以下、本発明に係る対基板作業装置を、電子部品装着装置10に具体化した一実施形態について図面を参照して説明する。図1は、本実施形態に係る電子部品装着装置10の斜視図であり、図2は、カバー等を外した状態の電子部品装着装置10を上方からの視点で示した平面図である。
<電子部品装着装置の構成>
本実施形態に係る電子部品装着装置10は、回路基板に電子部品を実装するための装置である。電子部品装着装置10は、1つのシステムベース14と、そのシステムベース14の上に並んで配設された2つの装着機16とを有している。尚、以下の説明では、装着機16の並ぶ方向をX軸方向と称し、その方向に直角な水平の方向をY軸方向と称する。
各装着機16は、主に、装着機本体20、搬送装置22、装着ヘッド移動装置24(以下、「移動装置24」と略す場合がある)、装着ヘッド26、供給装置28、フラックスユニット30を備えている。装着機本体20は、フレーム部32と、そのフレーム部32に上架されたビーム部34とによって構成されている。
搬送装置22は、2つのコンベア装置(コンベア装置40、コンベア装置42)を備えている。コンベア装置40及びコンベア装置42は、互いに平行で、且つ、X軸方向に延びるようにフレーム部32に配設されている。コンベア装置40、コンベア装置42は、電磁モータ46(図6参照)によって、夫々に支持される回路基板をX軸方向に搬送する。又、回路基板は、所定の位置において、基板保持装置48(図6参照)によって固定的に保持される。
移動装置24は、XYロボット型の移動装置であり、スライダ50をX軸方向にスライドさせる電磁モータ52(図6参照)と、Y軸方向にスライドさせる電磁モータ54(図6参照)とを備えている。スライダ50には、装着ヘッド26が取り付けられており、その装着ヘッド26は、電磁モータ52と電磁モータ54の作動によって、フレーム部32上の任意の位置に移動する。
装着ヘッド26は、回路基板に対して電子部品を装着するものである。図3に示すように、装着ヘッド26は、複数の棒状の装着ユニット60を備えており、複数の装着ユニット60の各々の先端部には、吸着ノズル62が装着されている。吸着ノズル62は、負圧エア通路及び正圧エア通路を介して、正負圧供給装置66(図6参照)に通じている。吸着ノズル62は、負圧によって電子部品を吸着保持し、保持した電子部品を正圧によって離脱する。又、複数の棒状の装着ユニット60は、ユニット保持体68の外周部において、等角度ピッチで配設されており、軸方向が垂直となる状態で保持されている。吸着ノズル62は、ユニット保持体68の下面から下方に向かって延び出している。
又、当該装着ヘッド26において、ユニット保持体68は、保持体回転装置70の電磁モータ72(図6参照)によって、装着ユニット60の配設角度毎に間欠回転する。これにより、複数の装着ユニット60の停止位置のうちの1つの停止位置である昇降ステーションに、装着ユニット60が順次停止する。そして、当該昇降ステーションに位置する装着ユニット60は、ユニット昇降装置74の電磁モータ76(図6参照)によって昇降する。これにより、吸着ノズル62に吸着保持された電子部品の上下方向の位置が変更される。又、当該装着ヘッド26においては、昇降ステーションとは別の停止位置が自転ステーションとされており、当該自転ステーションに位置する装着ユニット60は、自転装置78の電磁モータ80(図6参照)によって自転する。これにより、吸着ノズル62によって吸着保持された電子部品の保持姿勢が変更される。
供給装置28は、フィーダ型の供給装置であり、フレーム部32におけるY軸方向の一方側の端部に配設されている。供給装置28は、テープフィーダ81を有している。テープフィーダ81は、電子部品をテーピング化して構成したテープ化部品を巻回させた状態で収容している。そして、テープフィーダ81は、送出装置82(図6参照)によって、テープ化部品を送り出す。これにより、フィーダ型の供給装置28は、テープ化部品の送り出しによって、電子部品を供給位置において供給する。尚、テープフィーダ81は、フレーム部32に対して着脱可能であり、電子部品の交換等に対応することが可能である。
そして、フラックスユニット30は、供給装置28の隣において、Y軸方向に摺動可能に配設されており、電子部品に塗布されるフラックスを貯留する貯留トレイ93等を有している。ここで、本実施形態におけるフラックスユニット30の構成について、図面を参照しつつ詳細に説明する。図4は、本実施形態におけるフラックスユニット30の斜視図であり、図5は、当該フラックスユニット30を上方からの視点で示した平面図である。
図4、図5に示すように、当該フラックスユニット30において、本体ベース83は、Y軸方向に延設された長方形の底板と、当該底板のX軸方向の端部から上方に垂直に延びる一対の側板とを備え、Y軸方向に延びるU字形状の溝を構成している。本体ベース83における底板の上面には、一対のガイドレール84が配設されており、各ガイドレール84は、X軸方向に並びつつ、Y軸方向に沿って延設されている。又、本体ベース83の底板上において、Y軸方向の端部には、ケーブル連結部85が設けられている。ケーブル連結部85には、各種の電源線や信号線等を収容するケーブル89が連結されている。
フラックスユニット30は、トレイ回転装置90や貯留トレイ93を有するユニット本体部86を備えている。当該ユニット本体部86は、アクチュエーター(図示せず)によって、ガイドレール84に沿ってY軸方向に移動可能に配設されており、ケーブル89を介して、ケーブル連結部85に連結されている。
