JPWO2017175868A1 - 触覚情報変換装置、触覚情報変換方法、および、触覚情報変換プログラム、並びに、素子配置構造体 - Google Patents

触覚情報変換装置、触覚情報変換方法、および、触覚情報変換プログラム、並びに、素子配置構造体 Download PDF

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Abstract

触覚刺激を出力可能な一または複数の出力部側へ触覚情報を与えるため、第一の種類の触覚刺激が生じる第一刺激点を判定し、または、出力部を介して第一の種類の触覚刺激を第一刺激点に発生させ、第一刺激部により判定または発生される第一の種類の触覚刺激の第一刺激点から、時間的および/または空間的に所定の閾値内で離隔した第二刺激点において、出力部を介して第二の種類の触覚刺激を発生させる触覚情報を出力部側に出力することを一つの特徴とする。

Description

本発明は、触覚情報変換装置、触覚情報変換方法、および、触覚情報変換プログラム、並びに、素子配置構造体に関する。
従来、現実または仮想の物体について利用者に触覚を提示する触覚提示デバイスが開発されている。
例えば、特許文献1では、ペン型の力覚提示装置であって、利用者が把持する際に指先が接触する可動部において、往復動、搖動、傾動、回転等の動きをさせることによって、指先に固有受容感覚を提示することが開示されている。
また、非特許文献1では、圧力、振動、温度を要素触覚として、触覚マップを作成し、それら要素触覚を合成して任意の触覚を提示する触覚提示装置について開示されている。
また、非特許文献2では、実環境下における指なぞり動作時に、爪側に設けた振動子を振動させて、仮想的な凹凸感を提示することが開示されている。
また、特許文献2では、利用者に電気刺激を提示するために、複数の刺激電極を備えた電極基板と、刺激電極と皮膚との間に導電性ゲル層などを設けた電気触覚ディスプレイが開示されている。
特開2010−287221号公報
特許第5057068号公報
近井学「新しい触角提示装置の研究」長岡技術科学大学博士論文、国立大学法人長岡技術科学大学、2014年3月25日、13102甲第702号、URL:http://hdl.handle.net/10649/719
安藤英由樹、渡邊淳司、稲見昌彦、杉本麻樹、前田太郎「Augmented Realityのための爪装着型触覚ディスプレイの研究」、電子情報通信学会論文誌、電子情報通信学会、2004年11月1日、Vol.J87−D2、No.11、pp.2025−2033
しかしながら、従来の触覚提示デバイスは、2種類以上の触覚刺激を重ね合せる場合に、同じ場所に触覚刺激子を設置することができず、装置が大きくなってしまうという問題点を有していた。そのため、利用者は、刺激の種類が多い場合に、同一の場所に統合的な感覚を得ることができない、という問題点を有していた。
例えば、非特許文献2では、物体の指なぞり時に爪上から振動刺激を加えることで、指腹部に凹凸エッジ感覚を提示できるものの、指腹で起きる圧力変化を、爪上からの振動刺激で拡張するものであり、複数の種類の刺激を異なる部位から一箇所に集中して提示できるものではない、という問題点があった。
本発明は上記の問題点に鑑みてなされたものであり、複数の種類の刺激を異なる点から一点に集中して提示できる、触覚情報変換装置、触覚情報変換方法、および、触覚情報変換プログラム、並びに、複数の種類の刺激を提示するための、素子配置構造体、を提供するものである。
このような目的を達成するため、本発明の触覚情報変換装置は、触覚刺激を出力可能な一または複数の出力部側へ触覚情報を与えるため、記憶部と制御部を少なくとも備えた触覚情報変換装置であって、前記記憶部は、第一の種類の触覚刺激が生じる第一刺激点に、第二の種類の触覚刺激を知覚させるための前記第一および第二の種類の触覚刺激、または、第二の種類の触覚刺激が生じる第二刺激点に、第一の種類の触覚刺激を知覚させるための前記第一および第二の種類の触覚刺激を定義する触覚定義部を備えており、前記制御部は、前記第一の種類の触覚刺激が生じる前記第一刺激点を判定する、または、前記出力部を介して前記第一の種類の触覚刺激を前記第一刺激点に発生させる第一刺激部と、前記第一刺激部により判定または発生される前記第一の種類の触覚刺激の前記第一刺激点から、時間的および/または空間的に所定の閾値内で離隔した前記第二刺激点において、前記出力部を介して前記第二の種類の触覚刺激を発生させる触覚情報を前記出力部側に出力する第二刺激部と、を備えたことを特徴とする。
また、本発明の触覚情報変換装置は、上記の触覚情報変換装置において、前記触覚定義部は、前記第二の種類の触覚刺激を前記第一刺激点に知覚させるため、前記第二の種類の触覚刺激として、前記第一の種類の触覚刺激よりも、時間的または空間的な生理的弁別閾が大きい種類の触覚刺激を定義すること、または、前記第一の種類の触覚刺激を前記第二刺激点に知覚させるため、前記第一の種類の触覚刺激として、前記第二の種類の触覚刺激よりも、時間的または空間的な生理的弁別域が大きい種類の触覚刺激を定義すること、を特徴とする。
また、本発明の触覚情報変換装置は、上記の触覚情報変換装置において、前記第一刺激部は、前記第一の種類の触覚刺激として力提示を、判定または発生させ、前記第二刺激部は、振動、温度、および、電気刺激のうちの一つまたは複数を、前記第二の種類の触覚刺激として前記第二刺激点に発生させることにより、前記第二の種類の触覚刺激を前記第一刺激点に知覚させることを特徴とする。
また、本発明の触覚情報変換装置は、上記の触覚情報変換装置において、前記第一刺激部は、振動、温度、および、電気刺激のうちの一つまたは複数を、前記第一の種類の触覚刺激として、判定または発生させ、前記第二刺激部は、前記第二の種類の触覚刺激として力提示を、前記第二刺激点に発生させることにより、前記第一の種類の触覚刺激を前記第二刺激点に知覚させることを特徴とする。
また、本発明の触覚情報変換装置は、上記の触覚情報変換装置において、前記第一刺激部は、前記第一の種類の触覚刺激として振動提示を、判定または発生させ、前記第二刺激部は、温度刺激を、前記第二の種類の触覚刺激として前記第二刺激点に発生させることにより、前記第二の種類の触覚刺激を前記第一刺激点に知覚させることを特徴とする。
また、本発明の触覚情報変換装置は、上記の触覚情報変換装置において、前記第一刺激部は、前記第一の種類の触覚刺激として温度提示を、判定または発生させ、前記第二刺激部は、振動刺激を、前記第二の種類の触覚刺激として前記第二刺激点に発生させることにより、前記第一の種類の触覚刺激を前記第二刺激点に知覚させることを特徴とする。
また、本発明の触覚情報変換装置は、上記の触覚情報変換装置において、前記第一刺激部は、前記第一の種類の触覚刺激として電気刺激提示を、判定または発生させ、前記第二刺激部は、振動および/または温度を、前記第二の種類の触覚刺激として前記第二刺激点に発生させることにより、前記第二の種類の触覚刺激を前記第一刺激点に知覚させることを特徴とする。
また、本発明の触覚情報変換装置は、上記の触覚情報変換装置において、前記第一刺激部は、振動および/または温度を、前記第一の種類の触覚刺激として、判定または発生させ、前記第二刺激部は、前記第二の種類の触覚刺激として電気刺激提示を、前記第二刺激点に発生させることにより、前記第一の種類の触覚刺激を前記第二刺激点に知覚させることを特徴とする。
また、本発明の触覚情報変換装置は、上記の触覚情報変換装置において、前記第一刺激点および/または前記第二刺激点は、ファントムセンセーション錯覚による知覚点であることを特徴とする。
また、本発明の入力装置は、上記の触覚情報変換装置を備えたことを特徴とする。
また、本発明の入力装置は、上記の入力装置において、表層に、多点分布型圧覚計測センサと、中間層に、温冷感計測センサと、下層に、振動感計測センサと、を少なくとも備えたことを特徴とする。
また、本発明の送信装置は、上記の触覚情報変換装置を備えたことを特徴とする。
また、本発明の記憶装置は、上記の触覚情報変換装置を備えたことを特徴とする。
また、本発明のサーバ装置は、上記の触覚情報変換装置を備えたことを特徴とする。
また、本発明の受信装置は、上記の触覚情報変換装置を備えたことを特徴とする。
また、本発明の出力装置は、上記の触覚情報変換装置を備えたことを特徴とする。
また、本発明の出力装置は、上記の出力装置において、表層に、多点電気触覚刺激による分布型圧力提示部と、中間層に、ペルチェ素子による高速駆動型温冷感提示部と、下層に、広周波数域の振動提示部と、を少なくとも備えたことを特徴とする。
また、本発明のインタラクション操作システムは、上記の触覚情報変換装置を備えた、操作者が操作するロボット教示装置を用いてロボットに動作を教示するインタラクション操作システムにおいて、前記ロボットは、物体を把持するための手指部、前記物体または前記物体の性状を検出し、物体検出情報を生成する物体検出部であって、前記手指部に配置される物体検出部、前記ロボットを駆動させるロボット駆動装置、を有し、前記ロボット教示装置は、前記ロボットから伝送された前記物体検出情報に基づき前記触覚情報変換装置により変換された触覚情報に応じて、対応する触感を前記操作者に提供する物体検知感覚提供部、を有すること、を特徴とする。
また、本発明の触覚提示方法は、触覚刺激を出力可能な一または複数の出力部側へ触覚情報を与えるため、記憶部と制御部を少なくとも備えた触覚情報変換装置において実行される触覚情報変換方法であって、前記記憶部は、第一の種類の触覚刺激が生じる第一刺激点に、第二の種類の触覚刺激を知覚させるための前記第一および第二の種類の触覚刺激、または、第二の種類の触覚刺激が生じる第二刺激点に、第一の種類の触覚刺激を知覚させるための前記第一および第二の種類の触覚刺激を定義する触覚定義部を備え、前記制御部において実行される、前記第一の種類の触覚刺激が生じる第一刺激点を判定する、または、前記出力部を介して前記第一の種類の触覚刺激を第一刺激点に発生させる第一刺激ステップと、前記第一刺激ステップにて判定または発生される前記第一の種類の触覚刺激の前記第一刺激点から、時間的および/または空間的に所定の閾値内で離隔した第二刺激点において、前記出力部を介して前記第二の種類の触覚刺激を発生させる触覚情報を前記出力部側に出力する第二刺激ステップと、を含むことを特徴とする。
また、本発明の触覚情報変換プログラムは、触覚刺激を出力可能な一または複数の出力部側へ触覚情報を与えるため、記憶部と制御部を少なくとも備えたコンピュータに実行させるための触覚情報変換プログラムにおいて、前記記憶部は、第一の種類の触覚刺激が生じる第一刺激点に、第二の種類の触覚刺激を知覚させるための前記第一および第二の種類の触覚刺激、または、第二の種類の触覚刺激が生じる第二刺激点に、第一の種類の触覚刺激を知覚させるための前記第一および第二の種類の触覚刺激を定義する触覚定義部を備えており、前記制御部に実行させるための、前記第一の種類の触覚刺激が生じる第一刺激点を判定する、または、前記出力部を介して前記第一の種類の触覚刺激を第一刺激点に発生させる第一刺激ステップと、前記第一刺激ステップにて判定または発生される前記第一の種類の触覚刺激の前記第一刺激点から、時間的および/または空間的に所定の閾値内で離隔した第二刺激点において、前記出力部を介して前記第二の種類の触覚刺激を発生させる触覚情報を前記出力部側に出力する第二刺激ステップと、をコンピュータに実行させることを特徴とする。
また、本発明の素子配置構造体は、電気、温度、振動、および、力のうち、少なくとも2種類の触覚を提示する場合の素子の積層型および/または水平配置型の素子配置構造体であって、(1)振動または温度の提示素子よりも、電気の提示素子を身体側に積層配置すること、(2)振動の提示素子よりも、温度の提示素子を身体側に積層配置すること、(3)力の提示素子よりも、電気、温度、および/または、振動の提示素子を身体側に積層配置すること、および、(4)少なくとも振動の提示素子を水平配置すること、のうち一つまたは複数の組合せであることを特徴とする。
また、本発明の素子配置構造体は、上記の素子配置構造体において、前記振動の提示素子を水平配置する場合に、振動を音に変換ないし振動共鳴ないし放熱のための空隙を設けることを特徴とする。
また、本発明の素子配置構造体は、上記の素子配置構造体において、電気の提示素子を密に、温度および/または振動の提示素子を疎に、水平配置したことを特徴とする。
また、本発明の素子配置構造体は、上記の素子配置構造体において、少なくとも一部が水平配置型の素子配置構造体であって、全体として可撓性を有するように水平配置の提示素子が連結されていることを特徴とする。
また、本発明の素子配置構造体は、上記の素子配置構造体において、前記電気の提示素子が電気提示を行わない際に、接地として機能することを特徴とする。
また、本発明の素子配置構造体は、上記の素子配置構造体において、少なくとも一部が水平配置型の素子配置構造であって、水平面方向に複数配置された複数の同種の提示素子において、ファントムセンセーションにより複数の前記提示素子間で刺激を定位させることを特徴とする。
また、本発明の素子配置構造体は、上記の素子配置構造体において、少なくとも一部が水平型の素子配置構造体であって、水平配置の構造は全体として身体の周囲を取り囲むように設けられることを特徴とする。
また、本発明の素子配置構造体は、上記の素子配置構造体において、少なくとも一部が水平型の素子配置構造であって、水平面方向に複数配置された複数の振動の前記提示素子の間に、前記空隙を設けることを特徴とする。
また、本発明の素子配置構造体は、上記の素子配置構造体において、全体として身体の周囲を取り囲むように設けられた水平配置の構造の背側に前記空隙を設けることを特徴とする。
本発明によれば、触覚刺激を出力可能な一または複数の出力部側へ触覚情報を与えるため、第一の種類の触覚刺激が生じる第一刺激点を判定ないし発生させ、判定または発生される第一の種類の触覚刺激の第一刺激点から、時間的および/または空間的に所定の閾値内で離隔した第二刺激点において、出力部を介して第二の種類の触覚刺激を発生させる触覚情報を出力部側に出力するので、複数の種類の刺激を異なる点から一点に集中して提示できる、という効果を奏する。
また、本発明によれば、電気、温度、振動、および、力のうち、少なくとも2種類の触覚を提示する場合の素子の積層型および/または水平配置型の素子配置構造体であって、(1)振動または温度の提示素子よりも、電気の提示素子を身体側に積層配置すること、(2)振動の提示素子よりも、温度の提示素子を身体側に積層配置すること、(3)力の提示素子よりも、電気、温度、および/または、振動の提示素子を身体側に積層配置すること、および、(4)少なくとも振動の提示素子を水平配置すること、のうち一つまたは複数の組合せであるので、上記のように複数の種類の刺激を異なる点から一点に集中して提示する場合など、複数の種類の刺激を提示するための素子配置構造体を提供することができる。
図1は、指を接触させて物体の上を滑らせる、もしくは静止させてから離した際の各細胞の反応を示す模式図である。 図2は、「力」、「振動」および「温度」の3基底を合成して、生理空間の触覚7基底を刺激する第二の方法を模式的に示した図である。 図3は、粗さ軸、硬さ軸、湿り軸の3軸のマップに様々なオノマトペを位置付けた心理質感マップの一例を示す図である。 図4は、物理空間において、「力」、「振動」、「温度」、および「電気」の4基底に基づいて合成し、心理空間の様々な触感を再現する本実施形態の方法を模式的に示した図である。 図5は、本発明の実施形態にかかる触覚情報変換装置を含む触感提示システムの構成の一例を示すブロック図である。 図6は、触原色原理に基づく一体型触覚計測モジュールの構造を示す斜視図である。 図7は、触原色原理に基づく一体型触覚伝送モジュールの構造を示す斜視図である。 図8は、ファントムセンセーション錯覚による知覚点を示す図である。 図9は、本願発明者らが開発した上述のTELESAR Vと呼ぶテレイグジスタンスロボットの指装着型センサ/アクチュエータの外観を示す図である 図10は、本願発明者らが開発した上述のTELESAR Vと呼ぶテレイグジスタンスロボットの指装着型センサ/アクチュエータの装着時の外観を示す図である。 図11は、本実施形態の触感提示システムにおける触覚情報変換処理の一例を示すフローチャートである。 図12は、本実施形態の触感提示システムの触覚情報変換装置100における多点刺激処理の一例を示すフローチャートである。 図13は、本実施形態の触感提示システムにおける遠隔触感伝送処理の一例を示すフローチャートである。 図14は、硬表面、軟表面、粘表面を触った場合の接触面や圧力の変化を模式的に示した図である。 図15は、硬表面、軟表面、粘表面を触ったときに大変形が生じた場合の接触面や圧力の変化を模式的に示した図である。 図16は、指の変位量に対する硬表面、軟表面、粘表面の接触面積の変化を示す図である。 図17は、本実施例1の実験1で用いた実験装置の構成を指先側から模式的に示した図である。 図18は、本実施例1の実験1で用いた実験装置を指に装着する前の状態と装着後の状態を示した写真図である。 図19は、本実施例1の実験1にて、柔らか感を提示するために用いた実験条件(Press条件)を示す図である。 図20は、本実施例1の実験1にて、粘つき感を提示するために用いた実験条件(Release条件)を示す図である。 図21は、本実施例1の実験1による主観評価実験結果を示す図である。 図22は、本実施例1の実験2で用いた実験装置を指に装着した状態を示す写真図である。 図23は、本実施例1の実験2の実験条件(Press条件)を示す図である。 図24は、本実施例1の実験例2の実験条件(Release条件)を示す図である。 図25は、本実施例1の実験2による主観評価実験結果を示す図である。 図26は、電気刺激マトリックスと機械刺激マトリクスを組み合わせた高密度提示デバイスの構成例を示す図である。 図27は、本実施例2の実験装置(ペルチェ素子)の構成を示す図である。 図28は、本実施例2の実験環境と、ペルチェ素子の装着例を示す図である。 図29は、指先側から指を見た場合の温度刺激(Thermal stimulus)を与える位置を模式的に示した図である。 図30は、本実施例2の実験結果を示すグラフ図である。 図31は、本実施例2の実験2の実験装置を示す図である。 図32は、指先側から指を見た場合の温度刺激(Thermal stimulus)を与える位置を模式的に示した図である。 図33は、温刺激の場合の本実施例2の実験2の実験結果を示したグラフ図である。 図34は、冷刺激の場合の本実施例2の実験2の実験結果を示したグラフ図である。 図35は、本実験3(a.接触の有無+温度刺激)により接触に対する温度感覚のずれを示した図である。 図36は、本実験3(b.振動刺激の有無+温度刺激)により振動に対する温度感覚のずれを示した図である。 図37は、刺激の種類を2通り(温,冷)とし、刺激提示部位を4通りで行った実験結果を示す図である。 図38は、温刺激(左図)と冷刺激(右図)の場合、温度刺激が腹部(pad)と側部(side)の場合において、振動の有無で比較した結果を示す図である。 図39は、実験5、6の装置の配置を示す図である。 図40は、各身体部位における各刺激における誤差範囲の重なり方と知覚時間/知覚結果の関係を示した図である。 図41は、振動共鳴箱を備えた素子配置構造体の実施例を示す図である。 図42は、指の周囲に素子を配置する指サック形状の素子配置構造体の例を示す図である。 図43は、本実施例の各種素子V,E,H,Cの連続的水平配置パターンを示す図である。 図44は、本実施例の各種素子V,E,H,Cの連続的水平配置パターンの構造体を断面で見た断面図である。 図45は、他の繰り返しパターンを有する本実施例の素子配置構造体の一例を示す図である。
