JPWO2017170179A1 - 研磨用組成物及びその製造方法 - Google Patents

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Abstract

一層高精度の平滑性を実現できる研磨用組成物を提供する。
砥粒及び塩基性化合物を含む、研磨用組成物において、水溶性高分子化合物と、重合開始剤及び重合禁止剤の反応物と、を含むようにする。この反応物により、一層高い平滑性を得られる。

Description

本明細書は、シリコンウェーハ(以下、単に、ウェーハともいう。)の仕上研磨などに適した研磨用組成物及びその製造方法に関する。
近年、LSIなどの半導体装置の微細化が一層進展しており、これに伴ってデバイス作製前のウェーハにはさらに高度な平滑性が求められるようになってきている。
ウェーハの平滑化技術としては、CMP(ケミカルメカニカルポリッシング:化学機械研磨)と呼ばれる研磨プロセスが広く用いられている。CMPは、微細な砥粒と塩基性化合物を含有する研磨用組成物が使用される。CMPプロセスでは、砥粒によるメカニカル研磨と塩基性化合物によるケミカル研磨とが同時進行することにより、広範囲にわたりウェーハ表面を高精度に平滑化できる。
一般に、CMPによるウェーハ研磨プロセスでは、3〜4段階の研磨を行って、高精度の平滑化を実現している。研磨プロセスの前半では、粗研磨を主目的とし高い研磨レートが要求される傾向がある。これに対してプロセス後半ではいわゆる仕上研磨を主目的とし、研磨レートに加えてウェーハ表面の無傷性や平滑性も高いレベルで仕上げることが要求される。ウェーハ表面の平滑性のパラメータとしては、各種表面欠陥、すなわちヘイズ、LPD(Light Point Defect)、スクラッチ傷などが挙げられる。
表面欠陥の少ないウェーハを得るために、一般的には水溶性高分子化合物を含む研磨用組成物を用いる方法が知られている(特許文献1〜3)。水溶性高分子化合物が砥粒やウェーハの表面に適度に吸着することによって、必要な研磨速度を保持しながら、砥粒や異物によるウェーハへのダメージを緩和し、表面欠陥の少ないウェーハに仕上げることができるとされている。また、ウェーハ表面に親水性を付与し、砥粒や異物の付着を防止する効果も期待できる。結果として、水溶性高分子化合物を加えない場合に比べて高精度な平滑化を可能にする。
特開2004−128089号公報 国際公開第2014/148399号 国際公開第2014/196229号
研磨用組成物への水溶性高分子化合物の添加によって、仕上研磨に対する効果は向上した。しかしながら、研磨用組成物に対する高精度の平滑性への要求は依然として高まっている。
本明細書は、一層高精度の平滑性を実現できる研磨用組成物を提供する。
本発明者らは、水溶性高分子化合物以外の化合物に着目した。その結果、研磨用組成物に添加する水溶性高分子化合物を合成するためのモノマー組成物中に含まれる重合開始剤と重合禁止剤との反応生成物が、水溶性高分子化合物とともに研磨用組成物中に含まれることで、一層高い平滑性を得られるという知見を得た。本明細書はかかる知見に基づき以下の手段を提供する。
(1)砥粒及び塩基性化合物を含む、研磨用組成物であって、
水溶性高分子化合物と、
重合開始剤及び重合禁止剤の反応物と、
を含む、研磨液用組成物。
(2)前記重合開始剤が、水溶性アゾ開始剤である、(1)に記載の研磨用組成物。
(3)前記重合禁止剤が、以下一般式(1)及び一般式(2)で表される化合物、並びに、フェノチアジン及びニトロソアミン系化合物からなる群より選ばれる少なくとも1種の化合物を含む、(1)又は(2)に記載の研磨用組成物。
(式中、R〜Rはそれぞれ独立して水素、水酸基、炭素数1〜8のアルキル基、炭素数1〜8のアルコキシ基を表す。)
(式中、XはCH、CH(CHOH(但し、pは0〜3の整数)、CHO(CHOH(但し、qは0〜3の整数)、CHO(CHCH(但し、rは0〜2の整数)、CHCOOH、またはC=Oを表し、R4、R5、R6及びR7は、それぞれ独立して、炭素数1〜3のアルキル基を表す。)
(4)前記水溶性高分子化合物に対し、前記反応物を1質量ppm以上1,000質量ppm以下含む、(1)〜(3)のいずれか1項に記載の研磨用組成物。
(5)前記水溶性高分子化合物の重量平均分子量(Mw)が、10,000〜1,000,000である、(1)〜(4)のいずれか1項に記載の研磨液用組成物。
(6)前記水溶性高分子化合物が、分子内に窒素原子を有する単量体に由来する構造単位を10mol%以上100mol%以下含む、(1)〜(5)のいずれか1項に記載の研磨液用組成物。
(7)研磨用組成物の製造方法であって、
砥粒と、塩基性化合物と、水溶性高分子化合物と、重合開始剤及び重合禁止剤の反応物と、を混合する工程、
を備える、製造方法。
(8) 前記混合工程に先立って、前記重合開始剤と前記重合禁止剤との間で反応を生じさせることにより前記反応物を得る反応物合成工程を備える、(7)に記載の製造方法。
(9)研磨用添加剤であって、
水溶性高分子化合物の重合開始剤及び重合禁止剤の反応物と、
を含む、研磨用添加剤。
(10)さらに、水溶性高分子化合物を含む、(9)に記載の研磨用添加剤。
(11)研磨用添加剤の製造方法であって、
重合開始剤と重合禁止剤との間で反応を生じさせることにより前記反応物を得る反応物合成工程、
を備える、製造方法。
(12)前記反応物合成工程は、研磨用の水溶性高分子化合物の合成工程後、前記水溶性高分子化合物の合成反応液中に存在する前記重合開始剤及び前記重合禁止剤を用いて実施する、(11)に記載の製造方法。
本明細書の開示は、研磨用組成物、その製造方法、研磨用添加剤等に関する。本明細書に開示される研磨用組成物(以下、単に本組成物ともいう。)及び研磨用添加剤(以下、単に、本添加剤ともいう。)は、重合開始剤及び重合禁止剤の反応物(以下、単に、本反応物ともいう。)を含んでいる。かかる反応物は、水溶性高分子化合物を用いるCMP研磨プロセスにおいて、ヘイズや表面欠陥を一層減少させることができる。この結果、水溶性高分子を含むがかかる反応物を含まない研磨用組成物より一層高精度の平滑性を有する被研磨物を得ることができる。
本組成物は、水溶性高分子化合物とともに、本反応物を含むことにより、メカニカル研磨力及びケミカル研磨力を制御してより優れた被研磨物表面の平滑性を提供することができる。また、本添加剤は、本反応物を含むことにより、水溶性高分子化合物とともに被研磨物の表面を保護し、CMP等における研磨力を調節してより優れた平滑性を提供することができる。
本反応物が、水溶性高分子化合物を含むCMP研磨プロセスにおいて、平滑性を向上させる作用については必ずしも明らかではない。一方、重合開始剤と重合禁止剤とが併存する系においては、酸素存在下、重合開始剤に由来するラジカルから、重合開始剤と重合禁止剤との反応物が生成する。例えば、以下に1つの反応のスキームを示す。以下のスキーム1は、推論かつ例示であって本明細書の開示を拘束するものではないが、重合開始剤がラジカル重合開始剤の一種である2,2′-アゾビス[2−(2−イミダゾリン−2−イル)プロパン]二硫酸塩二水和物であり、重合禁止剤がMQ(ハイドロキノンモノメチルエーテル)の例である。この重合開始剤と重合禁止剤との組合せによれば、酸素存在下において、例えば、以下に示す化合物aが本反応物として生成すると考えられる。
上記スキーム1では、重合開始剤に由来するラジカルが生成する。例えば、酸素存在下においては、重合開始剤のラジカルが酸素と反応し、重合開始剤−酸素ラジカルを生成しうる。かかるラジカルは、重合禁止剤からプロトンを引き抜き、重合禁止剤ラジカルを生成することができる。重合禁止剤ラジカルは、重合開始剤−酸素ラジカルや重合開始剤ラジカルとカップリングして、モル比1:1でのカップリング反応物として化合物aを生成すると考えられる。
