JPWO2017159856A1 - X線検査装置 - Google Patents

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Abstract

本発明の課題は、包材の厚さがロット単位で変化しても、その影響を受けずに確実に欠品検査が行われるX線検査装置を提供することにある。X線検査装置(10)では、薬剤領域(Rn)における輝度は、内容物と包材とを透過した後の値であり、X線が包材で吸収された分だけ輝度が小さくなっているので、その分を補正することによって包材の影響が除去された薬剤領域(Rn)の輝度が得られる。その結果、包材厚みのバラツキによる欠品検査の誤判定を防止することができる。

Description

本発明は、検査対象物に対して照射されたX線の透過画像に基づいて内容物の欠品を判定する検査装置に関する。
従来、包装された内容物の欠品検査にはX線検査装置が利用されている。例えば、特許文献1(特開2014−115138号公報)に記載のX線検査装置では、包材の内部で仕切られて並ぶ内容物に対してX線を照射し、透過X線のデータに基づき内容物の数が検査されている。
しかしながら、薬剤のような非常に薄くX線を十分に吸収しない内容物を対象とする欠品検査においては、輝度の微妙な差を検出して欠品の有無を判定するので、包材厚さのバラツキによる影響が無視できず、包材のロット違いで誤判定する虞がある。
本発明の課題は、包材の厚さがロット単位で変化しても、その影響を受けずに確実に欠品検査が行われるX線検査装置を提供することにある。
本発明の第1観点に係るX線検査装置は、包材で内容物を包装した商品に対してX線を照射し、商品を透過したX線の透過量をX線検出センサで検出し、X線検出センサの検出結果に基づいて、内容物の不良を判定し、検査を行うX線検査装置であって、画像生成部と、領域生成部と、輝度補正部と、判定部とを備えている。画像生成部は、X線検出センサの検出結果からX線透過画像を生成する。領域生成部は、X線透過画像において、内容物を含まない包材のみからなる包装領域と、内容物と包材からなる内容物領域とに領域を分ける。輝度補正部は、X線透過画像における包装領域の輝度に基づいて内容物領域の輝度を補正する。判定部は、補正後の内容物領域における輝度によって内容物の有無を判定する。
このX線検査装置では、内容物領域における輝度は、内容物と包材とを透過した後の値であり、X線が包材で吸収された分だけ輝度が小さく(即ち、暗く)なっているので、その分を補正することによって包材の影響が除去された内容物領域の輝度が得られる。その結果、包材厚みのバラツキによる不良検査の誤判定を防止することができる。
本発明の第2観点に係るX線検査装置は、第1観点に係るX線検査装置であって、輝度補正部が、包装領域の全部又は一部の輝度に基づいて、内容物領域の輝度に対する包装領域の輝度の影響を求め、内容物領域の輝度から当該影響を相殺する。
本発明の第3観点に係るX線検査装置は、第1観点又は第2観点に係るX線検査装置であって、包材のX線透過率が内容物のX線透過率より小さいものが検査対象である。
一般には包材よりもX線透過率が小さい内容物の欠品検査が多いことに鑑みると、内容物よりもX線透過率が小さい包材を使用している製品の内容物の欠品検査を従来の方法でおこなうと誤判定となる虞がある。
しかし、このX線検査装置では、判定部が補正後の内容物領域における輝度によって内容物の有無を判定するので、内容物よりもX線透過率が小さい包材を使用していることの影響を受けずに確実に欠品検査が行われる。
本発明の第4観点に係るX線検査装置は、第1観点から第3観点のいずれか1つに係るX線検査装置であって、包材が樹脂製包材を含んでいる。そして、樹脂製包材の厚みが0.3mm以下であるものが検査対象である。
一般には包材よりもX線透過率が小さい内容物の欠品検査が多いことに鑑みると、樹脂製包材の厚みが0.3mm以下であるものを検査対象とした場合、内容物よりもX線透過率が小さい包材を使用している製品の内容物の欠品検査をすることになり、従来の検査方法では誤判定となる虞がある。
しかし、このX線検査装置では、判定部が補正後の内容物領域における輝度によって内容物の有無を判定するので、包材の厚みの影響を受けずに確実に欠品検査が行われる。
本発明の第5観点に係るX線検査装置は、第1観点から第3観点のいずれか1つに係るX線検査装置であって、内容物の厚みが4mm以下であるものが検査対象である。