以下に、本発明の本実施形態にかかる触覚情報変換装置、触覚情報変換方法、触覚情報変換プログラム、および、記録媒体、並びに、素子配置構造体の実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、この実施の形態により本発明が限定されるものではない。例えば、以下の実施の形態においては本発明にかかる触覚情報変換装置の機能を、センサ等の入力部や、触覚刺激等を出力する出力部に接続した例について説明することがあるが、本発明はこれに限られず、例えば入力部や出力部には直接接続されない独立したサーバ装置等の機能として構成してもよい。このほか、本発明を、入力装置、送信装置、記憶装置、受信装置、もしくは、出力装置等の一部として、または、これらの装置間に設置される変換装置として構成してもよいものである。
[本実施形態の概要]
以下、本発明の実施形態の概要を説明するために、まず本発明の実施形態を考案するに至った背景および概要について説明し、その後、本実施形態の構成および処理等について詳細に説明する。なお、本実施形態の概要は、本発明の実施形態を考案するに至った背景および概要を示すものであり、本発明を限定するものではない。
本発明の実施形態が考案された背景として、従来、人間の感覚は、「特殊感覚」と「体性感覚」とに分けられることが知られていた。特殊感覚(specific sensation)とは、視覚であれば眼球、聴覚であれば耳などのように、対応した特別な感覚器が存在する感覚のことを指す。例えば、「加速度」という感覚は、耳、特に、耳の中の前庭である三半規管と卵形曩・球形曩という感覚器に対応しているという意味で特殊感覚に分類される。
一方、体性感覚(somatic sensation)とは、体分節性の感覚という意味であり、大きく分けると、皮膚に由来する皮膚感覚(cutaneous sensation)と、内部の筋や腱に由来する姿勢や運動の感覚である固有受容感覚(proprioception)とに分かれる。なお、固有受容感覚は自己受容感覚とも呼ばれている。
広義の「触覚」とは、これら皮膚感覚と固有受容感覚という体性感覚の全体を意味しており、本実施形態において「触覚」と呼ぶ場合は、広義の触覚を指す。なお、狭義の「触覚」は、本来的には、温・冷・痛などの多様な感覚も含まれる皮膚感覚のうちの、接触覚や圧覚のみを意味している。この接触覚や圧覚は、皮膚の中にあるメルケル細胞、マイスナー小体、パチニ小体やルフィニ終末などの感覚器に対応している。そして、皮膚全体がへこんだり引っ張られたりした場合には、その変形や振動が感覚器に伝わり感覚が生じる。
また、能動的触覚といって、自ら体を動かして触れることで、皮膚だけでなく、筋の筋紡錘、腱のゴルジ受容体などの感覚受容器が刺激されて起きる固有受容感覚との総合的な感覚もある。したがって、広い意味での触覚は、一つの感覚器に対応した、触れているか否かといった単純な感覚のみならず、固有受容感覚まで含めた、幅広い感覚の総合ともいえる。一例として、人間が広義の触覚によって、ある物体、例えば鉄の玉を認識するプロセスについて説明する。まず触れることで、人間は形状を知るのであるが、直に指で触らず、指に厚手の手袋をはめて、それを介して鉄の玉に触れても、腕、手、指の関節がどう動いて、どのような形になったという情報から、「球」と推測することができる。このことからも推測できるように、大まかな形状の認識は、皮膚ではなく、筋紡錘やゴルジ受容器などの固有受容感覚によっている。また大まかな形状に加え、硬さとか、バネのような反撥力を感じたり、水の中で腕を動かしたりするときの抵抗感などの感覚なども、固有受容感覚に由来する。
皮膚感覚は、もっと細かい「テクスチャ」(質感)と呼ばれる表面の細かい形状パターンを認識するものである。この感覚は、厚い手袋をした状態では生じず、皮膚で直に触ることが重要である。この感覚は、先述した能動的触覚によって更に認識精度が向上する。なお、この固有受容と皮膚感覚が一体となった運動をともなう触覚は、ハプティクス(触運動知覚:haptic perception, haptics)と呼ばれている。持って触れることだけでは鉄とまでは判別できないが、それが金属だろうと認識できるのは、テクスチャに加えて、温冷を感じる皮膚感覚によるところが大きい。なお、以下の本実施形態の説明において、触覚とは、特に皮膚感覚を指す場合があるが、これに限られず、固有受容感覚をも含んでもよい。
人間が直接ある物体を指の表面で触った時の感覚を伝えるために、人間の指の表面に、実際の物体と全く同じ物体を再現しなければならければ触覚をメディアとして扱うことは難しい。例えば、視覚の場合、物体の色は実際のスペクトルと異なっていても、人間のRGBの3原色のそれぞれを担う錐体細胞が同一の発火をすれば同じ色に見えるので、この原理を用いて、今日のテレビやカラー写真やカラーの印刷物に応用されている。
本願発明者らは、もしも光の三原色と同様に、触覚についても触原色が存在しているならば、視覚の場合と同様に触覚を情報メディア化できるはずであると考えた。触原色の存在を裏付ける事実として、人間の触覚において、明確に異なる種類の皮膚感覚器が存在していることが挙げられる。すなわち、3原色に対応するRGBの錐体細胞と同様に、触覚にも触原色に対応する、メルケル細胞、マイスナー小体、パチニ小体、ルフィニ終末などが存在する。また、温冷痛に反応する自由神経終末も存在する。従来の神経生理学研究の成果として、メルケル細胞とルフィニ終末は圧力と剪断力、マイスナー小体は低周波振動、パチニ小体は高周波振動を検知することが知られている。ここで、図1は、指を接触させて物体の上を滑らせる、もしくは静止させてから離した際の各細胞の反応を示す模式図である。横軸は時間であり、各細胞について縦軸は励起状態を示している。
図1に示すように、物体に接触した際には、メルケル細胞が圧力、マイスナー小体が低周波振動、パチニ小体が高周波振動を検知することにより、メルケル細胞で変位、マイスナー小体で速度、パチニ小体で加速度に意味づけして知覚することができる。図示のような平坦面に限らず、実物体には、凹凸形状、摩擦、熱、弾性といった多くの物理特性がある。皮膚感覚が生じる状況を考察すれば、物体を触ると皮膚表面に力と振動と温度変化等が生じ、それが皮膚の内側に伝わって、上述の感覚器が反応して触覚が生じる。そのため、本願発明者らは、物体の凹凸形状、摩擦、熱、弾性といった物理特性の如何にかかわらず、各感覚器に、その物体を触った場合と同様の反応を起こすことができれば、実際の物体に触れているかのように同じ触覚が人間に生じると考えた。すなわち、触覚も視覚と同様に触原色に対応する細胞を反応させることができれば、実物体を再現して提示するまでもなく、その触覚のみを再現して視覚と同様に情報メディアとすることができると本願発明者らは考えた。
この場合、感覚器に同一の発火を引き起こすには大別して二つの方法がある。第一の方法は、生理空間に基底を求め、電気刺激で基底となる感覚器そのものを選択的に発火させるという方法である。ここで、本実施形態において、「基底」とは、構成単位や要素といった意味である。電極をすべての感覚器の場所に埋め込んで刺激するという侵襲的な方法は実用的でないため、皮膚表面からの経皮電気刺激で、かつ、選択的に感覚器を刺激する方法が考えられる(例えば本願発明者による特許第3543097号参照)。この方法は、本願発明者により開発されたものであり、例えば陽極刺激によってマイスナー小体のみを選択刺激可能であり、陰極の電気刺激で皮膚電極を介してメルケル細胞を刺激して、圧覚に似た感覚を伝えることが可能である。しかしながら、パチニ小体を選択的に刺激することはできず、また、温冷も選択的に刺激できないという問題があった。また、逆に本来は痛覚を生じないような刺激でも、電気刺激により痛覚を伴ってしまうことがある。したがって、第一の方法は、生理空間の基底となる細胞を直接選択的に刺激する方法として、汎用的な刺激を与えられるまでに至っていない。
第二の方法は、視覚のRGBを基底とする方法と等価な方法で、物理空間で基底を選択する方式である。ここで、図2は、「力」、「振動」および「温度」の3基底を合成して、生理空間の触覚7基底を刺激する第二の方法を模式的に示した図である。メルケル細胞とルフィニ終末が圧力と剪断力、マイスナー小体が低周波振動、パチニ小体が高周波振動、自由神経終末は、温、冷、痛に応答することから、実物体を触ったときの人間の皮膚表面での、圧力と剪断力、すなわちベクトル力としての「力」、低周波から高周波までの「振動」と、「温度」とが、実際に触っていなくとも同様に提示することができれば、人間は、実際と同じ感覚を得ることになる。力や振動などは、人間の能動的な運動により変化していく場合が多いが、その場合は人間の動きに追従して再現すればよい。これは、視覚において、光のすべてのスペクトラムを再現せず、RGBに対応したスペクトラムのみを基底として用いて、その基底に基づく合成で、殆ど全ての視覚情報を再現している方式と類似の方式といえる。すなわち、物体の有する凹凸形状、摩擦、熱、弾性といった物理特性をすべて再現するのではなく、その物体との接触によって皮膚表面に生じ、受容器の細胞が捉えられる、「力」、「振動」、「温度」の三つの物理量のみを基底として、それらの時間変化を記録し、伝送して、それらの基底を基に合成すればよいと本願発明者らは考えた。すなわち、本願発明者らは、この第二の方法を触原色原理の基本形として開発を進めた。
ここで、「力」、「振動」、「温度」を基底とする方法には、小型化にむけて問題が残されており、更なる鋭意検討の必要があると本願発明者らは考えた。すなわち、「力」の提示は、力という物理量のもつ特性から、力を加える点とは別の場所に、力を及ぼすための固定場所(接地)を用意する必要がある。例えば、指腹に力を加えるためには、指の甲などの部分に接地させ、そこから力を加えなければならない。これでは、提示装置そのものを作製する際に、その刺激部位の付近にのみに装置を収めきれない。したがって、必然的に比較的大きな空間を要し、デバイスを小型化する際の大きな制約となる。また、一般的な皮膚表面への力提示では、押す方向への圧力は提示可能でも、引く方向への力が提示できない、という問題も残る。引く方向の力が提示できなければ、例えばネチョネチョ感などのオノマトペで表現される多様な心理質感の提示が難しくなる。ここで、図3は、粗さ軸、硬さ軸、湿り軸の3軸のマップに様々なオノマトペを位置付けた心理質感マップの一例を示す図である。
本発明にかかる一実施形態は、上述した様々な問題に鑑み、本願発明者らにより鋭意検討の結果、考案されたものであって、「力」、「振動」、「温度」の3基底に加えて、「電気」を基底に含めることで解決を図る。すなわち、第一の方法と第二の方法とを組み合わせ、互いにデメリットが補完されるように構成する。ここで、図4は、物理空間において、「力」、「振動」、「温度」、および「電気」の4基底に基づいて合成し、心理空間の様々な触感を再現する本実施形態の方法を模式的に示した図である。
なお、本実施形態は、「力」を全て「電気」で置き換え、4基底のうちの「力」の関与を零として、3基底に基づいて合成してもよい。また、本実施形態は、これに限られず、更に「時間」および/または「空間」の時空間的要素を基底に加えてもよい。電気は実際の通常の物体との接触では、静電気を感じたりする特別の場合を除いては生じないが、れっきとした物理量であることから、物理空間の基底である。
この電気刺激が、圧覚や振動覚、さらには痛覚なども生じさせることから、電気刺激の与え方によって、心理空間における5基底の触感へ効果を及ぼすことが本実施形態の大きな特徴である。すなわち、物理空間の基底に基づいて生理空間の7基底の触覚を刺激するアプローチではなく、本実施形態は、電気を含む物理空間の複数の基底を合成して、心理空間の5基底に基づく多様な触感を再現するアプローチである。例えば、電気を含む物理空間の複数の基底を適切に選択するとともに、選択された物理量に基づいて、所定の触感を提示するための触覚情報を作成することにより、オノマトペで表現されるような心理質感、言い換えれば、人体の複数の異なる触覚受容器で得られる情報から脳内で統合的に認知される心理量、を再現することができる。これにより、単に触覚を刺激する従来の手法とは異なり、マルチモーダル(多感覚形式)に基づく触知性に働きかける触感提示を行うことができる。オノマトペで表現されるような心理質感を提示する具体的手法については後述する。
本発明の一実施形態によれば、特に、硬柔、乾湿などの感覚を与えて、従来の力、振動、温度のみで提示できる感覚の範囲を大幅に広めることができる。また、力を提示しにくい場合には、力の提示を電気によって代替して行うことができるので、小型化のマルチモーダル(多感覚形式)のデバイスを作ることが可能になる。この電気を含む物理空間の複数の基底に基づいて合成して触感を提示することが本実施形態の大きな特徴の一つである。
また、本発明の一実施形態によれば、電気、温度、振動、および、力のうち、少なくとも2種類の触覚を提示してマルチモーダル(多感覚形式)のデバイス等を作るため、素子の積層型および/または水平配置型の素子配置構造体であって、(1)振動または温度の提示素子よりも、電気の提示素子を身体側に積層配置すること、(2)振動の提示素子よりも、温度の提示素子を身体側に積層配置すること、(3)力の提示素子よりも、電気、温度、および/または、振動の提示素子を身体側に積層配置すること、および、(4)少なくとも振動の提示素子を水平配置すること、のうち一つまたは複数の組合せであることが本実施形態の特徴の一つでもある。
以上が本実施形態の概要である。つづいて、上述した本発明の実施形態を実現するための装置構成や処理の詳細な例について、以下に詳しく説明する。
[触感提示システムの構成]
触覚情報変換装置を含む触感提示システムの構成について図面を参照しながら説明する。図5は、本発明の実施形態にかかる触覚情報変換装置を含む触感提示システムの構成の一例を示すブロック図であり、該構成のうち本発明に関係する部分のみを概念的に示している。
図5に示すように、本実施形態において、触感提示システムは、触覚情報変換装置100と、各種センサ等の外部入力装置120と、物理量を出力可能な外部出力装置140と、サーバ等の外部機器200とを、ネットワーク300を介して接続して構成される。なお、図5では、触覚情報変換装置100、外部入力装置120、外部出力装置140、および、外部機器200は、各一台が触感提示システムに備えられた例が図示されているが、これに限られず、触感提示システムは、各装置を複数台備えてもよい。ここで、触覚情報変換装置100は、パーソナルコンピュータや、サーバ用コンピュータ、携帯情報端末(タブレット型コンピュータ等)などである。ネットワーク300は、触覚情報変換装置100と外部入力装置120と外部出力装置140と外部機器200とを相互に接続する機能を有し、例えば、有線または無線のLANやインターネット等である。
ここで、図5において、外部入力装置120は、各種のセンサ等の入力手段である。ここで、外部入力装置120は、カメラや、タッチパネル、モーションセンサ等の、利用者の動きや物体を認識する認識装置であってもよい。具体的には、外部入力装置120は、カメラや圧力センサ等の任意の検出手段によって、人物の身体の動きを認識してもよい。例えば、外部入力装置120は、公知のジェスチャー認識技術や、公知のモーションセンサ等を用いて利用者の身体の動きを検出してもよい。ジェスチャーは、物理空間における利用者の位置および動きから得ることができ、腕や脚の動き、または静止姿勢というような、動的または静的な、任意の利用者の動きを含むことができる。