ユニット本体部86におけるY軸方向一端側には、シリンジ保持部87が配設されている。シリンジ保持部87は、クリップ及びベルトによって構成されており、円筒形状のシリンジ88を固定して保持する。シリンジ88は、フラックスを内部に収容しており、その下端部には、液送管が接続されている。
ユニット本体部86の上面部分には、トレイ回転装置90が配設されている。トレイ回転装置90は、トレイ回転装置90における上面の一部を構成すると共に、回転可能に配設されたステージ91と、当該ステージ91を任意の回転量で回転駆動させる為の電磁モータ及びロータリ―エンコーダ等を有して構成されている。従って、当該トレイ回転装置90は、ステージ91上に載置された貯留トレイ93を、所定方向に任意の回転量をもって回転させ得る。
貯留トレイ93は、上方から見た外形形状が円形をなす浅底のトレイであり、シリンジ88から供給されたフラックスを貯留し、フラックス膜Fが形成される貯留部94を有している。そして、当該貯留トレイ93は、トレイ回転装置90におけるステージ91の回転中心と、貯留トレイ93の中心とを一致させた状態で、ステージ91上に配置される。本実施形態においては、ステージ91の回転中心及び円形の貯留トレイ93の中心の位置を、トレイ回転中心Cという。
貯留トレイ93における貯留部94の上方には、吐出ノズル99が配設されており、液送管を介して、シリンジ88の内部と接続されている。従って、貯留トレイ93の貯留部94には、シリンジ88内のフラックスが吐出ノズル99から供給され、貯留部94内にフラックス膜Fを形成することができる。
又、貯留部94の上方であって、吐出ノズル99と異なる位置には、板状のスキージ97が、貯留トレイ93の径方向に沿って配設されている。当該スキージ97は、貯留トレイ93の底面から所定高さとなる位置に配設されている。従って、トレイ回転装置90により貯留トレイ93を回転させることによって、径方向に沿って伸びるスキージ97の端縁がフラックス膜Fを掻き取る。即ち、スキージ97は、トレイ回転装置90によるトレイ回転装置90の回転動作と連動させることで、フラックス膜Fの厚みを所望の厚みに調整し得る。
装着機16は、更に、図6に示すように、制御装置100を備えている。制御装置100は、コントローラ102を有しており、コントローラ102は、CPU、ROM、RAM等を備え、コンピュータを主体とするものである。コントローラ102は、複数の駆動回路106に接続されており、それら複数の駆動回路106は、電磁モータ46、電磁モータ52、電磁モータ54、電磁モータ72、電磁モータ76、電磁モータ80、基板保持装置48、正負圧供給装置66、送出装置82、トレイ回転装置90に接続されている。これにより、搬送装置22、移動装置24等の作動が、コントローラ102によって制御される。
尚、図6に示すように、コントローラ102は、領域データ記憶部120と、回転量算出部122と、制御信号出力部124とを有している。領域データ記憶部120は、コントローラ102のRAMによって構成されており、対基板作業処理プログラム(図7参照)で決定された第1塗布領域RA、第2塗布領域RBを示す領域データを記憶している。回転量算出部122は、領域データとして取得した第1塗布領域RA、第2塗布領域RBに基づいて、適正なトレイ回転量θを算出する機能部である。制御信号出力部124は、各駆動回路106に対して制御信号を出力する機能部であって、特に、トレイ回転装置90によって貯留トレイ93をトレイ回転量θだけ回転させる為の制御信号を、駆動回路106を介して、トレイ回転装置90へ出力する。
<装着機による装着作業>
装着機16では、上述した構成によって、搬送装置22に保持された回路基板に対して、装着ヘッド26によって装着作業を行うことが可能とされている。具体的には、コントローラ102が、後述する対基板作業処理プログラムを実行することによって、対基板作業として、電子部品に対するフラックスの塗布作業、フラックスの塗布に伴うフラックス膜Fの厚み調整作業、回路基板に対する電子部品の装着作業が、装着機16において実現される。
コントローラ102の指令により、回路基板が作業位置まで搬送され、その位置において、基板保持装置48によって固定的に保持される。又、テープフィーダ81は、コントローラ102の指令により、テープ化部品を送り出し、電子部品を供給位置において供給する。そして、装着ヘッド26が、コントローラ102の指令により、電子部品の供給位置の上方に移動し、吸着ノズル62によって電子部品を吸着保持する。
続いて、装着ヘッド26は、コントローラ102の指令により、貯留トレイ93における貯留部94の上方の所定位置に移動し、ユニット昇降装置74によって、電子部品を下降させる。これにより、吸着ノズル62によって吸着保持された電子部品に対して、貯留トレイ93の貯留部94内に貯留されたフラックスを付着させることができる。この時の装着ヘッド26の座標位置を、ディップ座標位置Dという。
貯留トレイ93内のフラックスを電子部品に付着させた後、装着ヘッド26は、コントローラ102の指令により、ディップ座標位置Dから基板保持装置48で保持された回路基板の上方に移動し、保持している電子部品を回路基板上の所定の位置に装着する。又、フラックスを電子部品に付着させた後、トレイ回転装置90は、コントローラ102の指令により、貯留トレイ93を所定方向に回転させる。これにより、貯留部94内のフラックス膜Fに接触した状態で、貯留トレイ93とスキージ97とを相対的に移動させることができるので、スキージ97によってフラックスを掻き取り、フラックスの塗布が行われた部分におけるフラックス膜Fの厚みを、所望の厚みに調整することができる。