重合開始剤由来ラジカル、重合禁止剤ラジカルは、このほか、種々の反応を引き起こしうる。例えば、重合禁止剤ラジカルは、他の重合禁止剤と連鎖的に反応して、重合禁止剤の連鎖反応物も生成しうる。
本反応物は、重合開始剤及び重合禁止剤に由来するこうした反応物を含んでいると考えられる。重合開始剤及び重合開始剤の反応物を含むことにより、表面が疎水性であるウェーハなどの被研磨物の表面に吸着しやすく、砥粒や塩基性化合物に対して被研磨物表面を保護し、メカニカル研磨力及びケミカル研磨力を適度に緩和することができると考えられる。
本反応物は、重合禁止剤由来の構造を含んでいる。このため、例えば、概して、重合禁止剤由来の芳香族環又は複素環式アミン由来の疎水性部分を有する疎水性化合物であると考えられる。本反応物は、水や水溶性高分子化合物を含む研磨用組成物においては、相対的に高い疎水性を有する溶質部分を構成すると考えられる。疎水性に富む反応物は、表面が疎水性であるウェーハなどの被研磨物の表面に吸着しやすく、砥粒や塩基性化合物に対して被研磨物表面を保護し、メカニカル研磨力及びケミカル研磨力を適度に緩和することができると考えられる。
本組成物によれば、水溶性高分子化合物により、被研磨物表面を保護するとともに、本反応物によっても被研磨物表面を保護することにより、メカニカル研磨力及びケミカル研磨力を制御してより優れた被研磨物表面の平滑性を提供することができると考えられる。

本組成物及び本添加剤は、種々の材質および形状を有する被研磨物の研磨に用いられうる。被研磨物は、CMPプロセスが適合する材料であればよく、例えば、シリコン、アルミニウム、ニッケル、タングステン、銅、タンタル、チタン、ステンレス鋼、ゲルマニウム等の金属または半金属またはこれらの合金、石英ガラス、アルミノシリケートガラス、ガラス状カーボン等のガラス状物質;アルミナ、シリカ、サファイア、窒化ケイ素、窒化タンタル、炭化チタン等のセラミック材料、炭化ケイ素、窒化ガリウム、ヒ化ガリウム等の化合物半導体基板材料、ポリイミド樹脂等の樹脂材料等又はこれらの複合材料が挙げられる。例えば、シリコンからなる表面を備えたウェーハなどの研磨に有用である。
以下、本明細書の開示の実施形態である、本組成物、その製造方法、並びに、研磨用添加剤等について詳細に説明する。なお、本明細書において、「(メタ)アクリル」とは、アクリル及びメタクリルを意味し、「(メタ)アクリレート」とは、アクリレート及びメタクリレートを意味する。また、「(メタ)アクリロイル基」とは、アクリロイル基及びメタクリロイル基を意味する。
(研磨用組成物)
本組成物は、(A)水溶性高分子化合物、(B)重合開始剤及び重合禁止剤の反応物を含むことができる。さらに、本組成物は、(C)砥粒、(D)塩基性化合物を含むことができる。以下、各成分につき、順次説明する。
(A)水溶性高分子化合物
水溶性高分子化合物としては、研磨用に用いられる公知の水溶性高分子化合物を特に限定しないで1種又は2種以上を適宜選択して用いることができる。水溶性高分子化合物は、例えば、ポリセルロース誘導体、デンプン誘導体、オキシアルキレン単位を含むポリマー、ビニルアルコール系ポリマー、アクリル酸系ポリマー、窒素原子を含有するポリマー等が挙げられる。セルロース誘導体としては、ニトロセルロース、アセチルセルロース、カルボキシメチルセルロースが挙げられる。また、デンプン誘導体としては、デンプンほか、アミロース、アミロペクチン、プルラン等が挙げられる。オキシアルキレン単位を含むポリマーとしては、エチレンオキサイドとプロピレンオキサイドとのランダム共重合体やブロック共重合体、ポリエチレングリコールほか、ポリビニルアルコール等が挙げられる。そのほか、ポリイソプレンスルホン酸、ポリビニルスルホン酸、ポリアリルスルホン酸、ポリイソアミレンスルホン酸、ポリスチレンスルホン酸塩、ポリアクリル酸塩、ポリ酢酸ビニル等が挙げられる。
水溶性高分子化合物としては、窒素原子を含有するポリマーを好ましく用いることができる。窒素原子を含有するポリマーとしては、例えば、分子内に窒素原子を有する単量体に由来する構造単位を有するポリマーが挙げられる。かかるポリマーとしては、例えば、N−ビニル−2−ピロリドン、N−(メタ)アクリロイルモルホリン、(メタ)(ジ)イソプロピルアクリルアミド、N,N−ジメチル(メタ)アクリルアミド、N−ヒドロキシエチル(メタ)アクリルアミドなどの単量体に由来する構造単位を有するポリマーが挙げられる。かかるポリマーは、こうした単量体由来構造単位を10mol%以上100mol%以下含むことが好ましい。
なかでも、N−(メタ)アクリロイルモルホリンに由来する構造単位を含むポリマー(以下、モルホリン系ポリマーともいう。)を好ましく用いることができる。かかる構造単位は、アルカリ条件下での加水分解性が十分に抑制されており使用性に優れる。例えば、pH10.0、25℃で、少なくとも2ヶ月間加水分解がほぼ100%抑制されうる。また、かかる構造単位は、砥粒やウェーハに対して適度な吸着性を発揮する。したがって、前記構造単位を主体とする水溶性高分子化合物は、塩基性化合物等とともに研磨用組成物を形成した場合にも優れた耐アルカリ性を示し、また、良好な耐エッチング性を発揮する。さらに、かかる構造単位を有するポリマーは、高分子量(例えば、Mwが60万程度以上)であっても、シリカ系砥粒を良好に分散できる。
N−(メタ)アクリロイルモルホリンに由来する構造単位は、10mol%以上100mol%以下有することが好ましいが、より好ましくは、例えば、20mol%以上であり、30mol%以上であり、40mol%以上であり、50mol%以上である。さらに好ましくは60mol%以上であり、70mol%以上であり、80mol%以上であり、90mol%以上であり、95mol%以上であり、98mol%以上であり、99mol%以上であり、100mol%である。
また、例えば、N−(メタ)アクリロイルモルホリンに由来する構造単位は、50mol%以上100mol%以下であり、また、70mol%以上100mol%の範囲であることが好ましく、90mol%以上100mol%の範囲であることがより好ましい。
モルホリン系ポリマーは、当該構造単位以外に、これと共重合可能なその他の単量体由来構造単位を有することができる。その他の単量体は特に限定されるものではないが、例えば、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸ブチル及び(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシル等の(メタ)アクリル酸アルキルエステル類;(メタ)アクリル酸、クロトン酸、マレイン酸、イタコン酸及びフマル酸等の不飽和酸並びにこれらのアルキルエステル類;無水マレイン酸等の不飽和酸無水物;2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸及びその塩類等のスルホン酸基含有単量体;メチル(メタ)アクリルアミド、エチル(メタ)アクリルアミド、n−プロピル(メタ)アクリルアミド、イソプロピル(メタ)アクリルアミド、n−ブチル(メタ)アクリルアミド及び2−エチルヘキシル(メタ)アクリルアミド等のN−アルキル(メタ)アクリルアミド;メチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド、ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド、エチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド及びジエチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド等の(ジ)アルキルアミノアルキルアミド類;メチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、エチルアミノエチル(メタ)アクリレート及びジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート等の(ジ)アルキルアミノアルキル(メタ)アクリレート類;スチレン、ビニルトルエン及びビニルキシレン等の芳香族ビニル化合物;メチルビニルエーテル、エチルビニルエーテル、n−プロピルビニルエーテル、イソプロピルビニルエーテル、n−ブチルビニルエーテル、イソブチルビニルエーテル、t−ブチルビニルエーテル、n−ヘキシルビニルエーテル、2−エチルヘキシルビニルエーテル、n−オクチルビニルエーテル、n−ノニルビニルエーテル及びn−デシルビニルエーテル等の炭素数1〜10のアルキル基を有するアルキルビニルエーテル類;ギ酸ビニル、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、バレリン酸ビニル、カプリン酸ビニル、ラウリン酸ビニル、ステアリン酸ビニル、安息香酸ビニル、ピパリン酸ビニル及びバーサチック酸ビニル等のビニルエステル化合物;エチレン、プロピレン、ブチレン等のα―オレフィン類等が挙げられ、これらの内の1種又は2種以上を用いることができる。
モルホリン系ポリマーにおけるその他の単量体の使用量は、0mol%以上90mol%以下の範囲とすることができるが、例えば、0mol%以上50mol%以下、0mol%以上30mol%以下、0mol%以上20mol%以下、0mol%以上10mol%以下の範囲がより好ましい。その他の単量体の使用量が50mol%を超えると、N−(メタ)アクリロイルモルホリンの使用量が50mol%未満となるため、砥粒及びウェーハへの吸着性のバランスが崩れ、被研磨物表面が平滑に仕上がらない場合がある。
モルホリン系ポリマーを含む水溶性高分子化合物の重量平均分子量(Mw)は、特に限定するものではないが、例えば、10,000〜1,000,000の範囲とすることができる。重量平均分子量(Mw)は好ましくは50,000〜800,000の範囲であり、より好ましくは100,000〜700,000の範囲である。また、水溶性高分子化合物の数平均分子量(Mn)は、1,000〜300,000の範囲であることが好ましく、より好ましくは1,500〜150,000の範囲であり、さらに好ましくは2,000〜100,000の範囲である。数平均分子量(Mn)が1,000以上であれば、ウェーハの表面保護性が十分確保され、300,000以下であれば、研磨砥粒の分散性を確保することができる。なお、重量平均分子量及び数平均分子量は、GPC(ゲルパーミエーションクロマトグラフィー、例えば、HLC−8220、東ソー製)を用いて、ポリスチレン換算により測定できる。
また、モルホリン系ポリマーを含む水溶性高分子化合物の分子量分布(PDI)は狭い方が好ましい。具体的には、重量平均分子量(Mw)を数平均分子量(Mn)で除した値が4.0以下であることが好ましく、3.5以下であることがより好ましく、3.0以下であることがさらに好ましい。分子量分布(PDI)が4.0以下であれば、十分な表面保護性を示し、かつ、高分子量体に起因する(シリカ)砥粒の分散性悪化も回避することができる。
モルホリン系ポリマーを含む水溶性高分子化合物は、公知の方法で取得するかあるいは商業的に入手することができる。なお、水溶性高分子化合物の製造については、後段にて詳述する。
(B)重合開始剤及び重合禁止剤の反応物
(重合開始剤)本反応物における重合開始剤は、特に限定するものではないが、一般的に用いられる重合開始剤を用いることができる。本組成物における水溶性高分子化合物の種類や本反応物の製造性等を考慮すると、ラジカル重合開始剤を好ましく用いることができる。
ラジカル重合開始剤は、公知のラジカル重合開始剤の1種又は2種以上を適宜選択して用いることができる。例えば、過硫酸ナトリウム、過硫酸カリウム及び過硫酸アンモニウム等の過硫酸塩類、t−ブチルハイドロパーオキサイド等のハイドロパーオキサイド類、過酸化水素等の水溶性過酸化物、メチルエチルケトンパーオキサイド、シクロヘキサノンパーオキサイド等のケトンパーオキサイド類、ジ−t−ブチルパーオキサイド、t−ブチルクミルパーオキサイド等のジアルキルパーオキサイド類、t−ブチルパーオキシピバレート、t−ヘキシルパーオキシピバレート等のパーオキシエステル類等の油溶性の過酸化物、2,2’−アゾビス[N−(2−カルボキシエチル)−2−メチルプロピオンアミジン]水和物、2,2’−アゾビス[2−(2−イミダゾリン−2−イル)プロパン]、2,2’−アゾビス[2−(2−イミダゾリン−2−イル)プロパン]二塩酸塩、2,2’−アゾビス[2−(2−イミダゾリン−2−イル)プロパン]二硫酸塩二水和物、2,2’−アゾビス(2−アミジノプロパン)二塩酸塩、2,2’−アゾビス[2−メチル−N−(2−ヒドロキシエチル)プロピオンアミド]、2,2’−アゾビス(N−ブチル−2−メチルプロピオンアミド)、2,2’−アゾビス[N−(2−プロペニル)−2−メチルプロピオンアミド]及び4,4’−アゾビス−4−シアノ吉草酸等の水溶性アゾ化合物、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)、2,2’−アゾビス(2−メチルブチロニトリル)等の油溶性アゾ化合物等が挙げられる。
こうした重合開始剤の中でも、重合反応の制御が行い易い点から過硫酸塩類や水溶性アゾ化合物などの水溶性の重合開始剤を好ましく用いることができる。より好ましくは水溶性アゾ化合物である開始剤である。
重合開始剤は、本組成物中の水溶性高分子化合物のためのラジカル重合開始剤とは異なる重合開始剤であってもよいし、当該水溶性高分子化合物のラジカル重合を開始するために使用されるラジカル重合開始剤であってもよい。後者であると、水溶性高分子化合物の合成工程に引き続きあるいはその後において、特段の原料の添加などなく本反応物を合成することができる。
重合開始剤の使用量は特に制限されないが、例えば、水溶性高分子化合物全体を構成する全単量体の合計質量又は水溶性高分子化合物の質量に基づいて、0.1〜10質量%の割合で使用することが好ましく、0.1〜5質量%の割合がより好ましく、0.2〜3質量%の割合がさらに好ましい。
(重合禁止剤)
重合禁止剤は、公知の重合禁止剤から1種又は2種以上適宜選択して用いることができる。重合禁止剤は、概して、光や熱等によって単量体等に発生したラジカルによって、安定ラジカルを形成する化合物である。なお、本明細書における重合禁止剤は、重合抑制剤と称される化合物も包含している。重合禁止剤は、本組成物の水溶性高分子化合物の原料であるモノマーに使用される重合禁止剤を含むことができる。
重合禁止剤としては、例えば、以下の一般式(1)で表される化合物、一般式(2)で表される化合物、フェノチアジン系化合物及びニトロソアミン系化合物からなる群より選ばれる少なくとも1種の化合物を使用することが好ましい。
(式中、R〜Rはそれぞれ独立して水素、水酸基、炭素数1〜8のアルキル基、炭素数1〜8のアルコキシ基を表す。)
(式中、XはCH、CH(CHOH(但し、pは0〜3の整数)、CHO(CHOH(但し、qは0〜3の整数)、CHO(CHCH(但し、rは0〜2の整数)、CHCOOH、またはC=Oを表し、R4、R5、R6及びR7は、それぞれ独立して、炭素数1〜3のアルキル基を表す。)
