッシャーを介して固定されている。また、伝達機構33は、撹拌用モーター32の出力軸と共に回転するプーリー331と、プーリー331に掛け回されたベルト332と、ベルト332が掛け回され且つ回転部材124に接続されたプーリー333とを有している。このプーリー333は、ワッシャーを介してネジによって回転部材124に固定されている。なお、伝達機構33は、プーリー331及びベルト332に代えて、歯車を有していてもよい。
また、伝達機構33のプーリー333には、所定角度のスリットが形成された遮蔽板34がネジによって固定されている。そして、揺動検出部35は、遮蔽板34のスリットを検知して、保持部材11が所定角度揺動したことを検出する。すなわち、遮蔽板34はネジによってプーリー333に固定されており、遮蔽板34はプーリー333及び回転部材124と共に回転する。そして、揺動検出部35は遮蔽板34のスリットを検出することによって保持部材11の揺動角度を検出する。
揺動検出部35及び遮蔽板34は、揺動時の元の位置となる原点を検出するように構成することもできる。この場合、揺動検出部35は、遮蔽板34のスリットを検出することによって保持部材11の揺動の原点を検出する。そして、揺動角度は、撹拌用モーター32のエンコーダー321により検出する。
図4に示すように、回転部材124の前面には、伝達部材114がネジによって固定されている。また、保持部材11の後端には、この伝達部材114が嵌め込まれる嵌め込み溝が形成されている。そして、伝達部材114は、保持部材11の嵌め込み溝の内部形状と相補的な外部形状を有している。また、伝達部材114の中央にはプレッサーパイプ23が貫通する穴部が形成されており、伝達部材114は穴部の両側に突出する一対の突出部115を有している。
伝達部材114は、保持部材11の嵌め込み溝に嵌め込まれ、且つ突出部115を貫通する2つのネジ116によって保持部材11の後面に固定されている。これにより、プーリー333が回転すると、回転部材124及び伝達部材114を介して保持部材11が回転する。なお、伝達部材114と同様に、遮蔽板34、プーリー333、及び回転部材124の中心にも、プレッサーパイプ23が貫通する穴部が形成されている。
[閉鎖部]
注入装置100は、第1シリンジ91に接続される第1チューブ103内の流路を閉鎖する閉鎖部16を備えている。この閉鎖部16は、第1チューブ103のガイド部106(図1)に設けられている。以下、図5を参照して、閉鎖部16について説明する。なお、図5は、前方から見た閉鎖部16の概略斜視図である。
図5に示すように、閉鎖部16は、アクチュエータ161と、アクチュエータ161によって駆動されるクランプ部材162と、第1チューブ103内の流路の閉鎖を検知する閉鎖検出部169とを備えている。アクチュエータ161は、第1駆動部2のアクチュエータ22又は第2駆動部6のアクチュエータ62と同じ構造を有する。また、アクチュエータ161は、上下方向に移動可能なロッド168(図7)を有している。
クランプ部材162は、アクチュエータ161のロッド168に向かって突出する略U字状の突出部1621を有している。そして、ロッド168の先端が突出部1621の内側に位置するように、突出部1621は、ロッド軸164を介してロッド168に対して回転可能に接続されている。また、クランプ部材162は、軸穴部1622を有している。そして、クランプ部材162は、軸穴部1622に挿入されたクランプ軸165を介して、第1チューブ103のガイド部106に対して回転可能に接続されている。
閉鎖検出部169は、例えば光学式のスリットセンサーである。また、クランプ部材162には、下方に突出する遮蔽部材163がネジによって固定されている。そして、閉鎖検出部169は、遮蔽部材163によって遮蔽されたことを検知することによって、クランプ部材162が第1チューブ103内の流路を閉鎖したことを検出する。
アクチュエータ161のケースの下端には、軸穴が形成されている。そして、アクチュエータ161は、この軸穴に挿入されたケース軸166を介して前側フレーム15に対して回転可能に接続されている。
続いて、図6及び図7を参照して、クランプ部材162の動作について説明する。なお、図6は後方からみた開放状態のクランプ部材162を示す概略平面図であり、図7は後方から見た閉鎖状態のクランプ部材162を示す概略平面図である。
図6の開放状態において、ガイド部106に挿入される第1チューブ103内の流路は開放されている。このとき、ロッド168の先端を除いて、ロッド168(図7)はアクチュエータ161のケース内に収容されている。すなわち、ロッド168は、完全に下降した下降位置にある。そして、ロッド軸164を介してロッド168に接続されたクランプ部材162は、第1チューブ103から離間している開放位置にある。
第1チューブ103を閉鎖する場合、アクチュエータ161はロッド168を図7に示す上昇位置まで上昇させる。ロッド168が上昇すると、ロッド軸164を介して突出部1621が上昇する。そのため、クランプ部材162は、クランプ軸165を中心に回転する。これにより、クランプ部材162がガイド部106内に突出して、ガイド部106内の第1チューブ103を押し潰す。その結果、クランプ部材162によって、第1チューブ103内の造影剤の流路が閉鎖される。
クランプ部材162が回転すると、クランプ部材162に固定された遮蔽部材163もクランプ軸165を中心に閉鎖検出部169に向かって回転する。これにより、閉鎖検出部169は、遮蔽部材163によって遮蔽され、第1チューブ103を閉鎖したことを検出する。なお、ロッド168が上昇すると、アクチュエータ161はケース軸166を中心にクランプ軸165に向かって僅かに回転する。
閉鎖した第1チューブ103を開放する場合、アクチュエータ161はロッド168を図6に示す下降位置まで下降させる。ロッド168が下降すると、ロッド軸164を介して突出部1621が下降する。そのため、クランプ部材162は、クランプ軸165を中心に回転する。これにより、クランプ部材162がガイド部106内から退避して、ガイド部106内の第1チューブ103が元の形状に復帰する。その結果、第1チューブ103内の造影剤の流路が開放される。
また、クランプ部材162が回転すると、遮蔽部材163もクランプ軸165を中心に閉鎖検出部169から離れる方向に回転する。これにより、遮蔽部材163による遮蔽が解除される。なお、ロッド168が下降すると、アクチュエータ161はケース軸166を中心にクランプ軸165から離れる方向に僅かに回転する。
[流路閉鎖フロー]
