JPWO2017145260A1 - 熱反応型レジスト材料、及びそれを用いたモールドの製造方法、並びにモールド - Google Patents
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Abstract
微細パターンを形成した時でも優れたパターンラフネスを維持可能な熱反応型レジスト材料、及びそれを用いたモールドの製造方法並びにモールドを提供すること。アモルファス酸化物からなるレジスト材料であり、アモルファスから結晶に変化する相変化モードを用いてパターンを形成することを特徴とする。例えば、アモルファス酸化物として酸化銅(I)を含有し、前記酸化銅(I)の密度が、4.00g/cm3より大きく、6.07g/cm3より小さいことが好ましい。
Description
本発明は、熱反応型レジスト材料、及びそれを用いたモールドの製造方法、並びにモールドに関する。
近年、半導体、光学・磁気記録等の分野において高密度化、高集積化等の要求が高まるにつれ、数百nm〜数十nm程度以下の微細パターン加工技術が必須となっている。
微細パターン加工に用いる熱反応型レジスト材料として、ドライエッチング耐性が高く、かつ、均一な凹凸やライン形状等のパターンサイズの制御が可能な無機材料が、本発明者らによって開示されている(例えば、特許文献1、特許文献2参照)。
無機材料を用いた場合をレジストとして用い超微細パターン(例えばピッチ100nm以下)を形成する場合、無機材料の結晶粒子の影響によるパターンラフネスの改良についてはさらに検討できる。
本発明は、かかる点に鑑みてなされたものであり、超微細パターンを形成した時でも優れたパターンラフネスを維持可能な熱反応型レジスト材料、及びそれを用いたモールドの製造方法、並びにモールドを提供することを目的とする。
本発明の熱反応型レジスト材料は、アモルファス酸化物からなるレジスト材料であり、アモルファスから結晶に変化する相変化モードを用いてパターンを形成することを特徴とする。
また本発明は、上記の熱反応型レジスト材料を用いて、基材表面に凹凸形状を有するモールドを製造する製造方法であって、前記基材上に、前記熱反応型レジスト材料を用いて熱反応型レジスト層を形成する工程(1)と、前記熱反応型レジスト層を、露光した後、現像液で現像する工程(2)と、前記熱反応型レジスト層をマスクとして用いて、フロン系ガスで前記基材をドライエッチングする工程(3)と、前記熱反応型レジスト層を除去する工程(4)と、を含むことを特徴とする。
また本発明のモールドは、上記のモールドの製造方法によって製造されたことを特徴とする。
本発明によれば、超微細パターンを形成した時でも優れたパターンラフネスを維持可能な熱反応型レジスト材料を提供することができる。
本実施の形態の熱反応型レジスト材料は、アモルファス酸化物からなるレジスト材料であり、アモルファスから結晶に変化する相変化モードを用いてパターンを形成することを特徴とする。ここで、「相変化」とは、アモルファスから結晶に変化する、すなわち同一の化学組成を維持したまま、形状や状態が変化する物理変化である。一方、酸化や分解は、化学的な組成の変化を伴い異なる物質になる化学変化である。従って、熱反応型レジスト材料を用いてパターンを形成する場合、相変化によりパターンを形成する材料と、酸化や分解などによるパターンを形成する材料とでは、全く異なるコンセプトで材料を選択する必要がある。その中で、相変化は、酸化や分解に比べ、比較的低温で生じるという特徴があるため、レジスト材料の粒子成長が抑制でき、微細パターンの形成に好適である。なお、本実施の形態の熱反応型レジスト材料における、アモルファス、又は結晶の状態は、示差走査熱量測定(DSC)やX線回折測定(XRD)などから解析することが可能である。
本実施の形態の熱反応型レジスト材料は、主要フッ化物の沸点が200℃以上である元素を少なくとも1種類含むアモルファス酸化物材料であることが好ましい。
熱反応型レジスト材料を用いて微細パターンを形成する場合、微細パターンの形成とともに、溝の深さも所望の深さに深くする要望がある。この際、熱反応型レジスト材料を単独で使用するだけでは困難であり、熱反応型レジスト材料の下層にエッチング層を形成した積層構造が必要になる(基材がエッチング層を兼ねることも可能)。この場合、下層のエッチング層がドライエッチング処理されている間、マスクとして機能している熱反応型レジスト材料には、高いドライエッチング耐性が求められることになる。換言すれば、本実施の形態に係る熱反応型レジスト材料においては、フロン系ガスによるドライエッチング処理において、熱反応型レジスト材料のエッチング速度が遅いか又はエッチングされないということが、重要になる。
ここで、フロン系ガスによるドライエッチングのメカニズムを考えた場合、ドライエッチング装置の真空チェンバー内で活性化したフッ素は、レジストに用いられている元素と結合して、フッ化物を形成する。そのフッ化物の蒸気圧が比較的高い場合(すなわち、そのフッ化物の沸点が比較的低い場合)には、そのフッ化物は気化してレジスト材料中から消失するため、結果としてエッチングされたことになる。一方、フッ化物の蒸気圧が比較的低い場合(すなわち、そのフッ化物の沸点が比較的高い場合)には、気化し難いためエッチング速度が遅くなるか又はエッチングされない。この蒸気圧の高低は、そのフッ化物の沸点と関係が深い。
本発明者は、熱反応型レジスト材料に選択する元素の中で、その元素のフッ化物の沸点が200℃以上となる元素を熱反応性レジスト材料として選択することで、該レジスト材料が、フロン系ガスを用いたドライエッチング処理に対し高い耐性を示すことを発見し、その効果を確認した。なおフッ化物の沸点とは、元素が多価のフッ化物を形成する場合は、金属の主たる価数のフッ化物の沸点(=主要フッ化物の沸点)のことをいう。例えば、クロムを例にとると、クロムは0価、2価、3価、6価の価数をとり得る。このため、クロムのフッ化物は、CrF2、CrF3、CrF6が形成可能であるが、クロムの主たる価数は3価であることから、クロムの主要フッ化物とは、CrF3を指し、主要フッ化物の沸点とは、CrF3の沸点のことを指す。
本実施の形態に係る熱反応型レジスト材料を構成する元素のフッ化物の沸点は、200℃以上であり、好ましくは250℃以上、より好ましくは700℃以上、さらに好ましくは800℃以上、最も好ましくは950℃以上である。フッ化物の沸点が高くなるにつれフロン系ガスを用いたドライエッチング耐性がより高くなる。なお、本実施の形態に係る熱反応型レジスト材料を構成する元素のフッ化物の沸点は、以下の表1を参照に選択することができる。
本実施の形態の熱反応型レジスト材料に用いられるアモルファス酸化物材料は、IV族元素である酸化チタン(IV)、酸化ジルコニウム(IV)、酸化ハフニウム(IV)及び、XIII族元素である酸化アルミニウム(III)、酸化ガリウム(III)、酸化インジウム(III)及び、酸化鉄(III)、酸化コバルト(III)、酸化ニッケル(II)、酸化銅(I)、酸化亜鉛(II)、酸化スズ(IV)、酸化アンチモン(III)の中から少なくとも1つ以上選択されることが好ましく、酸化チタン(IV)、酸化ジルコニウム(IV)、酸化ハフニウム(IV)、酸化ニッケル(II)、酸化銅(I)、酸化亜鉛(II)の中から少なくとも1つ以上選択されることがより好ましく、酸化チタン(IV)、酸化ジルコニウム(IV)、酸化ハフニウム(IV)、酸化ニッケル(II)、酸化銅(I)、酸化亜鉛(II)の中から少なくとも1つ以上選択されてなることがさらに好ましい。特に、酸化チタン(IV)、酸化ニッケル(II)、酸化銅(I)、及び、酸化亜鉛(II)の中から少なくとも1つ以上選択されてなることがよりさらに好ましく、酸化銅(I)が選択されることが最も好ましい。上記好ましい範囲の限定に際しては、アモルファスから結晶への変化がより速く生じる、現像の特性がよいなどから選定することができる。なお、酸化チタン(IV)、酸化ニッケル(II)、酸化銅(I)、及び、酸化亜鉛(II)はアモルファスから結晶への変化が非常に速く、その中でも酸化銅(I)は最も速い。アモルファスから結晶への変化が速い方が、パターンラフネスを維持した超微細パターンの形成に好適である。ここで、アモルファスから結晶に変化する速度は、アモルファスから結晶に変化する際のエネルギー障壁の大きさに依存する。このエネルギー障壁の大小に大きく影響を与える因子として、アモルファス状態と結晶状態で形成される構造の差が挙げられる。すなわちアモルファス状態と結晶状態の構造が類似しているほど、エネルギー障壁が小さく、アモルファスから結晶に変化するときの速度を速くすることができる。加えてエネルギー障壁が少ないため、アモルファスから結晶に変化するときに必要な温度も低く抑えることができる。本発明者は、アモルファス状態においても、原子配列が完全なランダム状態ではなく、ある確率の範囲で周期構造を有することに着眼し、アモルファス状態で最も確率の高い周期構造と、結晶状態の周期構造とが同じになる材料が、アモルファスから結晶に変化するときの速度が速く、温度が低くなることを見出し、実際にパターンラフネスを維持した超微細パターンが形成できることを実験にて証明した。従って、本実施の形態の相変化モードを用いた熱反応型レジスト材料において、アモルファス状態と結晶状態の原子配列が近いことが好ましい。
本実施の形態について、以下、詳細に説明する。本実施の形態に係る熱反応型レジスト材料は、密度が4.00g/cm3より大きく、6.07g/cm3より小さい酸化銅(I)を含有することが好ましい。
一般的な酸化銅(I)のバルクの物性は、融点が1232〜1235℃、沸点(分解)が1800℃、密度が6.04g/cm3である。一方、熱反応型レジスト材料として酸化銅(I)を用いる場合、バルクでは用いることが困難なため、例えば、薄膜として用いることができる。薄膜は、塗布や物理蒸着等の方法を用いて作製されるが、これらの方法を用いると、密度が変化する。酸化銅(I)の場合においても、化学両論組成から銅や酸素が抜けることにより密度が低下し、逆に過剰に入ることで密度が増加し、条件によってはバルク密度を超える。また、蒸着時に用いるキャリアガスが薄膜中に取り込まれることでも密度が変化する。加えて、薄膜に単純に疎な空隙があり、薄膜の密度が低下する。本発明者は、この薄膜の密度が、熱反応型レジスト材料を用いて超微細パーンを形成する際に大きな影響を与えることを見出した。
ここで、熱反応型レジスト材料を用いた微細パターンの形成は、熱により熱反応型レジスト材料が変質した箇所と変質していない箇所との差に現像液を作用させ微細パターンを顕在化させることで達成する。この際、熱は、隣接する変質させたくない箇所にも伝熱するため、微細パターンの解像度、即ちラフネス等を低下させる。特に、超微細パターン形成時には熱で変質させたい箇所と変質させたくない箇所が近接してくることで、伝熱の影響が顕著になり、微細パターンの解像度に大きく影響を与えることが判明した。
本発明者は、かかる課題を解決すべく鋭意検討し実験を重ねた結果、酸化銅(I)を含有する熱反応型レジスト材料において、酸化銅(I)の密度を4.00g/cm3より大きく、6.07g/cm3より小さくすることで、ピッチ100nm以下の超微細パターンの形成が可能であることを見出した。本実施の形態に係る酸化銅(I)の密度は、4.20g/cm3以上、5.95g/cm3以下がより好ましく、4.40g/cm3以上、5.95g/cm3以下がさらに好ましく、4.60g/cm3以上、5.95g/cm3以下がよりさらに好ましく、4.85g/cm3以上、5.95g/cm3以下がいっそう好ましく、5.05g/cm3以上、5.95g/cm3以下がよりいっそう好ましく、5.20g/cm3以上、5.90g/cm3以下がさらにいっそう好ましく、5.20g/cm3以上、5.75g/cm3以下が最も好ましい。なお、後述の添加剤を添加した熱反応型レジスト材料を使用する場合は、添加剤を含めた酸化銅(I)の密度が上記範囲であることが好ましい。
密度が高すぎると伝熱の影響が大きくパターンラフネスを悪化させる、又は、超微細パターン形成の妨げになる。一方、密度が低すぎると、超微細パターンは形成できるものの、パターン部に空隙が多く、鬆の入った状態となりパターンラフネスを悪化させる、又は空隙が多いことにより粒子成長できる空間が確保され粒子成長がし易い状態になり、パターンラフネスを悪化させる。本実施の形態に係る酸化銅(I)の密度は、目的の条件に応じて選択することができる。一方、広範に使用されているフォトレジスト材料では、反応メカニズムが熱ではなく光であるため、レジスト密度によるパターンラフネスへの影響は発生しない。そのためこのようなレジストの密度に関する検討はこれまでなされてこなかった。
なお、熱反応型レジスト材料において、酸化銅(I)の密度は、ラザフォード後方散乱分析(RBS:Rutherford Backscattering Spectrometry)やX線反射率測定法(XRR:X−Ray Reflection)や偏光解析法(エリプソメトリー)を用いて求めることができる。