<対基板作業処理プログラムの処理内容>
次に、コントローラ102による対基板作業処理の処理内容について、図7に示すフロ−チャートを参照しつつ説明する。上述したように、本実施形態においては、対基板作業として、電子部品に対するフラックスの塗布作業と、フラックスが塗布された電子部品の回路基板に対する装着作業とを含んでいる。
尚、以下の説明においては、対基板作業として、回路基板に対する電子部品の装着作業に関する各種データが入力されており、コントローラ102のRAMに格納されているものとする。電子部品の装着作業に関する各種データは、回路基板に実装される電子部品のサイズを示すサイズデータ、当該電子部品の実装順序を示す順序データ、回路基板における各電子部品の装着位置を示す装着位置データ、装着ヘッド26における装着ユニット60の使用本数(吸着ノズル62によって電子部品を保持する本数)を示す本数データ、装着ユニット60の吸着ノズル62によって保持可能な電子部品の最大サイズ(以下、ノズル対応サイズN)を示す対応サイズデータ等を含んで構成される。
図7に示すように、ステップ(以下、単に「S」と表記する)1において、コントローラ102は、先ず、RAMに格納されている順序データを参照して、前回、電子部品に対するフラックスの塗布作業が行われたか否かを判断する。即ち、コントローラ102は、順序データにおける初回(第1番目)の作業であるか否かを判断する。電子部品に対するフラックスの塗布作業が前回行われていた場合(S1:YES)、コントローラ102は、S2に処理を移行する。一方、電子部品に対するフラックスの塗布作業が前回行われていない場合(S1:NO)、コントローラ102は、S6に処理を移行する。
S2においては、コントローラ102は、前回のフラックスの塗布作業におけるサイズデータや本数データ等を用いて、前回のフラックスの塗布作業で電子部品とフラックスが接触した領域(以下、第1塗布領域RAという)を算出して取得する。第1塗布領域RAの算出に関する具体例については、後に図面を参照しつつ詳細に説明する。取得した第1塗布領域RAを示す領域データをRAMに格納した後、コントローラ102は、S3に処理を移行する。
S3では、コントローラ102は、これから実行する今回のフラックスの塗布作業に関するサイズデータや本数データ等を用いて、今回のフラックスの塗布作業で電子部品とフラックスが接触する領域(以下、第2塗布領域RBという)を算出して取得する。第2塗布領域RBの算出に関する具体例については、後に図面を参照しつつ詳細に説明する。取得した第2塗布領域RBを示す領域データをRAMに格納した後、コントローラ102は、S4に処理を移行する。
S4に移行すると、コントローラ102は、トレイ回転量算出処理を実行し、S2で取得した第1塗布領域RAの領域データと、S3で取得した第2塗布領域RBの領域データとに基づいて、第1塗布領域RA、第2塗布領域RBが重複することのない適切な貯留トレイ93の回転量(以下、トレイ回転量θ)を算出する。トレイ回転量算出処理(S4)によるトレイ回転量θの算出例については、後に図面を参照しつつ詳細に説明する。算出したトレイ回転量θをRAMに格納した後、コントローラ102は、S5に処理を移行する。
S5においては、コントローラ102は、RAMに格納されているトレイ回転量θで貯留トレイ93を回転させる為に、駆動回路106を介して、制御信号を、フラックスユニット30のトレイ回転装置90へ出力する。これにより、トレイ回転装置90は、貯留トレイ93をステージ91と共に、所定方向へトレイ回転量θだけ回転させる。その後、コントローラ102は、S6に処理を移行する。
トレイ回転装置90を駆動制御することで、貯留トレイ93をトレイ回転量θだけ回転させると、ディップ座標位置Dを中心とした第2塗布領域RBに相当する範囲から、第1塗布領域RAにあたる前回の作業による電子部品の塗布跡が移動する。従って、当該電子部品装着装置10によれば、貯留トレイ93の回転量を必要限度に抑制しつつ、今回の電子部品に対するフラックスの塗布作業を適切に行うことができる。又、図4、図5に示すように、貯留トレイ93の貯留部94内には、スキージ97が径方向に伸びるように配設されている為、貯留トレイ93の回転と同時に、フラックス膜Fをスキージ97で掻き取ることができ、フラックス膜Fの厚みを適正に調整することができる。
S6では、コントローラ102は、今回の電子部品に対するフラックスの塗布作業を行う為に、駆動回路106を介して、搬送装置22、移動装置24、装着ヘッド26、供給装置28に対して制御信号を出力する。具体的に説明すると、コントローラ102は、先ず、搬送装置22に対して制御信号を出力することで、搬送装置22に回路基板を作業位置まで搬送させ、その位置において、基板保持装置48によって固定的に保持させる。そして、コントローラ102は、供給装置28のテープフィーダ81に制御信号を出力することで、テープ化部品を送り出し、電子部品を供給位置において供給する。又、コントローラ102は、移動装置24、装着ヘッド26に制御信号を出力することで、装着ヘッド26を電子部品の供給位置の上方へ移動させ、吸着ノズル62によって電子部品を吸着保持させる。その後、コントローラ102は、移動装置24、装着ヘッド26に制御信号を出力することで、装着ヘッド26をディップ座標位置Dへ移動させて、ユニット昇降装置74によって電子部品を下降させる。これにより、吸着ノズル62によって吸着保持された電子部品に対して、貯留トレイ93内のフラックスを塗布させることができる。その後、コントローラ102は、S7に処理を移行する。