一般には包材よりもX線透過率が小さい内容物の欠品検査が多いことに鑑みると、内容物の厚みが4mm以下であるものを検査対象とした場合、内容物よりもX線透過率が小さい包材を使用している製品の内容物の欠品検査をすることになり、従来の検査方法では誤判定となる虞がある。
しかし、このX線検査装置では、判定部が補正後の内容物領域における輝度によって内容物の有無を判定するので、包材の厚みの影響を受けずに確実に欠品検査が行われる。
本発明の第6観点に係るX線検査装置は、第1観点から第5観点のいずれか1つに係るX線検査装置であって、内容物の不良には、その内容物の欠品、その内容物への異物の混入、及びその内容物の割れ若しくは欠け、が含まれる。
本発明に係るX線検査装置では、内容物領域における輝度は、内容物と包材とを透過した後の値であり、X線が包材で吸収された分だけ小さくなっているので、その分を補正することによって包材の影響が除去された内容物領域の輝度が得られる。その結果、包材厚みのバラツキによる欠品検査の誤判定を防止することができる。
本発明の一実施形態に係るX線検査装置の外観斜視図。 X線検査装置のシールドボックスの内部構成図。 X線検査の原理を示す模式図。 制御コンピュータのブロック構成図。 X線検査装置の前後の工程構成図。 検査対象である商品の斜視図。 図6A中のラインS−Sにおける商品Gの断面図。 商品のX線透過画像の画像図。 ポケット輪郭抽出画像の画像図。 薬剤領域抽出画像の画像図。 商品のX線透過画像に基づくヒストグラム。 2値化画像を生成する際の閾値の設定状態を示す説明図。 X線検査装置の欠品検査の制御フローチャート。
以下図面を参照しながら、本発明の実施形態について説明する。なお、以下の実施形態は、本発明の具体例であって、本発明の技術的範囲を限定するものではない。
(1)X線検査装置10全体の構成
図1は、本発明の一実施形態に係るX線検査装置の外観斜視図である。図1において、X線検査装置10は、食品等の商品Gの生産ライン(図5参照)に組み込まれて商品Gの品質検査を行う装置の1つであって、連続的に搬送されてくる商品Gに対してX線を照射することにより商品Gの良否判断を行う装置である。
検査対象物である商品Gは、前段コンベア60によってX線検査装置10のところまで運ばれてくる。商品Gは、X線検査装置10において良品または不良品に分類される。このX線検査装置10での検査結果は、X線検査装置10の下流側に配置されている振分機構70に送られる。
振分機構70は、X線検査装置10において良品と判断された商品Gを、正常品を排出するコンベア80へと送り、X線検査装置10において不良品と判断された商品Gを、不良排出方向90、不良排出方向91へと振り分ける。
(2)詳細構成
図2は、X線検査装置のシールドボックスの内部構成図である。図1及び図2において、X線検査装置10は、シールドボックス11と、コンベア12と、X線照射器13と、X線ラインセンサ14と、タッチパネル機能付きのモニタ30(図1参照)と、制御コンピュータ20(図4参照)とから構成されている。
(2−1)シールドボックス11
シールドボックス11の両側面には、商品Gをシールドボックス11の内外に搬入出させるための開口11aが形成されている。開口11aは、シールドボックス11の外部へのX線の漏洩を防止するために、遮蔽ノレン(図示せず)により塞がれている。この遮蔽ノレンは、鉛を含むゴムから成形されており、商品Gが開口11aを通過する際に商品Gによって押しのけられるようになっている。
そして、シールドボックス11内には、コンベア12、X線照射器13、X線ラインセンサ14、制御コンピュータ20等が収容されている。また、シールドボックス11の正面上部には、モニタ30の他、キーの差し込み口および電源スイッチ等が配置されている。
(2−2)コンベア12
コンベア12は、シールドボックス11内において商品Gを搬送するものであり、図1に示すように、シールドボックス11の両側面に形成された開口11aを貫通するように配置されている。そして、コンベア12は、コンベアモータ12a(図4参照)によって駆動される駆動ローラによって無端状のベルトを回転させながら、ベルト上に載置された商品Gを搬送する。
コンベア12による搬送速度は、オペレータが入力した設定速度になるように、制御コンピュータ20によるコンベアモータ12aのインバータ制御によって細かく制御される。また、コンベアモータ12aには、コンベア12による搬送速度を検出して制御コンピュータ20に送るエンコーダ12b(図4参照)が装着されている。