この密度の範囲の材料を熱反応型レジスト材料として用いることで、ピッチ100nm以下の超微細パターンにおいても良好なパターンラフネスを発現することができる。「パターンラフネス」とは、パターン形状のラフネスであり、パターン側壁に引いた基準線(ラインアンドスペースの場合は、基準線が直線になる)からのずれの程度を指し、パターン側壁が基準線に近いほど凹凸が小さく、表面が滑らかであることを意味する。
特許文献3には、酸化銅(I)に再酸化防止剤を加えることで酸化銅の再酸化が抑制できることが公開されている。酸化銅(I)に再酸化防止剤を混合することで酸化防止の効果が非常に高くなる。しかしながら、酸化銅(I)の密度を適切な範囲に制御することで良好なパターンラフネスを維持したまま超微細パターン形成できることについての言及はない。加えて、特許文献1にて開示されているフロン系ガスを用いたドライエッチング耐性の高い材料に酸化銅(I)が該当するため、本実施の形態に係る熱反応型レジスト材料はフロン系ガスを用いたドライエッチング耐性が高い。
以上のことから、本実施の形態に係る酸化銅(I)を含み、酸化銅(I)の密度が4.00g/cm3より大きく、6.07g/cm3より小さい条件を満たす熱反応型レジスト材料は超微細パターン用のマスクとして非常に利用価値が高い材料である。
本実施の形態の酸化銅(I)の粒子サイズは、平均10nm以下であることが好ましい。これは、超微細パターンを形成する上で、粒子サイズがパターンラフネスへ与える影響を最小限にできるためである。
ここで、平均20nmの粒子サイズを用いた場合を例に説明する。比較的大きいパターンピッチ800nm、Duty50のパターンを形成する場合、凸部の幅は400nmになる。その凸部は酸化銅(I)の粒子で形成されており、その粒子サイズが20nmの場合、最大5%程度のパターンラフネスを与え、影響としては少ない。一方、超微細パターンであるピッチ100nm、Duty50のパターンを形成する場合、凸部の幅は50nmになり、最大40%程度のパターンラフネスを与え、影響として非常に大きくなる。
以上のことから、本実施の形態の超微細パターン用の酸化銅(I)の粒子サイズは、平均10nm以下であり、好ましくは平均8nm以下であり、より好ましくは平均5nm以下であり、最も好ましくは平均4nm以下である。酸化銅(I)の粒子サイズが小さい方がパターンラフネスに与える影響が小さく、優れたパターンラフネスを達成することができる。なお、酸化銅(I)の粒子は、アモルファスであり、結晶状態より粒子サイズの影響を小さくできる。
本実施の形態に係る酸化銅(I)の粒子サイズは、TEM等の形態分析装置を用いて測定することができる。なお本実施の形態の平均粒子サイズの求め方は、TEM分析を用いて、得られた画像から酸化銅(I)の粒子を20個選択し、それぞれ粒子の最大長と最少長の平均し、さらに20個分の平均とした値である。
本実施の形態に係る熱反応型レジスト材料に用いられる酸化銅(I)は、添加剤として、ナトリウム、リチウム、カリウム、並びにそれらのハロゲン化物及び酸化物からなる群(A)から少なくとも1つ以上、且つV族、VI属、XIV族、並びにそれらの酸化物及び窒化物からなる群(B)から少なくとも1つ以上が添加されていることが好ましい。添加剤を加えることで、酸化銅(I)の粒子サイズを微細に制御し、且つ、超微細パターン形成時の現像特性を向上させることができる。添加剤は、群(A)からはナトリウム及びその酸化物がさらに好ましい。また、群(B)からはV族からニオブ、タンタル、VI属からモリブデン、XIV族からシリコン、ゲルマニウム、並びにそれらの酸化物及び窒化物から少なくとも1つ以上が添加されていることが好ましい。また、V族からニオブ、XIV族からシリコン、ゲルマニウム、及びそれらの酸化物から少なくとも1つ以上が添加されていることがより好ましい。また、V族からニオブ、及びXIV族からシリコンの酸化物から少なくとも1つ以上が添加されていることがさらに好ましい。また、XIV族からシリコンの酸化物が添加されていることが最も好ましい。添加剤として、酸化物は、金属元素や窒化物に比べ、熱反応型レジスト材料を成膜する上で、制御しやすいため好ましい。群(A)から前記材料を選択することで、超微細パターン形成時の現像特性が向上し、群(B)から前記材料を選択することで、粒子サイズを低減することができる。
本実施の形態に係る酸化銅(I)への群(A)の添加剤において、ナトリウム、及びその酸化物が好ましい理由について以下に詳説する。酸化銅(I)は、一般的に合成の途中過程でナトリウムを含む材料を用いるため、ナトリウム及びその酸化物が残留する傾向にある。したがって、添加剤としてナトリウム、及びその酸化物を選択することで、添加剤を加えなくても原料に含まれるナトリウム、及びその酸化物が本実施の形態の効果を奏することができるため好ましい。以上のことから、本実施の形態に係る添加とは、原料にもともと含まれる不純物も添加の範囲であり、原料に含まれる割合に応じてさらに添加することも可能である。
一方、特殊な合成方法を使用することで、ナトリウムが含有されない酸化銅(I)を合成することは可能であり、市販品としても存在する。この酸化銅(I)を用いて、添加剤を加えることが可能になる。ただ、特殊な合成方法を用いた酸化銅(I)はコストが高いため、必要に応じてナトリウム及びその酸化物を含有する酸化銅(I)とナトリウム及びその酸化物を含有しない酸化銅(I)を使い分ければよい。また、ナトリウム及びその酸化物を含有しない酸化銅(I)を合成する方法として、熱反応型レジスト材料からなるレジスト層を成膜する際、出発物質として酸化銅(I)を使用しないで、金属銅を使用し、成膜過程で銅を酸化させ酸化銅(I)を得る方法もある。この場合、コスト面では問題ない。一方、成膜の酸素量の制御という観点で、出発物質に酸化銅(I)を用いる方法に比べ微調整が必要になる。必要に応じて、出発物質に酸化銅(I)を用いる方法と、出発物質に金属銅を用いる方法を使い分ければよい。一般的な合成方法を用いて作製された酸化銅(I)を用いて本実施の形態に係る熱反応型レジスト材料として使用するのが好ましい。
本実施の形態に係る添加剤の添加量は、酸化銅(I)の密度が4.00g/cm3より大きく、6.07g/cm3より小さい範囲にある場合、特に制限はないが、添加量が少なすぎると前記効果が少なく、添加量が多すぎると前記効果が発揮できない。従って、酸化銅(I)に対して、群(A)の添加剤の割合は0.0002mol%以上5.8mol%以下、群(B)の添加剤の割合は5.8mol%以上26.1mol%以下であることが好ましい。群(A)の添加剤の割合は0.0002mol%以上4.0mol%以下、群(B)の添加剤の割合は9.5mol%以上21.5mol%以下であることがより好ましく、群(A)の添加剤の割合は0.0002mol%以上2.0mol%以下、群(B)の添加剤の割合は9.5mol%以上18.2mol%以下であることが最も好ましい。
また、Cuに対しては、群(A)の添加剤の割合は0.0001mol%以上3.0mol%以下、群(B)の添加剤の割合は3.0mol%以上15.0mol%以下であることが好ましい。群(A)の添加剤の割合は0.0001mol%以上2.0mol%以下、群(B)の添加剤の割合は5.0mol%以上12.0mol%以下であることがより好ましく、群(A)の添加剤の割合は0.0001mol%以上1.0mol%以下、群(B)の添加剤の割合は5.0mol%以上10.0mol%以下であることが最も好ましい。
本実施の形態に係る酸化銅(I)への添加剤において、複数選択した場合は、複数添加剤の合計の割合が前記添加剤の範囲にあることが好ましい。なお、本実施の形態に係る酸化銅(I)への添加剤は、目的の条件に応じて選択することができ、粒子サイズを抑制する効果としてはニオブやシリコンの酸化物が好ましく、基材にSiO2や石英を用いる場合は、親和性の観点からシリコンの酸化物が好ましく、レジストのドライエッチング耐性を高くする効果としてはクロム(Cr)並びにその酸化物及び窒化物が好ましい。
本実施の形態に係る酸化銅(I)を用いた微細パターンの形成においては、上記したように、露光による熱変質が非結晶(アモルファス)から結晶に変化する相変化モードとされている。これにより、酸化銅(I)の相変化は、比較的低温で生じるため、粗大粒子の成長が抑制でき、微細パターンの形成に好適である。
本実施の形態に係る酸化銅(I)を含む熱反応型レジスト材料は、前述のとおり、フロン系ガスを用いたドライエッチング処理に対し、高い耐性を有する。微細パターン形状とともに溝の深さも所望の深さに深くしたパターンを形成したい場合は、熱反応型レジスト材料を単独で使用するだけでは困難であり、熱反応型レジスト材料の下層にエッチング層を形成した積層構造が必要になる。この場合、下層のエッチング層がドライエッチング処理されている間、マスクとして機能している熱反応型レジスト材料には、高いドライエッチング耐性が求められることになる。
また本実施の形態に係る熱反応型レジスト材料は、酸化銅(I)の酸素の一部あるいは全部が元素Aに置換された式(1)の組成物を含むことが好ましい。
CuOxAy (1)
ただし、Aは、N、S及びSeから選択される1種以上であり、0.35≦x+y≦0.65、0≦x、0<yである。またx、yは、原子比率を示し、式(1)では、Cu:O:Aの原子比率が1:x:yとされている。
CuOxAy (1)
ただし、Aは、N、S及びSeから選択される1種以上であり、0.35≦x+y≦0.65、0≦x、0<yである。またx、yは、原子比率を示し、式(1)では、Cu:O:Aの原子比率が1:x:yとされている。
銅の酸化物には、化学両論組成の酸化物として酸化銅(I)と酸化銅(II)があり、その他に銅の不完全酸化物として化学両論組成以外の酸化数をとるものがある。
中でも化学両論組成の酸化物は、その材料自身が安定に存在することができる状態のため、経時変化が生じ難く製造安定性に優れる。その製造安定性に優れる化学両論組成の酸化銅(I)は、酸素の一部あるいは全部をN、S及びSeから選択される1種以上の元素Aに置き換えることができる。置き換えられた酸化銅(I)は、化学両論組成近傍においても経時変化が生じ難い状態になり、製造安定性に優れることを見出した。即ち、上記した式(1)の範囲とすることで、非常に優れた製造安定性を得ることができる。
ここで、元素Aとして、N、S、及びSeから選択される1種以上を選択することで、微細パターンの形成時に、酸化銅(I)の熱の吸収量を制御することができるため効率よく熱によるレジストの変質が可能になる。
さらに、上記した組成の範囲内にて調整することで、ピッチが100nm以下の微細パターンにおいても良好なパターンラフネスを発現することができることを見出した。「パターンラフネス」とは、パターン側壁に引いた基準線(ラインアンドスペースの場合は、基準線が直線になる)からのずれの程度を指し、パターン側壁が基準線に近いほど凹凸が小さく、表面が滑らかであることを意味する。
ところで、特許文献3においては、酸化銅(I)に添加剤を加えることで酸化銅の再酸化を抑制できることが公開されている。酸化銅(I)に添加剤を混合することで酸化防止の効果が非常に高くなる。
これに対して本実施の形態は、酸化銅(I)の酸素の一部あるいは全部をN、S及びSeから選択される1種以上の元素Aに置換することを特徴的な構成要件としている。これにより従来に比べて、良好なパターンラフネスを維持したまま微細パターンを高精度に形成できる。加えて、酸化銅(I)は、フロン系ガスを用いたドライエッチング耐性の高い材料に該当し、本実施の形態の熱反応型レジスト材料は、フロン系ガスを用いたドライエッチング耐性が高い。
以上により、酸化銅(I)の酸素の一部あるいは全部が元素Aに置換された、CuOxAy(ただし、Aは、N、S、及びSeから選択される1種以上であり、0.35≦x+y≦0.65、0≦x、0<yである。)からなる組成物を含む熱反応型レジスト材料は微細パターン用のマスクとして非常に利用価値が高い材料である。
ここで、x+yが0.35よりも小さく、x+yが0.65より大きいと、酸化銅(I)の結合構造をとり難くなるためレジスト特性が低下する。具体的には、x+yが0.35より小さいと、銅比率が多くなることで金属銅の結合構造の占める割合が多くなる。一方、x+yが0.65より大きいと、酸素、及び/又は、元素Aの比率が多くなることで酸化銅(II)の結合構造の占める割合が多くなる。結合構造が変わることで、原子レベルでの結合状態が変わり、レジスト特性に大きく影響を与える。
本実施の形態では、良好なパターンラフネスを維持したままさらに微細パターンを形成するために、組成物は、CuOxAy(Aは、N、S及びSeから選択される1種以上であり、0.35≦x+y≦0.65、0≦x、0<y)であることがより好ましく、組成物は、CuOxAy(AはNであり、0.35≦x+y≦0.65、0≦x、0<y)であることがさらに好ましく、組成物は、CuOxAy(AはNであり、0.45≦x+y≦0.55、0≦x、0<y)であることが最も好ましい。