閉鎖部16が第1チューブ103を押し潰している状態で第1シリンジ91が揺動すると、第1チューブ103が捻じれてしまう。そのため、注入装置100の撹拌ユニット3は、閉鎖部16が第1チューブ103内の流路を開放している状態で第1シリンジ91を揺動させる。換言すると、注入装置100の閉鎖部16は、撹拌ユニット3が第1シリンジ91を揺動させる前に第1チューブ103内の流路を開放する。
また、造影剤の流路が開放された状態で第2シリンジ92のピストン924が押されてしまうと、造影剤に圧力がかかる結果、懸濁液内のマイクロバブルが壊れてしまう。そのため、閉鎖部16は、第2シリンジ92から第2薬液を押し出すときに、第1チューブ103内の流路を閉鎖する。
流路の閉鎖について、図8の概略ブロック図及び図9のフローチャートを参照して説明する。図8に示すように、注入装置100は、第1駆動部2、第2駆動部6、撹拌ユニット3及び閉鎖部16を制御する制御部5と、記憶部としてのメモリ部53とを備えている。また、制御部5は、注入する薬液を判断する薬液判断部51と、エラーを報知する警告報知部52と、第2薬液の押し出しの終了を判断する終了判断部54とを有している。
制御部5は、例えばワンチップマイコンであるCPUであり、第1駆動部2、第2駆動部6及び撹拌ユニット3の下方に配置されている。そして、制御部5は、予めメモリ部53に記憶されたプログラムに応じて、各モーターの制御の他、所定の演算、制御、及び判別などの注入装置100全体の処理動作を実行する。メモリ部53は、メインCPU(Central Processing Unit)が動作するためのシステムワークメモリであるRAM(Random Access Memory)、プログラム又はシステムソフトウェア等を格納するROM(Read Only Memory)、又はハードディスクドライブ等を備える。
第1薬液及び第2薬液の注入は、注入プロトコルに従って自動的に行われる。この注入プロトコルには、例えば、注入時間、注入速度、注入量及び注入圧力リミット値が設定されている。そして、表示部13は、注入速度等の注入プロトコルの内容を表示し、オペレーターは注入プロトコルの内容を確認することができる。
注入プロトコル及び薬液のデータ等は、メモリ部53に予め記憶されている。被験者に薬液を注入する場合、オペレーターは、操作部14の入力キー141(図1)を操作して、注入速度及び注入量のデータ等を制御部5に入力することができる。なお、オペレーターは、別途設けられた入力装置を介して、上記データの他、注入時間、注入最大圧力、及びチューブの種類のデータ等を入力してもよい。また、オペレーターは、注入プロトコル及び各種データ等を外部の記憶媒体から読み込むこともできる。さらに、制御部5は、入力されたデータと予め記憶されているデータに基づいて注入条件を算出し、被験者に注入する薬液の量及び注入プロトコルを決定してもよい。また、注入プロトコルは、変更できないようにパスワードによりロックすることもできる。
薬液を注入する前に、オペレーターは注入装置100の電源をオンにし、第1シリンジ91及び第2シリンジ92を注入ヘッド1に搭載する。そして、オペレーターが注入の準備を完了させると、注入装置100は注入可能状態で待機する。必要に応じて、オペレーターは、操作部14の撹拌ボタン143(図1)を押して第1シリンジ91を揺動させる。その後、オペレーターは、操作部14のスタートボタン142(図1)を押して薬液の注入を開始する。
なお、オペレーターは、シリンジを搭載した後に、注入装置100の電源をオンしてもよい。また、オペレーターは、操作部14に代えて、ハンドスイッチ又はフットスイッチを押して、薬液の注入を開始させてもよい。また、フットスイッチを再度押すことによって薬液の注入が停止するように、注入装置100を構成することもできる。
図9に示すように、オペレーターが撹拌ボタン143を押して撹拌ユニット3の撹拌指令を入力すると、操作部14は制御部5に撹拌信号を送信する(S101)。そして、撹拌信号を受信した制御部5は撹拌ユニット3を制御し、撹拌ユニット3は予め定められた撹拌動作に従って第1シリンジ91を揺動する(S102)。具体的には、撹拌用モーター32からの回転運動は、伝達機構33を介して回転部材124に伝達される。そして、保持部材11が回転部材124と共に揺動し、保持部材11に保持された第1シリンジ91が揺動する。
撹拌ユニット3は、第1シリンジ91の軸線回りに所定の揺動角度で保持部材11を揺動させる。すなわち、制御部5は、揺動検出部35からの検出信号に基づいて、保持部材11の揺動量を判断する。これにより、保持部材11は、回転部材124の中心に位置する揺動軸に対して水平な方向から所定の角度の範囲で往復して揺動される。例えば、撹拌動作は、撹拌時間が10秒から300秒であり、回転速度が10rpmから120rpmである。また、撹拌動作は、一方向への揺動と逆方向への揺動とを繰り返すように行う。
一例として、撹拌ユニット3は、第1シリンジ91が下を向くように、保持部材11を一方向へ180度揺動させる。そして、撹拌ユニット3は、第1シリンジ91が元の位置(原点)に戻るように、保持部材11を逆方向へ180度揺動させる。その後、撹拌ユニット3は、第1シリンジ91が下を向くように、保持部材11を逆方向へ180度揺動させる。
オペレーターがスタートボタン142を押して薬液の注入指令を入力すると、操作部14は制御部5に注入開始信号を送信する。そして、注入開始信号を受信した制御部5は、注入する薬液を薬液判断部51に判断させる。薬液判断部51は、注入プロトコルを参照して、生理食塩水の注入であるか否かを判断する。薬液判断部51が生理食塩水の注入ではないと判断すると(S103でNO)、造影剤の注入指令であるため、造影剤が被験者に注入される(S104)。すなわち、制御部5は第1駆動部2のアクチュエータ22を駆動する。そして、アクチュエータ22は、プレッサーパイプ23を介してプレッサー21を前進させる。これにより、プレッサー21は、ピストン914を第1シリンジ91の先端に向かって前進させる。その結果、第1シリンジ91内の造影剤が第1チューブ103を介して被験者に注入される。
薬液判断部51が生理食塩水の注入であると判断した場合(S103でYES)、制御部5は閉鎖部16を制御する。そして、閉鎖部16は、生理食塩水を押し出す前に造影剤の流路を閉鎖する。すなわち、閉鎖部16は、第1チューブ103を押し潰して造影剤の流路を閉鎖する(S105)。具体的には、アクチュエータ161が駆動して、クランプ部材162がガイド部106内の第1チューブ103を押し潰す。同時に、遮蔽部材163は、閉鎖検出部169の光路を遮蔽する。流路が正常に閉鎖されると、閉鎖部16の閉鎖検出部169は、流路の閉鎖を検出して(S106でYES)、制御部5に閉鎖信号を送信する。