本実施の形態の一例として、外部入力装置120において、カメラのようなキャプチャー・デバイスが、ユーザー画像データを取り込み、このユーザー画像データから、利用者のジェスチャー(1つまたは複数)を認識してもよい。より具体的には、外部入力装置120は、コンピュータ環境を使用して、利用者の三次元物理空間において利用者によって行われたジェスチャーを認識および分析し、解釈した利用者の動作データや解析前ローデータ等を、触覚情報変換装置100に送信してもよい。一例として、外部入力装置120は、手指の形状や身体の姿勢、接触箇所、接触面積、圧力、振動等を検出する装着型センサであってもよい。例えば、本願発明者らにより開発された指先への反力や温度を伝えられるテレイグジスタンスシステムであるTELESARシステムのグローブ型センサ等のセンシング技術を用いてもよい。ここで、後述する一体型触覚計測モジュール等のように、外部入力装置120は、2次元配置された複数の力検出センサや、振動発生源と振動検出センサ、温度センサ、タイマー等を備えてもよい。公知のモーション認識手段の一例として、マイクロソフト社製Kinectセンサや、インテル社製RealSenseセンサ等を用いてもよい。これら公知のセンシング技術によれば、全身や手指のスケルトン動作データや接触データ等のモーションデータを得ることができる。なお、公知のモーションセンサでは、センサ内蔵の制御手段を用いて人物の動きが解析されるか、あるいは、接続されたコンピュータの制御手段にて人物の動きや属性が解析されるが、本実施の形態はいずれであってもよく、例えば、これら解析機能を、外部入力装置120の制御手段(プロセッサ等)により実現してもよく、解析前ローデータを受信した触覚情報変換装置100の制御手段により実現してもよく、あるいは両者の制御手段により分散して解析機能を実現してもよい。このほか、非特許文献2等に記載の公知のフィルム圧力センサ等を用いてもよい。
上述のように外部入力装置120は、カメラ等で撮像した画像から物体を認識して、認識した物体に応じた触感を提示目的とするために用いてもよく、外部入力装置120は、利用者の身体の姿勢や動きに応じて、然るべきタイミングで触覚刺激を提示するために用いてもよい。このほか、外部入力装置120は、触覚あるいは触感そのものを検出して、検出した触感あるいは、検出した触覚情報から学習結果に基づいて認識された触感を提示するために用いてもよく、検出した触覚や触覚に基づいて実際の触感が提示されるように感覚量との誤差を補完するための基礎データとして用いてもよい。ここで、図6は、触原色原理に基づく一体型触覚計測モジュールの構造を示す斜視図である。また、図7は、触原色原理に基づく一体型触覚伝送モジュールの構造を示す斜視図である。
触原色原理では、触覚を、圧覚/剪断力(メルケル細胞・ルフィニ終末により知覚)/低周波振動覚(マイスナー小体により知覚)/高周波振動覚(パチニ小体により知覚)/冷覚/温覚/痛覚(それぞれ自由神経終末により知覚)の各要素間の時空間的関係性からの合成として捉え、触覚の分解と合成を実現する。図6および図7に示すように、本願発明者らは、この触原色原理に基づいて、力・振動覚・冷温覚の各要素を一体的に取得し提示できるモジュールを開発した。いずれも長さ24mm、幅12mm、高さ6mmであり、指腹部に接触させるのに適したサイズである。
図6に外部入力装置120の一例として示す一体型触覚計測モジュールでは、表層に32点分布型圧覚計測センサ120aを配し、その下位の中間層には体温提示機能を有する温冷感計測センサ120bを配し、さらなる下層に広周波数域の振動感計測センサ120cを配している。
また、図7に外部出力装置140の一例として示す一体型触覚提示モジュールでは、表層に32点電気触覚刺激による分布型圧力提示部140aを配し、その下位の中間層にはペルチェ素子4枚のマトリクスによる高速駆動型温冷感提示部140bを配している。さらなる下層に広周波数域(HiFi)の振動提示部140cを配置している。
これにより、これまで個別の物理特性として捉えられ、その伝送には多数の素子を組み合わせることが要求された力・振動・温度を時空間的に統合し、高い臨場感を有する触覚の伝送を実現することができる。従来、小型の触覚伝送モジュールを実現するにあたってはいくつかの技術的課題が存在していた。まず、従来、圧覚および低周波振動覚の提示には、一般的にはモータや空気圧等のアクチュエータを利用し、皮膚に物理的な力を発生させるが、このような方法では一定以上の小型化は望めなかった。そこで、本実施形態では、経皮電気刺激による触覚受容器の選択的刺激を利用し、圧覚を知覚するメルケル細胞、および低周波振動覚を知覚するマイスナー小体に繋がる神経を、皮膚上から電気的に刺激することで、物理的な刺激なしに圧覚および低周波振動覚を自在に生み出すことができる。刺激パターンを変化させることで、圧覚/低周波振動覚それぞれを選択的に刺激できることが示される。また、刺激電極ついては、フレキシブルプリント基板を用いた薄型・高密度の電気触覚ディスプレイを用いる。
人の触知覚特性上、圧覚の提示に関しては最も細かい2点弁別閾をもつ指先でも2mmピッチで十分であることが示されている。本実施形態の一体型触覚計測モジュールでは、フレキシブル基板を用いて、一体型触覚提示モジュールの電気触覚ディスプレイに対応した多点計測を可能とする薄型圧覚センサを用いて、高密度・多点の圧覚を取得し提示する薄型のセンサおよびディスプレイを構成する。すなわち、分布型圧覚計測センサ120aおよび分布型圧力提示部140aは、3mm以内の間隔で4行8列の32点の、精度の高い圧覚提示と圧覚計測が実現できる。なお、このモジュールは、小型化一体化することで、指先に限らず、人間の体表のどの部分にも適用可能である。また、触原色の原理に基づくエンコーディングをしているため、汎用的な使用が可能となる。
高周波振動覚の提示については、従来、多くの振動アクチュエータが開発されているが、そのほとんどが200Hz前後の人が最も知覚しやすい周波数帯に共振周波数を設定して設計されている。これは、低い消費電力で強い刺激を提示するには有効だが、一方で、自然な触動作において発生する多様な振動周波数を含む繊細な触感の提示には適さない、という問題があった。そのため、一体型触覚提示モジュールの振動提示部140cでは、振動覚提示に最適な振動アクチュエータを実現するため、1Hz〜1000Hzの広い振動周波数帯において、フラットな特性での振動覚の提示を可能とする小型の振動アクチュエータを用いる。触覚の生理学的知見として、高周波振動を主に知覚するパチニ小体は、1〜2cm程度の大きな受容野をもつことが知られており、このことから、振動アクチュエータのサイズを2cmとして設計した。なお、振動感測定部120cによる振動覚の取得については、振動マイクを用いて広い周波数帯の振動を取得する技術が確立しており、これを適用した。
冷温覚の提示について、触原色原理において、絶対的な温度を再現するのではなく、人の皮膚と接触対象との間の熱移動を再現することが必要であることが知られている。そのため、温冷感計測センサ120bおよび温冷感提示部140bは、冷温覚の取得と提示における双方向性、すなわち冷温覚を取得するセンサが、人と同等の体温を再現するディスプレイとしての機能を有する。また、従来の冷温覚伝送においては時間応答性が低いことが課題とされているが、人の冷温覚知覚特性を活用し、複数の温度提示素子をマトリクス状に配置し制御することで1Hz程度の温度変化を可能とする高速冷温覚提示手法により、時空間的に変化する温冷感の伝送を可能とする。
再び図5に戻り、上記の一体型触覚提示モジュールに限られず、外部出力装置140は、電気、力、温度、振動、時空間などを含む物理量を出力可能な出力部である。例えば、外部出力装置140は、電気刺激子や、力提示アクチュエータ、ペルチェ素子、振動素子などを、マトリックス状に配置して時空間的に出力可能な出力デバイスであってもよい。ここで、振動子は、ボイスコイル型振動子、ピエゾ素子、または、バイブレーションモータであってもよい。このほか、外部出力装置140は、公知の電気出力手段、力提示手段、温度提示手段、振動提示手段、時空間配置手段を用いて、上述の物理量を出力してもよい。一例として、本願発明者らにより開発された指先への反力や温度を伝えられるテレイグジスタンスシステムであるTELESARシステムの物体検知感覚提供技術を用いてもよい(例えば特開2013−91114号公報参照)。なお、外部出力装置140は、上述した一体型触覚提示モジュール等のように、二次元配置された複数の押圧手段、振動発生手段、発熱手段、タイマー、受信装置等を備えてもよい。
ここで、外部出力装置140等において、電気、力、温度、振動等のうち少なくとも2種類の触覚出力を行って、複数の種類の刺激を異なる点から一点に集中して定位させたり、同種の刺激でファントムセンセーションにより複数の素子間で刺激を定位させたり、マルチモーダルな触感を提示させたりする場合などに好適な素子配置構造体の例について説明する。なお、素子配置構造体は、素子を積層配置してもよく、または皮膚面に平行に水平配置してもよく、その一部を積層配置とし他の部分を水平配置してもよい。
(1)素子配置構造体の特徴の一つとして、下表のように、振動または温度の提示素子よりも、電気の提示素子を身体側に積層配置してもよい。振動や温度は、構造体を伝わりやすく生理的な弁別も曖昧であるのに対し、電気は、皮膚表面に直接提示しなければ刺激が伝わりにくく弁別が厳密であるので、素子配置として好適である。
(2)また、素子配置構造体の特徴の一つとして、下表のように、振動の提示素子よりも、温度の提示素子を身体側に積層配置してもよい。温度と振動では、比較的、振動の方が構造体内部を伝わりやすく生理的弁別も曖昧であるのに対し、温度の方が構造体を伝わりにくく生理的弁別も厳密であるので、素子配置として好適である。
(3)また、素子配置構造体の特徴の一つとして、下表のように、力の提示素子よりも、電気、温度、および/または、振動の提示素子を身体側に積層配置してもよい。これらの中では、力の方が構造体内部を伝わりやすく、素子配置として好適である。
(4)また、素子配置構造体の特徴の一つとして、少なくとも振動の提示素子を水平配置してもよい。例えば、振動の提示素子を水平配置する場合に、振動を音に変換ないし振動共鳴ないし放熱のための空隙を設けてもよい。下表のように、水平配置された振動の素子と素子の間で、空隙を設けることによって、振動や音を共鳴させて増幅させることができ、また、ペルチェ素子などで皮膚側に提示する必要のない不要な熱を好適に放熱させることができる。なお、素子配置構造体は、全体として身体の周囲を取り囲むように装着される場合に、腹側の触覚提示を妨げないように、背側に空隙を設けてもよい。
また、素子配置構造体の特徴の一つとして、電気の提示素子を密に、温度および/または振動の提示素子を疎に、水平配置してもよい。これらの中では、比較的、温度/振動の方が、二点弁別閾が大きく生理的弁別が曖昧であるのに対し、電気の方が、二点弁別閾が小さく生理的弁別が厳密であるので、素子配置として好適である。
また、素子配置構造体の特徴の一つとして、少なくとも一部が水平配置である場合に、全体として可撓性を有するように構成されてもよい。これは、少なくとも一部が水平型の素子配置構造体が、全体として身体の周囲を取り囲むように設ける場合に特に好適である。皮膚に密着しやすいように、例えば、水平配置の素子が、フレキシブル基板に載置されていてもよい。他の例として、全体として可撓性を有するように、水平配置の素子と素子の間が、連結されていてもよい。例えば、水平配置の素子は固い基板に載置されているが、固い基板同士が、回動可能に連結されていれば、全体として可撓性を有することになる。他の例として、素子基板が細い帯状で、コネクタ等によって接続されており、帯状の一本一本が湾曲、左右ずれ等を生じることにより、球面に近い体表面の形状にフィットするように形成されてもよい。なお、積層配置において、皮膚側の基板と、外側の基板との間に、弾性体の層を設け、体にフィットしやすいように構成してもよい。弾性体としては、シリコンゴムや発泡ウレタン等であってもよい。
ここで、上述した素子配置構造体において、電気の提示素子が電気提示を行わない際に、接地(アース)として機能させてもよい。特に、多数の電気の提示素子が水平配置された場合に、電気刺激のために通電する素子は限られるので、その周囲を接地(アース)として機能させて、電位のグラウンドとすることができ好適である。
なお、触覚情報変換装置100が、外部入力装置120や外部出力装置140とリアルタイムに触覚等の入出力を行わない場合、常時、ネットワーク300に接続される必要はない。例えば、触覚情報変換装置100は、接続を確立した際に、外部入力装置120に記憶された入力データや、外部入力装置120からサーバ等の外部機器200等に記憶された入力データを取得してもよい。同様に、外部出力装置140は、触感提示を行う場合に、触覚情報変換装置100や、触覚情報がアップロードされた外部機器200に接続して、触覚情報を取得してもよいものである。
[触覚情報変換装置100の構成]
つづいて、本実施の形態の触覚情報変換装置100の構成について詳細に説明する。再び図5に戻り、図示は、本実施の形態が適用される触覚情報変換装置100の構成の一例を示すブロック図を示しており、該構成のうち本実施の形態に関係する部分を中心に概念的に示している。なお、本実施の形態において、触覚情報変換装置100は、入力部112や出力部114等を備えた例について説明するが、これに限られず、入力部112や出力部114等を備えることなく、外部から要求に応じて触覚情報を作成して出力送信するサーバ等として機能してもよいものである。
図5において、触覚情報変換装置100は、概略的に、触覚情報変換装置100の全体を統括的に制御するプロセッサ(例えばCPU)等の制御部102、通信回線等に接続されるルータ等の通信装置(図示せず)に接続される通信制御インターフェイス部104、入力部112や出力部114に接続される入出力制御インターフェイス部108、および、各種のデータベースやテーブルなどを格納する記憶部106を備えて構成されており、これら各部は任意の通信路を介して通信可能に接続されている。なお、各部は、入力部112や出力部114による入出力の必要に応じて、一時的に任意の通信路を介して通信可能に接続される構成となっていてもよい。例えば、USBメモリ等の記録媒体で、一時的に各部が触覚情報を授受できるように構成されてもよい。
記憶部106に格納される各種のデータベースやテーブル(例えば、触覚定義ファイル106a、物体触感データベース106b等)は、SRAM(Static Random Access Memory)等を用いて構成される小容量高速メモリ(例えば、キャッシュメモリ)等や、HDD(Hard Disk Drive)やSSD(Solid State Drive)等の固定ディスク装置等のストレージ手段であり、各種処理に用いる各種のプログラムやテーブルやファイルやデータベースやウェブページ等を格納する。
このうち、触覚定義ファイル106aは、提示する二以上の複数の触覚刺激の種類を定義する触覚定義手段である。なお、触覚定義ファイル106aは、第一刺激点との時間的および/または空間的な閾値を記憶してもよい。例えば、触覚定義ファイル106aは、第一の種類の触覚刺激と第二の種類の触覚刺激を定義してもよい。より具体的には、触覚定義ファイル106aは、第二の種類の触覚刺激として、第一の種類の触覚刺激よりも、時間的または空間的な生理的弁別閾が大きい種類の触覚刺激を定義してもよい。これにより、後述する出力制御部102cの処理により、第二の種類の触覚刺激を第一刺激点に知覚させることができる。また、触覚定義ファイル106aは、第一の種類の触覚刺激として、第二の種類の触覚刺激よりも、時間的または空間的な生理的弁別閾が大きい種類の触覚刺激を定義してもよい。これにより、後述する出力制御部102cの処理により、第一の種類の触覚刺激を第二刺激点に知覚させることができる。なお、「弁別閾」とは、刺激の相違を知覚できる最小の変化量を意味する。例えば、時間的な生理的弁別閾とは、刺激の相違を知覚できる最小の時間差のことであり、空間的な生理的弁別閾とは、刺激の相違を知覚できる最小の空間位置差(距離等)を指す。通常、時間的な生理的弁別閾、空間的な生理的弁別閾は、身体の部位に応じて、所定の閾値があり、一例として、公知の時間的または空間的な生理的弁別閾の閾値の範囲(同一の時/場所として知覚される上限値、別の時/場所として知覚される下限値)を用いて予め触覚定義ファイル106aの所定の閾値を設定してもよい。一般に、力(特に圧力)、電気、振動、温度の順で時空間的に弁別が難しくなると考えられる。
一例として、触覚定義ファイル106aは、第一の種類の触覚刺激として力提示を定義し、振動、温度、および、電気刺激のうちの一つまたは複数を、第二の種類の触覚刺激として定義してもよい。これにより、振動、温度、および/または、電気刺激を、力提示の刺激点に定位して知覚させることができる。なお、触覚定義ファイル106aが、振動、温度、および、電気刺激のうちの一つまたは複数を、第一の種類の触覚刺激として定義し、第二の種類の触覚刺激として力提示を定義することによっても同様の効果が得られる。