酸化銅(I)の酸素の一部あるいは全部を元素Aに置換する方法は特に限定されるものでないが、例えば、スパッタリング法を用いて熱反応型レジスト材料を作製する場合、元素Aを添加又は元素Aの雰囲気で焼成した材料をターゲットに用いる方法又は、元素Aに置換されていない酸化銅(I)をターゲットに用いて、スパッタ中のプロセスガスに元素Aを含むガスを用いる方法等を使用することができる。また、塗布法を用いて熱反応型レジスト材料を作製する場合、元素Aを含有する塗布溶液を用いる方法又は、元素Aを含有しない塗布溶液を用いて、その後の薄膜焼成時に元素Aを含む雰囲気で焼成する方法等を使用することができる。
上記のように、CuOxAy(AはNであり、0.45≦x+y≦0.55、0≦x、0<y)の組成物を含む熱反応型レジスト材料とすることで、光の吸収量を最適にでき、熱反応型レジスト材料の露光特性を効果的に向上させることができる。なお、本実施の形態における組成物の構成元素や組成比は、目的の条件に応じて選択することができる。
また、CuOxAyからなる組成物の状態は、上記した式(1)を満たしていれば、特に指定はなく、例えば組成物の薄膜を例にとって示すと、膜厚方向に均一な組成であってもよく、膜厚方向に向けて徐々に元素Aの量が増減している状態でもよく、元素Aを含まない酸化銅(I)の層と、CuOxAyからなる組成物層とが交互に積層されていてもよい。かかる積層構造では、各層を総合した平均組成物が、上記の式(1)を示す組成物を構成していればよい。
なお、CuOxAyの組成であるか否かは、XRD(X-ray Diffraction)分析やXPS(X−ray Photoelectron Spectroscopy)分析などで確認することができる。
本実施の形態に係る熱反応型レジスト材料は、密度が4.00g/cm3より大きく、6.07g/cm3より小さい酸化銅(I)の酸素の一部あるいは全部が元素Aに置換された式(1)を満たすCuOxAyの組成物を含有することが好ましい。
一般的な酸化銅(I)のバルクの物性は、融点が1232〜1235℃、沸点(分解)が1800℃、密度が6.04g/cm3である。一方、熱反応型レジスト材料として酸化銅(I)を用いる場合、バルクでは用いることが困難なため、例えば、薄膜として用いることができる。薄膜は、塗布や物理蒸着等の方法を用いて作製されるが、これらの方法を用いると、密度が変化する。酸化銅(I)の場合においても、化学両論組成から銅や酸素が抜けることにより密度が低下し、逆に過剰に入ることで密度が増加し、条件によってはバルク密度を超える。また、蒸着時に用いるキャリアガスが薄膜中に取り込まれることでも密度が変化する。加えて、薄膜に単純に疎な空隙があり、薄膜の密度が低下する。本発明者は、この薄膜の密度が、熱反応型レジスト材料を用いて超微細パーンを形成する際に大きな影響を与えることを見出した。
ここで、熱反応型レジスト材料を用いた微細パターンの形成は、熱により熱反応型レジスト材料が変質した箇所と変質していない箇所との差に現像液を作用させ微細パターンを顕在化させることで達成する。この際、熱は、隣接する変質させたくない箇所にも伝熱するため、微細パターンの解像度、即ちラフネス等を低下させる。特に、超微細パターン形成時には熱で変質させたい箇所と変質させたくない箇所が近接してくることで、伝熱の影響が顕著になり、微細パターンの解像度に大きく影響を与えることが判明した。
本発明者は、かかる課題を解決すべく鋭意検討し実験を重ねた結果、上記した式(1)を満たすCuOxAyの組成物を含む熱反応型レジスト材料において、CuOxAyの密度を4.00g/cm3より大きく、6.07g/cm3より小さくすることで、ピッチ100nm以下の超微細パターンの形成が可能であることを見出した。本実施の形態に係るCuOxAyの密度は、4.20g/cm3以上、5.95g/cm3以下がより好ましく、4.40g/cm3以上、5.95g/cm3以下がさらに好ましく、4.60g/cm3以上、5.95g/cm3以下がよりさらに好ましく、4.85g/cm3以上、5.95g/cm3以下がいっそう好ましく、5.05g/cm3以上、5.95g/cm3以下がよりいっそう好ましく、5.20g/cm3以上、5.90g/cm3以下がさらにいっそう好ましく、5.20g/cm3以上、5.75g/cm3以下が最も好ましい。なお、添加剤を添加した熱反応型レジスト材料を使用する場合は、添加剤を含めたCuOxAyの密度が上記範囲であることが好ましい。
密度が高すぎると伝熱の影響が大きくパターンラフネスを悪化させる、又は、超微細パターン形成の妨げになる。一方、密度が低すぎると、超微細パターンは形成できるものの、パターン部に空隙が多く、鬆の入った状態となりパターンラフネスを悪化させる、又は空隙が多いことにより粒子成長できる空間が確保され粒子成長がし易い状態になり、パターンラフネスを悪化させる。本実施の形態に係るCuOxAyの密度は、目的の条件に応じて選択することができる。一方、広範に使用されているフォトレジスト材料では、反応メカニズムが熱ではなく光であるため、レジスト密度によるパターンラフネスへの影響は発生しない。そのためこのようなレジストの密度に関する検討はこれまでなされてこなかった。
なお、熱反応型レジスト材料において、CuOxAyの密度は、ラザフォード後方散乱分析(RBS:Rutherford Backscattering Spectrometry)やX線反射率測定法(XRR:X−Ray Reflection)や偏光解析法(エリプソメトリー)を用いて求めることができる。
この密度の範囲の材料を熱反応型レジスト材料として用いることで、ピッチ100nm以下の超微細パターンにおいても良好なパターンラフネスを発現することができる。
本実施の形態における熱反応型レジスト材料は、上記した式(1)を満たすCuOxAyの組成物とともにNa、Mg、Si、Sr、V、Cr、Mo、W、Ag、Zn、Ga、Ge、Nb、Ta及びその酸化物、窒化物、並びに酸窒化物のうち、1つ以上が添加剤として含まれることが好ましい。添加剤を加えることで微細パターン形成時の現像特性を向上させることができ、パターンラフネスに優れた微細パターンを得ることが可能になる。
添加剤は、Na、Si、V、Cr、Mo、W、Zn、Ge及びその酸化物、窒化物、並びに酸窒化物のうち、少なくとも1つが含まれることがより好ましい。また、Na、Si、Mo、W及びその酸化物、窒化物、並びに酸窒化物のうち、少なくとも1つが含まれることがさらに好ましい。また、Si及びその酸化物、窒化物、並びに酸窒化物のうち、少なくとも1つが含まれることが最も好ましい。Si及びその酸化物、窒化物、並びに酸窒化物のうち少なくとも1つが含まれることで、微細パターン形成時の現像特性をより効果的に向上させることができ、パターンラフネスにより優れた微細パターンを得ることが可能になる。
本実施の形態のCuOxAyの組成物への添加剤の添加量について説明する。添加剤の添加量は、特に指定ないが、少なすぎると現像特性の向上の効果が小さく、多すぎると逆にレジスト特性を悪化させてしまう。従って、添加剤の量は、熱反応型レジスト材料全体を100mol%としたときに、CuOxAyの組成物に対して、即ち、Cuに対して、2.0mol%以上30.0mol%以下である。3.0mol%以上20.0mol%以下が好ましい。また、4.0mol%以上15.0mol%以下がより好ましい。また、5.0mol%以上12.0mol%以下がさらに好ましい。また、6.0mol%以上10.0mol%以下が最も好ましい。
また、酸化銅(I)を構造ユニットとして考えた化学式Cu2O2xA2yに対しては、添加剤の割合は3.9mol%以上46.2mol%以下であることが好ましい。添加剤の割合は5.8mol%以上33.3mol%以下であることがより好ましい。また、7.7mol%以上26.1mol%以下であることがさらに好ましい。また、9.5mol%以上21.4mol%以下であることがよりさらに好ましい。また、11.3mol%以上18.2mol%以下であることが最も好ましい。
あるいは、本実施の形態に係る熱反応型レジスト材料に用いられる上記した式(1)を満たすCuOxAyの組成物は、添加剤として、Na、Li、K、並びにそれらのハロゲン化物及び酸化物からなる群(A)から少なくとも1つ以上、且つV族、VI族、XIV族、並びにそれらの酸化物及び窒化物からなる群(B)から少なくとも1つ以上が添加されていることが好ましい。群(A)及び群(B)から添加剤を加えることで、酸化銅(I)の粒子サイズを微細に制御し、且つ、超微細パターン形成時の現像特性を向上させることができる。
添加剤は、群(A)からはナトリウム(Na)及びその酸化物がより好ましい。群(B)からはV族からニオブ(Nb)、タンタル(Ta)、VI属からモリブデン(Mo)、XIV族からシリコン(Si)、ゲルマニウム(Ge)、並びにそれらの酸化物及び窒化物から少なくとも1つ以上が添加されていることがより好まし。また、V族からニオブ、XIV族からシリコン、ゲルマニウム、及びそれらの酸化物から少なくとも1つ以上が添加されていることがさらに好ましい。また、V族からニオブ、XIV族からシリコン、及びそれらの酸化物から少なくとも1つ以上が添加されていることがさらにより好ましい。また、XIV族からシリコンの酸化物が添加されていることが最も好ましい。添加剤として、酸化物は、熱反応型レジスト材料を成膜する上で、制御しやすいため好ましい。群(A)から前記材料を選択することで、超微細パターン形成時の現像特性が向上し、群(B)から前記材料を選択することで、粒子サイズを低減することができる。
本実施の形態に係る上記した式(1)を満たすCuOxAyの組成物への群(A)の添加剤において、ナトリウム及びその酸化物が好ましい理由について以下に詳説する。酸素が元素Aに置換されていない酸化銅(I)は、一般的に合成の途中過程でナトリウムを含む材料を用いるため、ナトリウム及びその酸化物が残留する傾向にある。したがって、添加剤としてナトリウム及びその酸化物を選択することで、添加剤を加えなくても原料に含まれるナトリウム及びその酸化物が本実施の形態の効果を奏することができるため好ましい。以上のことから、本実施の形態に係る添加とは、原料にもともと含まれる不純物も添加の範囲であり、原料に含まれる割合に応じてさらに添加することも可能である。
一方、特殊な合成方法を使用することで、ナトリウムが含有されない酸化銅(I)を合成することは可能であり、市販品としても存在する。この酸化銅(I)を用いて、添加剤を加えることが可能になる。ただ、特殊な合成方法を用いた酸化銅(I)はコストが高いため、必要に応じて、ナトリウム及びその酸化物を含有する酸化銅(I)と、ナトリウム及びその酸化物を含有しない酸化銅(I)を使い分ければよい。また、ナトリウム及びその酸化物を含有しない酸化銅(I)を合成する方法として、熱反応型レジスト材料からなるレジスト層を成膜する際、出発物質として酸化銅(I)を使用しないで、金属銅を使用し、成膜過程で銅を酸化させ酸化銅(I)を得る方法もある。この場合、コスト面では問題ない。一方、成膜の酸素量の制御という観点で、出発物質に酸化銅(I)を用いる方法に比べ微調整が必要になる。必要に応じて、出発物質に酸化銅(I)を用いる方法と、出発物質に金属銅を用いる方法とを使い分ければよい。一般的な合成方法を用いて作製された酸化銅(I)を本実施の形態に係る熱反応型レジスト材料に用いるのが好ましい。
本実施の形態に係る添加剤の添加量は、上記した式(1)を満たすCuOxAyの組成物の密度が4.00g/cm3より大きく、6.07g/cm3より小さい範囲にある場合、特に制限はないが、添加量が少なすぎると前記効果が少なく、添加量が多すぎると前記効果が発揮できない。従って、上記した式(1)を満たすCuOxAyの組成物に対して、即ち、Cuに対して、群(A)の添加剤の割合は0.0001mol%以上3.0mol%以下、群(B)の添加剤の割合は3.0mol%以上15.0mol%以下であることが好ましい。群(A)の添加剤の割合は0.0001mol%以上2.0mol%以下、群(B)の添加剤の割合は5.0mol%以上12.0mol%以下であることがより好ましく、群(A)の添加剤の割合は0.0001mol%以上1.0mol%以下、群(B)の添加剤の割合は5.0mol%以上10.0mol%以下であることが最も好ましい。
また、酸化銅(I)を構造ユニットとして考えた化学式Cu2O2xA2yに対しては、群(A)の添加剤の割合は0.0002mol%以上5.8mol%以下、群(B)の添加剤の割合は5.8mol%以上26.1mol%以下であることが好ましい。群(A)の添加剤の割合は0.0002mol%以上4.0mol%以下、群(B)の添加剤の割合は9.5mol%以上21.5mol%以下であることがより好ましく、群(A)の添加剤の割合は0.0002mol%以上2.0mol%以下、群(B)の添加剤の割合は9.5mol%以上18.2mol%以下であることが最も好ましい。