閉鎖信号を受信した制御部5は、第2駆動部6のアクチュエータ62を駆動する。そして、アクチュエータ62は、プレッサーパイプ63を介してプレッサー61を前進させる。これにより、プレッサー61は、ピストン924を第2シリンジ92の先端に向かって前進させる。その結果、第2シリンジ92内の生理食塩水が第2チューブ104を介して被験者に注入される(S107)。
なお、造影剤及び生理食塩水の注入に際して、制御部5は、タイマー(不図示)を利用して注入時間を制御すると共に、薬液の注入圧力等の注入状況を監視している。また、制御部5は、注入開始からの経過時間を、カウントアップにより表示部13に表示させる。さらに、制御部5は、撮像開始までの時間を、カウントダウンにより表示部13に表示させてもよい。これにより、適切なタイミングで撮像を開始することができる。一例としての注入プロトコルによれば、制御部5は、造影剤を注入した後に、造影剤をフラッシュするために生理食塩水を注入する。
その後、制御部5は、生理食塩水の押し出しが終了したか否かを終了判断部54に判断させる。この終了判断部54は、第2駆動部6の駆動が停止すると、生理食塩水の押し出しが終了したと判断する。具体的には、アクチュエータ62内のエンコーダー64、又はアクチュエータ62内のモーターの回転角度を検出するポテンショメータから受信した信号に基づいて、終了判断部54が第2駆動部6の駆動の停止を判断する。そして、駆動が停止している場合、終了判断部54は、生理食塩水の注入が終了したと判断する。一方、制御部5は、注入が終了していないと判断した場合(S108でNO)、生理食塩水の注入を継続させる。
閉鎖部16は、生理食塩水の押し出しが終了した後に造影剤の流路を開放する。換言すると、閉鎖部16は、押し出しが終了したと終了判断部54が判断したときに流路を開放する。すなわち、押し出しが終了したと終了判断部54が判断した場合(S108でYSE)、制御部5は閉鎖部16を制御する。そして、閉鎖部16は、第1チューブ103のガイド部106内からクランプ部材162を退避させて造影剤の流路を開放する(S109)。
これにより、生理食塩水が注入されている間だけ造影剤の流路が閉鎖され、造影剤の流路が通常は開放される。生理食塩水の注入が終了した後に造影剤の流路が開放され、再度第1シリンジ91を揺動する場合はS101に戻り、各ステップを繰り返す。このとき、流路が開放されているため、撹拌ユニット3は、閉鎖部16が造影剤の流路を開放している状態で第1シリンジ91を揺動させる。これにより、第1シリンジ91の揺動前、又は造影剤の注入前に流路の開放をチェックする必要がない。さらに、誤ってプレッサー21を前進させてしまっても、造影剤のマイクロバブルが壊れてしまうことを防止できる。
流路の閉鎖が検出されない場合、閉鎖部16の閉鎖検出部169は、制御部5に閉鎖信号を送信しない。制御部5は、閉鎖部16に流路を閉鎖させてから所定時間内に閉鎖信号を受信しない場合には(S106でNO)、警告報知部52にエラーを報知させる。この警告報知部52は、表示部13にエラーを示す記号等を表示させる(S110)。これにより、オペレーターに流路の閉鎖のチェックを促す。なお、注入装置100が音声出力部を有している場合、警告報知部52は音声出力部にエラーを示す音声を出力させてもよい。
また、オペレーターは、操作部14を介して第2駆動部6の動作指令を手動で入力することができる。例えば、オペレーターは、操作部14の前進ボタンを押し下げている間、プレッサー61を前進させて生理食塩水を押し出させることができる。この場合、操作部14は、注入開始信号としてプレッサー61の前進信号を制御部5に送信する。前進信号を受信した制御部5は、注入する薬液を薬液判断部51に判断させる。そして、薬液判断部51は、プレッサー61の前進信号であるため生理食塩水の注入であると判断する。この判断結果を受けた制御部5は閉鎖部16を制御し、閉鎖部16は生理食塩水を押し出す前に造影剤の流路を閉鎖する。
流路が正常に閉鎖されると、閉鎖部16の閉鎖検出部169は、流路の閉鎖を検出して制御部5に閉鎖信号を送信する。閉鎖信号を受信した制御部5は、第2駆動部6のアクチュエータ62を駆動する。これにより、第2シリンジ92内の生理食塩水が第2チューブ104を介して注入される。その後、制御部5は、生理食塩水の押し出しが終了したか否かを終了判断部54に判断させる。終了判断部54は、操作部14を介した動作指令の入力が停止したときに、生理食塩水の押し出しが終了したと判断する。そして、制御部5は、注入が終了したと終了判断部54が判断した場合には、閉鎖部16を制御して造影剤の流路を開放させる。
上述したように、制御部5は、第1駆動部2及び第2駆動部6を制御する。そして、制御部5は、第1駆動部2又は第2駆動部6が動作している状態で撹拌ユニット3の撹拌指令が入力されると、撹拌指令を無視するか又は第2駆動部6の動作を停止する。すなわち、第1駆動部2又は第2駆動部6が動作している状態で、オペレーターが誤って撹拌ボタン143を押し下げて撹拌指令を入力したとき、制御部5は撹拌指令を無視するか又は第2駆動部6の動作を停止する。これにより、第1駆動部2又は第2駆動部6が動作している状態で撹拌ユニット3が第1シリンジ91を揺動させてしまうことが防止される。
また、制御部5は、造影剤の流路が閉鎖されているときに、オペレーターが誤って撹拌ボタン143を押し下げて撹拌指令を入力した場合、警告報知部52に警告を報知させてもよい。さらに、制御部5は、造影剤の流路が閉鎖されているときに、オペレーターが誤って前進ボタンを押し下げて第1駆動部2の動作指令を入力した場合、警告報知部52に警告を報知させてもよい。
なお、オペレーターが誤って操作部14の2種類のボタンを同時に押した場合、例えばプレッサー61の前進ボタンと撹拌ボタン143を同時に押した場合には、制御部5は注入装置100を停止させる。さらに、オペレーターが誤って、薬液の注入中に操作部14の操作ボタンを押した場合、例えば生理食塩水の注入中にプレッサー21の前進ボタンを押した場合にも、制御部5は注入装置100を停止させる。ただし、注入装置100が停止されることに代えて、2種類のボタンが同時に押された場合、又は薬液の注入中に操作ボタンが押された場合、制御部5は、当該ボタンによる指令の入力を無視してもよい。
[リミット検出部]
図2に戻り、注入装置100は、第1駆動部2によって前進又は後退されるプレッサーパイプ23と、プレッサーパイプ23の前進及び後退の限界位置を検知するリミット検出部25とを備えている。同様に、注入装置100は、第2駆動部6によって前進又は後退されるプレッサーパイプ63と、プレッサーパイプ63の前進及び後退の限界位置を検知するリミット検出部65とを備えている。
リミット検出部25は、プレッサーパイプ23の前進及び後退の限界位置を検知することによって、プレッサー21の前進リミット及び後退リミットを監視している。同様に、リミット検出部65は、プレッサーパイプ63の前進及び後退の限界位置を検知することによって、プレッサー61の前進リミット及び後退リミットを監視している。そして、リミット検出部25からの検出信号を受信した場合、制御部5は、プレッサー21の前進又は後退を停止する。同様に、リミット検出部65からの検出信号を受信した場合、制御部5は、プレッサー61の前進又は後退を停止する。
リミット検出部25及びリミット検出部65は同様の構造を有している。そのため、リミット検出部25の説明は省略して、図10及び図11を参照してリミット検出部65について説明する。なお、図10は上方前側から見たリミット検出部65を示しており、図11はリミット検出部65の上下方向に延在する長手方向に沿った断面を示している。また、図10及び図11は、プレッサーパイプ63を限界位置まで前進させた状態を示している。
図10に示すように、リミット検出部65は、後退の限界位置を検知する第1リミット検出部651と、前進の限界位置を検知する第2リミット検出部653とを有している。そして、第1リミット検出部651及び第2リミット検出部653は、光学式のスリットセンサーである。また、プレッサーパイプ63には、第1光透過部652と第2光透過部654(図11)とが形成されている。この第1光透過部652及び第2光透過部654は、プレッサーパイプ63を貫通する穴である。
図11に示すように、第2光透過部654の位置は、プレッサーパイプ63が前進の限界位置に到達したときに、第2リミット検出部653が第2光透過部654を透過した光を検知するように設定されている。同様に、第1光透過部652の位置は、プレッサーパイプ63が後退の限界位置に到達したときに、第1リミット検出部651が第1光透過部652を透過した光を検知するように設定されている。
第2リミット検出部653が第2光透過部654を透過した光を検知したとき、リミット検出部65は制御部5に検出信号を送信する。そして、検出信号を受信した制御部5は、第2駆動部6を制御する。これにより、第2駆動部6は、プレッサー61の前進を停止する。同様に、第1リミット検出部651が第1光透過部652を透過した光を検知したとき、リミット検出部65は制御部5に検出信号を送信する。そして、検出信号を受信した制御部5は第2駆動部6を制御する。これにより、第2駆動部6は、プレッサー61の後退を停止する。このような構成によって、前進及び後退の限界位置を検知することにより、以下のような理由で注入装置100を小型化することができる。
例えば、特許文献1に記載のリミット検出部は、光学式のスリットセンサーである前側リミット検出部及び後側リミット検出部を有している。そして、ねじ軸の後端部に遮蔽板が固定されており、前側リミット検出部は、プレッサーが限界まで前進すると遮蔽板によって遮蔽される。また、後側リミット検出部は、プレッサーが限界まで後退すると、遮蔽板によって遮蔽される。
そのため、ねじ軸は、前側リミット検出部と後側リミット検出部との間の距離に対応する長さの後端部を必要とする。その結果、注入装置のサイズが大きくなってしまう。しかし、第1実施形態に係るリミット検出部65によれば、前進リミット及び後退リミットを検知するためのねじ軸の後端部が不要になる。その結果、注入装置100をより小型化できる。
また、プレッサーパイプ63は、中空部632と中実部634とを有している。そして、第1光透過部652は中空部632に形成されており、第2光透過部654は中実部634に形成されている。すなわち、第1光透過部652と第2光透過部654との間には、中実部634の少なくとも一部が存在している。これにより、第1光透過部652に薬液が侵入した場合であっても、中実部634によって注入ヘッド1内への侵入が防止される。
なお、第1光透過部652及び第2光透過部654には、光透過性樹脂等を充填することもできる。ただし、第1光透過部652及び第2光透過部654が重力方向に延在している貫通穴であれば、貫通穴に侵入した薬液等を重力によって装置外に排出することができる。
第1実施形態に係る注入装置100によれば、三方活栓を搭載して駆動するためのスペースが不要となる。これにより、マイクロバブルの破壊を防止しながら、注入装置100を小型化することができる。また、第2薬液の注入後に閉鎖部16が第1薬液の流路を開放する。これにより、撹拌ユニット3は、閉鎖部16が造影剤の流路を開放している状態で、第1シリンジ91を揺動することができる。さらに、第1実施形態に係るリミット検出部65によって、前進及び後退の限界位置を検知するためのねじ軸の後端部を必要としない結果、注入装置100をより小型化できる。
なお、制御部5は、閉鎖部16から閉鎖信号を受信した場合には、第1駆動部2のアクチュエータ22を駆動させないように制御してもよい。また、制御部5は、撹拌動作中に注入を開始しないように第1駆動部2を制御してもよい。この場合、制御部5は、保持部材11の揺動が停止した後に薬液の注入を開始する。そのため、撹拌動作中に注入開始信号を受信した場合、制御部5は撹拌動作の終了を待ってアクチュエータ22を駆動させる。これにより、注入中に揺動動作によって第1チューブ103が動くことはなく、被験者からカテーテル等が外れてしまうことを防止できる。
また、制御部5は、注入を開始する際に、撹拌ユニット3に自動で撹拌動作を行わせることもできる。この場合、注入開始信号を受信した制御部5は、撹拌ユニット3に撹拌動作を行わせ、撹拌動作が終了した後にアクチュエータ22を駆動する。また、撹拌動作は、薬液の分離が検知されたときに自動で開始させることもできる。薬液の分離は濁り検出部等によって検知でき、制御部5は検出信号を受信すると撹拌動作を開始する。さらに、オペレーターは、所定の時間ごとに、自動で撹拌動作を行うように設定することもできる。なお、必要であれば、薬液の注入中に撹拌動作を行ってもよい。
[第2実施形態]
図12を参照して第2実施形態に係る制御について説明する。なお、図12は第2実施形態に係る流路の閉鎖を説明するフローチャートである。また、第2実施形態の説明においては、第1実施形態との相違点について説明し、第1実施形態で説明した構成要素については同じ参照番号を付し、その説明を省略する。特に説明した場合を除き、同じ参照符号を付した構成要素は略同一の動作及び機能を奏し、その作用効果も略同一である。