(2−3)X線照射器13
X線照射器13は、図2に示すように、コンベア12の上方に配置されており、下方のX線ラインセンサ14に向けて扇状の照射範囲XにX線を照射する。
(2−4)X線ラインセンサ14
図3は、X線検査の原理を示す模式図である。図3において、X線ラインセンサ14は、コンベア12の下方に配置されており、主として多数の画素センサ14aから構成されている。これらの画素センサ14aは、コンベア12による搬送方向に直交する向きに一直線に水平配置されている。また、各画素センサ14aは、商品Gやコンベア12を透過したX線を検出し、X線透視像信号を出力する。X線透視像信号は、X線の明るさ(濃度)を示すものである。
(2−5)モニタ30
モニタ30は、フルドット表示の液晶ディスプレイであり、検査時に必要となる検査パラメータ等の入力をオペレータに促す画面を表示する。また、モニタ30は、タッチパネル機能も有しており、オペレータからの検査パラメータ等の入力を受け付ける。
(2−6)制御コンピュータ20
図4は、制御コンピュータのブロック構成図である。図4において、制御コンピュータ20は、CPU(中央演算処理装置)21、ROM(リードオンリーメモリ)22、RAM(ランダムアクセスメモリ)23、HDD(ハードディスク)25および記憶メディア等を挿入するためのドライブ24を搭載している。
CPU21では、ROM22やHDD25に格納されている各種プログラムが実行される。HDD25には、検査パラメータや検査結果が保存蓄積される。検査パラメータについては、モニタ30のタッチパネル機能を使ったオペレータからの入力によって設定及び変更が可能である。オペレータは、これらのデータがHDD25だけでなくドライブ24に挿入された記憶メディアにも保存蓄積されるように設定することができる。
さらに、制御コンピュータ20は、モニタ30でのデータ表示を制御する表示制御回路(図示せず)、モニタ30のタッチパネルを介してオペレータにより入力されたキー入力データを取り込むキー入力回路(図示せず)、プリンタ(図示せず)等の外部機器やLAN等のネットワークとの接続を可能にする通信ポート(図示せず)なども備えている。
そして、制御コンピュータ20の各部(21〜25)は、アドレスバスやデータバス等のバスラインを介して相互に接続されている。
また、制御コンピュータ20は、コンベアモータ12a、エンコーダ12b、光電センサ15、X線照射器13、X線ラインセンサ14等に接続されている。光電センサ15は、検体である商品Gが扇状のX線の照射範囲X(図2参照)を通過するタイミングを検知するための同期センサであり、主として、コンベア12を挟んで配置される一対の投光器および受光器から構成されている。
(3)CPU21の構成
制御コンピュータ20のHDD25には、画像生成モジュール、領域生成モジュール、輝度補正モジュール、良否判定モジュール、異物検査モジュール、総合診断モジュール、ヒストグラム作成モジュール、及び2値化画像作成モジュールを含む各種プログラムが格納されている。そして、制御コンピュータ20のCPU21は、これらのプログラムモジュールを読み出して実行することにより、画像生成部21a、領域生成部21b、輝度補正部21c、良否判定部21d、異物検査部21e、総合診断部21f、ヒストグラム作成部21g、及び2値化画像生成部21h(図4参照)として動作する。
(3−1)画像生成部21a
画像生成部21aは、X線ラインセンサ14から出力されるX線透視像信号に基づいて、商品GのX線透過画像を生成する。画像生成部21aは、商品Gが扇状のX線の照射範囲X(図2参照)を通過するときにX線ラインセンサ14の各画素センサ14aから出力されるX線透視像信号を細かい時間間隔で取得し、取得したX線透視像信号に基づいて商品GのX線透過画像を生成する。なお、商品Gが扇状のX線の照射範囲Xを通過するタイミングは、光電センサ15からの信号により判断される。すなわち、画像生成部21aは、X線ラインセンサ14の各画素センサ14aから得られるX線の明るさに関する細かい時間間隔毎のデータをマトリクス状に時系列につなぎ合わせることにより、商品Gを写すX線透過画像を生成する。
(3−2)領域生成部21b
領域生成部21bは、画像生成部21aにより生成された商品Gを写すX線透過画像において、内容物を含まない包材のみからなる包装領域と、内容物と包材からなる内容物領域とに領域を分ける。