本実施の形態に係る式(1)を満たすCuOxAyの組成物への添加剤において、複数選択した場合は、複数添加剤の合計の割合が前記添加剤の範囲にあることが好ましい。なお、本実施の形態に係る式(1)を満たすCuOxAyの組成物への添加剤は、目的の条件に応じて選択することができ、粒子サイズを抑制する効果としてはニオブ又はシリコンの酸化物が好ましく、基材にSiO2や石英を用いる場合は、親和性の観点からシリコンの酸化物が好ましく、レジストのドライエッチング耐性を高くする効果としてはクロム(Cr)並びにその酸化物及び窒化物から少なくとも1つ以上が添加されることが好ましい。
本実施の形態に係る式(1)を満たすCuOxAyの組成物を用いた微細パターンの形成において、露光による熱変質が非結晶(アモルファス)から結晶に変化する相変化モードとされている。これにより、式(1)を満たすCuOxAyの組成物の相変化は、比較的低温で生じるため、粗大粒子の成長が抑制でき、微細パターンの形成に好適である。
本実施の形態のCuOxAyからなる組成物を含む熱反応型レジスト材料は、前述のとおり、フロン系ガスを用いたドライエッチング処理に対し、高い耐性を有する。微細パターン形状とともに溝の深さも所望の深さに深くしたパターンを形成したい場合は、熱反応型レジスト材料を単独で使用するだけでは困難であり、熱反応型レジスト材料の下層にエッチング層を形成した積層構造が必要になる。この場合、下層のエッチング層がドライエッチング処理されている間、マスクとして機能している熱反応型レジスト材料には、高いドライエッチング耐性が求められることになる。
本実施の形態に係る熱反応型レジスト材料は、前述のとおり、フロン系ガスを用いたドライエッチング処理に対し、高い耐性を有するため、アスペクト比(溝の深さをパターン幅で除した値)を自由に選択できることで、設計の自由度が広がる。このことからも、本実施の形態に係る熱反応型のレジスト材料は、ドライエッチングの耐性が高いことが重要になる。さらにドライエッチング層は、レジスト層に対してドライエッチングレートが速い材料が好ましい。
エッチング層を構成するエッチング材料は、選択する元素の主たるフッ化物の沸点が低い材料を選択することが好ましい。具体的には、フッ化物の沸点が250℃未満の元素から選ばれる1つ以上の材料の酸化物、窒化物、硫化物、炭化物、及びシリサイドのうちすくなくともいずれか1つより選択されることが好ましい。これは、特許文献1で開示されているドライエッチング層のエッチング材料の選択の指標を参考にできる。
本実施の形態に係るエッチング材料は具体的には、Ta、Mo、W、C、Si、Ge、Te、及び、P並びにそれら2種類以上の複合物、並びにそれらの酸化物、窒化物、及び炭酸化物からなる群より選ぶことができる材料であり、好ましくは、Ta、Si、Ge、及び、P並びにそれらの酸化物、窒化物、硫化物、及び炭酸化物、並びにMo、Wのシリサイドからなる群より選ばれた材料であり、さらに好ましくは、Ta、Si、Ge、及びP並びにそれらの酸化物、及び窒化物からなる群より選ばれた材料である。特に好ましくは、特に成膜の容易性、経時安定性、強度、コスト、密着性等の観点から、SiO2、Si、Si3N4であり、最も好ましくはSiO2である。
これまでに、アスペクト比を所望の値にするために、エッチング層の重要性は記載してきたが、基材をエッチング層と一体化させることで均一なパターンを形成することも可能である。
続いて、本実施の形態に係る熱反応型レジスト材料を用いたモールドの製造方法を説明する。
まず、第1の工程として、基材上に、熱反応型レジスト層を成膜する。続いて、第2の工程として熱反応型レジスト層を露光した後、現像液で現像する。続いて第3の工程として、現像後の熱反応型レジストをマスクとして、フロン系ガスを用いて基材をドライエッチング処理して微細パターンを形成する。続いて、第4の工程として、熱反応型レジストを除去して、モールドを製造する。
第1の工程において、熱反応型レジスト層を成膜する場合は、スパッタリング法や蒸着法やCVD法を用いた成膜が好ましい。熱反応型レジスト材料は、数十nmレベルの微細パターン加工が可能であるため、微細パターンサイズによっては、成膜時の熱反応型レジスト材料の膜厚分布や表面の凹凸が非常に大きく影響することが考えられる。そこで、これらの影響をできる限り少なくするために、膜厚の均一性等の制御がやや困難な塗布法やスプレー法等による成膜方法より、スパッタリング法や蒸着法やCVD法等の成膜方法で熱反応型レジスト材料を形成することが好ましい。特に薄膜の密度を制御する上でスパッタリング法が最も好ましい。スパッタリング法において、スパッタ条件即ち、スパッタ圧力、成膜時の投入電力、基板とターゲットとの距離や角度、基板温度、ターゲットの焼結密度等を制御することで薄膜の密度を制御することができる。
図1は、本発明の実施の形態に係る熱反応型レジストを用いてなる積層体の一例を示した断面図である。本実施の形態では、熱反応型レジスト材料で構成されたレジスト層は、単層であっても良く、図1に示すように、複数のレジスト層を組み合わせた多層構造(基材1上にエッチング層2が形成され、エッチング層2の上に第1レジスト層3a及び第2レジスト層3bが順次形成された構造)であっても良い。なお、どのようなレジストを選択するかは、工程や要求加工精度等によって適宜変更することができる。
また熱反応型レジスト層は、必要に応じて、放熱設計を設けることができる。放熱設計は、熱反応型レジスト材料から、できるだけ早く熱を逃がす必要があるときに設計する。例えば、放熱設計は、熱が篭ることで、露光による熱反応のスポット形状より、広い領域で熱による反応が進行してしまう場合に行う。
図2は、本発明の実施の形態に係る熱反応型レジストを用いてなる積層体の他の例を示した断面図である。図3は、本発明の実施の形態に係る熱反応型レジストを用いてなる積層体のその他の例を示した断面図である。放熱設計は、熱反応型レジスト材料で構成されたレジスト層3の上方に空気より熱伝導率の高い材料層5(図2参照、図2において図1と同じ符号は図1と同じ層を示す)を成膜した積層構造をとることや、熱反応型レジスト材料で構成されたレジスト層3の下方に基材1より熱伝導率の高い材料層5(図3参照、図3において図1、図2と同じ符号は、図1、図2と同じ層を示す)を成膜した積層構造をとることで可能である。
本実施の形態に係る熱反応型レジスト材料からなるレジスト層の膜厚は、10nm以上100nm以下であることが好ましい。熱反応型レジスト材料の加熱は、露光等の光を熱反応型レジスト材料が吸収して熱に変化することで達成される。したがって、加熱を達成するためには、熱反応型レジスト材料が光を吸収する必要があり、この光の吸収量は膜厚に大きく依存する。熱反応型レジスト材料からなるレジスト層の膜厚が10nm以上だと、光の吸収量が多くなるため、効率よく加熱しやすくなる。したがって、本実施の形態に係る熱反応型レジスト材料からなるレジスト層の膜厚は10nm以上が好ましい。なお、膜厚が薄い場合でも、熱反応型レジスト材料からなるレジスト層の上方と下方の両方、又はいずれか一方に光吸収層等を配置することで、光の吸収量を補うことができる。
一方、熱反応型レジスト材料からなるレジスト層の膜厚を100nm以下とすることで、露光による膜厚方向への均一性を適切に確保することができる。即ち、深さ方向だけでなく、膜面方向の微細パターンの加工精度も好ましいものとなる。以上のことから、熱反応型レジスト材料からなるレジスト層の膜厚は、10nm以上100nm以下であり、好ましくは10nm以上80nm以下であり、より好ましくは10nm以上50nm以下であり、さらに好ましくは10nm以上35nm以下であり、最も好ましくは15nm以上25nm以下である。熱反応型レジスト材料からなるレジスト層の膜厚を、最も好ましい15nm以上25nm以下の範囲にすることで、露光等による光の吸収量が適度にあり、膜厚方向と膜面方向の熱の均一性を保てるという利点がある。加えて、膜厚変化に対する光吸収量の変化率が小さいため、膜厚斑が生じた場合でも加熱斑になりにくく、均一なパターン形成が可能であるという利点がある。
本実施の形態に係る基材の形状は、平板形状又はスリーブ(ロール、ドラム)形状とすることができる。光ディスクの原盤やナノインプリント等で用いられるモールドの多くは小型で平板形状であるため、簡単な装置により転写することが可能である。一方、スリーブ形状は、大面積にパターンを転写できる特徴がある。近年、大面積に微細パターンを形成する要望が多くなっているため、基材の形状は、スリーブ形状が好ましい。
本実施の形態に係る基材は、材質について特に制限を受けない。しかし、表面平滑性、加工性に優れる材質であり、かつ、ドライエッチング処理できる材質であることが好ましい。そのような材質の代表としてガラスを用いることができる。その他、基材として、シリコン、二酸化ケイ素等を用いることもでき、ドライエッチングを実施する場合は、ドライエッチング層を設けることで、基材としてアルミニウム、チタニウム、銅、銀又は金等を用いることもできる。中でも、ドライエッチング処理の観点から、基材としては石英ガラスが好適であり、ドライエッチング処理の時間を制御するだけで、所望のアスペクト比を形成することができる。
次に、本実施の形態に係る露光工程について説明する。露光に用いるレーザーは、KrFやArFレーザー等のエキシマレーザーや、半導体レーザー、電子線、X線等を用いることができる。KrFやArFレーザー等のエキシマレーザーは装置が非常に大型で高価なこと、電子線、X線等は真空チェンバーを使用する必要があることからコストや大型化の観点からかなりの制限がある。したがって、光源装置を非常に小型化でき、安価である半導体レーザーを用いることが好ましい。
一般的に、電子線やエキシマレーザー等を用いて露光光源を短波長化することで微細パターンの形成を可能にしてきたが、本実施の形態に係る熱反応型レジスト材料は半導体レーザーでも十分に微細パターンを形成することが可能である。
本実施の形態に係る熱反応型レジスト材料は、レーザーのスポット径内(照射範囲内)に熱反応する領域と熱反応しない領域の双方を有することが好ましい。本実施の形態においては、レジスト材料としてフォトレジスト材料ではなく、熱反応型レジスト材料に着眼したことにより、レーザー光の照射範囲内において、レジスト材料が反応する領域、及び反応しない領域の双方を有することを達成している。図4は、熱反応型レジスト材料にレーザー光を照射した場合におけるレーザー光のスポット径(照射領域)とスポット径内の温度分布との関係を示す模式図である。図4に示すように、熱反応型レジスト材料の主面に対し、略垂直にレーザー光を照射した場合、レーザー光のスポット径は、レーザー光の焦点を中心に、レジスト材料の主面に対して略円形状に形成される。ここで、レーザー光のスポット径内における温度分布は、図4の上段に示すように、レーザー光の焦点付近を頂点とし、照射範囲の外周縁に向かうにつれて低くなる。この場合、所定の温度で反応する熱反応型レジスト材料を用いることにより、レーザー光の焦点付近を露光することができる。即ち、熱反応型レジスト材料が、レーザーのスポット径内に生じた温度分布に対して、所定温度以上で反応する領域を持つようにすることで、スポット径より微細な加工を実現することを可能にしている。これにより、本実施の形態では、小型でかつ安価で特殊な付帯設備が不要である半導体レーザーを使って露光を行うことができる。例えば、現状市販されている短波長の半導体レーザーの波長は405nm程度で、そのスポット径は420nm程度(開口数:0.85)である。このため、420nm以下の微細加工は、フォトレジスト材料を使う限り原理的に不可能であるが、熱反応型レジスト材料を使うことでこの限界を超えることができ、半導体レーザーの波長以下の微細加工を行うことができる。
次に、本実施の形態に係る現像工程について説明する。現像工程では、露光工程で熱変質した部分又は熱変質していない部分を選択的に除去する工程であり、除去には、ウェットエッチング又はドライエッチングを用いることができる。均一性やコスト等の観点で、ウェットエッチングが好ましい。現像工程に用いることのできる現像液は、酸溶液、アルカリ溶液、錯形成剤、及び有機溶剤等を単独又は適時組合せて用いることができる。酸溶液としては、塩酸、硫酸、硝酸、燐酸、酢酸、シュウ酸、フッ酸、硝酸アンモニウム等を用いることができる。アルカリ溶液としては、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム、アンモニア、TMAH(水酸化テトラメチルアンモニウム)等を用いることができる。錯形成剤としては、シュウ酸、エチレンジアミン4酢酸及びその塩、グリシン等の溶液を単独又は混合溶液として用いることができる。また、現像液中に過酸化水素や過酸化マンガン等の電位調整剤等を添加しても良い。さらに、現像液中に界面活性剤等を添加して現像性を向上させても良い。また、現像工程においては、まず酸現像液で現像した後に、アルカリ現像液で現像して所望の現像を達成する、あるいはアルカリ現像液で現像した後に、酸現像液で現像して所望の現像を達成する。又は、複数段階にわたる現像を行っても良い。なお、選択する熱反応型レジストの組成によっては、現像が不要な場合がある。