他の例として、触覚定義ファイル106aは、第一の種類の触覚刺激として振動提示を定義し、第二の種類の触覚刺激として温度刺激を定義してもよい。これにより、温度刺激を、振動提示の刺激点に定位して知覚させることができる。なお、触覚定義ファイル106aが、第一の種類の触覚刺激として温度刺激を定義し、第二の種類の触覚刺激として振動提示を定義することによっても同様の効果が得られる。
他の例として、触覚定義ファイル106aは、第一の種類の触覚刺激として電気刺激提示を定義し、振動および/または温度を、第二の種類の触覚刺激として定義してもよい。これにより、振動および/または温度の刺激を、電気提示の刺激点に定位して知覚させることができる。なお、触覚定義ファイル106aが、振動および/または温度を、第一の種類の触覚刺激として定義し、第二の種類の触覚刺激として電気刺激提示を定義することによっても同様の効果が得られる。
つづいて、物体触感データベース106bは、物体と触感を対応付けて記憶した物体触感蓄積手段である。例えば、物体触感データベース106bは、公知の物体認識手法により現実世界の中で物体が認識された場合に、あるいは拡張現実空間や仮想空間中の仮想の物体について、その物体に応じて、提示すべき触感を定義している。ここで、物体触感データベース106bは、提示すべき触感として、人体の複数の異なる触覚受容器で得られる情報から脳内で統合的に認知される心理量などのように、心理触感を定義してもよい。物体触感データベース106bは、上述した図3で示した心理触感マップ(オノマトペ地図)のように、素材や物体などを、所定の定量軸上に位置付けたマップを用いて、物体ないし素材に対応する触感を定義してもよい。
ここで、一例として、物体触感データベース106bは、以下の表のように、対象物や触感に応じて、電気を基底として含まない入力用の触覚情報から、電気を基底として含む出力用の触覚情報へと変換する変換テーブルを記憶してもよい。この変換テーブルを用いることによって、例えば、一般的な皮膚表面への力提示では、押す方向への圧力は提示可能でも、引く方向への力が提示できない、という問題等を解決し、電気を含む刺激提示によって引く方向の力を再現して、例えばネチョネチョ感などのオノマトペで表現される多様な心理質感の提示ができるようになる。
ここで、触覚定義ファイル106aや物体触感データベース106b等に記憶される情報は、外部機器200等から定期的にあるいは都度ダウンロードしてもよく、記憶部106は、ダウンロードした情報を一時的にあるいは非一時的に記憶してもよい。
また、図5において、入出力制御インターフェイス部108は、各種センサ等の入力部112や、物理量等を出力可能な出力部等の出力部114の制御を行う。各種センサ等の入力部112としては、上述した外部入力装置120と同様の機能を備えてもよい。また、物理量等を出力可能な出力部等の出力部114としては、上述した外部出力装置140と同様の機能を備えてもよい。このほか、出力部114としては、モニタ(家庭用テレビやタッチスクリーンモニタ等を含む)等を用いることができる。また、入力部112としては、タッチパネル、音声マイク、キーボードなどを用いることができる。一例として、入力部112および出力部114は、液晶パネル等の出力部114と、タッチ位置入力装置等の入力部112とを組み合わせたタッチパネル等の入出力手段であってもよい。また、入出力制御インターフェイス部は、USBメモリ等の記録媒体と接続してデータを授受する制御を行ってもよい。なお、以下の実施の形態においては、入力手段として、入力部112を用いても外部入力装置120を用いても、いずれであってもよく、この場合に、まとめて入力手段112,120と呼ぶ場合がある。同様に、出力手段としては、出力部114を用いても外部出力装置140を用いても、いずれであってもよく、まとめて出力手段114,140ないしは出力部114,140と呼ぶ場合がある。
また、図5において、制御部102は、OS(Operating System)等の制御プログラム、各種の処理手順等を規定したプログラム、および所要データを格納するための内部メモリを有し、これらのプログラム等により、種々の処理を実行するための情報処理を行うCPU等のプロセッサである。制御部102は、機能概念的に、提示触感設定部102a、作成部102b、および、出力制御部102cを備えて構成されている。
このうち、提示触感設定部102aは、提示目的とする触感を設定する提示触感設定手段である。例えば、提示触感設定部102aは、予め定められた触感を提示目的として設定してもよい。他の例として、提示触感設定部102aは、外部入力装置120や入力部112から得られたモーションデータに基づいて、身体の動きに対応する触感を、提示目的として設定してもよい。また、提示触感設定部102aは、外部入力装置120や入力部112から得られた実物体の物体認識により認識された物体または仮想の物体に関する情報に基づいて、物体触感データベース106bから当該物体に対応する触感を取得することにより、提示目的とする触感を設定してもよい。このほか、提示触感設定部102aは、外部入力装置120や入力部112等を介して、利用者に提示目的とする触感を設定させてもよい。一例として、提示触感設定部102aは、上述のように入力手段120,112のフレキシブル基板を用いて時間軸に多点計測を行い、この時間軸を加味した接触面積や圧力分布の変化等から、粘つく感覚やもちもち感などの触感を判定してもよい。なお、判定した触感から提示する触覚情報への変換は、上述した表などの変換テーブルを用いて制御部102により変換されてもよい。ここで、提示触感設定部102aは、上述したTELESARシステム等のロボットの手指部の触覚センサ(力センサ、振動センサ、温度センサなどの入力手段120,112)の情報を取得し、機械学習などの方法によって、複数のオノマトペなどの触感に関するカテゴリー情報に分類し、カテゴリー情報で表現される触感と、触覚ディスプレイ(力、電気、振動、温度などの刺激を提示する出力手段140,114)の時空間的な組み合わせとを対応付けて、物体触感データベース106bに格納してもよい。これにより、離隔した場所にある物体の触感を、触覚センサの情報から推測することができ、推測した触感を、別の場所にいる利用者に多感覚形式で提示することができるようになる。なお、提示触感設定部102aは、公知の手法等で入力手段120,112や出力手段140,114のキャリブレーションを行ってもよい。例えば、提示触感設定部102aは、外部出力装置140に対して、初期動作信号を送信し、外部出力装置140が初期動作信号に応じて出力を行うことにより、様々なキャリブレーションを実行してもよい。
また、作成部102bは、提示目的とする触感に応じて、少なくとも二つ以上の複数の物理量を選択するとともに、選択された物理量に基づいて、所定の触感を提示するための触覚情報を作成する作成部102bである。なお、本実施の形態において、複数の物理量を基底として合成するため、作成部102bは、提示目的とする触感に応じて、少なくとも二つ以上の複数の物理量を選択するとともに、選択された物理量に基づいて、所定の触感を提示するための触覚情報を作成してもよい。一例として、物理量は、少なくとも電気を含み、力、温度、振動、および/または、時空間を含む物理量であって、作成部102bは、このうち少なくとも二つ以上の複数の物理量を選択して触覚情報を作成してもよい。なお、作成部102bは、力の時間変化による触感を提示する場合、少なくとも電気および時空間の物理量を選択して触覚情報を作成してもよい。ここで、作成部102bは、触覚定義ファイル106aにて定義された第一および第二の種類の触覚刺激を、複数の物理量として選択してもよい。作成部102bは、上述した提示触感設定部102aにより設定された触感を提示目的として、複数の物理量を選択して触覚情報を作成してもよい。一例として、作成部102bは、物体触感データベース106bを参照して、入力手段120,112から得られた触覚センサの情報に対応する触感を判断し、当該触感を提示するため電気刺激等の複数の物理量に基づく触覚情報を作成してもよい。
ここで、作成部102bによる複数の物理量の合成を伴うエンコーディングについて説明する。例えば、手に「柔らかい」触感を提示しようとするとき、上述した触覚提示モジュール単体で「柔らかさ」を提示可能な触覚信号は存在せず、手が物体をどの程度押し込んだか、という運動情報(モーションデータ等)に応じて、触原色の各触覚要素において提示する触覚信号を時空間的に変化させる必要がある。また、外部入力装置120や入力部112により、身体的経験を記録する場面と、外部出力装置140や出力部114により、それを体験する場面において、利用者の身体運動が完全に一致するとは限らず、異なる運動状態下で同じ触覚制御信号を提示するのでは、異なる触感として知覚されてしまう。そのため、触覚情報変換装置100は、単純に記録した触覚情報をそのまま提示するのではなく、身体運動の差異に応じた適切な変換を行うことが重要である。
図4を用いて上述したように、人が感性的に感じる触感を触覚の心理空間、その触感を構成する神経パルスを生じさせる触覚受容器等の生理学的要素を触覚の生理空間、触覚受容器を活動させる物理的な刺激を触覚の物理空間と定義する。本実施形態の触覚伝送モジュール120,112は、電気刺激によるメルケル細胞とマイスナー小体の生理空間における刺激と、振動と温度の物理空間における刺激と、のハイブリッドな構成であると捉えられる。そのため、触覚伝送モジュール120,112を用いて任意の触感を提示するには、心理空間上の任意の「触感」を、触覚提示モジュール140,114の各感覚要素に分解し、身体運動に応じてインタラクティブに選択するとともに、選択された物理量に基づいて、所定の前記触感を提示するための触覚情報を作成するアルゴリズム、及びそれを触覚情報変換装置100にて実行可能なソフトウェア環境の構築が必要不可欠となる。そこで、触覚情報変換装置100の制御部102が、作成部102bや出力制御部102c等の処理により、実世界から記録した情報を編集・加工して任意の触覚情報を創造し、体験中の身体運動に併せて適切な触覚制御信号に変換するアルゴリズム、および、実世界から記録した触覚情報を異なる身体運動に対応した新たな触覚情報に変換するアルゴリズムを実行し、触原色エンコーダとして機能する。
再び図5に戻り、作成部102bによる複数の物理量の合成の具体的アルゴリズムについて述べる。例えば、柔らかい心理質感を提示する場合、言い換えれば「もちもち感」を提示する場合、作成部102bは、非接触状態から接触状態への遷移過程または身体の変位過程において、硬表面の場合よりも強い電気、力、もしくは振動の刺激、または、硬表面の場合よりも広い面積の電気、力、もしくは振動の刺激が与えられるように複数の物理量により合成してもよい。一例として、作成部102bは、硬表面に対して指等を接触させた場合に受ける触覚刺激の強さよりも、強い電気刺激、力、もしくは振動の刺激を与えてもよい。また、作成部102bは、硬表面に対して指等を接触させた場合に受ける触覚刺激の接触面積よりも広い面積の電気、力、もしくは振動の刺激を与える触覚情報を作成してもよい。なお、指等の非接触状態から接触状態への遷移過程や、その動きを示す身体の変位過程は、上述した外部入力装置120や入力部112により受信されるモーションデータに基づいて判定することができる。
他の例として、粘つく心理質感を提示する場合、言い換えれば「ねばねば感(stick feeling)」を提示する場合、作成部102bは、接触状態から非接触状態への遷移過程または身体の変位過程において、硬表面の場合よりも強い電気、力、もしくは振動の刺激、または、硬表面の場合よりも広い面積の電気、力もしくは振動の刺激が与えられるように複数の物理量により合成してもよい。一例として、作成部102bは、同じ圧力で硬表面から指等を接触状態から離す場合に受ける触覚刺激の強さよりも、強い電気刺激、力、もしくは振動の刺激を与えてもよい。また、作成部102bは、同じ指等の動きで硬表面から指等を離す場合に受ける触覚刺激の接触面積よりも広い面積の電気刺激、力刺激、もしくは振動刺激を与える触覚情報を作成してもよい。なお、指等の接触状態から非接触状態への遷移過程や、その動きを示す身体の変位過程は、上述した外部入力装置120や入力部112により受信されるモーションデータに基づいて判定することができる。
また、出力制御部102cは、外部出力装置140や出力部114等の出力部側に触覚情報を出力する出力制御手段である。具体的には、出力制御部102cは、作成部102bにより作成された触覚情報を出力手段140,114側に出力する。例えば、出力制御部102cは、触覚情報を外部出力装置140に送信してもよく、入出力制御インターフェイス部108を介して出力部114に出力してもよい。ここで、図5に示すように、出力制御部102cは、更に、第一刺激部102dと第二刺激部102eを備えてもよい。
第一刺激部102dは、第一の種類の触覚刺激が生じる第一刺激点を判定する、または、出力部140,114を介して第一の種類の触覚刺激を第一刺激点に発生させる第一刺激手段である。すなわち、第一刺激部102dは、出力部140,114を介して第一の種類の触覚刺激を能動的に第一刺激点に発生させてもよく、利用者が物体に対して相対的に動くことにより生じた第一の種類の触覚刺激の第一刺激点を判定してもよい。ここで、刺激点は、時間における時点および/または空間における位置点(一次元線上の位置、二次元平面上の位置、三次元空間上の位置等)を意味する。一方、第二刺激部102eは、第一刺激部102dにより判定または発生される第一の種類の触覚刺激の第一刺激点から、時間的および/または空間的に所定の閾値内で離隔した第二刺激点において、出力部140,114を介して第二の種類の触覚刺激を発生させる第二刺激手段である。時間的な所定の閾値や、空間的な所定の閾値は、提示目的とする触覚刺激に応じて異なり、予め記憶部106(触覚定義ファイル106a等)に記憶されていてもよい。なお、時間的および/または空間的に所定の閾値として、公知の二点弁別閾(空間的二点弁別閾や時間的二点弁別閾等)を用いてもよい。
力提示の刺激点に他の刺激を定位して知覚させる場合、一例として、第一刺激部102dは、第一の種類の触覚刺激として力提示を、判定または発生させ、第二刺激部102eは、振動、温度、および、電気刺激のうちの一つまたは複数を、第二の種類の触覚刺激として第二刺激点に発生させてもよい。他の例として、第一刺激部102dは、振動、温度、および、電気刺激のうちの一つまたは複数を、第一の種類の触覚刺激として、判定または発生させ、第二刺激部102eは、第二の種類の触覚刺激として力提示を、第二刺激点に発生させることによっても、同様の効果を奏することができる。
また、振動提示の刺激点に他の刺激を定位して知覚させる場合、一例として、第一刺激部102dは、第一の種類の触覚刺激として振動提示を、判定または発生させ、第二刺激部102eは、温度刺激を、第二の種類の触覚刺激として第二刺激点に発生させてもよい。他の例として、第一刺激部102dは、第一の種類の触覚刺激として温度提示を、判定または発生させ、第二刺激部102eは、振動刺激を、第二の種類の触覚刺激として第二刺激点に発生させることによっても、同様の効果を奏することができる。
また、電気刺激提示の刺激点に他の刺激を定位して知覚させる場合、第一刺激部102dは、第一の種類の触覚刺激として電気刺激提示を、判定または発生させ、第二刺激部102eは、振動および/または温度を、第二の種類の触覚刺激として第二刺激点に発生させてもよい。他の例として、第一刺激部102dは、振動および/または温度を、第一の種類の触覚刺激として、判定または発生させ、第二刺激部102eは、第二の種類の触覚刺激として電気刺激提示を、第二刺激点に発生させることによっても、同様の効果を奏することができる。
ここで、第一刺激点および第二刺激点の刺激点は、ファントムセンセーション錯覚による知覚点であってもよい。ここで、図8は、ファントムセンセーション錯覚による知覚点を示す図である。実際に人間が実世界の物体を指の腹で触った場合には、指の腹の皮膚表面に加わる、力、振動、温度の4刺激の作用点は同一である。しかしながら、人に提示する触覚提示装置において、各種素子の配置の都合上、力、振動、温度、電気の作用点を一致させることは、一般に困難である。
一方、人間の感覚を調べると、作用点が異なっていても同一の感覚を生じさせることができる。また、作用点とは、別のところに感覚を生じさせることも可能である。後者の好例が、ファントムセンセーションである。図8の白丸は、刺激部位を表し、斜線の丸印は、ファントムセンセーションによる知覚点を表している。ファントムセンセーションは、von Bekesyによって確認された両耳聴による音の定位と同様な皮膚感覚の現象である。ファントムセンセーションでは、ある条件のもとで、2部位に刺激を加えることにより、刺激像を2部位間の刺激部位とは異なる部位に与えることができる。しかも、図8(a)に示すように3以上の部位に刺激を加えることで、その内側に刺激像を定位させることができる。さらに、図8(b)に示すように、複数の刺激部位の刺激の強度差によって、その像の位置を制御することができる。これは、振動刺激に対しても、また電気刺激に対しても生じることが知られている(谷江 和雄, 舘 ▲すすむ▼, 小森谷 清, 阿部 稔「電気パルス刺激における強度差ファントムセンセーション像の位置弁別特性」,計測自動制御学会論文集, Vol.15, No.4, p.505−512 (1979.8)、および、Susumu Tachi, Kazuo Tanie, Kiyoshi Komoriya and Minoru Abe: Electrocutaneous Communication in a Guide Dog Robot (MELDOG), IEEE Transactions on Biomedical Engineering, Vol.BME−32, No.7, pp.461−469 (1985)参照)。