一般式(1)におけるR〜Rのアルキル基及びアルコキシ基におけるアルキル基は直鎖であっても分枝状であってもよい。好ましくは、炭素数は、1以上4以下程度であり、より好ましくは1以上3以下程度である。また、R3は、好ましくは、水酸基を表す。
一般式(1)で表される化合物は、例えば、メチルヒドロキノン、t−ブチルヒドロキノン、ヒドロキノン、メトキシフェノール等、4−tert−ブチルピロカテコール、2,6−ジ−tert−ブチル−p−クレゾール等が挙げられる。
一般式(2)で表される化合物は、公知のピペリジン−1−オキシル類である。R4、R5、R6及びR7は、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基が挙げられる。こうした化合物としては、例えば、2,2,6,6−テトラメチルピペリジン1−オキシル、2,2,6,6−テトラエチルピペリジン1−オキシル2,2,6,6−テトラn−プロピルピペリジン1−オキシル及びその誘導体が挙げられる。
フェノチアジン系化合物としては、フェノチアジン等が挙げられる。また、ニトロソアミン系化合物としては、アンモニウム N−ニトロソフェニルヒドロキシルアミン、N−ニトロソフェニルヒドロキシルアミンアルミニウム塩)が挙げられる。
重合禁止剤の使用量は特に制限されないが、例えば、水溶性高分子化合物全体を構成する全単量体の合計質量又は水溶性高分子化合物の質量に対して、0.005質量%(50ppm)以上0.5質量%(5000ppm)以下程度とすることができる。例えば、好ましくは、0.01質量%(100ppm)以上0.3質量%(3000ppm)以下である。
(本反応物の製造方法)
本反応物は、重合開始剤と重合禁止剤との反応物である。本反応物の製造方法は、重合開始剤と重合禁止剤との反応物合成工程を備えることができる。
この反応物生成工程は、酸素存在下で行うことができる。酸素存在下とは、特に限定するものではないが、例えば、重合開始剤と重合禁止剤とを含む反応溶媒を、酸素を含有する雰囲気ガスに接触させる態様が挙げられる。また、積極的に、反応溶媒中に酸素を含むガスをバブリングして行う態様であってもよい。
供給する酸素含有ガスは、特に限定するものではなく、大気であってもよいほか、適量の酸素ガスを含有する窒素ガスなどの不活性ガスであってもよい。不活性ガスにおける酸素含有量は、特に限定しないが、1%以上20%以下程度とすることができ、典型的には2%以上8%以下程度である。こうした雰囲気ガスは、適当な流量で反応系に導入される。
重合開始剤と重合禁止剤との反応のための溶媒は、特に限定するものではないが、水溶性高分子化合物の合成に用いる溶媒と同様の溶媒を用いることが好ましい。すなわち、水又は水と相溶する有機溶媒との混液等であり、好ましくは水のみである。
本反応物の合成における温度条件は、重合開始剤や重合禁止剤の種類等によっても異なる。特に限定するものではないが、例えば、適度な合成時間を考慮すると、15℃以上であることが好ましく、より好ましくは20℃以上であり、さらに好ましくは25℃以上であり、なお好ましくは30℃以上であり、さらに好ましくは40℃以上である。また、水溶性高分子化合物への影響等を考慮すると、好ましくは120℃以下であり、より好ましくは110℃以下であり、さらに好ましくは100℃以下である。温度条件は、これらの下限温度及び上限温度を組み合わせることでその範囲を設定できるが、例えば、15℃以上120℃以下の範囲とすることができ、また、20℃以上100℃以下の範囲とすることができる。
また、本反応物の合成におけるその他の条件は、適宜設定することができる。特に限定するものではないが、重合開始剤の酸素ラジカルの生成を促進できる範囲で、光の照射を行うこともできる。また、反応時間は重合開始剤や重合禁止剤の種類のほか、温度条件によっても異なるが、数時間から数十時間程度、ひいては数日から数ヶ月等の範囲で適宜設定することができる。
なお、当業者であれば、各種条件下で得られる本反応物の生成量と研磨プロセスにおける本反応物の効果に基づいて、重合開始剤、重合禁止剤及び合成条件について、適宜設定することができる。
本反応物は、重合開始剤と重合禁止剤のカップリング反応物や重合禁止剤の連鎖反応物など各種の反応物を含むことができる。したがって、本反応物は、多種多様な化合物の混合物でありうる。また、化合物やその組成は、反応条件によっても異なると考えられる。したがって、本反応物を構成する全ての化合物の個別の具体的構造を特定し、また、本反応物に含まれる各種化合物の組成を規定することは極めて困難である。
本製造方法は、水溶性高分子化合物の製造とは独立した、重合開始剤と重合禁止剤との本反応物合成工程を備えることもできる。この場合であっても、反応溶媒においては、本組成物に用いる水溶性高分子化合物を含んでいることが好ましい。水溶性高分子化合物の存在下であると、本反応物の合成と同時に水溶性高分子化合物も含む本添加剤を得ることができ、効率的である。
また、本反応物の製造方法は、水溶性高分子化合物の合成工程に引き続いて、その反応液中に存在する、当該重合に用いた重合開始剤及び/又は重合禁止剤をそのまま利用する本反応物合成工程を備えることもできる。この製造方法によると、水溶性高分子化合物を合成するのに伴って本反応物を得ることができる。また、本反応物の製造方法は、水溶性高分子化合物の合成工程に引き続いて、当該合成工程に存在した重合開始剤及び重合禁止剤の少なくとも一部に替えて、あるいは追加して別の重合開始剤や重合禁止剤を追加して行ってもよい。
以下、水溶性高分子化合物の製造後に、当該水溶性高分子化合物の存在下で本反応物を製造する一例について説明する。
(水溶性高分子化合物の製造に伴う本反応物の合成)
水溶性高分子化合物は、既に説明した態様の単量体を重合することによって得ることができる。単量体の混合物(以下、単量体組成物という。)が重合禁止剤を含んでいる場合、重合禁止剤を含んでそのまま水溶性高分子化合物を合成してもよいし、重合に際して、公知の方法で重合禁止剤を除去して水溶性高分子化合物を合成してもよい。
重合方法は特に制限されるものではないが、水溶性高分子化合物を均一な状態で得ることができる点で、溶液重合法が好ましい。溶液重合法ではラジカル重合によることが好ましい。溶液重合の際の重合溶媒は、水、又は、水及び有機溶剤からなる混合溶媒を用いることができる。前記有機溶剤としては、具体的には、メタノール、エタノール、イソプロパノール、アセトン及びメチルエチルケトン等が挙げられ、これらの内の1種、又は2種以上を併用して用いてもよい。上記の内でも、水を重合溶媒とする水溶液重合法を採用することが好ましい。
重合開始剤としては、既に説明した各種のラジカル重合開始剤などの重合開始剤を用いることができる。必要に応じて連鎖移動剤を用いる。連鎖移動剤を使用することにより、水溶性高分子化合物の分子量を適度に調整することができる。
連鎖移動剤は公知のものを使用することができ、例えば、エタンチオール、1−プロパンチオール、2−プロパンチオール、1−ブタンチオール、2−ブタンチオール、1−ヘキサンチオール、2−ヘキサンチオール、2−メチルヘプタン−2−チオール、2−ブチルブタン−1−チオール、1,1−ジメチル−1−ペンタンチオール、1−オクタンチオール、2−オクタンチオール、1−デカンチオール、3−デカンチオール、1−ウンデカンチオール、1−ドデカンチオール、2−ドデカンチオール、1−トリデカンチオール、1−テトラデカンチオール、3−メチル−3−ウンデカンチオール、5−エチル−5−デカンチオール、tert−テトラデカンチオール、1−ヘキサデカンチオール、1−ヘプタデカンチオール及び1−オクタデカンチオール等の炭素数2〜20のアルキル基を有するアルキルチオール化合物の他、メルカプト酢酸、メルカプトプロピオン酸、2−メルカプトエタノール等が挙げられ、これらの内の1種又は2種以上を用いることができる。