現像液を熱反応型レジスト層に作用させる方法は特に限定されず、現像液に熱反応型レジスト層を浸漬させてもよく、現像液を熱反応型レジスト層に噴射してもよい。現像液に熱反応型レジスト層を浸漬させる際に液を循環させるか、あるいは熱反応型レジスト層を動作させることにより、単位時間当たりに熱反応型レジスト層に触れる液の量を増加させると、現像速度を上げることができる。また、現像液を熱反応型レジスト層に噴射する際に噴射圧を上げることで、現像速度を上げることができる。現像液を熱反応型レジスト層に噴射させる場合は、ノズルを移動させる方法、熱反応型レジスト層を回転させる方法等を単独で用いることもできるが、併用すると現像が均一に進行するため好ましい。噴射に用いるノズルの種類は任意のものが使用可能で、例えばラインスリット、フルコーンノズル、ホローコーンノズル、フラットノズル、均一フラットノズル、ソリッドノズル等を挙げることができ、熱反応型レジスト層や基材の形状に合わせて選択できる。また、一流体ノズルでも二流体ノズルでも構わない。
現像液を熱反応型レジスト層に作用させる際に、不溶性の微粉末等の不純物が現像液中に存在すると、特に微細なパターンを現像する際にムラの原因となるおそれがあるので、現像液を事前にろ過しておくことが好ましい。ろ過に用いるフィルターの材質は現像液と反応しないものなら任意に選択でき、例えばPFA、PTFE等を挙げることができる。フィルターの目の粗さはパターンの微細度合いに応じて選択すればよいが、0.2μm以下、より好ましくは0.1μm以下である。また、溶出した成分の析出、再付着を防ぐためには、浸漬より噴射が好ましく、さらに、現像液を熱反応型レジスト層に噴射する場合は現像液を使い捨てにすることが望ましい。現像液を再利用する場合は、溶出成分を除去することが好ましい。
現像方法においては、熱反応型レジスト層を洗浄する工程と、現像後の基材及び熱反応型レジスト層を洗浄する工程と、を含むことが好ましい。
次に、本実施の形態に係るドライエッチング工程について説明する。ドライエッチング処理する際に用いられる装置としては、真空中でフロン系ガスが導入でき、プラズマが形成でき、エッチング処理ができるものであれば特に制限はなく、例えば、市販のドライエッチング装置、RIE装置、ICP装置等を用いることができる。ドライエッチング処理を行うガス種、時間、電力等は、熱反応型レジストの種類、第1熱伝導層(エッチング層)の種類、厚み、エッチングレート等によって適宜決定し得る。ドライエッチング処理に用いるフロン系ガスは、特に制限はないが、CF4、CHF3、CH2F2、C2F6、C3F8、C4F6、C4F8、C4F10、C5F10、SF6、CCl2F2等のフルオロカーボン等が挙げられ、単独で用いても、複数のガスを混合して用いても構わない。さらにこれらのガスにO2、H2、Ar、N2、CO等を混合したガス、またHBr、NF3、SF6、CF3Br、HCl、HI、BBr3、BCl3、Cl2、SiCl4の混合ガスやこれらにAr、O2、H2、N2、CO等のガスを混合したガスもフロン系ガスの範囲とする。
さらに、前述のエッチングガスの種類、組成、エッチング圧力及び温度といった条件を最適化することによってレジストマスクの耐性や、基材やエッチング層のエッチング方向を制御することができる。例えば、フロン系のエッチングガスにAr添加することで、フロン系ガスの解離度を制御して、基材やエッチング層と熱反応型レジスト層のエッチングレートを増減させる方法や、使用するフロンガスのFとCとのモル比の制御や、ドライエッチング処理の圧力の制御で、エッチング方向を垂直から斜めに制御して、所望のモールド形状を製造する方法等がある。
最後に、モールドの製造過程において、熱反応型レジスト材料を除去する必要がある。熱反応型レジスト材料の除去方法は、基材やエッチング層に影響がなければ特に制限はなく、例えば、ウェットエッチング、ドライエッチング等を用いることができる。
本実施の形態においては、これらのモールドの製造方法を用いることにより、ピッチが1nm以上1μm以下の微細パターンを有するモールドを製造することが可能となる。本実施の形態に係る微細パターンは、ピッチが1nm以上5μm以下であり、1nm以上3μm以下が好ましく、1nm以上1μm以下がより好ましく、10nm以上950nm以下がさらに好ましく、30nm以上800nm以下が最も好ましい。
また本実施の形態では、LERを1.5nm以下にすることができる。LER(Line Edge Roughness)とは、パターンの乱れを表す指標である。具体的には、パターン側壁が基準線に比してどの程度凹凸があるかを表す指標である。本実施の形態では、レジストパターンをマスクとして基材(又は、ドライエッチング層)をドライエッチングしてパターンを基材に転写する。その際、レジストのパターンラフネスがドライエッチングを介して忠実に基材側に転写される。以上のことから、レジストのラフネスが基材のラフネスに影響を与えることになる。したがってモールドを構成する基材に形成された微細パターンのLERが1.5nm以下であるとともに、基材に微細パターンを形成するために用いられるマスクとしての、レジスト層やドライエッチング層の微細パターンのLERも1.5nm以下であることが必要とされる。
ここで微細パターンについて図5を用いて説明する。図5は微細パターンの製造工程を示す断面図である。図5Aは、基材51とレジスト52からなる微細パターンを示した断面図である。続いて、図5Bは、レジスト52からなる微細パターンをマスクとして、基材51(基材の変わりにドライエッチング層を用いることも可能であるが、ここでは基材をドライエッチングした図を用いて説明する)をドライエッチングして、微細パターンを基材に転写した、レジスト52と基材53からなる微細パターン54を示した断面図である。最後に、図5Cは、レジスト52を除去した基材53からなる微細パターンを示した断面図である。
本実施の形態のレジスト組成を用いることで上記した全ての微細パターンにおいて、LERが1.5nm以下にすることができる。
以下、本発明の効果を明確にするために実施した実施例及び比較例により本発明を詳細に説明する。なお、本発明は、以下の実施例によって何ら限定されるものではない。
(LER)
LER(Line Edge Roughness)とは、パターンの乱れを表す指標であり、パターンエッジ形状のラフネス、即ち、パターン端部にできた凹凸の大きさを表す。LERの値が小さいほど、パターン形状にバラつきがないことを表す。LERは、現像後のレジストの表面SEM(走査型電子顕微鏡)観察を行い、得られた像をSEMI International Standardsに記載のSEMI P47−0307に従い導出した。
LER(Line Edge Roughness)とは、パターンの乱れを表す指標であり、パターンエッジ形状のラフネス、即ち、パターン端部にできた凹凸の大きさを表す。LERの値が小さいほど、パターン形状にバラつきがないことを表す。LERは、現像後のレジストの表面SEM(走査型電子顕微鏡)観察を行い、得られた像をSEMI International Standardsに記載のSEMI P47−0307に従い導出した。
(実施例1から実施例6)
2inφ、厚み0.5mmの石英ガラス基材上に、スパッタリング法を用いて表2の通りスパッタ条件を変えることで酸化銅(I)を主成分とする熱反応型レジスト材料の密度を変えた熱反応型レジスト材料を20nm成膜した。なお、酸化銅(I)を主成分とする熱反応型レジスト材料の密度は、XRR分析で求め、表2の値を得た。なお、添加剤の添加量の列における括弧内の数値は、Cuに対しての添加剤の添加量(mol%)を示す。
2inφ、厚み0.5mmの石英ガラス基材上に、スパッタリング法を用いて表2の通りスパッタ条件を変えることで酸化銅(I)を主成分とする熱反応型レジスト材料の密度を変えた熱反応型レジスト材料を20nm成膜した。なお、酸化銅(I)を主成分とする熱反応型レジスト材料の密度は、XRR分析で求め、表2の値を得た。なお、添加剤の添加量の列における括弧内の数値は、Cuに対しての添加剤の添加量(mol%)を示す。
以上のように成膜した熱反応型レジスト層を、以下の条件で露光した。
露光用半導体レーザー波長:405nm
レンズ開口数:0.85
露光レーザーパワー:1mW〜25mW
送りピッチ:60nm〜800nm
露光速度:0.6m/s〜11.0m/s
露光用半導体レーザー波長:405nm
レンズ開口数:0.85
露光レーザーパワー:1mW〜25mW
送りピッチ:60nm〜800nm
露光速度:0.6m/s〜11.0m/s
露光中にレーザーの強度を変調させることで、さまざまな形状やパターンを作製できるが、実験では露光精度を確かめるために、パターンとして連続の溝形を使用した。形成する形状は目的とする用途によっては孤立した円形や楕円形状等でも構わず、本実施例は露光形状によって何ら制限を受けるものではない。また、別途、各熱反応型レジスト材料について、成膜後及び露光後のXRD分析を行った所、成膜後はアモルファス状態で、露光後は結晶状態であった。
続いて、上記露光機によって露光された熱反応型レジスト層を現像した。現像液は、表2に示す条件で行った。現像時間は、1分間で実施した。
このように現像された熱反応型レジスト層について、SEM(走査型電子顕微鏡)にて表面形状を観察したところ、表2に示す値の粒子径及び、LERが得られ非常に良好なラフネスを示した。
次に得られた熱反応型レジストをマスクとして、ドライエッチング処理による石英ガラス基材のエッチングを行った。ドライエッチングは、エッチングガスとしてSF6を用い、処理ガス圧を1Pa、処理電力を300W、処理時間2分の条件で行った。これらパターンが付与された基板から熱反応型レジストのみを剥離したものを、SEMにて断面形状を観察したところ、良好なパターンラフネスが観察された。
上記で得られたパターン付の基板をモールドとして用いて、厚さ100μmのPETフィルム上にUV硬化樹脂5μmを塗布し、上記モールドに押し当て、PETフィルムにモールドの表面形状を転写させた。そのPETフィルムの断面形状をSEMにて観察したところ、ほぼモールドを反転した形状がフィルム上に転写された。
(実施例7から実施例9)
添加剤として表2に記載する材料を選択した以外は、実施例1と同様の条件で、スパッタリング法を用いて表2の通りスパッタ条件を変えることで酸化銅(I)を主成分とする熱反応型レジスト材料の密度を変えた熱反応型レジスト材料を成膜した。なお、酸化銅(I)を主成分とする熱反応型レジスト材料の密度は、XRR分析で求め、表2の値を得た。
添加剤として表2に記載する材料を選択した以外は、実施例1と同様の条件で、スパッタリング法を用いて表2の通りスパッタ条件を変えることで酸化銅(I)を主成分とする熱反応型レジスト材料の密度を変えた熱反応型レジスト材料を成膜した。なお、酸化銅(I)を主成分とする熱反応型レジスト材料の密度は、XRR分析で求め、表2の値を得た。
以上のように成膜した熱反応型レジスト層を実施例1と同じ条件で露光した。また、別途、各熱反応型レジスト材料について、成膜後及び露光後のXRD分析を行った所、成膜後はアモルファス状態で、露光後は結晶状態であった。続いて、露光された熱反応型レジスト層を現像した。現像液は、表2に示す条件で行った。現像時間は、1分間で実施した。
このように現像された熱反応型レジスト層について、SEMにて表面形状を観察したところ、表2に示す値の粒子径とLERが得られ非常に良好なラフネスを示した。
次に得られた熱反応型レジストをマスクとして、ドライエッチング処理による石英ガラス基材のエッチングを行った。ドライエッチングは、エッチングガスとしてSF6/O2(比率95%:5%)を用い、処理ガス圧を1Pa、処理電力を300W、処理時間1.5分の条件で行った。これらパターンが付与された基板から熱反応型レジストのみを剥離したものを、SEMにて断面形状を観察したところ、良好なパターンラフネスが観察された。
上記で得られたパターン付の基板をモールドとして用いて、実施例1と同様にUV硬化樹脂を使って表面形状をフィルムに転写させたところ、ほぼモールドを反転した形状がフィルム上に転写された。
(実施例10及び実施例11)
φ80mm、長さ400mmの石英ガラスロール基材上に、添加剤として表2に記載する材料を選択し、表2の通り添加剤の種類や添加剤の添加量を変えることで酸化銅(I)を主成分とする熱反応型レジスト材料の密度を変えた熱反応型レジスト材料を15nm成膜した。なお、酸化銅(I)を主成分とする熱反応型レジスト材料の密度は、XRR分析で求め、表2の値を得た。
φ80mm、長さ400mmの石英ガラスロール基材上に、添加剤として表2に記載する材料を選択し、表2の通り添加剤の種類や添加剤の添加量を変えることで酸化銅(I)を主成分とする熱反応型レジスト材料の密度を変えた熱反応型レジスト材料を15nm成膜した。なお、酸化銅(I)を主成分とする熱反応型レジスト材料の密度は、XRR分析で求め、表2の値を得た。
以上のように成膜した熱反応型レジスト材料を以下の条件で露光した。
露光用半導体レーザー波長:405nm
レンズ開口数:0.85
露光レーザーパワー:1mW〜25mW
送りピッチ:60nm〜800nm
回転速度:210rpm〜1670rpm
露光用半導体レーザー波長:405nm