[流路閉鎖フロー]
第1実施形態と同様に、注入装置100は、第1駆動部2、第2駆動部6、撹拌ユニット3及び閉鎖部16を制御する制御部5と、記憶部としてのメモリ部53とを備えている。また、制御部5は、注入する薬液を判断する薬液判断部51と、エラーを報知する警告報知部52と、第2薬液の押し出しの終了を判断する終了判断部54とを有している。第2実施形態においては、造影剤の流路が通常は閉鎖される点で第1実施形態と異なる。
オペレーターが注入の準備を完了させると、注入装置100は注入可能状態で待機する。具体的にオペレーターは、第1チューブ103をガイド部106に配置した後に操作部14のチェックボタンを押し下げる。これにより、操作部14から信号を受信した制御部5は、閉鎖部16を制御する。そして、閉鎖部16は、第1チューブ103を押し潰して造影剤の流路を閉鎖する。この状態で注入装置100は待機する。その後、オペレーターは、操作部14の撹拌ボタン143(図1)を押して第1シリンジ91を揺動させる。
図12に示すように、オペレーターが撹拌ボタン143を押して撹拌ユニット3の撹拌指令を入力すると、操作部14は制御部5に撹拌信号を送信する(S201)。第2実施形態においては、造影剤の流路が通常は閉鎖されているため、閉鎖部16は、撹拌ユニット3の撹拌指令が入力されたときに造影剤の流路を開放する。具体的に、閉鎖部16は、第1チューブ103のガイド部106内からクランプ部材162を退避させて造影剤の流路を開放する(S202)。
流路が正常に開放されない場合、閉鎖部16の閉鎖検出部169は、制御部5に閉鎖信号を送信し続ける。制御部5は、閉鎖部16に流路を開放させてから所定時間を経過しても閉鎖信号を受信している場合には、流路の開放が検出されないと判断し(S203でNO)、警告報知部52を制御する。そして、警告報知部52は、表示部13にエラーを示す記号等を表示させる(S204)。これにより、オペレーターに流路の閉鎖のチェックを促す。その後は、撹拌信号が再度入力されるまで、制御部5は撹拌動作を行わない。
流路が正常に開放された場合、閉鎖部16の閉鎖検出部169は、制御部5に閉鎖信号を送信しなくなる。制御部5は、閉鎖信号を受信しなくなると、流路の開放が検出されたと判断する(S203でYES)。そして、制御部5は撹拌ユニット3を制御し、撹拌ユニット3は予め定められた撹拌動作に従って第1シリンジ91を揺動する(S205)。これにより、撹拌ユニット3は、閉鎖部16が造影剤の流路を開放している状態で第1シリンジ91を揺動させることができる。
さらに、制御部5は、第1シリンジ91の揺動が終了したか否かを終了判断部54に判断させる。具体的に、終了判断部54は、撹拌用モーター32のエンコーダー321、又は撹拌ユニット3内のポテンショメータから受信した信号に基づいて、撹拌用モーター32の停止を判断する。そして、撹拌用モーター32が停止している場合、終了判断部54は、第1シリンジ91の揺動が終了したと判断する。一方、制御部5は、揺動が終了していないと終了判断部54が判断した場合(S206でNO)、第1シリンジ91の揺動を継続させる。
揺動が終了したと終了判断部54が判断した場合(S206でYES)、制御部5は、閉鎖部16を制御する。そして、閉鎖部16は、第1チューブ103を押し潰して造影剤の流路を閉鎖する(S207)。流路が正常に閉鎖されると、閉鎖部16の閉鎖検出部169は、流路の閉鎖を検出して、制御部5に閉鎖信号を送信する。オペレーターがスタートボタン142を押すと、操作部14は制御部5に注入開始信号を送信する。そして、注入開始信号を受信した制御部5は、注入する薬液を薬液判断部51に判断させる。この薬液判断部51は、注入プロトコルを参照して、造影剤の注入であるか否かを判断する。
薬液判断部51が造影剤の注入ではないと判断すると(S208でNO)、生理食塩水の注入指令であるため、生理食塩水が被験者に注入される(S212)。第2実施形態においては、通常は造影剤の流路が閉鎖されているため、生理食塩水の注入前に流路を閉鎖する必要がない。そのため、生理食塩水の注入前に流路の閉鎖をチェックする必要もない。
生理食塩水を注入するときには、制御部5は第2駆動部6のアクチュエータ62を駆動する。そして、アクチュエータ62は、プレッサーパイプ63を介してプレッサー61を前進させる。これにより、プレッサー61は、ピストン924を第2シリンジ92の先端に向かって前進させる。その結果、第2シリンジ92内の生理食塩水が被験者に注入される。その後、制御部5は、造影剤の注入を行うときまで待機する。第2実施形態においては、通常は造影剤の流路が閉鎖されているため、生理食塩水の注入後に流路を開放する必要はない。
薬液判断部51が造影剤の注入であると判断すると(S208でYES)、制御部5は、閉鎖部16を制御する。そして、閉鎖部16は、第1チューブ103のガイド部106内からクランプ部材162を退避させて造影剤の流路を開放する(S209)。流路が正常に開放されない場合、閉鎖部16の閉鎖検出部169は、制御部5に閉鎖信号を送信し続ける。制御部5は、閉鎖部16に流路を開放させてから所定時間を経過しても閉鎖信号を受信している場合には、流路の開放が検出されていないと判断し(S210でNO)、警告報知部52に警告を報知させる(S213)。これにより、オペレーターに流路の開放のチェックを促す。その後は、注入開始信号が再度入力されるまで、制御部5は、注入動作を行わない。
流路が正常に開放された場合、閉鎖部16の閉鎖検出部169は、制御部5に閉鎖信号を送信しなくなる。制御部5は、閉鎖信号を受信しなくなると、流路の開放が検出されたと判断する(S210でYES)。その後、制御部5は第1駆動部2のアクチュエータ22を駆動する。そして、アクチュエータ22は、プレッサーパイプ23を介してプレッサー21を前進させる。これにより、プレッサー21は、ピストン914を第1シリンジ91の先端に向かって前進させる。その結果、第1シリンジ91内の造影剤が被験者に注入される(S211)。
その後、制御部5は、造影剤の押し出しが終了したか否かを終了判断部54に判断させる。終了判断部54は、第1駆動部2の駆動が停止すると、造影剤の押し出しが終了したと判断する。具体的には、アクチュエータ22内のエンコーダー24、又はアクチュエータ22内のモーターの回転角度を検出するポテンショメータから受信した信号に基づいて、終了判断部54が第1駆動部2の駆動の停止を判断する。そして、駆動が停止している場合、終了判断部54は、造影剤の注入が終了したと判断する。造影剤の押し出しが終了したと終了判断部54が判断した場合、閉鎖部16は、上述した態様と同様に第1チューブ103を押し潰して造影剤の流路を閉鎖する。