(3−3)輝度補正部21c
輝度補正部21cは、X線透過画像における包装領域の輝度に基づいて内容物領域の輝度を補正する。内容物領域における輝度は、内容物と包材とを透過した後の値であり、X線が包材で吸収された分だけ小さく(即ち、暗く)なっているので、その分を補正することによって包材の影響が除去された内容物領域の輝度が得られる。
(3−4)良否判定部21d
良否判定部21dは、補正後の内容物領域における輝度によって内容物の有無を判定する。内容物領域における輝度が、予め設定された許容範囲内であれば適正量の内容物が存在しているとして良品の判定を行う。これに対し、輝度が許容範囲外であれば内容物が適正量を欠いているか、或いは存在しないとして欠品の判定を行う。
(3−5)異物検査部21e
異物検査部21eは、画像生成部21aにより生成された商品GのX線透過画像に対して2値化処理を施すことにより、商品Gに含まれる異物を検出する。より具体的には、商品GのX線透過画像P上に予め設定した閾値よりも暗く現れる領域が存在する場合には、その商品Gに異物が混入していると判断し、その商品Gを異常と判断する。
(3−6)総合診断部21f
良否判定部21dは、欠品であること判断すると、直ちにその旨を示す信号を総合診断部21fに送る。総合診断部21fは、良否判定部21dから当該信号を受け取ると、商品Gを不良品であると診断するとともに、直ちに良否判定部21dによる検査を終了させる。
また、異物検査部21eは、異物が含まれると判断すると、直ちにその旨を示す信号を総合診断部21fに送る。総合診断部21fは、異物検査部21eから当該信号を受け取った場合には、商品Gを不良品であると診断するとともに、直ちに異物検査部21eによる検査を終了させる。
また、総合診断部21fは、良否判定部21d及び異物検査部21eから異常が検出されなかった旨を示す信号を受け取った場合には、商品Gを良品であると診断する。そして、総合診断部21fは、診断結果を振分機構70へ送る。
(3−7)ヒストグラム作成部21g
ヒストグラム作成部21gは、X線透過画像を構成する全画素を、所定幅の輝度ごとに分類して画素数をカウントすることにより、輝度ごとの画素数を示すヒストグラムを作成する。
(3−8)2値化画像生成部21h
2値化画像生成部21hは、X線透過画像を所定の閾値を用いて2値化することにより、2値化画像を生成する。
(4)X線検査装置10の欠品検査
(4−1)商品G
図6Aは、検査対象である商品Gの斜視図である。また、図6Bは、図6A中のラインS−Sにおける商品Gの断面図である。図6A及び図6Bにおいて商品Gでは、薬剤mがパッケージ40によって密封されている。
パッケージ40は、樹脂製のパッケージケース41とパッケージカバー43とで構成されている。パッケージケース41は、複数の凹状のポケット部41pと、各ポケット部41pの開口部の周縁を繋ぐシート部41sとが一体成形されている。パッケージケース41の材質はプラスチックであり、その厚みは薄く0.3mm以下である。
パッケージカバー43は、パッケージケース41のポケット部41pの開口を塞ぐ領域以外は、パッケージケース41のシート部41sに密着するシール領域である。パッケージカバー43は、紙製、若しくはアルミニウム製のシートであり、その厚みは薄く0.3mm以下である。
(4−2)商品GのX線透過画像P0の生成
図7Aは、商品GのX線透過画像P0の画像図である。図7Aにおいて、パッケージケース41のシート部41sとパッケージカバー43とが密着している領域、つまり包材のみの領域(以後、包装領域Rfという。)は透過X線の強度が低くなるため、X線透過画像P0においては暗く表示される。
パッケージカバー43で塞がれたパッケージケース41のポケット部41p部には薬剤mが収容されているが、薬剤自体は薄くX線を十分に吸収しないので、包装領域Rfとの差異がつき難い領域である(以後、薬剤領域Rnという。)。
しかし、ポケット部41pの円周壁41pw(図6B参照)については、円周壁41pwがX線照射方向に隆起しているので透過距離が長くなる分、包装領域Rfよりも透過X線の強度が低くなる。そのため、ポケット部41pの円周壁41pwは包装領域Rfよりも透過X線の強度が低くなり、X線透過画像P0においては包装領域Rfよりも暗く表示される(以後、ポケット部輪郭領域Rpという。)。
なお、包装領域Rfより外側は背景(コンベア)であり、最も明るく表示される(以後、背景領域Rbという。)。