レンズ開口数:0.85
露光レーザーパワー:1mW〜25mW
送りピッチ:60nm〜800nm
回転速度:210rpm〜1670rpm
露光中にレーザーの強度を変調させることで、さまざまな形状やパターンを作製できるが、実験では露光精度を確かめるために、パターンとして溝形状を使用した。また、別途、各熱反応型レジスト材料について、成膜後及び露光後のXRD分析を行った所、成膜後はアモルファス状態で、露光後は結晶状態であった。
続いて、上記露光機によって露光された熱反応型レジストの現像を行った。現像液は、表2に示す条件で行った。現像時間は、1分で現像を実施した。
このように現像された熱反応型レジスト層について、実施例1と同様にUV硬化樹脂を使って表面形状をフィルムに転写し、SEMにて表面形状を観察したところ、表2に示す値の粒子径とLERが得られ非常に良好なラフネスを示した。
次に得られた熱反応型レジストをマスクとして、ドライエッチング処理による石英ガラスロールのエッチングを行った。ドライエッチングは、エッチングガスとしてCF4/O2(比率98%:2%)を用い、処理ガス圧を1Pa、処理電力を1000W、処理時間2分の条件で行った。これらパターンが付与された基板から熱反応型レジストのみを剥離したものを、実施例1と同様にUV硬化樹脂を使って表面形状をフィルムに転写し、SEMにて断面形状を観察したところ、良好なパターンラフネスが観察された。
上記で得られたパターン付の基板をモールドとして用いて、実施例1と同様にUV硬化樹脂を使って表面形状をフィルムに転写させたところ、ほぼモールドを反転した形状がフィルム上に転写された。
(実施例12から実施例19)
添加剤として表2に記載する材料を選択した以外は、実施例1と同様の条件で、スパッタリング法を用いて表2の通りスパッタ条件を変えることで酸化銅(I)を主成分とする熱反応型レジスト材料の密度を変えた熱反応型レジスト材料を成膜した。なお、酸化銅(I)を主成分とする熱反応型レジスト材料の密度は、XRR分析で求め、表2の値を得た。
添加剤として表2に記載する材料を選択した以外は、実施例1と同様の条件で、スパッタリング法を用いて表2の通りスパッタ条件を変えることで酸化銅(I)を主成分とする熱反応型レジスト材料の密度を変えた熱反応型レジスト材料を成膜した。なお、酸化銅(I)を主成分とする熱反応型レジスト材料の密度は、XRR分析で求め、表2の値を得た。
以上のように成膜した熱反応型レジスト層を実施例1と同じ条件で露光した。また、別途、各熱反応型レジスト材料について、成膜後及び露光後のXRD分析を行った所、成膜後はアモルファス状態で、露光後は結晶状態であった。続いて、露光された熱反応型レジスト層を現像した。現像液は、表2に示す条件で行った。現像時間は、1分間で実施した。
このように現像された熱反応型レジスト層について、SEMにて表面形状を観察したところ、表2に示す値の粒子径とLERが得られ非常に良好なラフネスを示した。
次に得られた熱反応型レジストをマスクとして、ドライエッチング処理による石英ガラス基材のエッチングを行った。ドライエッチングは、エッチングガスとしてSF6/O2(比率95%:5%)を用い、処理ガス圧を1Pa、処理電力を300W、処理時間1.5分の条件で行った。これらパターンが付与された基板から熱反応型レジストのみを剥離したものを、SEMにて断面形状を観察したところ、良好なパターンラフネスが観察された。
上記で得られたパターン付の基板をモールドとして用いて、実施例1と同様にUV硬化樹脂を使って表面形状をフィルムに転写させたところ、ほぼモールドを反転した形状がフィルム上に転写された。
(比較例1及び比較例2)
2inφ、厚み0.5mmの石英ガラス基材上に、スパッタリング法を用いて表2の通りスパッタ条件を変えることで酸化銅(I)の密度を変えた熱反応型レジスト材料を20nm成膜した。なお、酸化銅(I)の密度は、XRR分析で求め、表2の値を得た。
2inφ、厚み0.5mmの石英ガラス基材上に、スパッタリング法を用いて表2の通りスパッタ条件を変えることで酸化銅(I)の密度を変えた熱反応型レジスト材料を20nm成膜した。なお、酸化銅(I)の密度は、XRR分析で求め、表2の値を得た。
以上のように成膜した熱反応型レジスト層を実施例1と同じ条件で露光した。パターンとして連続の溝形を使用した。また、別途、各熱反応型レジスト材料について、成膜後及び露光後のXRD分析を行った所、成膜後はアモルファス状態で、露光後は結晶状態であった。続いて、露光された熱反応型レジスト層を現像した。現像液は、表2に示す条件で行った。現像時間は、1分間で実施した。
このように現像された熱反応型レジスト層について、SEMにて表面形状を観察したところ、表2に示す値の粒子径とLERが得られ、実施例に比べラフネスが悪かった。比較例1では、膜の密度が6.07g/cm3であり、露光時に伝熱の影響が大きく粒子径が大きいためパターンラフネスを悪化させたと考えられる。一方、比較例2では、膜の密度が4.00g/cm3であり、粒子径が大きいことに加え、パターン部に空隙が多くなり、鬆の入った状態でパターンラフネスが悪化していた。
次に得られた熱反応型レジストをマスクとして、ドライエッチング処理による石英ガラス基材のエッチングを行った。ドライエッチングは、エッチングガスとしてSF6を用い、処理ガス圧を1Pa、処理電力を300W、処理時間2分の条件で行った。これらパターンが付与された基板から熱反応型レジストのみを剥離したものを、SEMにて断面形状を観察したところ、ラフネスの悪いパターンがそのまま観察された。
(比較例3及び比較例4)
添加剤として表2に記載する材料を選択した以外は、比較例1と同様の条件で、スパッタリング法を用いて表2の通りスパッタ条件を変えることで酸化銅(I)を主成分とする熱反応型レジスト材料の密度を変えた熱反応型レジスト材料を成膜した。なお、酸化銅(I)を主成分とする熱反応型レジスト材料の密度は、XRR分析で求め、表2の値を得た。
添加剤として表2に記載する材料を選択した以外は、比較例1と同様の条件で、スパッタリング法を用いて表2の通りスパッタ条件を変えることで酸化銅(I)を主成分とする熱反応型レジスト材料の密度を変えた熱反応型レジスト材料を成膜した。なお、酸化銅(I)を主成分とする熱反応型レジスト材料の密度は、XRR分析で求め、表2の値を得た。
以上のように成膜した熱反応型レジスト層を実施例1と同じ条件で露光した。パターンとして連続の溝形を使用した。また、別途、各熱反応型レジスト材料について、成膜後及び露光後のXRD分析を行った所、成膜後はアモルファス状態で、露光後は結晶状態であった。続いて、露光された熱反応型レジスト層を現像した。現像液は、表2に示す条件で行った。現像時間は、1分間で実施した。
このように現像された熱反応型レジスト層について、実施例1と同様にUV硬化樹脂を使って表面形状をフィルムに転写し、SEMにて表面形状を観察したところ、表2に示す値の粒子径とLERが得られ、実施例に比べラフネスが悪かった。比較例3では、膜の密度が6.07g/cm3であり、露光時に伝熱の影響が大きく粒子径が大きいためパターンラフネスを悪化させたと考えられる。一方、比較例4では、膜の密度が3.75g/cm3であり、粒子径が大きいことに加え、パターン部に空隙が多くなり、鬆の入った状態でパターンラフネスが悪化していた。
次に得られた熱反応型レジストをマスクとして、ドライエッチング処理による石英ガラス基材のエッチングを行った。ドライエッチングは、エッチングガスとしてSF6を用い、処理ガス圧を1Pa、処理電力を300W、処理時間2分の条件で行った。これらパターンが付与された基板から熱反応型レジストのみを剥離したものを、SEMにて断面形状を観察したところ、ラフネスの悪いパターンがそのまま観察された。
(比較例5)
φ80mm、長さ400mmの石英ガラスロール基材上に、添加剤としてシリコン酸化物を選択し、スパッタリング法を用いて表2の通りスパッタ条件を変えることで酸化銅(I)を主成分とする熱反応型レジスト材料の密度を変えた熱反応型レジスト材料を20nm成膜した。なお、酸化銅(I)を主成分とする熱反応型レジスト材料の密度は、XRR分析で求め、表2の値を得た。
φ80mm、長さ400mmの石英ガラスロール基材上に、添加剤としてシリコン酸化物を選択し、スパッタリング法を用いて表2の通りスパッタ条件を変えることで酸化銅(I)を主成分とする熱反応型レジスト材料の密度を変えた熱反応型レジスト材料を20nm成膜した。なお、酸化銅(I)を主成分とする熱反応型レジスト材料の密度は、XRR分析で求め、表2の値を得た。
以上のように成膜した熱反応型レジスト層を実施例10と同じ条件で露光した。パターンとして溝形状を使用した。また、別途、熱反応型レジスト材料について、成膜後及び露光後のXRD分析を行った所、成膜後はアモルファス状態で、露光後は結晶状態であった。続いて、露光された熱反応型レジスト層を現像した。現像液は、表2に示す条件で行った。現像時間は、1分間で実施した。
このように現像された熱反応型レジスト層について、実施例1と同様にUV硬化樹脂を使って表面形状をフィルムに転写し、SEMにて表面形状を観察したところ、パターンとして観察可能な最少ピッチは120nmであり、表2に示す値のLERが得られ、実施例に比べラフネスが悪かった。膜の密度が4.00g/cm3のため粒子径が大きいことに加え、パターン部に空隙が多くなり、鬆の入った状態でパターンラフネスが悪化していた。
次に得られた熱反応型レジストをマスクとして、ドライエッチング処理による石英ガラスロールのエッチングを行った。ドライエッチングは、エッチングガスとしてSF6を用い、処理ガス圧を5Pa、処理電力を400W、処理時間6分の条件で行った。パターンが付与された基板から熱反応型レジストのみを剥離してモールドを得た。次に厚さ100μmのPETフィルム上にUV硬化樹脂5μmを塗布し、上記モールドに押し当て、PETフィルムにモールド表面形状を転写させた。そのPETフィルムの断面形状をSEMにて観察したところ、ラフネスの悪いパターンがそのまま観察された。
実施例1から実施例19と比較例1から比較例5及びとを比較すると、実施例1から実施例19に係る熱反応型レジスト材料を用いると、LERの値が小さく、優れたラフネスパターンを維持したまま超微細パターンの形成が可能であることがわかる。
(実施例20)
以下の表3に示すCuO0.49N0.01、CuO0.4N0.1、CuO0.3N0.2、CuO0.2N0.3、及び、CuN0.5からなる組成物を夫々含む熱反応型レジスト材料を作製した。そして各熱反応型レジスト材料を、2インチ(in)φ及び厚み0.5mmの石英ガラス基材上に、スパッタリング法を用いて20nmの膜厚にて成膜した。なお表3に示す各組成はXPSで同定した。また、各熱反応型レジスト材料の密度は、XRR分析で求め、表3の値を得た。
以下の表3に示すCuO0.49N0.01、CuO0.4N0.1、CuO0.3N0.2、CuO0.2N0.3、及び、CuN0.5からなる組成物を夫々含む熱反応型レジスト材料を作製した。そして各熱反応型レジスト材料を、2インチ(in)φ及び厚み0.5mmの石英ガラス基材上に、スパッタリング法を用いて20nmの膜厚にて成膜した。なお表3に示す各組成はXPSで同定した。また、各熱反応型レジスト材料の密度は、XRR分析で求め、表3の値を得た。
以上のように成膜した熱反応型レジスト層を以下の条件で露光した。
露光用半導体レーザー波長:405nm
レンズ開口数:0.85
露光レーザーパワー:1mW〜25mW
送りピッチ:60nm〜800nm
露光速度:0.6m/s〜11.0m/s
露光用半導体レーザー波長:405nm
レンズ開口数:0.85
露光レーザーパワー:1mW〜25mW
送りピッチ:60nm〜800nm
露光速度:0.6m/s〜11.0m/s
露光中にレーザーの強度を変調させることで、さまざまな形状やパターンを作製できるが、実験では露光精度を確かめるために、パターンとして連続の溝形を使用した。形成する形状は目的とする用途によっては孤立した円形や楕円形状等でも構わず、本実施例は露光形状によって何ら制限を受けるものではない。また、別途、各熱反応型レジスト材料について、成膜後及び露光後のXRD分析を行った所、成膜後はアモルファス状態で、露光後は結晶状態であった。
続いて、上記の露光機によって露光された熱反応型レジスト層を現像した。現像液は、表3に示す条件で行った。現像時間は、1分間で実施した。
このように現像された熱反応型レジスト層について、SEM(走査型電子顕微鏡)にて表面形状を観察したところ、表3の値のLERが得られ非常に良好なパターンラフネスを示した。
次に得られた熱反応型レジストをマスクとして、ドライエッチング処理による石英ガラス基材のエッチングを行った。ドライエッチングは、エッチングガスとしてSF6を用い、処理ガス圧を1Pa、処理電力を300W、処理時間2分の条件で行った。これらパターンが付与された基板から熱反応型レジスト層のみを剥離し、SEMにて断面形状を観察したところ、良好なパターンラフネスが観察された。