第2実施形態に係る注入装置100によれば、三方活栓を搭載して駆動するためのスペースが不要となる。これにより、マイクロバブルの破壊を防止しながら、注入装置100を小型化することができる。また、第2薬液の注入後に閉鎖部16が第1薬液の流路を開放する。これにより、撹拌ユニット3は、閉鎖部16が第1チューブ103を開放している状態で、第1シリンジ91を揺動することができる。さらに、通常は造影剤の流路が閉鎖されているため、生理食塩水の注入前に流路を閉鎖する必要がない。
[第3実施形態]
図13及び図14を参照して、自動撹拌モードを有する第3実施形態の注入装置300について説明する。図13は、第3実施形態に係る注入装置300の概略ブロック図である。図14は、自動撹拌モードを説明するフローチャートである。第3実施形態の説明においては、第1及び第2実施形態との相違点について説明し、第1及び第2実施形態で説明した構成要素については同じ参照番号を付し、その説明を省略する。特に説明した場合を除き、同じ参照符号を付した構成要素は略同一の動作及び機能を奏し、その作用効果も略同一である。
図13に示すように、注入装置300は、第1駆動部302、第2駆動部306、撹拌ユニット3及び閉鎖部16を制御する制御部5と、記憶部としてのメモリ部53とを備えている。また、制御部5は、不図示のタイマーを有している。この制御部5は、例えばワンチップマイコンであるCPUであり、予めメモリ部53に記憶されたプログラムに応じて注入装置300全体の処理動作を実行する。また、メモリ部53は、RAM、ROM、又はハードディスクドライブを備えている。
第1駆動部302は、不図示のモーター(例えばDCモーター)を備え、第1シリンジ91から第1薬液(造影剤)を押し出す。また、第1駆動部302は、第1薬液の注入圧力を検知する第1検知部329を備えている点で、第1及び第2実施形態と異なる。この第1検知部329は、モーターに供給される電流の電流値を計測し、計測した電流値に基づいて注入圧力を求める。代替的に、第1検知部329が計測した電流値を制御部5に送信し、受信した電流値に基づいて制御部5が注入圧力を求めてもよい。制御部5は、第1薬液の注入中、所定の最大注入圧力を超えないように第1駆動部302を制御する。なお、第1検知部329は、ロードセルであってよい。
同様に、第2駆動部306は、不図示のモーター(例えばDCモーター)を備え、第2シリンジ92から第2薬液(生理食塩水)を押し出す。また、第2駆動部306は、第2薬液の注入圧力を検知する第2検知部369を備えている点で、第1及び第2実施形態と異なる。この第2検知部369は、モーターに供給される電流の電流値を計測し、計測した電流値に基づいて注入圧力を求める。代替的に、第2検知部369が計測した電流値を制御部5に送信し、受信した電流値に基づいて制御部5が注入圧力を求めてもよい。制御部5は、第2薬液の注入中、所定の最大注入圧力を超えないように第2駆動部306を制御する。なお、第2検知部369は、ロードセルであってよい。
撹拌ユニット3は、撹拌用モーター32を備え、第1シリンジ91を揺動させる。この撹拌ユニット3は、揺動角度を検出する揺動検出部35を有している。また、閉鎖部16は、第1シリンジ91に接続される第1チューブ103内の流路を閉鎖する。この閉鎖部16は、第1チューブ103内の流路の閉鎖を検知する閉鎖検出部169を備えている。
[自動撹拌モード]
第3実施形態の注入装置300は、所定時間(例えば30秒から60秒)毎に撹拌動作を自動で繰り返す自動撹拌モードを有している。この自動撹拌モードについて、図13及び図14を参照して説明する。
薬液を注入する前に、オペレーターは注入装置300の電源をオンにする。このとき、流路が閉鎖されていた場合には、閉鎖部16が流路を開放する。また、保持部材11(図1)が原点からずれていた場合には、撹拌ユニット3が保持部材11を元の位置に移動させる。そして、オペレーターは、第1シリンジ91及び第2シリンジ92を注入ヘッド1に搭載する。続いて、オペレーターは、操作部14の前進ボタン145Aを押す。これにより、第1駆動部302のプレッサー21が前進し、第1シリンジ91のピストン914の後端に当接する。同様に、オペレーターは、前進ボタン145Bを押して、第2駆動部306のプレッサー61を第2シリンジ92のピストン924の後端に当接させる。なお、オペレーターは、前進ボタン145A又は後退ボタン146A、若しくは前進ボタン145B又は後退ボタン146Bを押して、プレッサー21及びプレッサー61を所定の位置まで予め移動させておいてもよい。
その後、オペレーターは、第1薬液を撹拌するために、操作部14の撹拌ボタン143を押して自動撹拌モードを開始する(S301)。すなわち、撹拌ボタン143が押されて撹拌ユニット3の撹拌指令が入力されると、操作部14は制御部5に撹拌信号を送信する。そして、撹拌信号を受信した制御部5は、撹拌ユニット3を制御し、撹拌ユニット3は予め定められた初期の撹拌動作に従って第1シリンジ91を揺動する(S302)。
初期の撹拌動作では、例えば、撹拌ユニット3は、第1シリンジ91が下を向くように、保持部材11を第1方向へ180度揺動させる。そして、所定時間(例えば2秒)停止した後に、撹拌ユニット3は、第1シリンジ91が元の位置(原点)を通過して下を向くように、保持部材11を第1方向とは逆の第2方向へ360度揺動させる。続いて、所定時間(例えば2秒)停止した後に、撹拌ユニット3は、第1シリンジ91が元の位置に戻るように、保持部材11を第1方向へ180度揺動させる。
このとき、制御部5は、第2方向への揺動の揺動角度が370度以上又は350度以下となる場合には、警告報知部52(図8)に警告を報知させる。警告を報知した場合、制御部5は、自動撹拌モードを解除する。
自動撹拌モードにおいて、制御部5は、タイマーからの情報を参照して、初期の撹拌動作と同じ撹拌動作を所定時間毎に自動で繰り返す(S303)。代替的に、初期の撹拌動作と異なる撹拌動作、例えば、第1方向へ180度揺動した後に第2の方向へ180度揺動する動作を繰り返してもよい。この自動撹拌中は、撹拌ボタン143が点滅して自動撹拌モードの表示を行う。オペレーターは、操作部14の入力キー141を操作して、注入速度及び注入量を制御部5に入力する。表示部13は、注入速度及び注入量を表示し、オペレーターはその内容を確認できる。入力項目は、選択ボタン147を押す毎に変更される。