(4−3)ヒストグラムの作成
画像生成部21aによって生成されたX線透過画像P0に関するX線データがヒストグラム作成部21gに入力され、ヒストグラム作成部92によってヒストグラムが作成される。
ヒストグラム作成部21gは、X線透過画像P0を構成する全画素を、所定幅の輝度ごとに分類して画素数をカウントすることにより、輝度ごとの画素数を示すヒストグラムを作成する。
図8は、商品GのX線透過画像P0に基づくヒストグラムである。図8において、ヒストグラムには、包装領域Rfに対応するピークaと、背景領域Rbに対応するピークbとが存在する。
薬剤領域Rnの輝度は、包装領域Rfの輝度との差が小さいので、ピークaを含む分布の裾野の近傍にあると推定される。
(4−4)2値化画像の生成
2値化画像生成部21hは、X線透過画像P0を閾値Thで2値化することにより2値化画像を生成する。
図9は、2値化画像を生成する際の閾値Thの設定状態を示す説明図である。図9において、2値化画像を生成するための閾値Thとして、包装領域Rfよりも暗く、ポケット部輪郭領域Rpよりも明るい輝度値が設定される。より具体的には、図8に示すピークaを含む分布よりもわずかに低い輝度値が設定される。そして、2値化画像生成部21hが、X線透過画像P0を閾値Thで2値化することにより、2値化画像が生成される。この画像をポケット輪郭抽出画像P1という。
図7Bは、ポケット輪郭抽出画像P1の画像図である。図7Bにおいて、2値化によってポケット部輪郭領域Rpより明るい領域(閾値Th以上の部分)は白色で表示される。ポケット部輪郭領域Rpは、薬剤領域Rnと包装領域Rfとを区切っている。
(4−5)薬剤領域抽出画像P2の生成
ここでは、薬剤領域Rnと包装領域Rfとが明確に区切られたポケット輪郭抽出画像P1(図7B)をさらに加工して、薬剤領域Rnの内側領域だけを抽出する。これによって、薬剤領域Rnだけが白色でそれ以外は黒色の薬剤領域抽出画像P2が生成される。
図7Cは、薬剤領域抽出画像P2の画像図である。図7Cにおいて、白色で表示されている領域が薬剤領域Rnである。各薬剤領域Rnの輝度は、薬剤、及び包材(パッケージケース41及びパッケージカバー43)を透過したX線データに基づくので、包装領域Rfの輝度の影響を受けている。
したがって、図7Cより各薬剤領域(Rn1〜Rn10)の輝度(B1〜B10)を求め、それぞれから包装領域Rfの輝度Aを減算すれば、薬剤のみを透過したX線の輝度を求めることができ、[Bi−A]が予め設定した値α以下なら、薬剤の充填不足、又は欠品と判定することができる。
(4−6)欠品検査の制御フロー
上記の動作の流れを、制御フローチャートを参照しながら説明する。図10は、X線検査装置10の欠品検査の制御フローチャートである。図10において、制御コンピュータ20は、以下の制御を行う。
(ステップS1)
先ず、制御コンピュータ20は、ステップS1において、X線データの入力の有無を判定し、X線データの入力があったときはステップS2に進み、X線データの入力がないときはX線データの入力の有無の判定を継続する。
(ステップS2)
次に、制御コンピュータ20は、ステップS2において、画像生成部21aを介してX線透過画像P0を生成し、ステップS3に進む。
(ステップS3)
次に、制御コンピュータ20は、ステップS3において、ヒストグラム作成部21gを介してヒストグラムを作成し、ステップS4に進む。
(ステップS4)
次に、制御コンピュータ20は、ステップS4において、2値化画像生成部21hを介してポケット輪郭抽出画像P1を生成し、ステップS5に進む。
(ステップS5)
次に、制御コンピュータ20は、ステップS5において、2値化画像生成部21hを介してポケット輪郭抽出画像P1から薬剤領域抽出画像P2を生成し、ステップS6に進む。
(ステップS6)
次に、制御コンピュータ20は、ステップS6において、輝度補正部21cを介して薬剤領域抽出画像P2の各薬剤領域(Rn1〜Rn10)の平均輝度(B1〜B10)を求める。なお、任意の薬剤領域Rnの平均輝度BをBiとする。
(ステップS7)
次に、制御コンピュータ20は、ステップS7において、輝度補正部21cを介して包装領域Rfの輝度を取得する。ここでは、最頻値である輝度Aを採用している。
(ステップS8)
次に、制御コンピュータ20は、ステップS8において、先ずは輝度補正部21cを介して[Bi−A]を求め、次に良否判定部21dを介してBi−A≦αであるか否かを判定する。制御コンピュータ20は、Bi−A≦αのときはステップS9へ進み、Bi−A≦αでないときはステップS1へ戻る。