S7に移行すると、コントローラ102は、フラックスが塗布された今回の電子部品を回路基板における装着位置に実装する為に、駆動回路106を介して、移動装置24、装着ヘッド26に制御信号を出力する。具体的には、コントローラ102は、RAMに格納されている装着位置データに基づく制御信号を、移動装置24へ出力することで、回路基板における装着位置の上方へ、装着ヘッド26を移動させる。その後、コントローラ102は、装着位置に移動した装着ヘッド26に対して制御信号を出力することで、電子部品を保持した装着ユニット60を下降させて、回路基板上の装着位置に当該電子部品を実装させる。その後、コントローラ102は、S8に処理を移行する。
S8においては、コントローラ102は、RAMに格納されている順序データを参照して、入力されている全ての対基板作業を完了したか否かを判断する。全ての作業を完了している場合(S8:YES)、コントローラ102は、対基板作業処理プログラムの実行を終了する。一方、全ての作業を完了していない場合(S8:NO)、コントローラ102は、S2に処理を戻し、順序データにおける次の順番に係る作業を行う。
このように、本実施形態に係る電子部品装着装置10によれば、制御装置100のコントローラ102で、対基板作業処理プログラム(図参照)を実行することによって、電子部品に対するフラックスの塗布作業、フラックス膜Fの厚みに関する調整作業、回路基板に対する電子部品の装着作業といった一連の作業を実行することができる。当該電子部品装着装置10は、フラックス膜Fの厚みに関する調整作業を実行する際に、取得した第1塗布領域RA、第2塗布領域RBに基づいて、トレイ回転量θを算出し、算出したトレイ回転量θをもって、貯留トレイ93を回転させる。これにより、前回の作業内容、今回の作業内容に応じて、貯留トレイ93を必要な分だけ回転させることができるので、一連の作業ごとに要する時間を短縮することができ、もって、電子部品装着装置10における作業効率及び生産性を向上させることができる。
<トレイ回転量算出処理の処理内容(1)>
次に、上述したS2〜S4によるトレイ回転量θの算出例について、図8、図9に示す具体例を挙げて詳細に説明する。尚、図8、図9では、前回の作業及び今回の作業の何れにおいても、装着ヘッド26は、一つの装着ユニット60及び吸着ノズル62によって、一の電子部品を吸着保持するものとし、フラックスを塗布した後、回路基板に装着させるように設定されている。
図8に示す具体例の場合、コントローラ102は、前回の作業における電子部品のサイズデータをRAMから取得する。この場合における前回の作業では、装着ヘッド26は、一つの電子部品を保持して各作業を行っている為、第1塗布領域RAは、前回の作業における電子部品のサイズデータによって決定され(S2)、当該サイズデータに係る部品サイズPと等しくなる。
その後、S3では、コントローラ102は、今回の作業に係る電子部品のサイズデータをRAMから取得する。図8における今回の作業において、装着ヘッド26は、一つの電子部品を保持して各作業を行うため、コントローラ102は、今回の作業に係る電子部品のサイズデータによって第2塗布領域RBを決定する。この場合の第2塗布領域RBは、今回の作業に係る電子部品のサイズデータに基づく部品サイズPと等しくなる。その後、コントローラ102は、第2塗布領域RBを示す領域データをRAMに格納する。
この場合におけるトレイ回転量算出処理(S4)では、コントローラ102は、第1塗布領域RAに係る領域データと、第2塗布領域RBに係る領域データとに基づいて、トレイ回転量θを算出する。具体的には、コントローラ102は、ディップ座標位置Dを基準として第1塗布領域RAを設定し、当該第1塗布領域RAに対して第2塗布領域RBが重複することがない必要最小限の貯留トレイ93の回転量を、トレイ回転量θとして算出する(図8参照)。
従って、図8に示す具体例からわかるように、当該トレイ回転量算出処理(S4)で算出されたトレイ回転量θに従って、トレイ回転装置90によって貯留トレイ93を回転させれば、フラックスの塗布作業ごとに貯留トレイ93を一回転させる場合に比べて、フラックス膜Fの厚みの調整作業に関する所要時間を短縮することができ、電子部品装着装置10における作業効率及び生産性を向上させることができる。
次に、図9に示す具体例について説明する。当該具体例においては、前回の作業における電子部品は、図8での前回の作業に係る電子部品と同サイズであり、今回の作業における電子部品は、図8における今回の作業に係る電子部品よりも小型であるものとする。
この場合においても、コントローラ102は、前回の作業における電子部品のサイズデータをRAMから取得し、第1塗布領域RAの領域データに決定する(S2)。従って、図9における第1塗布領域RAは、各作業に用いられる電子部品のサイズに対応し、図8の具体例における第1塗布領域RAと同じサイズを示す。
S3においては、コントローラ102は、今回の作業に係る電子部品のサイズデータをRAMから取得し、第2塗布領域RBを示す領域データとしてRAMに格納する。上述したように、図9に示す例では、今回の作業における電子部品は、図8における今回の作業に係る電子部品よりも小型である為、第2塗布領域RBは、図8の具体例と比較して小さな領域となる。