この入力後、オペレーターは針を被験者に穿刺し、操作部14のスタンバイボタン148を押す。これにより、注入の準備が完了し、注入装置300は注入可能状態で待機する。このとき、操作部14のランプ140が点灯して、待機状態を表示する。注入の準備及び待機の間、自動撹拌モードは継続されている。そして、自動撹拌中、制御部5は、自動撹拌モードを停止するか否か判断する(S304)。具体的に、制御部5は、モード停止の条件が満たされた場合に(S304でYES)、自動撹拌モードを停止する(S305)。このモード停止の条件とは、例えば、操作部14のスタートボタン142の押し下げ、前進ボタン145A,145Bの押し下げ、後退ボタン146A,146Bの押し下げ、又は閉鎖信号の受信である。
一例として、オペレーターがスタートボタン142を押した場合、注入開始信号を受信した制御部5は、自動撹拌モードを途中で停止して薬液を注入する。このとき、制御部5は、揺動の途中(例えば、第1シリンジ91が下を向いた状態)であっても、自動撹拌モードを停止する。これは、薬液の注入開始タイミングを重視するためである。ただし、代替的に揺動終了後に自動撹拌モードを停止してもよい。例えば、自動撹拌モードは、第1シリンジ91が上を向くまで揺動した後に停止させてもよい。自動撹拌モードを停止することにより、第1駆動部302又は第2駆動部306が駆動している間の揺動を防止できる。
その後、制御部5は、モード再開の条件が満たされ場合に(S306でYES)、自動撹拌モードを再開する(S303)。このモード再開の条件とは、例えば、第2薬液の注入完了である。すなわち、終了判断部54(図8)が第2薬液の注入が終了したと判断すると、制御部5は自動撹拌モードを再開する。このとき、薬液注入中に自動撹拌モードの所定時間が経過していれば、再開と同時に撹拌ユニット3が揺動を行う。モード再開の条件が満たされない場合(S306でNO)、制御部5は、自動撹拌モードの停止を継続する。
さらに、自動撹拌中、制御部5は、自動撹拌モードを解除するか否か判断する(S307)。具体的に、制御部5は、モード解除の条件が満たされた場合に(S307でYES)、自動撹拌モードを解除して自動撹拌モードを終了させる。自動撹拌モードが終了すると、撹拌ボタン143は消灯する。このモード解除の条件とは、例えば、操作部14のオートリターンボタン149の押し下げ、第1薬液又は第2薬液全量の注入完了、後退ボタン146Aの押し下げ、撹拌ボタン143の押し下げ、又は警告の報知である。自動撹拌モードを解除することにより、撹拌が不要な場合の揺動を防止できる。モード解除の条件が満たされない場合(S307でNO)、制御部5は、自動撹拌モードを継続する(S303)。
一例として、オペレーターがオートリターンボタン149を押した場合、第2駆動部306は、プレッサーパイプ63を介してプレッサー61を所定の位置まで後退させる。このとき、制御部5は、第1シリンジ91が上を向くまで揺動した後に自動撹拌モードを解除する。これにより、撹拌動作の繰り返しが停止する。代替的に、制御部5は、揺動の途中(例えば、第1シリンジ91が下を向いた状態)で、自動撹拌モードを解除してもよい。オペレーターは、撹拌ボタン143を押すことにより、自動撹拌モードを再開することができる。
なお、待機状態において、オペレーターが操作部14の停止ボタン144を押した場合、待機状態が解除される。また、薬液の注入中に、オペレーターが操作部14の停止ボタン144を押した場合、薬液の注入が停止する。しかし、これらの状況において第1薬液が残っている場合は撹拌が必要であるので、自動撹拌モードは解除されない。待機状態及び薬液の注入中以外の自動撹拌中の状況において、オペレーターが停止ボタン144を押した場合は、自動撹拌モードが解除されてもよい。
また、制御部5は、保持部材11が外力によって揺動した場合に自動撹拌モードを解除してもよい。一例として、制御部5は、揺動時以外に揺動検出部35(図3)が所定角度(例えば90度)の揺動を検出したときに、自動撹拌モードを解除する。
上記の各手順は、適宜順番を入れ替えることができる。例えば、オペレーターは、各シリンジを搭載した後に、注入装置300の電源をオンしてもよい。また、オペレーターは、スタンバイボタン148を押した後に、自動撹拌モードを開始させてもよい。
第3実施形態に係る注入装置300によれば、三方活栓を搭載して駆動するためのスペースが不要となる。これにより、マイクロバブルの破壊を防止しながら、注入装置300を小型化することができる。また、自動的に撹拌が繰り返されるため、オペレーターが都度撹拌ボタン143を押す必要がない。これにより、オペレーターの作業を低減することができると共に、造影剤の分離を自動的に抑制することができる。
制御部5は、第1薬液又は第2薬液の注入圧力が、マイクロバブルが崩壊する限界注入圧力よりも低くなるように制御してもよい。この場合、制御部5は、メモリ部53から予め記憶された限界注入圧力を取得する。そして、制御部5は、限界注入圧力に至らないように、第1駆動部302又は第2駆動部306を制御する。また、制御部5は、第1シリンジ91又は第2シリンジ92に配置された、RFID又はバーコード等のデーターキャリアから限界注入圧力を取得してもよい。制御部5は、注入ヘッド1を介してデーターキャリアから記録された情報を読み取ることができる。なお、限界注入圧力は、実験により求めることができる。
メモリ部53は、被験者に穿刺する針の太さ毎に設定された複数の限界注入圧力を記憶していてもよい。この限界注入圧力は、針が太くなるにつれて高くなるように設定することができる。例えば、21Gの針用の限界注入圧力は、22Gの針よりも高く且つ20Gの針よりも低く設定される。
さらに、制御部5は、第1薬液を押し出した後に、この第1薬液を第2薬液で後押しして、第3チューブ105内で第1薬液を停止させるように第2駆動部306を制御してもよい。すなわち、制御部5は、造影剤の注入後に造影剤をカテーテルに近い位置へ移動させるように、第2駆動部306を制御してもよい。この場合、制御部5は、第3チューブ105に応じた第2薬液の注入量をメモリ部53から取得する。そして、制御部5は、第3チューブ105内の所定位置で第1薬液が停止するように、取得した注入量の第2薬液を第2駆動部306に注入させる。