このファントムセンセーション現象の存在は、振動刺激を、直接刺激部位でない部位に感じることができることを意味している。図9および図10は、本願発明者らが開発した上述のTELESAR Vと呼ぶテレイグジスタンスロボットの指装着型センサ/アクチュエータと、指装着時の外観を示す図である(装置構成等の詳細について特開2013−91114号公報参照)。このTELESAR Vのハンドで計測した圧覚情報と振動情報を、手袋に仕込んだ図示の提示装置で提示する際に、指腹には、圧力と剪断力を加え、指の横両側から振動を提示したところ、圧覚を感じる指腹に振動刺激も感じることが確かめられた。ファントムセンセーションにより振動刺激が中央に感じられたと考えられる。さらに、圧覚を与えた場所に、刺激を感じやすくなっている効果もあると見られる。なお、後述する検証実験においても、(1)両側を同時に刺激した場合と、片側だけの場合における刺激を感じる部位を比較し、(2)圧を加えないで、振動刺激を与えた時と、圧を加えて振動刺激を加えた時の、振動刺激の生じる部位を比較して調べている。
そのため、力の提示部分を、電気刺激にかえても、同様に、電気刺激部分に振動刺激をファントムセンセーションによって提示可能である。また、そのファントムセンセーション像は、電気刺激により、より鮮明に定位する。そのため、ファントムセンセーションによって、例えば、振動刺激を力、および電気刺激の部位に定位させ、なおかつ、力提示や電気提示によって、振動刺激のファントムセンセーション像を鮮明に、力や電気刺激を提示した部位に定位させることができる。
また、温度提示についても、温度刺激を、側面から加えた場合、片側だけでは、指腹には定位しないが、振動刺激を指腹に提示すると、その部位に定位する。左右から加えると中心に定位するファントムセンセーションが、この場合もあるかを実験にて検証した。温度の場合、素子の特性と熱の性質から、提示に遅れが生じる。この遅れを、補正するために、センサに接触型の温度センサに加え、非接触の温度センサを組み込むことができる。
ここで、触覚情報変換装置100は、外部入力装置120や外部出力装置140のほか、触覚情報や閾値等を記憶するデータベースや、触覚情報変換プログラム等の外部プログラム等を提供する外部機器200と、ネットワーク300を介して通信可能に接続して構成されてもよい。また、この触覚情報変換装置100は、ルータ等の通信装置および専用線等の有線または無線の通信回線を介して、ネットワーク300に通信可能に接続されてもよい。
また、図5において、通信制御インターフェイス部104は、触覚情報変換装置100とネットワーク300(またはルータ等の通信装置)との間における通信制御を行う装置である。すなわち、通信制御インターフェイス部104は、他の端末または局と、通信回線(有線、無線を問わない)を介してデータを通信する機能を有する。本実施の形態において、通信制御インターフェイス部104は、外部入力装置120や、外部出力装置140、外部機器200等との通信制御を行う。
ここで、外部機器200は、ネットワーク300を介して、触覚情報変換装置100、外部入力装置120、および、外部出力装置140と相互に接続され、各端末に対して触感定義ファイルや物体触感データベース等に記憶される閾値や変換テーブル等のほかキャリブレーションに関する外部データベースや、触覚情報変換プログラムやエンコーディングプログラム等の外部プログラム等を実行するウェブサイトを提供する機能を有する。
ここで、外部機器200は、例えば、パーソナルコンピュータや、サーバ用のコンピュータなどのハードウェア要素と、オペレーティングシステム、アプリケーションプログラム、その他のデータなどのソフトウェア要素とで実現されてもよい。例えば、外部機器200は、WEBサーバやASPサーバ等として構成していてもよく、そのハードウェア構成は、一般に市販されるワークステーション、パーソナルコンピュータ等の情報処理装置およびその付属装置により構成していてもよい。また、外部機器200の各機能は、外部機器200のハードウェア構成中のCPU等のプロセッサ、ディスク装置、メモリ装置、入力装置、出力装置、通信制御装置等およびそれらを制御するプログラム等により実現される。
以上で、本実施形態の触感提示システムの各構成の説明を終える。なお、上述の構成例では、触覚情報変換装置100が、入力部120,112や、出力部140,114、サーバ等の外部機器200とは別筐体として構成された例について説明を行ったが、本実施の形態はこれに限られない。例えば、触覚情報変換装置100は、入力装置と一体として構成されてもよく、送信装置と一体として構成されてもよく、記憶装置と一体として構成されてもよく、サーバ装置と一体として構成されてもよく、受信装置と一体として構成されてもよく、あるいは、出力装置と一体として構成されてもよい。
[触感提示システムの処理]
次に、このように構成された本実施形態における触感提示システムの処理の一例について、以下に図11〜図13を参照して詳細に説明する。
(触感提示処理)
図11は、本実施形態の触感提示システムにおける触覚情報変換処理の一例を示すフローチャートである。
図11に示すように、まず、本触感提示システムの入力部120,112は、利用者の身体運動を検出し、触覚情報変換装置100は、作成部102bの処理により、モーションデータ等の身体運動情報を取得する(ステップSA−1)。一例として、入力部120,112は、タッチ検出を行ってもよく、接触面積を検出してもよく、あるいは、指の変位を検出してもよい。なお、外部出力装置120が例えば身体運動情報を取得した場合は、触覚情報変換装置100に身体運動情報を送信し、触覚情報変換装置100が身体運動情報を受信する。
そして、本触感提示システムの触覚情報変換装置100は、作成部102bの処理により、提示目的の触感に応じて、電気、力、温度、振動、時空間の物理量のうち、少なくとも二以上の複数の物理量を選択するとともに、選択された物理量に基づいて、所定の触感を提示するための触覚情報を作成する(ステップSA−2)。例えば、作成部102bは、力の時間変化による触感を提示する場合、少なくとも電気および時空間の物理量により合成してもよい。ここで、作成部102bは、触覚定義ファイル106aにて第一および第二の種類の触覚刺激が定義されている場合、第一および第二の種類の触覚刺激に基づいて複数の物理量として合成してもよい。
そして、本触感提示システムの触覚情報変換装置100は、外部出力装置140や出力部114等の出力部側に触覚情報を出力する(ステップSA−3)。具体的には、出力制御部102cは、作成部102bにより作成された触覚情報を出力部140,114側に出力する。なお、出力先が外部出力装置140の場合、触覚情報変換装置100は、出力制御部102cの制御により、触覚情報を外部出力装置140に送信する。ここで、出力制御部102cは、第一刺激部102dと第二刺激部102eによる処理を実行してもよい(処理について後述する)。
そして、本触覚提示システムの出力部140,114は、触覚情報に基づいて出力部140,114からマルチモーダル(多感覚形式)な出力を行い、利用者の触知性に働きかける触感を提示する(ステップSA−4)。
以上が、本触感提示システムの触感提示処理の一例である。つづいて、本触感提示システムの多点刺激処理の一例について以下に説明する。
(多点刺激処理)
図12は、本実施形態の触感提示システムの触覚情報変換装置100における多点刺激処理の一例を示すフローチャートである。
図12に示すように、まず、触覚情報変換装置100の出力制御部102cは、触覚定義ファイル106aを参照して、定義された第一の種類の触覚刺激と第二の種類の触覚刺激を設定する(ステップSB−1)。
そして、触覚情報変換装置100の出力制御部102cは、第一刺激部102dの処理により、第一の種類の触覚刺激が生じる第一刺激点を判定する(ステップSB−2)。より具体的には、出力制御部102cは、利用者が物体に対して接触等を行うことにより生じた第一の種類の触覚刺激の時点や位置点等を判定してもよい。あるいは、出力制御部102cは、第一刺激部102dの処理により、出力部140,114を介して第一の種類の触覚刺激を第一刺激点に発生させる刺激情報を出力してもよい。
そして、触覚情報変換装置100の出力制御部102cは、第二刺激部102eの処理により、第一刺激部102dにより判定または発生される第一の種類の触覚刺激の第一刺激点から、時間的および/または空間的に所定の閾値内で離隔した第二刺激点を設定する(ステップSB−3)。ここで、出力制御部102cは、第二刺激部102eの処理により、触覚定義ファイル106aに予め記憶された閾値を参照して、第二刺激点を設定してもよい。
そして、触覚情報変換装置100の出力制御部102cは、第二刺激部102eの処理により、ステップSB−3にて設定された第二刺激点において、出力部140,114を介して第二の種類の触覚刺激を発生させる触覚情報を出力する(ステップSB−4)。
以上の処理により、電気、力、温度、振動の全て、あるいは、それらの任意の組み合わせの提示素子を、人間の皮膚上の別の部位に配置しながら、一箇所に刺激を感じるように触感を提示することができる。その手段の一例として、ファンムセンセーションによる提示方法や他の方法を用いることで、物理的には別の場所に配しているが、感覚としては一カ所に感じるように提示することが可能となる。
例えば、力提示を刺激の作用点に配し、振動、温度、電気刺激のいずれか、あるいは任意の組み合わせの刺激子を物理的に離れた場所に配して、ファントムセンセーションにより、その刺激の感覚を、力の作用点に定位させることができる。また、力の提示により、ファントムセンセーションによる定位像を鮮明化することにより、力・電気・振動・温度の触原色の提示部位を一致させることができる。
他の具体例として、力提示を刺激の作用点に配し、振動、温度のいずれか、あるいは両者の刺激子を物理的に離れた場所に配して、ファントムセンセーションにより、その刺激の感覚を、力の作用点に定位させることや、力の提示によりファントムセンセーションによる定位像を鮮明化することにより、力・振動・温度の触原色の提示部位を一致させることができる。
また、本実施形態によれば、電気刺激提示を刺激の作用点に配し、振動、温度のいずれか、あるいは両者を物理的に離れた場所に配して、ファントムセンセーションにより力の作用点に定位させることができる。また電気刺激の提示によりファントムセンセーションによる定位像を鮮明化することにより、電気・振動・温度の触原色の提示部位を一致させることも可能となる。
また、本実施形態によれば、振動提示を刺激の作用点に配し、温度を物理的に離れた場所に配して、ファントムセンセーションにより振動の作用点に定位させることができる。また、振動の提示によりファントムセンセーションによる定位像を鮮明化することにより、振動と温度の触原色の提示部位を一致させることができる。
(遠隔触感伝送処理)
ここで、図13は、本実施形態の触感提示システムにおける遠隔触感伝送処理の一例を示すフローチャートである。なお、本触感提示システムの一部機能として、上述したTELESARシステムを用いてもよい(例えば特開2013−91114号公報参照)。
図13に示すように、まず、本触感提示システムにおいて、提示触感設定部102aは、上述したTELESARシステム等のロボットの手指部の触覚センサ(力センサ、振動センサ、温度センサなどの入力手段120,112)の情報を取得する(ステップSC−1)。
そして、本触感提示システムの提示触感設定部102aは、触覚センサからの情報と、カメラ等で認識された物体の触感に関する教師データ等に基づいて、機械学習を行う(ステップSC−2)。ここで、触覚情報変換装置100のオペレータが、キーボード等の入力部112を介して物体や触感に関する教師データを入力してもよい。
そして、本触感提示システムの提示触感設定部102aは、機械学習等の結果として、触覚センサの情報の特徴(時空間的な変動パターンなど)を、オノマトペなどの触感カテゴリー情報(オノマトペ地図等)に分類する(ステップSC−3)。
そして、本触感提示システムの提示触感設定部102aは、分類した触感カテゴリー情報と、本実施形態の触感提示手法とを、対応付けて物体触感データベース106bに格納する(ステップSC−5)。ここで、触覚ディスプレイ(力、電気、振動、温度などの刺激を提示する外部出力装置140)の時空間的な組み合わせと対応付けて、物体触感データベース106bに格納してもよい。なお、以上のステップSC−1〜SC−4の処理は、前処理として予め実行され、その処理結果が予め記憶部106に格納されてもよい。
つづいて、本触感提示システムにおいて、TELESARシステム等を用いて、リアルタイムで、ロボット教示装置の利用者の手の運動に追従して、ロボットの手指部を動かし、物体とのインタラクションにより得られる触覚センサ情報を取得し、物体触感データベース106bを参照して、対応する触感カテゴリーに分類する(ステップSC−6)。ここで、TELESARシステムのロボット側の手指部と物体検出部を、外部出力装置140と外部入力装置120と考えることができる。また、TELESARシステムのロボット教示装置側の手の運動の検出手段と触覚刺激手段を、入力部112と出力部114と考えることができる。
そして、本触感提示システムの作成部102bおよび出力制御部102cは、触感カテゴリーに応じて、複数の物理量を選択して触覚情報を作成し出力部114に出力する(ステップSC−7)。
これにより、離隔した場所にある物体の触感を、触覚センサの情報から推測し、推測した触感を、利用者に、電気刺激などの多感覚形式で提示することができる(ステップSC−8)。
以上が、本実施形態の触感提示システムの処理の説明である。
[実施例1]
ここで、本実施形態の触感提示システムの効果を実証した実施例1について以下に説明する。実施例1では、ねばねば感など本来、吸着力を必要とする触感の提示を、電子刺激で代替して提示できることを実験により確かめた。
従来、数多くの触感提示装置が開発されているが、「ねばねば」等のオノマトペに代表される粘着感の提示に関しては実用的な手法は提案されていなかった。これまで、実際の粘着物に触れた際の皮膚の観察から、押しこみ動作時には力と接触面積の関係は、粘着性の有無と関係がないが、引き剥がし時に大きな違いが見られるとの報告があった(Masaaki Yamaoka,Akio Yamamoto,Toshiro Higuchi “Basic Analysis of Stickiness Sensation for Tactile Displays” EuroHaptics2008(日本語:山岡VRSJ2007, VRSJ2008)URL:http://link.springer.com/chapter/10.1007/978−3−540−69057−3_56)
また、空気吸引穴からの吸引で粘着感を提示するデバイス「Vacuum Touch」が開発されている(http://dl.acm.org/citation.cfm?id=2557252)。しかしながら、いずれもエアを用いて物理的に吸引、吸着力を生じさせるものであり、特定の触感を提示するために特化したアドホックな技術であり、実用性に欠ける。
そこで、本実施の形態の実施例1では、電気触覚または機械提示との組合せにより、粘着感等の触感を提示することを目的とする。ここで、図14は、硬表面、軟表面、粘表面を触った場合の接触面や圧力の変化を模式的に示した図である。図は、指先側から体軸方向に指を見た場合を表しており、両矢印は、接触面の幅を示している。
図14に示すように、軟表面を押下する時には、硬表面の場合よりも広い面積で接触することとなる。そのため、押下時に、硬表面よりも強い刺激または、硬表面よりも大面積の刺激を与えることで、柔らかい触感を提示できると本願発明者らは考えた。なお、一般に、軟表面の場合は、押下時に刺激が低減すると思われがちだが、指の同一変位に対しては正しくとも、同一力に対してはそうならない。
また、図14に示すように、粘表面を引き上げる時には、硬表面の場合よりも広い面積で接触する。そのため、引き上げ時に、硬表面よりも強い刺激または、硬表面よりも大面積の刺激を与えることで粘つき感を提示できると本願発明者らは考えた。図14は変形が微小な場合であるが、ここで、より大変形の場合を考える。図15は、硬表面、軟表面、粘表面を触ったときに大変形が生じた場合の接触面や圧力の変化を模式的に示した図である。
図15に示すように、軟表面では、大変形すると多くの場合、塑性変形し、完全には元に戻らない。そのため、本願発明者らは、一度押下して引き上げた時に、ヒステリシスを設けることで柔らかさを感じるとの仮説を立てた。また、粘表面では、引き上げ時に、硬表面の場合より広い面積で接触が生じる。そのため、本願発明者らは、一度押下して引き上げた時に、ヒステリシスを設けることで粘つきを感じるとの仮説を立てた。
すなわち、本実施例の実験1では、指先の「力」に対して刺激を変化させることで粘つきを提示できるか実験を行った。例えば、柔表面では、押下時に、硬表面の場合よりも広い面積で接触するので、押下時により強い刺激を与えることで柔らかさを感じるとの仮説を立て実験を行った。一方、粘表面では、引き上げ時に、硬表面の場合よりも広い面積で接触するので、引き上げ時に、より強い刺激を与えることで粘つき感を提示できるか実験を行った。