図9に示す具体例に係るトレイ回転量算出処理(S4)においても、コントローラ102は、第1塗布領域RAに係る領域データと、第2塗布領域RBに係る領域データとに基づいて、トレイ回転量θを算出する。この具体例においては、第2塗布領域RBの大きさが図8に示す具体例よりも小さい為、トレイ回転量算出処理(S4)で算出されるトレイ回転量θは、図8におけるトレイ回転量θよりも小さく算出される(図8、図9参照)。
図8、図9に示す具体例からわかるように、当該トレイ回転量算出処理(S4)で算出されたトレイ回転量θは、前回の作業に係る電子部品の部品サイズP、今回の作業に係る電子部品の部品サイズPに応じて変化する。従って、電子部品装着装置10によれば、異なる部品サイズPの電子部品を回路基板に装着する際においても、フラックスの塗布作業ごとに、貯留トレイ93の回転量を、部品サイズPに応じた適切な回転量に調整することができる。これにより、電子部品の部品サイズPに対応して、フラックス膜Fの厚みの調整作業に関する所要時間を短縮することができ、電子部品装着装置10における作業効率及び生産性を更に向上させることができる。
<トレイ回転量算出処理の処理内容(2)>
続いて、上述したS2〜S4によるトレイ回転量θの算出例について、図10、図11に示す具体例を挙げて詳細に説明する。尚、図10、図11では、前回の作業及び今回の作業の何れにおいても、装着ヘッド26は、複数の装着ユニット60の吸着ノズル62に対して、それぞれ一つの電子部品を吸着保持しているものとする。各電子部品は、フラックスを塗布した後、回路基板に装着される。
図10に示す具体例の場合も、コントローラ102は、前回の作業における電子部品のサイズデータをRAMから取得する。この場合における前回の作業では、装着ヘッド26は、複数の装着ユニット60に夫々一つの電子部品を保持して各作業を行っている為、第1塗布領域RAは、前回の作業における複数の電子部品夫々のサイズデータによって決定される(S2)。この時、コントローラ102は、装着ヘッド26において、フラックスに接触させるべき電子部品を保持している装着ユニット60の配置(電子部品を保持している装着ユニット60の装着ヘッド26における位置)を、更に参照して、第1塗布領域RAを決定してもよい。保持されている複数の電子部品が密集して配置されている場合と、当該複数の電子部品が分散して配置されている場合で第1塗布領域RA等の大きさが変動する為、装着ユニット60の配置を考慮することで、より適切な大きさの領域を決定することができる。図10に示すように、この場合の第1塗布領域RAは、前回の作業に際して装着ヘッド26に保持されていた各電子部品の部品サイズPを含む領域に決定され、各電子部品の部品サイズP及び装着ヘッド26における配置に応じた大きさとなる。
その後、S3では、コントローラ102は、今回の作業に係る各電子部品のサイズデータをRAMから取得する。図10における今回の作業においても、装着ヘッド26は、複数の装着ユニット60に夫々一つの電子部品を保持して各作業を行うため、コントローラ102は、今回の作業における複数の電子部品夫々のサイズデータによって、第2塗布領域RBを決定する。又、この場合においても、コントローラ102は、装着ヘッド26において、フラックスに接触させるべき電子部品を保持している装着ユニット60の配置(電子部品を保持している装着ユニット60の装着ヘッド26における位置)を、更に参照して、第2塗布領域RBを決定してもよい。この場合の第2塗布領域RBは、今回の作業に際して装着ヘッド26に保持されていた各電子部品の部品サイズPを含む領域に決定され、各電子部品の部品サイズP及び装着ヘッド26における配置に応じた大きさとなる。その後、コントローラ102は、第2塗布領域RBを示す領域データをRAMに格納する。
この場合におけるトレイ回転量算出処理(S4)においても、コントローラ102は、第1塗布領域RAに係る領域データと、第2塗布領域RBに係る領域データとに基づいて、トレイ回転量θを算出する。図10に示すように、コントローラ102は、ディップ座標位置Dを基準として第1塗布領域RAを設定し、当該第1塗布領域RAに対して第2塗布領域RBが重複することがない必要最小限の貯留トレイ93の回転量を、トレイ回転量θとして算出する。
従って、装着ヘッド26における複数の装着ユニット60を用いて、複数の電子部品を対象とした各作業を行う場合であっても、当該トレイ回転量算出処理(S4)で算出されたトレイ回転量θに従って貯留トレイ93を回転させれば、フラックスの塗布作業ごとに貯留トレイ93を一回転させる場合に比べて、フラックス膜Fの厚みの調整作業に関する所要時間を短縮することができ、電子部品装着装置10における作業効率及び生産性を向上させることができる(図10参照)。
次に、図11に示す具体例について説明する。当該具体例においては、前回の作業の対象である複数の電子部品は、図10における複数の電子部品と夫々同じサイズ及び配置であり、今回の作業の対象である複数の電子部品は、図10の具体例における複数の電子部品に対して比較的小さい電子部品によって構成されているものとする。
この場合において、コントローラ102は、図10に示す具体例と同様に、前回の作業における複数の電子部品夫々のサイズデータによって、第1塗布領域RAを決定する(S2)。図11の具体例においては、前回の作業の対象である電子部品は、図10に示す場合と同じ構成及び配置で装着ヘッド26に保持されている。従って、図11における第1塗布領域RAは、図10に示す具体例における第1塗布領域RAと同じ領域として決定される。