第3チューブ105の長さに応じて、造影剤を移動させるために必要な生理食塩水の量は変動する。そこで、制御部5は、第3チューブ105の長さ(種類)に応じて、必要な生理食塩水の注入量を判断してもよい。これにより、薬液が体内に注入されるタイミングと、注入装置が注入を開始するタイミングとのずれを減少させて、画質の低下を抑制することができる。また、異なる長さを有する複数種類のチューブが使用される場合であっても、造影剤を後押しして適切な位置へ進めることができる。
[変形例]
以上、各実施形態を参照して本発明について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではない。本発明に反しない範囲で変更された発明、及び本発明と均等な発明も本発明に含まれる。また、上述の各実施形態及び各変形例は、本発明に反しない範囲で適宜組み合わせることができる。
例えば、各モーターには、超音波モーターを用いることができる。さらに、保持部12は固定されていたが、保持部材11と同様に揺動させることもできる。また、注入装置100,300は、超音波診断装置以外の他の医療用撮像装置と共に使用することもできる。このような医療用撮像装置としては、例えば、MRI(Magnetic Resonance Imaging)装置、CT(Computed Tomography)装置、アンギオ撮像装置、PET(Positron Emission Tomography)装置、SPECT(Single Photon Emission Computed Tomography)装置、CTアンギオ装置、MRアンギオ装置、血管撮像装置等の各種医療用撮像装置がある。
また、注入装置100,300は、撮像装置に有線又は無線接続することもできる。この場合、薬液の注入時及び画像の撮影時には、撮像装置と注入装置100,300との間で各種データが送受信される。例えば、注入装置100,300において撮像条件が設定又は表示されてもよく、撮像装置において注入条件が設定又は表示されてもよい。
また、注入装置100,300は、注入結果(注入履歴及び撹拌動作の履歴)に関する情報を、ネットワーク経由でRIS(Radiology Information System)、PACS(Picture Archiving and Communication Systems)、及びHIS(Hospital Information System)等の外部記憶装置に送信し記憶させることもできる。この場合、撹拌動作の履歴には、薬液の名称、撹拌時間及び揺動速度等のデータが含まれ得る。また、注入履歴には、薬液の名称、注入速度、注入量、注入時間及び注入最大圧力等のデータが含まれ得る。なお、注入装置100,300が通信部を備える場合、通信部を介して超音波診断装置から撮影結果に関する情報、例えば、検査ID、撮影時間及び撮影部位等を取得することもできる。そして、注入装置100,300は、撮影結果と関連付けた注入結果を、外部記憶装置に記憶させることができる。また、オペレーターは、病院内情報システムの端末を利用して、注入装置に注入プロトコル等の情報を送受信することもできる。
また、シリンジには、RFIDやバーコードといったデーターキャリアを設けることもできる。このデーターキャリアには、充填された薬液の情報等が記録されている。そして、注入装置100,300は、注入ヘッド1を介してデーターキャリアから記録された情報を読み取ることができる。例えば、注入装置100,300は、読み取った薬液の情報を注入ヘッド1の表示部13に表示させることができる。なお、薬液の情報としては、例えば、製品名称、薬剤名、製品ID、化学分類、含有成分、濃度、粘度、シリンジ容量、シリンジ耐圧、シリンダ内径及びピストンストローク等がある。
制御部5は、メモリ部53から薬液の充填時刻を取得し、タイマーからの情報を参照して、充填時刻から所定時間(例えば、1〜2時間)を経過した場合に警告報知部52にエラーを報知させてもよい。この充填日時は、オペレーターが操作部14からメモリ部53に入力することができる。これにより、使用可能時間の経過によってマイクロバブルが崩壊してしまう前に、オペレーターに薬液の注入を促すことができる。代替的に、制御部5は、シリンジの搭載時刻を自動的にメモリ部53に記憶させ、搭載時刻から所定時間を経過した場合に警告報知部52にエラーを報知させてもよい。
[付記]
上記の実施形態の一部又は全部は、以下の付記のようにも記載されうるが、以下には限られない。
(付記1)第1薬液が充填された第1シリンジから前記第1薬液を押し出す第1駆動部と、前記第1シリンジに接続されるチューブ内の流路を閉鎖する閉鎖部と、前記第1シリンジを揺動させる撹拌ユニットとを備える注入装置の制御方法であって、前記閉鎖部が前記流路を開放している状態で、前記撹拌ユニットに前記第1シリンジを揺動させる、制御方法。
(付記2)薬液が充填されたシリンジから前記薬液を押し出す駆動部と、前記駆動部によって前進又は後退されるプレッサーパイプと、前記プレッサーパイプの前進及び後退の限界位置を検知するリミット検出部とをさらに備え、前記プレッサーパイプには、第1光透過部と第2光透過部とが形成されており、前記第1光透過部及び前記第2光透過部の位置は、前記前進の限界位置に到達したときに前記リミット検出部が前記第1光透過部を透過した光を検知し、且つ前記後退の限界位置に到達したときに前記リミット検出部が前記第2光透過部を透過した光を検知するように設定されている、注入装置。
(付記3)第1薬液が充填された第1シリンジから前記第1薬液を押し出す第1駆動部と、前記第1シリンジを揺動させる撹拌ユニットとを備える注入装置の制御方法であって、前記撹拌ユニットは、撹拌動作を所定時間毎に自動で繰り返す、制御方法。
(付記4)第1薬液が充填された第1シリンジから前記第1薬液を押し出す第1駆動部と、前記第1シリンジを揺動させる撹拌動作を所定時間毎に自動で繰り返す撹拌ユニットとを備える注入装置。
(付記5)マイクロバブルを含む薬液が充填されたシリンジから前記薬液を押し出す駆動部と、前記薬液の注入圧力を検知する検知部と、前記シリンジを揺動させる撹拌ユニットとを備える注入装置の制御方法であって、前記注入圧力が所定圧力を超えないように前記駆動部を駆動し、前記所定圧力は、前記マイクロバブルを崩壊させない圧力に設定されている、制御方法。
(付記6)マイクロバブルを含む薬液が充填されたシリンジから前記薬液を押し出す駆動部と、前記薬液の注入圧力を検知する検知部と、前記シリンジを揺動させる撹拌ユニットと、前記注入圧力が所定圧力を超えないように前記駆動部を駆動する制御部とを備え、前記所定圧力は、前記マイクロバブルを崩壊させない圧力に設定されている、注入装置。
この出願は2016年4月14日に出願された日本国特許出願第2016−80957号からの優先権を主張し、その全内容を引用してこの出願の一部とする。