また、本実施例の実験2では、指先の「変位」に対して刺激を変化させることで粘つきを提示できるか実験を行った。ここで、図16は、指の変位量に対する硬表面、軟表面、粘表面の接触面積の変化を示す図である。例えば、軟表面では、大変形する軟平面は、多くの場合、塑性変形し、接触面積が減少するが、一度押下して引き上げた時に、ヒステリシスを設けることで柔らかさを感じるか実験を行った。また、粘表面では、引き上げ時に、硬表面の場合より広い面積で接触するが、一度押下して引き上げた時に、ヒステリシスを設けることで粘つきを感じるか実験を行った。ここで、図17は、本実施例1の実験1で用いた実験装置の構成を指先側から模式的に示した図である。また、図18は、本実施例1の実験1で用いた実験装置を指に装着する前の状態と装着後の状態を示した写真図である。
図17および図18に示すように、本実施例1の実験1では、入力部112として、フィルム状の力センサを用いた。また、出力部114としては、4×5マトリックス、2mm間隔で電気刺激子を配した、1.4mm直径の電気触覚ディスプレイを用いた。また、図示のように、電気刺激のための電極と皮膚の接触を保つために指固定具を用いた。本実験では、特記しない限り全て電気刺激の極性は、陰極刺激を使用した。また、電極を1つずつ、20電極全てをパルス周期60pps(pulses per sec)で刺激した。ここで、図19は、本実施例1の実験1にて、柔らか感を提示するために用いた実験条件(Press条件)を示す図である。また、図20は、本実施例1の実験1にて、粘つき感を提示するために用いた実験条件(Release条件)を示す図である。
所望の触感提示ができることを確かめるため、7段階の主観評価実験を行った。目標押下圧は、1Hzで0g〜500g間を正弦波状に変化させる。画面に目標押下圧と現在の押下圧が表示されおり、被験者には、これに合わせて指を板に押し当てる力を変化させてもらい、電気刺激の刺激を明瞭に感じるように調整した。そして、このとき感じた柔らかさ感を、「全く感じない」〜「明瞭に感じる」までの主観7段階で回答してもらった。同様に、粘つき感についても、主観7段階で回答してもらった。被験者は6名とした。図21は、本実施例1の実験1による主観評価実験結果を示す図である。縦軸は、7段階の主観評価の数値を示している。また、横軸は、左から順に、Press条件での柔らか感の主観評価結果、Press条件で粘つき感の主観評価結果、Release条件での柔らか感の主観評価結果、および、Release条件での粘つき感の主観評価結果を示す。
図21に示すように、Press条件では、期待通り柔らかさ感を明瞭に提示することができ、粘つき感は生じなかった。また、Release条件では、柔らかさ感よりも粘つき感を感じる結果が得られた。柔らかさ感は、Press条件の方がRelease条件よりも感じ、粘つき感はRelease条件の方がPress条件よりも感じる結果が得られた。したがって、柔らかさ感、粘つき感ともに、押下力に応じた電気刺激による皮膚感覚提示によって提示可能であることが示された。すなわち、実験1において、指先の力に対して刺激を変化させることで粘つきを提示できるかという仮説に対し、指先の「力」に対して刺激を変化させることで粘つきを提示できることが確かめられた。
つづいて、本実施例の実験2において、指先の「変位」に対して刺激を変化させることで粘つきを提示できるか実験を行った。図22は、本実施例1の実験2で用いた実験装置を指に装着した状態を示す写真図である。図22に示すように、実験1の装置構成とは異なり、加速度センサを設けている。これにより、指の傾きを計測することができ、空中での指の動きで刺激を変化させることができる。なお、実験1の机および圧力センサは使用しない。ここで、図23は、本実施例1の実験2の実験条件(Press条件)を示す図である。また、図24は、本実施例1の実験例2の実験条件(Release条件)を示す図である。
図23に示すように、Press条件では、押しこみ動作時に、鉛直下向きからの角度100度以下で、持ち上げ動作を行ってもらい、角度80度以上で、ボリュームで調整された一定電流値で刺激を行った。一方、図24に示すように、Release条件では、押しこみ動作時は鉛直下向きからの角度100度以下で、持ち上げ動作時は角度80度以上で、ボリュームで調整された一定電流値で刺激を行った。結果として、Press条件では押しこみ動作時の刺激範囲が持ち上げ動作時よりも大きくなり、Release条件では逆に持ち上げ動作時の刺激範囲が押しこみ動作時よりも大きくなるので、ヒステリシス特性を模擬しているといえる。
所望の触感提示ができることを確かめるため、7段階の主観評価実験を行った。指の角度は1.5秒周期で60度〜120度の間を正弦波状に変化させる。画面に目標押下圧と現在の押下圧が表示されおり、被験者には、これに合わせて空中で指を動かしてもらい、電気刺激の刺激を明瞭に感じるように調整した。そして、このとき感じた柔らかさ感を、「全く感じない」〜「明瞭に感じる」までの主観7段階で回答してもらった。同様に、粘つき感についても、主観7段階で回答してもらった。なお、被験者は6名とした。図25は、本実施例1の実験2による主観評価実験結果を示す図である。縦軸は、7段階の主観評価の数値を示している。また、横軸は、左から順に、Press条件での柔らか感の主観評価結果、Press条件で粘つき感の主観評価結果、Release条件での柔らか感の主観評価結果、および、Release条件での粘つき感の主観評価結果を示す。
図25に示すように、Press条件では柔らかさ感を明瞭に感じ、粘つき感は感じないという結果が得られた。Release条件では、柔らかさ感と粘つき感の差がほぼなかった。粘つき感はRelease条件の方がPress条件よりも感じる結果となった。結論として、空中での運動における電気刺激で、動きに対する刺激にヒステリシスを設けることで粘つき感を提示できることが確かめられた。
以上の通り、本実施例1では、実験1において、指先を対象物に押し当てた状況で、指先の力に対して電気刺激を変化させる手法により、押下時により強い刺激を与えることで柔らかさ感を提示することができた。また、引き上げ時に、より強い刺激を与えることで粘つき感を提示できることがわかった。また、実験2において、指先を空中で動かす状況において、指先の変位に対して電気刺激を変化させる手法により、押下時よりも引き上げ時により長い刺激を与えるというヒステリシスを設けることで粘つき感を提示できることが確かめられた。
機械的ピンマトリクス等による刺激よりも電気刺激が優れているメリットとして次のことが挙げられる。粘つきが生じている時、本来は指を上に持ち上げているのに圧覚を生じるという状況を再現しなければならないが、機械刺激では再現が難しい。据え置き型(卓上型)の触覚ディスプレイの場合は、上下運動するピンマトリクス刺激では、各ピンから皮膚への反力の総量は指の押下力と常に等しくなるため、刺激の総量を変化させることができないという問題がある。電気刺激を用いることで、指の押下力とは独立に刺激の総量を変化させることができ、機械刺激の問題点を解消させることができる。また、装着型(wearable)の触覚ディスプレイの場合、上下運動するピンマトリクス刺激では、各ピンから皮膚への反力の総量は装着する指サック内部で反力を生じるため、指腹のみに刺激を与えたい場合でも指背側に反作用の力を生じてしまう問題がある。電気刺激を用いることで指腹に独立に刺激を与えることができる。
なお、機械刺激か電気刺激かの二者択一ではなく、両者の特徴を活かした出力デバイスを構成してもよい。ここで、図26は、電気刺激マトリックスと機械刺激マトリクスを組み合わせた高密度提示デバイスの構成例を示す図である。電気刺激は、長時間の刺激では感覚の安定性や感覚の質の課題がある。しかし、電気刺激は、短時間のパルス提示であればごく自然な感覚を出せるという利点もある。また、電気刺激は、時間分解能の高い刺激(振動感覚等)を出力できるという利点もある。一方、機械刺激は、特にマトリクス提示のように小型化する場合、時間応答性が悪いという課題がある。そして、時間応答性を高める場合、共振をもたせる設計となるため一定の周波数でしか提示できない課題がある。しかし、一定の圧力を提示し続けることは容易で、圧覚提示は容易であるという利点もある。したがって、図26に示すように、両者の得失を組み合わせることで、電気触覚ディスプレイで触覚の変動成分を提示し、機械刺激で触覚の圧力分布成分を提示する手法を用いることができる。本構成例では、機械刺激マトリクス、電気刺激マトリクスを、それぞれ3mm間隔とし、機械刺激マトリクスは、KGS社製ドットマトリクスディスプレイを使用した。電極サイズは、直径2.4mmである。
[実施例2]
ここで、本実施形態の触感提示システムによる実施例2について以下に説明する。
温度提示は、素子の特性と熱の性質から提示に遅れが生じやすい。また、人間の生理学的特性から、温度刺激の時間的・空間的な二点弁別閾が大きく、知覚しにくいという問題もある。実施例2では、主に温度提示について、時空間的に知覚点を鮮明化できることを実験により確かめた。
すなわち、本実施例2の目的として、指腹部が物体と接触すると同時に指側面部に温冷刺激を提示することで、物体から得られる温冷感を変化させ、温冷感の拡張現実感を感得させうるかを確認した。被験者は、18歳〜21歳女性9名とした。なお、全員実験の仮説について予備知識を与えていない。また、指腹部の皮膚温は、32度に調整したのち実験を行った。ここで、図27は、本実施例2の実験装置(ペルチェ素子)の構成を示す図であり、図28は、本実施例2の実験環境と、ペルチェ素子の装着例を示す図である。
図27および図28(b)に示すように、指側面(a,b,c,dの箇所)にペルチェ素子を装着させた。また、図28(a)に示すように、皮膚温度は、ホットプレートにより調整した。ホットプレート上には、触対象のペルチェ素子と、休憩用のアルミ板(Platform)を配置した。
本実施例2の実験の方法として、合図と同時に触対象に触れることを、インターバル30秒として実施した。被験者には、触対象に触れたときの、ランダムに選択される刺激を2秒間感じてもらい、指腹部に感じた刺激強度を、標準刺激に対する知覚強度を100として数値で回答してもらった。各条件3試行ずつ実施し、平均値をその被験者の知覚強度として採用した。
本実施例2の条件として、刺激の種類を温,冷の2通りとした。また、刺激提示部位を、図29に示すように、Both(側面と腹部)、Pad(腹部のみ)、Side(側面のみ)の3通りとした。図29は、指先側から指を見た場合の温度刺激(Thermal stimulus)を与える位置を模式的に示した図である。腹部と側面は、それぞれペルチェ素子を2つずつ使用し、刺激強度2通り(温・強4℃/s,温・弱3℃/s,冷・強3℃/s,冷・弱2℃/s)とした。なお、Pad(腹部のみ)への強い刺激を標準刺激として使用し、標準刺激の強度は6試行毎に確認した。
図30は、本実施例2の実験結果を示すグラフ図である。図30(a)は温刺激、(b)は冷刺激の場合を示しており、p<0.05(ANOVAおよびライアン法による多重比較)とし、Pad(指腹部のみ)との有意差のみ図示している。
その結果、図30に示すように、Both(側面と腹部)とPad(腹部のみ)では、温・冷ともに、Bothの方がPadより強く知覚された。また、Pad(腹部のみ)とSide(側面のみ)では、温刺激でPad弱と、Side強とを同等の強度に知覚した。また、冷刺激でも同等の強度に知覚された。
本実施例2の本実験1の考察として、指腹部が物体と接触する瞬間に指側面部へ温冷刺激を行うことで、指腹部の温度が実際に変化した場合と同等の指冷感を知覚させることが可能であることが確かめられた。
つづいて、本実施例2の実験2として、温冷刺激の提示位置および圧・振動刺激の有無について検討を行った。本実験2の目的は、指腹部が予め物体と接していた場合あるいは物体と接していない場合に、指腹部と側面それぞれに知覚する温冷感を評価すること、すなわち圧刺激の有無によって温冷感がどのように影響を受けるかを実験で確かめた。
物体に接している場合は、側面部における温冷刺激の提示位置(片側と両側)の影響と、振動刺激の有無の影響を評価した。被験者は、19歳〜21歳の女性12名とし、全員実験の仮説について予備知識を与えなかった。また、予め指腹部の皮膚温は32度に調整した。
図31は、本実施例2の実験2の実験装置を示す図である。実験1と同様に、指側面にペルチェ素子を装着させ、皮膚温度はホットプレートにより調整した。図31に示すように、ホットプレート上には,触対象のペルチェ素子(e,bの箇所)と、休憩用のアルミ板を配置した。ペルチェ素子の下には振動子(TECHTILE Toolkit)を設けた。
本実施例2の実験2の実験方法として、合図と同時に触対象に触れてもらうか、もしくは指を空中に留めることを、インターバル30秒で実施してもらった。そして、ランダムに選択される刺激を2秒間感じてもらい、指の腹部と側面部に感じた刺激強度を、標準刺激に対する知覚強度を100として数値で回答してもらった。実験は各条件1試行ずつ実施した。
本実施例2の実験2の実験条件として、刺激の種類は、温,冷の2通りとした。また、刺激提示条件は、図32に示すように、None(腹部接触なし)、Pad(腹部のみ)、Side(側面のみ,振動無し)、Vib(側面のみ,振動あり)の4通りとした。図32は、指先側から指を見た場合の温度刺激(Thermal stimulus)を与える位置を模式的に示した図である。図32に示すように、腹部と側面はそれぞれペルチェ素子を2つずつ使用している。また、刺激強度は、温・強4℃/s、温・弱3℃/s、冷・強3℃/s、冷・弱2℃/sの2通りとした。振動刺激は、温冷刺激の直前に、指腹部に対し200Hz、0.1秒間与えた。なお、Pad(指腹部)への強い刺激を標準刺激として使用し、標準刺激の強度は8試行毎に確認した。
図33は、温刺激の場合の本実施例2の実験2の実験結果を示したグラフ図である。図34は、冷刺激の場合の本実施例2の実験2の実験結果を示したグラフ図である。図30と同様に、強い刺激を濃い棒グラフで、弱い刺激を淡い棒グラフで示している。
図33に示すように、温刺激の場合、側面部への刺激が片側・両側ともに、接触なしでは腹部に温感は知覚されなかった。また、指腹部のみに刺激を行った場合も、側部に若干の温感を知覚した。腹部の知覚強度において、側面部への刺激位置、振動刺激の有無、刺激強度を要因とする分散分析を行った結果、刺激強度の主効果にのみ有意差あった(F(1,95)=10.16, p<.01)。一方、刺激位置と振動刺激の有無の主効果は有意差がなかった(F(1,95)=0.80, p=0.39.F(1,95)=1.131, p<0.31)。
側部の知覚強度においては、位置と強度の交互作用に有意差があり(F(1,95)=4.85, p<.05)、多重比較の結果、片側刺激の場合に強度間に有意差あった(p<.05)。
図34に示すように、冷刺激の場合、側面部への刺激が片側・両側ともに、接触なしでも腹部に若干の冷感を知覚する場合があった。一方、指腹部のみに刺激を行った場合は、側部には冷感が知覚されなかった。腹部の知覚強度において、側面部への刺激位置、振動刺激の有無、刺激強度を要因とする分散分析の結果、振動刺激の有無と刺激強度の主効果にのみ有意差があった(F(1,95)=5.55, p<.05,F(1,95)=7.74, p<.05)。なお、刺激位置の主効果は有意差がなかった(F(1,95)=0.76, p<0.40)。また、側部の知覚強度においては、強度の主効果に有意差があった(F(1,95)=10.45 p<.01)。
以上の実験2により、指腹部への温冷感提示において指腹部の触刺激は重要であることが分かった。また、圧刺激のみの場合も、腹部に温冷感を提示可能であることが分かった。また、側面部片側への刺激の場合であっても、腹部に温冷感を提示可能であることが分かった。すなわち、片側と両側に差がなく、また接触なしの場合は腹部に温冷感が生じなかったことから、これは、ファントムセンセーション現象ではなく、サーマルリファレルに近い現象が生じたと思われた。ただし、冷刺激の場合は接触なしでも腹部に冷覚が知覚される場合があったことから、サーマルリファレルとも異なる全く新しい現象の可能性ある。
本実施例2の予備実験(実験3)として、以下の3項目について基礎的な確認を行った。
a.接触の有無+温度刺激
b.振動刺激の有無+温度刺激
c.圧刺激+振動刺激+温度刺激
ここで、被験者は、19歳女性2名とし、指の皮膚温は32度に調整した。実験装置は、上述の図27に示したように、指側面にペルチェ素子を装着し、刺激強度を約3.5℃/s,刺激時間:2秒間とした。振動刺激は、TECHTILE Toolkit使用し、周波数200Hzとした。
本実施例2の実験3(a.接触の有無+温度刺激)の実験方法として、アラームが鳴ったら直ぐに対象物体(プラスチック樹脂)に触れてもらい、アラーム前後の特定の時間に温度刺激を開始した(−2秒〜+2秒まで,0.5秒刻みの9種類)。そして、指腹部に感じた温度感覚を数値で回答してもらった(冷たい:−3点〜+3点:温かい)。各条件で2回ずつ試行した。
図35は、本実験3(a.接触の有無+温度刺激)により接触に対する温度感覚のずれを示した図である。図35に示すように、±2秒程度ずれると、指腹部の温度感覚は生じないことが分かった。温かい感覚の場合は、温度刺激を振動刺激よりも早く、冷たい感覚の場合は温度刺激を振動刺激と同時に提示することが望ましい。心理物理学的知見から、温かい感覚のほうが遅れて感じることが知られており、それが影響している可能性も考えられた。また、主観的な印象として、接触と同時に皮膚の温度が変わった場合に最も強く感じ、温かい(または冷たい)プラスチック樹脂に触れている、という感覚になった。