上記で得られたパターン付の基板をモールドとして用いて、UV硬化樹脂を使って表面形状をフィルムに転写させたところ、ほぼモールドを反転した形状がフィルム上に転写された。
(実施例21)
熱反応型レジスト材料に含まれる組成物としてCuO0.4S0.1、CuO0.4Se0.1を選択した以外は、実施例20と同様の条件で成膜を実施した。なお表3に示す各組成はXPSで同定した。また、各熱反応型レジスト材料の密度は、XRR分析で求め、表3の値を得た。
熱反応型レジスト材料に含まれる組成物としてCuO0.4S0.1、CuO0.4Se0.1を選択した以外は、実施例20と同様の条件で成膜を実施した。なお表3に示す各組成はXPSで同定した。また、各熱反応型レジスト材料の密度は、XRR分析で求め、表3の値を得た。
以上のように成膜した熱反応型レジスト層を実施例20と同じ条件で露光した。また、別途、各熱反応型レジスト材料について、成膜後及び露光後のXRD分析を行った所、成膜後はアモルファス状態で、露光後は結晶状態であった。続いて、露光された熱反応型レジスト層を現像した。現像液は、表3に示す条件で行った。現像時間は、1分間で実施した。
このように現像された熱反応型レジスト層について、SEMにて表面形状を観察したところ、表3に示すLERが得られ、非常に良好なパターンラフネスを示した。
次に得られた熱反応型レジストをマスクとして、ドライエッチング処理による石英ガラス基材のエッチングを行った。ドライエッチングは、エッチングガスとしてSF6/O2(比率95%:5%)を用い、処理ガス圧を1Pa、処理電力を300W、処理時間1.5分の条件で行った。これらパターンが付与された基板から熱反応型レジストのみを剥離し、SEMにて断面形状を観察したところ、良好なパターンラフネスが観察された。
上記で得られたパターン付の基板をモールドとして用いて、UV硬化樹脂を使って表面形状をフィルムに転写させたところ、ほぼモールドを反転した形状がフィルム上に転写された。
(実施例22)
表3に示すCuO0.5N0.15、CuO0.3N0.05からなる組成物を夫々含む熱反応型レジスト材料を作製した。そして各熱反応型レジスト材料を、φ80mm、長さ400mmの石英ガラスロール基材上に、スパッタ法を用いて15nmの膜厚で成膜した。なお表3に示各組成は、XPSで同定した。また、各熱反応型レジスト材料の密度は、XRR分析で求め、表3の値を得た。
表3に示すCuO0.5N0.15、CuO0.3N0.05からなる組成物を夫々含む熱反応型レジスト材料を作製した。そして各熱反応型レジスト材料を、φ80mm、長さ400mmの石英ガラスロール基材上に、スパッタ法を用いて15nmの膜厚で成膜した。なお表3に示各組成は、XPSで同定した。また、各熱反応型レジスト材料の密度は、XRR分析で求め、表3の値を得た。
以上のように成膜した熱反応型レジスト材料を以下の条件で露光した。
露光用半導体レーザー波長:405nm
レンズ開口数:0.85
露光レーザーパワー:1mW〜25mW
送りピッチ:60nm〜800nm
回転速度:210〜1670rpm
露光用半導体レーザー波長:405nm
レンズ開口数:0.85
露光レーザーパワー:1mW〜25mW
送りピッチ:60nm〜800nm
回転速度:210〜1670rpm
露光中にレーザーの強度を変調させることで、さまざまな形状やパターンを作製できるが、実験では露光精度を確かめるために、パターンとして溝形状を使用した。形成する形状は目的とする用途によっては孤立した円形状や孤立した楕円形状等でも構わず、本実施例は露光形状によって何ら制限を受けるものではない。また、別途、各熱反応型レジスト材料について、成膜後及び露光後のXRD分析を行った所、成膜後はアモルファス状態で、露光後は結晶状態であった。
続いて、露光された熱反応型レジストの現像を行った。現像液は、表3に示す条件で行った。現像時間は、2分間での現像を実施した。
上記で得られたパターン付の基板を、UV硬化樹脂を使って表面形状をフィルムに転写させた。得られたフィルムをSEMにて表面観察をしたところ、ほぼモールドを反転した形状が観察され、表3の値のLERが得られ非常に良好なパターンラフネスを示した。
次に得られた熱反応型レジストをマスクとして、ドライエッチング処理による石英ガラス基材のエッチングを行った。ドライエッチングは、エッチングガスとしてCF4/O2(比率98%:2%)を用い、処理ガス圧を1Pa、処理電力を1000W、処理時間2分の条件で行った。これらパターンが付与された基板から熱反応型レジストのみを剥離したものを基材として、UV硬化樹脂を使って表面形状をフィルムに転写させた。得られたフィルムをSEMにて表面観察をしたところ、ほぼモールドを反転した形状が観察され、非常に良好なパターンラフネスを示した。
(実施例23)
熱反応型レジスト材料に含まれる組成物としてCuO0.4N0.1及び添加剤としてSiO2(8mol%)を選択した以外は、実施例20と同様の条件で成膜を実施した。なお表3に示す組成はXPSで同定し、添加剤としてのSiO2の添加量はXRF(蛍光X線)で同定した。また、熱反応型レジスト材料の密度は、XRR分析で求め、表3の値を得た。
熱反応型レジスト材料に含まれる組成物としてCuO0.4N0.1及び添加剤としてSiO2(8mol%)を選択した以外は、実施例20と同様の条件で成膜を実施した。なお表3に示す組成はXPSで同定し、添加剤としてのSiO2の添加量はXRF(蛍光X線)で同定した。また、熱反応型レジスト材料の密度は、XRR分析で求め、表3の値を得た。
以上のように成膜した熱反応型レジスト層を実施例20と同じ条件で露光した。また、別途、熱反応型レジスト材料について、成膜後及び露光後のXRD分析を行った所、成膜後はアモルファス状態で、露光後は結晶状態であった。続いて、露光された熱反応型レジスト層を現像した。現像液は、表3に示す条件で行った。現像時間は、1分間で実施した。
このように現像された熱反応型レジスト層について、SEMにて表面形状を観察したところ、表3の値のLERが得られ非常に良好なパターンラフネスを示した。
次に得られた熱反応型レジストをマスクとして、ドライエッチング処理による石英ガラス基材のエッチングを行った。ドライエッチングは、エッチングガスとしてSF6を用い、処理ガス圧を1Pa、処理電力を300W、処理時間2分の条件で行った。これらパターンが付与された基板から熱反応型レジストのみを剥離し、SEMにて断面形状を観察したところ、良好なパターンラフネスが観察された。
上記で得られたパターン付の基板をモールドとして用いて、UV硬化樹脂を使って表面形状をフィルムに転写させたところ、ほぼモールドを反転した形状がフィルム上に転写された。
(実施例24)
表3に示す組成の積層材料を形成した。このとき、熱反応型レジスト材料に含まれる平均組成物はCuO0.4N0.1であった。また、各熱反応型レジスト材料の密度は、XRR分析で求め、表3の値を得た。
表3に示す組成の積層材料を形成した。このとき、熱反応型レジスト材料に含まれる平均組成物はCuO0.4N0.1であった。また、各熱反応型レジスト材料の密度は、XRR分析で求め、表3の値を得た。
また表3に示すように、上記の積層材料に加えて添加剤としてSiO2を8mol%添加した熱反応型レジスト材料も作製した。具体的には、2inφ、厚み0.5mmの石英ガラス基材上に、CuO0.5をスパッタ法により10nmの膜厚で成膜し、その上にCuO0.2N0.3をスパッタ法で5nmの膜厚で成膜し積層材料とした。一方、添加剤を加えた組成では、2inφ、厚み0.5mmの石英ガラス基材上に、CuO0.5と添加剤としてSiO2を8mol%添加した組成物をスパッタ法により10nmの膜厚で成膜し、その上にCuO0.2N0.3と添加剤としてSiO2を8mol%添加した組成物をスパッタ法により5nmの膜厚で成膜し積層材料とした。なお表3に示す組成はXPSとXRFで同定した。
以上のように成膜した熱反応型レジスト層を実施例20と同じ条件で露光した。また、別途、各熱反応型レジスト材料について、成膜後及び露光後のXRD分析を行った所、成膜後はアモルファス状態で、露光後は結晶状態であった。続いて、露光された熱反応型レジスト層を現像した。現像液は、表3に示す条件で行った。現像時間は、1分間で実施した。
このように現像された熱反応型レジスト層について、SEMにて表面形状を観察したところ、表3に示すLERが得られ非常に良好なパターンラフネスを示した。
次に得られた熱反応型レジストをマスクとして、ドライエッチング処理による石英ガラス基材のエッチングを行った。ドライエッチングは、エッチングガスとしてSF6を用い、処理ガス圧を1Pa、処理電力を300W、処理時間2分の条件で行った。これらパターンが付与された基板から熱反応型レジストのみを剥離し、SEMにて断面形状を観察したところ、良好なパターンラフネスが観察された。
上記で得られたパターン付の基板をモールドとして用いて、UV硬化樹脂を使って表面形状をフィルムに転写させたところ、ほぼモールドを反転した形状がフィルム上に転写された。
(実施例25)
膜厚方向に向けて表3に示すようにCuO0.5〜CuN0.5まで徐々にOの組成比がNに置換されるように組成を変動させた。このとき得られた平均組成物は表3に示すCuO0.25N0.25であった。具体的には、2inφ、厚み0.5mmの石英ガラス基材上に、成膜開始時はプロセスガスとしてアルゴンと酸素のみで窒素を導入しない条件でスパッタ法により成膜した。そして徐々に窒素の導入量を増やすとともに酸素の導入量を減らし、成膜終了時点でアルゴンと窒素のみの条件で成膜を行い、膜厚20nmの成膜を行った。なお表3に示す組成はXPSで同定した。また、熱反応型レジスト材料の密度は、XRR分析で求め、表3の値を得た。
膜厚方向に向けて表3に示すようにCuO0.5〜CuN0.5まで徐々にOの組成比がNに置換されるように組成を変動させた。このとき得られた平均組成物は表3に示すCuO0.25N0.25であった。具体的には、2inφ、厚み0.5mmの石英ガラス基材上に、成膜開始時はプロセスガスとしてアルゴンと酸素のみで窒素を導入しない条件でスパッタ法により成膜した。そして徐々に窒素の導入量を増やすとともに酸素の導入量を減らし、成膜終了時点でアルゴンと窒素のみの条件で成膜を行い、膜厚20nmの成膜を行った。なお表3に示す組成はXPSで同定した。また、熱反応型レジスト材料の密度は、XRR分析で求め、表3の値を得た。
以上のように成膜した熱反応型レジスト層を実施例20と同じ条件で露光した。また、別途、熱反応型レジスト材料について、成膜後及び露光後のXRD分析を行った所、成膜後はアモルファス状態で、露光後は結晶状態であった。続いて、露光された熱反応型レジスト層を現像した。現像液は、表3に示す条件で行った。現像時間は、1分間で実施した。
このように現像された熱反応型レジスト層について、SEMにて表面形状を観察したところ、表3の値のLERが得られ非常に良好なパターンラフネスを示した。
次に得られた熱反応型レジストをマスクとして、ドライエッチング処理による石英ガラス基材のエッチングを行った。ドライエッチングは、エッチングガスとしてSF6を用い、処理ガス圧を1Pa、処理電力を300W、処理時間2分の条件で行った。これらパターンが付与された基板から熱反応型レジストのみを剥離したものを、SEMにて断面形状を観察したところ、良好なパターンラフネスが観察された。
上記で得られたパターン付の基板をモールドとして用いて、UV硬化樹脂を使って表面形状をフィルムに転写させたところ、ほぼモールドを反転した形状がフィルム上に転写された。
(実施例26)
熱反応型レジスト材料に含まれる組成物としてCuO0.4N0.1及び添加剤としてNa2O(0.01mol%)/SiO2(8mol%)を選択した以外は、実施例20と同様の条件で成膜を実施した。なお表3に示す組成はXPSで同定し、添加剤としてのNa2O/SiO2の添加量はXRFで同定した。また、熱反応型レジスト材料の密度は、XRR分析で求め、表3の値を得た。
熱反応型レジスト材料に含まれる組成物としてCuO0.4N0.1及び添加剤としてNa2O(0.01mol%)/SiO2(8mol%)を選択した以外は、実施例20と同様の条件で成膜を実施した。なお表3に示す組成はXPSで同定し、添加剤としてのNa2O/SiO2の添加量はXRFで同定した。また、熱反応型レジスト材料の密度は、XRR分析で求め、表3の値を得た。
以上のように成膜した熱反応型レジスト層を実施例20と同じ条件で露光した。また、別途、熱反応型レジスト材料について、成膜後及び露光後のXRD分析を行った所、成膜後はアモルファス状態で、露光後は結晶状態であった。続いて、露光された熱反応型レジスト層を現像した。現像液は、表3に示す条件で行った。現像時間は、1分間で実施した。
このように現像された熱反応型レジスト層について、SEMにて表面形状を観察したところ、表3の値のLERが得られ非常に良好なパターンラフネスを示した。
次に得られた熱反応型レジストをマスクとして、ドライエッチング処理による石英ガラス基材のエッチングを行った。ドライエッチングは、エッチングガスとしてSF6を用い、処理ガス圧を1Pa、処理電力を300W、処理時間2分の条件で行った。これらパターンが付与された基板から熱反応型レジストのみを剥離し、SEMにて断面形状を観察したところ、良好なパターンラフネスが観察された。