連鎖移動剤の中でも、ウェーハへの吸着性が良好となる点から炭素数2〜20のアルキル基を有するアルキルチオール化合物が好ましく、炭素数4〜20のアルキル基を有するものがより好ましく、炭素数6〜20のアルキル基を有するものがさらに好ましい。
連鎖移動剤を用いる際、その好ましい使用量は、全単量体の量に対して0.1〜10質量%であり、さらに好ましくは0.5〜5質量%である。
水溶性高分子化合物の合成時における反応温度としては、30〜100℃が好ましく、40〜90℃がより好ましく、50〜80℃がさらに好ましい。また、合成は、窒素などの不活性ガス雰囲気下で行う。
こうして単量体を重合して水溶性高分子化合物を得たのち、水溶性高分子化合物を含有する反応液をそのまま用いて本反応物を得ることができる。例えば、水溶性高分子化合物合成時に用いた単量体組成物が重合禁止剤を含んでいる場合、反応液中の水溶性高分子化合物の合成時に用いた重合開始剤と単量体組成物中に含まれていた重合禁止剤とを利用して、本反応物を得る態様が挙げられる。この第1の態様では、水溶性高分子化合物の合成終了後、例えば、酸素含有ガスを反応液にバブリングしたり、大気などの酸素含有雰囲気に接する状態に反応液を置いて、重合禁止剤と重合開始剤との反応のための所定の温度に温調して所定時間本反応物の合成を実施する。こうすることで、水溶性高分子化合物とともに本反応物を含む本組成物を得ることができる。この態様においては、反応液に、追加で重合禁止剤を加えることもできる。
また、第2の態様として、例えば、水溶性高分子化合物合成時に用いた単量体組成物が重合禁止剤を含んでいないとき(合成に際して重合禁止剤を除去した場合を含む。)、反応液中の水溶性高分子化合物の合成時に用いた重合開始剤と反応液に新たに追加した重合禁止剤とを利用して、本反応物を得る態様が挙げられる。この第2の態様では、重合禁止剤を添加する以外は、第1の態様と同様にして、重合禁止剤と重合開始剤との反応を行うことができる。
本反応物における重合開始剤と重合禁止剤とのモル比1:1のカップリング反応物は、後述する重合禁止剤の液体クロマトグラフィーに準じて液体クロマトグラフィーを実施することで検出することができるほか、このカップリング反応物濃度を定量することができる。
また、本カップリング反応物を含む本反応物の濃度は、反応前後の重合禁止剤の減少量、すなわち、反応前濃度から反応後濃度の差分を利用して推定量として取得することができる。重合禁止剤の減少分が、全て、重合開始剤と重合禁止剤の1:1のカップリング反応に消費されたと推定することで、本反応物の生成量と推定する。例えば、重合開始剤との反応前後で水溶性高分子化合物に対して含まれる重合禁止剤から、水溶性高分子化合物に対する本反応物の濃度は以下のように推定される。
水溶性高分子化合物に対する本反応物の濃度=(反応前の水溶性高分子化合物に対する重合禁止剤濃度−反応後の同重合禁止剤濃度)×推定される本カップリング反応物の分子量/重合禁止剤の分子量
例えば、既述のスキーム1では、重合禁止剤の分子量が128であり、重合開始剤と重合禁止剤との1:1(モル比)の反応によるカップリング反応物の分子量が383である。これらの分子量情報と、重合禁止剤の減少分とから、生成した本反応物の濃度や量を推定できる。なお、当業者であれば、重合開始剤と重合禁止剤との1;1(モル比)のカップリング反応物は、重合開始剤と重合禁止剤とのそれぞれの構造から、スキーム1及び技術常識に基づいて想定でき、その分子量も算出できる。
例えば、実施例において詳述するように、重合開始剤(過硫酸アンモニウム)及び重合禁止剤(MQ:ハイドロキノンモノメチルエーテル)との組合せによれば、以下のスキーム2により、以下の1つのカップリング反応物が推定されることになる。
また、例えば、重合開始剤(2,2′-アゾビス[2−(2−イミダゾリン−2−イル)プロパン]二硫酸塩二水和物)と重合禁止剤(フェノチアジン)との組合せによれば、以下の1つのカップリング反応物が推定されることになる。
こうして推定される本反応物の水溶性高分子化合物に対する濃度は、重合開始剤、重合禁止剤の種類のほか、これらの反応条件によって大きく異なることがわかっており、これらを適宜調整することによって得られる本反応物の濃度に基づいて、研磨における効果を調節できる。例えば、推定される本反応物の濃度が、水溶性高分子化合物に対して1質量ppm以上3,000質量ppm以下で有用な平滑性向上性能を得ることができる。好ましくは、水溶性高分子化合物に対して50質量ppm以上であり、より好ましくは100質量ppm以上であり、さらに好ましくは300質量ppm以上であり、なお好ましくは400質量ppm以上であり、一層好ましくは500質量ppm以上である。上限は、特に限定しないが、2000質量ppm以下とすることができる。また、1800質量ppm以下が好ましい場合、1700質量ppm以下が好ましい場合、1500質量ppm以下が好ましい場合や、1000質量ppm以下が好ましい場合もある。例えば、本反応物の推定濃度は、50質量ppm以上1500質量ppm以下とすることができ、また例えば、同100質量ppm以上1000質量ppm以下とすることができる。
また、水溶性高分子化合物における本反応物の濃度に応じて、水溶性高分子化合物が淡黄色から黄褐色に着色することがわかっている。例えば、こうした着色程度を、YI(Yellowness Index)を測定して指標とすることで、本反応物の濃度や研磨性能を推測することができる。例えば、YIは、水溶性高分子化合物の固形分を20質量%に調製した水溶液を、OME−2000(日本電色工業社製)又はこれと同等の精度及び正確性を有してYIを計測可能な装置で、JIS K7373に準拠して測定することで得ることができる。
水溶性高分子化合物の20質量%固形分水溶液のYIが好ましくは、1以上であり、より好ましくは5以上であり、さらに好ましくは10以上であり、なお好ましくは20以上であり、一層好ましくは30以上である。上限は特に限定するものではないが、例えば、150以下であり、好ましくは120以下であり、より好ましくは110以下である。また、100以下が好ましい場合もあり、また、50以下が好ましい場合もある。
(C)砥粒
砥粒としては、特に限定することなく、ウェーハ等の被研磨物の研磨用組成物として用いられる公知の各種砥粒を用いることができる。かかる砥粒としては、シリカ粒子、シリカ以外の無機粒子、有機粒子、または有機無機複合粒子等が挙げられる。本組成物は、かかる砥粒を1種又は2種以上適宜組み合わせて用いることができる。
例えば、砥粒として、シリカ粒子を用いることができる。シリカ粒子としては、コロイダルシリカ、フュームドシリカ、沈降シリカ等が挙げられる。研磨対象物表面にスクラッチを生じにくく、よりヘイズの低い表面を実現し得るという観点から、好ましいシリカ粒子としてコロイダルシリカおよびフュームドシリカが挙げられる。なかでもコロイダルシリカが好ましい。
砥粒の形状や平均粒子径も特に限定されない。例えば、シリカ粒子は、球形であってもよく、各種の非球形であってもよい。
砥粒の平均粒子径は、必要とする研磨速度と研磨後のウェーハ表面の平滑性から適宜選択されるが、例えば、2nm以上500nm以下の範囲とすることができ、5nm以上300nm以下とすることができ、また、5nm以上200nm以下とすることができる。例えば、コロイダルシリカについて、これらの平均粒子径範囲が好適に適用される。
本組成物における砥粒の含有量は、砥粒の種類、研磨速度や平滑性に応じて適宜選択されるが、例えば、本組成物の全質量に対して0.001質量%以上10質量%以下とすることができる。また、0.01質量%以上5質量%とすることもできる。さらに、0.1質量%以上1質量%以下とすることができる。例えば、0.001質量%以上とすることで、メカニカル研磨の研磨速度を確保でき、10質量%以下であれば、砥粒の分散性が確保されてウェーハ表面の平滑性が良好なものとなる。