つづいて、本実験3(b.振動刺激の有無+温度刺激)により振動に対する温度感覚のずれについて実験を行った。実験方法は、プラスチック樹脂に触れた状態で待機させ、プラスチックを振動させ刺激を提示した。振動刺激前後の特定の時間に温度刺激を開始した(−2秒〜+2秒まで、0.5秒刻みの9種類)。そして、指腹部に感じた温度感覚を数値で回答してもらった(冷たい:−3点〜+3点:温かい)。各条件で2回ずつ試行した。
図36は、本実験3(b.振動刺激の有無+温度刺激)により振動に対する温度感覚のずれを示した図である。実験の結果、実験aに比べ、時間差による温度感覚の変化は小さかった。振動子との接触圧の影響により、振動刺激の有無に関わらず、ある程度の温度感覚が生じてしまう可能性があった。温刺激は早く、冷刺激は同時に提示した場合に強い感覚が得られることは、実験aと同様であった。
つづいて、本実験3(c.圧刺激+振動刺激+温度刺激)により、圧刺激と振動刺激の組合せによる温度知覚のずれについて検討を行った。実験方法として、プラスチック樹脂に約20g重,約100g重,約250g重のいずれかの力で触れさせ、プラスチックを振動させ刺激を提示した。また、振動刺激前後の特定の時間に、温度刺激を開始した(−2秒〜+2秒まで、0.5秒刻みの9種類)。そして、指腹部に感じた温度感覚を数値で回答してもらった(冷たい:−3点〜+3点:温かい)。各条件で1回試行した。
表6は、冷刺激の場合で、圧刺激と振動刺激の組合せによる温度知覚のずれを示した表である。また、表7は、温刺激の場合で、圧刺激と振動刺激の組合せによる温度知覚のずれを示した表である。接触圧による影響はわずかであり、接触圧が弱いほど温度感覚を得やすい可能性もあった。実験aやbと同様に、温刺激は早めに提示しても感覚はそれほど弱くならないと考えられた。
以上の実施例2により、以下の知見が得られた。本実施例2により、触刺激に対し冷刺激のタイミングをずらすことで得られる感覚は弱くなることが分かった。また、±2秒程度ずらした場合は、感覚が得られにくくなることが分かった。触刺激に対する熱刺激のタイミングは、熱刺激を知覚するまでにかかる時間に依存する可能性があり、温刺激の場合は、同時よりもタイミングを早めたほうが得られる感覚が強くなることが分かった。ただし、振動子と常に接触状態にある状態で振動刺激を行う場合は、少なからず感覚は生じてしまう。振動が開始すると物体との接触が生じたという文脈を与える必要性が考えられた。圧刺激の強さは、得られる感覚に影響しなかった。
つづいて、指腹部に触刺激、指側部に温度刺激を提示する場合の「実験4.空間的なずれの影響」と、「実験5.時間的なずれの影響」に関する実験を1つずつ実施した。
(実験4)
実験条件として、それぞれ被験者は7名以上を確保し、指腹部の皮膚温は32度に調整した。上述した実験装置において指側面にペルチェ素子を装着させ、皮膚温度はホットプレートにより調整した。また、ホットプレート上には、触対象のペルチェ素子と、休憩用のアルミ板を配置した(図28参照)。
実験方法として、1)指側部の装置の位置を変更する(インターバル30秒)、2)触対象に触れる、3)ランダムに選択される刺激を2秒間感じる、4)指腹部に感じた刺激強度を、標準刺激に対する知覚強度を100として数値で回答させるという順で行い、各条件を4試行ずつ実施し、平均値をその被験者の知覚強度として採用した。
実験条件として、刺激の種類を2通り(温、冷)とし、刺激提示部位を4通り(p(腹部のみ),s0(側面のみ、腹部と並置)、s1(側面のみ、ペルチェ素子1つ分ずらす),s1(側面のみ、ペルチェ素子2つ分ずらす))で行った(図37上図参照)。なお、腹部と側面はそれぞれ8.3mm四方のペルチェ素子を2つずつ使用し、Padへの刺激を標準刺激として使用、標準刺激の強度は8試行毎に確認した。
その結果、図37に示すように、特に冷刺激の場合、温度刺激の位置が触刺激と離れるほど知覚強度が弱くなる傾向(サーマルリファレル現象の従来知見と同様)があり、ペルチェ素子2つ分ずらすと知覚強度が半分程度になった。また、温冷の種類と刺激位置を要因とする分散分析の結果、刺激位置の主効果に有意差(p<0.10)が見られた。また、Ryan’s法による多重比較の結果、p条件とs2条件に有意差(p<0.10)が見られた。すなわち、知覚強度は、刺激距離が遠いほど下がり、知覚誤差範囲が重ならないと(空間的弁別閾の範囲外にあると)大幅に知覚強度が下がることが分かった。
実験4の考察として、指側面部への温度刺激により指腹部に温冷感を呈示する場合は、側面部の提示部位は腹部に近いほうが望ましいと考えられた。特に冷刺激の場合、触刺激と温冷刺激の提示部のずれが最低でも刺激面積の半分程度が望ましいと考えられた。
(実験5)
つづいて、指腹部の触刺激が温冷感の知覚時間に及ぶす影響を調べるため実験5を行った。実験5では、指側面部への温冷刺激により指腹部に温冷感を呈示する技術において、実際に指腹部に温冷刺激を行う場合との知覚のズレを評価することを目的とした。また、指腹部、もしくは指側面部への温冷刺激により、指腹部に温冷感を呈示する技術において、触刺激のタイミングが指腹部の温冷感の知覚タイミングに及ぼす影響を調べた。被験者は18歳〜19歳の女子学生で8名であった。指腹部の皮膚温は32度に調整した。
実験方法として、1)触対象に触れる(インターバル30秒)、2)左手でマウスのボタンを押すと、およそ2秒後に振動刺激を開始させ、ランダムに選択されたタイミングで温冷刺激を呈示する、4)被験者は、指腹部に温冷感を感じたらマウスのボタンを離す、という手順で、各条件2試行ずつ実施し、平均値をその被験者の知覚時間とした。
実験条件として、温冷刺激の種類を2通り(温、冷)、刺激提示位置を2通り(腹部、側面部)、刺激時間を3通り(振動刺激の0.2s前、同時、0.2s後)とした。振動刺激の種類を2通り(有無)で行った。腹部と側面はそれぞれペルチェ素子を2つずつ使用した。また、振動刺激は、指腹部に対し200Hz,0.1秒間の条件で提示した。
その結果、図38に示すように、温刺激(左図)と冷刺激(右図)の場合、また温度刺激が腹部(pad)と側部(side)の場合、すべての条件において、振動の有無で比較すると、振動刺激の付与により知覚のタイミングが早くなる傾向にあった。なお、温度刺激を腹部に刺激したときの知覚タイミングは、側部の場合より早かった。温冷の種類、温度刺激の位置、振動の有無を要因とする分散分析の結果、交互作用には有意差はなく、それぞれの主効果に有意差(振動の有無はp<0.10、それ以外はp<0.05)が見られた。
実験5の考察として、指側面部へ温冷刺激を呈示した場合、指腹部の温冷感は実際に指腹部に温冷刺激を呈示した場合よりも遅いという性質があった。しかしながら、指腹部に振動刺激を行うことで温冷感の知覚タイミングを早めることが可能となった。なお、振動刺激のタイミングにより温冷感の知覚タイミングを早めることは、特に温刺激の場合、指腹部に温冷刺激を呈示した場合でも同様の結果が得られた。
(実験6)
上記は、指に対する刺激に関する実験であるが、他の身体の部位においても同様の結果が得られるかについて、実験6を行った。図39は、実験5の装置の配置を示す図である。実験6では、腕の末梢側の装置部に温度感覚が生じる時間を評価した。
なお、従来、前腕(手首、肘)の誤差範囲内に刺激がある場合、温度の定位誤差は、温刺激で15〜20mm、冷刺激で10〜15mm[橋口ら、2016]、振動の定位誤差が200Hz:5〜10mmであることが知られていた[新島ら、2012]。しかしながら、複数の種類の刺激の誤差範囲(弁別閾)の重なり方で、どのような結果が得られるか分かっていなかった。
図40は、各身体部位における各刺激における誤差範囲の重なり方と知覚時間/知覚結果の関係を示した図である。図中の「直」は、直接刺激、「隣」は、隣接刺激を示す。また、「直・振」は、冷温刺激と同じ場所に直接振動刺激を与えた場合であり、「隣・振」は、冷温刺激と隣接する場所に振動刺激を与えた場合を示している(グラフ棒はそれぞれ、「直」「直・隣」「隣」「隣・振」の順で並んでいる)。
図40左図に示すように、指では、直接刺激より隣接刺激の方が知覚時間が短い傾向にあったが、前腕では、隣接刺激より直接刺激の方が知覚時間が短い傾向にあった。また、図40右図に示すように、指では、刺激部位を判別できているのに対し、前腕では、直接と隣接の刺激部位を混同する傾向にあった。これらは、指よりも、前腕の方が、時間的あるいは空間的な生理弁別閾が大きいので、刺激部位を混同してしまうためと考えられた。しかしながら、それぞれの身体部位に固有な生理弁別閾の大小に応じて、空間的な位置や時間的なずれを調整することにより、どの身体部位においても、本発明の目的が達成できることが示唆された。
以上の実施例2の実験1〜6の結果をまとめると、2種類の刺激の誤差範囲(弁別閾)の重なり方の違いにより、以下の表に示す効果が得られることが分かった。なお、表中の[]は関連する実験を示している。
以上、本実施例2を含む本実施形態によれば、電気、力、温度、振動のすべて、あるいは、それらの任意の組み合わせの提示素子を、人間の皮膚上の別の部位に配置しながら、効果としては、一箇所あるいは同じ時に刺激を感じるようにした触覚提示装置を構成することができる。
[素子配置例]
つづいて、外部出力装置140等に利用するための素子配置構造体の例について図41〜図45を参照しながら説明する。ここで、図41は、振動共鳴箱を備えた素子配置構造体の実施例を示す図である。図中において、Eは、電気刺激のための電極であり、Vは、ピエゾ素子などの振動子であり、H/Cは、温刺激または冷刺激のためのペルチェ素子である。なお、電極E側が皮膚側となるように装着する。
図41に示すように、本実施例の素子配置構造体には、空隙が設けられており、振動子が振動すると、空隙の内部にある空気がばねとしての役割を果たし、共鳴することで音を増幅させたり、共振することで振動を増幅させたりすることができる。また、音と振動が同じ箇所から増幅して出力されることで、より現実感が増すという心理的効果も得られる。
さらに、図示の如く、ペルチェ素子の背面に空隙を位置付けることで、放熱効果を有し、ヒートシンクとしての役割を果たすことができる。すなわち、ペルチェ素子が、身体に温刺激を提示するときは、熱移動のため背面側には余分な冷却が生じ、一方、ペルチェ素子が、身体に冷刺激を提示するときは、熱移動のため背面側に余分な発熱が生じる。これらペルチェ素子の背面側の余分な冷温を放置すれば、ペルチェ素子の熱移動の効率が下がり、身体側に十分な冷温刺激を提示することができなくなる。本実施例のように、ペルチェ素子の背面側に空隙を設けることにより、この問題を解決し、ペルチェ素子の正常な機能を保つことができる。
なお、図41の例では、平面的に素子配置構造体を並べて身体に配置するかのように思われるが、これに限られず、この素子配置構造体を身体の形状に合わせて立体的に配置してもよい。ここで、図42は、指の周囲に素子を配置する指サック形状の素子配置構造体の例を示す図である。図は、指の先端側から見たものであり、点線部のように各素子が指サック状にまとめられている。
図42に示すように、電気刺激と冷温刺激と振動刺激では、電気刺激が最も感覚的分解能がよく、次に冷温刺激がよく、振動刺激が最も感覚的分解能が悪いので、この生理的機能に合わせて、各素子を配置している。すなわち、電極Eは、指腹部に配置し、ペルチェ素子H/Cは、指の両側面に配置し、振動子Vは、共鳴箱と共に、指背部に配置する。
このように配置することで、複数の種類の触覚刺激を、同じ指腹部に提示することができる。ここで、第一の種類の触覚刺激として電気刺激を提示し、第二の種類の触覚刺激として、振動および/または温度を提示する場合を考える。この場合、振動および/または温度の刺激を、電気提示の刺激点(すなわち、指腹部)に定位して知覚させることができる。このように、複数の種類の素子を、同じ箇所に密集して配置することが難しい場合であっても、本実施例のように、感覚的分解能に応じて配置することで、複数の種類の触覚刺激を同じところに定位して知覚させることができる。
なお、上記の例では、指腹部に電気刺激のための電極Eを配置したが、これに限られず、力提示のための素子を配置しても同様の効果が得られる。また、上記の例では、複数の種類の素子を少数配置した素子配置構造体の例を示したが、これに限られず、テレビのカラーマスクのように、連続的に多数配置してもよいものである。ここで、図43は、本実施例の各種素子V,E,H,Cの連続的水平配置パターンを示す図であり、図44は、本実施例の各種素子V,E,H,Cの連続的水平配置パターンの構造体を断面で見た断面図である。なお、図44において、構造体は、図の上側、すなわち電極E側で身体と接触するように使用する。
図43に示すように、本実施例の素子配置構造体は、平面あるいは曲面上に、各種素子V,E,H,Cを連続的に配置する。なお、多数の電極Eのうち、電気刺激のため使用する電極以外は、アース(接地)として使用することも可能である。ここで、この素子配置構造体は、身体の形状に適合しやすいように、シリコンゴム等の可撓性素材を基板として用いてもよい。このような、フレキシブルなシート状の素子配置構造体は、手の平(掌)や、腕や、背中、腹部などの広い面を刺激するのに好適である。
ここで、図44に断面図を示すように、本実施例の素子配置構造体にも、共鳴器あるいは熱シンクとしての空隙が設けられていてもよい。利用者にとっては、手の平や、腕などの広い面の一点から、振動刺激と音刺激が発信されるので、よりリアリティのある感覚を生じさせることができる。なお、図43の水平配置パターンの例では、振動子Vの隣に、電極Eを配置し、その隣にペルチェ素子H,Cを配置する繰り返しパターンの単位であったが、この例に限られず、例えば、身体の感覚的分解能に応じて、適宜、繰り返しパターンの構成単位を変更してもよいものである。ここで、図45は、他の繰り返しパターンを有する本実施例の素子配置構造体の一例を示す図である。
上述のように、冷温刺激や振動刺激よりも、電気刺激の方が、感覚的分解能に優れている。そのため、図45に示すように、電極Eは密に配置し、振動子Vとペルチェ素子H,Cは、疎に配置することによって、より細かい弁別ができる触覚感覚(電気や力の感覚等)に対しては高解像度で出力し、比較的粗い弁別の触覚感覚(振動や温度の感覚等)に対しては、素子の数を減らしてコスト等を抑えて高解像度な素子配置構造体を作ることができる。例えば、第一の種類の触覚刺激として電気刺激を提示し、第二の種類の触覚刺激として、振動および/または温度を提示する場合を考える。第一の種類の電気刺激を電極Eの一点に出力すれば、第二の種類の冷温刺激や振動刺激を、その近傍や周囲の一または複数の素子H,C,Vから出力させることで、振動および/または温度の刺激を、電気提示の電極Eの刺激点に定位して知覚させることができる。このように、感覚的分解能が低い刺激の素子が疎に配置された素子配置構造体であっても、複数の種類の触覚刺激を用いることで、感覚的な解像度を高めて提示することができるようになる。
以上で、実施例を含む本実施形態の説明を終える。
以上の本実施形態によれば、力提示を刺激の作用点に配し、振動、温度、電気刺激のいずれか、あるいは任意の組み合わせの刺激子を物理的に離れた場所に配して、ファントムセンセーション等の現象により、その刺激の感覚を、力の作用点に定位させることができる。また、力の提示によりファントムセンセーション等による定位像を鮮明化することにより、力・電気・振動・温度の触原色の提示部位を一致させることが可能である。
また、本実施形態によれば、力提示を刺激の作用点に配し、振動、温度のいずれか、あるいは両者の刺激子を物理的に離れた場所に配して、ファントムセンセーション等により、その刺激の感覚を、力の作用点に定位させることが可能となる。また、力の提示により、ファントムセンセーション等による定位像を鮮明化することにより、力・振動・温度の触原色の提示部位を一致させることができる。
また、本実施形態によれば、電気刺激提示を刺激の作用点に配し、振動、温度のいずれか、あるいは両者を物理的に離れた場所に配して、ファントムセンセーション等により力の作用点に定位させることができる。また、電気刺激の提示によりファントムセンセーション等による定位像を鮮明化することにより、電気・振動・温度の触原色の提示部位を一致させることができる。
また、本実施形態によれば、振動提示を刺激の作用点に配し、温度を物理的に離れた場所に配して、ファントムセンセーション等により振動の作用点に定位させることができる。また、振動の提示によりファントムセンセーション等による定位像を鮮明化することにより、振動と温度の触原色の提示部位を一致させることができる。
以上で、本実施例1,2を含む本実施形態の説明を終える。
[他の実施の形態]
さて、これまで本発明の実施の形態について説明したが、本発明は、上述した実施の形態以外にも、特許請求の範囲に記載した技術的思想の範囲内において種々の異なる実施の形態にて実施されてよいものである。
例えば、触覚情報変換装置100において、入力部112や出力部114を備えて構成された例について説明したが、これに限られず、入力部112や出力部114を備えず、独立した筐体として構成してもよいものである。その場合、触覚情報変換装置100は、外部機器200等のクライアント端末からの要求に応じて処理を行い、その処理結果を当該クライアント端末に返却してもよい。