図11に示す具体例におけるS3では、コントローラ102は、今回の作業における複数の電子部品夫々のサイズデータによって、第2塗布領域RBを決定する。上述したように、図11に示す例では、今回の作業における複数の電子部品は、図10における今回の作業に係る複数の電子部品よりも比較的小型な電子部品によって構成されている為、第2塗布領域RBは、図10の具体例と比較して小さな領域となる。
この場合におけるトレイ回転量算出処理(S4)では、コントローラ102は、第1塗布領域RAに係る領域データと、第2塗布領域RBに係る領域データとに基づいて、トレイ回転量θを算出する。この具体例においては、第2塗布領域RBの大きさが図10に示す具体例よりも小さい為、トレイ回転量算出処理(S4)で算出されるトレイ回転量θは、図10におけるトレイ回転量θよりも小さく算出される(図10、図11参照)。
図10、図11に示す具体例からわかるように、第1塗布領域RA、第2塗布領域RBは、夫々、前回の作業に係る複数の電子部品の部品サイズPや装着ヘッド26における配置、今回の作業に係る複数の電子部品の部品サイズPや装着ヘッド26における配置に応じて変化し、これに伴って、当該トレイ回転量算出処理(S4)で算出されるトレイ回転量θの大きさを変化させることができる。
従って、電子部品装着装置10によれば、装着ヘッド26によって複数の電子部品を保持して作業する際に、複数の電子部品の構成(部品サイズPや装着ヘッド26における配置)が異なる場合であっても、フラックスの塗布作業ごとに、貯留トレイ93の回転量を、複数の電子部品の構成に応じた適切な回転量に調整することができる。これにより、複数の電子部品の構成に対応して、フラックス膜Fの厚みの調整作業に関する所要時間を短縮することができ、電子部品装着装置10における作業効率及び生産性を更に向上させることができる。
<トレイ回転量算出処理の処理内容(3)>
続いて、上述したS2〜S4によるトレイ回転量θの算出例について、図12に示す具体例を挙げて詳細に説明する。尚、図12では、前回の作業及び今回の作業の何れにおいても、装着ヘッド26は、複数の装着ユニット60の吸着ノズル62に対して、それぞれ一つの電子部品を吸着保持するものとし、前回の作業と今回の作業では、装着ヘッド26で保持する電子部品の数(電子部品を吸着保持する装着ユニット60及び吸着ノズル62の本数)が相違するものとする。
図12に示す具体例の場合、コントローラ102は、前回の作業に際し装着ヘッド26における装着ユニット60の使用本数を示す本数データと、装着ユニット60の吸着ノズル62によって保持可能な電子部品の最大サイズ(以下、ノズル対応サイズN)を示す対応サイズデータとをRAMから取得する。そして、コントローラ102は、前回の作業に係る本数データと、対応サイズデータに基づいて、第1塗布領域RAを決定する(S2)。具体的には、コントローラ102は、本数データに係る装着ユニット60の何れに対しても、ノズル対応サイズNの電子部品が保持されているものと仮定して第1塗布領域RAを決定する。この時、コントローラ102は、装着ヘッド26において、フラックスに接触させるべき電子部品を保持している装着ユニット60の配置(電子部品を保持している装着ユニット60の装着ヘッド26における位置)を、更に参照して、第1塗布領域RAを決定してもよい。
その後、S3に移行すると、コントローラ102は、今回の作業に係る本数データと、対応サイズデータに基づいて、第2塗布領域RBを決定する。この場合において、コントローラ102は、今回の作業に係る本数データに対応する装着ユニット60に、夫々、ノズル対応サイズNの電子部品が保持されているものと仮定して第2塗布領域RBを決定する。図12に示す具体例では、今回の作業時における装着ユニット60の使用本数は、前回の作業時における装着ユニット60の使用本数よりも少ない。従って、この場合における第2塗布領域RBは、第1塗布領域RAよりも小さな領域となる。又、この場合においても、コントローラ102は、装着ヘッド26において、フラックスに接触させるべき電子部品を保持している装着ユニット60の配置(電子部品を保持している装着ユニット60の装着ヘッド26における位置)を、更に参照して、第2塗布領域RBを決定してもよい。その後、コントローラ102は、第2塗布領域RBを示す領域データをRAMに格納する。
そして、トレイ回転量算出処理(S4)では、コントローラ102は、第1塗布領域RAに係る領域データと、第2塗布領域RBに係る領域データとに基づいて、トレイ回転量θを算出する。図12に示すように、コントローラ102は、ディップ座標位置Dを基準として第1塗布領域RAを設定し、当該第1塗布領域RAに対して第2塗布領域RBが重複することがない必要最小限の貯留トレイ93の回転量を、トレイ回転量θとして算出する。
従って、装着ヘッド26における複数の装着ユニット60を用いて、複数の電子部品を対象とした各作業を行う場合であっても、当該トレイ回転量算出処理(S4)で算出されたトレイ回転量θに従って貯留トレイ93を回転させれば、フラックスの塗布作業ごとに貯留トレイ93を一回転させる場合に比べて、フラックス膜Fの厚みの調整作業に関する所要時間を短縮することができ、電子部品装着装置10における作業効率及び生産性を向上させることができる(図12参照)。