(D)塩基性化合物
塩基性化合物としては、特に限定することなく、ウェーハ等の被研磨物の研磨用組成物として用いられる公知の各種塩基性化合物を用いることができる。かかる塩基性化合物としては、水溶性の塩基性化合物であればよく、公知の無機塩基性化合物及び有機塩基性化合物からから選択される1種又は2種以上を適宜選択して用いることができる。
無機塩基性化合物としては、例えば、アンモニア、アルカリ金属またはアルカリ土類金属の水酸化物、炭酸塩、炭酸水素塩等が挙げられる。水酸化物としては、例えば、水酸化カリウム、水酸化ナトリウム、水酸化ルビジウム及び水酸化セシウム等が挙げられる。炭酸塩または炭酸水素塩の具体例としては、炭酸水素アンモニウム、炭酸アンモニウム、炭酸水素カリウム、炭酸カリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸ナトリウム等が挙げられる。
有機塩基性化合物としては、アミン類、アンモニア若しくは4級水酸化アンモニウム塩等が挙げられる。アミン類としては、例えば、トリエチルアミン、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、ジイソプロパノールアミン、エチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、ジエチレントリアミン、トリエチルペンタミン及びテトラエチルペンタミン等が挙げられる。4級水酸化アンモニウム塩としては、水酸化テトラメチルアンモニウム、水酸化テトラエチルアンモニウム及び水酸化テトラブチルアンモニウム等が挙げられる。例えば、半導体基板に対する汚染が少ないという点からアンモニア又は4級水酸化アンモニウム塩を用いることができる。塩基性化合物の本組成物における含有量は、適宜設定される。なお、本組成物は、こうした塩基性化合物の添加等により、少なくとも研磨プロセスに供されるとき、例えば、そのpHが8〜13であることが好ましい。pHの範囲は8.5〜12に調整するのがより好ましい。
(E)水
本組成物は、水を含むことができる。本組成物における水は、イオン交換水(脱イオン水)、純水、超純水、蒸留水等を好ましく用いることができる。なお、本組成物は、必要に応じて、後述するように、水と均一に混合し得る有機溶剤(低級アルコール、低級ケトン等)をさらに含有してもよい。通常は、研磨用組成物に含まれる溶媒の90体積%以上が水であることが好ましく、95体積%以上(典型的には99〜100体積%)が水であることがより好ましい。
本組成物は、このほか、任意成分として、上述したように有機溶剤のほか、各種キレート剤、界面活性剤、防腐剤、防カビ剤等の研磨用組成物に用いられ得る公知の添加剤を適宜含むことができる。を含むことができる。キレート剤は、研磨用組成物中に含まれ得る金属不純物と錯イオンを形成してこれを捕捉することにより、金属不純物による研磨対象物の汚染を抑制する働きをする。キレート剤としては、公知のキレート剤を1種を単独でまたは2種以上を組み合わせて用いることができる。また、界面活性剤としては、特に限定されないが、例えば、公知のアニオン性またはノニオン性の界面活性剤から選択される1種又は2種以上を適宜選択して用いることができる。
本組成物は、研磨用途である限り、その形態を問わない。例えば、被研磨物を研磨プロセスにおいてまさに供給される研磨液の形態を採ることができる。また、本組成物は、使用時に、概して水又は水と有機溶媒の混液等によって希釈されるような研磨用原液の形態を採ることができる。また、本組成物は、各種成分を使用時混合するキットの形態であってもよい。すなわち、水溶性高分子化合物、反応物、砥粒及び塩基性化合物を単独であるいは2以上組み合わせた複数の剤のキットとすることができる。後述するように、水溶性高分子化合物と反応物とを含む研磨濡れ剤とすることもできる。キットは、さらに、水のほか、任意成分を1又は2以上含むこともできる。
研磨液としては、例えば、pH8以上13以下程度に調節されていることが好ましい。例えば、pH8.5以上又はpH9.0以上であることが好ましく、より好ましくはpH9.5以上又はpH10.0以上である。また、より好ましくはpH12.5以下又はpH12.0以下であることが好ましく、10以上である。さらに好ましくはpH11.5以下又はpH11.0以下であることが好ましい。
(研磨用組成物の製造方法)
本明細書に開示される研磨用組成物の製造方法は、砥粒、塩基性化合物、水溶性高分子化合物及び重合開始剤及び重合禁止剤の反応物を混合する工程、を備えることができる。本製造方法によれば、優れた平滑性を備える被研磨物を得ることができる。
上記混合工程では、砥粒、塩基性化合物、水溶性高分子及び本反応物の混合順序や方法は特に限定されない。これらの各成分は、任意の順序で、それぞれ独立して混合してもよいし、適宜2以上を予め混合した後に全体を混合してもよい。混合方法としては、特に限定するものではないが、公知の混合装置、例えば、翼式攪拌機、超音波分散機、ホモミキサー等の周知の混合装置を用いることができる。
本製造方法においては、混合工程に先立って、例えば、酸素存在下、前記重合開始剤と前記重合禁止剤を反応させることにより前記反応物を得る反応物合成工程を備えることもできる。かかる反応物合成工程は、既に説明した本反応物の合成方法の各種の態様で実施できる。すなわち、水溶性高分子化合物の合成とは独立して本反応物を合成してもよいし、水溶性高分子化合物の合成後に引き続いて本反応物を合成してもよい。こうした反応物合成工程によって得られる本反応物又は本反応物と水溶性高分子化合物との混合物を、本組成物の他の成分と適宜混合すればよい。
(研磨用添加剤)
本明細書に開示される研磨用添加剤は、本反応物を含むことができる。本反応物は、水溶性高分子化合物とともに、被研磨物表面を保護し、研磨力を調節して、結果として高精度の平滑性に寄与できる。
本添加剤は、さらに、水溶性高分子化合物を含むことができる。水溶性高分子化合物と本反応物とは、それぞれが被研磨物表面に作用して好適な研磨状態を形成することができる。これらが組み合わされて提供されると好都合である。
本添加剤における本反応物及び水溶性高分子化合物の実施態様としては、既に説明した、これらについての各種実施態様をそのまま適用することができる。
(研磨用添加剤の製造方法)
本明細書に開示される研磨用添加剤の製造方法は、例えば、酸素存在下、重合開始剤と重合禁止剤を反応させることにより反応物を得る反応物合成工程を備えることができる。また、本反応物合成工程は、水溶性高分子化合物の合成工程後、前記水溶性高分子化合物の合成反応液中に存在下する前記水溶性重合開始剤及び/又は前記重合禁止剤を用いて実施する工程とすることができる。本製造方法における、反応物及び反応物合成工程の実施態様として、これらについて既に説明した各種の実施態様をそのまま適用できる。
(研磨物の生産方法)
本明細書は、研磨物の生産方法も提供する。本組成物を、研磨液として、単結晶または多結晶のシリコンウェーハなどの被研磨物の表面に供給し、次いで、常法にCMP法より研磨する。本生産方法では、本組成物を用いて被研磨物を研磨する工程は、例えば、ウェーハの仕上研磨工程であることが好ましい。
以下、実施例に基づいて本発明を具体的に説明する。尚、本発明は、これらの実施例により限定されるものではない。尚、以下において「部」及び「%」は、特に断らない限り質量部及び質量%を意味する。製造例で得られた水溶性高分子の分析方法並びに、実施例及び比較例における水溶性高分子化合物(以下、単に重合体ともいう。)及び研磨用組成物の評価方法について以下に記載する。