(ステップS9)
そして、制御コンピュータ20は、ステップS9において、良否判定部21dを介して欠品判定信号を総合診断部21fへ送信する。
以上のように、上記制御によれば薬剤領域Rnの輝度から包材の影響を相殺できるので、たとえ包材厚みがロット毎に変動しても、その影響を排除して欠品検査を行うことができ、非常に薄い薬剤のような内容物であっても正確な欠品判定が行われる。
(5)特徴
(5−1)
X線検査装置10では、薬剤領域Rnにおける輝度は、内容物と包材とを透過した後の値であり、X線が包材で吸収された分だけ輝度が小さくなっているので、その分を補正することによって包材の影響が除去された薬剤領域Rnの輝度が得られる。その結果、包材厚みのバラツキによる欠品検査の誤判定を防止することができる。
(5−2)
X線検査装置10は、輝度補正部21cが、包装領域Rfの全部又は一部の輝度に基づいて、薬剤領域Rnの輝度に対する包装領域Rfの輝度の影響を求め、薬剤領域Rnの輝度から当該影響を相殺する。
(6)その他
上記実施形態では、薬剤mがパッケージ40によって密封されている商品Gを対象に、薬剤mの欠品検査について説明した。
上記のような商品G以外で検査対象と成り得るのは、内容物よりもX線透過率が小さい包材を使用している場合であり、具体的には、樹脂製包材の厚みが0.3mm以下であるもの、内容物の厚みが4mm以下であるものが検査対象と成り得る。
X線検査装置10では、良否判定部21dが補正後の薬剤領域Rnにおける輝度によって内容物の有無を判定するので、内容物よりもX線透過率が小さい包材を使用していることの影響を受けずに確実に欠品検査が行われる。
(7)他の適用例
上記実施形態では、内容物の有無を検査する欠品検査を例にして、X線検査装置10について説明してきた。しかし、X線検査装置10の適用例は、欠品検査だけに限定されるものではなく、例えば、内容物への異物混入の検査、内容物の割れ若しくは欠けの検査なども行うことができる。
本発明のX線検査装置は、X線透過画像に含まれる領域における明るさから内容物の欠品の有無を判定するX線検査装置に対して広く適用可能である。
10 X線検査装置
14 X線ラインセンサ
21a 画像生成部
21b 領域生成部
21c 輝度補正部
21d 良否判定部(判定部)
40 パッケージ(包材)
m 薬剤(内容物)
Rf 包装領域
Rn 薬剤領域(内容物領域)
P0 X線透過画像
特開2014−115138号公報

Claims (6)

  1. 包材で内容物を包装した商品に対してX線を照射し、前記商品を透過したX線の透過量をX線検出センサで検出し、前記X線検出センサの検出結果に基づいて、前記内容物の不良を判定し、検査を行うX線検査装置であって、
    前記X線検出センサの検出結果からX線透過画像を生成する画像生成部と、
    前記X線透過画像において、前記内容物を含まない前記包材のみからなる包装領域と、前記内容物と前記包材からなる内容物領域とに領域を分ける領域生成部と、
    前記X線透過画像における前記包装領域の輝度に基づいて前記内容物領域の輝度を補正する輝度補正部と、
    補正後の前記内容物領域における輝度によって前記内容物の有無を判定する判定部と、
    を備えるX線検査装置。
  2. 前記輝度補正部は、前記包装領域の全部又は一部の輝度に基づいて、前記内容物領域の輝度に対する前記包装領域の輝度の影響を求め、前記内容物領域の輝度から前記影響を相殺する、
    請求項1に記載のX線検査装置。
  3. 前記包材のX線透過率が前記内容物のX線透過率より小さいものを検査対象とする、
    請求項1又は請求項2に記載のX線検査装置。
  4. 前記包材は、樹脂製包材を含み、
    前記樹脂製包材の厚みが0.3mm以下であるものを検査対象とする、
    請求項1から請求項3のいずれか1項に記載のX線検査装置。
  5. 前記内容物の厚みが4mm以下であるものを検査対象とする、
    請求項1から請求項3のいずれか1項に記載のX線検査装置。
  6. 前記内容物の不良には、前記内容物の欠品、前記内容物への異物の混入、及び前記内容物の割れ若しくは欠け、が含まれる、
    請求項1から請求項5のいずれか1項に記載のX線検査装置。
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