そして、図12に示す具体例では、コントローラ102は、装着ヘッド26に係る装着ユニット60がどのような部品サイズPの電子部品を保持している場合であっても、一律に、ノズル対応サイズNの電子部品が保持されているものとして、第1塗布領域RA、第2塗布領域RBを決定する。このように構成すれば、図10、図11に示す具体例のように、各電子部品の部品サイズPを取得して決定する場合に比べて、簡略化した処理で第1塗布領域RA、第2塗布領域RBを決定することができるので、第1塗布領域RA、第2塗布領域RBの決定及びトレイ回転量θの算出に関する制御装置100の処理負担を軽減することができる。又、この場合に、電子部品を保持している装着ユニット60の装着ヘッド26における配置を更に参照したとしても、各電子部品の部品サイズPを取得する場合と比較して、第1塗布領域RA、第2塗布領域RBの決定及びトレイ回転量θの算出に関する制御装置100の処理負担を軽減し得る。
又、この場合において、第1塗布領域RA、第2塗布領域RBは、夫々、前回の作業に係る装着ユニット60の使用本数、今回の作業に係る装着ユニットの使用本数に応じて変化し、これに伴って、当該トレイ回転量算出処理(S4)で算出されるトレイ回転量θの大きさを変化させることができる。
従って、電子部品装着装置10によれば、装着ヘッド26によって複数の電子部品を保持して作業する際に、複数の電子部品の数が異なる場合であっても、フラックスの塗布作業ごとに、貯留トレイ93の回転量を、電子部品の数に応じた適切な回転量に調整することができる。これにより、作業の対象となる電子部品の数に対応して、フラックス膜Fの厚みの調整作業に関する所要時間を短縮することができ、電子部品装着装置10における作業効率及び生産性を更に向上させることができる。
以上説明したように、本実施形態に係る電子部品装着装置10において、各装着機16は、搬送装置22と、移動装置24と、装着ヘッド26と、供給装置28と、フラックスユニット30とを有している。当該装着機16は、供給装置28によって供給された電子部品を装着ヘッド26によって保持し、フラックスユニット30の貯留トレイ93内のフラックスに接触させる。そして、当該装着機16は、フラックスが塗布された電子部品を装着ヘッド26によって保持・移動させることで、搬送装置22によって所定位置に搬送された回路基板に対して、当該電子部品を装着させることができる。
図3、図4に示すように、当該電子部品装着装置10において、貯留トレイ93の内部には、スキージ97が貯留トレイ93の径方向に伸びるように配設されている。従って、電子部品装着装置10によれば、貯留トレイ93を回転させることで、スキージ97によってフラックスを掻き取り、貯留部94内におけるフラックス膜Fの厚みを所望の厚みに調整することができる。
そして、当該電子部品装着装置10においては、制御装置100のコントローラ102は、前回の作業に基づく第1塗布領域RAと、今回の作業に基づく第2塗布領域RBに応じて、貯留トレイ93の回転量を算出し(S4)、算出したトレイ回転量θに基づいて、トレイ回転装置90による貯留トレイ93の駆動制御を行う(S5)。従って、当該電子部品装着装置10は、トレイ回転量算出処理(S4)で算出されたトレイ回転量θに従って、トレイ回転装置90によって貯留トレイ93を回転させることでフラックス膜Fの厚みの調整作業に関する所要時間を、フラックスの塗布作業ごとに貯留トレイ93を一回転させる場合に比べて短縮することができ、電子部品装着装置10における作業効率及び生産性を向上させることができる。
又、当該電子部品装着装置10において、コントローラ102は、第1塗布領域RA、第2塗布領域RBを決定する際(S2、S3)、各作業の対象となる電子部品の部品サイズPを用い、こうして決定された第1塗布領域RA、第2塗布領域RBに従って、トレイ回転量θを算出している(S4)。従って、当該電子部品装着装置10によれば、図8、図9に示すように、トレイ回転量θを、作業の対象となる電子部品の部品サイズPに応じて変化させることができるので、電子部品の部品サイズPに対応して、フラックス膜Fの厚みの調整作業に関する所要時間を短縮することができ、電子部品装着装置10における作業効率及び生産性を更に向上させることができる。
そして、本実施形態における電子部品装着装置10において、装着ヘッド26は、複数の装着ユニット60及び吸着ノズル62を有しており、各装着ユニット60及び吸着ノズル62単位で電子部品を保持することができる(図3参照)。当該電子部品装着装置10において、コントローラ102は、装着ヘッド26の複数の装着ユニット60を用いて、複数の電子部品を対象とする作業を行う場合に、装着ヘッド26で保持された複数の電子部品それぞれの部品サイズPを用いて、第1塗布領域RA、第2塗布領域RBを決定し(S2、S3)、決定された第1塗布領域RA、第2塗布領域RBに従って、トレイ回転量θを算出している(S4)。
従って、当該電子部品装着装置10によれば、装着ヘッド26における複数の装着ユニット60を用いて、複数の電子部品を対象とした各作業を行う場合であっても、フラックスの塗布作業ごとに貯留トレイ93を一回転させる場合に比べて、フラックス膜Fの厚みの調整作業に関する所要時間を短縮することができ、電子部品装着装置10における作業効率及び生産性を向上させることができる(図10参照)。
図10、図11に示すように、当該電子部品装着装置10によれば、装着ヘッド26によって保持される複数の電子部品の構成(例えば、部品サイズPや配置)に応じて、トレイ回転量θを変化させることができる為、フラックスの塗布作業ごとに、貯留トレイ93の回転量を、複数の電子部品の構成に応じた適切な回転量に調整することができる。これにより、当該電子部品装着装置10は、フラックス膜Fの厚みの調整作業に関する所要時間を、複数の電子部品の構成に対応して短縮することができ、電子部品装着装置10における作業効率及び生産性を更に向上させることができる。