上記で得られたパターン付の基板をモールドとして用いて、UV硬化樹脂を使って表面形状をフィルムに転写させたところ、ほぼモールドを反転した形状がフィルム上に転写された。
(比較例6)
熱反応型レジスト材料に含まれる組成物としてCuO0.8N0.2とCuO0.1N0.05を選択した以外は、実施例20と同様の条件で成膜を実施した。なお、組成はXPSで同定した。また、各熱反応型レジスト材料の密度は、XRR分析で求め、表3の値を得た。
熱反応型レジスト材料に含まれる組成物としてCuO0.8N0.2とCuO0.1N0.05を選択した以外は、実施例20と同様の条件で成膜を実施した。なお、組成はXPSで同定した。また、各熱反応型レジスト材料の密度は、XRR分析で求め、表3の値を得た。
以上のように成膜した熱反応型レジスト層を実施例20と同じ条件で露光した。また、別途、各熱反応型レジスト材料について、成膜後及び露光後のXRD分析を行った所、成膜後はアモルファス状態で、露光後は結晶状態であった。続いて、露光された熱反応型レジスト層を現像した。現像液は、表3に示す条件で行った。現像時間は、1分間で実施した。
このように現像された熱反応型レジスト層について、SEMにて表面形状を観察したところ、表3の値のLERが得られ、実施例に比べパターンラフネスが悪かった。
次に得られた熱反応型レジストをマスクとして、ドライエッチング処理による石英ガラス基材のエッチングを行った。ドライエッチングは、エッチングガスとしてSF6を用い、処理ガス圧を1Pa、処理電力を300W、処理時間2分の条件で行った。これらパターンが付与された基板から熱反応型レジストのみを剥離し、SEMにて断面形状を観察したところ、ラフネスの悪いパターンがそのまま観察された。
実施例20〜実施例26と比較例6とを比較すると、実施例20〜実施例26に係る熱反応型レジスト材料を用いると、優れたパターンラフネスを維持したまま微細パターンの形成が可能であることがわかった。
実施例20〜実施例26に基づいて、熱反応型レジスト材料に含まれる組成物としてCuOxAyを導き出した。このとき、Aは、N、S及び、Seから選択される1種以上であり、0.35≦x+y≦0.65、0≦x、0<yとした。
(実施例27)
2inφ、厚み0.5mmの石英ガラス基材上に、スパッタリング法を用いて、酸化チタン(IV)、酸化ジルコニウム(IV)、酸化ハフニウム(IV)、酸化ニッケル(II)、酸化亜鉛(II)を主成分とする熱反応型レジスト材料をそれぞれ20nm成膜した。
2inφ、厚み0.5mmの石英ガラス基材上に、スパッタリング法を用いて、酸化チタン(IV)、酸化ジルコニウム(IV)、酸化ハフニウム(IV)、酸化ニッケル(II)、酸化亜鉛(II)を主成分とする熱反応型レジスト材料をそれぞれ20nm成膜した。
以上のように成膜した熱反応型レジスト層を、以下の条件で露光した。
露光用半導体レーザー波長:405nm
レンズ開口数:0.85
露光レーザーパワー:1mW〜25mW
送りピッチ:60nm〜800nm
露光速度:0.6m/s〜11.0m/s
露光用半導体レーザー波長:405nm
レンズ開口数:0.85
露光レーザーパワー:1mW〜25mW
送りピッチ:60nm〜800nm
露光速度:0.6m/s〜11.0m/s
露光中にレーザーの強度を変調させることで、さまざまな形状やパターンを作製できるが、実験では露光精度を確かめるために、パターンとして連続の溝形を使用した。形成する形状は目的とする用途によっては孤立した円形や楕円形状等でも構わず、本実施例は露光形状によって何ら制限を受けるものではない。また、別途、各熱反応型レジスト材料について、成膜後及び露光後のXRD分析を行った所、成膜後はアモルファス状態で、露光後は結晶状態であった。
続いて、上記露光機によって露光された熱反応型レジスト層を現像した。現像液は、表4に示す条件で行った。
このように現像された熱反応型レジスト層について、SEM(走査型電子顕微鏡)にて表面形状を観察したところ、表4に示す値のLERが得られ非常に良好なラフネスを示した。
次に得られた熱反応型レジストをマスクとして、ドライエッチング処理による石英ガラス基材のエッチングを行った。ドライエッチングは、エッチングガスとしてSF6を用い、処理ガス圧を1Pa、処理電力を300W、処理時間2分の条件で行った。これらパターンが付与された基板から熱反応型レジストのみを剥離したものを、SEMにて断面形状を観察したところ、良好なパターンラフネスが観察された。
上記で得られたパターン付の基板をモールドとして用いて、厚さ100μmのPETフィルム上にUV硬化樹脂5μmを塗布し、上記モールドに押し当て、PETフィルムにモールドの表面形状を転写させた。そのPETフィルムの断面形状をSEMにて観察したところ、ほぼモールドを反転した形状がフィルム上に転写された。
(比較例7)
2inφ、厚み0.5mmの石英ガラス基材上に、スパッタリング法を用いて、チタンアルミ、ニッケル錫、ゲルマニウムセレンを主成分とするレジスト材料をそれぞれ20nm成膜した。
2inφ、厚み0.5mmの石英ガラス基材上に、スパッタリング法を用いて、チタンアルミ、ニッケル錫、ゲルマニウムセレンを主成分とするレジスト材料をそれぞれ20nm成膜した。
以上のように成膜した熱反応型レジスト層を実施例27と同じ条件で露光した。パターンとして連続の溝形を使用した。また、別途、各熱反応型レジスト材料について、成膜後及び露光後のXRD分析を行った所、ゲルマニウムセレンはアモルファス状態、露光後には結晶状態であった。一方、チタンアルミ、ニッケル錫は成膜後に結晶状態で相変化モードのレジスト材料としては使用できなかった。続いて、ゲルマニウムセレンについて、露光された熱反応型レジスト層を現像した。現像液は、表4に示す条件で行った。次に得られた熱反応型レジストをマスクとして、ドライエッチング処理による石英ガラス基材のエッチングを行った。ドライエッチングは、エッチングガスとしてSF6を用い、処理ガス圧を1Pa、処理電力を300W、処理時間2分の条件で行った。ドライエッチング後、SEM観察した所、パターンが観察されなかった。ゲルマニウムセレンを構成する元素のフッ化物の沸点は、全て200℃以下(Ge:−36℃、Se:106℃)であることから、ドライエッチング耐性に乏しく、ドライエッチング中にレジスト材料がマスクとして機能しなかったためだと考えられる。
実施例27と比較例7とを比較すると、実施例27に係る熱反応型レジスト材料を用いると、優れたパターンラフネスを維持したまま微細パターンの形成が可能であることがわかった。
本発明に係る熱反応型レジスト材料は、特に、超微細パターンを転写するためのモールドのマスクとして有用である。
Claims (24)
- アモルファス酸化物からなるレジスト材料であり、アモルファスから結晶に変化する相変化モードを用いてパターンを形成することを特徴とする熱反応型レジスト材料。
- 前記アモルファス酸化物からなるレジスト材料は、主要フッ化物の沸点が200℃以上である元素を少なくとも1種類含むアモルファス酸化物材料であることを特徴とする請求項1に記載の熱反応型レジスト材料。
- 前記アモルファス酸化物からなるレジスト材料が、IV族元素である酸化チタン(IV)、酸化ジルコニウム(IV)、酸化ハフニウム(IV)及び、XIII族元素である酸化アルミニウム(III)、酸化ガリウム(III)、酸化インジウム(III)及び、酸化鉄(III)、酸化コバルト(III)、酸化ニッケル(II)、酸化銅(I)、酸化亜鉛(II)、酸化スズ(IV)、酸化アンチモン(III)の中から少なくとも1つ以上選択されてなることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の熱反応型レジスト材料。
- 前記アモルファス酸化物からなるレジスト材料が、酸化チタン(IV)、酸化ジルコニウム(IV)、酸化ハフニウム(IV)、酸化ニッケル(IV)、酸化銅(I)、及び、酸化亜鉛(II)の中から少なくとも1つ以上選択されてなることを特徴とする請求項1から請求項3のいずれかに記載の熱反応型レジスト材料。
- 前記アモルファス酸化物として酸化銅(I)を含有し、前記酸化銅(I)の密度が、4.00g/cm3より大きく、6.07g/cm3より小さいことを特徴とする請求項1から請求項4のいずれかに記載の熱反応型レジスト材料。
- 前記酸化銅(I)の密度が4.20g/cm3以上、5.95g/cm3以下であることを特徴とする請求項5に記載の熱反応型レジスト材料。
- 前記酸化銅(I)の粒子サイズが、平均10nm以下であることを特徴とする請求項5又は請求項6に記載の熱反応型レジスト材料。
- 添加剤として、ナトリウム、リチウム、カリウム、並びにそれらのハロゲン化物及び酸化物からなる群(A)から少なくとも1つ以上、且つV族、VI属、XIV族、並びにそれらの酸化物及び窒化物からなる群(B)から少なくとも1つ以上が添加されていることを特徴とする請求項5から請求項7のいずれかに記載の熱反応型レジスト材料。
- 酸化銅(I)に対して、前記群(A)の添加剤の割合が0.0002mol%以上5.8mol%以下、前記群(B)の添加剤の割合が5.8mol%以上26.1mol%以下である、あるいは、Cuに対して、前記群(A)の添加剤の割合が0.0001mol%以上3.0mol%以下、前記群(B)の添加剤の割合が3.0mol%以上15.0mol%以下であることを特徴とする請求項8に記載の熱反応型レジスト材料。
- 酸化銅(I)に対して、前記群(A)の添加剤の割合が0.0002mol%以上2.0mol%以下、前記群(B)の添加剤の割合が9.5mol%以上18.2mol%以下である、あるいは、Cuに対して、前記群(A)の添加剤の割合が0.0001mol%以上1.0mol%以下、前記群(B)の添加剤の割合が5.0mol%以上10.0mol%以下であることを特徴とする請求項9に記載の熱反応型レジスト材料。
- 前記アモルファス酸化物として、酸化銅(I)の酸素の一部あるいは全部が元素Aに置換された式(1)の組成物を含むことを特徴とする請求項1から請求項10のいずれかに記載の熱反応型レジスト材料。
CuOxAy (1)
ただし、Aは、N、S及び、Seから選択される1種以上であり、0.35≦x+y≦0.65、0≦x、0<yである。またx、yは、原子比率を示し、式(1)では、Cu:O:Aの原子比率が1:x:yとされている。 - 前記組成物とともに、Na、Mg、Si、Sr、V、Cr、Mo、W、Ag、Zn、Ga、Ge、Nb、Ta及びその酸化物、窒化物、並びに酸窒化物のうち、1つ以上が添加剤として含まれることを特徴とする請求項11に記載の熱反応型レジスト材料。
- 前記組成物とともに、Si及びその酸化物、窒化物、並びに酸窒化物のうち少なくとも1つが添加剤として含まれることを特徴とする請求項12に記載の熱反応型レジスト材料。
- 前記元素AはNであり、0.35≦x+y≦0.65、0≦x、0<yを満たすことを特徴とする請求項11から請求項13のいずれかに記載の熱反応型レジスト材料。
- 請求項1から請求項14のいずれかに記載の熱反応型レジスト材料を用いて、基材表面に凹凸形状を有するモールドを製造する製造方法であって、
前記基材上に、前記熱反応型レジスト材料を用いて熱反応型レジスト層を形成する工程(1)と、
前記熱反応型レジスト層を、露光した後、現像液で現像する工程(2)と、
前記熱反応型レジスト層をマスクとして用いて、フロン系ガスで前記基材をドライエッチングする工程(3)と、
前記熱反応型レジスト層を除去する工程(4)と、
を含むことを特徴とするモールドの製造方法。 - 前記熱反応型レジスト層の膜厚を、10nm以上100nm以下で形成することを特徴とする請求項15に記載のモールドの製造方法。
- 前記熱反応型レジスト層は、スパッタリング法、蒸着法又はCVD法から選ばれるいずれかの方法で形成されることを特徴とする請求項15又は請求項16に記載のモールドの製造方法。
- 前記基材は、平板形状であることを特徴とする請求項15から請求項17のいずれかに記載のモールドの製造方法。
- 前記基材は、スリーブ形状であることを特徴とする請求項15から請求項17のいずれかに記載のモールドの製造方法。
- 前記基材は、石英ガラスであることを特徴とする請求項15から請求項19のいずれかに記載のモールドの製造方法。
- 前記工程(2)における露光は、半導体レーザーで行われることを特徴とする請求項15から請求項20のいずれかに記載のモールドの製造方法。
- 請求項15から請求項21のいずれかに記載のモールドの製造方法によって製造されたことを特徴とするモールド。
- ピッチが1nm以上1μm以下の微細パターンからなる凹凸形状を有することを特徴とする請求項22に記載のモールド。
- LERが1.5nm以下であることを特徴とする請求項22又は請求項23に記載のモールド。
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