(1)分子量の測定
各重合体の分子量は、以下に記載の条件にてゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)測定を行い、ポリメタクリル酸メチル換算による数平均分子量(Mn)及び重量平均分子量(Mw)を得た。
○測定条件
カラム:東ソー製TSKgel SuperHM−M×3本
溶媒:N,N−ジメチルホルムアミド(10mM LiBr含有)
温度:40℃
検出器:RI
流速:300μL/min
(2)着色度の測定
各重合体水溶液の固形分を20wt%に調整した後、OME−2000(日本電色工業社製)を用いてYI(Yellowness Index)を測定し、着色の指標とした。なお、測定方法は、JIS K7373に従って行った。
(3)重合禁止剤量の測定及びそれに基づく重合禁止剤と重合開始剤とのカップリング反応物の量の推定
2mlマイクロチューブに製造例で得た重合体を15mg採取した後、メタノール1mlを添加して振とう機で30min攪拌した。その後、遠心分離機(12,000×5min)にかけて上澄み液を採取し、以下に記載の条件にて液体クロマトグラフィー(LC)測定を行った。重合禁止剤由来のピーク面積から、重合体中に含まれる重合禁止剤量を算出した。なお、製造例1で用いた、N−アクリロイルモルホリンは、重合禁止剤としてのMQ(メトキシフェノール、分子量128)を、モノマーに対して1,000ppm含有していた。また、重合開始剤としての2,2’−アゾビス[2−(2−イミダゾリン−2−イル)プロパン]二硫酸塩二水和物(和光純薬株式会社製、VA−046B)とMQの各ラジカルの1/1ラジカルカップリング反応物を以下のように推定しその分子量383として計算した。また、製造例4及び5(重合禁止剤(ベンゾフェノン)の分子量199)についても以下のように重合開始剤ラジカルと重合禁止剤ラジカルの1/1のラジカルカップリング反応物を推定し、それぞれ、反応物の分子量を、237及び457として計算した。
(測定条件)
装置:島津社製LC−20AC + SPD−M20A
カラム:ジーエルサイエンス社製 Inertsil ODS―3
溶媒:水/メタノール=45/55wt% (グラジエント一定)
温度:40℃
検出波長:290nm
流速:300μL/min
(ヘイズの評価)
後述する条件により研磨、洗浄したシリコンウェーハ表面につき、ケーエルエー・テンコール社製のウェーハ検査装置、商品名「Surfscan SP2」を用いて、DWOモードでヘイズを測定した。
以下の製造例では、表1に示す組成に基づき、重合体を合成し、その後引き続いて重合禁止剤及び重合開始剤の各ラジカルのモル比1:1でのカップリング反応物を得る処理を行った。
(製造例1:ポリN−アクリロイルモルホリン(PACMO)+50℃処理)
(水溶性重合体Aの製造)
攪拌機、還流冷却管、温度計、窒素(または5%酸素)導入管を備えた1Lフラスコに純水(390g)を仕込み、さらに窒素導入管から窒素を吹き込みつつ(100ml/min)、40minかけて混合液を60℃に昇温した。昇温を確認後、2,2′-アゾビス[2−(2−イミダゾリン−2−イル)プロパン]二硫酸塩二水和物(VA−046B、和光純薬工業社製、0.35g)を加え、さらに3時間かけてアクリロイルモルホリン(ACMO、KJケミカルズ社製、100g)を滴下して重合した。ACMO滴下開始から4時間後、窒素バブリングから5%酸素バブリング(50ml/min)に切り替え、内温を50℃に温調して50時間攪拌する開始剤処理を行い、水溶性重合体Aを得た。
ACMO滴下開始から4時間時点のACMOの重合率は約100%であった。開始剤処理後に得られた重合体Aの分子量はMn132000、Mw325000、重合禁止剤濃度は開始剤処理前が980ppmであり開始剤処理後が736ppmであり、重合禁止剤減少量(244ppm)から推定される化合物aの量は、730ppmであった。また固形分20wt%におけるYIは39.3であった。
(製造例2:PACMO+90℃処理)
(水溶性重合体Bの製造)
開始剤処理の条件を、内温90℃で2時間攪拌に変更した以外は、製造例1と同様にして、水溶性重合体Bを得た。重合禁止剤減少量は30ppmであり、重合禁止剤減少量から推定される化合物aの量は90ppmであった。また固形分20wt%におけるYIは5.5であった。
(製造例3:PACMO+室温3ヶ月静置)
(水溶性重合体Cの製造)
50℃による処理の条件を、密閉容器中、25℃の恒温室にて3か月間静置するように変更した以外は、製造例1と同様にして、水溶性重合体Cを得た。3ヶ月静置後における重合禁止剤減少量は177ppmであり、重合禁止剤減少量から推定される化合物aの量は、530ppmであった。また固形分20wt%におけるYIは27.8であった。
(製造例4:過酸化物系開始剤の利用)
(水溶性重合体Dの製造)
使用した重合開始剤を過硫酸アンモニウム(和光純薬工業社製、APS、0.17g)にして、重合温度を80℃に変更した以外は、製造例1と同様にして、水溶性重合体Dを得た。なお、ACMO滴下開始から4時間時点のACMOの重合率は約100%であった。水溶性重合体Dの分子量はMn134000、Mw328000、重合禁止剤減少量は275ppmであり、重合禁止剤減少量から推定される重合開始剤由来ラジカルと重合禁止剤ラジカルとのモル比1:1のカップリング反応物の量は510ppmであった。また固形分20wt%におけるYIは27.9であった。
(製造例5:ACMO(重合禁止剤除去済み)+フェノチアジン系重合禁止剤の利用)
(水溶性重合体Eの製造)
ACMO100gを、重合禁止剤除去剤100gが充填されたカラムに3回通液して重合禁止剤を除去した後、重合禁止剤としてフェノチアジン(和光純薬工業社製、PhT、0.1g)を加えてACMO’を調整した。ACMOをこのACMO’に変更した以外は、製造例1と同様にして、水溶性重合体Eを得た。なお、ACMO’滴下開始から4時間時点のACMO’の重合率は約100%であった。水溶性重合体Eの分子量はMn126000、Mw316000、重合禁止剤減少量は305ppmであり、重合禁止剤減少量から推定される重合開始剤由来ラジカルと重合禁止剤ラジカルとのモル比1:1のカップリング反応物の量は700ppmであった。
(製造例6:PVA505+50℃処理)
攪拌機、還流冷却管、温度計、5%酸素導入管を備えた1LフラスコにPVA505(鹸化度73mol%、重合度500、ポリビニルアルコール、クラレ社製、100g)及び純水(390g)を仕込み、室温で攪拌して溶解させた。さらにMQ(0.1g)とVA−046B(0.35g)を加えて溶解した後、5%酸素導入管から5%酸素を吹き込みつつ(50ml/min)、内温を50℃に温調して50時間攪拌する処理を行い、PVA505の水溶液を得た。
上記のPVA505水溶液を乾燥させた後、ピリジン存在下で無水酢酸を反応させてアセチル化した重合体の分子量を測定したところ、Mn29500、Mw60000、重合禁止剤減少量は211ppmであり、重合禁止剤減少量から推定される化合物aの量は630ppmであった。また固形分20wt%におけるYIは34.1であった。
(製造例7:製造例1+重合開始MQ増量+50℃処理)
(水溶性重合体Fの製造)
製造例1において、開始剤処理を行う前に重合体を抜出し、水溶性重合体を得た。当該重合体の分子量はMn132000、Mw325000であった。