そして、当該電子部品装着装置10において、コントローラ102は、装着ヘッド26に係る装着ユニット60がどのような部品サイズPの電子部品を保持している場合であっても、一律に、ノズル対応サイズNの電子部品が保持されているものとして、第1塗布領域RA、第2塗布領域RBを決定する(図12参照)。このように構成すれば、当該電子部品装着装置10は、各電子部品の部品サイズPを取得して決定する場合に比べて、使用本数データ、対応サイズデータを用いた簡略化した処理で第1塗布領域RA、第2塗布領域RBを決定することができる(S2、S3)。つまり、当該電子部品装着装置10は、第1塗布領域RA、第2塗布領域RBの決定及びトレイ回転量θの算出に関する制御装置100の処理負担を軽減することができる。
この場合においては、第1塗布領域RA、第2塗布領域RBは、夫々、前回の作業に係る装着ユニット60の使用本数、今回の作業に係る装着ユニットの使用本数に応じて変化し、これに伴って、当該トレイ回転量算出処理(S4)で算出されるトレイ回転量θの大きさを変化させることができる。
従って、電子部品装着装置10によれば、装着ヘッド26によって複数の電子部品を保持して作業する際に、複数の電子部品の数が異なる場合であっても、フラックスの塗布作業ごとに、貯留トレイ93の回転量を、電子部品の数に応じた適切な回転量に調整することができる。これにより、作業の対象となる電子部品の数に対応して、フラックス膜Fの厚みの調整作業に関する所要時間を短縮することができ、電子部品装着装置10における作業効率及び生産性を更に向上させることができる。
そして、当該電子部品装着装置10において、コントローラ102は、前回行われた電子部品に対するフラックスの塗布作業に係る第1塗布領域RAと、今回行われる電子部品に対するフラックスの塗布作業に係る第2塗布領域RBとに基づいて、今回の電子部品に対するフラックスの塗布作業前におけるトレイ回転量θを算出する(S4)。従って、当該電子部品装着装置10によれば、前回の作業内容及び今回の作業内容を踏まえて、第1塗布領域RAと第2塗布領域RBが重複することのない適切なトレイ回転量θを、精度よく算出することができる。これにより、電子部品装着装置10によれば、フラックス膜Fの厚みの調整作業に関する所要時間を短縮することができ、当該電子部品装着装置10における作業効率及び生産性を更に向上させることができる。
尚、上述した実施形態において、電子部品装着装置10、装着機16は、本発明における対基板作業装置の一例であり、装着ヘッド26は、本発明における作業ヘッドの一例である。そして、貯留トレイ93は、本発明における貯留トレイの一例であり、スキージ97は、本発明におけるスキージの一例である。又、トレイ回転装置90は、本発明における移動装置の一例であり、制御装置100、コントローラ102は、本発明における制御装置の一例である。そして、コントローラ102、領域データ記憶部120、回転量算出部122は、本発明における移動量算出部の一例であり、コントローラ102、制御信号出力部124は、本発明における移動駆動部の一例である。そして、装着ユニット60、吸着ノズル62は、本発明における部品保持具の一例であり、第1塗布領域RA、第2塗布領域RBは、本発明における設定領域の一例である。そして、トレイ回転量θは、本発明における相対的な移動量の一例であり、そして、部品サイズPは、部品のサイズの一例である。
以上、実施形態に基づき本発明を説明したが、本発明は上述した実施形態に何ら限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲内で種々の改良変更が可能である。例えば、上述した実施形態においては、フラックスユニット30は、円形の貯留トレイ93を、トレイ回転装置90によって回転させるように構成していたが、この態様に限定されるものではない。例えば、上方から見た形状が角型を為す浅底の貯留トレイとして用い、角型の貯留トレイの内部において、スキージを所定方向に往復移動させるように構成してもよい。
又、上述した実施形態においては、貯留部94内のフラックスに対してスキージを接触させた状態で、トレイ回転装置90によって貯留トレイ93を回転させることで、貯留部94内におけるフラックス膜Fの厚みを調整していたが、この態様に限定されるものではない。貯留部94内のフラックスにスキージを接触させた状態で、貯留トレイ93とスキージ97とを相対的に移動させることができれば、様々な方式を採用し得る。例えば、上述した、角型の貯留トレイの貯留部内において、スキージを所定方向に往復移動させる構成や、円形の貯留トレイ93を固定したままとして、スキージ97を回転動作させる構成を採用してもよい。
又、本実施形態においては、本発明に係る粘性流体としてフラックスを挙げていたが、この態様に限定されるものではない。本発明に係る粘性流体としては、例えば、銀ペースト、溶融はんだ等を用いることができる。
そして、上述した実施形態においては、回路基板に対する作業として、粘性流体としてのフラックスが塗布された部品を、回路基板の所定位置に実装する作業を挙げていたが、粘性流体が塗布された部品を用いて、回路基板に対して行う作業であれば、種々の作業を採用し得る。例えば、粘性流体が塗布された部品を回路基板上の所定位置に接触させることによって、回路基板に粘性流体を転写する作業を、本発明に係る対基板作業としてもよい。又、上述した実施形態においては、電子部品を本発明に係る部品として用いた例を挙げて説明していたが、回路基板に対して行う作業に用いられる部品であれば、この態様に限定されるものではない。本発明に係る部品には、例えば、作業ヘッドに保持された転写ピンも含まれる。