また、実施の形態において説明した各処理のうち、自動的に行われるものとして説明した処理の全部または一部を手動的に行うこともでき、あるいは、手動的に行われるものとして説明した処理の全部または一部を公知の方法で自動的に行うこともできる。
このほか、上記文献中や図面中で示した処理手順、制御手順、具体的名称、各処理の登録データや検索条件等のパラメータを含む情報、画面例、データベース構成については、特記する場合を除いて任意に変更することができる。
また、触感提示システムに関して、図示の各構成要素は機能概念的なものであり、必ずしも物理的に図示の如く構成されていることを要しない。
例えば、触覚情報変換装置100の各装置が備える処理機能、特に制御部102にて行われる各処理機能については、その全部または任意の一部を、CPU(Central Processing Unit)などのプロセッサおよび当該プロセッサにて解釈実行されるプログラムにて実現してもよく、また、ワイヤードロジックによるハードウェアプロセッサとして実現してもよい。尚、プログラムは、後述する、コンピュータに本発明に係る方法を実行させるためのプログラム化された命令を含む、一時的でないコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録されており、必要に応じて触覚情報変換装置100や外部機器200に機械的に読み取られる。すなわち、ROMまたはHDD(Hard Disk Drive)などの記憶部106などには、OS(Operating System)と協働してCPUに命令を与え、各種処理を行うためのコンピュータプログラムが記録されている。このコンピュータプログラムは、RAMにロードされることによって実行され、CPUと協働して制御部を構成する。
また、このコンピュータプログラムは、触覚情報変換装置100や外部機器200や外部入力装置120や外部出力装置140に対して任意のネットワーク300を介して接続されたアプリケーションプログラムサーバに記憶されていてもよく、必要に応じてその全部または一部をダウンロードすることも可能である。
また、本発明に係るプログラムを、コンピュータ読み取り可能な記録媒体に格納してもよく、また、プログラム製品として構成することもできる。ここで、この「記録媒体」とは、メモリーカード、USBメモリ、SDカード、フレキシブルディスク、光磁気ディスク、ROM、EPROM、EEPROM、CD−ROM、MO、DVD、および、Blu−ray(登録商標)Disc等の任意の「可搬用の物理媒体」を含むものとする。
また、「プログラム」とは、任意の言語や記述方法にて記述されたデータ処理方法であり、ソースコードやバイナリコード等の形式を問わない。なお、「プログラム」は必ずしも単一的に構成されるものに限られず、複数のモジュールやライブラリとして分散構成されるものや、OS(Operating System)に代表される別個のプログラムと協働してその機能を達成するものをも含む。なお、実施の形態に示した各装置において記録媒体を読み取るための具体的な構成、読み取り手順、あるいは、読み取り後のインストール手順等については、周知の構成や手順を用いることができる。プログラムが、一時的でないコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録されたプログラム製品として本発明を構成してもよい。
記憶部106に格納される各種のデータベース等(触覚定義ファイル106a,物体触感データベース106b等)は、RAM、ROM等のメモリ装置、ハードディスク等の固定ディスク装置、フレキシブルディスク、および、光ディスク等のストレージ手段であり、各種処理やウェブサイト提供に用いる各種のプログラム、テーブル、データベース、および、ウェブページ用ファイル等を格納する。
また、触覚情報変換装置100や外部機器200や外部入力装置120や外部出力装置140は、既知のパーソナルコンピュータ、ワークステーション等の情報処理装置として構成してもよく、また、該情報処理装置に任意の周辺装置を接続して構成してもよい。また、触覚情報変換装置100や外部機器200や外部入力装置120や外部出力装置140は、該情報処理装置に本発明の方法を実現させるソフトウェア(プログラム、データ等を含む)を実装することにより実現してもよい。
更に、装置の分散・統合の具体的形態は図示するものに限られず、その全部または一部を、各種の付加等に応じて、または、機能負荷に応じて、任意の単位で機能的または物理的に分散・統合して構成することができる。すなわち、上述した実施形態を任意に組み合わせて実施してもよく、実施形態を選択的に実施してもよい。
以上詳述に説明したように、本発明によれば、複数の種類の刺激を異なる点から一点に集中して提示できる、触覚情報変換装置、触覚情報変換方法、および、触覚情報変換プログラム、記録媒体、ならびに、複数の種類の刺激を提示するための素子配置構造体を提供することができ、産業上の有用性がある。
例えば、本発明を用いることにより、例えば遠隔地のロボットを自分の分身として動かし体感することで遠隔作業・遠隔就労分野、介護・ヘルス分野、熟練技術の伝達・学習分野、メディア・放送技術、バーチャルスポーツ、エンターテインメント分野、モバイル、ウェアラブル分野等の産業分野で用いることができる。
100 触覚情報変換装置
102 制御部
102a 提示触感設定部
102b 作成部
102c 出力制御部
102d 第一刺激部
102e 第二刺激部
104 通信制御インターフェイス部
106 記憶部
106a 触覚定義ファイル
106b 物体触感データベース
108 入出力制御インターフェイス部
112 入力部
114 出力部
120 外部入力装置
120a 分布型圧覚計測センサ
120b 温冷感計測センサ
120c 振動感計測センサ
140 外部出力装置
140a 分布型圧力提示部
140b 温冷感提示部
140c 振動提示部
200 外部機器

Claims (29)

  1. 触覚刺激を出力可能な一または複数の出力部側へ触覚情報を与えるため、記憶部と制御部を少なくとも備えた触覚情報変換装置であって、
    前記記憶部は、
    第一の種類の触覚刺激が生じる第一刺激点に、第二の種類の触覚刺激を知覚させるための前記第一および第二の種類の触覚刺激、または、第二の種類の触覚刺激が生じる第二刺激点に、第一の種類の触覚刺激を知覚させるための前記第一および第二の種類の触覚刺激を定義する触覚定義部を備えており、
    前記制御部は、
    前記第一の種類の触覚刺激が生じる前記第一刺激点を判定する、または、前記出力部を介して前記第一の種類の触覚刺激を前記第一刺激点に発生させる第一刺激部と、
    前記第一刺激部により判定または発生される前記第一の種類の触覚刺激の前記第一刺激点から、時間的および/または空間的に所定の閾値内で離隔した前記第二刺激点において、前記出力部を介して前記第二の種類の触覚刺激を発生させる触覚情報を前記出力部側に出力する第二刺激部と、
    を備えたことを特徴とする、触覚情報変換装置。
  2. 請求項1に記載の触覚情報変換装置において、
    前記触覚定義部は、
    前記第二の種類の触覚刺激を前記第一刺激点に知覚させるため、前記第二の種類の触覚刺激として、前記第一の種類の触覚刺激よりも、時間的または空間的な生理的弁別閾が大きい種類の触覚刺激を定義すること、または、
    前記第一の種類の触覚刺激を前記第二刺激点に知覚させるため、前記第一の種類の触覚刺激として、前記第二の種類の触覚刺激よりも、時間的または空間的な生理的弁別閾が大きい種類の触覚刺激を定義すること、
    を特徴とする、触覚情報変換装置。
  3. 請求項1または2に記載の触覚情報変換装置において、
    前記第一刺激部は、
    前記第一の種類の触覚刺激として力提示を、判定または発生させ、
    前記第二刺激部は、
    振動、温度、および、電気刺激のうちの一つまたは複数を、前記第二の種類の触覚刺激として前記第二刺激点に発生させることにより、
    前記第二の種類の触覚刺激を前記第一刺激点に知覚させることを特徴とする、触覚情報変換装置。
  4. 請求項1または2に記載の触覚情報変換装置において、
    前記第一刺激部は、
    振動、温度、および、電気刺激のうちの一つまたは複数を、前記第一の種類の触覚刺激として、判定または発生させ、
    前記第二刺激部は、
    前記第二の種類の触覚刺激として力提示を、前記第二刺激点に発生させることにより、
    前記第一の種類の触覚刺激を前記第二刺激点に知覚させることを特徴とする、触覚情報変換装置。
  5. 請求項1または2に記載の触覚情報変換装置において、
    前記第一刺激部は、
    前記第一の種類の触覚刺激として振動提示を、判定または発生させ、
    前記第二刺激部は、
    温度刺激を、前記第二の種類の触覚刺激として前記第二刺激点に発生させることにより、
    前記第二の種類の触覚刺激を前記第一刺激点に知覚させることを特徴とする、触覚情報変換装置。
  6. 請求項1または2に記載の触覚情報変換装置において、
    前記第一刺激部は、
    前記第一の種類の触覚刺激として温度提示を、判定または発生させ、
    前記第二刺激部は、
    振動刺激を、前記第二の種類の触覚刺激として前記第二刺激点に発生させることにより、
    前記第一の種類の触覚刺激を前記第二刺激点に知覚させることを特徴とする、触覚情報変換装置。
  7. 請求項1または2に記載の触覚情報変換装置において、
    前記第一刺激部は、
    前記第一の種類の触覚刺激として電気刺激提示を、判定または発生させ、
    前記第二刺激部は、
    振動および/または温度を、前記第二の種類の触覚刺激として前記第二刺激点に発生させることにより、
    前記第二の種類の触覚刺激を前記第一刺激点に知覚させることを特徴とする、触覚情報変換装置。
  8. 請求項1または2に記載の触覚情報変換装置において、
    前記第一刺激部は、
    振動および/または温度を、前記第一の種類の触覚刺激として、判定または発生させ、
    前記第二刺激部は、
    前記第二の種類の触覚刺激として電気刺激提示を、前記第二刺激点に発生させることにより、
    前記第一の種類の触覚刺激を前記第二刺激点に知覚させることを特徴とする、触覚情報変換装置。
  9. 請求項1乃至8のいずれか一つに記載の触覚情報変換装置において、
    前記第一刺激点および/または前記第二刺激点は、
    ファントムセンセーション錯覚による知覚点であることを特徴とする、触覚情報変換装置。
  10. 請求項1乃至9のいずれか一つに記載の触覚情報変換装置を備えた入力装置。
  11. 請求項10に記載の入力装置において、
    表層に、多点分布型圧覚計測センサと、
    中間層に、温冷感計測センサと、
    下層に、振動感計測センサと、
    を少なくとも備えた入力装置。
  12. 請求項1乃至9のいずれか一つに記載の触覚情報変換装置を備えた送信装置。
  13. 請求項1乃至9のいずれか一つに記載の触覚情報変換装置を備えた記憶装置。
  14. 請求項1乃至9のいずれか一つに記載の触覚情報変換装置を備えたサーバ装置。
  15. 請求項1乃至9のいずれか一つに記載の触覚情報変換装置を備えた受信装置。
  16. 請求項1乃至9のいずれか一つに記載の触覚情報変換装置を備えた出力装置。
  17. 請求項16に記載の出力装置において、
    表層に、多点電気触覚刺激による分布型圧力提示部と、
    中間層に、ペルチェ素子による高速駆動型温冷感提示部と、
    下層に、広周波数域の振動提示部と、
    を少なくとも備えた出力装置。
  18. 請求項1乃至9のいずれか一つに記載の触覚情報変換装置を備えた、操作者が操作するロボット教示装置を用いてロボットに動作を教示するインタラクション操作システムにおいて、
    前記ロボットは、
    物体を把持するための手指部、
    前記物体または前記物体の性状を検出し、物体検出情報を生成する物体検出部であって、前記手指部に配置される物体検出部、
    前記ロボットを駆動させるロボット駆動装置、
    を有し、
    前記ロボット教示装置は、
    前記ロボットから伝送された前記物体検出情報に基づき前記触覚情報変換装置により変換された触覚情報に応じて、対応する触感を前記操作者に提供する物体検知感覚提供部、
    を有すること、
    を特徴とするインタラクション操作システム。
  19. 触覚刺激を出力可能な一または複数の出力部側へ触覚情報を与えるため、記憶部と制御部を少なくとも備えた触覚情報変換装置において実行される触覚情報変換方法であって、
    前記記憶部は、
    第一の種類の触覚刺激が生じる第一刺激点に、第二の種類の触覚刺激を知覚させるための前記第一および第二の種類の触覚刺激、または、第二の種類の触覚刺激が生じる第二刺激点に、第一の種類の触覚刺激を知覚させるための前記第一および第二の種類の触覚刺激を定義する触覚定義部を備え、
    前記制御部において実行される、
    前記第一の種類の触覚刺激が生じる第一刺激点を判定する、または、前記出力部を介して前記第一の種類の触覚刺激を第一刺激点に発生させる第一刺激ステップと、
    前記第一刺激ステップにて判定または発生される前記第一の種類の触覚刺激の前記第一刺激点から、時間的および/または空間的に所定の閾値内で離隔した第二刺激点において、前記出力部を介して前記第二の種類の触覚刺激を発生させる触覚情報を前記出力部側に出力する第二刺激ステップと、
    を含むことを特徴とする、触覚情報変換方法。
  20. 触覚刺激を出力可能な一または複数の出力部側へ触覚情報を与えるため、記憶部と制御部を少なくとも備えたコンピュータに実行させるための触覚情報変換プログラムにおいて、
    前記記憶部は、
    第一の種類の触覚刺激が生じる第一刺激点に、第二の種類の触覚刺激を知覚させるための前記第一および第二の種類の触覚刺激、または、第二の種類の触覚刺激が生じる第二刺激点に、第一の種類の触覚刺激を知覚させるための前記第一および第二の種類の触覚刺激を定義する触覚定義部を備えており、
    前記制御部に実行させるための、
    前記第一の種類の触覚刺激が生じる第一刺激点を判定する、または、前記出力部を介して前記第一の種類の触覚刺激を第一刺激点に発生させる第一刺激ステップと、
    前記第一刺激ステップにて判定または発生される前記第一の種類の触覚刺激の前記第一刺激点から、時間的および/または空間的に所定の閾値内で離隔した第二刺激点において、前記出力部を介して前記第二の種類の触覚刺激を発生させる触覚情報を前記出力部側に出力する第二刺激ステップと、
    を含むことを特徴とする、触覚情報変換プログラム。
  21. 電気、温度、振動、および、力のうち、少なくとも2種類の触覚を提示する場合の素子の積層型および/または水平配置型の素子配置構造体であって、
    (1)振動または温度の提示素子よりも、電気の提示素子を身体側に積層配置すること、
    (2)振動の提示素子よりも、温度の提示素子を身体側に積層配置すること、
    (3)力の提示素子よりも、電気、温度、および/または、振動の提示素子を身体側に積層配置すること、および、
    (4)少なくとも振動の提示素子を水平配置すること、
    のうち一つまたは複数の組合せであることを特徴とする、素子配置構造体。
  22. 請求項21に記載の素子配置構造体において、
    前記振動の提示素子を水平配置する場合において、振動を音に変換ないし振動共鳴ないし放熱のための空隙を設けることを特徴とする、素子配置構造体。
  23. 請求項21または22に記載の素子配置構造体において、
    電気の提示素子を密に、温度および/または振動の提示素子を疎に、水平配置したことを特徴とする、素子配置構造体。
  24. 請求項21乃至23のいずれか一つに記載の素子配置構造体において、
    少なくとも一部が水平配置型の素子配置構造体であって、
    全体として可撓性を有するように水平配置の提示素子が連結されていることを特徴とする、素子配置構造体。
  25. 請求項21乃至24のいずれか一つに記載の素子配置構造体において、
    前記電気の提示素子が電気提示を行わない際に、接地として機能することを特徴とする、素子配置構造体。
  26. 請求項21乃至25のいずれか一つに記載の素子配置構造体において、
    少なくとも一部が水平配置型の素子配置構造であって、
    水平面方向に複数配置された複数の同種の提示素子において、ファントムセンセーションにより複数の前記提示素子間で刺激を定位させることを特徴とする、素子配置構造体。
  27. 請求項21乃至26のいずれか一つに記載の素子配置構造体において、
    少なくとも一部が水平型の素子配置構造体であって、
    水平配置の構造は全体として身体の周囲を取り囲むように設けられることを特徴とする、素子配置構造体。
  28. 請求項22に記載の素子配置構造体において、
    少なくとも一部が水平型の素子配置構造であって、
    水平面方向に複数配置された複数の振動の前記提示素子の間に、前記空隙を設けることを特徴とする、素子配置構造体。
  29. 請求項22に記載の素子配置構造体において、
    全体として身体の周囲を取り囲むように設けられた水平配置の構造の背側に前記空隙を設けることを特徴とする、素子配置構造体。
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