攪拌機、温度計、窒素導入管を備えた1Lフラスコに、上記重合体(100g)と純水(400g)を加えてよく溶解させた後、さらにVA−046B(0.35g)、MQ(0.2g、重合体におけるACMO持ち込み分と合わせて3000ppm)を加え、50℃の恒温槽内で5%ONをバブリングしながら50時間加熱して重合体Fを得た。重合禁止剤減少量は602ppmであり、重合体F中に含まれる重合禁止剤減少量から推定される化合物aの量は、1,800ppmであった。また固形分20wt%におけるYIは104.3であった。
(製造例8:PACMO、Mw約60万)
(水溶性重合体Gの製造)
開始剤VA−046Bの使用量を0.15gに変更した以外は、製造例1と同様にして、水溶性重合体Gを得た。なお、ACMO滴下開始から4時間時点のACMOの重合率は約100%であった。水溶性重合体Gの分子量はMn242000、Mw585000、重合禁止剤減少量は120ppmであり、重合禁止剤減少量から推定される化合物aの量は360ppmであった。また固形分20wt%におけるYIは19.4であった。
(比較製造例1:精製ACMOモノマー)
(水溶性重合体Hの製造)
ACMO100gを、重合禁止剤除去剤100gが充填されたカラムに3回通液して重合禁止剤を除去した。モノマーとして上記の重合禁止剤を除去したACMOを使用した以外は、製造例1と同様にして、水溶性重合体Hを得た。ACMOの重合率は約100%であった。水溶性重合体Hの分子量はMn133000、Mw327000、固形分20%におけるYIは0.8であった。
上記製造例1〜8及び比較製造例1で得られた水溶性重合体を用いて研磨用組成物を調製し、研磨・洗浄を行った後のウェーハ表面のヘイズ値を測定した。結果を表2及び表3に示す。なお、研磨用組成物の調製方法、評価用ウェーハの研磨・洗浄方法は以下の通りである。また、ヘイズの評価については、ヘイズの値は実施例1〜7は比較例1を100%としたときの相対値に基づき、実施例8は比較例2を100%としたときの相対値に基づき、以下のとおりとした。
○:比較例に対する相対値が96%以下
△:比較例に対する相対値が96%超98%以下
×:比較例に対する相対値が98%超
(研磨用組成物の調製)
砥粒、表2及び表3に記載の水溶性重合体、重合開始剤及び重合禁止剤の反応物、アンモニア水(濃度29%)および脱イオン水を混合して、研磨用組成物の濃縮液を得た。この濃縮液を脱イオン水で20倍に希釈して、研磨用組成物を調製した。
砥粒としては、平均一次粒子径35nm、平均二次粒子径60nmのコロイダルシリカを使用した。上記平均一次粒子径は、マイクロメリテックス社製の表面積測定装置、商品名「Flow Sorb II 2300」を用いて測定されたものである。上記平均二次粒子径は、日機装株式会社製の型式「UPA−UT151」を用いて測定された、動的光散乱法に基づく体積平均粒子径である。
砥粒、水溶性重合体、アンモニア水の使用量は、研磨用組成物中における砥粒の含有量が0.46%となり、水溶性重合体の含有量が0.0075%となり、アンモニア(NH)の含有量が0.01%となる量とした。
(シリコンウェーハの研磨)
上記研磨用組成物を研磨液として使用して、シリコンウェーハの表面を下記の条件で研磨した。シリコンウェーハとしては、粗研磨を行い直径が300mm、伝導型がP型、結晶方位が<100>、抵抗率が0.1Ω・cm以上100Ω・cm未満であるものを、研磨スラリー(平均一次粒子径35nmのコロイダルシリカと0.95質量%、水酸化カリウム0.065質量%の混合物)を用いて予備研磨を行うことにより表面粗さ0.1nm〜10nmに調整して使用した。
(研磨条件)
研磨機:株式会社岡本工作機械製作所製の枚葉研磨機、型式「PNX−332B」
研磨テーブル:上記研磨機の有する3テーブルのうち後段の2テーブルを用いて、予備研磨後のファイナル研磨1段目および2段目を実施した。
(以下の条件は各テーブル同一である。)
研磨荷重:15kPa
定盤回転数:30rpm
ヘッド回転数:30rpm
研磨時間:2分
研磨液の温度:20℃
研磨液の供給速度:2.0リットル/分(掛け流し使用)
(洗浄)
研磨後のシリコンウェーハを、NHOH(29%):H(31%):脱イオン水(DIW)=1:3:30(体積比)の洗浄液を用いて洗浄した(SC−1洗浄)。より具体的には、周波数950kHzの超音波発振器を取り付けた洗浄槽を2つ用意し、それら第1および第2の洗浄槽の各々に上記洗浄液を収容して60℃に保持し、研磨後のシリコンウェーハを第1の洗浄槽に6分、その後超純水と超音波によるリンス槽を経て、第2の洗浄槽に6分、それぞれ上記超音波発振器を作動させた状態で浸漬した。
表2及び表3に示すように、重合開始剤及び重合禁止剤の反応物を含む実施例1〜8については、いずれも、比較例に比して平滑性が改善された結果を得ることができた。特に、PACMOである重合体A〜Gについては、広い性状(反応物含有量及びYI)の範囲にわたり、ヘイズの改善を確認することができた。以上のことから、重合開始剤及び重合禁止剤を反応させて得られるラジカル反応物を、水溶性高分子化合物と併存させることで、従来よりも一層改善された高精度の平滑性が得られることがわかった。

Claims (12)

  1. 砥粒及び塩基性化合物を含む研磨用組成物であって、
    水溶性高分子化合物と、
    重合開始剤及び重合禁止剤の反応物と、
    を含む、研磨液用組成物。
  2. 前記重合開始剤が、水溶性アゾ開始剤である、請求項1に記載の研磨用組成物。
  3. 前記重合禁止剤が、以下一般式(1)及び一般式(2)で表される化合物、並びに、フェノチアジン及びニトロソアミン系化合物からなる群より選ばれる少なくとも1種の化合物を含む、請求項1又は2に記載の研磨用組成物。
    (式中、R〜Rはそれぞれ独立して水素、水酸基、炭素数1〜8のアルキル基、炭素数1〜8のアルコキシ基を表す。)
    (式中、XはCH、CH(CHOH(但し、pは0〜3の整数)、CHO(CHOH(但し、qは0〜3の整数)、CHO(CHCH(但し、rは0〜2の整数)、CHCOOH、またはC=Oを表し、R4、R5、R6及びR7は、それぞれ独立して、炭素数1〜3のアルキル基を表す。)
  4. 前記水溶性高分子化合物に対し、前記反応物を1質量ppm以上1,000質量ppm以下含む、請求項1〜3のいずれか1項に記載の研磨用組成物。
  5. 前記水溶性高分子化合物の重量平均分子量(Mw)が、10,000〜1,000,000である、請求項1〜4のいずれか1項に記載の研磨液用組成物。
  6. 前記水溶性高分子化合物が、分子内に窒素原子を有する単量体に由来する構造単位を10mol%以上100mol%以下含む、請求項1〜5のいずれか1項に記載の研磨液用組成物。
  7. 研磨用組成物の製造方法であって、
    砥粒と、塩基性化合物と、水溶性高分子化合物と、重合開始剤及び重合禁止剤の反応物と、を混合する工程、
    を備える、製造方法。
  8. 前記混合工程に先立って、前記重合開始剤と前記重合禁止剤との間で反応を生じさせることにより前記反応物を得る反応物合成工程を備える、請求項7に記載の製造方法。
  9. 研磨用添加剤であって、
    水溶性高分子化合物の重合開始剤及び重合禁止剤の反応物と、
    を含む、研磨用添加剤。
  10. さらに、水溶性高分子化合物を含む、請求項9に記載の研磨用添加剤。
  11. 研磨用添加剤の製造方法であって、
    重合開始剤と重合禁止剤との間でラジカル反応を生じさせることにより前記反応物を得る反応物合成工程、
    を備える、製造方法。
  12. 前記反応物合成工程は、研磨用の水溶性高分子化合物の合成工程後、前記水溶性高分子化合物の合成反応液中に存在する前記重合開始剤及び前記重合禁止剤を用いて実施する、請求項11に記載の製造方法。
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